08/03/31 介護予防継続的評価分析等検討会第3回議事録 第3回介護予防継続的評価分析等検討会議事録 1. 日時・場所 平成20年3月31日(月)10:00〜11:51 全国都市会館第1会議室 2. 出席委員 石田、岩越、植田、大川、大久保、大渕、坂元、杉山、鈴木、          辻、津下の各委員(高橋、丹後委員は欠席) 3.議題   (1)継続的評価分析支援事業の仮集計について (2)その他 ○天本課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第3回「介護予防継続的評価分析等検討会」 を開催いたします。  まず初めに、委員の変更がありましたので、御紹介いたします。岩越和子近江八幡市健康福祉 部高齢・障がい生活支援センター長補佐でございます。  本日の委員の御出席状況でございますが、高橋委員と丹後委員から欠席の御連絡をいただいて おります。  それでは、辻座長、議事進行をお願いいたします。 ○辻座長 おはようございます。  まず事務局から、資料の説明をお願いいたします。 ○天本課長補佐 かしこまりました。それでは、お手元の資料について確認させていただきます。  封筒を開けていただきまして、まず表紙に「第3回介護予防継続的評価分析等検討会議事次第」 が1枚ございます。  1枚おめくりいただきまして、資料一覧、名簿がございます。  資料1「継続的評価分析支援事業(介護予防関連事業の効果を検証するための情報収集)の実 施状況について」という資料。  資料2「介護予防サービスの効果分析につて(暫定仮集計)(案)」。  資料3「介護予防サービスの利用回数の変化について(仮集計)」。  参考資料として、3部御用意いたしております。  参考資料1「介護予防サービスの効果分析の結果について(概要)」。  参考資料2「介護予防サービスの回数の変化に係る解析対象者の選別方法について」。  参考資料3「平成18年度介護予防事業報告」。  以上、資料等に不足や落丁等がございましたら、事務局までお願いいたします。 ○辻座長 ありがとうございました。  それでは、本日の議題は2つございまして「(1)介護予防サービスの効果分析について(暫 定仮集計)」と「(2)介護予防サービスの利用回数の変化について(仮集計)」の2つです。  この議題に入る前に、まず継続的評価分析支援事業の実施状況につきまして、資料1について、 事務局からご説明をお願いします。 ○鈴木老人保健課長 私の方から、お手元の資料1について御説明を差し上げたいと思います。 継続的評価分析支援事業の実施状況についてでございます。これは過去のこの検討会の経緯、今 後の予定について概略的にまとめさせていただきました。実は前回の第2回が昨年の平成19年 2月でございまして、少し時間が経っておりますので、思い出しも含めてということでございま す。  ここには詳しく書いてございませんが、もともと先生方はよく御承知のとおり、平成18年に 介護保険制度改革の中で介護予防ということを導入させていただきました。これには2つに理由 がございまして、1つは平成12年からの要介護認定者の動向を見てみますと、軽度の方が非常 に多いということです。これは要介護2以上の方が大体7年間で4〜6割増ということですけれ ども、要介護1以下の方については2.4倍になっているということで、軽度の方が非常に増えて いる。  もう一つは、軽度の方の中で、特に筋骨格系、閉じこもり、不活発症候群の方が非常に多い。 これが大体半分ぐらい占めておられるということで、やはり予防が役に立つのではないかという ことで、実証的データに基づいて、平成18年4月に介護予防の事業を導入させていただきまし た。  その中で国会からも3年を目途に、この予防事業についての費用を含めた効果について検証す べきだという改正法附則の宿題をいただいておりまして、21年3月を目途に我々としても検討さ せていただくということで、この検討会をお願いしております。  対象となりましたのは、全国83の市町村。これは第2回のときに先生方におまとめいただき ましたけれども、3か月ごとに36ページにわたり評価を逐次やっていって、評価をしていただ くということで現在、事業は進行中でございます。  この中で2点ほど大変申し訳なかったと我々の方でも思っているんですけれども、1つは調査 のデザインについてでございます。通常、医学や公衆衛生学であれば、ある介入なり、ある事業 をしたときの効果というものは、介入をする場合としない場合を分けて、無作為に割り付けて、 前向きに追っていくというのが理想的なやり方だとは思うんですが、今回の場合は実際に事業が 始まった後でその効果を検証するという、言わば時系列的な実態的な現実というものがございま すので、必ずしも理想的な条件というわけではなかったということが1点。  もう一点は、もともと3年間を目途に評価をさせていただくということで進めておりましたけ れども、今回はその中途で一定のデータをまとめていただいたということなので、その意味の解 釈も含めて、先生方に御教授いただければと思っております。  今日御検討いただくデータについては、先ほど辻座長の方からありましたけれども、費用対効 果のものと制度改正前後のサービスの改正の変化というのがありますが、それぞれに私の理解す るところによると、まだ中途であったり、意味の解釈をどうするかということをきちんと議論し ていただくということだと思いますし、実際に一定程度、前にしろ後にしろ、フォローした後の 評価のものと1点だけを見たものの評価の違いもあるかと思いますので、今後に向けて、今日ま た先生方に御議論をいただいた上で、とりあえず今日までにまとまったデータについてはお示し し、御解釈いただいた上で、今後についてもいろいろと意見をいただければと思います。  スケジュールについては、1枚目の下のところに書いてございます。今年の秋ごろまでには何 とかこの中間とりまとめを行った上で、調査の終了自体は来年1月ですけれども、3月ごろに最 終的なとりまとめをしたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。 ○辻座長 それでは、議題1の介護予防サービスの効果分析について、暫定仮集計に移らせてい ただきたいと思います。  今、鈴木課長の方からもお話がありましたように、この継続的評価分析支援事業では、83市町 村から高齢者の心身の状況でありますとか、あるいは活動状況のデータにつきまして、経時的に データをいただいております。  その集計につきましては、老人保健事業推進費等補助金による研究班が別途設置されておりま して、介護予防事業等の効果に関する総合的評価分析に関する研究班がありますが、そこでデー タの集計、解析が行われているということであります。  その研究班におきまして、現時点での暫定的な状態でありますけれども「介護予防サービスの 効果分析について(暫定仮集計)(案)」が作成されましたので、その結果につきまして、事務 局とも相談しながら、資料2としてまとめたわけであります。  この資料につきまして、研究班員でもある大久保委員の方からご説明をいただきたいと思いま す。どうぞよろしくお願いします。 ○大久保委員 それでは、お手元の資料2「介護予防サービスの効果分析について(暫定仮集計) (案)」を御説明させていただきます。最終的には費用効果分析につながるわけですが、費用効 果分析におきましては、効果と評価は非常に重要なものでありますので、まずこの点について、 皆様の御議論、御意見を賜りたいと思いまして、今日は効果のところについてお話をしたいと思 います。  資料の2〜3ページ目。これは今、鈴木課長の方からもお話があったことでございますので、 ここは省略をさせていただきまして、4ページ目の「3.特定高齢者施策導入の効果分析につい て」から御説明をさせていただきます。  最初は「3.1.効果分析に用いる対象者」ということで、要介護・要支援でない高齢者に対 する介護予防事業については、平成18年4月から、地域支援事業が実施されております。特に 要支援・要介護の状態となる可能性の高い高齢者に対しては、新たな介護予防施策が創設されて おり、本分析おいては、高齢者施策の導入前と後について、それぞれ以下の(1)(2)の者を 対象に施策導入前後の状態の変化を比較することといたします。  「(1)特定高齢者施策導入前(コントロール群)」は、平成18年4月の特定高齢者施策導 入前には、特定高齢者は存在しておりません。コントロール群として特定高齢者を設定すること は厳密にはできないわけですが、施策導入後の特定高齢者との比較を行うためには、できる限り 特定高齢者に類似しており、かつ一定期間の状況の変化を把握することが可能なコントロール群 を設置することが必要であるわけであります。  厚労省としては、平成17年から「総合介護予防システムのあり方に関する研究班」の一部と して、基本チェックリストに準ずるパイロット調査を実施しているところであります。  パイロット調査における評価項目は、現在用いられているチェックリスト25項目に準拠して 分析可能であるため、特定高齢者候補者の選定基準を満たす者を平成17年度にさかのぼって抽 出することができると考えられます。  そこで本分析におけるコントロール群としては、パイロット調査の対象者のうち、以下(1)(2)の 両方を満たす者とする。  (1)は、平成17年度調査対象者のうち、現在の特定高齢者の候補者の選定基準を満たす者。  (2)は、平成18年度の調査で、これは1年後でありますけれども、18年度の調査において要介 護度等の状況を把握されている者ということでして、1年前の状況と1年後の状況がしっかりつ かめている者を対象としたわけであります。  「(2)特定高齢者施策導入後の対象群」の方であります。これは一定期間の状況の変化を把 握することが必要であることから、平成19年1月から開始された継続的評価分析支援事業にお いて調査対象となった以下、(1)(2)の両方を満たす者とするということで、(1)が、継続的評価分析 支援事業登録時に特定高齢者である者。  (2)が、その登録後1回以上の追跡が行われた者ということで、トータル2回で登録時と更にも もう一回追跡が行われた者を対象としたところであります。  6ページは分析の結果であります。前と後について御説明しますが、説明がうまく行くかどう かわかりませんが、御質問をいただければと思います。  コントロール群の調整について、特定高齢者施策導入前後の効果を比較するに当たっては、比 較の対象となる2つの群は、その群に対する介入以外の要因については、可能な限り類似した集 団であることが分析結果の信頼を高めるために必要であるということでありまして、異なる市町 村間での比較である本分析においては、結果に影響を及ぼすであろうコントロール群の性、年齢、 身体機能。これはチェックリストの結果の分布が比較対象である特定高齢者施策導入後に調査対 照群と可能な限り同一となるように調整を行ったわけであります。  具体的にお示ししますと、その下にあります表1であります。表1の一番左側のカラム、平成 18年調査の結果ということで、1,679人が平成17年に登録されたわけですけれども、1年後の結 果がここに示されております。維持改善群として1,599人、悪化群としては要支援、介護1〜4 がそれぞれ14、29、12といった形で、これは人数によって示されております。  これを導入後の性、年齢、身体機能チェックリストと比較できるように調整をした結果が真ん 中のカラムでありまして、性、年齢チェックリスト導入後の人ということで、トータル1,679名 でありますが、維持改善が1,561、要支援、要介護1〜4がそれぞれ17、45、17という形になっ ております。これは小数点以下が付くわけですけれども、ここでは四捨五入をしております。こ ういった形で調整をしたということであります。  「(2)人・月単位での集計について」ということで、以下述べるとおり、特定高齢者施策導入後 の調査対照群については、継続的分析支援事業への調査登録時期や調査終了時期が異なるため、 おのおのの追跡期間が異なる。したがって調査対照群の状況の変化を把握するためには、人・月 の単位で集計が必要だと考えました。  そのため、コントロール群についても比較のためには、人・月での集計を行う必要があるとい うことで、表1のBのカラムであります。導入後につきましては、観察期間がそれぞれ3か月の ものから11か月のものまで幅がありますので、人・月で単位をそろえましたので、前の方も人・ 月で単位をそろえることをした結果がBのカラムであります。  1,679人を12か月フォローしたということで、2万148という人・月の単位が合計であります。 そして、維持改善群というのは1,942人・月。以下、要支援、介護1〜3が96、273といった形 で、それぞれのパーセントが書いてあります。パーセントで申し上げますと、維持改善群は96.5%、 悪化群は3.5%といったような形になっております。  7ページ目です。これは導入後の方の結果であります。前でお示ししました継続的評価分析支 援事業への調査登録時期や調査終了時期が異なるために、結果として追跡期間が異なります。そ のため人・月で調整をしたということでありますが、これは平成19年1〜11月30日までの結果 であります。維持改善の状態はトータルで9,449に対して9,266が維持改善としている状態であ りまして、悪化の状態が要支援1〜5までありますが、106、14、32という形になっております。 その割合を構成割合で示すと、維持改善している人・月は98.1%、悪化が1.9%という形になっ ております。  (3)では、人・月で調整したものです。1,000人を1年間追跡したという前提に起きますと、 ちょうど1万2,000人・月という形になります。これは違った表現で申し上げますと1,000人・ 年であります。  表3は、導入前と導入後で示されておりまして、この表は参考資料1というところで、きれい な絵で示されておりますので、これとも併せてごらんになっていただけると理解しやすいのでは ないかと思います。参考資料1も併せてごらんになっていただければと思います。  7ページの導入前は、1万2,000人・月中、維持改善が1万1,580、以下、57、167という形に なっています。導入後が1万2,000人・月に対して、維持改善が1万1,768、以下135、18となっ ておるところであります。  ここではパーセントで示しますと、導入前は維持改善が96.5、悪化はいろんなグレードがあり ますけれども、悪化は悪化群として1つの塊にしますと3.5%。導入後が98.1が維持改善であり まして、悪化が1.9%という形になっております。  8ページです。この結果から、介護予防の主な目的として、悪化をさせないという観点から立 ちますと、前は3.5%の悪化に対して導入後は1.8%の悪化ということになりますので、この差が 単純に言えば直接引けば1.6%、割合で行くと40〜50%減少するということがここでは確認をさ れたとところであります。これが特定高齢者施策での評価であります。  予防給付につきましても、これは全く同じ考え方で行っておりますので、対照群がコントロー ル群が違うだけで、考え方は全く同じですので、これから御説明をさせていただきます。  9ページ目の「(1)新予防給付導入前(コントロール群)」であります。これは継続的評価 分析事業の調査対象となった市町村の住民であり、かつ平成16年1月から12月までの間に要支 援者として予防給付を受けていた者を対象とします。これは介護給付費請求書、つまりレセプト を用いてデータを抽出したところであります。  導入後につきましては、特定高齢者施策の場合を説明したときと全く同じように、19年1月か ら開始された継続的評価分析支援事業において対象となった者では、1と2、つまり登録時に要 支援1のもの、登録後1回以上の追跡が行われた者。つまり2回の追跡が行われた者ということ であります。  これは説明が遅れましたが、要支援1のものを対象としたというのは、そのページの「4.1. 効果分析に用いる対象者」に戻りますが、平成18年4月の新予防給付導入前に要支援者であっ た者は、予防給付が行われていた。また、新予防給付導入前に要支援であった者と同等の状況に ある者については、平成18年4月以降に要支援1として新予防給付を受けている。  そこで新予防給付導入の効果分析を用いる調査群としては、コントロール群として新予防給付 導入前に要支援であった者、後は要支援1の者とすることが適切であると、ここで判断をしたわ けであります。そして、比較する集団を可能な限り類似したものとするため、先ほど申し上げま した2つの調査対象地域から抽出したところであります。  この結果につきましても、参考資料1と次の10ページの両方の表をごらんになっていただけ れば、理解しやすいかと思います。1万2,000人・月ずつに合わせますと、導入前は維持改善し ているのが1万179、要支援2以下が1,573、1,566ということで、維持改善群が84.8%、後が15.2% であります。  同様に後の方は、その値が92.7%、悪化群は7.3%という形になっておりまして、この差が結 果として、導入前が悪化群の占める割合が15.2%に対して、導入後は7.3%になりましたので、 この差では7.9が効果として、7.9が減少することが確認をされたところでありまして、割合で言 いますと4〜5割の減少ということになるわけであります。  参考資料1の方で、説明を言い忘れたことがありまして、特定高齢者施策の導入前の評価に当 たりましては、1年前の値と1年後で、値は2ポイントしかデータがありません。そのために途 中の経過、つまりいつから要支援状態になったのか、要介護状態になったかということはわかり ませんので、それは一定の割合で毎月発生すると考えて、この人・月を計算したところでありま して、予防給付の場合は、それはすべてわかりますが、特定高齢者施策の前の方につきましては、 1年前と1年後の結果しかないということで、その間にいつ介護状態になったかということは全 く確率的に一定の割合で発生すると仮定を置きました。逆に言うと、その半分である6か月後に 介護状態に変化が起こったと仮定を置いております。説明をさせていただきました。  戻りまして、11ページ「5.仮集計に関する結論」としまして、少し繰り返しになるかもしれ ませんが、平成19月11月末までに得られたデータを仮集計し、1,000人の対象者を1年間追跡 した場合として、人・月の単位で算出したところであります。  その結果、特定高齢者施策については、悪化群の占める割合が導入前が3.5%から1.9%、その 差は1.6%に減少しています。新予防給付の方は、要支援1の者について、悪化の占める割合が 15.2から7.3に減少したということがあります。このことから、新たな介護予防施策を導入した ことによって、導入前と比べ維持改善する人・月の割合が増加して悪化する割合が減少したとい うことが示されたと思っております。  ただ、こうした人・月法に基づく変化の割合を直ちに介護予防効果の大きさとみなすことにつ いては、いろんな方々の御議論がありますので、ここでは結論というよりも結果についてお話を 申し上げました。  12ページ目、今後の検討の方向性ということであります。「6.1.新たな介護予防施策導入 の効果分析について」ということで、これも少し重なるところがありますけれども、今回仮集計 によって得られた人・月単位での計算をした場合は、導入前後で比較した割合の変化について、 定量的にその効果を評価するための分析方法としては、この結果を用いて、定量的に次にどのよ うな分析をするかということで、2つの方法が考えられるということで入れさせていただきまし た。  (1)実際にある集団において悪化した人数のデータを用いて、悪化発生率、母集団の人数に対し て、1年間で新たに何人悪化するかといった悪化累積人数の割合を算出する方法が一つ考えられ ます。  (2)状態の変化に関する調査結果。今回は人・月からですけれども、毎月同じ人数が悪化すると 仮定して、悪化発生率を推計する方法といったものが考えられるということであります。  人の単位で表していくということを今後行うことによって、よりわかりやすい効果の測定、場 合によっては、より適切な効果の測定ができるのではないかということで、(1)の方法について、 今後検討していきたいと考えております。  次に6.2.として、費用対効果分析についてであります。今回は効果について仮集計として お示しをしたところですが、いずれ費用の計算もしていくことになるかと思います。施策の費用 対効果とは、ある施策に投入された費用とそれに得られる効果との関係を数値化して比較分析 し、その施策の妥当性を検証するものであります。  したがって、新たな介護予防施策導入の費用対効果を分析するに当たっては、介護予防施策導 入前及び後の集団を一定期間追跡する期間中に、それぞれかかった費用及び得られた効果を算出 した上で、その比較を行うことが適当であります。  費用対効果分析を実施するに当たっては、今後は以下の事項について検討する必要があるとい うことで、2つほど挙げまして、費用については介護後予防を目的として投入される費用と、調 査対象者の追跡期間中に生じた介護給付費の変化をどのように算出することが適切なのか。ま た、それぞれの費用算出に用いる単価については、どのデータを用いることが適当か。こういっ たようなことを今後しっかり詰めていく必要があると考えております。  少し長くなりましたけれども、以上、私の方から説明をさせていただきました。ありがとうご ざいました。 ○辻座長 大久保先生、どうもありがとうございました。  制度導入後の状況については、この継続的評価支援事業でデータが出るわけですが、本当に効 果があるかどうかということを議論するときには、何らかの比較対象がないといけないわけであ りまして、介護予防をやっていない状況でのデータが必要だったわけです。それで制度導入以前 の過去のデータを求めざるを得なかった訳です。ほかにデータは存在しないのでありますから、 特定高齢者施策につきましては、基本チェックリストの設計をするときに、妥当性の調査でお願 いした12市町村、約8,000名の回答者がいらっしゃいましたので、その方々の1年後のデータを 調査して集計したということであります。この集計に当たりましては、鈴木先生に大変お世話に なりまして、どうもありがとうございました。  そして、予防給付につきましても、83市町村。今回の継続評価に参加してくださっている同じ 市町村の介護給付費の請求書、レセプトデータを1年間に渡って集計をするという非常に膨大な 作業だったわけです。それにつきまして、大久保先生に大変ご面倒をいただいたことを改めて、 お礼を申し上げたいと思います。  それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。どうぞ よろしくお願いします。 ○津下委員 あいち健康の森の津下と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  当初から比較するというデザインではなく、ヒストリカルコントロールという難しい手法でま とめられたということで、ご苦労に対して尊敬を表するものですけれども、この2群の対象者の 特性に違いはありませんでしょうか。つまり、特定高齢者と認定する要件として、運動器、口腔、 栄養とさまざまなものが含まれておりますし、認知症のチェックが打ってあるものと打っていな いものというような、対象集団にずれがないかどうかということが非常に気になる点でありま す。  また、2回チェックを受けているということですが、その間にどのようなサービスを受けてい るかということについてはいかがでしょうか。実施群は継続的な評価を行っているということで すから介護予防サービスを受けているものの前後評価というようになるかと思いますけれども、 その予防サービスの中身等についてはいろいろな要素があるものですから、その辺りの状況につ いてお知らせいただければと思います。 ○辻座長 まず2点目の利用している介護予防サービスの状況につきましては、2つ答えがあり まして、1つは利用回数の問題等につきましては後で御報告がありますので、それをお待ちいた だきたいということ。  もう一つは、継続評価に関しましては、どういうサービスをどれくらい受けているかというの は、かなり詳細なデータが入っているんですけれども、これにつきましては、どういったサービ スを受けているか受けていないかで、その後の変化がどれくらい変わるかということは、今、集 計している最中で、これは後日また別の検討会で御報告したいと思います。  最初の質問で、特定高齢者を動かすヒストリックコントロールの方法で、どの程度その比較可 能性があるのかという御質問だと思いますが、鈴木先生はそれについてお願いできますでしょう か。 ○鈴木委員 ヒストリカルコントロールというか、その特定高齢者施策導入前のコントロール群 ですけれども、これは導入後の特定高齢者にできるだけ類似した集団を切り出す作業が必要にな ります。  その場合には、17年度の特定高齢者の候補者の選定基準を満たした上で、更に導入後の特定高 齢者と類似した、すなわち性と年齢階層、もう一つは基本チェックリストで判断された生活機能 の3つの層別から選定してあります。  これを用いて両者とも相互の類似性を下げることができるわけですけれども、特に平成18年 8月の段階では、まだ特定高齢者の制度が導入されて非常に短期間であったということで、利用 できるものとして一番信頼性の高い、いわゆる運動器に関する特性分布を用いて、その導入前と 導入後での特定高齢者としての性質を極めてよく類似させたという操作を行っております。  以上です。 ○辻座長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。 ○石田委員 皆さんから余りお話がないようなので、稲城市でもこの事業を実施していますの で、そういった観点から、少しお話をさせていただきたいと思います。  対象に対しての調査というのは、やはり2点です。稲城でも非常に少なかったということです。 なかなか質問が難しかったということで、現場からは認知症にかかる方について、あるいは家族 の前で質問することは難しかったことがあるんですけれども、特定の方に対しての質問は割と精 緻にできたと思います。  今回こういった結果がある程度、目に見える形で出たということについては、私は評価できる のではないかと思います。市町村は介護予防事業を実施して既に2年ですけれども、そろそろそ の市町村独自での分析も必要になってきて、また次期介護保険事業計画の中でその効果をそれぞ れ分析しなければならない時期に来ているわけでありますが、それぞれの市町村ごとにやるとい うよりも、全国的な傾向というものがこういった目に見える形で出るということについては、非 常にわかりやすい結果であったのではないかと思います。  次の課題として、確かにサービスの内容、量、場合によっては地域差があるのかもしれません けれども、そういったことについての分析は恐らく進んでいるのではないかと思いますが、保険 者から見た場合、できるだけ各市町村が簡便にできるような方法を加えていただけるとありがた いと思います。  余談ですけれども、こういった介入の分析以外に若干定性的な効果になるのかもしれませんけ れども、地域活動というんでしょうか。ボランティアを介護予防の中に導入するという施策を行 っていて、いわゆる介護支援ボランティアという制度を実施しているわけなんですけれども、直 接的な支援の投入に加えて、幅広い地域活動というものが介護予防の中に効果があると私どもで は見ていまして、直接投入したというもの以外の裾野の広い効果も想定していいのではないかと 思います。 ○辻座長 ありがとうございます。ほかにどなたかありますか。大川先生。 ○大川委員 短い期間で効果を立証するのは、非常に大変なお仕事であったと思います。という ことをわかりながらの意見でございます。  まず1つは、維持改善と悪化という2群に分けて、その効果をごらんになっているんですが、 介護予防は何も維持をするだけではなくて、より改善までできればいいわけですから、維持と改 善の意味合いはかなり違うわけですので、維持と改善は分けて、改善された群、維持された群、 悪化の群と3群に分けた方がいいのではないかと思います。恐らくそういう検討をなさったんだ と思うので、もしその辺について何か、これまでわかったことがあれば、お教えいただければと 思います。  2点目です。予防給付の群におきまして、制度の導入後は要支援1が2になった方も悪化とな っておりますけれども、制度導入前の要支援というグループとその後の要支援1、2というのは かなり似たようなところもありますので、要支援1から2になったのをそのまま悪化と割り切っ てしまうのはなくてもいいのではないかとも思います。  3点目です。特定高齢者の方の制度導入前と導入後を比較しますと、偏りとして気になるとこ ろがございました。導入前の悪化の方の要介護3〜5を見ますと、かなりのパーセントがいらっ しゃるんです。ところが導入後の3〜5を見ると非常に少ない。特定高齢者程度で要介護3〜5 になると、これはほとんど何らかの病気の発症というのはかなり影響しなければ、これほどの悪 化は急激には起きないと思いますので、その辺の偏りは何かあるのではないかと思います。  それと関連して申し上げると、先ほど御説明がございましたけれども、やはりこの調整をする というのが、性年齢チェックリストで調整をするということの調整の仕方が一番難しいところか なというのは、津下先生もおっしゃったとおりなんですけれども、先ほどの御説明でしたらば、 物すごく苦労なさったことはわかるんですが、現状に今日お出しいただいたデータは運動器の特 性に関しての分布をかなりマッチさせるようなものだったと。ですが、もしこの後、費用対効果 などを見るとすれば、運動器に関してはかなり言えるのかもしれませんが、本当に介護予防全般 の効果であるとか、ほかのサービスの効果などを見るときには、この調整はもう少しいろんな観 点で検討していただくことも必要なのではないかと思いました。  以上です。 ○辻座長 ありがとうございました。4点御指摘があったかと思うのですが、大久保先生、まず お願いできますでしょうか。 ○大久保委員 最初の維持改善を1つのグループにしているけれども、維持と改善を違うので分 けたらどうかというお話があったかと思います。それにつきましては、特定高齢者施策の導入前 については、改善したか否かはわからない。悪化した者しか把握できないというところで、ここ では維持改善を維持群と悪化群に分けることは困難です。悪化群の割合しかわからないという状 況であります。同様に予防給付のレセプトデータですので、よくなったというデータがここでは 把握はできないということで、どうやって把握するかはいろいろとこれから考えなければいけな いかもしれませんが、現状の一致は把握はできなかったということで、一応回答させていただき ます。 ○辻座長 では、要支援の方は。 ○大久保委員 要支援は、私も介護保険制度の介護の状況については詳しくはわかりませんが、 昔の要支援は現在の要支援1ということで、ここは単純に要支援1を対象にしたわけですから、 2になったというのは制度上もワンランク落ちたということになりますので、一応素直に悪化と 考えたところであります。  介護4〜5が前で多いというのは、たしかいろんな状況があるかもしれませんが、これは事実 としてこうなったということで、そのまま分析に加えさせていただきましたが、一応本当は更に 傷病などによる調整も必要なのかもしれませんが、それはどこまで調整するかということで、ま た御議論いただければと思いますが、とりあえず素直な結果として、これをお示しさせていただ きました。 ○辻座長 ありがとうございます。今の大川先生の御指摘の3点目ですね。この要介護3〜5へ の移行が多いのではないか。特に制度改正前の方でという話ですが、これは実は特定高齢者だけ ではなく、予防給付も同じなんです。ですから、その理由はわからないのですが、制度導入前に 比べて後では、特定高齢者でも要支援の方でも要介護3〜5に悪化する方の割合はかなり減って いるという事実があります。  もしも特定高齢者だけでそういうことが起こっていて、予防給付でそれが起きてなかったら、 何かデータの偏りはないかかという議論もできるかと思いますが、予防給付に関しては前も後も 同じ市町村でのデータですので、データの偏りは余り考えられない状況です。両方とも共通して 見られたということは、どうも重度者の発生を何らかの形で予防できていることが示唆されま す。  ただ、そのメカニズムはまだわからないので、今後データがあれば、一人ひとりどういう原因 で悪化したのかを調べたいと思うのですが、制度導入前については難しいかと思うのですけれど も、その辺と特定高齢者の方のマッチングの話を含めて、鈴木先生、コメントをいただければと 思います。 ○鈴木委員 大川先生の御指摘のとおりだと思います。ただ、導入前ですと、多分これは疾病発 症だと思いますけれども、疾病発症によって重度の要介護の方々が導入後よりも特定高齢者ある いは予防給付対象者において多くなっているのかという理由は、はっきり言ってわかりません。 ただ、一つのありうる理由としては、導入後は判定医が「要医療」と「要介護」を分けているこ とが、 導入後での重大な疾病発生をいわば予防しているという可能性があるかも知れません。  もう一つ、運動器だけで見ているけれども、それだけで十分かという御指摘ですけれども、で きるだけ多くのほかの生活機能もすべて踏まえた上で見るべきだとは思います。  ただ、やはり頻度と言いましょうか、特定高齢者の候補者としてなり得る対象者の一番多い割 合というのは、やはり運動器でございまして、それはかなり信頼性が高いだろうということで選 びました。  それから、例えば低栄養ですと、やはりアルブミンであるとか、あるいは口腔機能であれば反 復嚥下テストですとか、そういったような他の測定データが本来入るべきだろうと思うんです が、それ以外のデータがこの段階ではありませんので、そういったようなことも考慮して、とり あえず運動器が妥当性が一番高いのではないかということで、いわゆるバックグラウンドデータ をそろえたということでございます。  以上です。 ○辻座長 ありがとうございます。杉山先生。 ○杉山委員 大川先生の御指摘のように、運動機能が対象になっておりますが、導入前のコント ロ−ルと導入後の把握の方法の相違がなかったのかと思います。  例えば、低栄養状態の把握は非常に悪いわけですが、それは検診に来ない人たちは対象とされ ていないということが一つ大きな課題ではないかとも思われます。また、予防給付においても低 栄養状態の把握がなかなかできない状況ですが、これは把握基準が基本チェックリストで取られ ており、厚生労働省の通知どおりには行っていない。つまり、予防給付での栄養改善はBMI30 以上でも、疾患や閉じこもりなどで低栄養状態のおそれがあると判断されれば対象となるのです が、そういう把握がおこなわれてないということがあります。検診に来られる人たちを対象にし たデータになっているということに対して、これからどのように検討していくのかが大切なとこ ろではないかと思っています。 ○辻座長 鈴木先生、何かありますか。 ○鈴木委員 制度導入前は、検診の部分はないんですね。確かに導入後は前と比べると、検診と いうところから対象者を選んだという可能性はあるかと思いますけれども、前に関してもそうい う大きな可能性もあると思っています。 ○辻座長 ほかにいかかですか。津下委員。 ○津下委員 今の件についてですけれども、今回の実施群では3〜11か月の間に2回以上こうい う評価が行われているということですから、評価だけを受けている対象とはまた違う対象群にな るのではないかと思います。こういう、再検までの期間が短い対象者というのは、やはりそれだ け保健サービスにアクセスしている対象者であるということになりますから、1年後に再度分析 する必要があるのかなと思います。  特定高齢者として挙がってきても、実際にサービスに参加する率というのが低いという現状が ありますので、参加している方のデータが中心ではないかと思っています。 ○辻座長 ありがとうございます。今の大川先生の御指摘の3点目ですね。この要介護3〜5へ の移行が多いのではないか。特に制度改正前の方でという話ですが、これは実は特定高齢者だけ ではなく、予防給付も同じなんです。ですから、その理由はわからないのですが、制度導入前に 比べて後では、特定高齢者でも要支援の方でも要介護3〜5に悪化する方の割合はかなり減って いるという事実があります。  もしも特定高齢者だけでそういうことが起こっていて、予防給付でそれが起きてなかったら、 何かデータの偏りはないかかという議論もできるかと思いますが、予防給付に関しては前も後も 同じ市町村でのデータですので、データの偏りは余り考えられない状況です。両方とも共通して 見られたということは、どうも重度者の発生を何らかの形で予防できていることが示唆されま す。  ただ、そのメカニズムはまだわからないので、今後データがあれば、一人ひとりどういう原因 で悪化したのかを調べたいと思うのですが、制度導入前については難しいかと思うのですけれど も、その辺と特定高齢者の方のマッチングの話を含めて、鈴木先生、コメントをいただければと 思います。 ○大渕委員 コントロールをつくるときに、どれくらい因子を整理するかということですけれど も、因子分析とかいうような手法をしておりますと、すごく複数の因子があっても、結局はシン プルな幾つかに集計されることが多くて、恐らくその辺のところは鈴木先生が見られて、運動器 のデータなどである程度説明できるだろうと。私は今までのデータを見ている経験から、恐らく そうだと思います。ですから、たくさんのいろんな因子がありますけれども、それも加味した結 果をコントロールだろうと判断してお聞きしました。  大久保先生はかなり奥ゆかしく、結果はいろんな因子があるから言い切れないとおっしゃって いますけれども、実際には半分くらい悪化率が減っているという事実で、これは私の実際に現場 でやらせていただいている実感と非常に合っておりまして、運動器などであれば改善する方が3 割くらいいらっしゃいまして、これがマクロで見たときにこういう結果になるんだろうと思うん です。  ですから、どこまで突き詰めていっても、奥ゆかしさは残るものだと思いますが、私はこれは 正当に判断して、制度導入によって悪化する方が減ったんだと、そこを前提にしないと次の費用 の方に入れないと思いますので、私の意見としてはそう思っております。  以上であります。 ○辻座長 今、大渕先生の御意見がありましたけれども、それに関連して何かございますか。 ○津下委員 私どもも運動器についての介護予防の介入を行った方々が、その後も継続して自立 した生活を送られていたり、人生に対する考え方が変わるということも体験しており、改善効果 は実感しておりまして、この結果については納得できるものだと思っております。  もう一歩言うと、特定高齢者の制度というか、この制度が開始されてから介護予防プログラム を受けた人が対象者になっており、そういうことに参加することによって効果があったというこ とですが、今後、プログラムに参加しなかった人が1年後に再度チェックを受けるという状況が 出てくると思うんですけれども、そこと明らかに差が出てくるということが示されれば、介護予 防事業のプログラムに参加することの有用性というのが明らかになるのかなと考えています。  ですから、1年後にこのサービスを受けなかった対象者がどうなんだろうということと比較が できると非常に有意義ではないかと思っています。 ○辻座長 先生、これはサービスを受け続けている方しかデータがないんです。 ○津下委員 6か月後で御卒業になってしまって1年後のチェックを受けないという場合がある ということかもしれませんが、1年後もただチェックを受けただけの方と、プログラムに参加し て6か月後の評価を受けた方とでは、やはり違うというようなデータが出れば、この制度という よりももう一つ進んで、そのサービスに参加した人の効果、というような意味づけができるのか なと思います。 ○辻座長 ほかにありますか。 ○植田委員 恐らく鈴木先生の方からありましたように、運動器を基準にしてヒストリカルなコ ントロールをやったということなのですが、口腔も多分栄養もそうだと思いますが、実際に問題 があるにもかかわらず、こういうところのメニューにプログラムが入ってこられないという方が 口腔に関しては特に多いわけですね。  もし仮に制度的にそのような部分がある程度改善されれば、それこそ改善だの維持だのという 率にはもっと反映されていくのかなという気がしています。今後、内容的な分析はまたきっちり されるということですので、その部分の整合性を付けるような時期を期待しています。 ○辻座長 ありがとうございます。補足ですが、参考資料3の平成18年度の介護予防事業報告 の5ページを見ますと、通所型介護予防事業の実施状況が置いてあります。実施箇所数では、総 数8,641のうち、運動器の機能向上が4,002、栄養改善が1,393、口腔機能の向上が1,400という ことで、口腔と栄養がかなり少ないのです。  しかも、その次に実施回数や参加実人数が書いてありますが、例えば参加実人数で言うと運動 器の機能向上に参加している方は2万6,000人いらっしゃるのに対して、栄養改善は6,900、口腔 機能の向上は8,200とかなり少ない。これは、ニーズの問題だけではなくて、サービスが本当に 提供されていないところもあるわけです。  今後サービスの普及状況自体が変わっていくわけで、そういった中でどのようにアウトプット が変わっていくかということも時系列的に見ていきたいと思います。  ほかにございますか。 ○坂元委員 川崎市の坂元でございます。我々もいろいろな形で高齢者の健康づくりのためのい ろんな介入事業は過去にずっとやってきて、やはり実績として何らかの介入をやれば、元気にな っていくというのは確かに言えるとおもいます。  ただ、その元気になるパーセンテージがどれくらいかというのは、やり方にもよると思います が、決して意味のないことではないと私は思っています。ただ、今後どれだけ多くの人を介入さ せて参加させるかということ、そういう施策をどうやって進めて行けば効果があるということを 踏まえて、どのように計画を立てるかを今一生懸命考えているところで、今日の話を参考にさせ ていただきたいと思います。ありがとうございます。 ○辻座長 どうぞ。 ○岩越委員 近江八幡市の岩越です。先ほどからのお話を聞いておりますと、私どもは実践して いるものとしましては、やはり運動器の機能向上の事業に参加されている方が9割以上が効果を 出しておられます。具体的には、やはり身体的な状況としては、やはり足が上がりやすくなって、 つまづきが少なくなったとか、生活の範囲が広がって、更にそれとともに社会的な交流の場面に 出ていけるということで、かなり参加された方はモチベーションが上がっているという状況で す。  ただ、今の意見にもありましたように、参加されている方しか今の予防的な効果が出ていない ということで言いますと、本当にごくわずかな方だけがかけた費用に対しての予防効果が出てい るところがありますので、そういう意味では先ほどおっしゃっていただいたような、全体的な高 齢者の方に向けて、多分運動器が中心になるかと思うんですけれども、そういう辺りの方法論を 使って、いかに介護予防の場面とか、そういう方法論をつくり出していくかという辺りが実際の 現場では工夫しているところです。  そして、ごく少ない特定高齢者となって運動器の機能向上の事業に参加された方が、3か月、 6か月を終わられた後に、その運動を続けるということだけが目的になってしまっている状況が あるので、やはりそこに来られる方はまたごく一部の方になりますので、そこから次にどこに向 けて生活の維持であったりとか、予防の生活をどんな形で送ってもらえるかというのを次の広が りという基盤整備も必要になってくると思います。  以上です。 ○辻座長 ありがとうございました。全体を通しまして、この資料2につきまして、何かもう少 し補足とかありますか。大渕先生。 ○大渕委員 対象者の把握について、少し意見があったと思うんですけれども、余りうまく把握 できていないということもあったと思うんですが、私が思っているのはこの介護予防事業を始め る前は、元気な人が集まってきて、どこに行っても同じ顔の人で、辻先生もおっしゃっていたと 思いますけれども、金太郎あめとか言われていた状態だったと思うんです。  それが少ないながらも、やはり一番大事な人が集まってきているというところで、私はこれは ネガティブに判断するものではなくて、少ないながらも本当に必要な人が集まってきているんだ とポジティブにとらえて、その上で今、課題になっていた口腔の問題ですとか栄養の問題ですと か、皆様方に普及啓発の部分をもっと進めていって、やはりやってみたいサービスだと思ってい ただくとか、そういうふうな形での議論の広がり。さもなくば、要するに人が少ないから、また 一般でもいいから、どんどん入れてしまえと。虚弱な人が行こうとしたときには、もうグループ ができてしまって入れない。  自治体とかでお話を聞いていると、またそういう議論の方に戻っていってしまうようなところ もありますので、私はこういう委員会のところでは、確実にいい対象者が把握できたんだという ことを確認して、議論をするべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○辻座長 何か御発言はございますか。 ○坂元委員 川崎市は今後これを進めていく場合、どのように対象を集めるかということで、内 部でいろいろ議論をしております。川崎市では65歳以上の全員に個別通知をする方針でありま す。またこの担当の非常勤の保健師を18名増員して、該当者に一応電話攻勢をかけて介入する 予定です。  返事が返ってこない人はどうするかということは、それもできる範囲で地区、組織等を利用し て掘り起こしをやっていくということも考えております。大都市では非常に珍しい65歳以上の 高齢者の全戸通知をするという方針ですが、なかなか140万近い都市で大都市となると地域への 帰属性も薄すく、地域性も希薄化している中で、地域活力や組織を使って対象者の掘り起こしを どうやっていくかというのは、非常に悩ましいところです。 以上です。 ○辻座長 どうぞ。 ○石田委員 介護予防事業が今回のデータは対象にふさわしい人を抽出して、適切な介入をした という結果なんだろうと思うわけですけれども、私どもに市でも確かに介護予防事業、特定高齢 者に対する事業が非常に限られていて、限られた中でも対象とすれば、スクリーニングがきちん とすれば効果があるということがわかったということであります。  更に実はそこだけがポイントではなくて、そこから例えば卒業した方が自主グループ化をし て、地域でそれがどんどん広がっていくと。その卒業生が地域の人を巻き込んで、地域ぐるみで 活動をしていく。また、地域で盆踊りを介護予防対策に取り入れたり、高齢者が歌で、地域ごと に競い合うような運動も稲城の中で生まれてきています。  今日のこういった結論というんでしょうか。ある程度効果があるというのは非常に限られたデ ータの中であると思うんですけれども、その裾野というんでしょうか。介護予防の事業をきっか けに地域での介護予防の危惧、高齢者に対する関心が非常に高まっているので、費用対効果を見 た場合、この事業にかかる特定高齢者だけではなくて、もっと広く効果というものを見てもいい のではないかと思います。やはり一般高齢者に対する特定構成者からの影響も非常にあって、広 がりがある。  したがって、介護保険の財政の面からも、稲城の中では非常にいい効果が出ているのではない かと思われますので、議論が余り小さなくならないように、できるだけ広く施策の中で非常にい い位置づけをしていただけるといいのかなと思います。 ○辻座長 ありがとうございます。先ほどの川崎の議論などで考えますと、ほかにも幾つかの市 町村で全数調査をやっているところを知っているのですけれども、そのデータを基に何ができる かというと、特定高齢者の対象者を把握することに加えて、もう一つは地区別に集計することに よって、地域における介護予防のニーズがわかってくるのです。  例えばこの地区は閉じこもりの人が多いとか、この地区は栄養改善のニーズがある人が多いと か。そういったことがわかってくると、各地区でどういう事業を打つかがわかってくるわけです。 基本チェックリストの使い方は、単に特定高齢者を決めるだけではなくて、地区の介護予防のニ ーズを把握して、立案評価につなげることが非常に重要なことだと思います。  ただ、そのためには全数調査をしなければいけないという非常に手間やお金がかかるわけです けれども、恐らくやっただけの価値はあるのではないかということを実感している市町村も数 件、私は知っていおります。  ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、とりあえずこの議題1の方は以上にさせていただきまして、議題2の方に移らせて いただきたいと思います。  議題2では、介護予防サービスの利用回数の変化ということであります。これにつきましても、 研究班において仮集計を行わせていただきましたので、その結果を私の方から資料3に基づい て、御説明したいと思います。  資料3と参考資料2を横に並べてご覧いただければと思います。  今回の制度改革によって、サービスを受けた回数が減っているのではないか、どうなのだろう かという議論があるようでありまして、それについて、今回の継続評価分析支「1.はじめに」 に書いていますが、通所介護、通所リハビリテーション、訪問介護につきまして、サービスを受 けた回数が聞き取りされています。ですので、18年度の介護予防サービス導入前後における、こ のサービス利用回数の変化について、仮集計を行ったということであります。  「2.使用する調査項目について」であります。調査票は本日配付しておりませんが、それに 関わるところだけ抜き出してコピーしております。仮集計を行うに当たっては、以下の4つの調 査項目を用いました。  (1)現在の要介護認定等の状況。  (2)現在の要介護認定等になる前の要介護等の状況。  (3)介護予防サービス等の内容。  (4)現在の要介護状態等になる前のサービス。 そのコピーが資料3の9ページ以降にあります。9ページを開けていただきますと、最初に「調 査用紙(抜粋)」となっておりまして、今回の分析において集計で使った項目はすべてここに書 かれています。  「調査用紙P2」で氏名、性、生年月日があります。  「調査用紙P3」として「2 要介護認定等の状況」。  「1)要介護認定等の状況について、お答えください」。  「(1)現在の要介護認定等の状況」。「1.特定高齢者」「2.要支援1」「3.要支援2」。 その認定の年月日も聞いております。  その次に、現在の要介護認定等になる前の要介護認定等の状況ということで、1〜11番のうち、 当てはまるものを1つだけお答えいただくということで、これは初回のみ回答と書いています が、これは同じ方に複数回調査するわけですが、これは1回目の調査のときだけしか聞かないと いうことであります。  10ページ目を開けていただきますと、これは本来の三十数ページからなる調査用紙の6ページ 目のコピーでありまして、「3.介護予防サービス等の内容」ということで「介護予防ケアプラ ンに含まれるサービス及びプログラムについて、お答えください」。  「実施回数」については、調査開始時は予定される回数を記入し、その後はその前月の実績回 数を記入してくださいということでありまして、予防給付として「(1)介護予防通所介護」を 実施回数は月何回。  「(2)介護予防通所リハビリテーション」の実施回数は月何回。  「(3)介護予防訪問介護」の実施回数は月何回。 「(4)その他のサービス」がありますが、これは利用しているか否かで丸を付けていくだけで ありまして、回数は聞いておりません。  11ページをご覧いただきますと「調査用紙P9」で「現在の要介護状態等(特定高齢者、要支 援1・2)になる前(1か月間)のサービスの内容と実施回数について、初回の調査時のみお答 えください」。  「4」現在の要介護状態等になる前のサービス」ということで、特にこの制度改正前の予防給 付、介護給付ということで、「1.通所介護」「2.通所リハビリテーション」「3.訪問介護」 ということで、それぞれについて月何回かを書いていただいています。要はこの資料10ページ の介護予防通所介護は月何回、介護予防通所リハビリテーションは月何回、介護予防訪問介護は 月何回という数字と、11ページの制度改正前の予防給付、介護給付で、通所介護、通所リハビリ テーション、訪問介護のそれぞれで月何回か比較したものであります。  1ページ目に戻っていただきたいと思います。この調査につきましては、登録時にその対象者 の聞き取りに基づいて、地域包括支援センターで記載されたものであります。  対象者の選定はかなり入り組んでおりますので、少し細かくご説明をしたいと思います。参考 資料2をご覧いただきますと、まず平成19年1月1日にこの登録が始まったわけですが、11月 30日までの11か月間で、参加市町村83市町村からデータを送信していただいた方が、これは実 数で1万3,319名いらっしゃいます。 そのうち下記の(1)〜(4)の条件に当てはまるもの を除外しました。40歳未満または106歳以上と、生年月日から計算される年齢があったのですが、 これはどうも入力ミスではないかということで、まず18名の方は除外いたしました。  要介護度の状況についての記入がなかった162名も除外いたしまして、1万3,139名が対象な るわけです。そのうち特定高齢者が1,463名、要支援1が5,604名、要支援2が6,072名それぞれ いらっしゃるわけなんですが、今回これは要支援1、2に限定されますので、特定高齢者1,463 名は除外いたしまして、1万1,676名の方が残ります。  次に出てくる右の矢印は、「前の状態ではどうだったか」ということで、新予防給付を利用し ていたという方は比較の対象になりませんので除外します。4,576名の方を除外し、またその前 に一般高齢者、特定高齢者、要支援1と2といった方々も制度改正後の状態でありますので、改 正前後で比べることはできませんので、この方々4,359名も除外します。  残った方が2,741名いらっしゃいまして、要支援1の方が954名、要支援2の方が1,787名で した。この方々は今回の要介護認定等になる以前の状態として、制度改正前の要介護認定等をお 答えいただいている方であります。  そこで2,741名の方をグループ1〜3と分けます。グループ1は554名ですが、この方々は参 考資料2の四角枠の中をご覧いただきますとわかりやすいのですが、平成19年1月以降の要介 護度が要支援1という方が357名いらっしゃいますが、18年3月以前は、要介護1が322名、要 介護2が26名、要介護3が8名、要介護4が1名でありまして、要するにこの方々は、18年3 月以前に比べて19年1月以降の要介護度は改善している。軽度になっているということです。  下の方も要支援2の方が197名いらっしゃいますが、その方々の18年3月以前の要介護度は2 〜5ということで、この方々は改善者であります。ですから、グループ1の554名の方は、制度 改正前に比べて制度改正後は改善している方々です。  グループ2は1,928名いらっしゃいますが、そのうち597名が要支援1で、制度改正前も要支 援という状態。そして要支援2の方が1,331名ですが、その方々は制度改正前は要介護1であり まして、要するにこの1,928名の方は制度改正の前後で要介護認定度は変わっていない、維持さ れているという方々であります。  そして、グループ3は259名いらっしゃるんですが、この方々は19年1月以降の要介護度は 要支援2ですが、平成18年3月以前、つまり制度改正の前は要支援だった方でありまして、つ まり要介護度が重くなっているという方々です。制度改正の前後で比べて改善・維持・悪化とい う3つのグループで見たということであります。  資料3に戻っていただきますと、1ページ目が以上の説明でありす。  そこで2ページ目をご覧いただきますと「4.解析対象者の分類について」ということで、グ ループ1は554名、グループ2は1,928名。この辺は詳しく説明いたしましたので、省略いたし ます。  3ページを見ていただきますと、グループ3の悪化した方々です。その3つのグループについ て見る。  「5.分類ごとのサービス利用回数について」ということで、通所介護、通所リハビリテーシ ョン、訪問介護所の各サービスにつきまして、一月当たり何回だったかということで回答してい ただいております。  ただ、一つご注意が必要なのは、現在の利用については現在のものでありますけれども、その 制度改正以前についてはそれなりのタイムラグがありますので、思い出しによるものだというこ とはご理解いただきたいと思います。各グループごとに、改正前と改正後でサービスの平均回数 と標準偏差をT検定で行ったものです。  3ページの下の方に書いていますが、1つ注意書きがあります。各サービスにつきまして、そ の前後のいずれにおきましても、当該制度の回数が記載されているものだけを抽出しております ので、利用しているところに丸が付いていて、回数のところが空欄の方が若干名いらっしゃるの ですが、その方々については解析の仕様がなかったということであります。  そこで4ページ目をご覧ください。4ページ目の結果はグループ1の方々であります。つまり 制度改正前は要介護1〜4の状態でありまして、改正後は要支援1だった方。つまり、その前後 で改善があった方々。 それを見ますと、357名のうち、通所介護を受けていた方が132名であります。その方々で見ま すと、改正前では月平均5.4回が改正後4.5回ということで、平均して月辺り1回少なくなって いる。そしてP値が0.00001未満ですので、統計学的にも有意に減少している。  そして、通所リハビリテーションを使用している方々が59名いらっしゃったのですが、改正 前の平均利用回数が6.9に対して、改正後は4.8、月当たり2回減っており、有意に減っている。 訪問介護も7.3から6.3ということで、約1回減っている。すべて有意に下がっております。こ れは基本的には要介護度の区分が軽くなっていますので、利用回数そのものが減るというのは制 度改正がどうのこうのというよりも、むしろ制度改正がなかったとしても要介護区分が変われ ば、それに応じて変わるという範囲の中かなという気がいたします。  参考として下に書いてありますのは、上記のうち、いずれか一種類のサービスのみを利用して いる方。つまり通所介護のみN=79と書いていますが、上の132と何が違うかと言いますと、通 所介護を利用している132名のうち、訪問介護や通所リハビリも利用しているという方、つまり 重複があるわけです。それに対して下の通所介護のみ79名の方は通所介護だけを利用していて、 ほかの2種類のサービスは使っていないという方に限定しています。その結果は上と同様であり ます。  5ページをご覧ください。これは要支援2のうち改善した方々(グループ1)です。通所介護 は、改正前7.6回から改正後7.1回、通所リハビリテーションは改正前8.4回から7.7回。それぞ れ下がってはいますけれども、統計学的には有意な差ではない。訪問介護につきましては、月平 均12.7から8.7ということで、月平均4回、週にして1回の割合で有意に減っているということ であります。ただ、この減っているということについては、先ほど申し上げましたように、要介 護区分が軽くなっていることに伴う給付の減少ということではないかと思うものです。  6ページに入ります。これはグループ2、つまり制度改正前後で要介護区分が変わっていない 方であります。制度改正前は要支援で改正後は要支援1という方では、通所介護は改正前の平均 4.8が改正後は平均4.5ということで、月当たり平均0.2回下がっておりまして、統計学的にはp 値が0.04ということでぎりぎり有意な差ということであります。  通所リハビリテーションは平均5.5回に対して、改正後は平均4.9回ということで、0.6回下が っておりますが、これはぎりぎり有意ではない。微妙なところであります。訪問介護に関しては 6.0が5.8ということで、ほとんど差がないということでありまして、統計学的には有意になった りならなかったりしますが、月当たり0.2回の差あるいは0.6回の差というような状況でありま す。  7ページをご覧いただきますと、同じく維持群のうち、制度改正前は要介護1、改正後は要支 援2という方々ですが、通所介護の回数には前が6.7、後が6.7で変わらず。通所リハビリテーシ ョンは7.5回が7.2回ということで、ぎりぎり有意ではないけれども、下がる傾向にある。  訪問介護につきましては8.4回が7.3回で、月平均で訪問介護の利用回数が1.1回減っている。 しかも、これは統計学的に有意であります。これについては統計学的にも、実際に1回以上の差 ということで、減っているんだなということがわかります。参考の方をご覧いただきましても、 上と全く同じ状況であります。  8ページをご覧いただきたいんですが、これはグループ3で、改正前に比べて要介護度が重く なっている方であります。それを見ますと、通所介護で言いますと、改正前は平均5.3回が改正 後では6.1回ということで、当然、統計学的にも有意でありまして、増えている。そして、通所 リハビリテーションも6.7から6.8へ、訪問介護につきましては6.7から6.9へということで、増 えていますけれども、0.1〜0.2回でありまして、統計学的にも有意ではないかといった状況であ ります。  以上、駆け足で申し訳ありませんが、制度改正の前後に介護予防サービスの利用回数がどのよ うに変化したかについて、ご報告いたしました。  これにつきまして、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。 ○大渕委員 この議論に付いていけていなくて恐縮なんですけれども、このサービス利用回数の 比較の今の趣旨ということと、このグループ分けの趣旨を辻先生にもう一度解説いただきたいと 思いました。 ○辻座長 利用回数を比較することの趣旨でありますけれども、これは制度改正以降、利用回数 が抑制されているのではないかというご意見とかご指摘とか、いろんなことがあることは先生も ご存じだと思うんですけれども、本当にそうなのだろうかということで、きちんとデータを出し たいということが一つのニーズとしてありました。それで出してみたということです。  そこで比べるときに、本当にこれが適切な対象かどうか私も十分わからないのですが、このデ ータベースに含まれている方々で比較すると、これしかなかろうというところまで落とし込んだ かと思うのですが、要するに制度改正以前に介護保険のサービスを受けていたことが確認されて いる方で現在を比べるということなのですが、そのときに単純に比べたのでは、その前後で回数 は変わったことが単に制度改正によるものなのか、あるいはその方々の要介護区分の変化。要介 護度が悪化すれば当然サービスの回数は増えるでしょうし、改善すれば当然回数は減ると思いま すので、そのどちらによるんだということですね。  そういった、そもそもの状態像の変化なのか、制度改正によるものなのかということを切り離 すには、この制度改正前後で要介護区分が改善したグループ、変わらなかったグループ、悪化し たグループの、それぞれで集計してみたということです。よろしいでしょうか。 ○大渕委員 わかりました。 ○石田委員 地域でサービスが要支援者あるいは介護対象者に対してサービスが減ったという ような議論は、余り実感がないんですね。むしろサービスの内容が少し介護予防にふさわしいと いうんでしょうか。そういった考え方がサービスの中にも入ってきているんだろうと思って、単 純に回数だけの比較は余り意味があるのかどうかはわからないんですけれども、私の方では量も 限られているということもありますし、適切な量をその地域で配分するという観点からでは、む しろ適切な方向に向かったのかもしれない。  ただ、中身をよく見ないとまだわからないんですけれども、具体的な行われているサービスの 内容は介護予防にふさわしいサービスであるのかどうかという、そういった変化と併せて回数を 見ないと、これだけで見ると場合によっては誤った解釈を出してしまうのではないかという感じ はします。 ○辻座長 どうぞ。 ○杉山委員 御質問ですが、通所介護ではアクティビティー加算だけの人も対象となっていると いうことですか。 ○辻座長 そうです。 ○杉山委員 そこは分けなくていいんでしょうか。 ○辻座長 またデータに戻って調べてみたいと思います。できるならしてみたいと思います。で きるかどうかわかりません。済みません。 ○津下委員 データについての確認なんですけれども、制度改正前後で同じサービスを受けてい るものということですね。だから、制度改正前後でサービスの対象者が変わったとか、サービス の中身が変わった場合には、どのように取扱いをされているのでしょうか。  つまり、改正前、例えばグループ1の場合ですと、通所介護はトータルNが132ということに なっておりますが、この132は改正前も改正後もこのサービスを受けた132人であって、改正前 はたくさん受けていて、改正後は受けている人数が減ったというようなことはないでしょうか。 1人当たりの回数の比較だけではなくて、その対象者全体の中での参加者数の変化はどのように なっているのか、教えていただけたらと思います。 ○辻座長 これは基本的には個人を単位にして、制度改正の前も後も利用している方について、 利用回数の変化をペアード・t?テストで検定していきます。人によっては過去に使っていなか ったという人がいたり、あるいは過去に使っていたけれども今回は使っていないという方もいら っしゃるわけです。その方々は今回の解析に含まれていません。  今回は出さなかったんですが、対象集団の中で各サービス利用率を見ますと、利用率は改正前 に比べて改正後の方がむしろ高いのです。  回数は少し少なめになっていますけれども、その集団の中で利用している人たちの割合は増え ています。こういう言い方が正しいかどうかわからないのですが、サービスの総投入量といいま すか、アウトプット量はむしろ増えているようですが、そこまで議論していいかどうかわからな かったので、基本的にはペアードt?テストで計算しておりまして、前も後も使っている人たち だけに限定して、回数が増えているか減っているかを見たということでご理解ください。  ほかにどなたかご意見はございますか。よろしいでしょうか。どうぞ。 ○坂元委員 このサービス利用回数についてですが、実は私は週に1回だけ外来で老人を診てい るんですけれども、デイサービスなどの効果が出ると、もっと増やしたらと勧めております。サ ービスの回数が増えたというのは効果があったから増やしたのか、それと効果がないから増やし たのか、そこをもし調べられると、もっと意味合いが違ってくるのではないかと思います。 ○辻座長 ありがとうございます。これはむしろ過去との比較ではなくて、これから受け続けて いる方。まだ7〜8か月くらいのレベルなのですが、これから1年半くらいずっと追跡できる方 が相当数出てくると思いますので、その方々について、これからプロスペクティブに状態像の変 化と利用回数の変化がどのように関わっているのかを見てみたいと思います。どうもありがとう ございます。  ほかにございませんでしょうか。全体と通してとか、あるいは継続評価そのものについて、今 後のこういうことを分析したらどうだとか、そういった御提案とか、何か幅広にいただきたいと 思うんですが、いかがでしょうか。  事務局にお聞きしたいんですけれども、今の御意見なども整理した上で、今後どういううに分 析を進めていくのかについて、大ざっぱにお話をいただけますでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 ありがとうございます。今日も御評価いただいておりますけれども、広い 意味での予防事業としては、特定高齢者に対するものと新予防給付と両方あると思いますが、特 に今まで御議論いただいてきた経過を私なりに考えますと、今後やはり効果について具体的に定 量的にどう図るのかについての御議論をいただくということが1点。  もう一つは、もともとこの検討会は費用対効果分析ということでございます。では、費用をど う見込んだらいいのかというところを具体的に御検討いただくという、この2つのことが残って いるかと思います。  先ほど資料1のスケジュールのところでも申し上げましたけれども、ここの検討会の事業につ いては3年を目途に結果を出していただくということで、最終的には来年3月が最終報告という ことではございますけれども、中間とりまとめとして今年の秋を目途に中間的にとりまとめてい ただくということでございますので、そこについてはまた辻先生、鈴木先生、大久保先生等と御 相談をしながら、今日いただいた御議論を基にさまざまな分析を加えて、この検討会をさせてい ただけたらと思っています。  直接この検討会には関係ないかもしれませんけれども、何人かの先生から今日御議論いだいた 中で、我々も確かにそうだなと思いましたのは、特定高齢者の場合は特にそうなんですけれども、 サービスを受けている場合に、その前の状態とどう違うのか、これはサービス自体の効果として、 それは非常に効果判定が必要だということだと思いますが、特に特定高齢者の場合には対象者に はなっているんだけれども、実際にサービスを受けていない人たちがいるのではないか。この人 たちについて、よりサービスを受けるように手立てをするべきではないかということは、効果の 判定とは別の事象として必要だということを我々も重々認識しておりまして、それについては1 つは、杉山先生からも御議論が出ましたけれども、栄養なり口腔衛生での利用者の増加をこれか らどう図っていくのかということが1つ。  もう一つは、今は25項目でスクリーニングをしていだいていますけれども、19年4月に前回 の18年とは少し緩和した基準にさせていただきましたが、それだけではなくて、今、認定申請 の方の82項目と25項目をどう関連づけたらいいのかということを検討しております。  また、直接、市町村の担当者の方が高齢者にスクリーニングをさせていただくだけではなくて、 例えば家庭で御家族の方が御自分のお宅のおじいちゃんやおばあちゃんについて、コンピュータ を見ながらできるようなことはできないのかということについても、少し間口を広げる形として は、我々の方としても考えたいと思っています。  これは効果判定は別の事象としてありますけれども、辻先生の御質問であった今後ということ については、終点は21年3月ですが、今年の秋に中間とりまとめをしていただきたい。先ほど 申し上げた効果の定量化、費用の参入の仕方。この2点について、今後御議論をいただければと 思っています。  以上です。 ○辻座長 ありがとうございました。効果の定量化と費用対効果、特に費用の問題があるわけな んですが、これからこの検討会を受けまして、老人保健等健康推進事業の研究班の方で具体的に またデータ集計をしていくわけなんですけれども、その研究班の先生が何名かこの検討会にも入 っていらっしゃいますので、御意見をいただきたいと思います。  大久保先生、その費用対効果では何か補足のコメントはございますか。 ○大久保委員 効果というのはなかなか実感がわかないんですが、費用についてはだれでもはっ きりわかりますので、この辺をしっかり今後詰めていかなければいけないと思います。  必ずしも経済学者とか会計の人とか専門家がいるわけではないので、そういった方々の御意見 等も踏まえて、どうやって費用を積み上げていくかということは、さらなる検討が必要かと思い ます。  実は鈴木課長からもお話がありましたけれども、これは今回は施策を受けた人と受けない人の 費用対効果はやっていますけれども、実はいろいろとありまして、新しい制度が導入されても、 その施策を受けられる人数が減ってしまっては、幾ら費用対効果のいい施策を行っていても、ト ータルでの効果は減少してしまう。費用対効果が幾ら上がっても、トータルでの効果は減少して しまいますので、分析として受けたか受けないかということで今は進んでいますけれども、将来 的に時間的な余裕とかがいろいろあれば、対象となる集団全体を把握して費用がどのくらいかか って、例えば先ほど川崎では全員に通知をするというお話がありましたが、そういった費用まで 含めてやるかやらないかとか、議論はどんどん飛躍していくんですけれども、そういったことま で検討して、どうするかは考えないといけないかと思っています。 ○辻座長 ありがとうございます。鈴木先生、この効果の定量化辺りで何かありますか。 ○鈴木委員 これに限らずですけれども、先ほど、津下先生あるいは鈴木課長も御指摘があった と思うんですが、やはりこういったプログラムに参加された方とされなかった方。これは制度の 導入後の話だと思うんです。そこの分析は非常に費用対効果とかだけの問題ではなくて、こうい った施策がどのくらい一般化していくのか。特にこういう制度の根幹だと思うんですけれども、 そこのところを何らかの形で分析ができれば一番いいのかなと思っています。  ただ、どういうデータを使って、あるいは例えば導入前と後の比較ということになると、これ はまた非常に難しい問題を含んでいますけれども、そこのところは先生のおっしゃったことは非 常に重要かと思っています。  以上です。 ○辻座長 ありがとうございました。ほかに御意見はありますか。 ○石田委員 保険者とすると、この効果を事業計画に反映して保険料へ影響させるということ で、非常に関心が高いですね。そういったことから、これをどのように市町村の事業局に反映し ていくか。今回のものも含めてですけれども、次の課題になるのではないかと思います。 ○辻座長 ほかに御意見はございますか。大渕先生。 ○大渕委員 私は運動器に関する解析を少し担当させていただいておりますけれども、効果につ いては今回出された効果のほかに、やはり私自身が大事だと思っているのは、主観的健康観の変 化だと思うんですね。そこのところをしっかり押さえて、これは費用にどう反映させるのかはわ からないんですが、いい施策をして元気になったけれども、幸せではないというのではないけな いと思いますので、私がこれから解析するときには、まずそこを第一にとらえて、それをサポー トする概念として、身体測定のデータがいろいろとございますので、体力がどれくらい変わって いったのか。そういうような形で追加分析的にデータを加えて説明できるような解析にできれば と思っています。  以上です。 ○辻座長 どうぞ。 ○津下委員 費用対効果という話ですが、費用分析をするときにどのタイミングでそれを見てい くのか。すべての予防活動がそうだと思うんですけれども、短期的な指標としては評価が難しく、 先行投資的な意味合いがかなり強くなる部分があるかと思いますので、その評価するまでのスパ ンを考えて見ていくことが非常に大事ではないかと思っています。  介護予防について、このような検討を通して、標準的な評価指標が固まるということは、市町 村の事業の中で自分たちの事業はうまくいっているのかどうなのかを見る物差しができる。全国 平均と比較してみるとこのくらいなんだけれども、自分たちは結構いい効果も出しているんだな とか、もう少し工夫した方がいいということが判定ができる。そういう評価の仕組みができるこ とは非常に重要なことだと思っておりますので、1年後のデータの分析も含め、こういう取組み が市町村にとっても有用であろうと考えています。 ○辻座長 ありがとうございました。ほかにございますか。よろしいでしょうか。  それでは、大体御意見も出たようですので、まとめさせていただきます。今回前半では、介護 予防サービスの効果分析について仮集計をご報告いただきまして、ご議論をいただきました。  この内容について見ますと、一言で言いますと、特定高齢者も予防給付も悪化した状態で暮ら す期間が半分くらいに短縮されているということで、効果を示唆するものではないかと思うので すけれども、あくまでもタイミング的には暫定的な仮集計であるということと、もう一つは悪化 あるいは維持といったことの発生率も含めた指標も別にありますので、そういったことも含めて 総合的に判断していただく。ですから、今回の結果を基に、今、効果があるとかないとか、そう いったことを即断する時期ではまだないと思っております。もう少し総合的に評価してお出しし たいと考えています。  また、制度改正前後でそのサービスの利用回数の比較についてもご報告させていただきました けれども、制度改正前の回数が思い出しでの聞き取りですので、実測ではないということもあり ます。そういった意味での単なる二点比較だということもありますので、このデータから増えて いる減っているということについて、私ども研究者の立場としては、結論めいたものを出すべき でもないのではないか。むしろ現状は、このデータからこういうことが出てきたということにと どめておいた方がよいのではないかと思った次第であります。  今後データの整理が終わった時点で、新年度のできるだけ早い時期に介護予防効果について、 この検討会で議論をしていきたいと思います。また、夏ごろには費用対効果の分析、利用者の属 性ごと、あるいは利用サービスごとの生活機能、基本チェックリストの推移といったものを出し て、今日は皆様からいろんなリクエストがあった効果評価につきまして、具体的なデータを出し て、中間とりまとめを出したいと考えています。  今後の日程といたしまして、最終的には21年3月とりまとめということで、これからまだま だ長いですけれども、またよろしくお願いいたします。では、進行を事務局の方に返したいと思 います。 ○天本課長補佐 それでは、本日の議題はすべて終了いたしました。  第3回「介護予防継続的評価分析等検討会」はこれで終了させていただきます。ありがとうご ざいました。 <照会先>  厚生労働省老健局老人保健課 介護予防係   電話:03(5253)1111 内線3946