08/03/12 薬事・食品衛生審議会血液事業部会 平成20年3月12日議事録 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年3月12日(水) 15:00〜   霞が関東京會舘「シルバースタールーム」 2.出席委員(14名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、○大 石 了 三、 大 平 勝 美、    岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、 高 橋 孝 喜、 高 松 純 樹、    中 村 雅 美、 花 井 十 伍、 平 澤 博 之、 三 村 優美子、    山 口 一 成、 吉 澤 浩 司    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人5名   欠席委員(8名)五十音順    朝 倉 正 博、 白 幡   聡、 比 留 間  潔、 幕 内 雅 敏、    三 谷 絹 子、 宮 崎 久 義、 宮 村 達 男、 山 口 照 英     3.行政機関出席者   新 村 和 哉(血液対策課長)、   植 村 展 生(血液対策企画官)、他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○血液対策企画官 吉澤委員は間もなくお越しいただけるかと思います。中村委員から は少し遅れるという連絡をいただきました。定刻になりましたので、ただ今から「平成 19年度第2回血液事業部会」を開催いたします。本日の会議は公開で行うこととなって おりますので、よろしくお願いいたします。  本日は、朝倉委員、白幡委員、比留間委員、幕内委員、三谷委員、宮崎委員、宮村委 員、山口(照)委員から御欠席の御連絡をいただいております。委員22名中12名の御出 席をいただいておりますので、定足数に達しております。薬事・食品衛生審議会令第9 条により、本部会が成立しましたことを御報告申し上げます。  また、本日は、参考人といたしまして、財団法人血液製剤調査機構専務理事の高野正 義さんに御出席いただいております。さらに、血液事業の担い手として、日本赤十字社 血液事業本部の総括経営会議委員の田所憲治さん、血液事業副本部長の沼田芳彰さん、 同副本部長の俵国芳さん、同副本部長の日野学さんの4名にお越しいただいております ので、よろしくお願いいたします。  議事に入らせていただく前に、本日の部会の開催に当たり、本日御出席いただきまし た血液事業部会委員の先生方には、昨年4月23日の薬事分科会申合せ事項に基づく審 議、議決への参加につきまして、事前の確認をさせていただきました。本日の議題2「平 成 20年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について」に関して、日本赤十字社のこ の計画(案)の認可に関して利益相反の確認を行いましたところ、退室委員はなし、議決 には参加しない委員は高松委員ということで御連絡をいただいておりますので、そのよ うなことで進行させていただければと思います。  この後の進行につきましては、池田部会長によろしくお願いいたします。 ○池田部会長 委員の先生方には、年度末のお忙しいところお集まりいただきまして、 本当にありがとうございます。今日は、平成20年度の幾つかの計画に関して、先生方に 審議をお願いすると同時に、「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るため の基本的な方針の改正」という非常に重要な案件がありますので、要領よく会を進めて いって、先生方の活発な御意見をお伺いしたいと思っております。初めに、事務局から 資料の確認をお願いします。 ○血液対策企画官 お手元の資料です。まず、座席表、本日の議事次第、血液事業部会 の委員名簿を用意しております。  資料1は、平成20年度の献血の推進に関する計画、いわゆる献血推進計画の案につい て、内容としては諮問書、計画案、計画案に関するパブリックコメント、意見の募集結 果と各意見に対する考え方。  資料2は、「平成20年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について」というこ とで、諮問書、受入計画の案。それから、参考として「平成19年度献血受入計画におけ る取組状況と平成20年度献血受入計画の策定について」という文書を日本赤十字社から いただいております。その文書が別とじで、少し厚い資料が付いております。  資料3は、平成20年度の血液製剤の安定供給に関する計画、いわゆる需給計画の案に ついて、内容としては諮問書、需給計画の案、原料血漿の標準価格の考え方。その後ろ に、参考として各種統計資料などを付けております。  資料4は、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針、 いわゆる基本方針の改正案について、内容としては諮問書、改正案、改正案に関するパ ブリックコメント、意見の募集結果と各意見に対する考え方。それから、「血液製剤使 用量(需要量)の将来予測の試み」ということで、後ほど高野参考人から研究班の概要を 御紹介いただくもの、その後ろに、参考資料として法律の抜粋、現行の基本方針を付け ております。  資料5は、報告事項ですが、平成20年2月27日に運営委員会・安全技術調査会合同 委員会で議論がありました、不活化技術など、ウイルスの除去・不活化に関しての全体 状況と、その不活化技術の検討状況の資料。  資料6は、平成20年1月23日の運営委員会での配付資料ですが、特別立法措置によ る救済法での、特定のフィブリノゲン・第IX因子製剤によるC型肝炎被害者救済のため の法律のリーフレットとQ&A。  資料7は、その給付金の請求事務などについての総合機構の公表資料。  資料8は、フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査の、平成20年2月29日時 点の報告結果の資料です。  もし資料に不足などがありましたら、事務局の方へお申し付けいただければと思いま す。 ○池田部会長 委員の先生方、不足している資料はありませんか。もしあれば、事務局 の方にお知らせいただきたいと思います。  それでは、議事に入ります。まず、議題1は「平成20年度の献血の推進に関する計画 (案)」です。これは、血液法の規定によって、この計画の策定に当たっては、厚生労働 大臣の諮問を受けて、当部会で審議し、答申することとなっております。  先生方はよく御存じでしょうけれども、委員の先生方には、昨年の12月のこの部会で、 この献血の推進に関する計画について御議論をいただいて、いろいろ御意見を賜りまし た。その後パブリックコメントの募集が行われて、意見が提出されております。それら を参考にして、事務局の方で修正案を用意しておりますので、本日、改めて、この場で 先生方の意見を伺って、部会としての意見をまとめて、答申したいと思っております。  それでは、事務局から、資料1について説明をしていただけますか。 ○事務局 資料1について説明します。「平成20年度の献血の推進に関する計画(案) について」です。この案については、昨年の12月に一度、御議論いただいて、各委員の 先生方から御意見をいただきましたので、主な修正点について説明します。  資料1の5ページの(1)「効果的な普及啓発、献血者募集等の推進」の黒ポツの三番目、 「子が幼少期にある親子に対し、血液の大切さや助け合いの心について」の後に、「幼 児向けの本・児童書」を加えました。  6ページの(2)「献血運動推進全国大会の開催等」の3行目、「7月に献血運動推進全 国大会を開催し」の後に、「その広報に努める」という文言を付け加えました。  7ページの2「献血者が安心して献血できる環境の整備」の黒ポツの二番目、「また、 採血事業者は」の後に、「国の適切な関与の下で」という文言を加えました。  8ページの4「献血推進施策の進ちょく状況等に関する確認と評価」の黒ポツの一番 目、「国、都道府県及び市町村は、献血推進のための施策の」の後に、「短期的又は長 期的な効果及び」という文言を加えました。以上が主な修正点です。  9ページ〜13ページにかけては、パブリックコメントによって寄せられた意見です。 これについては、今後の献血推進の取組を検討する際の参考とさせていただきたいと思 います。貴重な御意見をありがとうございました。以上です。 ○池田部会長 先生方は御記憶だと思いますが、12月に討論をいただいたことを踏まえ て、そしてパブリックコメントを基に、ただ今の説明にあったような多少の修正を加え て、案ということで先生方に御議論をお願いしたいということですが、御質問、御意見 はありますか。いくつか文言を挿入したところ、あるいは直したところ等は今説明があ りましたが、そのほかにお気付きの点はありますか。献血を推進するということで、こ れについては、前回の部会でもかなり御議論をいただいて、このようにしたらいいとい うことで御意見をいただいたかと思いますが、いかがでしょうか。改めて御意見はあり ますか。  献血推進施策の進ちょく状況等に関する確認とその評価ということは、この部会でも いつも話題になっているというか、非常に重要な、計画をしたけれども、それはどうい う効果を生んだのかというところを、きちんと分かるようにしたいということがあった と思いますが、その辺も入れたということです。何かありますか。 ○高橋委員 いつもこの計画を見ていて不十分だなと感じていた点は、実際に計画どお り行っているかどうか、次の計画を立案するときに、十分それが生かされているかとい うところだったので、今お話になられた点、「短期的又は長期的な効果」の評価という 文言を入れていただいて良かったと思っています。それから、献血推進一般のことで、 私は前から主張していますが、高校生献血だけではなくて、より若年層を中心にした献 血に関する周知徹底といいますか、そういうものが盛り込まれたことも重要だと思いま す。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。献血を推進するということは、国民的な 視点に立つということを考えると、幼少期にあるときから親子でこういう問題を考える ことが記載されたことは、一定の評価ができるのではないかという御意見だったと思い ます。よろしいでしょうか。取り立てて、この場で付け加える、あるいは訂正すること がありませんでしたら、この計画案について議決に移りたいと思いますが、よろしいで しょうか。  それでは、議決に移りたいと思いますが、参考人及び日本赤十字社の方々に関しては、 議決に参加できません。あちらに控えの席を設けてありますので、御移動願いたいと思 います。  平成20年度の献血の推進に関する計画案について、お認めいただいたということでよ ろしいでしょうか。ありがとうございました。これは先生方にお認めいただいたという ことにさせていただきたいと思います。議決が終わりましたので、席にお戻りいただけ ればと思います。  次に、議題2は「平成20年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について」です。 これは、血液法の規定により、厚生労働大臣の認可を受けなければならないことになっ ており、これに当たっては、審議会で審議して答申することになっております。  この計画は、先生方は御存じのように、採血事業者である日本赤十字社から提出され たものでありますので、この場でこの部会の委員の先生方の御意見を伺いたいと思いま す。  それでは、日本赤十字社から説明をお願いできますでしょうか。 ○沼田副本部長 日本赤十字社血液事業本部の沼田でございます。どうぞよろしくお願 いいたします。委員の先生方には、日ごろより血液事業の運営につきまして御指導と御 協力を賜り、この場をお借りいたしまして厚くお礼を申し上げます。平成20年度の献血 の受入れに関する計画について御説明させていただく前に、本部会における委員の先生 方の御意見、御指摘を踏まえ、参考資料として本年度4月〜12月までの献血受入計画の 実施状況を提出しておりますので、現在までの進ちょくについて御報告させていただき ます。  「平成19年度献血受入計画における取組状況と平成20年度献血受入計画の策定につ いて」を御覧ください。初めに、血液確保量と血液使用量との分析結果ですが、別紙1-1 「各都道府県別血液確保量等一覧」を御覧ください。表の一番下の左側ですが、平成19 年4月〜12月における献血受入計画量は144.5万Lで、献血量は142.6万Lであり、計 画達成率は98.6%でした。献血量が受入計画量を下回っておりますが、これは各血液セ ンターが、献血受入計画を基本にしながらも、医療機関からの受注状況と血液の在庫状 況を勘案し、それぞれの地域において需要に応じた採血を行った結果であり、全国的に は安定供給が確保されております。  一方、献血量142.6万Lに対し、血液使用量である輸血用血液の供給量及び原料血漿 量は135.2万Lとなっており、献血量に対して5.2%の7.3万Lが未使用量となってお ります。これら未使用の量は、検査不合格と期限切れです。また、佐賀県と和歌山県の 血液使用量が少なく計上されているのは、福岡県、大阪府と一体的に事業を実施してい るためです。また、右側にある未使用欄にマイナス表示されている血液センターがあり ますが、これは昨年度からの繰越在庫や需給調整による血液の受入れ等のためです。  資料1ページに戻っていただきまして、3「血液製剤の安定供給等に係る取組」につ いて御説明いたします。2ページの(1)血液事業本部の取組についてですが、血液事業 本部に献血者確保や血液製剤の供給等について審議する「血液事業推進委員会」を設置 し、この委員会の下に「安定供給促進小委員会」(毎週金曜日開催)を設置して、安定供 給を確保するための対応策の検討を行い、各血液センターへの指示を毎週行っておりま す。  (2)各血液センターの取組についてですが、各血液センターにおいても、「需給計画 委員会」を毎週開催しており、採血・製造・供給の予測に基づく在庫シミュレーション を行い、必要に応じて基本となる献血受入計画に調整を加え、翌月・翌々月の中期的需 給計画を策定しております。  (3)在庫量の情報管理と危機管理対応についてですが、別紙2-1、2-2を御覧ください。 別紙2-1は、3月7日(金)午前6時の全国血液センターの赤血球製剤の在庫状況です。 右下の全国血液型別を見ると、合計で126%の安定した在庫量を確保していることがお 分かりいただけると思います。別紙2-2は、基幹センターブロックごとの在庫状況です。 福岡ブロックを除いて、110%以上の在庫を保有しております。このように、血液事業本 部においては、毎日、午前6時現在の血液センターの赤血球製剤の在庫を把握し、常に 全国の需給状況を確認するとともに、毎日、在庫状況を厚生労働省へ報告しております。 また、各血液センターにおいても、各都道府県へ同様に毎日、情報を提供しているとこ ろです。  以上、説明しましたように、献血受入計画を数字の上では達成できておりませんが、 献血受入計画をベースとしながら、血液需要に応じた需給管理を行い、安定供給が図ら れているところです。  別紙3は、複数回献血クラブのホームページのコピーです。複数回献血クラブについ ては、後ほど説明いたします。別紙4は、平成16年度〜平成20年度の輸血用血液製剤 の供給動向と供給見込みのグラフです。別紙5は、平成17年度〜平成18年度の赤血球 製剤の毎週金曜日の在庫のグラフです。  資料3ページの5「平成19年度献血受入計画の進ちょく状況」について御報告いたし ます。国の献血推進計画と連携して、血液事業本部が血液センターに示した重点対策項 目は、(1)若年層を対象とした対策、(2)企業・団体における献血の推進対策、(3)複 数回献血者確保対策、(4)目標量を確保するための全般的な対策の四点です。  (1)若年層を対象とした対策としては、小・中・高校生を対象とした血液センター等 の見学受入れを実施し、本年度上半期の実績として、実施回数279回、参加人数15,299 人となっております。また、大学生を中心とした若年層には献血セミナー等を開催し、 上半期の実績として、実施回数195回、参加人数9,631人となっております。  (2)企業・団体における献血の推進対策については、新規協力企業及び団体の開拓や、 ロゴマークの活用を図りました。ロゴマークに関しては、今年度は取得促進のための専 用ウェブサイトの構築やポスター製作などを行い、平成19年度上半期のロゴマーク配布 数は841件であり、平成19年2月の配布開始以来、合計で2,000件以上を配布したこと になっております。  4ページの(3)複数回献血者確保対策ですが、複数回献血クラブ会員数は89,400人で あり、献血実人数に占める複数回献血者の割合は29%となっております。複数回献血ク ラブでは、インターネットを活用したシステムを運用していることから、現在、献血者 に郵便で送付している検査サービスの内容を、インターネットで見ることができる機能 の追加や、献血運動推進全国大会での輸血を受けられた患者様の体験発表等を、動画で 見ることができるようにすることを、来年度早々に予定しております。また、その他、 各クラブが独自の取組として、クラブ会員向けの情報誌の発行や、献血に関する各種講 演会の実施、クラブ会員に対する健康相談や栄養相談等を開催しており、クラブ会員並 びに複数回献血の増加に努めているところです。  例えば東京都センターでは、AEDの講習会を実施し、申込者が予定人数を大幅に上 回ったため、抽選になるほど好評でした。このため、3月中に再度、AEDの講習会を 実施する予定としています。また、北海道センターでは、輸血を受けられた患者様の御 家族の方を招いて講演会を開催しました。これは、テレビ新広島で取り上げて放送した 「アンパンマンのエキス」というものがあります。この「アンパンマンのエキス」を書 かれた、きよみ様というお母さんをお招きして、その体験を複数回献血クラブで披露し たものです。  (4)目標量を確保するための全般的な対策(広報活動への取組)についてですが、現在 キャンペーン展開中の「いっしょに献血キャンペーン」については、先日、3月2日に オープニングイベントを実施したところです。このほか、昨年に引き続き「命と献血俳 句コンテスト」を実施し、小学生から大人まで、約35万句の作品の応募があり、厚生労 働大臣賞、文部科学大臣賞を始めとした各賞をお贈りしたところです。  6「平成20年度献血受入計画の策定」については資料2で御説明いたします。平成 20年度献血受入計画については、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」 の第11条と、同施行規則第4条にのっとり、基本方針及び献血推進計画に基づき作成し ました。また、国が作成した献血推進計画と記載内容の連携を図ることに留意して作成 しました。なお、この献血受入計画は、法律にもありますように、あらかじめ各血液セ ンターが都道府県の意見を聞き、それを集約したものです。また、これから説明する献 血受入計画の核となるものは、血液事業本部から各血液センターへ指示し、それをもっ て各都道府県と各血液センターが協議したものです。  1.「当該年度に献血により受け入れる血液の目標量」についてですが、各都道府県に おける過去3年の輸血用血液製剤の需要動向と原料血漿の必要量から、安定供給を確保 するための必要量を算出しました。別紙1の下段ですが、全血献血で約130万L、血小 板成分献血で約31万L、血漿成分献血で約36万Lの合計197万2,003Lの血液を目標 量としております。これを献血者に換算すると、全血献血は200mL献血で45万人、400mL 献血で 303万人の計348万人、血小板成分献血は77万人、血漿成分献血は80万人となり、合 計で約505万人の受入れを予定しております。  2.「前項の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」の(1)献血受入体制で すが、別紙2-1「平成20年度に献血により受け入れる血液の目標量を確保するための各 採血所ごとの目標量及び稼働数」を御覧ください。この表の一番下の合計に記載のとお り、血液センターの稼働日数は延べ9,127日、献血ルームの稼働日数は延べ37,864日、 移動採血車の稼働台数は延べ52,502台、オープン献血が1,867回であり、総稼働数とし て10万1,360稼働を計画しております。これは、今年度に比べ、455稼働の減少となっ ております。これは、効率的な採血計画を立てるということで減少したものと思われま す。また、400mLの献血推進のために稼働数が減少したと理解しております。  別紙2-2は、平成20年4月1日現在の献血受入施設数等について、及び平成20年度 の献血受入施設整備予定についてです。平成20年4月1日現在の献血受入施設数等につ いては、血液センターは全国で66施設ありますが、そのうち36血液センターで献血を 受け入れることとしております。また、献血ルームは全国で118か所、移動採血車は296 台あります。成分採血を行うための装置については1,908台保有しております。平成20 年度内の献血受入施設の整備予定については、受入体制としては大きな変化はありませ ん。  受入計画の本文に戻りまして、(2)献血者の利便性に配慮し、立地条件等を考慮した採 血所の設置、移動採血車による計画的採血等、効率的な採血を行うための献血受入体制 の整備及び充実を継続的に検討します。(3)献血者が安心して献血できるように職員の教 育訓練の充実強化により献血者の処遇向上、事故防止・安全確保に努めます。また、ア ンケート調査の実施等により献血者の要望を把握し、献血受入体制の充実に努めるとと もに、献血者健康被害救済制度の適正な運用に努めます。(4)献血者の健康管理に資する ため、献血者全員に7項目の生化学検査成績、400mL献血、成分献血者には血球計数検 査成績を引き続きお知らせいたします。また、生活習慣病等の疾病構造が変化する中、 時代に即した検査サービスを目指して検査項目の見直しの検討を実施いたします。これ ら(2)〜(4)については、献血推進計画に対応した記載内容としております。  (2)献血者の確保対策ですが、国が推進する献血構造改革に従って、需給の安定及び 安全性の向上の観点から、若年層及び複数回献血者の増加、安定的な集団献血の増加を 中心として献血者の確保を図ってまいります。また、健康な高年齢層の献血受入れにつ いても積極的に推進します。血液センターでは、血液事業本部の指示による献血者確保 対策を基本としながらも、各都道府県と協議し、それぞれの地域事情を反映した「都道 府県献血推進計画」と連携した献血者確保の取組を計画しております。  献血受入計画については、別紙3として血液センターの取組で主なものを添付しまし たが、各血液センター別の具体的な対策については、最初に御説明した資料の最後に添 付しております。また、各血液センター自らが確保対策項目に数値目標を設定し、具体 的取組の進ちょく状況を評価することとしております。こうした血液センターの取組に ついては、血液事業本部において、各地域の情報を収集し、全国会議等において各地の 取組事例を紹介する機会を設けたり、各地の取組を月間情報として配布したりして、献 血者確保のため、情報共有を図っております。  受入計画の資料に戻っていただきまして、3.「その他献血の受入れに関する重要事項」 です。(1)血液製剤の安全性向上のための対策。「献血カード」の活用を推進し、今後 も献血者本人確認の的確性及び利便性の向上に努めます。また、引き続き、検査目的献 血の防止のため「安全で責任のある献血」の普及に努めます。さらに、問診業務の充実 強化に努め、安全な献血の受入れを図ります。なお、現在、検査目的の献血の防止に特 化したポスターの作製を進めているところです。以下、(2)まれな血液型の血液確保、 (3)血液製剤の在庫管理と不足時の対応、(4)災害時等における危機管理、(5)献血受 入計画の分析と評価については、時間の関係から説明を割愛させていただきます。  以上が平成20年度献血受入計画の概要です。今後とも、国や各都道府県、献血協力団 体、ボランティアの方々の理解と協力をいただき、我が国唯一の採血事業者としての責 任を持って、年間を通じた安定的な献血者の確保と安定供給に努めていく所存でござい ますので、御指導、御協力をよろしくお願いいたします。以上で説明を終わります。 ○池田部会長 細かくお話をしていただいたのですが、この間も少し話が出たと思いま す。文章を読まれるのは、それはそれでも結構なのですが、資料を見ながらエッセンス を話して分かりやすくするというのも、一つの工夫だと思うのです。ですから、文章を 作ってきてそのまま読まれるというよりは、むしろこの資料を説明するという形で報告 していただいた方がいいのかなと思います。確かに、見れば全部追えるのですが、別紙 2-1というと、探しているうちに数字が分からなくなったりすることもありますので、 その辺を是非工夫していただけたらと思います。  実際には、平成19年度の献血の受入計画における取組の状況を詳しく御説明していた だいて、その取組を基に、平成20年度の献血の受入れに関する計画をお示しいただいた ということだと思います。非常に詳しく御説明していただきました。委員の先生方から 御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○中村委員 細かいことで申し訳ないのですが、別添の資料、平成19年度の実績と平成 20年度の受入計画の別紙1-1に、4月〜12月までの累計が出ています。その裏には、平 成18年度の確保状況等が各都道府県別に載っています。平成18年度を拝見すると、ほ とんどの都道府県はマイナスです。大体の予測で結構ですが、4月〜12月の実績ではプ ラスのところがあるのですけれども、平成19年度も不足気味ということになるわけです か。そういう予測でしょうか。 ○沼田副本部長 赤血球については、供給量が伸びております。ただ、現在、適正在庫 を下回ってはおりませんので、適正在庫という観点からは、不足はしていないというこ とが言えます。 ○中村委員 各都道府県の積上方式、数字を合わせていろいろフィードバックされては いるのですが、各都道府県ごとにかなり過不足があって、過剰な県、100%を超えている からもういいや、という県もなきにしもあらずと思うのです。ブロックごとも含めて、 かなり融通はされているのですよね。 ○沼田副本部長 日々需給調整を行っておりますので、不足しているところへは余って いる県から出すということでやっております。 ○中村委員 確保量という先ほどの計画ですが、各都道府県ごとに、100%を超えたから もういいや、ということはないのですか。要するに、都道府県によって確保量の目標が あるので、うちは100%を超えているからいいやと。余力があれば、どんどんやればい いと思うのです。献血を受け入れればいいと思うのですが、そこのところはどうしても 不足が出てくると思うのです。各都道府県ごとに割り振られると、都道府県によっては かなり苦しいところがあるのではないかと推測するのですが、どうですか。 ○沼田副本部長 都道府県によっては、構造的に、例えば高齢者が多いとか、人口過疎 であるなどということで、やはり確保が難しいところもあります。例えば、東京都内で すと、一つの献血ルームで7万人以上の献血者を確保できる。鳥取県や島根県ですと、 県として年間3万人くらいしか取っておりません。そういうことはあります。 ○中村委員 かなり苦しいですね。 ○沼田副本部長 もう一つ言えることは、平成19年度は12月までの実績ですが、平成 18年度は1年間の量です。御承知のように輸血用血液は有効期限があり、日々変動しま す。ですから、今日100%確保しているからいいやと言っても、明日それが続くという ことは全く言えないわけです。日々又は1週間後どうなるかということを、各センター ごとに検討した結果、1年間の合計として100%を超えていた、又は100%に満たなかっ たという状況が出てくるのです。ですから、御説明しましたように、各血液センター又 は血液事業本部では需給管理委員会を設けて1週間ごとに検討している、その積重ねの 結果が、この1年間の表であると御理解いただきたいと思います。 ○中村委員 今おっしゃったことは了解できるのですが、やり方として、都道府県別に 需給量を決めてやるという方式よりも。例えば、山陰の島根県や鳥取県は高齢者が多い のでかなり苦しい、しかし、東京・大阪・名古屋は若年層が多いから、かなりキャンペ ーンのしがいがあると思うのです。その辺のきめ細かさというのは、現在もやられてい るのでしょうか、これからやろうとしているのでしょうか。 ○沼田副本部長 現在もやっておりますし、今後、九州を例に説明させていただくと、 九州血液センターという検査・製剤をする血液センターを新しく作って、九州地区では 本年4月から、製剤についてもその1か所で、九州全部の製剤をしようと思っておりま す。そこで作った血液製剤を各血液センターに1日2回運んで、安定供給3日分の在庫 を確保しようとしております。そういうことは、今までのように九州の各県が一つの単 位になることよりは、九州全体が一つの単位になるというところで、パイが大きくなり ます。 ○中村委員 パイを大きくしないと、かなり苦しいですよね。 ○沼田副本部長 例えば、先ほどから言っている島根や鳥取ですと、AB型の3日分の 血液の在庫といっても50本とか。そうすると、AB型の患者さんが1人大量に使うと、 すぐ在庫が少なくなってしまう。それを九州全体でやると、AB型でも1,000本とか 2,000本という量になりますので、そういう大きな形でやった方が需給管理、在庫管理 の面では非常に楽になる。ただ、今、各都道府県単位で献血推進計画を作っていただい ておりますので、やはり各都道府県で確保する量はお決めいただいて、それを血液事業 本部で全体を合計して、献血者数を割り出しているという実情があります。 ○中村委員 細かいことで申し訳ないですが、資料2の別紙2-1を拝見すると、オープ ン献血の項目で、稼働数にかなりばらつきがあって、ゼロの都道府県が多い、それはし ょうがないと思います。このトレンドは、東京が多いのはあるのですけれども、これは 事業所が多いような気もするのですが、学校の現場でそういう採血の場は増えているの でしょうか、減り気味なのでしょうか、横ばいなのでしょうか。その辺のことはお分か りですか。 ○沼田副本部長 高等学校の献血については減っております。これは、200mL献血より も今は400mL献血ということで、16歳、17歳の方よりも18歳の方に御協力いただきた いということです。高等学校は今まで16歳、17歳の方を中心にやっておりましたが、 現在は卒業献血などというような名目で、18歳になられた方が多いときに行かせていた だいております。ですから、行く回数としては高校生献血は減っております。  また、大学については、現在、若い人の献血を推進するということで、今まで1年間 に2回だったものを3回など、回数を増やしていただいておりますので、増えておりま す。また、オープン献血については、移動採血車を駐車させる場所がない場合に、企業 等にベッドをお持ちしてやる場合があります。それから、従業員が建物から出てはいけ ないという会社がありますので、そういう場合はやはりベッドをお持ちしてやると。で すから、これは都会に多い献血の方式です。 ○池田部会長 別紙2-1で、総稼働数が約10万くらいあります。先ほど御説明で、450 くらい減ったということでした。この内容は、どこが減ったのですか。 ○沼田副本部長 献血ルームが減りました。これは、今年度、献血ルームを六つくらい 建て替え、移転しましたので、それに伴い、今まであった大きな献血ルームのベッド数 を増やしました。もう一つは、今までやっていた献血ルームをスクラップ・アンド・ビ ルドしまして。 ○池田部会長 そうすると、450減ったというのは、主に献血ルームの再構成のような 形で、数は減ったけれども、実際に献血ルームで採血する量は減らないような工夫をし ている、そういう理解でよろしいのですね。 ○沼田副本部長 はい。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○花井委員 毎年言っていることですが、各センターの取組を本部でどのように評価す るかということで、今回はまさに受入計画の最後の方に各取組、つまり(1)若年献血者確 保対策から(5)その他の具体的対策まで、各センターにおける取組について書いてあるわ けです。一方で、前年度、平成20年度に関しては各センターごとにいろいろな取組があ るわけで、この中からあえてこれをピックアップしたというのは、全国的に同じような スタイルでやって非常に効果がある方法と、そのセンター特有の地域的な問題を、ある 種、整理できたりなどということはあると思うのです。確かに今回は、全部をただ並べ ているだけではなく、ピックアップしてこれに載せられているということで、それなり の評価をされたということだと思うのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。 ○沼田副本部長 はい。 ○花井委員 今後とも、例えば葉書、メール、電話といろいろやられているようですの で、そういう効果とか、どの程度来られたというのを評価して、最も効果的な方法を全 国に広めていくということをやられたらどうかと思います。 ○大平委員 資料2の2.の(1)「献血受入体制」のところでは、(3)で「アンケート調査 の実施等により献血者の要望を把握し」などということも書かれていますが、献血がど のくらい浸透しているかとか、全体的に普及度のようなアンケート調査などに取り組む ことは考えておられないのでしょうか。  もう一点は、受入計画の量の問題でここに出てきているわけですが、献血確保量と献 血者との関係が、人数的な関係、献血者がどのくらい増えているのか、減っているのか とか、年代など、概要として、そこを比較できるような形で出さないと、献血量が増え ています、減っています、安定していますなどと言われても。ここには、献血者という のは出てくるのですが、献血者の数などは反映されていないというところで、そこの関 係をもう少し社会に分かりやすいような形で書かれたら、もう少し献血についての関心 度などが出てくるのではないかと思うのです。この資料自体が余り外には出ていかない かもしれませんが、ここを読み込む場合に、献血者の姿が余り出てこないというのが気 になるところです。その点について、いかがでしょうか。 ○池田部会長 赤十字社の方からお答えはありますか。 ○沼田副本部長 アンケートについては、献血の普及度は、昨年、厚生労働省の方でや られたというお話もありますし、私どもとして、献血者のニーズといいますか、受入体 制としてどのような献血者の御希望があるのかということを、来年度、調査しようとい う計画を立てております。普及度については、今後、検討させていただきたいと思いま す。  もう一つ、献血者数について、書いていなくて分かりづらいという御指摘ですが、申 し訳ございません。受入れに関する計画については量で表しているもので、次回からは 別紙の参考資料の中に200mL献血や400mL献血、それから年齢別の献血者数などを参考 として提出させていただきたいと思います。 ○池田部会長 そうすると状況がより把握できる、それで対策も立てやすいというのが 大平委員のお話だと思うので、よろしくお願いします。そのほかにいかがでしょうか。 ○小幡委員 今の話に私は全く賛成です。いろいろ御努力、工夫をなさっていらっしゃ ると思います。おっしゃるように、まさに日本で唯一の採血事業者ですので、そういう 意味での自助努力をますますしていただきたいと思います。こちらの献血推進計画では、 献血をしてくださる方のために健康管理サービスの充実であるとか、安心して献血でき る環境整備などといった形で大分打ち出していて、採血事業者の方も、それに見合う形 でいろいろサービスをするというお話もありました。まさに今、大平委員もおっしゃっ たことですが、アンケートをしながら、何を求めているかということを把握しながら、 サービスの充実を図っていただきたいと思います。  一点、気になったのは、これはやむを得ないことですが、検査目的防止のためのポス ターを作られるというお話がありました。もちろん安全のために必要であるということ はよく分かりますが、国民の目に触れるポスターになると思いますので、作り方をよく 気を付けていただきたい思います。献血は非常に大事なものであることを分かっていた だきたいということを、いかに幼少期から国民に普及させていくかというところが一番 肝のところです。検査目的防止のポスターというのは、やってはならないというポスタ ーになりますので、その辺が国民全員の目に触れるものですから、表現によく気を付け てやっていただきたいと思います。むしろ本人確認や問診の充実などというところでの 対応が非常に大事だと思いますので、ポスターの方では、目立たなくてもよいと思いま した。  もう一点、都道府県ごとの計画でというのは、行政とリンクする形が必要ですので、 やむを得ないかと思うのですが、まだ道州にはなりませんけれども、今の都道府県の行 政区画については、非常に狭かったり、いろいろな地理的な状況もあります。九州の話 がありましたが、効率性という観点から、いろいろなレベルでの工夫の在り方はあろう かと思いますので、そういう観点から進めていただきたいと思います。 ○池田部会長 非常に重要な点だと思います。今、委員の先生方からは、献血者の立場、 あるいは献血者の気持ちを理解しながら、献血を推進するためのいくつかの考え方、計 画を少し盛り込んでいただきたいということだと思いますので、その辺もよろしくお願 いしたいと思います。そのほかにいかがでしょうか。 ○大石部会長代理 平成19年度の分析のところで、未使用量の説明があったかと思うの ですが、今回、確保量の5.2%ということで、「減少に努めます」と書いてあります。 昨年は4.6%ですが、この5.2%というのは、多いのでしょうか、少ないのでしょうか、 平均的なのでしょうか。適正な未使用量というのは、どのくらいであればほぼ適正と考 えてよいかという、その判断がここにはないと思うのですが。 ○池田部会長 先ほど5.2%は検査落ちと未使用量とおっしゃったので、その内訳も含 めて御説明いただけるといいかと思います。 ○沼田副本部長 量的なものは今データを持っていないのですが、未使用量については 期限切れということで、私どもとしては赤血球製剤については3%を目標にしておりま す。現在、3%よりも若干多い。センターにより非常にばらつきがあって、多いセンタ ーは10%くらいある。少ないセンター、例えば東京都センターなどはほとんど期限切れ はない。これはやはりパイが大きいですから、東京都センターですと回していける。小 さな血液センターですと、A、O、B、AB、必ず20本ずつ持っていなければいけない となると、AB型の患者が全く出ない場合は、AB型の血液はどうしても期限切れにな るということがあります。また、Rhマイナスについても、Rhマイナスの患者が出な い場合は、どうしても期限切れになるということがありますので、赤血球製剤について は3%を目標にしております。  それが多いか、少ないかということですが、世界と比べてみると、血小板製剤などは、 アメリカですと10%以上の期限切れが出ておりますので、日本は世界に比べても期限切 れは非常に少なく、有効に活用できていると思っております。 ○池田部会長 10%くらいのところなど、凸凹があると。あってもおかしくはないと思 うのですが、その凸凹をなるべく少なくするためには、先ほど来、中村委員がおっしゃ っている、県別ということよりも、やはり調整をしながら何とかしていくということに 尽きるのではないかと思います。そういう方向に行って、なるべく凸凹がないようにと いう格好にしていただけるといいかと思います。 ○沼田副本部長 今、検査・製剤の集約化をやっており、検査については今年の夏まで に全国で10か所になる予定になっております。製剤についても、なるべく早い時期に 20か所程度にしたいと思っております。それが終わった段階で、採血と供給の広域化と いうことが、必ず必要になってくるのではないか。先ほどから御指摘いただいておりま すように、血液製剤の有効利用という観点からも、供給の広域化に取り組んでまいりた いと思っております。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。もし特段追加の御意見がないようでした ら、ただ今の質疑応答も含めて、先生方からいただいた御意見を参考にしながら、多少 修正をしていただくことも含めて、議決に移りたいと思います。高松委員、参考人及び 日本赤十字社の方々は、議決に参加できませんので、控えの席に御移動願いたいと思い ます。  それでは、議決に入りたいと思います。ただ今先生方からいただいた御意見も参考に して、若干の内容の修正も踏まえて、平成20年度の献血の受入計画について、お認めい ただけますでしょうか。ありがとうございました。事務局の方で、部会の意見を踏まえ て、本計画の認可の手続を進めていただきたいと思います。日本赤十字社の方々には、 是非、この受入計画に基づいて献血の受入れの円滑な実施にお努めいただきたいと思い ます。議題2はこれで終わりたいと思います。席にお戻りいただけますでしょうか。  次に、議題3「平成20年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について」です。 これについては、血液法の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて策定する というものです。委員の皆様には、昨年の12月のこの部会において、本計画案について 御議論をいただき、原料血漿の確保目標量と需要の見込み、製造目標量などについては、 事務局案を暫定的に了承していただいたと考えています。今回は、原料血漿の配分価格 も含めて最終的に部会で審議をいただきまして、答申をしたいと思っています。まずは、 事務局から説明をお願いします。 ○事務局 議題3の「平成20年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について」、 いわゆる需給計画案について説明します。平成20年度の需給計画案に関しては、血液法 第25条第5項により、本日の部会で御審議いただくものです。昨年12月の血液事業部 会において、原料血漿の確保目標量と日本赤十字社から国内事業者への原料血漿の配分 量について御検討いただいていますが、今回は原料血漿の標準価格を加えた案となって います。  資料3の1ページが諮問書、2ページ〜7ページが需給計画案の本体です。なお、3 ページにありますように、平成20年度に確保されるべき原料血漿の量の目標について は、昨年12月の部会で御了承いただいた100万Lとしています。5ページ〜7ページま での別表第1〜別表第3については、昨年12月以降、企業側の製造計画等に見直しがあ った関係で、需要見込量や製造・輸入目標量に若干の変更がありましたが、医療需要に 対しては安定的に供給されるよう算出しています。  それでは、「平成20年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方」について、9ペ ージを御覧ください。標準価格の算定の基本的な考え方は、各採血方法別の確保量以外 は昨年度までの考え方と基本的には同様です。まず、血漿成分採血については、昨年度 までと同様に、献血全般に共通する事項とサービスに係る経費は除いて、必要経費を積 算しています。また、全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造 が主たる目的であることから、原料血漿の確保に係る費用としては一部に限定して積算 しています。  積算は、これまでの年度と同様に、まず、凝固因子製剤用の原料血漿について経費の 積算を行っています。配分量は、確保目標量の合計を100万Lとし、原料血漿の確保か ら供給までに必要な経費を積み上げ、1L当たりの単価を算出しています。算定の根拠 については、日本赤十字社から提出されたデータに基づき、直近の実績である平成17 年度及び平成18年度の平均を使用しています。  積算する費用の内訳については、10ページの表を御覧ください。費用については、採 血から原料血漿を製造・保管するまでに必要な材料費、人件費、経費及び日赤の管理セ ンター等への原料血漿の輸送・貯留保管経費である管理供給・調査研究費で構成されて います。積算する費用は、全血採血と血小板成分採血については、材料費としてシング ルバック代相当分と製品表示ラベル代、人件費として原料血漿の凍結・一時保管費に係 る製剤職員費。経費として、凍結・保管に係る経費に加えて、全血採血においては白血 球除去の導入に伴い生じた経費を一部加算しています。管理供給・調査研究費について は、従来どおりの経費を積算しています。  血漿成分採血についても従来どおりで、材料費は全額、人件費は原料血漿の凍結・一 時保管費に係る製剤職員費及び医師、看護師、検査職員、事務職員の必要経費、経費は 凍結・保管費、成分献血登録者に対する依頼経費、処遇費の一部、検査機器等の保守関 連経費等、そして管理センター及び分画センターの運営費としての管理供給・調査研究 費を積算しています。  なお、採血方法別の原料血漿の配分量については、昨年度までは直近の過去2年間の 各採血方法別の確保量の平均を用いまして、各採血方法別の確保量の割合としていまし たが、13ページを御覧いただくと、今回、日本赤十字社から、事業計画に基づく原料血 漿の採血方法別確保目標量についての資料が提出され、平成20年度の採血計画が示され ましたので、この日本赤十字社が策定した平成20年度の事業計画案に基づいて積算して います。以上の内容を一覧表にしたものが11ページです。  今申し上げた方法によりまして、積算された1L当たりの単価(1)に、それぞれ採血別 に原料血漿確保見込量(2)を掛けまして、採血別の確保費用を算出します。その総額(3)を 100万Lで除し、消費税を掛け、1L当たりの原料血漿標準価格13,010円を算出してい ます。この結果、凝固因子製剤用については、平成19年度単価の13,020円より10円減 となっています。  その他の原料血漿については、12ページにありますように、昨年までと同様ですが、 凝固因子製剤用の価格改定率を用いて、それぞれ比例計算で算出しています。その結果 として、その他の分画製剤用が平成19年度単価と同額の11,870円。ペーストについて は、II+IIIが30円減の50,060円、IV-1が10円減の15,050円、IV-4が10円減の15,750 円となっています。  なお、14ページは平成20年度需要見込関連表です。また、15ページ〜21ページは、 各種統計関係の資料となっていますので、参考までに御覧いただければと思っています。 説明は以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今、平成20年度の血液製剤の安定供給に 関する計画(案)について、特に原料血漿の標準価格の考え方も含めて御説明いただきま した。委員の先生方からの御意見あるいは御質問を受けたいと思いますが、いかがでし ょうか。 ○高橋委員 これは、前から随分不透明だという批判もあったし、私自身も感じている ところですが、今回の計算式、それから実際の計算ということで、随分明確になったの ではないかと感じています。理屈は9ページの(4)の計算式のところで、それぞれの方 法論の単価と量を掛け合わせたものを合算して割り算した後、消費税ということで1.05 を掛ける、それでリットル当たりの単価が出るということで、理屈は単純ですけれども、 計算は大変だったと思いますが、非常にすっきりしたのではないかと思います。毎年の 計画見直しに伴ってこういう計算をし直していけば、従来、血液事業にかかわる費用が 不透明であるという批判があったかと思いますが、それは相当解消するのではないかと 思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかに、委員の先生方いかがでしょうか。 ○大平委員 積算費用の中で人件費というのは、医師を含めて事務職員までいるのです が、人数的にはどのくらいの職員が当たっておられるのか。細かくは要求しませんが、 おおよそこのくらいの人たちが職員として従事している、ということが見えてもいいの ではないかと思います。普通、いろいろ計算する中では、人件費として人数が大体この くらいいてという、こういうものを少しずつ提示していただければと思います。 ○池田部会長 いかがでしょうか。積算する費用として経費、材料費、人件費等々、細 かくある程度原則を決めて積上方式でということで、それはそれでいいと思います。し かし、大平委員が言われたように、人件費といっても、ほかの製剤を作るのにも同じよ うに、この方たちは使っている人件費だと思いますが、その辺は、凝固因子製剤だけで どのくらい人件費を見積もるかは、なかなか難しいところだとは思いますけれども、い かがでしょうか。何か御意見はありますか。事務局から何かありますか。 ○事務局 人数というより、人件費総額から製造本数と所要時間を出して細かく計算し ているのが実態です。人数は今は把握できていませんが、全体の人件費の中から必要な 作業時間を出して単価を出してという、細かいことをやっています。 ○池田部会長 すべての人件費の中から、これにかかわる時間を想定して、その人件費 を当てているということですね。 ○事務局 そういう形で計算しています。 ○池田部会長 ちなみに、積算する費用の中で、今回はこれでいいと思いますが、今後 どういうところを効率化すると費用が安くなって、少し安価に患者の手元に届くように なるかというのは、その効率化も含めると、どの辺が削れる可能性があるのでしょうか。 もうぎりぎりですか。聞きづらいことをお聞きして申し訳ないですが。田所先生、何か 御意見はありますか。 ○田所総括経営会議委員 どうやって安くするかというお話ですが、もともとそれほど 高いものかということが一点あります。どのようにこれを評価するかということがあり ます。というのは、ある意味で率直に言うと、外国の売血の原料血漿との比較の中で、 どのように価格を設定するかという考え方も政策的にはあるはずですから、それとの関 連で考える必要が一つはあるだろうという視点と、今見ていただいたように、成分採血 のものをほとんど費用として見ているわけですから、全部が全血で採血できれば可能な わけですが、全血の使用量と原料血漿とのバランスの問題がありまして、全血で採って 赤血球を捨てるわけにもいかないところがあります。その辺は考えていかなければいけ ませんが、将来はもう少し血小板から採ることを考えてもいいかもしれません。 ○平澤委員 先ほど大平委員がおっしゃったことは、私も全くそうだと思います。例え ば、私どもは、外保連というものがあって、手術の点数を上げてもらうために、何年生 の人がこの手術には何時間やって、助手は何人いて何時間やって、費用に関しては糸を 何本使うというようなことまで出すことを要求されて、その詳しいことを非常に苦労し て出して、やっと認めてもらっています。それを経費についても人件費についても行っ ていらっしゃるとおっしゃるのであれば、先ほど池田部会長がおっしゃったように説明 全般が少し不親切だと思います。文章でだらだらと言われても、フォローするのはなか なか難しいですし、せっかくやっていらっしゃるのであれば、厚くなるかもしれません が、それを資料として出していただいた方が説得力がありますし、聞いている方は納得 できると思います。  それから、先ほどおっしゃった中でそうなのかなと思いましたのは、外国の売血をし ている価格も参考にしているとおっしゃったように聞こえましたが、こちらは献血なわ けです。いろいろなことがあってそうおっしゃるのかもしれませんが、一概にそれも根 拠にしていると言われても、私は周りの事情を分かっていないのかもしれませんが、何 なのだろうなという気がしましたので発言しておきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。この基本的な 問題については、昨年の12月に御議論いただいて、需給量、確保目標量、需要の見込み 等を御了承いただきました。今日は特に価格の問題で御議論いただいて、高橋委員から は、今までいろいろあったのが、ここまで根拠がある程度示されるようになったという ことで、一定の評価をいただいた。ただ、もう少し知りたいところもあるという御意見 があることも是非念頭に入れていただければと思います。特別に何か議題3について追 加の御意見はありますか。よろしいですか。もしなければ、この議題についても議決に 移りたいと思います。参考人及び日本赤十字社の方々に関しては、議決に参加できませ んので、控えの席に御移動いただきたいと思います。  それでは、平成20年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について、御承認いた だけますか。よろしいですか。ありがとうございました。今後、「平成20年度の血液製 剤の安定供給に関する計画」を告示するに当たりまして、厚生労働省で、法令的な観点 から形式的な修正がもしありました場合には、部会長に一任していただきたいと思いま す。議題3はこれで終了したいと思います。席にお戻りください。  議題4に移ります。議題4は「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るた めの基本的な方針の改正(案)について」ということで、非常に重要な議題です。委員の 皆様には、昨年の12月の部会において、基本方針の改正案について非常に熱心な御議論 をいただきました。その後、委員からの御意見が事務局に寄せられ、また、パブリック コメントの募集が行われまして、意見が提出されております。これらを参考に、事務局 で修正案を用意しました。これについて、非常に重要な議題だと認識をしますので、是 非、先生方から活発な御意見をいただきたいと思います。それでは、事務局から説明を お願いします。 ○血液対策企画官 資料4を御覧ください。17ページ以降にパブリックコメント、32 ページ以降に現行の案。平成15年7月30日に施行しまして、その後、平成16年、平成 17年に一部の修正を加えていますが、そういった現行の案も付けていますので、適宜御 参考にしていただければと思います。  資料4をおめくりいただきまして、具体的には4ページ以降が改正案の内容です。既 に12月27日に部会で御議論をいただき、その部会の場で御意見をいただいた点、その 後、委員の先生方から事務局にお寄せいただいた意見、また、パブリックコメントを実 施し、それで修正など、あるいは委員の先生方から追加の意見などもいただきまして、 それらの内容を反映した今日の改正案の資料となっています。4ページ以降は、12月27 日の部会以降の記載の変更箇所についてはアンダーラインを付した形にしていますの で、そこに絞って御説明をさせていただければと思います。4ページは、12月から特に 修正はありません。5ページも特に修正はありません。  6ページです。委員の先生からは、特に、適正使用の推進、患者様への必要に応じて ということ、血液製剤が貴重であるものということでの御意見を賜りまして、それを随 所に内容としては盛り込んでいます。まず、6ページの4「公正の確保及び透明性の向 上」において、「適正使用の推進」という文言を補っています。また、血液製剤代替医 薬品、いわゆる遺伝子組換えなどで血液製剤に代替する医薬品についても、「それぞれ の患者への必要に応じて、適切かつ適正に使用されることが求められる」という表現を 付け加えています。三の「国民の理解と参加」というところで、「こうした国民の血液 事業への参加を促すため」という表現を補って、分かりやすい情報の積極的な提供に努 めることが必要であるとしています。6ページの第二の項目は、具体的な平成19年ある いは平成19年度の数字を補いまして記載を整備しています。輸血用血液製剤の平成19 年の合計83万Lあるいは494万人という実績を加えています。  7ページの二の「血漿分画製剤」について、1「原料血漿」のところも平成18年度及 び平成19年度の確保目標量の数字を加えた上で記載を整備しています。また、2「免疫 グロブリン製剤及びアルブミン製剤」についても、平成19年において具体的に96万L 及び157万Lという数字を補い、そのうち国内献血に由来するものが91万L及び98万 Lという数字を書き加えた上で、原料血漿に換算してですが、「平成25年度においてそ れぞれ94万L〜98万L程度及び125万L〜128万L程度であると見込まれ、これらは国 内の製造業者の現在の製造能力約130万Lを超えないものである」と記載を整備してい ます。この130万Lの製造能力などについては、前回の部会で、12月27日にまとめを しています「血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会報告書」の内容を踏まえ た形での、整合を図っての記載になっています。  8ページの上から4〜5行目、「当該製剤の製造及び供給状況を確認していくことが 必要である」。これも前回の部会で、遺伝子組換えアルブミン製剤が今後供給されるこ とについて御意見のあった部分です。第三の項目、国内自給の確保に関して、一の「基 本的な考え方」の中ほどで、これも前回の部会で御議論のありました、「平成25年を目 途に国内自給の達成を目指すものとする。なお、アルブミン製剤(遺伝子組換え製剤を除 く。)の国内自給については、今後の遺伝子組換えアルブミン製剤の供給状況も影響する ことに留意する必要がある」ということです。これは、パブリックコメントをしたとき は、部会での御意見がありまして、遺伝子組換えアルブミン製剤の供給状況に左右され るという表現振りになっていましたが、その後、パブリックコメントの御意見などがあ りましたので、「供給状況も影響することに留意する必要がある」という、部会での御 議論はむしろこういう御意見であったかということで、修正を加えています。  9ページの3「医療関係者等に対する啓発等」で、「血液製剤は貴重なものであるこ とを含め」という表現を、医療関係者における部分についても補っています。また、4 「適正使用の推進」について、グロブリンのところですが、「近年やや増加傾向にあり、 今後とも適切かつ適正な使用の推進が求められる」と、「今後とも」という表現で、状 況の分析とともに記載を改めています。第四の献血の推進のところも、御意見をいただ きました「中長期的な課題として、今後の人口動態を考慮すると、」という表現を補い、 「献血可能人口が減少すると推定されていることから、血液製剤の安定供給には国民一 人一人の一層の協力が不可欠であると考えられる」という表現に改めています。  10ページの上から9行目、「国及び地方公共団体は、あらかじめ災害時の対応を検討 するとともに、災害時における献血が確保され」という表現ですが、もともとは「所要 の措置を講ずる」という表現になっていまして、この所要の措置が、あらかじめの措置 と実際に起こったときの措置を包含する内容であったかとは存じますが、「あらかじめ 災害時の対応を検討するとともに」といった文言を補っています。また、採血事業者の ところも、もともとは「備えることにより」という表現でしたが、「あらかじめ災害時 における献血受入体制を構築し」と、こちらにも「あらかじめ」という言葉を補ってい ます。  11ページの一番下、「なお、国内の献血に由来する原料血漿をいったん海外へ輸出し て外国にある工場で製剤化して日本へ輸入する血液製剤を取り扱うことが特に必要とさ れた場合には国内での安定供給及び国内自給の推進と両立する範囲内において実施する ことについて、課題ごとに具体的な検討が必要である」、これは、12月27日に御議論 をいただき、パブリックコメントの際には末尾が「範囲内において実施すべきである」 という表現でしたが、「実施すべきである」というスタンスよりは、むしろ、検討会の 報告書が「課題ごとに具体的な検討が必要である」という御意見のまとめになっていま すので、ここは検討会のスタンスを踏襲する形に改める。これもパブリックコメントが あったことを含めて、そういった修正にしています。  12ページの四の「血液製剤の製造及び供給の在り方」に関しても、「人の血液に由来 する有限で貴重なものであり、」という表現を補っています。13ページの中ほどですが、 部会で御議論がありました、「医療関係者は、血液製剤の免疫学的副作用の発生にも留 意する必要がある」という表現を付け加えています。14ページ、五の「自己血輸血等の 取扱い」です。ここは、最後のセンテンスとして、もともと12月の文章に「しかしなが ら、院内血輸血を行わざるを得ない場合も想定されるため、国は院内血輸血の実態を踏 まえ、必要な措置を講ずるものとする」という平成15年の表現がそのまま残っていまし たが、平成17年に適正使用のガイドラインの御議論をいただいて、院内血輸血の部分に ついてもガイドラインの御議論がありました。そういったことを踏まえて、この部分は、 文章として平成15年のまま残っているのは不適切であろうということで、削除する案に しています。  15ページの二の「採血基準の見直し」です。これは、7ページにありました内容と平 仄を合わせて「400mL献血」と書いていましたところを、「400mL全血採血等」と表現振 りを修正しています。修正点は以上です。  17ページ以降に、パブリックコメントでいただいた御意見、それに対する考え方をお 示しし、解説した部分、あるいは血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会の中 でそれらが触れられている、あるいは別の献血推進計画の中にその記載があるという考 え方をお示ししているのと、一部、途中で申し上げたような修正に反映したということ で、パブリックコメントの対応についてはまとめています。事務局の説明は以上ですが、 24ページ以降に研究班の部分がありますので、そちらについては別途、説明をお願いで きればと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。続きまして、この基本方針の改正案の6ペー ジの第二「血液製剤についての中期的な需給の見通し」の根拠となる需給の将来予測に ついて、高野参考人から御説明をお願いしたいと思います。高野先生、よろしくお願い します。 ○高野参考人 資料の24ページですが、血液製剤使用量の将来予測を試みましたので、 提出したいと思います。1.に書いていますように、推計方法として、非常に難しいいろ いろな要件があって変動するものではありますが、今回は二つの予測値を出しました。 第1は、平成18年度厚生労働科学研究の「血液製剤需要量の将来予測手法の開発に関す る研究」ということで、将来予測に用いられる手法である「デルファイ方式によるアン ケート調査」を実施して、それを分析したものを使っています。これは、東京医科歯科 大学の河原教授が行ったものです。  第2の推計は、過去の使用量の推移を25ページの表1に出していますが、この使用量 からこれを伸ばしていったらどうなるか、私がこの数字を見て、こういう方向に行くの ではないかという推計の仕方をしました。この推計のスタートは、平成19年の使用量の 確定ではない速報値が出ていますので、それを基にして平成19年をスタートにして、平 成20年〜平成25年の推計をしたわけです。第VIII因子製剤については、デルファイ方式 の調査をやっていませんので、上位推計、下位推計という二つの推計を過去の数字から 引いたものです。  推計結果は2.にありますように、赤血球はわずかに増加、FFPはかなり減少、血小 板は増加。アルブミンは、平成25年で32,100kg〜32,700kgということで、かなり減少 する。この場合の原料血漿の必要量を計算しますと、126万L〜129万Lになります。こ れは年でやっていますが、年度にした場合はどうなるかということも聞かれていました ので、平成25年度はわずかに減少して125万L〜128万Lになります。平成25年度で、 全アルブミン製剤の使用量の20%を遺伝子組換え製剤が占めると仮定しますと、原料血 漿の必要量は100万L〜103万Lになります。免疫グロブリン製剤は、平成25年で 3,410kg〜3,530kgで、現在とほとんど変わりません。この場合の原料血漿の必要量は、 94万L〜98万L、年度にしても同じように94万L〜98万Lになっています。第VIII因子 製剤は、平成25年で3億6,500万〜3億8,200万単位の間で、現在よりかなり増加しま す。もし平成25年度の血漿由来製剤が30%と仮定しますと、血漿由来製剤の使用量は 1億1,000万〜1億1,500万単位になります。  25ページが、過去の推移と平成25年までの将来推計の数字を入れたものです。Aが デルファイアンケート調査からの推計、Bが過去の実績からの推計です。これをグラフ にしたものが26、27ページです。26ページは輸血用製剤、27ページは分画製剤で、ア ルブミン製剤はかなり減少していく、グロブリン製剤はほぼ変わらない、第VIII因子製剤 は上がっていくというものです。実線が過去からの推計、点線がデルファイアンケート 調査からの推計です。  その後が、河原教授がデルファイ方式をやりましたので、その他の研究等を含めまし て、平成18年度の厚生労働科学研究費補助金としての総括研究報告書をコピーしたもの です。平成19年4月に報告したものです。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今の報告を基に、先生方から御意見、御 討論をお願いします。 ○山口(一)委員 教えていただきたいのですが、26ページの図2、図3で凍結血漿、血 小板製剤が平成18年まで下がっていて、その後にまた上昇しています。これは何があっ たのかというのは分かりますか。 ○高野参考人 よく分からないのですが、平成18年が低かったことは事実です。平成 19年の速報値は出ていますので、これは実績数ですから、この数字は間違いないわけで す。上がってきているというのは、いろいろ聞くところによると、患者が増えてきたと いうことを病院の方はよく言いますが、詳しいことは分かりません。 ○高橋委員 山口先生のお話ですが、FFPに関しては割合はっきりした要因があるの ではないかと考えられます。LR製剤の導入に伴ってFFPの容量が実質的に1.5倍に なったわけです。それがなかなか臨床現場で十分に理解されないで、従来と同じような 感覚で5割増しで使っているケースも散見されるので、そういう意味では、一時的に増 えていくけれども、そういうことの整理がつけば従来どおりの減少傾向は続くのではな いかと理解しています。血小板が反転しているのはよく分かりませんが、造血幹細胞移 植、そのほか血液疾患治療のチャンスが非常に多くなっていることが背景要因でありま すし、どうしても血小板自身は減るような状況にはないのではないかと、個人的には思 っています。 ○中村委員 細かいことで申し訳ないですが、14ページの「自己血輸血等の取扱い」の ところで、「しかしながら」以下が削除されています。現行の案では載っているという ことですが、自己血輸血は現実問題、この5年間で減ってはいるのですか。実際に輸血 の現場、医療の現場に即して計画を作らないと、現場の実態とそぐわないようなケース は困るかと思いますが、どうですか。「原則として行うべきではない」ということはう たってあって、これは過去5年間、現行の計画では守られているということですか。だ から、「しかしながら」以下を取ったということになるのでしょうか。 ○高橋委員 ここで言っている院内血輸血は、指定献血といいますか、病院の診療に使 う血液を患者の家族、知人から得るという昔からのことですが、それが自己血輸血と並 んでかなり強調されていたわけです。それは原則として行うべきではないという後に、 しかし、行わなければならない場合も想定されるからうんぬんと書いてあったわけです が、この数年を見ていますと、院内血輸血にこだわる割合は大分少なくなっていますの で、これは削除した方がよかろうと。それから、自己血輸血自身は、少しずつではあり ますが、増加傾向にあると思いますし、諸外国に比べてもなかなか良いレベルで推移し ていると思います。 ○三村委員 6ページの「国民の理解と参加」のところですが、非常に重要な論点であ ると思っています。ただ一つ、一般の患者、国民という観点からいきますと、先ほどの 献血に関する計画は非常に分かりやすいですし、それに対してどういう広報活動をすれ ばいいのかに関しては、ある意味でのイメージも膨らむところがあるわけですが、これ は私自身もそうであったということも含めて、献血と血液製剤が必ずしもきちんと結び 付かないというのが一般の状況ではないかという感じがします。しかし、こういう献血 由来の血液製剤を用いた医療が大変重要であることを前提として、この全体計画が立て られているということでありますので、これに対して「分かりやすい情報の積極的な提 供」という言葉がありますが、これをより細かく具体的にどうしていけばいいかという ことになると、相当知恵を絞らなければいけないのではないかという感じはします。  この文言を更にどうこうということはもちろん難しいということですので、私はこの ままで結構だと思いますが、これをどう具体化していくのか。そうすると、若い人に対 する広報活動と、どちらかというと年齢層の高い方に対する広報活動と、ひょっとした ら過去に少し病気をお持ちの方に対しての情報提供ということで、もう少しここはきめ の細かさが必要になってくるのかなと。しかし、そうしないと、献血をきちんと確保し て計画を推進しないとここにいかないよという、全体像が循環するのが難しいかなとい う感じがしました。広報との関連で、これはいろいろな意味で検討が必要であろうとい うふうに意見として申し上げたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。大変貴重な御意見をいただきました。確かに、 本当に国全体として考えることですので、皆さんが同じ目線で理解を一にすることが非 常に大事だと思います。それについてはまた、事務局の方でも少しお考えいただけたら と思います。 ○平澤委員 気になったことがあります。9ページの「適正使用の推進」のところに免 疫グロブリン製剤のことが書いてありまして、「近年やや増加傾向にあり、今後とも適 切かつ適正な使用の推進が求められる」とあります。また、27ページのアルブミン製剤 の使用量の減少など、全体の論調としては、血液製剤の使用量が減ることが好ましい傾 向であるというふうに聞こえるのですが、例えば免疫グロブリンでも、乱用はいけませ んが、大量療法が効くという新しいエビデンスが次々に出ています。  アルブミン製剤についても、今はもちろん使用のガイドラインがありますが、我々ク リティカルケアの領域では、アルブミンを投与することによって、colloid osmotic pressureを上げることにより、いろいろな病態が良くなることが示されています。しか し、今のガイドラインではそういう使用法はしてはいけないとなっています。そうする と、このようにアルブミン製剤の使用量が減ることがとても好ましいことと言っていい のか。  これを踏まえて、また何か新しい適用とかガイドラインを考えていただくことが必要 なのではないかと思いますが、全体の論調で減ればそれでいいですよというのは。もち ろん乱用はいけませんし、供給の限度を超えて使用することは非常に戒めるべきことだ と思いますけれども、そういう一方のスタンスも必要ではないかと思いますが、いかが でしょうか。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に重要な御指摘をいただいたと思います。 適正使用とは何かということ、新しい医療の治療法の開発も含めて、血液製剤をどう使 っていくかについての御意見だったと思います。ただ今の平澤委員の御指摘について、 何か委員の先生方からありますか。 ○高松委員 適正使用の推進というのはある意味では良い言葉で、我々輸血を担当して いる多くの先生方はとにかく使用するなとおっしゃいますが、決してそうではなくて、 過少輸血、使わないために患者の状況が非常に悪くなることもたくさんあると思います。 ですから、それはエビデンスに基づいてきちんと投与することが大事で、決して減らす だけが今後の方向とは理解していません。そういう意味で、減らすことのみを強調する ことは、今後の輸血医療にとっても決して進むべき方向ではない。つまり、どういうと きにきちんと投与するかを、もっと我々は勉強しなければならないと思っています。 ○花井委員 患者の立場からすると、今までは血液製剤の使われ方というのが医の領域 によって必ずしも統一されていなかったり、若しくは同じ領域であっても大学によって 違っていたり、そういうばらつきは存在すると思います。そこで過剰使用というのも事 実で、有名な話としては、1985年には384万Lを使っていた歴史もあるわけです。その 過剰使用が問題になって、それを抑える方向でやっとここまで来たということですが、 今の平澤委員と高松委員の指摘は非常に重要な部分を含んでいまして、今後、適正使用 というときに、それが単なる使用抑制になってしまってはいけない。  一点だけ気になるのは、今、丸めの医療をどんどんやって医療費を抑制するという経 済的プレッシャーが政策として実行されているので、そういう要因によって、むしろ必 要な患者が使えないような状況が使用減少につながる部分があってはいけないのではな いか。そういう部分と、きちんとエビデンスに基づいてそれを患者に説明して使う適正 というところを、文章自体はこれでいいと思いますが、ガイドライン等を作られている 先生方も含めて、常に注意深く見ながら使用減少の中身を評価していただきたいと思い ます。  血液製剤の使用に関しては、まだ分画製剤の使われ方はいろいろあると思いますが、 意外にいろいろな使われ方があって、何人かの専門家の先生に聞いてもいろいろ意見が 分かれたりということは、間々ありました。それは、医療の進歩のためにはいろいろな 研究があるべきなので、そういうのを少しずつスタンダード化していって、それも患者 が理解していくことを是非進めていただきたいと思います。 ○岡田委員 15ページの「血液製剤代替医薬品に関する事項」のところで、「生物由来 製品についても、第六に示した患者又はその家族への説明」などと書いてありますが、 生物由来製品でなければ、そういう説明は要らないのではないかと読み取れてしまいま す。まだ歴史が浅いというか、これから組換え等が市場に入ってくると思いますが、ま だ生物由来製品と限定しない方がいいのではないかと思います。具体的に言ってしまい ますと、組換えのアルブミン製剤は生物由来製品には当たらないので、これが入ってい るために、市場に出た場合に何の説明もなく患者に使われてしまう危険性があるので、 この生物由来製品は取った方がいいのではないかと思います。  また、同じページの三のところに、「血液製剤代替医薬品のうち、特定生物由来製品 についても、採血国及び献血」と書いてありますが、これは代替ですので血液は使いま せんので、この表現はおかしいのではないかと思います。血液を使わない製品ですので、 採血国、献血、非献血の区別というのは、実際はないのではないかと思います。 ○池田部会長 15ページの第八の一と三についてですね。血液製剤代替医薬品というこ とを定義して、その中で特定生物由来製品を別に分けていくと、新しくリコンビナント の製品が出てきたりした場合にどう対処するかということで、多少混乱するかもしれな いということです。  それから、赤血球などは今実際に、人工赤血球というのはリポゾームの中にヘモグロ ビンが入っているものですね。ただ、ヘモグロビンも場合によっては今後、別の形で作 られる可能性もないとは言えませんので、その辺は事務局はいかがですか。 ○血液対策企画官 5年前に基本方針を作成するときに、平成14年の薬事法の改正、血 液法の改正がありまして、法律の枠組み、法律に基づくその他施行規則等、ルールを決 めてスタートしたときに、今の表現になっている部分です。最初の「生物由来製品につ いても、第六に示した患者又はその家族への説明及び同意」等が求められるということ ですが、これも法律の枠組みを作ったときに、こういった範囲までは法律の枠組みとし て必要になるだろうということで規定を設けた関係から、この内容も整備しています。  御指摘がありました遺伝子組換えのアルブミン製剤については、個別の審査の段階に おいて、使用上の注意など、添付文書情報としてこういった同様の措置が必要ではない かという御意見などもあったかと思います。そういった個別の品目についての個別の対 応というのは別途行われているということで、今、手元に詳しい文書を持っていません が、そういった審査における指導というのは別途ある状況です。確か、添付文書で「患 者への説明」という項目を1項目設けて、個別の品目では対応が取られている状況です。  二点目の「血液製剤代替医薬品のうち、特定生物由来製品についても、採血国及び献 血又は非献血の区別」、これは、遺伝子組換えの血液製剤代替医薬品の中身で、有効成 分は確かに遺伝子組換えですが、特定生物由来であるヒト由来の血漿を用いた添加剤、 安定剤としてアルブミンが加えられているものがあって、それも、投与される際に結果 的にアルブミンが投与されることになりますので、そういうものについては採血国の区 別の表示をする。これも平成14年の法改正に基づく措置のときにそういうルールを設け たことで、そのときにこういう規定を同じように基本方針の中にも書いたという内容で す。いずれも、当時のそういった背景の下に記載をしたものです。 ○池田部会長 岡田委員、よろしいですか。 ○岡田委員 はい。 ○池田部会長 花井委員どうぞ。 ○花井委員 岡田委員の指摘を受けて思い出したのですが、三については、特定生物に 血液由来成分が入っているということで、こういう形にする、これはこれでいいと思い ます。一については、薬事法上の整理とのすみ分けということですが、これは基本方針 なので、アルブミンについて審査の段階でそれを配慮して、いろいろ個別製品ごとに対 応する根拠になるこちらに上位になかったら、整理としておかしいのではないかと思い ます。この中でそういうことが必要ですよということを促してあって、薬事法とともに、 薬事法の運用でそのようになるという整理になる方が適切な気がします。  ここでは一応、生物由来製品と限定しているけれども、薬事法では明確ではないけれ ども、個別製品について現場で審査の段階でそれを対応するというと、そういう運用も あるのかもしれませんが、そこはあいまいになってしまうと思います。ここは血液事業 部会なので、安全性に対してもここで確認するという意味で言えば、事務局の方はいろ いろ苦労はあるかもしれませんが、岡田委員が言うとおりに生物由来というのを外して おく方がいいように思います。 ○池田部会長 これは事務局はどうですか。リコンビナントのアルブミンが審査された 過程も含めて、あの場合は第二部会と血液事業部会で議論しましたね。そして、薬事分 科会で最終的に議論した格好になっていますね。確か二つの部会で議論をしました。で すから、その基本になるものをここでどうやっていくかということですね。花井委員の 御指摘は、血液製剤の代替医薬品というものの位置付けも含めてですね。 ○花井委員 確かに、「記録の保存」まで書いてありますので、いろいろと薬事法との 関連があると思いますが、少なくともこの部会で基本的姿勢を示すような表現がないと。 そこは運用で各部会が判断して、そこで個別製品についての単なるスペックの話とは違 いますよね。例えば、遺伝子組換えと血液由来と同じように使われているときに、「こ ちらは同意書はいりません、遺伝子組換えを使います」、それとも、「同意書がいるの ですが、血液由来を使います」というような運用になるのかなど、そういうことはここ のマターになってくるので、今更ここで言うのはあれですが、可能であれば書き方の工 夫をやった方がいいような気もします。先生方の御意見を伺いたいと思います。 ○池田部会長 いかがでしょうか。「血液製剤代替医薬品に関する事項」のところでの 御指摘ですが、なかなか難しい問題があるので、一度整理をしておかなければいけない ですね。事務局から、今の点について何か意見はありますか。 ○血液対策課長 もう少し慎重に検討する必要があるかと思いますが、感覚的なことを 申し上げますと、恐らく5年前に作ったときと同じ表現ですから、薬事法に基づくもの にならってこの「生物由来製品についても」という表現が入っているかと思います。そ の一方で、御指摘があったように、患者の立場に立つと、代替医薬品についてもこうい った措置があった方が望ましいということもよく分かります。「求められる」という表 現は比較的に強いものの、「必要に応じ」という柔軟な表現もありますので、「生物由 来製品についても」という言葉を除いてもいいかなという気はいたしますが、最後はか なり役所的な文章になりますから、その辺のチェックは少しさせていただくとは言え、 ほかの委員の方々の御意見や印象も、併せてお伺いできればと思います。 ○池田部会長 そうですね。いかがでしょうか。これからますます非常に重要な問題に なってくるのではないかと思うのです。何か御意見はありますか。 ○大平委員 私も花井委員の指摘と同様の感覚です。今後、血液製剤に代替医薬品がい ろいろな形で出てくるとなると、この取扱いについては、生物由来製品に限定する形よ りは、少し広く血液製剤代替医薬品としての位置付けを、この血液事業部会では取った 方がいいのではないかと思います。後々の安全性の確保も含めて、今後の免疫学的ない ろいろなフォローのところにも触れていますので、そういうところとの整合性を取ると、 もうそろそろ、そういうことを考えていただいた方がいいのではないかと思います。 ○高橋委員 原理的なことを示すものですから、より単純化して、先ほどの生物由来製 品というようなところを限定しないでやっていいのではないかと思います。これは役所 の問題もあるかもしれませんが、それ以上に、これが基本ルールで、皆さんこれに従い ましょうということですから、それで大きな問題が生じ得るような、矛盾するような事 柄があるかどうかを確認していただいて、岡田委員の趣旨に沿った形で網を掛ける、そ れがよろしいのではないかと思います。 ○池田部会長 ほかにいかがでしょうか。そもそも血液製剤代替医薬品そのものも、ど ういうものを定義して血液製剤代替医薬品というようにカテゴライズするかという問題 も、少し議論しておかなければいけないという気はします。今、何人かの委員の先生方 のお話と、それから、特定生物由来製品だけではなくて、血液製剤の代替医薬品として 一つのルール等を、この血液事業部会でもここに持っていったらいいのではないかとい う御意見をいただいているようには思うのですが、委員の先生方、ほかに何か御意見は ございますか。  これはかなり重要な問題だと思いますし、これから少し議論をしていかなければいけ ない問題だと思うので、この場でこれをどうするというのは、ちょっと難しいかなと思 うのですが、課長どうでしょうか。 ○血液対策課長 委員の方々からいただいた御意見は基本的に同じ方向でしたので、そ こは十分受け止めて、もう一度法令的な部分だけをチェックさせていただきたいと思い ます。 ○池田部会長 ほかにいかがでしょうか。基本方針の改正についての御意見はまだたく さんあるかと思いますが、5時を少し回りました。まだ報告事項があるものですから、 そろそろ議論のまとめというか、まとめられない場合は、委員の方々からまだ言い足り ない意見を何らかの形で集約していかなければいけないと思うのですが、何かございま すか。 ○高橋委員 大分有り体にというか、置かれている状況と今後の見通しが記載されて、 課題も書き込まれていますので、細部はいろいろあるかもしれませんが、前の基本方針 に比べると、分かりやすくなっているのではないかと思います。それで、そういう国民 的な理解がないと、血液法の趣旨である国内自給は達成し難いと思っていますので、そ ういう点では合格点としていいのではないでしょうか。 ○池田部会長 高橋委員からそのような御意見をいただいたのですが、ほかの委員の皆 様方はいかがでしょうか。これは、前回、5年前に基本方針を決めて、それ以来の改正 ということになります。いくつかの点を非常に強調して改正がされたということで、高 橋委員からは、かなりよくまとまってきたのではないかという御意見をいただきました。 ただ、今、何人かの委員から御意見をいただきまして、いかがいたしましょうか。その ほかに何かございますか。 ○大平委員 もう整理はついていると思うのですが、12ページ〜13ページの「安全性の 向上のための取組」では、感染症の感染のリスク等についてというところが、いろいろ な関係機関の方たちに強調されていますが、「医療関係者は、血液製剤の免疫学的副作 用の発生にも留意する必要がある」ということを入れていただいたところは、医療関係 者だけでよろしいのかどうか。その上の方で、「採血事業者は、血液製剤を介して感染 症等が発生するリスクを」と書かれていますが、特段「医療関係者は」となっているの で、どのようにすみ分けするのか、もう少し言葉の整理が必要かなと思うのですが。ち ょっとそう感じただけです。 ○池田部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○高松委員 各委員からいろいろ御意見をいただきまして、私も高橋委員と同じです。 あと字句にしろ、ここでは最終的に詰められないことは、一度、池田部会長と事務局で 相談してください。細かいことを言い出すと、もうこれは字句の話になってしまいます から、堂々巡りになってしまうと思うのです。 ○池田部会長 基本方針ですので、方向性、非常に大きな基本方針の変換や、これが入 っていないので盛り込めなど、非常に大きな大筋について、特段皆様方の御意見がない ようでしたら、高橋委員、高松委員からお話が出ましたように、委員の皆様方には大筋 でお認めいただいていると理解したいと思います。  しかし、先ほどの血液製剤の代替医薬品の問題、それから、今も大平委員からありま したように、いくつか細かい文章、字句について、まだ多少御意見をいただけるかと思 いますので、御意見のある方に関しては、来週か今週くらいにいかがでしょうか。実は、 もしここでお認めいただけるようであれば、最終的に委員の皆様の修正したものも含め て、基本方針を薬事分科会で審議していただこうかと思っています。血液事業部会の案 として薬事分科会に提出をしまして、薬事分科会は3月24日を予定していますので、そ こで議論をしていただこうかと思っています。  ですから、もし差し支えなければ、細かい字句の修正は事務局の方でさせていただく と。それまでに御意見があれば、なるべく今週中くらいに事務局の方にお寄せいただい て、その後の細かい修正については、皆様方の御意見も伺いましたので、部会長に一任 させていただくということを考えておりますが、いかがでしょうか。もう少し議論が必 要だということがあれば、また別の機会を設けたいと思います。大筋ではお認めいただ けていると、皆様の御意見を拝聴して思った次第ですが、いかがでしょうか。よろしい でしょうか。  それでは、大方御意見をいただいて、この大筋についてはお認めいただいたというこ とで、今お話しましたように、更に御意見のある方は、今週金曜日までに細かいこと、 文章その他については御意見を伺わせていただければと思います。先ほどの血液製剤の 代替医薬品については、少し事務局の方で検討していただけたらと思います。  先ほど申し上げましたように、本件は薬事分科会での審議を予定していますので、3 月24日の薬事分科会にお諮りしたいと思います。四つの議題について、これで終了した ことにさせていただきます。  議題5「その他の報告事項」ですが、簡単に説明をお願いします。 ○事務局 それでは、資料5に基づきまして、現在、血液事業部会運営委員会と安全技 術調査会の合同委員会において、輸血用血液製剤に対する不活化技術についての御検討 をいただいている経過について、御報告させていただきます。  背景としまして、不活化技術の検討については平成16年7月の「輸血医療の安全性確 保のための総合対策」の事項として取り上げていまして、それ以降、日赤を中心として 評価、検討が行われてきたところです。そのような中、近年、ヨーロッパの一部の国で 導入が開始されましたり、本年1月11日にアメリカ保健省のアドバイザリーコミッティ から、こういった病原体の不活化の技術の開発を急ぐべきであるという要請が出された ことを受けまして、我が国でも国会において、輸血の安全性対策の推進の観点から、不 活化導入を急ぐべきではないかというような御指摘がありました。  そこで、不活化技術の技術的な評価、あるいは血液事業全体に対する影響の検討とい うことを含めまして、我が国における不活化技術への評価を御議論いただくということ で、運営委員会・安全技術調査会合同委員会において、現在、御検討いただいていると ころです。そのときに配付した資料が、資料5です。  1ページに、今、輸血用血液製剤に対して行われている安全対策の全体像を示してい ます。1.では、輸血後肝炎を代表として、取組とその発症率の推移、これだけ減ってき ているということを示しています。2.の安全対策については、検査のみならず、いろい ろな段階で問診や遡及調査というところで、全体として様々な病原体の混入予防対策に 取り組んでいるところです。2ページに、特に近年取り組んできた対策と、そのターゲ ットとなる病原体を並べています。  さらに、3ページに4.として、具体的なウイルスに対する感染リスク、これは輸血用 血液製剤に混入するリスクや、毎年どのくらいの感染が起こっているかというものを並 べたものです。3ページの表はウイルスでしたが、4ページの表は、細菌等に対して同 様な観点で取りまとめております。5.として、現在、スクリーニングを実施していない 病原体の代表的なものを列記しておりますし、下線部では、不活化が可能であると言わ れている病原体について示しています。こういったところで、現在の日本の輸血医療に おける感染症対策の現状についてレビューしました。  ページをめくっていただきまして、資料2-2が、日赤の方で不活化技術に対してこれ まで検討を行ってきた概要です。資料2-2の1)不活化技術の概要で、一番左に不活化の 技術を並べています。右側に、その対象となる血液製剤を3種類並べております。メチ レンブルーは、基本的には血漿製剤のみを対象としています。それ以外にリボフラビン、 アモトサレンがありますが、これは血漿製剤と血小板製剤の2製剤を対象としています。 赤血球製剤が残ってしまうのですが、これについては今のところきちんと開発された不 活化技術はありませんで、開発中のものとしてインアクチン又はS303というものがあ るのが現状です。  2)その他の血小板製剤の不活化技術としては、今までの不活化技術が、基本的には輸 血用血液製剤に薬剤を投与しまして、紫外線等の光を当てることで病原体を不活化する 技術であったのに対して、今、紫外線照射のみで不活化を行うものが開発されています。 それについても、日赤としては、情報収集する等、検討を行っているのが現状です。  3)としては、評価の方向性として、感染性因子不活化効果。4)として、凝固因子活 性及び血小板等に及ぼす影響。製剤そのものに対して不活化がどのような影響を及ぼす かを、別添2でまとめています。  5)としては、感染性因子が不活化された製剤の安全性がどうであるかということを見 ていますし、6)としては、諸外国の導入状況を別添4にまとめています。7)として、 実際に不活化するに当たって、現行の製造工程にかなりの工程の追加が必要である、そ れも導入に当たっての課題になるということを示しています。  4ページに論点整理として、不活化技術を導入するに当たって見る観点として、(1) は、不活化自体の有効性、効果がどの程度現状の技術であるのか。(2)は、輸血用血液 製剤そのものに対しての影響、有効性であるとか、輸血間隔が増えるというような、多 少、輸血用血液製剤の効果が落ちるところがありますので、その影響を見る必要がある。 (3)は、不活化の製剤の安全性の問題があるであろうということ。(4)は、実際にそれ らの課題をクリアしたとして、導入するに当たっては実作業への影響を考える必要があ る。(5)は、多少誤解を招いてしまったところはありますが、全国一律導入と段階的導 入。これは一部導入という意味で、また、有用な、例えば免疫抑制状態の強い方につい ては不活化製剤を使うであるとか、感染リスクが非常に高い地域が国内にあるとすれば その地域では行うとか、危機管理として何らかの感染性因子が伝播した場合にそういっ た不活化を使う、そのような観点での導入もあるのではないかという議論があることを 示しています。  詳細については、別添として付けている次のページで、有効と言われているウイルス や病原体の種類を、別添1にまとめてあります。別添2では、主に色が付いているとこ ろで1〜3割程度の有効成分の劣化が不活化によって起こるということが、不活化ごと に(1)メチレンブルー、(2)リボフラビン、(3)アモトサレンというように並べています。そ の次には、血小板に対する影響として、リボフラビンとアモトサレンの2製剤について 並べています。別添3では、安全性の試験についての大まかなものですが、毒性試験の メーカーによる資料の概要をまとめています。さらに、別添4では、各国の導入状況に ついて、表にしてまとめています。  このようなところでやっていますが、今のところ運営委員会・安全技術調査会合同委 員会の方では、まずは導入においての患者のメリットを考えた上で、導入におけるリス クなどを比較考慮して検討するべきであるという意見と、輸血の安全性を考えた際には、 感染症のリスクもありますが、今日の議論にもありましたように、非感染性の免疫のリ スクなど、全体を見渡して、優先順位をつけて取り組んでいく必要があるという御意見 を賜っているところです。  今後の議論の予定としましては、次回は非公開でメーカーの内部資料なども提示して いただいた上で、きちんと不活化技術の安全性や有用性などの検討を行うこととしてい ます。以上です。 ○池田部会長 ただ今、2月27日に行われた運営委員会と安全技術調査会の合同委員会 での、不活化技術を我が国としてどのように考えるかということについての議論の大筋 を御報告いただきました。とにかくより安全な血液を供給することが私どもの使命です ので、それに向けて積極的にいろいろ議論をしているところの報告をいただいたわけで すが、この報告について何か御質問はございますか。  一部の国ではメチレンブルー等をもう導入しているということを含めて、それが患者 さんにとってより有効であるかということについての議論を更に進めていただきたいと いうことで、実際に合同委員会はこれからも開かれて議論が進められるということです ので、特に御質問がなければ、報告を御確認いただいたということでよろしいでしょう か。それでは、皆さんも御関心があることだと思いますし、重要な議題ですので、折り に触れて進ちょく状況の御報告を続けてお願いしたいと思います。  それでは、もう一つ報告をお願いできますか。 ○血液対策企画官 それでは、残りました報告事項を御紹介させていただきます。資料 は6、7、8です。まず資料6と7ですが、前回、この部会を昨年12月27日に開催さ せていただきましたが、それ以降、御承知のように、「特定フィブリノゲン製剤及び特 定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関 する特別措置法」ということで、議員立法による法律が1月16日に施行されました。そ の内容についての御案内ということで、私どもの資料と総合機構の資料を御参考に付け させていただきました。  資料6は、概要を示した措置法の内容についてのカラーのリーフレットです。2.のと ころですが、給付金の支給を受けるために、裁判所において、裁判手続の中で、製剤投 与の事実、製剤投与と感染との因果関係、C型肝炎の症状について判断がされると。そ れに基づいて給付金の支給の請求、給付の事務については医薬品医療機器総合機構にお いて行われるという内容になっています。具体的な内容はリーフレット、あるいはその 後ろにQ&Aが付いていますので、御覧いただければと思います。  私どももホームページへの掲載、あるいはフリーダイヤルでの御相談を続けていると ころです。また、総合機構においてもフリーダイヤルの相談窓口、ホームページへの情 報提供をさせていただいております。そういったものも御活用いただきながら、今、啓 発、周知に努めさせていただいています。  資料7は、同じく1月16日に総合機構に特定救済課を設けた、その対応についてまと めたものですので、御参考にしていただければと思います。  資料8は「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」です。2月29 日に公表させていただいた資料をお手元に付けていますが、これの一つ前の状況の報告 ということで、2月15日にも同様のスタイルでの発表をさせていただいております。  平成16年12月9日にフィブリノゲン製剤納入先医療機関の名称等を公表しまして、 検査受診の呼び掛けをさせていただきました。その内容をさらに平成19年11月に、医 療機関の御協力を得る形で、追加調査を実施しました。2月15日の発表の際には、2月 1日までに回収した回答内容で整理をしていますが、今日お配りした2月29日の資料 は、2月15日までの回収状況についてのまとめをさせていただいたものです。現在もま だ回収調査は継続しているところですが、平成16年公表施設のうち所在地等が不明であ った施設を除いた6,609の施設を対象に調査を実施しておりまして、2月29日発表の 15日までの時点で5,088の施設から回答をいただいています。  1ページの一番下に主な調査結果がありますが、フィブリノゲン製剤の投与が判明し た施設として697施設、9,176人。その内訳については(4)ですが、9,176人のうち医療 機関の方からお知らせをいただいた方が3,683名であるという状況等をまとめさせてい ただいております。  また、これらの投与判明のお知らせとは独立して、今回の平成19年11月の調査にお きましては、検査受診を呼び掛けております平成6年以前のカルテ等、診療録が保存さ れているかどうかを、併せて医療機関に問い合わせをさせていただいた回答を得ており ます。具体的に診療録のほか、手術記録あるいは分娩記録、製剤の使用簿、レセプトの 写し、入院サマリーといったものも、御回答をいただいた延べ数として1,757の施設に おいては、平成6年以前に何らかの記録が一部でも残っている、というような御回答を いただいております。  なお、最後のページは、先ほどの投与年月まで判明している方についての、投与年ご との人数の分布を示した資料です。まだ調査は継続していますので、随時その状況につ いて発表していくことを予定しています。資料については以上です。 ○池田部会長 特定フィブリノゲン製剤とC型肝炎についての報告をいただきました が、何か御質問はございますか。特にございませんか。よろしいでしょうか。それでは、 この報告も御確認いただいたということで、終わらせていただきたいと思います。  私の不手際で時間が超過をしてしまい申し訳ございません。長い間お付き合いをいた だきありがとうございます。おかげさまで四つの議題について委員の皆様に非常に熱心 な御議論をいただきましたので、感謝を申し上げたいと思います。もし特に委員の皆様 から御意見がなければ、これで本日の血液事業部会は閉会とさせていただきたいと思い ますが、よろしいでしょうか。  それでは、本日はこれで閉会させていただきます。どうも皆様、長い間ありがとうご ざいました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 齋藤(内線2906)