08/03/13 第2回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録       第2回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録             期日:平成20年3月13日(木)             場所:厚生労働省共用第8会議室 ○京極座長 ただいまより、第2回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会を開 催いたします。  構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところを御参集いただきまして、まことに ありがとうございます。  まず、構成員の出席状況について、事務局からよろしくお願いいたします。 ○加藤障害保健専門官 それでは、構成員の出欠状況について御報告いたします。  本日は、鹿島構成員が御欠席との御連絡をいただいております。  また、中村障害保健福祉部長は所用により本日欠席となっております。以上でございま す。 ○京極座長 それでは、引き続いて資料の確認を行いたいと思います。  なお、古川委員と谷野委員が所用のために少し早目に御退席とのことでございます。  それでは、事務局、よろしくお願いいたします。 ○加藤障害保健専門官 それでは、資料の確認をさせていただきます。  お手元の資料でございますが、一番上に座席表、次に議事次第がございます。資料1は 精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会構成員名簿、資料2は第1回検討会での 主な意見と対応案について、資料3は精神保健福祉士と社会福祉士の共通科目案について、 資料4は平成21年4月施行分スケジュール(案)、参考資料1は精神保健福祉士養成課程 における新たな教育カリキュラムの内容(案)、参考資料2は社会福祉士養成課程におけ る教育内容等の見直しについて(案)。以上でございます。  資料の不足、乱丁等がございましたら、事務局までお申しつけください。  また、お手元にあります前回検討会議事録案についてでございますが、これにつきまし ては、以前、皆様方に御確認をいただいたところでございますけれど、再度修正しており ますので、御確認いただき、修正等がございましたら本日中に事務局の方まで御連絡いた だきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○京極座長 それでは、本日は前回の議論を踏まえまして、改めて社会福祉士との共通科 目に関して事務局より説明を聞いた後、御議論いただくこととしております。  それでは、資料2の第1回検討会での主な意見と対応案について、資料3の精神保健福 祉士と社会福祉士の共通科目案について、資料4の平成21年4月施行分スケジュール (案)について御説明いただきたいと思います。 ○加藤障害保健専門官 それでは、御説明いたします。  まず、資料2の御説明をさせていただきます。  1ページをごらんください。昨年、12月19日に開催されました第1回検討会におきまし て、構成員の皆様からいただきました御意見を、その後、事務局の方で整理させていただ きました。それらの御意見を3つの視点で分けさせていただいております。  1つ目は社会福祉士の教育カリキュラムにおいて反映したもの、2つ目は第3回以降の 本検討会において議論するもの、次のページですが、3つ目に当初の社会福祉士の教育カ リキュラムを維持するものでございます。  初めに、1の社会福祉士の教育カリキュラムにおいて反映されたものについて御説明い たします。  表の左に各構成員から頂戴しました御意見、右側にその御意見に対する対応案について 記載しております。  1つ目でございますが、「「社会理論と社会システム」について、教育内容に法学法律 システムや経済システムを加えるべきではないか」という御意見をいただいております。  これにつきましては、この資料の3ページをごらんいただきたいと思いますが、想定さ れる教育内容の例として、現代社会の理解の中の教育内容の例として、「法と社会システ ム」が新たに加わり、この内容といたしましては、法と社会規範、法と社会秩序等になり ます。また、その下ですが、「経済と社会システム」も加わりまして、その内容としまし ては市場の概念、交換の概念等になりますが、こういった内容について追加をするという 形で対応したいと思っております。  資料2の1ページにお戻りいただきまして、社会福祉士の教育カリキュラムにおいて反 映された2つ目でございますが、「「福祉行財政と福祉計画」の時間数について、60時間 は長過ぎるため、30時間程度でよいのでは」という御意見をいただいております。  これにつきましては、資料2の4ページですが、シラバスの内容を整理いたしまして、 それに伴い、時間数を60時間から30時間に見直し対応しております。この点につきまして は、30時間という時間で適当だろうということで30時間としております。  1ページにお戻りください。3つ目ですが、「権利擁護や人権を取り上げる科目は必要 である」、「社会福祉専門職の前提として、障害者理念や要支援者にかかわる理念を教え るために、「サービスと人権擁護」という内容があった方がよい」という御意見をいただ いております。こういった権利擁護に関する御意見は、前回の検討会の中で多数いただい ております。  当初の社会福祉士の教育カリキュラムでは、資料3の10ページをごらんいただきたいと 思いますが、社会福祉士の見直し(案)の点線より下の部分で、成年後見制度に特化した 科目が非共通科目として設定されておりました。  資料2の5ページに戻っていただきまして、今回、この「成年後見制度」のシラバスの 内容に、皆様から御意見をいただきました権利擁護に関する知識を新たに加えております。 また、それまで「法学」の内容に含まれていました内容につきましても、相談援助活動と 法(日本国憲法の基本原理、民法・行政法の理解を含む。)となったことから、今回、新 たに共通科目として位置づけることとしております。また、科目名を「権利擁護と成年後 見制度」としております。  以上が、社会福祉士の教育カリキュラムにおいて反映された項目になっております。  続きまして、2の第3回の本検討会において議論するものという整理のところについて 御説明させていただきます。  まず、「「相談援助の基盤と専門職」については、社会福祉士と精神保健福祉士で共通 する部分と、そうでない部分を2つに分け、共通する部分だけ共通科目とすることはでき るか」という御意見をいただいております。  このことにつきましては、6ページをごらんください。社会福祉士の担当課に相談した ところ、2つに分けるというのは困難であるものの、この科目の教育内容について、点線 の下にありますように、今回、赤字で示させていただきました「精神保健福祉士の役割と 意義について理解する」といったねらいですとか、含まれる事項として「精神保健福祉士 の役割と意義」とありますように、共通科目とすることができるような形で見直しをして いただいております。  今回は、共通科目に関する議論をしていただくため、本科目につきましては議論の対象 外とはなっておりますが、第3回以降でこの科目を共通科目として範囲の拡大をするのか どうか、といった議論を御検討する際にぜひ御議論いただきたいと思っております。  1ページに戻っていただきまして、ほかの項目ですが、共通科目の時間数、共通科目と して拡大した方がよい科目、あるいは養成施設においての時間数や実習の質の担保、国家 試験のあり方、精神保健福祉士の配置等の明文化等につきましては、本検討会第3回以降 に御議論いただきたいという形で整理しております。  2ページをごらんください。続きまして、3の当初の社会福祉士の教育カリキュラムを 維持という項目でございます。この項目は、今回御議論いただく社会福祉士との共通科目 に関して、社会福祉士等の対応内容から反映が困難であったという項目になります。  1つ目は、「科目名から「社会福祉」という言葉が消えているが、専門職の資格として 活動するに当たり、アイデンティティは社会福祉にあると考えられることから、社会福祉 学はきちんと学ばせるべきではないか」という御意見をいただいております。  このことにつきましては、従来用いられておりました「社会福祉」の領域では、社会福 祉法における社会福祉事業の関連が中心でありましたが、教育内容を見直すに当たり、近 年の福祉領域ということを考えてみますと、成年後見ですとか障害者の就労支援など、司 法、労働、教育、住まいの場の確保などの住宅施策にまで及んでいるということから、 「現代社会と福祉」にしたという経過から、当初の案を維持することにしております。  次に、「「地域福祉の理論と方法」の時間数について、60時間は長過ぎるため、30時間 程度でよいのではないか」という御意見をいただいております。このことにつきましては、 社会保障審議会福祉部会等の意見におきましても、地域福祉の増進のための働きかけを行 うということが社会福祉士の役割として求められている、ということも強調されておりま す。そのため、時間数につきましても、当初の案のように60時間ということで維持してお ります。  以上が、資料2の御説明でございます。  次に、資料3についてでございます。資料3は、今御説明いたしました資料2の対応案 を踏まえた共通科目案となっております。なお、第1回検討会においてお示しした共通科 目案が10ページにございますので、適宜、参考にしていただきたいと思います。  1ページですが、前回同様、カリキュラムの全体像をお示ししております。左側に精神 保健福祉士の見直し、右側に社会福祉士の見直しをお示ししております。紫の点線の上の 部分が共通科目となっており、前回からの変更点につきましては赤字でお示ししておりま す。  まず、変更点でございますが、先ほど御説明いたしましたとおり、「福祉行財政と福祉 計画」につきましては、前回は60時間という形でお示しさせていただきましたが、今回は 60時間から30時間という形で変更されております。  また、先ほど御説明いたしましたこれまで非共通科目として位置づけられていた成年後 見制度について、科目名を「権利擁護と成年後見制度」という形で改め、従来の「法学」 の教育内容が盛り込まれたことから、今回、共通科目として位置づけております。  なお、「法学」から「権利擁護と成年後見制度」への矢印につきましては△がついてお りますが、これは従来の「法学」の内容にとどまらず、皆様の前回の御意見を踏まえて、 権利擁護にも踏み込んだ内容も網羅しているというところで、△をつけさせていただきま した。  また、合計時間数ですが、右側の社会福祉士の見直しでは、黄色で講義が780時間、実 習・演習で420時間、合計1,200時間になっております。  精神保健福祉士の方でございますが、見直し案では、講義780時間、実習・演習が330時 間、合計1,110時間となっております。これは現行から60時間の増加となります。前回、 1,140時間ということで精神保健福祉士の時間数は示させていただきましたが、今回減って いる分は、「福祉行財政と福祉計画」を30時間減らしたものによります。  2ページ以降ですが、精神保健福祉士の共通科目の見直しについて、前回同様、科目別 の教育内容の対比表を一緒に添付しております。前回からの変更点を申し上げます。  まず、2ページでございますが、「現代社会と福祉」におきまして、含まれるべき事項 の(2)に「福祉の原理をめぐる理論と哲学」を追加しております。  次に、8ページでございますが、「権利擁護と成年後見制度」につきまして、前回の内 容に加えまして、含まれるべき事項の(1)に「相談援助活動と法」とのかかわりを追加し、 さらにこれまでの「法学」の内容を網羅いたしております。  さらに、(5)「権利擁護に係る組織、団体の役割と実際」、(6)「権利擁護活動の実際」と いった、権利擁護に関する教育内容の充実を図りました。  資料3の御説明は以上でございます。  続きまして、資料4の説明をさせていただきます。  資料4は平成21年4月施行分スケジュール案でございます。これは今回御議論いただい ております社会福祉士との共通科目に係る教育カリキュラムの施行スケジュールとなりま す。このスケジュールでございますが、まず、本日お集まりいただいております今回のこ の検討会におきまして、この共通科目について御議論いただき、こちらで出た御意見につ いて3月3週中を目処に調整させていただきたいと思っております。  その際、並行して、省令、告示、通知等の関係の作業をさせていただき、速やかにパブ リックコメントにかけたいと考えております。  目処といたしましては、3月中にパブリックコメントにかけ、1カ月程度の期間で御意 見を募り、4月中に御意見の調整作業、公布を行う。このようなスケジュールを考えてお ります。  以上でございます。 ○京極座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問等がご ざいましたら、皆様方から積極的に御発言いただきたいと思います。  では、谷野構成員から順番に、全員から御発言いただきたいと思います。 ○谷野構成員 僕は全くの素人でよくわからないのですけれど、言葉をかえただけで、中 身がどういうふうにかわったのか、その辺がよくわからないのと、例えば、資料3の1ペ ージで、「法学」という基本概念はあるわけだろうし、「法律学」というのはあるのだろ うと思いますが、それをすぐ「法学」の各論に入って、「権利擁護と成年後見制度」だけ の話になってしまうのか。ということは、それだけで法学のことを教えてしまうのか。教 えてしまうというのはおかしいですけれど。  よく表現できませんけれど、心理学、社会学、社会福祉原論にしても、見直しは具体的 な表現になったのは、それはそれでいいのでしょうけれど、考え方によっては、具体的な 表現になればそれだけ狭い範囲の知識しか与えられないという危険性もあるわけですよね。 その辺はどのように解釈したらいいでしょうか。 ○京極座長 厳密に言うと、「法学」が「権利擁護と成年後見制度」と横並びで矢印があ りますが、「社会理論と社会システム」の中にも、ごく一部ですけれど、「法学」のとこ ろは入っているわけですね。ただ、主なものということで横に線が引いてあるのですが、 これについては事務局の方でお答えになりますか。 ○加藤障害保健専門官 今、座長から御説明がございましたように、まず1つは、資料3 の8ページをごらんいただきたいのですが、「法学」が今度は科目名もかえて「権利擁護 と成年後見制度」という形で見直し案を立てていますけれど、「社会生活と法」ですとか 「民法・行政法」などが現行の「法学」のカリキュラムの中では内容となっておりますが、 今後、見直し案の中でもこういった部分につきましては、「権利擁護と成年後見制度」の 中に含まれるという整理に一つはなっております。 ○京極座長 これは精神保健福祉士だけではなく、社会福祉士の方もそうですが、福祉専 門職のための法学という視点で用意されているのですけれど、実際に教科書ができますと、 法学の解説書みたいになりがちなので、各出版社も編集者も苦労するところで、今回、議 論の中で社会福祉士及び精神保健福祉士のための法律的な理解については、どこを重点に したらいいかと。そこを特化しないと、現場で民法・行政法の一般知識だけで対応してい ますと、クライアントに対してきちっとした相談ができないものですから、やや特化した という点が特徴だと思います。  ただ、大学で教えるときは、介護福祉士の場合と違って、精神保健福祉士と社会福祉士 の場合は、養成校の場合はこれで直に教科書で教えていけるのですが、現実には法学だっ たり民法だったりいろいろ科目がございまして、それの読みかえでこうやっていくという ことになるので、恐らくただの法学だけだと足りなくなってしまうので、権利擁護の特講 を設けて合わせ技でとるみたいな形になっていくと思うのですが、そのあたりは、4大で すので、創意工夫といいますか、やり方はいろいろありますけれど、教える中身としては、 シラバス上、ここだけは押さえたいということで、社会福祉士及び精神保健福祉士のため の法学的な理解ということにしていると思いますので、従来のようにややもしますと法学 の一般知識を教えるということで、現場に出て即応性に欠けるということがあったので、 大分工夫されたと思いますが。 ○加藤障害保健専門官 済みません、申しおくれましたが、本日の参考資料1ですけれど、 これは本日、共通科目案について了解を得られた場合、平成21年4月から施行される教育 内容の全体像を示したものでございます。こちらにシラバスの内容と想定される教育内容 の例というものを載せておりまして、今御質問のあった法学につきましては、21ページと 22ページに全体像を示しております。  このねらいの中の1番で、「相談援助活動と法」ということで、法とのかかわりを理解 するですとか、教育内容の例につきましても、法律問題ですとか日本国憲法、民法、行政 法という形で、想定される教育内容を入れ込んでおります。 ○京極座長 それでは、次に、寺谷構成員、お願いいたします。 ○寺谷構成員 さっきの谷野先生の御質問と同じようなことを私も考えておりました。限 定的に「権利擁護と成年後見制度」ということだけのここに枠をつけるということには、 それなりの意味もあるのでしょうけれど、司法、精神医学などの領域もこれからもっと踏 み込んで教授されなければならない課題だろうと思っていますが、それに付随して、更生 保護の観点から、一般法と言ってしまえばそうなのですが、それを具体的に援助の枠組み の中で根底に据えるというところを、授業のカリキュラムの中にも位置づけられるといい かなと思っています。 ○京極座長 一つは、精神保健福祉士の専門科目のところの位置づけに、現に精神保健福 祉士がそういう分野で活躍しているので、そこは触れた方がいいと思いますが、共通科目 の中でどこまで触れるかというのはなかなか難しい微妙な問題がありますので、もし事務 局で御回答があればお願いします。 ○野崎課長補佐 これとは別に、精神保健福祉士の教育内容、今後期待される役割なども 踏まえた御議論を第3回以降にいただきたいと思っておりますので、その中でまた整理さ せていただければと思っております。 ○京極座長 この資格制度ができたときは、まだそういう制度がなかったものですから。 今は全国でも活躍されているわけですので。 ○古川構成員 先ほどの谷野先生の御意見はごもっともだと思うのですが、全体としては、 先ほどの座長の話にもありましたけれど、今回は組み立て方が前とは随分違うんですね。 この出てきている骨組みのところは、資格制度にかかわって学習しておく必要のある項目 が並べてあるという形になっているんですね。学問体系としてどう組み立てるかというこ とになると、私などはもっと別の組み立て方があってもいいんじゃないかと思っています が、これは今回の資格制度の改正をするときの基本的な考え方がそのように変更になって いるということなので、とりあえずはそれを前提に考えていかざるを得ないのかなと思っ ております。  ただ、今回、前回の意見を反映していただいて、先ほども話題に出てきておりましたが、 社会システムの中に法と社会システムといったものが入ってきていること、あるいは、従 来の権利擁護・人権等の項目の中身がかなり拡充されていることとか、社会福祉という言 葉がなくなっているということについての対応として、社会福祉という言葉が復活をする という形はとっておりませんが、原理論的な理念や哲学という項目が新たにつけ加えられ ているというところを見ますと、それなりに前回の議論が反映されていて、その点は評価 をしていいのではないかと思っているところです。  ただ、冒頭申し上げましたように、学問論として考えると、ちょっとね、というところ がやはり気になるところではあります。したがいまして、これはある意味ではそれぞれ4 年制の大学の場合にはどういう科目名称にして、どういう内容で、どのように教えるかと いうことについて、かなり裁量の幅が認められるようになったとも理解することができま すが、その分、逆に、大学でどう教えるかという責任が非常に大きくなってきているかな と。その点は強調されていいのかなとも思ったりしております。  さらに申し上げると、「社会理論と社会システム」という項目に、「法と社会システ ム」、「経済と社会システム」という項目が追加をされておりますが、従来の内容にこの 2つをつけ加えて全体としてどういうタイトルの講義科目名にして、どういう学問的な背 景のある人がどのように講義をするのかを考えると、これはなかなか大変な科目だなと思 わざるを得ないところもあるわけですが、その点は、先ほど申し上げたように、それぞれ の大学の創意工夫だと多分言われるだろうと思いますので、そういう形でいろいろなこと を考えてみたいなと思っております。 ○京極座長 ありがとうございました。大変重要な御指摘なので、どうぞ勝手におやりく ださいということはなかなか難しいものですから、例えば幾つかの読みかえのパターンを つくっていただいて、あとは応用でと、そういうものがないと、このままズバリ、講義科 目を、4大になりますと福祉系大学は何とか対応できるかもしれませんけれど、平成21年 までとなるとちょっと無理があるので、ここはどのように変化球で、中身はシラバスをき ちっと盛り込むとしても、幾つか組み合わせで、さっき1つ例を挙げましたけれど、それ だけではなくいろいろなやり方があるので、そのあたりは例示を厚労省の方でも考えてい ただければありがたいと思います。  では、石川構成員、よろしくお願いします。 ○石川構成員 古川先生と同じでございまして、第1回目のここでの検討すべき意見とい う形で出させていただいたものが、社会福祉士の方で検討し、かえていただいたというこ とを本当に評価したいと思います。  その上でありますが、過日8日に3団体の説明会がございまして、そのときに社会福祉 士の方の実際の御説明があったわけですけれど、そのときに、私が聞き間違えていなけれ ばの話ですが、この参考資料2の中に社会福祉士の養成課程における教育内容の見直しに ついてという、これの説明があったのですが、この中で、一般養成施設はいいのでしょう けれど、大学の場合、どういう科目名で、どういうシラバスで講義を行っていくかという あたりのところで、どこを基本に置いて考えたらいいのかというときに、「含まれるべき 事項」というところが必ず入っていなければいけないという解説があったかに聞いており ます。  そういたしますと、想定される教育内容の例ということと、どこで整合性をつけながら シラバスを考えていったらいいのかというあたりも、もう一つ具体の話になってまいりま すと、これはテキストづくりがとても難しいのかなと、こういう印象を持っております。  もう一つは、前回の検討会でも申し上げたわけですが、一般養成施設における総時間数 が、社会福祉士は1,200時間で、その中の共通部分をどうとってくるかという議論であった かと思いますけれど、そうしたときに、精神保健福祉士の場合には、そのままを見ていき ますと、時間数が少なくなるという状況でありますが、専門性が高いということを考えま すと、このあたりは少なくとも横並び以上ではないかと。  そのときに、共通科目は同じ時間数でなければいけないのかどうかと、こういうあたり は試験問題との関連の難しさがあるので、重々難しいことはわかっていますが、そのあた りの御議論も少ししておいた方がよいのかなと。共通科目で並べばほぼ現行と横並びにな っていくという流れではありますが、社会福祉士の方の内容の中でも、学ばなければいけ ないことも実はあって、それを専門科目の中で補っていくという方向で行くのであればよ ろしいのですが、そうでないとすると、共通で学ばなければいけないということになりま すので、そこの方向性だけでも議論を少ししておいた方がよろしいのかなと思った次第で す。 ○京極座長 ありがとうございました。この問題は後でまとめて議論することにいたしま して、きょうは社会福祉士と精神保健福祉士の共通科目について、前回の御議論を踏まえ て修正案が出てきたということでございますので、それについて、大塚構成員の方からお 願いします。 ○大塚構成員 前回の意見が大分反映されて取り込まれたというのは、大変ありがたいこ とだと思っております。ただ、幾つか気になることがございます。皆さんと重複しますが、 特に法学ですが、こういう具体的な項目に落とし込まれたところで、先ほど寺谷さんもお っしゃいましたけれど、詳細を専門科目に落としこむにしても、多少基礎的な部分は共通 科目の中で押さえておかなくて大丈夫だろうかという思いがあります。今、細かいところ を見ていたのですが、例えば障害者の権利条約に関することですとか、ICFに上がって きたような障害概念のことなどが、社会福祉士の方の障害福祉のところにも入ってきてい なかったり、そういうものが見当たらなくて、かなり細かく分類されたがために、注意深 く見ておかないと、大事なものが落ちていることがわからなくなっていくということがあ りはしないかという感じがしました。  それで、先ほど、「現代社会と福祉」のところの見直しで、1点、「福祉の原理をめぐ る理論と哲学について」というのが加わりましたという修正点をお聞かせいただいて、す べてのところにそういう原理とか哲学というものはやはり入れておいて、そこから具体的 なところにつながっていく中できちっと基本的な問題が押さえられていくということを踏 まえた構成にした方がいいのではないかなと、懸念と、できればリクエストを申し上げま す。  それから、今、石川先生がおっしゃった時間の配分のところは、非常にテクニカルな問 題も含めて難しいと思いますが、社会福祉士の方で、地域福祉のところの60時間を維持と いうか死守したことについて、そこはネットワークとかコーディネートという機能が求め られていてとても重要だからというお話でした。ここは精神保健福祉士においても、実際、 地域精神保健などを考えていきますと、かなり重要になってくるだろうと私個人は思って おりまして、そのぐらいの時間があるということは、人や機関や制度等をつないでいくと いう私どもの仕事においては大事だろうと思いつつ、やはり共通科目の時間配分と専門科 目の時間配分でどのように組み込むのかについて、少し気になっております。  もう1点、権利擁護の部分で、日常生活支援事業や、成年後見制度の具体の項目が落と し込まれておりますが、どうしても侵害された権利の回復のところの制度に重きが置かれ ているような印象を受けてしまいます。そういう制度になっていないところでも、まだま だ市民生活としての権利を遂行できていない、権利とは何ぞやというところの支援活動と いうのは実際にあるかと思っておりますので、そういうことはどのように講義の中で落と し込んでいくのかなというあたりが、私の中では見えませんでした。そのあたりが気にな りました。 ○京極座長 4点ぐらい御質問をいただきましたが、その中の1つで、地域福祉のことに 関しては重要な御指摘だと思うのですけれど、共通科目であると、精神保健福祉士の立場 からの地域福祉という考え方も必要なので、そうすると、この例示を読みますと、やや社 会福祉士に特化していますので、精神保健福祉士が地域福祉の観点で何か勉強しなければ いけないとなると、もうちょっと精神のところを、シラバスの内容そのものはいいかもし れませんけれど、例示のところは、これはあくまでも例示なのでこれから変わっていくと 思いますが、保健所とか精神科病院とか、あるいは授産施設でも、精神中心とした授産施 設もありますし、そういう地域のネットワークのところを、精神保健の立場からちょっと 充実させた方がいいんじゃないかと。これだけだと、社会福祉士のための地域福祉論にな っているような感じもしますので、あくまでも共通ですので、そこは重要な御指摘だと思 います。  それから、石川構成員から出たことと同じで、共通科目をどう考えるか、時間的な配分 をどう考えるか、これはまた後で議論いたしまして、障害関係のことについて御質問が出 ましたが、ここの位置づけについて事務局から御説明いただけますか。共通科目で「障害 福祉論」というのはないんですよね。専門科目として位置づけられているので。 ○加藤障害保健専門官 まず、1点目のICF等のことが御質問に出たかと思いますが、 参考資料2の10〜11ページ、「人体の構造と機能及び疾病(30時間)」の中の含まれるべ き事項の(3)に「ICFの基本的考え方と概要」という形で、ここに含まれる内容として整 理されております。 ○京極座長 権利条約の話はいかがですか。 ○大塚構成員 その「人体の構造と機能」のところに入っているのは今わかりましたが、 障害者権利条約等もあわせて、単純に機能分類ということではなく、障害を持っている 方々の社会参加とか、権利の保障というのでしょうか、共生社会に向けたすべてのバリア フリーを目指していくという考え方が、「人体の機能と構造」のところにもちろん入って いてもいいのですが、一方で、障害福祉のところであるとか、権利の問題であるとかとい うところにも入っていないと、本質的な意味合いとしては違ってしまうのかなということ は気になりました。 ○京極座長 これは、「現代社会と福祉」とかそういうところに入ってもおかしくないの で。 ○野崎課長補佐 共通科目として、今回、障害者に対する支援と障害者自立支援制度とい うのは位置づけていないのですが、専門科目の中で、「精神保健福祉論」というのがござ いまして、その中で、現行の内容でありますと、障害の概念であるとか、あるいは障害分 類も入ってございますし、例えば障害者福祉の基本施策として、障害者基本法であるとか 障害者プランであるとか、そういったものも入ってございますので、もし現行の内容でま だまだ不足しているということであれば、また専門科目の見直しの議論の中で御議論いた だいて、そちらの方で対応させていただきたいと思います。  精神保健福祉士の職種としての障害に少し特化した専門性という観点からまた御議論い ただければと思っておりますが、いわゆる社会福祉士の障害者に対する支援と障害者自立 支援制度という枠内だけで、本当に精神保健福祉士に必要な障害に関する知識というのは 得られるかどうかというのはありましたので、共通科目には位置づけておりませんが、専 門科目の議論の中でしていただきたいと思います。 ○京極座長 詳しくは専門科目の中で位置づけるということで。ただ、時代の流れみたい なことについては、「現代社会と福祉」のところで語ればいいんじゃないかなと思います。 ○古川構成員 大変重要なテーマだと思いますが、この参考資料2の22ページをごらんい ただくと、これは従来なかったものですけれど、「相談援助の基盤と専門職」という科目 の中に、「精神保健福祉士の役割と意義」というものが追加になっておりますね。これは 共通部分として位置づけられているということですので、そのねらいのところなどを見ま すと、先ほどから話題になっておりますそうした内容については、この共通する部分を少 し膨らませてきちんと位置づけていくというやり方をすれば、かなりカバーできるのでは ないか。  逆に、社会福祉士を目指している人たちに精神保健福祉士の役割や意義、あるいはその 内容についての理解を深めさせるというのは、大変重要なことではないかと受けとめてい ますが、いかがでしょうか。 ○京極座長 大変重要な御指摘だと思いますし、前回はここのところは2つに分けられな いかということだったのですが、むしろ一緒にして共通科目にした方が学生の教育上もよ ろしいかと思いますし、この意見でまとまれば、問題提起を社会福祉士の方の検討会にも 出していきたいと思います。そうしますと、先ほどの問題は大分解決していくということ で。  それでは、新保構成員、いかがでしょうか。 ○新保構成員 前回の議論にかかわる課題については、それなりに整理されてきたと思い ますので、この案でよろしいのかなと思いますが、ざっと見たときには、障害種別や、あ るいは個別課題などに対応するまさに課題の整理をして、それを列挙したという感じが否 めない状況でございますので、今、大塚委員もおっしゃられたような事柄も含めて、問題 の前段にあるべきことがしっかりと担保できるようなものにしてほしいなと思っています。  例えば、「現代社会と福祉」という名称ですが、これはこれでよろしいかと思いますけ れど、その中で、「福祉の原理をめぐる理論と哲学」をどのように教えるのかというのは、 大変難しい問題だとは思いますが、ただ単にこれが法と社会システムのような流れの原理 のところで、福祉の価値をちゃんと教えられるのかどうかということが気になります。む しろこういうものは、かつて、小倉襄二先生が『状況としての福祉』という本を書かれて、 まさに現代社会の状況の中における福祉というものをどのようにしてとらえていくかとい う、支援者の思いや哲学をしっかり教えることができるのだろうかと思います。  いずれにしましても、こういった事柄の中に、個別課題ではなくて、個の尊厳、人間の 尊厳というものをちゃんとうたえるようにしていっていただければありがたいと思います。 その意味でも、大塚委員がおっしゃったように、各科目にこういうものがあるという必要 性を大事にしてもらいたいなと思っています。  あわせて、例えば、同じところの福祉政策の構成要素の中で、これは政策の構成要素と いうことですから、次の福祉政策と関連政策に絡む事柄が列挙されているだけなのかなと 思ったり、細かいことはわかりませんのではっきりしませんが、この現代社会を考える上 では、こういう構成要素の中で、市場との考えというか、市場原理との考えというか、そ ういったものもしっかりと担保していってほしいなと思っております。  専門学校ももちろんこの共通のカリキュラムを使わなければいけないので、これでよろ しいかと思っていますが、専門学校で、例えばある大学なら大学を出て、一般のある程度 の素養のある方が専門で学び、個別保護あるいは個別対応にかかわる学びをするというの と、大学での学びはまたちょっと違うところがありますので、大学では社会福祉士の価値 にかかわるところが担保できるようなものであってほしいということだけが私の願いです。 ○京極座長 ありがとうございました。それで、共通科目とは何ぞやということですが、 もともと社会福祉士だけだったので共通科目も何もなかったわけですが、精神保健福祉士 が出た段階で、ソーシャルワーカーとしての共通面と、対人サービスにかかわっていく仕 事として、現代に必要な知識というものは何なのかということで、議論していくうちに、 従来の科目の中で共通科目を決めたわけですが、従来の科目はどちらかというと大学にあ る科目をそのまま並べたということだったので、そこに矛盾が起きて、例えば法学だった ら法学一般みたいなことで教えていたものですから、社会福祉士にとっての法学は何かと か、精神保健福祉士にとっての法学は何かというのは飛んでしまって、ともかく科目だけ やればいいと。  あとは試験の内容が少しそれにフィットすればいいということで、教える内容について はややラフだったのですが、今回は、議論としては、社会福祉士や精神保健福祉士にとっ ての共通科目としての法的な知識は何かということにかなり絞り込んでいますので、そう いう点ではかなり進化したと思いますが、もともと精神保健福祉士ができたときに、社会 福祉士との共通科目は何ぞやというところから始まりましたので、そのときに、共通であ る以上は、量的にも同じ時間数ということで当時は整備したわけです。  しかも、社会福祉士の場合は大体半分を共通科目にして、半分を専門科目にしたのです が、精神の場合はちょっと政策的配慮がありまして、専門科目を少し厚目に乗せたという ことで行ったわけです。ところが、今回は逆になりまして、このまま行きますと精神の方 が専門科目が少ないということで、石川構成員から鋭い御指摘があったように、前は逆に もっと多かったのが下がってしまう、それでいいのかというので、この辺はこれから精神 保健福祉士の専門科目の議論をする中で、今までよりももう少しざっくりした、大学の科 目をそのまま当てはめるのではなく、もう少しきめ細かい議論をしていくことになると思 いますので、その段階でいろいろ科目がふえていくのではないかと思います。  ただ、専門科目と共通科目の関係はいかにというのは結構難しい問題なので、何か御意 見がございましたら、皆様からいただきたいと思います。 ○谷野構成員 また全然違いますけれど、中座しますので。基本的なことですが、確認し ておきたいのは、こういう項目立てというものがカリキュラムとしてなじむのかどうか。 うまく言えませんけれど、心理学、社会学、法学という学問的な項目立てというのが僕は あると思います。そういうカリキュラムの中で、特に見直しのところで、「こういうこと を中心に教えなさい」ということであればわかるのですが、ただ、何々学が横へ来たとい うことが、果たして教育なのか何なのかよくわかりませんけれど、こういう項目立てとい うのは果たして大学の教育でなじむのかどうか。  くどいようですけれど、何々学というのがあって、心理学というのがあって、その中で こういうことを教えなさいとか、法学というのがあって権利擁護と成年後見制度を教えな さいと、そういうだけの見直し案じゃないかなと。この右と左の理念が全く違うことを、 現行と見直し案で言っているだけの話じゃないかなと。よく表現できないのですが、どう いうことなのでしょうか。 ○京極座長 ここはもう一度整理して、要するに、教える科目のシラバス的な内容と、そ れをトータルとして表現する科目名と、今回はそういう形で整理したのですが、それと、 既存にある大学のいろいろな科目、その関係性について事務局で整理した意見をいただけ ると、深まるのではないかと思いますので。 ○谷野構成員 もっとわかりやすく言うと、例えば社会保障論と社会保障はどこが違うか ということとか、そういう字句の組みかえの問題もありますし、そういうものがある程度 対外的に説明できるようになっていないと、社会福祉士も精神保健福祉士も、これは対外 的に説明できないような教科書づくりになってしまうと困るなと思います。 ○京極座長 私の個人的なことを言わせていただいて、後で事務局の方で答えていきます けれど、この科目の見直しで一番肝の部分というのはシラバスだと思います。例えば法学 でも、何をポイントとしているかと。そのポイントのときに、今まではややもしますと大 学の法学の憲法、民法、行政法みたいなことでお茶を濁したということですが、医学の場 合も同じような形でやったのですけれど、そうではなくて、社会福祉士や精神保健福祉士 にとって必要な法学知識は何か、どこに重点を置くかということで、シラバスをきちっと させるということが今回の見直しの一番のかぎで、それを包み込む科目総称名というのは 大学においては非常に多様なので、そこは厚生労働省でも縛り切れないと思います。  養成施設の場合は、各出版社が出した教科書がそうなっていれば、どの教科書を使うか というとこで進みますので。ところが、大学はそれぞれ担当の先生が既存の学問体系で、 心理学だったらこれ、法学だったらこれとかとやりますので、一致しないのですが、その ときに、教育上、ポイントとして、その科目の中で押さえていただけるのか、それともそ れを外してやるのだったら特講みたいなことでやるのかというのは、各大学によって変わ ってくるということですので、特にシラバスがポイントではないかなと私は感じています。  試験科目も、シラバスをにらんで試験に出します。通常の大学の授業でやっている方は なかなか受からないということですので、そのシラバスのポイントをちゃんとヒットした 講義をやっているところは、学生さんは受かるということなのではないかと思います。そ んな印象を受けましたので。 ○古川構成員 先ほどの、例えば法学で法学概論というものをやりますと、法学担当者の 専門によって、商法をやっている人がやると、法学概論というのはそちらへ流れるわけで すよね。それは困るというので、こういうシラバスに書いてあることを入れてくれという ことなのでしょうけれど、そこのところだけやられると、それは法学の考え方というもの が抜けてしまうので、実際にどういう人が担当できるかよくわかりませんけれど、法学と いう名称で、ここに書いてあるような「権利擁護と成年後見制度」でやるとすると、その 最初の部分では、法とは何かとか、法と社会とか、そういうことについての議論をちゃん とやってもらって、それを踏まえて次のシラバスに当たる部分を中心にやってくださいと、 そういうように納得してもらって授業を担当してもらうことになるのだろうと思います。 学部長としていろいろ頼むとすればという想定で申し上げると。けれど、これはなかなか 難しいなというのも率直な感想です。  ただ、そういうふうにしないと、座長がおっしゃっているように、心理学でも、心理学 一般で知覚しかやらないという人や実験心理学の専門家が心理学概論をやったら、やはり それは社会福祉士の期待しているものからするとずれるということになるでしょうから、 そういう意味では、従来とは随分と変わった中身を求められるということになるのだろう と思います。何とか論とか何とか学でそれなりの体系を持っているところについては、そ ういう調整をしてもらわなければいけないけれど、細かなところになっていくと、例えば、 更生保護というのは学問体系としてはどこに入るかということになると、どこでやるんで すかね。これは更生保護論といったような特講的な扱いで解説をするということになるの かなと思っていますけれど。  従来の学問体系との整合性をどうとるかという問題と、個別に扱わなければならないの が一緒になって、シラバスの側から言うとそれぞれ体系性を持っているけれど、教える側 とか学問体系から言うと、一緒にいろいろなものが入っているという印象がありますね。 そこは裁量権で幅を認めるから大学で工夫しなさいよという、ある意味では大変ありがた い方向なのかもしれませんけれど。 ○谷野構成員 わかりやすいんでしょうけれどね。 ○古川構成員 ええ。けれど、これは対応するのは大変だなとも思います。 ○京極座長 パブリックコメントなどで、学校連盟とか、そういう意見もいただいている と思いますけれど。 ○大塚構成員 とても素朴な質問ですが、今まで、資格をとる人たちのためのテキストの シリーズが書店に並んでいましたね。そうすると、タイトルが「心理学」とか「社会学と 法学」と背表紙に書いてあるわけです。それが今度、例えば「低所得者に対する支援と生 活保護制度」というタイトルのテキストになったりするのかしらと思うと、とても妙な感 じがして、今、古川先生がおっしゃったことを反対側からみて言っているのかもしれませ んが、シラバスを見ていても、例えば、公的扶助という言葉が出てこなくなることに、ち ょっと戦略的かと思ったりするぐらいです。いろいろな複雑になるなと思います。だんだ んそういうことが学問の中から消えていってしまわないだろうかということがあって、資 格の問題と学問の問題の整理をどこかで見解としてお示しいただかないと、とても不安だ なという気がいたします。 ○京極座長 ただ、今までもそうですけれど、社会福祉士の科目、精神保健福祉士の科目 も、出題基準みたいなものがありましたので。ですから、一般的には心理学と言っている けれど、中身はこういうことを教えてほしいという形で公表されていますし、提示もされ ているので、しかも試験センターが出題基準というものをつくっていますから、それを見 ると、一般的な心理学ではないということはわかるんです。  ですから、そこは前からそうなのですが、今回はタイトル名がガラッと変わったので、 その落差が大きいということが言えて。ですから、養成施設の場合は教科書どおりやれば この科目のタイトルでもおかしくないのですが、大学になりますとそうはいかないんです ね。ですから、そこの円滑なスライドというか、4大が受けやすいような科目配置といい ますか、その議論はまだこれからだと思いますので。 ○野崎課長補佐 参考資料2の7ページですが、大学においてどういう科目名をつけるか とか、つまり大学のどういう科目について認めるかということについては、現行と同様、 一定の読みかえの範囲を設定するとなっていまして、その内容は現在詰めているところで すので、その中できちんとスムーズにいくようにさせていただきたいと思っております。 ○京極座長 読みかえの範囲が広くなるような気がするんです。今までは、既存の大学の 科目から拾ってきて共通科目と専門科目を構成していたので、比較的安直ではあったので すが、しかし、大学側としては比較的受け入れやすいというか、特に福祉系大学だったら ほとんど問題ないと。そして、一般大学の場合は幾つか科目を設けて対応すれば何とかと いうことですが、今回は大分きつくなるかもしれないので、そこは工夫が要るかと思いま す。  それから、さっき石川構成員がおっしゃった共通科目は、ともかく決めたら時間数は社 会福祉士も精神保健福祉士も一緒にやるということなので、あとは専門科目の議論のとこ ろに、その中で議論していって解決することかもしれませんので。私は当初は精神保健福 祉士と社会福祉士の両方に関係したのですが、精神の方が科目も時間数も多いというのは ちょっと変だなと。それが今度は逆になりましたらまた変な関係になって、同格の資格と いうことであれば、同じ時間数でやるのが普通なので、精神の科目も少し詰めて、こうい うふうにざっくりした大きな従来の比較的各大学が受け入れやすい形で科目をしたのです が、社会福祉士と同じように少しシラバス的に詰めて議論をしてやったらどうかという気 もいたします。  きょうのところでは時間が余りありませんので、御意見がありましたらいただきまして、 もし必要でありましたら、次回以降、ここで一般的な議論をするのではなくて、現場の 方々を含めた勉強会を開いていただいて、精神保健福祉士の専門科目でどんなものが必要 なのかということを少し議論いただいて、たたき台みたいなものを勉強会で用意していた だいて、それを次回以降に出していただくと大変ありがたいのですが、そういう取り組み をしてよろしいでしょうか。もしそうであれば深まると思いますので。  それから、これは事務局だけでも、福祉現場の、特に精神保健の新しい時代状況ででき てから10年たっていますので、その後の変化もございますので、課長のもとに勉強会を設 けていただいて、そこでたたき台をこの委員会に出していただく。そうすると、少し議論 が深まると思いますので、その方向でお願いしたいと思います。 ○石川構成員 今の関連ですが、第1回目のときに、作業日程なる表が出ていたのですが、 今回、社会福祉士のカリキュラムの改正に合わせて、まずは共通のところだけは第1段階 を整理しましょうと。そして、次の段階に入っていくというときに、例えばワーキンググ ループをつくって検討していくということや、今後のこの検討会の方向とか役割とか、第 1回目の理解はしているつもりですが、今回、資料4を見ますと、先がなくなってしまう のかという不安に駆られたのですけれど、そういうことはないのでしょうか。 ○加藤障害保健専門官 資料4は、あくまでも今回までの議論を含めた共通科目の整理と いう形で出させていただいております。当初、ワーキンググループをつくって検討という ことも前回の検討会で申し上げましたが、第3回目以降、具体的な教育内容ですとか時間 数、あるいは実習のこと等、こういった具体的な内容は詰める際にワーキンググループを 開催するという位置づけにしたいと思っております。 ○京極座長 資料4のスケジュール表はあくまでも共通科目のスケジュール表ということ で、きょう3月13日に本検討会で基本的には了解をいただいたということで、まだいろい ろ御意見がおありだと思いますが、それは事務局の方に出していただきまして、私の方で 事務局と御相談の上、もし修正が必要な場合は修正するということにしたいと思いますの で、きょうのところは社会福祉士との共通科目については基本的な御了解をいただいたと いうことで進めさせていただきたいと思います。  その上で、専門科目の検討はなかなか大変な議論が要りますので、福祉系大学において も精神保健の分野はそれほどたくさん教員もいませんし、充足させるのも大変なものです から、このあるべき論と現実の大学で対応できる分とはギャップがかなりありますので、 ちょっとした議論が必要ではないかと思います。  先ほど申し上げましたように、次回の第3回以降の議論につきましては、ワーキンググ ループ的な勉強会を設けていただいて、その結論を出していただくと。そして、この検討 会のメンバーの方も若干名入っていただいて、厚労省の方と現場の方が一緒になって検討 していただければ、深まった議論ができるのではないかと思いますので、よろしくお願い したいと思います。 ○加藤障害保健専門官 それでは、ただいま座長の方から御提案いただきましたように、 勉強会を開催し、第3回以降の検討のための資料とさせていただきたいと思っております。 つきましては、勉強会の進め方等につきましては、事務局及び座長の方で一定の整理をさ せていただき、皆様方に諮るという形で進めさせていただきたいと思いますので、よろし くお願いいたします。そして、その勉強会の議論を踏まえまして、第3回以降につきまし ては検討を進めさせていただきたいと考えております。 ○京極座長 最後に、事務局の方から、次回以降の検討会の日程について御説明いただき たいと思います。 ○加藤障害保健専門官 本日御議論いただきました社会福祉士との共通科目の整理につき ましては、先ほど座長が申し上げましたように、御了解いただきたいということで、パブ リックコメントに掲載して、これから御意見をいただくという手続等を進めていきたいと 思っております。  それから、次回の検討会の日程でございますが、事務局におきまして皆様に調整させて いただきまして、決まり次第また御連絡いたしたいと思いますので、よろしくお願いいた します。以上でございます。 ○京極座長 それから、きょうは大変貴重な御議論を短時間にいただきましたが、議事録 の方は齟齬のないようにしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、きょうは時間が早目ですが、前回かなり議論をいたしましたし、この間にも、 検討会こそ開かれてはおりませんけれど、個別にも事務局の方で各委員にお話を伺って、 それを踏まえておりますので、実質的には委員会はないけれども議論が水面下でいろいろ あって、その成果がここに集まっていると思いますので、比較的早く議論も終わったとい う感じもいたしております。  それでは、これをもちまして第2回の検討会を閉会いたします。どうもありがとうござ いました。                                    −了−  照会先:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 精神・障害保健課障害保健係 03-5253-1111(内線3065)