08/05/09 診療報酬調査専門組織平成20年度DPC評価分科会 第1回議事録 平成20年度1回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成20年5月9日(金)15:00〜17:00 (2)場所  全国都市会館3階 第2会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直己委員、        伊藤澄信委員、木下勝之委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、        齋藤壽一委員、酒巻哲夫委員、佐藤博委員、嶋森好子委員、        難波貞夫委員、山口俊晴委員、山口直人委員、吉田英機委員、        邉見公雄オブザーバー、伏見清秀参考人        事務局:原医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 平成19年度「DPC導入の影響評価に関する調査結果及び評価」最         終報告概要(案)        2 平成19年度再入院にかかる調査について        3 平成20年度におけるDPCに関する調査(案)について        4 平成20年度DPC対象病院の進捗状況等について        5 DPC対象病院に関する考え方の経緯について        6 その他  (5)議事内容 ○西岡分科会長  ただ今から、平成20年度第1回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を開催さ せていただきます。  まず、委員の交替でございますが、中医協委員のオブザーバーが、邉見委員から西澤 委員に変更になってございます。なお、今日は、都合により邉見委員に御出席いただい ております。  それから、本日は、松田委員の代理といたしまして、伏見清秀氏に御出席いただいて おります。  まず、議事に入ります前に、皆様、既に御承知かと思いますが、この分科会の委員で あられました武澤純委員がお亡くなりになりました。武澤委員は平成15年7月から当 分科会の委員として、審議に積極的に御参加いただき、貴重な御意見をたくさんいただ きました。審議に入ります前に、委員の皆様方に御起立いただいて、故人に黙祷を捧げ たいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。  黙祷。 〔黙  祷〕 ○西岡分科会長  どうもありがとうございました。  続きまして、事務局の交替がございましたので、御紹介をお願いいたします。 ○中田補佐  紹介させていただきます。  4月1日付で着任いたしました、医療課課長補佐の菊池幸子でございます。 ○菊池補佐  どうぞよろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  それでは、まず、資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。 ○中田補佐  それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。  まず、お手元の資料1枚目、委員名簿がございます。それ以降、D−1「平成19年 度「DPC導入の影響評価に関する調査結果および評価」最終報告概要(案)」、D− 2「再入院に係る調査について」、D−3「平成20年度におけるDPCに関する調査 (案)について」、D−4「平成20年度DPC対象病院の進捗状況等について」、D −5「DPC対象病院に関する考え方の経緯について」、D−6−1「DPCに係る制 度運用の改善」、これは平成20年2月13日の第125回の中医協総会資料を抜粋し たものでございます。資料D−6−2「平成20年度診断群分類の見直しについて」で す。なお、委員の机上のみでございますが、参考資料1「7月から12月までの退院患 者に係る調査について」、参考資料2「平成19年度データ集計」、参考資料3「再入 院に係る調査について」がございます。  なお、参考資料1から3のデータにつきましては、近日中にホームページに掲載する 予定としております。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  資料については、よろしいでしょうか。  それでは、議事次第にありますとおり、「平成19年度DPC導入の影響評価に関す る調査結果及び評価概要」の議題に移りたいと思います。  まずは、事務局から御説明をお願いします。 ○中田補佐  資料D−1「平成19年度「DPC導入の影響評価に関する調査結果および評価」最 終報告概要(案)」、参考資料1、2を説明させていただきたいと思います。  まず最終報告書概要(案)に沿いながら御説明申し上げまして、それ以外の細かい部 分は参考資料に基づいて説明させていただきたいと思います。  調査の目的でございますが、DPC導入の影響評価を行うために、診断群分類の妥当 性の検証及び診療内容の変化等を評価するための基礎資料を収集することを目的とする ということでございます。  調査方法といたしましては、平成19年7月から12月までの退院患者につきまして、 「診療録情報」・「レセプト情報」等を収集しております。  調査対象病院といたしましては、平成15年度DPC対象病院として82、平成16 年度DPC対象病院として62、平成18年度DPC対象病院として216、平成18 年度DPC準備病院として371、平成19年度DPC準備病院として697病院を調 査対象病院としております。  厚生労働省が受領した7月から12月の退院患者に係るデータは430万件でござい ますが、このうち包括払いの対象にならない病棟への移動があった者などを除外いたし まして、394万件を分析の対象としております。こちらの平成15年度から平成18 年度の調査データにつきましても、同時期のデータを用いて比較対象としております。  2ページ目でございます。こちら以降は、主な結果の概要でございます。  まず、1番目は、平均在院日数の推移でございます。こちらは、この表1のとおり、 すべての病院類型において、平均在院日数は減少傾向にございました。こちらは、参考 資料1の19ページから37ページに詳細がございますので、後ほど御参照いただけれ ばと思います。  (2)平均在院日数の減少の要因といったことでございます。こちらの要因につきま して、「診断群分類毎の在院日数の変化による影響」と「患者構成の変化による影響」 とに分けて分析いたしましたところ、主に診断群分類毎の在院日数の減少によるものと 考えられたというところでございます。  2番目の入院経路でございます。  こちらは、後ほど参考資料1の49ページを御参照いただければと思います。  救急車による搬送の率につきましては、平成15年度DPC対象病院・平成18年度 DPC準備病院は横ばい傾向でございましたが、それ以外の病院類型では、増加から横 ばい傾向でございます。  1施設1か月当たりの救急搬送患者数につきましては、平成18年度DPC準備病院 は横ばい傾向でございまして、それ以外の病院類型では、増加傾向であったということ でございます。  (2)は、後ほど参考資料1の50ページを御参照いただければと思います。緊急入 院の率・患者数の年次推移につきましては、平成15年度のDPC対象病院は減少傾向、 平成18年度DPC準備病院は横ばい傾向でございましたが、それ以外の病院類型では 増加から横ばい傾向でございました。  1施設1か月当たりの緊急入院の患者数につきましては、平成18年度DPC準備病 院は横ばい傾向でございましたが、それ以外の病院類型では増加傾向でございました。  (3)他院より紹介有りの率・患者数の年次推移でございます。こちらは、参考資料 1の51ページを御参照いただければと思います。こちらにつきましては、他院より紹 介有りの率及び1施設当たりの患者数につきましては、平成18年度DPC対象病院を 除きまして増加傾向であったといったことでございます。  3番目の退院先の状況でございます。こちらは、参考資料1の52ページを参照いた だければと思います。  (1)自院の外来の割合の年次推移でございます。こちらにつきましては、平成15 年度DPC対象病院は増加傾向でございましたが、平成16年度DPC対象病院は減少 傾向であり、それ以外の病院類型では横ばい傾向でございました。  (2)転院の割合の年次推移でございます。転院の割合につきましては、平成15年 度DPC対象病院は減少傾向でしたが、平成16年度DPC対象病院は増加傾向で、そ れ以外の病院類型では横ばい傾向であるといったことでございました。  4番目の退院時転帰の状況でございます。こちらは、参考資料1の53ページを御参 照いただければと思います。  (1)治癒・軽快の割合でございます。治癒及び軽快を合計した割合につきましては、 すべての病院類型において、ほぼ横ばい傾向であったということでございます。治癒の 割合はすべての病院類型で減少傾向、軽快の割合はすべての病院で増加傾向であったと いったことでございます。  5番目の再入院率でございます。こちらは、この後、伏見先生のほうから再入院に関 する調査の報告があるところでございます。参考資料といたしましては、参考資料1の 54から72ページを御参照いただければと思います。  (1)再入院の割合の年次推移につきましては、再入院の割合は、すべての病院類型 で増加傾向であるといったことでございました。  また、(2)同一疾患での6週間以内の再入院の割合の年次推移につきましては、す べての病院類型で増加傾向といったことでございまして、再入院につきましては、全般 的に増加傾向にあるといったことが言えるかと思います。  6番目の患者構成の指標につきましては、参考資料1の73ページ目を御参照いただ ければと思います。  MDC別の患者の構成割合につきましては、すべての病院類型でMDC06「消化器 疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患」が最も高い割合を示しておりまして、近年の患者構成の 割合には、大きな変化は見られていないといったような状況でございました。  まとめに入ります前に、この概要の説明になかった部分につきまして、参考資料につ きまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  前半部分の再入院の調査、在院日数の状況等につきましては、概要で示させていただ いたとおりでございます。  参考資料1の146ページ目、在院日数の平均の差の理由についてでございます。こ ちらは、例年、こういった指標を用いまして検討しておりまして、147ページ目にご ざいますとおり、患者構成の指標と在院日数の指標がございます。例では1.18とか 0.96といった形で表していますが、患者構成の指標につきまして、これが1より大 きくなれば、在院日数のより長い患者さんを多く診ているといったような指標で用いて おります。  在院日数の指標につきまして、例えばこれが1より大きくなれば、同じ疾患でも在院 日数は短くなるといったようなことでございます。  それぞれの個別病院につきましては、148ページ目以降のデータで示させていただ いておりますが、最終的な集計といたしまして166ページ目以降、図表26ページ以 降で示しております。  例えば、平成15年度DPC対象病院につきまして、患者構成の指標と在院日数の指 標をもとに、各病院をプロットした図、平成16年度DPC対象病院、平成18年度対 象病院、DPC準備病院という形で、それぞれプロットしております。こちらにつきま しては、特に特定機能病院が多く含まれる平成15年度病院につきましては、患者構成 の指標が1より大きいところになっています。今回の結果は、平成18年度DPC対象 病院につきましては、在院日数の指標としては、かなり1より高いところに集中して見 られてきているといったような傾向が、全体的に見られるかと思います。  続きまして、169ページ目以降は、手術、化学療法、放射線、救急搬送、全身麻酔 の件数といった形で集計させていただいております。こちらは、昨年度の分科会でも、 こういったデータをもとにいろいろ御議論いただきましたが、今回、各医療機関ごとに 集計しているところでございます。  189ページ目に、施設類型別の総集計として、例えば平成15年度DPC対象病院 であれば、総数54万件でそのうち、手術ありが27万件、化学療法ありが7万件、放 射線療法ありが約1万7,000件、救急車搬送ありが約4万件、それらのうちいずれ かありが約36万件、全身麻酔件数が約15万件といった形で、それぞれの施設類型ご とに集計を出しております。  また、同じように190ページ目以降は、それぞれ全体の件数に占める割合で示した ものを同じように出しております。総集計については、210ページ目にそれぞれの類 型ごとに示させていただいております。  また、毎年度同様でございますが、229ページ目以降は精神病床における解析結果 を提示させていただいているところでございます。  また、参考資料2のほうでございますが、1から5番目につきましては既に概要で述 べさせていただいたとおりで、388ページ目以降、新たに集計を加えたところでござ います。  例えば、388ページにつきましては、それぞれの疾患での悪性腫瘍の割合といった ものを集計しております。こちらは、また後ほど今年度の診断群分類の見直しの報告で 御説明したいと思いますが、レジメン別分岐というものをいろいろ検討していく中で、 こういった集計が基礎的なデータとして活用されています。  また、426ページ目以降は、それぞれのMDC、診断疾患群コード6けた分類での 疾患名ごとの集計で、例えばここにある手術の欄を見ていただきたいのですが、99と 書いているものにつきましては手術がない症例、97は手術あり症例、97(輸血以外 の再掲)につきましては、輸血は手術ありで定義されてしまうのですが、輸血を除いた らどうなるのか。01、02は手術のうち、定義テーブルで01で区分されるもの、0 2で区分されるものは、定義テーブルと突き合わせないと分からないのですが、データ をそれぞれ集計しております。  それに加えまして、459ページ目以降でございますが、疾患別の手術あり・手術な し、また、それを踏まえて処置あり・処置なしごとの集計をいたしまして、診断群分類 6けたごとの疾患で、どのような医療処置が行われているのか、それを対象病院の類型 別で集計したものをお示しさせていただいているところでございます。  これらを踏まえまして、先ほどのD−1の8ページ目のまとめにつきまして御説明申 し上げたいと思います。  まとめにつきましては、昨年度、中間報告でまとめさせていただいた内容に、肉付け をいたしまして、このような形でまとめさせていただいております。  全ての病院類型において、平成18年度までと同様に、平均在院日数は減少傾向であ り、その要因としては、診断群分類毎の平均在院日数が減少することによるものであっ た。  一方、救急車による搬送、緊急入院及び他院からの紹介の患者数は増加傾向であった ことから、重症度の高い患者を避けるような患者選別の傾向が見られておらず、診療内 容に悪影響は認められていないものと考えられる。  加えて、退院時転帰の状況においては、治癒及び軽快を合計した割合が一定であるも のの、治癒の割合は減少傾向であることについては、急性期としてある程度病態が安定 した時点までの入院医療を反映しているものと考えられ、急性期として適切な医療が提 供されているものと考えられる。  以上のことから、DPCにより、質の確保はされつつ医療の効率化が進んでいるもの と考えられる。  また、これまで増加傾向であった再入院率については、平成19年度も引き続き増加 傾向がみられた。  この問題については、DPC特別調査(ヒアリング)を行い、その結果を受けての中 医協・基本問題小委員会、DPC分科会での議論を踏まえ、平成20年度からは、同一 疾患での3日以内の再入院(病棟間の転棟に主なう再転棟も含む)については、臨床現 場の実態として、実質的に一連の療養として支障がないものとして、1入院として扱う ように算定ルールを見直した。今後は、この効果をみるために、引き続き再入院率の動 態を確認していく必要がある。また、4〜7日以内の再入院の例や本来であれば外来で 実施できると思われる治療でも入院医療で行われている例については、今後も実態の調 査・検討を行っていくこととされている。  なお、平成15年度DPC対象病院においては、退院先の状況として、自院の外来の 割合が増加傾向であり、転院の割合が減少傾向であったことから、退院患者が同じ医療 機関の外来へ通院している傾向が示唆される。  しかし、当該医療機関では、専門外来(外来化学療法・外来放射線療法等)を実施し ている場合が多いことも考えられ、その実態について今後調査を行っていく必要がある と考えられる。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ございましたらお願いいたします。 ○山口(俊)委員  再入院が、引き続きずっと増えています。理由はいろいろ説明されていますけれど も、やはり一般の人が疑うのは、治癒としてちゃんと診ないうちに帰しているから再 入院が多いのではないかということだと思います。とすれば、実際に退院時に「治 癒」と判定された人がどれぐらい再入院してきて、軽快とされた人がどれぐらいかと いう、その辺りの解析はされたでしょうか。もしやっていたら、お教えいただきたい と思います。 ○中田補佐  再入院に係る調査につきましては、後で伏見氏の方から詳細に御報告があると思う のですが、この資料には、そういった観点での解析はございません。 ○西岡分科会長  この点が、いつも問題にはなっています。 ○山口(俊)委員  化学療法のレジメンを随分調査されて、大変貴重なデータなので敬服している次第 です。なかなかこういう調査は今まで行われていなくて、私も大変おもしろく拝見し ました。例えば394ページの胃がんで、例えばシスプラチン、3番目にありますけ れども、平均在院日数が5.4日ですね。これを単独でやることは、普通なくて、通 常は外来でTS1を投与しつつ、シスプラチンの注射のときだけ入院するというパタ ーンだと思います。  ですから、これは恐らく1番目のレジメンと一緒ではないかと思われます。そのあ たりをどういう具合に区別されたか、分かったら教えていただきたいのです。また、 取りまとめにあたっては一応そういう領域のがんの専門家に、コンサルとしてこのデ ータを見ていただいて、こういう分類でよろしいということだったのでしょうか。 ○中田補佐  ここの分類につきましては、DPCのデータで上がってくる薬剤の中で、抗がん剤 としての効果を持つものを機械的にピックアップしていったというところでございま す。また、この組み合わせが正しいかどうかにつきましては、特に専門家の御意見が 反映されているわけではなく、単なる集計をしたといったような段階でございます。 ○山口(俊)委員  多分、外来で処方されたものは、拾われていないのではないかと思うのですが、そ ういう可能性はないでしょうか。 ○中田補佐  こちらは、入院に関するデータが集まってきております。 ○山口(俊)委員  貴重なデータですので、もしできましたら、是非トータルのコストをトップ10ぐ らいについて解析していただいて、それがどれぐらいばらついているか、是非教えて いただければありがたいと思います。 ○西岡分科会長  ほかに御質問ございますでしょうか。 〔発言する者なし〕 ○西岡分科会長  この化学療法のレジメンについての調査というのは、非常に貴重な調査だと思いま すので、更に検討していけば、非常によいデータになるのではないかと思っておりま す。  では、特に御質問がないようでございましたら、中医協の基本問題小委員会におい て特別調査を行うこととして付託されております再入院に係る調査について、伏見先 生より御説明をお願いできますでしょうか。 ○伏見氏  では、再入院に係る調査について説明させていただきます。  資料D−2のほうを使います。  まず、調査の目的ですけれども、医療の効率化の一つの指標として在院日数が示さ れ用いられていますが、在院日数の短縮が図られている中で、提供されている医療サ ービスが低下していないかどうかを再入院の頻度やその理由を指標として検証すると いうこととなっております。  班構成につきましては、こちらに書かれているとおりでございます。  調査方法につきましては、データの抽出条件といたしまして、7月から12月の退 院患者に係る調査期間中に収集されたデータのうち7月から10月の退院患者データ について、下記条件で抽出しております。入退院年月日・生年月日の誤りのないデー タ、4月1日以降の入院である、退院が7月1日から10月31日の間、データ識別 ID、これは患者IDですけれども、このIDの重複があって、前回の入院から6週 間以内に再入院があった場合を再入院ありと判定しております。一般病棟で入院あり の患者さんを集計対象としております。医療資源を最も投入した傷病名のICD−1 0が入院間で一致している場合については同一疾患、一致していない場合については 異なる疾患として、それぞれの再入院率を集計しております。  再入院ありと判定された患者については、「再入院調査票」というものによって再 入院の状況を調査しております。  平成19年度分の再入院症例について調査を実施し、昨年実施した過去5年間のデ ータとともに、平成14年から平成19年の5年間の変化を把握するということを目 的としております。今年度の調査対象となった再入院症例は28万1,000件とな っております。  本年度は、上記の調査に加えて、7月から10月退院患者のEFファイルというも のを用いて、一般病棟からその他の病棟へ転棟した場合について、更に再び一般病棟 へ戻ってきた患者について、それを抽出いたしまして、再転棟患者ということにいた しました。その割合の多い病院2%以上ということで、26病院について別に調査票 を配付して、再転棟の理由について調査しております。  調査対象病院につきましては、DPC対象病院360病院と、当時の準備病院1, 068病院です。  調査票につきましては、後ろの別紙等に付けております。  調査の実施状況については、こちらに書いてあるとおりでございます。  続きまして、3ページの調査結果要約について説明させていただきます。  まず最初が、今年度の調査対象医療機関数及びデータ数の年次推移になります。こ の図表につきましては、お手持ちの資料の12ページのほうにあります。  平成19年度の調査対象医療機関は1,428医療機関で、すべての医療機関から 回答が得られております。その中で施設類型別の集計対象とした医療機関は、今回の 調査で退院患者4か月間のデータがそろっている医療機関のみとしまして、1,40 2病院を対象としております。この期間の退院症例約266万件のうち、再入院に該 当した症例が28万1,000件程度となって、再入院率が10.6%になります。 これに関する回答については、99.9%以上の回答を得られております。  続きまして、施設類型別の集計のほうをお示しいたします。  資料のほうが、図表2−(1)、13ページのほうになっております。  このグラフにお示ししましたように、DPCによる支払いを受けているかどうかに かかわらず、再入院率につきましては年々増加傾向にあります。ただし、平成16年 度DPC対象病院で見ますと、増加の勢いはだんだん弱くなっているというふうに見 てとれるのではないかと思います。  続きまして、前回入院と今回入院の病名の同異別再入院の理由というものを調査し ております。それが、お手元の資料の図表2−(2)、14ページのほうになります。図 表2−(2)−1が、再入院の割合を積み上げグラフとしたもので、その次のページの2 −(2)−2のほうは、全体の割合のほうを張り合わせた棒グラフとなっております。  すべての施設類型におきまして、前回入院と同一病名の場合の計画的再入院の比率 が増加しております。これが、全体として再入院率の主な増加原因というふうになっ ているのではないかと思います。ただし、平成15年度DPC対象病院、16年度D PC対象病院においては、その増加の割合が次第に緩やかになってきているというふ うに言えます。この部分については、平成18年度、平成19年度については、一部 減少しているものもあるということです。それ以外、病名同異別、再入院事由の区分 については、ほとんど前年度と差がありませんでした。その結果、前回入院と異なる 病名による再入院の割合については、相対的には年々減少傾向にあるというふうに言 えると思います。  続きまして、計画的再入院について、更に詳細にその理由について検討しておりま す。資料のほうが、16ページの図表2−(3)のほうになります。  計画的再入院の中では、前年度と比較して、「検査入院後手術のため」の理由につ いては、ほとんど変化は見られておりません。「計画的手術・処置のため」は平成1 6年度DPC対象病院でやや減少していますが、それ以外の病院では若干増加傾向に あります。「化学療法・放射線療法のため」につきましては、どの施設でも増加傾向 にあります。これについても、増加率については、やはり漸減傾向にあるというふう に言えるのではないかと思います。  続きまして、予期された再入院における理由の内訳について詳細に検討しておりま す。その図が、17ページの図表2−(4)のほうになります。  予期された再入院においては、16年度対象病院で「疾病の悪化、再発のため」と いうものが、平成18年度から平成19年度にかけて若干減少していますが、それ以 外の部分については、この2年度間においてはほとんど変化が見られていないという ふうに言えると思います。  続きまして、予期せぬ再入院につきましての理由の分析のほうが、次の18ページ の図表2−(5)のほうに書いてあります。  予期せぬ再入院につきましては、全般的に、特に平成18年度、平成19年度間に おいては、ほとんど変化が見られていないというふうに言えるのではないかと思いま す。  続きまして、計画的再入院における理由のうち「化学療法・放射線療法のため」に 該当した症例につきまして、19ページ、図表2−(6)−1にまとめてあります。これ を疾患別に、今の化学療法・放射線療法のための再入院症例がどの程度の数になった かというものをまとめたものになっております。  これにつきましては、平成18年度のDPC準備病院において、MDC06の比率 が増加しておりますが、前年度からの他の類型施設では、増加傾向にあるものの前年 度からの割合としての変化はほとんど見られておりませんでした。  続きまして、21ページ、図表2−(7)−1、これは同じ分類を疾患分類別、疾患病 名別に見たものでございます。  ほぼ似たような傾向はありますけれども、平成18年度のDPC準備病院を見ます と、疾患別では大腸の悪性腫瘍、直腸肛門の悪性腫瘍の比率が、前年度と比べてやや 増加傾向にあるというふうに言えるのではないかと思います。  次が、23ページの資料のほうになります。図表2−(8)で、計画的再入院のうち化 学療法・放射線療法を除いた部分について、再入院の理由について調査しております。  これにつきましては、前年度と比較いたしますと、いずれの施設でも計画的再入院 の増加がややあったというふうに言えるのではないかと思います。  続きまして、24ページの資料のほうになります。図表2−(9)−1、前回再入院か らの期間別・退院症例に対する再入院比率について集計しております。  すべての類型施設におきまして、前年度の変化を期間別の割合で見ております。そ の結果、7日以内の再入院については、若干減少していることが分かります。それに 対しまして、8日以上14日以内の再入院はほとんど変化がなく、15日以上の再入 院について増加傾向が認められるということになっております。  続きまして、26ページ、図表2−(10)−1のほうをお願いいたします。計画的再入 院のうち化学療法・放射線療法につきまして、同様に期間別の再入院割合のほうを集 計しております。  やはり、同様に7日以内の再入院は減少しており、15日以上の再入院の増加が多 いという形になっております。  続きまして、28ページ、図表2−(11)−1を御覧ください。こちらは、計画的再入 院のうち「検査入院後手術」及び「計画的手術・処置」について、同様に期間別に集 計したものであります。  やはり、同じように7日以内の割合は減少しており、15日以上の再入院のほうが 増加しております。  次が、30ページ、図表2−(12)−1をお願いいたします。これにつきましては、 「検査入院後手術」及び「計画的手術・処置」に該当した症例について、MDC別に 退院症例に対する割合を示したものであります。  平成15年度のDPC対象病院では、比率合計は前年に比べて微減しておりますが、 MDC04、MDC05及びMDC06では、やや増加傾向が出ております。平成1 6年度の対象病院でも、やはり全体で減少して、MDC05、06でも減少している ことになっております。平成18年度のDPC対象病院では、MDC04、05が増 加するのに加えて、02についても増加が見られるというふうな傾向になっておりま す。平成18年度のDPC準備病院につきましては、MDC05とMDC06、それ からMDC02、MDC011で、やや増加しているという形の傾向が見られます。  次に、図表2−(13)−1、32ページをお願いいたします。こちらは、「検査入院後 手術」、「計画的手術・処置のため」の再入院について、疾患別の集計のほうを行っ たものです。  疾患の傾向ですので、先ほどのMDC別の集計と、ほぼ同じような傾向が出ている のではないかというふうに思います。  続きまして、図表2−(14)、34ページのほうをお願いいたします。これにつきまし ては、「化学療法・放射線療法あり」につきまして、再入院の回数別に在院日数のほ うを集計したものになっております。  すべての施設類型におきまして、1回目に比べて2回目入院の在院日数は短くなり、 2回目以降については、在院日数はほとんど差がないというような傾向が出ておりま す。平成15年度DPC対象病院につきましては、1回目の入院が非常に早く減少し ておりまして、16年度のDPC対象病院と、ほとんど近い値になってきているとい うふうに言える状況になっております。  次が、35ページ、図表2−(15)、こちらにつきましては、1患者当たりの再入院回 数を集計したものになっております。  この回数につきましては、特に大きな変化はないというふうな状況になっておりま す。  参考といたしまして、図表2−(16)ですけれども、一般病棟からその他の病棟に転棟 し、その後一般病棟へ再転棟のあった、戻ってきた症例の集計になっております。  図表2−(16)につきましては、再転棟症例の比率について集計したものですけれども、 平成15年度対象病院では0.01%、16年度では0.07%、平成18年度対象 病院では0.06%、平成18年度準備病院では0.1%、平成19年度では0.1 %、全体としては非常に低い数字になっております。  それについて、比率が2%以上であった26病院、全242症例について、その理 由をアンケート調査したものの集計結果が、同じように36ページ、図表2−(17)にな っております。これによりますと、再転棟の理由につきましては、他疾患発症のため、 手術のため、悪化・再発のため、検査のためというようなデータになっております。  37ページ、図表2−(18)で、再転棟症例につきまして、その再転棟になった期間に つきましての集計でございますけれども、いずれの施設類型でも、15日から28日 程度が最も多く、3日以内というものが非常に少ないというようなデータになってお ります。  38ページ以降の細かい表が、図表3が医療期間別の再入院率の集計となっており まして、平成19年度においては、最も再入院率が高い医療機関が39.3%、最も 低い医療機関はゼロ%ということになっております。  資料6ページに戻っていただきまして、全体の結果の結論でございますが、DPC 導入以降、DPC対象病院は再入院率が増加する傾向にあります。主な原因は計画的 再入院の増加にありまして、特に化学療法・放射線療法の理由による再入院の増加が 原因となっています。また、退院後3日から7日以内の再入院は減少傾向が見られ、 早期から参加している平成15年度DPC対象病院及び平成16年度DPC対象病院 などの医療機関では、再入院率の増加が小さくなってきております。また、疾患ごと の年度別割合の変化も小さくなってきております。しかしながら、個別の医療機関ご とに見ますと、まだかなりのばらつきが存在しているという状況ではないかと思いま す。  引き続き、個別医療機関のヒアリングを含めて経年的な動向の把握が重要であると いうふうに考えられます。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  今の伏見先生の御説明に関しまして、御質問等ございますでしょうか。 ○斎藤委員  大変詳細な、興味ある分析をありがとうございました。  二、三、教えていただきたいのですが、一つは、再入院率の問題を当初導入したと きに、いわゆるDPCによる粗診粗療の一つの指標として、例えば治らないのに出し てしまうような、いわゆる粗診粗療の要素が再入院というものに反映するのではない だろうかという意見もあったのですが、そういう痕跡というのは、今回のこの調査で はあるのでしょうか。それとも、ないのですか。 ○伏見氏  全体の集計を見ますと、やはり計画的再入院が大部分、圧倒的になっておりますし、 あと、計画的でない場合についての再入院の事由についても、ほぼ医学的に合理的と 認められるものが多いと思いますので、全体といたしましては、悪い兆候はあまり認 められないのではないかというふうに思います。 ○斎藤委員  それと、ちょっと関係するのですが、「予期せぬ再入院」という言葉が、予期する かどうかというのは退院担当医の認識によって非常に変わってきて、例えば、がんの 化学療法の後で間質性肺炎が起こるかどうか、どのぐらいの頻度で起こるかどうかな どということは、予期する人もいるでしょうし、予期しない人もいるでしょうと。か なり、これは主観的な言葉が歩いているなという感じがするのですが、その辺はどう なのでしょうか。この「予期せぬ」とか「予期した再入院」という言葉の受け止めら れ方とか、そういうことは。 ○伏見氏  確かに、かなり医学的な判断も絡んできますので、難しい評価だと思います。その 意味で、予期したか、しないかよりは、具体的な中身のほうも含めて、例えば悪化し たのか、それから予想された範囲の合併症が起きたかという形で、より細かい形での 集計をしておりますので、そちらを見ていただくと、そんなに質の低下をしている指 標ではないのではないかというふうに考えられます。 ○斎藤委員  最後にもう一つ、平成15年度の病院で、例えば放射線治療、第1回目の平均在院 日数が急速に年々下がっているとか、そういう年次推移が物すごく顕著になって、平 成16年以降に参入した病院は、あまりそういう年次推移というのははっきりしない と思うのですが、その差はどこに由来しているのですか。平成15年群が、かなりき れいな年次推移がいろいろなところで見えているわけですね。それはなぜなのですか。 ○伏見氏  今回の調査では、それについては調査していませんで、私の推測ですけれども、平 成15年対象病院というのは、いわゆる大学病院系が多いですので、もしかしたら、 以前、やや効率が悪かったのが、効率化が進んでいるという可能性もあるのではない かと思います。 ○斎藤委員  ありがとうございました。 ○邉見氏  興味ある御報告、ありがとうございました。  36ページの定義なのですが、「一般病棟からその他の病棟へ」という、この「そ の他」というのは、医療法上の精神・結核だけですか。それとも、DPCは急性期病 床というので、療養病床等の慢性期はその他に入るのですか。 ○伏見氏  これは、療養病棟も含めてということでございます。 ○邉見氏  DPC以外の病棟でよろしいですか。 ○伏見氏  こちらは、DPC病棟以外の病棟へ転棟したといったような理解で結構だと思いま す。 ○邉見氏  ありがとうございます。 ○熊本委員  4ページ目に、言葉上、適切かどうかあれですけれども、予期せぬ再入院が増えた のが、平成18年度のDPC準備病院では、やや「疾患の悪化、再発のため」、「合 併症発症のため」ということで報告されていますけれども、平成18年度の準備病院、 平成19年度の準備病院は、かなりいろいろな病院が入ってきていますね。先ほどの 平均在院日数の差の検討をしたときも、患者構成と平均在院日数で見ても、ばらつき がかなり大きかったのですけれども、この平成18年度DPC準備病院といっても、 病床数の小さい病院から専門だけの病院、いろいろな病院が入っていると思うのです ね。こういった予期せぬ再入院が多かった病院に、何らかの特徴があったのかどうか。 その辺りだけ、ちょっと教えていただければと思います。 ○伏見氏  これについては、この類型上の集計はしておりませんので、すみませんけれども、 現状ではちょっと分からないです。 ○邉見氏  今後、よろしければ教えていただきたいなと思います。 ○山口(俊)委員  詳細な御報告、ありがとうございました。  結論のところは、結局、計画的再入院の原因は、化学療法と放射線であると読み取れ ると思います。しかし、放射線治療は、計画的にやれば入院が増えるということは、ち ょっとおかしいのではないかと思います。というのは、癌研でも放射線科の病棟という のは、もうありませんし、ほとんど外来でやっております。放射線治療が進歩したから、 本当に入院してやらなくてはいけない放射線治療が増えたということは確かなのでしょ うか。これは単に、入院を増やすためにやっているという疑いはないのでしょうか。 ○西岡分科会長  非常に厳しい御質問でございますが。 ○山口(俊)委員  すべての例がそうであるとは、当然思いませんが。 ○中田補佐  このデータから、先生方からいただきましたとおり、いろいろ解釈があるかと思い ます。そういった御意見を踏まえながら、今後、ヒアリングも同時に行っていきたい というふうに考えていますので、そういった観点も含めて、また検討していきたいと いうふうに思っております。 ○山口(俊)委員  もう一つ、化学療法のほうもそうなのですけれども、胃がんの例えばトップ3をみ ると、1番目がTS1+シスプラチンで、その次がTS1単独、その次がシスプラチ ンとなっています。恐らくこれはTS1を一緒にやっていると思います。ということ は、トップ3がTS1を服用してシスプラチン単独以外は20日から30日入院している ことになります。しかし、TS1を飲んでいるということは、もう経口摂取可能な状 態ですから、よっぽど状態が悪くない限り、シスプラチンをやる間以外は、入院して 治療する必要はないわけですね。ですから、その辺りも是非よく事情を聞いていただ かないと、ちょっと理解しにくいのではないかというように思いました。 ○西岡分科会長  御指摘のとおりだと思います。化学療法、それから放射線療法ともに、外来に移行 するというような傾向がかなり強くなってきておりますので、そこらも、既に前回の ヒアリングのときにも御指摘を受けておりましたし、こういったものをヒアリングの 機会にいろいろただしていくという形にしたらよいかと思っています。伏見先生、ど うぞ。 ○伏見氏  追加で、外来のデータの調査も併せてやっておりますので、研究班の石川先生のほう が、今、外来の化学療法と併せた形の分析を進めておりますので、そういう形での分析 も併せて進めたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  ほかに御質問等ございませんでしょうか。このデータが、かなり重要なデータとなっ てくると思いますが、よろしいでしょうか。 ○池上委員  一部に15日以上たってからの再入院が増えているようですけれども、それについて の理由は分析されましたでしょうか。 ○伏見氏  その15日以上と理由のクロスの集計は、まだないと思いますので、それはちょっと、 私はやっていない、まだ見ていないと思います。 ○池上委員  できれば、出していただければ。 ○西岡分科会長  事務局のほうから、何かございますか。というのは、3日から4日以内の再入院が減 少してきたと同時にそちらのほうが上がっていくということは、前のヒアリングのとき にも指摘されていたところでございますが、何か御意見ございますか。 ○中田補佐  再入院につきましては、平成19年度データでは、御存じのとおり、まだ算定ルー ルの改正前のデータでございます。前回の分科会から御指摘を受けているとおり、4 から7日以降やそれ以降の再入院については注視していくといったような御意見をい ただいておりますので、今後は、引き続きそういったところを重点的に評価していく 必要があるのではないかというふうに思っております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  ほかに、何か御質問等ございますでしょうか。 〔発言する者なし〕 ○西岡分科会長  非常に膨大なデータでございますので、また何か後ほどお気付きのことがありました ら、事務局のほうにお話しいただけたらと思います。  それでは、当分科会の議論を踏まえまして、「平成19年度「DPC導入の影響評価 に関する調査結果および評価」最終報告」及び、今、御説明いただきました「再入院に 係る調査」について、分科会長でございます私から、中央社会保険医療協議会診療報酬 基本問題小委員会に報告させていただくということにさせていただいてよろしいでしょ うか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  それでは、次に、「平成20年度におけるDPCに関する調査(案)について」につ きまして、事務局より御説明をお願いします。 ○中田補佐  お手元の資料D−3を御覧いただきたいと思います。  こちらにつきましては、「平成20年度におけるDPCに関する調査(案)につい て」といったことでございまして、今年度の調査をどのような方向で行っていったら よいのか御検討いただきたいと思っております。  1番目の平成19年度調査の概要につきましては、今、御報告申し上げさせていた だいたとおりでございますので、省略させていただきたいと思います。  2番目の平成20年度調査についてでございます。平成20年度調査につきまして は、目的として大きく二つ挙げさせていただいております。(1)でございますが、 こちらは例年どおり診断群分類の妥当性の検証及び診療内容の変化など、DPC導入 の影響を評価するといったことでございます。  二つ目でございますが、DPC制度の在り方、調整係数の廃止に伴う新たな機能評 価係数等を検討するといったことでございまして、これは昨年度の中医協の議論等を 踏まえまして、今後、DPC制度の在り方、また調整係数を廃止した場合の機能係数、 こういったものを検討していかなければいけないといったことがございますので、そ ういった検討の基礎資料ということを目的とした調査内容とすべきではないかという ふうに考えております。  また、この調査のデータにつきましては、診療報酬の点数を設定する上で基本とな るデータでございまして、DPC制度の根幹にかかわるものであるといったようなこ とも、昨年度、御指摘いただいております。そういったことを踏まえまして、今後、 一層のデータの質の向上を図っていくといったことも、改めましてここで明記させて いただいております。  ア具体的な調査内容等についてでございます。  (1)でございますが、調査内容につきまして、「DPCの影響評価のための基礎的な 調査として、7月から12月までの退院患者に係る調査とする」とさせていただいて おります。  これは、従前ではDPC算定病床である一般病棟から療養病棟などへ転棟した場合 にはデータが提出されず、最終的にその病院を退院した時点で1入院に係るデータを 提出するといったような取り扱いとなっておりましたが、急性期入院医療に係るデー タを収集するという目的であれば、一般病棟からそれ以外の病棟へ転棟した時点でも データの提出を求めることとしてはどうかといったことを、ここに提案させていただ いております。  (2)につきましては、平成19年度調査で指摘のございました4〜7日以内の再入院 と、前回のヒアリングでも、本来であれば外来で実施できる治療を入院医療で実施し ている例というものがございましたので、それらにつきましては、引き続き調査して いってはどうかということでございます。また、(3)番目につきましては、適切なデー タを提出できるよう、データの質を確保するための取組を、今後、図っていくことと するということでございます。また、(4)番目につきましては、再度でございますが、 DPCの制度の在り方、あと調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数などを検討す るための詳細なデータ分析等を行うといった、この四つの具体的な項目を、調査内容 として提案させていただいております。  また、イでございますが、医療機関からの意見交換につきましてはこの調査を補完 し、適切な算定ルールの構築について更に検討を行うために、平成19年度と同様に、 DPC評価分科会におきまして、調査内容に基づいた意見交換を行ってはどうかとい ったことを提案させていただいております。  その際に、例えば適切にデータを提出できておらず、データの質に重大な疑問など があった場合には、DPC評価分科会において、その原因についても調査を行うとい うことについて、昨年度に御意見がございましたので、こちらに提案させていただい ております。  ウ調査対象の医療機関の考え方でございます。  現在、この調査につきましては、既にDPC対象病院と、今現在のDPC準備病院 が調査対象病院となっておりますが、それに加えまして、適切なデータを提出して、 当調査へ協力できることができる病院につきましては、当調査へ参加することができ るとしてはどうかと提案させていただいております。  その際の参加することができる病院の基準といたしましては、(1)看護配置基準が1 0対1以上である一般病棟を有する急性期病院であるといったことでございまして、 米印でただし書きがございますが、10対1を満たしていない病院につきましては、 満たすべく計画を策定するといったことでございます。こちらは従前よりDPCの参 入基準といたしましては10対1以上でしたが、平成20年3月31日までの経過措 置でありました。その経過措置が外れた以上、原則として10対1を有する急性期病 院とし、何らかの事情で満たしていない場合には、計画を策定する必要があるという 趣旨でございます。  (2)、(3)につきましては、従前どおりの基準でございまして、診療録管理体制加算を 算定している、又は、同等の診療録管理体制を有すること。  標準レセ電算マスターに対応したデータの提出を含め「7月から12月までの退院 等患者に係る調査」に適切に参加できることを、基準として提案させていただいてお ります。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  平成20年度におけるDPCに関する調査の御説明をいただいたわけでございます が、何か御質問ございますでしょうか。 ○酒巻委員  もしかして以前にも確かめたことがあるかもしれませんけれども、データの質とい う点で、これまで知り得ている範囲内でどのような問題があったのかということにつ いて、もう一度、確認をお願いしたいのですけれども。 ○中田補佐  現在把握している範囲でございますが、質に該当するかの判断はありますけれども、 決められた提出期限を若干過ぎて提出されるような例もございます。また、データに それぞれの薬剤使用量とか、そういったものを提出していただくのですが、それが明 らかに誤記入であるような例とか、そういったようなものが現在まで見られておりま す。 ○酒巻委員  そうしますと、それ以上のデータの質ということは、どういうふうに調査していく ことになるのでしょうか。 ○中田補佐  こちらのデータの質の担保につきましては、現在でもデータエラーチェックソフト というものを用いまして、基本的なエラーデータは、病院側にもう一度、確認してい ただいて、それを訂正していただいた上で、再度、提出していただくといったような ことがございます。  ただ、今までデータをこちらに出していただいた際に、薬の使用量が明らかに違う ようなものとか、退院時の薬の使い方のところが、ちょっとあいまいにデータを提出 してきているといったような例がございましたので、今後、更にそういったところを しっかりとチェックできるような体制を組みたいというふうに考えております。 ○酒巻委員  ですから、要するに、形式的な質という意味合いですよね。 ○中田補佐  ただ今挙げた具体的な例といたしましては、形式的なものといったものですが、こ この資料には出てきておりませんが、今年度からコーディングをしっかりしていただ くということで、病院内でしっかりと組織をつくっていただくというような取組は、 併せて行っているといったところでございます。 ○西岡分科会長  酒巻委員のお話では、コーディングのところでのいろいろな問題点を、過去のヒア リングで指摘されておりますので、そこのところの質というのをお尋ねかと思ったの ですが。 ○中田補佐  コーディングの質につきましては、まず、病院側のセルフチェックという形での専 門的な委員会の設置といったものを、今年度からお願いしているところでございます。 また、今年10月から、包括部分に係る情報を提出いただくといったような取組もあ りますので、そういったものを併せて、コーディングの質の部分の確保を図っていく というふうに考えております。 ○西岡分科会長  これは、一つ、質問なのですが、コーディングに関する委員会を各施設でつくるよ うにということになっているのですが、これは対象病院だけなのですか。準備病院も、 やはりそれをつくっていただきたいということになるのでしょうか。 ○中田補佐  今回、4月以降に示させていただいた通知には、DPC対象病院を対象とした基準 でございます。したがいまして、義務となるのはDPC対象病院ということでござい ます。  ただし、準備病院の段階から、しっかりと適切なデータを提出いただく。また、あ る意味、DPCの準備期間ということもございますので、そういった組織を通じて正 しいしっかりしたデータを出していただくというのが、望ましいことではないかとい うふうに考えております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○木下委員  今度の調査は、非常に大事な調査だろうと思って、DPC制度の在り方や、調整係 数の廃止に伴う新たな機能評価係数等を検討するための詳細なデータ分析を行うとい うことなので、極めて大事なデータになってくるのだろうと思うのですが、どういう ようなパラメータを使うことによって「新たな機能評価係数を検討する」のかという ような、具体的な今までのとおりのデータを出すことで、「新たな機能評価係数を検 討する」ための資料になり得るのかなということで、あえて調整係数に代わるとなる と、どういうことを想定して、どういうパラメータをあえてこのために使うかという のも、ある程度、多分、お考えを持っていらっしゃると思うのですが、その辺のとこ ろを是非伺いたいなということと、それから、今までみたいな分類として、平成15 年度のDPC病院と、今度、平成19年度のDPC準備病院とでは、恐らく病院の機 能からしますと、かなり大きな差が出てくるのではないかなという気がいたしますだ けに、そういうようなカテゴリーで分けていって、果たしてよいのかなと。つまり、 もともとある程度、機能を持って、例えば大学病院などは、最もその機能がたくさん あるという病院なのだろうと思いますが、そうではない両極端のところで、もしそう でないところでは、どういうふうなパラメータで見ていくのかというふうなことを含 めて、この辺のところは今までのような分類だけでいって果たしていいのかなという ことがありますので、その辺のところのお考えがあれば、お聞かせ願いたいと思いま す。 ○西岡分科会長  これに関しては、前回も少し御報告いただいたと思うのですが、松田班のほうでか なり御検討いただいていたように思います。伏見先生のほうから、何か御意見等はご ざいますでしょうか。 ○伏見氏  非常に難しい課題だとは思っておりますけれども、例えば今日お出しした資料の中 での患者構成の指標などは、非常に病院間のばらつきが大きくて、そういう部分での 機能の違いというのが、多分、裏にあるのだと思います。それから、以前の回でお出 ししたように、実際の診療の中身、特に手術をやっているか、それから放射線療法を やっているか、そういう診療の急性期医療としてのふさわしい医療を提供しているか どうか、その患者の割合がどのぐらいあるかという形でも、病院のある程度の機能の 評価というのはできるのではないかということを、今のところ検討している最中でご ざいます。  これにつきましては、引き続き、併せて検討を続けていきたいというふうに、研究 班のほうでは考えております。 ○西岡分科会長  どうぞ、事務局のほうからお願いします。 ○中田補佐  事務局から補足でございますが、後半部分のフリーディスカッションのために資料 を用意したもので、まだ御説明申し上げていなかったのですが、資料D−5でござい ます。4ページ目でございますが、こちらは調整係数の廃止と新たな機能評価係数の 設定といったことで、昨年度の11月21日の基本小委のほうで、まだ素案ですが、 検討した結果がここにございます。  簡単にここだけ御説明申し上げますと、平成20年度改定までは、調整係数は存続 するということでございますが、それ以降につきましては、調整係数を廃止。それに 代わる新たな機能評価係数について検討する。平成20年度以降速やかに、以下の点 を踏まえながら係数の具体案の作成に向けた検討を行う必要があるということでござ います。  一つ目といたしましては、今まであった「望ましい要件」といったものにつきまし ては、要件としてではなく、むしろ、係数として評価することを検討するべきではい ないか。  二つ目でございますが、病院機能の反映することのできる係数などについて、例え ば以下の点を含めて検討すべきではないかといったことで、論点が三つほどございま す。一つ目は、救急、産科、小児科などの、いわゆる社会的に重要であるが、不採算 となりやすい診療科について評価できる係数について検討するべきではないか。  また、二つ目でございますが、救急医療体制の整備など、高度な医療を提供できる 体制を確保していることを評価できる係数について検討するべきではないか。  三つ目でございますが、高度な医療を備えることについては、地域においてその必 要性を踏まえた評価を反映できる係数について検討するべきでないかといったことで、 まだ論点ではございますが、昨年度の中医協のほうでここまで検討がされているとい ったところでございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  どうぞ、邉見先生。 ○邉見氏  先ほどの質問とも関連するのですが、この一番下のアの(1)のDPC算定病床から療 養病棟等へ転棟した場合、データが今までなかったわけですね。外来とかは、ちょっ と研究していたけれども。  これが出るということはよく分かるのですが、先ほどの話で、もう一度戻るという のがありましたね、再転棟。具体的にはどういうふうなものが多いですか。ちょっと 細かい質問になるかも分からないですが、私はイメージがわかないものですから、先 ほどもお聞きしたのですけれども。 ○中田補佐  再転棟につきましては、私の理解では、当然、一般病棟から療養病棟ということで、 ある程度病態が落ち着いたといったような状況かと思うのですが、例えば肺炎等の急 性増悪で、やはり急性期の治療が必要になったといったようなことで、また一般病棟 に戻ってきたと。 ○邉見氏  そうすると、ほぼ外来の退院と同じような状態の割合ぐらいですか。 ○中田補佐  一般病棟から退院する割合と一般病棟から療養病棟に行く割合が、同じぐらいかと いうような御質問でしょうか。 ○邉見氏  それは外来が多いと思いますが、戻ってくる率、DPCへの再入院ですね。そこは、 いったん退院していなければ、再入院とは言わないのかも分かりませんけれども、D PCから一般病棟というか、出ていて、もう一度戻ってくる。 ○西岡分科会長  これは、再入院の調査のD−2の36ページの図のところに出されているのは、大 体1%というふうな形ですね。 ○邉見氏  そうすると、少ないですね。 ○西岡分科会長  少ないですね。はい。 ○邉見氏  分かりました。ありがとうございました。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。  どうぞ、酒巻委員。 ○酒巻委員  別の観点でといいますか、決して別ではないのですけれども、参考資料1として配 られているものの200ページ前後辺りを見ますと、今まで「望ましい要件」として、 その割合と病床数という形で散布図が作られていますけれども、これを見ますと、い わゆる病床に従って、通常はいろいろな割合が増えているという結果なのですけれど も、ある部分から、つまり、左上のほうに伸びている病院群があるわけですよね。お 分かりになるでしょうか、228ページ辺りですが。  例えば、これは「全身麻酔あり」ですけれども、これを見ますと、前のほうの資料 からずっと比べていきますと、ある一定の、つまり非常に固まりの大きい、流星のよ うにばあっと上がっている部分と、左上のほうに固まって三角形に分布する、かなり 特殊な形態をするというのと二つあると思うのですね。つまり、単純にはなかなかや りにくい。こういう左の上のほうにある病院の部分を、どういうふうに評価していく かというのが、必ず問題になるのではないかというふうに思うのですけれども、そう いう観点、つまり、病床が少なくても、かなりいろいろな極めて特殊なことをやって いく病院があって、その病院をどういうふうに評価していくのかというのが、非常に 重要な観点になるのではないかなと私は思うのですけれども。なかなか説明がうまく できなくて申しわけないのですけれども、この絵を見ると、どうしてもこの左上の三 角の部分にいる病院というのをどうやって評価するかが、最も大きな問題になるだろ うというふうに思うわけです。 ○西岡分科会長  事務局のほうからどうぞ。 ○中田補佐  こういった評価の方法については、また松田研究班のほうの意見もいただきたいと 思うのですが、恐らく左の上のほうに突出しているのは、病床数が少なく手術が多い ということであれば、例えば脳外科とかの、いわゆる専門的な病院ではないかと。  ただ、そういったものは、単科であろうとも、非常に専門的、高度な医療が行われ ている一方、例えばいろいろな患者さんを満遍なく見ることができる病院等、いろい ろ今回、DPC病院に入ってきておりますので、それをどうやって評価していくのか といったような御指摘かと思います。正に、そこは非常に難しい評価になってくるの かなと思いますので、松田研究班のほうで何か検討されていれば、ちょっと御意見い ただきたいと思います。 ○西岡分科会長  伏見氏、お願いします。 ○伏見氏  恐らく、今、御指摘いただいたように、小規模の高機能病院がここに入ってくるの だと思いますけれども、この部分を取り出しての検討というのは、まだやってはいな いのですけれども、少なくとも処置の内容、手術の内容から見ると、恐らく機能は高 いほうに分類されると思いますし、それから先ほどの患者構成の指標などで分析いた しても、恐らくこういう手術の難易度の高いような疾患を多く見ている病院というこ とになりますので、病院の規模を分けずに同じような一律の基準で評価しても、恐ら く高機能のほうに評価されるのではないかというふうには予想はしております。 ○池上委員  調整係数についての議論に入る前に、一つ申し上げたいことは、平成20年度、調査 するに当たって、10月以降、レセプトに診療行為の内容が分かるように表示すること になりますので、それの政策効果を見る上で、調査対象は7月から12月の退院患者と なっていますけれども、7月から9月までと10月から12月までとを分けて見て、そ れが行ったことによって何らかの変化があったかどうか。もちろん、季節変動のことは、 また分析しなければいけないでしょうけれども、がんなどはそんなにないと思いますの で、せっかくちょうど導入する10月分によって二分されるわけですから、分析するこ とが可能であればなさってみて、また、どういう具体的な表示の仕方というのは、今後、 まだ詰めるようでございますけれども、それを行う上でも、この調査設計の段階で御検 討いただければと思います。  調整係数については、また改めて発言させていただきたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  一応、この平成20年度におけるDPCに関する調査の内容でございますが、これ に関しましては事務局からの御説明どおりでよろしいでしょうか。 ○中田補佐  いろいろ貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。今回の資料の2 ページ目のウの調査対象の医療機関でございますが、こちらにつきましては、若干、 基準等を見直しておるところなのですが、これについて御意見があれば、是非伺いた いと思っております。 ○西岡分科会長  このウのところですね。 ○中田補佐  はい。2ページ目のウの調査対象の医療機関につきまして、今回、見直ししており ますので、そこについて御意見があれば、賜りたいなと思っております。 ○西岡分科会長  これに関しましては、いかがでございましょうか。更に調査対象として、平成20 年度も加わっていただくということになるわけですが、この点に関しまして、特に問 題はないでしょうか。 ○酒巻委員  何か基準を与えると、ハードルを高くすることになりますけれども。 ○西岡分科会長  こういった形で調査協力病院を増加させていくということに関して御異議ありませ んか。あるいは、更にもう少し厳格な敷居を設けたほうがよいというご意見がありま すか。 ○熊本委員  要件というか、基準はこれで、私はよろしいかと思うのですけれども、ただ、名称 として「調査協力病院」となるのか、例えば平成20年度DPC準備病院になるのか では、ニュアンスがちょっと違うような気もしたものですから、あえて名称的にはど うなるのだろうかと、ちょっと思いました。 ○西岡分科会長  調査協力をいただくということは、今までの慣例となっているように準備病院に入 るということになるのでしょうか。 ○中田補佐  ここの取扱いにつきましては、今後、中医協のほうでまた御議論いただきまして、 位置付けについても御検討していただき、それを踏まえての名称になっていくのかな というふうに思っております。 ○西岡分科会長  少しあいまいになりましたが、よろしいでしょうか。更に範囲を広げて調査を続行 すると。これは、非常に貴重なデータでございますので、そういう形で蓄積させてい くということで。 ○伊藤委員  このウの基準を満たす病院というのは、ざっと見て幾つぐらいになるのでしょうか。 ○中田補佐  すみません。今の段階では、把握しておりません。その理由といたしましては、特 に(2)の「同等の」とか、「適切に参加できる」とか、こういった基準になっておりま すので、今の我々の手持ちのデータで、ちょっと正確にははじき出せないといったと ころでございます。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。何となく御了解いただけたような形なので、事務局、よろし いでしょうか。  それでは、この「平成20年度におけるDPCに関する調査(案)について」につ きましても、基本問題症委員会のほうに、私のほうから報告させていただくというこ とにさせていただきたいと思います。もし、更に後ほど御意見がございますようでし たら、事務局のほうにお申し出いただけたらと思っております。  それから、ここから後はフリーディスカッションに入るのですが、それに移ります 前に、「平成20年度のDPC対象病院の進捗状況等について」、事務局より御説明 をお願いいたします。 ○中田補佐  平成20年度DPC対象病院の進捗状況及び昨年度の12月以降、いろいろ中医協 のほうで議論いただきまして、最終的にDPCの対象病院、基準等の御報告はまだで ございましたので、それも併せて、今回、御報告させていただきたいと思っておりま す。  まず、資料D−4でございます。こちらは、平成20年度DPC対象病院の進捗状 況等についてでございます。  まず、中医協答申後の経緯でございますが、今回、DPC対象病院となる希望の有 無及び基準の適合状況について確認いたしまして、平成20年度にDPCに参加を希 望する病院として、今回は358病院といったような形で上がってまいりました。そ の358病院を対象に、2月25日に説明会を開催させていただいた次第でございま す。  今回は、基準を満たしたこの358病院に対しまして、参加希望月を4月と7月と いう二月に、DPCに参加していただくといったような取り決めで進めておるところ でございます。  平成20年度のDPC対象病院数でございますが、4月に新規にもう入られた医療 機関といたしましては、174病院。したがいまして、4月1日現在で、DPCとし て運用されている病院が534病院になっているといったようなところでございます。  7月に開始予定の病院は、現在のところ184病院といったようなことでございま して、これがそのまま入りますと、合計で718病院が、平成20年度のDPC対象 病院数の総数となってくるところでございます。  参考でございますが、平成18年度準備病院のうち不参加であった病院につきまし ては13病院でございます。こちらの病院につきましては、今年度以降も引き続き準 備病院として調査に参加していただくといったようなことでございます。  2ページ目でございます。こちらはDPCの対象病院及び平成19年度が準備病院 の病床規模等につきましてまとめたものでございます。  こちらにつきましては、一番上のDPC病院数といたしまして、平成18年度まで は82病院、62病院、216病院の360病院、平成20年度が358病院、合計 して718病院になってくるといったようなことでございます。平成19年度準備病 院は、現在のところ710、こちらは平成18年度準備病院であったのですが、平成 20年度の参加に希望されなかったところは、平成19年度準備病院として加えたデ ータとして表示させていただいております。全体としては、準備病院を合わせまして 約1,400病院が、DPC対象病院・準備病院となっているところでございます。  また、病院数の割合、病床規模区分別の割合でございますが、特に平成20年度D PC対象病院につきましては、特に500床未満の病院数の割合が、平成15、16、 18年度と比べて多いような傾向がございます。  また、DPCの算定病床数につきましても、DPCの平成20年度対象病院を含め まして約29万床で、平成19年度の準備病院が、現在、約17万床でございますの で、対象病院、準備病院を合わせまして、総数で約46万床となります。  病床数につきましても、平成20年度DPC対象病院は、平成15、16、18年 度対象病院に比べまして、やはり500床未満の病院の割合が、多いような傾向があ るといったようなところでございます。  3ページ目以降は、DPC対象病院の調整係数の一覧でございますので、御覧いた だければと思います。  特に、6ページ目以降、4月追加分の平成20年度DPC対象病院と8ページ目以 降が、7月追加予定分のDPC対象病院の調整係数の一覧を、参考資料として付けさ せていただいております。  資料D−5を、引き続き、御説明させていただきたいと思います。こちらは、DP C対象病院に関する考え方の経緯ということでございまして、この後、新たな機能係 数等で、いろいろフリーディスカッションしていただく際の材料としていただければ ということで取りまとめております。これは、昨年度の分科会のほうにも既に提出さ せていただいた資料ですので、簡単に御説明させていただきたいと思います。  平成15年度の改定時につきましては、御存じのとおり、特定機能病院82病院が 参加しております。  16年度改定時には、(データ/病床)比という考え方、データの質という考え方 等を踏まえまして、合計144病院が参加しているという経緯でございます。  2ページ目でございますが、平成18年度改定時につきましては、DPC対象病院 の基準といたしましては、対象病院となる希望がある病院でありまして、その基準を 満たす病院ということで、基準といたしましては、看護配置が10対1以上であるこ と。満たしていない病院は、平成20年度までに満たす計画を立てること。診療録管 理体制、又は、同等の体制であること。標準レセ電算マスターに対応した7月から1 2月までの調査に適切に参加できることといった基準でございます。  それに加えまして、五つの望ましい要件として、特定集中治療室管理料、救命救急 入院料、病理診断料、麻酔管理料、画像診断管理料を算定しているといったものがご ざいました。  それらを踏まえまして、平成18年度におけるDPC対象病院は、合計で360病 院参加しているところでございました。  3ページ目につきましては、平成20年度改定時、昨年度の検討の経緯でございま す。  こちらにつきましては、平成18年度基準の取扱いにつきましては、平成20年度 以降のDPC対象病院も平成18年度基準は満たさなければならないということと、 一定期間のデータの提出として、2年間、合計で10か月分のデータを提出いただく と。  また、適切なデータ提出として、提出期限、データの正確性を確保していること。 既にDPC対象病院となっている医療機関に対しても、データの質に重大な疑問があ った場合には、分科会でその原因を調査するといったことがございます。  また、(データ/病床)比につきましては、平成16年度に要件としていました3. 5相当である(データ/病床)比=8.75といったような基準を設けております。  また、昨年度の中医協でも、急性期入院医療の中でもどういった医療機関をDPC の対象とするのか検討いたしまして、結論といたしましては、軽症の急性期入院医療 も含めてDPC対象病院とする。急性期とは、患者の病態が不安定な状態から、治療 によりある程度安定した状態に至るまでというような合意がされているところでござ います。  既にDPC対象病院になっている病院につきましては、平成20年度、DPC対象 病院の基準のうち、新たに設けられた事項、例えば(データ/病床)比などにつきま しては、一定の経過措置を設けた上で、その事項を満たすことといったことで経過措 置を設けたところでございます。  そういった基準を踏まえまして、平成20年度にDPC対象病院になった病院は、 合計すると718病院が参加することとなってございます。  5番目につきましては、調整係数の廃止と新たな機能評価係数の設定の部分の議論 のところでございまして、こちらは先ほど御説明申し上げましたので、省略させてい ただきたいと思います。  続きまして、資料D−6−1でございます。こちらは、平成20年2月13日、中 医協総会の資料を抜粋したものでございます。  昨年度、分科会で御検討いただいて以降、中医協の基本小委及び総会のほうでいろ いろ御議論をいただきまして、最終的にこのようなに取りまとめられておるところで ございます。  重複する部分は省かせていただきまして、基本的な考え方につきましては、先ほど 申し上げたとおり、平成18年度基準や新たな基準を満たした病院について対象とし ていくといったことがまとめられております。  また、第2の具体的内容につきましては、先ほど申し上げたとおり、8.75とい う基準というものを満たしていただくというものを加える。あとは、適正なデータの 提出と、8.75を加える。平成20年度のDPC対象病院の基準につきましては、 平成18年度の基準を満たしているといったことも設けております。  (3)は平成19年度のDPC準備病院につきましては、平成21年度にDPCの 対象とすべきか検討するというふうになっておりますが、その基準は、その時点にお けるDPC対象病院に運用される基準と同じものとするといったようなことで取りま とめられております。  2番目の算定ルールと診断群分類の見直しにつきましては、後ほど、もうちょっと 詳細な資料がありますので、ここは簡単な説明として、3日以内の再入院の廃止と、 診療報酬明細のときに、包括も分かるものを加える。分類の見直しにつきましても、 精緻化いたしまして、MDC16、17、18と分割しております。  また、レジメン別の分岐を行っておりまして、類似の分岐を簡素化しております。  次のページでございますが、高額薬剤につきましては、いろいろ御意見があるので すが、学会などで標準的な投与日数が定められているものにつきましては、その分岐 を試行的に導入しております。  また、短期入院が相当するようなものにつきましては、より早期の部分の評価を高 くするものを適用しております。  3番目の調整係数につきましては、調整係数の算出につきましては、2年間(10 か月分)のデータを用いることとしております。  平成20年度の改定率、こちらはDPCの包括部分についても適切に反映するとい うことでございまして、DPCの包括部分に係る収入が全体改定率のマイナス0.8 2%になるよう、調整係数を設定するといったことでございます。ただし、今回、1 0対1入院基本料、こちらは具体的には31点増点しております。また、特定機能病 院や専門病院における14日以内の加算、こちらも具体的には60点増加しておりま すが、これらの見直しに伴う係数につきましては、適切に反映されるように図ること とするといったことで、今回、対応しております。  4番目の平成20年度以降のDPC制度運用の留意事項でございます。  こちらにつきまして、平成19年度末で、もう既にDPC対象病院となっている病 院につきましては、もう既に平成18年度から導入されている基準、例えば看護配置 10対1の基準等ですが、そういったものについて満たせない場合については、DP C対象病院としない。  同じく、平成19年度末で既にDPCの対象となっている病院につきまして、平成 20年度から新たに設けられた基準、例えば(データ/病床)比=8.75とか、そ うした基準を満たすことができない場合につきましては、平成20年度はその基準を 適用しないというような経過措置を設けたということでございます。  また、(3)でございますが、平成20年度以降に看護配置基準10対1を満たせ なくなった病院につきましては、再び要件を満たすことができるか判断するために3 か月間の猶予期間を設けまして、3か月を超えても要件を満たせない場合はDPC対 象病院から除外するといったことで、今回、ここで新たにDPC対象病院を除外する 規定を明記したところでございます。  (4)でございますが、DPC対象病院から除外された場合につきましては、医療 機関の希望に応じまして、引き続きDPC準備病院として調査に参加し、次回のDP C対象病院拡大の際に、基準を満たした場合には再度DPC対象病院とすることがで きるというような規定を設けております。  また、(5)は今後の状況でございますが、在り方、新たな機能係数について速や かに検討するといったことでまとめられておるところでございます。  続きまして、資料D−6−2でございます。こちらは、より詳細に平成20年度の 診断群分類の見直しがどのようになったのかといったことでございます。これは、昨 年度の分科会に、平成19年度の暫定データで出させていただいたものがありました ので、今回は確定データで出させていただいたという趣旨で、再度、提出させていた だいております。  したがいまして、こちらも簡単に御説明申し上げたいと思います。  1番目の1)でございますが、MDCの精緻化につきましては、今までMDC16 がこのようにあったところを、MDC16外傷・熱傷・中毒、MDC17精神疾患、 MDC18その他といったことで、分類数は235・12・12に精緻化を行ってお ります。  2)でございますが、こちらは化学療法による分岐の見直しでございます。  こちらにつきましては、先ほど申し上げましたレジメン別の分岐といったようなも のを踏まえまして、今回、関係学会等が認める主要な標準レジメンで、点数のばらつ きが大きい短期間の入院に関して点数の違いが明らかなレジメンについては、診断群 分類を見直しております。具体的には、ここにございますとおり、肺の悪性腫瘍、大 腸の悪性腫瘍、直腸肛門の悪性腫瘍、乳房の悪性腫瘍ということでございまして、2 ページ目以降、具体的にどういったところが変わったのか、下線及び丸で囲ってお示 しさせていただいております。  5ページ目に飛ばさせていただきたいと思います。  こちらは、3)の部位等の違いによる診断群分類の整理ということで、こちらも例 えば化膿性関節炎のようなものにつきまして、それぞれ部位ごとで異なったツリーで あったところを、こういった形で診断群分類の簡素化を行っているといったようなこ とでございます。こちらは、見直し前がここにございまして、6ページ目以降、見直 し後、このような形で簡素化したといったようなことをお示しさせていただいており ます。  4)でございますが、薬剤の投与期間による分岐の設定です。  今回は、IFN−βの7日間以上投与した場合という一例で実施しておりますが、 慢性肝炎ではIFN−βの投与日数によりまして、コストや在院日数が異なっている といった指摘がございまして、いろいろ学会と御相談させていただいた上、7日以上 投与した場合について、新たな分岐を設定しております。ここでは、IFN−βを7 日間以上投与した場合には、この丸で示すとおり、こういった分岐になりまして、今 回は診断群分類の都合上、すべて出来高ツリーになったといったようなことでござい ます。  次の7ページ目でございます。  5)副傷病の見直しにつきましては、平成18年度改定と同様に、一定の件数があ りまして、その在院日数を延長するような副傷病を抽出しまして、臨床的に意味があ るかどうか、各学会の先生にお聞きしまして副傷病を確定し、選択しております。  それらを踏まえまして、2.検討の結果ということでございますが、平成18年度 の分類では、疾患数は516、診断群分類数が2,347、包括対象分類数としては 1,438で包括率は61.3%でございましたが、今回、平成20年改定後は、疾 患数が506、診断群分類数が2,451、包括対象分類数は1,572で包括率は 64.1%でした。疾患数は減少しておりますが、診断群分類数は増えておりまして、 包括分類数は平成18年度と比べまして、包括率は上がったといったような状況でご ざいます。  3.の今後の課題につきましては、昨年度、分科会でも御指摘いただいたところを、 そのまま入れさせていただきまして、1)副傷病における入院時併存症と入院後合併 症の区別を検討する必要がある。2)につきましては、DPCにおける高額薬剤の取 扱いについて、中・長期的な観点から検討していく必要がある。また、今回のレジメ ン別分岐を導入しておりますが、今後もこの仕組みを継続するのか、また新たな仕組 みを構築するのか、今後、検討が必要であるといったようなことでございます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。今の御説明を通しまして、何か御質問等ございますでしょ うか。 ○小山委員  調整係数について、ちょっとお聞きしたいのですけれども、この資料D−5の最後の 4ページ目のところの裏側で、これは平成19年11月21日の日付で出ておりますが、 ここでははっきり調整係数を廃止するというふうに書いてあるのです。次期改定という のは、平成22年度の改定だと思うのですけれども、平成22年度には調整係数をなく すという認識でよろしいのでしょうか。今までは、平成20年度までは存続する、それ 以降は検討するというようなお話で、ずっと来ていたと思うのです。ここへ来て、それ 以降については廃止するという言い方は、平成22年度にはもう付けないというふうに 考えてよろしいのですか。それとも、廃止を検討するという言い方なのか。非常に微妙 なところなのですけれども、そこら辺はいかがなのでしょうか。 ○西岡分科会長  これは、事務局のほうで御説明をお願いできますか。 ○中田補佐  こちらにつきましては、従前からこういった資料は出させていただいているのですが、 20年度以降廃止し、それに代わる機能係数を検討するということで、その廃止の時期 等も含めての検討になってくるといったことでございます。 ○小山委員  では、しつこいようで申しわけございませんが、非常に大事な問題なので。  それは、平成22年度以降にゼロにするという考えではないと考えてよろしいのです か。もしかすると、何らかの形で残る可能性もあるということか、それとも平成22年 度からはなくなるという考え方で、これからの1年半、約2年かけて、調整係数を全部 機能係数に切りかえていかなければならないというふうに考えてよろしいのでしょうか。  この書き方が、読み方によると、平成22年、平成24年の改定のとき、恐らくだん だんに改定せざるを得ないと思うのですよ。だから、この文章の見方だと、平成22年 度で完全に廃止というふうには、今までは言っていませんよね。これだと、何かそんな ふうにとれてしまうのですけれども、その辺はどうですか。 ○中田補佐  平成22年度にすべて廃止するのかということは、現在、まだ明言しておりませんの で、これからの検討次第かと思います。 ○小山委員  分かりました。  それに関して、もう一つお話を聞きたいのは、結局、こういう形でもって、いわゆる 調整係数は、表現はちょっとあれなのですけれども、あめ玉というか、これがあるから、 みんな参加しているわけですよね。これがなくなると、「おれ、抜けたよ」という抜け 駆けするところが出てくると思うのですよね。  だから、この前のときの議論もあったのですけれども、そろそろこのDPCから脱退 する要件というものを、やはり決めていく必要があるのかなと。ただちょっとの間10 対1を切れば、ポンと抜けられるから抜けておいて、また元に戻すなどということもあ り得ると思うのですよね。だから、今までは何しろ募集することに、非常に今、精力を 費やしてきたのですけれども、ここから脱退するというのですか、これから抜け出るル ールというようなものをちゃんと決めておかないと、勝手な各医療機関の自由意思にお いて入ったり出たりするというのは、このDPCそのものの根幹を揺るがすような形に なると思うので、何らかの入ったり出たりするところのルールを、今後、是非決めてい きたい、決めていただく必要があるのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。 ○中田補佐  おっしゃるとおりでございまして、そういった考え方も、中医協の基本小委、総会等 ではいただいているところでございますので、今後、DPCのそもそもの在り方論とい ったものを検討するに併せて、こういったことも含めて検討していくというところだと 思います。 ○斎藤委員  今、この評価係数のことが出ておりましたので、私たちが感じているところは、医 療機関別調整係数というのは一種の過渡的措置であって、激変緩和措置であると。D PCが本当の制度として機能するのは、この評価係数がどのように作られ、どのよう に機能するかで、これからが正念場かなというふうに思うのですが、それに関連して、 松田班などでも検討しておられるというので、伏見先生の御意見を伺いたいのですが、 評価係数というのは、DPC参入条件というのは別にありますよね。例えば、10対 1であるとか、あるいは今回でいえば、データ数割る病床数が8.幾つ以上というよ うな必須要件のようなものがあるわけですが、評価係数というのは必須要件とは次元 を異にしたものなのか、それとも、その延長線上にあり得るものなのかですね。  次元を異にしたというのは、例えば地域における役割を評価するという中医協での 御指摘は、全く次元を異にした視点ですよね。だけれども、必須条件を十分には満た し切れないものについて、その評価係数を低くしていくとか、そういう今までの参入 条件だったものが、評価係数の値として落ち込んでくる可能性があるのか。それとも、 評価係数というのは、参入条件とは全く次元を別にしたものになるのか。その辺は、 DPCの在り方の根本にかかわる問題なので、是非その哲学を、松田班として教えて もらいたいのですが。 ○伏見氏  松田班として、明確にまだ結論は出していない段階で、余り正確な発言ではないか もしれませんけれども、基本的に参入要件につきましては、ある程度、今のところは 別の基準ということで、どちらかというと広く参入の門戸を広げるという状況になっ ております。あと、それに代わりまして、以前、「望ましい要件」等いろいろあった ものが外されたわけですけれども、そういう部分も、やはり医療機関の機能評価係数 として変えていこうという形になってきておりますので、流れとしては、どちらかと いうと別次元という形で評価していくのではないかというふうに考えております。 ○斎藤委員  ちょっと比喩みたいで悪いのですが、例えば医師の国家試験で、必須問題と一般問 題とがあるわけですよね。だから、一般問題の成績というのが、その人のランクを決 めていくことになって、必須は取るかどうかというようなところになるので、そうい うちょっと別の次元にある指標になりそうだというイメージでよろしいのでしょうか。 ○伏見氏  はい。そういう意味では、参入要件を決定するというものとは、やはりかなり違っ た形になるのではないかと思います。 ○斎藤委員  ありがとうございました。 ○佐藤委員  今のに関連した問題なのですが、ここで高度な医療という中で、例えば救急医療とい うような書き方をしていますけれども、多分、大学病院クラスは平成15年度以降で、 大分、高度の定義とか、いろいろな方向性も違うと思うので、どういうイメージでこの 高度な医療を評価するというようなことか、もしありましたらお願いします。 ○中田補佐  これは、非常に申し上げるのが難しいところがあるのですが、例えば昨年度のDPC の分科会の議論では、手術件数とか全身麻酔件数とか、化学療法・放射線療法などの具 体的指標を使って、いろいろ検討したという経緯がございます。  ただ、それらがすなわち病院全体としての高度な医療を本当に評価しているのか、か なり外科的なものに評価が引っ張られているのではないかという意見もある一方、外科 的なことを基礎とすれば、病院全体が反映できるのではないかというような御意見もあ り、なかなかそこは結論付けが非常に難しかったというような経緯がございました。結 論を申しますと、「高度な医療」とここには文言としてありますが、では、これをどう いった指標にしようかといったことについては、現段階で具体的な指標等のイメージと いうようなものは、まだ持ち合わせていないというような状況でございます。 ○佐藤委員  そうすると、我々も地域のほうなのですが、例えば地域という範囲というものも、い ろいろありますよね。今、地域連携パスを含めて、いろいろなことが高度だと考える場 合もあれば、地域によっていろいろな体制、ある大学病院が全部持たなくてはいけない という面でどうだとか、地域性についてもいろいろ概念が違うようなこともあるので、 その辺についての地域性というのは、どういう定義なのですか。 ○中田補佐  正に、おっしゃるとおりでございまして、例えば東京のような大都市圏ではないよう なところでは、例えばいわゆる中小な病院でも、非常に高度な総合的な医療を行ったり しているものがある一方、例えば首都圏では、300床クラスの中小な病院では慢性的 な医療を行っているといったようなことがあり、例えば病院の外形の規模だけで見ると、 なかなか高度な医療を評価しにくいのではないかといったようなこともございます。  ただ、地域においては、その地域それぞれに応じた医療計画というものを立てまして、 それぞれ医療連携といったようなものが、今後、進んでいくといったようなこともあり 得るかと思いますので、逆にそういったものを反映する可能性があるのではないのかと いったことで、こういった議論がされたものというふうに理解しております。 ○池上委員  さっき、機能調整係数について申し上げたいということを申し上げましたので、それ について私の個人的な考えを申しますと、D−5の4ページにあります「救急、産科、 小児科などの、いわゆる社会的に重要であるが、不採算となりやすい診療科について評 価できる係数について検討するべきではないか」というふうに記されておりますけれど も、それは換言しますと、今のこれらの診療科が扱うDPC分類の基本係数が低すぎる から不採算になっているのであって、今のDPCの係数というのは、コスト調査に基づ いて付けられたものではなくて、出来高の診療報酬の平均値が係数になっているわけで すね。  したがって、これを認めるということは、今のDPC分類の係数そのものが非採算を 容認した上で、それに姑息的に別な機能評価を行うということを意味するのではないか と思います。  ですから、それを行うというのは、私は矛盾していると思いますので、あるいは高度 医療についても、高度医療が不採算なら、高度医療に相当するDPC分類の係数そのも のを、点数ではなくコストベースに合わせて訂正するべきであって、そうでないとダブ ルカウントになるか、あるいは、ある域値を超えた段階で、これは機能が高いというも のになってしまう。そのいずれかの弊害が生じると思いますので、私個人としては、こ の考え方に反対です。 ○西岡分科会長  事務局のほうから、何か御意見ございますか。これは、基本問題小委員会のほうで出 されたものですから、基本問題小委員会に対する反対意見というふうな形にもなってし まうのですが。 ○中田補佐  こちらは、「例えば以下の点を含めて検討すべき」と書いていますので、それらの観 点も含めて、正に恐らくDPCの分科会で検討していかなければいけない事項だと思い ますので、ただいまいただきました意見を踏まえまして、またこの場で検討していただ くべきものと思っております。 ○小山委員  私は、ちょっと違う考え方を持っていまして、結局、このDPCの機能係数のすごく よいところは、確かに個々の点数の評価を上げていただくことは非常に重要なのですけ れども、個々の点数を上げても、救急患者が来なければ、一切コストとして反映されな いわけですよね。でも、反映されないものの準備を、救急とか小児とか産科というのは、 病院とすればいっぱいしているわけですよね。だから、ここを評価していただくのがこ の機能評価であって、それを全体で分担していただく形でもって、病院にとっては全体 の収入がバランスをとれるというような考え方ですから、もちろん個々で上げていただ くことに反対するものではありませんけれども、それよりも更に、そういうそこではど うしても算定できない部分を、機能係数という形でもって算定していただいているとこ ろなので、これは非常に重要な意味があると思いますので、ただ個々の単価だけを上げ ればよいという問題ではないと私は思いますので、機能係数はこういう形で是非充実さ せていただきたいというのが私の意見です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○山口(俊)委員  私は、池上先生の意見に全く賛成です。  というのは、池上先生がおっしゃったように、これは「不採算となりやすい」とい う言葉で逃げていますけれども、明らかに評価がおかしいということを認めているわ けです。そこの不採算となりやすいところの評価をまず直さないと、いわゆる今の診 療報酬の、加算、加算で継ぎはぎをして取り繕うことで、今、世の中で問題になって いるものだけ何とかしようという姿勢が明らかに見えているように思います。今、話 題になっているものも重要ですが、そのほかに重要なものがたくさん隠れているので、 私は基本的に、やはりDPC全体の単価を上げることが必要だと思います。評価をち ゃんとする、そのためにも評価の根拠となる調査をやらないと、この制度はよくなら ないと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかに御意見は。これは、こういった問題を、これから順次、 ディスカッションを重ねていくということになるかと思います。 ○医療課長  要するに、採算がとれるような点数を設定したら、逆に言うと、機能評価係数は要 らないわけですよね。それが十分でないから機能評価係数を作っていこうという話に なっているのだと思うのです。だから、何でこの機能評価係数を作らなければいけな いかというところを、今日でなくてよいのですけれども、もう1回、議論していただ きたいのです。  そのときに、体制の評価ということをよく言われるのですけれども、体制をつくっ たときに、その体制を構築する人は、そのときに何をしているのか。救急患者が来な いときは、待機しているだけなのか。それは、多分、そういうところまでも純粋に見 ることはできないのでしょう。その人は救急の患者さんのために待機もしているけれ ども、ほかの仕事もしているのであれば、ほかでその点数が付いているはずです。だ から、その体制づくりというのを、どこまでゆったりとした形で見るかという議論も、 また併せてやっていただかないと、とりあえず体制だけ組んでやっていれば係数が高 くなるというわけには、多分いかないのではないかなというふうに思うのですけれど も。 ○池上委員  コスト分科会では、部門別の収支を行っていまして、診療科別の収支までは出たので すけれども、今後は救急部門の部門としての収支を把握することが、課題になっていく と思います。  その場合に、救急部門としての収支が評価できれば、どの程度の稼働状況に対して、 あるいはどの程度の体制に対して、どの程度の収支になるかということが明らかになり まして、ただ、それは診療報酬で対応するか、あるいは政策医療として、今、自治体等 からの助成金が参っていますので、そういう対応も可能であると。  ただ、その問題とこの問題とは別で、先ほどの課長の御説明を確認したいのですけれ ども、恐縮ですが、不採算は今のままで肯定しなければいけないから、機能別係数を導 入しなければいけないという基本的なお考えなのでしょうか。 ○西岡分科会長  かなり答えにくい御質問だと思うのですが。 ○医療課長  それはここの分科会で考えていただいたらよいことだと思うのですけれども、一つ の考え方として、点数のほうで赤字にならないだけの点数が付いていれば、そのため だけに調整係数を作る必要は、多分ないのだろうと思います。  ただ、前の議論の中で、例えば今、5条件がありますよね。「望ましい条件」とし た5つの要件をやっているところというのは、直接、救急をやるとか何かをやるとい うこと以外に、そういうことをとっている全体として、何かもう少し質の向上のため の体制があるのではないか。かなり漠然とした話ですが、そういうものがあれば、何 かそういうものに対して係数を付けたらどうかと。要するに、一つのシンボルとして の項目があって、その裏に隠れた何かよく分からないけれども、そういうものを付け ていくという考えも、また一方では成り立つわけですね。だから、一つ一つのことを やっている行為そのものに着目するのか、あるいはもっと総体的に、表現は難しいで すけれども、やはり少し質が違うところを、何かシンボル的なもので代表して、それ をピックアップして、それに対して何か適当な係数を作るという方法もあるのでしょ うし、そこら辺はいろいろと皆さん、専門家の先生に議論していただけたらと思うの ですけれども。 ○酒巻委員  ここの不採算の部分が、今、問題になっているのですけれども、もし不採算の部分 が文言として載っていなければ、私としては、これは賛成したいと思います。ここに 挙がっているキーワードを私なりに考えてみますと、「社会の要請」というのが一つ ですね。それから「救急」、「高度な医療」、そして「地域」という四つのキーワー ドが、これは含まれていると思うのですけれども、問題は、これを一つ一つ勘定して いくと、かなり重複する可能性があるのですね。  例えば、「社会の要請」というものが、もしかすると「救急」であったり「地域」 であったりするということは十分あり得るわけでして、あるいは「高度」がどれかに かぶさってくるということも、当然あるだろうと。そこを、どういうふうにベクトル として分けて、正当な評価をしていくことができるのかというのは、私は答えを言う わけではありませんけれども、ベクトルの方角としてそういう方角をやって重複しな いようにしていくというのが、非常に重要なのではないかなというふうに思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○邉見氏  池上先生とか山口俊晴先生の意見を聞いていると、「なるほど」と思うのですね。 そのとおりだと思うのですけれども、やはり小山先生とか酒巻先生のおっしゃるよう に、私は中医協へ出たときに、今後の医療の評価は「物から技術へ、技術からシステ ムへ」と申し上げたのです。やはり、チーム医療とかシステムがこれから評価されな いと、来なくても、安全保障みたいに自衛隊はおるわけですね。イージス艦、味方を 撃ったりしますけれども、1回も戦っていなくても―これは議事録から外してくれ たらいいですけれども― 一つも戦っていないのですよ。それでも、ちゃんとお金 はたくさん入っているわけですね。だから、そういうシステムを作っているというの が社会の安全保障であって、医療はこれが一番大事だと、私は思っております。  特に自治体病院は、私はよく知っておりますけれども、もう地方分権という名の下 に、病院への繰入金がほとんどこれからなくなる状態ですから、こういうもので評価 していないと、田舎の救急とか産科とかは、もうできないと思うのですね。地方切り 捨てになってしまうのではないかと思っています。これは、私は、理論的にはおかし いかも分かりませんけれども、心情的には賛成の方向で、是非お願いしたいと思いま す。 ○山口(俊)委員  ちょっと誤解があるようなので訂正しますが、私は、こういう機能係数を作るべき ではないと言っているわけではありません。私の理解する機能係数というのは、例え ば教育を、卒前・卒後を含めて非常に一生懸命やっている病院、それから地域の格差 というのは明らかにあって、土地代が一つ違いますから、そういうものを評価する機 能係数を作るのは、非常に重要なことだと思いますけれども、基本的なラインという ものをきちんとしないまま採算の取れない部門があって当然のようなことを堂々と書 かれるようではまずいと私は思います。 ○斎藤委員  池上先生、山口俊晴先生の言われるのは、正に一面の正論なのですよね。  だけれども、例えば手術料にしたって、人件費とか、ましてや手術室の内装の問題 とか、そういうものは、実際問題としては反映されていないで決まっているわけでし ょう。だから、病院の半分が赤字になってしまう。そういう現実を、ある程度認めな いと、診療報酬の点数が、そういう施設整備とか人件費その他一切含めても、ペイす るような構造になっていれば別だけれども、それは医療費の総額が非常に増えた段階 で出てくる議論で、現実的には、やはりある程度こういう緩和的措置というものを、 随所に散りばめざるを得ないのかなと。不採算というものをアプリオリに認めること は、かなり抵抗感があるけれども、現実には不採算があるからこそ、赤字病院が地域 で、我々の調査でも40%ぐらいあるわけなので、その現実は踏まえざるを得ないの ではないかなという気はしますね。 ○西岡分科会長  この議論は非常に重要な案件でございます。これは、これからのこの分科会において、 重ねて議論を詰めていきたいと思います。時間になってしまいましたので、本日の議論 は以上とさせていただきたいと思います。  事務局のほうから、何かお知らせを。 ○中田補佐  ありがとうございました。  それでは、本日、御了承いただきました「平成19年度「DPC導入の影響評価に関 する調査結果および評価」最終報告概要(案)」、「再入院に係る調査について」、 「平成20年度診断群分類の見直しについて」につきまして、西岡分科会長から中医協 基本小委のほうに御報告をお願いしたいというふうに思っております。 ○西岡分科会長  それでは、平成20年度第1回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を終了させ ていただきたいと思います。  本日は、どうもありがとうございました。 −了− 【照会先】         厚生労働省保険局医療課包括医療推進係         代表 03−5253−1111(内線3289)