08/04/16 第2回議事録(雇用・能力開発機構のあり方検討会)            第2回雇用・能力開発機構のあり方検討会 日時 平成20年4月16日(水) 15:00〜    場所 中央合同庁舎第7号館共用第2特別会議室 ○庄山座長 それではただいまから「雇用・能力開発機構のあり方検討会」 の第2回の会合を開催いたします。本日は、皆様方大変お忙しい中ご参集い ただきまして、誠にありがとうございます。  議論に先立ちまして、第1回の検討会を所用のためご欠席されました委員 の方をご紹介いたします。お手元の資料No.1の名簿をご覧いただきたいと思 います。リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫様、日本労働組合総連 合会事務局長の古賀伸明様、石川県商工労働部長の高本隆様、日本工学院八 王子専門学校長の千葉茂様、日本商工会議所労働小委員長の渡辺祥二様です。  また、4月1日付の県の人事異動の関係で委員の交代がありましたので、 ここで引き続きご紹介させていただきます。愛媛県経済労働部長の佐伯満孝 様、愛知県産業労働部労政担当局長の志治孝利様でございます。皆様方よろ しくお願いいたします。  それでは議事に入ります。まずお手元の資料No.2の検討の視点(案)をご 覧いただきたいと思います。前回は視点の1と2に関しまして、事務局より この資料に基づき説明をいただいた後に、委員の皆様からご意見をいただき ました。本日は視点3の「効果的な職業訓練実施のためのノウハウのあり方」、 4の「職業訓練施設・設備のあり方」につきまして、雇用・能力開発機構か らのヒアリングを行った後に、皆様からご議論をいただきたいと思います。 それでは雇用・能力開発機構のほうからのご説明をお願いしたいと思います。 ○丸山理事長(機構) 皆さん、こんにちは。雇用・能力開発機構理事長の 丸山です。本日はあり方検討会において、私どもの活動状況等をご説明する 機会をいただきまして、感謝申し上げます。実は私、理事長とはいいまして も、先月3月1日付で理事長に就任したばかりです。44年間ほど民間企業で 人事労務、教育訓練、福利厚生等々、いわゆる人にかかわる事項を担当して まいった者です。よろしくお願いいたします。  お手元に盛りだくさんの資料を配付させていただいております。説明に入 ります前に、まず最初に私のほうからご挨拶を申し上げたいと思います。当 機構に対するいろいろなご批判があることは率直に反省し、私どもの諸活動 の有効性、効率性を確保するために、改めるべきは改めるという姿勢で改革 を進めてまいる所存です。今日もその一端をご説明いたしますが、さまざま なデータを見るにつけまして、当機構のコア事業分野である雇用開発、ある いは職業能力開発における私どもの役割の重要性を、1カ月半ですが実感し ている次第です。  我が国の雇用情勢というのは、一時の改善点が見られたのですが、現在は やや足踏み状態が続いています。あるいは石油等の諸資源の高騰、米国経済 の不安定化等々といった状況から、日本の雇用問題も、先行き予断を許さな い厳しいものがあるという認識を持っております。なかんづく、若年者の失 業率は依然として高水準でして、私どもの機構の果たすべき役割は、非常に 重要であるというふうに思っております。  全国の離職者等に対する職業能力開発についての地域格差をなくすこと、 また、国として国民の雇用不安に対応したセーフティネット機能を強化する こと、さらには全国レベルでの産業振興のための人材の確保、人材の能力の 高度化、あるいはリニューアル化を図ることが私どもの役割であり、民でで きることは民に委ねるということを基本としつつも、国の雇用対策の一翼を 担っていく所存です。  最初に2枚綴りの資料No.3-1をご覧になりながらお聞きいただきたいので すが、私どもは職業能力開発事業として、離職者訓練、在職者訓練、学卒者 訓練を3本柱として公共の職業訓練サービス事業を行っています。実際の企 画運営に当たりましては、我が国のものづくり現場の訓練ニーズを的確に把 握して、サービスを提供する必要がございます。ご高承のとおり、グローバ ルな経済環境変化にともないまして、我が国の社会経済情勢も日々変転して おります。したがって職業訓練ニーズも質・量ともに変化しているわけです。  私どもは全国各地の事業主団体あるいはハローワーク、あるいは地方自治 体、民間施設、訓練生自身と日常的に接する中で、訓練ニーズとマッチする ようにPDCAの管理サイクルを回しまして、職業訓練コースのリニューアルに 努めておるところです。また、社会的に難問である、フリーター問題等への 対応等ということもありまして、当機構の持つ3つの資源、即ち人的資源、 知的資源、物的資源というものを有効かつ効率的に活用してまいりたいと思 います。  私どもの人的資源の特徴を若干申し上げますと、職業訓練のあり方、全国 に施設があるわけですが、全国の施設間のばらつきをなくすこと、訓練ニー ズの変化に機動的に対応することが確保できるように、私どもの職員、指導 員は全国どこへでも柔軟に要員配置ができるよう、勤務地を固定せずローテ ーションさせているわけです。後ほどご説明いたしますが、指導員自身も専 門性を磨きつつ、能力のリニューアルを図り、その上で指導に際しては、全 国標準化された知的資源、これは教育訓練ノウハウと言ってもいいと思いま すが、知的資源を共有するということで、職業訓練の質的維持と効率化を推 進しています。  担当から縷々説明いたしますが、当機構の活動の現況をご理解いただき、 ご批判、ご示唆を賜りたいと思います。今日もいろいろなデータをお示して おりますが、今後この検討会でさらに論議を進める中で、データ等追加すべ きという項目がありましたら、どうぞご指摘いただいて、また次回以降もご 提示できたらと思っております。何とぞ当機構のあるべき方向性をご審議い ただきまして、私どもに実行方をご指示賜りたい。私どもも国民に信頼され る組織となるよう、一段の努力をしてまいる所存です。本日はよろしくお願 いします。 ○羽毛田理事(機構) それでは引き続きまして、資料の説明をさせていた だきます。3-1、3-2、3-3のご説明をしたいと思います。3-1は、いま理事長 が1枚目を見ていただきながらお話いただきました。2枚目のほうをお開き いただきたいと思うのですけれども、職業能力開発システムというペーパー です。これは第一線の都道府県段階での職業能力開発業務にかかる全体像を お示ししたものです。本日ご理解いただきたいことの簡略版ということにな るかと思います。本日はこの主要な点を先ほどの論点に沿って、できるだけ 簡潔にお話申し上げたいと思います。  上段ですけれども、先ほど理事長からお話がありましたし、前回お話のあ った部分で、私どもの施設によります公共職業訓練の取組、離職者、在職者、 高度技能者を養成するための学卒者等に対する訓練です。それを踏まえた成 果、貢献がその上にありますように、こうした取組によりまして、雇用セー フティネット機能の発揮、あるいは中小企業を中心とします人材確保等を図 りまして、地域における活性化、あるいは労働者の雇用の安定に資している というふうに考えています。  中段の部分ですが、その成果に向けて私どもがどのような運営に当たって いるかということです。ポイントは2つあります。1つは「PDCAサイクルに よる訓練コースの見直し」とありますように、訓練コースの中身の質の向上 に向けて、マネジメントに意を注いでいるということで、漫然と前例どおり ということではなくて、いわゆるPDCAサイクルでマネジメントをしっかりや っているということです。  2点目は、それが独り善がりであってはいけないということで考えており ます。外部機関との協議組織、運営協議会等々を設けまして、真ん中に「地 域における訓練ニーズ」とありますように人材ニーズの把握、あるいは左側 の部分にあります民間機関等々との役割分担を図りまして、民業補完に徹す るというようなことを図りまして、信頼関係を大切にした運営に努めている ということです。  下段の青い部分ですが、こうしたPDCAサイクルを続ける中で、私どもとし まして、長年にわたる一定の資源を構築し、保有してきたところです。こう した機構ならではの資源があればこそ、いちばん上にも書いてあるような、 実績貢献を成し遂げているものと考えております。  資源としては具体的に3つ、先ほど理事長からお話があったとおりです。1 つは人的資源で、職業訓練指導員、いわば先生です。先生の養成と再研修、 再訓練、これによりましてものづくり力等を身に付けた指導員の陣容を形成 してきたところです。  知的資源。これは技術革新等に対応した訓練コースの設定の効果的な実施 のためのノウハウということで、特に1行目にあります、生涯職業能力開発 体系というところが大事かと思っています。この能開体系は後ほどご説明い たしますけれども、柱は2つありまして、訓練を実施するに当たり、いまど ういう仕事、能力が求められているのだろうということを絶えず追求してき たわけです。したがいまして、職務分析の積み重ねがありますので、これを 能力の物差しとしてツール化していると。もう1つの柱は、訓練を実施する ために、その仕事に応じてどう訓練したらいいか。具体的訓練を積み重ねて まいりまして、カリキュラム・テキスト等も蓄積していますので、教育訓練 の道標としてツール化しているということです。  物的資源です。これはものづくりの実践的技術を付与するということで、 いわば仮想工場のような中で、実際の生産現場を反映した設備・機器等を用 いて訓練しておりますので、そのための必要な高額機器等を整備させていた だいています。これら3つの資源を元に、上記の3訓練を実施いたしまして、 雇用の安定等に寄与しているものと考えております。  資料3-2です。全体像の上段の実績の部分はおさらいを兼ねて付けさせて いただいています。本日の議題は中段以降のノウハウの部分ですので、これ はざっと見ていただくだけにとどめたいと思います。目次にありますように、 先ほど申し上げましたとおり、離職者、在職者、学卒者、この3つがメイン の取組です。併せて中小企業や地域のために人的、知的、物的資源を投入し て、貢献していきたいと考えています。  まず1頁目の「離職者等に対する再就職のための訓練」ですが、4頁目ま であります。ポイントは、「高い就職率を実現」とありますように、この点を 訓練の成果、エビデンスといたしまして、もっとも重視してきているところ です。中期計画、あるいは年度計画にも目標を設けて、目標管理によってそ の向上に努力してきています。結果として18年度、施設内では81.6%、委 託でも68.9%ということで、13年度あるいは14年度のころに比べますと、 かなり高くなっていると。これは2頁目の各種就職支援への取組の賜物と考 えております。事例の2にありますように、指導員が一生懸命になって追加 指導等もしております。  3頁目です。フリーター対策が非常に大きな社会問題となっておりますけ れども、そういったことを踏まえて、厚生労働省のほうでいわゆる座学と企 業実習を組み合わせました「日本版デュアルシステム」というものを16年度 から発足しております。国のそうした雇用対策に機動的に対応して、いわば パイロット的に取り組んで、高い就職率を確保しているという状況です。  4頁目も同様の雇用対策に応じたフリーター対策です。とりわけ就職氷河 期の時期に就職できなかった方々、年長フリーターですが、この方々がなか なか減らないということで、この19年度から「再チャレンジコース」「企業 実習先行型訓練システム」といった新たな取組を厚生労働省のほうで施策と して設けられましたので、私どもハローワークとも連携しつつ、新たなこの 施策に先導的に取り組んでいるということです。  2つ目の柱の「在職者のレベルアップのための訓練」が5頁目です。これ は、中小企業の労働者を対象といたしまして、技能継承、競争力強化を支援 するという取組で、ものづくり分野におきます中小企業の競争力、あるいは 利益向上のための訓練と考えております。事業主の満足度も95.2%というこ とで高い水準になっています。技能継承によりまして、会社の競争力の維持 発展に寄与していただく、あるいは生産ラインの改善等によりまして、コス ト削減に寄与できたら、あるいは付加価値の高い製品に対応した新しい技術 の習得をさせて、収入増にも寄与できればということで、ご支援申し上げて いるところです。  6、7頁目に「学卒者等に対する高度技能者養成のための訓練」を掲載して おります。こちらにつきましても、就職率98.3%ということで、一般大学の 就職率の84.9%に比べて高い率になっております。ここで訂正をさせていた だきたいのですが、(理系)と書いてありますが、直前に調べたところ、理系 データが取れなくて、一般大学全体ということで訂正をお願いしたいと思い ます。  併せまして、中小企業への就職割合というものも取っております。63.4% ということで、前回の資料で製造業におきます新規学卒者の入職に占める中 小企業への割合は、全体としては46%、5割を切っている段階ですので、そ うした中で、私どもの職業能力開発大学校等における中小企業への就職割合 は高いのかなと。さらに、その※にありますように、4年経過後の定着率と いうものも調べてみまして、約7割、69.9%でありました。大卒後3年で3 割という離職率の状況に比べますと、4年後であること、あるいは中小企業 に就職者が多いということ等を考慮すると、高めの定着率ではないかという ふうに考えています。  7頁目には、修了生を採用した企業の評価として、「実践的な技能に優れ即 戦力となっている」ということがありますけれども、生産現場の実務者とし て、能開大の卒業生が活躍しております。製品の加工だけではなくて、いわ ゆる製品の設計部分とか、あるいは生産ラインの企画・改善等も勉強してお りますので、自分のいる生産現場と企画設計部門ですとか、生産ラインを構 築する生産技術部門などとの橋渡し役として、重要な役割を果たしていると 考えております。  8〜10頁目に、中小企業事業主への支援等々を掲げさせていただいており ます。先ほど申し上げました3訓練がメインですけれども、人的、知的、物 的資源を有効活用するという観点から、中小企業事業主に対する能力開発支 援、例えば指導員の派遣等、実施しているという状況です。10頁目では、も のづくり振興への支援ということで、ポリテックビジョンの開催などのイベ ントも開催して、ロボット競技会、作品展示、あるいはものづくり子供体験 教室等を実施しているところです。特に理系離れの若者に対する、小さいと きからのものづくりへの関心を高めることに貢献しようと努めています。活 動状況については以上です。  次にメインのノウハウの部分です。資料3-3の3頁目ですが、先ほど理事 長の説明があった部分です。4頁目ですが、これが全体像のいわゆるPDCA、 先ほどのこの資料でお示ししましたPDCAと、いわゆる知的資源の部分の説明 文です。まずPDCAですけれども、先ほど申し上げましたように、マネジメン トをしっかり行って、マンネリ化しないで、時代と地域のニーズに適う訓練 の実施を進めるということでPlanをし、Do、効果的な訓練の実施をし、そし て、効果の評価と問題点の把握をし、カリキュラム・コースの修正を毎年実 施しているという状況です。  5頁目をご覧ください。協議組織です。独り善がりを防いで、対外的にも 関係者のご理解と納得を得ながらの運営に努力しているところです。運営協 議会が中心ですが、施設内訓練はもとより、委託訓練も含めて事業計画を諮 り、実施経過報告、あるいは年度末の評価等をいただいているところです。 そして訓練計画専門部会は主として、民間企業等との役割分担を徹底するた めの協議組織でして、競合の観点から科の廃止、見直し等を調整しておりま す。人材育成推進協議会、そして人材育成研究会は、主として各地域におけ る人材育成ニーズをキャッチするための、事業主団体等を交えた協議会とい う位置づけかと思います。  6頁目ですけれども、以下4頁にわたりまして、PDCAの具体的イメージを お示ししています。まずPですがPlan。こういう人材育成ニーズがあるから、 こういう訓練を実施しようと計画をする段階です。下にありますように「人 材ニーズの調査」をヒアリング・アンケート調査等により実施しまして、「仕 事の体系を活用した訓練ニーズの明確化」を図るとあります。これは先ほど 申し上げました生涯職業能力開発体系の1つのツールで、職務分析のための ツール、能力の物差しということで、後ほど担当のほうからご説明をしたい と思います。これによりまして、どういう仕事について訓練が必要か、ある いは職業能力についてどうした訓練をしていくべきかを明らかにしていくと いう段階を経ます。  その次の「訓練の体系を活用した訓練カリキュラムの策定」というところ で、訓練の体系というのは、生涯体系のもう1つの教育訓練のためのツール、 教育訓練の道標というべきものです。各仕事等に応じた訓練ごとのモデルカ リキュラム等が集積されておりますので、これを用いまして、地域のニーズ を踏まえ、特性を組み合わせて、訓練カリキュラム、目標、あるいは内容等 を盛り込んだカリキュラムを設けて実践していく、という計画を立てている ところです。  7頁目ですが、Do、いよいよ訓練の実施の部分です。この段階におきまし ては、ポイントを押さえた指導の実施ということで、(1)、(2)にありますよう に、指導経験を踏まえ、自作資料等を活用しながら、効果的な訓練指導を実 施していると。そして次の四角にありますように、受講者の習得の効果がど こまで上がっているか、それの見える化を測りつつ訓練を実施しまして、そ の訓練の品質向上を目指していく必要があるということで、(2)にありますよ うに習得度の測定という試みもしております。ここにありますように、各能 力につきまして、受講前後の5段階の自己評価をしていただいて、例えば0 から3に上がったというような自己評価をしていただく仕組みを講じており ます。  併せまして、客観的評価も大事だということで、(3)にありますように訓練 課題、実際にこういう成果物を作ってみなさいというような課題を与えて作 らせるということで、足りないところは追加講習をしたり、あるいは就職活 動に、求人企業にPRして役立てるようなことをしています。  8頁目です。そうした形で実施した訓練の評価・分析をしようという段階 です。これにつきましては、フォローアップ調査ということで、受講者及び 事業所双方から、満足度、あるいは仕事との関連におきます要望事項を把握 しまして、カリキュラムあるいは訓練コースのあり方そのものなど、今後の 訓練コースのセットそのものの見直しに向けた点検を実施しているという状 況です。  9頁目のAction、Aの部分です。(1)〜(3)とありますように、フォローアッ プ調査等で把握した問題点、こんなところが足りないというようなところが あれば、訓練の改善、見直しの方向を検討いたしまして、(2)にありますよう に、具体的なコースのカリキュラムの見直し、あるいは新たな技術等に対応 して、仕上がり像も見直しいたしまして、廃止し、そして新規のものも立て るということを実施しております。具体的な見直し状況は、いちばん下にあ りますように、平成20年度当初において19年度のものを見直しをいたしま して、離職者訓練については改廃率32.1%、在職者訓練については67.4%の 改廃、見直しをしたということです。  10頁目ですが、先ほど申し上げましたように、民間との役割分担の徹底な どPDCAサイクルにおきますCheck・Actionの一環として、そういったことに ついてもチェックしているという部分です。これにつきましては、左の上に ありますように、各施設におきまして、チェック、点検する際に、真ん中の 辺りに、いくつかの調査結果と調査等の欄がありますが、民間企業等、教育 訓練機関等が実施するコース等につきまして、インターネット等により、あ るいは出向いて競合状況を確認します。その具体的なメルクマールとしては、 何もないと判断しにくいということで、関連コースとの競合はないか、40km 範囲内においてチェックしているという状況です。  そして次の段階としまして、独り善がりではいけませんので、訓練計画専 門部会におきまして、各訓練コースごとに1つひとつ丁寧に確認等していた だいていると。そして結果として、競合が確認されたコースは改廃する等に よりまして、民間で実施していないものに特化していく方向を目指している ということです。  続きまして11頁以降ですが、全体像におきます人的資源の部分です。指導 員の部分ですけれども、産業構造の変化等によりまして、求められる能力が 変化してまいりますので、それに合わせまして、養成あるいは再研修等を行 い的確に応えていくということを基本に、今日まで努力しております。その ために、鉄は熱いうちに打てということで、入り口の養成時のところで総合 大が養成をするわけですが、そこでのカリキュラムに相当な力を入れており ます。1つは量的な部分として、5,834時間というカリキュラムで国立大学工 学部の約2倍。質的にも求められる能力を踏まえまして、時代の要請に応え るという努力をしております。  ものづくり力、やはり先生としてやって見せることにより威厳を示して、 信頼されるということがありますので、ものづくり力を徹底して教えると。 それから教える力、訓練指導力が不可欠です。「できる」だけでは駄目ですの で、教える力を教え込むということで、そこにも書いてありますように、ロ ールプレイング等の実演をして見せたり、そして現場で実務実習を積み上げ るというようなこともしているところです。  そして、+とありますように、近年は自ら訓練を行うだけではなくて、求 職者につきましてのアドバイスですとか、企業の研修についてのアドバイス 等を求められる。そうした能力開発支援がかなり求められて多様化しており ますので、キャリア・コンサルティング力あるいは訓練のコース・コーディ ネート力等といったものを身に付けていただく必要がある。ここに書いてあ りますような、求職者等にかかるキャリア・コンサルティング技法、あるい は企業の能力開発支援のための能力開発ニーズの把握の手法等々、勉強して いただいている状況です。  12頁目ですが、総合大におきましては機構の指導員だけではなく、都道府 県の指導員等も含めまして、産業構造の変化等に対応しましたレベルアップ のための訓練も実施しているということです。19年度は1,424名を訓練して いるということでして、都道府県等も41%を占めている状況です。具体的に はその下にありますように、左から訓練技法開発等研修。これは先ほど11頁 目で申し上げましたキャリア・コンサルティング力等につきましては、昔の 指導員の場合十分ではない面もありますので、この辺り、カウンセリング技 術演習等を実施すると。あるいは真ん中にありますように、日進月歩の技術 等に対応いたしまして、新たなレーザー加工基礎等の訓練コース等によりま して、企業からの期待に応える努力をしていると。そして3つ目、訓練科の 統廃合を行っていかざるを得ない面もありますので、専門分野を広げるため の職種転換等の講習もしております。  13頁目です。総合大の取組だけではなくて、機構の指導員につきましては、 総合大での再研修の活用と合わせまして、OJT、特に都道府県を越えたケース も含めまして、そういったものを行いながら、先生としての実技力に磨きを 掛けていくということで、独自の人材育成プログラムを展開しているという ところです。施設内で長年のノウハウを培った指導員から浅い指導員に伝承 するのと併せて、都道府県を越えた国ならではの取組といたしまして、B施 設のほうで、例えば新たな光通信関連のニーズに応えた訓練科を設置する場 合に、そうした方がいないとなれば、県を越えたA施設指導員等の指導を受 けたり、派遣をするといった形でのOJTを実施して、専門的な訓練、効果的 な専門性の拡大に努めているということです。  14頁目以降ですが、そうした日常的なOJTと合わせて、先ほど申し上げま したように、独自のキャリアルートモデルを構築しておりまして、階層別に ジュニアリーダー、ミドルリーダー、シニアリーダー等を目指しまして、そ れぞれの重点資質課題、あるいは専門課題、専門的能力を課題として掲げな がら研修等を実施しているところです。  全国規模の人事異動ということが14頁の下にありますが、これが私どもの 1つの特色でして、常に緊張感を持ち、いろいろな地域での能力開発業務を 経験して、幅のある指導力向上に役立つようにしているということです。そ うした県を越えた方々、約7割の69%というようなデータも付けさせていた だいております。  そして15頁目ですが、指導員全体としての状況がどうなっているかという ことです。公共職業能力開発施設、都道府県も含めまして4,660人のうち8 割はものづくり分野の指導員ですけれども、そのうち総合大卒業生が41%を 占めておりまして、中核的役割を担っているということを示すものです。  16頁目をお開きいただきたいと思います。総合大の卒業生は指導員として 就職しているかということなのですが、私どもといたしましては、それを使 命とする目的校として、その就職に努めてきたところですが、最近は12年度 の63%から18年度は10%に落ち込むような状況です。これはもともと退職 者数によって変動があったのですが、とりわけ15年度末、16年3月に機構 が独法化されたことにより、人員削減の動きがあったことによりまして減少 してきております。19年度におきましては、就職支援体制をきめ細かくいた しまして、20%まで回復をさせてきているところですので、今後ともマッチ ング等を的確に実施して、目的校としての使命を果たしていくつもりです。  17、18頁目ですが、人的資源としての指導員への期待の現れとして、公共 職業訓練以外の場でも指導員が活用されているということを示すものです。 例えば17頁目では、工業高校の教員、あるいは生徒に対して技術・技能の指 導等をしているというものを示し、あるいは技能検定におきまして、審査員 などの役割を果たしています。  18頁目は、そうした指導員への期待の現れとして、海外派遣、海外との職 業訓練施設の設置・運営に対する協力という形で資源を提供しています。外 国から来てもらう分と、こちらから指導員が出向く分と、双方向に協力をし ているということです。時間の都合がありますので、省略させていただきま す。  19頁目です。全体像の今後の物的資源の関係での現状です。機構が保有す る資産の7,043億円のうち、職業能力開発施設の資産が2,259億円、32%、3 分の1を占めているということを示しております。その内訳は右の表のとお りです。雇用促進住宅は4,579億円あるわけですが、こちらは平成33年度ま でに譲渡・廃止の予定ですので、資産面でも機構といたしましては、職業訓 練への特化の方向性が明らかとなっているところです。  20頁目ですが、各訓練施設の概況を示しています。これは※に書いてあり ますように、各施設の敷地面積、あるいは建物数の標準的な施設をモデルと してイメージが湧くように示したものです。具体的には離職者訓練等を実施 いたします職業能力開発促進センター、62施設ありますが、1施設のイメー ジとして、23,000平方メートル、あるいは建物数としては本館、実習棟等合わせて8カ 所というようなイメージで運営がなされているということです。  21頁目ですけれども、具体的には職業能力開発促進センターなどにどのよ うな設備を配置しているかを示したものです。右の「事業主の声」というと ころにありますように、「ものづくり分野は、民間で実施するのは採算面から 見て困難である」というようなご意見等を踏まえつつ、先ほど申し上げまし たように、いわば仮想工場の中で実際の設備機器などを用いて訓練を受けら れるようにという観点で高額機器等を整備しています。具体例として2つ掲 げています。1つはテクニカルオペレーション科の例で、トータル約2億2,500 万円程度かかりますということです。これはNC工作機械加工ができるように するために、その下にありますように、ターニングセンタ、マシニングセン タ等の高度機器、これはリースですけれども、そうしたリースでやるという ような工夫もし、費用の低廉化を図りながら、こうした機器の整備を進めて いるという実例を示しています。  22頁目には、金属加工科の例を示しています。これは約2億850万円程度 かかります。こちらのほうでは、TIG溶接作業とか、板金、CAD作業といった ことができるような仕上がり像、このために必要不可欠の機器として、その 下に写真がありますように油圧プレス等、整備すると2億円程度かかってい るという資料です。  23頁目です。こうした物的資源を有すること等も踏まえますと、また独立 行政法人といたしましては、コストパフォーマンスをしっかりしていくこと が求められているということで関連資料を示しています。まず23頁目の支出 額です。これは一般勘定ということで、前回ご説明がありましたように、能 開機構では、一般勘定のほかに雇用促進住宅業務勘定あるいは財形業務勘定 がありますが、職業能力開発業務に密接に関連する一般勘定についてお示し しているものです。18年度は、業務経費が772億、58%、人件費が434.6億 円、33%という状況となっておりまして、1,324.6億円ということです。そ の財源の内訳ですが、運営費交付金が63%を占め、補助金が27%を占めてい るということです。  24頁をお開きください。1,324億の事業別経費です。真ん中の職業能力開 発業務経費とありますように、74.9%、75%を占めております。その他職業 能力開発経費は助成金等ですので、公共職業訓練の実施にかかるものではあ りませんので、これを除きますと823億円、60%強となります。  その次の頁ですが、823億円の公共職業訓練経費も離職者訓練、在職者訓 練等々と別に一定の条件のもとで算出しまして、年間受講者数等で割り算を しまして、1人当たりの訓練経費を算出したものです。同一の施設で同じ敷 地、機械を使って、同じ指導員が離職者訓練、在職者訓練等の双方を実施し ている面もございますので、いかにその費用を割り振るかということもあり ます。その辺りは受講者数も加味した延べ訓練時間数の割合で割り振るとい った、一定の割切りをして算出したものです。離職者訓練につきましては38 万円、在職者訓練につきましては7万2,000円、能開大・短大等の高度技能 者養成訓練は302万円、総合大の指導員養成訓練のほうは403万円という状 況です。能開大、あるいは総合大のほうにつきましては、1人について年間 を通して訓練をすることや、あるいは施設・設備が高度で重厚であるという ことで、先ほど申し上げました敷地も広めですので、離職者訓練、在職者訓 練に比べて高めになっている状況です。  26頁ですが、可能な限り経費の削減に努めておりまして、「事業費及び職 員数の推移」、これは前回お示ししたものと同じですので、割愛させていただ きます。最後の27頁目に「財務諸表の概要」も付けています。貸借対照表と 損益計算書です。貸借対照表につきましては、これは一般勘定ですけれども、 概要としてお示ししています。資産の部で流動資産815億、固定資産2,732 億、合わせて3,548億円、負債の部で746億、資本の部で2,802億で3,548 億円。それから損益計算書の収益の部でまず収益合計1,386億、費用の部で 費用合計1,218億で、当期純利益168億という数字を計上させていただいて おります。ちょっと長くなりますので、この説明は簡単に終わらせていただ きますけれども、当期純利益のことだけご説明させていただきたいと思いま す。  独立行政法人は利益の獲得を目的としているわけではありませんので、そ ういうことからいたしますと、どうして当期純利益が出るのかということに なるのですけれども、これは損益計算書を見ていただきますと、運営費交付 金収益というものが957億あります。先ほど財源別に申し上げましたが、運 営費交付金というものを我々はいただけるわけですが、これは一旦債務とし て計上いたしまして、業務のために支出した額を収益化いたします。通常で あれば、費用における支出と同額で利益は発生しないのですけれども、その 代わり、使用されない額は交付金債務として累積していくわけです。ただ、 累積した交付金債務は中期計画期間を越えて持ち越しができないということ になっておりますので、中期計画期間の末におきまして、全額収益に振り替 える作業があります。たまたま18年度は最終年度に当たり、未使用額の収益 化を図ったものですから、その分が957億円のうちに入っています。  具体的には、当年度分の支出した額としての収益化は784億で、精算のた めの収益化、中期計画期間中の収益化が173億です。173億がそのほかちょ っと介護関係等でマイナスの数字があるものですから、純利益168億円につ ながっているということです。これは19年6月に国庫に返納済みです。念の ため申し上げます。  ちょっと長くなりましたけれども、引き続きまして資料No.3-4の知的ノウ ハウの部分の生涯職業能力開発体系につきまして、私どもの指導員をして、 現場でいろいろこれについて熟知されております、湯浅課長から説明をいた だきます。 ○湯浅課長(機構) 職業訓練課を担当しております湯浅といいます。私か らは資料No.3-4、知的資源である「生涯職業能力開発体系について」を説明さ せていただきます。効果的な職業訓練を実施するためには事業主や求職者の 訓練ニーズを的確に把握し、それに応じた訓練を実施することが重要です。 こうした訓練ニーズは産業構造の変化、労働市場の状況によって絶えず変化 しております。生涯職業能力開発体系については、そちらの資料に書いてあ るように、絶えず変化する訓練ニーズを踏まえるために、さらにこれらの訓 練ニーズに即応して効果的な職業訓練を実施するために、私ども機構が開発 したツールです。  生涯職業能力開発体系を使って、実際にどのような職業訓練が行われるか を1頁以降について説明させていただきたいと思います。それでは、1頁を お開きください。ここには、生涯職業能力開発体系を使って職業訓練を実施 する場合の、大きな流れが書いてあります。いちばん左側の上のほうをご覧 ください。効果的な職業訓練を実施するためには、まず第一に地域の人材ニ ーズを把握することが非常に重要です。ここでは、地域の事業主や事業主団 体に対して、私どもヒアリング・アンケート、安定所等の求人ニーズを把握 し、ニーズを明らかにしています。  次に、ニーズがはっきりしたところで、どのような人材を養成するか、ど のような訓練が必要かを明らかにすることが必要です。これは、お手元の資 料の真ん中に書いてある「仕事の体系を活用した訓練ニーズの明確化」です。 ここでどのような訓練を実施するかというニーズがはっきりしたら、この訓 練ニーズに基づいて具体的にカリキュラムを組み、どのように訓練を実施す るかという段階に入っていきます。それがお手元の資料の右下の「訓練体系 を活用した訓練カリキュラムの策定」です。生涯職業能力開発体系について は、この仕事の体系と訓練の体系がどのように作られているかを、順次ご説 明させていただきたいと思います。  それでは資料の2頁をお開きください。左下に「中小企業の生産現場、職 務分析の実施」という言葉が書いてあります。この作業は、全国各地の私ど も指導員を中心とした職員が地域の中小企業に出掛けていき、職務分析を行 い、その結果を右のほうにある総合大学校の能力開発研究センターは、訓練 カリキュラムとか、訓練の教材の開発とかを行っている私どもの施設であり、 ここにおきまして、全国レベルの事業主団体のご協力をいただきながら、全 国から集まった職務分析データを分析、整理して仕事の体系を作っています。 冒頭に申し上げたように、これらのデータについては産業構造の変化や技術 の進歩等に応じて、絶えず見直ししていく必要があります。それで、こちら で行っている共同作業については毎年行っています。  この結果としてどれだけのデータ量があるかは次の3頁を見ていただきた いと思います。3頁の左上の黄色い枠のところに、現在までに、赤文字で書 いてあるように約1,000職務について仕事の体系が整理されています。これ については、日本全国の全従業員数の約6割の仕事をカバーしています。  次に訓練体系がどのように作られているかです。もう一度前の2頁にお戻 りください。右下に全国の能開施設で訓練指導員がカリキュラムの改善提案 をすることが書いてあります。訓練体系についても、仕事の体系と同じよう に産業構造の変化、技術の進展に応じて絶えず見直ししていく必要がありま す。現場の指導員については、実際に訓練をやった結果について、私ども機 構を通してカリキュラムの改善提案を行っています。提案されたカリキュラ ムについては、先ほどご説明した総合大学校の能力開発研究センターで精査 を行い、訓練の体系として見直すべきものは見直すという姿勢で、毎年作業 を行っています。  この結果については、次の3頁をもう一度見ていただければと思います。3 頁の左下に現在整理されている訓練の体系が書いてあります。離職者訓練の カリキュラムは約2000、在職者訓練は約900、学卒者訓練は(2年間)10科 ということでカリキュラムが整理されています。  続きまして、この仕事の体系と訓練の体系は具体的にどういうものか、を 説明させていただきたいと思います。仕事の体系というのを具体的に言うと、 中小企業の生産現場で実際に行われている職務を階層的に整理し、それぞれ の職務を遂行するために必要な職業能力を体系的に整理したものです。具体 的には4頁に、一般機械器具製造業の機械の組立、部品の仕事を例にとった 職務分析の階層構造にした例が書いてあります。  まず、職務分析を行う場合の名称の各大きさを最初にご説明します。右下 の青い枠で囲んだところを見てください。大きさから言うと、大きい順に部 門、職務、仕事、作業の順番になっています。部門については、一般企業の 部や課に相当するものです。職務については、業務機能同一の種類、系統等 でまとめたものです。仕事については、目的を持っている1つの工程のまと まりだとご理解いただければと思います。作業については、仕事を細かく細 分化していく中で、最小単位のものを作業と呼んでおります。  それでは、具体的に一般機械器具製造業の部門、製造、組立を見てくださ い。左側のところです。この大きさからいくと部門が製造、組立。職務は制 御盤組立、機械組立等があります。さらに接続、部品取付、配線、検査等の 四角い枠で囲んだものが仕事です。さらに仕事の下に、例えば接続ですと接 続作業、検査は外観検査、導通検査、通電検査等が仕事に含まれる作業です。  仕事については上にL1、L2、L3、L4と書いてあるように、仕事にはレベル 付けをしております。難易度と専門性等でレベル付けをしているのですけれ ども、レベルの考え方は右の青い枠で囲んであります。L1は上司の指導監督 下で行う仕事、新入社員と考えるとご理解いただければと思います。L2は、 いわゆる一人前の仕事をされる方をL2のレベルと位置づけております。L3 は職場の指導監督をされる立場、運営管理を行う立場の仕事と考えておりま す。L4は経営上、または研究開発上の総合的な判断を行う仕事と位置づけて おります。  仕事の体系の中においては、作業を行うために必要な職業能力についても 整理されております。具体的には(1)組立管理・改善の中の組立管理という作 業の必要な職業能力についてです。5頁をお開きください。こちらに、前頁 の(1)で書いてあった仕事、「組立管理・改善」の中の作業として、組立管理と いう作業が書いてあります。この作業を行うためには知識、技能・技術が必 要であるということで、知識としてはそこに書いてあるように、治工具の設 計事例及びその特性を知る。技能・技術については組立用治工具の発案がで きる等々の知識、技能・技術を修得することによってこの作業ができると整 理しています。この体系については、このように中小企業の生産現場で行わ れている職務と、それを遂行するために必要な職業訓練を階層的、体系的に 整理したものです。  続きまして、訓練の体系について説明させていただきたいと思います。訓 練体系は次の頁です。前頁の仕事の体系で明確になった作業に必要な知識、 技能を修得するためのカリキュラム、これを引き出すのが訓練の体系です。 訓練の体系については在職者訓練の例ですが、訓練の分類として大分類、中 分類、小分類という分類に分け整理されています。さらに、訓練コースも1 から4にレベル付けされています。こちらは、仕事で示したレベルとほぼ同 じです。機構の指導員については、仕事の体系で明らかになった訓練ニーズ に基づき、この訓練の中からカリキュラムを引き出して訓練を実施するとい う流れになっております。  それでは、具体的にaのカリキュラムの中身を見てみたいと思います。7 頁をお開きください。これがカリキュラムの例です。「製造業のためのトータ ル管理技術」という訓練コース名です。カリキュラムについてはここに書い てあるように訓練目標、指導教科の内容、時間、指導順序等を表示したもの です。  以上が仕事の体系と訓練体系の概要ですけれども、最後に2つの体系を使 って実際にどのようにコースを設定し、訓練を実施するかを説明させていた だきたいと思います。それでは、8頁をお開きください。A3の大きい紙です。 「『仕事の体系』を活用した訓練ニーズの把握と『訓練体系』を活用したカリ キュラムの作成手順」です。(1)が仕事の体系です。(2)が訓練の体系です。(1) の仕事の体系から訓練に必要な知識、技能・技術、即ち訓練目標を明らかに します。この事例の場合は被覆アーク溶接、TIG溶接、さらにシャーリング という訓練目標を設定した場合を抽出しております。これに応じたカリキュ ラムが右の(2)の訓練の体系のところに書いてあります。訓練の体系から対応 したものを、選択するということです。さらに、訓練の実施なり訓練コース の設定に当たりましては、必要に応じて事業主等の意見を聞きながら修正を 行い、訓練コースを設定しています。こちらの(1)(2)を踏まえた例については、 被覆アーク溶接、TIG溶接、せん断という3つのカリキュラムを組み合わせ て、金属加工というコースを設定した事例です。  このように、仕事の体系と訓練の体系を使って、訓練ニーズに応じた効果 的な訓練を実施することができます。生涯体系については、機構がこれまで 長年にわたって全国各地で実施してきた訓練の結果を、集大成してきたいち ばんの財産です。現在の訓練ニーズを的確に把握し、即応した効果的な訓練 を実施しています。以上をもちまして生涯職業能力開発体系の説明は終わり ます。 ○羽毛田理事(機構) 機構からの説明は以上でございます。 ○庄山座長 只今までのご説明を受けまして、委員の皆様からご質問なり、 ご意見をお願いしたいと思います。 ○古賀委員 4点質問をさせていただきます。資料の順番でいきますと、ま ず資料No.3-2の1頁目、訓練の実績評価についてです。離職者訓練の就職率 について、ここにあるわけですが、委託訓練の就職率が施設内訓練に比べて 低い状況になっております。たしか前回の資料でも、都道府県も含めて、委 託のほうが就職率が低いということでしたが、これに関して、どのような分 析をされているのでしょうか。また、機構が実施する訓練の実績評価につい ては、これらの受講人数や就職率以外の指標があるのか無いのか、そのよう なことについてお伺いしたいと思います。  2点目は資料No.3-2の3〜4頁になるのでしょうか。現在、労働市場の中で は非正規が非常に多いということで、この訓練あるいは能力開発というのは 非常に重要になってきていると思います。平成20年度からはジョブカード制 度等々も実施されるということで、ジョブカード制度あるいは実践型人材養 成システムにおいて、機構も一定程度役割を果たすことになると思いますが、 非正規労働者に対する能力開発を今後どのように考えているかという点です。  3点目は、資料No.3-3の10頁についてです。都道府県と民間の役割分担で、 各施設から半径40km圏内における民間との競合について云々ということが ございますが、この「半径40km」の根拠というのは何なのでしょうか。私が 申すまでもなく、北海道から九州まで面積が全然違うのですが、全国一律的 な半径40kmなのでしょうか。また、訓練計画専門部会において、民間との競 合が確認された訓練コースは改廃ということでございますが、この具体的判 断基準は、どういうことになっているのか。民間と競合されれば、即それは 廃止という単純なものなのでしょうか。私の問題意識は、例えば、訓練機関 への労働者のアクセス、あるいは労働者が負担する訓練費用、また地域の求 人・求職の状況とか。産業構造もそれぞれ違うわけでございまして、これら も含めた検討がなされているかどうかということです。  最後の4点目は、大変失礼な質問になるかもわかりません。丸山理事長は 自己紹介の中で、民間からご就任されて1カ月半ということでございます。 率直に新鮮な目で、この雇用・能力開発機構のさまざまな活動や運営を見て、 課題がどこにあるかというようなことについて、今日段階での所見でも結構 ですから、少し提起いただければありがたいと思います。大変失礼な質問で すけれども、是非、よろしくお願いいたします。 ○庄山座長 どうでしょうか。 ○羽毛田理事(機構) 1〜3点目について、私からお答えを申し上げます。 離職者訓練と委託訓練の就職率の違いはよく質問を受けるテーマですが、1 つには、委託訓練が扱っている職種の性格というものもあろうかと思います。 すなわち、委託訓練につきましては、いわゆる事務管理等の事務処理系が多 うございますが、私どものほうは技能系・技術系であるといったことがござ います。安定所の有効求人倍率等で見ましても、求職者に比べて事務系等は どうしても低い。そういう面もあろうかと思いますので、そうしたところで 委託訓練先の民間教育訓練機関も苦戦しているのかなというところがござい ます。  私どもといたしましては、求職者の情報を求人開拓等に活用するために一 覧表にする、あるいは、補講をして一生懸命就職を支援している。そういう 指導面での充実というものも、そこに表れているのかなと思います。ただ、 委託訓練がそのままでいいと我々も思っているわけではございませんで、委 託訓練先につきましても巡回指導をしたり、就職促進対策会議をしたりとい うような連携を図りながら、ともにアップしていくように心がけております。 したがいまして、こちらの委託面についてもきちんと目標管理をして、我々 として、我々の責任で就職率を上げていこうというふうに取り組んでいると ころです。  2点目の非正規雇用の問題についてですが、先ほどご説明を申し上げた日 本版デュアルシステムも、まさに若年者の雇用対策でございます。また、委 員からお話のあった、これからの課題であるジョブカード制度におきまして も、例えば先ほどの能力開発体系の中での仕事の体系で、こちらは職務分析 等の能力も有しておりますし、キャリア・コンサルティング能力も指導員が 一生懸命身に付けておりますので、ジョブカード運用に当たってのキャリ ア・コンサルティング等への協力も含めて、我々の持っている資源をしっか り有効活用して、バックアップに努めてまいりたいと考えております。  実践型人材養成システムにつきましては、1つ例がございます。資料No.3-2 「最近の活動状況」の8頁目に「産業界との連携による新しい訓練システム の実施」というところに、実践型人材養成システムによる産学共同の人材育 成事業を実施とあります。例えば総合大の東京校で、日本金型工業会と連携 して、実践型人材養成システムの座学といいますか、そのOff-JTの部分をこ ちらが担うなどの取組もしています。3点目の調整の問題については、内田 理事からお願いします。 ○内田理事(機構) 先ほどの委託の就職率について、少し補足させていた だきます。委託の就職率が低いというご指摘はいつもいただいておりますが、 実を言いますと、私どもはそのまま放置していたわけではございません。平 成17年から、先ほど来説明してまいりました私どものPDCAサイクルの手法 を、民間の教育訓練機関の皆様方にもお示しをしつつ、就職率の向上に努め てまいりました。16年が60.8、(17年から導入しておりますので)、17年が 66.0、そして18年が68.9。PDCAサイクルのセミナーを開き、委託した企業 にご理解をいただくといった取組をやっていただくことによりまして、就職 率の向上につながっていると思っております。  先ほど私どもの羽毛田から申したとおり、巡回指導等につきましても、必 ず私どもの職員がお伺いし、訓練生の就職相談的なものもやっております。 もちろん、一番には民間の教育訓練機関の皆様方のご努力が非常に大きいも のだと思っておりますが。  民間競合の判断というふうなことで、なぜ40kmなのか。実を言いますと、 40kmというのは約1時間というふうな観点でございます。私どもの施設は必 ずしも都会にすべてあるわけではございません。山あり、谷ありの所を越え て来られる方もいらっしゃいます。都会の場合、1時間半ぐらいまでならま ずOKでございますが、地方になりますと、車等で通所される場合も非常に多 うございます。そうしますと、まず1時間。通所範囲を平均的に取ってみま すと、約40kmぐらいが基点になるのかなと思っております。  競合の判断ですが、それぞれのコースごとに審査を願っております。在職 訓練のコースも1コースですし、離職者訓練のコースも1コースです。それ ぞれのコースにおきまして、民間の教育機関等が同じようなコースをやって いないか、同じようなコースの名前であっても、内容がどうであろうかとい ったことをチェックしていただいております。しかし、最終的に即中止とい うわけではございません。県の計画等で、翌年の訓練計画というのは全体枠 が決まっております。それと、求人ニーズの絶対量が多いという場合がござ います。応募率等を見つつ、各委託先機関もしくは訓練計画専門部会の中で 総合的にご判断をいただいて、翌年度の訓練を実施させていただくという枠 組みになっております。 ○木谷部長(機構) 少し補足をさせていただきます。いまの判断の中で、 私どもは今「ものづくり」に特化と。民間の推進機関等にご協力をいただい ておりますので、私どもの科として、オフィスワークやビジネス・アプリケ ーション等民間の方々でできる科については撤退させていただいております。 量的なものとしましては、例えば介護等は競争率はまだ相当高いということ もあって、思案している状況があります。 ○丸山理事長(機構) 新しい理事長の丸山でございます。古賀さんとは昔 から労使関係で議論をしてきまして、今度、こういう新しい立場でまた議論 をするとは、よもや思わなかったのです。しかし、ご質問でございますので 若干お答えします。  3月1日からこの機構の理事長になって、ヒアリングやら、いろいろな勉 強をさせていただきましたが、最初の印象は、アイデンティティーが非常に ぼやけている組織だと思いました。今日は職業能力開発に関するプレゼンテ ーション(説明)で、これだけなら非常に明確なアイデンティティーになる のですが、実は、この機構はそれ以外に、皆さんご承知のとおり、財形関係 の仕事、雇用促進住宅の仕事がある。有名になった「私のしごと館」も、職 業訓練開発とは少しずれている、青少年の職業観の育成ということはあるの かもしれませんが。そういうものの運営とか、いろいろなことをやっている がゆえに、アイデンティティーが非常に不明確で「何をやってるの」と言わ れる感じがするというのが第一の実感でございました。  いろいろご批判を受けるところは率直に反省し、対応していくということ ですが、1つ問題を抱えていることとして、過去から引きずっている問題が ある。雇用促進住宅などというのはまさにその通りで、雇用促進事業で、例 えば炭坑離職者に都会に来て就職してもらうための住宅を準備するとなると、 いつの間にかその住宅がものすごい分量になっている。一遍住むとそこに生 活権が生まれて、それの改廃というのは、そう容易にいかない。これはある 意味で過去からの遺産で、いま担当している我々がやらなければいけないこ とだと思っていますが、そういう問題があります。  改定すべきと自覚しつつ、なかなか改定してこなかったというものもあり ます。いまの民間の教育施設とのダブりの問題も、教育訓練ニーズとしては 非常に大きなボリュームがそこにあるのですが、その分担の問題を整理しな いといけません。それから介護関係。世の中にいま介護士が非常に不足して います。介護関係の訓練もやっているわけですが、それも果たしてどう切り 分けてやっていくかというような問題もあるわけです。改定しなければとい うことでその都度見直しはするけれども、そういう残滓を残しながらやって いるというのが実態です。今回の、あり方の総見直しをするというのは、こ の機構にとりましても大変いい機会ですし、今日ご説明した能力開発、これ がコアビジネスだと理解しております。  雇用開発で助成金関係の仕事をやっていますが、これはある意味では手続 事務を含めたことでございます。国からの指示でその運営を適切にやる努力 はしますが、そういうものです。やはり、ここのコアビジネスは能力開発で す。  それをなぜ国としての機構がやるのかというのが大きなポイントになって いると思うのですが、さっき縷々ご説明したような職業能力開発の1つの教 育システムについて我々が磨き上げたノウハウ、それを共通の資産としなが ら、全国横断的に、地域格差のない職業訓練プログラムを展開できること。  それから、それを実行する人的資源。これも先ほど言いましたが、従業員 3,900数名の中の2,200〜2,300人それくらいが指導員としており、これが 我々のコア人材なのです。これは来て驚いたのですが、うちの機構でいうと 現業、これを全国的に機動的、フレキシブルに再配置している。さっき資料 No.3-3の13〜14頁に垣根を越えてということで、人材リソースのやり繰りし ているという説明がありましたが、そういうことをやれる。訓練ニーズがあ ったら、そこに重点的に指導員を投入できる。そういう地域格差をなくし、 共通のノウハウを持ち、人材を非常に柔軟に再配置できる、そういう体制で 日本のものづくりの職業能力訓練のあり方を支えているというのが、この機 構のアイデンティティーであることを、この際明確にすべきだろうと思って おります。それでお許しいただければと。 ○古賀委員 ありがとうございました。 ○庄山座長 そのほかに、ございませんか。 ○渡辺委員 日本商工会議所の渡辺です。まず、商工会議所といたしまして、 この雇用・能力開発機構に関しましては徹底的に無駄を排除していただいて、 民間に任せるべきところは任せていただく。そして、国としておやりになる べきところは、きちんと存続していただければ大変ありがたい、かように考 えております。  その上に立ちまして2つばかり質問をさせていただきたいわけです。まず 1番目が、資料No.3-3の11頁の左下に「ものづくり関係」というのがござい ますが、技術変化への対応という点です。指導員の技術レベルについて「技 能検定2級レベル6作業」と書いてありますが、これは指導者のレベルか、 あるいは、それを受けた人たちのレベルがどうなっているかということです。 職業訓練を受けた人たちのレベルが本当に向上しているかどうかがいちばん 問題だと思っておりますので、その辺りをお示しいただければ大変ありがた いというのが1点目です。  2点目も同じ資料No.3-3についてです。最終的に経費の節減をたくさんやっ ていただいていると思いますが、いちばん肝心な、お持ちの設備の設備投資 に対するリニューアルといいましょうか更新といいましょうか、そういった 基準、あるいは、世の中の流れによって機械というのは非常に変わってまい りますので、その基準がおありだと思います。もしあれば、おっしゃってい ただければと思います。一方、ものづくりに話を絞れば、全体的な設備投資 の無駄を排除するために、国公立の大学や工専との連携やコラボ、そういっ たことをお考えいただいているかどうかを伺いたいわけです。 ○高石部長(機構) 資料No.3-3の11頁に、精密機械システム工学科の技能 検定2級レベル云々というのが例として示されております。これは職業訓練 指導員としての教育、つまり総合大のカリキュラムの中で特にものづくり力 の教育内容として、実習を通じて技能検定2級レベルの取組みを行っており ます。ここで6作業というのは技能検定の各作業職種を意味しており、そう いったものに対応できる、また、そういったレベルの教育を行っているとい うことです。  そして、そのことによって育った指導員が、本当にそういった技能レベル の者を教育できているのかですが、訓練生の技能レベル、これはその後の、 訓練生個々のスキルアップの問題もございます。基本的には、私どもが就職 させている実績、就職率及び評価の問題も含めて、充分に目的を果たしてい るのだろうと思っております。 ○木谷部長(機構) 設備の関係で申し上げます。私どもの建物は、公的セ ンター等主要建物がいま全国に約900棟ございますが、現在の方針として、 そういったものについて施設設備運営費の補助金がございまして、そちらの ほうで、実習場を中心に、概ね40年を経過した建物について建て替えていく ことを考えております。この場合につきましても、3年計画で、1事業年度に 2カ所ぐらいずつ建替えをやっております。併せて、屋上の防水とか外壁補 修といった部分もございますので、こういった建物の延命といいますか、資 産稼働年数を延長するような部分については、運営費交付金を充当するとい ったやり方をさせていただいております。  併せて、機器等につきましても節約が必要だということもございます。先 ほどの実習場にさまざまな機械があります。その中にはリース等もあります ので、この年数をいま見直している最中で、いま7年のリースを9年といっ た方法で経費の節減をしています。仕様についても、標準機から簡便機にと いった仕様の見直しもやっている最中です。  もう1つ、機器等につきましては訓練のニーズによって使用状況がいろい ろと変わってきますので、そうした場合には各施設間の管理替えという措置 をとって、機器等を有効に活用しているといった状況がございます。 ○湯浅課長(機構) 私どもの施設の機器等に関しましては、事業主や大学、 高等学校の方々に機器並びに施設の開放ということで貸し出しております。 そのときに、合わせて指導員も、例えば学生が技能検定を受けたい、また、 大学におきまして溶接の技能を習得させたいといったときには、指導員と機 器をセットにして、単位習得のための支援にも取り組んでおります。 ○庄山座長 紀陸委員、どうぞ。 ○紀陸委員 これについては後ほど説明があるかもしれませんが、資料No.5-3 で、有識者会議のヒアリングを拝見しますと、機構のあり方について最初か ら予断を持って論議を行っているような気がしてなりません。いまお伺いし た中で、特にものづくりに関する能力開発については相当に精緻な仕組みが 出来ておりまして、これを民間が果たしてどの範囲までできるのか。特に離 職者や中小企業支援の部分まで、仮に民のほうでコストも見込んで、利益を 上げる形で手が及ぶのかという感じがしてなりません。そういう意味で、民 ではなかなかできないことが多いと思われるので、機構の役割をもっと明確 にする必要があろう。  もう1つは、国や中央ではなくて、地方にどれだけ仕事の割り振りをして いけるか、これは1つ問題だと思うのです。そういう点も含めて、ほかでは できないのだというような機構のPRがもっと必要ではないかという感じが いたします。あまり細かい点ではなくて、ほかの機関、民だとか、さらに加 えて地方で可能な部分もあるのかもしれませんが、他の機関ではなかなかで きないからここでやるというPR、納得性を高めるための説明というのは非常 に大事なことではないかと思うのです。そこの部分があまり外の方々に届い ていないのではないかという感じがしてなりませんので、その点のご配慮を 賜りたいと思います。  特に、機構の運営につきまして雇用保険の二事業で行われております。二 事業のお金は事業主が払っているわけですので、事業主全体の立場から見て も、雇用安定あるいは雇用開発のために能力開発がいちばん大事だというこ とは、おおかたの賛同が得られることだと思っています。そういう意味で、 雇用保険のお金を使ったこの事業をもっときちんとPRしていただきたいし、 おおかたの経営者の方々も、その辺に納得があれば、この点について批判の 目を向けることは乏しくなるのではないかと思います。 ○住田委員 1つは人事の話です。職業訓練指導員の方々が民間企業に派遣 されているそうですが、逆に、民間企業からこういう形で受け入れたりとい うような交流人事があるのかどうかです。もし、必要がないのでやっていら っしゃらないのなら、その理由もお教え願いたいと思います。  それから、理事長が民間からということを今お聞きしたわけですが、この ご時勢ですから、いわゆる天下りということをどうしても考えざるを得ませ ん。幹部職員の方がどういう形でいらしているかというようなことも、1回 はお聞きしておいたほうがよろしいのではないかと思います。  もう1つは海外との関係です。こちらは他のところで把握しているかもし れませんが、諸外国がこのような公的な職業訓練についてどの程度の費用を かけ、組織や生徒を持っているか、そういうことも比較のために、何かサン プルがあればお教えいただきたいと思います。  今回も海外における指導員養成、それから海外派遣等もしているというこ とで、国際協力の一環としていろいろなさっているというお話を伺いまして、 日本の国としては非常に重要な援助だろうと思っております。その中で、外 国人留学生を受け入れておられるのですが、その方々が自国に戻ったときに 同様の職業訓練を活かせる場があるのか。逆に、日本でやったから日本でそ のまま就職するということもあるのか。それがいいか悪いかはともかく、実 態としてどういうものかということを、今日でなくても結構ですが、お教え いただければと存じます。 ○庄山座長 住田委員ご質問の、指導員の交流についてはいかがですか。 ○内田理事(機構) 交流人事はございます。人数は2桁台だと思いますが、 正確に把握しておりませんので、後ほど正確な数字をお示しいたします。  民間の方を講師に使っているかということですが、生産現場の社員の方も しくはその中堅どころの方を17.1%活用しております。 ○丸山理事長(機構) 幹部の出所の話です。役員クラスでいいますと、理 事6人、監事2人ですが、理事6人のうち、私も含めて2人が民間、この機 構の職員から幹部に登用された人が1人、厚生労働省を退任された人が2人、 出向で来ている人が1人、2:1:3の関係です。監事は、機構プロパーの人が1 人、民間の人が1人、そういう構成です。私もここへ来て気にしたのですが、 いわゆる厚生労働省からの出向なり移籍というのは非常に少ない組織だと理 解しています。それはこの機構の職員が、これが出来て40数年経つのですが、 フルライン揃って非常に充実した人的構成になっているというのも、1つの 理由ではなかろうかと思います。そういうことでよろしゅうございますか。 ○内田理事(機構) 先ほど住田委員ご質問の交流人事ですが、現在33名、 民間のほうからお越しいただいております。 ○高石部長(機構) 国際協力のことですが、総合大で受け入れている外国 人留学生、これは4年間ないしはさらに研究課程に2年間進学する者もおり ますが、母国に帰りまして指導員として活躍されていると聞いております。 また、技術研修員として受け入れている方々、これは母国で指導員をされて いる方々を中心に技術研修員として参加され、研修を受けていると聞いてお ります。 ○今野座長代理 住田委員のご質問で、国際比較をしたときに、日本の教育 訓練費、こういう公共の訓練費がどうなのかというお話がありました。細か いデータは追って事務局に用意していただければいいと思いますが。通常 OECDの統計を使いますが、日本は極めて小さい政府だと考えていただければ いいと思います。国際的には、先進国の中では非常に小さい。どうしてかと いうのはいろいろな事情があるかと思いますが、企業の中で訓練すればいい と思ってきたのですかね。そんな事情があるのかもしれませんが、結果とし てはそういうことですので、情報として私から提供させていただきます。 ○大久保委員 離職者訓練について2点伺いたいのです。1つは、離職者訓 練について、民間で十分に設備を用意できない、ものづくり領域の訓練を包 括しておやりになるということが書かれているわけです。離職者訓練は全体 の雇用構造の中でもセーフティネットに該当する極めて重要な部分でありま す。また、実際に訓練が必要な人たちというのは、若年者ばかりではありま せん。一旦離職したミドル年齢の女性たちもそうでしょうし、高齢者に関し ても、必ずしも年金だけで生活できるという状態でない人たちはたくさんい るわけで、いわゆる就職弱者と呼ばれる人たちは、広くいろいろな分野にま たがっているわけです。その中で、どういう人たちが本来離職者訓練のサー ビス対象になるのかということについて、どういうふうにご覧になっている のか。また、実際に離職者の中で訓練を必要としている人たちのうち、どの ぐらいの人たちを実際にこの仕組みでカバレッジできているのかという観点 ではどうご覧になっているかということを伺いたいのです。  もう1つは、全体に1人当たりの訓練経費の問題も書かれていますし、就 職率の問題も書いていただいているわけです。離職者でいえば、その方々が 就職できずに、長期に失業状態が続いたときに発生する失業給付、あるいは、 それに伴う社会保障給付といったものとの照らし合わせの中で、どのぐらい 訓練費を使用して、また就職につなげれば、全体の政策とのバランスが取れ るのか。逆に言えば、1人当たりどのぐらいの訓練費を使って、どういう成 果を上げることが合理的なのか、という試算がそこに生まれるのではないか と思うのです。そういう観点で、1人当たり訓練経費についてはどのぐらい が適切であるか、あるいは、就職率以外に、どういうポイントで成果という ものを測っていらっしゃるのかについて伺いたいのです。 ○木谷部長(機構) いまのカバレッジの話になりますと、いま手元に正確 な資料はないのですが、雇用保険の失業給付、それと雇用保険の「受講手当」 といって訓練を受ける手当がありまして、これが大体8%か9%の率だったと 思うのです。ということで、雇用保険を受給されている方の8%か9%の方が 訓練を受けられているのではないかと思っています。  それから、いま私どもが離職者訓練ということでやっていますが、まずハ ローワークで職業相談をしながら、訓練を受けたほうが就職に有利であろう という方々が私どもの訓練に入ってきますので、当然ながらキャリア・コン サルティングということでどういう方面に進むかといった相談の中で訓練科 を選択していただくということになっております。必要な方々につきまして は、ハローワークに受講あっせんという行為がありまして、そういう方々が 私どもの訓練に入っていただくという制度になっております。  先ほど就職率の話がありました。まだサンプル的なものですが、私どもは フォローアップ調査ということで指導員が外に出向いていまして、採用され た事業所で、私どものやった訓練がそこで役立っているのかという調査をや っています。そういうことで、修了者が訓練内容と関連があるという事業所 が8割、さらに、訓練が役立っていると言った事業所の方々が8割というこ とで、まだ10数カ所でやったばかりでサンプル的な話ですが、そういうデー タは集まっており、訓練の効果というのを就職率以外にも多角的に見ていき たいと考えております。 ○水野課長 離職者訓練のカバレッジについて若干補足をさせていただきま す。離職者訓練の対象者というのは、原則としてハローワークの求職者、求 職申込みをされた方です。その数が平成18年度1年間で言いますと、新規求 職者数は日本全国で約600万人いらっしゃいます。その中で離職者訓練を受 けられた方が、機構の分と都道府県の分を合わせて約17万人。そういった意 味では、割合としては非常に少ない割合になっています。これは、ハローワ ークのほうで離職者訓練に送り出す場合に、まず職業相談をやって、再就職 に当たって本当に訓練が必要な方を選び出して送り出している。そういうこ とも少ない原因になっております。 ○上原委員 ただ今の機構の説明とは別に、先般1回目のときにも少し出た し、今回も出たのですが、日本の国として、職業訓練にまつわる体系という のですか、機構がなさっている部分があるでしょうし、ほかにもダブりがい くつかあるようなお話が先般出ましたね。そこのところの予算であるとか、 狙いであるとか、どういう措置をやっているのかという全体の説明図が必要 だと思うのです。  というのは、「行政減量・効率化有識者会議」というのですか、資料No.5-3 を見ますと、機構を廃止した場合のシミュレーションを提出してほしいとい う質問が、その中であるわけです。それをここの「あり方」でやるのか、厚 労省のほうで別にやるのか、よく分かりませんが、そういうことを判断する にしても、全体として我が国の職業訓練体系の中での機構のそれがどういう 位置づけになっているのか、というものが1つあったほうがいいのではない かと思います。中小企業の立場からすると、さっき渡辺委員が言われたよう に、そういうことを踏まえた上で、必要なものをどういうふうに研ぎ澄ませ ていくかというのが機構の生きる道なのかなと思うわけですが、それに先立 って、そういうことを1回整理として必要なのではないか。  仮に機構を無くすという最悪のことも、委員会としてはシミュレーション として検討しておく必要がある。そのときに、民営化するとか、切り売りす るとか、いろいろな方途があると思うのですが、そういうことを含めて、案 として1回整理しておく必要があるのかなと思いますので、よろしくお願い します。 ○庄山座長 先ほどの紀陸委員、それから渡辺委員のお話を含めて、まだご 説明いただいていない資料がございますが。 ○千葉委員 民間との役割分担のことについて先ほど説明がございました。 私は全国の専門学校の役員もやっておりまして、民間との役割分担について は厚生労働省と文部科学省で申合せも出来ているという前提ではあるのです が、各地方の専門学校から、この約束は守られていないといったことが、毎 回のように会議の中で議題に上がってまいります。  いま内田理事から説明がございましたが、各施設から半径40kmということ の1つの認識として、通学圏が40kmである、こういうご認識だったようです。 私も同様に考えますが、40km圏内に競合する民間教育施設があるかどうかと いう見方は、通学圏が重なる40kmという部分になるのではないかということ で、この「民間の役割分担の徹底」ということが実際にどこまで現実にそれ を推進されようとしているのか、この辺りについて、若干追加のご質問をし たいのです。  また、今日お配りいただいた資料によりますと、民間教育機関等が実施す る訓練との競合が確認された訓練コースは改廃、地域の民間で実施していな いものに特化と明確に書いてあります。しかし、改廃を必ずするというもの でもないというご説明でしたので、資料に書いてある考え方と実際に運用す る部分に若干ずれがあるということで、地方からそういう苦情の声が上がっ てきているのかな、こんな気もいたしますので、ご説明いただけるのであれ ばご説明いただきたいと思います。 ○佐伯委員 愛媛県の佐伯と申します。お話が資料No.5-3に入ったようなの で、今まで話が出なかったようなので、県のほうの立場からお話をさせてい ただきたいのです。資料No.3-3の12頁に、職業訓練指導員というのが入って いるわけです。一般に職業訓練指導員というと機構の指導員という認識があ るのではないかと思うのですが、実は、半分が都道府県の指導員です。愛媛 県の実態で申しますと、愛媛県では現在、県立の高等技術専門校において21 人の正規の指導員を持っておりますが、そのうち5人が職業能力開発総合大 学校の卒業生という実態です。卒業して県の専門校で教えて、その後どうい うふうな形でスキルアップしていくかということになってまいりますと、19 年度までの過去5年間で延べ27名が総合大学校の研修に参加して、技術指導 技法や専門知識のスキルアップをしている。  そういう意味で、この機構の貢献というのは、地方の指導員という観点か らは非常に大きいわけです。今年度も2名を参加させるという予定にしてお ります。人材の育成を民間の施設で代替できるのかという議論の論点の中に、 是非、地域の指導員の人材育成も観点に入れていただきたいということをお 願い申し上げます。また、この件につきまして感想なりがございましたら、 機構のほうのお話も聞かせてもらえたらと思っております。 ○庄山座長 今日の配付資料でNo.4、No.5につきまして、一部そちらのほうに 入っているところもございます。4月10日にございました「行政減量・効率 化有識者会議」の資料が資料No.5ですが、これらにつきまして、事務局から ポイントを絞ってご説明をお願いしたいと思います。 ○姉崎課長 資料No.4は、委員の皆様方から前回ご質問のあった事項につい て、今回のご議論に関係するものを用意したものです。2頁は先ほどの大久 保委員の議論にも関係いたしますが、離職者訓練、学卒者訓練、それぞれの 応募倍率の現状です。  3頁が能開大と高専との比較です。右側に高専の修了者数がございますが、 近年は就職者数が減って進学がだいぶ増えています。4頁で大きな違いは、 授業の中に占める実技・実習の時間がどのぐらい多いかというところです。  5頁は、清成委員からございました市場化テストの関係です。平成17年度 からアビリティガーデンにおいて実施をしておりますが、真ん中に「離職者 訓練」というのがございます。「就職率が70%以上となることを目標」とい うことですが、(1)で、総じてアビリティガーデンのほうが高いという結果に なっております。平成18年度も同様です。ただ、いちばん上に赤字で書いて あるように、民間は土日・夜間に実施をしたが、アビリティガーデンは平日 の昼間に実施したということで前提条件の違いがございますので、結果につ いては留意が必要であるという結果です。  9頁が財務諸表、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書で すので、後ほどご覧いただければと思います。  19頁が、前回山田委員からご質問のありました、雇用開発・能力開発関係 業務の事業予算規模1,295億円の内訳を示してございます。資料No.4につい ては以上です。  次は資料No.5-1について。昨年12月に閣議決定されました独立行政法人整 理合理化計画におきましては、有識者会議でその取組状況についてフォロー アップをするということが書いてございます。そのフォローアップをする有 識者会議というのが資料No.5-1の「行政減量・効率化有識者会議」です。メ ンバーはその後ろに書いてありますが、4月10日に、早速フォローアップと いうことで、雇用・能力開発機構の整理合理化計画におけるこれまでの取組 状況についてヒアリングがあり、資料No.5-2について説明をいたしました。 この「あり方検討会」につきましても9頁で、現在、法人自体の存廃につい て検討を行うということで検討会を開催しているという説明を申し上げたと ころです。  資料No.5-3は、その説明をしたときの有識者会議の皆様の主な意見です。 先ほどの資料9頁の検討会の趣旨のところで、あり方検討ということで「存 廃」という字が書いてないではないか。検討会の委員の皆さんは、存廃につ いて検討するということが本当にわかっているのか。その趣旨を改めて委員 の皆さんに伝えていただきたいというようなご意見がございました。あとは、 廃止のシミュレーションをする必要があることや、民間や都道府県にも訓練 施設があるので、そうしたところで代替できないのか、といった意見があっ たということです。  さらに、いちばん下から2つ目のところで、廃止した場合のシミュレーシ ョンを次回提示してほしいということでしたが、その「次回」というのがい つなのか分からないのですが、こちらの検討会のスケジュールとの関係もご ざいますので、すぐに持ってきてくださいと言われても、こちらの検討会で 検討していないことにはなかなか持っていけないということもありますので、 本日のご議論について「あり方検討会」の委員の皆様にご報告をさせていた だくということで回答をさせていただいたという状況です。簡単ですが、以 上です。 ○庄山座長 一部既に、これに関係して、こういうことをきちっと申し上げ るべきではないか。あるいは、民との関係について、もっときちっとすべき ではないか等、いろいろなご意見があろうと思うのです。残り時間が少なく なりましたが、先ほど出ていなかったテーマですので、もしあればポイント を絞って意見等を出していただいて、宿題の形で次回までにまとめていただ くような形にしたいと思います。 ○秋葉委員 民間への委託のときの就職率の問題が先ほど来出ていますが、 委託しているのは専門学校等ということで我々のほうなので、弁明とお願い をしておきたいと思います。  事務系の就職率が悪いというのは確かにそうだと思っていますが、仕組み として、講座の提案をしてそれが採択されるかどうかは機構側の判断である、 そこの段階で大変ミスマッチがあるような気がします。例えばwebマネジメ ント科というのをやるのですが、聞くと、「最終的には事務系に行きたいのだ。 ただ、webも面白そうだから、やってみたいのだ」という人が来るのです。 だから、本当の教育内容とずれてしまっているということがあるのです。  さらに申し上げたいのは、3カ月や4カ月が本当に就職するための訓練と していい期間なのかどうか。5、6年前だったら、確かに使える人が少なかっ たので、コンピューターを習えば就職できた時代があるのですが、そんな時 代はもう終わったのだろうと思っています。  そういう意味では国際的な比較で、海外がどうなっているのかお調べいた だきたいのです。本格的にきちんと教育するのなら1年、2年という期間は 絶対に必要な期間ではないのだろうか。また、就職させてそれをしっかりと 定着させる努力をせざるを得ないのだろうと思いますが、そのためには、そ のための期間が必要だろう。外国と比較してどうだ、こうだと言うのはあま り面白くない話ですが、少し比較をしていただきたいと思っております。  グロスで出ていますから、離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練と言って いますが、どういうコースを何カ月ぐらいやっているのかデータが欲しいと いう気がします。在職者については、見学するとそういう資料はいただける のだろうと思いますが、なかなか離職者の部分はデータで出てこないと思い ますので、その辺のデータを出していただくとありがたいと思います。  新卒者、学卒者についての問題が愛媛県からございました。愛媛県の例は 把握していませんが、高知県の例では、かなりのチラシを四国4県に配って 新卒者を集めているということでした。問題点は何かというと、1年課程だ と思うのですが、電子技術科という科があるわけですが、それの年間授業料 が39万円。これは完全に民間を圧迫しているだけの話なのです。確かに人は 養成できるかもしれませんが、39万円という金額で民間は出てこられないの です。どこかでミスマッチがあるのだろうという感じがするのですが、その 辺をどう考えていくかが今後の問題だろうと思います。 ○山田委員 会計士の山田です。簡単に2点だけ質問させてください。雇用・ 能力開発機構は離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練が役割だと思うのです が、その3つに同じ人員を使っているのか、同じ機械を使っているのか。い わゆる重複させて効率化させているのかどうかを伺わせてください。なぜか と申しますと、資料No.3-3の21頁から、機械に2億円かかりましたという説 明がされたのですが、そこのいちばん上に(離職者訓練)と書いてあります。 つまり、この機械は離職者訓練にしか使っていないのかと。だとすれば、そ れは非常にもったいない話であって、在職者訓練にも、学卒者訓練にも使う べきであろうと普通に疑問に思いましたので、この辺を教えてください。  資料No.4で折角財務諸表を出していただきましたので、1つだけ質問させて ください。貸借対照表を拝見しますと、いちばん重たいのが雇用・能力開発 債券で、これが7,000億円以上あるようですが、この利払いを年間100億円 払っている。この年間利払い100億円というのは、今後雇用促進住宅などを 廃止すれば無くなるものなのか。また、能力開発だけに特化していったとし ても、この利払い100億円というのは今後も残ってしまうのかという点もま た教えていただければと存じます。 ○志治委員 愛知県の志治です。県立の施設について、私ども愛知県も、産 業・雇用環境が激変する中で、県立の施設がどういう役割を果たすべきか。 当然、職業訓練機能はこの機構との役割分担を考えながら行う。基本的には、 県立施設は基礎的なことをやり、雇用・能力開発機構で高度な部分を分担し ていただくのかなという考えを1つ持つと同時に、これだけの状況変化の中 で、中小企業の支援機能も県立の施設で持つという方向性もいろいろ考えて おります。  これは今検討を開始したところでありますが、他県の状況をちょっとお聞 きしますと、神奈川県や東京都も、県立あるいは都立施設のあり方について 見直しを既に進めている状況です。今後のあり方の視点ということで、資料 No.2の2の(2)で、国と地方公共団体の役割分担のあり方が議論されると思 うのですが、各県もいろいろな見直し等をしているのではないかと思ってお りますので、できれば、そういう状況もちょっと把握していただいて、県の 立場から国の機構、特に職業訓練機能でどんな役割を期待するのかとか、そ ういう視点もご検討いただければと思います。 ○清成委員 今日ずっと聞いていて、どうしてもよく分からないことがある のです。それは機構の側からの説明だけなのです。訓練を受ける人たちの質 というのはどうなのか。それと絡んで、この機構は随分ノウハウを持って頑 張っておられるのですが、その質の保証というのはどうやっておられるのか。 つまり、第三者が評価するわけでもないわけです。一方、市場のほうでは、 部分的には就職率等で判断できるわけですが、その場合に問題になるのは受 講者の質だと思うのです。  いま大学は、四年制大学は700を超えていて、私立が580もある。ところ が、ものすごくばらついていて、4割はもう定員割れを起こしている。そう すると、学生の質はものすごく悪いわけです。そういう所でいかに教員が一 生懸命になったって、土台質が悪いわけですから、質の保証がまずできない という問題があるわけです。それを考えますと、機構のほうが一生懸命おや りになっているということはよく分かるのですが、各コースの受講生の質の 問題はどうなのか。それはおそらく年齢や経歴や学歴、いろいろなことが関 連してくると思うのですが、その辺がないと、本当に効果があったのかどう かというのは、どうも、よく分からないので、これは宿題としておまとめい ただければありがたいです。 ○高本委員 石川県です。地方の立場から言いますと、いま現在うちの県を 見ましても、有効求人倍率が1.29と1を超えてはいるのですが、実態を見ま すと、事務職というのは0.4ぐらいで、ものづくり人材の部分が2を超えて いる。ものづくり人材の要望は中小企業の方々から非常に強いのです。しか し、有効求人倍率が1を切った時点でどうなのかと言うと、そのミスマッチ は依然としてあるわけです。とにかく、事務職のほうの希望はあるけれども、 求人はそれだけないというのが実態だと思うのです。  資料No.5-3の中で「民間や地方団体でも訓練を行っており」とありますが、 石川の実態で言いますと、ものづくりみたいな鈍くさい部分を民間の専門学 校が担っていただいているということは、あまりないのです。学校というの は生徒を集めてなんぼのものですから、生徒が来やすい部分をやる。だから、 そこを卒業すれば事務職になれると思って来るけれども、実際にはなれない 人たちがいるわけです。そして、失礼な言い方かもしれませんが、専門学校 というのは、生徒をたくさん集めるというのでITだとかwebだとか。次の就 職のときにいちばんいいのは、ものづくりの溶接でも学んできていただくほ うが本当はいいのですが、そういうコースはやってくれない。ちょっと極論 で申し訳ないのですが、そういう実態があるのではないか。ものづくり人材 という意味で、機構のウェイトは高いと我々も思っております。  ここで、もう1つ気になるのは、地方自治体でも訓練を行っておりますと。 基本的には、地方自治体でもやっておりますし、機構でもやっていただいて おります。それは、お互いにある程度話をしながら分科してやっているつも りですが、地方自治体でもやっているから地方自治体に任せればという話。 それは今やっている機構の部分を無くするという意味なのか、機構の分をそ のまま県でやれという意味なのか。おっしゃっている方のその辺の意識がど うなのか。一体、その財源はどうするのか。いま地方も非常に困窮しており ます。そんな中で何の財源措置もなく、その分まで県でやれなどという議論 は無謀な議論だと思います。ここで言う「地方自治体でも訓練を行っている」 という意味、一体どういうことを頭に置いて皆さんがそうおっしゃって、地 方自治体に任せようとしているのかということを明確にしてもらわないと、 議論はおかしなことになると思っております。  資料No.5-3の部分の議論で、金も付けない、何も付けなくて、さあ、地方 でやりなさいと言ったって、経費はかかるわけです。だから、はっきり言っ て「その分を地方でやりなさい」と言われても、地方はできっこないです。 人的な問題もありますし、ノウハウの問題もあります。もちろん、訓練はや っていますが、そこの部分の問題があります。しかし、いちばん大きいのは 財源の問題です。その辺を明確にしてもらわないと、地方行政としても、そ のまま受けて云々という話にはなかなかならないだろうと思います。これは 質問というよりも思いだけですが、よろしくお願いいたします。 ○庄山座長 「あり方検討会」をやりますと、当然そういうことも詰めてい かなければいけない問題だろうと思っております。そのほかにありましたら、 どうぞ。 ○本田委員 先ほどから就職率のことが出ています。私も民間企業を対象と している仕事ですので、あながち、この雇用のほうで98.3%の就職率と書か れてしまうと、いかに民間が悪いのかなみたいな思いもあるのです。これも、 東京、大阪、名古屋、福岡、札幌も含めて、大都市圏の就職の数と地方での 数と、98%というのはどこ辺りの数値を取っているものなのか教えていただ きたいのです。  それから、ハローワーク自らが面接をして中で訓練をしているものと、面 接はするけれども委託をしているものがある。委託するといっても、3カ月 ぐらいですと、特に事務系であるならば、そんなに精度の高い専門性のある 訓練は、3カ月ではできないのではないか。それが一概に比較されると、ち ょっと矛盾なのかなという思いもします。今後の資料として、この就職率の サンプルはどこを取っているのかということも、きちんと出していただけれ ばと思います。設備がかかったりして大変で、特に中小企業ではなし得ない という設備投資があるものについては国がやらないといけないだろうと思い ますし、その辺のところの連携をどうしていくかです。 ○庄山座長 今日は皆さん方からたくさんのご意見をいただきまして、あり がとうございました。これで2回目ですが、数回後には何らかの形のまとめ をしなければいけないと思うのです。特に「行政減量・効率化有識者会議」 というのは、国としてこういう方向性でやっておられるものです。それに対 して、当雇用・能力開発機構がその1つのテーマとして挙げられているとい うことで、そのあり方について、当然のことながら、存廃を含めて検討しな ければいけないということは事実だと思っております。今日は、よくよく理 解をしてもらったらどうかという意見が強かったように思うのですが、そう いうところも含めて、全く価値がないのか、あるいは評価の仕方にまずいと ころがあるのか、いろいろなことを含めて、機構の方とも相談しながら、こ れから資料のまとめをしていくことになります。それから、今日もいくつか 宿題が出ておりますが、是非、これは次回以降に出していただいて、皆様方 の認識を共通化したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 次回の会合について説明をお願いいたします。 ○姉崎課長 資料No.6でございますが、5月は施設見学をしていただき、次回 は6月2日(月)13時半から2時間程度。場所は第1回目と同じく、厚生労 働省の省議室です。なお、総合大とポリテクセンター等の視察を各委員にこ ういう日程でご覧いただくことになっておりますが、都合のつかない委員の 皆様方には別途日程を調整いたしますので、希望がある場合にはご連絡をい ただければと思います。なるべく皆様方に見ていただきたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○庄山座長 繰り返しになりますが、資料5-3について、次回の会議がいつ の時期に行われるか分かりませんが、そのときには、今日のような会議での 雇用・能力開発機構、特に能力開発の面についての必要性やあり方、そうい うことについて、皆さんの意見として、そういうことをもっと強くアピール すべきではないかということもあったということを、とりあえず回答させて いただく。以後どういう形で更に詰めていくか。国と地方、民間との間の問 題はこれから時間をかけてやっていくテーマだと思いますが、そのような方 向性だけは、全くの途中段階ということで返事をする場合があるかもしれま せんので、ご理解をいただきたいと思います。結論的に出すわけではなく、 今日の議論を踏まえて、こういうことであったというようなところで報告を させていただくことになろうかと思うのです。  本日の会議は、これで終了とさせていただきます。皆様方、ご協力どうも ありがとうございました。 (照会先)職業能力開発局総務課   TEL:03-5253-1111(内線5948)      03-3502-6783(直通)   FAX:03-3502-2630