08/04/30 第7回 人生85年ビジョン懇談会議事録              第7回人生85年ビジョン懇談会                  日時:平成20年4月30日(水)14:00〜  場所:霞ヶ関合同庁舎5号館9階厚生労働省省議室                      ○岩男座長 ただいまから、第7回人生85年ビジョン懇談会を開催いたします。本日は大 変お忙しい中をご参集いただきましてありがとうございました。本日は前回のご議論を踏 まえて再度修正した報告書の最終案をはじめ、前回ご指摘がございました報告書のPRのた めの資料、報告書の活用方策の案についてまず事務局からご説明いただきまして、それに 基づいて議論をしたいと思います。本日のご議論をもちまして、報告書の取りまとめに入 りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず冒頭に大変お忙しい中をお出でいただきました舛添大臣からご挨拶をお願いしたい と思います。 ○舛添厚生労働大臣 皆さんこんにちは。人生85年ということで、皆が長生きする時代に 働き方の革命、生き方の革命をやらないといけない時期が来ているということで、少し将 来に向かって夢のあるビジョンを出したいということで、皆様方に大変お忙しい中毎回精 力的にご議論いただきましてありがとうございます。大体報告書の案が定まりましたので、 今日さらに詰めていただいて、国民に向かってきちんとしたビジョンの提言をしていただ きたいと思います。  そして、それとは別件ですけれども、厚生労働省を改革するということの一環として、 国民と情報を共有するための広報委員も設けましたし、どういう哲学、つまり国民の命を しっかり守るのだという哲学で我が省は働くという意味で、ロゴマークを作ろうというこ とで、一般公募しておりますので、この審査のほうも引き続きお願いしたいと思います。  今日もまた公務が立て込んでおりまして、最初の15分ぐらいしか参加できませんが、毎 回皆様方の議論を楽しみにしておりますので、是非良い報告書をおまとめ願いたいと思い ます。どうもありがとうございます。 ○岩男座長 ありがとうございました。それでは事務局からの資料のご説明に移りたいと 思います。まず村山企画官からご説明お願いいたします。 ○村山企画官 お手元のダブルクリップで止めた資料をお外しください。資料の1が前回 のご指摘を踏まえて修正した資料(案)、資料の2は先ほど座長からございましたPR用の 1枚紙、資料3が取りまとめ後の報告書の取扱いについて(案)という資料です。順次ご説 明申し上げます。  まず資料の1、あるいは全体を通じてですが、この報告書のタイトル、前回の懇談会の終 盤において、また終了後、委員の先生方から、大変熱心なご議論をいただきまして、人生 設計を設計仕直す。もう一度時間や推移や役割を見直すという意味でリ・デザインという 打ち出しというのはどうだろうかという大変貴重なご提議をいただきました。それを表題 として、「人生85年時代」に向けたリ・デザインという案で、本日はお諮りしております。 以下資料の1で、前回と変更した点についてざっとご説明いたします。まず3頁ですが、 いま申しましたような観点から、人生設計のリ・デザインというような観点が出るように ということで、下線を引いた部分を書き替えています。資料1の4頁です。ここは「いき いき人生」ということで、ずっと設置要綱以来やってまいりましたが、議論が進んでくる にしたがって、「いきいき人生」とは語感が違うなと石川先生をはじめご意見がありました。 充実した人生がいいのではないかというご指摘がありましたので、充実した人生のための 基礎づくりというようなことにさせていただきました。  5頁ですが、下のほうで、生涯にわたる学習、能力開発のところで、学びの機会が確保さ れていることというのが原案でしたが、時間の確保も大変重要だというご意見がありまし た。また、岩男座長からかねてから「ゆとり」という言葉を盛り込むようにというご示唆 がありました。そこを踏まえて時間、ゆとりということを入れさせていただきました。  6頁ですが、国際的な競争の激化や技術革新の速度の上昇ということで、線が引いてあり ますが、もともとは短期的な収益志向の強まりということを書いていましたが、茂木先生 から日本の企業すべてがそういったことではないし、また打ち出しとしていかがなものか というご指摘もありましたので、このところは取らせていただきました。  次に教育訓練機関に線が引いてありますが、社会人大学や大学院と書いていましたが、 限定的に書くよりも広げて幅を持った書き方にすべきという座長のご示唆で書き替えてお ります。  その下の知識や技術の陳腐化のところも、座長のご示唆で入れさせていただきました。 また、その次に社会人が学びやすい環境整備に向けて一層の工夫が求められると。現実に は教育機関が運営に苦労しているような声が聞かれるということが書いてありましたが、 こういった書き方に直すべきというご意見がありましたので、書き直させていただきまし た。  また、その下のところで、もともとは18歳人口が減少する中での高等教育機関の今後の あり方にも適うという書き方をしておりましたけれども、若い世代の学生さんたちが、先 輩たちと勉強するという機会が持てるようにという方向で書くようにという座長のご示唆 がありましたので、それも書き替えました。いちばん下のところで組み入れていくべきと、 やや断定調に書いていましたけれども、極めて重要で、今後の取組がというところを明記 すべきというご示唆がありましたので、これも書き替えました。  7頁目で来すおそれが十分にある。これは来しかねないと、やや客観的な書き方をしてお りましたけれども、所管の省として責任ある言い方をすべきだという石川先生のご示唆を 踏まえて書き替えました。  8頁ですが、(4)の表題ですが、もともとは文化を学習することの提唱としておりました けれども、楽しみながら学ぶということで、モレシャン先生のプレゼンを受けて、どちら かというと文化はやはり楽しむものではないかという高階先生、石川先生、茂木先生、多 くの先生からいただきまして、文化を楽しむことの提唱とさせていただきました。  9頁の表現ぶりは先生方からいただいたところにしたがって書き替えておりますが、特に 9頁から10頁にかけてたくさん書き足しております。「特に女性は」というところがありま すが、現在のいわゆる高齢期にある女性のことを考えると、やはりこういったメッセージ として打ち出していくべき、あるいはまた対策についても女性の雇用就業対策ということ は、こういった観点からも問い直されるべきという座長からのご指摘がございまして、新 しく1段落付け加えました。10頁の最後ですが、社会保障制度の話と、社保庁問題等の運 用の話がごちゃ混ぜになっているのではないかという、清家先生からのお話がありまして、 制度運用のところは、段落を開けて書き分けています。  11頁ですが、仕事と生活の調和という言い方を、比較的いろいろなところでしていまし たけれども、調和というのはどうも馴染まないという一部の先生方からのご意見もござい ました。座長ともご相談して、バランスというような言い方で書いています。もともとワ ークアンドライフバランスのバランスですので、横文字にはなりますけれども、いかがな ものかということで、書き改めました。  13頁です。ニート対策につきまして、前回茂木先生のほうから、ニート対策をしっかり 目の前のことをやっていくことも大事だけれども、そもそも基礎教育段階からそういった 人が出ないようにしていくことが大事だというご指摘がありました。それを踏まえて下線 のところを書き足しています。  14頁ですが、働き盛り期における長期休暇ですが、これは働く者にとってもメリットが あるのだ、ということを打ち出すようにという、座長からのご示唆がありましたので「さ らに」のところですが、こうした長期休暇を働く者が活用することにより、様々な活動を 契機として個人の多様な人生設計が可能になるということを一文入れさせていただきまし た。  次に15頁です。ここはもともと主語として家庭人という言葉が入っていましたけれども、 こういったレポートに家庭人という言葉を入れるのは、議論なしとしないかもしれないと いうことなので、ここのところは取らせていただきました。  16頁ですが、新しく「特に」ということで、1段落付け加えています。制度的に一定年 齢以上の人を一律に「高齢者」として取り扱うことについては、やはり最近の状況に照ら すならば、適切な見直しを行うべきということではないかということで、こういったこと についても、国民的な議論を深めていくべきという、清家先生から、この点はどうも事務 局は、いままで指摘があったことを書き漏らしているようだというご指摘がありまして、 座長ともご相談して、こういう表現で入れさせていただければということです。  16頁の下のほうに、下線を引いていますが、もとから内容的には入っていたのですけれ ども、ちょっと後ろのほうに書いておりましたが、小室先生からこういったことを前面に 出して、仕事と生活のバランスの実現の必要性をよりPRすべきではないかというご指摘が ございましたので、順番を入れ替えました。  17頁です。「さらに」というところで、1つ段落を付け加えています。ここのところは座 長から、育児、介護とか、長期の休業を取得した方について、企業のほうにしてみれば、 人材に対する投資を行っているのに、その方々からの回収期間が短かくなるということを 考えるならば、引退時期についても、再調整するというような自主的な取組の促進という のも、非常に重要な視点ではないかというご示唆がありまして、入れさせていただきまし た。  18頁です。ここのところは、コンビニエンスストアなどで、大量にお弁当やお総菜が廃 棄されているというような内容が書いてありましたけれども、論理的に考えると24時間営 業であろうがなかろうが、そこは変わらないのではないかという、石川先生のご意見がご ざいまして、むしろ違う中身を入れたほうがいいのではないかということで、輸送、運送 の話を少し入れさせていただいたというところです。  19頁も表現ぶりで、ご指摘いただいたところを書かせていただきました。  20頁は、ひきこもりという言葉を使っていましたけれども、必ずしも適切ではないので はないかというご意見がありましたので、人間関係等をめぐる問題行動という言い方で言 い直させていただいたということです。1章から3章まではご指摘を踏まえてそのように書 き改めたということです。  4章です。もともと提言が10個ありまして、あまりにも枝葉が分かれ過ぎているという ことと、若い人へのメッセージということをはっきりと打ち出すべきというようなことを いただきました。あとで石川先生からもご紹介あると思いますけれども、資料の4として お配りしていますが、石川先生からまとめるならば、人生の時間的な経過も踏まえながら まとめることができるのではないかという試案をいただきまして、大変ありがとうござい ました。その中で、特に子どもが大人になる過程で、「世間を知る」ということ、それから 大人は逆に仕事ばかりにのめり込むのではなくて、社会の中での自らの位置づけ、つまり 「自分を知る」ということ、第一線を引いた後も、地域の中に戻って、若い人を助けると いうことで、「世間に出られる」ということ、交流をしていくということ、そういう世間を 知る、自分を知る、世間に出られるというようなことをキーワードとして、大きくまとめ 直すというのではないかというご示唆をいただきましたので、それも踏まえながら、まず 基本的な考え方としては、生涯現役の社会づくり、あるいは川勝先生からありました、自 分の花、枯れ木の花を越えて、誠の花へという花のある生き方を広げていこうというよう な提言を基本的な考え方とし、その上で提言の1では、この懇談会を通じて、非常に様々 な角度から議論のあった自分づくりの機会の確保ということを子どもの過程からいろいろ な形で設けていくと。その中で、特に山崎先生からありました「死を学びより良く生きる カリキュラム」というものについても明示していくというのが提言の1のところです。  提言の2ですけれども、特に青少年、若人への打ち出しがより積極的に必要だというご 指摘がありましたので、総論のところと若干かぶりますけれども、学び直すことのできる 環境の整備、あるいは採用から退職まで一律に年齢で区切らない雇用システムづくり、文 化芸術活動、スポーツなど共通の関心で結ばれた人々の世代を超えた交流などを、若い人 へのメッセージという提言の2とさせていただきました。  提言3では、仕事と生活のバランスの問題をはじめとして、長期休暇制度のようなこと を通じて、職業人が「自分を知る」ような機会を増やしていくという観点も含めて、提言 とさせていただきました。  提言4は、高階先生から「パブリックとプライベートの中間領域」、あるいは新しいパブ リックづくりというようなことでいただいたご提言、高橋靖子先生からいただきました介 護の問題を含めて、「新たなご近所システム」を作っていくというような、支え合いの仕組 づくり等々を含めまして、第一線を引いた人も、交流しながら「世間に出られる」という ようにさせていただきました。  以上が年代順のことであります。ほぼ世代を念頭においていまして、最後に全世代を共 通して、岡田先生、萩原先生からいただきました、健康づくりの観点から、スポーツの楽 しさを知らせる、あるいは「自分の体重をきちんとコントロールすること」に向けた環境 整備策として、カロリー表示をきちんとしていくというような、国民運動的なことについ て、盛り込ませていただきまして、提言とさせていただいています。以上が資料1の主な 変更点でございます。  資料2は、いまご説明した、第4章のところを中心として、見やすい形にまとめている ものですが、まだまだ不足な点もあろうかと思いますので、ご示唆をいただければと思い ます。  資料3ですが、先ほど座長からありました、取りまとめ後の報告書の取扱いについてど のように発信していくのかということです。まず1つは、前回残間先生からありましたよ うに、影響力の大変おありの18人の先生方がお集まりいただいていますので、いろいろな 先生方のご活動の中で是非この報告書、あるいは概要、資料等積極的に活用いただければ 大変ありがたいということで、1番に書いています。  2番で、当然役所といたしましても、様々な機会を捉えてPRしていくということを書い ていますが、特に提言内容のうち施策として実施できるものについては、積極的に取り組 むということで、その一端としては、先般経済財政諮問会議で舛添大臣が新雇用戦略とい うようなことを発表いただきましたけれども、その中にも、長期休暇の問題、仕事と生活 の調和の問題、あるいはフリーター等の方々の正規雇用化の問題等に向けて積極的に今後3 年間対応していくというような方向性も打ち出しているところです。そういったことも含 めて、今後諮問会議、社会保障国民会議のような発信機会を活用しながら、関係省庁に働 きかけることも含めて活用していきたいというのが1点目です。  (2)ですが、今年は洞爺湖サミットの年だということで、一連のサミットプロセスの中で、 5月の11日から13日には、G8の労働大臣会合が新潟で開催される予定です。溌剌とした 持続可能な社会の実現に向けたベストバランスというようなことがテーマになっておりま して、ワークライフバランスの問題、キャリア形成の問題、就職困難者の雇用支援の問題、 特に加えて環境に優しい働き方といったようなことで、労働と環境というような視点も打 ち出されておりまして、まとめていただきつつある報告書の内容とも響き合うところもあ ると思います。議長を務められる大臣を始めとして、事務方のほうからも積極的に各国へ 発信をしていきたいということです。  (3)ですが、先ほど大臣からもありました、ホームページ改革、あるいは『厚生労働白書』 における視点としての活用ということも含めて、いろいろな切り口で活用させていただけ ればということです。資料1から3の説明は以上です。よろしくお願いいたします。 ○岩男座長 ありがとうございました。それでは本日の議論の進め方ですが、ただいま変 更点についてご説明がありました資料の1に基づいて報告書の文案を固めると。それから、 PR資料の内容を固める作業をした上で、資料の3について意見交換をしたいと、このよう に考えております。先ほど変更点の説明がありましたけれども、いや、ここはニュアンス が違うとか、あるいは、もっと書き足してほしいとか、いろいろご意見もあろうかと思い ますので、ご自由にご発言をいただきたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 まだ書き加えられますので、不足のところがあったらよろしくお願 いします。ちょっとこれで中座します。大変失礼いたしました。 ○岩男座長 先ほども申しましたように、今日が最終回でございますので、修文案等につ きましては、できるだけ具体的にご意見をお述べいただければ、大変ありがたいと思いま す。それで、皆様からご意見をいただきますが、最初に、前回取りまとめについて、いろ いろとご意見をいただきました残間委員からまずご意見をいただき、それから、石川委員 から資料の4として資料をご提出いただいておりますので、これをご説明をいただいて、 それから議論をしていきたいと思います。 ○残間委員 前回からあとで整理の仕直しがあったので、今日初めてご覧になった方は、 もしかして1回飛び越えていると思うかもしれないというので、少し説明をさせていただ きます。石川先生からのご指摘でこの委員会もシニアライフの充実という方向にだんだん 傾いてきているが、ここでは全世代が「人生85年時代」にさしかかるということにおいて、 どういうふうに生きるのかと取りまとめをしなければいけないのではないかということに なったわけです。話を重ねていくうちに、高齢社会の最終章の辺りを幸せにするというふ うに、話が傾いてきたかに見えるので、これをもう少し子どもの時代から整理仕直してみ ようかということで、子どものときから死の問題とか、いつでもチャンスがあるというよ うなことで、前々回とちょっと違うのだと思うのです。リ・デザインという言葉について 言いますと、2001年ごろから2002年にかけて、デザインの世界とか、建築の世界でRの 時代とか、REの時代というふうに言われていて、すべてがスクラップアンドビルドではな くて、いいものはいいものとして継承していき、改革すべきは改革していこうというよう なこと。その後2003年ぐらいになりますと、この言葉は広い領域で言われるようになり、 人の生き方にもRとかREの時代ということが言われはじめたのです。議論がとりわけ女 性たちの生き方の周辺で言われるようになりました。REとかRというのは「何々を仕直す」 というような意味合いですから、ここでも従来典型的だった何歳までは何をするというこ とではなくて、いつでも、どんな形でも新しい領域や新しい世界にトライアルできるとい うようなことを重視しようというのが、この会議の大きな軸になったわけです。というこ とで、小室委員が新しくデザイン仕直すというようなことから、リ・デザインという言葉 を導き出してくださったのです。前回、臨席していらした委員の皆さんは、これはいいね ということで概ね賛同なさったのですが1回抜けている方には唐突に思われるかもしれま せん。 ○岩男座長 ありがとうございました。石川委員、ご説明をいただければと思います。 ○石川委員 この間最後になりましてとにかく提言があまりにも長くなってしまって、提 言を読むだけで、これを読む人がいるだろうかと。それで、大体3章ぐらい書かないと、 決めないとわからないといいまして、言いっぱなしでは申し訳ないから、一生懸命考えて 短くしたのですけれども、私のような作家という仕事は、自分が書いたものは人が理解し てくれるだけでは全く不十分でありまして、皆さんがお金を出して買ってくれなければな らないという、極めて因果な仕事なものですから、何とかして、最低人がわかってくれる ということで、大勢の方がいろんなことをおっしゃったのを、こういう形にまとめるのは、 とにかく大変なのですけれども、この程度でないと、どうせ人は読みはしないという気持 ちがありまして、それで、公言したとおり、3章にまとめました。最初は子どもが大人にな る過程でできるだけ世間を知る。この意味では、昔のほうが大人になりやすかったと思う んです。昔といっても私ぐらいの世代でもそうなのですけど、子どものころから身の周り にいろいろな世代の人がいます。近所隣でも何か入れ子になったような暮らしをしていま したから、職人さんもいれば八百屋さん、下宿屋さんもいれば、人がごちゃごちゃいるか ら、何ていうのでしょうか。ここに座っていて人間が年を取るとどうなるということが見 えるのですけれども、いまみたいにマンションの中に鍵を掛けて暮らしていて、同世代の 人と同じような階層の人としか付き合わないと、世の中が見えないと思うのですが、それ を何かうまい方法があるのかわかりませんけれども、なるべく子どもはいまふうに世間の いろいろな世代の人を知るようにするということは、まず基本的だと思います。この間ま では残間委員がおっしゃったように、私も年寄のことしか考えていなかったのですが。前 の会に、小室委員と菊川委員が、こっちだって困るんだという言い方をされて、本当にそ れで私も愕然と目が覚めたような気がしまして、そうなんだ、いきなり年を取るわけでは なくて、だんだんじいさん、ばあさんになるのだから、若いうちから準備をしなくてはい けないと思ったんです。それで世代的に、年齢ではありません、子どもは大人になる過程、 私も会社を経営していましたが、職業についてからは、どうしても自分の目の前の仕事の ことしか考えなくなる。これで定年になったらポンと世の中に放り出されて、どうしてい いかわからないという人が身の周りに多いものですから。自分はどういう状況にあるのか ということを見る習慣を付けなければいけないし、第一線を退いて、濡れ落ち葉ですか、 奥さんにいじめられて逃げていかれてなんてなると困るから、職業人となってからも、職 業人としての自分プラスもう1つの自分をもっと外から見ているということが必要だと。 私はこれを30分ぐらいで書いてしまったので、ゆっくりやっている暇もなかったのですが、 なるべく本文に入っている皆様の用語をたくさん使ったのですけれども。私もいまのとこ ろに68年前からいるものですから、随分顔が広く、隣近所の人とも付き合いもあります。 全然歯が悪くないのですけど近所の歯医者さんと仲がよくて、彼は非常に酒が好きなんで、 しょっちゅう酒ばっかり飲んでる付き合いがあります。やっぱりおもしろいですよね、そ ういうごちゃごちゃ近隣の関係があるということは。いちばん最後は、山崎さんがいらし たら、伺いたかったのですけれども、うちの家内が亡くなったときに見てても、自宅で死 ねるように社会のシステムを、私ぐらいの年になりますと、それがいちばんいま大事で、 病院行って管につながれて死ぬというのは、自分の家で死ねるというのは、老人にとって 大変大事なので、提言3のために提言1と2があると言っても差し支えないと思います。 それでもかなり詰めてもこれだけ私の頭では長くなってしまうのですが、とにかく3章に まとめることだけはかろうじて成功しました。 ○岩男座長 ありがとうございました。石川委員のご提案は、提言を3つに絞るというご 提案でございまして。 ○石川委員 これは3章と言ってしまったからそうなんで、これは4つなのによくまとま っていると思います。 ○岩男座長 提言3の本文の説明の部分は事務局のほうで紙の下のほうに追加をしてくだ さっていますけれども、こういう形になるということです。それでは先ほどの残間委員の ご説明も踏まえて、ご意見をいただきたいと思います。どうぞご自由に手を挙げていただ きたいと思います。本文のほうを先に固めたほうがいいと思いますけれども、3章までのと ころで、何かご意見がございましたら、ご発言をいただきたいと思います。 ○古賀委員 少し細かいことになるかもしれませんが、16頁の、座長がいちばん最初に提 起していたことなので、その思いが入っていると思うのですが、最後の「さらに、政府の 審議会委員の要件」ということで、この種のことが、超具体的に要るのかどうかというの は、一考を要するのではないかと私自身は思います。発信の仕方とか、この取扱いという ことから見れば、審議会委員というのは全体から見れば、きわめて狭い範囲の、言ってみ たら専門業界的なことであって、全体の構成からして、わざわざこの審議会委員の要件に ついて「こうあるべきだ」みたいなことを入れる必要はないのではないかと私は思います ので、提起しておきたいと思います。 ○岩男座長 確かにワンパラグラフを使う必要があるのかというのは、実は私自身も疑問 に思っております。しかし、これだけ高齢化社会になっているときに高齢期にある人たち の意見というものに耳を傾けないというのはおかしいんじゃないか、別に審議会云々とい うふうに言うことではなくて、いろいろな場であらゆる年代の人の意見が反映されるよう にと考えます。その根拠として、一定の年齢になったから、もうこの人たちの意見は聞か なくてもいいということにはならないという趣旨なんですね。  ですから、この所はちょっと書き替える必要はあるかと思いますが、できればそういっ た趣旨が反映されてもいいのではないかというふうに私は思っておりますが、どうぞご自 由にほかのご意見もあると思いますので、ご発言いただきたいと思います。 ○清家委員 ここの所はおそらく政府の審議会委員に年齢の上限を設けているというよう なことが1つの事例なのだと思うのですね。つまり政府自らがそういう年齢で人を区切っ てそれ以上の人の意見は聞かないとか、そういうことをやっているのを改めようというこ となので、確かに文章的にこれだと、何か審議会の委員のことだけみたいに聞こえるので、 例えばさらに政府の審議会委員にも年齢条件が設けられている等、政府自らが一定年齢以 上の人を排除するようなことがあるけれども、それをも見直すべきであると。同一人物の 在任が長すぎないようにするといった理由はあるとしてもとか、それはちょっと言い訳が ましいから要らないと思うのですね。  そういうことは確かにあると私は思いますが、事例の1つとしてはこれはわかりやすい と思うのですね。つまり政府の審議会の委員に年齢条件が置かれているなど、政府自らが 一定年齢以上の人の意見を排除しているように見えるけれども、それはまず率先して見直 すべきであるとか、その種類のことではないでしょうか。 ○茂木委員 表現の問題で、私もいま清家先生が「など」とお入れになったので、だいぶ ニュアンスがよくなったと思うのですが、「さらに」と言うと、メインストリームの論理の 展開上のことであるように見えるわけですね。ですから、もし入れるとすれば「例えば」 というような表現にすれば、だいぶニュアンスが違ってくると思うのです。それから清家 先生がおっしゃった、あまりに在任期間が長くなることの弊害というのは、私はむしろ生 かしておいたほうがいいかなあという感じがしました。というのは、同じようなメンバー の人がずっと長くやっているというところが審議会だけでなく、いろいろなところで割合 あるのではないかと思いますので、何年か経って、また入っていただくとか、そういうこ とは大いにあってもいいと思うのですが、あまりに固定的になるのもどうかなという気は 実はしておりましてね、そんな感想を持ちました。 ○岩男座長 古賀委員、ただいまのご意見を受けたような形で。 ○古賀委員 結構だと思います。清家先生がおっしゃったように、例えば政府もやはりそ ういう姿勢じゃないかという一例として、この審議会委員ということを使えばいいのであ って、これを読みますと、何か審議会委員だけのことに特化したものをわざわざくっつけ ているという感じがしますので。私も清家先生がおっしゃったようなことで、修文をされ ればいいのではないかと思います。さらに茂木委員がおっしゃったことは、いまも在任期 間の制限はあるわけですから。清家先生がおっしゃったような視点でここを少し修文され たら、それは問題ないです。 ○岩男座長 そういうことで修文を。 ○残間委員 これはたしか、年齢差別撤廃のアメリカの流れと呼応して、こういう話が出 てきたのだと思います。だから、アメリカの大学も若い教授もそうではない年を重ねた教 授もきちんとした論文を書いて、ちゃんとした講義をやる限り、年齢で差別をされるとい うことはないというようなことの延長だったのですが、突出した存在として、審議会委員 というのは私は載せなくてもいいのではないかと思います。 ○岩男座長 いかがでしょう、ほかにご意見がございましたら。 ○茂木委員 特に該当された方々から個別的にこういうアピールがあったということにな ると、むしろ、あまり入れるのもおかしいかもしれませんね。 ○岩男座長 いずれにしても年齢で切っていくというのが基本で、それに対する疑問を投 げかけるという発想で申し上げたことです。  それでは、特に具体的に、このようにというご意見がございましたら、またお出しいた だければと思いますが、ただいまのご発言を踏まえて、審議会が突出するようなことのな いような形で修文をさせていただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○高階委員 大変よくまとまっていて、私も結構だと思います。いま特に前回にもご発言 があった石川委員の提案があって、つまり職業人は割にはっきりと自分の仕事の場が決ま っていると。あとは家に帰って寝るだけでは困るので、もう少し広く子どものときから自 分づくりでいろんな世代、いろんな種類の人と接し合える、世間に出るとか、世間と親し むという言い方は私は大変結構だと思います。  それで、文化づくりのことがいくつかここで出てきたのですが、文化は学ぶだけではな くて、学ぶけれども、楽しむというような修文になったのは、大変結構だという気がいた します。それとの関連で8頁から9頁にかけて、文化を楽しむことの提唱というのがあっ て、そこでも音楽とか、文学、詩歌、自然との環境、大変うまくまとめてくださって、そ れが特に我が国では文化的伝統で、日常生活の中にも入っているということは、このとお り言っていただいてよかったと思うのですが、世間様のお話を伺って、もちろん、これは 後にも関係しますが、いわゆる文学、芸術だけではなくて、日常の中にもいろいろそうい う場がありました。  例えば、ご隠居さんの話が出ましたが、昔は縁台将棋があったり、あるいは植木づくり でおじいさんが、子どもに植物の話をしたり、そういうような地域のふれ合いというのが 子どものときからあったほうがいいのではないかと思います。確かに仕事一本だと、とて もそういうのがないんだけれども、一応退職した人がそういうことで、あるいは近所の子 どもを集める。そういう点からいうと、何年か前に出来ました文化芸術振興基本法の場合 でも、芸術文化というのは、いわゆるかっこ付きの絵画とか、彫刻、美術館等々ではなく て、生活文化というものも入っているものですから、広く言えば、植木いじりや縁台将棋 だって、そういう感じで、それが入るような感じがあったらいいなということを伺いまし た。  具体的には9頁の4行目ですが、「具体的には子どもの頃から地域の伝統文化に親しむ」 と。これは大変いいので、「子どもの頃から生活文化を含めて地域の」というようなことを ちょっと入れていただくというような感じで、そしてそれに呼応して提言の1のところで も、これは提言のほうに入ってしまいますが、関連しているので、1の所で、「具体的な例 は音楽・詩歌・絵画・ものづくり」これもそのとおりでして、「ものづくり、生活文化等の というぐらいにちょっと一言入れていただくと、よろしいと思います。実は文化的な施設 では、パブリック、プライベート、今後どうすべきかということは、また改めて、私も具 体的にはいろいろ考えなければいけない問題で、そういうときにも入ってくるでしょうか ら、そのためにも一言、不自然でなければ、そういったほうが広がりができるのではない かと思います。 ○岩男座長 頷いておられる方が多いと思いますので、そのような形にさせていただけれ ばと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。 ○茂木委員 私も大賛成でございまして、この石川委員のメモを拝見して、やあ、全くそ うだなと思ったのです。子どもの頃、昔はいろいろな所に、いわゆる個人商店がたくさん あって、それで近所のおじさん、おばさんがいろいろ世話を焼いてくれたり、何かふれあ いがありましたですね。そういうものが、いま経済原則だからある程度仕方がないのです が、ほとんどが大きな会社組織の、会社が運営するようなものにどんどん変わってしまい ましたね。だから、商店がコンビニだとか、スーパーになる。おそば屋さん、おすし屋さ ん、あるいは駄菓子屋さん、いろいろなものがあったのですが、そういうものが外食産業 だとか、チェーン店になってしまう。  ただ、これはなかなか止めようがないことだろうと思うので、そういう今の状況の中で、 具体的にそういう地域のふれあいというものを大事にしていくようなことは、何なのだろ うなと実は先ほどから考えています。そこまで細かく、具体的に言う必要はないのかもし れませんが、例示的にでも、若干具体性のあるようなものが盛り込まれたら、なおいいの ではないかなと考えながら伺っていました。ご趣旨は大賛成なのですが、具体的な筋道が どうもあまり頭の中に浮かんでこないので、ちょっと悩んでいるわけです。  もう1つ、石川委員の提言の2も、これも全くそのとおりだなと思います。社会人じゃ ないんですよね。大人になった人たちがほとんど会社人なんですよ。もちろん会社人であ って、給料を稼ぐのは必要なのですが、それと同時にもっと広い社会人として生きるには どうしたらいいかということではないかと思いました。 ○石川委員 本当にいまは便利でいい時代なんですが、例えば私は東京に来る前に、子ど もの頃、京都の伏見で生まれて、伏見にいたんです。東京に出てくる前に住んでいた家で、 茶の間の隣の6畳間で、妹が生まれたのをはっきり覚えています。だから、死ぬのも畳の 上で死んで、生まれるのも畳の上で生まれて、なんというのか、町内で見ていると、とに かくあっちで生まれ、こっちで死に、あっちで生まれ、こっちで死ぬ。ここで学校に入る、 こっちで就職するという、その時系列を近くで見ることができました。  いまはそういうのはよくないんだと戦後一生懸命に言って、人間は病院で生まれて、病 院で死ぬのが正しくてと、散々言った挙句、こういうふうになってしまって、いろんな問 題が出来て困っているのですね。元に戻すことはできないし、元に戻す必要はないけれど、 やはりみんながもっと入れ子になって暮らせるようなシステムにじわじわじわじわ向けて いく必要はあるのではないかと思います。  私の知り合いで佃島か何かあの辺のマンションに住んでいる人がいるのですが、やはり あの辺の人たちは高層マンションに住んでも、アニメの「うる星やつら」のラムちゃんの 声優をやっていた女性ですが、旦那が築地の魚河岸に勤めている。これが経済感覚のおよ そはっきりしない人なんですが、縦長屋と言うんですね。エレベーターで住んでいても、 高層ビルの中に住んでいても、付き合いが非常に縦方向の付き合いが多いという話なんで す。やはり、そういう性格の人はどこに住んでいてもそうなってしまいますが、そういう のを排除して暮らしている人は、どこに住んでいても、なかなか横のつながりができにく いんじゃないかと思うんですね。それを何か新しいシステムを1つ作ってパッと回復する ということはできないのではないかと思いますが、何かいいアイディアはないか、私もど うしていいかわからないです。 ○茂木委員 私は世の中のそういう方向への動きというのは、止めようもないようなもの だろうと思いますが、1つにはやはり教育ではないかという気がするのです。教育に関する ことはあまり厚生労働省の提言に盛り込むのは不適切なのかもしれませんが。いわゆる戦 後の民主主義教育の中で、あまり個ばかりが強調されて、個の集まりであるところの社会、 もっと言うならば、国ですが、そういうものに対する帰属意識だとか、個人の利害よりも 団体の利害を優先するというと、ちょっと具合が悪いのかもしれませんが、でも結局そう でなきゃならないはずなんで、にもかかわらず個人的人権、個人的な自由云々ということ ばかり強調して、片方での公とか、全体の規律、全体に対する義務、そういうものをあま りにもないがしろにするような教育が行われてきたためではないかなというふうに感じら れてならないのですね。  ですから、人と人との関わり、また大勢の集まりの中でみんなに協力すること、あるい は我慢すること、自分を抑えること、そういうことが必要なんだということを、もし子ど もの頃からもっともっと教えて、そして学校の実際の活動の中でも、そういうグループ活 動だとか、いろんなことを大勢の中で自分の役割を認識しながら協力して進めていくとい うところに重点を置いた教育を充実させれば、かなり違ってくるのではないかという感じ を私は持っています。とにかく小学校1年から学級崩壊でしょう。規律というようなこと は、ほとんど教えられていないんですよね。そこがいちばんの問題じゃないかという気が します。 ○岩男座長 私たちの議論は、どちらかというと、人のつながりを非常に大事にする、お 互いに支えられ、支え合って生きているというようなことで、そこをできるだけ明確にな るような形で出していきたいということだったと思います。十分かどうかという点になれ ば、おそらくいろんな評価があるんだろうと思いますが、例えば資料1が「子どもの頃か ら文化を学び、他者に支えられていることを学びながら、自分づくりに励もう」というよ うなことが最初にきているのは、そういった気持の反映ではないかと思いますが、いかが でしょうか。 ○残間委員 いま茂木委員がおっしゃった個と公の関係というのは全くそのとおりだと思 います。一方で、先ほど、石川委員がおっしゃった「自宅で生まれて、自宅で死ぬ」とい うことについては、それぞれの人の環境とか、思いもありますので、言い切れないように 思います。私は自宅で死にたくないなと思っている派なので、迷惑をかけないで死んでい きたいと、いまのところは思っているものですから。ここにあるように誰もが自分らしく ということは、手前勝手にという意味ではなくて、自分が自分らしく生きていられるよう なものを支えるという仕組がたぶん問われているので、どちらかに行き過ぎることなくし ていただけたらと思います。 ○岩男座長 ほかにいかがでございましょう。先ほど、高階委員から、文化について、も う少し生活文化を含めた具体的な言葉が入ったほうがいいのではないかというお話があり ましたが、私も全く同感なのですが、川勝委員、何かアイディアがおありではないかしら と思いますが、いかがでございますか。 ○川勝委員 アイディアというほどのものはないのですが、やはり生活文化というものは 落としてはならないと思います。これは大臣が冒頭で生き方、働き方、両者の革命という ことが必要だというようなことを言われまして、それをここではリ・デザインと言われて いますが、生き方というのは生活の仕方で、それがいかに幸せに見えるかということはと ても大事なことです。ここでは日本が長寿社会になった、少子化が進んでいる、人口が減 少しているというような内的な変化に対応した形で書かれていますね。だけど、日本の高 度経済成長期が終わった後、国際社会における位置が変わっていまして、世界の人たちの 日本人を見る目も違ってますので、そういう人たちの目も一応まとまったので、そのまと まったものがどう見えるかということも少し念頭に置いたほうがいいと思います。  日本が最初に西洋人の目にふれたとき、これは16世紀の南蛮文化の時代ですが、やはり 戦闘時代ですから、男が強かったわけです。文化は高かったわけです。だから、茶碗みた いなものが1,000両なんかで交換されているわけでしょう。非常に豪華なものがあって、 そこが報告されているわけです。それから、鎖国の後日本が開国しますでしょう。そのと きに、いろんな人がいろんなレポートを書いているわけですが、いわゆる伝統文化という よりも、生活文化のわけですね。  そこで子どもが幸せそうだというのがポイントになっているわけです。非常に子どもが 大事にされているということですね。そして、その後日本はがむしゃらにやってきて、い まこういう時代になった。ここで見えるのは、高齢者と女性ではないかと思います。戦国 期には男です。明治維新期には子どもだった。今度はやはり高齢者の人、それから女性の 方々が本当に幸せそうに生きているというふうに、そういう生き方、働き方が大事になり ます。そういう目をどこかで意識した書き方をすると、生活文化などというのも、自然に 入ってくるのではないかと思います。  それとの関連で言いますと、例えば、「はじめに」のところですが、2頁、冒頭に生命に 限りがあるというのはよろしいわけですが、下から2つ目の段落、下から7行目ですが「我 が国の歴史上、平安時代や江戸時代に人口の停滞期はあったものの、今後予想されている ような一貫した人口減少局面は初めてのことであり」という書き方がされていますね。こ れも書き様によっては、「今後予想されているような一貫した人口減少は初めてのことでは あるが」まず、それをもってきまして、そして「我が国の歴史上、平安時代や江戸時代に 人口が停滞した時代には、女性の活躍が著しかった事実に照らせば、」というふうに積極的 に書き替えて、そして「勤勉な国民性、高齢者の就労意欲の高さ、高度な技術力に裏打ち された生産性等の我が国の強味に女性の活力を合わせて活かせば、この変化に云々」とな るわけです。  停滞期というふうに言い切ってしまうと、文化が、あるいは日本の活力が失われたみた いに思われますが、実際はこの時代は文化が非常に成熟した時代でありますので、ちょっ とした書き方でありますが、その辺に少しく留意していただければよろしいのではないか と思います。もう1つは、私はこの「死を学びより良く生きるカリキュラム」というのが キーワードにもなっています。提言にも出てまいりますし、7頁にも書かれておりますが、 中身は我々が山崎先生からお話を聞いて非常に感銘を受けたと。先ほど来、畳の上で死ぬ、 あるいはベッドで死ぬ、病院で死ぬと、いろいろと議論されていますが、死に行く人、あ るいは死にかけている人、病の人たちが隠されているということですよね。だから、死そ れ自体を学ぶ。この書き方が死を学ぶと。ラーンデスですか。アバウトデスですか、フロ ムデスですか。とにかく死を学ぶというその背景にある、山崎先生のお話を踏まえた上で、 かつそれを普通に誰にでも英訳できるような、そういう表現にならないものかなと。いき なり「死を学びより良く生きる」と聞くと、ちょっと唐突な感じがするのですね。「死に行 く人から学ぶ」とか、その辺の書き方ですね。しかし、これは山崎先生はご自身の仕事を 踏まえた形で言われているので、彼にとってはキーワードでしょうけれども、果たしてこ こでこの言葉が最も適切なメッセージになるかどうか、という疑問を持ちました。 ○残間委員 これはたぶん、昔メメント・モリ、「死を想え」、という言葉が流行したこと がありますが、私はその流れの中で受け止めていたのであまり違和感がなかったのですが、 おっしゃるように直截にすぎるかもしれないというのは、あるかもしれませんね。 ○高階委員 それは、たぶんそのとおりだと思います。ただ、いま川勝委員がおっしゃっ たように、いままでのところは死のことをなるべく隠していたのですよね。そうではなく て、死と向き合うというか、メメント・モリもそうですが、もう現実ですから、それはつ らいことですが、親しい人の場合でも向き合ってそこから学ぶということです。おっしゃ るように、死を学ぶというのは、いきなり聞くと死に方をどうするかという感じになって しまうので、そうではなくて、常に人間というもののあり方としての死を忘れないように。 そのために、いまみたいに隠してばかりいるのがいいかどうかという問題提起だと。もち ろん子どもに対するエクスポーズの仕方はあると思うのですが、いつの間にかいなくなっ てしまったのではない、そういう人生がわかるような形をというのがこの山崎先生のお話 で、それは当然、自分の生き方に返ってくるわけですからということだろうと思います。 言い方は少し考えたほうがいいかもしれません。死から学ぶのか、死と向き合うのか。死 にかたを、別に薬を飲んで死ぬ形ですとか、そういうことではないと思います。 ○岩男座長 やはり私も、ちょっと唐突な印象を与えないかなとは思っておりました。「死 にいくことについて学び」ということなのですが、長くなるので、良い表現があれば是非。 ○残間委員 「向き合う」がいいですね。 ○岩男座長 死と向き合うと。ほかにいかがでしょうか。 ○石川委員 1つ気が付いたのですが、このリ・デザインというのが新しい言葉なので、ず っと見ていたら、23頁の第4章の初めに「初めて人生をデザインし直す(リ・デザインす る)」というのが出てくるのですが、初めの2頁か3頁ぐらいに、リ・デザインという新し い言葉の定義というか、説明を入れておいたほうがいい。リ・デザインは英語としては、 ちゃんとした英語なのですか。 ○残間委員 辞書にはあります。名詞・動詞両方あって、再設計・再設計すると書かれて あります。 ○石川委員 リフォームみたいに、住宅のリフォームというから、ぶっ壊して火でもつけ るのかと思ったら、何かインテリアを直すのがリフォームというのはちょっと大げさすぎ るなと思いましたが、リ・デザインはよろしいのですか。その説明をどこかに、いままで の言葉でちょっと表現できないので、新しいリ・デザインという言葉をあえて使ったと言 っておかないと、何かまたけちをつけられそうな感じがしますけれども。 ○岩男座長 現在の構成のとおりにして、第4章、つまり最後にこの提言が来るという形 であれば、いまご指摘の部分が「はじめに」の所に来ないと、インパクトも少ないし、何 を言っているのかわかりにくいと思うのですね。構成を全部ひっくり返すというか、提言 を最初に持ってくるようにすれば、それで提言を。 ○石川委員 ですから、2頁のいちばん最初のパラグラフの次ぐらいに、ここにあえてリ・ デザインという言葉を使う意味はということで、リ・デザインの定義を最初にポンと入れ てしまえばいいというだけの。 ○高階委員 逆に、提言を先に。 ○岩男座長 提言を先に持ってくると、そこは必ず皆さんご覧になるものですから、順番 を変えてはという提案なのですけれども。 ○高階委員 あとは読まなくても済むみたいな感じになるかもしれない。 ○清家委員 要旨を先に持ってくるのは如何なものでしょう。 ○岩男座長 やはり最後に持ってきて。 ○清家委員 いや、先に持ってきてもいいのですが、先に持ってくるのだったら、4章の所 はもっとよく議論して書かないと。1章から3章の所はすごく練られて文章も作られていま すので、それを受けて4章にしたほうが、ちょっとつまらない考え方かもしれませんが、 私はいいのではないかと思います。だから、むしろこのリ・デザインの定義を先のほうに1 章とかで持ってくれば。 ○岩男座長 ワンパラグラフだけ、「はじめに」の所に持ってくるという形ですね。 ○清家委員 それを先に持ってくるために、提言をいきなり最初に持ってくるのは、何か ちょっと奇を衒いすぎているかなという気が私はします。 ○小室委員 私も清家先生のおっしゃられたように、「はじめに」の2つ目のパラグラフの 終わり辺りに寿命がこれだけ延びたという話のあとに、そうなると人生のリ・デザインが 必要となってくるというような文脈を1回きちんと入れて、そのときに「リ・デザイン」 という言葉を使って、定義を入れたほうがいいのかなと、場所的にはその辺がいいのかな と思いましたというのが1つです。  16頁について、1文だけ加えてはどうかと思ったことがありました。いちばん下の行で すが、ここで仕事と生活のバランスの実現の話をしていて、団塊ジュニア層が介護などと いったことに迫られてくるので、企業はこうした雇用管理面の対応を急ぐことが求められ ているという、その「雇用管理面での対応」が1つです。もう1つ、風土づくりというこ とについても触れたほうがいいのかと思って、親の介護であったり、育児をすることが、 仕事を全うすることに何らマイナスの影響も与えないし、それは人間としてやるべきこと なのだということを、会社としてだったり、または企業に勤める人間同士が認める風土づ くりの醸成に積極的になるべきであるということを、1文入れたらどうかと思いました。  というのも、最近の研修で衝撃を受けたのは、管理職だったり若手の方で、男性が9割 のときにディスカッションしていただいて、「もし明日あなたが介護で会社を休まなければ いけなくなったり、短時間勤務を生涯続けなければいけないというようになったら、あな たはどうしますか」ということで、議論をしていただいてからワークライフバランスの話 をしようと思って、最初にしていただいたのです。そうしたら、3分の1の方は、「うちの 会社でそんな短時間勤務なんかで働いたら、生涯のキャリアにもう芽がないので、転職し ます」と言って、3分の1の人は「会社を辞める」と言いました。3分の1の人は、「そし たら、最後はぶら下がります」と言って、「9時・6時しかいられないのだったら、その制 度をふんだんに使うけれども、仕事にはもう上に行ける芽がないので、あとは割切り型で 働きます」という人が3分の1いて、あとの3分の1は「親より業務を取ります」と言っ た人がいたのです。  3分の1もいて、「いや、本当ですか。あなたの親の話をしているんですよ。もしくは、 あなたの妻の介護をする話なんですよ」と何度聞いても、「でも、いまの日本だったら、や はりここでは業務を取るんだと思います」と、最後まで答えられていたので、認められる 生き方は業務を優先する生き方なのだと。非常に真面目な方ほどそう答えていたので、そ ういう風土があるのかと。  そうではなくて、これからは育児や介護、自分の親を見るのは当たり前だということが、 企業の中でも風土としてつくられていくことが求められているということを、雇用管理面 の対応というのも、もちろん制度として非常に重要なので、それと風土ということがもう1 行入ってくるといいのかと思いました。 ○岩男座長 岡田委員はいかがですか。 ○岡田委員 今日はずっと考えていて、皆さんの話をもう3頁以上メモしているのですが、 自分の中でこれだという切り口があまり見つからないので、まだご意見を聞かせていただ こうと思います。 ○小室委員 私は岡田さんに聞きたいと思ったのがあって、ここに「体重のコントロール」 と入っているのですが、体重がすべてではないと思って、筋肉と脂肪の割合など、いろい ろなことを表現する、もうちょっと良い言葉がないのかなと思ったのです。体重ばかり減 っても人は健康ではないので、体重をコントロールするというより、健全に暮らしていく 上での良いバランスみたいなことを。 ○岡田委員 こういう提言で書くときは、総花的に、そのようにすべてに結構な表現にな ってしまうから、私はあえて「体重」と制限したのです。結局、提言としてまとまりがい いことを目指すのであれば、小室委員のおっしゃるとおり、筋肉、栄養、生活習慣、すべ てのバランスをとった表記にするのがいいと思います。ただし、そういうことを求めよう としたら、「みんな健康になりましょう」と書いても、健康になれない。どのようなルート を通って健康になるのかというのが提言のあり所というものなので、私としてはあまり総 花的に書くと、結局誰も読んでくれない提言書になってしまうと思ったので、このように。 ○石川委員 「病気になるのはやめましょう」というようなものですよね。誰もなりたく てなったわけではないので。 ○岩男座長 提言にいく前の所で、14頁に長期休暇の普及・定着について書かれており、 前の頁から続いているわけです。そこに、「さらに」というところで、既に述べられている ことの重複のようなことが追加されておりますが、私が意図したことと少し違うような気 がしております。私が意図したことは、長期休暇が普及・定着をすれば、いま小室委員か ら問題として言及があった、育児であるとか、介護であるなどといったことに関する職場 での不公平感が、いま1つのネックになって、そういうものが取れないという状況がある わけです。  長期休暇という形で、それを育児に使おうが、介護に使おうが、遊ぼうが、学校へ行こ うが、何をしてもいいのですという形で、誰もが使えるものとなれば、該当者がすべての 人になるわけですから、そこで不公平感もなくなっていくということで、長期休暇が定着・ 普及することのメリットとして、もう1つこういうことがありますということを書き加え ていただけたらいいのではないか、ということを申し上げたのです。私の説明がちょっと うまくいかなかったようですので、重複している部分は、むしろ追加していただいたこと の意味があまりはっきりしないように思いますので、取ってしまって、もしよろしければ、 いまのようなことを付け加えさせていただければと思っておりますが、いかがでしょうか。 ○石川委員 要するに介護が必要なら、介護をしたいときに1年なら1年取る。もう一度、 勉強し直したければ、学校に行くために1年取る。そのように好きなように使えばいいの だということですね。 ○岩男座長 そういうことですね。個々人がコントロールできる。 ○石川委員 誰でもが決まった期間が取れるような。 ○岩男座長 そうすれば、私はもう親もいないし子どももいない、独身なのにというよう な不満が解消すると思うものですから。いまのような点はいかがでしょうか。古賀委員も よろしいですか。 ○古賀委員 結構だと思います。 ○高階委員 それはこの間座長もおっしゃった、そうすると逆に会社にとってはその分だ け、例えば定年延長をするのかどうかというような、つまりマイナスになるわけですから。 17頁に追加の線の所で、長期の育児休業や介護休業と特定してありますが、それだけでは なくて、いろいろな形で可能かどうか、経営者の方のご意見もあるのです。それも考える べきだと、そのように合わせていかないと。 ○岩男座長 そうですね。そうすると、うまく整合性がここへも。 ○高階委員 出てくる。それだと結構だと思います。 ○岩男座長 それでは、<提言>のほうに進みたいと思います。清家委員、よろしくお願 いします。 ○清家委員 私は本文の所はよく読んできたのですが、提言の所は前とあまり違わないか なと思ってよく読まなかったので、今日ちょっと読んだのです。前10個あったのは確かに 多すぎると私も言ったのですが、このようにまとめられると、またちょっとぼやけてしま うかなという感じもあります。私はむしろ先ほど石川委員が提案されたように、いまこの 所でまとめられたものですと、幼年期と青年期と壮年期とか、そういう時代区分と、体を 鍛える、スポーツなど、要するに世代区分別の提言と項目別の提言が混じっているので、 むしろ石川委員の整理のように、子どものとき、それから青年期、壮年期、あるいは老年 期という分け方にして、その中にいろいろなスポーツも入ってくるでしょうし、学びも入 ってくるでしょうし、自由時間の活かし方みたいなものも入ってくるというようにしたほ うがいいのではないかと、まず1つは思います。  そうすると、この5つの分け方ではなくて、石川委員のような3つぐらいの分け方か、 あるいは例えば子どもの時代は世間を知る、若者の時代は自分を磨いて自分を知る、壮年 の時代は自分を活かす、できるだけ長く活かす、そして老年の時代はまた世間に出るとい うぐらいの分け方で、その中に具体的な話として、スポーツとか、健康に気を付けるなど というのが入ってくるほうがいいのではないかと、ちょっと思いました。特に私はこの< 提言1、2、3、4>ぐらいまではわかるのですが、急に5の所でスポーツとかカロリーの話 などが出てくるのが、何かちょっとディメンジョンが違うのではないかというように、そ こは揃えてもらいたいなと思います。  むしろ提言の所はこんなに何行も書かないで、せいぜい3行ぐらいの骨太のラインを示 して、そのあとに進めるべき具体的取組例として、いろいろなことを書いたほうがいいと 思います。たぶんこの前の10個というのは、進めるべき具体的取組例をいろいろ入れたい ので、10個ぐらいになってしまったと思うのですね。それは確かにあまり良くないのです が、提言をもしすっきりさせるのであれば、どういうラインで提言を分けるかというので 言えば、幼年時代、青年時代、壮年時代、老年時代みたいな分け方にして、むしろ何かを 学ぶとか、仕事をするとか、体を鍛えるなどというのは、その中に含める項目にしたほう がいいかなというのが私の意見です。 ○岩男座長 資料2としてご覧いただいている、これはいまおっしゃったような、どちら かというと幼年期。 ○清家委員 そうですね。こういう感じで提言も整合的に書かれたらいいのではないかと ちょっと思いました。 ○小室委員 位置づけがよくわからなくなる。何と何なのですか。これは外向け用で、こ れはPR用。 ○岩男座長 石川委員がお出しになったものと、資料2ですか。 ○小室委員 資料2が提言とほぼ一緒なのかと思ったのですが、微妙に違って、私が一般 国民だとしたら、たぶんこの2つの位置づけがわからない。 ○村山企画官 資料1の4章を中心として、全体を要約したのが資料2のつもりですが、 唯一、直接つながらないのは、いまの話で言うと、世代別ではなくて横串の話になってい る基本的な考え方と提言の5の所で、例えば資料2のいちばん上の四角の中に、「このため、 国民一人ひとりが健康で充実した暮らし」というように盛り込んでおり、そういった意味 ではもし先ほどの清家先生のご提言、あるいは小室先生のご疑問に答えるならば、本体の 提言もこのような形で書き直すべきかとも思っております。それは先生方のご議論で決め ていただければ、その方向でやらせていただけると思います。そういった意味では、前回 からいろいろなご意見を同時並行的にいただいていたものですから、資料1の4章と資料2 が必ずしも十分整合していないところは大変申し訳ないと思っています。よろしくお願い 申し上げます。 ○残間委員 私も先ほど4章は資料2のようにまとまっているものだとばかり思っていた ので、飛び越していたのですが、清家先生の話でいま読み返してみたら、やはりこれは混 乱しますよね。 ○高階委員 それはそのとおりだと思うのですが、最初に問題になった、これは誰に読ま せるかということで、若い人にも読んでほしいと。だから、当然若いときにとか、年とっ た社会人にだって読んでほしいという形でならばいまいくのですが、同時に例えばまちづ くりをどうするとか、あるいは制度をどうするとか、雇用の制度などということになると、 もう年齢とは別ではなくて、どこでどういうまちづくりをしたほうがいいかとか、この問 題はこの年齢層だけということでは全くないわけですよね。その場合、リ・デザインとい う点を強調して、人生設計をいろいろ考えるのだということならば、いまのあれですが、 そのリ・デザインは同時に、やはり政策もあるし、まちづくりもあって、いまのお話の場 合に、健康問題もそうですが、どこに入れるのか。文化施設を充実させるというのも、も ちろん全部にかかわってくるし、入れ方がちょっと難しくなってくるのかなという気がし ます。逆に、ここでいま問題にした、読む人を意識すればそれでいいのですが、逆に人生 を輪切りにしてこうしなさいという提言みたいになってしまうのは、ちょっと具合が悪い かなという感じがします。 ○清家委員 高階委員の言われるとおりなのですね。つまり、対象とする人がいて、それ から項目が教育、スポーツ、健康、社会参加などあって、問題がマトリックスになってい るわけでしょう。マトリックスになっているわけです。だから、本当は提言はマトリック スで示せば、いちばんコンシステントなのでしょう。ただ、マトリックスで示したのでは、 たぶんごちゃごちゃしすぎるということで、何かの軸で切ったほうがいい。ただし、言わ れたように、そこは私も全く同感なのですが、子どもの時代だけで完結する話とか、壮年 の時代だけで完結する話ではないのですよと。つまり、これは4つあるのですが、縦に全 部読んでくれなかったら意味がないのですということをちゃんと書いて、提言すべきだと 思うのです。子どものときにはこれをしなさい、壮年期にはこれをしなさいと。むしろそ ういうのではないのだということを、繰り返しその前の所で言っているわけなのですから。 ただ、これは分け方として、石川委員のこういう分け方がわかりやすいということだと思 います。  もう1つ言えば、あまりこれもステレオタイプなキャッチフレーズになってはいけない のですが、例えば子どもの時代というと世間を知るといったのは、結構良いフレーズだと 思うのです。それから、若者の時代は自分を磨き、知る。年をとったら世間に出られる、 あるいは壮年の時代は自分を活かすなど、そういうキャッチフレーズと結び付いて、この 提言を示し、しかも縦の問題としてはつながっているのだというようにしていただければ いいのかと思います。もし自分が論文か何かを書くのだったらマトリックスにして、しか もこの辺はウエイトがいちばん大きいなどというように書きたいのですが、それはちょっ とごちゃごちゃしすぎるから、こういう分け方かなと思ったわけです。 ○岩男座長 子ども時代は、青年時代はというように区切ってしまう、固めてしまうのは、 私たちの趣旨に反するのだと思いますね。つまり、生涯現役でという。ですから、この表 現、つまり「子どものころから」とか「若いころから」などという表現だと、私はいまの 問題が解決できるのではないかと思って、とてもいい表現ではないかと思ったのですが、 ご自由にご意見をどうぞ。 ○石川委員 下書きを書いた当人として申し上げますと、これも30分ぐらいで慌ただしく 書いたので、読んでいるうちに私もいろいろ自己批判があって、私の気持としては子ども のころからですね。子どものころからというのはとてもいいですね。世間を知る機会があ れば、提言2で「職業人になってから自分を知ることができて」、それでこのような。つま り、切るのではなくて、第1段階を経ると第2段階になりやすくて、第2段階を経ると第3 段階になりやすくて、ちょっと飛びますが、提言3で、いま「できるだけ自宅で最終章を 迎える」というのは、残間さんのように迎えたくない方もいらっしゃるので、できればぐ らいの、別にこれは大した権威のあるものではないですからいいのですが。ですから、私 はいちばん最初こういう切り方をするのに考えたのは、私自身、別に自分は年とはあまり 関係なしに暮らしてきましたし、それはよくわかるのですが、とにかくいま清家先生がお っしゃったように、あまりいろいろなことを書くと、とにかくわからなくなってしまうの ですよね。ですから、子どものうちから、できるだけ世間を知るようにする、あるいは機 会を与える。提言2は、そうすれば、職業人となってから、できるだけ自分を知ることが できて、第一線を退いてからは世間に出られるようになるという、そのひとつながりの3 つのステップと考えていただいたほうがいいのではないかと思います。 ○古賀委員 第一線を退いてから世間に出られるよというのが、少し私は違和感があるの です。この人生85年ビジョンで、まさにいま座長がおっしゃったように、85年をそれぞれ の人がそれぞれに第一線を生涯現役としてやっていこうではないかということなのですよ ね。 ○石川委員 これは職業の第一線という意味です。 ○古賀委員 そして、先ほど茂木さんからも、会社人ではなく社会人たるべきがやはり職 業人なのだということもおっしゃったわけで、その辺が世間に出るというのは、まさに職 業人でも世間に出なければならないわけですよね。 ○石川委員 それが出ていないのですよね。 ○古賀委員 そこをリ・デザインしないと駄目だということを、ずっと書いていたのでは ないかという気がするのです。そういう感じがして、本文の提言4の24頁にもいちばん最 後にそういう表現があるので、この辺りは少し議論を深めておいたほうがいいのではない かという感じがします。 ○石川委員 それでは、第一線を退いてからではなくて、職業を退いてからという意味な のです、これは実際。周りを見ていると、定年退職をして会社を離れてしまうと、何をし ていいかわからない人は多いですよね。 ○茂木委員 「第一線を退いた人も」と書いてありますから、第一線で働いている間は当 然、世間に出ていなければいけない、また会社の中だけではなくて出ているわけですね。 それで、退いてしまうと、いままでの日本の社会では、要するにそういう場がなくなって しまうと。だから、「も」になっているから、いいのかもしれませんね。第一線を退いてか らではないのですね。 ○石川委員 だから、退職してからですね。 ○残間委員 いまの議論と違って先ほどの「から」なのですが、個別的なヒアリングがあ ったときに、やはりこれは世代の手引を書いているのではないので、連環するなり循環す るということで、「から」を使ったらどうというので、たぶんここに来ているのですよね。 「から」はまさにそこからつながっているということの認識だったということを一言付け 加えさせていただきます。 ○村山企画官 いまの残間先生のご説明に付け加えて、先ほどの石川先生のも絡むのです が、そういった意味では資料2は、「から」でそれぞれ1と2から始まって、最後の所はあ まりはっきりとは書いていないですが、ぐるっと回るというか、生きる知恵や経験を世間 で活かして、言ってみれば子どものころから、若いころからのためのサポートに回る先導 役になってくださいと、そういう気持を込めて「から」、「から」で始まって、最後でぐる っと回って、そこで終わりではなくて、また1、2の所へ戻るのだというイメージで作らせ ていただいたということを付言させていただきたいと思います。そういう意味では、先ほ どの石川先生のことに関してもそういったことで読んでいただければと思っています。 ○清家委員 いまの村山さんの話でとてもよくわかったのですが、この資料2がすごくよ くできていると思うのです。だから、この資料2をちょっと肉付けして、提言のほうにし てもらえないかと。そうするととても良くなると思いました。 ○岩男座長 この資料2で整合性をとったものを、本文の提言にするということ。 ○古賀委員 資料2でもいいのではないかと思います。このぐらいの1行か2行ぐらい。 ○岩男座長 資料2はとてもよくできていると、私は個人的には思っております。 ○清家委員 私もそう思いました。 ○茂木委員 これは単なる形式的なことなのですが、資料1があって、最後の章に提言が1、 2、3、4、5とあって、資料2でまとめていただいて項目が4つしかないと、何となくわか りにくいですよね。だから、どちらにしても、提言部分を要約版として作る、あるいは要 約版を提言にしてしまう、私もそのほうがいいと思いますね。 ○岩男座長 この資料2に基づいて、本文の提言を作るという。 ○小室委員 この資料2が素晴らしいので、いちばん最初に1つ入れたほうがいいと思っ たのは、本文の資料の2頁の上から2つ目のパラグラフの所で、「この60年余りで平均寿 命が30年のびた」と書いてあるのが、結構衝撃的というか、友人に聞くと、この何十年か でそんなに寿命が延びたなどという認識がないのが、大体私たち世代の人間の感覚らしい ので、それをこのいちばん上の所に、この60年で実は日本人の寿命は30年延び、そして 人生85年時代を迎えましたという急激な変化が、この60年であったのだということを入 れて、人生85年時代は変わらなければいけないということを入れないと、何で85年時代 にリ・デザインをしなければいけないのかということそのものが、若い世代にはこの人生 85年時代がいつから始まって、いつごろは寿命が何年だったのかなどという認識がないの で、それが入るといいのかなと思いました。皆さんいかがでしょうか。 ○清家委員 いいですね。 ○石川委員 やはり若い方はわからないでしょうね。だから、それがいいと思う。我々は 人間がどんどん死ななくなるのを見ながら年とってきたから、当たり前だと思っているけ れども、それはやはり入れてくださったほうがいい。 ○岩男座長 資料2に例えば先ほど石川委員からお話、あるいは石川委員の資料にある世 間を知るという言葉をうまく入れ込む、あるいは文化の所も、もっと生活文化に広げてい るということで、○で表されている部分をもうちょっと直していくということでよろしい ですか。 ○石川委員 資料2の1の「他者に支えられていることを学びながら」ということが、要 するに世間を知るというのはそういうことなのですね。だから、どちらの表現がいいかは、 役所のほうでお決めになったほうがいいのではないかと思います。 ○川勝委員 ほかの先生方のお話を聞いていても、「世間という言葉がいいですね」という 感じですね。そうすると、いまヨーロッパのことを研究していたアベ先生でしたか。 ○高階委員 あべしんやさん。 ○川勝委員 世間という中に入っている知恵を見直そうということも言われていますので、 そうしたことも踏まえると、いま石川さんのおっしゃった他者に支えられていることを学 びながらというところを、世間という言葉を入れて、例えば「子どものころから文化を学 び、世間に触れる機会を増やして、自分づくりに励もう」とか、そのように世間というの が最初に入るといいかもしれません。日本の生活文化、これを概括した言葉が世間ではな いかと思うのです。だから、私は石川さんの言われる「他者に支えられていることを学び ながら」という所を、「世間」を入れた表現に変えたほうがいいと思います。 ○石川委員 他者だけだと、ちょっと狭い感じがしますね。世間のほうがもうちょっと広 いと、私は自分で書いたのだからそう思っていますけれども。 ○岩男座長 ほかに表現をどのように直したらいいかということで、ご意見がありました らご発言いただきたいと思います。1に「世間」という言葉を入れるということにしたいと 思いますが。 ○小室委員 「トライアスロン型の生涯現役の社会」というのが、これだけを見てわかる のか、若干心配です。 ○清家委員 これはちょっとくどいですよね。トライアスロン型は要らないのではないで しょうか。生涯現役社会。 ○小室委員 上の黄色い枠の上から4行目の右側辺りに入っている言葉なのですけれども。 ○清家委員 私もそう思います。しかも、リ・デザインが出てきたあとに、またトライア スロンとなると。 ○残間委員 トライアスロン型というのは、いろいろ種目が変わってもいいというのです か。 ○清家委員 それは私の発言なのですが、それは要らないので削除してください。 ○岩男座長 ただ、生涯現役というと、働くことだけと受け止められるといけませんので、 そこのところをもう少し何か修飾を入れて、別に働くことだけではないので、楽しむこと、 学ぶことなど、さまざまな領域において生涯現役ですから。 ○清家委員 では、「仕事、生活、遊び、すべての面での生涯現役社会」とか。 ○茂木委員 ちょっと戻って、資料2の1に「世間」という言葉を表題に入れたほうが確 かにすっきりすると思うのです。おそらく村山さんのほうで、「他者に支えられていること を学びながら」と入れていただいたのは、私が今日も申し上げた、時々強調した自分一人 で生きているのではないのだと、社会の中で生きるのだということを盛り込んでくださっ た結果だと思うのです。もし表題ではなければ、あとのこの3行のどこかへ自分一人で勝 手に生きているわけではないのだということを入れていただいたらいいかもしれませんね。 例えば2番目の辺りですね。 ○残間委員 私は、資料2で言うと、表題の所はあまり言葉が重ならないほうがいいと思 うのです。「世間」というのは、確かにこれもまさしく役所言葉には出てこない新鮮な響き を持っているのですが、説明しないとなかなかわからないことでもあるので、「子どものこ ろから」に「世間」が入ってくると、ちょっと飛びすぎかなという気もします。むしろこ こは「他者に支えられているということを学ぶ」というぐらいがちょうどいいような気は しますが。 ○岩男座長 「世間」は4には入っておりますので、4の表題には「世間」が入っているわ けです。 ○高階委員 昔なら1の「他者に支えられて」を「世間様のおかげで」という言い方にな ったので、お役所にはあまりあれしないかもしれませんが。 ○清家委員 1は確かにこのままでいいのではないですか。4に「世間」が入っている。 ○岩男座長 そうですね。4に「世間」が入っておりますので。 ○高階委員 ということは、いま資料2を肉付けしたり変えたりしながら、最初に送って いただいた提言に変えるというやり方ですね。それで結構だと思うのですが、これはむし ろ私の年だからあれなのかもしれませんが、前のときにずっと読んでいて、特に感じた。 ここでもそうなっているのですが、4つぐらいならいいのかもしれない。4つのあれで「他 者に支えられて自分を学びながら、自分づくりに励もう」となっていて、それから「交流 していこう」、「生き方をしよう」という文末ですね。最初の提言のときだと、これが提言1 つの中に何々していこう、いこうと、何となく団体旅行でワーッと旗を振って、さあ行き ましょうというか、お手々つないでのような感じで、単純に励むとか交流することとか発 揮を探るなど、言い切ってしまったほうがというのは、私が年でもう老齢に差し掛かって いるせいなのかもしれません。ちょっとそういう印象を持ちました。 ○岩男座長 いまのご指摘の語尾も含めて、ご意見がありましたらどうぞ。 ○石川委員 やはりこれはちょっと子どもっぽいですね。ですから、「励む」、「交流する」、 「発揮する」、「生き方をする」で。 ○高階委員 そのほうがお役所としては、柔らかい言葉という感じではあったのでしょう が、何となくお手々つないでのような感じ。 ○清家委員 戦時中のポスターみたいな感じ。 ○岩男座長 では、きちんと「励む」、「する」という形に書き直すということで、ほかに それぞれ3つ・4つずつ○が挙がっておりますが、これについて何かご意見がありましたら どうぞ。 ○高階委員 いまのあれはもちろん、「いく」、「する」、あるいは「生き方をしよう」は「生 き方を探る」でも、「求める」でもいいかもしれません。その辺はちょっと流れで考えてい ただきたい。 ○石川委員 4番目は、いまおっしゃったように、「生き方を探る」ぐらいのほうが、最後 の全体の締めとしてはニュアンスが深くていいような感じ。 ○岩男座長 いまのご提案のようにさせていただきたいと思います。 ○川勝委員 4番目ですが、「生きる知恵や経験を世間で」というのを仮に取って、「経験を 活かし、人のため、世間のために役立つ生き方をしよう」。通常、人のため世のために生き ると言うでしょう。ですから、それを活かせるだけの知恵や経験を持っていることは高齢 者の特権ですが、世間で活かし人のために役立つ生き方。 ○石川委員 おっしゃるとおりですね。 ○岩男座長 私も、いまのご指摘のほうがいいように思いますけれども、いかがでしょう か。そのように変えさせていただくということで。 ○清家委員 この2ポツの下の○の具体例の所に、いままでさんざん育児や介護等を両立 する働き方などという話が出てきたのですが、ここの所にどこか出てくるでしょうか。 ○岩男座長 3の表題のほうになっているわけですね。 ○清家委員 それではいいです。わかりました。 ○茂木委員 具体的には「長時間労働」云々とも書いてあるのです。だけど、折角だから、 ここに育児や介護という言葉が入ると、より具体的になるかもしれませんね。 ○清家委員 そうですね。「育児や介護など、家庭生活と両立し得る」ような長時間労働の 抑制ですね。 ○茂木委員 それを「長時間労働」云々の前に入れますか。 ○岩男座長 あまり数をこれ以上増やさないようにしたいと思いますので、いまの清家委 員のご提言のような形で。 ○清家委員 ごめんなさい。でも、そうすると、「長時間労働の抑制」は別に家事や育児と の両立のためだけではなくて、あまり限定するのはよくないですね。一般的に必要なこと ですから。確かにそれはそうですね。わかりました。 ○岩男座長 川勝委員がおっしゃった、女性が前面に出るというところは、ここからなか なか読み取れないかもしれませんけれども、いかがでしょう。めどきの話。 ○茂木委員 何か一言か二言で3の所へ入りそうですね。それは座長にお任せします。 ○石川委員 2の2つ目の「採用から退職」の所の前のほうに何か入れれば、何とかなりそ うな気がしますけれども。 ○高階委員 年齢や性別で区切らない雇用システム、性別や年齢、どちらでもいい。 ○岩男座長 そうですね。それは是非。 ○石川委員 これがよくできているから、あまり崩したくないから、なるべくこれに削る か載せるかして。 ○清家委員 性別は。 ○石川委員 もう言わなくてもいい。 ○清家委員 いや、この2ポツの所に1つ○を入れたらどうですか。 ○岡田委員 いまのいちばん前のほうに「性別や年齢で採用や退職まで」というように、 前へ持ってくるほうが。そうすると、何かメインのパラグラフみたいな形。 ○茂木委員 くどくて申し訳ありませんが、いま日本の特にこれからにとって、少子化問 題、介護の問題は極めて重要だと思うのです。ですから、その2つのキーワードとでも申 しますか、どこか3の所へ盛り込んでいただいたほうがいいのではないか。ただし、「長時 間労働の抑制」は、もちろんそれだけではなくて、個々人の人生をより充実させるために も必要なのですが、少子化、育児、介護だけのためにというニュアンスになってはいけま せんが、極めて大事なテーマといいますか、日本社会にとって重要な課題であるだけに、 何かほしいなという感じがするのですけれども。 ○石川委員 それでは、「長時間労働の抑制およびもう1つの何かに向けた労使の取組の促 進」とすれば、1行に入ってしまうのではないでしょうか。どちらが先でもいいですけれど も。 ○小室委員 「柔軟な働き方」という言葉を入れて、育児と介護の話を入れたら、○が5 個になってしまうのですが、どれを消すというわけにもいかない気もするのです。長時間 労働とくっつけてしまうと、何となく長時間労働はやはり育児・介護のために抑制するの かとなってしまうので、ここはやはりこれだけで残したい気がします。もし追加するとし たら、「育児・介護などの人生のいろいろなステージを経ても働き続けられる柔軟な働き方 を構築する」などという、「育児・介護・学びなどを経ても、生涯のキャリアをステップア ップしていける柔軟な働き方を構築する」など、何かそういうものが1項入るといいかな と思います。 ○岡田委員 あまり入れすぎると、3が3の1、3の2というように分けるしかなくなって しまいます。たぶんそれは分けるしかなくなるというか、本当はそれぐらいの分量がある べきことを、すごくまとめがうまいから、3の4行でまとまってしまっているので、何か入 れるとしたら3辺りに入れるしかないですよね。 ○清家委員 3の最初の○などは、2に入れてしまってもいいのではないですか。 ○岩男座長 フリーターなどに対する支援の話ですね。 ○清家委員 フリーターの話を2に入れれば、3にあと1つ増やしても。 ○岡田委員 そうすると、3は「生活と仕事のバランス」だけで作れるわけですね。 ○清家委員 すっきりしますよね。 ○岩男座長 そのように変えることにしたいと思います。 ○清家委員 そうすると、2に正社員、フリーターを入れて、3に先ほど小室委員が言われ たような柔軟な働き方で。 ○高階委員 そうすると、4の最後で「老いや介護の問題にも」とまた出てくるのですが、 ここはやはり少子化なりあれがあるのですか。特にこれは住まいづくりだけにという。 ○岡田委員 少子化に配慮した多様な住まいづくりと言うと、変な話になってしまいます よね。ベッドルームは1つにしておけとか、そういうことになってしまいますから。 ○岩男座長 全部をここには盛り込むことができないですね。これはいわば例示的に。  ですから、より良い人生というか、より充実した人生にこれ全部がつながっていく、と いうメッセージが最後に来たほうがいい。残間委員、何かうまい表現で。 ○岡田委員 ちょっと話を戻してしまうのですが、「少子化問題で配慮した」とするのだっ たら、シングルファザーやシングルマザーをサポートするみたいなものが、まちづくりな のか、もしくは周りの地域社会のあり方なのかわからないですが、そういうものがあれば、 4の中に入れる意味はあると思うのですが、あまり良い表現を思いつかないですね。いわゆ る少子化に対して、ちゃんとした家族をつくれではなくて、昔型のちゃんとした家族では なくて、これからいろいろな家族のあり方があるので、ちゃんとした家族をつくれないか ら子どもを諦めようではなくて、という流れが作れればいいのですけれども。 ○小室委員 4の2つ目の○に書いてあることが、地域で支えるという意味かなと思うので、 2つ目の○と3つ目の○を逆にしたほうがいいかなと。住まいづくりで最後が終わるよりも、 地域が総合的に、若い世代もシングルマザー、シングルファザーの世代も支える仕組みに なっていく、という終わり方のほうが、順番としていいかなと思いました。 ○岡田委員 何か企業と行政と地域と、3つでそれを支える形という提言があれば、いちば んいいです。三重構造で育児を支える。育児だけではなくて、たぶん子どもを育てること。 その辺は老いや介護も込みでやってしまえば、この3つ目の「配慮した多彩な住まいづく り」と、これだけ抽象的で曖昧なものなので、そっちのほうに切り替えたほうがいいと思 います。この期に及んですみません。 ○清家委員 でも、4つぐらいでいいですよ。 ○岡田委員 ここから先は来年以降の課題ということで。 ○岩男座長 やはりできれば1枚紙にまとめる。無理であってもということで、実はもう 予定の時間が来ておりますから、いまご指摘のあった最後の部分について、どこまでお応 えできるかわからないのですが、一応今日で取りまとめということです。大変恐縮ですが、 最後の所はお任せいただいて、またその過程でご意見を伺うことがあるかもしれませんが、 その際には是非ご協力をいただきたいと思います。大変活発なご議論をいただきまして、 本当にありがとうございました。また、個人的にも私は多くのことを学ぶことができた大 変有意義な懇談会であったと思っております。皆様のご協力に心より御礼を申し上げたい と思います。ここで、事務局から一言ご挨拶がありますので、次官どうぞよろしくお願い いたします。 ○江利川事務次官 岩男座長をはじめ、先生方には大変ありがとうございました。本来、 大臣が出席していれば、大臣から御礼の挨拶を申し上げたいところですが、別の公務があ りまして出席できないということで、大変申し訳ないと思います。  人生80年時代と言われて大変久しい。しかし、その80年時代と言われて久しい間に、 いろいろな課題が積み重なってきているわけで、人生85年ビジョンを考えていただくとい うのは、そういうものを乗り越えた新しい視点をつくっていただきたいということで、先 生方にご議論いただいたわけです。当初、私どもも何が出てくるのか、全く見当がつかな かったわけですが、大変経験豊富な、あるいはいろいろな意味で人生をお考えの方々のご 提言がありまして、大変豊かな議論、中身のある提言ができたのではないかと思っていま す。  私自身も、1回目は出られなかったのですが、2回目以降、毎回出席させていただいて、 例えば年齢で輪切りをするようなものの見方を乗り越えていこうとか、昔「自分探し」と いう言葉がありましたが、「自分づくり」がいいのではないかとか、ハッとするような言葉 がたくさん出てきました。そういう言葉の中で私自身も大変刺激を受けまして、良い勉強 をさせていただいたと思っております。  今日出ました意見は、先ほど座長のお話がありましたように、相談させていただいて、 整理をして、近くまとめさせていただきたいと思っております。また、当初に事務方から 説明しましたように、この提言をできるだけ幅広く世の中に訴えていくようにしていきた いと思っています。たぶん多くの方が啓蒙される中身が豊富にあると思っておりますので、 そういう意味で国民へのメッセージに活用させていただきたいと思います。  また、最初に大臣のご挨拶にありましたが、ある意味で厚生労働省改革元年ということ で、ロゴマークを考えていこうと。これは国民の皆様方から提案をしていただいて案を作 っていくものですが、その審査というか、何がいいかということを85年リ・デザインです か。リ・デザインという言葉で、ビジョンと当初思っていたのが全く違った新鮮な意味を 持つような感じがして、そういう目でこのロゴマークについてもまた一度お知恵をいただ きたいと思っております。大変お世話になりましたことを重ねて御礼申し上げまして、事 務局からのご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。 ○岩男座長 昨年の12月19日から、7回にわたってこの会を開催してまいりまして、皆 様方から本当に貴重なご意見を活発に頂戴いたしまして、改めてもう一度御礼を申し上げ ます。最終的な修正を加えた報告書は、でき次第、皆様のお手元にお届けをし、近日中に 記者発表をしたいと考えております。 照会先 政策統括官付労働政策担当参事官室 調整係 内線7715