08/03/26 中央社会保険医療協議会総会平成20年3月26日議事録 08/03/26 中央社会保険医療協議会          第126回総会議事録 (1)日時  平成20年3月26日(水)10:44〜12:06 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 土田武史会長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員        前田雅英委員       対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員 北村光一委員        高橋健二委員(代 清水) 松浦稔明委員       竹嶋康弘委員 鈴木満委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員        邉見公雄委員(代 竹内) 渡辺三雄委員 山本信夫委員       大島伸一専門委員 古橋美智子専門委員 黒崎紀正専門委員       <参考人>       加藤治文薬価算定組織委員長       <事務局>       木倉審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官 磯部薬剤管理官        新木医政局研究開発振興課長 他 (4)議題  ○医薬品の薬価収載について       ○先進医療専門家会議の検討結果について (5)議事内容  ○土田会長  ただいまより、第126回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。  まず、委員の選任について御報告いたします。丸山誠委員におかれましては、2月29 日付で退任され、その後任として同日付で北村光一委員が発令されております。  なお、事務局より、今回発令されました北村委員から、「自らが公務員であり、高い倫 理を保って行動する旨の宣誓をいただいている」との報告を受けております。  それでは、北村委員より一言御挨拶をお願いいたします。 ○北村委員  ただいま御紹介をいただきました丸山委員の後任の北村でございます。どうぞよろしく お願いいたします。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、石井委員、庄司委員、 坂本専門委員が御欠席になっております。  また、高橋委員の代理で全日本海員組合の清水保さん、邉見委員の代理で全国公私病院 連盟会長の竹内正也さんがお見えになっております。  なお、保険局長は公務のため欠席させていただく旨の連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  まず、「医薬品の薬価収載」について議題としたいと思います。  薬価算定組織の加藤委員長がお見えになっておりますので、最初に説明をお願いいたし ます。 ○加藤委員長  薬価算定組織の委員長を務めております加藤でございます。私のほうから、今回検討い たしました新医薬品の算定結果について御報告いたします。  まず、資料、中医協総−1をごらんください。今回報告いたします品目は、1ページの 一覧表にありますとおり、14成分、21品目であります。今回の検討は、本年2月に中 医協で了承された平成20年度薬価制度改革後の薬価算定の基準に基づき検討を行いまし た。特に、原価計算方式における営業利益率は、既存治療と比較した場合の革新性や有効 性、安全性の程度に応じて平均的な営業利益率の±50%の範囲内の値を用いることとさ れましたが、その検討に当たって、プラスの評価につきましては、作用機序が新規である ことなど既存治療と比較して革新性が高いこと、もう1つは、既存治療薬がない患者に対 して有効性が認められること、既存の治療法に対して有効性が上回る結果が示されている ことなど、既存治療と比較して、有効性、安全性が高いことなどの点から、一方ではマイ ナスの評価につきましては、有効成分が院内製剤等で使用されていることなど革新性が低 いことの点から、そういう面から評価いたしました。  それでは、算定内容について説明します。まず、ロナセン錠、ロナセン散につきまして でございますが、2ページをごらんください。ロナセン錠及びロナセン散は、ブロナンセ リンを有効成分とし、統合失調症を効能・効果とする内用薬であります。  3ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、最類似薬については、効 能・効果、薬理作用が類似するフマル酸クエチアピンを選定することが妥当と判断いたし ました。また、補正加算については、いずれの要件にも該当しないと判断いたしました。 この結果、本剤については、効能・効果、薬理作用などが類似する内用薬が既に3つ以上 ありますので、類似薬効比較方式(II)による算定が妥当と判断しました。  2ページに戻っていただいて、本剤については、過去10年間に薬価収載された薬理作 用類似薬がありますので、薬価算定ルールにのっとり、最類似薬であるフマル酸クエチア ピンを比較薬として算定した1日薬価、過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の 平均1日薬価及び過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬の最低1日薬価を比較した 結果、最も1日薬価が低いのが、過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平均1 日薬価でありまして、これを選択することとなりました。  したがいまして、本剤の算定薬価は過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平 均1日薬価との1日薬価合わせを行い、4mg1錠145円、規格間調整により2mg1錠7 7.3円となり、さらにロナセン散については、類似薬であるセロクエル100mg錠とセ ロクエル細粒50%の剤形間比を適用し、2%1g699.40円となりました。  次に、アマージ錠2.5mgについて報告します。4ページをごらんください。アマージ 錠は、ナラトリプタン塩酸塩を有効成分とし、片頭痛を効能・効果とする内用薬でありま す。  5ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、最類似薬については、効 能・効果、薬理作用などが類似するエレトリプタン臭化水素酸塩を選定することが妥当と 判断しまして、また、補正加算につきましては、いずれの要件も該当しないと判断いたし ました。この結果、本剤については、効能・効果、薬理作用などが類似する内用薬が既に 3つ以上ありますので、類似薬効比較方式(II)による算定が妥当と判断しました。  4ページに戻りまして、本剤については、過去10年間に薬価収載された薬理作用類似 薬がありますので、薬価算定ルールにのっとり、最類似薬であるエレトリプタン臭化水素 酸塩を比較薬として算定した1日薬価、過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の 平均1日薬価及び過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬の最低1日薬価を比較した 結果、過去6年間に収載された薬理作用類似薬のうち1日薬価が最も低いのが最類似薬の エレトリプタン臭化水素酸塩であり、エレトリプタン臭化水素酸塩を算定上の比較薬とし ました。したがいまして、本剤の算定薬価は、レルパックス錠20mgとの1日薬価合わせ を行い、2.5mg1錠900.30円となりました。  次に、レバチオについて説明します。6ページをごらんください。レバチオ錠20mgは、 シルデナフィルクエン酸塩を有効成分とし、肺動脈性肺高血圧症を効能・効果とする内用 薬であります。  7ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載品 の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式によ る算定が妥当と判断しました。営業利益率につきましては、革新性について、ホスホジエ ステラーゼ5阻害作用という既存治療薬と異なる新規の作用機序を有すること、有効性に つきましては、米国の治療ガイドラインにおいてその使用が推奨されており、特に、WH O機能分類クラスIIの患者の治療においては、既存治療薬よりも推奨度が高く、第1選択 薬に位置付けられており、既存治療薬より有用性が期待されることなどを評価し、平均的 な営業利益率プラス20%の営業利益率を用いることが妥当と判断しました。  したがいまして、6ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、20mg1錠1,17 9.80円となりました。  次に、ノベルジンカプセルについて説明いたします。8ページをごらんください。ノベ ルジンカプセルは、酢酸亜鉛水和物を有効成分とし、ウィルソン病を効能・効果とする内 用薬であります。  9ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載品 の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式によ る算定が妥当と判断しました。  したがいまして、8ページに戻り、本剤の算定薬価は、25mg1カプセル262円、5 0mg1カプセル410.6円となりました。  次に、ネクサバール錠について説明します。10ページをごらんください。ネクサバー ル錠は、ソラフェニブトシル酸塩を有効成分とし、根治切除不能または転移性の腎細胞が んを効能・効果とする内用薬であります。  11ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載 品の中に同様の効能・効果、薬理作用等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式によ る算定が妥当と判断しました。営業利益率については、革新性について、インターフェロ ンなど既存の腎がん治療薬と異なる新規作用機序を有すること、有効性については、イン ターフェロンなど既存薬の治療歴を有する患者を対象とした臨床試験において無増悪生存 期間の延長が認められていることなどを評価し、平均的な営業利益率にプラス20%の営 業利益率を用いることが妥当と判断しました。  したがいまして、10ページに戻り、本剤の算定薬価は、200mg1錠5,426.2 円となりました。  次に、シングレア錠、キプレス錠について説明いたします。12ページをごらんくださ い。シングレア錠、キプレス錠は、モンテルカストナトリウムを有効成分とし、気管支喘 息、アレルギー性鼻炎を効能・効果とする内用薬であります。従来、同一有効成分の製剤 は気管支喘息の効能を有していたのに対し、アレルギー性鼻炎の効能が追加されたことに 伴い、5mg製剤の規格が追加されたものであります。  13ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、同一有効成分で あるシングレア錠10、キプレス錠10が薬価収載されていることから、これらを最類似 薬とした規格間調整による算定が妥当と判断しました。  したがいまして、12ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬であるシ ングレア錠10、キプレス錠10の薬価に類似薬であるアレジオン錠20とアレジオン錠 10の規格間比を適用し、5mg1錠199.7円となりました。  次に、グレースビット錠、グレースビット細粒について説明します。14ページをごら んください。グレースビット錠、グレースビット細粒は、シタフロキサシン水和物を有効 成分とし、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎などを効能・効果とする内用薬で あります。  15ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、最類似薬については、効 能・効果、薬理作用が類似するレボフロキサシンを選定することが適当と判断しました。 また、補正加算につきましては、いずれの要件にも該当しないと判断しました。この結果、 本剤につきましては、効能・効果、薬理作用などが類似する内用薬が既に3つ以上ありま すので、類似薬効比較方式(II)による算定が妥当と判断しました。  したがいまして、14ページに戻ってください。本剤につきましては、過去10年間に 薬価収載された薬理作用類似薬がありますので、算定ルールにのっとり、最類似薬である レボフロキサシンを比較薬として算定した1日薬価、過去10年間に薬価収載された薬理 作用類似薬の平均1日薬価及び過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬の最低1日薬 価を比較した結果、過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬のうち1日薬価が最も低 いものがプルリフロキサシンであり、プルリフロキサシンを算定上の比較薬といたしまし た。したがいまして、本剤の算定薬価は、スオード錠100との1日薬価合わせを行い、 50mg1錠228円となりました。さらに、グレースビット細粒については、類似薬であ るクラビット細粒とクラビット錠の剤形間比を適用し、100mg1g576円となりまし た。  次に、チャンピックス錠について説明します。16ページをごらんください。チャンピ ックス錠は、バレニクリン酒石酸塩を有効成分とし、ニコチン依存症の喫煙者に対する禁 煙の補助を効能・効果とする内用薬であります。  17ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載 品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式に よる算定が妥当と判断しました。  したがいまして、16ページに戻り、本剤の算定薬価は、0.5mg1錠132.6円、 1mg1錠237.4円となりました。  次に、クレキサン皮下注キットについて説明いたします。18ページをごらんください。 クレキサン皮下注キットは、エノキサパリンナトリウムを有効成分とし、股関節全置換術 などの下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制を効能・効果とする 注射薬です。  19ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果、薬 理作用が類似するフォンダパリヌクスナトリウムを最類似薬とした類似薬効比較方式 (I)による算定が妥当と判断しました。  したがいまして、18ページに戻り、本剤の算定薬価は、最類似薬であるアリクストラ 皮下注2.5mgとの1日薬価合わせを行い、2,000低分子ヘパリン国際単位0.2mL 1筒1,074円となりますが、これは外国平均価格調整による引き下げの対象となり、 調整後の最終的な算定薬価は、2,000低分子ヘパリン国際単位の0.2mL1筒1,0 37円となりました。  次に、リコモジュリン点滴静注用について説明します。20ページをごらんください。 リコモジュリン点滴静注用は、トロンボモデュリンアルファを有効成分とし、汎発性血管 内血液凝固症を効能・効果とする注射薬であります。  21ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載 品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式に よる算定が妥当と判断しました。営業利益率については、革新性について、抗凝固因子と して発見されたタンパク質を遺伝子工学的に作製したものであり、トロンビン活性阻害作 用に加え、プロテインC活性化による血液凝固阻止作用を有する抗凝固剤として世界に先 駆けて日本で開発されたものでありまして、DIC医療に新たな治療の選択肢を提供する ものとして臨床的に大きな意味を有すること、既存治療と比較した本薬の有効性、安全性 は高いと考えられることなどを評価し、平均的な営業利益率プラス30%の営業利益率を 用いることが妥当と判断しました。  したがいまして、20ページに戻り、本剤の算定薬価は、1万2,800単位1瓶3万 8,352円となりました。  次に、アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液について説明します。22ページをごらん ください。アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液は、ブドウ糖・塩化ナトリウム・塩化カ リウムなどを有効成分とし、穿頭・開頭手術時の洗浄、脊髄疾患の手術時の洗浄及び神経 内視鏡手術時の灌流を効能・効果とする注射薬であります。  23ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載 品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式に よる算定が妥当と判断いたしました。営業利益率については、従来は院内製剤として、使 用直前に無菌的に調整せざるを得なかった人工髄液について、本剤は長期安定性を保ち、 簡便な操作で混合調整が可能となるよう製剤的な検討が行われているものの、本邦で使用 実績のある病院薬局製剤の人工髄液と比べて革新的な新規性は認めがたいことなどから、 平均的な営業利益率マイナス5%の営業利益率を用いることが妥当と判断しました。  したがいまして、22ページに戻り、本剤の算定薬価は、500mL1袋2,203円と なりました。  次に、メドウェイ注について説明します。24ページをごらんください。メドウェイ注 は、人血清アルブミンを有効成分とし、アルブミンの喪失及びアルブミン合成低下による 低アルブミン血症、出血性ショックを効能・効果とする注射薬であります。  25ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載 品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式に よる算定が妥当と判断しました。  したがいまして、24ページに戻り、本剤の算定薬価は、25%50mL1瓶9,602 円、5%250mL1瓶9,602円となりました。  次に、タリムス点眼液について説明します。26ページをごらんください。タリムス点 眼液は、タクロリムス水和物を有効成分とし、春季カタルを効能・効果とする外用薬であ ります。  27ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果、薬 理作用が類似するシクロスポリンを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が 妥当と判断しました。また本剤は、希少疾病用の医薬品の指定を受けていることを踏まえ、 市場性加算(I)、加算率(A=10(%))を適用することが妥当と判断しました。な お、本剤は、平成20年度薬価制度改革において薬理作用類似薬である場合でも比較薬に ついて市場性加算が適用されていない場合には加算を適用することとされたことから、市 場性加算を適用するものであります。  したがいまして、26ページに戻り、本剤の算定薬価は、最類似薬であるパピロックミ ニ点眼液0.1%との1日薬価合わせに市場性加算(I)(A=10(%))を適用し、 0.1%5mL1瓶9,383.2円となりました。  最後に、ナグラザイム点滴静注液について説明します。28ページをごらんください。 ナグラザイム点滴静注液は、ガルスルファーゼを有効成分とし、ムコ多糖症VI型を効能・ 効果とする注射薬であります。  29ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については既収載品 の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式によ る算定が妥当と判断しました。  したがいまして、28ページに戻り、本剤の算定薬価は、5mg5mL1瓶25万6,77 5円となりました。  以上で報告を終わります。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見などございましたら、どうぞお願いします。 ○対馬委員  内容というよりはむしろ様式の問題についてですが、特に原価計算については、今般の 改定で営業利益率を±50%の範囲で算定する方式となりました。例えば20ページをご らんになっていただきますと、今回、ちょうど真ん中あたりの「原価計算」という欄があ って、営業利益が25.0%とありますが、ここが一番重要なポイントだろうと思います。 ただ、これは25%が重要なのではなくて、平均的な19.2%に対して1.3倍したと いうのが一番の特徴だろうと思うのです。確かにそうなのですけれども、これは資料を見 る限りにおいてはなかなかそこまで読み取れない。昔の原価計算方式の様式をそのまま使 っているのはいかがなものか。例えば営業利益のところに、「諸経費を除く価格の19. 2%×1.30」と書いておいて、その横に、有効性が云々とか、革新性が云々というの を一言二言書いていただくと非常によく分かるだろうと思うので、そこを工夫いただけれ ばありがたいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。その辺はもう少し分かりやすくするように書き方とかは工夫 したいと思います。 ○土田会長  よろしいでしょうか。ほかにございますか。  よろしいですか。それでは、ほかに御質問等がないようでしたら、ただいま報告いただ きました内容につきまして中医協として承認したいということにしたいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  加藤委員長、長い時間どうもありがとうございます。                 〔加藤委員長退席〕 ○土田会長  それでは続きまして、「先進医療専門家会議の検討結果」について議題としたいと思い ます。  事務局より資料が提出されております。最初に、「先進医療として部分的に継続する技 術」について説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)  医療課企画官でございます。  資料の総−2−1をごらんいただきたいと思います。こちらに、先進医療として部分的 に継続する技術として、3つ掲載されております。これは、今回の診療報酬改定において、 先進医療から保険収載された保険導入の技術が24技術ほどございますが、その中で、技 術そのものが丸ごと収載されるというのではなくて、一部だけ保険に収載されて残ってし まったというものが幾つかございます。その残った技術について継続して先進医療として 続けていくというようなものでございます。  それがこちらにあります3つでございまして、まず1つ目と2つ目、これはいずれも抗 悪性腫瘍剤の感受性試験でございますが、これはSDI法とHDRA法とそれからCD− DST法の3種類ございます。もともと先進医療専門家会議のほうでは3種類出ていたの ですが、収載に当たって、この3種類を1つにまとめて検討してはどうかという御意見を いただきまして、まとめて検討していたのですが、その中で、この2番のHDRA法及び CD−DST法による、消化器がんのうちでも根治度Cの胃がん、その部分だけが保険に 収載されまして、それ以外のものについては今回は収載見送りということで先進医療に残 るということになったということでございます。  そのため、1番のSDI法、これについては収載部分がございませんので、こちらに書 いてあるとおりでございますが、2番のHDRA法とCD−DST法については、根治度 Cの胃がんのみ収載されたので、これを除いたものを先進医療として続けるということで ございます。  それからもう1つは、3番の超音波骨折治療法、これは観血的手術を実施したものにつ いて先進医療ということで行われておりましたが、このうち開放骨折とそれから粉砕骨折 については今回保険収載ということになりましたので、それを除いた部分について先進医 療に残るということになったということでございます。  概略は以上でございますが、もう少し具体的なものについては、1枚おめくりいただき まして1ページでございます。こちらにSDI法による抗悪性腫瘍剤感受性試験というこ とでございますが、その概要として書いてございますけれども、進行がんの患者さんから 手術等によって摘出した腫瘍組織、またはがん性胸水・腹水を酵素処理して単離浮遊細胞 を作製する。この細胞と抗悪性腫瘍剤を一緒に混合培養して、生き残る悪性腫瘍の細胞の 活性というものを図ってその効果を見るという技術でございます。これらについては既に 説明してございますので、簡単にさせていただきます。  2ページでございますが、悪性腫瘍としても各部所の悪性腫瘍がございますことから、 診療科が多岐にわたっております。また、それに伴って資格についても多岐にわたってお りますが、このような適用基準等、要件が決められております。  3ページでございますが、これは、HDRA法とCD−DST法による抗悪性腫瘍剤感 受性試験ということで、HDRA法については、概要のほうに書いてございますが、やは り進行がんの患者さんから手術等によって摘出した腫瘍組織を、これはコラーゲンゲルマ トリックス上で抗悪性腫瘍剤とまぜて一緒にして培養する。そういうことを通じて悪性腫 瘍が縮小するかどうかというようなことを見ていくというものでございます。  それからCD−DST法については、この腫瘍組織を酵素処理して単離浮遊細胞を得て、 これをやはり細胞培養基質であるコラーゲンゲルをコートした培養器に入れて培養した上 で、後に抗悪性腫瘍剤を添加して、やはりその後の増殖等を見るというような技術でござ います。  4ページの要件については、先ほどのSDI法と同様の要件になっております。  5ページでございますが、超音波骨折治療法につきましては、「整復」、「固定」をし た後、骨癒合過程を促進するという技術でございまして、微弱な超音波を1日1回20分 間、骨折部に与えることで骨折治癒を促進する、そういった治療法だということでござい ます。  要件につきましては、最後の6ページに書いてあるとおりでございます。  説明については、以上です。 ○土田会長  どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして御質問、御意見ございま すでしょうか。  よろしいですか。  それでは、ただいま報告いただきました内容につきましては、中医協として特段の意見 はないということでまとめたいと思います。よろしいですか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  次に、「平成19年6月30日時点における先進医療の実績報告」について説明をお願 いします。 ○事務局(宇都宮企画官)  それでは、資料の総−2−2をごらんいただきたいと思います。「19年6月30日時 点における先進医療の実績報告」というものが掲載されております。こちらに書いてござ いますとおり、先進医療の技術数としては117種類、医療機関数は373医療機関、そ して患者数は1万4,179人、総金額としては98億4,000万円。その中で、保険 で見ております保険外併用療養費及び保険の部分についての一部自己負担がございますが、 その合計額が49億4,000万円。それ以外の先進医療に係る費用が約49億円という ことで、総金額のうち、先進医療に係る費用の割合は49.8%ということになっており ます。  2ページでございますが、過去5年間の実績ということでこちらに書かせていただいて おります。最初は高度先進医療ということだったのですが、この表の下から2段目のとこ ろでございますけれども、「平成18年6月30日における高度先進医療及び先進医療の 実績」と書いてございます。これは、平成17年10月1日から高度先進医療にかわりま して先進医療ができたということで、この時点で両者はまざっておりますが、このような 実績になっております。  そして一番下の段が、今御説明申し上げました今回の先進医療の実績ということで、こ れをごらんいただきますと、例えば医療機関数もこれまでの実績と比べまして373、患 者数も1万4,179人、金額も98億4,000万円ということで、非常に多くの医療 機関で患者さんの治療を行うようになったというようなことがこの表から分かると思いま す。  3ページ以降でございますが、これは、それぞれの個別の技術についての導入時期、先 進医療の総額、そして実施件数で、先進医療総額を実施件数で割った1件当たりの先進医 療の費用、それから平均入院期間というものがそれぞれ示されております。これはまたご らんいただければと思います。  7ページでございますが、これは旧高度先進のほうから来ました18技術についての御 報告がございます。  説明は、以上でございます。 ○土田会長  ただいまの説明につきまして御質問、御意見ございましたら、どうぞお願いします。  よろしいでしょうか。このように伸びつつあるという報告でございました。  ただいまいただきました報告については、中医協として特段の意見はないということで まとめたいと思います。よろしいですか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  それでは、次の議題に進みます。「高度医療評価制度」について議題としたいと思いま す。  資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(新木研究開発振興課長)  医政局研究開発振興課長でございます。お手元の資料、中医協総−2−3に基づきまし て御説明をさせていただきます。  この高度医療評価制度につきましては、薬事法の承認が得られていない医薬品・医療機 器の使用を行った場合に、これを保険とどのように併用していくのか、この観点からの議 論でございますが、一般的な治療法でないなどの理由から、現時点では原則として保険と の併用が認められておりません。しかしながら、医学医療の高度化や医療技術を安全かつ 低い負担で受けたいという患者さんのニーズ等に対応するために、これまで先進医療専門 家会議及び医政局に設置されております「「臨床的な使用確認試験」に関する検討会」等 で検討してきたものでございまして、その結果、一定の要件の下に行われるものについて は、先進医療の一類型として保険診療との併用を認め、薬事法による申請等につながる科 学的評価可能なデータ収集の迅速化を図ることを目的として、こういう制度を創設すべき でないかという案を作成されているところでございます。  具体的な高度医療の取り扱いにつきましては、1ページ目の(2)にございますように、 有効性、安全性の確保の観点から、制度の対象となる医療技術ごとに実施医療を個別に要 件を設定しまして、当該要件に適合する医療機関において、その医療機関に所属する医師 の主導により適切に実施される医療技術について実施を認めるということでございまして、 医療技術また実施医療機関を2つ規定するという内容でございます。  2ページ目をごらんください。高度医療の対象となる医療技術につきましては、ここに 記載されておりますように、薬事法の承認を受けていない医薬品・医療機器の使用を伴う もの、また(2)といたしまして、いわゆる薬事法の承認外、適応外の問題、これらにつ いて医療技術を使うものでございます。  3の高度医療を実施する医療機関の要件でありますが、(1)〜(4)の要件を満たす ものを考えております。(1)、医療法に規定する特定機能病院等、もしくはそれに準ず る医療機関と考えております。(2)、そこで行われている内容につきましては、先ほど 申し上げましたように、まだ薬事法の承認を受けていない研究段階のものということです ので、臨床研究に関する倫理指針、これは平成16年度に作成されまして現在改定を行っ ている途中でありますが、これに適合して被験者の保護などが図られている内容。(3)、 使用される医薬品や医療機器の管理体制等が適切であること。(4)、医療機関の責任者 等が明確であることを要件にしております。  3ページ目であります。高度医療、今度は技術の要件であります。先ほどの3が医療機 関の要件でありましたが、4の技術の要件といたしましては、少し分量が多くなりますが、 かいつまんで概要を御説明します。  (1)、使用実績、有用性について、文献等によりまして安全性、有効性の確保が期待 できるものであること。  (2)といたしまして、(1)から(6)までありますが、これらを満たすものであること。  (1)、個別の医療技術についても倫理指針に適合していること。  (2)、万一不幸な転帰となった場合の責任や補償の内容等について明らかにしまして、事 前に患者、またその家族に説明し、同意をきちんと得ておくこと。  (3)、医師等の責任体制をきちんとしておくこと。  (4)、安全性、有効性が客観的に確認できることが期待できる試験計画であること。  (5)、データの取り扱い等について体制が確保されていること。  (6)、多施設共同研究でやる場合が多くなると予想しておりますが、そういう場合には、 中心的に調整を行う医療機関などが明示されていること。  (3)といたしまして、データマネージメント体制、またモニタリング体制、これらに ついても体制を整備するよう努められたいことであります。  5といたしまして、具体的な申請の手順でありますが、これは事務手続ですので概要で 御説明しますが、厚生労働大臣に提出していただきまして、また、もちろん必要に応じて 事前に相談を前広に受けたいというふうに考えております。  申請に必要な添付書類は、計画書等、必要な様式を定めたいと思っております。  また、さらに必要な文献をそれに添付していただきまして、それらをもとに、医政局に 設けます高度医療評価会議において議論をいたしまして、その結果を先進医療専門家会議 に報告いたしまして、先進医療専門家会議の場におきまして保険との併用の可否について 検討し、先進医療として認められた場合には、ここ、中央社会保険医療協議会に報告し、 最終的には大臣が告示をするという手順を考えております。  5ページ目でありますが、6は事務的な話ですが、取り下げる場合には取り下げを様式 で提出していただきたいということであります。  また7は、変更等の場合にも定める書式で提出をお願いしたいと思っております。  8が高度医療に係る公表、報告、立入り調査等であります。  (1)、実績の公表でありますが、高度医療実施医療機関は、定期的にこの高度医療に 係る実施状況等について公表するとともに、厚生労働大臣にも報告をしていただくことと しております。  (2)、重篤な有害事象・不具合等が起こった場合の対応及び公表や報告でありますが、 予期しない重篤な有害事象や不具合等が発生した場合には、速やかに患者さんの必要な医 療的な処置等を行っていただきまして、また同時に、倫理審査委員会等に報告し、必要な 体制を十分に検討して実施をしていく。さらに、協力研究機関等にその情報を周知してい ただくこととしております。同時に、これらの対応状況・結果について公表するとともに、 厚生労働相にも報告をしていただくという内容となっております。  6ページ目であります。高度医療実施医療機関は、これがいろいろな進行中の研究であ ることから、常に高度医療に係る安全性、有効性の情報等に努めていただきたいと考えて おります。また、承認または認証を受けて製造された医薬品・医療機器を使用する場合に は、もちろんのことでありますが、薬事法の定めに応じて対応していただくこととしてお ります。  (3)、立入り調査でありますが、試験実施中のプロトコール等につきまして、厚生労 働省が立入り調査を行うというのを前提にこの高度医療をやっていただきたいと考えてお ります。  9の医薬品・医療機器の入手等でありますが、これは未承認の医薬品・医療機器等を使 うことから、適切な手法でその入手または管理をしていただきたいという内容でございま して、(1)、高度医療実施医療機関の中で自家製造、医療機関の中で自分でつくる場合、も しくは他者に委託して行う場合、さらには(2)といたしまして、個人輸入による場合、これ らが想定されております。  7ページの10でありますが、高度医療の実施状況の確認等であります。高度医療評価 会議におきまして、要件の適合性、計画の実施について確認を行いたいと思っておりまし て、また、確認の結果が不適当となった場合には取り消し、その結果を通知するというも のでございます。  11の文書の送付については、厚生労働省医政局研究開発振興課が事務局を行いますの で、そこに送付をしていただくというふうに考えております。  9ページ目に、「高度医療に係る取扱いについて」の流れ図がございます。先ほど文章 で御説明したことの繰り返しでありますが、保険医療機関から厚生労働省に、まず高度医 療評価制度として医政局の高度医療評価会議で審議をし、その結果を先進医療専門家会議 に報告をし、保険としての可否を検討していただきまして、その結果を中医協に御報告し て、最終的には大臣告示、保険併用が可能に、という手順を考えているところでございま す。  なお、経緯的には、高度先進医療が先進医療となる際に、薬事法の承認を受けていない ようなものが使えなくなったなどの課題、これが背景にこの検討を進めてきたところであ ります。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。ただいまは、医政局研究開発振興課長からの説明でご ざいました。  ほかに医療課のほうで補足がありましたら、お願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)  もう既にお話しされてしまっているのですが、資料の8ページのほうにございますよう に、この現在の先進医療の制度では、薬事法の承認を受けたものでなければ対象とならな かったと。つまり、薬事法の方で安全性、有効性が担保されるというものについてのみ対 象であったものが、今回薬事法未承認あるいは適応外のものについても新たな枠組みで先 進医療の対象となることとなったということでございます。  以上でございます。 ○土田会長  ありがとうございました。  ただいまの説明つきまして御質問、御意見ございましたら、どうぞお願いします。 ○大島専門委員  新しい医療の技術の開発にとっては、こういった要件というのは私たちにしてみれば極 めて当たり前のことで、ずっと考えてきて、初めてこれは文章になって出てきたという感 じがするのですけれども、ルールだとか規範の裏にはペナルティーというのがあって極め て当然な話です。だから、ルール・規範というのが出てくるのですけれども、これは保険 診療にかかわることなので、保険診療上の問題ということになりますが、しかし、本来保 険診療にかかわる・かかわらないにかかわらず、新しい医療技術の開発というのはある一 定のルール・手続を重視してやられなければいけないと思うのです。この場合に、これは 違反したら一体どういうことになるのでしょうか。 ○事務局(新木研究開発振興課長)  もちろん保険上の制度としてのものがございますが、そのほか、今御指摘のように、本 来医療としてという話がございますが、この臨床研究、人を対象とした研究につきまして は、臨床研究に係る倫理指針というものが平成15年に策定して現在その見直しを行って いるところでございます。この臨床研究の倫理指針に基づきまして、特に厚生労働科学研 究費等公的研究費が出ているものについては遵守を前提に行っているところでございます。  今御指摘の、もし遵守されなかった場合の罰則といいますか、ペナルティーの件でござ いますが、ガイドラインということから、直接的なペナルティーはこの臨床研究の倫理指 針上はございませんが、これに基づいて行われなかった場合には、例えば厚生労働科学研 究費の上での、当然それを前提に支払っている研究費でございますから、それでの対応。 また、場合によっては医師法や医療法などの規定が関係してくるものというふうに考えて おります。 ○土田会長  大島先生、よろしいでしょうか。 ○大島専門委員  私は、具体的に幾つかの事例を頭の中に浮かべながら言っているのですが、それは今こ こで言う話ではないのですけれども、今のお話から外れたようなことも現実には起こり得 るというふうに想定しています。そういったような場合は一体どうされるのでしょうか。 ○事務局(新木研究開発振興課長)  現在まさに御指摘のようなこの倫理指針の実効性をどう確保していくかということを問 う議題に、厚生科学審議会の下に専門委員会を設けて検討を行っているところでございま す。この夏までにはその結論をまとめていただきたいと思っておりまして、今御指摘のこ とを含めて、さらに検討を進めていきたいと考えております。 ○土田会長  分かりました。どうもありがとうございます。  ほかにございますでしょうか。 ○対馬委員  今回の件というのは、二、三年前に、高度先進医療、特定機能病院等を中心にやってい たものを先進医療制度に置きかえて、それでやってきたわけですけれども、その中で、薬 事法で未承認・適応外の医薬品等については、いわゆるそのはざまに入ったということで 今回対応をとりたいという認識でよろしいのですか。 ○事務局(宇都宮企画官)  はい、そのとおりでございます。 ○対馬委員  2つ質問があるのですけれども、1つはやや形式論みたいなことで申し訳ないのですけ れども、8ページと9ページを比べますと、特に中医協と先進医療専門家会議との関連で、 8ページの現行のほうは、先進医療専門家会議が「要件を設定」となっていますが、9ペ ージへ行きますと、「先進医療として決定」ということで、先進医療専門家会議の役割が ちょっと変わっているのかなというふうに見えるのですが、その質問が1つ。  それからもう1点は、これはいつどういった形で実施になるのでしょうか。例えば4月 1日付なのか、それとも5月とか、そのあたりはどういったことになるのか、この2つで す。 ○土田会長  これは片方ずつ、前と後とが。今新木課長が手を挙げられたのは後半のほうですね。 ○事務局(宇都宮企画官)  では、前半についてですが、先進医療専門家会議についての役割は特に変わるものでは ございません。単純に表記上の違いだけでございます。 ○事務局(新木研究開発振興課長)  この高度医療評価制度につきましては、本日御承認がいただければ、速やかに通知等の 発出手続に入りまして、4月1日から始めたいというふうに考えております。 ○土田会長  ありがとうございました。 ○山本委員  先ほど御説明の中で8ページのところですけれども、薬事法上の承認を受けた医薬品等 については、既に薬事法上、安全性が担保されているというお話があったわけですが、新 しい医療技術が速やかに導入されることに反対ではない、むしろ賛成なのでありますけれ ども、6ページの9に具体的に、医薬品の入手方法の中で、自家製造をするような場合と、 もう1つは個人輸入をするというケースの2つのケースを想定して必要なものを入手して 進めていくと。施設あるいは技術に関しては、かなり厳密な要件がついておりますので、 あまり心配しなくてもよいのかもしれませんが、(2)のほうのいわゆる個人輸入の場合です と、かなり最近、いわゆるインターネットを使って相当に乱暴なものが入ってきておりま すので、ぜひそうしたことがないように、安全性、いわゆる医薬品の品質というのでしょ うか、そうしたものについては十分に担保するような方法、(1)のほうは多分御自分でつく られますので、そこは院内製剤にしても問題はないと思うのですけれども、でき上がった ものをそうした輸入をする場合には、日本の基準とも違いましょうし、何が入ってくるか 分からないという状況がありますので、そこにつきましては十分にその安全性等を担保す るような方法を講じていただきたいと思います。 ○事務局(新木研究開発振興課長)  ただいま御指摘の点は大変重要なことだと考えておりまして、その使用される医薬品や 医療機器の品質については、十分にまずこの院内の倫理審査委員会で検討していただく。 またその結果を高度医療評価会議にも提出していただいて審議をするというようなことで 十分な配慮を行っていく必要があると考えております。 ○土田会長  よろしいですね。どうぞよろしくお願いします。 ○中川委員  8ページと9ページの整理を見て、右側の高度医療評価会議で認められて、ここの健康 保険上の位置付けといいますか、保険外併用療養費の評価療養との違いはどのように考え たらいいでしょうか。限りなく「いわゆる「混合診療」」というふうに考えればいいのか どうなのか。  それと、薬事法上未承認のものを認めるということになると、これは高度医療評価会議 で評価療養のほうに持っていったほうがいいときはという流れが書いてありますけれども、 例えばメーカー側としては、薬品を例に挙げると、メーカー側としては、ここで高度医療 評価会議で認められれば、ここまでで薬事法に申請するインセンティブが働かないという 危険性もあると思うのですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。 ○事務局(宇都宮企画官)  まず、前半のほうでございますけれども、高度医療評価会議を通すこのプロセスは、先 進医療の一つとして、これは、1ページの1の(1)の5行目から書いてございますが、 あくまで「先進医療の一類型」、そういう位置付けとして我々としては考えておるという ところでございまして、特別に外に出た別の枠組みという意味ではございません。 ○土田会長  後半のほう、どうぞ。 ○事務局(新木研究開発振興課長)  御指摘のように、これは薬事法の承認を受けていないものを使用していくわけでありま す。しかしながら、原則は薬事法の承認を受けて広く使えるようにしていただくというの が薬を使う際の原則だと思っておりまして、これはあくまでもそれに至るまでの過程とし て、データ収集等も行いながら、限定された医療機関、大学病院等で行う場合に、その薬 や医療機器の部分は保険で給付されない形であります。したがいまして、まずは薬事法の 承認を当然受けていただくための申請、治験等を行うのが一番だと思っておりますが、そ れに至るまでの過程として、臨床研究が必要な場合に限って、そういう場合には、ここを 大学病院等限定された施設においてデータを収集する等の目的で申請に至るまでのデータ 収集などを目的に行っていただく。  説明がちょっと粗雑で申し訳ございませんでしたが、1ページ目に記載しております目 的・趣旨は、そういう趣旨で記載をさせていただいております。 ○中川委員  評価療養が、機能が不十分だということが背景にあると思うのです、そういう意見があ るということは。今のお話だと、薬事法上の承認を受けるまでの過程と、先進医療専門家 会議で、これがオーケーが出るまでの流れが、いわゆるこのシステムの機動性を高めるこ とで、右側の高度医療評価会議を通す流れが解消されるといいますか、カバーできるので はないかというふうにも思えるのですけれども、先進医療専門家会議までの流れがもっと もっと機動性を高めて、例えば頻回に開催するであるとか、薬事法までの申請の流れが早 くなるとか、そういうことで最終的には、一時的にこういう今回設定して、数年間見て、 これは必要なくなるという可能性もあるという位置付けでいいでしょうか。 ○事務局(新木研究開発振興課長)  新しい制度でございますので、この先の見直し等については、その実績等を見ながら、 もちろん節目節目で制度の在り方、必要性等を含めて考えていく必要があろうと思います。 現時点では、始めるところでございますので、まずその実績を見ながら、今後また広く御 検討をいただく必要があろうかというふうには思っております。 ○土田会長  よろしいでしょうか。ほかにございますか。 ○勝村委員  薬事法の承認等、こういうところの先進医療のほうに出てくるものとの関連で、だから、 高度医療として認められて先進医療のほうに出て、専門家会議のほうに出ていって認めら れていった後に、できるだけ速やかに薬事法の承認の申請をその後には当然していくとい うことが原則なんだろうと思うのです。同じように、薬事法で認められたものは、もちろ ん承認をする時期とか、会議の時期が違いますので時差ができてしまいますけれども、薬 事法上で認められたものに関しては、先進医療専門家会議のほうで保険に適用するかどう かの議論には当然申請されていくということなんですよね。そういうふうに時間差はでき る、どっちが先とかいうことはある。どっちかが先にあってデータが積み重なったから申 請ということもあると思うのですけれども、そういう、今僕が言ったような関係というの は必ず実施されてきたのか、また新しいものに関しては必ずそういう形で実施されるのか というのはどういう感じなのでしょうか。  つまり、これまでのことで言うならば、薬事法で承認された、けれども、先進医療専門 家会議のほうに申請がされていないなどということがあり得るのかとか、これからのこと で言うと、つまり、高度医療評価会議を経て先進医療専門家会議で実施がされることが決 まった後に薬事法に申請が速やかにされないということがあり得るのかという点はどうな のでしょうか。 ○事務局(新木研究開発振興課長)  過去のものについてはちょっとあれですが、新しいものについては、今お話しのように、 できるだけ早く薬事法の申請に至っていただくというのが、我々としても必要だし、原則 だと思っております。そのためにこれについては、8ページ目からですが、報告をしてい ただくことになっておりまして、報告をしていただいて、これをきちんと評価をしていく というのをこの高度医療制度に組み込みたいというふうに考えておりまして、ずるずると 行くのではなくてきちんと評価をしながら進めていくという運用をしたいと考えておりま す。 ○土田会長  よろしいですか。ほかにございますか。 ○勝村委員  もう1つの質問は、薬事法の承認を得たものが保険収載される・されないの議論に上が っていない事例というのはあるのでしょうか。 ○事務局(宇都宮企画官)  それについてはございます。技術によっては、保険で見るものとはまた違うような、例 えば人工植毛みたいな話ですとか、そういうものもございますし、ですからその辺はさま ざまなものがございます。 ○土田会長  よろしいでしょうか。ほかに御質問ございますか。  ほかに御質問がないようでしたら、ただいまいろいろな意見が出ましたけれども、そう いう意見を踏まえながら進めていただきたいということでまとめたいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  これで、今日予定されておりました議題はすべて終わりました。  次回の日程等につきまして事務局からお願いします。 ○事務局(原医療課長)  現在未定でございますので、また御連絡差し上げたいと思います。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  最後にちょっと私事で恐縮ですが、私は、2002年に発令されまして、今度4月7日 で任期を終了することになりますが、今回が最後の総会ですので、一応退任の挨拶をさせ ていただきたいと存じます。  2002年に就任したときは、星野会長の下でしたが、再診料の逓減制の問題と、それ から手術の施設基準の問題をめぐって激しい議論が展開されました。再診料の逓減制は途 中で廃止されましたし、それから施設基準のほうは何回かの改定の後に、2006年改定 で廃止になりました。再診料はまた今回いろいろ問題があったわけでございますけれども、 そういう再診料にしても、その施設基準にしても、非常に難しい問題が6年越しで未解決 のままであるという意味で、非常に感慨深いものがございます。  その後2005年から会長を拝命いたしまして、2回の改定を行ったわけでございます けれども、その間、中医協の改革がありました。それまでは改定率をめぐる議論が大部分 でして、年末に改定率が決まりますと、その後の内容については、ウエートでいいますと 3分の1ぐらいといいますか、そういう形で進めてきたのですけれども、この中医協改革 からは、改定率は内閣で決めるということになりましてから、改定内容をめぐっての議論 が中心になってきたということで、大きくここでのテーマがさま変わりしたということが ございます。  それから、2003年3月に閣議決定がありまして、診療報酬体系の抜本的な改革を行 うということが定められまして、それに従って改革を行うことが前提条件となっておりま した。それに加えて、2006年の改定はマイナス3.16%という非常に厳しい改定率 が出ておりました関係から、非常にドラスチックといいますか、非常に大きな変更を伴う 改革を行ったわけでございます。ただ、その結果、リハビリテーションの問題であるとか、 療養病床あるいは7対1というような問題が出てきました。リハビリテーションも療養病 床も看護配置も一定の改革が必要だったわけでございますけれども、改革に伴って発生し た問題の処理に1年半余りを費やさざるを得なかったということが非常に記憶に残ってお ります。  それで今回の改定は、医療費本体は8年ぶりのプラス改定ということを受けまして改定 作業を進めたのですが、事務局の方たちは、前回の改定の後いろいろ問題が出てきたとい うことを踏まえてだと思いますが、非常に慎重な改定作業を進めていただきまして、いろ いろありましたけれども、どうにかまとめることができたというふうに思っております。  そういうことで、6年間、特に後の2回の改定につきましては、慎重に、できるだけよ いほうに向かうことで、1号側、2号側に歩み寄っていただいたわけでございますけれど も、ただ振り返ってみますと、6年前から現在を見ると、医療の崩壊が明らかに進んでい るということがあるわけで、一生懸命やってきたのに一体何だろうという思いがやはり一 方でいたします。ただ、これはもちろん診療報酬改定だけの問題ではありませんで、ある いは診療報酬改定以外のファクターが大きかったと思いますが、ただ、診療報酬にも責任 の一端はあると思っています。別の言い方をしますと、ある程度大きな改定を行う場合に は、必ずこういういろいろな問題がリアクションとして出てくるわけで、大きな改革を行 う場合にはそのリアクションにも配慮して慎重に対応していくことが必要だろうというよ うに思っております。  そういうことで6年間過ごしてきましたけれども、1号側、2号側の委員の皆様には、 非常に私自身が素人でございまして、あるいは大島先生をはじめとして専門委員の方たち にもいろいろ御迷惑をおかけしながら、勝手なことを言いながら、あるいは時には失礼な ことを言いながら進めてまいりました。非常に心から御礼申し上げたいと思います。  この中で、松浦委員が一番任期が長くて僕とほとんど同じだと思いますが、松浦委員に は、時には焦点を外していただいたというか、あるいは焦点のずれたといいますか、発言 をいただいて非常に助けていただきました。(笑声)この場をかりてお礼を申し上げたい というように思います。  それから、公益委員の皆様には、私自身がここでいろいろ議事を進めていくことについ ては、いろいろなところがあったと思いますが、基本的には非常に賛同、支持していただ きまして、お礼を申し上げたいと思います。特に遠藤委員とは3年ほど御一緒しましたけ れども、彼は医療の専門家でありまして、何を聞いてもすぐ答えてくれるということで、 非常に大きな助けをいただきました。  それから、最後に事務局になりますが、事務局は、原課長で4人目ですね、課長は。そ れぞれ個性があってといいますか、特徴があって、課長によってこんなにいろいろと改定 作業が違うのかなという思いを非常に強くしますが、原課長の場合は、一言で言えば非常 に改定のプロだなというふうに思いました。非常に教えていただいたことが多くありまし た。  それから、今日はいらっしゃいませんけれども、水田局長にはいろいろ圧力があったか と思いますが、僕には全くそういうことは一言も言いませんで、本当に局長は無言の行を 4年間この場でしてきたように思います。おりませんが、お礼を申し上げておきたいと思 います。  それから、最後になりますが、報道陣の方にもお礼を申し上げたいと思います。診療報 酬という非常に地味なところを非常に詳しくまた大きく取り上げていただいたことがあり まして、非常にありがとうございます。ただ、1つだけ言いますと、診療報酬改定の率が ああなるかこうなるかと、あしたになれば分かるような話を一生懸命追いかけて歩くとい うのは、それは新聞記者といいますか、報道の一つの姿でしょうが、ただ、今非常に大き な歴史の流れの中で改定を行っているわけでございますので、古い言葉で言えば報道は 「社会の木鐸」でございますので、そういう使命をどうぞお忘れなく、大きな視点から評 価していただきたい。これは多少の皮肉を込めて申し上げておきたいと思います。(笑 声)  本当に素人の会長で非常に御迷惑をおかけしたと思いますが、僕にとっては非常に楽し い6年間でございました。どうもありがとうございました。(拍手) ○対馬委員   会長、一言お礼を申し上げたいというふうに思います。松浦委員のほうから指摘された ほうがいいのかもしれませんけれども……(笑声) ○土田会長  申し訳ない。(笑声) ○対馬委員  中医協改革で大変枠組みが大きく変わる中で2度の改定をしていただきまして、本当に きっちり裁量していただきました。おかげさまでかなり軌道に乗ってきたのかなと、こう いうふうに思います。  また、改定の内容につきましても、節目節目で方向性ないしは裁定を下していただきま して、もちろん高度の識見なのですけれども、そこをやわらかくユーモアで包みながらや っていただきまして、本当に大変ありがとうございました。  ただいまさまざまな御指摘もいただきましたけれども、このあたりにつきましても、私 どもとしてもよく踏まえて対応を図ってまいりたいというふうに思います。  仄聞しますと、これから海外の方に行かれて研究をされるということですけれども、ど うぞ御自愛なされまして、また、中医協に対してもさまざまな御指導をいただけると大変 ありがたいというふうに思います。ありがとうございました。(拍手) ○竹嶋委員  それでは、診療の側を代表いたしまして、心から感謝の意を捧げたいと思います。  我が国の国民皆保険制度という中で、国民は安心してどこでもいつでも良質で安全な医 療を受けられるというこの制度を何とかしっかり根づかせていかなければいけないという ことが根底にあります。そして、それをするためには、極めて限られた現在の財源の中で、 中医協のこの場でどういうふうに地域医療の現場を活性化させていくか、それが患者さん にどう返っていくかということで随分と御腐心をいただいたというのを、この会に出るた びに本当に感じておりました。  そういうことで、私どもの一部は、この2年間しか会長とはこういう席でおつき合いを させていただきませんでしたが、たったこの2年間の中でも私どもは大変学ばせていただ きました。  1つは、こういう公の場で、私どももそれぞれの個人の立場、あるいは団体を代表をす る立場で国民の皆さんのために議論をするときに、やはりエビデンスに基づく、そういう 議論を行うということ、そして会長は本当に公正中立、そして厳しくこういう会に臨むと いうことを常に促しておられました。このような科学者としての先生の姿勢にまず本当に 敬意を表するわけでございます。  いま一つは、今日は和やかな笑いも出ましたけれども、このかたい緊張の中で、常に、 病める人というか、あるいは高齢者の方々のように障害を持った方々への思いを先生のお 心の中に馳せつつ、厳しい中にも支払側・診療側の意見を本当に調整いただきました。こ のことにつきましては、国民の一人として感謝を申し上げたいと存じます。  最後に、この20年度診療報酬改定、先生は3つの柱を挙げられました。まずは国民が 納得するような形、それから医療現場が疲弊しない、納得するような形、そして最後には 診療報酬という限られたこのツールを有効に使っていくようにという、この3つの柱を掲 げておまとめになられましたけれども、後は私ども地域医療の現場でそれぞれがこのまと められましたことを生かしていくという努力をやってまいりますということをここで先生 にお約束いたしまして、感謝の言葉にかえさせていただきます。  長い間本当にありがとうございました。御健勝をお祈り申し上げます。(拍手) ○土田会長  どうもありがとうございました。  それでは、終了いたします。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)