08/04/08 「安心と希望の医療確保ビジョン」第6回会議議事録 「安心と希望の医療確保ビジョン」第6回会議                   日時 平成20年4月8日(火)                      18:00〜                   場所 厚生労働省9階省議室 ○ 小野対策官   ただいまより「安心と希望の医療確保ビジョン」第6回会議を開催いたします。本日はご多忙  のところをご参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日は地域医療についてのヒ  アリングということでございます。地域医療に従事されている3名の先生方からヒアリングを  行わさせていただきます。3名の先生方にそれぞれ15分程度ずつお話をいただき、その後、議  論に移りたいと思います。なお、本日、西川副大臣と松浪政務官は途中退席申し上げます。  それでは舛添大臣、一言よろしくお願いいたします。 ○ 舛添大臣   皆さんこんばんは。今日は3先生、遠い所をご参集いただきましてありがとうございました。  いま地域医療をどのようにして再確立していくか、特に緊急医療体制、産科、小児科等の問題  で全国民の関心を引いているところであります。いろいろな手を打っておりますが、なかなか  緊急措置は産科、小児科はある程度やられていますけれども、構造的な問題がやはりあると思  います。  ですから、緊急措置、例えば中期的な措置として何があるか。長期的には例えば医師確保をど  うするか。これは医師の養成から始まらないといけない話ですから、そういう問題を総合的に  今日はお話をお伺いして、これからの政策立案の参考にさせていただきたいと思いますので、  率直なところをお述べいただいて、また、厚生労働省に対するご要望、ご意見を賜われば誠に  幸いだと思います。どうか、今日はよろしくお願いいたします。ありがとうございます。 ○ 小野対策官  ありがとうございました。それでは説明者の方々を五十音順にご紹介申し上げます。まず小川  克弘青森県むつ総合病院院長でいらっしゃいます。小川先生は昭和41年弘前大学医学部をご卒  業された後、弘前大学講師、助教授等を経験され、昭和56年には青森県の下北半島唯一の総合  病院であるむつ総合病院副院長に就任。さらに平成15年には同病院院長に就任され、地域医療  の充実を図るためご尽力されておられます。  続きまして、草場鉄周医療法人北海道家庭医療学センター理事長でいらっしゃいます。草場先  生は平成11年に京都大学医学部をご卒業された後、北海道家庭医療学センターにて4年間研修  を積まれ、その後、室蘭市の本輪西サテライトクリニックにて、家庭医として日常診療に従事  されました。平成18年には同センター及び同クリニック所長に就任。さらに平成20年には医療  法人北海道家庭医療学センターを設立するとともに、同理事長に就任され、家庭医の養成にも  ご尽力されておられます。  続きまして、須古博信熊本県済生会熊本病院院長でいらっしゃいます。須古先生は昭和41年に  熊本大学医学部をご卒業された後、済生会熊本病院にて胃腸科医長、消化器部長などを歴任さ  れ、平成7年に同病院院長に就任されておられます。同病院においては先駆的な地域医療連携  の取組みを行い、早期に地域連携クリニカルパスを導入するなど、患者本位の地域連携の実現  に向け、積極的に活動されておられます。  それでは撮影はここまででお願いいたします。それではまず小川先生からお願いしたいと思い  ます。よろしくお願いいたします。 ○ 小川先生   私、青森県下北圏域における地域医療に関する取組みについてお話したいと思います。出てく  る時にスライドを少し手直ししたので、お手元の資料と若干違うところがあるかもしれません  が、よろしくお願いいたします。  これは青森県の地図ですが、下北半島はここにありまして、むつ市がここです。むつ総合病院  はこの位置にあります。むつ市は青森市、弘前市、八戸市の青森県における主要都市から非常  に離れた所にあり、青森市まで夏場で2時間半近くかかります。弘前大学医学部があります弘  前市までは1日がかりの行程というような所です。県内には空港が青森空港と三沢空港の2つ  あり、新幹線もいまは八戸まで通っており、間もなく青森を通って函館までつながる予定にな  っていますけれども、新幹線が通ったとしても、むつ市にはあまりそれによる恩恵はない所と  いうことです。  もう1つは、この地域の特徴といいますか、東通村に原子力発電所が稼働しています。大間に  はこれから原子力発電所ができる予定になっております。隣の六ヶ所村には核燃料サイクル基  地があります。むつ市内には海上自衛隊の大湊基地があるというような、国にとっても非常に  重要な地域であります。  このスライドは下北地域における医療環境ですが、病院が4カ所、診療所が33カ所あります。  いわゆる民営の診療所、開業の先生ですけれども、27カ所ありますが、このうちの26カ所はむ  つ市内に集中しているという状況です。病院の4カ所については、むつ総合病院、川内病院、  大間病院の他、むつリハビリテーション病院というのがありますが、これは旧国立療養所大湊  病院がむつ市に移譲されまして、その運営は地元医師会に任されている形です。  これは青森県及び下北における出生数の過去10年間の推移を見たものですが、年々出生数は下  がってきています。  これは、高齢者の割合ですが、下北地域においては65歳以上の高齢者が23.5%、75歳以上は11  %ということで、少子高齢化が他の地域と同じように進んでいるという状況であります。  これは、現在青森県における分娩取扱い機関です。弘前大学を含めて病院が12で、開業医が  全部で20カ所です。八戸市などでは開業の先生で分娩を扱っているのは4カ所しかないという  状況です。八戸市、弘前市においても常勤医のいない病院が発生しております。  これは、「青森県における産婦人科医の年齢構成」です。要するに20代、30代は非常に少なく、  全体の20%です。ということを見ると、これから10年後、20年後になると、この状況でいくと  大変なことになりそうだということです。  これは、「下北地域における小児科医の分布」ですが、むつ総合病院に小児科医が3名おりま  す。開業の先生が4カ所ということで、これもむつ市内に集中しているというのが現状です。  もう1つ「下北圏域における医療体制の特徴」として、各病院、診療所は下北圏域の各市町村  が参画している一部事務組合「下北医療センター」が開設者であること、これは医師不足を打  開しようということで、昭和40年代に青森県が当時の厚生省病院管理研究所の所長でありまし  た吉田幸雄先生にいろいろ案を作っていただきまして、いわゆる「吉田試案」に添って、医療  機関のネットワーク化・開設者の一元化を図った経緯の結果であります。しかし、実質が伴わ  ないなど、運用上難しい面があって、結局うまく機能しなかったという経緯があります。  下北地域においてはそういうことで昭和40年代くらいからすでにもう深刻な医師不足があった  ということで、立ちいかなくなったということもあり、平成16年ぐらいから県全体としての医  療機能再編が組まれました。下北においては大畑病院という60床の病院があったのですが、こ  れを診療所に転換しようということで、3名の常勤医がいたのですが、現在は1人の常勤医に。  川内病院も3名の常勤医がいたのですが、皆さんお辞めになり、その後町自体が医師を確保し  て2人体制でずっとやっていました。この4月から2人加わりまして現在4人の体制で少し持  ち直した状況です。大間病院は6人体制だったのですが、医師の退職等があり、これではいか  んということで、青森県が自治医大卒の先生を投入する一方、この周辺にあった診療所を廃止  してこちらに集約することで、この4月からはまた6人体制に戻ったということです。むつ病  院はここにあります。  これは青森県が下北に対していろいろ手を加えてきたということで、ただいま説明したような  内容です。  当時、地元のメディアである新聞に、このような見出しで報ぜられたということです。  ここで、むつ総合病院の概要についてご説明したいと思います。むつ総合病院は486床でそのう  ち一般病床が376床、医師数は59名で、そのうち研修医が15名、看護師、助産師、保健師などが  346名、その他の職員が220名。外来患者数は19年度の実績ですが1日1,300人余り。救急外来患  者、いわゆる時間外の患者が平均して1日38.7人。それとは別に救急車で搬送された患者ですが、  大体1日平均して6.2人ということで、県内でも非常に忙しい病院と言われております。入院患  者数は平均して1日399.9人、在院日数は一般で17.25日、病床利用率が88.1%という状況です。  これまでにむつ総合病院が取り組んできた取組みですが、まず県外からの医師確保に積極的に  努めてきました。また、現在18年度末で24億円余りの不良債務があります。それを返そうとい  うことでいま頑張っているわけですが、職員は給与を2%カットという中で、職員の理解を得な  がら医師の給与はそのままということで、医師の流出を防ぐということに努めております。定  年退職医師に引き続き勤務していただいて、地域医療その他に力を貸していただいております。  メディカルクラークということで、県の独自の事業で補助金が出ましたので、それを使って数  年前からメディカルクラークを置くようにしています。  一方、新しい制度における新医師臨床研修制度で臨床研修病院に指定されました。これは、う  ちの病院にとっては非常に大きなバネになっており、これをきっかけに研修医用の宿舎を整備  しました。弘前大学の医学部学生のクリニカルクラークシップを積極的に受け入れて、去年は  1クール10人から12〜13人、今年は少し我々の負担を減らすということで絞って、昨日から始  まっていますが、1クール7名で3クールということになっています。これは県の事業とタイ  アップしてやっていることですが、大阪市立大学附属病院の臨床研修医地域枠のところでの研  修を積極的に引き受けている。また、後期研修に関しては弘前大学と相互協力をしながら進め  ています。  下北地域における地域医療の取り組みの続きですが、平成15年に下北地域リハビリテーション  広域支援センターに指定されました。それ以降、連絡協議会を通じて、地域の医療者だけでな  くていろいろな関係者が集まりまして、これを進めております。昨年度は「口腔ケア実技教室」  を3回シリーズで2クールやりました。地域連携パスということで、地域の医療施設だけでな  く、養護施設や行政の方も含めてかかわっています。現在脳卒中、大腿骨頸部骨折、糖尿病の  パスを使って推進しているところですが、まだ定着したというところまではいっていません。  これを普及させるということで、いまいろいろ工夫してやっています。  「開業動機などに関するアンケート調査」は、青森県医師会の協力を得て、勤務医が心ならず  も開業するということもあるので、いかに勤務を長く続けていただくか、何かヒントが得られ  るのではないかということで、こういう調査をしました。昨年まとめましたが、これもいろい  ろな所で反響がありました。研修病院として指導医養成講座があるのですが、これには積極的  にうちの病院も指導医を参加させるようにしています。現在、講習を修した指導医が大体60%  ぐらいいます。研修医ワークショップをこの2月に開きました。これは青森県の卒後臨床研修  協議会が主催してむつ市でやったのですが、「『死』について考える」というテーマで県内の  研修医が21名むつ市に集まり開きました。  「下北救急医療研究会」を平成16年に立ち上げまして、救急隊、救急救命士との勉強会、症例  発表会、あるいはAEDの普及などに取り組んでおります。救急隊と顔の見える関係を構築してい  ます。下北医療研究会を立ち上げ、医師会の医師を対象にした勉強会とは違って、医療従事者  が、場合によっては行政の人たちを巻き込んでの勉強会をしようということで、いま15、6回ぐ  らいまで開催しています。今年に入ってからは、むつ下北院内感染制御ネットワークを医療施  設だけではなくて、老人ホーム、介護施設を巻き込んで感染についての地域での取組みをやろ  うということでやっております。  むつ総合病院の基本理念です。「信頼される病院になる」ということで、一般的に製品の命は  品質だと言われていますが、医療における命は何かというと、私はこの「信頼」ということで  はないかと考えて、信頼される病院になるための5つの基本方針を挙げて、職員一丸となって  これに向け努力しているということです。  下北の医療を医師にとって魅力のあるものにしていくために、当病院に課せられたミッション  は大変重いものがあります。しかし、これを逆に励みにしてたゆまない努力をしていきたいと  考えております。  これまでの経緯をみまして私なりの考えなのですが、現在医師不足が非常に大きな問題になっ  ています。不足ということは足りないことであるわけですから、絶対数が足りないのですから、  充足させればよいわけで、そのためには医師をつくるしかないと思います。医師のつくり方で  すが、いま必要とされるのはいわゆる「かかりつけ医」、一般医、総合医というもので、これ  までの医学教育、医者づくりの中ではそちらのほうはほとんどなされてきませんでした。専門  医の養成はこれまで通り必要ですけれども、これからの医師づくりにおいては、一般医をつく  っていく必要があるだろうと思います。これは文部科学省の分野かもしれませんが。  医師を有効利用するということは、医師の負担を軽減させる。医師をどんどん使っていくこと  が大事だと思いますが、医師でなければならない仕事はかなり限られていると思うのです。そ  ういうことでスリム化していくことが必要ではないか、ですから認定看護師、専門看護師、あ  るいは技士等にどんどん委譲していく。医師が医師としてやらなければならないことは、医師  でなければできないこと、例えば診断、治療方針を立てる、高度な技術的な面でのことなどが  あると思いますが、そういうところにもっていくようにすればいいのではないか。そうするに  は現在の医師法を改正していかなければならないと思います。大臣が記者会見で言われており  ました「医療体制の革命的な変革が必要だ」とおっしゃっていましたが、まさにそれはこのこ  とではないかと思います。  予防医療政策を一層強化するということも必要ではないかと思います。なかでも、がん、心筋  梗塞、脳血管障害などの予防策は重要で、その1つ「タバコ問題」が大きく関わっております  ので、これは本腰を入れて取り組むべきではないかと考えます。もう  つは、命にもっとお金をかける、そのことを国民的なコンセンサスとしていく必要があると思  います。以上です。 ○ 小野対策官  ありがとうございました。それでは続きまして草場先生よろしくお願いいたします。 ○ 草場先生   ただいまご紹介にあずかりました北海道家庭医療センターの草場と申します。いま下北のむつ  の話がありましたが、ちょうど津軽海峡に向かって対岸にある北海道室蘭からやってまいりま  した。よろしくお願いいたします。本日はスライドに「若手家庭医の主張」と書かせていただ  きましたが、先ほど先生がおっしゃったGPの養成というお話がありました。まさにそのGPの養  成という部分のお話をさせていただこうと思って本日まいりました。ただ、少し抽象的な議論  よりは、実際に私自身がGP、いわゆる家庭医を目指して選んで、それから研修を経ていま家庭  医として実践している。そして家庭医を養成するという立場で、幸い今やれています。それに  ついてお話をするような形で全体的に説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願  いいたします。それではスライドをお願いします。  「本日の流れ」を確認いたしますと、まず「家庭医という道を志して」というところから始ま  りまして、家庭医療の研修を経て家庭医として実際に働く中で、いまこういう場をいただきま  したので、行政・各界に期待させていただくことをお話していきたいと思います。  まず、私が家庭医という道を志して、京都大学に進学して医学部6年間の生活を送りました。  医学部でどういうことを学ぶのかということは、いま小川先生から少しお話がありましたよう  に、ほとんど医学部の中は実際に人体を細かく細分化して分析していく。そして細かく臓器別  に見ていく中で、そこで得られたいろいろな科学的な知見を臨床に応用していく。そして、さ  まざまな病気の治療を展開していくというのが医療の王道というか、本来の姿だということで、  いままで教育がなされてまいりました。私自身もそういう教育を6年間受けてきたということ  です。  ただ、私自身、実は医師に対して抱いていたイメージとして、患者を全体的に診たいという気  持が非常にありました。そういう中で、「ちょっと違うな」といままで思っていた医療のイメ  ージと少しずれてきたという感じが、高学年に進むほどだんだん強くなっていったのです。  そうした中で、1人の医学生として、心と体をバランスよくとらえながら、患者に寄り添うよ  うな医療、そういった医療という分野がないのかと非常に悩んだ時期がありました。それで大  学の2年間、大学の臨床各科、さまざまな外部の病院や施設を見学して、さまざまな相談をし  ますが、もう1つそのような分野がなかなか見当たらなかったという現実がありました。  そこで偶然、いままで医学部の中で全く科目としても存在しなかった、なおかつキーワードと  しても全く耳に入らなかった家庭医療というキーワードに遭偶しました。その家庭医療という  言葉は、ここで少し家庭医療という言葉自体の説明をしなければピンとこないと思うのですが、  基本的には昨年5月に厚生労働省のほうで発表された総合科という言葉があったと思います。  その総合科の説明の中に、いろいろとどういう分野なのかという説明がありましたが、まさに  それと同じ分野でございます。そういうキーワードにたまたま本当に遭偶しまして、これが本  当に後先考えずに北海道に行こうと思った理由です。  これはここの2枚のスライドで私がお話したかったのは、医学生の中にはこういう総合的なと  いうか、幅広い分野をやりたいという人が潜在的には結構いるということです。最初から肝臓  だけ診たいと言って入る方というのはあまりいないのです。どちらかというと、患者のために  という形で入ってくる。ただ、現実は専門科されていますので、だんだんどの分野、どの分野  と分かれていく。もともと医学生が幅広く総合的に診るという意識が、制度の中でだんだん変  えられていくというのが私自身の実感です。ですから、私はもう本当に偶然これから脱け出た  というか、たまたまこういうキーワードを知ることによって、こういう分野に行くことができ  たということです。  当時はまだ医局制度がありましたので、いまももちろんありますが、臨床研修制度はありませ  んでしたので、本当に医学部100人の中で、大体6、7人が大学に残らずに外に出るという形で、  あまりない選択ではあったのですが、夢と期待を持って北海道に参ったという次第です。  家庭医療の専門研修を受けることになりまして、室蘭の日鋼記念病院という所で、まず総合病  院で2年間の病棟ローテート研修、これは臨床研修必修科の中で各科を回っていきますが、そ  れと全く同じ内容の研修をまず受けて、基礎的な力を身に付けていきます。  その後、後期の2年間、卒後3年目、4年目にあたりますが、この2年間はさまざまな診療所での  家庭医療専門研修を受けます。さまざまな診療といいますと、実際室蘭の診療所もありますし、  北海道十勝の人口3,400人の更別村とか、岐阜県の久瀬村という山奥の山村、あとは沖縄のクリ  ニック等々とさまざまな地域の診療所での勉強があります。  その後、そういう地域で多くのロールモデルとなる実際に輝やいている家庭医の先生方と出会  って、知識、技術はもちろんですが、こういう総合的な医師、家庭医として生きることの魅力  を実感して、「あっ、これはいいな」と。「これこそ一生の仕事だ」と本当に感動した覚えが  あります。  そして、研修はいいことばかりではなくて、家庭医、総合医というものが、実際医療の現場で  どのように見られるかという話になりますが、病棟の専門の先生からは、「先生方のされてい  ることは素晴らしいと思うのだけれども、やはり何か専門を持って、何十年か経験を積んでか  らそういうことをやってもいいのではないの」とアドバイスを受けることもあります。大学の  循環器に進んだ同級生からは、例えば循環器の専門医資格を取ってから、大学院に進もうと思  っているよと。お前はどうなのだというので言われることもあります。  そして何よりも辛いのが、患者から「先生のご専門は何ですか」と言われるのです。後で出て  きますが、「専門」という言葉は非常に難しくて、こういうときに家庭医療、総合医療という  場合にパッと答えにくいのです。内科と言えばいいのか、小児科と言えばいいのか、少し整形  をやっていると言えばいいのか、非常にここは難しいところです。こういう分野で将来食べて  いけるのだろうかと不確実性を感じて、ときには自分の道に強い不安を抱くこともやはりある  ということです。  ただ実際、4年間の研修を終わり、いま診療所で家庭医として働いています。室蘭という町は  高齢者が多い坂の町で、診療所まで来ることも、患者たちにとっては大変なことなのです。雪  の中で凍りついた坂を皆さん慎重に降りてきたり、あるいはタクシーを使って降りてくる。そ  ういった町でたくさんの患者の診察をさせていただいています。  そういった中で家庭医ということで、本当に幅広い診療分野があります。内科、小児科はあり  ますし、小児外科をしたり整形外科的な病気もあります。中には精神科的なうつ病、不安障害、  皮膚の病気、湿疹等々と、本当にさまざまな病気を診させていただきます。しかも長く何年に  もわたって診させてもらえる。そういう中で、徐々に一人ひとりの患者の生活というか、生き  方も見えてきて、本当に信頼関係が医師患者の間でできていくのを実感できるありがたい仕事  だと思っています。  右上の写真にあるように、訪問診療の機会も非常に多く、いま80件の訪問診療に私の診療所か  ら行っています。本当に坂の上でなかなか来られない方、高齢者2人で暮らしておられる方は、  やはり訪問診療に来てほしい、往診に来てほしいというニーズはたくさんあります。そういっ  た中で、患者のお宅はまさに「地域の病棟」だという意識で診させていただいています。  こういう家庭医療の中で、幸い我々の施設は家庭医の教育もやっていますので、医学生、研修  医がたくさん来ます。そういった教育に携わる。教育することによって、自分のアイデンティ  ティもまた確めることができる。教えることからまた学ぶこともたくさんあり、そういう楽し  さ、面白さも本当に醍醐味です。  さらに家庭医療は診療所のみならず、地域に広がりを持っています。診療所から出て活動する  というのが家庭医の本分ですので、例えば町内会での講演会活動、年に5つぐらい町内会で定  期的に講演会をさせていただいて、○×問題をやったりして、地域の住民の医療知識の啓蒙活  動をしています。スライドはありませんが、中学校で禁煙の教育をさせていただくような機会  もあります。  下は町内のお祭りが年に1回ありまして、そのお祭りの救護班みたいな形で、練り歩く後ろか  ら往診車で付いていく活動もやります。実際に怪我をする方はほとんどいないのですが、ただ、  こういう活動をすることで、地域住民に地域のためにやっているよという1つのアピールにも  なるかなということで続けています。  こういう分野で実際臨床の経験を積むと同時に、家庭医療を深めるためにということで、たま  たまカナダの大学で勉強させていただく機会がありました。大学院の家庭医療学修士課程とい  うコースが向こうにはあります。欧米では家庭医療というのは分野として確立しており、大学  院まで全部あるという形です。そこで、医学教育の勉強であったり、家庭医療の中での臨床研  究というものがあり、そういう研究についても勉強させてもらいます。  あとは家庭医療の理論です。どうして家庭医療が医療の中で必要なのかということを学びます。  最後に「患者中心の医療の方法」という確立された、こういう方法論なども勉強させていただ  く機会はあります。こういったところで、普段の経験を実際理論化するような学び方ができる  ということです。  ただ、翻って、私の公式の立場、日本の立場は、医師としての専門資格としては、実はこの分  野の専門資格というのは日本プライマリ・ケア学会専門医というものしかありません。ただ、  これは残念ながら日本専門医認定制機構に未登録で、広告することは不可能です。ですので、  取得者もほとんどおりませんで、年間10人、15人とかそれぐらいの数で、非常にマイナーな専  門医の資格です。  標榜科名としては、やはり内科・小児科という形にどうしてもなります。ただ、これは我々と  しては忸怩たる思いで、本当の意味での診療内容を表現していないのです。小児科の専門医で  すかと言われると、そういうわけでもないのです。小児科の専門医の先生と協力して、お子さ  んを診ていくという立場です。ですので、非常に標榜科を問われたときに大変辛い思いをして  います。患者の説明にも、先ほどのように困るということです。  ですので、やっている内容そのものは十分理解を得ているという実感はあるのですが、残念な  がら学術的にも、法律的にも認知されていないというのが、こういう総合的な医療の分野なの  だなということです。  ただ、そういう厳しい状況ではありますが、我々自身がすべきことがまずあります。やはり総  合医、家庭医ということでやっている我々自身が、きちんと後輩を育てていく。あるいはこう  いう道に進みたいという方を迎え入れる養成プログラムをしっかり確立しなければいけない。  そして、そのためには、確かな指導力を持つ家庭医療、総合科の指導医を育てていくというプ  ロセスが非常に重要になってきます。  こういうことをしっかり我々が専門家集団としてきっちりやることによって、利用される国民  の皆さんが安心してかかれる、家庭医にかかっていいねと言われるようにならなければならな  い。そのために全国各地でこういう医師を養成して、いろいろな機会を通じてアピールしてい  きたいということです。  その結果、なかなかいまはまだまだご理解いただけない部分が多いのですが、他の専門医の先  生方や医療従事者の方から、確かに信頼できる、この分野を進んでいる医師は信頼できると思  っていただくために、地道に実践をとにかく積んでいきたい。まずこのように、我々自身が努  力をしなければいけないということです。  その上で、あくまでも行政・各界のほうにご期待するということだと思っています。まずはこ  の家庭医療や総合診療、地域医療と呼ばれている分野を、真面目に志してもやっていけるのか  なと迷っている医学生、研修医、若手医師は実は日本に結構いると思っています。そういう医  師に対して、いま社会で責任ある立場に就いている皆様方が、この分野は日本の社会にとって  大切な分野である。これを本当に一生かけて選んでいいのだと、専門分野として選んでいいの  だよということを、そっと肩を押してくれる、そのようなことをしていただければ、我々とし  ては本当にありがたいということです。  具体的に言いますと、まず行政の皆様方が本当にやっていただけることは、今後の我々が発展  するための足場づくりです。まず足場がないとなかなか伸びていけませんので、この足場を提  供していただきたい。これが1つ、標榜科というのがどうしても大きいので、医療法の中に  「総合科」と、名前をどうするかといろいろあると思うのですが、私は総合科でもかまわない  と思っていますが、こういう表現で位置づけていただく。そして、それがすべてのスタートに  なるのかと感じております。  結果的に近い将来に誕生するこの分野の専門医が、学会の認定家庭医療専門医である。そして  標榜が総合科であるということで、自信を持つ。そして、こういう標榜をいただくことは相当  覚悟を持ってやらなければいけないという、逆に裏返しとしては責任が伴いますので、そうい  うものを持って名乗れる時代を私は心から期待したいと思っています。以上、ご清聴ありがと  うございました。 ○ 小野対策官  ありがとうございました。それでは続きまして、須古先生にお話をいただきたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○ 須古先生  済生会熊本病院の須古でございます。「地域連携医療の実現を目指して」ということでお話を  させていただきます。地域医療といっても場所や、まさに地域の定義そのもので変わってきま  すが、今日私がお話するのはどちらかというと都市型の連携医療について、熊本の例をご紹介  したいと思います。  話の内容としては現在の熊本の連携医療の現況がどのような具合いになっているかということ  と、病診、病病連携の課題がいくつかありますので、それを提示させていただき、それに対し  てどう対応していくかということで、お話を進めさせていただきたいと思います。  熊本市内はいま一般的な噂では、最も連携医療の進んだ先進地域だと言われていますが、何か  連携医療に特徴があるのだろうかと考えてみますと、基幹病院というか、中核病院ごとに連携  のネットワークを形成したということです。ある1カ所に巨大なセンターがあって、そこを中  心にだんだん枝分かれしていくというパターンではなくて、それぞれの中核病院がそれぞれの  役割として連携医療をやってネットワークを形成してきていることが特徴です。  病診連携については、いちばん早いところでは平成4年から始めていますので、病診連携から  いまは病病連携。といいますのは、中核病院というのはすべて急性期医療を提供している病院  なので、病病連携のほうがいまはウエイトが高くなっています。特に亜急性期病床を持ってい  る病院や回復期リハビリの病院とのネットワークが、年々強固になってきているように思いま  す。これは1つには、いわゆる高齢者社会ということが関係していると思います。さらに最近  では施設間の連携ではなくて、職種間の連携がこういう連携活動を通じて生まれてきた。特に  看護職とリハビリ関係の職種の人たちが、今度は自分たちの職種間の連携をやって、より情報  を精緻化して、それを患者のために役立てたいという形でいま動き始めています。  いま熊本はクリティカルパス、クリニカルパスに力を入れている2つの大きな病院があります  ので、そこを中心に地域連携パスに対して、ネットワークを通じて共同作成して、さらにそれ  を活性化しているという特徴があるかと思います。  では市内の医療環境ですが、急性期病院を黄色で表していますが、このような6つの急性期病  院があります。その周辺部分に茶色で表している病院がいわゆるリハビリテーションに力を入  れている、あるいは慢性期療養型の病床等を併設している病院です。熊本のベッドの配分を見  てみますと、大体いま急性期の一般病床として使われている病床数と、いわゆるリハビリも含  めた回復期、慢性期を含めると、大体半々ぐらいの状況になっていると思います。ですから、  その辺の施設間の機能と役割分担ができているのではないかと思います。それが成功の1つの  原因であろうと思います。  これで見てみますと、急性期病院の平均在院日数はほとんど11日台なのです。だから11日台で  やって、それぞれの特徴を出しながらやっている。ほとんどが救急医療には力を入れています  し、DPCの対象病院になっているので、現在ではいろいろなデータがDPCの解析の中から出てき  ますので、それでそれぞれの病院の特徴もつかめるかと思います。  熊本市といっても人口は70万弱で、二次医療圏としての人口は70万弱ですが、実際は県下の半  分以上の患者は熊本市に集中しています。この中でいろいろな病院がありますが、例えば国立  病院機構の熊本医療センターであれば、救命救急センターのほかにいわゆる政策医療としても  やっておられますし、最近では特に救急患者を非常によく受けていただいています。この中で  熊本医療センター、熊本大学附属病院がちょうど熊本の中心地域、熊本の北側を主に診ている。  それから熊本赤十字病院は熊本市の東部にありますから、東部と郡部からの患者、私どもの済  生会熊本病院が熊本市の西部にありますから、熊本市の西部、あるいは天草など南のほうから  の患者がわりと多く来院しているようです。  この中でも国家公務員共済の熊本中央病院がありますが、ここは独自の病院の戦略というか、  ポリシーの下に動いており、ここは入院特化をするということで、要するにすべて紹介状のな  い患者はお断りするということでやっておられます。当初はかなり批判を浴びましたが、だん  だんポリシーがわかってきますと、現在では逆に病院らしい病院という評価も出てきているよ  うです。ここのいちばんの特徴は、救急は呼吸器と循環器に関しては私たちが一次から全部診  ますという話です。そのほかの病院は大学病院以外はほとんど、一次から二次ぐらいまでを皆  さんが診ているということです。ですからほとんどがこういった病院に救急患者は集中してい  ます。  これはDPCの調査結果の中から見たものですが、病院名をもろに出していますが、赤丸で囲ん  だ部分が、それぞれの病院の特徴になります。例えば、下から2番目にある私ども済生会熊本  病院であれば、脳神経関係と循環器関係が非常に充実しているし、またそこに患者も来ていま  す。その下の熊本中央であれば、呼吸と循環といったところに特徴がありますし、赤十字であ  れば消化器、小児救急、外傷の患者が集まってきているということです。  これもDPCデータから病院機能を見たものです。これが地域の中核病院といわれる所が、効率  性と複雑性の関連を見たものですが、重症の患者をよく診ているという、赤線で4分割になっ  ていますが、右上のところにみんな入っていますので、一応医療の提供体制としては、効率的  な医療を提供できている病院群が連携医療の中心になっている。逆に言うと連携のネットワー  クができているから、在院日数が短く、効率的な医療の提供につながってきているのではない  かと考えています。  これまでは専ら総合病院といったところでは「自己完結医療」ということでやっていましたが、  それをそれぞれの得意分野を活かすためには「地域完結医療」、特に機能を重視し、急性期病  院であれば手術、高度の検査、救急、専門外来、地域の診療所の役割、回復期病院の役割とい  ったものが、このように図示しているような形で発揮して、それぞれの連携がうまくいけば、  得意領域をやることによって地域医療の効率、もう1つは地域におけるそれぞれの病院の役割  がきちんと果たせるのではないかと考えています。  これは脳梗塞の例ですが、自己完結型の場合はStroke Unitで治療して、その後、回復期リハビ  リ病棟で治療をするのです。そして、介護、在宅、あるいはクリニックへお返しするという形  です。この地域完結型ではStoroke Unitを急性期病院の役割としてはここを中心にして行う。  ですから、リハビリもいわゆる維持とか回復のためのリハビリというよりも、むしろ急性期の  Storoke Unitに入っている、どちらかというと放出リハです。こういったものに力を入れて、  なるべく早く次のリハビリ専門病院での回復が早くなるようなやり方をしています。こういう  流れの中で、脳梗塞の治療を、このようにやったらいいのではないか、熊本モデルと呼んでい  ますが、これが熊本市民病院の橋本先生という方が、こういう形でやったらいいということで、  大方の賛同を得られているので、こういう形で進んでいます。  結局、地域の中の病院群が協力することによって、お互いが得意な機能を高めて、その道を患  者が通ることによって、より患者にとっていい状況が訪れることを期待してやっているわけで  す。  もう1つは連携パスのことがあります。パスは熊本の国立医療センターと私どもの病院が日本  全国の中でも先進的な活動をしてきましたので、そこの病院のネットワークを通じて、いまAM  I、人工骨頭置換術、脳卒中、くも膜下出血、その他まだ点数化されてはいませんが、いわゆる  慢性腎不全、糖尿病などいわゆる急性で発症して病院から地域の診療所で診ていただく、フォ  ローしていただくものまで、できるものは片っ端から作っていこう。特に「4疾病5事業」と  いうことが発表されていますので、そういったものでできるところから作っていこう。パスと  いうのはある程度の制約があるので、すべての疾患、すべての状況に対応することはできませ  ん。救急で発症して入院する、それから地域の診療所で長くフォローしていただくようなもの  は、使えるのではないかと思っています。これはだんだん数が増えていくだろうと考えていま  す。  実際連携パス作成関連施設で「シームレスケア研究会」というのは計画病院の国立病院に私ど  もがお手伝いをしている。そして、地域のリハビリ、慢性期をやっている病院がそれに参加さ  れると。私どもの病院が計画病院でやっているのも、私たちの病院のネットワークの中のそう  いう機能の違ったところが集まって、連携パスを作っている。熊本市民病院は「脳血管疾患の  障害を考える会」というのを持っておりまして、その中でまたパスを作成してやっていくとい  う形で活動をしています。  今後の課題ですが、一応熊本市内に限っては連携ネットワークが大方でき上がっている。ただ、  もちろん完全ではないし、完全でないのをどうやって補正していくかとなると、それぞれの病  院が会合を持っています。私どもの病院であれば病診連携会議を年に2回ほど開催しています。  その中には会議をどのようにして運営していくか、その病院だけではなくて、周りのネットワ  ークに参加されている病院からも代表を出していただいて、そこで重要問題、案件事項等を討  議して、コンセンサスを得てやっていくというやり方です。  一応ネットワークはできたのですが、連携医療の中の連携というマネージメントがきちんとで  きているかというと、これはまだできていない。今後の課題だろうと思います。では、マネー  ジメントはどういうことかと言いますと、本当にその連携が患者にとってよかったのか悪かっ  たのか、あるいは自分たちの提供している医療そのものの質を上げているのかどうかとか、そ  の辺りの詳細な検討が必要ではなかろうかと思っております。  ネットワークの質の管理で、どのようなことに気を付けてやっていこうかということで挙げた  のですが、何といっても連携する上では情報の共有化ができなければうまくいかないというこ  とで、手段としては連携パス、診療情報提供書の充実。「情報共有紙」というのは各医療機関  の情報、何ができて何ができないということまではっきり書いていただく。そういうものを集  めて、自分の医療施設の情報を提供した先生方には、それを全部配って使っていただく。  その中には、例えば私の病院は連携の基幹病院になりますので、急性期の病院から患者をお願  いする場合に「受けられますか、どうですか」ということで、例えば「レスピレーターの付い  た患者は受けていただけますか」とか「心臓リハビリは大丈夫ですか」とかいろいろなアンケ  ート結果を出して、それに返答していただき、自分たちでできるところとできないところをは  っきりする。それはいまのところは2百何十の医療機関が情報を開示してくださっていますの  で、それを使う。  いまなかなかうまくいかないのが診診連携だと言われています。その中に「自分の病院の情報  を出してもよろしい」と言われた医療機関の情報はそれに載っていますから、それを利用して  やっていくと。一般的な病院の概要のほかに、自分たちの病院の特徴や、細かいことになりま  すと、個室代とか、その辺まできちっと書いてあります。そういったものを作って、なるべく  患者に情報を提供しやすい形を採っています。  連携データは、いまは2年に1回ぐらい患者と、患者を引き受けてくれた連携先の病院のアン  ケート調査をやっていますが、そういった分析をして、それを病診連携会議では使っておりま  す。これはあくまでも私ども関連のネットワークです。例えば、国立医療センターのネットワ  ークの中に、この情報は今のところは流れていきません。この辺りのことを、今度は情報が共  有できるように考えていかなければいけないのではないかと考えています。  連携医療と言いますが、私どもが始めたときに、あくまでも患者本位にやるのだということで  す。もう1つは「コミュニティ」と書きましたが、狭い範囲です。その「コミュニティの健康  を守るという考え方」で、それぞれの医療施設が連携医療に参加しましょうということです。  これまではどちらかというと、行政は熊本市の場合はほとんど参加していません。それぞれの  病院の自立的な活動で起こって、結果としては何となくうまくいっているのですが、本当にう  まくいっているのか、その結果がどうなのかということは、第五次医療計画がありますので、  そういった中で1つの仕組みを作っていただければ、今やっていることがもっときちんとした  評価ができるのではなかろうかと思います。  現在のDPCで、ほとんどの急性期病院は入ってくると思います。いまはDPCということでやって  いますが、いずれ診療の永続性を考えると、連携パスになります。そうなると、これは疾病管  理の世界ですので、それをどうやるか。どのようなものを作り上げていくかということです。  私がいちばん大切だと思っているのは、機能分化と役割分担を徹底させることです。連携医療  をやるためには、まず病気の起こり始めを引き受ける、いわゆる急性期病院なり救急病院なり  の役割を、徹底して急性期に特化しないと、そこが固まらないと、一連の在宅までの流れはで  きにくいのではないかと思います。  あとは手段です。ITの利用ですが、これは経費がかかりますので、まだ私どもも紙ベースでし  かやれていません。それと連携をやっているのですが、本当に質は大丈夫なのだろうなという  マネージメントが必要ではなかろうかと思います。そうすることによって地域医療の質が向上  して、患者の満足につながれば、連権医療はこれからますます押し進めていったらいいのでは  ないかと考えております。  「今後の対策」ですが、機能重視で連携体制を構築していくことが重要だろうと思います。機  能が違うところの連携医療がなぜ必要かは、機能が違うところの組合せをうまくやって、患者  の満足度につながるような結果を出していくということですので、機能重視の連携体制を整え  ていくべきだろうと思います。  昨今、地域医療支援病院に対して疑問が投げかけられているような話も聞きますが、折角地域  医療支援病院といういい名前が付いているわけですから、こういった病院の活用を考えるため  には、地域医療支援病院同士の話合いの場を作り上げて、そこから地域の医療にフィードバッ  クしてもらうことも必要ではなかろうかと思います。特に行政との係わりですが、私どもでは  県になりますと、ちょっと間が開いてしまいます。保健所だとほとんどの病院のデータを持っ  ていますので、保健所辺りがそれに絡んで、いいアドバイザーになっていただけると、地域の  特性が活かされてくるのではないかと思います。  問題は救命救急体制です。救命救急体制は、いま熊本の中では3次を中心というのは大学の付  属病院で、1次、2次もごっちゃでやっています。ごっちゃでやっていますが、現実を見ると、  これは1次救急だから、2次救急だからという切り分けはできないのが現実だろうと思います。  そうなると、救急患者は増えて、救急を担当する病院が診ていくという考え方です。いろいろ  な救急医療の提供の仕方があると思いますが、救急患者の中には自分で歩いてくる人もいます  し、自分の車で来る人もおりますし、重症度も雑多ですので、トリアージをして、アメリカ型  のERみたいな形に救急医療の現場も変わっていくのではなかろうかと思っています。  それから、いま問題になっている周産期や小児ですが、1つの病院でたくさんのドクターたち  を揃えることは、現在は非常に難しいので、周産期、小児を中心で診てくれる病院はできにく  いと思います。成人病中心は救急医療を担当する病院がやってくれていますので、周産期、小  児中心は1つの地域の中に1カ所と決めてしまうと、そこに集中して職員が潰れてしまいます  ので、何カ所かに配分したらどうかと思っております。  いちばんの問題は、いろいろなことをやっていますが、そういったものを集約して地域の中に  フィードバックするシステムがないことが、熊本市の地域連携医療が抱えている大きな問題で  はなかろうかと思いますが、第五次医療計画がありますので、これに期待をしたいと思ってい  ます。 ○ 小野対策官  それでは、ディスカツションに移りたいと思います。積極的なご意見をよろしくお願いいたし  ます。 ○ 野中委員  3人の先生方、どうもありがとうございました。地域の開業医の立場から少し質問をしたいと  思います。小川先生は、むつ市で非常にご苦労されているということですが、私がいちばんお  聞きしたいのは、「むつ総合病院のこれまでの取組み(2)」で、先生たちの開業動機に関する  アンケート調査をされたという話がありました。アンケート調査で、なぜ開業するのかどうか  という部分を、もし資料がありましたらお答えいただきたいと思います。  草場先生は現場でいろいろ活躍されて、地域医療に貢献されている姿を拝見させていただきま  した。私の診療所にも、ある病院から研修医が1カ月に1人、地域医療の研修に来ています。  彼らと話をしますと、将来はいわゆる家庭医を希望される医師も多いと気付きます。今月の研  修医も将来は家庭医をやりたいと言っています。  私は彼らには、今後何年間かは専門医として研修される中に、是非体験された地域医療のこと  を頭に入れながら専門医療を勉強してほしいと言っています。総合医というか総合科とかいろ  いろな範疇が話題になっています。私自身も大学病院に何年間か勤務していましたが、専門医  でも患者を総合的に診るという姿勢は本来必要不可欠と思います。しかし、それが地域の開業  医であるGPと大学の専門医が分けて考えられること自体がおかしいと思います。1つはその辺  に関してのご意見をお聞きしたいと思います。  今日いろいろお話されましたが、地域医療では、病院の専門医とは違って患者のこういう部分  を家庭医として実現していることを、もっとお聞きしたかったなと思います。なぜ病院では実  現できないのかということが、実は大きな問題ではないかと思います。総合医としてのGPとか、  家庭医とかいろいろな言葉があると思いますが、それの専門性を謳えば謳うほど、専門科がた  くさんできてしまう、その専門性は医師には理解できても、患者にとってはその専門性は関係  なくて、目の前の医師が自分の抱えている病気の相談にちゃんと乗ってくれることが大事なの  です。  専門科を作るという努力は非常によくわかりますし、先生がその中で頑張っていることもわか  ります。しかし、差別化になりはしないのか。差別化を患者が喜ぶのか。患者が自らの症状を  考えて循環器や呼吸器や消化器などの専門の医者に行くのは不適切であり、先生が家庭医とし  て目指しているはまず相談に乗ることと理解しますが、専門性の話となるとそこが変になって  しまうのではないだろうか。  もっと言うと、地域完結を目指す専門性、GPとか家庭医ならいいのですが、自己完結型のため  の家庭医になりかねないと思うのです。先生にもし追加していただければ、患者の何を実現し  ているか。そして、それがなぜ病院では実現できないのかという問題点に対するご意見をいた  だけたらと思います。 須古先生には以前から地域完結型医療の話を聞いています。本日の須古先生の済生会熊本病院  のお話は、地域医療計画を地域で作成するときに大事と思います。地域の病院から他の医療機  関の医療資源を確認するわけです。病院から退院する際、最終的に在宅医療を患者が選ぶ場合  には、現場で様々な医療や介護の資源があることを確認することが必要です。同様に地域の資  源をきちんと認識して、最終的には地域医療計画を立てることが大事と思います。私からの質  問は、地域の資源を調べるために、どのようなご苦労があるかをお話していただければと思い  ます。私から33点をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○ 小川先生  県医師会の協力を得て、開業動機などに関するアンケート調査を行ました。「そもそも開業す  る意思があったかどうか」「そのつもりはなかった、はからずも開業に及んだというか、開業  せざるを得なくなった」という大きな項目を設けました。手元に資料がないのですが、134名  対134名で半々でした。  もともと開業する意思のある先生は、開業するということですから、勤務していてもいずれは  ということです。そもそもその気がなかった群で、何がそのきっかけになったかについては、  家庭の事情や社会的事情でやむを得ず、あるいは勤務医生活に限界、その中にはバンアウトし  そうとかもう疲れた、こんな状態ではやっていられないなどの答えがあった。また、勤務医生  活に不満があったとするものの中にはこれだけ働いても評価されない、あとは人間関係です、  院長が考えていた方針と自分の考えが合わない、あるいは上司、後輩との治療方針、その他が  合わないといった人間関係。あとは「その他」の理由の中で、地元に乞われてといったものも  ありました。では、病院にとどめておくにはどうするかというのは、その辺にいろいろヒント  があるのではないかと思いました。 ○ 草場先生  ご質問ありがとうございます。まず野中先生のご指摘は、私自身10年間ずっといろいろな専門  の先生から言われ続けてきたことです。あと開業の先生方とお話をするときも、いつも話題に  なって、まず専門をやって、それからでいいのではないかということは、常に言われているこ  とですので、改めて勉強させてもらいました。  病院の先生方と違って地域でできることは何なのかですが、まず科を特定せず、成人・小児を  特定せず診ています。ある患者ですが、2歳の子供を連れてきた母親がおられて、ふとしたこ  とで育児の話題になりました。「お母さん大丈夫ですか。育児2人目で大変じゃないですか」  という話をしたら、そこで急に涙を流し始めて「どうしたのですか」とお話を聞くと、夫が全  然協力してくれない。そういう中で1人で、近くに親戚もいない中で、燃え尽きるような状況  になっている。「どうしたらいいのでしょう、先生」という話になって、そこから「じゃあ、  お母さんのお話を聞きますか」ということで話を聞き始めたのです。  聞いてみると、子供が少し先天的な障害を持っていたり、言語の発達の問題があるという不安  も出てきたり、今後の育児に対して将来の不安も出てきて、結局母親がうつ病になっていたの  です。今のところは精神科に紹介しなくても大丈夫なレベルと判断をして治療を始めました。  一旦良くなったのですが、その後また再燃して、かなり悪くなってきたので、精神科の先生に  紹介したという事例がありました。  このように家族ぐるみで診ていく形のケアができる。母親は小児科ではないのでと言って切る  ことはありませんので、本当に幅広く診る、家族全体も診るというのは病院では難しいことな  のかと思っています。  あとは地域医療という部分で、誤嚥性肺炎が多いという現状を知って、口腔の保清に関して、  地域であまり取組みがなかったことがわかって、地域の保健師に「この地域全体が、どのよう  に口腔保清のケアがされているか調べてみませんか」という話をしてみたら、「では、一緒に  やりましょう」ということで、とある町でやったのですが、地域全体の活動に結び付けて、そ  ういう委員として出させてもらった経験もありました。  このように、診療所の外の地域を見ながら、医療にかかわる職種の方と連携するというのは、  忙しい病院の先生ではなかなか難しいところなのかなと。地域の現場にどっぷり漬かっている  と見えてくるものもあって、そういった辺りは、こういう部分がプロフェッショナルな部分が  あるのかなと、私自身は感じてやっています。  印象的な事例を2つだけお話させていただきました。私は自身は別に専門医としての経験を積  んだあと、総合医、家庭医で全然構わないと思っています。別にそういう道をたどったら駄目  ということではありません。むしろ言いたいのは、総合的な医師に最初からなりたいとかなり  強く思っている者も結構多いという事実です。  ですから、大学院を経て地域の病院へ出て、15年ぐらいかけて専門医としての力量を身に付け  た後に出るよりは、この分野をすごくやりたい、例えば地域医療、へき地とか、あるいは我々  のセンターだと、礼文島という北海道の北の島にも行っていますが、そういう所でも診療に携  わりたいという意識を持っている若手医師が結構いるのです。ですから、そういう医師の道筋  をせめて開いていただきたい。すべて総合医にならなければ駄目だとか、そういうことではな  くて、いま我々に全くそういうオーソリティがないというところに関して、特に若手のまだ実  績もない医師に対しての1つの基盤となるのが、「総合科」という標榜の部分なのかという意  識で考えております。 ○ 須古先生  私のほうでは、地域の資源を調べる方法ですが、先ほど保健所が持っているデータをもう少し  活用したらどうだろうかと言いましたが、私どもは年に必ず1回、時には2回ぐらい監査を受  けるわけです。ですから、保健所はその地域のかなり詳しいデータを持っていると思います。  どこにどういうのがあるかということで、例えば保健所内にホームページを作っていただいて、  介護や老健施設がどの地域にあるのか、何床ぐらいのがあるのかという辺りのデータを出して  いただければ、私たちはそれを見てやっていくことができるだろうと思います。  あと医師数などは当然出ていますが、現実に医療連携をやっていくためには、そのドクターの  専門性がどうかというのが、いまは病院に対しては大変期待されています。ですから、その専  門領域などをきちんと出さないといけない。これは保健所ではなかなか把握できないのではな  いかと思います。いま熊本では、各病院が「診療のご案内」ということで、それぞれの診療科  の顔写真、卒業年度、専門とする領域を書いて、連携の先生方、ネットワークの先生方の施設  には送っているという状況です。  もっと頭が痛いのが高額医療機器です。これは絶体共同利用をしないともったいない気がしま  す。行政がこれを制限することはなかなか難しいのかもわかりませんが、例えば、PET-CTがブ  ームになると、どこの医療機関でも買いたがって買い揃える。結果的には、経営の問題からい  うと、なかなか成り立たない。そういうこともありますので、そういう高額医療機器が入った  場合には、狭い地域ですからわかりますが、公表していけばいいのではないかと思います。  細かいことになりますが、私どもの病院では、診療所の先生が、自分の診療所のデスクから検  査を申し込むことが可能で、そういうシステムを作っています。そうすると、患者に「あの病  院へ行ってください」と。その診察を受けたあと、検査の日取りが決まるというのではなく、  診療所の先生が、いつごろがいいか、それを希望するということでやると、病院側の都合と合  わせて、何日の何時からMRIの検査を承りましたと、そこで返事をします。事前に検査申込書  を送ってもらわないと、ただ来てもらって、いきなり撮るわけにはいきませんので、検査申込  書の中にいろいろな情報を書き込んでもらって、ファックス等で送っていただいて、それを利  用して検査を行うというシステムを作っています。そういうことで、どこに、どんな専門医が  いてということはわかります。  もう1つは理屈からいえば、専門医というのは、基礎的なことを学んだ上で専門医になるはず  ですが、残念ながら日本の専門医は学会主導でつくられていますので、今度は少しうるさくな  って、例えば内科系であれば、内科認定医は必ず採っておくことなどという条件がだんだん付  いてきましたので、いずれ良くなってくると思いますが、ベースにそういったものが必要なの  ではなかろうかと思います。  現実に救急病院で起こっていることは、パッと見て、自分の専門領域でないと言ったら、医師  がその場から立ち去るというのは現実の話です。その結果、そこの救急室に患者が取り残され、  次のドクターが来るまで、しつかり診てくれればいいのですが、診てくれません。  もう1つは医師の育成の問題にもなるかと思いますが、いま大学病院はほとんどが臓器別診療  体系に変わってしまいました。ですから、昔のナンバー内科といったものが細分化されて、そ  れぞれが専門領域を狭くしています。地方においては大学付属病院はドクターを派遣するいち  ばん大きな所です。ここから、いわゆるへき地といわれる所に行っても、専門医しか行かない。  専門医だけだと、今はクレームが多い。ほとんど診ませんから、地域でそれだけのドクターが  揃えられるわけがありません。やはりGPみたいな、そういう人をたくさん育てないとなかなか  大変かと思います。  では、専門医というのを考えた場合、医師全体でどのぐらいの専門医が要るのだろうか。本当  に日本の医療をきっちり診ていくときに、専門医はそんなに要るのか。大学病院は特別な所で  すから別ですが、一般の市中病院では、専門医よりも、むしろGP的な活動をしてくれる人が、  私たちの病院でも貴重品になるだろうと思っています。地方に行ったら、そういう人が3人だ  と何とか診れるのが、専門医だけを集めると、5人、6人と集めなければいけないので、今の  医師不足の環境下では難しいのかと思っています。  私どもは臨床研修病院ですので、逆に言うと、地域の病院がどうやったら専門医を育てられる  か。いまは専門医だらけですから、GPを育てられるかというのが、私たちが悩みながら自分で  育てなければいけないのではないかと思い始めているところです。これは小川先生のご意見と  一緒です。 ○ 矢崎委員  時間が過ぎて申し訳ないのですが、3人の先生方にお尋ねします。まず小川先生は、むつ総合  病院にどうして医師が集まるのか。病院は働きやすい環境、例えば、メディカルクラークを置  くとか、あるいはサポートシステムが完備しているという、それだけでは医師が集まりにくい。  1つ考えられるのは、地域医療を担っているという非常に強い責任感を病院の職員全体が持っ  ているのが、1つのインセンティブになっているのではないか。よく新聞などで、どこどこの  病院が閉鎖と言ったときに、記事を読むと、医師の引揚げ、患者減、経営が成り立たないとあ  ります。しかし、医療ニーズが高ければ、医師引揚げで患者減という現象は起こらないのでは  ないか。地域に絶対必要な病院として、むつ総合病院は地域からも位置づけられているし、職  員もそういう感覚があるのではないかと思ったのです。  草場先生にですが、先生がご卒業されたときに、特に京都大学で、今は総合診療というのは脚  光を浴びていますが、当時はみんな専門医コースを取っていたときに、先生が最初からそれを  思っていたと言われたのですが、それは大変貴重な、本来の医師の志す方向だと思います。た  だ、いま草場先生のような特例ではなく、多くの人が参加できるコースを我々が構築しないと  いけない。  そのときに先生は総合科というお話をされましたが、野中先生と同じように、私は家庭医とい  うか、かかりつけ医というのは、患者の家庭背景とか、すべてを把握しながら適切な指示を、  相談機能を中心としたものと、もう1つ、病院と直結した例えば救急のトリアージ。先ほど病  院で8割ぐらいは診療所で診てもらいたい患者が押し寄せる。しかし、皆さんは診療所をなか  なか信用されていない面もあって、すぐ病院に駆けつけて、とりあえず診てもらおうというの  が診療所ではなく、病院になってしまっているのです。そこを解決するにはどうしたらいいか  というと、家庭医と救急のトリアージができるような、相当高度な診療能力を持っている資格  も必要ではないか。  先生みたいなスーパードクターは両方できますよということかもしれませんが、私は病院で救  急医療とか、熟練した専門コースを取ったあと、総合的な医療の教育をして育てるというのも  1つの手で、最初から入るのと2つあるのではないかと思います。  須古先生には、地域完結型医療を目指してということで、個々の病院は独立した運営で考えら  れているのですが、先生は地域という面から捉えた運営を志して、熊本はそれぞれの病院が助  け合っていますが、ほかの多くの所は競合関係で、そんなにみんなで活性化しようという雰囲  気はなかなか生み出せません。  なぜ熊本だけがあんなにうまくいっているのかというのは、誰がリーダーになって、誰が仕掛  けてなったのかという経緯がわかると、ほかの地域の病院が協力して、熊本を見習おうという  ことになると思います。今のような成功体験はいいのですが、出来上がるプロセスで、今日は  あまり時間がないのですが、プロセスとか、そういうものがわかれば参考になるのではないか  と思います。 ○ 小野対策官  引き続きの辻本委員、何かあったらお願いします。 ○ 辻本委員  まず最初にお話をくださいました小川院長にお聞きしたいのですが、なぜ研修医が15名も集ま  るのか。弘前大学でも今年は9名だということを先日伺ったばかりです。何が魅力なのだろう  ということをお聞きしたいと思います。2年の研修が終わった後に、彼らがどのように後期を  選んでいくかということが、もしお分かりになっていたら教えていただきたいと思います。そ  れから、むつの地域という患者たちに、日ごろどんなことを働きかけておられるのかをお尋ね  したいと思います。  草場さんには、不安になる不確実な要素、そういったことは一体何が支えているのか、あえて  お聞きしたいと思います。同じように、総合医的な家庭医を希求する若い人たちという表現が  ありましたが、例えば具体的に学生たちにいまどんな働きかけ、どんな関わりを持っているか  もお聞きしたいと思います。  須古院長には、私もネットワークということが行政主導なのか、どなたが主導されたのか、ほ  かの地域でどうやってそれを推進していけばいいのかというアドバイスをお聞きしたいと思い  ます。何より熊本の地域の方たちの患者へのこの体制を理解していただくこと、それが安心と  納得につながるために、どんなことを働きかけていらっしゃるのか、もしありましたら具体的  なことを教えていただきたいと思います。 ○ 小川先生  なぜ研修医が集まるかですが、自分としてもあまりよくわかりません。学生への説明会のとき  には、地域的にむつ総合病院に救急患者その他が集まってきますので、症例が非常に多彩であ  る。数もそうですが、疾患の種類も多い。このことを言えば、どこの病院もそうかもしれませ  んが、そのことを訴えています。いまの新しい制度においても、将来、何の専門家になるにし  ても、プライマリ・ケアというか、医療の底辺を広げることは、うちへ来ればかなえられると  いう話をしています。  もう1つは、学生が見学あるいは実習に来る中で、指導医が忙しい中、非常に一生懸命指導に  取り組んでくれている、自分たちの研修に対して熱心にやってくれている、これはドクターだ  けではなく、看護師、コメディカル、事務も含めてトータルで研修医を世話するというか教育  していることが、研修医の皆さんにも感じられ、またそれが後輩にも伝わっているのではない  かと思います。  患者にどのように働きかけているかですが、むつ総合病院は地域的にここしかないということ  で、地元の方々には選択の余地がない。その分、それに胡座をかかないようにとはいつも言っ  ています。あとは投書箱というかご意見箱に対しては、丁寧に答えるようにしております。地  域での講演会などがあれば、積極的に出かけて、啓発活動などもやるようにしております。と  にかくドクターはじめ、看護師、その他が患者に対してできるだけ親切にというか、満足がい  くような医療を提供することによって信頼獲得ができるのではないか。特別このようなという  ことではしておりませんが、心がけとしてはそういうことです。 ○ 草場先生  矢崎先生のコメントに一言だけですが。1次救急に関して、病院に患者が非常に殺到している  という現状はご指摘のとおりで、私が住む室蘭も全く同じ状況です。非常に難しいのは、開業  の先生方がチームを組んで支援されている地域もある一方で私が住む室蘭は、それが難しい。  開業医の先生方のチームができるかどうかにもかかっており、大きな病院が3つありますが、  救急がなかなか維持できないということでフーフー言っている状況です。開業の先生方は経験  を積まれて、40代、50代、60代の先生方もおられて、救急を夜間も実施することに関して「体  力的にもちょっと厳しい」という生々しい声もあります。室蘭市での家庭医としては、夜間の  救急等にも参加して頑張っていくことも大切な役割だと思っています。ありがとうございまし  た。  辻本委員からのご質問の不安に対してですが、2点あるのかと思っています。1つは、仲間、  もう1つは自分が実際にケアを提供する患者です。仲間というのは非常に重要で、私のセンタ  ーは、いま後期研修医が12名おります。不安になったり、この道でいいのかと迷うときには、  「いや、大丈夫だよ。俺も頑張っているから、俺もそういうときがあったよ」と率直に話し合  える、指導医だけではなく仲間がいるというのが、いちばん大事だと思います。  もう1つは患者からのいただける温かい支援の言葉です。在宅のターミナルケアなども我々の  診療所はやっていますが、亡くなったあとに、娘さんから「本当にありがとうございました。  先生がいてくれたから、私も家で看取ることができました」という温かい言葉をいただいて、  その後、特に病気もないが、診療所に通ってくれる方がいたりします。そのぐらい、そういう  温かい目で見ていただける。そうすると、研修医も「僕がいてもいいのかな、僕がやっている  ことも、まんざら捨てたものじゃないんだな」と思えるようになるのではないでしょうか。  学生に対しては、家庭医療学会としてセミナーを開催して、関心のある学生が集まったところ  で、いろいろな企画を催すこともありますし、私の組織では、各地でやっている学生の自主的  な勉強会に講師を派遣して「このように家庭医療を実際にやっている、君らも興味があるのだ  ったら、是非頑張ってください」と飲み会なども含めて、温かく支援しているという形で頑張  っています。 ○ 須古先生  矢崎先生から、熊本の地域連携医療のリーダーとなった人がいたのかどうかというご質問です  が、先陣を切ったのは私どもの病院です。平成4年に病診連携室を作り、これまではドクター  の顔と顔だけでやっていたのを、ドクター相手の先生のあれを知らなくても、患者がそこの病  院に行きたいと言ったら、そこの病院に転院できるように業務をシステム化したのです。それ  には病診連携室などを持っている病院はありませんでしたので、自分たちで考えながら、病診  連携室の業務はこんなことをやりますということと、どういう人員で構成して、病診連携の促  進を図っていくという形を作って始めておりましたら、1つは国の医療政策で「効率的な医療  提供の体制」ということで、病診連携を。私たちが連携室を作って活動して2年目の平成4年  ぐらいに、診療所のほうに点数が付いたのです。それから急に活発になってきました。  どのようにやっているかということで、熊本市内のいまやっている代表的な基幹病院には、こ  のような規則を自分たちも作って運用をしていますということで、データを全部渡しました。  渡しましたが、それをすぐ実のあるものにした所と、聞きには来たが取り組むまでに遅れたと  いうことで、5つ急性期病院はありますが、その中でいちばん遅い所は平成14年に連携室がで  きましたから、10年の開きがあるわけです。特に熊本は医療施設の過密地帯ですから、当然そ  れぞれの競合も激しいわけです。ただ、うまくいったときに、そういう情報を提供していたこ  とが、逆に良ったのかなと思います。 ○ 小野対策官  大臣、もしあればお願いします。 ○ 舛添大臣  遅くなってすみません。今日はいろいろ良い意見を賜りましてありがとうございました。これ  からの政策につなげていくということで、お三方のお話の中で感想めいたことを述べますので、  後ほどコメントでもいただければと思います。  小川先生の話は、非常に興味深く聞きました。3つの町はそれぞれ私は縁がございます。むつ  は原子力をやっていたものですから、六ヶ所も、むつもしょっちゅう行っていました。草場先  生の所は白老に家がありましたから地元でございます。そして、私は福岡ですから、熊本はお  隣なので、全部どういう町かわかっています。  そういう上で、小川先生が先ほど私の会見も引いておっしゃってくださったのですが、医師養  成ということもありますが、コメディカルの人たちにできるだけのことはやってもらいたい。  ですから、どこまでが医療行為で、どこまでが看護行為なのかということも含めて、助産師に  どこまでやってもらうか。これは前回も申し上げたのですが、医師は医師、看護師は看護師の  言い分があって、なかなかうまくいかない面もあります。ですから、1つの方向としては、例  えば、私の元にでも研究会か何かを設ける。それぞれの代表が来て、厚生労働省で調整しなが  ら、どういう役割分担をやっていくか。つまり、医師の仕事分担を減らすということになれば、   その部分を誰かが引き受けなければならない。そういうことも少し考えてみたいと思います。  むつの地域は、そのころはエネルギー問題で行ったので、厚生労働大臣になるなどということ  は全く予定に入ってなかったので、そういう面から見ていないのです。あれだけ充実している  医療資源があそこにうまく集まったなと、非常に感銘深く聞きました。またこれを1つのモデ  ルにして活用させていただきたいと思います。  草場先生の問題を聞いていて、私は社会科学ですが、全く同じ問題をずっと抱えています。だ  から、エキスパートというと非常に優れていて、ジェネラリストというと底が浅くて駄目な感  じがあります。ところが、フランスに行ったときに思ったのは、要するに逆なのです。ラテン  語で言うと、ポリバレントというか、バリューです。ポリというのはマルチで、マルチとかポ  リバレントということが、プラクティスをやるときには非常に高く。だから、非常に大変なの  で、あらゆる分野について少しずつでも知っておかなければいけません。  しかし、現実にどうであるかというときに、そういう議論をずっとやってきて、私もエキソバ  タイザーをどこかで持っておかなければいけない。しかし、やはりジェネラリスト的なことも  やってきた。私の場合は政治学ですが、「なぜこの国の政治はこうなっているのですか」と、  いま中にいて言うのはおかしいのですが、聞いている人がわかるのがいちばんいいので、別に  数量政治学をやる必要もない、何をやる必要もない、わかったと。病人にとっては治った、本  当に家族も助かった。別にある1つの特定の部位の、肝臓なら肝臓の講釈を聞きたいわけでは  ないのです。ですから、そういう面でその分野に対して、日本というのは非常にポリバリュー、  マルチバリューに対する評価が非常に低いなと。  カナダでしたか、外国の例をどのようになっているかが知りたいということと、矢崎先生や野  中先生の話にもありましたように、ダブルトラックで、つまり総合科家庭医というのがあって  いいと思います。しかし、もう1つそれぞれ専門の方があってもいいと思います。ですから、  地域医療というと、須古先生がおっしゃったように、専門医を何人も集められませんから、患  者の立場に立ってどうかというと、家庭のかかりつけ医的な側面が非常に多くあっていいと思  います。  例えば、患者の立場に立ってみると、私は網膜剥離をやっているので、目のときはすぐ眼科へ  行きますが、いまは花粉症に悩んでいます。どこに行くかというと、花粉症の専門医はいなく  て、実は皮膚科なのです。知っているのが皮膚科にいて、パッと顔を見た途端に「あなたはア  レルギーを持っているでしょう」とわかった皮膚科の先生がいて、その先生がくれる薬がいち  ばん合っているとか、そういうこともあります。  ですから、行政としては総合科とか、家庭医というのはどのように位置づけるかということが  あるのですが、標榜科の名前は、毎年検討しているので、少し検討するように医政局長の所で  やってください。 それから総合科と言ったときに、何かわからない、せめて外科か内科にで  も分けてくれないかという患者の気持があるので、総合科という言葉がいいかどうかを含めて  標榜科のことは検討しましょう。家庭医のほうは、医学関係の法律の中で、それから学会でど  のようにやるかというのは、非常に難しいので、是非いろいろなお知恵をいただいて検討した  いと思いますが、できるだけのそういう方向はあってほしいと思います。  問題は、草場先生にかかって、お腹が痛いとか、ちょっと頭が痛いと。ある程度こうだとわか  ったときにネットワークがすぐとれるか。結局ネットワークの問題だという気がします。須古  先生は先ほどチラッとおっしゃったのですが、こういうリーダーシップが取れたのは、むしろ  医療資源が過密だったからできたのではないかという気がしないでもないのです。それがない  所で役割分担も何もないだろう。だから、熊本というのは非常に恵まれていた点もあるので、  医療資源の適正な再配分のようなことを国単位でできるかといったら、非常に無理なような気  がします。  例えば、九州でも佐賀はどうか、福岡はどうか、大分はどうですかと。天草の話が出てきまし  たが、長崎の離島などを含めてどうですか。そうすると、医療も国の形を変える必要があるか  なと。つまり、熊本は県単位です。できたら九州単位で。せめて道州制という話で行政の形に  なるのです。とてもではありませんが、東京、大阪を見ればわかるように、47都道府県で医療  資源の密度をなかなか気密化できません。しかし、九州全体で、仮に先生が済生会病院でおや  りになっていたことをやろうとしたら、全く違った姿になるだろうと思います。ですから、国  の形に関わってくるような大掛かりな仕掛けもそこに必要ではないかという感想を抱きながら  やってきましたので、何かコメントがあればということ。それといま毎日国会でやられている  ので、ついでにお伺いしたいのですが、後期高齢者医療制度が入ったときに、ターミナルケア  の話を草場先生がおっしゃいましたが、現場でこれはどうですかという形で、遠慮する必要は  ありませんので、何かありましたら承りたいと思います。 ○小野対策官  先生方、お願いします。 ○小川先生  私はまだよく検討していませんので、何のコメントもありません。 ○ 草場先生  海外の事例ということでお話いただいたところですが、海外でも日本と全く同じ歴史を歩んで  います。北米では1950年代ぐらいまでは、いわゆる開業医という位置づけでGPという存在だっ  たのですが、第2次世界大戦後ぐらいから急速に専門科が進んで、その中でだんだん地盤が沈  下していったという歴史があります。それでちょっと質が低いという誤解を受けてしまって、  アメリカ国民の専門志向が強くなってしまったのです。  そこで慌てて1960年代にもう一回きちんと定義し直そうということで、ファミリーメディスン  という名前に変えたのです。そこからもう一回学会が全部整理されて、専門システムが完全に  構築されて、アメリカでは最初に専門医の資格の認定の更新を始めた学会なのです。  つまり、ただ1回取ればいいということではなくて、5年ごとに試験を受けなければいけない。  どんなに偉い方でも教授でも、必ず試験を受けなければいけないという非常に厳しい規律を課  しているのです。それによって質を担保しようとアメリカ国民に訴えかけたと、設立されたと  きの先生に直接話を聞いたことがあります。ですから、北米などでも紆余曲折があって、いま  に至っているということです。  ヨーロッパでは、もともと特にイギリスがGP制度を強くやっていて、その他のオランダ等でも  医師の5割がGPで、カナダは3割と聞いています。アメリカはファミリーメディスンの医師は  もう少し少なくなると記憶しています。  ですから、制度的には完全に裏づけがある形でやっていて、いま彼らが考えているのは家庭医  療をやるというレベルではなくて、家庭医療がどのように医療の質の向上に貢献できるかとい  うことで、臨床研究などをどうやって展開していこうかというのが欧米の議論という状況です。  アメリカや海外でやる学会に参加するときには、そういう意味でのアイデンティティの議論に  なっていて、日本人として話をするときには、是非そういうアカデミックな分野を日本でも頑  張って作ってください、と激励というか励ましの言葉を受けるような状況です。海外と比べる  と、学会から帰ってくると、ちょっと歯痒い思いをするという状況が現実にあります。  後期高齢者に関しては、名称云々はいろいろあると思いますが、システムとしては、我々は以  前からCGA(Comprehensive Geriatric Assessment)、包括高齢者ケアというシステムを導入し  ていたのです。「プライマリ・ケア老年医学」という分野が存在して、プライマリ・ケアの中  で高齢者の健康問題をどう扱うか。病気を治す、消すということではなくて、どのように生活  に寄り添って、いまの落ちている機能をどう維持しながらサポートできるかという医療なので  す。ですから、ただの専門医療とだいぶ違うということで、それを早くから家庭医療では取り  入れています。  我々の診療所ではそれを年に1回、必ずやっていたのです。今までは全く点数にも何もならな  くて、ただ本当にボランティア的な感じで。かなり時間がかかるのですが、20分ぐらい話を聞  いたり、実際に歩いてもらって評価したりするのですが、そういったところに関しての評価を  いただいたのかな、と私自身は思っています。そういう意味では中身をじっくり見てみると、  今までお話をしたり検査をせずに身体を触わっていた部分にきちんと点数が付いたということ  は、私自身は評価しています。今までは検査をしないと収入にはならないので、話を聞いても、  あまり変わらないのです。再診料も同じ額ですので。そういう意味では裏付けができた点は、  私自身は心強いというか、今までやっていたことが間違ってなかったのだなという思いで受け  止めています。 ○ 須古先生  この制度そのものがどうかということは、私はあまり勉強していませんが、高齢者の問題とし  ては、例えば連携医療という立場から見ますと、老健介護施設から、いきなり救急発症という  ことで、救急に来てしまうのです。そして一応入院が必要だという、ところがそれから帰る所  がないのです。これはいちばん大きな問題です。  それと高齢者になりますと、特に呼吸器障害がある患者はレスピレーターを付けなければいけ  ない。その後、「一応落ち着きましたから、しばらくこれで診ていただけますか」と頼んでも  引き受けてくれる所がなかなかないということで、逆に言うと、急性期の機能をそれで摩痺さ  せてくるのです。入院患者が高齢化していますので、ICUやCCUといった所が、ある一定の割合  で疾病と無関係な状態。これ以上は無理だというところが、だんだん急性期病院の中に沈澱し  てくるのです。これはある意味からいうと、急性期医療の機能不全を起こすことにもなります。 ○ 舛添大臣  私が若干提案したので、お三方でもしあれば、最後に一言ずつお願いします。 ○ 野中委員  私はお三方のお話をお聞きしても、最終的には他職種とどうやって連携するかが最大の課題と  思います。1人の医師のスキルアップだけでは不十分です。スキルアップのための研修の目的  は、自分の研鑽も目的ですが自分以外の様々な医療や介護の職種の役割を認識することの筈で  す。そしてそれらの多職種と協力して、やむなく疾病や障害を抱えた患者の幸せをどのように  作るかがいちばん大事なことなのです。それを医療が忘れてしまった、そこをあらためて仕切  り直しをすることと思います。  後期高齢者医療制度の作成には私は参加しました。その際には、医療のあり方をまず検討して、  それから診療報酬を考えたことは適切だったと思います。しかし、この様に検討できたのは、  たまたまこの制度がこの4月から始まるからだったと思います。今後、医療を診療報酬だけの  議論にすることなく、医療のあり方を十分に検討して頂きたい。診療報酬だけの面から医療を  考えるのは不適切であり、患者を幸せにはできない議論になると私は思います。 ○ 矢崎委員  大臣が最初に言われ、いま野中委員が言われたスキルミックスですが、これはこれからの医療  に、特に病院医療に絶対大事だと思いますので、これを何とか行政的にもやってほしいと思い  ます。  もう一点は、医師の育成で、いまは専門的な医師を育てることが中心です。そうすると、いま  は高度医療で高齢化になったときに、何人医師がいても隙間が空いてしまうのです。ですから、  GPの育成も大事ですが、専門医の総合医療教育が喫緊にニーズが高い課題ではないか。絶対再  教育して、少し背が高くて裾野のある医療を提供することが重要ではないかと思います。 ○ 辻本委員  後期高齢者の医療に対してですが、草場さんのような医師だったらいいのですが、まずは医療  そのものの品質保証というのでしょうか、そうしたことが私たち患者としては求めたいと思い  ます。それからコメディカルというか、他職種との連携ということのチームです。その2点で  す。  1つ大臣に申し上げておきたいのは、私の周りの人たちで長寿医療制度という名称変更につい  て、例えば、75歳の女性が「75歳で長寿と言わないで」とおっしゃっていましたので、是非お  伝えしたいと思います。 ○ 矢崎委員  今回でヒアリングが終わって、これから我々がプレゼンテーションするということです。事務  局に前からお願いしていたのですが、「平成18年医師の需給に関する検討会の報告書」を私が  責任でまとめました。そのときに基礎となるデータが、平成16年以前のデータしかなくて、も  のすごく大きく変化した喫近の状況がなかなか組み込めなかったというので、そこで議論にな  りました。例えば、人口の高齢化の影響と医療安全に関する医療の高度化、さらには女性医師  の問題などがなかなか組み込みにくいところがあったので、エビデンスベースでできなかった  ので、もし付け加えるデータが事務局でご用意できて、いただければ大変有り難いと思います。 ○ 舛添大臣  それはできますよ、集めてください。 ○ 小野対策官  ありがとうございました。次回ですが、4月21日の開催を予定しておりますが、確定しまし  たら、追って私どもよりご連絡させていただきたいと思います。  それでは、本日はこれで閉会させていただきます。お忙しいところ、どうもありがとうござい  ました。 (紹介先)  厚生労働省医政局総務課  松淵、加藤(憲) (代)03−5253−1111(内線2516、2517)