平成20年4月22日
薬事・食品衛生審議会
医薬品等安全対策部会
安全対策調査会







ヘパリンナトリウム製剤等について

ヘパリンナトリウム製剤、ヘパリンカルシウム製剤、ダルテパリンナトリウム製剤、パルナパリンナトリウム製剤、レビパリンナトリウム製剤及びエノキサパリンナトリウム製剤(以下「ヘパリンナトリウム製剤等」という。)については、我が国においてはこれまで副作用発生の増加は認められておらず、また、これまでに国内で出荷された製剤に使用された精製ヘパリンからは不純物(高度に硫酸化されたコンドロイチン硫酸)は検出されていないとの報告を受けた。

米国等におけるアレルギー等の副作用発生増加の原因は現時点においては解明されていないが、ヘパリンナトリウム製剤等は救命的な目的に使用される等医療上重要な医薬品であることに鑑み、当調査会は、ヘパリンナトリウム製剤等について、当面の間、以下の対応をとることが適当であると考える。

1.品質管理の徹底について

(1)厚生労働省は製造販売業者等に対して、ヘパリンナトリウム製剤等の品質管理の徹底を図るよう、以下のとおり改めて指導すること。

ア.取り扱っている医薬品及びその原材料について、安全性確保の観点から品質に問題がないかを、その製造業務が適正な製造管理及び品質管理の下で行われていることの確認を行うこと等により、速やかに点検すること。

イ.ヘパリンナトリウム製剤等の製造等にあたっては、承認書等で規定される事項の確認に加え、原料として使用される精製ヘパリン等について、当面、米国FDAが公表した試験検査方法を参考として、ロット毎に適切な試験検査によって不純物が含まれていないことを確認すること。

(2)厚生労働省は、欧米の規制当局と連携しつつ、国立医薬品食品衛生研究所の協力も得て、上記(1)イ.の試験検査方法について、製造販売業者に対し、適切な指導を行うこと。

2.安全性に関する情報の収集・提供の徹底について

厚生労働省は製造販売業者に対して、上記1.(1)イ.により確認されたヘパリンナトリウム製剤等について、以下の内容を医療関係者に情報提供し、注意喚起の徹底を図るとともに、副作用等の情報の収集について徹底を図るよう、改めて指導すること。また、関係学会等の協力も得て、注意喚起に努めること。

・ヘパリンナトリウム製剤等の添付文書の重大な副作用に記載されているショック等の副作用に十分注意の上使用することとし、使用中及び使用直後は、血圧低下や意識低下などのアナフィラキシー様症状の徴候が見られないか患者を慎重に観察すること。

・米国の副作用報告の大部分は、高用量(5,000〜50,000単位)のボーラス投与(迅速な作用を期待して静脈内に高用量の薬物を短い時間で投与する方法)によるものとされていることから、ヘパリンナトリウム製剤等を使用する際は、投与量、投与速度について留意すること。

3.厚生労働省は、引き続き、ヘパリンナトリウム製剤等に関する国内外の品質・安全性に関する情報の収集に努め、必要に応じ、迅速かつ適切な対応をとること。


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