08/03/04 平成20年3月4日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日  時:平成20年3月4日(火) 9:30〜11:35 ○場  所:厚生労働省 共用第8会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、井上委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、斉藤委員      佐々木委員、志賀委員、米谷委員、山内委員、山添委員、吉池委員、鰐淵委 員 事務局  國枝基準審査課長、河村課長補佐、江島専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 小畠課長補佐      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 関口課長補佐      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課     山本専門官 1.開  会 2.議  題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について    ・インダノファン(農薬)    ・カフェンストロール(農薬)    ・チオベンカルブ(農薬)    ・フルベンジアミド(農薬)    ・ベンゾビシクロン(農薬)    ・メフェナセット(農薬)    ・イソプロチオラン(農薬及び動物用医薬品) ・孵化を目的としたニシン目魚類のブロノポールを有効成分とする魚卵用消毒剤 (動物用医薬品)  (2)その他 3.閉  会 ○事務局 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・ 食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。どうそよろしくお 願いいたします。  本日は、豊田委員より欠席する旨の連絡をいただいております。まだ志賀委員が来ら れていませんけれども、既に農薬・動物用医薬品部会委員14名中12名の御出席をいた だいており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しており ますことを御報告いたします。  それでは、大野部会長に議事の進行をお願いたいと思います。今後の御審議よろしく お願いいたします。 ○大野部会長 おはようございます。皆さん朝早くからどうもありがとうございます。 議事に入らせていただきたいと思いますが、まず、事務局から資料の説明をお願いいた します。 (配付資料確認) ○大野部会長 それでは、審議に入りたいと思います。今日は、農薬が6品目と農薬と 動物用医薬品を兼ねているのが1品目、動物用医薬品が1品目ということですけれども、 動物用医薬品の方を先に審議したいということですので、最初に孵化を目的としたニシ ン目魚類のブロノポールを有効成分とする魚卵用消毒剤について審議していただいて、 その後イソプロチオランについて審議していただき、それから、農薬についてインダノ ファンから順次審議していただきたいと思います。  それでは、最初の孵化を目的としたニシン目魚類のブロノポールを有効成分とする魚 卵用消毒剤についての審議に入りたいと思います。今日の資料は、あらかじめ先生方に お送りして検討していただいているところでございます。  それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料8−1と資料8−2が最初の議題のブロノポールになります。まず、資 料8−1ですけれども、「食品健康影響評価の結果の通知について」という食品安全委員 会からの文書です。その中に動物用医薬品評価書として「孵化を目的としたニシン目魚 類のブロノポールを有効成分とする魚卵用消毒剤(第2版)」となってございます。  7ページに要約が書いてございます。「孵化を目的としたニシン目魚類のブロノポール を有効成分とする魚卵用消毒剤(パイセス)について食品健康影響評価を実施した。主 剤であるブロノポールは、十分高用量まで試験されたin vivoのマウス骨髄を用いた小 核試験で陰性であることから、ブロノポールは生体にとって問題となるような遺伝毒性 を発現しないものと考えられる。ラットを用いた2年間の飲水投与試験において発がん 性は認められていない。また、魚卵中に蓄積される可能性は低く、たとえ薬剤の魚卵中 への分配が生じたとしても、魚卵の容積が小さいことや、食品として供されるまでには 少なくとも数か月を要すること、魚体における蓄積性が認められないことから、所定の 用法・用量で使用される限りにおいて、主剤であるブロノポールが食品中に残留する可 能性は無視できるものと考えられる。溶解補助剤としてジプロピレングリコールモノメ チルエーテルが含有されているが、これについてもSIDS INITIAL ASSESSMENT  PROFILEにおいて遺伝毒性、発がん性、発生毒性、蓄積性のいずれもないと評価され ている。これらのことから、本製剤が適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒ トの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられる」となっております。  資料8−2は部会報告案となっています。  用途ですけれども、孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵消毒となっています。  「5.適用用法及び用量」として、(1)ニシン目魚類の魚卵を、受精後24時間から発 眼卵として検卵するまでの間、ブロノポールとして50mg/Lの濃度の薬液に一日1回30 分間連日薬浴する。(2)ニシン目魚類の魚卵を、受精後24時間から発眼卵として検卵す るまでの間、ブロノポールとして100mg/Lの濃度の薬液に一日1回30分間で隔日もし くは3日に1度の頻度で薬浴するとなっています。  「7.残留試験結果」とありますけれども、魚卵におけるブロノポールの残留性試験 は実施されていませんが、先ほど申し上げましたとおり、食品健康影響評価においてブ ロノポールが食品中に残留することはないと評価されております。  「8.許容一日摂取量(ADI)評価」については、食品健康影響評価について以下 のとおり評価されておりまして、「孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵用消毒剤(パイ セス)」となっていますが、このパイセスはブロノポールのことです。このところは食品 健康影響評価の内容をそのまま持ってきていますので、このような形で書かせていただ いております。このパイセスについては、適切に使用される限りにおいて、食品を通じ てヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると考えられるということで、残留基準 の設定として食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないことと したいと思います。  5ページに答申案がございますが、孵化を目的としたニシン目魚類のブロノポールを 有効成分とする魚卵用消毒剤については、食品規格(食品中の動物用医薬品の残留基準) を設定しないことが適当であるとしております。  以上です。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明についての質問・御意見はございますか。 ○山内委員 おはようございます。  ニシン目の魚類の具体的な申請があった一般的な背景といいますか、これは養殖用で すか。何の魚の養殖のための具体的な目的があってという、一般情報で構いませんので 教えていただけますか。 ○農林水産省 農水省の消費・安全局畜水産安全管理課からお答えさせていただきます。  一般に養殖のニシン目魚類で使われますのはニジマス、ヤマメといった内水面で養殖 される魚を対象として使われるものです。 ○大野部会長 よろしいですか。ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。  では、この答申案ですが、食品規格を設定しないということが適当であるということ ですけれども、よろしいですか。  それでは、この答申を当部会の答申とさせていただきます。どうもありがとうござい ました。  では、次の品目に進みたいと思います。イソプロチオランです。資料は7−1です。 説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬と動物用医薬品のそれぞれ用途がございますイソプロチオラ ンにつきまして、まとめて御説明申し上げます。資料7−1と資料7−2です。  資料7−2の19ページをごらんいただければと思います。この薬剤の経緯をつけて ございます。古い剤でございまして、昭和49年に初回の農薬登録があったというもの でございます。その後、ポジティブリスト制度導入で、いわゆる暫定基準を平成17年 11月に告示しているところでございます。今回、農林水産省より厚生労働省に魚介類へ の残留基準の設定、また、暫定基準を置いた部分の見直し作業がございます。  本剤は、農薬と動物用医薬品の両方に用途があるという剤でございます。  資料7−1、食品安全委員会の評価書でございます。  この剤の評価でございますが、25ページに総合評価という形でまとめられてございま す。動物体内運命試験につきましては、ラットを用いた試験を実施しております。また、 この剤につきましては、動物用医薬品としてウシに投与されるということがありますの で、ウシでも代謝等が見られているということでございます。  植物体内運命試験につきましては、水稲、ヒメリンゴ、ばれいしょなど、用途を限った ものについて実施しているということでございます。  あと、土壌運命、水中光分解等々も実施されてございますけれども、動物の毒性試験 につきましては、各種毒性試験の結果から、イソプロチオラン投与による影響は主に肝 臓に認められたということでございますが、繁殖能試験、催奇形性、遺伝毒性は認めら れなかったということでございます。  発がん試験においてラットに皮膚の角化棘細胞腫の増加が見られたということでござ いますが、遺伝毒性が認められないことから発生機序は遺伝毒性のメカニズムとは考え がたいということで、閾値を設定することは可能ということでございます。  各種試験の無毒性量等につきましては、表20で27ページからまとめられてございま す。この中で、ラットの90日の亜急性毒性試験で、雄で3.4mg/kg 体重/dayという無 毒性がございますが、ラットにつきましてはより長期の2年間慢性毒性試験/発がん性 併合試験で雄で10.9 mg/kg 体重/dayというのがございますので、ラットの無毒性量と しては10.9 mg/kg 体重/dayを採用するという評価でございます。  総合的に見ますと、イヌの1年間慢性毒性試験の結果、雌雄で10mg/kg体重/日とい う無毒性量がございます。これがADIの設定根拠ということで、安全係数を100とい たしまして、ADIといたしましては0.1mg/kg体重/日という評価でございます。  この評価に基づきまして、資料7−2でございます。この剤は、品目名イソプロチオ ランでございます。  「2.用途」は、農薬では殺菌剤ということでございます。また、動物用医薬品とし ましては、ウシの肝疾患用剤ということでございますが、農薬としては殺菌剤というこ とで、いもち病を初め、白紋羽病等について強い菌糸成育阻害作用があるということで す。またこの剤につきましては、ウンカやヨコバイに対して殺虫活性を示すということ でございます。寿命を短縮させたり、産卵数を減少させる。また、稲については稲自身 に作用して、根の伸長また発根を促進させる効果も確認されているということでござい ます。  動物用医薬品としましては、先ほど申しましたように、ウシの肝疾患用剤ということ で作用機序といたしましては、肝臓におけるタンパク質合成を促進することによって、 脂質代謝を含めた肝機能の向上があるということでございます。  化学名、構造式につきましては、記載のとおりでございます。今般から化学名につき ましては、前回御意見いただきましたとおり、IUPAC名とCAS名を記載させていただ いてございます。  「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」でございますが、稲、なし、りんご等のに使 われるものについて記載してございます。  (2)動物用医薬品としての使用方法ということで、ウシ、泌乳牛に使用するというこ とでございます。使用については日本のみということでございます。  「6.作物残留試験」につきましては14ページから表にまとめてございます。稲を 中心にした作物残留試験の結果表がまとめられてございます。  「9.動物用医薬品の対象動物における残留試験」につきまして、組織に残留すると いうことで、これは一日当たり50mgという用量でございますけれども、それを28日 間連続投与して、それぞれ筋肉、脂肪、肝臓、腎臓、小腸等の濃度を測定しています。  また、乳についても28日間経口投与した後、3、6、9、12、15、18、21及び24 時間後の乳中における本剤の濃度を測定してございまして、その結果は12ページにま とめてございます。これらに基づきまして、基準値の検討を行うということでございま す。  「10.ADIの評価」は、先ほどの安全委員会の食品健康影響評価のとおりでござい まして、0.1mg/kg体重/日ということでございます。  「11.諸外国における状況」でございますが、JMPR、またJECFAの方で毒性評価 がなされていないということで、農薬としても動物用医薬品としても国際基準の設定は ございません。  また、5か国について調査しましたが、いずれの国でも基準値の設定はなされていな いということでございます。  規制の対象といたしましては、イソプロチオラン本体ということで考えてございます。  食品安全委員会の評価におきましても、曝露評価対象としては本体のみという設定で ございます。  戻っていただきまして「7.魚介類への推定残留量」ですが(1)水産動植物被害予測 濃度ということで、稲とその他果実にも使われるということで、それぞれのPECを算 出してございます。水田PECにつきましては9.7ppb、非水田では0.26ppbということ で、どちらか高い方ということで水田PECの9.7ppbを採用してございます。  生物濃縮係数につきましては、オクタノール/水分配係数が2.80ということで、3.5 未満ということでございますので、実測値がないということでlog10Powの相関式から 計算して、BCFにつきましては52と算出されました。  推定残留量といたしましては、この式に当てはめまして2.522ppmと算出してござい ます。  「8.乳牛における残留試験」ということで、飼料経由で本剤をウシが取り込んだと きに乳の方にどれくらい移行するかということでございますが、各濃度を与えて乳中の 濃度を測ったところ、すべて定量限界未満だったということでございます。  9番以降は、先ほどお話ししましたけれども、動物用医薬品として投与した場合の残 留結果ということでございます。  16ページに戻っていただければと思います。これらに基づきまして基準値案を検討す るということでございます。一応当時の登録保留基準等々を参考にして暫定基準を置い ていますが、実際に登録あるものについて今回基準値案を見直すということにしてござ いまして、作残データ等々がないものにつきましては一律基準管理にするということで、 現行の基準値を削除するということでございます。  米につきましては、現行2ppmのところ作残試験をみて2ppmを維持するというこ とでございます。  その他りんご、なしにつきましては0.1 ppmでございますけれども0.05 ppmに下方 修正、びわ、ももについても0.02 ppmに下方修正、うめにつきましても0.03 ppmに 下方修正、ぶどうについても下方修正ということでございます。  17ページのヒマワリの種等々につきましては、登録がないということでございますの で、基準値を削除します。  魚介類につきましては、推定残留量の算出結果から3ppmという値でございます。  先ほどの動物の残留試験の結果から、試験日7日で0.02 ppm未満ということでござ いますので、この剤につきましては休薬期間が14日ということでございますが、基準 値現行0.02 ppmをそのまま維持するということでございます。  乳につきましても24時間後の結果で0.02 ppm未満ということでございますので、休 薬期間24時間でございますが、基準値案としては0.02 ppmの現行を維持するという形 でまとめてございます。  18ページにこれらの基準値に基づいた曝露評価でございます。TMDIの評価で国民平 均でADI比12.3%、幼小児の方で20.9%、妊婦の方で10.2%、高齢者の方で12.3%と いう結果でございます。いずれもADI比80%以下を確認してございます。  答申案といたしましては20ページに、今回基準を再設定する部分につきましてまと めてございます。米から魚介類、また畜産物という形でまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、ただいまの説明についての御意見・御質問はございますか。 ○斉藤委員 確認なんですけれども、部会案の分析法の5ページに「ガスクロマトグラ フ(ECDまたはFPD)」とありますが、この物質はECDで掛かるというのは間違いな いですね。通常ECDだとハロゲンが入っているものなので、全体で掛かることもある ので掛かるのかもしれないんですけれども、まず、掛かるのなというのが第1点。  もう一点は、定量限界が0.001〜1ppmと、1,000倍定量限界差があるんですけれど も、これも間違いないでしょうか。1ppmの定量限界で基準値案が0.1ppmというのは ほとんどあれですよね。1ppmしかできないのに。 ○事務局 まず、1点目のECDの部分でございますけれども、一応メーカーからの抄 録の部分でこういった双方の機器でということで書いてございますので、そのまま採用 させていただいたということでございます。  定量限界でございますが、食用のものにつきましては0.001ppmのところまで補足で きます。1ppmにつきましては、稲わらが1ppmだったということで、一応0.001〜1 ppmという表記にさせていただいてございます。 ○大野部会長 ほかにございますか。  私から鰐淵先生にお聞きしたいんですけれども、余り聞いたことがないような皮膚の がんが出ていますよね。食品安全委員会の報告だと、一番高用量で結構増えているよう に見えるんですが、最終的に食品安全委員会の報告で問題ないと考えてよろしいのでし ょうか。22ページに載っています。皮膚角化棘細胞腫が、雄で3例だったのが13例に 増えているんですけれども。 ○鰐淵委員 これは皮膚がんで、扁平上皮がんの一種なんですが、3,000ppmで13とい うのは高いように思うんですけれども、これは背景データよりも高いということで問題 とはされていますね、ここの段階では。でも、トータルとして見たときに、問題なかっ たという形にしているみたいなんですけれども。 ○大野部会長 ふだん余り出ないがんが出た場合には、ちょっと注意するようなことが あるんじゃないかと思ったんですが、コントロールでも出るからそれほど問題ないとい うことですか。 ○鰐淵委員 そういうことだと思います。正常に飼っていた段階では皮膚がんはそんな に出ないんですけれども、たまたまこのバッチがそういう形でSDで出たということで、 全体が出てそこの部分が増えているということなので、プロモーション作用としてとら えることもできるのだとは思いますが、これ自身に確実な用量相関がないということで、 急激に一番高いところで上がっているということなので、低いところで使う分には問題 がないと判断されたのだと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  ほかに御質問ございますか。 ○山添委員 10ページの7の(2)生物濃縮係数で、オクタノール/水分配率で、ここで はlog10Powで2.8という記載になっています。実は先ほど気にしていたんですか、今日 最初に審議になりましたブロノポールの2ページ「7.残留試験結果」のところで、「ブ ロノポールのn−オクタノール/水分配係数が1.3」と書いてあるんですね。オクタノ ール/水分配係数というときは、logを掛けた場合と掛けていない場合の表示があるん ですが、これは同じ係数での表現ですかということが1つです。  といいますのは、logの分配係数でブロノポールで1.3だとすると、これは結構脂溶 性があることになってしまうんですね。先ほども申し上げようかなと思って確認をする のを忘れたんですが、こちらではlogが書いてあるので、一つは統一すること。それで、 もしブロノポールの水分配係数が1.3だとすると結構脂溶性がある。アニリンがlogの 値では0.9で結構脂溶性があるので、そのところはちょっと確認をお願いしたいと思い ます。 ○事務局 この点については確認いたします。 ○大野部会長 では、お願いします。  ほかに御意見ございませんか。それでは後で確認するということで、この報告案につ いて御意見を伺いたいんですけれども、ほかに御意見がなければ、この報告案を当部会 の報告といたしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。  では、確認して間違いがあったら修正するということを前提に報告案とさせていただ きます。  それでは、次のインダノファンについて審議を進めたいと思います。説明をお願いい たします。 ○事務局 それでは、農薬インダノファンにつきまして資料1−1、資料1−2に基づ きまして御説明申し上げます。  まず、資料1−2の13ページをお開きいただければと思います。この農薬の経緯と いうことでまとめてございます。平成11年に初回の農薬登録がございまして、これま でに米につきまして基準値の設定をしているというものでございます。今回、農林水産 省から魚介類への基準設定の要請があったというものでございまして、その部分の審議、 また現行の基準につきましても作残データに基づいて、現行の視点から見直しの検討を 行ったものでございます。  食品健康影響評価でございますけれども、資料1−1の36ページに総合評価という ことでまとめてございます。この剤につきましては、ラットを用いました動物体内運命 試験等々が実施されてございます。マウスでも行われてございまして、主に糞中に排出 されるということでございます。  植物体内運命試験につきましては、稲に使うというものでございますので、稲での試 験が行われているということでございます。また、土壌中の運命試験、加水分解試験、 土壌残留試験等々が実施されてございます。  毒性試験につきましては、37ページからまとめてございます。急性毒性につきまして はラット、マウスで行われてございます。目の刺激、皮膚刺激につきましてはウサギ等 で行われていまして、目については軽度の刺激、皮膚刺激はなかったということでござ います。モルモットを用いました皮膚感作性試験が実施されてございます。  亜急性毒性につきましては、ラット、マウス、イヌで行われてございます。慢性毒性 はイヌ、慢性毒性/発がん性併合試験につきましては、ラットで実施されてございます。 また、マウスでも発がん性試験が実施されてございますけれども、いずれも発がん性は なかったということでございます。  2世代繁殖性試験についてはラットで行われてございますが、繁殖への影響はないと いうことでございます。  発生毒性試験はラットとウサギで実施されてございますが、催奇形性はなかったとい うことでございます。  遺伝毒性と細菌を用いたもの、細胞を用いたものが実施されていますが、結果はすべ て陰性だったということでございます。  ただ、代謝物の一部でチャイニーズハムスター肺由来の培養細胞を用いた染色体異常 試験において陽性が一部出ていますが、他の試験で陰性ということでございまして、総 合的に見まして特段問題となる遺伝毒性はないと考えられたということでございます。  無毒性量につきましては38ページに表で一括掲載されてございます。この中で、ラ ットの2年間慢性毒性/発がん性の併合試験の結果から、雄の0.356mg/kg体重/日とい う値が一番小さい無毒性量ということで、これを安全係数100で除しまして、ADIと しては0.0035mg/kg体重/日という評価でございます。  この評価書案に基づきまして、資料1−2の部会報告書案でございます。  品目名につきましては、インダノファンということでございます。除草剤でございま して、作用機構といたしまして、たんぱく質、脂肪酸の生合成を阻害する、細胞分裂・ 伸長を阻害して、雑草の生育を停止し枯死させるものと考えられているということでご ざいます。  化学名、構造式につきましては、記載のとおりということでございます。  2ページから米についての使用方法について剤型別にまとめられているものでござい ます。  「6.作物残留試験」につきましては、インダノファンと代謝物について分析されて ございます。食物残留試験の結果につきましては、10ページに表でまとめてございます。  「7.魚介類への推定残留量」ということでございますけれども、水産動植物被害予 測濃度につきましては、本剤が水田のみで使用されるということでございますので、水 田PECを算出して0.061ppbというものでございます。  生物濃縮係数、BCFでございますが、これはコイを用いた実測値がございましたので、 その結果BCFは108であったということでございます。  推定残留量といたしましては、この数字を用いまして0.03294ppmということでござ います。  「8.ADIの評価」でございますけれども、先ほどの食品安全委員会の評価結果か ら0.0035mg/kg体重/日。  「9.諸外国における状況」でございますが、JMPRの毒性評価がなされていないと いうことで、国際基準の設定もない、また、主要5か国についても基準の設定はないと いうことでございます。  「10.基準値案」、残留の規制対象でございますけれども、本体と代謝物について作 物残留試験で測定しており、代謝物につきましては定量下限未満であったということで、 本体のみの規制としております。  また、水産物につきましては、実測のBCF、水産PECともにインダノファンのみを 対象としているということでございますので、水産物につきましてもインダノファン本 体で規制するということでございます。  基準値案は11ページでございます。現行の米の基準は0.1 ppmという設定でござい ますが、今回作物残留試験を再度見直したところ、現在の視点からすると作物残留試験 の結果は0.01 ppm未満ということでございますので、基準値案としては0.05 ppmに 下方修正ということでまとめてございます。  また、魚介類につきましては、先ほどの推定残留量の結果から0.04 ppmということ でとりまとめてございます。  暴露評価は12ページでございます。ADI比、国民平均で7.0%、幼小児の方で11.9%、 妊婦の方で5.5%、高齢者の方で7.0%と、いずれもTMDI評価の中でADI比80%以 下を確認しているということでございます。  答申案は、今回現行基準の米も下方修正いたしておりますので、魚介類と併せてまと めてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、このインダノファンの説明について御質問・御意見ございますか。 ○志賀委員 細かいことですけれども、資料1−2の「2.用途」のところで「活性は S体のみに有する」という表現がありますが、「のみに有する」というのは非常に変な気 がします。普通ですと「S体のみが有する」かあるいは「S体のみに存在する」とか、 そんな表現なんじゃないかと思いました。 ○大野部会長 では、これは修正していただけますか。 ○事務局 それでは「S体のみが有する」に訂正させていただきます。 ○大野部会長 ありがとうございます。  ほかにございますか。 ○斉藤委員 今のと関連しているんですが、評価書の方は「R:S≒1:1」という表 記があるので、こちらもどこかに入れておいた方がいいのかなと。結局、光学活性分離 はしないですけれども、一応入れておかないと実際に測定した活性のあるものの量とい うのは違ってしまうので、1:1でもしくはエナンチオマー過剰率が0%であると、ど ちらかがよろしいかと思います。 ○事務局 「4、構造式及び物性」のところに同じような形で表記させていただくとい うことでよろしいでしょうか。 ○斉藤委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。  ほかにございますか。 ○山添委員 今の活性はという話なんですが、当然のことながら除草剤としての活性で すよね。結局、毒性のところに抗凝固作用が結構この化合物は出ていますが、その作用 がどっちにあるのかということと混同しないように、できれば「活性は」という表現以 外に除草活性なのか、目的をはっきりさせておいた方が正確かなという気がするんです が。 ○大野部会長 そうですね。これは除草活性なら細胞分裂、伸長阻害作用なのか、どっ ちがあれかわからないですね。では、事務局でチェックしていただけますか。 ○事務局 抄録を確認しまして、適正に追加させていただきたいと思います。 ○大野部会長 活性の意味がはっきりわかるようにチェックをお願いいたします。 ○吉池委員 7ページ目の作残試験結果についての表記ですが、「ただし、これらの試験 は適用範囲内で行われていない」という表現があります。適用についても随分、日本国 内の地域によって適用法に細かい違いがあるようで、一体この前の方にある適用範囲と 何が違うのかということについて、注釈など入れていただいた方がいいのではないかと 思います。これだけだと何が違うのか、過大推計に傾いている作残データなのかどうか というのがわかりにくいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。過大評価なのか、過小評価なのかわからないと いうことですね。どういうふうに違うのか、それは記入できますよね。 ○事務局 検討させていただきまして、文案をまた見ていただくということで詳しめに 書くようにいたします。 ○大野部会長 お願いします。そのほかございますか。  それでは、幾つかこれからチェックしなければいけないところがございますけれども、 チェックをして修正するということを前提に、この答申案でよろしいでしょうか。  それでは、修正の上で当部会の答申とさせていただきます。では、見つかったらその 時点で修正案を示してください。  それでは、次に行きたいと思います。カフェンストロールについての説明をお願いい たします。 ○事務局 次に、農薬カフェンストロールでございます。資料2−1と資料2−2に基 づきまして御説明いたします。  まず、資料2−2の16ページでございます。この剤の経緯でございます。この剤に つきましては、平成8年に初回の農薬登録があったということで、先ほどの剤と同じよ うに、米につきまして基準値の設定をしているものでございます。今回、農林水産省よ り魚介類への残留基準の設定依頼がございましたので、基準の検討を行うということで ございます。  また、先ほどと同じように、現行の基準につきましても作物残留試験を見直しまして 検討を加えたものでございます。  資料2−1でございます。食品安全委員会の評価書ということで、28ページから総合 評価ということでまとめてございます。この剤につきましては、ラットまたイヌを用い た動物体内運命試験で、ラットについては尿中、イヌについては糞中に排出が認められ たということでございます。  また、稲を用いました植物体内運命試験で、玄米中について特に本体の残留は認めら れなかったということでございます。  水中分解、土壌中の運命試験等々が実施されてございます。  急性毒性につきましては、ラットとマウスの試験でございます。また、眼の刺激性試 験をウサギ等で実施してございまして、眼についてはごく軽度の刺激で皮膚刺激はなか ったということでございます。皮膚感作につきましては、モルモットで実施されてござ います。  亜急性試験につきまして、ラット、マウス、イヌで実施されてございます。イヌの亜 急性毒性の試験で無毒性量が設定できなかったということでございますけれども、慢性 毒性の試験でカバーしているということでございます。また、慢性毒性試験/発がん性 の併合試験はラットで行われています。また、マウスの発がん性試験でございますけれ ども、いずれも発がん性は認められなかったということでございます。  繁殖試験につきましてはラットで実施されてございますが、繁殖への影響はなかった ということでございます。  発生毒性試験についてはラット、ウサギで実施されてございますが、催奇形性はなか ったということでございます。  遺伝毒性といたしましては、細菌を用いた試験、また、細胞を用いた試験が実施され てございますが、代謝物ともにすべて陰性であったということでございます。  無毒性量につきましては30ページにまとめられてございます。この中で先ほど申し ましたように、イヌの90日の亜急性試験の方で雄で無毒性量が求められなかったとい うことでございますけれども、これは慢性毒性試験の方でカバーするということでござ いまして、最終的にはイヌの慢性毒性試験の雌の無毒性量である0.3mg/kg体重/日とい う値をADIの設定根拠にしているということでございまして、安全係数100で除しま して、ADIといたしましては0.003mg/kg体重/日ということでございます。  この評価結果に基づきまして、資料2−2の部会報告書案でございます。この剤につ きましては、水稲に使われる除草剤ということでございます。作用機構といたしまして は、たんぱく質や脂肪酸の生合成を阻害し、細胞分裂、細胞の伸長、また葉原基の生長 阻害に作用するということでございます。  化学名、構造式につきましては、記載のとおりでございます。  2ページから使用方法について剤型ごとにまとめてございます。  「6.作物残留試験」につきましては、分析の対象として本体以外に代謝物について も分析しております。結果は10ページからまとめてございます。表といたしましては、 13ページにまとめているところでございます。  「7.魚介類への推定残留量」でございますが、この剤につきましては、水田のみで 使用されるということでございますので、水産動植物の被害予測濃度につきましては、 水田PECを用いまして0.18ppbということでございます。  生物濃縮係数につきましては、一応、魚類の濃縮性試験が実施されているということ でございますけれども、取り込み期間等々が不十分だったということで、BCFの算出に ついては本試験は採用しないということでございます。また、本剤は一応log10Powが 3.5未満ということでございましたので、log10Powの値から相関式を用いてBCF=112 と算出してございます。  その結果、推定残留量といたしましては0.1008 ppmということでございます。  「8.ADIの評価」ですが、先ほどの安全委員会の評価書のとおりでございます。 ADI0.003mg/kg体重/日という評価でございます。  「9.諸外国における状況」でございますが、国際基準の設定もないということと、 主要5か国つきましては基準値の設定がないということでございます。  「10.基準値案」でございますけれども、農産物につきましてはカフェンストロール 本体のみということでございます。一応、代謝物も作残試験で測定してございますが、 いずれの代謝物も定量限界未満であったということでございます。  魚介類につきましては、推定残留量を算出する際に得られたBCFはカフェンストロ ール本体のみを対象としておりますけれども、PEC自体が代謝物CHM−03の寄与を考 慮して設定されているということから、魚介類につきましてはカフェンストロールと代 謝物CHM−03の和ということで基準値を設定したいと考えてございます。  基準値案につきましては、14ページの表でまとめてございます。米につきまして現行 0.1ppmでございますけれども、今回の作物残留試験の結果を踏まえまして、0.02ppm に下方修正したいと考えてございます。魚介類につきましては、先ほどの推定残留量試 算の結果から0.2ppmということでございます。  これらにつきまして暴露評価したものが15ページでございます。国民平均で14.1%、 幼小児の方で22.2%、妊婦の方で13.0%、高齢者の方で13.9%ということで、いずれ もTMDI試算でADI比80%以下を確認しているということでございます。  答申案といたしましては17ページでございますが、現行の米につきましても下方修 正いたしましたので、魚介類とまとめて表に掲載してございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、今の説明についての質問・意見がありましたら、お願いいたします。いか がでしょうか。 ○佐々木委員 13ページの別紙1には、カフェンストロールの代謝物についての記載は ないんですが、これはよろしいのでしょうか。 ○事務局 10ページに一応結果は書かせていただいているんですが、代謝物を3種類測 定して表が大きくなるということもございまして省略させていただいた形になっていま すけれども、必要ということであれば表を横にして並べる形でまとめたいと思いますが、 いかがいたしましょうか。 ○佐々木委員 これまで他の剤では入っているケースもあったように思いましたので、 どちらでも結構ですけれども。 ○事務局 では、代謝物も入れた形で修正したいと思います。 ○大野部会長 それでは、代謝物についても入れてくださるようお願いいたします。 ○事務局 あと、10ページの作物残留試験結果で「適用範囲内で行われていない」とい うところがございますけれども、先ほどの吉池委員の御指摘もありましたので修正はい かがしましょうか。 ○吉池委員 恐らく適用の範囲でないということについて細かく注を入れていくと切り がないと思うんですが、私が先ほど申し上げたのが比較的作残データが限られて、デー タのすべてに「♯」がついていると。要は、ほかと比べてこのデータはどうなのかとい うよりどころがなくて、その前の剤については4つのデータすべてに「♯」がついたの で、そういう場合については少し丁寧に説明した方がいいのではないかということで申 し上げました。 ○大野部会長 この場合はよろしいですか。 ○吉池委員 現実的な作業と考えていただければ。 ○大野部会長 わかりました。 ○山添委員 食品安全委員会の報告も含めてですけれども、例えば、今回の案の9ペー ジで分析対象の化合物になっている代謝物CHM−33というのがあります。元の化合物 を考えますと、このトリアゾールの隣の炭素のところにアミドが入っているんですね。 ところで、ここではカルボニルではなくて普通のメチレンになっています。食品安全委 員会からの報告書でも代謝物33はこういう構造になっています。だけれども、非常に 考えにくい代謝物なんですね。これは誤記ではないのか、元の元の企業からの提出を含 めて確認をお願いしたいと思います。生成機序を考えようとすると、炭素がアミドの還 元を受けているとはちょっと考えにくいので、どこかで誤りを生じた可能性もあると思 うので確認をお願いいたします。 ○大野部会長 そうですね。非常に不思議な感じがしますね。では、企業の方に確認し ていただけますか。 ○事務局 では、資料等々を確認したいと思います。 ○大野部会長 この代謝物は雌に毒性が強く出ていますよね。これは代謝上何か考えら れることはあるんでしょうか。 ○山添委員 環の開裂が起きるというのが、アミドのところなので普通は安定でなかな か切れないか、加水分解を受けてカルボン酸になって飛んでしまうと思うんですね。な のに、こういう形で残っているというのは、ちょっと不思議なので、特殊な反応が起き る可能性もありますね。 ○大野部会長 ほかに御意見ございますか。  それでは、今の代謝物CHM−33について本当にそうなのかということを確認してい ただくということと、あと、吉池先生から意見があった適切に行われていないというと ころについては、実務上の観点から入れられれば入れるし、難しければ入れなくてもい いというようなことで、必要に応じて修正を加えるということで了承していただけます でしょうか。  それでは、修正の上この案を当部会の答申といたします。どうもありがとうございま した。  それでは、次はチオベンカルブについての説明をお願いいたします。 ○事務局 次に資料3−1、資料3−2に基づきまして、チオベンカルブの説明でござ います。  まず、資料3−2の24ページをごらんいただければと思います。この剤の経緯でご ざいますが、古い農薬でございまして昭和45年に一度農薬の登録をしているというも のでございまして、残留基準につきましても一部の作物等に基準を設定していたもので ございます。また、ポジティブリスト制度導入時に暫定基準という形で畜産物等につき まして基準を置いているというものでございます。今回、農林水産省より厚生労働省に 魚介類への基準の設定依頼がございましたので、暫定基準の部分等も併せまして御審議 いただくというものでございます。  資料3−1でございます。食品安全委員会の評価書ということでございますが、資料 の27ページに総合評価がまとめられてございます。動物体内運命試験の結果、チオベ ンカルブは主に尿中に排出されるということでございます。植物体内運命試験の結果、 代謝物はここに記載のものであったということでございます。  動物体内運命試験につきましては、ラット、マウスで実施されてございます。植物体 内運命試験につきましては、稲、大豆、ニンジン等で行われているということでござい ます。  また、詳細は書いてございませんけれども、ほかに土壌中の運命試験、水中の光分解、 土壌残留試験等々、基本的な部分も評価したということでございます。  また、各種毒性試験の結果からということでございますが、毒性試験につきましても、 急性毒性につきましてはラット、マウス、また、眼の刺激性試験、皮膚刺激性試験につ きましてはウサギ等を用いた試験が行われてございます。亜急性から遺伝毒性まで一通 りの試験については評価されており、チオベンカルブ投与による影響は主に肝臓、腎臓 に認められたと評価されています。発がん性、催奇形性は認められなかったということ でございます。  繁殖への影響もなかったということで、遺伝毒性につきましては一部の試験で陽性と いうことでございますけれども、生体にとって問題になるものは認められなかったとい う結果でございます。  無毒性量につきましては28〜29ページにまとめられてございます。この中でラット の慢性毒性/発がん性併合試験の結果から、雄の0.9mg/kg 体重/dayという値を無毒性 量の最小値ということで、これを安全係数100で除しまして、ADIといたしましては 0.009mg/kg体重/日という評価でございます。  この評価結果に基づきまして、資料3−2部会報告書案でございますが、チオベンカ ルブでございまして、除草剤でございます。作用機構といたしまして、αアミラーゼの 生合成阻害、オーキシンと拮抗することによるたんぱく質生合成過程の阻害により作用 すると考えられているということでございます。食品安全委員会の評価書でまとめられ ています作用機構、先ほどの資料3−1の5ページ「7.開発の経緯」の「作用機構は 脂肪酸生合成阻害による生長点における細胞生長阻害である」の記載と若干違うんです けれども、こちらで製造者から提出されている抄録等を確認したところ、部会報告書の とおりの記載になっているので、そちらを優先した形でまとめさせていただいてござい ます。  化学名、構造式につきましては記載のとおりでございます。  2ページ以降に、剤型ごとの使用方法、また適用作物についてまとめてございます。 非常に多くの作物に使われるということでございます。  「6.作物残留試験」につきましては、本体と代謝物につきまして分析を行うという ことでございます。8ページからその結果がまとめられております。表につきましては 17ページからまとめてございます。これにつきましても、使用方法の適用外使用という のが非常に多うございますので、その内容につきまして報告書に記載するということに したいと思います。  また、作物残留試験の結果につきましては19ページからまとめてございます。  この剤はそもそも魚介類に残留基準の設定を検討する発端となった剤でございます。 本剤についての魚介類の推定残留量ということでございます。従前は水田でも使用され る農薬でございまして、シジミ等へのチオベンカルブの残留というものが一昨年問題に なったわけでございますが、それから水田での使用はしないということで今登録が落と されているものでございます。ただ、稲につきましては水田以外で水を張っていない状 況では使用できるということで、稲についての使用登録はあるというものでございます。  今のところ水田使用がないものでございますので、非水田PECを用いて試算すると いうことでございまして、その値が0.030ppbということでございます。  生物濃縮係数につきましては、ブルーギルという魚を用いた試験と、貝類を用いた試 験が行われてございまして、それぞれについて評価をさせていただいてございます。魚 類の試験でございますけれども、これは炭素に14Cの標識をしたものを用いて取り込み 試験、排泄を見るという魚類濃縮試験が実施されてございます。  前回もありましたけれども、こういったものを用いますと、どうしても総残留量とい うことで、代謝物も全部ひっくるめた形での値が出るということでございますので、そ れを違う試験等からチオベンカルブ本体の割合というものを求めて、補正した形でチオ ベンカルブ本体のBCFを算定する作業をしております。  具体的には、魚体全身中の総残留放射能(TRR)が90%平衡に達する推定時間は1.0 日。そのときの魚肉及び内蔵のTRRに占めるチオベンカルブ本体の割合はそれぞれ29.9 〜46.3%で、平均38.1%、内臓につきましては、18.2〜24%で平均21%であったとい うことでございます。本試験から求められるTRRとしてのBCFは302ということでご ざいますけれども、先ほど申しましたようにこれは代謝物をひっくるめた形でございま すので、非常に高い値いなのでその部分からチオベンカルブだけ補正するということで、 先ほどの割合から試算するということでございます。  その試算が14日と28日の結果ということでございますので、各部位のTRRとして のBCFの平均に、それぞれの存在比率を掛け合わせて、魚肉につきましては41、内臓 については93ということで、本来であれば魚体全部での存在比がわかればいいんです けれども、部位別でしかなかったということでございますので、それぞれについて求め てどちらか高い方を採用するという形にしてございます。魚肉については41、内臓につ いては93ということがございましたので、高い方ということで魚類についてはBCFと して93を採用するという結果にまとめてございます。  シジミの方は複雑ではなくて、2つの濃度で取り込み試験、排泄試験を実施してござ います。チオベンカルブ及び代謝物の定性試験を実施した結果ということで、チオベン カルブは第一濃度区で1週目、第二濃度区で2週目で平衡に達するということで、チオ ベンカルブとしてのBCFは、それぞれ第一濃度区では690、第二濃度区では2,908だ ったということでございます。  それぞれについて推定残留量ということで、今回は貝と魚類それぞれについてBCF が求められているということがありましたので、魚類・貝類それぞれについて推定残留 量を算出してございます。魚類につきましては0.30 ppbに先ほどのBCFF93を用いて 試算したところ、0.01395 ppmということでございます。貝類につきましては、0.30 ppb に先ほどの2,908を用いて試算したところ0.4362 ppmということで、それぞれについ ての推定残留量を求めたということでございます。これらが基準設定の基礎となってい るということでございます。  「8.乳牛における残留試験」でございますが、チオベンカルブを与えて乳中への残 留、また畜産物、肉等についての残留試験が実施されてございます。これは米国の試験 でございますけれども、乳牛についての飼料からの最大負荷量(MTDB)を0.58 ppmと評 価して基準値の設定の検討にしているということでございます。  「9.産卵鶏における残留試験」でございますが、チオベンカルブを記載量を28日 間投与して筋肉、脂肪、また卵についての残留を見ているということでございます。こ れも米国で行われた試験でございますけれども、MTDBについては米国では0.58 ppm と評価して、この評価値から基づいた基準値を設定するというところでございます。  「10.ADIの評価」でございますが、先ほどの安全委員会の評価に基づいて 0.009mg/kg体重/日ということでございます。  「11.諸外国における状況」でございますが、JMPRでの毒性評価はなされていない ということで、国際基準も今のところ設定されていません。5か国について調査したと ころ、米国では米、畜産物等に、またオーストラリアでも米に基準が設定されていたと いうことでございます。  「12.基準値案」、残留の規制対象でございますが、チオベンカルブ本体のみという 規制を考えてございます。農作物につきましては代謝物についても作残試験で分析して ございますが、定量限界未満、またはチオベンカルブと比較して十分低いということで ございますので、今回代謝物は含めないということでございます。  畜産物につきましても代謝物については非常に低く。一部の臓器について検出されて いますが、MTDBを考慮しますと定量限界未満または定量下限と同程度と判断されると いうことから、規制対象には含めないこととしてございます。  魚介類につきましては、推定残留量を算出するときに得られたものにつきましては、 一部補正して計算してございますけれども、チオベンカルブのみを対象にしたというこ とでございますので、規制対象は本体のみとしてございます。  基準値案は21ページからでございます。登録の有無に「○」がついているのが日本 で登録のある部分ということでございます。今回、作残データを見直しまして必要に応 じて、ほかの剤でもございますが、下方修正等の修正を行っているものがございます。 例えば、小麦、大麦等につきましても今0.1ppmでございますけれども、作残データを 見直しまして0.05ppmへの下方修正をしているというものでございます。  現行で0.2ppmということで過去に基準を設定しているものがございますが、現状で は登録もない、また、海外でも基準の設定がないということがございますので、現行基 準ではありますけれども基準の削除ということで考えてございます。  また、22ページで畜産物、その他スパイス・ハーブにつきましては、暫定基準の設定 を行ったところでございますが、その他スパイス・ハーブにつきましてもデータがない ということでございますので削除。  また、畜産物につきましては、暫定基準設定時につきましてアメリカの基準を参考に 基準を置いてございました。ただ、今回アメリカからの設定根拠になった乳牛、また、 産卵鶏のデータを見ますと、すべて定量限界未満ということでございますので、0.2ppm まで置く必要はないのではないかということで、一応下方修正ということで畜肉につい ては0.01ppm、乳についても0.01ppm、また、鶏関係につきましては0.03ppmという ことで基準を修正してございます。  魚介類につきましては、貝類と貝類以外の魚介類の2つに分けて基準を設定するとい うことで、貝類については0.5ppm、貝類以外の魚介類につきましては0.02ppmという ことで基準値案をまとめてございます。  これらにつきまして暴露評価でございますが、国民平均につきましては20.7%、幼小 児の方で36.4%、妊婦の方で18.0%、高齢者の方で20.1%ということで、いずれもA DI比80%以下を確認しているということでございます。  答申案といたしましては25ページにまとめてございますが、現行基準でも今回見直 した部分につきましては今回の魚介類と併せてまとめているところでございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの説明について御意見・御質問ございますか。  作用機序が食品安全委員会の答申書と今回のと違うわけですけれども、企業の報告書 から当たってみると今回の答申案になるということですが、食品安全委員会の方に連絡 する必要はないんですか。 ○事務局 連絡したいと思います。 ○大野部会長 では、お願いします。ほかにございますか。  今、アメリカの方での肉類の値が全部定量限界以下だったというお話だったと思いま すが、それは別紙2の表に入れなくていいんですか。ほかのアメリカのデータは入れて あるんですけれども。 ○事務局 いつも畜産物につきましては、作物残留試験の成績に入れていなかったもの ですから、従来の書き方に倣ってまとめていたところでございます。 ○大野部会長 ほかのところもアメリカのデータは本文中にもないですよね。 ○事務局 いつも畜産物の残留試験につきましては、農薬に関しては本文でいけば13 ページの「8.乳牛における残留試験」、また、14ページの「9.産卵鶏における残留 試験」という文書中にまとめて記載してございまして、残留基準案の一括表の中には農 作物については試験結果があれば入れ込んでございますけれども、畜産物については従 来から入れ込んでいなかったので、それに倣った形になってございます。 ○大野部会長 どうしましょう。これだけないと何か変な感じがしますね。 ○事務局 では、今後はどういう形で入れるか、また案を先生方に見ていただいて入れ た表にしたいと思います。 ○大野部会長 お願いします。 ○事務局 暴露評価で1点付け加えさせていただければと思います。23ページで先ほど 推定摂取量を試算しましたということで御説明しましたが、魚介類のところで今回貝と 貝類を除く魚介類ということで2つ基準案を設定してございますが、今回の魚介類につ いての摂取量につきましては細かく分けないで、魚介類の高い方の貝類の基準を用いて、 魚介類の摂取量という形で掛け合わせて、一応高めの暴露評価で評価させていただいて いるということです。また、今後必要があれば魚介類を更に区別して暴露評価する必要 もあるかもしれませんが、今回は一応高めに評価したとしてもADI比については十分 だったということでございます。 ○大野部会長 わかりました。  青木先生いかがですか。 ○青木委員 今のことを質問しようかと思っていました。 ○大野部会長 では、よろしいですか。  ほかに御意見ございますか。 ○佐々木委員 12ページのブルーギルのBCFの求め方の計算式がよく理解できないん ですが、詳しく説明していただけないでしょうか。下から2行目と3行目に書いてある 魚肉と内臓の108と439という値は、14日と28日の分析結果から出た値ということな んでしょうか。 ○事務局 そうです。108というのは14日と28日の分析結果で、それぞれ14日は88、 28日について128というデータをいただいてございまして、その平均で108というこ とで試算してございます。  内臓につきましても、14日で424、また28日で454ということでいただいてござい ます。その平均で439ということでございます。 ○佐々木委員 各成分の存在比が測定されているということは、存在比が測定されてい るのに前の一日目のデータの38%と21%が使用されるというのはどういうことなのか と。 ○事務局 存在比が求められているのが14日と28日の部分だったということでござい ます。 ○佐々木委員 各成分の存在比がわかっていれば、そこでBCFは計算できたのかなと 思うんですが。 ○加藤委員 補足します。今ので14日と28日でBCFは求まるかということですけれ ども、おっしゃるとおり測定されている14日と28日の2時点でのBCFは求まります。 ただ、求まるというのは魚肉部分と内臓部分を分けた状態でのBCFは測定されていま すからわかります。ただ、この課題の中で求めたい魚体全体でのBCFについては、内 臓と魚肉部分での重量比率のデータがあれば計算で求められますし、そういう形で求め ていた薬剤で計算した例もあるんですけれども、この剤のレポートでは、そこについて の数値は記載されていない、添付されているローデータにも記載されていない。それか ら、それを計算するためのほかのデータ、全放射能でのBCFは魚体全体でも出ていま すので、それとの関係から換算することができるかということで検討しましたけれども、 それについては14日と28日に当たる部分でのテータはありませんでした。  ということで、この剤についての計算は、やむを得ず魚肉と内臓を別々のままレポー トに書いてあるデータのままで扱って、あえて魚肉と内臓の比率を人為的に勝手に設定 して決めるのではなくて、この中での大きい方をとったという経過です。 ○佐々木委員 そうしますと、ここの14日と28日の各成分の存在比率というのは……。 ○加藤委員 これは全放射能を代謝物分析しまして、それから、数代謝物以上、同定さ れている代謝物が数種類、その各存在比率(TRR)に対する比率の数値です。  21.1とか38.1というのは、TRR、全放射能中での親化合物の放射能としての比率で す。通常であれば、全放射能の濃度にこの比率を掛ければ親化合物の濃度がわかるとい う比率です。 ○佐々木委員 ちょっとまだよくわかりませんが、後でよく考えてみます。各成分の存 在比という比率が水と魚体との比率という意味ですか、成分の比率ですよね。 ○事務局 チオベンカルブ本体とほかの代謝物との比率ということで。 ○佐々木委員 それがわかっていれば、その時点だけで計算できないというのが、上の 38%というのが出てくる意味がちょっとよくわからなかったんですが。そこで比率がわ かっているのであれば、それで計算ができてしまうのかなと思ったんですが。 ○加藤委員 今おっしゃっている、まさにそのとおりのことを逆にやっていると御理解 いただいた方がわかりやすいと思うんですけれども、魚肉の108は魚肉だけの全放射能 で測ったBCFということ。それから、内臓については同じように、内臓部分での全放 射能と水中の全放射能の比率で測ったBCFです。それに魚肉でしたら、魚肉中の全放 射能中での親化合物の比率が38.1%を占めていたので、親化合物の濃度に換算した濃度 と水中での濃度は同じですので、それで係数を掛けた格好で親化合物としてのBCFを 出しているというものです。 ○大野部会長 いかがでしょうか。よろしいのではないかと私は思うのですが。 ○佐々木委員 わかりました。上に書いてある推定時間が一日というものと、次の文章 とはつながらないということですね。 ○加藤委員 上の方は90%平衡に達する時間が一日というだけの記述です。 ○佐々木委員 その時点での比率ではないという意味ですね、わかりました。これは14 日後の値であって、一日目ではないということですね。 ○事務局 比率の部分を書き加えた方がいいのかもしれません。魚肉及び内臓のTRR に占める割合というのは14日と28日を見たらこの範囲だったということなので、書き ぶりがよくなかったかもしれませんので、そこも修正して見ていただくようにしたいと 思います。 ○大野部会長 わかりました。なかなか理解できなかったんですけれども、わかりやす い形で文章を修正してくださるようお願いいたします。  ほかに御意見ございますか。それでは、示された答申案でよろしいでしょうか。  では、必要な修正を加えた上で、この答申案をもって当部会の答申とさせていただき ます。ありがとうございました。  それでは、次にいきたいと思います。フルベンジアミドについて説明をお願いいたし ます。 ○事務局 次に、農薬フルベンジアミドにつきまして、資料4−1、資料4−2に基づ きまして御説明申し上げます。  資料4−2の17ページをごらんいただければと思います。この農薬の経緯でござい ますが、一度本部会でも御審議いただいた農薬でございまして、平成16年に農薬登録 の申請があったということで、基準設定について食品健康影響評価を依頼して、平成19 年2月に一度告示しているものでございます。今回はその後、平成19年10月になし、 ネクタリン等につきまして適用拡大の申請に伴う基準設定の要請が農林水産省からあり まして、その部分について食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼して、今回基準値 設定の検討をいただくというところでございます。  食品安全委員会の評価書でございますが、資料4−1に第2版ということでまとめて おりますが、内容的には変わってございません。6ページの要約ですが、各試験で得ら れた無毒性量の最小値はラットを用いた2年間は発がん性試験の1.70mg/kg体重/日で あったので、これを根拠として安全係数100で除した0.017mg/kg体重/日をADIを設 定したという、結果も前回も変わっていないということでございます。  この結果に基づきまして、資料4−2部会の報告書案でございます。品目名はフルベ ンジアミド。用途は殺虫剤ということで、鱗翅目昆虫のカルシウムイオンチャネルに選 択的に作用するということで、筋肉細胞小胞体のカルシウムイオンチャネルの持続的活 性化、いわばカルシウムイオンの細胞質への放出を促進し、体収縮症状を引き起こすこ とにより殺虫作用を示すと考えられているというものでございます。  化学名、構造式につきましては、記載のとおりでございます。  2ページから本剤の適用、使用方法についてまとめてございます。今回括弧書きにし ているところが適用拡大の係る部分ということで、ネクタリン、おうとう、ぶどう、ピ ーマン、なす、きゅうりといったものでございます。  使用方法についても若干拡大申請が行われてございます。なしについては収穫前日ま で、キャベツについて剤型が1つ増えているということでございます。  「6.作物残留試験」ということで、分析の対象といたしましては、本体と代謝物に ついても分析するということでございまして、分析結果については4ページからまとめ てございますけれども、表としては12ページにまとめてございます。非常にたくさん で横表になっております。今回なし、おうとう、ぶどう、きゅうり、なす、ネクタリン といったものが対象になるということでございます。  「7.ADIの評価」でございますけれども、前回と変わってませんで、食品健康影 響評価につきましてはADIとして0.017mg/kg体重/日でございます。  「8.諸外国の状況」でございますが、JMPRにおける毒性評価はなされていない。 国際基準も設定されていないということでございます。主要5か国を見ますと、残留基 準の設定はされていないということでございます。  「9.基準値案」でございますけれども、フルベンジアミド本体ということで、作物 残留試験で代謝物についても分析が行われていますが、検出事例はありますが非常に低 い値であるということ、また、定量限界未満であるということで規制の対象には含めな いということでございます。  基準値案は15ページからまとめてございます。今回ここで「申」と書いてあるとこ ろが適用拡大の部分でございます。キャベツについては剤型が増えて適用拡大ですが現 行維持ということでございます。ピーマン、なすにつきましては新規ですが、作物残留 試験の結果からピーマン3ppm、なす1ppm、きゅうりにつきましても新たな部分です が0.7ppm。なしにつきましては、使用方法について適用拡大がございまして、それに のっとった作物残留試験の結果から、基準値案といたしましては0.7ppmから1ppmに 上方修正を考えてございます。ネクタリン、おうとうにつきましては、新規の適用拡大 で作物残留試験の結果に基づきましてネクタリン1ppm、おうとう2ppmということで ございます。ぶどうにつきましても、新規の適用拡大ですが、2ppmという基準値を案 として設定してございます。  これらにつきまして暴露評価は16ページでございます。そもそもこの農薬につきま しては、TMDI試算でADI比80%を超過するということでございました。今回新たな 部分も加えた形になりますので、同じくEDI試算をしております。国民平均といたしま しては25.1%、幼小児の方で39.2%、妊婦の方で22.2%、高齢者の方で26.1%という ことで、TMDI試算ではADI比80%を超えるというものがございましたけれども、 EDTI試算でADI比80%以下を確認させていただいているということでございます。  答申案は19ページでございます。今回修正、また新たに追加のあった部分のみ答申 案としてまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明についての御意見・御質問はございますか。特にございませんか。  それでは、この答申案をもって当部会の答申としてよろしいでしょうか。  ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。  では、次の品目ベンゾビシクロンについて、説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、ベンゾビシクロンにつきまして資料5−1、資料5−2に基づき まして御説明申し上げます。  まず、資料5−2の13ページをお開きください。この剤のこれまでの経緯をまとめ てございます。平成13年に初回の農薬登録がございまして、米について登録されてご ざいます。  平成17年のポジティブリスト制度導入時に、登録保留基準を参考に暫定基準を設定 したものでございます。今回その暫定基準の部分について食品安全委員会に食品健康影 響評価を依頼して、その部分について御審議いただくということでございます。  資料5−1、食品安全委員会の農薬評価書でございますけれども、評価といたしまし ては21ページにまとめてございます。ラットを用いた動物体内運命試験において、主 に糞中に排出されるということでございます。  また、稲を用いた植物代謝試験が実施されてございます。処理後早期ではアミン置換 やエタノールアミン置換されて、収穫期では稲わら中からアミン置換体及び多数の微量 代謝物が見られたということでございますが、これらの代謝物の玄米への移行は極めて 低かったというような記載になってございます。  ここでは、かなり省略されてございますけれども、各種毒性試験が行われてございま して、ベンゾビシクロン投与による影響は主に肝臓・腎臓に認められたということでご ざいます。  発がんにつきましてはラット、マウスについて行われてございますけれども、発がん 性はなかったということでございます。  繁殖試験につきましてはラットについて行われてございますが、影響はなかった。  催奇形性につきましてはラット、ウサギで発生毒性試験が行われてございますが、認 められなかったということでございます。  遺伝毒性は細菌細胞について行われてございますが、遺伝毒性はなかったということ でございます。  各試験における無毒性量につきましては22ページにまとめてございまして、今回ラ ットの2年間の慢性毒性/発がん性併合試験の結果、雄の3.43mg/kg体重/日という無 毒性量をADIの設定根拠にしているところでございます。安全係数100で除しまして、 ADIといたしましては0.034mg/kg体重/日という評価でございます。  これに基づきまして、資料5−2の部会報告書案でございます。品目ベンゾビシクロ ン、用途は水稲に使われる除草剤ということで、作用機構といたしましてはカロチノイ ド生合成経路を阻害することにより、クロロフィルを減少させ、白化、枯死させると考 えられているということでございます。  化学名、構造式につきましては記載のとおりでございまして、2ページから水稲への 使用方法についてまとめているところでございます。  「6.作物残留試験」の分析の対象といたしまして、本体と代謝物について分析して ございます。これらをまとめたものにつきましては10ページでございます。水稲と稲 わらについても記載させていただいてございます。すべて適用範囲内で行われていませ んので、先ほど吉池委員から御指摘があったとおり、ここは注意書きを書かせていただ くこととしたいと思います。  「7.ADIの評価」は先ほどのとおりでございますが、0.034mg/kg体重/日という ことでございます。  「8.諸外国における状況」でございますが、国際基準の設定はなく、5か国でも基 準の設定はされていないということでございます。  「13.基準値案」でございますが、規制対象はベンゾビシクロン本体ということで考 えてございます。代謝物の分析も行われてございますけれども、定量下限未満であった ということでございます。  基準値案は11ページでございます。基準値の現行は暫定基準設定時に登録保留基準 を採用して0.1ppmという値でございますが、作物残留試験成績の結果から今回、 0.05ppmと下方修正してございます。  暴露評価でございますが、TMDI試算で国民平均0.5%、幼小児の方で0.9%、妊婦の 方で0.4%、高齢者の方で0.5%ということで、いずれも80%以下を確認してございま す。  今回、米だけの見直しということで、答申につきましては14ページに米0.05ppmと いう形でまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの説明についての御質問・御意見ございますか。 ○斉藤委員 本当に些細なことで恐縮なんですけれども、資料5−2の1ページ目の構 造式や化学名のCASの下の方に「bicyclo」とあるんですが、IUPACの方も「bicyclo」 なんですね。評価書を見ますと「bicycle」になっているんですね。これは転記を間違え たのかなと思っていたんですけれども、評価書の23ページの代謝物を見ますと、こち らは多分IUPACで記入しているかなと思うんですが、BはいいとしてD、Eがやはり 「bicycle」になっているんですね。どっちが間違っているかわからないんですけれども、 確認していただいた方がよろしいかと思います。 ○事務局 確認させていただいて、正確な記載にしたいと思います。 ○大野部会長 「サイクル」と言うことはありましたか。評価書の方が間違いというこ とですね。 ○斉藤委員 評価書が間違えているということですね。 ○大野部会長 では、それは食品安全委員会の方に確認しないといけないですけれども、 間違いだと思いますが、一応確認していただいて連絡してください。お願いします。 ○事務局 当方でも資料等を確認いたします。 ○大野部会長 ほかにございますか。 ○佐々木委員 細かいことですけれども、「2.用途」の2行目の「枯死する」は「枯死 させる」の方がよろしいのではないでしょうか。 ○大野部会長 そうですね。植物が主語ではないから。そのように修正をお願いします。  ほかにございますか。  これもすごく毒性に性差があるようですね。今度は雄の方が強いですね。構造から何 かこれはというのはあるんですか。 ○山添委員 前の方は多分エステルの加水分解があって、結局、腎臓から排泄のトラン スポートの加減でラットの場合出ていたのだろうと思うんですけれども、こちらは多分 グルタチオンのコンジュゲートでSのところが脱離する付加の脱離だと思うんですが、 多分その個数のレベルに性差があるのだろうとは思いますが、はっきりはしません。 ○大野部会長 雄特異的なティオーマルは先生は随分やっておられましたけれども、そ の関係で何かここはというのがあるのかと思ったんですけれども。  ほかに御意見ございますか。それでは、若干用途のところで文面の修正がございまし たけれども、ほかに特になければ、修正したものを当部会の報告といたしたいと思いま すが、よろしいでしょうか。  では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。  それでは、今日の最後の品目ですが、メフェナセットについての説明をお願いいたし ます。 ○事務局 最後になりますが、メフェナセット、農薬でございます。資料6−1、資料 6−2に基づきまして御説明申し上げます。  まず、資料6−2の14ページをごらんいただければと思います。この農薬の経緯で ございますけれども、平成8年に農薬の登録をしているものでございまして、その後、 食品衛生法に基づく残量基準を米について設定しているというものでございます。  食品安全委員会には、平成15年に清涼飲料水の関係で評価依頼を行っているもので ございまして、平成19年8月に農林水産省から魚介類への基準設定の要請がございま したので、その分も併せて食品安全委員会に評価依頼をしていたものでございます。  今回魚介類への基準の設定と、先ほど他の剤でもございましたが、現行の基準の見直 しについても御検討いただくということでございます。  資料6−1、食品安全委員会の農薬評価書でございますが、評価につきましては33 ページでございます。動物体内運命試験につきましてはラットで見られてございまして、 主に尿中に排出されたということでございます。  また、植物体内運命試験につきましては、米に使うものでございますので稲で見られ てございまして、残留性、玄米への移行も低かったということでございます。  詳細は書いてございませんけれども、土壌中運命試験、水中光分解、土壌残留等々が 評価されてございます。  動物への毒性試験でございますが、各種毒性試験の結果からということでございます。 急性毒性につきましてはラット、マウスで実施されてございます。また、亜急性毒性に つきましてはラット、マウス、イヌ等で見てございます。慢性毒性についてはイヌでご ざいまして、発がん性につきましてはラット、マウスで見てございますが、発がん性は 認められなかったということでございます。  繁殖、毒性につきましてはラットで試験されてございますが、繁殖への影響はなく、 ラット、ウサギを用いた発生毒性試験の結果からは催奇形性はなかったということでご ざいます。  遺伝毒性につきましても、すべての試験で陰性だったということでございます。  無毒性量につきましては33ページの後段からまとめられてございます。  ラットの亜急性試験で、無毒性量は設定できなかったというものがございますが、こ れはより長期のラットの慢性毒性の試験でカバーするという評価がなされてございます。  最終的にはADIの設定根拠といたしましては、ラットの2世代繁殖試験で親動物の 雄、雌のF1でも見られてございますが、0.7 mg/kg 体重/日という無毒性量をADIの 設定根拠といたしまして、100で除しまして0.007mg/kg体重/日という評価でございま す。  この評価書に基づきまして資料6−2の報告書案です。メフェナセットですが、水稲 に用いられる除草剤ということで、作用機構といたしましては根部の先端の成長点また 地上部成長点での脂肪酸生合成に作用する、植物の生育を停止させるということでござ います。  化学名、構造式につきましては記載のとおりでございます。  2ページから使用方法ということで掲載されてございます。水稲にのみ使用するとい うことでございます。  「6.作物残留試験」につきましては、本体と代謝物について分析してございます。 その結果につきましては11ページでございます。  「7.魚介類への推定残留量」ということで、これは水稲に用いますので水田PEC を算出してございます。1.3ppbということでございます。  生物濃縮係数につきましては、log10Powが3.23ということでございましたので、実 測値がないということで、相関式を用いてBCFについては116という試算でございま す。これらの値から推定残留量を求めましたところ、0.754ppmということでございま す。  「8.ADIの評価」ですが、これは先ほどの食品安全委員会の評価書のとおりでご ざいまして、ADI0.007mg/kg体重/日ということでございます。  「9.諸外国における状況」でございますが、JMPRにおける毒性評価はなされてい ないということで国際基準もなく、主要5か国についても基準値の設定はないというも のでございます。  「10.基準値案」でございますけれども、まず、規制の対象でございますが、メフェ ナセット本体ということで、作物残留試験については代謝物1物質について分析を実施 してございますけれども、定量下限未満であったということで規制の対象は本体のみと いうことで考えてございます。  また、水産物につきましても、用いた係数がメフェナセットのみを対象としていると いうことでございますので、本体のみの規制ということで考えてございます。  基準値案は12ページでございます。現行では0.1 ppmという残留基準が米に置かれ ているところでございますが、今回、作物残留試験を見直しまして0.05 ppmへの下方 修正をしてございます。  魚介類につきましては、先ほどの推定残留量の結果を踏まえまして0.8 ppmという値 でございます。  これらにつきまして暴露評価でございます。国民平均で22.7%、幼小児の方で35.4%、 妊婦の方で21.1%、高齢者の方で22.3%ということで、いずれもADI比80%以下を 確認させていただいているというものでございます。  答申案といたしましては15ページでございますが、米の部分も現行から下方修正し てございますので、新たに設定した魚介類と併せて表にまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明について御質問・御意見ございますか。 ○佐々木委員 7ページの「(2)分析法の概要」のところですが、代謝物IIIについてたし かベンジル化という記載があったかと思うんですが、それを追加していただいた方がよ ろしいと思います。 ○事務局 それは追加した形で、また文章を見ていただいて訂正したいと思います。 ○大野部会長 お願いします。ほかにございますか。  それでは、今の分析法の概要のところに修正が入りましたけれども、それを修正する ということで、この案を当部会の報告としてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  今日の品目は終えたと思いますけれども、先ほどの残った問題についてはいかがでし ょうか。 ○事務局 先ほど御指摘をいただきましたブロノポールのn−オクタノール/水分配係 数1.3の件についてですけれども、この1.3というのはlogではありませんでした。と いうことで、logに換算すると0.12ぐらいになるということです。 ○大野部会長 では、文章が正しかったということですね。 ○山添委員 その際に、オクタノールの分配率の表現を、ほかでは全部logで表記して いますよね。今後のことですけれども、何らかの形で統一するのか、何かしておいた方 が安全かもしれません。10倍違ってくることになるので。 ○事務局 では、わかりやすいようにしたいと思います。 ○大野部会長 お願いします。  ほかにもあったかと思いますが。 ○事務局 他の部分は少し確認に時間がかかりそうなので、後日、文章修正の確認のと きに各委員にお知らせしたいと思います。 ○大野部会長 わかりました。では、文章の修正ができましたら、また皆さんに送って 確認してくださるようお願いいたします。  それでは、事務局から今後の手続について説明をお願いします。 ○事務局 本日御審議いただいた農薬については、幾つか御指摘がありましたので、そ れらの指摘についてこちらで確認をした上で、先生方にまた確認をお願いしたいと思い ます。  それと、先ほどの動物用医薬品のニシン目のブロノポールについては、食品安全委員 会からの通知をもう受けているので、これについては本案をもって部会報告書とさせて いただきたいと思います。  今後の手続については、食品衛生分科会にお諮りするとともにパブリックコメント、 WTO通報の手続を進める予定としております。 ○大野部会長 ありがとうございます。  その他は何かございますか。 ○事務局 次回の本部会の開催日程についてですけれども、3月12日水曜日、14〜17 時30分で、厚生労働省共用第8会議室を予定しております。既に開催通知については 委員の皆様にお送りさせていただいております。 ○大野部会長 3月は2回ということですけれども、よろしくお願いいたします。  ほかにございますか。  それでは、以上をもちまして薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬 品部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487、2489)