08/04/16 第6回 人生85年ビジョン懇談会議事録              第6回人生85年ビジョン懇談会                   日時:平成20年4月16日(水)16:00〜  場所:霞ヶ関合同庁舎5号館9階厚生労働省省議室                      ○岩男座長 ただいまから「人生85年ビジョン懇談会」を開催いたします。本日は大 変お忙しいところをお集りいただきましてありがとうございます。舛添大臣は16時30 分ごろにおい出いただくことになっているそうです。  本日の議事の進め方は、前回の議論を踏まえて作成した報告書の案について事務局か ら説明していただきまして、それに基づいて議論をお願いしたいと思います。それでは どうぞ、よろしくお願いします。 ○村山企画官 ただいま座長から説明がございました前回の議論を踏まえました、たた き台につきましてご説明をいたします。  資料で、前回3月19日の第5回の懇談会におきましては、過去4回の懇談会で先生 方から示されたご意見を整理したたたき台を準備しまして、報告書の基本的な性格づけ、 視点、章立てなどにつきましてご議論をいただいたところでございます。その結果総論 で2点、皆さま方からご意見いただいたと考えております。  1点は、この報告書について、広く国民の皆様方に発信し、人生85年時代を生きてい くうえでのヒントになるようなものにすべきであるという点。  それからもう1点は、各章、各節、各分野でかなり書いてあることに濃淡があるので、 密度を揃えていくような作業をきちんとやるようにというご指示をいただいたかと思い ます。併わせまして各論におきましても様々なご議論をいただきましたが、とりわけ働 く前段階、あるいは社会に出ていく基礎固めの段階における、自分づくりという問題に ついてきちんと位置づけるべきというご意見が出され、先生方からのご賛同、皆さま方 からのご賛同が得られたところだと考えております。  そこで1頁の柱立ですが、初めに1章のところは変わりませんが2章のところにつき ましては、働き方の見直しのような話が中心になっておりましたが、もう少し働き方全 般、さらには自分づくりの問題も含めたその前段階の生き方についても取り上げるべき というご議論をいただきまして、2章の(1)のところを追加いたしました。  国民の皆さま方への発信ということ、あるいは提言ということで第4章、最後のとこ ろに提言というのを追加させていただきました。注でつけていますように第4章は新し く付け加えたわけですが、1章から3章までの中で大きく変更した、追加した部分には 下線を引いております。以下具体的に説明いたします。  3頁で前回のご議論の中でやはり年齢で区切るようなマインドセットを見直すような ことが必要だと清家先生のご意見。あるいは働くことだけではなく学びや楽しみにして いても、生涯現役としての視点をうち出すべきであるという岩男座長のご示唆。高階委 員からも同じような趣旨のご意見をいただきました。それを踏まえ、とりわけで始まっ ている段落ですが、従来の平均的な生き方である20歳前後まで学校で学び、定年まで 労働し、その後は年金生活で余生を過ごす、といった一律に年齢で区切る既成概念にと らわれることなく、生涯現役で一生の間に何度でも学び直し、働き、誰かの役に立つよ うな生き方を実践していくことが自ずと求められているという認識を書かせていただき ました。その上で国民各層へそういった考え方、具体的なビジョンというものを発信し ていくということの必要性について書いているところです。  合わせまして、山崎先生、古賀先生から国民一般への発信ということは、特に生きる ヒントのようなものであるというような位置づけを打ち出したらどうかというご示唆も いただきましたので、下線を引いてある部分で、このビジョンが一人でも多くの人の目 にとまり、人生の展開に何がしかの示唆を与え、人々の意識を変える道標の役割を果た すことを願うと記載させていただきました。さらにここの部分について石川先生から、 特に若いころからそういったことについて意識していただくことが重要だとご意見いた だきましたので、若いころからのという言葉を記載させていただきました。それから古 賀委員から社会が基本的に人の支え合いであるという視点を随所に入れるようにという ご示唆をいただきました。それを踏まえて最後のところで、そうした人々が互いを尊重 しつつ支え合う、懐の深い社会づくりという言葉を足させていただきました。  4頁はご指摘にそって文言を追加した部分が若干ございます。以下ちょっと飛んで恐 縮ですが、8頁です。いくつかの基盤整備の提唱の中で文化を学習することの提唱につ いて各先生からのプレゼンで深めていただいております。文化を学習することの提唱に つきましては、総論はかなりご意見いただいて、皆さま方のご賛同もえられているとこ ろですが、やや具体論の薄いような柱になっているという感もありますので、事務局で 仮に肉付けをして、本日たたいていただければということで少し線を引いてある部分が 付け加えられております。8頁のところで線を引いているのは川勝先生から前々回いた だきました日本の国土の多様性、その中で日本人の美的な感性が磨かれてきた、そうい う中で文化的伝統というものも非常に多様で、また自然と結びついているものになって いるという流れに書かせていただいております。  次の9頁では、文化を学習することについてどんなことを盛り込むかということです が、書いてあるように茂木先生から、社会全体での孫育てのような仕組を作っていけば いいのではないかというご提言をいただいております。それを具体的に、仮に付言する ならということで書いておりますが、子どもの頃からの地域の伝統文化に親しむ機会と か、おじいさん、おばあさんをはじめ地域の年配者の方々から、遊びについて話を聞く 機会を積極的に設けるとか、学校教育において古典や芸術の素晴らしさということにつ いても、先生方からいただいたご意見を取り込ませていただき、具体案としていかがだ ろうかということを盛り込ませていただきましたので、本日、大いにたたいていただけ ればと考えております。  (5)で線を引いてあるところは他の柱立てのところに書いてあったことが、座わり が悪いものでこちらに移したという内容です。  第2章、11頁ですが、先ほど申しましたように古賀委員から全体にチームワークであ るとか、支え合いの観点というのがもう少しほしいというご意見をいただきました。前 回、この章は自立した個人のキャリア形成というような書き方になっていましたが、も う少し職場でのチームワーク、支え合いという観点がほしいとご意見をいただきました。 そうしたことから互いに思いやり、助け合い、切磋琢磨する過程を積み重ねて、日本人 が職場において質の高い製品やサービスを生み出してきたというようなことを少し書き 加えました。かねてからの高階先生のおっしゃっている、日本人は、仕事を苦役と考え る西洋人とは違う特性があるということを、もう少しふくらますようという宿題にもお 答えするような形で書かせていただきました。  それから一方、現状に目を転じるとのあとで、大人になっていく過程で、将来の夢を 抱きながら「自分づくり」を進めていくという課題について記載させていただきました。 これは前回菊川先生からご提言があり、多くの先生からご賛同を得られたところを具体 的に記載させていただいています。  いくつか下のところに、小室先生からいままでのロールモデル、特に親御さんの時代 とは生き方みたいなものが変ってきており、変わらざるを得なくて、必ずしも過去の生 き方が手本にならないような時代を向かえている、ということも織り込んだらいいので はないかというご指摘をいただきました。それを踏まえて少し書いてあります。言葉の 足らないところ等、あるかと思いますので、いろいろご示唆いただければと存じます。  具体的に付け加えました(1)の「自分づくり」の節ですが、ここにも書いてありま すように、子どもから大人になっていく過程において、いろいろな基本的な学びと平行 して様々な社会人の方々のお話を聞くとか、興味のある分野の実体験を積んでいくとか、 そうしたことを通じて、自分が目指す将来の方向性を模索していくことは、大変重要だ という基本的な視点を入れております。  例えばというところは、茂木先生、古賀先生にいただいたアイディアを付言している もの、それから前回萩原先生のほうから、社会人として学校の生徒さんたちにいろいろ 話すところに出掛けて行くと、ふれあい事業とか課外活動を積極的に行っている学校で は、非常に将来の夢とか、何になりたいですかと聞くと、みんな手が上がるというお話 もいただきましたので、そうしたご指摘のほうもご紹介しております。それから特に、 のところでも2分の1成人式という小学校4年生ぐらいで、それまでの育ててくれた回 りの皆さんへ感謝の気持ちを作文にまとめるというようなお話もありましたので、それ を付け加えさせていただいております。  以下、ご指摘のあったところを若干言葉を補ったり、あるいは15頁のようなところ は、前回非常に官僚的な表現でよろしくないと、ご指摘をいただいたところを書き改め た部分もございます。  ちょっと飛んで恐縮ですが、17頁の持続可能な社会づくりに向けたサービスの在り方 の見直しという説です。この説については多いに書き込むべきであるというご意見が、 前回かなり出たというふうに考えております。典型的には年中無休の24時間営業のコ ンビニエンスストアとか、あるいは小口配送のジャストインタイムとか、指定時間配達 であるとか、そういったものについて非常に便利ではあるけれど、その裏にあるいろい ろな、必ずしもプラスとは言えないような影響についても書いていき、そうしたサービ スをどこまで求めることが必要なのか、国民的な議論を起こしていくべきではないかと いう視点からもご提起があったと思います。具体的には古賀先生のほうからこうした営 業方法というのが働き方と言う意味で、影の部分も出ているのではないかとご示唆があ りましたので、実際に小売り業において、コンビニエンスストア等が特に後者について は当てはまるかと思いますが、終日営業の事業所では非正規、非正社員の方々の比率が 非常に高いというようなことを紹介しております。  それから石川先生のほうから環境面、エネルギー問題の専門家としての環境面のお話 がありました。この点についてもここの説で少し膨らませたらいいのではないかという 座長のご示唆もありましたので24時間営業のコンビニエンスストアなどにおいて限り ある資源が必ずしも有効に使われていないこともあるのではないかということについて 次の頁にかけて書いてあります。こういったところに関しては、なかなか社会全体にか かる問題で難しいわけですが、国民的な議論を深め、見直すべきは見直していくべきと いう方向性は感じられるような結びにしているところです。以上が大体、大きな変更点 です。  第3章21頁ですが、全体の議論を通じてボランティア活動についてもう少し書き込 むべきではないかというお話もありましたので、地域に根ざしたボランティア活動につ いて21頁に例示として上げてあります。22頁では、前回高階先生から世代間の交流に ついて「パブリックとプライベートの中間領域」のようなところにおいて、いろいろな 交流が期待されるけれどそれを可能にするためにはフレックスタイム制など柔軟な働き 方をもっと活用促進していくということについて、労使現場の議論、積み重ねも必要で はないかとご提起がありましたのでそれを例示として入れてあります。  以上のような各論の書き換えを踏まえ、国民の皆さま方へのご提言の案ということで 4章に記載しました。4章の特に題名で夢と希望に満ちたというふうに付けております のは、ダニエル・カール先生を初め多くの先生から、様々な問題は提起する、その上で ポジティブシンキングで考えるべきだと、前向きなメッセージを打ち出すべきだという ご示唆をいただいているところかと思います。それを踏まえ、このような章のタイトル の案とさせていただきました。具体的な提言10個にまとめておりますが、この数がど うかという議論もあるかもしれませんので本日ご議論いただければと思います。  <提言1>として、繰り返しご議論をいただいております、もっぱら年齢によって物 事を輪切りにするという従来の考え方から脱して、意欲や能力、共通の関心に応じて物 事に挑戦できる「生涯現役」の社会づくりということを書いております。教育、雇用シ ステム、共通の関心で結ばれた人々の世代を超えた交流促進などについて書いてありま す。共通の関心ということに関しては、テリー伊藤先生からもお話のあったところかと 思います。  <提言2>は山崎先生のプレゼンを契機として深めていただきました。できるだけ多 くの人達が老いや、病をかかえて生きる人々のケアにボランティアとして参加する「死 を学びよく生きるカリキュラム」を生涯教育の1つの柱として位置づけてはどうかとい うご提言を入れてあります。特に病ということについては残間先生のご示唆も踏まえて 明示をさせていただいているところです。  <提言3>24頁、生涯にわたる健康づくりが重要だというご指摘が縷々あったかと思 います。その点につきましては、国体とか、ネンリンピックの在り方なども含めてご議 論をいただきました、スポーツについて書かさせていただいております。それから体重 のコントロールで、食事のカロリー表示の徹底について岡田先生からつっこんだご議論 をいただき、反映してここに書いてあります。厚生労働省を初め政府としても健康日本 21と、取り組んでいるところですが、さらなる国民運動という提言にしてあります。  <提言4>は、子どもから大人になっていく過程での自分づくりについて1つの柱に すえていくべきだというご意見が、前回非常に多かったということで、そうした時間を できるだけ確保できるようにということが書いてあります。特に前々回、社会的な存在 としての人間という自覚についてご議論いただきましたが、社会における自からの位置 づけですとか、自分が社会の中で果たすべき役割などについて、そうした自分づくりの 過程においてしっかりと身につけていく、知っていく、自覚していくということが必要 ではないかという提言です。  <提言5>は前回フリーターですとか、不安定な働き方の若者の問題について非常に 重要であるという議論もありました。それを踏まえて、もちろん本人の努力を促すこと も重要ですが、関係行政の支援も必要ですし、また企業におかれても復前型採用等、い ろいろ取り組んでいただいているところですが、積極的な訓練期間の提供とか、いろい ろなことにつきまして、さらに広げるような提言をお願いしているということです。そ ういったことが特に少子化対策とか、社会補償制度の支え手を厚くしていくという観点 からも必要だということを付言させていただいております。  <提言6>は、清家先生のプレゼンの中でこれからは長い「マラソン型」の職業人生 になるというお話をいただいております。そのように大臣からもこの会の趣旨、あるい は目指すことの1つとして、長期休暇制度というようなことについて打ち出したらどう かという話も最初にありましたので、そういった方向性も含めて、長期休暇制度を普及・ 定着させる取組を進めるべきである。それがまた、短期的にはコストになる面はあるか もしれないけれども、長期的には労使双方にとって、メリットになる面もあるのではな いかということを少し付言するような提言にしております。  <提言7>、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスについてこの間、先生方 から大変議論を深めていただきました。そうした職業人生の各段階において、仕事と生 活を様々に組み合わせることで、バランスの取れた人間的なリズムのある働き方、生き 方を実現していくということが一層求められていくのではないかということを書いてお ります。特にこの点につきましては小室先生から2、3度に渡り、今後の企業活動にお いて、新しい魅力ある商品とかサービスを生み出す発想というものが求められていくと、 そういった中で働く側がアイディアの源泉となるような多様な生活体験を積み重ねると いうことが企業にとっても非常にメリットになるので、そこを強調するようにとご示唆 もいただいておりますので、合わせてご紹介いたしました。  <提言8>は、前回のダニエル・カール委員からゆとりということについてご提供い ただきました。ゆとりある持続可能な社会づくりという観点から、年中無休の24時間 営業の雇用や環境をめぐる様々な問題を惹起するようなサービスの在り方の見直しに向 けた議論と意識改革を進めるべきではないかという提言にさせていただいております。  <提言9>、地域社会における人と人とのつながりについて。具体的には2つの点で、 その1つが高階先生から累次にわたってご主張、ご指摘をいただいております。パブリ ックとプライベートの中間領域を広げるためのまちづくり、あるいはそういった環境整 備の問題。高橋靖子委員からコレクティブ・ハウスの普及とか、介護施設と学校の、食 堂と交流スペースとかの部分的な共用化などによって、ご近所の新たなつながりを再生 し、築いていくということが必要なのではないか。1人暮らしの様々な方々が増えてい くという流れの中において生活の支え合い、地域の支え合いが必要ではないかという提 言です。  <提言10>清家先生のプレゼンの中で、地方への年金生活者等の高齢の方々の移住の ご提言もありました。大臣のほうから、海外というようなことも視野において、高齢期 の魅力ある生活づくりの選択肢を増やすというようなことで打ち出したらどうかという 提言もあり、そこを提言の案とさせていただいております。とりわけ地方への移住とい うことを促すことができれば、地方においても質の高い個人サービス需要が生まれて、 地域の活性化または若者の地元就職機会の拡大が可能になるのではないかという結びに させていただいています。以上大変雑ぱくな説明でございました。どうぞよろしくお願 いします。 ○岩男座長 ありがとうございました。それでは本日は、皆様方からいろいろご意見を いただきまして、報告書の最終とりまとめに向けた作業に入りたいと考えています。  ただいま前回からの変更を中心にでしたが、全体的なご説明をいただきました。この 構成についても他にもご意見があるかと思いますし、また基本的な考え方についてもい ろいろご意見がおありかと思いますので、今日はできるだけ具体的にご意見をいただき たいと思います。進め方ですが、どこからでもといたしますと、いろいろ議論が錯綜す ると思いますので、まず、「はじめに」から第1章ぐらいを中心にご意見をいただけれ ばと思いますが、いかがですか。何かお気づきの点等、茂木委員、お願いいたします。 ○茂木委員 それでは最初に失礼いたします。実は、私前回休ませていただいておりま して、午前中、いまご説明いただいた村山さんがわざわざ来てくださって、概略を伺っ たのです。前回の議事録を拝見して、3人ぐらいの方がそういう発言をなさっていらっ しゃいました。よくもまあ多種多様なプレゼンテーション、意見、発言を整合性のある 1つのレポートにまとめてくださって。びっくりしまして、圧倒されたような気持でお ります。基本的には、これで結構だと思います。それから、どなたかがこの報告書が広 く読まれて、人々の意識を変える道標の役割を果たすことを願うということを、ここで 盛り込んでいただきましたが、私も全く同じような感想を持っております。  ただ1つ、前文のところのみならず他にも関係があるのですが、2頁のいちばん下、 ニート、フリーターのことが書いてございます。これは、本文の12頁、それから提言 の部分の24頁にも触れられていて、極めて重要な問題でありますから、この3カ所で 言及をしていただくことは非常に結構だと思うのです。ただ、私は基本的な問題として、 ニート、フリーターは違うと思いますね。フリーターは、むしろ雇用の機会を十分提供 してこなかった産業界がその責めを負うべきでございましてね。ニートは、やはり教育 に問題があると思うのです。やる気がないわけですな。勉強して、何とか一生懸命就職 しようというような気持さえもないわけでございますから、その教育に問題があるとい うことを、これは文科省の領域で、厚生労働省としてはあまり強くお書きになりにくい のかもしれませんが、私は是非入れていただきたい。特に、私は日本の教育でいちばん 欠けているのは、幼児期からのしつけ、ものの考え方と、それから小学校、中学校時代 における基礎教育、なかんずく、国語教育の不徹底にあるのではないかと思います。そ この基礎ができてないですから、上のほうへ行って勉強ができなくて、そのうちドロッ プアウトにつながると、こういうことになってくると思います。その辺のところをどこ まで踏み込んで書いていただけるのかですけれども、私は是非それをお願いしたいと思 っております。 ○清家委員 では、「はじめ」から一章にかけて何カ所か、小さいのと大きいのと混ざっ ていいですか。 ○岩男座長 はい、結構です。 ○清家委員 1つは3頁目のところです。ここだけではないのかもしれませんが、新し く書き込まれた「とりわけ」の下線部のところ、内容的にはいいのですが、これらのこ とが「国民一人ひとりに自ずと求められている」と書いてあるのですが、「自ず」と言わ れると、気づいて当然なのだけれど皆さん気づいてないんですかみたいな感じになる。 他のところもそういう、当然そうしなきゃいけないみたいな表現があるので、これはあ くまでも我々が、こうじゃないですかというふうに問いかける報告書なので、如何なも のか。例えば、この「自ず」とみたいなのは取ってもらったほうがいいかなと思います。  次は第一章の9頁、「特に」のところです。「特に雇用者についていえば、我が国経済 や多くの企業が右肩上がりの成長を遂げてきた高度成長期が、その後しばらくの間と比 べ」、その後に「人生85年を迎え、定年後の期間が長期化する一方で、企業を取り巻く 環境が」となっています。たぶんこれはその前の、しばらくの間と比べ、企業を取り巻 く環境が激しさを増し、というふうにつながる文章なので、むしろ「人生85年時代を 迎え、定年後の期間が長期化する一方」というのは最初に持ってきて、「比べ」というの と「環境が激しさを増し」というのをつなげたほうが、文章がわかりやすいと思います。  次の10頁で、「もとより」というのはいいのですが、要するに、社会保障制度の持続 可能性を高めるためにはそういう社会保険庁がちゃんとやるとかいうこともあるし、制 度の見直しみたいなものもあるわけです。だから、ここに書かれていることは、持続可 能性を高めるための環境の変化に応じた制度の見直しと、実際にある制度をきちっと運 用するということがいっしょになっているので、ちょっと次元が違うのではないかなと いう気がしますから、その辺考えていただければと思います。以上です。 ○茂木委員 いまの清家先生のご発言に関連して、ちょっとよろしいですか。先生のご 発言の中にもあったのですが、この6頁の第2パラグラフ、「しかしながら」のところ からですが、国際的な競争の激化、これはよろしいと思うのです。短期的な利益還元を 求める傾向の強まり云々が原因として挙げられている。それは確かにそうなのです。い ま日本の産業界は、残念ながらこの方向に行っているのですね。これはアメリカ的な、 言うならばグローバルスタンダードという触れ込みのもとに、妙なコーポレートガバナ ンス意識が日本の中に広められている。  私は、これに対して非常に疑問を持っております。この書き方ですと、いまのような アメリカ的価値観、アメリカ的企業観、アメリカ的生活観、そういうものがあたかも正 しいものであると受け入れたような書き方なのです。ですから、私はこれには非常に、 実は違和感を覚えました。むしろ日本型の企業経営観、日本型の社会観みたいなものを 模索をすべきではないか。  1つはっきりさせるために申し上げたいと思うのですが、アメリカは低福祉低負担の 社会ですよね。ところが北欧は高福祉高負担ですね。では高福祉高負担の北欧が、非常 に経済が停滞しておって、人々が退廃的であって、道徳が乱れているかといったら、そ んなことないわけです。世界に冠たる産業がいくつもありますし、人々は満足して、き ちっと暮らしている。ですからアメリカばかりを追っかけるのではなくて、私はもっと 広く目を世界に転じるべきではないかなと思っておるわけです。 ○清家委員 私も、茂木さんの言われるとおりだと思うのです。これを読んだときの解 釈は、つまり、日本の経営者がそういうふうに考えているということよりは、国際的な 競争が激化したり、あるいはその株式の所有が非常に国際化したりした結果、経営者は それでいいとは思ってはないのだけれども、好むと好まざるとにかかわらず、そうなっ てしまっているという趣旨で、こう書かれたのかと思います。  ただ、確かに茂木さん言われるように、これをそのまま書くと、短期的な利益還元に なっても良いのだみたいに思われるといけない。国際的な競争の激化でそういうことが 求められてしまっていることは間違いないので、その国際的な競争の激化は残して、「国 際的な競争の激化や技術革新の速度の上昇等に伴い」みたいに、その「短期的」から「強 まり」までを取っても、実は国際的な競争の激化の中にもそういうことも含まれている ので、というふうにしたらどうかと思うのですが、どうですか。これはサジェスション です。 ○茂木委員 私は残念ながら日本の産業界の中ではおそらく少数意見の異端児でござい ますから、一般の経済人、多くの経済人は、たぶんこれは違和感を持たないかもしれな いですね。ただ私は、基本的に日本の産業界がアメリカを追随しているのは間違いだと 思っておりますものですから、そういう発言をさせていただいたわけです。 ○岩男座長 この報告書は委員の意見に基づいてまとめられるものということですから、 強いご意見があればそれは当然反映されることだと思いますので、いま清家委員がご提 案したような方向でまとめてはいかがかというふうに思います。 ○石川委員 7頁の真ん中辺りの、「年間死亡者数が5割以上増加し、166万人に達する と見込まれる。医療機関自体の今後の運営にも困難をきたしかねない」という表現なの ですが、これはやはり厚生労働省の報告となると、「かねない」のか。本当に私はこのま まだと「かねない」のではなくて、混乱をきたす、困難をきたす恐れが十分にあるぐら いな感じがしているのです。ここをもうちょっと強くお書きになったほうがいいのでは ないかと思います。  全般に見ましては、茂木委員と同じで、いや、もう本当にびっくりしました。私、も の書きで自分の考えたことを文章に書くことは朝から晩までやっていて得意ですけど、 よくまあ人の考えたことをこれほど上手におまとめになるものだと思います。それから、 私たちみたいに古手のもの書きは、人の書いた、素人さんの書いた文章を見ていると、 文章の粗が非常に目につくのですけれど、本当にお上手だと思います。別にお世辞をい う義理もないのですが、ごもっともですね。 ○岩男座長 よろしいですか。それでは少し細かいことや、基本的な問題点などを含め て、少し私自身が気がついた点を申し上げさせていただきたいと思います。まず、見出 しですが、いきいき人生というのは私自身あまり普段使う表現ではないので、皆さんは これが今風というようなことなのかもしれませんし、よろしければ結構なのですが、ち ょっとおやっと思ったというのが1つです。  その次の、4の文化を学習することの提唱なのですけれども、むしろ文化は「学習」 するというよりも、味わい楽しむといったような、他の表現のほうがよろしいのではな いかと思いました。高階先生から後でご意見があるかもしれませんけれども。  6頁の真ん中辺りの、「特に、職業人を」という言葉で始まるパラグラフで、社会人の 専門的な学習に向けた意欲が高まったということも1つあるのですが、もう1つは社会 変化とそれから技術革新のスピードがあまりにも速いために、その知識が陳腐化してし まうものですから、知識のバージョンアップが否応なしに必要になっているという、そ ういう認識も広まっているということがあるのではないかと思います。  教育のところなのですが、私の発言、表現が悪かったのかもしれないのですが、人口 減少でいろいろ私学が経営面で困っているというようなことが実際にあるわけですけれ ども、そこを社会人教育で埋めるようなニュアンスがもし前面に出ているとすると、ち ょっとそれは事実ではあっても、いかがかなと。むしろ高等教育の場が、年齢の違うい ろいろな経験をした人が共に学ぶことによって、若い学生がものすごく刺激を受けるわ けです。そういったいろいろな人々が集うということで、むしろ日本の教育の質が高ま るということが1つの理由だというふうに持っていったほうがいいのではないかと思い ました。  9頁の、その高齢期を中心とした所得確保を、経済的安定というところなのですが、 まず第1のパラグラフで、これは清家先生に伺ったほうがいいのかもしれませんが、「世 代間の不公平の是正に留意しながら、現役世代を中心に社会全体で負担することが重要」 と書かれています。私は、現役世代は益々増えていく高齢者のために、子どもの教育を しながら非常に辛い思いをいましているんだと思うのですね。彼らを中心にその負担を というのは、私はちょっと気の毒ではないかという思いが非常に強いのです。そうでは なくて、この「現役世代を中心に」は取ってしまって、社会全体で負担するという、そ れのほうがよろしいのではないかと思います。  もう1つは、現役時代から投資と蓄積を重ねということが書かれていて。それはもち ろん大事なことなのですけれども、これを読んだ方の中には、したくてもその投資も蓄 積もできないというような声が聞こえてきそうなのですね。特に、男性よりも5年から 6年長生きをする女性たちは、しっかり働き、しっかり稼がなければいけないのですけ れども、そういう機会を与えられていないということがあります。しかも、現実には今 日、非常に経済的に不安定な状況に置かれている人がたくさんいるわけです。男性より もずっと多くいるわけですね。ですから、女性もやはりしっかりと稼ぎ、将来に備える ことができるような環境整備、条件整備が必要だということをきちんと書く必要がある のではないかと思います。  それから次の頁にかけて、高齢者に対する詐欺など、悪質な犯罪について厳しい対応 が必要であると書かれています。確かにそのとおりではあるのですが、実は私自身はむ しろ、高齢者の犯罪が増えているという実態を考えたときに、高齢者を犯罪者にしない ような社会づくりをすべきなのではないかと思うのです。もし書くとすれば、高齢者の 犯罪が増えるようなことにならないような社会づくりをするということを述べることの 方が、大事なのではないかと思います。大体1章のところではそんなことを感じました。 ○小室委員 1点だけなのですけれども、5頁下から4行目から始まる3行の部分です、 「国民一人ひとりが自らを陶冶する高い意欲を持って」というところですが、これは、 意欲を持って学習の機会が提供されているということがまず必要なのですけれども、そ のときに、その学習する時間を確保するのは自分自身が労働の時間だけに1日を全部使 ってしまっては、自己学習ができないので、同時に、その仕事に費やす時間と、学習に 費やす時間の、労働者自身の見直しということも必要であるというようなことを書いて もいいのかなと思います。  これが国民の各層に対しての提言だというようなことが、いちばん後ろのところに書 いてありましたので、私たち自身も働き方とか、自己研鑽に対する考え方というのを変 えていく必要もあるよというような提言があってもいいかなと思いました。  同じ意味で、次の6頁の上から7行目8行目辺りですが、自己啓発も含めた職業キャ リア形成を支援することにということで、支援する側の企業や行政の取組が必要である ということは、もちろんそのとおりです。そこに、個人も、仕事と学びということを自 分のキャリアにおいて、学びも仕事の合間に、それは後あとどこかだけでやることでは なくて。1日のスケジュールの中でも仕事と学びを繰り返して、アイディアとか知識が 陳腐化しないような生活をデザインしていかないと、その生涯のキャリアを通じてステ ップアップということが難しくなっていくので、そういった視点を持った働き方のデザ インということが必要となってくる。個人ができる努力だとか、意識の改革ということ も、同時に盛り込んでいっていいのかなというふうに思いました。以上です。 ○清家委員 先ほどの岩男座長のコメントに、全面的に賛成です。ほとんど岩男先生が 言われたように直していただいたらいいのではないでしょうか。例えば、社会全体の負 担なんていうのも、現役世代を中心にというのは取ってもいいのではないかと思います。  一カ所だけ、9頁のしたがって勤労所得や何かについて効果的に活用できるようにし ていくことは今までにも増して重要になってくる、というのがありますね。そこで岩男 先生のおっしゃることはよくわかるのですが、ここは要するに、今までそういうのがで きなかった人たちはしょうがないねということよりは、上のところからのつながりでい けば、これからこういう環境になるので、これからはこうしていかないとまずいのでは ないでしょうかということだと思うのです。ですから、従って勤労所得や財産所得につ いて現役時代から投資と貯蓄を重ね、必要な時期がきたら蓄積したものを効果的に活用 できるような社会にしていく、とかすれば、岩男先生がおっしゃった趣旨にもかなって くるかなと思うのですが、いかがですか。あるいは、その条件を整えていくと。 ○岩男座長 ええ、条件を整えていく。つまり、納得のいく働き方を選択しというよう なことができればいいのですけれども、それが現在も十分にできていないし、将来的に もという。 ○清家委員 わかりました。その条件がないのにそうしろと言われてもしょうがないと。 ○岩男座長 まさにそういうことなのですね。そして同時に、私は実はより長生きをす る女性に、特にこれを読んでほしいというか、準備をしてほしい。こう依存していて、 どうにかなるというようなことはないんだという、少し自分で計画をきちんと立てて、 準備をするというようなことを、是非考えてほしいと思ってのことなのです。 ○茂木委員 10頁のいちばん最初の、これは岩男先生がさっきご指摘なさったことです が、詐欺的犯罪について厳しい対応をしようということを、このレポートには必ずしも 盛り込まなくてもいいかもしれませんね。必要なことはもちろん必要なのでありますが。  ただ岩男先生のご発言で、高齢者の犯罪が増えているという話だったのですが、私ち ょっと寡聞にして、その辺の犯罪統計についてあまり知らないのですが、実際に高齢者 の犯罪が増えているのかどうかということを確認したいということですね。 ○残間委員 たまたま調べたのですが、65歳以上の犯罪は10年前の6倍から4倍で、 特に暴力ですね。暴力、19.3倍にもなっています。要するに岩男先生のご指摘だけでは なくて、まだ元気なのに、世の中が高齢者というふうに捉えているために、居場所がな いわけです。エネルギーの消化操置が世の中にないということです。 ○茂木委員 それは、経済的な理由ばかりではなしに。 ○残間委員 世の中全体がイラついていて。自分たちの居場所あるいは力の出し場所が ないというような傾向があるように思います。 ○茂木委員 そうですか。まあ体力があるのかもしれませんね、年とらなくなったとい うこと。 ○残間委員 「高齢者」ということについて概念規定と中身の間に乖離しているものが ある。老人老人と言うわりには、一方では元気で健康で、居場所はない。 ○茂木委員 ありがとうございました。それに関連して、ホームレスがすごく増えてい るのではないかと思うのですね。これもやはりこのレポートが焦点を当てるべきテーマ かなという気が、先生の話を伺っていて、ちょっと感じたので申し上げておきます。 ○岩男座長 警察に、しっかり厳しい対応をしなさいと言うよりも、むしろ今おっしゃ ったようなことを私たちは含めて議論するというか、考えていかないといけないと思い ますね。 ○小室委員 この文脈では、高齢者に対する厳しい対応という意味ではなくて。 ○岩男座長 やはり犯罪者に対する厳しい対応。 ○小室委員 高齢者の資産目当ての犯罪を厳しく対応していくというふうに読んだので、 高齢者の犯罪を厳しく対応するという意味ではないですよね。 ○岩男座長 全く違うのです。その文はむしろ。 ○小室委員 この文は要らないなというのは、私も同感です。 ○石川委員 先ほどの岩男座長のタイトルの話ですが、いきいき人生というのはやはり ちょっと。これを本文を拝見しましたら、いきいきで、「充実した」という言葉が続いて 出ていますので、これはやはり「充実した人生」のほうが、お書きになった方もその言 葉を使っておられますし、適当だと思います。  それから「学習する」というのは、これは「文化を楽しむ」にしたほうがいいのでは ないかと思います。昨日、実は美大の教師仲間に誘われて、上野の西洋美術館にヴィー ナスの絵を見に、時間があるからってんで、科学博物館でダーウィン展を見て。まだ時 間があるからということで、日光・月光を拝観して。2、3時間歩いて、とにかくウィー クデーだというのに、まあよく人が入っている。あれは絶対あの人たち学習していませ んね。楽しんでいますよ、本当にうれしくてうれしくてしょうがないって感じで見てら っしゃるから。ダーウィン展なんて、こんな所に人が入るんだろうかと思ったのですけ ど、これが多いですし、しかも女性の方が半分ぐらいでしょうか。中には、1つの標本 の前に立って、もう30分ぐらい動かずに見ておられる長身の美女がおられましたけれ ども。ですから、あれはやはりもう学習ではないですね。美術や学問がもう娯楽になり つつあるので、これは是非「文化を楽しむこと」にしていただければいいのではないか と思います。 ○岩男座長 ありがとうございました。それでは一応終わりまで行って、またご指摘が あれば戻ればよろしいと思いますので、2章のほうに移りたいと思います。清家委員が 中座なさるということですので、先にご発言をいただければと思います。 ○清家委員  申しわけございません。2点だけあるのですが、1つは私の責任なので すけれど、この15頁に、職業人として、それから家庭人として、社会人としてという ふうに書いていただいておりますが、職業人・社会人は言うのかもしれないのですが、 ちょっと「家庭人」というのが、例えば、一人暮らしの方とか増えているときに、それ でも一人暮らしの家庭というふうにも言っていいのかもしれないけれども、ちょっと違 和感持たれる方もいるかもしれません。ただ、これに代わる言葉何かあるかといわれる と、ちょっと今思いつかないのですが、そこは考えていただいたほうがいいかなと思い ます。  もう1つは、最後の提言のところです。提言1なんかにも関わるかもしれないのです けれど、以前からというか、第1回目のときにもたしか残間委員が、そろそろ65歳と いうのを高齢者の基準と考えるのをやめたほうがいいのではないか、とおっしゃいまし たよね。私も何かそういう気をちょっと持っています。将来的には人口の3人に1人が 65歳になるときに、65歳以上の人を高齢者でもないでしょうと。この報告書は委員の 皆さんの意見をすごくよく反映されているのですけれども、そこだけたぶんあまり反映 されていないのは、ちょっとそれは役所として困るとか、そういうところもあるのかな と思うところもあるのですけれどどうですか。やはり折角ここでその年齢基準とか言っ ているので、65歳を、いまの暴走老人の話なんかともちょっと関連しますけれども、も うそろそろ日本で、65歳以上を高齢者と言うのは、日本のような社会ではどうなのか。 それをやめましょうという提言まではしなくてもいいと思うのだけど、それについて国 民で考えてみる必要があるぐらいは言ってもいいかなと思います。 ○岩男座長 是非それはコンセンサスがあると思いますので、入れたいと、盛り込んで いただきたいと思っております。  すみません、清家先生がお立ちになる前に伺ってもよろしいですか。定年のことなの ですけれども、同じ15頁に、一律定年制ではなくて、その一人ひとり選択できる制度 作りが期待できる、というふうに書かれていて。これは、このとおりで良いと思うので す。もう1つ私は可能ではないかなと思うのは、父親の育児休業を取った人たちのイン タビューをしていると、同期に昇進が遅れるというようなことが1つネックになってい るという話が、いろいろな所で出てくるのですね。それを伺っていると、その遅れると いうのは、終わりが一律ですから、出てくる問題だと思います。そうではなくて、そう いった育児休業とか介護とか長期研究休暇でもいいのですけれども、学習のためでもい いと思うのですけれども、本人が望めばその分を定年延長するという考え方ができれば、 私はちょっと途中でお休みしたから、ゴールはもうちょっと先なんですよというふうに 考えれば、遅れるも何もないわけですね。 ○清家委員 育児休業を1年取ったら、定年も1年延ばしとすると。 ○岩男座長 ええ、そういうこと。ですから、それは入らないものかと思っております ので、先生にご意見をお伺おうと思っておりましたので。 ○清家委員 その一律、要するに、1年育児休暇を取ったら、1年定年を延ばすという 話になると、なかなか。これは茂木さんのような立派な経営者はいいと言うかもしれま せんけれども、なかなか普通の経営者がいいと言うかどうかはあれなのですが。ただ、 今日たまたま読売新聞の年金改革案とか読んだら、読売新聞だけが言っているわけでは ないけれども、育児期間中の年金の保険料はおまけします、育児ということが純粋に私 的な行為だけではなくて、要するに経済学の言葉でいえば、外部性を持っているという か。つまり将来の社会保障を支える人口を育てているんだとか、そういう意味があると すれば、やはり社会の、企業の社会的貢献として、その育児のために1年費やした人の、 今度は個人が1年間その仕事期間が短くなるというのは損失ですから、そういう損失が 起きないように、例えば就業期間を1年延ばすとかいうようなことをするというのは、 その企業にとってはコストでしょうけれども、まあそれを社会全体もある程度そのコス トを負担しながら。例えば、その1年休んでいる間の賃金の援助をもっと手厚くすると か、そういうことも含めてやれば、あり得るかもしれません。 ○岩男座長 折角トレーニングをした人を、私は長く使わないのは企業にとって損失で はないかと思っております。 ○清家委員 そうですね。おっしゃるとおり、トレーニングした人というのは投資した わけだから、投資の回収期間が短くなるわけで。 ○岩男座長 短くなるわけですね。 ○清家委員 その育児期間1年短くなった分だけ、その定年を延ばすことで回収期間を、 他の育児休暇取らなかった人と同じにするというような趣旨でいけば、理屈としてはと ても整合的だとは思います。 ○岩男座長 そういう意味なのですけれど。 ○清家委員 雇い主が、それいいと言うかどうかはあれですけれども、とてもいいアイ ディアだと思います。 ○岩男座長 それではお待たせしました。 ○茂木委員 さっき申し上げようと思ったことの前に、いまの先生のご提案に対するレ スポンスですけれども、おそらく企業がそういうことを自主的にやってほしいというよ うなことをこの提言に盛り込んでもですね、今の産業界はたぶんやらないですね、残念 ながら。いや、私は大変良いご提案だと思うのですよ。ですけど、これまた異端者の発 言とお聞きいただきたいのですが、私はやはり徹底するには法制化しちゃったほうがい いと思いますね。規制緩和の大合唱でしょう、産業界は。もちろん変な規制は撤廃すべ きですが、日本の、例えば人口の少子化に歯止めをかけるとか、ワーク・ライフ・バラ ンスを実現するとか、そういうことを私はむしろ言うならば強制的にやるということが 必要だろうと思いますね。  それからひとつ細かいことで、別件ですが、17頁のいちばん最後に、コンビニで云々 ということが書いてございますね。これは本当に全く本質的に大事な問題と思いますが、 ただその中に、売れ残りの惣菜や弁当などが大量に廃棄されるなど、というようなこと が書いてあるのですね。これは24時間営業だから廃棄されるわけではないので、昼間 だけの営業の店だって廃棄されている。これは賞味期限の設定をどうするかでの問題で すから、ちょっと文章として論理的におやっというような感じになっちゃうのです。だ から、これは少しうまく修文していただいたほうがいいのではないかと思いました。 ○高階委員 先ほどの第1章のほうにも関わる文化は、学習と同時にもちろん楽しむと いうのは、座長や石川委員のおっしゃるとおりで、大変結構だと思います。そこで、最 初に茂木委員がおっしゃった教育の問題とも絡んでくるのですね。その教育のことがあ ちらこちらに出て、もちろん表立ってどこで出すということはなくてもよろしいのです が。1つ問題になるのはちょうど今の11頁下の、大人になっていく過程での自分づくり。 大人になってからの学校教育は別として、子どもから大人になっていく過程で、この自 分づくりというのが大事であるということは、そのとおりで、いろいろご指摘がありま す。その中に茂木委員のおっしゃった最初のところは、特に子どもが生活の基本となる 生活習慣を身につけることや、学校において勉学を重んずる習慣だけではなくて、やは り強制的なしつけが必要であるということが、ここでは必要なのだろうと思います。こ の教育問題のあれは、いつも子どもに甘くなるのですが、子どもを慣れさせるとか、教 えるとかも大事ですが、少し苦労させることも必要なので。その「しつけ」という言葉 をそのまま使うかどうかは別として、それが同時に将来にとっては、もちろん本人にと ってのプラスにもなるのですが、社会にとっても大事なことだと思います。  それとの関連で、いろいろ社会の他の人々の仕事ぶりを見るということもあるのです が、ここでやはり人々のための奉仕というようなことですね。これも義務化するかどう かいろいろ議論があるのですが、実はいちばん最初の前提のところで、「誰かの役に立つ 生き方を」というのがあって、これはいろいろ議論があって、私は大変大事なことと思 うのですが、それは具体的に誰かの役に立つ働き方全体では、突き詰めていけばあるみ たいだけれども、まとまっていないようなので、誰かの役に立つのは人の役に立つだけ ではなくて、喜ばれる、それは生きがいにもなるわけですから、ニートが増えるという のは、つまり生きがいが認められない。何のためか、自分がちっとも楽しめないという のですが、実は生きがいは自分が楽しむだけではなくて、人に感謝されることが生きが いになるのだということを、ここでも議論になったと思いますが、どこかで出して、そ れを教育の中にどう盛り込んでいくかです。  最初は、子どものときはある程度強制するか、あるいは奉仕みたいなことをやること が、制度化していくことは何かの形で必要で、そういう必要があるということを、どこ かに盛り込む、ここでなくてもいいのですが。  それは文化を楽しみにしても、国語教育が大事だというお話がありました。これも、 国語がわからなければ、百人一首でも何でもわからないわけです。それは当然勉学にも なるわけです。その辺をどこかに入れていただきたいと思います。  最後にボランティアの話も21頁に出てくるのですが、これは地域に根ざして、そこ でボランティア活動は広がりがあっていいというのですが、これも単に地域の交流を進 めるより、むしろ自分の生きがいのために、子どもだったらある程度義務的に、あるい はお金のためではない、しかし人々にも、自分にも生きがいになるような活動、これを 子どもの頃から教え込むというか、制度を考える方向が、ここで議論があったので、う まくお知恵を絞って入れていただければと思います。 ○岩男座長 人生85年を充実して生きるための基盤づくりみたいなものを、もう少し 明確にしたほうがいいかもしれないですね。どういうものが必要かということですね。 他にいかがでしょうか。 ○小室委員 16頁です。(5)の「仕事と生活の調和」のパラグラフ全体についてですが、 すごく肝心な部分が、下から2行目の「仕事と生活の多様でバランスの取れた組合せを 可能にすることが、企業において魅力ある商品やサービスを生み出す発想が求められて いる中で」という、こういうことが先にきて、それから、「そういうことが必要だからこ そ」という文脈の後に、「これから多様な働き方を認めていくような仕組みづくりが必要 である」ということを書いていく、そういった流れのほうがいいのではないかと思いま す。 16頁の下から2行目以降が先で、それより前のところは後というような、ちょっと乱暴 な入れ替えですが、整合性を見ながらなのですが、あくまでも経済合理性の中で、まず 「そういうことをやっていかないと企業も生き残っていけない時代である」ということ を先に出さないと、何か上のところで「人間らしい生き方を実現していくことが必要で ある」と唐突に書かれても、その必要性が先にないときに、これはべき論だけで、なか なか受け入れ難いのではないか。逆に、働く個人は仕事の厳しさを痛感しています。と は言え、べき論ではなかなか通用しないと、この順番で読んでしまうと、初っぱなで思 ってしまうのではないかと思います。そういった順番の点があります。  それから、17頁の上から4行目ぐらいから、「これから独身男性も含めて、さまざま な個人的に事情をもつ人が増えるので、対応を急ぐ必要があるという認識が広まりつつ ある」というところなのですが、こういったことを先ほどの提案のように先に持ってく ることによって、男性であろうと、女性であろうと、事情が介護であろうと、育児であ ろうと、個人的な事情を持つ人に対応できる企業の組織になれば、結果として女性も働 きやすくなるというような、先に書いてある部分と、16頁の上に書いてある部分の、例 えばちょうど真ん中辺りに、「また、女生の社会参加が進み」というところがあるのです が、こういった女性の社会参加が進んだので、これから支援が必要になるという話とい うのも、これを先に持ってくるのではなくて、男性も、女性も、すべての人にとって働 きやすい社会をつくることが、結果的に、女性にしろ何にしろ、少子化の対策にもなっ ていくのだ、というような文脈のほうが、より仕事を厳しいものだと捉えて頑張ってい る個人には、受け入れやすいのではないかと思いました。そこが逆なだけで、だいぶ印 象が違いますので、その文脈は検討していただければと思います。 ○石川委員 ただの字句の修正ですが、18頁の7の「個性に満ちた働き方の復権」の3 行目に、「江戸時代は武士と店子」とあるのですが、店子というのは借家に住んでいる人 を店子というのでありまして、これは「商店従業員」とでもしていただいたら、正確に なると思います。 ○岩男座長 お忙しい中大臣にかけつけていただきましたが、またお出にならないとい けないのだと思うのですが、何かご発言はございますか。 ○舛添厚生労働大臣 むしろ皆さんのお話を少しでも聞きたいので、私は今日は結構で す。 ○菊川委員 先ほどの、子どもとか、教育とか、ニートの話なのですが、ニートが多い ということで、教育で精神的な自立と、あと大人になったときに生活の自立があるよう なことを導けるような教育がすごく大事だなと思いました。  さっきのボランティアの話ですが、人に役立つとか、感謝されることが喜びであると いうのも、本人がそれを喜びと感じなければ、必ずしもその人たちにとって、モチベー ション、喜びになっていかないと思うので、そういうことを経験することによって、も し本人が、人の役に立ったり、感謝されたりして、はじめて自分が喜びを感じたときに、 それが成立すると思うのです。だから、一方的な価値観の押し付けは違うのではないか と思いました。  それなので、いちばん最初の頁の「いきいき人生のための」というところにも、先ほ ど「充実した」というお話がありましたが、プラス喜びがあって、充実した人生という のが素敵だなと思いました。  あと私は経済のことはよくわからないのですが、いま常日頃から疑問に感じることが あって、資本主義は、利益をどんどん上乗せすることによってお金が貯まって、成立し ている社会だと思うのですが、もともとそういうお金というのは実態のないものなので、 それはいつまで続くのだろうというのが、常日頃の疑問で、例えば人間の居食住とか、 目に見える、食べて、住んで、農作物を育ててということであったら、太陽がある限り、 いつまでも続いていくと思うのですが、こういった製品とか、物によって、誰かが買う ことによって利益を生み出していくというのは、一体どこに向かっているのだろうなと いうのがすごく不思議で、そういうものをもうちょっと世の中で考えていったらいいの ではないかと思うのと、本当に北欧とか、そういった国々のやり方というのは、本当に 参考になるのでは、いろいろなことが新しくそれぞれの国で価値観として実行に移って いるような気がして、とても興味があります。 ○高階委員 いまの菊川委員にプラスコメントで、おっしゃるとおりだと思いますので、 人々に喜ばれる奉仕なり、それを感じるのは喜びですと教えても到底無理なので、体験 させる制度が必要なのです。それは教育の問題で、死に対する態度のところで、これは 大変よくまとまっていると思うのですが、単に言葉で教えるだけではなくて、実際に肉 親の死に時間をかけて、体験することで学んでいくわけですから、それは奉仕にしても、 ボランテイアにしても、やってみいないといけないです。それができる制度を考える。  特に子どもたちのときには、放っといてはなかなかいかないだろうから、ある程度導 くというか、強制することを、どこかの段階で、それは家庭ももちろん大事ですし、学 校でも、社会でも考えなければいけないのではないかということで、そうでなければお っしゃるとおり、これがいいですよということでは、却ってマイナスになると思います。  それとの関連で、いま石川委員が言われた、18頁の「個性に満ちた働き方の復権」、 これも個人のところで、18頁のいちばん最後に、「企業が従業員の個性の発揮や働きが いを重視する」。働きがいがあったということは、これも生きがいにつながるのですが、 だから企業が儲かったといえば、もちろんそれは働きがいだと思うので、そうではなく て、自分が何かをやった達成感、自分が達成したとか、あるいは仲間内でお互いが助け 合えたということが、また働きがいになります。それは巡り巡って企業にもプラスにな るのだろうと思います。  そういうことを、企業によっては、利益に直接結びつく社員はボーナスが出るか何か 知りませんが、表彰するでしょうし、そうでなくても何か新しいことを考えた人、懸賞 制度をときどき考えられます。  国は別にそれはしなくてもいいのですが、社会として、ボランティアで本当にきちん とやっている人を顕彰するというか、ボランティアスターをつくるのか、ミシュランみ たいに星を付けるのかわかりませんが、直接経済的ではない、しかし、あるいは教育的 な面、あるいは社会交流の面でも、非常に優れた役割を果たした人を、何らかの形で、 社会として認めてあげるというか、顕彰するようなことも考えていくのが、いまの実効 性のある方式として考えられるかなということを、一言付け加えたいと思います。 ○残間委員 全体にまとまっているというお話だったのですが、作家の先生からご覧に なるとそうかもしれませんし、茂木さんのような方からでもそうなのかもしれませんが、 これはみんなに見てもらうためのインパクトという点では、後にいくに従って普通の調 子になってきている感じがします。特に第2章になると、最後は「課題である」みたい なので終わると、最初に結構高邁な思想を謳っているわりには、腰砕けだなという印象 が否めないのです。  どうしてなのだろうというと、頭では「85年」という言葉に影響されすぎていて、シ ニアライフの充実に少し偏っている。そこにいくには、第2章辺りになると各論になっ て、それぞれの世代で何をすべきかと。でも、それは「すべき」みたいな、誰かに勝手 に、「お願いね」と言っている感じに聞こえます。  65歳以上を高齢者ということについて検討課題でいいのですが、何らかの形で言及し てほしいと思います。 ○岩男座長 いまご指摘のことは、前書きの中にぜひ入れたいと思います。きちんと最 初に私たちのスタンス、人生をどのように生きるかを前書にきちんと書く必要があると 思います。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 いちばん最初の3回とか、4回までですが、私た ちが言っていたことは意味があったと思います。少しずつ細かいことになって、正直の 話、私は日本語に達者ではないからでしょう、わからなくなりました、どこを言ってい るか。ですから、私は言うことは何もないです。  申し上げたかったことは全部申し上げたし、私は日本語がとても下手ですから、レポ ートで出しました。その中に申し上げたかったことが全部入っています。ですから、言 葉をあまり出すと、どんどんアクションが薄くなる気がします。ずっと小さなときから そう思っています。だから、言葉よりも、これからアクションということでいきたいで す。  この間だけは私は長く話をしまして、本当に言いたかったのは一言でまとめることが できません、あとで本当に後悔しましたけれども。これからの教育のとき、小さなとき から最後まで、柔軟性的な精神、考え方、とくに日本人に、ごめんなさい、私は区別す るのは大嫌いです。人間は人間。血が赤い、涙が塩辛い、誰でも。国と関係なく、時代 と関係なく。けれども、日本は結構分けるのは好きです。若い、20代、30代、40代、 もちろん見方によって違いますが、人によってです。私は大人になったのは63歳のと きです。普通は大人は30歳でしょう。ですから、柔軟性、柔軟な教育、肌の色が違っ ても、みんな基本は同じ、言葉が違っても、食べものが違っても。  それから、仕事を生活の中で何回も変えないといけない。たまには会社を変えるだけ ではなくて、仕事の内容も変えないといけない。それは人、そういう考え方に慣れない といけません。それで、特に日本で、人が自分と違っても、まだ怖くない、面白い。そ れはとても大事です。そうすると、皆様、楽しく、研究とか。  楽しむとか学習、大体一緒です。分ける必要はないと思います。分けると間違います。 両方です。例えば私はヴィーナスとかダーウィンを見に行きました。そうすると、楽し みながら勉強するのです。一緒です。わからなければ。 ○石川委員 ただ、日本の場合は学習というと。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 忘れましょう。これからの日本は、いままでの日 本とちょっと違うでしょ。ということは、どこでもの人間と同じ、勉強と楽しむは一緒 です。それは学校の先生と、家庭でご両親は、楽しみながら勉強しましょうという、そ れも大事です。ですから、区別、勉強か、楽しむか一緒なのです。そういうことも一緒 にしましょう。 ○石川委員 それはそのとおりなのですが、このタイトルに「文化を学習する」と書く のはまずいと。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 いや、学習と楽しむを一緒に。 ○石川委員 でも、日本語には、こういう場合に「学習」に楽しむという意味はないで すから。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 では、「勉強」という言葉はいかがですか。 ○石川委員 勉強でもいいかもしれませんが、でも。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 勉強しながら楽しむとか、楽しみながら勉強する とか、どっちでもいいのですが、両方入れることができないかしら。 ○石川委員 長くなってしまうから。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 精神的な余裕がほしいです。レポートの中で、こ れからの人生に対して、精神的な余裕で、あまり分けないで。年寄りだからあれだから、 もちろん年寄りは年寄り、何となく私は腰が痛ですがね、それにしても5時まで踊って いますよ。また私の話はレポートに入れられないでしょ。でも、人生はそんなものでは ないでしょ。柔軟な教育、柔軟な感覚、柔軟で人生と一緒です。 ○茂木委員 どうしてかと思っていたのが、いまよくわかりました。63歳で大人になっ たから、こんなにいつまでもお若く、おきれいなわけですね。  さっき石川先生がおっしゃった「学習する」ことを「楽しむ」と直すのは、これは日 本語のニュアンスの問題で、たぶん石川先生のおっしゃるような言葉を使ったほうが理 解しやすいのだろうと思います。区別するという問題ではなくて、言葉のニュアンスの 問題だと思います。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 若者たちにも。 ○茂木委員 そう思いますね。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 具体的にうちのアシスタントたちに聞くわ。 ○茂木委員 それから、先ほどの菊川委員と残間委員のお話に関連するのですが、私は アメリカは嫌いでなくて、特に古きよきアメリカ人は大好きです。ただ、問題は個人と してのロールモデル云々というお話がありましたが、国家あるいは社会としてのロール モデルとして、日本人の意識の中に、何となく無意識のうちに、アメリカを置くような 傾向があるのです。たぶん戦後の長い密なる関係があった、それから我々が貧しいとき に、ものすごい力があって、富があって、しかも、昔のジャズ、軽音楽、映画だとかが 格好よくて、それで、何となく憧れを持ったというのが1つあるかもしれません。それ から、経済的、軍事的な関係、いろいろなことがあるのだと思うのですが、それを見直 したほうがいいというのが、私の真意です。いろいろな国の中で、アメリカが最も好き な国だろうと思いますが、盲目的に何でもアメリカ、これは駄目だろうと思います。  それから、教育に関してですが、もちろん私も価値観を押し付ける気は全然ないので すけれども、これもアメリカの戦後における一時期の過ちの結果だと思いますが、民主 主義を歪めたような格好で、日本に押し付けた嫌いがある。これは、もう明らかに意図 的に、一時期日本を弱体化しようというキャンペーンがGHQの中にあったわけです。 その影響を受けたまま、ずっと今日までそれを引きずってきてしまっているのが、我々 の日本の社会で、そこは何とか是正すべきではないかと思うのです。  自分と社会の関係、12頁のパン屋の例がありますが、パンがいかにして自分のところ に来るかを優しく子どもに教える必要がある。要するに自分と社会の関係です。  民主主義、これは死をもって守るべき価値観だと思いますが、ただ、それがえらく歪 んでしまっていて、自由ばかりを強調して規律を言わない、権利ばかり教え込んで、義 務や責任は教えないのです。自分が大事だということをいっておいて、公の大事さを教 えない。その歪みを教育の面で直す必要があるのではないかというのが、私の考えです。 ○残間委員 今こそ、この国の文化、歴史に根ざした、きちんとした大人のロールモデ ルを作るべき時が来ているように思います。いろいろ出揃った今だから、あるいは疲弊 しているものが顕在化して見えている今だからこそ、新しい価値観での大人のロールモ デルができ得るチャンスかなと思って申し上げました。 ○小室委員 先ほど残間委員のおっしゃられた「もっとインパクトを」というところで、 私も同感です。1つは内容にインパクトというのと、もう1つは、これをどう発信する のかという議論が、私はいろいろな委員会に参加させてもらっていますが、最後にいつ も「それはそんなにひっそりとホームページに置くだけなのか」と思うことが多いので す。同世代の人に、発信したものを見たかを聞いても、「見た」と言ってもらえたことは 1度もないのです。せっかくこれだけ議論したので、最後に誰のために、どこで発信し ているのかにも関与したいというのがあって、ぎりぎりのスケジュールで最後に取りま とめて終わるというのではなくて、取りまとめたものをどう発信するか、発信するとき にどう見せるかまで、このメンバーで責任もって議論できるようなスケジュール展開が あるといいと思っています。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 いまの時代は、短くしないと誰も読んでくれない のですね。 ○茂木委員 漫画に載せたらいいかもしれません。 ○岩男座長 発信について、事務局から何か説明をいただければと思います。 ○小野政策統括官 まとめていただきましたら、最初の頃に少し申し上げたかとは思う のですが、厚生労働省はもちろんですが、関係省庁に係ることが教育の問題をはじめと してありますので、行政として受け止めるということと、ホームページだけでどうこう というのではなくて、国民各層、いろいろな場に議論を喚起するということで、国内の 周知啓発は当然やっていきたいと思います。  それから、ちょうど来月12日から、G8の労働大臣会合、労働サミットがありまして、 いまご議論いただいているテーマが、3つあるセッションのうちの1つに入っています ので、これはまた大臣ともご相談しなくてはいけないのですが、今回大臣が全体を総括 的に運営していくというお立場でもありますので、以前、座長からも、長寿化をこれか ら経験していく、日本が先頭に立っているわけですから、今回ご議論いただいたことを、 まさに世界の舞台で発信して、議論してもらうことも頭に置いています。  そういうことで、次回は4月30日を予定させていただいているのですが、そのとき までにおまとめいただいたら、G8のサミットにも間に合いますし、そういう段取りで お願いできたらとは思っています。 ○石川委員 発信という点で言えば、この4章の提言ぐらいが限度だと思います。この ような長大な文書を読み切って、これから何かまとまったことを引き出せる人というの はほとんどいないと思います。私たちは最初からこれに参画していますから、過程を知 っているからですが、この提言のところぐらいを、何かわかりやすい形にして、これが 限度だという気がするのですが。 ○村山企画官 基本的に、4章の太文字になっているところで、こうしたらいいのでは ないかという意見を最終回までにいただきまして、わかりやすい形にまとめていければ と考えていますので、是非よろしくお願いいたします。 ○残間委員 それをもう少しコピーライティングしないと駄目ですね。それと、いまの G8もいいのですが、もっと一般の人にという意味では、実は委員の皆さんの情報発信 力というのは、相当すごいと思うのです。だから、それぞれの委員の皆さんが、このこ とをいちばん親しい友人や誰かに、「こんなにすごいことがあるのよ」と言えるかどうか。 私は結構難しいと思っているのです。  どこにいったらいいか。もちろん、自分の最大関心事とつなげていうところから始め て、最終的にはこの世界が全部伝わるように人に言うのがいちばんいいのですが、それ ぞれの皆さんのご発言の基軸とつなげた形で、いちばん親しい人に言いますよね、「こう いう委員会に出ていて、こんなにすごいことになったのよ」と本当は言いたいのですが、 「こんなすごいこと」というのが、本当にそれぞれの皆さんがちゃんと持ち得ているか どうかがすごく重要で、まんべんなくきちんとまとまってはいるのですが、個人の意見 を突出させようという意味ではなくて、自分の意見が何らかの形でこの中に盛り込まれ ている、その一つひとつをみんなが取り出せるかどうかというと、ちょっと全体にバラ ンスがよすぎていて、「ここが私が言ったことなのよ」と言いにくくなっているのが、こ れは私の感想なので、皆さんそれぞれおっしゃった方がどうなっていると思うか。  今日ご欠席の方も含めて、それぞれの領域で情報発信力のある方たちなので、この方 たちが軸になっていくべきであろうし、その方たちを使ってシンポジウムをやるのかわ かりませんが、媒体を何を選んで、何をするかというところにいかないと、国際会議の 席上で言うのだというだけでは、国民各層にはなかなか伝わらないと思います。提言は もうちょっとまとまって、要約したものではなくて、少し表現を変えないと提言として はインパクトがないかもしれません。 ○岩男座長 提言をもう少しキャッチコピー的にするのは、例えば残間委員のお知恵を 拝借するとか。 ○小野政策統括官 是非お願いします。 ○残間委員 テリー伊藤さんも。 ○岩男座長 テリー伊藤さんも。 ○残間委員 そこの提言は、相当ちゃんと議論して、ちゃんと言っていると聞こえなけ ればいけないのだけれども、縷々やってきたものを2行にまとめたみたいだと、ちょっ と弱いですよね。石川先生のお力もお借りして。 ○石川委員 私たちはこれを作ってきたので、わかりますが、読む方には、できればこ れを3分の2ぐらいにして、一つひとつが三行半ぐらいになるような、できれば七五調 にして。 ○残間委員 それとこのタイトルだと思うのですが、これは始まったときには、「夢と希 望に満ちた人生85年」というのを、そのまま聞いていたのですが、昨今の後期高齢者 の医療問題などを見ると、ブラックジョークに聞こえる感じもするので、真正面から受 け止めてくれる人がどれだけいるかが、気になります。言葉は生きものなので、何カ月 か前だと普通に受け止められたものが、昨日、今日辺りだと、テレビで94歳ぐらいの 人が、「早く死ねと言うのか」みたいな、発言を繰り返しているときに、「夢と希望に満 ちた人生85年」というのは、不謹慎な印象を与えるかもしれません。出し方と、出す ときのタイミングで、言葉を選んだほうがいいかなという気がします。 ○岩男座長 是非お知恵を拝借しなければいけないと思いますので、よろしくお願いい たします。  3章は比較的短いのですが、3章と4章の提言を両方合わせて、ご意見をいただけれ ばと思います。 ○小室委員 20頁のところなのですが、(1)の「地域社会における人のつながりの再生」 という中で、1の上から8行目に、「農村従事者、商店街の家族従事者が減少し」という ような、いわゆる地域社会に参画する人が減ったのだという話が、ここで出ているわけ なのですが、それが減ったことをこれからどうしたらいいのかという話で、これが原因 だとしたら、これからどうやって参画する人を増やすのかということに対して、下でい ろいろ書いているのだとは思うのですが、結局どうやって増やすかはあまり書いていな くて、増えることが重要だとしか書いていないような感じなのです。「活性化していくこ とが重要だ」と書いてあっても、どうやって活性化するかへの提言が全然入っていない のかと思って、これからさまざまな人が参画していく上で、いまどうしてそんなに参加 できないのだろうというと、いままで議論にもあったように、雇用されている人の割合 が非常に増えて、雇用している人たちは会社の時間に非常に縛られるので、自由に地域 社会には参加できないということが背景なのだとしたら、地域社会貢献を、若いときか ら、働き盛りの従業員が地域に社会貢献できるような労働の時間であったり、休みの取 れる柔軟性であったりだとか、そういうものをセットにしてここで書いていかないと、 「出ていくべきである」と言われても、出ていける状況にないから出ていかないだけだ けど、悪気があって地域社会に出ないわけではないので、特に専業主婦の女性たちは PTAに出られるのだけれども、仕事を持っていると全然出られない女性たちはとても苦 しく思っているわけで、そういうことがもっと柔軟にできる、地域社会への参加ができ る働き方というのを、セットでここで触れることによって、それが企業も取り組んでい くべきであるというところにつながるのではないかと思うので、是非それを入れていた だきたいと思いました。 ○岩男座長 細かいことなのですが、いまご指摘のあった20頁のところで1つだけ気 になったのは、下のほうで切れているところのすぐ上なのですが、「地域社会における人 材育成機能などが低下している」ということが書かれていて、「こうした変化が子ども達 の引きこもりといった現象の一因」というのは、少し飛躍があると思うので、「子ども達 の問題行動」とか、もう少し一般化した言い方にしたほうがいいのではないかと思いま した。他にいかがでしょうか。あるいは前のほうでも、先ほど言い落ととされたところ がございましたら、どうぞご指摘いただきたいと思いますし、いま10の提言というこ とで、数としては多いのか、まとまりがいいのか、提言の数についても、何かご意見が あればおっしゃっていただきたいと思います。 ○石川委員 法三章いう中国語がありますが、3つぐらいがいいと思います。法三章と いうのは、中国の偉い王様が、3つ以上のことを言っても人民にはわからないのだと、 法律を簡略化することを「法三章」と言います。大きな3つぐらいを出して、そこにサ ブとして入れないと、読んでいるうちに、どこがポイントだかわからないものですから、 1つでは駄目だし、2つでもあれですから、3つ、多くて5条、できれば3つぐらいに 集約して、あとはどうせ普通の人は読まないですから。そう思います。 ○菊川委員 私もそう思います。あまり長いと、結局何が言いたいのか、本当に一言で ぱっと言えることは、何だろうなと。私はまだ2回であまりわかっていないのかもしれ ませんが、結局何なのかというのが、何かイメージが湧かなくて、人それぞれ価値観は 違うので、それぞれによると思うのですが。 ○石川委員 例えば提言2は、「なるべく家で死のう」ぐらいにしてしまって、それだ けだと誤解を招きますから、このままでは成り立たない、経済的に医療体制が成り立た なくなるということは、後で書くと。そういうぐらいに簡単化すれば、5条ぐらいでい いかと思います。 ○高階委員 いまの石川委員の法三章は大変にいいのですが、提言のやり方を見ると、 提言1は総論みたいな感じになっていて、あと個々のものが出てくるのですが、提言1 に3つ・があって、まさに3条なのですが、これまでのお話だと、人生85年時代、随 分高齢化してきたから、あらゆる年代で、子どものときでも、あるいは定年後あるいは 定年がいくつかわかりませんが、80になっても新しいことができると、そういう時間軸 の中で、常に新しい出発、自分の方向を定めることができるという可能性、柔軟性、決 められているのではない、縦軸の中でそれができるということと、横軸では自分の会社 とか、家族だけではなくて、地域でも、あるいは遠くにいる人でも、関心を持った空間 的な広がりができるというのが3番目なのですが、縦横にさまざまな可能性を探してい くということが、この3つで出てきて、そのためにどうするか、従来と違って年齢で区 切らない、この3つがポイントなのですから、そこにいま言われたように、いろいろな ものを収斂させていくことは、具体的提案といっても、この3つは憲法のようにこうい うふうにいく。それに、どのようにしていこうかということをうまく、少し広げながら、 もちろん文言は変えていけると思いますが、減り張りをつけていかないと、一律に並べ ると、提言5、提言6辺りで読まなくなってくるおそれはあると思います。 ○残間委員 並び順はプライオリティーは関係ないのですよね。だから、メディア側か らすると、どれを伝えていいのかがわからないというのがありますよね。全体に「人生 85年時代」といっているのだから、基本的には年齢なんて関係ないというところが、ど こかにないといけないですよね。  最終的には、この国は年齢は関係なくて、一人ひとりが自分らしく生きることを応援 するというのが、「人生85年」だと言っているわけですから、その軸線は見失わないで ほしいですね。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 どうしても「85年」を付けなくてはいけないでし ょうか。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 数字を入れるのは危ないですよね。でも、数字を 入れないと、日本の皆さんは喜ばないとか、安心しないのですね。フランス人は絶対に 入れません。 ○石川委員 思い切って100年にしてしまったらいいかもしれないですね。だって、も う100歳の人は何万人もいるのでしょう。3万人もいるのですよね。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 数字を入れること自体問題になると思います。で も、日本ですから私は何も言えない。 ○岩男座長 そんなことはありません、どうぞ。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 アメリカ人ではないですけれども、何にも言えな い。 ○小室委員 イメージとして、人生85年時代と言われたときに、若い人が、自分には 関係ないかと思うかもしれません。若い人にしてみると、高齢者の暮らしやすい社会へ の提案かと思うかもしれないと、ボリュームのある人たちが、年齢が上にいったから、 世の中がそこを中心に組立てられ始めるのかという悲壮感を持ちそうだなと、疎外され たという感覚を持ちそうで、その全体の組立て直しなのだということがうまく伝わらな いといけないので、寿命が伸びると、若い世代から、働き方、生き方を全部組み立て直 しなのだというメッセージを伝えないと、疎外感があるかなと思います。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 関係ないね、私は25歳、30歳、35歳のとき、い つか年を取ってしまうと、想像できなかったではないですか。私だけ年を取らないとい う阿呆な気持。 ○残間委員 確かにシニアライフのプランニングシートに見えますね。 ○小室委員 客観性を持って見てみたら、そう思いました。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 有名なフランスの諺がありますが、たぶん日本で は通じないかもしれません。7歳から77歳まで、それはある点では数字の遊び、みんな 0から100までと感じるのです、フランス人は。日本ではどうですか、わからない。す ごくポリティックスに聞こえるし、みんな言われなくても、ああそうか、生まれてから 最後までという。 ○残間委員 モレシャンさん、ここで言う人生85年も同じ意味だと思います。85年間、 活き活きと元気に楽しく、素晴らしく生きようと言いたいのですが、85が出てくると、 後半の人生にスポットが当たっている気がします。 ○石川委員 本当に優秀な方ばかり集めてこられたと感心するのですが、本当にそうで すね、こっちも年を取った人間からの考え方しかないですが、0から85までという意味 ですよね。年寄りが上にいて、塊にいて、その人たちを何とか料理しようというのでは なくて。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 数字をどうしても入れないといけないですか。「最 初から最後まで」と言えば。 ○石川委員 日本語では非常に弱いですね。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 そうですか。最初から最後まで、それはフランス の生き方、とてもきれいだし、みんなわかっているし、さりげなさがあるし。 ○石川委員 最初と最後というのは、高階先生流に言えば日本語ではないのです。中国 語で、それに相当する日本語がないから、中国語を日本語で読んでいるので、あまり強 い響きがないです。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 でも、日本人は強い響きは嫌いでしょ。 ○石川委員 はっきりしないということです、何の最初から何の最後まで。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 はっきりしないから素敵ではないですか。 ○石川委員 わからない。生まれてから死ぬまでとなると、また抽象的すぎてしまいま すしね。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 生まれてとか、死ぬとか、すごく具体的でしょ、 よくないでしょ、ただ、最初から最後まで、すごくみんな自分の想像を入れることがで きるではないですか。 ○岩男座長 最初がどこだかわからない。 ○菊川委員 「揺りかごから墓場まで」と同じですか。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 面白いですね。 ○小室委員 人生の捉え直しみたいな意味ですよね。 ○石川委員 そうですね。 ○残間委員 価値観を変えましょうということですね。 ○石川委員 物心がついたときから、ちゃんと考えないとと。いままでは、くたびれた と思ったら死んでしまうのです。私の両親は50代で死にました。 ○残間委員 年齢は関係ないということですよね、若くても年を取っても、生きること については。 ○岩男座長 難しい宿題で。 ○フランソワーズ・モレシャン委員 ご意見を聞きたいです。 ○石川委員 私も最初に参加したときに、老人問題として受け止めて来ていたのです。 そういうふうに言われると、立場立場で、全然違うものが見えているのだということが わかって、非常に勉強になりました。 ○岩男座長 内容的には繰り返し、若い人へのメッセージということになっていると思 います。 ○石川委員 私もいま小室委員がおっしゃるまでは、何となく老人問題と受け止めてい て、いま言われて愕然といたしました。 ○小野政策統括官 いまの全体の1頁の構成のところも、我々として、もともと高齢期 だけではなくて、議論のスタートのときもいろいろお話をしたと思うのですが、第1章 の「いきいき人生」という概念は、「喜びがあって充実した」とか、そういう言葉に直し たいと思うのですが、まさにこれは基礎づくりということで、まさに若いときからとい うことなので、「若いときから」とか、そういう言葉を入れるような形で再構成したらい いと思うのです。基本的にはそういう考えだということなので、もう少しそこを強く打 ち出したいと思います。  それから、人生85年というのは、当初これをスタートするときに、いまは人生90年 だとか、100年という議論もあるということは、そういうことも含めて大臣とご相談を して、もちろん100年というのは何十年も先になるかならないかという話なので、あま りにも遠い先のことをイメージしてというものでもないのだろうと。そうすると、男性 が80前、女性が85を超えていることを考えると、人生85年という、これは85にこだ わるというのではないのですが、人生85年時代という、いままでの50年とか、60年 というものとは違った時代の中での、新しい生き方をどのようにメッセージとして送っ ていくか、こういうスタンスでいいのではないかということで、この懇談会も「人生85 年ビジョン懇談会」ということで、そこは大臣の思い入れのある部分だったものですか ら、そこの人生85年というのは、どのようにプレゼンをしていくかとかは、もちろん いろいろなご意見をいただければと思うのですが、そこの軸は是非キープしていただけ たらと思うのです。  最後の提言のところのまとめ方ですが、事務局でもいろいろ議論をしたのですが、い まいろいろなご意見が出て、私自身も頭の中がパニックになっているのですが、構成も 含めて、我々ももちろん検討してみたいと思うのですが、先ほど申し上げたようなスケ ジュール感も持っていますので、あまり時間もないことを考えますと、例えばこんなコ ンセプトで、このように提言をまとめたら、3つか5つかというお話もありましたし、 高階委員からも、まとめ方のヒントもいただいたし、残間委員からも、当然記者発表を して、大々的に取り上げてもらわないと、国民の議論になりませんので、具体的なご提 案があれば、メールでも何でも結構ですので、我々も考えますが、いただけたらありが たいと思います。 ○岩男座長 事務局、大変大きな宿題をしていただくことを要求しているようで、ご苦 労だと思いますが、委員の先生方にいろいろ個別にご相談をしながら、おまとめいただ ければと思うのです。ただ、大臣の人生85年時代についてのこだわりについては、ど ういうご意見が今日出ているのかをお話いただいて、場合によっては、大臣も非常に柔 軟ですから、また別のご意見が出るかもしれませんので、今日出てきたようなご意見を 是非お伝えいただければと思います。  それでは、大変活発なご議論をいただきましてありがとうございました。本日皆様か らいただいたご意見を基に、事務局でいろいろ修正作業をしていただいて、できるだけ 早く皆様にご覧いただくということにいたしまして、次回4月30日(水)の14時から ですが、次回に皆様のご意見が反映された最終的な報告案をお示しして、取りまとめに するということで考えていますので、よろしくお願いいたします。 ○石川委員 私も言いっ放しでは申し訳ないので、提言のところをいくつか短く、3条 になるかはわかりませんが、参考意見としてFAXでもお送りいたします。 ○岩男座長 よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 照会先 政策統括官付労働政策担当参事官室 調整係 内線7715