06/04/24 第1回新型インフルエンザ専門家会議の掲載について(議事録) 新型インフルエンザ専門家会議 議事録         厚生労働省健康局結核感染症課 新型インフルエンザ専門家会議 議事次第   日  時  平成18年4月24日(月) 10:00〜12:02     場  所  経済産業省別館825室(8階) 1.開  会 2.議  題   1)新型インフルエンザ対策行動計画について(報告)   2)H5N1の政令指定について(報告)   3)新型インフルエンザ対策の部門別検討事項の枠組みについて   4)症例定義について   5)その他 3.閉  会 ○金成専門官 それでは、定刻でございますので、これより新型インフルエンザ専門家 会議を開会いたします。  委員の皆様方には、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 私は健康局結核感染症課の金成と申します。本日の会議につきましては、初めての開催 となりますので、議長選出までの間、議事進行役を務めさせていただきますので、よろ しくお願いいたします。  まず、本会議の開催に当たりまして、中島健康局長よりごあいさつを申し上げます。 ○中島健康局長 おはようございます。本日は委員の皆様におかれましては、御多忙の ところ新型インフルエンザ専門家会議に御出席いただきまして、誠にありがとうござい ます。  東南アジアを中心に発生しております高病原性の鳥インフルエンザについてですけれ ども、今年に入りましてヨーロッパ、アフリカに拡大し、現在患者数は194名、うち死 亡者109名ということで、じわじわとなお増加を続けておりまして、世界的な脅威とな ってきているところでございます。こうした状況を踏まえまして厚生労働省としまして は、昨年10月末に新型インフルエンザ対策推進本部を設置いたしまして、11月には新 型インフルエンザ対策行動計画が策定され、関係省庁とも連携のもと政府一丸となって 対策を進めているところでございます。  また、4月14日に開かれました第26回厚生科学審議会感染症分科会におきまして、 インフルエンザH5N1に係る政令指定につきましても御了承を得た上で、現在作業を進 めているところでございます。  本日の会議は、新型インフルエンザ対策行動計画をより具体化し、専門的・技術的な 事項につきまして御検討いただく会議ということで、新型インフルエンザ対策推進本部 幹事会のもとで設置をしたものでございます。既に、行動計画に書かれているものだけ ではなく、最新の知見を基に我が国のパンデミック対策に向けた必要な対策の御提言を いただきたいと考えております。  本日は第1回目の全体会議でございますけれども、先生方の専門的かつ大局的な見地 からの忌憚のない御意見をいただけますようお願いを申し上げまして、私のごあいさつ といたします。どうぞよろしくお願いいたします。 ○金成専門官 では、ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力のほど よろしくお願いいたします。  では、初めに、専門家会議の御説明と委員の御紹介をさせていただきたいと思います。 資料確認の前に申し訳ないのでございますが、資料1に専門家会議の設置要綱、委員の リスト、運営規程をお配りさせていただいております。この専門家会議につきましては、 2番に「会議の所掌事務」とございますが、新型インフルエンザ出現時の専門的技術的 事項について調査審議すること。その他新型インフルエンザ出現時の対策について意見 を述べること。この組織としては、会議は新型インフルエンザ対策推進本部幹事会・幹 事長である健康局長の下に設置するといたしております。この要綱のもとに、委員の皆 様には委員として御出席していただいております。よろしくお願いいたします。  では、委員の御紹介でございますが、委員リストにございます部門別の並びで今日の 席の配置をさせていただいておりますが、向かって左の委員の先生から御紹介申し上げ ます。  神谷委員でございます。  藤本委員でございます。  岡部委員でございます。  角野委員でございます。  田中毅委員でございます。  中島委員でございます。  泉委員でございます。  庵原委員でございます。  小田切委員でございます。  田中政宏委員でございます。  多屋委員でございます。  川名委員でございます。  上野委員でございます。  大久保委員でございます。  中村委員でございます。  林委員でございます。  森兼委員でございます。  丸井委員でございます。  田崎委員でございます。  前田委員でございます。  吉川委員でございます。  以上でございます。  石塚委員は今いらっしゃいました。  そのほか谷口委員、大日委員、内田委員、田代委員、永井委員、飯沼委員、安井委員 におかれましては、御欠席の連絡をいただいております。そのほか相楽委員につきまし ては連絡が入っておりませんが、お越しいただきましたら御紹介させていただきたいと 思います。  次に、事務局の職員を御紹介いたします。  今ほどごあいさつ申し上げました中島健康局長でございます。  梅田参事官でございます。  塚本課長でございます。  滝本感染症情報管理室長でございます。  正林感染症対策企画調整官でございます。  よろしくお願いいたします。  では次に、本専門家会議の議長でございますが、資料1の4枚目にございます運用規 程に示すとおり、新型インフルエンザ専門家会議に議長を置き、健康局長が選任すると いたしております。議長の選出についてですが、健康局長を含める事務局といたしまし て岡部委員にお願いしたいと考えております。岡部委員、よろしいでしょうか。  では、よろしくお願いいたします。議長の席にお移りいただきたいと思います。 (岡部委員、議長席へ) ○金成専門官 それでは、これより後の会議の議事進行につきましては、岡部議長にお 願いいたします。よろしくお願いいたします。 ○岡部議長 国立感染症研究所の岡部です。御指名をいただきましたので、大変なメン バーの会議ですので重積ですけれども、一生懸命やりますのでどうぞ御協力をよろしく お願いいたします。  それでは、これから新型インフルエンザ専門家会議ということで開くことになります けれども、今まで部門会議が幾つか行われているところもあれば、行われていないとこ ろもあるのではないかと思います。一応メンバーの方にそれぞれの共通事項や何かの認 識とか、あるいはこれからの問題点あるいはスケジュールといったことを共通の考え方 を持っていただいて、その後は恐らくはワーキンググループで討議をし、そしてまた、 場合によっては、それぞれのところでどういう動きがあるのかということがわからない と進まないことがあると思いますので、そういう意味でのコミュニケーションをとるの が第一ではないかと聞いております。時間が限られておりますし、専門の委員の方が多 数おられますので、活発な討議と同時に、できるだけ要領よく円滑に進めたいと思いま すので、是非どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、今日の会議の進め方というのはここに議事次第がありますから、それによ っていくわけですけれども、最初に資料の確認をよろしくお願いいたします。 ○金成専門官 では、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認くださ い。  資料1でございますが、先ほど御説明いたしました専門家会議設置要綱。  資料2といたしまして『「新型インフルエンザ対策行動計画」の概要について』を表と したワンセット。  資料3ですが、厚生科学審議会感染症分科会資料。  資料4「新型インフルエンザ対策の部門別検討事項の枠組み(案)」。  資料5「インフルエンザ(H5N1)の症例定義(案)」。  資料6「新型インフルエンザに関する各種ガイドラインについて」。  資料7「今後のスケジュールについて」。  参考資料として、1枚カラーのものをつけております。  以上でございます。 ○岡部議長 資料について過不足ございますか。 ○石塚委員 この2つしかないのですけれども。 ○岡部議長 では、確認をしていただいて、そのほかに資料の方はよろしいでしょうか。  では、まず最初に、議題1に入りますけれども、新型インフルエンザ対策行動計画に ついて。これは、既にお読みになっていらっしゃる方も多いかと思うのですが、これに ついての御報告を事務局からどうぞよろしくお願いいたします。 ○滝本感染症情報管理室長 それでは、私の方から新型インフルエンザ対策行動計画の 概要につきまして、まず御報告を申し上げます。資料2と書かれたものでございます。  先ほどからお話にもございますように、2003年以降、高病原性鳥インフルエンザ、こ れは家禽あるいは家禽からヒトへの感染例ということで流行しているというような状況 にございます。WHOにおきましても、昨年でございますが、2005年5月にWHO世界 インフルエンザ事前対策計画を策定・公表いたしました。各国にもそれぞれの国におい て行動計画を策定するよう求められているという状況にございます。  11月14日には厚生労働省が中心になりまして、新型インフルエンザ対策行動計画を 策定したところでございます。この行動計画につきましては、厚生労働省が中心になっ て取りまとめたということでございますけれども、その対策の内容につきましては、厚 生労働省のみならず、農林水産省でありますとか、文部科学省でありますとか、経済産 業省でありますとか、外務省でありますとか、関係各省にまたがる内容を盛り込んでお るものでございまして、情報の共有を図りながら、これを政府の行動計画ということで 位置付けておるわけでございます。これにつきましては、関係閣僚会合等も開催されて いるということでございまして、政府一丸となってこの行動計画に基づいた対策をとる ということになってございます。  その概要につきましては、1ページ目の下段から書いております。行動計画を策定す るに当たりまして、まず流行規模の推計を行っております。まず、流行が起こった場合 にどれくらいの患者さんが発生するのかということでございます。幾つかの前提を置く 必要があるわけでございますけれども、この行動計画におきましては全人口の25%が新 型インフルエンザに罹患すると想定しております。CDCのモデルを用いまして、そう した場合に医療機関を受診する患者数はということになりまして、最大2,500万人とい う数字が推計されているということでございますして、特に、タミフル等の備蓄につき ましては、この2,500万人というのを前提といたしまして計画を立てておるということ でございます。  タミフルの備蓄につきましては、2年間で政府あるいは都道府県あるいは流通してい る分も合わせまして、この2,500万人に相当する部分を備蓄計画しておるということで ございまして、政府につきましては1,050万人分、都道府県につきましては1,050万人 分、残りの400万人分については流通している部分を充当するということで計画を立て ているということでございます。  新型インフルエンザ対策の推進体制ということでございます。先ほど政府一丸という ことを申し上げましたけれども、鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議も設置 されております。そうした中で、総合的な対策を推進する体制がとられているというこ とでございます。  それから、地方自治体におきましても、それぞれの都道府県レベルでの行動計画を既 に策定されているということでございまして、総合的な対策を推進する枠組みができ上 がっているということでございます。  行動計画の中身についてでございますが、5月にWHO世界インフルエンザ事前対策 計画において定められておりますフェーズを基本といたしております。6つのフェーズ に分かれております。このフェーズにつきましては、後ほどまた別の資料がございます ので再度説明をいたしますけれども、こういったフェーズにおきまして、更に我が国の 行動計画におきましては、その状態が国内で発生しているのか、発生していないのかと いう観点で更に2つに分類をいたしております。国内非発生、国内発生に分類し、それ ぞれにつきまして5つの分野、計画と連携、サーベイランス、予防と封じ込め、医療、 情報提供・共有という5つの分野にわたって講ずべき具体的な対策について策定をされ ているということでございます。  計画と連携につきましては、対策の枠組みについて盛り込まれております。行動計画 そのものもこの中にございますけれども、連携につきましては国際的な連携あるいは国 内におきましては家畜サイドとの連携あるいはそのほかの分野との連携等々が盛り込ま れているところでございます。  サーベイランスにつきましては、ヒトにおけるサーベイランスでありますとか、ある いは動物におけるサーベイランス、あるいは国内外等の状況についての記載が盛り込ま れております。  予防と封じ込めにつきましては、検疫でありますとか、その他公衆衛生上の対策等々 について盛り込まれております。  医療については、医療資源、病床の確保等々について記載されております。  情報提供・共有につきましては、国民のパニック防止という観点も含めまして、リス クコミュニケーション等々について盛り込まれているということでございます。具体的 な内容につきましては、2ページの4番以降に抽出して項目を抜き出しております。こ ういったことが書かれているということでございます。  3ページになりますが、これは次の報告事項にも関連するわけでございますけれども、 フェーズ4Aということで、フェーズ4の段階になったときにWHOの宣言に基づきま してウイルスが確定次第、感染症法に基づく指定感染症への政令指定を行うあるいは検 疫法への適用をさせるための政令改正を行うというように行動計画の中では規定されて いるということでございますが、後ほどまた御説明をいたしますけれども、この部分一 部前倒しをして計画を進めているということでございます。  そのほか4Bあるいは6B等々について、それぞれ計画について盛り込まれていると ころでございます。  フェーズにつきまして少し詳細に説明したいと考えておりますが、「WHOにおけるイ ンフルエンザパンデミックフェーズ」ということで、2005年のWHOの行動計画におけ るそれぞれのフェーズの定義を記載しております。フェーズ1からフェーズ6まで分類 されております。フェーズ1、フェーズ2につきましては、前パンデミック期というこ とで、ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていない状況ということでござ います。  具体的に警戒期に入りますのがフェーズ3からということになっておりまして、フェ ーズ3につきましては、ヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、 ヒトからヒトへの感染は基本的にないと。例外的に濃厚に接触したような場合について は、ヒトからヒトへという感染があるものの、基本的には家禽からヒトへの感染という 位置付けでございます。現在はこのフェーズ3の状況にあるということでございます。  フェーズ4になりますと、ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認 されている。ただし、この段階ではまだ感染集団は小さく限られているということでご ざいます。  それが徐々により大きな集団発生が見られるというような状況がフェーズ5というこ とでございます。徐々に感染集団が小さな集団から大きな集団あるいは複数の集団へと 移り変わっていくということで、フェーズ4、フェーズ5ということで感染が広がりつ つある状況のことを言っております。  フェーズ6につきましては、大流行、パンデミックが発生し、一般社会で急速に感染 が拡大しているというような状況でございます。  各フェーズにおけるパンデミック対策の目標につきましては、中段に書かれてあると おりでございます。特にフェーズ4、フェーズ5におきましては、隔離を初めとした物 理的な封じ込め対策を積極的に導入し、ワクチンの開発、接種などの、事前に計画し、 準備した感染症対策の実施に必要な時間的猶予を確保するため最大限努めると。フェー ズ6になるまでの大流行に至るまでの時間を稼ぐため、各種対策をとるということでご ざいます。  2枚開けていただきますと、更にフェーズ3、フェーズ4、フェーズ5、フェーズ6 についての具体的なイメージを持っていただくために、更に詳細について抜き出して図 にしております。これはWHOの5月の行動計画の中にも例示として、それぞれのフェ ーズの状況について記載がございますので、その部分について改めて御説明をいたしま すが、フェーズ3につきましては先ほど定義で御説明いたしましたけれども、ヒトへの 新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、ヒトからヒトへの感染は基本的 にない。H5N1につきましては、ヒトへの感染例が200例ほど報告されているというこ とで、ヒトへの新しい亜型の感染が確認されているという状況にあるわけでございます けれども、ヒトからヒトへの感染は基本的にはない。例外的には、例えば2004年には タイでこのケースは女の子のケースでございますけれども、肺炎になって母親が看病の ために離れた町から病院に来たと。その娘の看病の過程の中で、肺炎で死亡されたとい う事例がございました。この母親につきましてはトリとの接触歴はなかったということ で、娘さんから感染をしたのではないかと疑われているというような事例がございます。 このような例外的な事例はあるものの、基本的には例示で書いてありますように、明ら かな感染源である動物への暴露歴があるということが前提になっております。  例示の2つ目の「・」に、ごくまれに同居家族や感染防御装備をしていない医療従事 者などで密接な接触による感染が見られているということでありますけれども、継続的 なヒト−ヒト感染伝播の証拠はないということでございます。  それがフェーズ4になりますと、ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染 が確認されているが、感染集団は小さく限られているというのがWHOの定義とされて おります。例示として挙げられておりますのは、少数のヒト症例からなる複数のクラス ター、例えば25例未満の集団発生があって、2週間未満の持続が観察されるというよ うな例示がされております。  それから、少数のヒト症例が、明らかなヒト以外の暴露源なしに複数の地理的に関連 する地域に出現し、ヒト−ヒト感染によって最もよく説明できると判断されるというこ とでございます。  それがフェーズ5の段階に至りますと、ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエン ザ感染が確認され、パンデミック発生のリスクがより大きな集団発生が見られるという ことでございます。例示といたしまして、25〜50例ぐらいの集団発生が2〜4週間持続 するような状況というような説明がされております。感染伝播が持続しておりますが、 症例は地方、人里離れた村あるいは島などに限局されていると。クラスターが発生して いることが知られている地域社会において、暴露源がよくわからない小数の症例が出現 しているというようなことがございます。  それから、フェーズ6になりますと、パンデミックが発生し、一般社会で急速に拡大 しているということでございます。  行動計画におきましては、このフェーズ3までの段階のものについて鳥インフルエン ザと用語を定義しております。H5N1のヒト感染例も含めまして、鳥インフルエンザと いう用語の使い方をしておりまして、これがフェーズ4からのものについて新型インフ ルエンザという用語の用い方をしております。  下には、トルコでのウイルス株について、ヒトへ感染しやすくなっているというよう な兆候があるというのを記載しております。  以上が、新型インフルエンザ対策行動計画について、長くなりましたけれども、説明 をさせていただきました。 ○岡部議長 ありがとうございました。  これに基づいて、各自治体も実際の行動計画を随分具体的なところまで進めていただ いているところもあるのですが、これがどちらかというとまだ細かい各論までには至っ ていない。それを今後ワーキンググループなり何なりでもうちょっと詰めて、実際的な ものを更に構築していく必要があるし、状況によってはそれをリバイスしていかなけれ ばいけないというような議論があったと思います。今のところの御説明いただいた新型 インフルエンザ対策行動計画について、これは御報告ですので何か御意見等ありました ら、どうぞお願いいたします。 ○石塚委員 新型インフルエンザ行動計画ですけれども、基本的フェーズ3がトリ、こ れで見るとフェーズ4も感染の最初のヒトやトリになるということになりますね。動物 のことが一切書かれておりませんけれども。この場合ですと、フェーズ3、フェーズ4、 フェーズ5ぐらいまでは、患者さんよりもトリや何かその発生のサーベイランスが非常 に重要になるのではないかと。現実にフェーズ3ではトリの発生が必ず先行している。 恐らくフェーズ4でも、トリの発生が先行して接触者に広がる。フェーズ5の段階でも 恐らくそうでしょう。そういった先行する動物感染に関しては何も触れられておりませ んが、その点は。 ○滝本感染症情報管理室長 行動計画の中では、そういった動物のサーベイランスも含 めて、あるいは動物の処分の話等々も含めて盛り込まれております。抜き出している部 分には確かにそこのところは省略させていただいておりますけれども、そこの部分は全 体の行動計画の中で網羅されていると認識しております。 ○岡部議長 現在でも動物に関しては、トリあるいはブタルートがないわけではないと いうのは当然でして、そちら側の方は厚生労働省関係のサーベイランスでも入っている と思いますし、農水の方で養鶏場等々のサーベイランスはやっていると思うのですが、 小田切委員、動物のサーベイランスで追加して何か御意見ありますか。 ○小田切委員 動物のサーベイランスとしては、厚生労働省の方では流行予測事業とい うことでブタのサーベイランスをやっておりまして、これは平成17年度から実際にブ タから新しいウイルスがとれるかどうかというウイルス分離の調査を行っています。現 時点で参加している県からの分離報告を受けていますけれども、今のところ分離された という報告はありません。  以上です。 ○岡部議長 ありがとうございました。  トリの方に注目はされているけれども、トリをやっていればいいのだというのではな くて、従来やっているブタの方も引き続きやっているということはありますので。  そのほかに御意見がございましたらどうぞ。よろしいでしょうか。  それでは、もう一つの議題になりますけれども、H5N1の政令指定について、ついこ の間厚生科学審議会でも議論されて、これはたしか全員一致でH5N1の指定感染症へと いったような議論があったと思うのですが、これについても御説明は滝本室長からお願 いいたします。 ○滝本感染症情報管理室長 資料3をごらんください。「第26回厚生科学審議会感染症 分科会資料」ということで、4月14日に分科会を開催いたしまして、御了承いただい た内容でございます。  1枚開けていただきますと、資料1−1ということで「インフルエンザ(H5N1)に 係る政令指定の基本方針(案)」ということでございます。先ほど行動計画の中で一部御 説明いたしましたけれども、現行の行動計画の中では、いつ政令指定にするのかという 内容につきましては、WHOのフェーズ4の宣言に基づいてウイルスが確定次第、速や かに感染症法に基づく指定感染症への政令指定を行うとともに、検疫法を適用させるた めの政令改正を行うという記載になっています。  最近になりましていろいろ状況の変化ということで3点ほど挙げておりますが、 H5N1のトリにおける流行あるいはヒトへの感染事例の増加ということでございます。 200人近くの方が感染している。うち亡くなる方が100名を超えているというような事 例が報告されているということでございます。東南アジアで限局をしていたものがヨー ロッパあるいはアフリカ等でも確認されるという状況になっておりまして、このH5N1、 日本人がこういったところに行って感染する可能性も考えられなくはない。  高病原性鳥インフルエンザのヒトへの感染例につきましては、現在4類感染症という ことで位置付けをされております。4類感染症と申しますのは、入院勧告は当然できま せん。対物的な措置、消毒等の措置はできますけれども、基本的にはヒトからヒトへ流 行することがない感染症ということで4類感染症に位置付けられております。そういっ た中では、隔離だとかあるいは入院措置がとれないという状況になっております。  こういったH5N1のヒト感染事例につきましては、WHOが2月に医療機関向けのガ イドラインという形でございますが、資料につきましては4ページ目から資料1−3と いうことで抜粋したものをつけております。医療機関向けのガイドラインということで、 8ページ目から、仮訳でございますけれども訳したものをつけております。この中で「ト リインフルエンザの可能性のある患者の早期認識・隔離・報告」という中で、8ページ 目のc)「動物やヒトにトリインフルエンザ感染が確認されていない国では」ということ で、これは日本が該当するわけでございますけれども、重症の急性熱性呼吸器疾患が観 察された患者に対しては、鳥インフルエンザ発生国を訪問したかどうかということを尋 ねた上で、診断を検討すると。可能性が認められた場合には、早急に隔離対策を講じ、 他の者から離して診察されなければならないというようなことが記載されておりますし、 具体的な隔離対策につきましては10ページ目からの確定患者の隔離対策ということで、 基本的には陰圧区域に患者を収容する、あるいは個室に収容するというようなことが述 べられているということでございます。  それから、先ほどトルコで検出されたウイルスにおいて、ヒトへの細胞の結合しやす い変異が見られているというようなこと。トリからヒトへウイルスが感染しやすくなっ ているということが示唆されているということでございます。  実務的にもWHOが宣言するまでの時間というものもございますし、それから、WH Oが宣言してから我が国で指定感染症に指定して、それを施行するまでの時間というも のも考え合わせると、事前に打てる手は打つべきではないかという議論がございます。 方針といたしまして、その下に書いてありますように、現時点でまだフェーズ4にはな っていない段階なのですが、予防的な措置ということも含めまして、現時点でのH5N1 のヒトへの感染例についてを、感染症法に基づく指定感染症に指定しようという方針を 決めたところでございます。指定感染症にしてどういった措置を適用させるのかといっ たことにつきましても、審議会の方で御審議をいただいて、入院措置等々について適用 するというような方針が確認されたところでございます。  併せまして、検疫感染症におきましても、健康診断の対象とすべく政令で定めるとい うことにしております。  この内容につきましては、現在4月17日からですけれども、パブリックコメントを 求めております。1か月間程度パブリックコメントを求めた上で、その後、閣議の方に お諮りして、政令指定してから10日間周知期間を設けました後に施行するというよう な形になっております。なるべく速やかにこの部分については施行したいと考えている 次第でございます。  以上でございます。 ○岡部議長 ありがとうございました。  政令指定のために時間が掛かるので、患者さんがもし発生した場合には、それから措 置をとったのではまた時間が掛かるということが1つと、WHOがこれを認めるか認め ないかということを言っている間に時間が経ってしまうから早くやっていこうというこ とだと思うのですが、決まってからもやはり時間が掛かるので、これは例えば仮に、明 日患者さんが入ってきたということになると、どういうプロセスになるんですか。 ○滝本感染症情報管理室長 緊急事態になりますと、パブリックコメントについても当 然その段階で打ち止めをして、閣議に掛けて施行するということになります。閣議に掛 けて政令指定してから、現在の法律上は10日間の期間は見なければいけないというこ とになりますので、法的に強制できるのはそれ以降という話になりますが、それまでは 例えば任意で協力をいただいて措置をするというような対応の仕方になるのではないか と考えております。 ○岡部議長 というプロセスだそうです。これはまだ最終決定はしていないわけですけ れども、一応方針が立っているということで、御質問がございましたらどうぞよろしく お願いいたします。いろいろな方面に関係してくると思いますので。 ○石塚委員 これもさっきのと関係しておりますけれども、H5N1ははっきり言ってト リ−ヒト感染、ヒト−ヒトがあるかもしれない。こっちの記載でもトリのサーベイラン スはすっかり抜けていますよね。ここのところでぱっと見て私が感じるのは、H5N1が 普通感染症としてヒトに感染した場合、それは普通感染症として扱うという形になって いますけれども、現実の問題ではトリと接触した人が発病するという形になるわけです。 そこでもやはりトリの問題が絡んでくる。現実に日本で何年か前に京都でH5N1が出て いますよね。そうすると、国内でニワトリのH5N1が出れば必ず国内で接触者が出てい るはずです。そして、実際にウイルスを運んでくるのはやはりトリが運んでくる。 ○岡部議長 多分、事務局の方から御説明があるのではないかと思いますが、これは発 生した患者さんについての取り決めであって、その前のトリは先ほども申し上げました ように、あるいは委員の方から説明があったように、トリについての対策は別の方でや っているという意味ではないかと思います。 ○滝本感染症情報管理室長 トリにつきましては、家畜伝染病予防法に基づきまして、 すべて迅速な届出が義務付けられておりまして、対策はとられております。 ○石塚委員 だから、簡単なことを言ってしまえば、ヒトに対する取扱いは地域的重点 さが変わってくるということです。ここですと、空港とか外とか言っていますけれども、 京都であったようにポンと発生した場合には、感染症の注意しなければならないポイン トはいきなり国内でポンと起こるということです。普遍的な感染症ではないという。 ○岡部議長 生じ得る感染、国内からの発生であっても国外からの持ち込みであっても、 H5N1の鳥インフルエンザウイルスの感染によって発症した人が出たらどうするかとい うのが、この意味じゃないかと私は理解しているのですが。 ○石塚委員 ただ、その場合いかに効率よくやるかということですよね。 ○岡部議長 トリじゃなくてヒトに対しての対策をですね。 ○石塚委員 ヒトに対しての対策を効率よくするためには、トリのサーベイランスをチ ェックしなければならない。 ○岡部議長 ですから、それはやっているわけですね。 ○石塚委員 では、そこのところの連携はどうなるかということです。 ○岡部議長 連携という意味だそうですけれども。 ○滝本感染症情報管理室長 連携は密に保たれていると考えております。 ○岡部議長 石塚委員の御質問の意味は、端的に申し上げると、その連携の部分が足り ないということですか。 ○石塚委員 基本的にこの病気が何がメーンであるのか、感染源は何がメーンであるの かということで、感染症対策が変わってくるということです。 ○岡部議長 つまり、どこの部分をきちんとやればプラスになるかという点はどこにあ りますか。 ○石塚委員 やはり、トリでの発生と、あとは家畜衛生試験場ですね、ああいうところ と保健所との連携をつくっておく。 ○岡部議長 というのは、発生者が出た場合に、例えば農水への連絡であるとか、トリ への対策をどういうふうにとるかというのがこれに書いていないと。 ○石塚委員 逆です。トリが先ですから、トリで発生した場合、農水の方から厚生労働 省のアラートが来るか。 ○滝本感染症情報管理室長 感染症法の中で、そういった動物の届出もできる形になっ ております。家伝法で家禽については当然、農林水産省の方にも報告が行くのですが、 同じ家禽であるいはほかのトリであっても、今回指定感染症にすることによって動物の 届出も実は届出対象にしようと考えております。ですから、それは農林水産省を経由し てくる情報もございますが、保健所を経由して情報を吸い上げる枠組みを構築しようと 考えておりますので、そのサーベイランスは強化されると考えております。 ○岡部議長 ありがとうございます。  そのほかに御意見がありましたら、どうぞ。 ○前田委員 恐らく政令指定ということになりますと、まず勧告入院等の対象というこ とが想定されるのですけれども、私は直近の全国の状況を存じ上げませんが、いまだ一 種感染症病床が設置されていない道府県があると聞いておりますし、また、二種病床で もすべてがいわゆる陰圧制御の設置がされていないと聞いております。そういう中で、 今回この秋の法改正で、いわゆる腸管系の感染症はかなり2類から落ちて、二種の位置 付けが大分変わってくる中で、もし今後、政令指定その後に2類あるいは1類というこ とで指定されるのであれば、やはり二種病床の設置基準というものをもう少し強化して いかないと、単に法の上だけで勧告入院できる、2類二種病床に収容できるとしても現 実的にそれが伴わないということがあるかと思います。ですので、病床の基盤整備の方 もこれと並行していただかないと、現実的には非常に受入れが難しくなるのではないか と考えます。 ○塚本結核感染症課長 全く御指摘のとおりです。現状を言いますと、第二種感染症病 床が全国で3,000床ぐらいあるのですけれども、そのうちの大体4分の1から3分の1 ぐらいが陰圧化をされているわけです。今回、陰圧化ということが望ましいと考えてお りますので、そういったところがまず中心に対応していただくということになると思う のですけれども、併せて陰圧化がされていない感染症病棟の陰圧化ということについて も、並行して進めていくような手だてをこれから考え、実行していきたいと考えており ます。 ○岡部議長 よろしいでしょうか。 ○石塚委員 私は、このH5N1の指定感染症の指定には反対ではないのです。ただし、 私が考えていたことは、これで指定することによってニワトリ間の拡大を防ぐ。要する に、養鶏業に対するダメージ、トリ間の拡大を防ぐという目的で指定されているのだろ うと想定していたのですけれども、現実問題としてトリで発生する、ヒトにうつる、そ のヒトを放っておけばそのヒトがどんどん広げていってしまう。それを止めるには指定 して行動制限を掛けるしかない。私はそういうふうに理解していたのですけれども、こ れをヒト−ヒト感染の予防という見地から見ると、すごく変な感じがしますが、そのよ うな効果・側面は考えておられたのでしょうか。 ○塚本結核感染症課長 今、ヒトからトリに感染するのを予防するために感染症法で指 定するのかみたいな御発言がありましたけれども、それは全くの誤解です。ヒトからヒ トへの感染を防止するために感染症法を今運用しておりますので、あくまでもトリから ヒトに来るとか、感染経路についてはいろいろ議論があると思いますけれども、あくま でも現時点でH5N1のウイルスの症状があって体から分離をされた人に対する措置とし て、今、室長から申し上げました対策をとれるようにするということです。そこは別途 議論しておりますので、そういう人にどういうガイドラインでどういう措置をするかと いうことをこれからの議題として御説明したいと思っているのですけれども、そういう 前提で議論していただきたいと思います。 ○石塚委員 私は基本的にトリの被害をまず防ぐべきだと。 ○塚本結核感染症課長 トリの対策は農林水産省の方が一義的にきちんとされています し、農林水産省と私どものヒトとトリとの関係については十分連携をとってやっており ますので、そこはここで御心配いただかなくても結構であります。 ○岡部議長 確認ですけれども、トリの対策の中心になるのは農林水産省であるという のは変わらないわけですね。それから、ここの会あるいは厚生科学審議会もヒトの対策 を中心にしてやる。ただし、その間の連携が飛んでしまってはいけないので、これは強 調点ですけれども、農水と厚生労働省の担当の間では十分な連携をとっていただきたい というようなお願いの部分も石塚委員のお話だと思いますが、トリ対策をここで講じる わけではないので、どうぞよろしくお願いします。  それから、ヒト−ヒト感染についても現在の鳥インフルエンザウイルス感染がヒトに 来た場合に、ヒト−ヒト感染の可能性はあり得るということは出てきているけれども、 その感染が拡大しているという状況ではないので、今の段階では指定、それから、2類 相当ということで、しかし、密接な接触があった場合には、感染の可能性もあるので陰 圧室等はできれば使った方がいいという考え方ではないかと思いますけれども。よろし いでしょうか。  そのほかに御質問がございましたら、どうぞお願いいたします。よろしいですか。  そうすると、今ので大体御説明をいただいたわけですけれども、幾つか動きはあった けれども、この新型インフルエンザ対策の検討について、かなり細かい部分も決めてい かなければいけないわけで、それについて部門別検討事項というところが実はもうスタ ートしているわけで、そこについて少し動きが出ているところもあるし、まだ全体のと ころからスタートしていない部分もあるんですけれども、この枠組み等についての御説 明を課長からよろしくお願いします。 ○塚本結核感染症課長 それでは、資料4をごらんいただきたいのですが、最初の議題 になるわけでありますけれども、30名の方に御就任いただいている専門家会議をそれぞ れ分野によりまして部門を設けて、部門ごとにきちんと議論を詰めていただこうという ことを考えておりまして、5つの部門を今セットさせていただいております。部門は、 基本的に行動計画に書いてあります5つの検討分野について対応するような形でつくっ ておりますが、計画と連携の部分はむしろ役所サイドの話でありますので、ここの対象 にはしておりませので、予防と封じ込めの部分のボリュームが大きいわけですので、こ の部分を2つのグループに分けて、都合5つのグループということでございます。  案に書いてありますように、基本的には、それぞれの部門の守備範囲をこんな形で決 めさせていただいたらということで整理をしております。基本的には、行動計画のそれ ぞれの5つの分野ごとに対策を講じるということで書いてあるものをそれぞれ割り振っ ているとお考えいただければと思いますが、一部両方にかかわる分野でありますとか、 行動計画を策定する場合に少し視点が抜け落ちていたのではないかというような部分が 後から出てきたものもありますので、そこは一部出し入れがありますけれども、基本的 には行動計画の内容に沿った分け方をしているということでございます。  簡単に触れますが、サーベイランス部門については各種のサーベイランス、現行やっ ているものもありますし、今後取り組むものもございますが、こちらを担当していただ ければということでございます。  予防と封じ込めはかなり大きなテーマになりますので、まず公衆衛生対策部門とワク チン・抗ウイルス薬部門の2つに分けまして、それぞれここに書いてありますような対 応について、いろいろ御意見をいただく、御検討いただくというようなことを考えてお ります。予防と封じ込めの部門で言いますと、大きく言いますと検疫関係の部分、それ から、積極的な疫学調査といったようなものですとか、それから、国民の皆さんにどの くらいの社会生活を我慢していただくかといったような観点からの対応ということで、 ひとつまとめてあります。  1ページめくっていただきまして、予防と封じ込めの2つ目の部門ですけれども、抗 ウイルス薬とワクチンに関するさまざまなロジスティックスも含めたプラクティカルな 御議論をいただくということで、1つ独立をさせております。  4つ目が医療部門ですけれども、医療部門については診断治療ですとか院内感染対策、 全国的な医療機関の整備というようなことも含めて、基本的には、確定あるいは疑い症 例も含めた患者さんが把握された後の医療のアプローチをここで議論していただこうと いうことでございます。  最後5つ目ですが、情報提供・共有部門ということで、リスクコミュニケーションに 関するような手法ですとか、それぞれのフェーズごとにどんな媒体を使ってやるかとい ったことも含めて、リスクコミュニケーションについてこの情報提供・共有部門でお願 いしたいと考えております。  後ほどまた議題には出てくると思うのですが、差し当たりこの5つの部門でお願いし たいと考えておりますのは、基本的にはここに書いてありますような事項につきまして 私どもに御提言をいただく、あるいはこちらからお聞きしたものについて答えを出して いただく、専門家としての御意見をいただくということが、基本的なそれぞれの部門の 役割になりますけれども、先ほど政令指定の話が出ましたように、政令指定の関係のタ イムスケジュールが6月とかそのぐらいになるだろうというような説明をしましたので、 その政令指定をした場合に、例えば、入院勧告ができるという条文が適用されるにして も、もうちょっとプラクティカルな部分が決まっていませんと現場で動かないというこ とがありますので、H5N1のインフルエンザにかかった患者さんに対する対応の実際的 なガイドラインというものについては、私どもとしては政令指定が施行されると同時に 世には出していきたいと考えておりますので、H5N1の患者さんに対するガイドライン については明確におしりが切られていると、それがまず最初に取り組んでいただきたい というようなことでございます。  以上でございます。 ○岡部議長 つまり、この項目は新型インフルエンザ対策のいろいろな部門だけれども、 その前の段階におけるH5N1ヒト感染症についてもテーマとしてやってくださいという ようなことが投げ掛けられているわけですね。それについては、診療部門の方が取り組 んでいただくことになると思うのですが、既に幾つか部門別には分けられていますけれ ども、結局具体的にどこの部分を取り組んでいいのか、あるいはかなりオーバーラップ する部分もあるじゃないかということで、国の方向性として、これこれこういうことは 最低限やってもらいたいということが、この項目に少し見えてきて挙げられてきたので はないかと思います。  あるいは更に取り組まなければいけないこともあるし、あるいはこの中でプライオリ ティが少しずれてきたり、あるいは例えばリスクコミュニケーションといっても、ほか の動きがないとコミュニケーションのとりようが恐らくはないわけでしょうし、そうい う連携をどうするかということが、今日の全体の会議の一つの趣旨ではないかと思いま す。  最初の2つの議題は既に決まったことと、決まりつつあることの報告なのですが、こ れからは検討事項ですので、是非積極的な御意見をお願いしたいと思います。部門別と いうことでは分けてあるのですが、これについて何か御意見がありましょうか。 ○中村委員 確認ですけれども、今の課長の御説明ですと、それぞれの部門が自立的に 検討を進めていくと認識しましたが、こちらとしては呼び掛けに応じて、この部門を担 当している中でいろいろ検討していくと。ペースメークをどっちでしているのか、こっ ちでペースメークをしろというような御説明だったように受け取ったのですが、私の認 識としては感染症課の方でペースメークをしていくのかと認識していたものですから、 そこの確認だけちょっとさせていただければと思います。 ○塚本結核感染症課長 両方あると思うのですが、基本的には事務局の方でペースメー クをさせていただきたいと思っております。 ○岡部議長 そうすると、事務局の方である程度のドラフトのような案が出てきて、そ れについて専門的見地から意見をおっしゃっていただくというのが、それぞれ部門の役 割であると。しかし、勿論、積極的に取り組んでいただくべきところもあるのじゃない かと思いますけれども、進め方としてはそういう形になるわけですが、いかがですか。 ○中島委員 今の流れとは別の話なのですけれども、昨年の行動計画の中では盛り込ま れていなくて、新しく出てきた大きな項目として早期封じ込めがあると思うんですが、 今この分かれ方の中では予防と封じ込めの中に入っていますけれども、これが極めて新 しいコンセプトであるのと同時に、WHOのガイドラインにも入っていない。それでい て、サーベイランスからリスクコミュニケーションまですべての分野にまたがるという ことで、これを政府としてどういうふうにやっていくのかとか、早期封じ込めをやるの かやらないのかということも含めて、1つの専門部門のディスカッションを超えている と思うのですが、その取扱いによってグループ内でのディスカッションも変わってくる と思うんですが、その辺りはいかがなんでしょうか。 ○塚本結核感染症課長 あえてどこに担当していただこうかということを考えた場合に、 この予防と封じ込めということで整理を我々はしているのですが、次の議題になってく る症例定義についてもそうなんですけれども、各グループ共通の事項というものもある と思いますので、それは私たちの方も事務局で考え方を整理させていただきたいと思い ますが、主たるグループで御議論していただいて、改めていろいろなところに関係する 部分は、こういった場でも議論していただくというようなやり方でしていただければど うかと思います。 ○岡部議長 もし、共通課題みたいなことが出てくるようでしたら、事務局である結核 感染症課の方から各部門に意見を求めるというような形で流していただけるということ ですね。逆に、各部門の方からこれは共通課題であるということがあれば、事務局側に 出してそこからすぐに、その場合は持ち回りでも何でも議論していただくという形にな っていくのではないかと思いますけれども、いいですか。 ○中島委員 今のに関連してですけれども、例えば、技術的なディスカッションをする 場合に、各部門から何人か集まって小さなワーキンググループをつくっていくというこ ともあり得るということで理解してよろしいでしょうか。 ○塚本結核感染症課長 必要があれば部門間の調整ということで、例えば、部門長さん だけに集まっていただくような会議ということも考えていいのではないかと思います。 ○岡部議長 後でスケジュール的なことも出てくるでしょうから、その間での調整だと 思いますが、そのほかの御意見として。 ○丸井委員 最後のリスクコミュニケーション絡みの部門ですけれども、今のお話のよ うに、それぞれの部門が個別にいくのか、それとも上から下に指示が来るのかというお 話もありますけれども、感染症の場合には先ほど来のお話のように、時間的に非常に速 やかに対応する必要があると思いますし、そういう中で各部門が全体の流れをどれだけ きちんと把握して、自分の役割を果たせるかというところが非常に大きいと思いますが、 今までのお話の中で、割合そこのところがどうも不安があるという感じがあると思いま す。リスクコミュニケーション、国民に対する情報も大事ですけれども、専門家の間で のきちんとした認識の一致というものが不可欠ですし、そういう意味では、どのように 全体的な動きと個別の動き、そして、別の部門がどのように動いているかということを 承知しておかないと、次のところが動けないということもあると思いますので、我々よ く研究費のときにポンチ絵を出させられますが、この5つの部門がどのような関係にあ って、前後関係、時間の関係あるいは情報がどのように流れていくのかというようなこ とを、5つがただ並ぶのではなく、それが少し立体的にどのように動くのかということ をお示しいただけると、それぞれの部門が動きやすくなるのではないかと思いますが。 ○岡部議長 貴重な御意見だと思いますけれども。 ○塚本結核感染症課長 ごもっともだと思います。実は、今までの関係から、少し言い 訳じみてしまうのですが、それぞれのガイドラインも皆さん方に御検討いただくという ようなことが今までもありまして、本当は最初に全体的な会議を開けばよかったんです けれども、そういう状況ではなかったものですから、それぞれごとにガイドラインの作 成をお願いして、今案という形で各種ガイドラインの案が出てきているということです ので、これから横の連携というものも十分とれるような形で、この会議の運営をしてい きたいと思います。 ○岡部議長 丸井先生、今の説明でよろしいですか。  では、続いて石塚委員、お願いします。 ○石塚委員 やはり予防と封じ込めなのです。これをすっと読んでいくと、10番の早期 封じ込めの報告ですけれども何気に過ぎてしまいますが、予防と封じ込めと言うのは簡 単ですけれども、では、どこの何をということですね。どこで発生している何を。これ も国内で発生した、例えば、フェーズ4での小クラスターを短期間に隔離・入院させて 接触を防いでクラスターの拡大を防ぐ、そういうような意味と解釈してよろしいのでし ょうか。 ○岡部議長 事務局の方からいかがですか。今の、早期封じ込めの「早期」は一体どの 辺のことか、それから、誰が出たときにどういう対策をとるかという意味合いの御質問 ではないかと思うんですが。 ○石塚委員 WHOがこういうことはポンと使えば国際的な活動になりますけれども、 我々がここで議論しているのは国内のことであるということですので。 ○塚本結核感染症課長 国内に限定した話は間違いないのですが、要するに、コンテイ ンメントをどの程度やるのか、やらないのかも含めて、勿論広がらないようにいろいろ な手だてを尽くすのですが、要するに、半径何キロと決めてやるような方法をとるのか どうかということも含めて、実は行動計画をつくる際には、そこがまだ十分議論が尽く されていなかった面がありますので、こちらの方も今議論をしておりますけれども、専 門家会議でもいろいろ御意見をいただいてと考えております。 ○岡部議長 その場合は、当然フェーズ6になっていたら封じ込めをやっていられるわ けではないので、そういったようなことの合意もこの中に含まれるということですか。 早期封じ込めから全体対策に取り組むというようなこともこの中に入ってくる。そうい うことで石塚委員、よろしいですか。  そのほかにございますか。 ○田中(毅)委員 今の早期封じ込めに関して、WHOはいわゆるローカルクランティ ンを言っているのですが、私はこの早期封じ込めの部門の委員をやっておりまして、そ この議論を含めていいのかどうかと。法制的にどうなのかというのをちょっとお聞かせ いただけますか。 ○岡部議長 今の検疫をこの中に、ローカルクランティンというのはそういう意味です よね。 ○田中(毅)委員 つまり、エリアで、例えば新宿区で発生したものを新宿区を封鎖し て、そこの住民に全員タミフルを投与するというようなことをWHOはこの前のWHO 東京会議で言ったわけですけれども、それが本当に日本で可能なのかどうか。はっきり 言って、そういう議論までしていいものかどうかという、それをちょっと教えていただ けますか。 ○塚本結核感染症課長 まず、法制的なことですけれども、感染症法上では道路の封鎖 とか建物の閉鎖というものが1類感染症ではできるようになっていますので、法制的に はやろうと思えばできる法制的な整理がされていると私などは認識しています。ただ、 今回のH5N1の感染症についてどうかということになりますと、少なくとも現時点での 世界で200人ぐらいの方が発生している状況を見ますと、それほどヒトからヒトへ感染 が起こってしまうというような状況でもないので、今のところ政令指定をしたときの適 用する条文については入院の勧告というところにとどめておいて、建物の封鎖とか道路 の遮断ということまですることは想定していないのですね。ただ、それはあくまでも今 のH5N1を評価した上でということでありまして、例えば、審議会でも議論が出たので すが、H7とかH9というのが新型インフルエンザになる可能性もありますし、H5N1 がヒト−ヒト感染を始めたときに非常に強い病原性かもしれないしということで、新型 インフルエンザが出たときの対応については、やはり新型インフルエンザを起こしたウ イルスの病原性とか感染性を評価した上で、必要であれば対策を追加していくというよ うなことになろうかと思いますので、繰り返しになりますけれども、法制上は可能と考 えています。ただ、今回のH5N1については、そこまでするエビデンスはないのではな いかと考えています。 ○田中(毅)委員 でしたら、フェーズ4以降のことを考えて、ある程度コンセプトと して持っていてもいいということですね。 ○塚本結核感染症課長 はい。それから、少し長くなるかもしれませんけれども、ロー カルクランティンをしたときに、本当に効果的にそれができるのかどうかという話もあ ると思うのです。例えば、新宿区の真ん中でクラスターが出たときに、本当にローカル クランティンを構成的にできて実際にやると言っても、本当に人が全然行き来しないよ うなことがオペレーションで実行できるかどうかというようなこともありますので、そ の辺も含めて議論を深めていきたいと思っております。 ○泉委員 県でいろいろ計画とか対応を考えていく中で、今一番困っているのは医療の 部分でありまして、こちらの専門家会議は基本的な、技術的な事項を検討する場だと思 いますが、オペレーションがうまくいくための仕組みづくりという点で少し問題を感じ ています。具体的に申しますと、フェーズ6での病床の確保で、お願いベースで医療機 関に声を掛けていますが、大体3分の1ぐらいの数しか確保できませんし、それが現実 に事が起こったときに動くのかどうかということについては全く保証がありません。理 想を言えば、こちらからのお願いベースではなくて、各医療機関であらかじめフェーズ 4、5、6で何をするという計画を立てさせて、それを実行させるような体制をつくっ ておいて、事が起こったときはスイッチを入れれば自動的にそれらが動くような形にし ておかないと、お願いベースでは非常に限界があると思っております。そうしたシステ ムの話は、こうした技術的な事項と少し次元が違う話だと思うのですが、そうしたこと も含めて御検討いただけるという理解でよろしいでしょうか。 ○岡部議長 技術的なことはそのグループで検討するけれども、そこから先はかなり行 政のアクションを起こさなくてはいけない部分があるので、どうするかという御質問だ と思うのですが。 ○塚本結核感染症課長 プラクティカルに本当に動くようにしないといけないので、そ ういう意味で行政の方にも何人か入っていただいていますから、どうしたらそういう医 療機関が動いていただけるような環境をつくれるかということも含めて、ここで議論し ていただければと思います。 ○岡部議長 ただし、アクションをとっていくということになると、行政技術的なこと が入ってくるので、事務局の作業が出てくるということですよね。  そのほかにも、例えば、学校をどうするということになると、文部科学省の方の御意 見もあるいは協力も要るわけなのですけれども、そういう枠組みを超えた場合はどうな りますか。消防車の動きとかあるいはパトカーというものも全部厚生労働省がやるわけ ではないと思うのですが。 ○塚本結核感染症課長 かなり他省庁に関係する部分があるのですが、そこは他省庁の ことだからここで議論しなくていいですよということでもないと思いますので、そこは ここで御指摘いただいたもので他省庁に関係する部分であれば、こちらの方で他省庁と の調整はします。ただ、やはりヒトに対してどうするかということをメーンターゲット にして、ここでは議論していただきたいとは思います。 ○岡部議長 ワーキンググループのときにちょっとお願いをしたことはあるのですが、 そういう議論をするときにもし時間的な余裕があるならば、そういったようなところで の担当の方にも参加いただいて、委員ということまではいかないでしょうけれども、御 意見を伺うとか、あるいは一緒に討論に加わっていただくということは可能ですか。 ○塚本結核感染症課長 それは可能だと思います。 ○岡部議長 ありがとうございます。 ○中村委員 全国の衛生部長会を代表して参加させていただいていますけれども、今の 泉委員からの医療のことだけではなくて、各都道府県知事の対応として社会活動の制限 も含めて各都道府県で計画を立てておりますので、先ほどの丸井委員からのお話は大変 賛同するところでありまして、全体像を自治体としては対策がどうなっているか常に把 握しておきたいということがございますので、この部門ごとの検討状況を何らかのルー トで情報をいただけるようにシステムをつくっていただければありがたいと思っており ます。 ○岡部議長 全体会議をしょっちゅうやるわけには多分いかないと思うので、ワーキン ググループの中ででき上がったことをどのくらいの頻度でやるかは別としても、こうい ったような全体会議の中で共有することも必要であると、あるいは資料としても共有が できるような配分をするということでよろしいですか。 ○中村委員 ここで承認を得たものが都道府県に来るというシステムにするのか、それ よりも随時、各部門でどういう検討がされているのかという情報をいただきたいという のが本音ですね。 ○塚本結核感染症課長 情報提供は未確定のものについても、検討状況がいろいろな形 で流れていくように、必要であれば衛生部長会以外にも保健所長会もありますし、情報 を提供していくということをしたいと思いますし、もし、できればタミフルのときも1 回か2回衛生部長会の役員の人に集まっていただいて意見交換をしたりした経過もあり ますので、別途情報を流すだけではなくて、これとは別に並行してそういった衛生部長 会で議論するような場も持っていただければ、我々は積極的に出掛けていきますので、 そういった取り組みをお願いしたいと思います。 ○岡部議長 決めないことが先に広く流れてしまっても困るのですが、ある程度のとこ ろでは情報共有しておかないと、一体どうなっているんだということがあり得るので、 その辺是非スムーズにいくように事務局にお願いしたいと思います。 ○川名委員 医療部門の担当の中に入らせていただいておりますけれども、最初に課長 から今回の部門の役割として、1つは専門家としての回答を出すこと、それから、もう 一つがそれぞれの部門から提案を出すということ、その2点が言われたわけですので、 例えば、我々医療部門としては、部門外である程度完結できる問題としては、例えば、 治療の部分とか院内感染対策の部分とか、そういう部分は恐らく完結できると思うんで すけれども、例えば、先ほどから問題になっております医療体制といったような部分は、 提案という形で出させていただくことをまずゴールと考えてよろしいという理解でよろ しいでしょうか。 ○塚本結核感染症課長 今おっしゃられたとおりです。我々は最低これとこれはいつま でにやっていただきたいというのは提示しますけれども、それに縛られずに、専門家の 皆さん方から見て、ここはこうした方がいいのじゃないかというような御提言があれば、 それは積極的にお願いしたいと思います。 ○岡部議長 少なくともリコメンデーションであって、ここで全部決定して動いていく ということでは多分ないだろうとは思うのですが。 ○石塚委員 部門別の話が出てきましたので、私は予防と封じ込め部門で、成田空港検 疫所の石塚と申します。先ほどから、その人がどうだかという話ばかり出ていますけれ ども、検疫というものは現場で人を見ていたってしようがないです。海外を見ていなく てはならない。人が来るその外を見ていないと現場では全く役に立たない。つまり、戦 略的なものの見方というのがなければならない。だから、外国の状況を見ていれば、そ の状況で国内への影響や何かが推察できる。だから、フェーズ4、フェーズ5がどこで 広がった、そういった情報を検疫所は絶えず押さえているわけです、いろいろなメディ アをとって。ですから、何々病のあれが現場でこれだからというようなものでいいのだ というような考え方はしないでいただきたい。外を知らなければ現場のことは決められ ないわけです。 ○岡部議長 それは、アンテナをもっと高くするということをここに盛り込むべきであ るという言い方になるのですか。 ○石塚委員 基本的にはそうですね。ですから、要するにこれで見ていくと、部門、部 門のデスクがどんどん小さくなっていってしまう。それはいいですけれども、では、そ の大前提は何になるか。そうすると、そのデスクのサイズを決めるには、ほかにアンテ ナがなくてはいかんと。 ○塚本結核感染症課長 こういった会議の場を頻繁に開くわけにはいかないのでありま すけれども、海外の状況とかそういうものは、定期的に委員の皆さん方にはきちんと情 報提供ができるようなことで、今、御指摘があったようなことには情報提供を対応でき るようにしたいと思います。 ○石塚委員 そういうことを基本に置いて、ガイドラインや何かの考えを持っていきた いということなのです。 ○岡部議長 前提条件として広く内だけではなくて外の状況、むしろ外の状況が重要で あるというのが今の御指摘だと思うのですが、そういうことを前提としてディスカッシ ョンの材料にすべきであるということではないかと思います。また、ここに書いてある ことしかやってはいけないというわけではないので、従来どおり私たちのところもそう ですし、先生のところもそうでしょうけれども、外向きのアンテナはどんどん高く張っ ておかなくてはいけないので、その点は継続してやっていただくということになると思 います。 ○角野委員 検討事項以前の事務的なことの要望で申し訳ないのですが、私も予防と封 じ込め部門のメンバーで、前回部門会議に出席したわけですけれども、それぞれの部門 は大事なんですが、予防と封じ込めというのが今回非常に期待されている部分と認識し ています。その予防と封じ込めの部分も、検疫よりもむしろ地域、いわゆる保健所の活 動というのが非常に注目されることになると思うのです。ところが、メンバーを見てい ただくと、私は勿論、所長会長していますので、全国の保健所長連中にはいろいろ意見 を聴取した上で、この部門の中で意見を反映させていきたいと思いますけれども、ちょ っとバランスが。こちら側を見れば「公衆衛生(検疫を含む)」と、検疫が括弧になって いるのです。その検疫から2人来られて保健所が1人というのは、バランスが非常に悪 いなと。この辺りはメンバーを増やすことはできないのであれば、重複という形になり ますけれども、他の部門にも保健所長さんがおられるし、また、保健所勤務の経験の十 分おありの方もおられますので、その辺りを配慮していただいて、どうもこの間も議論 が一番大事なところになかなか進まないというジレンマがありまして、それは数が増え たからできるという話ではないと思うのですが、その辺り事務局として御配慮いただき たいなと思います。 ○岡部議長 今のお返事をお願いします。最初に検疫ガイドラインというのが前面に出 ていたので、多分そこの部分があったと思うのですが、テーマをやってみると相当膨ら んできているので、このバランスでは議論が進まないかもしれないので、もうちょっと 考慮してもらいたいと、私もそう思うんですが、いかがですか。 ○塚本結核感染症課長 今、主催者である局長の方から柔軟に追加したらどうかという ことですので、役所的に言うと、ほかの部門の方でも公衆衛生の部門には保健所長さん 方みんな入ってもらうとか、運用の中でいろいろ柔軟に対応したいと思います。 ○岡部議長 あるいはワーキンググループを開催して、通知はみんなに出してできるだ け参加できるような形をとっていただけると、必要に応じてそのテーマによってはこの メンバーは全部参加できるというような形ができると思うのですが、事務局は大変かも しれませんが、そういったようなことも一つ方法として考慮しておいていただければと。 絶対にそうでなくてはいけないと言っているわけではないのですが。 ○丸井委員 余り最後にならないうちに1つ、この全体の幾つかの部門とも関連します し、先ほど外のお話というのがありましたけれども、専門家とか行政とかがどのように するかということも大事ですが、実は一番大事なのは国民がどういうふうに考えて、ど ういうふうに行動するかということで、ここでどんな議論をするかということも国民の 側に流れ、そして、ある時点で何か情報が流れると、多分それは科学的事実とか行政的 な措置よりも今、情報の方が先行します。ですから、行政の中で通知が行くよりも早く 報道によって知ることができますし、外のことも場合によると、どこでどういう事例が 出たかということを国民が直接インターネットなりニュースなりで知ることができて、 そういうときにどういうふうに説明ができ、かつ、どのようにしたらよいかというよう なことをタイミングよく情報を単に提供するだけでなく、反応をきちんと受け止めなが ら次にどうするかという決断をしていくという役割を行政がされるわけですけれども、 それをどういうふうにするかということを、ある意味では最後の情報提供共有部門のと ころで考えていくことになりますが、それぞれの部門の先生方も、ある意味ではそれぞ れ縦割りになっているところがありますが、最後の部門は横ということで、どこにもか かわりが出てまいりますし、それから、それぞれのところで考え、行動していくという 提案をされるときに、どのタイミングで流れた情報が、どのように国民の皆さんが考え てそれにきちんと対応してくれるかという、そこのところを頭に是非入れておいていた だくのが、実は一番大枠として必要なところですので、是非それをそれぞれでお考えい ただきながら、全体の枠組みというのを動かしていただければと思います。 ○岡部議長 非常に重要なところだと思うのですが、田崎委員、この辺については何か 御意見ありませんか。コミュニケーションの方の専門と言うと失礼だと思うのですが。 ○田崎委員 やはり今、丸井委員がおっしゃったように、国民の方が情報をどんどん先 にとってしまいますし、正確な情報、不安な情報、不正確な情報がどんどん広がってい くと思います。皆さんのところでお話しされていく話も、どんどん情報というのは出て いってしまうものだと思いますので、なるべく我々の方でもその情報をこちらの方に流 していただいて、それをどう説明していくかということを考えていきたいと思います。 ○岡部議長 メディカルなことについては、かなり専門的な議論をやればいいんですけ れども、それを外に出していくというのは非常に重要な部分になると思うのですが、吉 川委員もその辺何か御意見・コメントがありましたら。 ○吉川委員 ちょっと急には難しいので、ごめんなさい。 ○岡部議長 ありがとうございます。  それでは、大体の進め方はそれぞれの部門で議論していただくのですが、それこそワ ーキンググループ同士でのコミュニケーションがとれていないと話にならないだろうと いうこともありましたので、是非連絡を密にとっていただくことと、それぞれの項目が 出てきたわけですが、それぞれの項目について必要なこと、あるいは今後やらなければ いけないこと、あるいはオーバーラップする部分とかそういうものについての御意見は、 また後に追加であればおっしゃっていただくということにして、とりあえずは時間に限 りがありますので、次の議題に移りたいと思います。  もう一つは、前提にもなっていくと思うのですが、症例定義について提案をいただい ているんですが、これは事務局の方から新型インフルエンザの症例定義について、御提 案をお願いいたします。 ○塚本結核感染症課長 それでは、簡単に御説明をします。各部門でこれからガイドラ インをまずつくっていただくというのが一番大きなお話になるのですが、前提としてや はり検疫を対象にするにしても、入院、それから、いろいろな臨床の現場においても、 封じ込めや保健所の現場においても、やはり症例定義というものを共通したものとして 持っておかないと、これは大前提になるのではないかということで今回、各部門に共通 する事項ということで、症例定義について御議論していただきたいということで資料5 でございます。  症例定義は2つありまして、これは全く別だというふうに混同しないでいただきたい のですが、まず1つは、フェーズ3の段階でH5N1のウイルスに感染して発症した人に 対してどうするかということに関する症例定義が1番目です。1枚目がH5N1で現在の 状況のことです。2枚目に、これは新型インフルエンザが発生した段階でということに なりますけれども、フェーズ4以降における新型インフルエンザの症例定義という、こ の2つの症例定義についてであります。どちらが急ぐかといいますと、1枚目のインフ ルエンザ(H5N1)の症例定義の方が現在、世界的に発生しておりますので、これにつ いては非常に急いで決めなければいけないということであります。  書いてありますように、要観察例と確定診断と2段階で分けておりまして、要観察例 というのは、この条件に当たった人が把握されたらH5N1の亜型の検査をしましょうと。 基本的には、こういうことをするための症例定義です。確定診断としては、要観察例の うちこういう状況になった人を確定するという確定です。それぞれ2つの症例定義につ いて要観察例はこういうもの、確定診断はこういうものだということで案をつくってお ります。  一つ混乱しないようにということで申し上げますが、1ページのちょうど真ん中に 「※」で『感染症法第8条における「疑似症患者」の定義は別に定める』と書いてあり ますが、この感染症法第8条における疑似症患者の定義というのは、入院勧告をするこ とができる定義と考えていただきたいと思います。要観察例を見ていただければわかる のですが、この方をいきなり全部入院勧告をするということになると、非常に広くなり 過ぎてしまうのではないかという議論があって、あくまでも入院勧告をする、あるいは 就業制限を掛ける対象となる疑似症の定義については、また別に議論したいと思ってい ますけれども、まず、要観察例、それから、確定診断、この2つの症例定義について書 いてあるとおりですので、ごらんになって何か、非常に少ない知見の中での議論になり ますけれども、これでよろしいかどうか確認をしていただければと思います。 ○岡部議長 最初の認識が広がっていくのに、多分時間をある程度要すると思うのです けれども、SARSのときに決まった症例についてはきちんとした対策がとれるけれども、 そうではない方には全くフリーでどうしようもなかったというような経験があったわけ ですね。こういう人については法律での枠外での入院等々にはならないけれども、きち んとフォローが必要である、見てくださいというようなことが法律の枠組みと別に決め るという意味が、多分この要観察例ではないかと私は理解をしたのですけれども、その ことも含めてどうぞ。 ○石塚委員 症例定義、ごく最近我々に非常にあれになったのはエボラ出血熱の症例定 義なのですけれども、あれは現地の場合と海外の場合と違う。これははっきり言ってそ の焼き直しですよね。CDCのそのときの症例定義に出てきたものの全くの焼き直し。 そこのところであったのが鑑別診断をつけろということなのです。要するに、エボラの 場合除外診断を行っていって、それでほかの疾患が否定できたら疑わしいと初めて言え るというただし書きがくっついています。これは実際に現場で見ていてもそうなのです が、これは理屈的には全くそのとおり。では、症状のある人から見て逆にさかのぼった らどうなるか。逆また真ではないのですよね。 ○岡部議長 ということは、何かを加える必要があるという御意見ですか。あるいはど れかを削ってしまった方がいい。 ○石塚委員 逆また真ではないということを頭に置いてもらいたいということなのです。 だから接触があってこういうものは確かにそうですが、では、逆にこういう状況があっ ても接触がなくて別の疾患であるということは腐るほどあります。 ○岡部議長 ほかの疾患の除外ということを、ここの念頭に置くべきであるという意味 ですか。 ○石塚委員 そのとおりです。 ○岡部議長 除外診断は当然やっていかなくてはいけないことだろうと思いますけれど も、きちんとそれを念頭に置いてという確認だろうと思います。 ○石塚委員 CDCは除外診断をせよと。 ○岡部議長 エボラの場合はですね。たしかH5N1で除外診断はずらずらと書いていな いと思うのですね。勿論、医療をする側は除外診断を当然やらなければいけないわけで すけれども。  もう一方御意見がありましたね。 ○田中(毅)委員 この症例定義なのですが、普通症例定義というのは土地、人、場所 という3つの要素がないといけないんですけれども、この中には場所の要素が書いてい ない。つまり、H5N1流行地域において10日以内にというような書き方が必要なので はないか。  あと、もう一つは物すごく細かいことなのですが「下記(1)または(2)に該当する者で あって、38℃以上の発熱があってインフルエンザ様症状がある者、あるいは原因不明の 肺炎や呼吸困難、原因不明の死亡例」というような書き方をしないと、原因不明の肺炎 や呼吸困難、原因不明の死亡例は、熱がなくてもいいのという症例定義になってしまう のではないかと。細かいことで済みませんが。 ○石塚委員 ここのところの表現が、ウガンダの現地でエボラの可能性を判断するとき の文章そのままですよね。 ○塚本結核感染症課長 エボラかどうかはあれですけれども。要は、WHOの症例定義 を踏まえてつくっていますので、エボラは今回いいのです。これが一番今のところ妥当 だということですが、訳し方か何かの問題であって今のような御質問が出ているとすれ ば、そこはちょっと精査を事務局でもしたいと思います。 ○岡部議長 というのは、熱がなくて死んだ人をこの中に入れるかどうかというところ ですね。 ○田中(毅)委員 ただ、最初にインフルエンザ様症状、それから、原因不明の肺炎、 呼吸困難、原因不明の死亡例、そのすべてに発熱があったということが掛かるような書 きぶりにされた方がいいのではないかと。 ○岡部議長 発熱が前提であるということを。では、WHOの基準もそこのところを確 認しておくようにしたいと思います。多分、発熱が前提だと思います。  石塚先生、済みません、さっき途切れた分の続きをお願いします。 ○石塚委員 要するに、ここのところの原因不明の肺炎、呼吸困難、原因不明の死亡例 という症例定義は何に必要かというと、疫学集計に必要な数字なのですよね。ところが、 この症例定義で必要な臨床定義を決めようとしている。そこのところにWHOなどで地 域流行のあれを調べるときに、疫学定義が入っているのです。 ○岡部議長 これは疫学調査のための症例定義ではなくて、あくまで診断するためある いは何らかの措置を前提にするためのセレクションのための定義ですね。ですから、疫 学調査をやるのだとすると、これに加えて積極的疫学調査のときのこれを前提にした症 例定義というものを当然つくっていくことになろうかと思うのですが、これで疫学調査 の定義は無理だと私は思うんですが。 ○中島委員 今、積極的疫学調査のお話がありましたので、岡部先生がおっしゃられた ように、それぞれ個々の事例が発生して、そのときの疫学調査を行う場合には、スペイ シフィックな事例特異的な定義をつくって調査することになるだろうと思います。その 前提になるものだと私も理解しております。 ○前田委員 非常に現実的な話なのですが、実は東京都では既に鳥インフルエンザのア ラートということで数例、そういう検査を依頼を受けて行っておりますけれども、実際 的にはやはり医療機関の方から症例定義にありますような接触歴というよりは海外渡航 歴、現在鳥インフルエンザ流行地域の海外渡航歴ということで御依頼がある中で、こう した実際私ども検査を依頼があって受ける立場で見ますと、こういう接触歴を有すると いうところで定義に入っていないので、これは検査の対象ではありませんとはなかなか 言いがたい状況でございます。ですので、やはり国内での鳥インフルエンザが流行して いる状況というなら話は別ですけれども、現在のように海外で感染しているという状況 の中では、やはりSARSのときのように感染地域からの帰国者等々といった定義も、や はり現実的には恐らく必要になってくるのではないかという気がしますけれども。 ○岡部議長 仮に、京都はもうコントロールされているからいいのですが、ああいう事 態が起きたときの国内での発生例も、これに対応する可能性はあるんですよね。そうい う意味で、海外渡航歴だけでないと思います。 ○前田委員 ですから、国内の場合はこれでいいと思うのですが、今現在の直近の状況 で言いますと、やはり海外からの帰国者の中でのこうした原因不明の肺炎、ほかの診断 がつかないということでのアラートに対する通報というのが来る現実があるわけで、そ ういうものをすべてこうした接触が確認できないということで、そういう検査の対象か ら無視してしまっていいのかどうかということです。 ○岡部議長 その辺はいかがですか。流行地域に必ずしも限定しなくても、要は10日 以内の出張あるいはH5N1感染のトリと接触しているところというのは、すなわち流行 地であるというふうに私は考えたのですが、これを拝見したときに。それを先ほどの田 中委員あるいは前田委員の御意見は、流行地域であることを明確にした方がいいという 意味ですか。 ○田中(毅)委員 前言を翻して申し訳ないのですが、現在の状況というのは非常にラ ファイルで、どこで発生するかわからないということを考えれば、流行地域というのを ここで限定してしまうことは、この時点では余りプラクティカルではないと考え直しま した。済みません。 ○前田委員 限定するのではなくて、流行地域からの帰国者も一定程度含めるべきでは ないかということです。明確な患者あるいはトリとの接触歴が明確でない場合でも、そ ういう状況によってはやはり帰国者ということで、これは恐らくH5N1の検査の対象者 を決める症例定義だと思いますので、そうした意味ではそうした汚染地域からの帰国者 というものも対象に含めるべきではないかということです。 ○岡部議長 川名委員、実際に医療センターで時々こういう疑いの人が入ってくるのだ という話をよく伺うんですけれども、実際問題と比較してどうですか。 ○川名委員 例えば、昨年8月ぐらいに中国の青海省から観光旅行して帰ってこられた 方がインフルエンザA型陽性だったケースがありまして、そのときは保健所に検査をお 願いしたいのですが、そのときはトリとの接触歴はありますかという質問があって、そ の辺ははっきりしないんですね。例えば1m以内だとか2m以内というような定義をど のくらい満たすかわからないという状況は確かにあります。そのときは機転を利かせて 検査していただきましたけれども、確かに担当医が濃厚な接触がなくてもこれは疑わし いというふうに判断されたような場合には、今御意見がありましたように、保健所に検 査していただけるようなフレキシビリティがあると、よりよいかなとは思います。 ○岡部議長 そうすると、接触歴があったと限定するだけではなくて、その疑いのあっ た人とかそういうことになりますか。 ○川名委員 そうですね。 ○岡部議長 余り広くしてしまうと、今度は帰ってきた人全部が熱があると引っ掛けな くてはいけないということになるので。 ○前田委員 当然、臨床的な判断は必要だと思いますし、その感染地域といっても非常 に幅広く指定されていますので、その辺の精査をする必要はあるかと思うのですが、そ の辺の裁量がある定義でもいいのかなと思っています。今、川名委員がおっしゃられた 症例は、私は当時地元の保健所に勤務しておりましたので存じ上げております。 ○庵原委員 これはあくまでもフェーズ3のときの定義を検討しているわけであって、 広くつかまえようという意味のデフィニションではないと思うのですよね。ということ は、フェーズ3であるということはトリからヒトの感染であるということは、ある濃厚 な接触でない限りはヒトに感染しないという前提、これは明らかにエビデンスとしてあ るわけですから、それに従ってデフィニションしようというわけですから、これはこの 定義でいいのではないですか。広げたければ、もう一つ別に何か定義するなり、サーベ イランス用の定義をするなり設けるべきであって、あくまでもフェーズ3の定義として はこれでいいのだと私は思いますけれども。 ○岡部議長 その可能性を疑った場合には勿論、検査の方の対象になるということが前 提だけれども、定義はこのところでいいのではないかというのが今の庵原委員の御意見 です。ちょっとその辺のところも含めて、最終案は事務局の方から出していただく、あ るいは私との検討でもよろしいでしょうか。  もう一つは、定義としてはフェーズ4以降のことも議論をしなくてはいけないので、 少し進めたいと思います。今の川名委員あるいは前田委員の御意見は十分に検討してお く必要があるだろうと思います。  次のフェーズ4以降における新型インフルエンザの症例定義はいかがでしょうか。明 らかに違う部分を塚本課長の方から御説明いただけますか。H5N1と違っている新型イ ンフルエンザの症例定義。 ○塚本結核感染症課長 定義自体は一緒でして、要するに、インフルエンザウイルス H5N1という部分をヒトの新しい亜型のA型インフルエンザウイルスと直しただけです。 ○岡部議長 確認されるウイルスが違った場合ということですね。 ○塚本結核感染症課長 ただ、これは何か確定をするというよりは、結局は今ないウイ ルスの症状あるいは症例定義をしようとしていますので、起こったときに見直すという ことが大前提になりますが、新型インフルエンザのガイドラインをつくるに当たって、 症例定義なしではガイドラインはできませんので、こういうことでつくったらどうかと いう仮置きというような感じで御理解いただければと思います。 ○岡部議長 なかなか一度決めるとフレックスにやるということが難しい部分もあるの ですけれども、しかし、これはないものを見ているというのがあるので、それこそ先ほ ど石塚委員からお話のあった外の状況をよく見ておいて、その動きによっては症例定義 ないしあるいは検査法といったようなことにも変化が出てくる可能性はある。その場合 は、なるべく早急に対応していただきたいというのがお願いになると思うのですが。 ○中島委員 先ほどのH5N1の症例定義ともちょっと重なるのですが、病原体の専門の 先生に是非お伺いしたいんですけれども、よく確定診断のときには血清学的な診断も入 ってくると思うんですが、新型インフルエンザもしくはH5N1において、その辺りの現 在の知見と今後の見通しについて何かあればお伺いしたいんですが。 ○岡部議長 小田切先生、何かそれについてコメントがありましたら。 ○小田切委員 やはりこの症例の場合は、確定診断するにはここに書いてあります病原 体の検出、それから、遺伝子の検出が一番時間的にすぐ対応できるという、これがやは り優先になると思うのですね。それから、追っ掛けで抗体調査をして後から抗体が陽性 になったという場合は、その場合の取扱いの議論が必要になってくると思います。 ○岡部議長 恐らく積極的調査や何かと違って、血清抗体陽性は非常に重要な情報だけ れども、それだけで制限を掛けたりすることは多分難しいし、H5N1の京都の例とかあ るいは茨城の最終的なところは別としても、血清抗体陽性例が見つかることは濃厚接触 者の中ではあり得ることなので、それはこの対象には含めないという意味が前提に入っ ていると思うのですね。つまり、制限を掛けたり入院したりするのは抗原陽性例であっ て、抗体だけで陽性の人は当然この中には入ってこないということで小田切先生もよろ しいですよね。 ○石塚委員 この症例定義に合致させなければ、何かが縛られてしまうというようなこ とが起こってしまうのでしょうか。要するに、ぱっと診てしまって、治療をまず最初に 先行させていってしまうことは可能なのかどうか。 ○岡部議長 症例定義に合わない人がいた場合に、しかし、その疑いがあるときに治療 していいかどうかというような意味合いですか。 ○石塚委員 それともう一つ、症例定義に合ってはいるけれども、そういった確定の手 続を踏まないで特異的治療行為に走れるのかどうか。 ○塚本結核感染症課長 治療するかどうかという法に基づく行為ではなくて、例えば、 お医者さんと患者さんとの任意の契約で、一般的にやられている医療行為をこれで制限 するつもりはないです。要は、公的な関与をどの段階でするかということの症例定義で あって、今御指摘のあったように、お医者さんの判断で、この方はまだ症例定義に合っ ていないけれどもインフルエンザだという診断をされれば、タミフルを出すということ はあり得ることだと思います。そこまでは制限するつもりはありません。 ○岡部議長 インフルエンザAが決まってもH5かどうかはわからないわけで、Aだっ たら多分治療を今は始めるだろうと思うのですが、庵原先生、その辺どうですか。 ○庵原委員 臨床の現場では、疑われればまず治療していくといいますのは、遅れると それだけ反応が悪くなるというか、少なくともタミフルを24時間以内に投与しないと インフルエンザの治療効果が悪いというデータがありますから、疑うとまず臨床の現場 は治療すると思います。ですから、あくまでも定義と臨床の現場は離れたものであると いうこと。  ちょっと先ほどの話に戻って悪いのですが、付け加えるときには積極的に陽性を確認 するのか、積極的に陰性を確認するための検査かというところの定義をはっきりしてお かないと、先ほどの議論が出てくると思うんです。これは、あくまでも積極的に陽性を 確認するための検査をする人の定義であって、積極的に陰性を確認する人のための定義 ではないというところをはっきりさせておく必要があると思います。 ○岡部議長 それは、封じ込めのために早期検出が必要であるからということが前提で はないかと思うのですが、課長よろしいですか。 ○塚本結核感染症課長 そうだと思います。 ○岡部議長 そのほかに御意見、あと1つ、2つぐらいあれば。 ○藤本委員 今のを確認したいのですが、そうだとすると、もうちょっとブロードにと らえなければいけないということなのでしょうか。私はむしろ疫学的には感度特異度の 問題で、感度を下げて特異度を上げるのだと思っていたんですが、その辺の議論をきち んと整理していただきたいんですが。 ○岡部議長 広い中から少数のものをとるか、それから、限られたものを間違いなくと るかというような。 ○藤本委員 この要観察例の定義からすれば、感度を下げて特異度を上げるという形で はないのでしょうか。今の議論だと、感度を上げて特異度を下げるという議論だと思う ので、そうだとすると現場としては海外から帰ってきたらSARSと同じような話になり かねないので、そこはきちんと議論を整理しておいていただきたいと思います。 ○岡部議長 いかがでしょうか。もともとSARSのときも一部混乱があったと思うので すが、余り定義を広げてしまうと、それこそ海外から帰ってきた有熱者で、なおかつ地 域的な流行のあったところから帰ってきた人は全部、極端に言えば北京から帰ってきた 熱のある人はこれに引っ掛かるかどうかということになるかと思いますが、それは入ら ないということが私は前提じゃないかと思うんですが、藤本先生いかがですか。 ○藤本委員 そうだとすれば、感度を上げるのじゃなくて、むしろ感度を下げて特異度 を上げるというのが疫学的な考え方ですよね。ですから、先ほどの説明だと感度を上げ るというお答えだったから、むしろ感度を下げるのじゃないかと。 ○庵原委員 済みません、先ほど言いましたのは、積極的にポジティブをとらえていく ということは、症例をよく厳密に定義して症例を絞って検査していくという意味ですか ら、先生のおっしゃった後の方です。先ほどの議論にあった帰国者から引っ掛けていこ うというのが、逆に言うと広げ過ぎてネガティブを積極的に拾っていこうという考え方 だと思います。あくまでも今回はポジティブを積極的に拾っていって、しかも、封じ込 めていこうという観点でディスカッションすべきではないかと思っています。 ○岡部議長 今のが集約されている部分じゃないか思いますが、よろしいですか。どっ ちにバランスをとるかというのは難しいですよね。 ○前田委員 本来、私のリスクコミュニケーションの分野でいきますと、その議論で実 際にそういう患者を診察された医療機関とのリスクコミュニケーションは、非常に難し くなるなという気はいたします。 ○岡部議長 前提として幾つか置いておかなくてはいけないわけですけれども、今の段 階では庵原先生のところに集約された、きちんとした鑑別をしながらも、これというと ころについては逃さないように、ポジを逃さないようにということが、まず今回は前提 として走るというようなことになろうかと思うのですが、よろしいでしょうか。勿論、 現場の先生の目は広くその疑いを持ってチェックをしていただかなくてはいけないわけ ですが。  それでは、少し時間が押してきましたので、あとは、このガイドラインをどういうふ うにやるか、それから、スケジュールをどうしていくかというところについて、事務局 から御説明をお願いいたします。 ○滝本感染症情報管理室長 まず、資料7をごらんいただきたいのですが「今後のスケ ジュールについて」ということでございます。新型インフルエンザ対策各種ガイドライ ンを既にたたき台としてできているものもございますし、できていないものもございま す。それらについては、引き続き御検討いただきたいということなのですが、当面まず は一定の見解をいただきたいのは、H5N1についてフェーズ3の段階で政令指定をする ということが方針として決まっておりまして、今その作業を進めているところでござい ます。早ければ、この夏ぐらいから施行されるという形になってまいります。そのとき に、例えば海外から帰国した人、検疫法で検査が可能な感染症として政令改正をいたし ますけれども、では、実際のオペレーションをどのようにするのか、フェーズ3の現段 階においてそういった疑いのある人について、どういうようなオペレーションをするの か。あるいは、そういった人が国内で発見された場合に、医療はどういうふうに対応す るのかといったような点については、施行までに我々の方でオペレーションをどうする のかということを決める必要がございます。したがいまして、それぞれ特に該当する分 野の先生方には、その辺りを優先的に御議論いただいて、次回は6月上旬ぐらいにこの 新型インフルエンザ専門家会議、全体会議を開きたいと考えておりまして、まずはそこ の部分についての検討結果について御報告いただきたいということが1点ございます。  それから、それにとらわれず、このフェーズが進んでいくことのそれぞれの分野にお けるガイドライン等々についても、議論が進んでいればそれぞれの分野の先生方から御 報告をいただいた上で全体的な御検討をお願いしたいというのが今、事務局で考えてい る今後のスケジュールということでございます。  ちなみに資料6につきましては、現段階でそれぞれ検疫から始まりますけれども、作 成されているガイドラインということでございます。 ○岡部議長 ありがとうございました。これについて御意見あるいは御質問がありまし たら。  時間があるかというとあるし、ないかと言うとないわけで、そこら辺がいつ来るかよ くわからないという部分ですけれども、できるところからとにかく早急に仕上げていた だきたいし、この6月までにすべてを片付けるというのは物理的にも不可能ですし、あ る程度きちんとした議論をしながら進めて、ワーキンググループでやったことを6月上 旬の全体会議で出るものは出るというような形になるのではないかと思います。いかが でしょうか。 ○石塚委員 このガイドラインというのは一体何なのですかと聞いてしまいますのは、 実は検疫ガイドラインというのができていまして、検疫管理室から回ってきてチェック を入れたんですけれども、こっちが入れたチェックが全然反映されないで、そのまま上 がってしまっているわけです。要するに、このガイドラインの作成はどこになるのでし ょうか。ここになるのですか、それとも各業務を管理する担当の部署になるんですか。 ○滝本感染症情報管理室長 このガイドラインは行動計画に基づいて、それぞれ細かな オペレーションも含めて決めていただこうということで、行動計画をもう少し実際の現 場対応できるような形で詳しく規定していただこうということでございます。それをど こが決めるのかということですけれども、これは厚生労働省の中に対策本部ができてお ります。大臣をトップとする本部ができていて、その下に幹事会、それから、幹事会に 専門的なアドバイスをするという位置付けでこの専門家会議があるわけですけれども、 基本的には厚生労働省の中でこういったガイドラインについては行政的に策定しますと いうことでございます。当然、ほかの省庁に絡むような部分については、ほかのところ とも協議をしながら政府全体の行動計画に基づくガイドラインという位置付けになると いうことでございます。 ○岡部議長 この委員会としては、かなり具体的なところまで書いたガイドラインをつ くるのが課せられたことだけれども、それはドラフトであって、それを基にしたリコメ ンデーションを国の方に出して、最終的にいろいろなところに検討していただいた上で のガイドラインができ上がるというプロセスの理解でよろしいですか。石塚先生、よろ しいですか。  そのほかにございますか。  それでは、どうもありがとうございました。最後の方でちょっとひやっとしたんです けれども、大体12時に終わることができました。今日はこれで閉会になりますけれど も、今日の議論を整理していただいて、それぞれのワーキンググループにフィードバッ クしていただいて、6月をめどにしてもう一回やると。  それから、これについては最初に申し上げなかったのですが、この会議そのものは公 開ですが、議事録というような形で細かいところは勿論記録にはとどめますけれども、 そのことについては何か言っておかなくていいですか。議論中のこともいっぱいあるの で、途中経過については特に公開をしていく方針ではないということでいいですね。非 公開という意味ではないですけれども。 ○滝本感染症情報管理室長 それぞれ部門ごとにどういう形でやるかということについ ては、それぞれの部門の長と事務局とで調整させていただいて、そこは流動的に、例え ば、メールのやりとりなども含めて実質議論ができるような形にしていただければと考 えております。 ○岡部議長 しばしば丸井先生からも御指摘があったように、この中でのコミュニケー ションギャップができないようにということが非常に重要だろうと思いますから、どう ぞよろしくお願いします。  今日はどうもありがとうございました。 ○金成専門官 岡部先生、皆様ありがとうございました。  お手元にありますスケジュール表なのですが、6月上旬に全体会議を開く予定ですが、 その間においても部門別の先生と調整の上ですが、場合によって部門別で打ち合わせと いう形をとる場合もございます。大変申し訳ありませんが、先生方の御日程について「○」 「×」でお書きいただきまして、事務局に御提出いただければと思います。今お手元で 日程等がおわかりにならない方については、お戻りになられてFAXしていただければ と思いますので、よろしくお願いいたします。 ○ 岡部議長 それでは、どうもありがとうございました。 照会先:健康局結核感染症課特定感染症係(内線2379,2386)