08/03/27 第2回私のしごと館のあり方検討会の議事録 第2回 私のしごと館のあり方検討会 日時 平成20年3月27日(木) 10:00〜 場所 厚生労働省省議室 ○座長(加藤) 定刻になりましたので、ただいまから「私のしごと館のあり方検討 会」を開催いたします。本日は大変お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがと うございます。本日は鹿嶋委員、森永委員、吉永委員から欠席の連絡をいただいており ます。前回はご欠席でした委員の紹介をいたします。NPO法人「育て上げ」ネット理事 長の工藤啓委員です。岩谷産業株式会社代表取締役社長の牧野明次委員です。なお新島 局長は、国会出席のため、途中で退席されるとのことです。  議事に入ります。議題1は「第1回検討会における指摘事項について」です。事務局 から資料の説明をお願いいたします。 ○育成支援課長 資料1として用意いたしましたのは、前回3月6日に開催された、第 1回検討会における主なご意見をまとめたものです。項目ごとにまとめたものですが、 スケジュールなどを含め、非常に多岐にわたって活発なご議論をいただきました。これ については、後ほど目を通していただければと思います。  資料2「私のしごと館のあり方検討会」今後のスケジュール(案)です。前回お示し したスケジュールについて変更したいと考えております。前回お示ししたスケジュール では、本日の第2回検討会で、委託についての考え方を取りまとめていただくというこ とでしたが、それを改めて4月9日に第3回を開催することにいたします。第2回と第 3回の2回にわたってご議論いただき、民間委託に関する視点・考え方について取りま とめを行うことを考えております。  私のしごと館の現地視察については、個別でもよいから早く行くべきであるというご 意見がありました。そこで、委員の皆様には既にご案内をしておりますが、都合のよろ しいときにご訪問していただきたいということです。キッザニアについての視察につい ても別途ご案内しております。  資料3は、前回のご議論を踏まえ、座長のご指導もいただきながら議論の整理を行っ た「私のしごと館」の今後のあり方(整理メモ)です。前回のご議論においても、キャ リア教育の必要性・重要性には特にご異論はなかったということを議論の前提に置いた 上で、現在の私のしごと館がキャリア教育推進の上で不可欠な存在なのかどうかという 観点から問題を整理しております。  そこで3つの問題があると整理いたしました。立地の問題、即ちなぜいまの場所を選 んだのか。経営の問題、即ちどんな収支計画だったのか。運営の問題、即ち何がセール スポイントなのか。  立地の問題については、設立時の考え方として、京都・奈良といった修学旅行の目的 地に近いことから設置されたということです。その後、修学旅行の目的地は多様化して いる状況にあります。現在の課題として、いまの場所が推進拠点として適当なのかを見 直すべきではないか、という点が課題としてあるのではないかと整理をいたしました。  経営の問題については、後ほど別の資料でご説明いたしますけれども、設立時の考え 方としては、採算はあまり考えないで設立した経緯があります。その後、費用対効果を 厳しく見るようになってきて、独法の見直しの中で、過大な支出超過の是正が求められ るようになってきました。現在の課題としては、支出超過を極小に抑えることと整理を いたしました。  運営の問題については、前回のご説明で4つのサービスを提供していると言いました。 その中で、展示・体験を1つのサービスとして説明していたのですが、展示と体験は内 容がかなり異なるだろうという点がありますので、それを分けてここでは5つのサービ スと書いております。具体的には、職業体験、展示、ライブラリィ、相談・援助、研修 ・セミナーという5つの事業がありますが、これらの事業は利用者ニーズとのミスマッ チがあるのではないか。そこで現在の課題として、利用者ニーズにマッチした運営に改 める必要があるのではないかと整理をいたしました。  2頁は今後の検討課題です。当面の検討課題と将来的な検討課題があると整理をいた しました。当面の検討課題としては、現在の設備を縮小することも含めて再利用し、包 括的民間委託による効率的な運営を行い、国の負担を極小に抑えつつ、当初の目標であ るキャリア教育の推進を行うことが当面の課題ではないかということです。その際の選 択肢としては、国から一定の補助を受けつつ、大幅な収支改善を図るといった選択肢も あるでしょうし、一定期間内に収支均衡を実現し、国の援助を求めないようにするとい った選択肢もあるだろうと考えています。  一方、将来的な検討課題については、民間委託の実施状況の評価を踏まえ、キャリア 教育を推進する施策全体の中で、私のしごと館の位置づけ、果たすべき役割を再定義す る必要があるのではないかということです。その際の選択肢の[1]として、立地・経営の 問題の方向に結論を出した上で、新たな運営方法を決定する。選択肢の[2]として、現在 の私のしごと館を廃止し、その上で地域の分散など新たな展開を図るといった選択肢が あり得るのではないか。  なお、選択肢[2]の場合には、さらなる選択肢として、土地・建物・設備を民間に売却 するといった選択肢もあれば、建物・設備などを撤去して売却するという選択肢もあり 得るところですが、いずれにしても適正価格での買い手があるかといった問題点はあり ます。  前回のご議論を踏まえますと、この2枚紙を前提とした上で今後ご議論を展開してい ただければありがたいということで整理したものです。  引き続き、前回いろいろご指摘いただいたものがありますのでそれについて簡単にご 説明申し上げます。前回、宮本座長代理及び吉永委員から、過去の入場者見込み、収支 見込みを明らかにするべきであるというご指摘がありましたが、それが資料4です。私 のしごと館については、当初は勤労体験プラザという名前で計画が進められていました。 平成7年に、勤労体験プラザ基本計画が、慶應大学の辻村名誉教授を委員長とする、勤 労体験プラザ基本計画策定委員会によって策定されておりますが、そのときの考え方を ここに整理しております。  勤労体験プラザ基本計画の中においては、年間の集客予想について、近畿圏における 社会科見学生徒数、あるいは修学旅行の体験学習を踏まえて75万〜110万人といった 推計を行っています。ただ、この推計をどのように行ったのかについては、現在関係す る資料が残っておりません。そこで、当時の担当者に対する聞き取りなどを行ってここ に整理したものです。  推計の際には、来館者について、団体客と個人客に大別を行い、団体客も個人客も 45万人ずつ来るであろうという推計を行い、全体で90万人になるのではないか。ただ、 その段階ではまだ内容が固まっていなかったものですから、幅を持たせて75万〜110 万人と推計したということです。この具体的な計算については、別の資料で後ほどご説 明申し上げます。  勤労体験プラザ基本計画策定の時点においては、施設の具体的な中身はまだ固まって いなかったこともありますが、施設の規模については6万7,600平方メートルということ で、現在の私のしごと館の約2倍の大きさの面積の施設を造ることを予定していたという ことです。  入場料について、体験事業については有料とすることも検討、ただしライブラリィ等 図書館的機能を持つ事業については、その公的性格上入場料は徴収しないことが適当で あると整理されております。  その後平成12年に建設が着工されましたけれども、この際には必要な設備、施設規 模などを精査した上で、延べ床面積3万5,800平方メートルで入札を行って着工してい る状況にあります。  その後平成15年に施設はオープンしたわけですが、ほぼ同時期に雇用・の力開発機 構が独立行政法人に移行いたしましたので、第1期中期目標を定めております。その中 で、年間のサービス利用者数は40万人以上という目標を立てています。その際、収支 についての目標は定めておりません。  前回もご説明いたしましたが平成19年にアクションプラン、改革実行計画を策定い たしました。その中でサービス利用者延べ人数を57万人に増加させるという目標を立 てますとともに、自己収入を1億1,000万円から2億2,000万円に倍増させる、あるい は支出を大幅に削減する、といったことについて具体的な数値目標を定めて取り組みま した。  以上が、いままでの経緯についての説明です。続いて、資料5ですが、これは前回石 原委員からご指摘がありました、入館者の内訳の分析、あるいは自己収入の変化を整理 したものです。資料5-1は入館者の内訳の分析です。全体の有料入館者は増加傾向にあ ります。団体については、小学生、中学生が増加しています。一方、高校生と一般は減 少している傾向にあります。個人については、小学生と一般を中心に増加する傾向にあ る状況です。  私のしごと館においては、学校における修学旅行関係の予約を2年先まで取っている 状況にありますが、私のしごと館の廃止が決まったかのような報道がなされていること もあり、最近は予約を取るのに大変苦労している状況にあることを一言ご報告させてい ただきます。  資料5-2は、平日と土・日の有料入館者数について整理したものです。平日は団体客 が中心、土・日・祝日は個人客中心となります。平日は700人程度、土・日は大体600 人前後の入館者がいる状況にあります。  資料5-3は収入の推移です。収入の大半を占めているのは入場料収入ですが、これに ついては若干頭打ち傾向にあります。それに次いで大きいのは体験料収入です。これに ついては平成18年度に料金の引上げ、あるいは内容の充実を行っております。そうい うことを反映し、平成18年度以降、体験料収入は大きく伸びています。その他の収入 としては、駐車場料金関係があります。  最近では企業広告、あるいは法人会員制度を導入したことによる収入が大きく伸びて います。企業広告の具体的な内容としては、新聞折り込み用パンフレットを作っていて、 それに広告を載せるといったことを行う、あるいはインターネットのホームページにバ ナー広告を載せるといったことを行っています。  法人会員制度というのは、企業にスポンサーになっていただくものです。会員になっ ていただいた特典としては、企業製品の展示スペースを無料で貸し出す、無料入場券を 配布するといった取組みを行っています。  資料6-1は需要の見込みです。マーケットの大きさはどうなのかというご指摘があり ました。ここには3つのものが載せてあります。左にありますのは基本構想時の需要見 込みです。これは、先ほどご説明いたしました勤労体験プラザ基本計画を策定した段階 における見込みについてのものです。真ん中にありますのは、現在それを同じような考 え方でやったらどうなるかというものです。右にありますのは実績です。  左のほうは、先ほど申しましたように団体45万人、個人45万人という推計を行って いるということですが、その内訳としては修学旅行20万人、社会科見学20万人、その 他教員・企業研修で5万人で合計45万人の団体と推計したということです。  その際に、修学旅行については、京都に来る中学生、高校生の修学旅行者数に、修学 旅行の中で体験学習を実施する率を乗じ、これは平成7年に立てた計画ですので、その 後は生徒は減るだろうという見込みを乗じて、大体20万人という見込みを立てたとい うことです。  社会科見学については、京都、奈良、大阪、滋賀の4つの府県において、小学校、中 学校、高校各段階で1回来るのではないかという前提を置いた上で、営業努力によって その半分は来ていただけるのではないかということで算定すると、この20万人になる ということです。  団体は45万人と見込んだ上で、このような施設については団体と個人は大体同じぐ らい来るだろうということで、個人客45万人という推計を置いて、それで全体を合計 して90万人と推定を置いたということのようです。  同じ考え方で現在やったらどうなるか、というのが真ん中の現在の需要見込みです。 実際は、教員・企業研修等というものはほとんどありませんのでゼロと置きました。あ とは、現在の数字をいろいろ当てはめてみたものです。これを見ますと、マーケットの 大きさとしては約95万人ということなので、当初の見込みと大体同じぐらいの潜在的 な需要はあるだろうとは言えようかと思っています。それに対して実際の来場者数を見 ると33万人という状況です。  キャパシティの問題があるのではないか、というご指摘がありましたが、それが資料 5-2です。施設のキャパシティについてですが、展示についてはキャパシティという概 念は当てはめにくいものですから、定員のある体験事業でキャパシティを試算しました。 考え方はここに載せたとおりです。現在は、1日3回体験を行っています。1つの体験 に大体平均10人ですので、それに開催日を掛けます。結果的には、体験事業のキャパ シティとして見ると、約10万人程度の余裕があることになります。計算上はこういう ことになるということです。  以上が、前回ご指摘いただきました事項についての論点整理及び頂戴いたしましたデ ータについて提出し、ご説明いたしました。 ○座長 第1回以降短期間に事務局に頑張っていただき、難しい資料の取りまとめをし ていただきました。私から2点補足させていただきます。最初に事務局から説明のあっ た資料2のスケジュールのことです。これだけの問題を討議するのに、委員の皆様にご 都合のつく限り1回現地をご覧いただいて、いかなるものが建っていて、どんな運営を しているかを直接ご覧いただいてから議論していただくのがいいと思います。私も、3 月14日に初めて現地を見てきまして感ずることが多かったのですが、まずはご覧いた だいて、それから議論を進めたほうがいいかと思います。それで、事務局にも無理をお 願いし、この日程を若干変えさせていただくよう私からもお願いいたしました。  第2点は、資料3の整理メモです。前回の検討会でもご指摘がありましたが、事務局 は独法見直しの閣議決定を前提に、できるだけ早い機会に民間委託ありきと。やってみ て、短期間にその結果を評価し、それから決めればいいといったかなり決まったシナリ オで提案されています。それに対して委員の皆さんからは、そもそもどうだったのだ、 少し元に戻って議論すべきではないかということが随分出されたように思います。  改めて整理いたしますと、この検討会も限られた時間の中で、限られたテーマを消化 しなければなりませんので、もう一回そもそもはどうだったのだ。いま我々の検討会に 求められている課題は何なのか、ということについて事務局に整理していただきました。 過去の経過と、当面の検討課題、将来の検討課題ということで整理させていただきまし た。これについても、これからの進め方に関連して皆さんのご意見を伺います。この方 向については、できれば本日検討会で取りまとめができたらと思います。  私からの補足は以上ですが、資料1から資料6までについて、皆様からのご意見、ご 質問等をお伺いします。 ○加藤(裕)委員 だいぶ整理していただいたので、論点が明確になってきたと思いま す。前回も申し上げたと思うのですが、民間に委託する場合の前提として、ここでは基 本的にキャリア教育、いまの私のしごと館のもともとの狙いの範囲ということが前提に なっている本日の資料だと思うのです。  当面と将来に分けていただいているので、これは閣議決定から私たちは時間的制約が 極めて大きいという印象からは、このように考えれば多少考え方には幅が出てくるのか、 ということで少し安心しました。ただ、将来まで考えたときに、当初の目的であるキャ リア教育以外にも、委託をする場合にいろいろな利用の仕方の提案を受けながら、そう いうものも含めて検討をする視点も必要なのではないか。  仮にこれは一遍にはできないとしても、何らか並行して将来をにらんで、多少検討だ けでもどこかで進めていく。前回私は、障害者への研修・実体験用の施設にする、ある いはいま大変問題になっているニートの方々の社会復帰のための施設にするなど、いろ いろなことがあるだろうということを申し上げました。その辺りについて、いまの段階 でこの施設の利用目的の範囲についてどこまで幅を持っていいのか、というところにつ いても少し議論しておいたほうがいいのかと思います。 ○座長 それについて、事務局からお答えする用意がありますか。 ○大臣官房審議官 委託については、民間委託という閣議決定があるわけですが、キャ リア教育を推進するという私のしごと館の性格を踏まえた上で、それをより有効に民間 の創意工夫という観点から民間委託という考え方が出ているものと思います。  私のしごと館の利用の仕方についてはいろいろな考え方があって当然ですし、有効に 活用するという意味から、おっしゃるような障害者の施設であるとか、他の利用方法を ご議論いただくのは有益なことだと思います。ただ、民間委託という立場から言うと、 施設はキャリア教育としてできているので、いまの目的を維持した上で、どれまで民間 委託によって収支改善や創意工夫ができるか、ということを問われていると思います。  当面はここに書いてありますようにそのことを議論していただき、あるいは並行して 将来的な検討課題についてもご指摘いただくというのは非常に重要ですし、最終的には 建物をどう有効活用するか、というのが終局的な目的だろうと思います。当面のキャリ ア教育としてあの施設をどこまで有効活用できるか。さらには、最終的にキャリア教育 に限らず、あの施設自体大変批判されていますけれども、580億円かかったものですの で、それを有効活用する立場から、必ずしもキャリア教育にかかわらずどうするか、と いう二段構えの議論があり得ると思いますので、それを並行してご議論いただくことは 非常に結構だと思います。 ○山口委員 非常に短期間でいろいろな論点を整理していただきましたので、私の頭の 中の整理も進みました。前回いただいておりましたさまざまな資料の見直しをしてまい りましたけれども、その中で当面の検討課題と将来的な検討課題という二本立てになっ ていて、ここがなかなか厄介な問題ではなかろうかと思います。  閣議決定を受けて、短期間に存廃まで含めた結論を出すことになると、民間に委託し てどういう成果が出たらどうなるのか、というところまで決められるのか、というのは 非常に不安な部分があります。平成19年に出されているアクションプランの目標達成 では、この程度では不足だという前提があっても民間委託ということになっているわけ です。このアクションプランを背景にしても、かなりいろいろな工夫が出てきています。 これを上回る成果が委託企業に求められてくることになると、数カ月で結論を出すとい うのは非常に乱暴なところがあります。  当面なのか将来的なのかというところに関しては、当然民間のほうも短期で成果を出 さなければいけないという場合にやるべき手法と、長期的な観点で私のしごと館が有効 活用できることを前提にやるべきものとは全く異なると思うのです。当面の検討課題と 将来的な検討課題と2つに分けて、いまは当面だけ見ればいいのだという形なのですが、 これでは受ける企業がどうしたらいいのか、いまひとつはっきりしないのではないかと いう心配があります。 ○前島委員 私は、昨日約5時間ぐらいかけて現地を見せてもらいました。率直な感想 として、キャリア教育する上での位置づけは非常に大きいことを実感しました。学校で キャリア教育の座学をします、いずれどこかの職業に就く、そして企業に入る。その前 に、ここで就労体験、職場体験をやるわけです。その前の段階で、キャリア教育センタ ーみたいな形で、いろいろな職業について体系的に学べる場というのは意義があるので はないかと感じました。  短期でどれだけ成果を出すか。これは、入場者数がどれだけ増えたか、いくらどうだ ったかという数字は期間限定で何カ月間調べれば出てきます。しかし体験学習、キャリ ア教育ということを中心の背骨に据えた場合に、教育の成果が1カ月、2カ月、半年、 1年で出てくるわけがないのです。そういう視点をどのように持っていくか、というこ とをしっかり考えないと、単なる数字合わせで、アクションプランで出ていた内容で、 1億1,000万円から2億2,000万円に上がりますと。それは上がらなかったら駄目だと。 それ以上のものを求めるから、最終的にこうするのだということであれば、日本のキャ リア教育というのは存在しないと思います。  たまたま立地条験は悪いのですけれども、ああいうキャリア教育センターというのは、 将来的に道州制が成立した場合には、各道州ごとにきちんとした、学校と職場をつなぐ 中継地点としての位置づけはあるのだろう。そういう評価というのは、教育のことを申 し上げては非常に失礼なのですけれども、非常に長い期間かかります。事前に調査する 先生もいて、どういう位置づけで体験させるか。事前調査をし、生徒を送っていってや らせるか、という狙いがあるわけです。何人来たか、入場者はいくら払ったかという数 字を追えば、1つの学校で200〜300人入ってきたとしても、今月は何人でしたという ところで見られます。  短期の成果を、短い期間で全部表せというのは厳しいと思います。民間委託する場合 には、キャリア教育をきちんとするのだということをちゃんと据えて、それ以外のとこ ろにはかなり自由度を増して、委託を受けた民間がかなり思いきったことをやれるよう に、条件を付けないでやっていくべきだろうと思います。あまり条件を付けたら、二の 足を踏んで誰も行きませんよ。ですから、いろいろな発想でやってもいいですよと。た だ、骨格はこういうことでスタートしたのだから、この精神だけはきちんと受けてもら いたいと。  教育の位置づけでいえば、もっとPRに工夫すべきところがあります。それは、民間 の発想でPRを工夫すればいいわけです。特に私が見た感想では、中学生2年生・3年 生、高校1年生ぐらいの年齢層に長い時間をかけてきちんと体験させる。ただ、場所が 悪いですから、限られた時間になってしまうと非常にもったいないと思っています。私 も全部歩いて、非常に長い時間見た印象はそんなことでした。  だから、取って付けて、この期間にバタバタとやってゴールありきというような形で いくと、職業教育という観点から拙速に結論を出していくことは、日本という大国がこ れからいろいろなことを考えていく上で、高々12、13億のお金でどうのこうのだけで 早期に結論を出していいのかどうか。私が昨日見た感想では、非常に一生懸命やってく れています。案内してくれるのもサービスはいいのですが、ただ立地条件が悪いし、い ろいろな動きの中で批判される部分があるのでしょうから、そこは委託業者にきちんと やってもらって、背骨である中心の線は崩してほしくないという印象を持ちました。 ○工藤委員 短期で成果を出すのは難しいと思うのですけれども、社会的にキャリア教 育は意味があって、取ろうと思った企業をある意味で守るべき発言をどこからかなされ ないと、手を挙げたい所も挙げないのかと思います。閣議決定で、もしかしたら存続は 難しいのかもしれないけれども、それでもやってやろうという企業がどんどん手を挙げ るためには失敗もするかもしれないけれども、それはチャレンジ精神を全体で見守るよ うなコメントが社会的に出なければ、結局最後にお金として企業が取って、また逃げて いってしまったみたいなのはどのレベルでもかなりあります。  取る側が社会的な意味をもって一生懸命やっているのですけれども、すべての方がそ ういう目線で見てくれなくて、ある部分民間に流れた税金を取りに来た企業である、ま た団体であると見られてしまうことは、社会的にこういう事業を進める上でリスクがあ ると思います。受託した企業が、やりたいと言った気持を全体で守れるような仕組みと いいますか、雰囲気づくりを少なくともしないと、気持のある企業は出てこないのでは ないかと思います。 ○座長 いまのご指摘は、次の議題との絡みがあるようです。次の議題の説明をしてい ただいて、また議論を戻していただいてもいいと思います。  加藤委員をはじめおっしゃったことで、これからどうするのかなと私も考えています。 いまの考え方では、基本コンセプトは変えないで民間委託にしようと。その中で、でき るだけ国の負担率を減らすことでやっていこうと。いま、いろいろ話がありましたよう に、基本コンセプトはこのままでいいのか、ということも1つあります。先ほど、障害 者教育とかその他のご提案もありましたが、それは基本コンセプトの中で、プラスアル ファの対策として考えるのか、もう少し基本コンセプトそのものを見直してかかるのか。 それは、委託条件にかかる話かもしれません。  それは、最終的には負担率の問題にかかわってくるかもしれません。その辺のところ は少し行ったり来たりするのかという気がいたします。いま、そういうご指摘があった ことも踏まえ、次の議題の説明をしていただいたらどうかと思います。民間委託の視点 ・考え方について事務局から説明をお願いいたします。 ○育成支援課長 資料7-1及び資料7-2により、本日ご議論いただきたい民間委託の視 点・考え方についてご説明いたします。資料7-1の左のほうに視点・考え方と載せてい て、大きく4つ書いてあります。「民間事業者の裁量の範囲」「収支についてどう考え るか」「委託期間をどのように設定すべきか」「関係機関のバックアップ」というよう に、まさにいま各委員から問題提起していただいた点についてここに載せております。  そこで、これをご議論いただく際の関係資料として、別冊として資料7-2を用意いた しました。最初は「民間事業者の裁量の範囲」です。2頁は、前回提出した資料を若干 修正したものです。私のしごと館において、前回は4つのサービスと申しましたが、展 示と職業体験はだいぶ異なりますので、これを分けまして全部で5つのサービスを提供 している状況にあります。  3頁に「民間事業者の裁量の範囲」と書いてあります。従来、私のしごと館の5つの サービスをワンストップで提供するということで運営を行ってまいりました。今般、包 括的民間委託を行う際に、このサービスの内容をどう考えるべきか、という点が重要な 論点であろうかと考えております。  ワンストップサービスというけれども、それはどういうことなのか、ということにつ いては5頁に参考1を載せています。私のしごと館の中心となるのは職業体験になりま すが、これにとどまらず、暮らしを支える職業ごとにいろいろな働き方があるのだ、と いうことを学ぶ展示学習。いろいろな職業ごとに、必要な情報を得ることができるライ ブラリィ事業の一環としてのジョブジョブワールド。職業の興味の程度、あるいは方向 性などを見る職業適性診断、それを踏まえたキャリア・コンサルティングといったサー ビスを提供しています。  実際に学校団体ではどのような活用をしているのかということを、「学校の利用例」 ということで載せています。展示学習を1時間行い、職業体験を1時間行い、その後ジ ョブジョブワールド、職業適性診断、キャリア・コンサルティングといったものを行う、 といった標準的な使い方をここで紹介しております。  実際の利用状況はどうか、というのが下の表にあります。中学校・高校について、学 校団体の利用状況です。職業体験の率は高いことになりますが、ほかの事業については 必ずしもみんな使われているわけではないというのが実態です。  以上のような実態の中で、3頁に戻りましてワンストップサービスについてどのよう に考えるべきか、ということについてご議論いただければと思っております。その際に 2つ視点があります。1つは政策的視点、即ちキャリア教育を推進するという施策上こ のサービスについてどう考えるかということがあろうかと思います。その際、先ほどご 紹介しましたワンストップサービスを維持すべきという条件を付けるのか。やはり中心 となるのは体験ですので、その体験の実施は条件とし、それ以外については民間事業者 の裁量に委ねる、工夫に委ねるということでよいのか、その辺りについてご議論いただ きたいと思います。  現在のコンセプトとして、主として中学生・高校生を対象にする、学校におけるキャ リア教育と相俟って早期の段階から若年者の職業意識形成を支援する、といったコンセ プトで運営しておりますが、そういうものから見たときに、現在の提供サービスの内容 が、中・高生の発達段階に応じて効果的なものになっているのかどうかということ。将 来の職業選択、学部・学科選択に資するものになっているのかどうか。職業体験職種の 設定はどうかといったことを踏まえ、今般民間事業者の裁量の範囲についてどのように 考えるかという点をご議論いただければと思っております。  その際の参考として、6頁に参考2として載せています。現在の小学校・中学校・高 校、さらには大学についてのキャリア教育についての政府の考え方についてここで整理 しております。6頁に載せているのは、前回の検討会でもご説明いたしましたが、キャ リア教育等推進会議というものがあります。厚生労働大臣を含め、関係大臣で構成され ている会議ですが、政府全体としてのキャリア教育の進め方についてここで決定してお ります。ここに四角で囲ってあるとおり、小学校から大学までの学校段階・発達段階に 応じ、組織的で系統的なキャリア教育の体系の構築を推進すると言っています。  これを踏まえ、実際にどのようなことが行われているかが7頁です。キャリア教育等 推進プランを昨年10月段階でフォローアップした資料です。小学校から高校に至るま では、学習指導要領の改訂の検討を行っているということ。大学については、インター ンシップの実施状況を把握する、優れた取組みについての支援を行うといったことが行 われるということです。  学習指導要領については、現在パブリックコメントまで進んでいます。  現在の学校現場で用いられている学習指導要領はどうなっているのか、というのを8 頁以下に参考3として載せています。小学校・中学校・高校とそれぞれごとに載せてい ますので、これは後ほど目を通していただければと思います。大学についてはどうなっ ているのか、ということについて文部科学省に問い合わせたところ、先ほどご紹介しま したように、インターンシップの実施状況を把握しているということ、あとは優れた取 組みについての支援を行うということはあるということです。小・中・高のような学習 指導要領のようなものはないということでした。即ち、大学については自治というのが あるので、文部科学省として、こういう教育が望ましいというものを要領という形で示 すことはしていないということです。ただ、優れた取組みについて支援を行っていると いうことでした。  それぞれの発達段階に応じたキャリア教育の取組みが、文部科学省を中心とし、政府 全体として取り組んでいるということについてご紹介しました。こういうことを踏まえ、 先ほど3頁でご紹介いたしましたような、キャリア教育施策推進上の裁量の範囲をどう 考えるかという点についてご議論いただければと思っております。  4頁で「収支改善の視点」です。これは、後で出てくる論点にも絡むところですが、 民間事業者の創意工夫により収支改善を図るという観点からは、民間事業者の裁量の範 囲を広くすべきではないか、ということに当然なろうかと思います。その場合、職業体 験事業をどうするかという点があろうかと思います。  下に「総合判断」と書きましたが、政策的な視点と、収支改善との視点を総合的にど のように判断すべきなのだろうか、という点についてご議論いただければと思います。 1つの考え方としては、民間事業者の裁量の範囲はできるだけ広くする。その際、提供 するサービスの内容について、こういうものが望ましいのではないかというものを示す、 といったこともあるのではないかと考えているところです。いずれにしてもご議論いた だければと思っております。  2つ目のポイントとして15頁です。「収支をどう考えるか」という問題です。従来、 私のしごと館についてはキャリア教育を実施する公的施設だということで、いわば収支 を度外視して計画が作られてきました。今般、包括的民間委託を行う際に、例えば企業 からの収入確保を含めた、大幅な収支改善の工夫が行われるようなことは考えられない かと書いてあります。例えば、民間事業者の収入改善のための工夫として、企業からの 広告収入、あるいは企業のブース・テナントを設置する。場合によっては企業の人材確 保・育成施設の活用といったことも含め、企業からの収入を確保するようないろいろな 方策が考えられるのではないだろうか。  その際、先ほどの繰り返しになりますが、キャリア教育施設という公的な側面と、費 用負担の関係をどのように考えるべきか、というのはかなり大きな論点であろうかと考 えているところです。  16頁で、いまの収支はどうなっているのかということです。詳しいデータは後ろの ほうに載せていますが、現在の私のしごと館における収支の現状をまず分析いたしまし た。職業体験、それ以外の事業、共通部分の3つに分けて収入及び支出について整理を いたしました。  それを踏まえた分析が2.に書いてあります。それぞれの事業収支についてですが、 職業体験については、材料費、指導員の謝金といったようなものの支出は不可欠です。 これを体験料で賄おうとした場合には、大幅な利用者負担増が避けられないと考えてい ます。23頁以降に具体的な試算を載せていますので、これは適宜ご覧いただければと 思います。  私どもは、2つのケースを置いて試算をいたしました。1つは、現在と同じサービス を維持することを前提とし、体験事業は体験料収入、それ以外のものについては入館料 で賄おうとしたらどうなるか。場合によっては体験事業だけにしてみてはどうかという 試算も行いました。2つの場合でそれぞれ試算をしてみましたが、いずれにしても大変 大幅な負担増は避けられない状況かと思います。  そこで、キャリア教育施策として、中学生・高校生の方々に幅広く利用していただく 観点から見ると、こういう大幅な利用者負担増が本当にできるのだろうかという点があ ろうかと思います。  職業体験以外の事業についてですが、これは職業体験事業と相俟ってワンストップサ ービスの一環として行っているところですので、現状のままでは大幅な収支改善は難し いと考えております。17頁で、しかしながら今般民間委託を行う際に、これを大幅な 裁量に委ねることにすれば、場合によっては一部の事業を行わないことによって経費を 削減する、企業展示・イベントによる収入増、一部の事業をやめることに伴って空いた スペースをうまく活用することによる収入増といったさまざまな工夫が期待できるので はないだろうか。ただし、その内容は民間事業者の創意工夫になりますので、あらかじ めこういうことになるのではないかということを想定するのはなかなか難しいと考えて おります。共通経費の部分については、私のしごと館施設の維持にかかる固定費が大層 を占めますので、なかなか収支改善は難しいだろうと考えております。  先ほども出てまいりましたが、アクションプランがあります。アクションプランは昨 年策定したものですが、現在のすべての事業を行うことを前提にした上で、かつ入場料 ・体験料についての引上げを行わないことを前提とした上で策定したものです。収入の 増加としては、利用者の増加による入場料・体験料収入の増加、あるいは法人会員制度 ・企業広告などによる収入増を見込んでいました。経費の削減ということも、保守内容 の見直し、購入品目の見直しなどによって経費を削減することで取り組む内容になって います。  その結果として、アクションプラン上の収支率はどうなるのかを見ますと、平成19 年度から平成21年度までの3カ年間を改革実行期間として定めており、その最終年度 である平成21年度には、収支率が15.1%になるという見込みの計画内容になっていま す。これについても、民間事業者の大幅な裁量に委ねることにした場合には、もっとこ れを上回る取組みがあり得るのではないかと考えています。  18頁は前回も資料として提出したものですが、類似の施設との比較をしてみたらど うかということです。前回提出した資料にもありますとおり、独法が運営する施設とし て博物館などがあります。そういう所の平均収支率を見ますと、19.8%という状況にあ ります。前回お出ししたものの中に、数字として適当ではないのではないかというご指 摘がありましたので、計算し直した数字が19.8%です。  平成18年度の私のしごと館の収支率は8.5%ですので、これを博物館などと比べる と半分程度になっています。内容は、博物館と私のしごと館では異なるところがありま すので、単純に比較するのは難しいところがあります。私のしごと館は体験が中心です ので、単純な比較はどうかという問題がありますが、これを比べるとこういうことにな るということです。  以上を踏まえて29頁で、収支についての考え方の方向性をお示ししております。私 どもの整理としては、職業体験についてはコストがかかるものですので、それ自体収支 均衡を図るのはなかなか難しいのではないか。ただ、今般包括的民間委託を行う際に、 民間事業者に大幅な裁量を与えることになれば、場合によっては職業体験以外の事業に ついては一部を廃止する、といったことによって経費を削減する、あるいは空いたスペ ースをほかのものに転用する、といったことによる収入増、それに伴う収支改善といっ た工夫もあり得るのではないかと考えたところです。  そういうことを踏まえて、(案1)から(案4)を載せています。(案1)はアクシ ョンプランの目標を前提とする考え方があり得るのではないか。(案2)は類似施設の 収支率を目標とする考え方があるのではないか。(案3)は、類似施設といっても収支 率20%という状況ですので、これは最低限の目標ではないか。それをさらに大幅に上 回る収支改善が必要ではないか。(案4)は収支は均衡すべきであるという考え方もあ るのではないか。このような、いろいろな考え方があり得るということで、こういう点 についてご議論いただければと思っております。  3つ目の問題は「委託期間について」です。前回この検討会においても、委託期間に ついてはできるだけ長く必要ではないかというご議論がありましたが、いずれにしても 委託期間については重要な論点かと思います。30頁から33頁に資料を用意しておりま す。30頁は前回の資料ですので説明は省略させていただきます。31頁は、実際にある 博物館で5年間の受託を行っている業者に聞いたものです。1年目はいろいろ経験を蓄 積するための、データ収集・分析を行う。2年目はその分析結果を踏まえて方向転換を 行う、あるいは軌道修正を行う。3年目にようやく軌道に乗って、集客が増えて平年度 化する。4年目、5年目はそれを踏まえてさらに改善を行っていくという説明を頂戴い たしました。こういうことであれば、3年間を1サイクルと考えてもよいのではないか と考えております。  32頁は前回ご説明した資料ですので省略させていただきます。33頁は、諸々のこと を考えて、考えられる選択肢はこういうことではないか、ということでお示ししており ます。先ほど来出ております、昨年12月に閣議決定された独立行政法人整理合理化計 画の中で、私のしごと館については1年以内に存廃を含め、そのあり方について検討を 行うという決定がなされております。  その閣議決定の中には、委託期間は何年にするか、あるいは何カ月にするのか、とい う点について具体的な言及はありません。ただし、昨年12月の閣議決定の時点で、「1 年以内に検討を行う」と書いてありますので、委託期間もそれに合わせるべきではない かという考え方があり得るところです。その場合には、昨年12月から1年後まで、即 ち今年いっぱいが委託期間になりますので、7月から委託を開始したいと考えておりま すが、それから6カ月間が委託期間ではないか、というのが第1案です。  同じ整理合理化計画の中で、取り組むこととされた事項については、原則として平成 22年度末までに措置するといったことが盛り込まれております。そういたしますと、 平成23年3月末までに措置すればよいではないか、という考え方もあり得ないではな いわけです。仮に委託期間をそこまで取るとした場合には、平成23年3月末までです ので、2年9カ月になります。これが第5案として示したものです。ただし、その場合 でも年内には何らかの結論を出さなければいけないことにはなります。  第2案から第4案と並べましたのは、いわば区切りのよい時点ということで並べたも のです。こういうことがあり得るのではないかと考えておりますが、こういう中でどの ようなものを採るべきかという点についてご議論いただければと考えております。  前回のご議論においては、短期間では受託する業者が出てこないのではないかという ご意見が出てきました。先ほどもご紹介しましたが、受託業者が一定の成果を上げるた めには、取組みをした上でその結果を分析し、それを踏まえて修正していくというプロ セスが当然必要です。それが短期間で本当にできるのかという点もあります。そういう ことを含め、いろいろご議論いただければありがたいと考えています。  4つ目の問題として、「関係機関のバックアップ」の関係です。先ほども工藤委員か ら、民間に任せればそれで終わりという話ではないというご指摘がありました。確かに 関係機関によるバックアップというのは重要であろうかと思っております。  現在どのようなバックアップを行っているのかをここに整理しております。厚生労働 省の取組みとしては、文部科学省と連携し、教育委員会に対する働きかけを行っており ます。さらに、個別に各地の教育委員会を訪問した周知活動も行っています。運営主体 である雇用・能力開発機構においても、各都道府県に能力開発センターを設置していま すので、そちらと連携し、学校団体に対する働きかけを行う。あるいは事前学習、アフ ターフォローといった取組みを行っています。このほか、経済団体、教育界の方々から なります支援協議会を設置し、私のしごと館の利用促進などについての助言・支援とい ったことを行っております。企業あるいは業界団体の皆様からは、講師の派遣を含め、 いろいろな支援を頂戴しているところです。さらに、現在は企業から私のしごと館に対 して職員を出向していただいているというご支援も頂戴しているところです。  今後のあり方はどうするかという点についてご議論いただきたいと考えております。 民間委託に移行した後においても、私のしごと館が厚生労働省の施策に基づく事業であ る、という点については変わりはありません。そこで、例えば職員の出向といったもの は別として、基本的にはここにご紹介したようなバックアップについては維持すること が必要なのではないのだろうか。その際どのような工夫が必要なのかといった点につい てご議論いただければと考えているところです。  以上、民間事業者の裁量の範囲、収支、委託期間、バックアップといった大きな4つ の課題についてお示しいたしました。こういうことを踏まえて、今後の目標設定をどう するか、評価はどのように行うのかという点もあろうかと思いますが、まずはこの4つ の点についてご議論いただければと考えているところです。私からの説明は以上です。 ○座長 いま事務局から提案のありました4つの視点について、委員の方々から自由に ご発言いただきたいと思います。 ○石原委員 事務局の方、たくさんの資料を作っていただきましてありがとうございま す。入館者の利用状況の内訳のデータを拝見しますと、高校生と中学生が減少傾向で、 それに対して小学生が増えてきていることがわかります。この施設の利用目的として、 これから見学が予定されていますキッザニアとの違いについて、政策目的の観点から、 私のしごと館がどんどんキッザニア化していくことを許容できるのかどうかを検討すべ きではないかと思います。  収支について出された数字を拝見しました。私のしごと館の参考資料4に、16億円 の支出額に対する人件費の割合が約3億円とあります。細目を見ていくと、人件費に類 似する費用項目が中に含まれています。例えば、指導員の謝金、人材派遣の費用、ライ ブラリィ事業の講師の謝金というように、職員に対する給料だけではなく、その事業に 参加している方々を含めた人たちに対する謝金を人件費と同じ項目としてひとまとめに すると、私の計算では約8億円になります。支出額16億円に対して、約8億円の人件 費が支出されているということ。この人件費を削減する余地というのは実際にあるので しょうか、ということを質問させていただきます。  3枚目の資料に、産業医に対する謝金として2,598万7,000円とあります。従業員約 30名に対し、産業医が来ているのでしょうけれども、本当に2,500万円もかかるのか ということを1つ疑問として思いました。こういう人件費それぞれの項目に対する単価 をもう少し削減する余地というのはあるのでしょうかないのでしょうか。1つポイント になってくるのではないかと思いました。  実際の入場料に対し、費用項目があまりにも大きすぎる。受付・案内業務に対する人 件費が約1億円計上されています。入場料収入自体が1億円ですから、入ってきた人た ちを案内するだけで入場料収入が吹っ飛んでしまうという収支構造になっています。職 業体験に対しては実際にコストはかかるわけですから、いまのままの単価では事業とし て成り立たないのではないかと思います。  この点について、実際に運営している機構の方に教えていただきたいのですが、いま 現在の入場料が200円、1つの体験が300〜500円というのを値上げしたときの価格の 弾力性はどうなのでしょうか。いま、中学生・高校生で2年間予約が取れていますとい う状況なのですが、これを例えば、入場料収入を300円から1,000円とか、2,000円に 上げたときには、予約などは大幅にキャンセルされてしまうものでしょうか。そういっ た価格弾力性はどのように考えたらいいのかというのが疑問点としてあります。  そういうこともいろいろ検討した上で、次に国の費用の負担割合、民間、または自己 収入で賄える割合、事務局では博物館を念頭に数値をまとめていただいていますが、博 物館と比較していいものかどうかが、私の疑問点としてあります。それは博物館や美術 館ですと、国が将来保有すべき重要文化財や美術品が、海外に流出してしまわないとい う目的が、こういった施設は高いのだと思います。中に保存されている物の重要性に対 して、国の負担割合が約80%というのが博物館、美術館なのかと思います。  私のしごと館を博物館、美術館と同じように考えられるのかというポイントからする と、中に入っているコンテンツが非常に重要なので守らなければいけないのではなくて、 来てもらう中・高生が職業体験をして、彼らに後々役に立つ、彼らの中にその事業の効 果が残っていくのだと。いわば博物館や美術館がストックのコンセプトなのに対して、 私のしごと館はフローだと思います。フロー型のミュージアムに対する国の負担割合は また違った面があって然るべきではないかと思います。  あとは収支の均衡を考えるに当たって、広告料収入について、もう少し詳しくご説明 いただきたいのです。企業側から企業名を出すことの見返りによってその広告料収入を 出しますとなったときには、入ってきた広告料収入は、この事業を委託される事業体と の関係で、広告料収入が上がれば上がるほど、事業体は利益になる構造になっているの でしょうか。それとも広告料収入の受け手は事業団で、事業体には入ってこないのでし ょうか。そういうところが収支の割合を考える上で、非常に重要なポイントではないか と思い、指摘させていただきます。 ○座長 なかなか難しいご質問もご提案もあるのですが、今のはご質問の範囲で、いま 答えられる部分がありますか。 ○私のしごと館事務局長 現地で運営している状況から何点かお話させていただきたい と思います。1つは、人件費が節約できるのかどうか、その可能性があるのかどうかと いうご指摘です。それは端的に言ってしまえば、民間事業者がどのような形で運営をし ていくかにかかっているわけですが、現在の形でそのまま運営をしていくという中でも、 まだ人件費は節約できるのだろう、その可能性はあるのだろうと思っています。  というのは、当初はどのような業務で、どの程度の人間が必要かよくわからない中で、 営業活動も幅広くやらなければいけないなど当初の組織体制は、かなり大きめに作って いました。運営実績を重ねる中で、大体どのような業務にどの程度の人間が必要か分か るようになり、現在も必要のない業務は切り捨てるなど努力させていただいております が、まだまだ人件費は節約できる部分があります。それは職員体制もそうですが、派遣 の労働者の方々、先ほど受付の指摘もありましたが、学校の先生方に負担をかけない、 来ていただければ、非常に手厚いサービスがあるという考え方で現在も運営をしていま す。それによって初めて学校の支持を得られ、たくさん来ていただきました。来ていた だいているのですが、そのために過大なサービスを提供しているのではなかろうか、も っと簡素化したサービスが提供できるのではないか、と感じているところです。  それと価格の弾力性ですが、平成17年に市場調査を行った結果、平成18年度から体 験料を引き上げております。その中で、いまいちばん適切な方法が、今の賃金体系だろ うということでやっているわけです。  そういう中で、実態として申し上げますと、学校は、私のしごと館に来るためには貸 切バスで来なければいけない。貸切バスは1台いくらかというと、6万〜7万円します。 30人の生徒が来ると、すでにそこで2,000円、3,000円が生徒の負担になってきます。 また私のしごと館の入館料、体験料がかかると、1人当たり3,000円以上の負担になる のが現在の状況です。  それでは、価格を上げたらどこまで来ていただけるか。現在の状況では私はわかりま せんが、平成17年度調査に基づき、収益と利用者が最大になる点をとった適切な価格 体系ではなかろうかということで、現在運営しているわけです。  次に博物館のようにそういう重要なものがないではないかというご指摘ですが一方で しごと館は、人が人に教えることが必要不可欠であり、そのために、8億円余りの人件 費がかかり、人件費でかなり食ってしまっているという組織だと思います。ですから、 その人件費をいかに削るのかが勝負だろうと思います。他の博物館と比較して、重要な ものがないから収支率はもっと高くてもいいという議論とは、また別の観点からの議論 もしていただけば有難いと思っています。  広告料収入ですが、いま行っているのはバナー広告、エントランスでの広告、「しご と館通信」という広報誌への広告の掲載です。大きなプラズマもありますので、そうい うものも活用してください。また商品展示をしていただくようなスペースも設けました ので、そこで商品展示をしていただければ、企業名も出して、その中から収入を得よう ということで、かなり努力をして、企業にも文書を出したり、直接回ったりしておりま すが、資料にあるような数字に現在はとどまっている状況です。事業体に入るのかどう かは今後の話だろうと思いますので、ご議論いただければと思います。 ○大臣官房審議官 若干付け加えますと、ほかの博物館とか、ミュージアムとの比較で、 その性格はおっしゃるとおりの所があると思います。ある意味では、毛利さんの所とは かなり似たものがあるかなという気はいたします。1つは、ここでいろいろ体験してい ただいて、自分のキャリアを考えていく切っ掛けにするという意味で、本物志向という ことで、材料も本物、本物の職員に付いていただくという形でやっています。キャリア 教育であるとすれば、必ずしも本物でなくても、いろいろやる余地はあるのかもしれま せんが、私のしごと館のコンセプトとしては、本物でやって、それで感じてもらおうと いうところがあります。体験の部分が6億円かかっていますが、かなりのコストを要し ている原因になっていると思います。 ○育成支援課長 資料を作った者から1点だけ、誤解があるといけませんので申し上げ ます。収支の資料の中で、産業医の謝金の金額が大きいのではないかというご指摘があ りましたが、これはあくまでも謝金の中でいちばん大きいものを具体例として出したに すぎませんので、決してこれ全体が産業医の謝金というわけではありません。 ○牧野委員 少し戻るような話をしてはいけませんが、私は関西出身です。基本的には 厚労省が、関西文化学術都市(京阪奈都市)に、私のしごと館という若者の勤労感を醸 成するとか、あるいはその職業意識を醸成するためには、これは必要不可欠だという判 断の下に、厚労省が京阪奈学術都市に整備されたことについては、我々としては大変い いことではないかと思っております。  そこで、581億円もの巨額の投資をして、若者に対しての勤労感や職業意識を醸成し ようということで、当初から膨大な時間を掛けて企画立案したわけですから、平成15 年にオープンされて、たかが5年で存廃の判断をするのではあまりにももったいないよ うな気がいたします。例えば、単なる採算だけで存廃を判断するのは、いかがなものか と思います。  もう一点は、私のしごと館というのは、関西文化学術研究都市(京阪奈都市)の一角 で一部の役割になっていると思います。学研都市の一部に、私のしごと館が位置づけさ れていると思っておりますので、私のしごと館だけの収支単独で存廃を判断するのはい かがなものかと思います。  そこで先ほどから民間委託の視点・考え方についていろいろお話を伺っておりますが、 4月中ごろに予定としては委託の一般競争入札の公告を出されると聞いております。簡 単に入札応募先が集まるとしても、例えば、その入札者に対して、もう少し、私のしご と館の事業内容の変更をする権限を与えた上での入札にするのか、施設(ハード)の変 更はどこまで許されるのかを、入札者に対して明確にやらないことには、私のしごと館 に対しての民間委託される側が、入札に向けた収支計算や社内手続きができないだろう と思います。今のままやれと言われれば、現実の話は同じようなことにしかならないで しょう。例えば、民間委託を入札するに当たって、どこまでは業種や施設を変更しても よいだとか、こういうものは基本的に変更しては駄目だとか、新しい発想での私のしご と館の内容を充実させるために変更してもいいですよということを明確にしないと、応 募がなかなか集まらないのではないかと思います。  もう一点は、委託期間が半年となる場合、ほんの数カ月を運営するだけですから、収 支改善をするために、新たな投資を民間委託業者にさせたときに、半年で回収できるよ うな設備投資などは、民間から考えますと、まずありません。そういうときに6カ月ほ どでやってもらった上、損をするようなことでは誰もやらないと思いますし、収支を大 幅に改善するためにもいろいろな改革を認める裁量をちゃんと与えたり、あるいは税制 上の問題なども考慮しないと、委託期間が半年では委託先が見つからないのではないで しょうか。入札条件を明確に決めてやらなければいけないだろうと思います。  もう一点は、民間委託後も、私のしごと館の設備の所有権は国にあるというお話を聞 きました。委託業者がやるのは運営だけですから、運営の費用(収支バランス)として どのぐらいの目標を考えておられるのか、具体的によくわからないので教えてほしいと 思います。  それから、指定管理者制度の導入ですが、美術館や博物館などは実績があるようです が、資料によると民間企業に運営を委託する場合の委託期間については、最低でも3年 になっていると思っていますが、本来はそのぐらいの期間がないことには民営化を軌道 に乗せられない、あるいは効果を測定することができないのではないだろうかと思って おります。存廃の判断を今回のような短い期間で行うのは、将来にかなり大きな問題を 残してしまうのではないだろうかと思っております。どういう形で民間委託するにして も、具体的な内容や条件を、もう少し明確に出してあげないことには、委託業者が見つ からないのではないかと思っております。 ○座長 審議官いかがですか。 ○大臣官房審議官 明確にしなければいけないというのはおっしゃるとおりです。その ためにも補助の額をどのぐらいにするかを決めなければいけないわけです。そのために は裁量の範囲をどうするか。端的に言いますと、私のしごと館を体験事業だけにするの か、あるいはそれ以外について、多少付加的な条件を付けるのかどうか辺りが焦点かと 思います。そこを決めていただくことです。  それから収支について、将来的にどこまで持っていくことを目標とするのか。これが 決まらないと補助もどれだけ出すかが決まりません。何年間でここまでというのがあれ ば、それを前提に補助の額を段階的に下げていくとか、そういうことになってくるわけ で、その目標値を是非決めていただく必要があると思います。特に裁量の範囲と目標値 という辺りが、これからどれだけ補助を出していくかを決めていく際の重要なポイント になるわけです。ある程度の方向を出していただければ、私どもで段階的に下げていく 案として、どのぐらいの補助にするかは考えさせていただくことになろうかと思います。 ○石原委員 私も数カ月で結論を出すのはあまりにもナンセンスで、3カ年とか、もっ と長い期間で判断すべきではないかと思っております。  最初に指摘したところですが、キッザニアとの違いをどのようにするのかが非常に重 要なのではないかと思います。先ほど委員から中・高生におけるキャリア教育の重要性、 この施設の有効な利用方法というご意見がありましたが、実際の利用状況を見ますと、 1時に訪れて3時から4時に退室を済ませる。約1時間強を現実には職場体験として経 験されて帰っていく。小学生が伸びてきて、中学生・高校生が減っているという現状を 踏まえますと、時間設定や職業体験の与え方も考えていかなければならないのではない かと思います。小学生や、もっと幼児ですと、少しの時間体験をしたことが、非常に大 きな印象に残ります。キッザニアというのは、きっとそういうインパクトの与え方をし ているのだろうと思いますが、私のしごと館はそういう面でははっきりとした違いがあ るわけです。  ただ、精神段階が十分発達している中学生、高校生に、1時間やその程度の時間の職 業体験をすることが、果たして本当に有効なのか。また彼らのニーズに合っているのか を、もう一回考え直さなければいけないのだろうと個人的には思います。  民間委託をする場合には、ニーズに見合ったサービスの提供の仕方に事業体自体を変 えていかなければいけないのだろと思いますし、そこまで踏まえますと、短期間で決断 を下すのはあまりにナンセンスではないか。中のプログラムを段階的に変えていき、中 学生・高校生のニーズに見合ったサービスの提供コンテンツを入れ替えていく。それが 現れてくるのはサービスを受けた人たちに後で効果が上がってくるわけですから、判断 をする期間はもっと長い目で見るべきではないか。それが私のしごと館の利用目的、政 策に合致した考え方ではないかと思います。 ○座長 キッザニアとの比較がどうだというのは、私も近々見てこようということで、 先方にも約束してあります。これは今日議論をする必要はありませんが、私のしごと館 というのは、キャリア教育が1つベースになって、それをどう展開するかという話です。 キッザニアの設立目的とはちょっと区別する必要があるのかなと。私もこれを見て勉強 させていただきたいと思います。その辺は議論の機会があればしたいと思います。 ○マイアー委員 民間委託を本当に行ったら、そのあとも現状取組みについては維持す べきだと考えます。内容までははっきりしませんが、今後、施設を維持する方針ならば、 バックアップという話は必要になると思います。  また、もっと幅広く私のしごと館のもともとの目的を加えて、有料サービスを提供で きたら、収支均衡をもう少し改善できるかもしれません。例えば、企業大学援助を狙う サービスが導入できたら好ましいと思います。できるか、できないかは分かりませんが、 私のしごと館をイベントスペースとしての使用も考えられます。  さらに一般観光客にとっても、楽しい展覧会などを提供できたら、新しい対象グルー プを開くことができるかもしれません。リピーターが欲しければ、両親にとっても面白 いことを見せることが必要だと思います。そして、プライベート側の資金を得ることが できたら、収支をもっとある意味でモダンの基本に置くこともできると考えます。 ○橋本委員 民間委託ということで視点を整理されていますので、意見を申し上げたい と思います。裁量範囲はもともとの目的である職業の体験の事業に絞るべきではないか と思います。それ以外は自由にやっていいというぐらいの形でやらないと受け手もいな いだろうと私自身は考えます。  収支についてですが、目的が教育の要素というのがかなり大きいと考えますので、す ぐできるかどうかという問題はともかくとして、国の教育予算というか、一般会計も考 えるべきではないかと思います。いまは雇用保険二事業だけでやっているので、ちょっ と問題ではないかという指摘もされていますが、そこはちょっと見直してもいいのでは ないかと思います。そういうことであれば、いわゆる補助という格好で収支もとれるの です。  委託期間は、皆さんからご意見が出ているように、6カ月などで判定できるはずがな いと思います。6カ月間にこだわると、いわゆる委託を受けた方は、たぶん事業計画を きちんと出してやられるので、その事業計画が適切か否かを、この場で判断すればいい のではないか。この場でオーケーであれば、そういうことをやっていくことを認めてい ただくという方向に持っていってはどうかと思っています。  その他の項目の、バックアップ等々については、現状どおりやればいいと考えていま す。 ○座長 イメージを整理するために事務局に伺いたいのですが、委託をして、いま委託 期間が短すぎる、半年などではわからない。仮に3カ年という単位で委託します。それ で我々が求められている範囲で半年経ったところで、その3カ年の計画が予定どおりい っていますか、いっていませんかということを確認する。そういうステップだと理解し てよろしいでしょうか。 ○大臣官房審議官 おっしゃるように閣議決定自体は、委託期間というのは書いてあり ません。ですから、この辺は先ほども提案したように、最大2年9カ月で、そこまで行 けるかどうかわかりませんが、行革のほうとしてはできるだけ早くという気持があるの で、閣議決定では委託期間自体は言っておらず、12月の時点で存廃も含め、判断する ということなので、何らかの判断は12月までに必要だろうと思います。  委託についても、委託期間を仮に2年、3年とって、それで本当に将来的なことまで 決められるのかという議論もありうるかと思います。委託は1年何カ月というのもあり ますが、2年、3年としても、将来、例えば5年ぐらい経たなければわからないのです が、一応2年、3年の時点で見て、これはもう駄目だ、あるいはこれならやれるのでは ないかという程度の判断はできないかどうかです。これで決めるということで、必ずし も委託期間終了時でなくても、2年経ってみたところで、これはちょっと無理だ、ある いはこれなら可能性があるのではないかという判断は、最終5年まで経たなくてもでき るのではないかという気はしています。ですから、中間的な判断で、これはもう無理だ からやめよう、あるいはこれはできるから、可能性があるのだから続けようかという程 度の判断期間として2年やってみてどうかという議論ができるのかと思っているのです。 ○座長代理 委託先がどういうコンセプトを与えるかという点で1つこだわるのですが、 キャリア教育のあり方として、小学校から大学生ぐらいの年齢の中で、1回、2、3時間 ここを利用するというキャリア教育のあり方は、極めて底の浅いやり方だと思います。  そういう意味からいえば、理想は先ほど道州制というお話も出ましたが、各県にとは 言いませんが、各地に似たようなものがあって、リピートすることがキャリア教育にと っては重要だろうという感じがします。  そういう意味でいうと、京都に1カ所、ポンと巨大なものができて、そこに何とか集 客数を増加させていこうと。いまは集客ということになると、全国に呼び掛けてという 方針になっておりますが、本来的なキャリア教育のあり方からすると、決していいとは 思えないという感じがします。  そういう意味でいうと、リピーターがその施設を十分に使うという、いちばんコアの 部分に関しては、関西地区に重点を置き、極力リピートしてもらうということで、小学 校、中学校、高校、大学という具合で、何度でもそこを訪れる。初めは修学旅行やクラ スで行くかもしれませんが、あとは個人で行きながら、それこそワンストップサービス ですから、そこで体験をしながら、かつ自分自身の方針を決めていくようなところまで 利用し切ることを重視すべきではないかと思います。  しかし、そこに限定するわけにはいかないので、それにプラスアルファして、全国か ら使ってくださいということになるのではないかと思います。そうすると、単に集客数 を増やすことで収支を改善することを、あまり追求すべきではないのかなと思います。  そういうことになれば、場合によっては多少規模は縮小しますが、縮小して充実させ る。例えば来ている子供たちに対して、対人サービスなので、人が非常に多いというこ とで、これをもっと整理できないかというお話もありましたが、事の性格からいうと、 その手厚いサービスの中でリピートする人を増やすこともありうる。それなら規模は縮 小して内容を充実させることもあるのではないか。  ポイントは何かというと、全国を対象にして、全国で1カ所しかない所をどれだけ拡 充するかということよりも、もう少し長い目で見たときに、将来的には全国の数カ所の モデルになるようなものを作りながら、関西地区の人たちに徹底して使っていただく。 そのためには関西地区の経済界等にバックアップしていただくことを、委託するときに 提案するのが1つの案ではないかと思います。 ○加藤(裕)委員 まず委託期間と収支の問題でいえば、私も短期間でというのはとて も無理だろうと思います。然らばどのぐらいかというのは、少し専門家の知見で決めて もらえばいいのかと思います。  収支ですが、この点で収支の目標を持つということが、果たしてできるのかどうかで す。博物館と比べたらおかしいというのか、比べるものではないだろうというのは私も そのように思います。先ほども出ていましたが、私のイメージとして、これはいま非常 に中途半端な存在になっているのだろうと思います。将来的に存廃といったときに、雇 用保険会計の下でやる事業として考えていくのかどうか。教育施設として考えるのであ れば、一般会計ではないのか。そうすると、厚労省管轄から外して文科省に運用しても らうという考え方もあるかもしれない。  どうしてそういうことを申し上げるかというと、キャリア教育について、環境が学校 側で大変な勢いですごく変わってきているのです。今回の学習指導要領の大改訂の中で も、キャリア、あるいは働くということ、あるいはものづくりなどについて、学校側で 大変強化されておりますし、中学生の職業体験も、キャリアスタートウィークというこ とで、全校でやるようになったのです。そういう面では、この施設を考えたときと、随 分環境は変わってきているのかと思います。  然らば、もう一回原点に戻って、雇用保険会計でやっている事業として、これを考え たときに、なぜ行革サイドからこういう提案がされたかというと、これだけの赤字額を 毎年毎年積み重ねていく、雇用保険という性格からして、全く好ましくない。だから、 民間に任せてしまえという話が出てきたのだと思います。  その点からいえば、問題提起がされているところにそのままストレートに答えるとす れば、収支トントンとならない限りは廃止ということになっていくのではないかと思い ます。しかし、仮にそうではないとすれば、教育の一環として、これを位置づけていく。 そのときに難しいのは、遍く公平に機会を提供するという義務教育段階の大原則からす れば、関西地区に非常に限定的な施設が1つあるだけというのは、いかにもまずい感じ がします。  昔の人に聞いたのですが、最初に作ろうという検討に入ったときに、教育者のための 施設で、ドイツなどがそういうものを持っていて、習おうと考えたという話もあったの です。そういうことにすると限定した地域に限定した、施設としてあってもということ はあるかもしれません。ただ、いまさらあの施設を使って教育用の施設に変えられるか というのは、私は否定的なのですが、いずれにしても、そこのところはかなりドラステ ィックに考えた方が良い。廃止というのは2通りあると思います。1つは民間に買い取 ってもらったり、壊してしまったり全く廃止。同じ廃止でも雇用保険会計から外して、 全然別の教育施設として運営していくことができるかどうかという検討も廃のうちの1 つだろうと思いますので、その辺については少し含みを持った考え方でいいのではない かと思います。  では、業者に何のために委託するのかですが、いずれにしても施設の運営について、 アクションプランでもあるように、まだまだ効率化できる、あるいはコストを削減でき る、あるいはもっと魅力的なサービスを提供する可能性を十分持った施設だとは思いま すので、その範囲でどこまで改善できるかの見通しをつけるか。そういうこととして委 託をするのだという割り切りが必要なのかと思います。 ○座長 いまの宮本委員と加藤委員のご意見について、事務局で何かありますか。 ○大臣官房審議官 1つは、あの施設がキャリア教育のために何らかの役に立つ、ある いはこれからもそういうことが期待されるということは異論がないのだろうと思います が、そのやり方については宮本委員が言われるように、地域でリピーターを増やして色 濃く、プラスアルファで全国というやり方もあると思います。  大きくいうと、加藤委員がおっしゃったように、教育施設としてやっていくとか、障 害者の施設とするとか、いろいろな工夫がありうると思います。繰り返しになってしま いますが、議論としては2段階ということで考えながらやっていけないかというのは私 どもの考えで、いままさに加藤さんが言われたように、今後の見通しを立てるために、 まずはキャリア教育の中で、どれだけ民間で裁量を与えながらできるかを見て、少し見 通しを考えていただいて、最終的な着地点、大きくいえば教育施設があるかもしれませ んし、廃止ということもあるかもしれませんが、そういうことをにらみながら、まずは 見ていただくことができないのかなというのが率直なところです。  その場合に収支もある程度のところで、カッチリといくらにするなどというのは無理 だと思いますので、大体のところで、例えば、類似施設とは違いますので、そこを踏ま えて大幅な収支改善を図らなければいけないだろう。ただ収支均衡まではキャリア施策 ということから見ると、なかなか難しいかもしれない。その程度の目標を持って、それ を何年後かに達成する。例えば2年でも最終時点ということで、途中チェックでもいい と思います。とりあえずはそのように決めておいて、その時点で見通しとして、このま まキャリア施設でいけるのか、最終的にはそれは無理だという判断を、中間地点の2年 でするとか、そういうことは可能かと思いますので、少し幅を持って我々も柔軟に考え たいと思います。 ○座長 先ほどご指摘のあった運営いかんとまではいかないとしても、文科省との運営 面での協力などについての考えはいかがですか。 ○大臣官房審議官 当然それは協力ということでやっていきます。文科省の中のキャリ ア教育の中でも位置づけていただいておりますし、この利用については教育委員会とも 直接お話して利用していただくようにしています。全体がキャリア教育が活発になって いる中で、宮本委員がおっしゃったように、特に関西地区においては、ここの活用とい うことで、たいぶやってきておりまして、関西3県では半分近くの中・高が利用してい ますので、この辺はより色濃く、これから全国で修学旅行に来た方々にも見ていただい て何かのきっかけにしていただくなどというのは、非常に重要な視点かと思っています。 ○長南委員 前回もお話しましたが、私のしごと館は、中学生、特に教員としても、と ても魅力ある施設で、できたら存続をお願いしたいという気持でいっぱいです。その中 でいくつか今後どのような利用方法があるのかも含めて、私どもでいろいろな所から聞 いた範囲をお伝えしたいと思っています。  まず修学旅行の体験学習としては、ここ2年間で少しずつ体験学習は増えています。 東京の場合ですと、参加校の中で88%の学校が何らかの形で体験をしています。ただ、 時間的には2時間程度という制約があります。もちろん私のしごと館に行ったという学 校もあります。その中で職業体験等について実施する場合には、事前学習の時間、教科 の時間を使って、その職場体験あるいは職業体験に臨んでいますので、行って何かを見 つけて体験するというものではありません。結果的には子供たちにとって、より職業が 身近に感じた、ああいうプロになりたいという意識、意欲は湧いてくるのではないかと 思っています。  それから修学旅行の目的等に応じて、中に組み込むことが、2年前に計画を始めて入 れるわけですので、なかなか難しいところはあります。職場体験をするという流れの中 では、東京では味わえないもの、あるいは東京で見られないものを体験することも必要 かと思っています。  そこで提案は、文部科学省でも後援をいただいておりますが、全国の中学校の技術家 庭科で、「全国中学生創造ものづくり教育フェア」を筑波で、過去3年間行いました。 それ以前は東京の代々木のオリンピックセンターで行いましたが、「全国中学生創造も のづくり教育フェア」の筑波でのプレス発表では、教員、関係者、保護者を含めて、2 日間で1万6,000人が集まりました。中学生の木工の技のチャンピオン、ロボットコン テスト、家庭科のハーフパンツ、あるいはお弁当づくりコンクール、他に、パソコン検 定、さまざまな企業体が協力してくれた体験セミナーが、イベントとして非常に定着し ております。  平成20年度から東京で行うことになっていますが、いちばん苦労しているのは、予 算面や会場を確保することです。各学校でやるとすると、学校に3,000人、4,000人が 入ってくるのは、保護者会、授業参観以上に大変な人数になります。あとは公共施設を 借りる場合は、有料になってきています。それの運営資金について、企業体の支援を利 用することは、学校の教育の中ではなかなか難しい、制約があるところです。  平成20年度は足立区北千住で行うことに決定していますが、もしそのようなイベン トあるいは催物が企画の中に入れていただけると有難いと思います。都道府県の中のそ の関係する技術家庭科の研究会の先生方のご協力も多大に必要になってきます。これは あくまでも私どものお願いです。  もう1つ、教員の研修のためということで、実際に目的に中にあったように伺ってい ますが、研修の段階で声がかかったとしても、なかなか行けなかったというのも各教育 委員会、各学校の研修において、出張旅費の範囲で制限があったのかと思っています。 もしそういう機会が、またさらにできれば有難いと思っています。   ○座長 ただいまのご意見について、何かございますか。 ○工藤委員 収支均衡のところにかかわってくるかと思いますが、キッザニアと比べて 思ったのですが、あまり収支均衡をやりすぎて入場料を上げてしまいますと、所得の高 い家庭のお子さんしか行けなくなってしまうというリスクがあると思います。  以前、「愛、地球博」のホームページを見ていたのですが、15歳から30歳ぐらいの 若者が、あれだけ環境が大事だと言われている中で、ほとんどが行っていないのです。 意識の高い保護者と、その保護者にたまたま生まれ育った子供だけがそういう場所に行 けてしまうとなると、それは生まれた家庭によってキャリア教育に差が出てしまう。キ ャリア教育というのは、将来の希望とリスクの両方を平等に知るというところが学べな いという結果になってしまいますので、生まれた家庭の所得、もしくは親の意識によっ て、小・中・高校生の学べる部分に差が出てしまうのは、私の中ではいかがなものかと 思います。  昨年度は全国の高校70校ぐらいにキャリア教育に行きました。1万人の高校生に授 業をしてきました。民間事業者の裁量の範囲において、基本的には職業体験授業ベース でいいと思うのですが、学校へ出向くようなことはできないでしょうか。こちらからお 伺いするということになると先生方も、生徒を動かさなくていいという非常に楽な部分 があって、とても助かったという言葉をかなりの所でいただきました。その意味でキャ リア教育を出前するパターンと、私のしごと館を使う前後の使い方、授業の部分でも構 わないと思うのですが、関西地域に限定されるのならそれでもいいのです。ある部分少 し積極的に出ていくことだけはやってあげなければ、学校の予算と考え方によって生徒 が学ぶチャンスが限定的になってしまいますので、その辺は意識してやってもいいので はないかと思います。 ○座長 いま4つの視点についてご議論いただきましたが、最後の目標設定の考え方、 あるいは包括的民間委託の結果の外部評価について、これも大体皆さんから議論の中で 出てきたように思いますが、外部評価について、何かご意見はおありでしょうか。  それでは、そろそろ時間も迫ってまいりましたので、本日のご議論はここまでといた します。今日出していただいたご意見を基にして事務局でご意見を整理して、今後の取 組み方について、次回、具体的なご提案をさせていただきたいと思います。その間にで きるだけ委員の皆さん、現地をご視察いただいて、実態をご覧いただきたいと思います。  私は、今日ご議論が出た収支の問題、基本的なコンセプトの問題、運営の問題につい て、いちばん大事なことは、いま注目されている件ですが、これからのあり方について 社会的な理解が得られるのかどうかということだろうと思います。この議論を公開して いるのもそういう意味ですが、今日の委員の皆さんのご意見等を通じて、これはやるべ きだ、このぐらいの負担はかけてもやるべきだという社会的な合意というか理解が、こ の議論を通じて形成されるのがいちばんいいことではないかと思います。  もしも今日、十分な意見ができなかったということであれば、メモでも事務局に追加 でお出しいただければと思います。事務局もご苦労さまですが、今日、ご欠席の方々の ご意見も、今日はこんな話だったということをご報告いただいて、次回までにとりまと めていただきたいと思います。ほかに特にございませんか。  それでは、本日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。 ○育成支援課長 次回検討会は4月9日の15時〜17時を予定しております。場所につ いては調整中ですので、追ってご連絡いたします。次回は、民間委託の視点・考え方に ついて、本日のご議論を踏まえて、さらなるとりまとめをお願いしたいと考えておりま す。 ○座長 どうもありがとうございました。 47 - -