08/04/25 平成20年度第2回介護労働者の確保・定着等に関する研究会議事録          第2回介護労働者の確保・定着等に関する研究会                     日時 平成20年4月25日(金)                        13:00〜                     場所 職業安定局第1会議室 ○大橋座長 ただいまから、第2回介護労働者の確保・定着等に関する研究会を開催い たします。本日、委員の方々は全員ご出席です。本日は公開で、業界関係者からのヒア リングを行います。本日のヒアリングに至った経緯ですが、前回の研究会で、第2回以 降の研究会の議論の進め方について、参集者の皆様方にご意見を伺いました。その上で、 以降の研究会ではヒアリングを行っていくことについて、参集者の皆様方からご了解を いただいておりました。これを踏まえて私と事務局で、今回の研究会でヒアリングを行 う団体を調整させていただきました。なお、前回の議論でご指摘をいただいた介護労働 に関する現状及びその分析に必要な追加資料については、関係者からのヒアリングがひ と通り終わった段階で、事務局より委員の皆様方に提出させていただきたいと思います。  それでは早速、関係者からのヒアリングを行います。本日は介護労働に関する団体の 代表として、全国老人福祉施設協議会、日本在宅介護協会、全国老人保健施設協会の各 団体からお越しいただいております。本日のヒアリングの進め方ですが、まず事務局か ら事前に送付させていただいている質問項目に沿って、それぞれ20分程度でご説明を いただき、その後10分程度で質疑を行いたいと思います。まずは配付資料の確認を事 務局からお願いします。 ○佐藤介護労働対策室長補佐 お手元に本日の座席表、議事次第、資料1としてヒアリ ング対象団体の出席者名簿、資料2としてヒアリング対象団体の概要、資料3として「業 界ヒアリング説明資料」ということで、3団体それぞれの質問項目に沿った資料が付い ております。また、資料4として社団法人全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設 協会から、参考資料として配付いただいております。 ○大橋座長 それでは、まず全国老人福祉施設協議会からご説明をいただきたいと思い ます。総研運営委員会介護員長の桝田様からお願いいたします。 ○桝田様 お手元にお配りしたヒアリング提出資料のほうで説明させていただきます。 いま特別養護老人ホームで抱えております課題、問題点などを中心に説明させていただ きます。  まずは特養の現場のほうですが、入所者の重度化の問題が、いちばんの課題になって きております。平成14年から平成18年では3.52から3.78と、要介護度が上がってき ました。それに伴って職員配置のほうも増加しております。やはり重度化しますと、職 員の人数を補っていかないと、ちゃんとした介護サービスの提供ができないという状況 がありますので、同時に職員増が伴ってまいります。  重度化とともに、今回のいちばん大きな課題は、医療の処置が必要な方が非常に増え てきたということです。経管栄養、胃ろうの対象者が12%、喀痰の吸引処置の方が10% 余り、褥瘡や創傷の処置の方が23%というのが、老施協の調査でも出ております。  そこで介護職と、いわゆる看護職の職員配置の問題が出てきます。特別養護老人ホー ムでは大体3人から4人の介護職員が、1つの施設で採用されています。そうすると、 24時間看護師がいる体制にはなっていないということで、日中だけの対応になってきて、 医療的な行為について、いろいろな問題が起こっています。グラフを見ていただくとお 分かりのように、例えば喀痰の吸引についても、経管栄養の胃ろうについても、看護職 員であれば一応可能だけれど、介護職員には許されない、法的に抵触するという問題が あります。  ただ、ここに入れておりますグラフは、この2つの調査自体、常態として行っている ということではありません。施設の調査をしたときに、「しなければならない事態があり ましたか」という問いかけになっています。つまり、常時は看護職員において、こうい う医療的行為をしているが、緊急的にやむを得ずしなければならないケースがどの程度 あったかという調査です。そうしますと半分以上の施設で、何らかの場合に介護職員が 医療的行為をせざるを得ないことが常時あって、これからも非常に高まっていくだろう、 そうすると介護職員にとっては生命を守るためにしなければならない行為で、それはそ れで仕方を教わっていくのはいい、しかし法に触れる行為まで私たちがしなければなら ないのかというジレンマと、不安を常時抱えております。そこが今の介護職員の1つの 大きな不安要素となっております。  もう1つは平成18年度の改正において、介護保険制度が変わって、いろいろな報酬 体系が変わってまいりました。その中でも加算体系が非常に増えました。そうすると、 その加算体系の中で介護職員がしなければならない、いわゆる事務的な要素の部分が非 常に増えてきました。重度化対応加算、看取り介護加算、個別機能訓練加算といった、 計画書を作成するときからかかわっていく部分です。すべての計画がチームで行われ、 あらゆる職種が共同で計画を作ってまいりますので、計画を作る時間や実施に至るまで の部分、家族に対する説明・同意の時間というのが非常に増えてきました。当然記録に 関しても、いままでの記録とは違って、加算を取るために必要な要件の記録というのが 増えてきました。  その部分で、介護労働者の労働時間の円グラフを付けております。ただ、今回はサン プル調査で実際にやってみたケースです。1分間タイムスタディーの数ケースの中から 作っておりますので、具体的な数字までは出ておりません。平成20年度には老施協総 研のほうで、きっちりした部分のデータを出すつもりでおりますが、いろいろな調査を してみると、どうも食事、排泄、入浴、移動まで含めた介護の基礎的な部分が、トータ ルで50%を超してきております。いわゆる基礎的な介護、体力が必要な介護の部分が半 分以上のウエートを占めているということです。  もう1つは、掃除なども入ってきますが、いろいろな計画を練ったり、研修を行った り、事務的な記録を取ったりといった間接業務が、30%余りの料域を占めています。そ うしますと、介護職として自分がいちばんやりがいを感じている、社会的な支援であっ たり、生活支援であったり、利用者と直接触れ合って、人間と人間とのかかわりを持っ ていく部分というのが、いまは5%ぐらいしか取れていないのではないかと思います。 重度化とともに基礎的な介護の時間が増えていって、利用者と触れ合う、一緒に楽しむ という、介護職員がやりたいと思って入ってきた、寄り沿った介護という部分が減って きています。そういう部分があって、重度化とともにやりがいがなくなってきています。  そのため、介護職の離職というのが、非常に大きな問題としてのウエートを占めてお ります。これには年収の問題があります。他の産業と比べて少し低めになっています。 それが特に地域的な部分によって、非常に偏っています。大都市部においては、確かに 初任給的な部分、1年目、2年目の採用時の給与は都市部以外と比べれば高いけれども、 離職率が高いというのは、他の産業比較になってくると負けてきます。経営実態調査で も、大都市部は非常に赤字施設が多いという実態がありますので、介護報酬の単価設定 とのかかわりの問題で、大都市部だから高い給料を払ってどうのこうのとなってくると、 それはもう限度がきております。やはり給与ではなかなか面倒がみきれない。昇給的な 部分ができないということがあります。  新しい施設としては、いまユニット型の施設が非常にたくさんできております。ユニ ット型の特徴は、利用者にとってはいろいろと良い面はあるけれども、職員側のほうで は非常に厳しい面が出てきます。要するに、職員のチームが小さいので、1人に対して あらゆる業務をすべてこなせないと、チームの一員として見られないという問題とか、 1人で介護をしなければならない不安といった部分が重なってきて、ユニット型の離職 率が非常に高いという現状が出ております。  全体の動きとしては、いま現在で大体半数の施設が、介護職員が不足しているという アンケート結果が出ております。都市部と郡部とでは、少し違いはありますが、都市部 に至っては65%以上の施設が足りないと。この足りないというのは、職員配置基準の3 対1云々ということではありません。自分の施設ではどの程度の人員配置で、これだけ のサービスをしますという事業計画を定めております。その数字というのが全国平均値 で言いますと、大体2.28対1の職員配置を必要とするということです。いまの介護レ ベルをきっちり維持するためには、最低基準は3対1ですが、実際の運営は2.28対1 を必要とする。  それだけの職員を揃えるためには、事業開始年度の前に事業計画を組んで予算を組み ます。しかし現実にはそれで1年間経ってみると、いわば予算の未消化が起こります。 その部分というのは、職員配置が2人なり3人なり充足できないまま1年間が終わって しまって、その予算が使えなかったことによって、施設側とすれば予想をしていない収 支として、黒字が出てしまって、逆に介護報酬を上げられない原因になってしまってい るということです。  いま現在の介護職員の問題から言いますと、介護の場合は完全な売手市場になってい ます。そうすると、募集をかけていても応募が非常に少ないのです。もう1つの資料に、 愛知県のいろいろなデータを付けております。いまは大部分の施設において、介護職員 の求人を出しています。それでもほとんど応募がないという状況が、かなり続いている というように聞いております。そこの部分で起こってくるのは、求人を出したときの給 与として表示している金額が、もう魅力のある数字ではないということです。当初の数 字から魅力がないから応募がなくなってきているのです。介護労働の部分を、いわゆる 市場的な部分で考えると、足りなければ給与を上げれば、それはそれで採用できるかも しれないけれど、給与を上げるための原資がありません。  現場実態としては、特別養護老人ホームは社会福祉法人が全部経営しておりますので、 例えば育児休業や介護休業といった制度的な部分は、全部取り入れてやっています。実 態として、そうたくさんの方が育児休業や介護休業を取ったというデータは出ていませ んが、どの法人においても、その取組みは十分されております。しかし問題なのは、自 分が長期に休むと、ほかの人に迷惑をかけてしまうのがいちばん心苦しい、だから休む にしてもチームの中を見ながら、自分の育児についても考えていかなければいけないと いうのが実態として起こっております。  報酬ダウンと人件費アップの推移の問題など、いろいろありますが、特別養護老人ホ ームの今いちばんの課題は、1つには経営改革です。社会福祉法人改革を行っていかな ければいけないという部分です。特別養護老人ホームの中でも、やはり身体拘束的な部 分や虐待といった事例が起こってきています。それは本当は絶対的にゼロにしなければ ならないけれども、なぜ起こっていくのか、人材流出が続いていくのかというのは、経 営的な問題として、社会福祉法人を少し変えていかなければ、もう時代にそぐわなくな ってきたということです。理事長や理事の方がいわば名誉職的におられて、その方たち が経営していくという体制では、とても維持できるような状況ではなくなってきていま す。  もう1つ施設側の問題としては、効率化を図るという大きなテーマがあります。ただ 効率化を図るというのは、職員の給与をどうのこうのということで下げるのではなくて、 スケールメリットを活かした経営体にするということです。やはりいちばん必要な部分 は、職員のマンパワーです。十分な介護報酬の中から、マンパワーに回していけるよう な体制を組むというのは、やはり拡大的な部分として、スケールメリットを活かすよう な体制を敷かないと難しいだろうと思います。いま全国的にいちばん多い50人特養を、 例えば30人増やして80床にすることによって、事務部門の合理化など、周辺部分の合 理化をすることで総介護報酬を上げずに、職員採用のほうに持っていけるのではないか と思います。  もう1つは、逆に職員側の問題です。介護職員のキャリアアップを行っていかなけれ ば、介護の質は保っていけません。やはり一人ひとりの技量を高めていく。技量を高め るために必要なのは経験もありますし、研修もあります。昇給財源をきっちり確保して、 キャリアアップとともに昇給をしていくような形です。いま時代的にいちばん起こって いる問題点は、30歳ぐらいの男性職員が辞めていって、他業種に移っていくということ です。いまのまま介護職員として働き続けても、昇給していく見込みが薄いと。そうな ると子供を養っていく、妻を養っていくという給与体系にはなっていかない。介護報酬 が下がり続けるのであればもう不可能だから、ここで介護からは見切りを付けようかと いう人が結構出てきております。  職員にやりがいを出させるには、自分たちが頑張れば、それだけの給与がちゃんと付 いてきますという部分が、体系的に築けなければいけません。それは社会福祉法人とし て行っていくべき内部の課題でもありますが、その原資となる介護報酬に、それに見合 う部分をちゃんと考えておられなければ、いくら法人努力を積んでいっても無理という 問題が出てきます。マンパワーとしては重度化とともに、人数は必要になってくるとい うことを繰り返しております。職員の効率化というのは、給与を下げるという問題でも なく、人数を減らすということも不可能です。やはりその原資となる部分をきっちり確 保するしかできないのではないだろうかということで、今回は少しまとめております。 ご質問がありましたら、後の時間でお答えしたいと思いますので、よろしくお願いいた します。 ○大橋座長 ありがとうございました。現状について大変簡潔にご説明いただきました。 ご質問があれば、ご自由にどうぞ。 ○堀田委員 3点お聞きします。1点目。いまキャリアに応じて賃金を上げていくため の原資がないというお話がありました。ご指摘のようにもちろん介護報酬の水準の問題 もあるとは思うのですが、そうしたなかで、いま特養において、仕事ぶりを評価して、 それに応じて賃金を上げていくような取組みをしている事業所は、全体のどれぐらいの 割合になるでしょうか。  2点目。資料3の2頁に「新人職員、中堅、ベテランとバランスの取れた職員構成が 整っている施設は、離職率が低い」というご指摘があります。これは新卒の定期採用を 続けていった施設なのかとイメージするわけですが、定期採用をやっている割合はどれ ぐらいでしょうか。  3点目。いま、最初から正職員として採用するのは減っているように聞くことがある のですが、非正職員として採用して、正職員に登用するといったことが、どれぐらい行 われているかということを、まず教えていただけますか。 ○桝田様 老施協としてデータ的に、いまご質問の全部の部分を揃えてはおりませんが、 全体としていろいろな意見が出てきた中に、正規職員や臨時職員の問題というのがあり ます。いま現状でおられるパートさんについて、できる限り正規にしていくというのは、 どの法人も取り組まれています。短時間労働者でもその方のライフワークに従って、子 供さんが大きくなってきたら、それに伴って時間を延長していただいて、正規の道を歩 んでいただくというのは、逆の意味でのマンパワー確保です。求人を出しても来ないた めに、内部でどうにかしなければならないという問題とリンクして、そういう形にして います。逆に非正規の職員を採用するというのは、もう無理な話です。正規の看板を上 げて、いくら給料を上げられるかによって募集をかけないと、とてもではないけれど、 安い給料の方は無理という現状に入ってきています。  それと、バランスの問題ですが、今いちばん離職が高い職場というのは、指導する職 員が少ない施設です。いわゆるOJTによって、1人の方をマンツーマンで育てていく体 制が組めなければ、不安要素だらけになってしまって、1年以内の退職というのが起こ ってきます。やはりベテランの職員がいて、ちゃんとした指導ができるということです。 介護福祉師の養成施設等の新卒の方というのは、ここらが実習施設等でかなりできてお りますので、さほど問題はないのですが、求人を出した場合に応募があれば、いわゆる 一般的な大学から来る、短大から来る方もかなり採用されておりますので、介護をゼロ からスタートする方がおります。そこらは介護の基礎的な研修がきっちり教えられない で、「さあ、今からやりなさいよ」では通らない。ですから、それができる体制にある法 人と、できない体制にある法人とでは、かなり差が出てきています。 ○堀田委員 それはやはり定期採用をやっている施設と、そうでない施設というように イメージすればいいのですか。 ○桝田様 そうです。そういうイメージも1つあります。もう1つは、地域にちゃんと 認識されている施設というのは、いろいろな縁故関係で職員が探せているという部分が かなりあります。いわゆるハローワーク等から来るだけではなくて、先輩たちが後輩を 探してくる、地域の方が推薦してくれるということで、採用を補っていけるというのは、 やはり地域に根ざしている施設ほど、そういう部分の充足率は高くなってくるという状 況が出ています。都市部が非常に厳しいというのは、なかなかそういう関係が築きにく いということと、やはり給与差の問題で、高い給与の所に引っ張られていくという現状 で、かなり苦戦をしております。 ○大橋座長 ほかにありましたら、どうぞ。 ○河委員 老施協の方々ですから、2000年をはさんでその前からのいろいろなデータと、 その後のデータを持っていらっしゃると思うので、その比較を教えていただきたいので す。いちばんのポイントは、いまの議論とも重なるのですが、特養の施設経営における 人件費の割合というのが、まさに紀元前と紀元後でどう変わったのかというのが1つで す。  もう1つは、それに伴って先ほど、2.28ということをおっしゃいましたが、その部分 は紀元前と紀元後とで、少なくとも各施設の思いは変わっていらっしゃると思うのです。 それはどこの部分で変わったのか。昼間なのか夜なのか。ざっくばらんに言えば、宿直 夜勤の対応の問題があるとしたら、そこのウエートで変わっているのかどうかというこ とが2つ目です。  3番目に、これはむしろ半分意見になるかもしれませんが、35歳のやりがいとおっし ゃいましたね。私も非常に大事だと思うのです。35歳のやりがいということを考えたと きに、A施設からB施設へ、あるいはA法人からB法人へという職員の移動というの を、ある面では老人施設協議会グループとして考えられるところがあると思うのです。 その中で私は個人的に、それぞれの施設によってメニューが異なっているということを 通したやりがい論というのを考えていくべきではないかと思っています。それらについ て、何かご検討されているところはあるのでしょうか。以上、3点をよろしくお願いし ます。 ○桝田様 1つは、措置の時代から介護保険に変わったときの人件費率の問題というの があります。いま老施協で人件費率をいろいろ調査していまして、約60%弱、59%ぐら いです。何が変わってきているかというと、いろいろな業務委託というのが、以前と比 べてかなり進んできています。調理部門では50%を超しています。そうすると、目に見 えない人件費というのが、ほかの科目のほうで処理されてきています。措置の時代は 80%だったはずだろうという話が出てきますが、実態的に比べていくとパーセントでは なくて、介護職員数はかなり増えております。  現場実態からすると、介護職員が非常にやる気をなくしています。以前はみんなが集 まっていろいろなゲームをして楽しんだりするような機会を、週に一遍ぐらいは持てた し、月に一遍ぐらいは遠足的な、何かの行事はできたのです。しかし今は、いくらボラ ンティアさんに来ていただいても、みんなが揃ってするような行事は無理だと。例えば 花見に行くにしても、チームを小分けにして10人ぐらいを連れていくためには、ボラ ンティアさんを4、5人に来ていただいて花見に行かないと、マンツーマンだけではも う無理になってきています。  このように重度化の影響というのが非常に大きくて、介護職員数が増えています。た だ介護職員の数は増えたけれども、人件費率は基本的にそんなには上がっていないとい う状況だと思います。その中で1人頭の給与が、なかなか上げていけない状況が起こっ てきています。措置の時代であれば、例えば経験年数が何年であれば2%加算しますと いう部分で、少しは補いが付いたのですが、介護報酬の場合はトータルでどうするか、 そこの法人が長期計画を練って、どういう人事体系を取るのかという部分で作られてい きますので、使用者側がどう考えて、どういう長期計画を組むかということになってき ます。  1つの大きな法人であれば、いろいろな取組みをされています。いろいろな提案の中 に、1法人1施設の体系では、もうやっていけません、複数事業体をもってやれるよう な形を、できるだけ築いてくださいというのがあります。もう1つは、協力体制によっ ていろいろな部分、共同組合的な動きの中でしていくという部分があります。ただ、違 う法人と人事異動ができるかというのは、取組みとして始めているというケースはお聞 きしましたが、果たして老施協としてそこまで持っていけるかとなると、いろいろな労 働条件的な部分が違いすぎて、それを取組みとしてやってみましょうというまでには、 今はなかなかいけないのではないかという感じで思っております。 ○河委員 最後に皮肉を言うわけではないのですが、まさに公定価格ですから、全体の 状況の中で共有するものがあるにもかかわらず、個別的に違いがあって、なおかつ平均 するとこうだと言うと、個別論をおっしゃっているのか、普遍論をおっしゃっているの かという議論になると思うのです。老施協としては、もちろん普遍論の中でも違いがあ ると思いますが、そういう形でのご説明のほうがいいと思うのです。  もう1つは、先ほどおっしゃったことの中で、多分あえて飛ばされたのだと思います が、紀元前と紀元後の中で、紀元前の時代から言われていることを2点か3点おっしゃ ったと思うのです。その問題は昔から言われていることで、重度化などはその典型です。 逆に言えば、そういうところが紀元後にどういう影響をしたのか。紀元前にもあった影 響が、紀元前はこういう形で吸収されたけれども、紀元後にはどういう形で吸収できな くなったのかということを分けないと、初めて聞いた方は、それらがつながって起こっ ているのか、紀元後に起こっているのかという現象面での議論が違うと思うのです。私 は先ほどの2.28の問題を別にすれば、先ほどおっしゃったうちの3分の1は紀元前か らあったことで、別に介護保険とも全く関係のない話だと思います。特養の経営者が昔 から20年越しで言ってこられたことを繰り返されても、私はここでの議論とはちょっ とずれが出てくると思います。 ○桝田様 いちばん大きな違いは、介護保険になって契約の時代に入ってきたというこ とです。措置の時代でも徐々には進んでおりましたが、個別的なケアをするという問題、 利用者ニーズの部分を、マンツーマンでどう応えていくかという問題、プライバシーの 問題、そこら辺の意識というのが、この数年間で非常に高まってきています。ですから 介護職員側がしなければならない部分というのも、例えばドアの開けっ放しの問題など、 平均的にいうと今まではあまり論議されていませんでした。しかし今はお部屋に入ると きに、ちゃんとノックをして入ったかどうかという部分まで、追求していく時代に入っ てきました。  入浴についても、寝たきりの方をお風呂に入れる場合、ベルトコンベアー式ではあり ませんが、流れ作業的なお風呂で、1時間当たり何人入れられるかというのが効率化だ という話で、いろいろな研究がされてきました。しかし浴室の中で何人かの方が裸でい るというのはおかしいのではないか、マンツーマンでお風呂に入れてあげるのが当然の ことだという概念で、1人ずつお風呂に入れる機会の時間設定をしていったわけです。 それがもう当たり前の時代に入ってきたわけです。  しかし過去と比べて効率化の部分から言うと、非常に手間がかかってきました。基礎 的な介護で50%を超しています。入浴の部分が15%ぐらいあります。しかし入浴とい うのは、いまは寝たきりの方でも基本的に週2回です。それで15%のウエートを占める ということで、非常に時間がかかってしまうようになったのです。しかし、それはその 方の人間性の尊重という部分のウエートが非常に高いし、利用者側も当然そういうニー ズを持っておられるのが、こちらの介護側も受けとめられる時代に入ってきたというこ とです。  ただし受けとめられる時代に入ってきたために、職員に対する負担は非常にかかって きます。ですからマンパワーとしては質的な問題と量的な問題が、過去に比べて非常に たくさん要るようになってきたということです。特にユニットケアの場合など、通常の 職員配置ではとても回っていかないというのは、そういう部分だと思うのです。利用者 一人ひとりに対しては、非常にいい部分もあるけれども、効率化ができない部分とセッ トで動いてきてしまっている。そこらが現場では非常なジレンマとして、介護職員が悩 んでいることで、完璧にそれがクリアできたとは言えない部分として残ってきています。  精神的な負担という部分が、そこに非常にかかってきてしまっています。個別ケアの 問題はやはりしなければならないけれど、なかなかできないというジレンマが非常にあ ります。最後の資料の中に書いてありますが、ケアの問題、健康管理のメンタルヘルス の部分というのが、老施協でも非常に重要ではないかと考えています。ここをいちばん に挙げているというのは、いま介護職員にかかっているストレスの問題で、病的な問題 にならない前にちゃんと解決をしてあげなければいけないという部分で、いちばんの取 組みとして行わなければならないことではないかと思っております。 ○佐藤委員 2つほど簡単に申し上げます。1つはご報告の最後の資料で、魅力ある職 場づくりをするためには、経営努力では限界がある、1つには財源の問題で、介護報酬 の議論というのがあります。ここには「経営努力だけでは」というように書かれていま すが、他方で経営努力をして、それなりに人材の確保・定着をやられている事業所もあ るわけです。経営努力もしないで「困った、困った」と言っている事業所もあるわけで す。そうすると、確かに経営努力をして、雇用改善やいろいろやっているけれども、ま だもう少しやりたいのだ、そのためには財源と言ったら、では一体どこなのか。経営努 力をしていても、いまの状況ではやれないという点は、やはりそれは不可欠に社会的に 財源を手当てしてという部分はどこなのか、経営努力をしている所はどこなのか、それ を教えていただきたいということです。  もう1つは、外部化や派遣などの活用も増えていますよね。実際に施設で、いわゆる 派遣請負、外部人材がどのように活用されていて、それについて経営サイドではどのよ うな課題があると思われているのか、もしあれば是非それを教えていただきたいと思い ます。この2点です。 ○桝田様 経営努力の問題というのは、その法人法人によって、いろいろ考え方が違う という部分があると思うのです。そこらは過去の措置時代の考え方から、非常に変わっ てきています。いわば株式会社的な考え方を持つ所と、もともとの措置の時代の流れを そのまましている所というのが、極端な部分として出てきています。株式会社的な考え 方を持っている所というのは収支のバランスが最優先です。 ○佐藤委員 魅力ある職場づくりということで、やれている所が「さらにやりたい」と 言ったときに、財源上何ができないのかということです。やれている所はあるわけです よね。やはりそこは経営努力では埋められないところだと思うのです。それは何ですか。 ○桝田様 やはりやりたい所ができない部分というのは、1つには職員配置数です。1 つの計画を組む上で、いわばマンパワーとしてどれだけの人材が要るかです。例えば、 日中に3人の職員配置をすれば何ができるかというのが決まってきますよね。そこの部 分で、この時間体で何人というのを積み重ねていけば、職員数は当然出てきます。理想 的に自分がその法人を思う部分がここまであって、現実がどこまでで、それと経営バラ ンスで言うと、いわば妥協する線がここですというのが、当然出てきます。そこはやは り上を見ればキリがないと。例えばマンツーマンの職員配置をしたいと思っても現実的 ではない。しかし介護の現場からすれば、理想的に言えばそこまでいってしまうという こともありますから、現実と理想のバランスをどう取るかというのが、たぶん経営にな ってくると思うのです。それと、もう1つは何でしたか。 ○佐藤委員 派遣等の活用についてはかなり進んで、かなり広がっているようですので、 経営側として何か課題とか、そちらとして何か考え方があるかどうか。もしあればです が。 ○桝田様 老施協としての考え方ではなくて、実態的にいま派遣職員を使われている法 人というのは、非常に増えてきています。なぜ増えてきているかというと、求人を出し ても自分の所に正規職員が集まらないからです。ですから求人を出すときに派遣会社に もお願いします。派遣会社にお願いするときには窓口を広げていくために、いわば紹介 派遣という形での人材確保の方法と、お試し的に一旦その方を使ってみて、いい方であ れば紹介に切り替えて採用するという活用方法が使われています。なおかつ、それを使 わざるを得ない状況で、いま派遣職員が非常に増えているということです。  ただ、派遣職員が非常に増えてくると、施設に対しての忠誠心的な部分、自分が中心 になって頑張ってやっていこうという部分が、やはり薄いのです。それはやむを得ない ことですが、そこらで正規職員との違いという部分が、なかなかうまくいかない。いわ ゆる正規職員側は、例えば突発的なことがあったら、自分のローテーションを替えてで も対応していきます。しかし派遣職員の場合は、それを頻繁にすることは不可能ですし、 直接本人にお願いをして、「ローテーションを代わってください」と言うのはルール違反 になりますから、一旦派遣会社の事業所のほうに言ってローテーションを替えてもらう なり、……をするにしても、正式にはそういう手続を取らなければいけません。そうな ると定例的な業務は、もう派遣のほうにお願いするという形にならざるを得ないという 現状が、いま出てきております。 ○大橋座長 まだご質問したい方はいらっしゃると思いますが、とりあえず時間が過ぎ ておりますので、どうもありがとうございました。  続いて、日本在宅介護協会の研修・広報副員長の北村様から、20分程度でご説明をお 願いいたします。 ○北村様 本日はこのような研究会の中で、私どもがお話をさせていただく機会をいた だきまして、誠にありがとうございます。私どものほうはたくさんの資料を作る資金力 もなく、今回の資料3に対してのお答えを中心に、現状を踏まえて直球でお話させてい ただければと思っている次第です。どうかよろしくお願い申し上げます。  まず私どもの事業団体の概要について、サラッと流させていただきます。私どもは営 利法人を中心に202社で、2,354事業場、そして介護保険で言うところの事業所は4,728 事業所という形態になっております。その中の特質として、訪問介護事業所は2,894事 業所という状況の法人団体です。介護業務については当然訪問介護を中心に、介護保険 上の36項目ある中の施設系、医療系を除いた27の事業を全国で展開しています。介護 事業の現状については、社会保障審議会やその他の委員会等で働きかけているところで すが、在宅分野でも人材の不足と、最近の業界団体の事業収支の統計でいきますと、法 人全体の37.4%がすでに赤字経営になっています。では、なぜつぶれないかと言います と、その他の事業があるからです。そういう状況になっております。  早速、定着を図るというところに入っていきたいと思います。人員構成、その他につ いては、訪問介護事業とその他の在宅事業は、指定基準の人員配置基準、その他で省令 で定められており、ホームヘルパー2級以上の者を原則としておりますので、すべて有 資格者で構成しております。当然、経験者を優先していきたいのですが、やはり今の需 給バランスを考えますと、現実的にはなかなか難しい。  性別についてですが、私どもの業界のデータを別添として付けさせていただいており ます。訪問介護、通所、訪問入浴、居宅介護支援事業といった在宅介護の4分野だけの 集計でいきますと、男性が9%、残りの91%が女性という形になっております。国等の データや介護労働安定センターのデータでは、15%が男性という状況になっております。  正社員については、国や介護労働安定センターのデータでは、34%が正規社員と言わ れておりますが、私どもの在宅4サービスだけを見ますと、正規社員は11%で、残りの 89%は非正規社員という形になっております。それぞれの事業の形態や管理者、職性に よっても若干の比率は違っておりますが、それはまた後ほど説明したいと思います。  平均年齢は、国のデータや職業の企業データでいきますと、44.7歳ですが、私どもで は37.4歳という状況になっております。特に訪問介護事業においては、1対1の介護と いう形ですので、社会的経験が必要になります。施設等では2.2対1とか3対1という ことがありますが、在宅分野の特に訪問介護は、基本的にマンツーマンのサービスにな るので、それに対応するためと、いろいろな緊急対応ということで、新規採用というの は全くゼロではありませんが、基本的に少ないということです。  一方、在宅系の中でも居住系、有料老人ホームやグループホーム、通所事業は、チー ムケアをしておりますので、そういった部分での定期採用は実績があります。しかしご 案内のとおり、昨今では専門学校なども学生が少なくなってきておりますし、在宅へ来 られても、施設運営との給与格差と不安定感というところで、なかなか採用は難しいと いう状況になっております。全国的にも、やはり全体数が不足しております。ここはも う施設等と同じです。都市部はなかなか難しい。また、在宅分野でも夜間のサービスを やっている所があります。そういった所も、都市部ほどではありませんが、地方部分も なかなか厳しい状況になっております。  最近の募集状況のデータ等ですが、私どもの一部の会員会社では保険前の介護ヘルパ ーの養成講座は、大体250万円ぐらいの経費をかけて20人を養成できて、1人当たり 12万5,000円ぐらいでした。その前後に一般の募集を出しますと、大体15万円ぐらい でヘルパーさんを1人募集できていました。最近の状況は、東京、神奈川、埼玉の首都 圏でやりますと、300万円ぐらいかけてやっと6人程度です。それも20何人の応募が あって8人に絞られて、最終的な採用が6人という形です。いま一般の募集をすると、 1人当たり50万円ぐらいかかるというような状況です。  一方、看護師はそれ以上です。いままでは30万円から40万円ぐらいというデータが あったのですが、いまは100万円、150万円で1人採用できるかできないかという状況 です。そこは派遣の部分に大きく頼っているという状況です。  それから提供していくための構成を考えたときに、どのようなところが理想像かとい う話ですが、理想的に言いますと、やはり全員が正規職員で、社会経験があり、一般常 識ができ、かつ、いろいろなお年寄りへの対応ができるような20代後半、30代、40代 といったところで、実際に介護の経験が3年以上ある方というのがベストだと思います。 しかし実態的に、そこはなかなか難しいところです。  離職の状況については、20.3%という国のデータもあります。私どもが巻末に付けた データでは、訪問入浴の介護職員は1年間に46%入れ替わる、つまり半分以上が入れ替 わるというデータもあり、全体を通しても27%ぐらいは入れ替わっているという状況で す。いちばん大切なことは安定的な収入と、いまは他職種に比べてある程度の格差が言 われておりますし、この間の法律もありましたから、2万円か3万円、そういう格差を 埋める必要があります。当然、法人の経営もそうですが、給与は別にしても2年、3年、 5年先に安定的にこの仕事ができるような希望が持てなくて、バンアウトする者が多く なっています。  一方、処遇改善の中で福利厚生面とか、いろいろな研修などをやってまいります。先 ほども施設のほうでOJTのお話がありましたが、在宅の場合はOJTということで、先 輩ヘルパーが新人を連れて訪問します。3人、5人では絶対に行きませんので、完全に マンツーマンとなります。その人の覚えが良いか悪いかというのもあるのですが、大体 1週間程度行きます。基本的に、そこには大体2人の人件費がかかってきます。  その後は月次あるいは3カ月に1回、または入退院があった場合にフォローいたしま す。あと、日ごろは1週間または10日に1回ぐらい、会社の事務所に呼んでミーティ ングをするというフォローをしていますが、そこの人件費部分は、なかなか賄えないと いうところがあります。また、大勢で一気にOJTをするということはあり得ないので、 そのような費用がかなりかかっています。ここについては何らかの支援対策と言います か、補助をいただければと思っている次第です。そのほかにも資格を取るためとか、メ ンタル面のフォローといったものも必要だと思っております。逆にそういったものが一 般の広告にちゃんと開示ができて、安心して、安定して仕事ができればと思っておりま すし、将来的な希望が持てるようなシステムも必要です。  対人間と言いますか、人が人にするサービスですし、よく言われますように、密室の 中でのサービスです。居宅ということは各部屋の中、あるいは家の方がいらっしゃらな い、または一人住まいということもありますので、やはり幅広い年齢の中でサービスを していくということで、……と同じ状況だと思います。そのようなところで理想を申し 上げれば、90何パーセントは女性と言いましたが、女性中心の正職員でできればいいと 思います。しかし、このサービスはライフサイクルや生活のリズム等で、モーニングケ アやお休み前のナイトケアの時間に、かなりの人数が集中します。そういった意味では 当然、ある一定比率の非常勤と言いますか、非正規職員の配置も必要になってきます。  充足状況については、一般的によく使われるものとして、新聞の折込みチラシ等があ ります。先生方もたぶんご覧になったと思いますが、タブロイド版の1頁に30業社か ら50業社ぐらい入っている中で、いま福祉関係は3分の1以上の募集が入っていて、 比較的給与内での対比はできると思うのですが、4週間ぐらい連続で出しても、1名す ら来ないこともあります。ただ一般の就業と同じで、季節によっての変動もあります。 3月、4月、9月、10月は募集をしても、少しはヘルパーさんが応募されてきます。給 与水準については、各種の統計に出ているとおりです。私どもの平均値も、後のペーパ ーに入れさせていただきましたが、常勤換算でヘルパーが17万円、管理者が25万円程 度、サービス適用……者が23万円といった給与です。  定期昇給ですが、基本的に非正規社員には定期昇給がほとんどありません。正社員に は少しずつではありますが、最低月次で500円から2,000円ぐらいの幅とか、報酬はア ップしないけれど、何らかの昇給をしていくという努力をしているところです。それ以 外にも非職員、非常勤のパートさんについては、キャリアパス制度や月々の割増手当な ど、勤務状況によっての手当てを付けている会社もあります。  一方で人材募集については、ハローワークを含めて一般の募集媒体、ありとあらゆる 手を使っております。普通の折込みや、新聞への単発のチラシを入れるとか、エリアが 限定されると無駄が多いのですが、地域の自治会等に了解をいただいて、ポストにまで 募集のチラシを入れるということまでやっております。派遣については、私どもの業界 の……の中では、看護師の比率がかなり高いのです。ヘルパー等の派遣はほぼ使えませ んし、コストが高すぎてできないのと、実際にサービス上難しいと思っております。  看護師の派遣ですが、4月、5月、10月ぐらいは大変少なくなってきます。それは一 般の会社の健診が多くなって、そちらに取られて少なくなってくるという状況がありま す。派遣の比率を少なくして常勤雇用にしていって、かつ、安定的な運営とサービスの 質の向上ということもあり得るのですが、看護師の給与はなかなか難しい。各社は給与 テーブルを持っておりますので、極端にそれをすぐに変えることはできません。また、 急に人材が必要になって、看護師を派遣で雇うという形になっております。その間は一 定時期の緊急非難的なところもあります。ただ、これはもうかなり常態化しております から、そういう意味では給与テーブルを変えていくという作業をしながら、雇用を確保 していくことが必要です。  派遣の方も仕事に慣れていて、派遣期間1年間というところで常勤雇用、または紹介 派遣という形に変えていく努力はいたしますが、結果として半数の方が、いまの派遣と いう形に給与の格差があります。時給で言いますと、業界は看護師さんで1,600円とい うデータを付けておりますが、派遣会社でいきますと、1,800円から2,000円ぐらいと いうことで差があります。かつ、いろいろな会社のストレスや指導から、自分で気楽に 仕事ができるような所を選択される方と、この仕事がよくてという方と2種類に分かれ てきます。  教育訓練その他などで工夫をいただきたいのは、この業界の中ではヘルパーさん2級、 1級、基礎研修の部分がありますし、介護福祉師やケアマネージャー、決してケアマネ ージャーが上資格ではないのですが、そういった資格をキャリアアップで目指していく ということがあります。そのほかにも住環境コーディネーターなど、周辺にはいろいろ な資格があります。そういった資格を取るための補助であったり、いまの私どもの給与 体系は、各法人の中を見ましても、資格を取っても直接手当てに変わるところまでの収 益上の補完ができないので、そのキャリアアップがちゃんと保証できるようなシステム を、是非つくっていきたいと思っております。  また、先ほども申しましたようにマンツーマンで。OJTも時間がかかったり、二重の 人件費がかかったりしますので、定期的な研修等をやる場合も、そういったものの続行 に対して何らかの報告をもって手当てをしていただく、支援をいただくようなものがで きればと思っています。一方でキャリアアップをしていって、最終的には管理者、また は役職役員になっていくということを目指すためには、当然そういった研修も受講させ ていきたいと思います。それは内部でもやりますし、外部での受講もあるということを 踏まえて、そういったものをやった場合の何らかの支援策があればと思っている次第で す。  労働環境、健康管理というところですが、最近いちばん気になるのは、やはりメンタ ル面です。労働環境が悪くなって人が少なくなっていく、その部分をカバーしていくと。 ただ施設のような一定の人員基準、配置基準はありませんので、お客様が少なくなって くれば、仕事がなくなってくるということで、ある程度流動的には動きます。しかしあ る一定幅とか、お客様をキープしていくと言いますか、サービスを継続するということ を考えますと、やはり人が少なくなると過重労働になってきて、離職または業務に集中 できないということが現れてきます。  しかも、そういったことで入れ代わると、お客様にも不安感、不信感を与えます。当 然、在宅では顔見知りや馴染みの関係ということも必要ですし、それをちゃんと築いて いくことも必要です。そういったものが悪循環に入ってきて、安定的な品質の維持がで きなくなると、それが今度は収益にも影響してくると思います。逆にこれがうまく回っ ていけば、好循環に変わるわけです。ただ現状は、人材の部分や教育の部分を決してや っていないわけではなくて、それなりの努力はしているけれど、それをやるだけの報酬 には、まだまだ足りない部分があるという認識をしているところです。 それから最後の論点、定着率を高めるというところについては、やはり安定的な経営、 将来の夢が持てるということです。それは事業主もそうですが、働いている人たちにも ちゃんと先が見えてくると。3年置きの報酬改定、5年の法改正という制度ビジネスに おいては当然のことですが、その先がどうなるかわからないというのは、働いている人 たちがいちばん不安になっていることですし、収入のベースもほかと比べて低いわけで す。ただ社会貢献度の高いところ、マインドを持ってこの仕事をしたいというところは、 直にそれを感じてできるという仕事のよさを持っております。そういったところを活か しながら、今後もそういったものを。  諸制度は当然カバーしておりますが、特に女性中心ですので、福利厚生面では保育の 部分で、直接保育所や託児所を持つとか。ただ、事業所はかなり小規模になりますので、 もし協会に予算をいただけるのなら、そういったものを地域で固めて造ることも可能で すので、そのようなことを考えていきたいと思っている次第です。あとは要望というの を書かせていただいております。ここには報酬の部分もあります。  大変早口で雑駁でしたが、一応私どもの全体の意見ということで終わらせていただき ます。大変ありがとうございました。 ○大橋座長 お忙しい中、どうもありがとうございました。それでは質疑に入りたいと 思います。ご質問があればどうぞ。 ○北浦委員 2つほど申し上げます。先ほど施設関係のヒアリングをしましたね。やは り前提となる経営の問題を、どう考えるかということを考えていかないといけないと思 います。施設の場合ですと、スケールメリットの問題とか統合といったことがあります。 訪問介護の場合ですと大変小規模で、しかも人件費比率が非常に高い。この性格はなか なか簡単には変わらない。そうすると、まずどこのところで経営の改善を図っていくか というのがないと、後の議論はできないだろうと思います。先ほどいろいろな業種の事 業を展開する可能性がどのくらいあるのか。小規模の所をいろいろな部分で、例えば先 ほど最後のご提案にあったように、福利厚生面なども含めた共同化とか、そういったと ころで違いが出るのかどうか、その辺を教えていただきたいと思います。  キーワード的に何回も出て大事な点だと思います。将来の安定性、希望が望めればと 何回も出ているのは、おっしゃるとおりですが、それが給与のレベルの確保と別に書か れているので、結局、それは給与もあるけれども、それ以上にここのところは一体何が 要因でやっていけるのか。とりわけこちらの場合ですと、いわゆるパートタイムの方が 非常に多いわけです。そういう時間を限って働いている方ですから、その方々のモチベ ーションという意味においても、ちょっとそこはまた違う面があるのだと思います。こ れは施設で正規の形で働くのとまたちょっと違う。その2点を教えていただきたいと思 います。 ○堀田委員 関連するので私も1つだけ付け加えてよろしいでしょうか。1つ目の経営 の工夫というところで、例えば地域なり事業規模なり、事業の組合せ方、訪問介護単体 でやっている所とそれ以外と、介護保険事業だけとそれ以外と、など、どういう事業所 の経営が安定しているという印象を持っているか、経営が安定している事業所の特徴が わかれば、教えていただけるとありがたいです。 ○北村様 確かに全国事業所というレベルであれば、一般管理士の部分では先ができる という世界はあります。そこは1個1個の事業の中で見ていくとほぼ変わらない。ただ、 いろいろな間接経費は物品も含めて安くはなるという状況です。総合化というところも かなり意味があるのですが、私ども協会の中で見ていますと、地域の一定範囲の部分を ある程度マーケットとして捉えてやっていらっしゃる所が、いちばん収益は取りやすい。 当然、それは人数の収支のラインもあります。そういったところをちゃんとカバーでき ていること。逆にそれが地域性で広い範囲に広がらない。山に囲まれて海の地域で人口 があって効率がよくなっているとか、そういったことも十分あるということです。将来 のところは何度も言わせていただきましたが、そこはお願いします。 ○大野様 やりがいというような形で、ご承知のとおり、2000年に介護保険が始まった ときのあの状況を考えてみていただければと思います。あれだけワーッと人材が集まっ てきたあの状況が、今は全く止まってしまっている。こういったことについてマスコミ をはじめとして、我々の業界が素晴らしいのだということをPRしていただければとい うふうに、少しは方向転換せざるを得ないと思っています。  もちろん報酬の問題はあります。私ども協会中の個人的な意見ですけれども、それだ ったら2割負担の話だっていいのではないかということ。これは私の個人的な意見です けれども、そういったこともあります。そうすれば当然、本当に必要な人が介護を受け るという形になってくるだろうと思います。ご承知のとおり、今までは200円で家事援 助ができた。そういったことが400円になれば変わってくるだろうということもありま す。  それと小規模の所云々の話ですが、実は私どもも非常に小規模な事業所です。こちら にいらっしゃる発言者は大手ですけれども、私どもとしては別々の会社をやっていくと、 労働基準法上の問題もクリアできるのではないかという裏策を、いまご披露させていた だきます。  もう1点、先ほど北村が事業上ということで話しましたけれども、介護保険法と労働 基準法との整合性の問題については、私どもは非常に苦慮しています。この辺を先生方 にも是非、ご一考いただければと思います。 ○堀田委員 2点あります。5頁の労働環境と利用者の満足度と経営状況の関係という ことに関連して1点目。もし魅力ある職場づくりをして、その中で伸びた職員は評価さ れ、頑張った事業所は市場で評価される。これがうまく循環していれば、こんなにみん なで議論しなくてもいいはずで、この循環がうまくいかない要因があるから、検討が必 要なのではないかと思います。能力を伸ばした個人が事業所で評価され、労働環境をよ くして質の高いサービスを提供する事業所が市場で評価されて経営が安定するというこ とが回っていないとすると、最大の要因は何だと思われるか。  2点目。ここでは触れられていませんが、訪問介護では特に、何をやっても当然と思 われるとか、お手伝いさんと言われるとか、利用者からの理解が不十分でやりがいを失 っていく人も少なくないように思っています。利用者の介護保険サービスに対する理解 をどう高めていったらいいと思っていらっしゃるか。あるいは会員事業者がどうやって それに取り組んでいらっしゃるか。取り組む上で課題があれば教えていただけないでし ょうか。 ○北村様 1点目のところですが、好循環に回るためにいちばん必要なところは、シン プルなシステムを考えていただくのがベストだと思っています。2つ目の質問にも関わ りますが、説明も含め、ケアマネージャーを含めてそこにいろいろな手間がかかってい ます。そして事業の形状でいくと、好循環にするために福利厚生もやりますけれども、 規模は当然要るかもしれないところもあります。ですから、それは先ほど申し上げたよ うな業界団体または他のインフラを使って、そういったものをやらせていただくことに なると思っている次第です。 ○佐藤委員 人材確保のことで、ヘルパーで働いているのは女性が多くて、この層をど う拡大するかですけれども、働き方からすると毎日仕事があるわけではないし、1日の 中でも特定の時期ということで、それが毎月変わる可能性が高いわけです。例えば子育 て期の女性だと、保育園がそういう形で一時預かり的に預かってくれるか。いつも仕事 があるわけではない。1つは現状として働きたいけど、そういう働き方だから保育園に 預けられないということがあるかどうか。もし逆にそういう所が、ヘルパーで働いてい る人の子供を優先的に預かってくれる。ある程度地域でまとまって1日レベルで一定量 を確保できたら、もしかしたら働く人を増やせるか。その2つです。つまり、一時預か り的な預け方で預かってくれないと働けないのです。ただ、現状が預かってもらえてい るかというのと、そういうところまで保育サービスを拡大して一時預かりをきちっとや ってくれると、もうちょっと働く人が増えるか。そのことなのです。 ○北村様 一時預かり的なところはあります。実際に非常勤のヘルパーさんがそれを利 用することはまずないと思いますが、その制度を利用して逆に一定の仕事が確保できる 市場とか地域とかがあれば可能だと思う次第です。それが確保できれば間違いなく増え るかというと、申し上げたとおり平均年齢が37歳ということは子育てが終わったとこ ろです。これも両極にいらっしゃるのでなく、ピラミッドで緩やかなピークを描いて 37.4歳がいちばん数が多い。中央値も平均値もそこになるヘルパーさんの稼働状況、年 齢状況ですから、そういったものができれば間違いなく増えるだろうということですが、 ここはやってみないとわからないですね。 ○佐藤委員 いま子育てが終わった人まで、どう拡大するかというのも少し考えてもい いのかなと思います。普通の恒常的なパートタイムと違うわけです。保育サービスの仕 組みを少しそれに合ったような形にすると相当変わる可能性はある。 ○北村様 そのとおりです。 ○河委員 先ほどのここは、私は地域サービスだと思っているので、全国展開する意味 かどうかについて、北村さんのお立場からはお答えにくいから別にしますが、逆に地域 展開の中で、これはまた厚生労働省の方々は教えにくいですけれども、競争か何かで半 径何キロのテリトリーをきちんと決めて、入札していくというぐらいのほうが逆に言え ば効率的です。なおかつ需要予測を持って、しかもその所に近い所で雇用を発生させる。 それ自身が政治政策的にいいかどうかは別ですが、要するに在宅介護の進展とか、それ に伴う雇用の安定を考えるだけならば、そのほうがいいに決まっていると私は仮説を立 てるわけですが、皆さん方の事業所の中に、ある面でその地域独占的になっている所と、 叩き合っている所とおありだと思います。それによってコストや人件費がいろいろ変わ っているのだと思いますが、そういうのを財界協の中で分析しろというのが辛いのは十 分わかりますが、何かその議論というのは私は是非論とか正義とかは別にして、基本的 には考えておくべきだと思います。何かそれについてのお立場を抜きにしたご見解があ れば。 ○北村様 地域を緩やかにエリアを決めて、昔、措置時代からぎりぎりのところで品川 区がそういう方式でした。本当にそこは収益と効率もよくて、かつ同じようにお客様か ら苦情も出てきますし、その部分では大変効率よく仕事ができたということがあります。 面でやるという部分も大変必要ですし、私どももそういったものを考えていくことは十 分に可能ですから、そのデータを取ってですね。 ○大橋座長 まだご質問があるかと思いますが、一応、スケジュールとして後で全体で 討議します。ですから個別の質疑はここで終わらせていただきたいと思います。ありが とうございました。全国老人保健施設協会常務理事の平川さんから、20分程度でご説明 をお願いします。 ○平川様 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。全国老人保健施設協 会の平川と申します。協会の中では人材問題と研修を主に担当しています。今日は副会 長の高椋と理事の江澤と3人で参りました。よろしくお願いします。  いま、お手元に差し替えた資料をお配りしていますが、流れとしては最初に老健施設 の介護職はどういうものかに触れて、その実態をご説明した上で、ご質問の項目につい てお答えしたいと思っています。参考資料2というのをお配りしました。実は私どもは 今回、介護職を何とかしようということで協会をあげて署名運動を行いました。全国か ら166万人、日本の人口の80人に1人の方に署名に参加していただきました。もちろ ん職員だけでなくご家族、利用者様を含めての166万です。  そもそもこれが始まったのは、お手元の参考資料2という手書きの資料にあるとおり、 埼玉のある老健施設職員のたった1通の手紙からそれは始まりました。この手紙にはこ う書いてあります。「私は埼玉県内の老人保健施設に介護福祉士として働いており、間も なく5年になります。私生活では結婚し、ひとり娘がいます。今回は協会にお願いした く一筆書かせていただきます」ということで始まっています。「福祉は人なりと言って、 福祉の仕事は利用者様やその家族に直接関わり、仕事をするわけですから、事業やサー ビスの善し悪しは、そこで働く人材にかかっていると言っても過言ではありません。基 礎学力はもちろん、専門的技術力、そして何よりも豊かな人間性に富んだ人材が特に望 まれていることは言うまでもありません。ところが、介護保険が改正されるごとに介護 報酬は削減され、現場は厳しくなるばかりです」。  2頁目にいって、「また介護職員の平均給与総額は20.8万円となっています。介護の 仕事を必要な仕事と認められるならば、その人が平穏に生活できるだけの給料が認めら れるべきです。独立し、子供の教育費に住宅ローンなどを考えれば、この給料だけでは 困難です。  さらにめくっていただいて、「いまの惨状をこのまま座視しているわけにいきません。 国に対して介護の質の向上に日々努力しつつも、社会運動と申しますか、私たちの主張 も表明していくことも大切な時期にきていると思います。6月23日の毎日新聞に、財務 省主計局の話として、『介護は本当に賃金が低いのか、医療に比べ現場の声が上がってこ ない』とありました。本当に寂しい限りです。私の主張を表明していく方法はいろいろ あると思いますが、基礎的なものとしましては署名活動があると思います」ということ で、この方は署名活動を我々に訴えてきました。  最後の頁に、「協会の理念には、『介護老人保健施設の質の向上』とあります。施設で 働く人材も大切な資源であり、待遇を改善していくことも施設の質の向上に矛盾するも のではないと思っています。働きやすい環境をつくることも、ひいては優秀な人材も集 まり、利用者にも良質なサービスを提供できるものと考えます。なにとぞ協会の署名活 動につき真摯なご検討をしていただきますようお願い申し上げます」という手紙が全老 健に届きまして、それから各支部によってこの手紙の声にみんなが賛同して、結果、166 万集まりまして、それを厚生労働大臣あるいは財務大臣にもお持ちいたしました。これ は現場からです。  続きましてヒアリング資料です。1頁めくっていただき、最初に老健施設介護職とい うものについて、先生方に認識していただきたいと思いまして挙げてみました。老健施 設の介護職は医師、看護師、理学療法士、作業療法士等の医療系スタッフとの連携協働 でケアサービスを提供しています。よって他の福祉系サービスと比較し、利用者の心身 の状態観察あるいは管理等で、より医療的な知識が必要となります。  一方、介護療養型医療施設と比較し、在宅生活を見据えたケアを提供し高い家庭復帰 率を上げています。つまり老健施設の介護職は食事、排泄、入浴、移動の介助といった 基本的な介護技術に加え、医療、リハビリ、在宅支援といった広範かつ専門性の高い介 護知識と技術が必要であり、そういった意味で私どもは介護の総合職というふうに考え ています。そのような理由から、老健施設では介護職員のうちの介護福祉士の占める率 もかなり高いところにあると思っています。  3頁ですが、老健施設の介護職の実態です。これは資料を付けてありますが、時間の 都合で最初にまとめを言います。多様なニーズ、ケアの質を担保するために、老健施設 の介護、看護職等のスタッフ数は、自主的に基準以上に手厚く配されています。介護職 の半数以上が介護福祉士資格を取得しており、介護サービス業者の中でも最も資格取得 者が多いと考えています。これらの介護スタッフの年齢層は男女とも20代から30代後 半が中心で、低賃金をはじめとする就労条件の悪さは、この若い世代の将来の夢を築け ずに常に苦しんでいます。介護職の給与の上昇は何とか今のところキープしていますけ れども、その原資は管理職給与等から回しています。全老健では年間約30コース、延 べ5,000人規模の研修会を開催しています。また年1回開かれる全国大会、いわゆる学 会では約5,000人の参加者、1,000を超える演題が集まっています。厳しい就労状況で すけれども、向学心、技術力の研鑽に励もうとするモチベーションは極めて高い。そう いう介護職が老健に集まっていると私どもは信じています。以上のような経営側、看護 職の努力に対しての評価、優遇というものを、是非、考えてほしいというわけです。  4頁はご存じの人員配置です。私ども老健施設では3対1になっていますが、次の5 頁で、いまはほとんど利用者2.2人に対して1ということです。過配と言いますか、当 たり前の介護をするためにはとても3対1では足りない。2.2と手厚くしても夜勤が終 わると「ああ、今日は本当に事故がなくてよかった」と、まるで祈るような気持で終わ っている状況です。  6頁ですが、私どもの介護老人保健施設は他の特養等々と比べて若い世代の介護職が 多い。そういう職場であるということをご理解いただきたいと思います。  7頁は、介護福祉士の有資格者の率です。私どもの介護老人保健施設は非常に高い介 護福祉士率です。特養や療養型医療施設と比べると明らかに差が出ています。  8頁は私どもが調べたデータですが、50〜100%の占有率が62%です。ちなみに私の 施設では34人の介護職員がいますが、介護福祉士は34人、つまり100%が介護福祉士 です。  9頁で施設職員の確保状況です。あらゆる職種で苦しいのですが、いちばん数を必要 とする介護職、介護福祉士が困難だという数字も高く出ています。  10頁は求人状況です。ここにある「募集すると応募があるが、欠員補充には時間がか かる。募集してもなかなか応募がない。つまり83%が求人をしてもすぐには集まらない 状況が既に起こっています。  11頁は、皆さんが既によくご存じの労働条件の悩み、不安です。仕事の割に賃金が安 いというところです。赤のラインになりますが、もう1つ特徴的なのは、上から2段目 の夜間や深夜時間帯に何か起きるのではないか不安であるということです。少ない人数 の中で本当に怯えながら夜勤をやっているということです。12頁は後ほど説明します。  13頁は平成18年4月の給与改定状況です。看護職、介護職についてはほとんどの所 で上がっており、逆に医師、管理職といったものは下げられていることがわかると思い ます。  14頁は人件費率の伸び率です。これは全国平均で、私のいる東京では当に60%を超 えているのが現状です。  15頁は、現在、2級ヘルパー、1級ヘルパーをやっている方へのアンケートです。介 護福祉士といった上位級資格を取ることについては、時間がない、金銭メリットがない という回答で、なかなか介護士を目指すのは厳しいのかなというふうに考えています。  16頁から視点を変えて、今までは介護の状況でしたけれども、それに対して私ども協 会はどういうことをしているかです。1つは是非老健の良さを知ってもらい、老健で長 く仕事をしてほしいということで様々な研修を実施しています。ここに年間30本の研 修の一部を書いていますが、基礎から始まって専門性のある研修、ドクターを含めて総 合的ケアに関することの研修を行っています。ただ、残念なことですが、この研修に行 くために施設側は旅費や講習料を払い、本人も自分の時間を使って研修に行くのですが、 それに対して行ってきたからどうだということのご褒美というか、メリットが全く与え られない。気持だけでやっている。  そういう中で少しでもメリットが実感できるしくみとして、今回考えたのは、ご存じ のとおり施設内では転倒事故や誤飲事故があります。リスクをとにかく回避しようとい うことで、全老健の認定するリスクマネージャー資格を作りました。これは3日間の講 習を2回、つまり6日間研修を受けてもらった上で試験を受けてもらう。それに合格す ると1つの特典を考えました。ほとんどの施設は損害賠償保険に入っていますが、この リスクマネージメントの資格を受けて合格した者がいれば、その施設の保険料を20%デ ィスカウントすることにしました。少しでも研修を受けたことによって何かの見返りが あるというものを作ってみました。これは非常に好評で、定員よりはるかに多くの方が 応募され、1週間かかる研修ですけれども参加してもらっています。そういう工夫をし ながら、聞くだけの研修でなくて得る研修ということを考えています。  17頁はすべての研修の基本になる基礎研修会で、既に3万6,000人が受講しています。 18頁は主な研修会の受講者数です。年間ほぼ5,000人の方が参加しています。19頁は 年1回の学会です。昨年は愛知、その前は熊本、神奈川でした。概ね参加者は5,000人 を超えます。熊本のような地方であっても4,800人ですし、演題数も1,100といった形 で、極めて活発に向学心を持って介護に向かって勉強されていることがわかると思いま す。  最後に私どもの部分の結論ですが、とにかく介護人材不足というのは私ども老健にも 起こっていますし、是非、最優先に人材対策を講じていただきたいということです。介 護福祉士の資格者の4割強が介護の現場に勤めていないというのは、いかがなものかと いうことがありますし、それに対して私どもとしては、どうも介護というものがまだま だお世話する人とか、あるいは家政婦さんというイメージが強くて、これだけ科学的に、 なおかつエビデンスベーストで新しいケアを作っているにもかかわらず、まだまだそう いう認識しかないというのは、すごく残念です。5,000人集めて1,100の演題をやるぐ らいの勉強熱心な集団について、それが単なる家政婦さんというのではあまりにも気の 毒な気がします。そういう点では国もそうですけれども、国民自体も介護というのはア カデミカルなもの、あるいはサイエンスなんだということを是非理解してもらいたいと 思っています。  もう1つ、これは私どもが言うことではありませんけれども、今回の600時間の研修 です。いまの状況では、とてもそこを通り越えてまで上がっていくという何のメリット もないものですから厳しいと思います。もしもそれをやるのであれば、是非、我々の研 修の中にこの時間を組み込めるような形で読み替えてもらえば助かると思っています。  それ以外の私どもの人材対策としては、今回は実践型の人材養成システムを導入しま した。どうしても介護人材が来ないということになれば、全く関係ない業界から人材を 得ようという形で、このシステムをスタートしています。今年はモデルということで、 東京都と福岡県で約36名の方々を、介護労働安定センター等々を含めてご協力いただ いて行っています。この研修はもちろんOJTが中心になるのですが、やりっ放しとか現 場任せのOJTではまずいということで、参考資料6にあるとおりOJTのためのテキス トとガイドラインを作りました。これに則って一定の現場研修の担保を図ろうと思って います。このように介護職の意欲あるメンバーが増えている老健ですし、また全老健と してもそれをサポートする体制を組んでいます。以上が現場の流れです。続いて高椋の ほうから、今回のご質問についての回答をいたします。 ○高椋様 いろいろな資料で申し訳ありません。見ていただけましたでしょうか。幅広 くいろいろやってきたものを持って参りました。参考資料1が協会の概要です。一通り のことをここに書いていますので、ご覧ください。いま平川から申し上げたOJTですが、 まだこれは新卒だけです。極端なことを言えばフリーターの方でも誰でもポンと入って 来て、はい、どうぞという格好です。これができると本当はいちばんいいと思っていま すが、40人集まらないとなかなか組めないとか、いろいろ制約とは申しませんけれど、 まだステップを踏んでいかなければいけない部分がありますので、そこはまた個別的に 少し教えを拝借できたらと思っています。  本日は宿題をいただきました、この横向きの基本情報から入っていただけるとありが たいです。1頁で基本情報の事業所属性ですが、73.6%が医療法人立です。簡単に申し 上げると民間企業中心だと考えていただければいいと思います。ですから実際の動きと しては、いわゆる先に給与が決まっている何号法ということではなくて、実力がある方 たちはどんどん上がっていく前提があるということです。  次の介護関係業務に関わる主たる業務ですが、ここに老人保健施設の運営等々のこと を一通り書きました。この中でわかっていただきたいのは、介護保険3施設と言われま したけれども、介護老人保健施設というのは地域ケアの中で、多様な利用者の方を多様 な機能を持って次につなげていく。次につなげるのは場合によっては終末期というつな ぎ方もあります。だから、いわゆる仕事自体は複雑な要素だというところです。それは 先ほど平川から申し上げたことです。老健施設を理解するだけで一講義差し上げないと いけないと思いますが、今日は遠慮させていただきます。  次は介護事業の現状です。私がいつも物事を考えるときの癖ですが、人、物、金、情 報という四種の神器の区分で考えていきます。さらに地域ケアの概活的な中でどうかと いうことで、5つを設定させていただきました。人のところでスタッフです。もう皆さ んおわかりだと思いますが人材の流入がグンと減りました。これは雰囲気とかいろいろ なことがあると思いますが、とにかく減りました。目の前のことで現在の給与です。こ れは衣食住なのです。若い連中を見ていると、この中でいちばん大きい部分は住だと思 っています。東京で住むのは大変なことですよね。住の部分だと思っています。  答えというかお願いをこの後に書いていますが、それと大きいのが職業としての将来 性です。これは何を見るか。先輩がどのあたりまで行っているかということを見ている のです。皆さん方もそうではないでしょうか。例えば助手の先生がおられたら、その方 が教授になってどうなるかみたいなことを具体的には見ているのです。その中で自分自 身がどうしていくかを選んでいきます。これが若い年代の特徴です。  もう1つ、議論の中でヒントは出てくるのですが、その施設なりその会社なりに日常 的な相談、個人的な相談ができる雰囲気があるのか、そういう機構があるのかどうか非 常に大きなポイントです。さらに、どうしても話がこういう人事のことになると雑駁に なってきます。人事構課の話というのは本当にはできていかないです。なぜそうなのと 言ったときに、誰が上がるのか、どうなのということはなかなかできていきません。こ こに対するノウハウが介護分野では全くありません。  次はキャリアアップです。キャリアアップを主眼にして先ほどの600時間、その他、 次に更に進んでいくというプログラムは大まかにはやっていただきました。ところが現 実的かどうかです。もう一度お考えいただきたいと考えています。  最終的には退職金です。老健施設には退職金の積立てがほとんどありません。それま での経営力がありません。それで今回、私どもは401Kの総合的な導入に向けて全国的 な組織として何らかの形を作ろうと思い、現在取り組んでいるところです。これがスタ ッフのところです。  あとは物のところです。要はこの辺のところはお金がないということ。先ほど平川の 資料の中で経営状況のことがありましたが、厚生労働省、特に老健課が出されたデータ と、我々が年度で取ったデータとだいぶ違いがあって、本当に経営的には目いっぱいだ というのが私どものデータです。金のところでは下線を引いて※で示しています。  情報面では書類が増加して、さらに老健施設の中でカルテから何から合理化が全然進 んでいません。これを入れたからといってどうかということがありますが、さらに情報 開示、コンプライアンスというところがかかってきて、この面でも非常に厳しい状況で やっと運営できているところです。地域ケアですが、これは老健施設の根幹で、地域(利 用者)の要望と老健施設の役割、老健施設が本当に行いたいことの間に多少の乖離が相 変わらず続きます。ただし、これは個別的ニーズとの乖離ということですので、論理的 には正しいのです。医療機関の機能が変わっていっていますが、そうすると、その皺寄 せは中間的な施設である老健のところに間違いなくきていることも、おわかりいただき たい。ケア付住宅の政策等が日本は本当に遅れました。それで受け皿が少ないのです。 住宅政策をやっていなかった。総合的なビジョンというのもまだ未提示です。この中で 我々にどう動けというのかという部分も問題です。  そこで次に加不足間のところですが、少し時間を使い過ぎましたので後で読んでいた だければと思います。3頁のいちばん下ですが、看護・介護スタッフの絶対量に関して、 答えを出してくださいということでしたので、こういうことを申し上げています。現在 はぎりぎりで持ち堪えているか、間違いなく不足ということで、ヒアリングの資料の中 にもそのことを記載しているつもりです。こういうことが言われます。5の1)で募集 しても来ない、来ないのですよね、先生、本当に来ないのです。なぜ私がそう申し上げ るかというと、これは個人的なことで申し訳ないですが、私自身は運営、その他のこと について自分自身で身を投げ出してやっていますので、地域でもどこでも自信があるの です。でも来ないのです。そこまできているということだけご理解ください。  一般的にはこう言われています。中堅職員が育たない、辞める。これは先ほどの投書 でご理解いただけたらいいです。伸びていく自分の先が見えないと限界が来るのです。 バーンアウトするのです。  3番は看護・介護の連携がうまくいかない、人間関係の問題があります。これも中堅 が育つか育たないところが大きな問題だし、もう1つ、例の7対1看護どうこうが入っ てきて、ますます看護と介護の待遇差が広がりました。理解していただいているとは思 っていますが、ますます広がりました。  次のところで2ですが、「どのようなものが理想だと考えていますか」の答えを求め られましたので、1つ前に戻って3頁です。1の有資格、無資格は有資格で優秀な人材 のほうがいいです。どこでも同じです。介護労働軽減で必ずしも望ましくない軽減とい うのは、以前の職場でうまくいかなかったとか、自分の祖母に十分な介護ができなかっ た等々、現場のスタッフではあるのですが、良き職場に来ると定着というインセンティ ブになるのではないかと考えています。  正規、非正規には特性の違いがあります。正規の職員は管理職と夜勤、早出、遅出が できることというのが基本条件です。ここもおわかりいただきたい。私どもの仕事には、 訪問も含めて夜の仕事というのがあるのです。そこの軸をくれぐれもここの場で崩さな いでいただきたい。わかっていただきたいと思います。夜の仕事です。非正規職員とい うのは主に言って本人のいろいろな都合です。これは先ほど佐藤先生もおっしゃいまし たが、そこに一定のものを投げかけると、そう簡単には先生、まいりません。社会政策 上はそういうことをやると一定の比率が動いた。わかります、先生、私も大学の公衆衛 生にいますのでわかります。でもそう簡単に個別には動きません。本人というのは都合 に合った時間帯で働き、そして業務内容によって給与と契約形態が異なる、これが非正 規職員の典型です。ということはバリエーション、いろいろな条件を作るのは結構なの ですが、この根幹ということをちゃんと読んでおいていただきたいという、これはお願 いです。  性別、年齢ですが、性別、年齢に関して我々の仕事としては、ここの部分だけは個人 的な考えが入っています。看護・介護職では男女比が1対2です。要するに3分の1ぐ らいは男性が中にいるというのが、バランスを取っていくコツだろうと考えています。 これは夜勤があるということで、もし100ベッドの老健施設で4人で夜勤をするとした ときに、1人ぐらいは男性がいないと、というバランスで成り立っているのです。  つまりこうなります。若くてバリバリ、有資格で優秀、人柄が良く安定、信頼される パーソナリティのスタッフがほしいのです。たったこれだけです。ということは、それ に見合う物がちゃんと出てこなければ、それが核にならなければ、たぶん地域を支えら れないのです。  4頁の1です。新卒と中途ということで特に介護福祉士ですが、本来から言うとでき ている所もあるのです。平川先生とか私の所あたりはピラミッドがほとんどできていま す。新卒から積み上げた介護福祉士のピラミッドは、こういうふうに積み上がっていっ ているキャリアがおわかりだと思います。それができていくことが必要なのです。それ が地域を支える根幹になります。そういうピラミッドの中で例えば訪問の方が勉強して いくというのは、すぐ受けられます。その中に一定期間入ればすぐ身に付きます。すな わち地域の核なのです。中途採用の方が来られます。その時に、その方がこのピラミッ ドの中で最初はちょっと低めの位置に置いておくと思いますが、そして見ていって、ど こに引き上げるかということを我々は民間企業ですのでやっていきます。  経験と未経験ですが、経験してきたケア等の概念あるいは方法が、逆に業務の阻害要 因となることも多々あります。大きな声では言えませんが、特にナーシング側の方は急 性期等々の方法論が異なりますので困ることがあります。フリーターを経験した方が介 護サービスの職に就き、実はビッタリはまることも多々あります。ちなみに私どもの副 施設長の下の副施設長補佐は男性でフリーターでした。四卒のフリーターでした。学校 にやっていま全業務をコントロールしています。そういうやり方、見つけ方もあります。 ですから、フリーターあるいはリストラの方というのは1つの市場であるというか、私 どもの人材のバンクであると思っています。  男性と女性ですが、先ほどの手紙どおりです。中堅職員となった男性職員が一家を養 っていける給与、ここにすべての根幹があって、この幹なしに人材確保、人材育成を行 うこと自体が不毛です。この最初のところがなしにやること自体不毛です。申し訳ござ いません。  次は5頁で離職の状況ですが、ここでは「どのような措置を講じることが必要と考え ていますか」という質問の答えを、でき限り考えて書けということであろうと思い、1 〜9まで挙げています。部分的にOJT定義分が少し弱いのですが、1はスタッフの給与 アップのための介護報酬の増額です。ダイレクトに申し上げます。この議論の中で介護 報酬は上げてもスタッフに回らないという、ちょっとよく考えていないのかなという議 論もいろいろな審議会等々の中でありました。でも今はそこに回さなければスタッフが 来ない状況なのです。ということは、そこに回さなければ施設運営が崩壊し、ひいては 制度崩壊を起こします。そういうところまでいくのだということを是非ご理解いただき たいと思います。すなわち、申し上げますけれども、経営者が懐に入れたら施設は倒産 するのです。人がいないのです。そこまできているということです。  2は、それを若干担保するために是非、都道府県別職種、キャリア別給与の調査とデ ータの開示です。スタッフ本人が自分の給与がどうか、施設のここでいたらどうかとい う情報をちゃんと整理していただいて、出ていますけれども、もう少し詳細に調査して いただき、それを開示していただきたいと思っています。それと養成校のことも考えな ければいけません。養成校に進学する学生の奨学金制度をもっともっと充実させていた だきたい。老健施設は実習施設の中で、いわゆる介護老人福祉施設側が多いので、是非 老健施設も入れていただきたい。労働の中では入所時の一時金の制度です。これは今ま での労働の例の中にありました。さらに入所後、一定期間の給与の補助ですが、これは ありましたし、運用されていませんけれども今も実はあります。  6の上級資格を目的とする研修や専門知識を高める研修受講への補助、援助です。そ して研修と就労者への報酬という言葉がいいかどうかわかりませんけど、何らかの形は できると思います。  7は提案です。その研修だけでなく日ごろ勉強しているのです。施設内でも勉強して います。そうしたときに私どもはこう考えています。発表するのがいちばんいい勉強で す。自己学習というのがいちばんいい勉強です。研修会等への参加、施設内の研修、自 己学習等の実績に対する研修ポイントとして、自分でこれだけやりましたということを 誰かが提示していただいて、それを認証して検証する。これはお金はかかりません。お 考えいただきたい。8は先ほど平川が申し上げました。  9が先ほどの個別相談です。事業所内で実施されるスタッフの個別相談に対する補助、 具体的には担当者が1人ずつ取り組んでどうだというのはあったのです。借金です。サ ラ金とかいろいろあったのです。私どもは経験してまいりました。そういうのをいかに 早く見つけて早く相談に乗るか。これもバーンアウトを防ぐ大きな要因です。すみませ ん、時間が来ましたか。 ○大橋座長 これを読ませていただくということで、大変熱く語っていただきました。 ○高椋様 先生、申し訳ありません。1つだけ、私どもでやっているリスクマネージャ ーです。次は2つのパンフレットをご覧いただきたいのです。シルバーがリハビリの学 校に対して、そもそもが学校の先生方を何とかしたいと思っていました。そしてこれに DVDを付けています。老健施設のリハはどうだということで、ここには添付されていま せん。最初、対談があります。私どもの会長と全国リハビリ作業療法士学校連絡協議会 のドイ先生との対談です。私も恥ずかしながら出ていますが、それと学生さん等を含め ての対談、さらに求人の募集、そして2次元バーコードということで、そういう仕組み をやってきました。  同じく非常に切羽詰ったので、同じような仕組みの中で最初は対談です。私どもの会 長と、日本介護福祉士養成施設協会の小林先生との対談、そして求人募集ということで す。これを各学校の先生方と卒業前の3年生の方々に全部お配りしています。是非来て ほしいということです。そしてこれだけで終わらずに、ここの求人サイトです。2次元 バーコードが付いていますが今年度の分はもっと進んでいます。求人サイトを作り、全 部の連携をかけるという取組みをやっています。以上です。 ○大橋座長 ありがとうございました。ではこの件につきまして、1点か2点ほどお願 いします。 ○駒村委員 今日、横になっている9頁のところを聞きたかったのですが、追加で解説 いただければと思います。労働環境、健康管理のところの答えに関する3ポツで、利用 者満足度に関しては比較しようがないのだから、科学的評価ができないという趣旨のこ とが書かれているわけです。要するに利用者満足度では十分な評価はできないというお 話になるのかどうか、そこを確認させてもらいたいのと、この話と、最後のアウトカム とか質みたいなものを測定する方法、そしてそれを報酬にフィードバックする方法とし てはどういうアイデアがあるのか。先ほど理事のほうから、介護の分野では研究活動が 非常に盛んで、アカデミカルでエビデンスベースになってきているということだったの で、何かその辺で客観的なものがありましたら教えていただきたいと思います。 ○高椋様 まず先生、いわゆるアウトカムメジャーと私どもは申しますが、そうするた めには利用者側の区分というのを、もう少しきれいに作る必要があるのです。このとき のいちばんキーになるのは利用目的係数なのです。利用目的がはっきりしていることに 関して、それが達成できたかどうかというのがいちばんのアウトカムメジャーです。そ れが前提になっていて、その各区分の方たちの中でいわゆるCSですね、カスタマー・ サティスファクションが達成されたか、されないか。議論自体は科学的におかしいです ね。そういうふうに考えています。だけども現時点の介護保険の世界の中では、利用目 的係数はほとんど入っていません。この辺のところはもう研究班を立ち上げてやってい ますので、何年かかかりますけれども、次の段階ではご提示できると思います。DPCの 中で入っている、いわゆるトレースするための資料、あの形というのが私どもの頭の中 にある形です。もちろん、決して利用者満足度という研究等々を、私どもの立場として 否定するものではありませんが、科学者の端くれとして申し上げるならば、不十分な設 計であるということです。それぐらいでよろしいでしょうか。 ○駒村委員 また詳しいのを、技術開発のを教えてください。 ○高椋様 いくらでも議論させていただきます。 ○大橋座長 個別のヒアリングにつきましてはこれで終了させていただきまして、全体 について議論させていただきたいと思います。ですから、今、この件についてご質問な さりたい方は、この後でご質問していただきたいと思います。各団体を代表して、各団 体お1人ずつメインテーブルに着いていただきました。それではフリーにディスカッシ ョンなさってください。 ○駒村委員 在宅のほうの議論で3年の経験というのがあって、前回も経験というのを どう評価するのかというのが、この委員会でも多少ありました。その経験の価値につい てどういうふうに見ているか。経験の価値が出るというのは採用時間が非常に効率的に なるという見方なのか、質が高いということなのか、多様な状況に対して対応力がある という意味なのか。どういうふうに経験の価値を見ているかということと、その経験の ある人に対しては賃金上の何か工夫というのは、どこでも行われているのか。この辺を 確認させていただきたいと思います。 ○北村様 経験の3年は、当然、イメージのところもあります。それとご指摘のとおり、 多様な対応ができる、臨機応辺な対応ができる。逆に今までの課題でないところも、そ れを踏まえて判断ができるということがありますので、そういったものということです。  その経験をもって給与、その他に反映しているかというと、現状では全く反映されて いません。資格もそうですが、こういった経験を踏まえてもできていないということで す。 ○河委員 別に大事なお仲間の仲を裂こうとするわけではないのですが、老施協の方と 財界協の方にお伺いします。もともとの歴史的沿革から老施協社会福祉法人でやってこ られて、在宅のほうはほとんどやってこられなかった。だから介護保険で在宅が生まれ たときは、ほとんど新しい方々で生み出されたという関係だと思いますが、人の流れの 世界でむしろ北村さんにお伺いしたいのですけれども、特養に勤めていた方で在宅のほ うに流れた方というのは、どれくらいいらっしゃるとお考えか。逆に言えば、在宅をや ってこられた方で特養に行かれた方というのは、今度は桝田さんにお伺いしますけれど も、どれぐらいあるのか。  仮説で言うと私はほとんどないのではないかと思っているのですが、別にそれがいい 状態だとは思っていなくて、いろいろな仕事というのがやりがいにつながるわけですか ら、私は流動というのは大事だと思います。お2人の間でいろいろな人が行き来してい る状況ができているのか、できていないのか。できていないのは、お2人が悪いのか世 の中が悪いのか。分断するわけではないのですが、それぞれ教えていただきたいと思い ます。 ○北村様 どういうふうに人が動いているかと言うと、在宅の中でも住居系の老人ホー ムやグループホームで、一部いらっしゃるのは確認していますが、全くの在宅分野でと いうのはほぼないと思います。ただ、管理者としては一部、異動をしているというのが 現状だと思っています。 ○桝田様 老施協の関係の部分から言いますと、特別養護老人ホームは大部分の所が在 宅部門を持っています。通所部門を持ちヘルパー部門を持っている。そのヘルパー部門 の解釈というのがどちらかというと、言わば収益構造を無視した形で営んでいる。地域 に出して、地域のアンテナとなって活躍するための条件として出しているのは、ある程 度のベテラン職員を在宅に出している。特に都市部でない山間部の施設あたりになって くると、地域との関わりの部分と施設の中との連携を取るために、それなりに給与の職 員、いわゆるキャリアのある職員が在宅部門に出て行く。そうするとヘルパーの稼いだ 分で自分の給料は出ないという現実が出てきている。民間事業者さんとの動きというの は、たぶんヘルパーさんに限ってはほとんどないと思います。所属のヘルパーさんとい うのは自分の所で養成して順番に作っていっているし、反対に辞めていく場合に、たぶ ん最終的に責任者となって、そこの根幹的な部分で行っている方はいますけれども、い わゆる単なるスタッフとしての異動というのはあまり聞いていません。だから動いてい るのは、中心的な方が新しい事業を立ち上げるときに、自らオープンしている方もいる かもしれませんが、請われて行っているというのが実態ではないか。だから行ったり来 たりという関係というのは、ほぼ聞いたことがないというのが現実です。 ○高椋様 先生、よろしいですか。これは個別的な見方なので、ばっちり科学的なデー タを取っているという話ではありません。私自身は施設サービス、あるいは居宅側のい ろいろな住居としてのサービスなどいろいろありますけれども、そこのスタッフはパー ソナリティというか特性が違うと思っているのです。というのは、それが中心である老 健を私たちがやっていて、結婚した、戻って来た、今の段階はパートタイマーがいいと いう話の中で、今は訪問のほうが足りないからそっちを頑張ってねというのは、うまく いかないのです。それでどうするかと言ったら、入所なり何なりの所に戻りたいとなり ます。あるいは通所でやっていた方たちに、「お前、知っているだろう、家のほう、そっ ちへちょっと、訪問で行ってみない」というのもうまくいかない。パーソナリティがち ょっと違うのではないでしょうか。  そうこうしているうちに、最初はホームヘルプなりに人は入った。だけどもそのパー ソナリティなり特性の中でだんだん離れて行った。そしてそれが入所なり他のサービス に行きながら、だんだん自分のポジションみたいなものを見つけていくという、バラン スの過程が現在なのではないかという気が1つしているのです。  そうすると、人材不足と言っても、何でもかんでもそこへ来ればいいという話でなく て、やはり個別的な特性を見ながら、うまく当てはめてあげる。新卒の場合は最初はど こでもいいのですが、そこの見極めというのは、私は経営者の端くれでもありますけれ ども、そこの腕ではないのかなという気がします。お答えになっているかどうかあれで すけれども、そうするとOJTにしても学校の教育にしても、そこの工夫が要るのかなと 思います。私は短大の介護福祉、社会福祉の教授をしていて4月いっぱいで辞めました けれども、学生の顔を見ても、それぞれこのタイプはこうだなというのが、あるという ことをお分かり願いたいと思います。 ○河委員 いまので言いますと、まさに老人保健をやっているのですから、看護師さん というのは、いきなり在宅から始まっている方はそんなにいらっしゃらない。基本的に 病院で在宅系をやる中で訪問看護集団に移ってからの方がいらっしゃる。つまり看護は そういう流れが起こっているのですが、私があえて申し上げたかったのは、介護の世界 にはそういうことが起こっていない。看護師さんがやらないのに逆にいきなり在宅系で、 なぜ北村さんの所でやるのか。北村さんが悪いわけではないですが、たぶん難しい仕事 であろう在宅系に1年生が入って行く。実はそのシステムというのはどこか直さなけれ ばいけないのではないかと私は思っているから、先ほどお聞きしたわけです。  ですから介護の話より、むしろ看護の量を取れば、まさに在宅系というのは難しいわ けです。逆に言えばオン・ザ・ジョブ・トレーニングの入口の段階で、むしろ施設系で 学んだ人が出て行くというのが、本来ではないかと私は勝手に仮説を持っているのです。 そうであるが故に、先ほど申し上げたような流れがないというのは、私は問題ではない かという気がしているということで、仮説を言ってご質問したのです。 ○高椋様 先生、逆に施設系というのは非常に業務が整理されているのです。パターン の業務ではありません。むしろパートなり何なりの間接業務のほうが直接ケアの業務よ り、やらせてみると難しいという結論です。タイムスタディをやってこれはやっていま すけれども、それは出ているのです。  訪問系は、1人でやらなければいけませんので裁量権が大きい。だから難しい。その 瞬間、瞬間が変化します。おっしゃるとおりだと思います。でも1年生で難しいのが入 っていってどうか。私は自分の所のヘルパーさんを見ていても、これはパーソナリティ なのです。先生、如何とも説明できません。お喋りで世話好きとか何かそういう基準を 持っている。これは性格的な分析というのをやるというのが1つの宿題かなと思ってい ます。  そうすると訪問看護のところも、あえて反論させていただきます。これはやりたかっ た方だけが残っているのです。独立心旺盛と言ったらあれですけれども、そういうこと を背負いたいなと思っている方たちが残っています。中核になっています。将来的には そうなるかもしれませんが、まだ介護福祉士でも20年ぐらいの歴史の中では、そう簡 単にはいかない。でも本当の中堅層が育っていませんからというところです。 ○桝田様 よろしいですか。言わばヘルパー部門の1つの問題というのは、生活支援の 問題というのが1つ大きなウエイトを占めていて、その部分の利用者側の解釈というの が、言わば家政婦さんであろうとヘルパーさんであろうと、望んでいるものは同じだと いうこと。そこに自立支援云々ということで利用者側が望んでいる部分と、提供する側 の専門性の部分でミスマッチを起こしている。ヘルパーとしてこういう事しかできませ んよという部分と、利用者がしてほしい部分とのズレがどうしても現場では起こってく る。そこらの部分のすり合わせというのが、たぶんいま現在は不可能な状態になってき ている。そうすると介護なのか福祉なのかということで、1つは、福祉領域からやって きた部分の介護の専門性の部分に入り切れてない分野が、ヘルパー部門には非常に多く て、それがもともとの出発点から言うと、福祉として生まれてきた部分が今でも残って いて、言わば生活支援というのが福祉なのか介護なのか。介護保険の世界でいいのかと いう論議まで起こりつつある。そこの部分が非常に難しいのではないか。  社会福祉法人が行っていく部分から言うと、ある程度の職員しか送らないという部分 は、本体の施設との関わりの延長線上で捉えていくために、自立支援という部分をメイ ンの考え方で捉えていく。在宅部門、通所部門、入所部門のトータルで組み立てていく という関係で、最先端の部分に行くのはベテラン職員となってきますから、そこらの利 用者側とサービス提供者側の思いの違いが表れてきているのではないか。 ○大橋座長 最後、私、1つだけ質問させていただきます。介護というのはまだ産業と して十分成熟していない。ケアマネージャー、サービス提供責任者、ホームヘルパーの 方、この三者がうまくフィードバックしたような形で、システムとして連携されていな い。だから、例えばヘルパーさんのキャリアアップがなされたときに、それが一体どう いうふうに報酬につながっていくのか。キャリアアップがどういう形で上のコーディネ ートする人に情報が伝わっていくかを考えたときに、全くよくわからない。あと時給で 給与が決まるわけですから、これはキャリアアップも何もないという感じがするのです。 そういう点では産業としてまだ成熟していない。  それに対して施設のほうは1カ所に集まって、今日、お話を聞いても非常に組織化さ れた形なのです。ただ、研修をたくさんやっておられますけど、営業についての研修と いうのか利益を上げる研修が1つもないのは、ちょっと残念でした。これは余談です。 ということで時間が過ぎてしまいましたので、これで終わらせていただきたいと思いま す。ありがとうございました。次回の研究会は5月8日、木曜日、10時からということ でお願いしますが、事務局からご説明をお願いします。 ○佐藤介護労働対策室長補佐 本日はお忙しい中、ありがとうございました。事務局か ら説明させていただきます。次回の研究会は5月8日、木曜日、10時から、場所は厚生 労働省5階の第7会議室で開催する予定としています。本日に引き続き、関係団体から の評価ヒアリングを予定していますので、一般傍聴者の方も含めましてご参集いただき ますよう、よろしくお願いいたします。 ○駒村委員 資料をまたお願いしたいので、一言申し上げます。先ほど老施協の方から も、スケールメリットみたいなお話があったと思いますが、そういうスケールメリット というのは本当に存在して、それはコストを削減しているのか生産性を上げているのか、 労働者の時間配分の自由度が上がっているのか、よく状況がわからないので、この辺は どこまでこういう経営に関する研究が進んで明らかにしているのか。厚労省は把握して いるのか。そういうレポートもなるべく用意していただきたいと思います。 ○大橋座長 そうですね。この研究会のいちばん大事な肝ですから、是非、よろしくお 願いします。 ○高椋様 昔、出たと思いますけど、スケールというものをどういうふうに捉えるのか ということですよね。ですからコムスンの例ではありませんが、確かに全体としてはス ケールは大きいけれども、感覚としてはちょうどいい。全部そうですけど、損益分岐点 みたいなスケールバランスというのは存在すると思います。決して大きいから経営的に いいのだということではない。よくわかりませんが、すみません。 ○大橋座長 それでは、これをもちまして第2回の研究会を終わらせていただきます。 ご苦労さまでした。 連絡先 職業安定局 雇用政策課 介護労働対策室係 Tel:03−5253−1111(内線5785) Fax:03−3502−2278