08/03/26 第1回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会議事録 第1回 受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会 議事次第         日 時:平成20年3月26日(水) 13:30〜15:20         場 所:東海大学交友会館 富士の間 1 開 会 2 議 事   1.受動喫煙防止対策の現状について   2.その他 3 閉 会 照会先:健康局総務課生活習慣病対策室(内線2348、2971) ○生活習慣病対策室長 それでは、定刻の13時30分となりましたので、ただいまから第1回 「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。会の冒頭部分は、事 務局の方で進行をしばらくの間、させていただきたいと思います。私が厚生労働省の生活習慣病 対策室長の関でございます。  それでは、開会に当たりまして、健康局長の西山よりごあいさつを申し上げます。 ○西山健康局長 御紹介いただきました健康局長の西山と申します。今日はお忙しいところ、お 集まりいただきまして大変ありがとうございます。  今日の会議は、受動喫煙についていろいろとお話しさせていただき、また、審議していただき ますけども、各委員御存じのとおり、受動喫煙は肺がんですとか循環器疾患等のリスクを上昇さ せるということが明らかになっておりまして、受動喫煙防止対策は国民の健康を脅かす視点から 大変重要な課題となっております。  私ども厚生労働省では平成12年度から展開しています「健康日本21」ということで、たばこ 対策の4つの柱の1つに受動喫煙防止対策を位置づけております。平成15年に公布された健康 増進法においても、公共の場所での受動喫煙防止措置の実施を施設の管理者に求めておるところ であります。  このような中で、公共の場所及び職場における分煙に対する取組みも増加しておりますが「健 康日本21」の中間評価を得まして、より一層の対策の必要性が指摘されております。  また、昨年開催されました、WHOのたばこ規制に関する世界保健機関枠組条約第2回締約国 会議というのがございましたけれども、そこでも受動喫煙防止対策に関してのガイドラインがと りまとめられたというようなことで、国際的にもより一層の取組みの推進が求められております。 先生方におかれましては、何とぞ活発な御議論をいただきますよう、よろしくお願いしたいと思 います。  なお、今日、衆議院の厚生労働委員会が実はございまして、その答弁に行かなければいけない ということで、あいさつをしてすぐに失礼いたしますけども、どうぞよろしくお願いいたしたい と思います。 ○生活習慣病対策室長 それでは、まず委員の御紹介をさせていただきます。その後、健康局長 は退席させていただきます。よろしくお願いいたします。  まず、資料1の2ページ目をごらんいただきますと「別紙」として名簿が付いてございます。 それでは、御紹介申し上げます。  遠藤委員でございます。  加治委員でございます。  見城委員でございます。  曽根委員でございます。  高見委員でございます。  永井委員でございます。  永山委員でございます。  久道委員でございます。  望月委員でございます。  名簿に、日本医師会常任理事の内田健夫委員の名前がございますけれども、本日は所用のため、 欠席ということでございます。  それでは、恐縮ですが、ここで西山健康局長には公務のために退室させていただきます。 (西山健康局長退室) ○生活習慣病対策室長 座って失礼いたします。本日の会議はごらんいただきましてわかります ように、公開で行なわさせていただいておりますけれども、恐縮でございますが、カメラにつき ましてはこの辺りでカメラ撮りの終了ということで、御協力をよろしくお願いいたします。  それでは引き続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の束でございます けれども、議事次第に続きまして、先ほど申しました名簿が付いております資料1、これが開催 要項でございます。  資料2といたしまして、パワーポイントの横長の「我が国における受動喫煙防止対策の現状に ついて」という資料。  資料3以下、束になってございますけれども、資料3は「受動喫煙防止対策の実施状況」とい うやや厚いものです。  資料4「受動喫煙防止対策のあり方に関する論点(案)」という1枚紙。  以上が資料で、参考資料として幾つか付けてございます。  参考資料1「受動喫煙防止対策について」という健康局長通知でございます。  参考資料2「職場における喫煙対策のためのガイドラインについて」。平成15年のものでござ います。  参考資料3「分煙効果判定基準策定検討会報告書」。平成14年6月というものがございます。  参考資料4で、英語と日本語が書いてあるものですが「たばこの規制に関する世界保健機関枠 組条約 英和対比表」でございます。  最後に参考資料の5で、WHOにおきましてまとまっておりますガイドラインでございます。 和文と英文と両方が束になって付いてございます。  以上でございますけれども、もし不足のものがございましたらば、挙手を願いまして事務局ま でお申し付けいただければ幸いでございます。大丈夫でしょうか。  それでは続きまして、本検討会の座長でございますが、事務局の方から久道委員にお願いした いと考えております。よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○生活習慣病対策室長 それでは、以下の進行を久道座長にお願いいたしたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○久道座長 久道でございます。  それでは、指名をいただきましたので座長をやらさせていただきますが、受動喫煙防止対策の 推進は、先ほど局長からもありましたように、我が国における健康増進の観点から非常に重要な 課題でありますが、委員の皆様の御協力をいただきながら進めてまいりたいと考えております。 よろしくお願いしたいと思います。  それでは、早速、議事に移りたいと思いますが、まずは我が国における受動喫煙防止対策の概 要等について、事務局より説明をお願いいたします。どうぞ。 ○山本室長補佐 それでは、資料2、資料3、また必要に応じて参考資料を参照しながら、我が 国の生活習慣病対策における受動喫煙対策の概要について、御説明をさせていただければと思い ます。  資料2、まず最初に、受動喫煙に限らずたばこ対策の全体像を簡単に御紹介させていただけれ ばと思っております。  先ほど、局長の方から御説明させていただきましたとおりで、たばこ対策につきましては「健 康日本21」に基づきまして、大きく4つの柱を掲げて取り組んできております。それが、左側 の4つでございます。大きく知識の普及、普及啓発活動、未成年者の喫煙防止対策、その次に、 今回の検討会の検討内容であります受動喫煙の防止、更に現在喫煙している方に対する禁煙支援 と、この4つの柱で取り組んでいるところであります。  現状として、先般、昨年「健康日本21」の中間評価を行いましたけれども、受動喫煙につき ましては、そのページの現状のところを見ていただければと思いますけれども、職場や公共施設 において対策に取り組んでいる割合は増加している一方で、飲食店や娯楽施設等における取組み が依然として不十分、全般的な推進が必要であるという指摘を受けたところであります。そうい う趣旨を踏まえて、今後の検討を先生方にお願いをできればと思っております。  2ページ目、受動喫煙を議論する上で喫煙率というのは非常に重要な状況だろうと思っていま して、現在の我が国の喫煙状況について御説明させていただきます。男性につきましてはごらん のとおり、左側のグラフとおりで右肩下がりできておりますけれども、依然として40%程度、男 性の喫煙率があるという状況でございます。  また、女性は赤い折れ線グラフでありますけれども、ほぼ横ばいとありますが、10%強の喫煙 率でございます。  男女合計しますと、真ん中のところで24%程度の喫煙率があるというのが、我が国の喫煙の現 状であろうと考えております。  3ページ目、健康増進法第25条で受動喫煙の規定がございますので御紹介をさせていただき ます。第25条に基づきまして、学校、体育館、病院、その他の多数の者が利用する施設の管理 者に対しまして、受動喫煙を防止するための努力義務を課しているというのが我が国の現状でご ざいます。  また、関係する通知として、その下のところで平成15年の通知が出ておりまして、第25条 の中では「その他の施設」という文言がございますけれども、その具体的な内容として、駅、バ スターミナル、旅客機、ホテル、旅館、バス、タクシー等々、その他の施設に含んでいくという ことを通知において明示をしているところでございます。  また、受動喫煙対策の対策の内容につきましては、3ページの一番下の部分の下線を引いてお るところでございますけれども、全面禁煙というのがまず1つ極めて有効だと書かせていただい た上で、施設の対応や利用者のニーズに応じた適切な受動喫煙防止対策を進める必要があるとな っております。  具体的に受動喫煙防止対策の内容につきましては、後ほどお話させていただきますけれども、 分煙効果判定基準策定検討委員会報告書というところでお示ししたものを参考にしながら、やっ ていただきたいということを示しております。  具体的には下線部のところですけども、喫煙場所から非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないよ う、適切な受動喫煙防止室の方法を採用する必要があるということを示させていただいていると ころであります。  4ページ、分煙の効果判定基準策定検討会の報告書の概要でございます。大きく2つございま して、現在の空気清浄機についての記載がございます。空気清浄機というのは、粒子状物質の除 去については有効であるが、ガス状成分の除去については不十分ということですので、やはり換 気に特段の配慮が必要であるという記載がございます。  また、受動喫煙防止の観点からは、屋内に設置された喫煙場所の空気を屋外に排気する方法を 推奨することが最も有効であるという記載がございます。  具体的に、措置をとった後の効果の判定の基準につきましては4ページの下段でございますけ れども、まず、喫煙所と非喫煙所との境界につきましてはデジタル粉じん計を用いて、経時的に 浮遊粉じんの濃度の変化を測定して漏れの状態を確認する。非喫煙所からの粉じん濃度は喫煙で 増加しないということを確認していくということ。  もう一つは、非喫煙所から喫煙所方向に一定の空気の流れを確認するということが示されてお ります。  また、判定場所として、喫煙所内につきましてはデジタル粉じん計を用いて平均浮遊粉じん濃 度が0.15mg/立方メートル以下にするということ。一酸化炭素濃度が10ppm以下ということが、報告書の中 で示されております。詳細については、別途参考資料3の方を見ていただければと思います。  そういった取組みの中で受動喫煙防止対策がどのように進んできているかというのを、5〜7 ページを用いまして御説明させていただきます。  5ページの4.3のところで、公共の場所及び職場における分煙の徹底というところがございま す。6ページ、7ページと併せて見ていただければと思いますけれども、平成12年をベースと して現状平成16年の値の評価をしている。  また、目標としては、平成22年にどこまで持っていくかというところを示させていただいて おります。  その結果として、都道府県、政令市、市町村等の公官庁においては中間実績値として市町村以 外のところでは100%、何らかの受動喫煙防止措置をとってきているという状況でございます。 職場につきましても、一定の中間実績値として進捗が見られるという状況になっております。  8ページ、たばこ規制枠組条約に関するたばこ受動喫煙防止対策の記載について、御説明させ ていただきます。まず、8ページの下の概要の欄でございますけれども、第8条のところに受動 喫煙防止対策ということも明文化されており、9ページで具体的にどういう形で書かれているか というところが9ページになっております。  第8条の2でございますけれども、締約国は屋内の職場、その他の公共施設においてたばこの 煙にさらされることからの保護を定める効果的な立法上、執行上、行政上または他の措置を国内 法によって決定された既存の国の権限の範囲内で採択し及び実行し、並びに権限のある他の当局 による当該措置の採択及び実施を積極的に促進するという記載がございます。我が国は、既にこ の条約の批准をしておりまして、条約が求めるものは健康増進法の規定で一応はクリアーしてい るというのが現状であろうと思っています。  引き続きまして、参考資料5と併せて見ていただければと思いますけれども、昨年夏に採択さ れた受動喫煙のガイドラインについて、御説明をさせていただきます。  参考資料の和文を見つつ御説明させていただければと思います。18ページを見ていただいて よろしいでしょうか。ガイドラインはかなり長文ですので、要点を絞って御説明をさせていただ ければと思っております。  18ページに「原則」というところがございまして、受動喫煙防止対策をやっていく上でさま ざまな規定が設けられております。「原則1」の6.のところでございますけれども、資料2の 9ページにも示させていただいておりますとおり、やはり100%の禁煙以外の措置は不完全であ る。換気や空気ろ過及び指定喫煙区域の使用というのは不完全であるということが、ここで明文 化をされております。  また、7.といたしまして「すべての人々がたばこの煙にさらされることから保護されるべき である。すべての屋内の職場及び屋内の公共の場は禁煙とすべきである」ということ。  「原則3」といたしまして、人々をたばこの煙にさらされることから保護するための立法措置 が必要である。更に、有効であるためには、法律は単純、明快かつ強制力を持つべきであるとい う規定がなされております。  少しページを飛ばさせていただいて、20ページを見ていただいてよろしいでしょうか。対策 をやっていく上で、定義が幾つかガイドラインの中では定められております。まず、20ページ の一番上17.の「喫煙」のところでございますけれども、本用語は、喫煙というのは実際に吸 い込まれているか吐き出されているかにかかわらず、火のついたたばこ製品を所持している、ま たは支配していることを含めて定義をするということになっております。  18.のところで「公共の場」としては、法律においては本用語をできる限り広く定義すること が重要であるという規定がございます。  「屋内」または「囲まれた」という定義につきましては19.の下から4行目からであります けれども「屋内」の部分は屋根で覆われた空間あるいは一方向以上、空気または面で覆われた空 間を含めて定義するよう提言するという記載もございます。  「職場」につきましては「職場」は「人々が勤務中または仕事中に使用する場所」のように広 義に定義すべきであるという記載もございます。  21のところで、職場というところとは別途記載がありますけれども、個人の自宅または住居 するところにも慎重に配慮するべきであるということも書かれております。  22でありますけれども「公共の輸送機関」とは、一般の人々の運搬に使用する車両を含めて 定義すべきで、タクシー等も含んでいきたいということが記載されております。  21ページで、実効性を持たせていく上でどういうことをやっていくかということが28のとこ ろに書かれておりまして、受動喫煙の煙にさらされるリスクについて継続的に情報キャンペーン を通じ一般の人々及び世論先導者の意識を向上させることは、一般の人々の法的措置の理解及び 支持を確かにすることができるというような、どのように実効性を持たせていくかということに ついても記載がございます。  24ページ、同じようなところでございますが「地域社会の動員および参加」ということで、 受動喫煙対策の実効性を持たせていく上では地域社会を取り込むことによって強化をされてい くということも記載されております。  概要については以上でございまして、資料2の9ページの最後のところでガイドラインの位置 づけでございますけれども、このガイドラインは法的にこれをやらないと条約違反等を含めてと いうことではなくて、ベストプラクティス、最優良事例を示して、ガイドラインを参考にして、 各国においてどういう受動喫煙対策をとっていくかということ、それに資するための資料として 提示されたものと考えております。  受動喫煙対策の対策の概要については以上でありまして、続きまして、そういう状況を踏まえ て、各施設における受動喫煙の実施状況がどうなっているかということについて、資料3を用い て御説明をさせていただければと思います。資料3につきましては、健康増進法に定める各施設 がございます。その各施設の実施状況につきましては、たばこ対策の関係省庁連絡会議等で関係 省庁の御協力の下に可能な範囲、調べさせていただいているものをまとめさせていただいており ます。それでは、資料3に基づいて、順に御説明をさせていただきます。  1ページ、まず学校における対策の状況について、御説明をさせていただきます。1ページ目 の「4.調査結果」のところをごらんいただけますでしょうか。やはり学校におきましては教育 委員会というのが重要な役割を担っておりまして、都道府県の教育委員会につきまして4.のI の1の(1)でございますけれども、市区町村立を含む都道府県内の公立学校全体を対象とし、 通知により対策を求めているとしたところは7でございます。具体的には、全面禁煙を求めてい るのは4、分煙措置を求めるのは3という状況になっております。  また、(2)の都道府県立学校で、通知により対策を求めておりますが、市区町村立学校につい ては設置者の判断に任せると回答した都道府県は32で68%に上っております。具体的には、敷 地内の全面禁煙を求めているのが20都道県、施設内の全面禁煙が2県という状況になっており ます。分煙が10県という状況になっております。  具体的に学校で今、どういう分煙措置が取られているかというのが、2ページ目の「II.学校 における対策の状況について」という中段から少し下のところになっております。総数5万3,039 のうち対策を講じているのが95.3%というところでありまして、敷地内全面禁煙が45.4%とな っております。  また、2ページ目の下のところにありますけれども、設置者別に見ますと、国立では260校す べての学校で対策を講じている。公立では98%、私立では84.3%となっております。  学校種別の対策の状況におかれましては、ここに示させていただいているとおり、小学校、中 学校は98.8、99.2。3ページで、高等学校においては99.3という形で進んでおります。  注釈のところがございますけれども、この調査で「対策を講じてない」と回答した場合でも、 必ずしもそれぞれの学校における喫煙状況を反映しているものではないということになってお ります。  具体的にどういうことをいうかと言いますと、幼稚園などの場合はそもそも喫煙する職員がい ない場合には講じる必要性がない場合もありますので、講じていない場合にやっていないという よりは必要性がないということもあるんだと、御承知いただければと思います。詳細については、 4ページ以降にありますけれども、時間の限りもありますので割愛させていただきます。  続きまして、13ページをごらんいただけますでしょうか。体育館、美術館、博物館、屋外競 技場等の社会教育施設における現状でございます。  状況としては「区分」の下にあります「施設数」「実施施設数」の下にあります「施設数に占 める割合」のところをごらんいただければと思いますけれども、公民館においては70.3、図書 館においては99.7という形で、何らかの対策をとられている割合というのは3段目に示させて いただいている数字になっております。  具体的な措置の内容としては、施設内、建物内、施設内敷地内、または分煙の徹底。最後、煙 の流出措置のないものは実施していないという形で計算をしておるところであります。各施設、 それぞれ状況はあると思いますけれども、お示ししている数字で今のところ動いてきているとい う状況でございます。  14ページ、医療施設調査でございます。医療機関におきましては(8)のところでございま すけれども、病院が98.8%、一般診療所が86.8%、歯科診療所が87.5%。措置の内容としては、 施設内を全面禁煙としている施設がそれぞれ43.7、66.3、69.7となっております。  図15を見ていただければと思うんですけれども、やはり精神病院というのは施設の特性とい うのがありますので、全面禁煙というよりは分煙措置というのをとられている割合が多いという のが現状だろうと考えております。  15ページ、社会福祉施設、老人福祉施設等でございます。15ページの「総数」のところで御 説明をさせていただければと思います。調査の対象となった6万5,000余りの施設において、施 設内を全面禁煙としているのが3万4,600で半数強は全面禁煙をしてきており、分煙の徹底をや っているのが左側から2つ目のところでございますが、1万弱の施設においては分煙の徹底とい うのが行われており、何ら措置が講じられてないというのは同じように1万弱というのが現状で ございます。  続きまして、映画館、飲食店、ホテル、旅館等の調査、これは年度がいろいろ違えて調査をし ておるもので、その現状について簡単に御説明をさせていただきます。まず、映画館でございま すけれども、17ページを見ていただければと思います。全面禁煙が約35%、仕切りはないが分 煙をしているというのが41%、分煙されていないのが9.5%程度という状況になっております。  細かくなりますけれども、飲食店業の実施支店については20ページになっております。右下 のところを見ていただければと思いますけれども、分煙の状況として、分煙(禁煙)されていな いというのが83.8%になっております。  飲食店営業の中華料理店というのが23ページになっております。分煙の状況としては図27の グラフをごらんいただければと思いますけれども、分煙なしというのが87.7%、店内禁煙をし ているところが1.9%というのが現状でございます。  一般食堂、26ページの図22でございます。分煙(禁煙)なしというのが76.2%、店内禁煙と しているのが3.2%というのが現状であろうと考えております。  飲食店の料理店と定義されるものでございますけれども、29ページの図21、分煙、禁煙をし ていない施設は78%という状況になっております。  喫茶店営業、喫茶店でございます。32ページの図22でございますけれども、分煙(禁煙)な し、75%強のところが分煙措置は今のところ実施していないとなっております。  飲食店営業のうち、そば・うどんでございますけれども、ここは聞き方が少し異なっておりま して、35ページの横表の一番上の第25表の総数805の今回調査に協力していただいたところの うち、空気清浄機を設置しているところが247、分煙設備があるところが311という回答になっ ております。  次、旅館業というのが37、38ページでございます。図22の上段、一番上のところを見ていた だければと思いますけれども、禁煙室を設けているが23%、禁煙室を設けていないが74.4%と いう状況になっております。  また、今日委員としてお越しいただいております全国飲食店生活衛生同業組合連合会の方で調 査をいただいた結果が40ページ以降になっておりますけれども、41ページのところを見ていた だけますでしょうか。  これは、健康増進法の契機として、どういうふうに変わったかということも含めて調査をいた だいておるわけでありますけれども、施行前においては自由に喫煙可能というのが5.のところ で88.8%あった状況であります。その後、健康増進法の施行に伴いまして、完全禁煙にした、 分煙したというのが1.6、1.1でありますけれども、対応していないというのが81.6という状況 になっております。  今、お話しさせていただいたのは、少しデータとして業種を分けてやっていることもあります し、直近のデータでない部分もありますので、その点は考慮の上、御検討いただければと思って おります。  続きまして、職場、一般、労働対策ということは先ほど御説明しておりますが、参考資料2の ところで職場、労働者対策は労働基準局の方で参考資料2に示しているように通知を出し、調査 等をしていただいているところでございます。先ほども「健康日本21」の方で話をさせていた だきましたので詳細は割愛させていただきますけれども、やはり一定の進捗は見られているけれ ども、50%超の対策の実施状況になっているという状況でございます。  48ページ、公官庁における状況でございます。これにつきましては、人事院の方で調査を平 成17年にしていただいている状況でございます。48ページの「3.調査結果の概要」をごらん いただけますでしょうか。(1)のところでございます。事務室内を禁煙にしている官署は87.8% で、前回調査の30.5%を大きく進捗してきているという状況にございます。  また(2)のところで、喫煙室のある官署は5割強という状況で、屋外排気装置のあるところは 8割強という状況になっております。  49ページ、(3)のところで、喫煙コーナーのある官署は5割強、仕切りのないものが5割以 上という状況で、屋外排気装置がないものが7割ということになっております。詳細は、別途グ ラフの方を見ていただければと思っております。  最後に、公共交通機関が55ページからになっております。これは国土交通省において調査い ただいた結果でございますけれども、(1)で、公営地下鉄におきましては全面禁煙を実施し、 民間の鉄道会社におきましては平成15年5月1日より関東民鉄の10社で駅構内全面禁煙を実施 しているという状況です。車両につきましては全車禁煙。特急列車においては分煙の措置をやっ ているという状況でございます。JRにつきましては、駅構内は喫煙所の移設・集約、喫煙室の 整備を行っていただいているところであります。JRの車両につきましては、普通車両について は全面禁煙を実施という状況になっております。  「(2)バス車両、バスターミナル」でございますけれども、乗合バスについては法令により 原則禁煙、貸切バスにつきましては実態上原則禁煙という状況になっております。  56ページ「(3)タクシー」でございます。法人・個人タクシーは、平成7年3月末時点で全 国法人・個人事業者の禁煙タクシーの車両は1万2,461台、全体としては5%程度でございます。 各地域ごとにさまざまな取組みが行われておりまして、2006年の大分市を始めとして、取組み が行われている地域が増えてきておりまして、最近では御承知の方も多いかもしれませんけれど も、2008年1月からは東京都内で全面禁煙化を実施という状況になっております。  「(4)航空機、航空旅客ターミナル」につきましては、機内は既に完全に禁煙という状況で、 ターミナルにおきましては喫煙室を設置し、分煙を実施しているという状況です。  また「(5)旅客船、ターミナル」におきましては、主要航路及び長距離フェリーにおいては 分煙措置を行っている。ターミナルにおきましては、建物内に喫煙室の設置等を行い、分煙を実 施しているという状況でございます。  以上、我が国における、また国際的な動向も含めたたばこ対策の現状と、それを踏まえたたば こ対策、分煙の措置の実施状況ということでございます。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  大分詳しい資料を提示いただきましたけれども、ここで今、説明いただいた中での御意見ある いは質疑応答がございましたら、どうぞお願いいたします。  この後、事務局から論点を提示していただいて、あとフリーディスカッションをやる予定です けれども、今説明いただいた範囲の資料の中で、ここを聞いておきたいというようなことがござ いましたら、どうぞ。よろしいでしょうか。  望月委員、どうぞ。 ○望月委員 ありがとうございます。  大変詳しい解説をいただきまして、資料についてはよくわかりました。恐らく論点整理のとこ ろでお触れになると思いますが、この検討会のタイトルとして、いきなり受動喫煙防止対策とい うことなんですが、その対象とする範囲について後ほど触れていただけるとありがたいと思いま す。  公共空間が恐らく対象と思いますが、健康増進法の中で職場や家庭内のことをどこまでこの検 討会として踏み込んで意見を申し上げるべきか。恐らく加治先生の御専門の範囲だと思いますが、 やはり一番守るべき子どもたちの受動喫煙の曝露の機会としては家庭外プラス家庭内もありま すが、その辺について、最初に御説明いただけると整理ができると思います。 ○久道座長 事務局、どうぞ。 ○山本室長補佐 健康増進法はやはり公共の施設に、今、限っておるところで、先ほど御説明さ せていただいたとおり、条約に基づくガイドラインの中では屋内、家庭のことも踏み込んでおり ます。そういう意味では、先生方にここの議論をいただく上で、そういうことも含めて御議論い ただくことは可能だと思っておりますけれども、最終的にどういうふうに制度を主導に運用して いくかについてはもう一つ議論があるんだろうと考えております。 ○久道座長 永井委員。 ○永井委員 同じです。 ○久道座長 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。  それでは、次の論点に入りますが、本検討会における検討を進める上での論点について、事務 局から説明をお願いいたします。 ○山本室長補佐 それでは、資料4に基づきまして、とりあえず事務局でまとめさせていただき ました論点を御説明させていただきます。  ただいま、望月委員からも御指摘いただいたとおりで、まず大きく1〜3あると思っていまし て、やはり受動喫煙防止対策をより一層推進、あるいは施設によってかなり対応が違っていると 思っておりますので、その対応に応じて、どういう施設がより推進が求められているのかという ことが1つあろうと思っております。  対策の内容としては先般の通知の中にございますけれども、施設の規模・構造、利用状況等を 踏まえて、どのような対策がどのような施設に求められていくのかということを御議論いただけ ればと思っております。  また、全面禁煙がより一層求められる、やはり一番あるべき姿として提示されている。これを 推進していくというのは、どういう施設なのかということを御議論いただければと思っています。  3.としては、それを推進していくためにはどういう支援策というのがあるのだろうかという ことを御議論いただければと思っています。  最後4.でございますけれども、分煙の効果判定基準の検討会は平成14年にとりまとめられ ておりまして、その後、もし新たな知見や現在運用してみて見直す点があれば、また御提案いた だければと思っております。  以上でございます。 ○久道座長 今、事務局から、今回の受動喫煙防止対策の在り方に係る論点4つを提示されまし た。この論点についてもですが、今回は第1回目でありますので、受動喫煙対策全般にわたって 各委員、いろんなところで所属している委員の方々ですので、これまでいろんな経験を踏まえて いると思います。御自由な意見を出していただければと思いますが、いかがでしょうか。私は全 員を当てるつもりですので、早目の方でもどなたでも結構です。  加治委員、どうぞ。 ○加治委員 加治です。  小児科医の立場で発言させていただきますが、受動喫煙の害を最も受けやすいのは勿論子ども です。それには胎児も含まれますけれども、子どもを受動喫煙の害から守るということをまず最 優先に考えていただきたいと希望いたします。  まず、学校です。まだまだ敷地内完全禁煙でない学校が多数あるということはとても残念です。 お陰様で、私どもの地元の静岡県では県下の公立学校はすべて敷地内完全禁煙になっておりまし て、全く混乱はありません。  たばこを吸われる先生方の抵抗があって、なかなか進まない地方があるのかと思いますけれど も、例えば厚労省さんの方から、あるいは文科省さんの方からでしょうか、全国各都道府県の教 育委員会を通じて厳しい指導をしていただければ、すぐに実現できることではないかなと思いま す。しばらくは喫煙される先生方の反発あるいは抵抗もあるかもしれませんけれども、現実に多 くの都道府県で実現できていて全く混乱もないことですので、ほぼスムーズに事が進むのではな いかと思います。余り上から、トップダウンで強い指導というのはしにくい面もあるのかもしれ ませんけれども、とにかく子どもたちを守るという大前提の下では、それほど大きな反発もなく 進められるのではないかなと考えます。是非、学校につきましては敷地内完全禁煙を常識として いただきたいと思います。ほとんどの先進国では、それが当たり前のことであります。  もう一点。胎児を是非たばこの害から守っていただきたいと考えます。我が国では、若い女性 の喫煙率がいまだに上昇傾向にありまして、妊娠中も喫煙を続ける妊婦さんが妊婦さん全体の約 1割と言われています。妊娠中に喫煙すると、おなかの赤ちゃんに害があるということはほとん どの妊娠さんが漠然とは御存じなんですが、本当の害を御存じないんですね。  最近、世界各国から多くのデータが出ていますけれども、妊娠中に母親が喫煙しますと、生ま れてくる赤ちゃんの成長が悪くなって低体重で生まれやすいですとか、あるいは周産期にいろん な疾患にかかって死亡率が高まるというデータは昔からあります。最近注目されていますのは、 胎児の脳が傷つけられて、いわゆる落ち着きのない子、最近教育現場では落ち着きのない子が増 えてきているとよく言われますけれども、いわゆる注意欠陥多動性障害、ADHDですが、そうい うお子さんが生まれる率が大体2倍〜3倍に高まるというデータが世界各国から出ております。 我が国でもそういうデータが昨年出ました。そういうふうに妊娠中の喫煙は胎児の脳を傷つけて しまって、その子の一生に非常に暗い影を落とすのだということを是非広く広報していただいて、 妊娠中の喫煙を私は法律で禁止してもいいのではないかと思っております。  例えば台湾では、妊婦さんの喫煙は法律で禁止されています。そういう国もありますので、是 非胎児や子どもたちを守るということを最優先に考えていただいて、多少そういう強制的な方法 もとらざるを得ない時代ではないかなと、私は考えております。是非よろしくお願いいたします。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  私から先生に質問なんですけども、この間3月の初めに新聞報道で、埼玉の熊谷市の学校に医 師会が受動喫煙の調査を小学生にしたんです。代謝産物である尿中のコチニン濃度を測定したら、 異常値を超えるのが12.7%もいた。それから、母親が喫煙している家庭の児童はコチニン値が 高くなる傾向があったとか、そういう状況が数値として出ているんですね。それは、先生の方の 県、例えば静岡とか何かで同じような測定というのはしていますでしょうか。 ○加治委員 静岡では、尿中コチニンの測定は行っておりません。それは埼玉県の熊谷市の医師 会がまず全国の先駆けとなってです。 ○久道座長 あれは初めてですか。 ○加治委員 そうです。もう5、6年前から実施されていまして、きれいなデータとして、例え ば『日本小児科学会雑誌』にも2回正式な報告が出ております。それ以外に、例えば札幌市で同 じような試みを今、されております。 ○久道座長 そういうデータを事務局は持っていますか。今でなくてもいいんだけれども、ある かどうかです。 ○吉見室長補佐 関係者はわかっております。 ○久道座長 何かそういうエビデンスがはっきりしているのは説得力ありますね。 ○加治委員 やはり家庭で御両親がたばこを吸われますと、特にお父様よりお母様の喫煙の方が 子供に与える影響は大きいんですけれども、はっきり数値として、子どもの体内に有害物質が蓄 積しているんだということははっきりわかっておりますので、そういうことをもっと国民の皆さ んにアピールをしていただきたいと思います。 ○久道座長 国立がんセンターは、たばこを吸っている人は手術をしないんでしたか。あれは禁 煙してから手術に応じると言っていましたか。 ○望月委員 そうです。禁煙を手術の4〜6週間前から勧めています。また、敷地内は全面禁煙 です。 ○久道座長 ほかにどなたでも結構です。  どうぞ。 ○見城委員 私が大前提として最初に申し上げておきたいと思いましたのは、多分こういう受動 喫煙防止対策というのをいろいろとマスコミを通じても発信させていきますと、例えば一般的に 昔からたばこはあったとか、昔から吸うお母さんはいたとか、そういう状況がくると思うんです が、とても大事な観点として、私自身の研究が日本建築の住空間なんです。それで、住空間の変 化というところもきちんと押さえていただきたいんです。  喫煙したい方は雑多なことをたくさんおっしゃるんです。でも、こういう点をもう少しデータ をとるなりして、かつての日本の住空間は開く住空間ですので、縁先が開いているとか、障子や そういったしつらえによって、全部開けておくという傾向でした。でも、ある時期から完璧に密 閉型になりまして、そこが大きく違う。  この点を、例えば妊産婦の方も注意をしますと、自分のおばあちゃんが吸っていたとかよくお っしゃるんです。やっと今、自動販売機も規制がかかることになりましたが、かつてのたばこの 数は全く出回っている販売数も違いましたし、そういった周囲の環境が変化してしまった。つま り、たばこを吸いやすく、なおかつ煙はたまりやすくという、煙に囲まれて受動喫煙しやすい環 境が実は整ってしまったという点に関して、なかなか発表がございません。できましたら、そう いった観点からも住空間の変化、購買、販売の変化、こういったことによる妊産婦、児童の受動 喫煙が実に危険にさらされているという視点を持って、私は臨むべきだと思います。 ○久道座長 ほか、どうぞ。それでは、曽根委員。 ○曽根委員 国立保険医療科学院の曽根でございます。  今の妊産婦の喫煙に関しまして、ちょっと前ですけれども、平成13年度の厚生科学研究で私 どもの部が全国調査をやったことがございます。全国260か所程度の産婦人科の出産を行ってい る医院で、1万6,500名ほどの妊娠中のお母様に答えていただいたことがございます。  その中で、先ほど加治先生もおっしゃったように、妊娠中の喫煙は約10%というデータも出 ておりますけれども、受動喫煙に関しましては聞き方ですけれども、現在日常的にあなたの前で たばこを吸う人はいますかという尋ね方ですと、全体で6割以上の方が受動喫煙をしていると答 えております。  では、誰がその元なんだと聞きますと、夫が約8割、夫以外の同居家族が17%、友人とか職 場、同僚あるいはお客さんなどが33%程度、飲食店・路上等で14%ということで、勿論、配偶 者であったり、家族が多いんです。いろんな場で妊婦さんが受動喫煙をしているというデータが ございますので、やはり先ほど子供、胎児ということがありましたけれども、妊産婦の方が出入 りするようなところ、あるいは働く可能性のあるところ、勿論、家庭も含めて、そういうところ の受動喫煙対策というのがかなり重要になってくるのではないかと考えています。  以上です。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○永井委員 私の方は医療施設についてお話ししたいと思いますけれども、これはそういう医療 施設で治療を必要とするような病気の方のどのぐらいか正確なところはわかりませんが、恐らく 3割から5割近くまでが喫煙関連の病気だろうと思います。  そういった中で、このデータを見てみますと、施設内の全面禁煙をしているのが50%に満た ない。これは非常に驚きでして、1つに医療関係者の意識が余りにも低いということを言わざる を得ない。  精神科に関しても、私どもは完全禁煙していますけれども、特にそれで大きな問題になるよう なことはございませんで、それは精神科医がきちんと対応すればいいという話でございます。  それから、学会と称するものがあるんですが、医学界がいろいろな専門医とか、そういうもの を設けています。専門医が喫煙をしているというのを認めている学会もあるんです。更に、日本 呼吸器学会は喫煙をしていないというのが専門医の要件になっているわけですけれども、少なく とも、そういった指導に当たるべき者が喫煙をしている状況があるということ、これは受動喫煙 を含めてだけの話ではないんですけれども、そういったものを全面的に見直す必要がある。  もう一点、最後にですが、分煙という考え方はない。受動喫煙を暴露から防止するには分煙は 必要ない。全面的な禁煙しかないんだという考え方を広く認識する必要があると思います。  以上です。 ○久道座長 今の精神科の病院の禁煙の件なんですけれども、私も少し前までは病院事業管理者 という立場で県立病院、精神科の病院も管理していたんですが、全部を禁煙にするときに精神科 病院の院長先生から、そんなことしたら暴動が起こるということを言われまして、直接管理の責 任者である院長さんからそう言われたものだから、精神科病院だけは全面禁煙にしないで分煙と いう方法をとったんですが、実際に禁煙にしてそういった変な状況が起こるということは、実際 はないんでしょう。 ○永井委員 恐らく正確な数字は出てないとは思うんですけれども、それほど多くないと思いま す。 ○久道座長 どうぞ。 ○曽根委員 ただいまの精神科のことなんですけれども、以前、私どもの科学院の学生が実際に 作業所等で、地域の精神科の患者さんにインタビューしたことがございまして、やはりたばこは 吸う。ただ、どうしても精神科の患者さん自体もやめたいと思っているけれども、なかなかやめ られないというお答えがかなり多かったのが印象的でございます。ですから、ある意味、精神科 病棟だからしようがないということで言うのは、逆差別ではないかなと感じておりました。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  それはちゃんと言っておきたいと思っていますけれども、実際、そういう印象で語られてるこ とがありますね。  それでは、遠藤委員。 ○遠藤委員 国立保健医療科学院の遠藤でございます。  私の方は、測定法の方を中心に検討させていただいておりますけれども、先ほど、見城委員の 方からも御紹介がありましたように、まさしく今、住環境の構造が変わっておりますので、でき るだけアップデートな形でのエビデンスに基づく科学的なデータを得る必要があるということ が1つ。  もう一点、受動喫煙と言いますと、いわゆる主流煙と副流煙というたばこの煙に分かれるわけ ですけれども、主流煙については以前から国際的な測定法が一応ありました。ただ、その方法が 必ずしも妥当ではないのではないかということで、今、検討しているわけですけれども、実は副 流煙については昨年ようやくISOの方で測定法が提示されまして、これについてもやはりこれ からデータを出していく必要があるのではないかと思います。  その際、先ほど久道先生の方からもおっしゃられたような形で、実際にどれぐらい暴露されて いるかというのを科学的なデータとして出すために、やはり代謝物ですとか、そういったものも 並行してはかる。そういう大がかりな研究というのも必要なのではないかと思っています。 ○久道座長 何かそういう研究班みたいなのが、今、日本ではスタートしていますか。まだ、科 学院の方で独自に研究テーマをつくってやっているとかということではないんですか。 ○遠藤委員 恐らく個別には、いろいろ学会単位ですとか、そういうところでは動いているのが あると思います。あるいは自治体などで、そういうものに興味を持って研究されている方がいら っしゃるんですけれども、やはり室内の状況と生体の代謝物ですとか、そういったものを同時に というものはなかなか見当たらないです。 ○久道座長 厚生科学研究では、毎年たばこ関連の研究班でテーマは出ていますね。数千万も使 って、2つも3つもありますね。私が知っている限りでも3つか4つはあると思うんです。そう いうので、今、先生がおっしゃったような測定をしながらという研究班は余りありませんか。 ○吉見室長補佐 直接的に明示して行っている研究班はないんですけれども、2つ、熊谷市のよ うな実態調査というサーベイランス的にはかるグループもありますし、遠藤先生のところにお願 いしているような主流煙ではありますけれども煙の成分という分析の研究班はありますので、そ れらが引き続き平成20年度、平成21年度とやっていく間に、連携というか、うまく持ち分を生 かして研究できるように調整は可能だと思っております。 ○久道座長 せっかく受動喫煙のテーマが出てきたので、少し集中的にそういった研究課題を取 り上げて、2、3年で成果を出すということも必要ではないでしょうか。先生、是非そういうの をやった方がいいですね。 ○遠藤委員 おっしゃるとおりでございます。 ○久道座長 ほかにございますか。  どうぞ。 ○見城委員 あと、ここの検討会でどの範囲まで言及できるのかという質問も込めてなんですが、 喫煙されている方に、禁煙をおすすめしますと、体よく逃げられます。禁煙をすすめる私はたば こを吸ったことがないのに煙たがられます。禁煙をすすめる度に、私は吸ったことがないので全 然煙のにおいがしないんですが、煙たがられる、とジョークを言うくらいです。  煙草を喫煙する方は受動喫煙の防止が進むと自分たちが追いやられていく、と感じるようです。 本当は、何の手段もなく追いやられていくのではなく、例えば禁煙パッチというのがあるんです けれども、いかがですかと言っただけで、見たことない、聞いたことない、値段もわからない、 どこをどうしていいかわからないとおっしゃる、マスコミの最先端にいる、情報の最先端にいる ような方たちでも本当にそうおっしゃいます。情報が届いておりません。  大事なことは、受動喫煙防止の検討会の中で喫煙されている方が参加しやすい対応策というの を盛り込み、同時に進めていく。私は、これが重要ではないかと思います。例えば禁煙ガム。そ うすると、舌がおかしくなると聞いたとか、張ったらそこがかぶれるんではないかとか、どこに 正しい情報があるのか全くわからない状況です。ですから、これは受動喫煙をゼロにするために は、同時に、正しい情報を提供していくことが重要で、どのような禁煙方法があり、それはどの ような状況になるのかという情報提供は強烈に進めていくべき対策であると思います。 ○久道座長 今のは、論点3の具体的に進める方法として非常に重要なことだと思います。  ほかにいかがですか。どうぞ。 ○高見委員 私、難しい話はわかりませんで、飲食業界の立場からなんですけれども、今の資料 3の中で受動喫煙防止対策ができていないという一番パーセンテージの高い、約8割のお店の方 ができていないという飲食店、料理店のというのがあるんですけれども、非常に我々の業界とい うのは特殊と言いますか、大手さんなどのフランチャイズチェーン店さんなどは比較的進んでい るんですけれども、個人の料理店とか飲食店というのはまだなかなかそこまで徹底して禁煙席、 喫煙席というのができてない。スペース的にもそうなんですけれども、どうしても常連のお客さ んがたばこ吸うということをおっしゃられると、我々として、できることというのは灰皿を初め から置いておかずに、灰皿をくださいと言われたお客さんだけにお出しするということぐらいか なと思っているんです。  それと同時に、飲食業の組合で調査結果があるんです。1,200組合員の回答を得られたんです けれども、その中で受動喫煙防止の義務が課せられたことを知らないと答えている人が44%い らっしゃいます。まず、やはりこの法令が平成15年に施行されたということを組合員さんの方 に知らしめることが、私は大事ではないかなと思っております。  また、私はオーナーシェフでもございます。料理人でもございます。以前、私も若い時は喫煙 しておったんですけれども、30歳のときに料理に対して壁にぶつかりまして、もっとおいしい ものができないだろうかということを考えておりまして、その中で、やはり味覚という問題、舌 の敏感な味覚を考えたときに、たばこを吸っていると非常に味覚がぶれてきます。これを禁煙し ますと、舌の皮が一枚取れたような感じで、カツオのだし、あるいは旬の素材が非常にわかりや すくなって、料理にももう一つ奥があるところまで私は行けたと自分では自負しておるんです。  それと同時に、私、京都の料理屋なんですけれども、京都の料理屋の組合の中で本当のだしの 味。カツオと昆布で取っただし。というのは、若いお母さん方が非常に忙し過ぎて、なかなかだ しを取っていただけない。コンビニエンスストアなどで、何が入っているかわからないようなも のを平気で召し上がっておられる若い方の味覚というものが、今、おかしいのではないかという 気がいたしまして、それも喫煙をされておるとそういう味覚がおかしくなるという、私は料理人 なんでそこからは入ってはいけないと思うんですけれども、そういうデータみたいなものがあれ ば、たばこを吸うからやはり味覚がおかしくなる。昔からのカツオと昆布のだしがわからなくな る。これを是非していただきたいと私は感じます。  小さい間に、カツオと昆布の味に慣れてないと、その方が大きくなるとカツオと昆布の味が生 臭く感じるということを、先生からお話を聞いたんですけれども、やはりそれはおかしいなと思 います。日本料理、特に和食、京料理はカツオと昆布が根本ですので、お母さん方が若いときか らその味を覚えていただいて、自分たちがつくるときにカツオと昆布の味を小さいお子さんに取 っていただいて、これが本当の味なんだというのを教えていただく。それが日本料理のよさ、京 料理のよさと思っておりますので、その辺のデータも挙げていただくことを、できたらお願いし たいと思います。 ○久道座長 初めて聞いて感心したんですけど、料理をやっている方々はどのぐらい喫煙してい ますか。 ○高見委員 昔の方はすごく多いと思います。でも、うちはそこまではできませんけれども調理 場では絶対に吸うな。私の知り合いの店ですと、たばこを吸うのであれば辞めてくれというお店 もございます。やはり味覚が全然違います。 ○久道座長 実際に辞めた方の味覚というのは、今、高見さんのおっしゃったような感じを絶対 持っていますか。 ○高見委員 絶対そうです。特にそれはあると思います。 ○久道座長 関連して、永山さんどうですか。 ○永山委員 ありがとうございます。  私は旅館の組合の代表でございますので、そういった立場からのお話になろうかと思います。 今、高見さんのお話を聞くと、多分私が唯一の喫煙者だと思います。日に数本で吸わない日もご ざいますが、やはりたばこを手に取る人間でございますので皆さんとは多分違うお話になるかも 知れませんけれども、御了承願いたいと思います。  論点のところで気にしていただきたいというか、私として気になるところが、どのような施設 ができていて、どのような施設の対策が進んでいないかということから入ってしまうと、本質を 間違ってしまうのかなと思います。  私、喫煙者としてもそうですし、旅館のオーナーとしても気になるのが、やはりお客さんの側 で、そこが公共性のある場所なのかそうでないかといった認識というものが、まだ若干ずれがあ るのかなと思っています。  例えば電車とか駅、空港で喫煙のマークが付いていても、大体のお客さんは吸われずに我慢さ れると思うんですけれども、これが小さい旅館であるとか飲食店に禁煙のマークが付いていたり、 たばこは外でどうぞと言っても、お客さんは割と気にされないです。特に従業員1人とお客さん 1人みたいな小さいお店で言うと、私が吸いたいと言っているのに何で吸ってはいけないんです か。やはり大きい旅館とか大きいホテルで言うと、割と分煙スペースがつくってあったり、外で 吸ってくださいと言っても納得していただけるんですけれども、小さいロビーの旅館に団体さん がわっと入ったときには、そこで何が張ってあろうが関係のない状態になってしまう。  ですから、受動喫煙についての認識自体は国民の皆さん持っていらっしゃると思うんですけれ ども、実際、それがどういうところで適用されるのか。プライベートスペースをお客さんがどう 考えていらっしゃるのかなというところでかなり変わってくるのかなと思います。  最近のニュースで言うと、タクシーが禁煙になったときにやはり数件トラブルがあったという のは報道でもありましたけれども、あれはタクシーの中が明らかにプライベートスペースであっ て、公共性のある、しかもタクシーの運転手さんという相手もいる空間だという認識はまだされ ていない。やはりそういうところの認識を深めていくことが、飲食店であったり、旅館であった り、お客様を相手にする施設の禁煙率を高めていく何よりの手段ではないかなと、私はそう考え ています。 ○久道座長 ほかにございませんか。  どうぞ。 ○見城委員 どの程度までこの中で具体的な提案ができるかということで質問させていただき ます。  例えばJRの新幹線のように長時間乗るという場合、禁煙車、喫煙車と分かれていますが、分 けたということで止まっているんです。これ以上の対策はまだいいのではないか、そういうふう に状況がストップしているところがたくさんあります。  基本的に、母親、子ども、妊産婦への受動喫煙等が危険であるということをもっと前面に出し ていくならば、既に対策がとられているところに対しても、例えば帰省時と言うんでしょうか、 夏休みとか、そういったときの親子連れ、妊産婦の方などが非常に乗る率が高くなるような時期 に新幹線はとにかく全部禁煙にするとか、より一歩前進の提案をしていけたらと思うんです。乗 るのは禁煙車と喫煙の方がおっしゃるんです。禁煙車から埋まっていくんです。  理由は、自分は吸うけれども、そばで吸われたらたまらない。だから、まず禁煙車を押さえて、 自分は禁煙車で気分よく行って吸いたくなったらデッキへ出る。しかし、そのデッキでまたもめ るのは、禁じられている禁煙車のデッキで吸うため禁煙車の車両に煙がまた入ってきて一番ドア に近いところは苦しくてたまらない。しかし、禁煙を取った以上はこれ以上のことは言えないと いうことです。小さいお子さんを連れている方などはお手洗いのこともあるから、できるだけド アに近いところを取ってみたら、デッキから煙が来てたまらないとか、既に禁煙車を押さえられ て帰省の時期に我慢して喫煙車で帰らなければならなかったとか、そういうことがありますので、 この会では受動喫煙させられてしまう状況をひとつひとつなくしていくというところまで提案 していけたらと思います。  それから、駅も喫煙の方々が吸っていらっしゃるその近くにベンチがあるんです。そうすると、 お年寄りの方なども荷物を持ってベンチに座りたくても、そのすぐわきが喫煙で、いるとつらい、 立っているのもつらいという状況です。  実際、受動喫煙防止ということでどの程度まで話を持っていけるのか、できれば既に制度があ っても、もう一歩進んだ形で私は提案していけたらと思うんです。その辺、いかがでしょうか。 ○久道座長 JR東日本の新幹線は、今、全面禁煙ですね。 ○見城委員 済みません。東海によく乗るんです。 ○久道座長 あちらの方は一部なっていますけれども、随分変わってきていましたね。 ○見城委員 変わってはいるんですけれども、東海などはまだですし、このことをきっかけに細 かく、特に小さいお子さん、妊産婦の方を守っていくということで、是非その辺もしっかりと提 案していけたらと思うんです。よろしくお願いいたします。 ○久道座長 そうですね。  ほかにございませんか。どうぞ。 ○望月委員 ありがとうございます。  皆さんのお話をずっと伺っていて、振り返るにちょうど今年が嫌煙権運動というのが設立され て30年目と聞いています。本当に、当時は能動喫煙の害はおろか受動喫煙の害についてはまだ エビデンスがそろっていなかったころに市民グループの方々がそれを旗揚げして、この30年間、 本当に世の中が大きく変わっていったなと思うのですが、結局、将来に向けてどういう世の中を つくっていくかという意識改革、勿論エビデンスに裏づけられた、もしかしたら社会改革の歩み に私たちが参画しているのかなと思っています。  そういう意味で、事務局から提出していただいた資料というのは現状を理解する上で非常に役 に立つのですが、ここから出発して議論を進めていくのか、あるいは10年後を見据えて、どう いう世の中を私たちが思い描いて、私たちの子供、次の世代というのはまだ見ぬ赤ちゃんではな しに、今、既に生まれている子どもたち、それからお母さんのおなかの中にいる赤ちゃんたちに どのような世の中を提供していけるのかというのが、ここに参集した私たち大人の責任ではない かと思っています。  ですので、1つは、現状も理解しつつ、思い切って10年後とか20年後の世の中を思い描いて、 そこに到達するにはどういう人たちがどういう関わりをしていくかという、一種のバックキャス ティングという手法、そういうことも考えてイバラの道をのdcりこえていかなければなりませ ん。今は大分風が吹いてきて、本当にそれは一人ひとりの声として、別にたばこの研究をやって いるとか、禁煙運動をやっているとか、そういう立場でなしに、一般の方たちの切実な声として きれいな空気を吸っていこう。おいしい食べ物を食べていこう。それから、健康な体と心を作っ ていこうと変わってきて、そこに健康増進法のような法律が動いたり、あるいはそれを実行して いくいろいろな民間の事業者の方たちの働きがあって、世の中が変わってきているのだと思いま す。  理想論的かもしれませんが、もう少し先を思い描いて、もし私たちがもう一度生まれ変われる なら、どういう世の中に住みたいかというところも考えつつ、そこへの道筋を検討会の議論の中 でまとめ上げていくというのも1つの手法ではないかと思っています。  先ほど事務局からの御紹介にあった、たばこ規制枠組条約というものも、10年ちょっと前か らWHOの中で条約という1つの政策手法が編み出されていったわけですが、それ以前には、た ばこの問題に条約などとだれも発想だにしなかったことが、今、世界的な合意として私たちの手 の中にあるわけです。  健康増進法についても、ちょうど今年で施行後5年ですが、では10年前に健康増進法という ものを誰が考えていただろうか。私たちが現実で考えられもしないぐらい、多分実現は無理だろ うと思うことが、実は明日実現されているかもしれないというぐらい世の中は変わっていくし、 よりいいものに私たちは向かっていっているのだと思っています。  この検討会の場が禁煙運動の1つというよりも、先ほど御紹介にあったように地域社会、市民 社会の高まりの中に位置づけられて、それを私たちの意見が後押しするような形に位置づけられ たらよいなと思っています。  それが、私の今の気持ちです。去年まで私はジュネーブに住んでいたのですが、東京以上に煙 たい町になってしまって、そのぐらい東京がだんだんきれいになっていったということもあるん ですが、今年の夏開かれるがんの国際会議があるのですが、それまでにこの町をスモークフリー にしたいねと言ったら、在住の方々が、それは絶対無理と言っていたんです。  ところが、つい先日の住民投票で、レストランやホテルを含む公共空間が全面的に禁煙になる 条例ができるということが決まって、夢が現実になった。意外と、民意の方が一歩も二歩も先を 望んでいるかもしれないということも是非念頭に置いて議論ができたらと思っております。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  事務局から提案された論点4つのほかに、今、望月委員からは重要な視点の論点、例えば今、 何かしなければならない喫緊の課題のほかに、将来を見据えた方向としては何かをまとめようで はないかという提案だろうと思います。私はそれも非常に大事な話だろうと思います。  それから、提案にはないんですが、この種のいろんな提示、提案でよく使われる、何々の役割 と責任というのがありますね。それを是非、私は加えた方がいいのではないかと思います。行政 の役割と責任とかね。それから、お上がつくれば何でもということも余りよろしくないと思いま すので、今、民意という言葉がありましたけれども、国民の役割と責任とか、先ほど永井委員か ら指摘された、一番体のことを気にしなくてはならぬ医療機関が余り進んでないという状況から すると、いわゆる専門家の役割と責任。ですから、医師会とか日本医学会、それから各医学会、 分科会もそれぞれ禁煙運動の役割というのをやっているつもりのようですが、現場での病院はど うなっているかと言うと、先ほど指摘されたようなことですので、そこも含めて、専門家という 表現がいいかどうかわかりませんが、そういった医療関係者の役割と責任とかそういうことも論 点の中で言っていくのはいいのかなと思います。  今日はフリーディスカッションですのでこうしたらこうなるということではありませんが、皆 さんからいただいた意見は後で事務局でまとめていただいて、整理した論点を改めて提示しても らうということになろうかと思うんですが、そのほかに何か御意見ございませんか。  どうぞ。 ○加治委員 先ほど望月先生がおっしゃった、10年後を見据えてというのは素晴らしい御意見 だと思います。10年先には物すごく変わっているだろうなと思うんですけれども、たばこを吸 わない人が絶対にたばこの煙を吸わされない社会を実現できればと思います。いきなりそこには 到達しないかもしれませんけれども、弱者である子供、胎児が絶対にたばこの煙にさらされない 社会ということを合言葉にして、さまざまな運動を進められたらと思います。  先ほど永山委員からのお話がありましたが、例えば小さな旅館ではお客様が吸いたいとおっし ゃれば、なかなかそれを拒めないということで、よくたばこを吸う権利という言葉が使われます けれども、権利があるかどうかは置いておいて、たばこを吸うということは必然的に周りの方に たばこの煙を吸わせるという側面があるんです。たばこは吸うと言いますけれども、必ず吐きま すから一種の排泄行為です。たばこの煙を吸わされる方は、一種の暴力を受けているのと同じで す。単に迷惑というだけではなくて、はっきりと体に害があるわけですので、言わば殴られてい るといいますか、暴力行為を受けているのと同じなんです。そういうことをしっかりと、たばこ を吸う方には認識していただきたいということ。  それから、セクハラというのが以前問題になりまして、例えば会社の中で若い女性社員に上司 の男性がエッチな冗談を言ったりすることは、昔は当たり前の状況で、逆にそれに対して異議を 唱えると変人扱いされたり、会社の和を乱すなどと言って、被害者の女性の方が非難されたりす ることがよくあったようなんですけれども、今はそういうことはないでしょう。セクハラという のは、女性に対する人権侵害だということが社会的な合意になりましたから、今はそういう状況 はなくなっていると思うんです。  それと同じように、たばこの煙を周りの人に吸わせるというのはよくスモハラ、スモーキング ハラスメントと言いますけれども、セクハラと同じことで周りの人に物すごい大きな迷惑どころ か暴力を振るうのと同じなんだということを、いろんな手段を通じて国民一般の社会的合意にす れば、周りに吸わない人がいらっしゃる場所では、たばこを吸うことを遠慮するという雰囲気が 国民の間に形成されるのではないかと思います。ですので、たばこの煙を周りの人に吸わせると いうことは、周囲の人への不当な行為でスモハラなんだということを、いろんな手段を通じてア ピールできればと思います。  飲食店のお話が出ましたが、たばこの煙の中には、例えばアンモニアが非常に高濃度に含まれ ていますので、食事をする場所にたばこのにおいがするということは、ちょっと下品な話になり ますが、トイレのにおいが漂っているのと同じです。たばこの煙というのは有害であるだけでな く、不快で下品なにおいなんです。たばこの煙が漂っているということは、それだけでお客様へ のサービスダウン、イメージダウンであるということを、やはり飲食店の方々にも知っていただ きたいと思います。少し前までは、たばこを自由に吸っていただくのがサービスだという考え方 が主流でしたが、今はそうではないですね。きれいな空気を吸っていただくのが大切なサービス で、たばこのにおいが漂っているお店というのはトイレのにおいが漂っている店と同じと考えて いただきたいと思います。 ○久道座長 どうぞ。 ○永山委員 ありがとうございます。  加治様の意見、本当に心強く思っております。というのも、先ほども言いましたけれども、従 業員に対しての健康被害というものが今までどうしても考えられなくて、例えば職場であるとか 組織であるとかであれば、全面喫煙というのは考えやすいのですけれども、我々従業員を抱えて いる身からしますと、お客様から受ける健康被害というのは今までどうすることもできなかった。 直接お客さんと応対する立場の者は当たり前として、例えばうちなどで言うと、客室を清掃する 人間であるとか、そういったものを片づける人間であるとか、そういったところまで含めると、 大多数がお客様のたばこの被害を受けていると考えてもいいのかなと思っているんです。  それをこちらの立場から、そういうのがあるからやめてくださいとは今の社会ではまだ言いに くい部分もありますし、我々提供者の方で言うと、お客様と主従関係みたいなものが現段階では 生まれてきておりますので、そういうところはやはり行政の力とかデータの力をお借りして、 我々の従業員、働いている人間に対しても同等の権利があるではないですけれども、そういった ことを普及させていただくことが、我々の業界の全体をレベルアップする力になるのではないか と思っておりますので、是非御検討をお願いいたします。 ○久道座長 どうぞ。 ○加治委員 そういうお客様と従業員との関係が最も象徴的に出るのは、1対1なのでタクシー の車内です。でも、タクシーも全面禁煙にするところが増えてきて、先ほどタクシー車内の禁煙 が原因でトラブルが数件あったというお話がありましたけれども、逆に考えれば、全国で毎日タ クシーを利用するお客さんは何十万人か何百万人もいらっしゃるんですね。その中でトラブルは ほんの数件でほとんどないんです。昨日まで吸えていたのが、予告なしで今日からいきなり禁煙 となるとトラブルの原因になるかもしれませんが、数か月前から予告をしておけば、今の時代、 トラブルが起こることはまずないと思います。ですので、禁煙にするとトラブルが起きてしまう のではないかということを事前に心配し過ぎる風潮がまだあると思うんですけれども、思い切っ てやってみれば、案ずるより産むがやすしで、実際のトラブルはほとんど起きないと私は考えま す。 ○見城委員 具体的なことをここでどれだけ話していくのかにもよりますけれども、例えば立派 なホテルの立派なレストランであれば、当然ここはマナーですよと言えることが、居酒屋ですと かそういったところで当然言えない。そういう落差、乖離が本当にあるんです。でも、例えば居 酒屋チェーンにも徹底しましょうとか、ここはそんな細かいことを一つひとつやっていける場で はない。そうではなくて、大事な点は文化をつくるということだと思うんです。  先ほど、望月先生から10年後を見据えたということが出ましたが、私も最初から考えていま したのは、たばこが1本もない世界と、たばこが1本もない生活。吸わない者としては、そうい うことを言えるなら言ってしまいたいぐらいですが、ただ、常にその抵抗に遭うのは、これは趣 味なんだとか、喫煙は文化だ、嗜好品だとか、そういった嗜好品と言われる文化が根強いと思う んです。個人の楽しみのとき、リラクゼーションといった安らぎのときにどうして邪魔してくれ るという、結局はその対立の図が大前提にある限り、個々の弱いところにはそれはできない。し かし、タクシーも1台では言えなかったけれども、全体的な文化としてやってみればタクシーの 中の禁煙が可能であった。  そういうことを考えますと、やはりこの検討会では10年後の理想として、たばこの煙を吸わ されない文化、たばこの煙にさらされない文化というところを描き出せるかということが重要だ と思います。そのことができますと、喫煙されている方々の同意を得ていくというんでしょうか、 ともに協力を得て、そういう社会をつくっていけるのではないかと思います。 ○久道座長 受動喫煙のキーワードは、迷惑をかけるか、かけないかということだと思うんです。  例えばたばこの好きな漁師さんが船に乗って、大海原でだれも受動喫煙することがないところ でおいしそうにたばこを吸うのは、本当に絵になって見ていてもいいですね。私はそう思うんで す。  ですから、ある居酒屋の小さな飲食店で、ここはたばこの好きな人が集まる店ですよというの があってもいいと思うんです。たばこが嫌な人はそこに行かなければいいんですからね。お客さ んとして来なければその店が困るとするならば、それは方針を変えればいい。ただ、店のオーナ ーにしても、たばこの好きな人の集まる場所というのがあってもいいと思うんです。  私はなぜそんなことを言うかというと、実は先日、仙台市内で寿司の店を4件か5件ぐらいや っているチェーン店を、どこへ行こうかと思ってインターネットで調べたら、同じチェーンの1 店だけ全面喫煙なんです。それ以外の店は全面禁煙または時間で禁煙となっていました。それを 見て、私がはたと思ったのは、この店のオーナーは恐らくたばこの好きな人が集まる店が1件あ ってもいいのではないかと思って、そこを全面喫煙にしているんだと思うんです。ですから、そ ういうことがあっても僕は一向に差し支えない。要するに、迷惑をかける人がいるかいないかと いうことだと思うんです。そういうところに子供を連れたお母さんが行くわけがないですね。行 くとすれば、お母さんお父さんが悪いのであって、禁煙をするような店、寿司屋に行けばいいと 私は思っていますが、たばこをゼロとするのはどうなんですか。行き過ぎですか。 ○望月委員 世の中からですか。それとも、受動喫煙をゼロにするということですか。 ○久道座長 受動喫煙も含めては別ですね。たばこゼロというわけにはいかないですね。 ○望月委員 今のお話は非常に面白い話だと思うのですが、先ほど永山委員がおっしゃっていた パブリックとプライベートをどう考えるか。全面喫煙のお寿司屋さんはあっていいかもしれない けれども、店主というか従業員も受動喫煙あるいは本人の喫煙によるリスクの大きさも承知で、 危険を承知で合意の下、小さなコミュニティーの中で合意がなされていることであれば、そこに 我々はやはりタッチできない。その後、非常にプライベートな空間になっていくかもしれないで すね。やはりそこに従業員の健康を守るというオーナーとか、そういう立場の方が関わったとき に、また判断が変わっていくかもしれないんですが、その辺りはこの検討会で触れていくべきな のか。  それから、公衆衛生の立場では、すべての方々におせっかいかもしれないけれども、健康とい うものの価値とか、あるいはサービスというものを提供したいと願うわけなので、本人が私は勝 手に吸って死ぬんだとおっしゃったとしても、やはりおせっかいの手を差し伸べなければならな い。それがパブリックヘルスの役割と責任です。 ○久道座長 私もパブリックヘルスの専門家をやってきたんだけれども、我々のやる仕事という のは、おせっかいの精神は確かです。だけれどもというところが一部あって、多分オーナーも従 業員もたばこが好きなんだと思うんです。たばこが吸えないと仕事ができないという人たちを集 めているとすれば、私はそれはそれでパブリックスペースではなくて、愛煙者のコミュニティー と判断すればと思いました。  どうぞ。 ○見城委員 ただ、重要なのは換気なんです。よくテラスでお父さん吸ってくださいホタル族と か、今のような愛煙居酒屋というのができたとします。そのときの換気と公共性ということは、 大量に換気はするわけです。吸っている人たちも換気の中で吸うわけです。それが排気された隣 や周辺の住宅で、先ほど最初に申しました住空間の変化というのは、密閉して換気をつけるとい うのは必ず吸気を入れながら換気していくんです。ですから、お隣や近隣に入ってきてしまうん です。それから、歩いてきた人がそこの周りはとても歩けない、しかし歩道を歩くしかない。  本当に細かいことを言うようですけれども、例えば受動喫煙というのはどの程度まで考えるの か。徹底していけば換気して出てきたもの、そこが歩道にもにおい、煙が出ている。それを避け るために車道に出て車にはねられたらどうなるんだとか、本当にそういう細かいことですけれど も、どういう文化をつくるのかというときには、そういうお店をつくるなら徹底して完全吸収密 閉型で処理するとか。本当にそうしていかないと、抜け道をどんどんつくられながら、結果とし てはいい文化にならなかったというのでは、この検討会は意味がないと思います。  細かいところも大きなところも同時にここでは詰めていきながら、各国、世界へこういった受 動喫煙防止の生活の雛型をつくりました、モデルケースを提案しましたということが発信できる ようなものにしていけたらと思います。また、していくべきだと思います。 ○久道座長 どうぞ。 ○永山委員 先ほどおっしゃった文化づくりと風潮づくり、本当にこの検討会はこれに尽きるの かなと個人的には今、思っています。というのが、やはり大きいところから規制をしていって、 吸ってもいいところ探しになってしまうと、我々の見えないところにどんどんいくだけの話です。  今、具体的にどうなっているかというと、パブリックスペースが禁煙になったのが浸透したの で、少し小さいホテルだったらいいだろう。そこがまた、我々の組合で多分規制をしたとすると、 では今度はそういう吸えるところを探して民宿に行こうかとか、やはり細かく話が降りていって しまって、我々の手の届かないところでそういう文化だけが残ってしまうというのは余り本筋で はないのかなと思います。それよりは、風潮と文化で人のいる前では吸わない、禁煙者がいる前 では吸うこと自体が格好悪いんだ、そうするべきではないんだ。そういうところをどうやって空 気を浄清していくことができるのかなというお話をどんどんさせていただきたいなと思います。 ○永井委員 先ほど申し上げた、分煙はないんだという話をもう一回したいと思うんです。  先ほど、文化ということが出ましたのであえて申し上げるんですが、これはそういう場をつく ることによって喫煙者がそういう喫煙状況を守る。  今、医療費32兆円ですね。お金が足りないと言われているわけです。その中で、そういう方 たちが病気になって医療を受ける。それをみんなが少ないお金で健康を一生懸命やろうというこ とになると、これは単なる文化だけではなく、本当に健康行政の根幹なんです。そこは恐らく、 今、来られている生活習慣病対策室の根幹ではないかと思うんですが、そういった観点からとら えていただきたいと私は思います。 ○久道座長 今日は自由な討論ですから、細かいことでも何でもいいです。今後、取り上げなく なるかもしれないような話題でも何でも結構です。  どうぞ。 ○曽根委員 何年か前なんですけれども、関東のある保健所に呼ばれまして、その館内で関係者 の方がいろいろやって、たばこ対策会議というのに出席したことがあります。そのときに、病院 組合、つまり飲食店の組合の方も来られていて、行政とか私たちが分煙とか禁煙化というのは大 切だということをお話ししますと、おっしゃるにそういうことはよくわかるんだけれども、ただ 大手はともかく小さい飲食店では、たばこを吸う人の方がそういう飲食店に来てお金を使ってく れるので、経営のことを考えると組合として全体的に言うことはできないという御意見を賜った ことがございます。  それからずっと考えているんですが、外国でもそうですし、いろんな国でレストランとかを禁 煙にしたときに、あるいは日本でもいろんな飲食店が全面禁煙化されているときに、経営に大き な影響があるのかどうなのか。今後、そういうところもパブリックスペースとして何かの対策あ るいはこちらから提言していくのであれば、きちんとしたデータなり事例をちゃんとそろえて議 論しないと、結局水かけ論に終わってしまうのではないかと思います。その辺も、もし余力があ れば、飲食店において経営にどのくらいの影響があるのかないのか、あるいはすぐ回復するのか、 そうではないのかというところも議論があればといいなと思いました。 ○久道座長 どうぞ。 ○見城委員 データの中で、事業所の分煙状況というのは芳しいデータは出ておりません。実は、 吸いたくないけれども受動喫煙してしまうということと、結果として、喫煙の仲間にならざるを 得ないという職場があるのではないか。余り具体的な業種を言うのははばかられますが病院の看 護師さんたちです。休憩の時間になると、大きいか小さいかは別にして1つの部屋で吸う人がい ると、そこでしか休めない。そうすると、結局受動喫煙してしまう。それから、吸わないでいる と、疎外感がある。吸わないということに耐え難くなってきて、雰囲気的に1本吸えば仲間にな るではありませんけれどもね。  そういった病院もそうですが、例えばお店ですね。絶対店頭ではできませんから、休憩室で休 憩時間があるような職場といったところでは、そういう現状があるんです。そういったデータが とれたら対策を打ち出せる。そこでは受動喫煙させられてしまう弱者なんです。4月にきれいな 体で新入社員になって、その中でまみれて、結果としてはたばこを吸う仲間になってくという現 状に対応できる対策をこちらで出すべきだというのが1点です。  あとは、個人的に企業等に働きかけていくのは難しいですか。でも、それはこちらでいろんな データを出しながら、黙って応じなければならない従業員が多いということをとらえて、対応し ていくということが1つです。  もう一点は、喫煙してしまう場所の、私、技術者の方に来ていただいて、いろいろと報告、リ ポートも聞いてみたいと思いますのは、単なる換気扇だけではもうだめだと思うんです。ただ、 外へ出せばいいのかというそれだけの問題ではない。そういった場合に、たばこの排煙というも のをきれいにうまく処理できることへ、もっと対策を練っていただきたいと常々思っていまして、 そういうことと、技術関係の方にそういった換気、設備のお話を伺えればと思います。そのほか にも、この検討会でどなたかをお招きして、現状のお話も伺えればと思います。よろしくお願い します。 ○久道座長 これは事務局もそのことを考えているようで、参考人に必要なときに来ていただい て一緒に勉強するということはあるかと思います。  ほかにございませんか。どうぞ。 ○加治委員 受動喫煙と言いますと、主に屋内でのことが問題になると思いますが、もう一点、 子供がよく行く遊園地あるいは公園の禁煙化も是非御検討いただきたいと思います。  屋外だということで結構自由に喫煙される大人の方が多いですが、そこはやはり子どものため の施設ということでしたら、子どもを守るために、ここは子どものための施設ですからこの中で は完全に禁煙ですということが社会通念になるように、是非お願いしたいと思います。  それについて、1点、今日は資料をお持ちしたんですが、こういうかわいらしい禁煙マークが ありまして、これは私ども小児科医の大きな団体が3つございまして、日本小児科学会、日本小 児保健協会、日本小児科医会の3つの団体の代表者が集まって、子どもをたばこの害から守る合 同委員会という会をつくっております。そこで、こういうシンボルマークをつくりました。是非 これをあちこちで使っていただきたい。例えば静岡市内では保育園などにこれを張っていただい て、若いお母様方への啓発に使ってもらっています。  それから、これは静岡市が毎月2回発行しております市民向けの広報誌なんですが、ここにも このマークがあるんです。子どもたちを受動喫煙から守りましょうという、こういう特集を組ん だりしていまして、子どもたちをたばこの害から守ろうということを言えば、それに反発される 大人の方はほとんどいらっしゃらないのではないかと思うんです。ですので、例えば公園、遊園 地などにもこのような禁煙マークを掲示していただいて、是非子どもたちをたばこの煙から守り ましょうという啓発を進めていただければと思います。ありがとうございました。 ○久道座長 施設内禁煙というのは結構あるけれども、敷地内全部禁煙というのは病院にしても 少ない。学校もそうですね。先ほどのデータを見るとほんの数%ですものね。本当は敷地まで入 れないとだめですね。 ○加治委員 そう思います。学校の敷地の中にたばこを吸う場所があれば、どうしても子どもた ちが受動喫煙の被害に遭いますし、吸える場所があるということ自体が、大人になったらたばこ を吸ってもいいんだよっていうことを学校が子供たちに教えていることになります。それでは本 当の健康教育はできないと思います。たばこというのは、大人になっても吸ってはいけないんだ ということを教えることが、本当の子供たちへの健康教育だと思います。  それから、大学でも敷地内禁煙を徹底していただきたいと思います。大学時代にたばこを覚え るというケースが多いのではないかと思うんです。 ○見城委員 禁煙キャンパスね。 ○加治委員 私は、大学時代に吸わなければ、社会人になってから吸い始める方は非常に少ない と思います。実際、調査によりますと、たばこを吸い始める年齢というのは9割が二十歳までな んです。二十を過ぎて本当の大人になってから冷静に判断をして、私は明日からたばこを吸う生 活を始めようなどと、理性的な判断の下に吸い始める方はほとんどいらっしゃらないのではない かと思うんです。若げの至りといいますか、興味本位で二十前に吸い始めてそのままやめられな くなって吸い続けているというのがほとんどの喫煙者の実態だと思いますので、学生時代に吸わ なければ、まずその後の喫煙開始ということはないのではないかと思います。 ○久道座長 ほとんどの大学で喫煙する学生は、現役で入れば18ですから大体二十前ですね。 その人たちがほとんどそこで吸い始めるというのが多いです。そのたばこを売っているのが大学 の生協なんです。生協はキャンペーンで健康と平和を守るということをよくやるんです。そして、 食品添加物を除こうとか、そういうささいなことばかり運動していまして、肝心のたばこを生協 の店から撤去するということを決めないんです。私は生協の理事をしていたことがあって、その 矛盾を感じて、とにかく生協の理事会で理事長を始めたばこを吸っているわけです。健康を論じ る資格がないですよと言ったらさすがに吸わなくなりましたけれども、販売は続けています。で すから、全国の大学も物すごくありますね。短大含めて600ぐらいありますか。敷地内全部やめ ればいいですね。 ○加治委員 そう思います。 ○久道座長 そういう運動も必要ですね。 ○加治委員 そうですね。大学によっては入学の際に新入生から誓約書をとっているところがあ ります。在学中、一切私は喫煙をしません。もしも喫煙した場合は、退学しますという誓約書を とっているところが幾つかあります。 ○久道座長 退学しますか。 ○加治委員 退学させることが目的では勿論ありません。もし、喫煙が見つかった場合はちゃん と禁煙治療をしてあげて、健康な大学生、健康な社会人として社会に送り出してあげる。それこ そが本当の教育だと思います。喫煙する権利はどうなるのか、という人がいらっしゃるかもしれ ませんが、たばこを吸わせてあげることが権利の擁護ではないと思います。たばこの害をしっか り教えて、たばこを吸わない健康な人生を歩ませてあげることが本当の権利擁護だと思います。 ○久道座長 どうぞ。 ○見城委員 関連して禁煙キャンパスという言葉が大分普及はしてきているんですが、大学では 禁煙キャンパスというふうに掲示をしても実行力がなかったり、教授の方や教職員の方自身が禁 煙でない場合もありますので、徹底されていない。ただ、名目だけが禁煙キャンパスという形で 一人歩きしている部分もあります。そこが実行力のあるものになればいいということが一点。  東京の場合は区によって禁止になったり、罰金になる歩きたばこですが、私も被害者の一人だ と思っております。いや応なしに、人ごみの多いところでは列から外れられないわけです。そう すると、ぞろぞろいく中でたばこを吸っている方がいると、ずっとその方が吸い終わるまで、結 局駅に着くまでの込んだ道路で吸わされ続ける。  それから、先ほどから出ていますが、赤ちゃんたちが危ないというのは歩きたばこのちょうど 下ろす位置がベビーカーの赤ちゃんの顔の辺りでありますので、やけどやら受動喫煙やら大変被 害が大きいと思います。そういう意味では、この検討会を通じて道路での歩きたばこは全面禁止 という、マナーとして徹底していくようにお願いしたいと思います。 ○久道座長 青森大学のキャンパスはどうなっていますか。 ○見城委員 禁煙キャンパスです。 ○久道座長 やっぱり実行されていますか。 ○見城委員 しない生徒もいますが、職員の方が注意して回るというようにしていることと、私 などは学生を連れて外の授業ということで、マイクロバスなどで連れていくときに吸う子がいま すと、ここは禁煙だからマナーを守ってくれと徹底して言ってみると、自分のしていたことの恥 ずかしさに気がついて直してくれる。ですから、やはり禁煙キャンパスと掲げた以上は、実行力 を持てばかなり効果はあると思います。 ○久道座長 先生、うまくいっているのはいかがですか。 ○見城委員 早稲田も自分の母校もそうですけれども、禁煙キャンパスになっていますが、初期 のころは全然聞いていないような感じでしたが、たびたびまいりますが、年々効果が出てきてる のではないかと思います。つまり、吸っていることがルール違反ということに、はっと気がつく。 そのことが大事なんです。ですから、掲げたら実行力を伴うようにするということが、特に禁煙 キャンパス、大学においては重要だと思います。 ○久道座長 あと10分くらいですね。今日はこの辺でいいでしょうか。皆さん、大分お話にな ったようです。  また、これから論点を整理していただいて、その項目ごとに皆さんと議論を少し深めていこう かと思いますが、議題としてその他、事務局から何かありますか。 ○生活習慣病対策室長 今後の日程につきましては、また後日、日程調節させていただきまして お知らせさせていただきたいと思いますが、今日、これだけたくさんの御意見を出されまして、 事務局の方で整理する時間も若干いただきたいとは思いますけれども、今日の勢いを次に続けて いくためには、ある程度間隔も余り長く空かないようにということを含めて、座長の久道先生を 含めて御相談させていただきたいと思っております。ありがとうございます。  以上でございます。 ○久道座長 どうぞ。 ○加治委員 今月上旬に、日本学術会議の『脱タバコ社会の実現に向けて』は、厚生労働省様あ てに出された要望書なんでしょうか。これについては、どのように扱われる御予定なんでしょう か。教えていただけると、ありがたいです。 ○久道座長 提出したんですね。 ○山本室長補佐 意見も踏まえて、特に受動喫煙についてはこの場で検討を進めていければと思 っております。 ○久道座長 この資料は、次回、手に入りますね。 ○加治委員 インターネットから手に入ります。 ○久道座長 インターネットからね。  ほかにございませんか。なければ、今日は時間より早めに終わりますけれども、よろしいでし ょうか。  それでは、今日はどうもありがとうございました。 1