08/03/04 平成19年度女性の活躍推進協議会議事録 平成19年度女性の活躍推進協議会 日時   平成20年3月4日(火) 10:00〜12:00 場所   厚生労働省職業安定局第1会議室(13階) 出席者  福原座長、内永委員、内海委員、大戸委員、大橋委員、岡田委員、高橋委員、      立石委員、樋口委員、前田委員、水越委員、茂木委員、山崎委員 (事務局)大谷雇用均等・児童家庭局長、村木審議官、安藤雇用均等政策課長、大地均      等業務指導室長 議事次第 1 開会挨拶      2 委員ご紹介      3 座長選出      4 今年度及び今後の活動について      5 意見交換 ○安藤課長  ただいまから、女性の活躍推進協議会を開催させていただきます。本日 は大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。冒頭、 大谷雇用均等・児童家庭局長がご挨拶する予定でございましたが、急遽、       国会に呼ばれまして、遅れて出席する予定でございます。到着次第、ご挨       拶させていただきますが、初めに当局の村木審議官から、簡単ではござい       ますが、ご挨拶を差し上げます。 ○村木審議官 雇用均等・児童家庭局で審議官をしております村木でございます。今日       は本当にありがとうございます。局長、遅れておりますが、間もなくまい       ります。        均等法が出来てから、もう20年を超えました。この間、2回の改正を       いたし、今年度から改正男女雇用機会均等法が施行ということで、法律的       には本当に完成された形になり、あとはどうやって実態を付いてこさせる       かというところになっています。その意味で、ポジティブ・アクションは、       これから非常に大事な施策になると考えております。そういう意味で私ど       もは、この会議を非常に大事な会議だと思っております。        実は私、この会議が最初に出発するときに担当課長をしておりました。       この問題、財界のトップの方が語っているということを何とか世の中にお       示ししたいということで企画をしたわけですが、その後、本当に皆様方の       ご協力をいただきまして、大変よい形でこの会議が発展し、非常に大きな       広報効果を上げているということで、改めて御礼を申し上げたいと思いま       す。また、このメンバーの皆様方には、私ども、この会議のみならず、日       ごろから大変お世話になっており、改めて御礼を申し上げたいと思います。       私ども、女性の能力をしっかり使える国にしたいということで頑張りたい       と思っておりますので、何卒、ご協力をよろしくお願いいたします。 ○安藤課長  早速ですが、本日は、委員の任期の1期2年が経過したことに伴い、丹       羽座長を含む3名の方が交替しておられます。座長が選出されるまでの間、       事務局が司会進行を務めさせていただきます。        まず、お手元の資料1をご覧ください。委員名簿が配られております。       伊藤忠の丹羽宇一郎様、ニチレイの相談役の手島忠様、日本経団連の専務       理事の紀陸孝様が退かれたということで、今回は、新たに3名の方にお願       いを差し上げました。それでは、順に端からお一人ずつ紹介していきたい       と思います。        日本アイ・ビー・エム株式会社技術顧問、NPO法人J−Win理事長       の内永ゆか子様です。NECラーニング株式会社代表取締役執行役員社長       の内海房子様です。株式会社ニチレイ相談役の大戸武元様です、新たに委       員になっていただきました。株式会社MRI代表取締役の大橋光博様です。       株式会社ベネッセコーポレーション執行役員の岡田晴奈様です。社団法人       日本経済団体連合会参与の高橋秀夫様です、新たに委員をお引き受けいた       だきました。オムロン株式会社相談役の立石信雄様です。東京海上日動火       災保険株式会社相談役の樋口公啓様です。株式会社資生堂名誉会長の福原       義春様です。株式会社みずほフィナンシャルグループ社長の前田晃伸様で       す、新たに委員になっていただきました。株式会社セブン&アイ・ホール       ディングス常務執行役員の水越さくえ様です。東京商工会議所常務理事の       茂木洋様です。全国中小企業団体中央会常務理事の山崎克也様です。        事務局に並んでおります者を紹介させていただきます。冒頭、ご挨拶を       差し上げました審議官の村木です。雇用均等政策課均等業務指導室長の大       地です。私、雇用均等政策課長を務めさせていただいております安藤と申       します。よろしくお願いいたします。        次に、メンバー交替がございましたので、協議会の座長、座長代理の選       出をお願いしたいと思います。資料2、開催要綱をお配りしておりますが、       これによりますと、座長は、委員の互選ということになっています。どな       たか、ご推薦をいただけませんでしょうか。 ○大橋氏   かねてより女性の活躍推進に大変ご理解があられまして、本日付の各紙       の冒頭に出ていますが、女性の副社長を果敢に登用された、資生堂の福原       名誉会長が最適任と存じますが、いかがでしょうか。 (異議なし) ○安藤課長  ありがとうございました。皆様、互選により、福原委員が座長にご就任       されることになりました。恐縮ですが、座長席へお移りいただきたいと思       います。それでは、以降の議事進行につきましては、座長のほうによろし       くお願い申し上げます。 ○福原座長  福原でございます。ただいま、皆様のお話で座長をお引き受けすること       になりました。どうぞ皆様の活発なご議論をいただくよう、司会をするつ       もりですので、よろしくお願いいたします。        この協議会では座長代理を置くということになっていますので、指名さ       せていただきたいと存じます。座長代理は、引き続き水越委員にお願いし       たいと思いますが、いかがでしょうか。 (異議なし) ○福原座長  では、よろしくお願いいたします。 ○水越氏   僭越ではございますが、よろしくお願いいたします。 ○福原座長  本日の議題は、女性の活躍推進協議会の今年度と今後の活動についてご       議論をいただくということです。まず、本年度の活動等について、事務局       からご説明をいただきます。 ○安藤課長  手元に資料を用意しておりますので、本年度の活動状況のご報告と、若       干、私どもの行政の活動についてのご説明を併せてさせていただきたいと       思います。資料No.3をご覧ください。これは、平成19年度の本協議       会の委員の方々の取組についてまとめたものです。        本年度は、7月5日に女性と仕事の未来館においてシンポジウムを開催       しました。「ポジティブ・アクションの成功の鍵を考える」というテーマ       で、手島前委員、内永委員、岡田委員にパネラーとしてご参加いただき、       大変活発なご議論をいただいたところです。        また、今後のことになりますが、本日の協議会の内容と併せ、委員数名       のインタビューを含め、今月末発行の経済誌6誌に広告記事を載せたいと       思っております。本日も取材が入っていますので、どうぞよろしくお願い       申し上げます。        また、別紙の資料にまいりますが、各委員に活動していただいた状況に       ついての報告をまとめております。こちらの資料につきましては、恐縮で       すが、委員限りというお取扱いでお願い申し上げます。        最初の部分は、講演やセミナーでの活動状況をご報告いただいたもので       す。内永委員、内海委員、大橋委員、岡田委員、立石委員、福原委員、水       越委員、茂木委員からご報告をいただいておりますが、各委員のお立場を       活用していただき、さまざまな場でご発言をいただいているほか、私ども       の関連団体の21世紀職業財団の事業にもご協力いただいており、誠にあ       りがとうございます。また、各企業・団体においてのお取組がまとめてあ       ります。簡単にご紹介申し上げます。        いちばん上の日本アイ・ビー・エム様では、今年、社長直属で5つのカ       ウンシルを立ち上げたほか、発足10年を迎える女性カウンシルでは、引       き続き、女性キャリアの支援のための活発なご活動をいただいているとこ       ろです。        ニチレイ様は、別添の資料をご用意いただいておりますが、特に2007年       にはワーク・ライフ・バランスデータベースの開設と育児休業ガイドブッ       クを作成されたということで、新卒の採用実績も伸ばしていらっしゃると       いうようなご報告です。        日本経団連様では、「子育てにやさしい社会づくりに向けて」というパ       ンフレット、ダイバーシティ推進のための事例の普及、セミナーの開催な       どの取組を進めていただいております。        オムロン様では、採用、育成・登用、環境という3側面からポジティブ       ・アクションに取り組んでおられ、管理職育成や女性の働きやすい環境の       整備に成果を上げておられるということです。        東京海上日動火災保険様では、「育児フルサポート8つのパッケージ」       というお取組を続けていただいているほか、ネットワーキング、後進育成       など、女性管理職の主体的な取組をサポートして女性の育成に寄与してい       るということです。        資生堂様では、企業価値創造委員会の下に男女共同参画部会を新設され、       また、2007年5月には、次世代育成対策支援推進法の下で認定、くる       みんマークですが、それを取得されたということです。        みずほフィナンシャルグループ様では、4つのRという基本方針の下で       女性活躍の推進を進めておられ、この2月、3月、ご覧になった方もおら       れるかと思いますが、日経新聞で女性活躍推進のシリーズ広告を出してお       られます。        東京商工会議所様では、ワーク・ライフ・バランス推進のための中小企       業向けのハンドブック、アンケートの実施、各種セミナーの開催などを進       めていただいております。        全国中小企業団体中央会様では、女性部の組織や交流、各地でのセミナ       ーの開催といったことを通じた取組を進めていただいているということで       す。        次に資料4に移ります。ここから資料7まで、私ども行政の最近の取組       をご用意しておりますが、このあとのご議論のご参考になればという趣旨       です。        資料4は、厚生労働省が昨年11月に策定いたしました男女雇用機会均       等対策基本方針です。これは、平成18年に均等法が改正されましたが、       その下で作られた初めての基本方針で、今後5年間をカバーするというも       のです。真ん中辺りに水色の紙がありますが、その後ろのほうに図表をご       用意しております。        その中の、例えば図表2に見られますように、女性の年齢階級別労働力       率は、全体で見ますと、この10年ほどに上昇が見られますが、その下の       図表3で見ていただきますと、配偶関係別の労働力率は、それ自体はあま       り大きな変化がないということで、この間の労働力率の上昇は未婚者比率       の上昇によって得られた部分が大きいことがわかります。また、よく言わ       れることですが、第一子の出産を機に7割の女性が退職している実情があ       り、既婚女性が働き続ける環境もあまり変化していないのではないかとい       うところです。        また、企業としても、女性の職域拡大などには随分取り組んでいただい       ておりますが、図表16に管理職比率の図がありますが、だいぶ上がって       きてはいるものの、水準としてはまだかなり低い状況です。図表18にポ       ジティブ・アクションの取組状況の図がありますが、平成18年の数字で       は、平成15年と比べて平均で見ても、「取り組んでいる」あるいは「取       り組む予定だ」というところは、10ポイントほど下がったという結果が       得られています。特に中小企業での取組が浸透しないという現状もありま       す。        この基本方針では、こうした現状を捉え、まず、均等法が、過去2回の       改正を経て、成立当時に指摘されていた法制上の課題はほぼ解決され、法       制度としての整備が進展する一方で、特に最近10年ほどには、均等確保       に向けた動きに鈍化が見られるということを指摘しております。その背景       には、出産や育児などによって離職する女性が依然として多く、先輩の女       性も少ない中で女性の継続的な職業キャリア形成がなかなか困難である、       また、家庭生活を営みながら就業を継続していくということについての具       体的なビジョンが持ちにくくなっているのではないかと書いております。       参考資料の水色の紙の直前の所にポンチ絵が2枚用意してありますが、そ       の1枚目がその辺りを整理した図です。        そうした現状を踏まえた上で今後とるべき施策として、基本方針におい       ては、まず大きな1点目として、均等法の確実な履行確保は前提ではあり       ますが、その上で、働き続けることを希望する方が就業意欲を失うことな       くその能力を伸ばすことができるような環境の整備、つまり、プラスのイ       ンセンティブが上手に働くようにするということが大事だということ。2       点目としては、ワーク・ライフ・バランスを図るための条件整備を図るこ       と。つまり、家庭責任などのマイナスのインセンティブをどうやって小さ       くするかということが必要だと指摘しております。        さらに、これら2点については、法の履行確保だけではなかなか進展が       見られない状況が続いているわけで、一つひとつの企業の中で雇用管理制       度の運用まで含めて現場をどうやって変えていくのかということが問われ       ることになりますが、これを実現する行政手段としては何があるのかとい       うことになりますと、3点目ですが、ポジティブ・アクションの取組の支       援の必要性、これを改めて強調しているわけです。        4点目として、さはさりながら、多くの方がお辞めになるという現状の       前では、一旦就業を中断した方が再就職、再就業できる環境を整えること       も大事だとしております。        今後、私どもとしましては、こうした方針に沿って当面の政策を進めて       いきたいと考えております。以上が基本方針の内容です。        続きまして、資料No.5、表彰についてのパンフレットをご用意して       おります。均等・両立企業表彰ということで、従前は均等推進企業表彰と       ファミリー・フレンドリー企業表彰と2つのものがありましたが、今年度       からこれを統合いたしまして、均等分野と両立分野、双方で特に優れた取       組をしていただいている企業にはグランプリを差し上げる、という形にい       たしました。今回、初めて表彰したわけですが、合わせて88社のご応募       をいただきました、しかし、残念ながら今年度は、グランプリは出ません       でした。来年度、秋にまた表彰いたしますが、それに向けて、今月いっぱ       いが募集期間です。委員の皆様方の企業には、是非ともご応募をお願いし       たいと思いますし、また、団体からの呼掛けも、引き続きご協力をお願い       申し上げます。        次に資料No.6です。機会均等推進責任者という制度がありまして、       私どもの地方機関の労働局が企業の人事労務担当の責任者を機会均等推進       責任者に委嘱させていただくという制度です。現在、全国で6万5,00       0人ほどの委嘱がありまして、この方々向けに従来から行政情報その他を       提供してまいりましたが、その手段として今年からメルマガを始めました。       創刊号をご参考にお付けしておりますが、行政情報、企業における均等関       係の問題の解決事例など、幅広く提供していくこととしております。これ       はご紹介です。        資料No.7です。これは、11月に開設しましたポジティブ・アクシ       ョン応援サイトのチラシです。このサイトには各社のポジティブ・アクシ       ョンの事例が登録されており、自由に閲覧、検索ができるほか、ここに自       社の取組を載せたいという企業さんがおありでしたら、自主的に登録がで       きるという仕組みになっています。現在、275社からのご登録をいただ       いており、ある意味、PRにもなりますので、ご活用いただければと思い       ます。        続きまして資料No.8ですが、僭越ながら、来年度の当協議会として       の活動の案を用意させていただきました。1つ目は、来年度もシンポジウ       ムを開催してはどうかというご提案です。時期的には、企業表彰も秋に予       定しておりますので、この秋ごろ都内で、と考えております。開催の可否       やテーマなどにつきまして、このあとまたご示唆をいただければ幸いです。       また、基本方針にもありましたように、ポジティブ・アクションも、それ       自体の浸透度が未だ低いということもありますので、委員の皆様方にも引       き続き発信のためのご活動をお願いできたら、というのが(2)です。特に私       どもとしては、来年度は、先ほどご紹介しました機会均等推進責任者向け       メルマガにエッセーのような形でご登場いただくといったことも考えてお       りますのと、マスメディアを通じた広報も企画したいと思っております。       その際にご登場いただくというような形でご協力いただければ幸いです。       (3)(4)につきましては、ポジティブ・アクション応援サイトや企業表彰につ       いての参画、また、参加企業への周知などに引き続きご協力いただければ       と思っております。資料に関してのご説明は以上です。 ○福原座長  ありがとうございました。それでは、大谷局長が戻られましたので、一       言ご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○大谷局長  遅れまして、大変失礼申しました。雇用均等・児童家庭局長の大谷でご       ざいます。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日はお忙しいところご       参集いただきまして、厚く御礼を申し上げます。こういう大事な会議でし       たが、私のほうは、今ちょうど少子化関係の法律を国会に提出しており、       それでこちらに参るのが遅れました。大変失礼申し上げました。        人口減少社会が到来する中で活力ある社会を維持・発展させていくには、       多様な人材がその意欲と能力を最大限に発揮できる環境の整備が必要不可       欠となっています。そのための取組が企業の持続的な発展、ひいては我が       国の経済発展につながるものであると考えております。私ども、行政とし       まして、こうした課題に対応し、公正かつ多様な働き方を実現するために、       昨年4月に施行された改正男女雇用機会均等法に基づき、男女の均等な機       会及び待遇の確保に努めているところです。また、昨年の12月ですが、       労使の代表にもご参画いただいて取りまとめました「仕事と生活の調和」       、いわゆるワーク・ライフ・バランス憲章、それから「仕事と生活の調和       推進のための行動指針」、この憲章と行動指針を踏まえ、働く人が仕事と       生活の調和をさせつつ、その能力を発揮し、充実した職業生活を送ること       ができるよう、施策を展開しているところです。また、ご承知のことかと       思いますが、来月より改正パートタイム労働法も施行となるわけですが、       こういった法制の中で、働き方やその貢献に応じた公正な待遇が実現され       る社会というものを目指してまいりたいと考えております。        今後、さらに仕事と生活の調和を図りつつ、誰もが主体的な働き方やキ       ャリアを選択できるような環境を整備してまいるためには、一つひとつの       企業において、雇用管理制度やその運用の見直しが行われることが重要で       す。昨年11月に策定された「男女雇用機会均等対策基本方針」において       も、実質的な均等確保のためには、企業の自主的な取組であるポジティブ       ・アクションが必要であると強調されているところです。しかしながら、       このポジティブ・アクションの取組状況を見ますと、大企業では相当程度       の企業において取り組まれているものの、その動きには鈍化が見られると       ともに、中小企業への浸透も十分ではないという状況にあります。行政と       して、ポジティブ・アクションの趣旨及びその内容の正しい理解が促進さ       れるよう、一層の周知徹底を図っていかなければならないと考えておりま       す。        この「女性の活躍推進協議会」は、平成13年度から、経営トップの方       々にご参集いただき、開催しているところです。我が国を代表する経営ト       ップの方々が発信源になって行動していただくことにより、社会全体に及       ぼす影響は極めて大きいものと考え、期待しているところです。この活動       を通じて、ポジティブ・アクションは、制度上の男女平等だけでなく、男       女ともに活躍する企業を目指すものであること、また、女性のためだけで       はなく、男性にとっても企業にとってもプラスになるものであるというこ       とについて、多くの企業の方々が認識を深め共有していただくよう、強く       願うものです。        本日これから、本協議会としての活動についてご発言をいただく時間を       設けておりますが、政府の取組に対するご意見も含め、忌憚のないご発言       を頂戴いたしますよう、お願い申し上げたいと思います。また、この協議       会が我が国全体のポジティブ・アクションの発展につながりますよう、心       よりお願い申しまして、大変遅参いたしましたが、私からのご挨拶とさせ       ていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○福原座長  大谷局長、ありがとうございました。先ほどの安藤課長からのご説明、       ただいまの大谷局長からのご説明にありましたように、女性の活躍推進協       議会のこれから果たすべき機能と言いますか、何を目指していくかという       ことを大体おわかりいただいたと存じます。        これから意見交換に移りたいと思うわけですが、ポジティブ・アクショ       ンに関する企業の取組の現状を見ますと、局長の話のように、ポジティブ       ・アクションに取り組んでいるという企業の割合は、平成15年度に29.       5%でしたが、平成18年度には20.7%に減少したわけです。これは       どう考えるか、お考えもいろいろあろうと思いますが、法律は整備され、       方針も出て、表彰も行われ、また、機会均等推進責任者の登録もいただき、       すべてのことはだんだん整ってきたのに、ここにきて若干何か停滞してい       るのは一体どういうことなのかをお互いに考えてみるべきではないかと思       います。        そこで、いまのような状況において、ポジティブ・アクションを普及促       進させるための方策は一体何があるのか、その内容等についてご意見があ       れば、委員の皆様方に是非お話をいただきたいと思っております。併せて、       ただいまの事務局からの提案についてもご意見があれば、お聞かせいただ       きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。時間も限られており       ますので、大変勝手ながら1人5分を目処にご説明をお願いしたいと思う       わけですが、今日は例によってアイウエオ順で内永委員からお願いいたし       ます。 ○内永氏   そのままご質問のお答えになるかどうかはちょっとわからないのですが。       いま実は私は、アイ・ビー・エムの技術顧問をしながらJ−Winという       NPOをやっております。        このJ−WinというNPOは、実は企業に対して女性活用をすること       がいかに大切であるかということをご理解いただいて、加えて、その企業       から女性を出していただいて、ネットワーキングということで約250名       の女性たちが毎月1回集まっています。お入りいただいている企業は83       社あります。4月に入るともう少し増えて、たぶん90社ぐらいまでいく       と思っています。そのような形から見ますと、どの企業も、女性を活用す       ること自身が企業にとって意味があるのだと。ここ数年の動きを見ますと、       非常に動きが出てきているという感じはいたします。        実は、僭越ながら、2月にJ−Win Awardといったようなもの       をやらせていただきました。アメリカにカタリストという団体があります。       カタリストは、いままで45年間、米国ないしはワールドワイドの企業に       対して女性活用についてのいろいろなアドバイスをしてきた団体なのです       が、この団体がカタリストアウォードというものを年に1回出しています。       このカタリストアウォードを今年、初めて日本企業の日産がお取りになっ       ています。そういう意味では、米国その他の企業も、日本も女性活用が随       分進んだねということで、グローバルの意味でも日本の進歩がご理解いた       だける第一歩だったと思っております。        そういった形でいま、いろいろな動きが出てきてはいるのですが、実は       ちょっと危惧していることがあります。役員の女性の方が出てきたり、管       理職の方が増えたり、また、いろいろな施策が行われている中で、ちょっ       と進みますと、「もういいんじゃない」と、もうそろそろ女性を特別扱い       するのは止めようよ、むしろこれは男性に対する逆差別ではないかという       ようなことをおっしゃるトップの方、ないしは人事担当の方が出ていらっ       しゃいます。        私のスタンスから言いますと、女性活用というのは別に女性で終わるわ       けではなくて、実はダイバーシティという人材の多様化というところの第       一歩が女性だとは理解しているわけです。そういう観点から考えたときに、       富士山ではないですが、山登りで例えますと、日本の場合は1合目か2合       目、日本アイ・ビー・エムもいま一生懸命にやっていますが、せいぜい2.       5合目か3合目にいくかいかないかという状態です。そういう状態で、も       うそろそろいいんじゃないということになりますと、またすぐ平地に戻っ       てしまう。ここはやはりダイバーシティというか、女性活用が企業にとっ       て、いわゆる企業戦略にとってどのような意味合いがあるのかをもう一度       ご理解いただいて、ただ単に少子化で労働力云々だから女性活用をしたい       という一面だけではなく、やはり多様な人材を活用させることが企業の活       躍のベースになるのだ、という基本的なダイバーシティのバリューという       ところを、もう少し我々としては明確に出していく必要があるのではない       かと。そうしませんと、すぐに女性云々ということで、「女性が何人か増       えた」「ああ、よかったね」ということになってしまって、勢いが落ちて       くるのが少し懸念されると感じております。        ですから、ボトムで申しますと、女性というのは第一歩であって、もっ       と言うと、ダイバーシティという世界中のリソースをいかにうまく使うか        という観点に立つと、女性活用がもっともっと進んでこないと、これは発       展してこないという意味で、基本的なバリューのところをもう少しいろい       ろ宣伝したり、バリューを示したりというようなことがますます必要にな       ってくるのではないか、そのようにちょっと思っております。 ○福原座長  ありがとうございました。カタリストの方々が初めて日本に来て、グラ       スシーリングという言葉を聞いたのは何年前になりますかね。あれから考       えると、確かに随分進歩した、というよりも社会全体に理解が進んだとい       うことは間違いないのですが、一組織の中でそれが実際に実行されている       かどうかについては、まだ確保されていないところがあるように見受ける       のです。 ○内永氏   まだまだだと思います、はい。 ○福原座長  おっしゃるように、トップのほうから逆差別という話もありましたが、       若い方でも若干そういうことを考えています。男の方でもあるわけですか       ら、それをどうやって説得しながらというか、理解させながら進むかとい       うことは、もしかするとテクニックの問題ではなくて、何かもう少し高い       次元のことを広めなければいけないのかなとも思います。ありがとうござ       いました。内海委員、お願いします。 ○内海氏   先ほどの参考資料の18頁、図表の18で、平成15年度から平成18       年度にかけてポジティブ・アクションに取り組んでいる企業が減ってきて       いる、そういう停滞感があるというお話がありましたが、やはりこれも先       ほど内永委員がおっしゃった、ちょっと進むと「もういいんじゃない」と       いうことがあるのではないかと思います。それから、企業の中にはポジテ       ィブ・アクションという言葉の定義を正しく理解していないところもある       のではないかと思うのです。        というのは、女性を特別扱いするということがポジティブ・アクション       というふうに捉えていて、その結果が決して男女平等になっていないにも       かかわらず、もういいんじゃないかというような結論に達するのではない       かと思うのです。ポジティブ・アクションの定義を読み返すと、そんな特       別なことではなく、日常的に男女が平等に取り扱われるように環境を整え       るということなのですね。そうであれば、ほとんどの企業は取り組んでい       るような気がするのですが、管理職の登用の女性枠を設けますといった、       そういう特別扱いを、これがポジティブ・アクションというふうに思って       いる企業が多いのかなと思います。そうであれば、まずは、ポジティブ・       アクションという言葉の言葉の定義をきちっとして、先ほどのお話にもあ       りましたバリューを定義して、ビジョンを掲げて、その推進策を挙げたら       いいのではないかと思います。        それから、もう一点、日本の女性の活用のレベルがあまりにも低いとい       うことを一般の企業の上の方が知らないのではないかと思うのです。たと       えば、ジェンダー・エンパワーメント指数が75カ国中42位というよう       に、世界の中で半分より以下の位置であるということ、日本は女性の能力       をほとんど使っていない、あるいはとてももったいない使い方をしている       ということをまず知っていただきたいと思います。 ○福原座長  確かにそうなのです。英語で使われる新しい概念というのはなかなか徹       底しないのですよね。みんな、自分の考えで主観的に解釈してしまうもの       ですから。我田引水なのですが、メセナという言葉もそうなのです。最初、       わかっていただけなくて、アーティストが企業にお願いすると寄付をいた       だけるのか、という程度にしか考えないのです。それでおかしくなってし       まうわけですね。ですから、いまお話のことを伺うと、これはもちろん厚       生労働省もそうですが、我々の側が世間にもうちょっとわかりやすくこの       概念を、例えばその枠だけではないんだよというようなこと、その結果、       何が起こるのかということを教えてあげる方策を考えないといけないので       はないですかね。ここまでいろいろなものが整備された段階でやっとそう       いうことをしなければならないところに来たということではないかと思い       ます。ありがとうございます。大戸委員、お願いします。 ○大戸氏   私、2月15日から23日まで、ある団体の洋上研修の団長として参加       しまして、船でシンガポールと、タイのプーケット、マレーシアのペナン       に行ってまいりました。そのとき、全国からいろいろなリーダー層が集ま       ってきたのですが、女性が1人も参加していなかったということが1つ、       大変残念に思った点でした。        もう1つは、2,000人ぐらい乗る船だったのですが、インドや中国       の人たち、あるいはヨーロッパの人たちもそうなのですが、比較的若い層       のご夫婦で乗っていたり、家族で乗っていたりというのが多かったのです。       しかし、日本の場合には定年でリタイアされたご夫妻、あるいは熟年の女       性方と言いますか、その方たちだけだったのです。これは文化の違いなの       かなとも感じました。        私は、女性の活躍推進といった構造改革に類することをやっていく企業       としては、やはり意識と仕組みと基準を変えていかないと駄目だと思って       おります。この意識を変えるというところが非常に重要ですし、また、難       しいところだろうと思っております。私どもはポジティブ・アクションを       2000年から3年間やったのですが、原則は機会均等だということで、       性別とか年齢とか学歴、こういったものでは処遇しない、そこをまず明確       にする。これが大原則なので、知っておく必要があると思います。        ポジティブ・アクションの取組をやりまして、1.4%だった女性の管       理職の比率を5%ぐらいまで引き上げました。その率はいまも維持してお       りますが、副次的に非常によかったと思うのは、女性の大卒、あるいは大       学院からの応募が非常に増えたということです。採用ももちろん増えまし       た。この人たちが管理職の年齢になるころには登用がもう少し進むとは思       っております。しかし、いまのところ、登用した方々が退職していくとい       うことがあります。私どもとしても、在宅勤務、あるいはデータベースを       作って相談に乗ったりといろいろやっているのですが、まだ、これだとい       う決め手はありません。ただ、こういうことを地道にやっていきたい、続       けていきたいと思っております。それによって企業文化が変わってくるの       ではないかと思います。やはりこの企業文化のところが非常に大事だなと       考えております。        それから、ポジティブ・アクションだけではなく、ほかの関連した制度       といったものもやはり充実させていく必要があると思っております。私ど       もも、内部通報制度をとっておりますが、セクハラなどがたまに出てまい       ります。必ず人事部門が調べにいきます。セクハラ、パワハラには必ず対       応することとなっております。そういうものを含めて企業の文化を変えて       いく、意識を変えていく、そのためにそういう制度を活用していくという       ことが良いのではないかと考えております。 ○福原座長  ありがとうございました。企業の文化を変えていくということと、もう       1つは、いまの話を聞くと、時間との闘いのようなものがあって、だんだ       んそっちのほうへ行くのですが、一方、せっかく登用した人はもう辞めて       いく年齢になってしまうというようなことがあって、それを何とかもり立       てるには、サポートするような、法律ではなく、いろいろな手段が必要だ       ということなので、これはやはり皆さんの知恵で考え出すほかはないので       はないでしょうか。ありがとうございました。大橋委員にお願いします。 ○大橋氏   先ほどでてきているポジティブ・アクション取組状況の18頁の表です       が、これが非常に落ちているという話です。私は、こういう運動は草の根       運動ですから、時間がかかるということは覚悟していかなければいけない       と思います。ですから、できるところから、足下からやっていくというこ       とが非常に大事ではないかと思います。        実は私、一昨年まで地方の金融機関の頭取をしておりました。先ほど、       表彰で最優良賞がない、優良賞もないということだったのですが、私ども       は、資生堂の副社長に就任予定の岩田喜美枝さんが雇用均等・児童家庭局       長をしておられるころにいただきました。金融界も、今日、前田社長がお       られるので全体的なことは前田社長におっしゃっていただければと思いま         す。私どもの銀行は、山口県の地方の小さな金融機関だったのですが、そ       のとき、ボードメンバーで11名の役員のうち3名を女性の常勤・非常勤       の役員にしました。私が辞めたあとは、残念ながら、非常勤が1人しか残       っていないのです。女性の常勤役員はいま金融界全体でも、前田さん、た       ぶんゼロですよね。常勤役員がゼロで、銀行と名の付く銀行が約120行       あって、1行平均、役員が例えば10人としまして、もっと多いと思うの       ですが仮に10人としても1,200人、そのうち常勤がゼロで非常勤が       数名という話をある外人にしましたら、ちょっとおかしい、どこかが狂っ       ているという話があったのです。そういうのがやはり世界の常識なのです。       日本では世界の常識がなかなか通用しないという辺りにこのテーマの難し       さがあるのだろうと。ただ、金融界も最近、だいぶ取り組んでおられて、       都道府県表彰で4つぐらいの銀行の名前が挙がっていまして、やはり取組       は進んできているとは思うのですが、なかなか難しいなと実感しておりま       す。        私自身は、実はもともと日銀におりました。年に1回ずつ、中国人民銀       行と日銀のトップ、総裁を入れて懇談会、懇親会がありました。いまから       20数年前の話ですが、たまたま私は末席にいました。中国人民銀行は鎮       さんという女性の総裁ですね、行長と言うのですが、その方と人事局長と       天津の支店長が女性、7、8名のうち3名が女性で、日本は全員オール黒       ずくめと、こういう感じだったのです。おそらく日、韓、伊がいちばん遅       れていて、あとは、先進北欧などをはじめとして、中国のモデルが別に珍       しいことではないというようなことだろうと思います。それ以来、この問       題は非常に大事な問題だと思っており、いまも、先ほど内永さんがJ−W       inの話をされましたが、私が末席でお手伝いをさせていただいている状       況です。よろしくお願いいたします。 ○福原座長  ありがとうございます。いまのお話を伺いますと、やはりそれぞれの世       界で少しずつ解決していかなければいけないということですね。ありがと       うございました。岡田委員にお願いします。 ○岡田氏   今年度、私が地方で講演をさせていただいた中から感じたことなどを少       しお話させていただきたいと思います。やはり東京と地方都市では状況が       違うなということを感じました。        これは昨年も申し上げたことではあるのですが、東京の場合はやはり大       企業を中心とした活動になっていまして、日本女性に関しては、ポジティ       ブ・アクション自体はかなり進んできたように感じています。子育て中の       女性の継続就労については、先ほど法的な整備は整ってきたというお話も       ありましたが、制度の整備自体は、大企業の中ではかなり進んできて、意       識も高まっていると思います。逆に、企業の中での運用のノウハウである       とか、組織全体のモチベーションを今後どう維持して、子育て中の方がチ       ームの中にいるときの全体の組織力をどう上げるかといったような課題に       ひとつ踏み込んできているかなという印象を受けました。        地方は企業の規模の大小に関係なく、私がお会いした中ではオーナー企       業が多かったのですが、やはりトップの意思が非常に重要で、トップの方       々がポジティブ・アクションを進めるという意識を持っていらっしゃる会       社は、現場と距離が近いということもあると思うのですが、非常にスピー       ディーに進めていらっしゃる。特に地方の特性として職住接近が可能で、       車で大体20分ぐらいで職場に着かれる方が多い。それで、子育て中の女       性であっても、わりに普通に女性活用がされているなと非常に感じていま       す。その点では、地方で長く勤務されるということにちょっと羨ましさを       感じたりもしました。        先ほど、行政・政府に対する要望があればというお話もあったので、あ       と2点ほど話させていただきます。日本女性の年齢階層別の労働力率を表       したいわゆるM字カーブの中でも底が上がっているのは、未婚女性が増え       ているというお話があって、それ自体は女性の生き方の選択肢が広がった       ということでもあるので悪いことではないと思うのですが、少子化の問題       に直結していることだと思います。これからのことを考えると、少子化は       非常に大きな問題ですし、女性活用と少子化ということが裏腹の関係にな       ってはいけないと思うのです。少子化にならずに女性活用を進めていくた       めに、若年層というか、若いうちから働き続けることの意義など、いかに       そういった意識づけをしていくとか、学生時代からその先のライフプラン       を考える機会を与えるとか、そういった取組が必要なのではないかと思っ       ています。もう1つはくるみんマークのことです。くるみんマーク自体は、       認知もかなり広がってきたとは思いますが、学生などの認知はまだ上げる       余地があると思っています。やはり、そういったくるみんマークを取得し       ている企業が継続的に働きやすい企業であるということのアピールを、も       っともっとすべきだと思っています。それから、企業自体がそのくるみん       マークを取得するということが、免罪符的になってはいけないと思ってい       ます。男性の育休取得者が1人、2人出ればよしとするということではこ       の先進んでいけないので、いかにそれが実態のあるものとして受け取る側       に映るかというようなことの工夫も必要になるのではないかと思いました。 ○福原座長  ありがとうございました。地方の状況、あるいはくるみんマークをせっ       かく取得したのだけどそれが免罪符になってはいけないというようなこと       は、まさにそういうところはあると思います。特にこの問題と少子化とが       直結されるような現象が起きては元も子もないというか、なるはずがない       ものが起きてしまっているわけですから。そうなると、ほかの国の例を見       ると、それを阻害していることは、やはり保育所であるとか、あるいは産       婦人科、小児科の受診が困難であるというようなことが結構あると思うの       で、社会的にそれをサポートしていくにはどうしたらいいかというような       ことも我々の考えていくべきことではないかと思うのですが、それではち       ょっと行き過ぎですか。やはり、そういうことも多少考えていかないと成       り立っていかないですよね。 ○安藤課長  おっしゃるとおりだと思います。 ○福原座長  よろしくお願いします。高橋委員にお願いします。 ○高橋氏   日本経団連の高橋です。せっかくの機会ですので、ちょっと宣伝をさせ       ていただきたいと思います。1つは、先ほどもありましたが、経営労働政       策委員会報告です。これは、毎年、春季労使交渉に合わせて経営側の基本       的なポジションを出すという趣旨で作っているものです。この中で昨年と       大きく違っているのは、全員参加型社会をこれから目指そうということを       強く言った点です。日本の喫緊の課題としては、少子・高齢化、労働力減       少があると思いますので、その対応策としていちばん大きいのは、やはり       女性に働いてもらうことではないかと考えます。したがって、女性の就労       継続をどうやって支援していくのかいうことを、やはり日本経団連として       強く言っていこうということです。もちろん高齢者の方や若年者の方にも       働いてもらうことも必要です。        その関連で言いますと、もう1つ、こういうパンフレットを作っていま       す。これは人にやさしい社会のために仕事と子育ての両立を支援するとい       うことで、託児所などが書いてありますが、できるだけ人にやさしい社会       をつくってワーク・ライフ・バランスを達成しないと、女性の就労継続は       できないですよということを言っています。        もう1つは、これはもっと直接的なのですが、「女性社員活躍支援事例       集」という本を作りました。この本は非常に評判がよく、実は2,500       部刷って、あっと言う間に売り切れました。出版は去年の11月でしたが、       いま増刷をしています。非常に評判がよくて、どうもこれを見ると、大変       申し訳ないのですが、皆さん、そんなに際立ったことをやっているわけで       はなくて、ごく普通に体制を作って、専門の部署を作ってやっていますと       いうことが多いのです。しかし、どの会社が何をやっているのかと、たぶ       ん非常に参考になるのだろうと思うのです。たまたま11社を選んだだけ       ですが、この11社だけが特別ではなくて、かなり遍く、広く行き渡って       いることなので、今後、この第2弾も作って、今度はワーク・ライフ・バ       ランス事例集ということにして、継続してやっていこうかと思っています。        皆さんのご意見には大体賛成です。私どもの事務局は大変小さく、20       0人ぐらいですが、女性の活用は比較的順調に進んできていると思います。       いまの本部長はたぶん30年ぐらい前に入ったので、女性の数が大変少な       かったころですが、部長、課長はもうどんどん出てきていますし、最近の       入職者は、女性と男性とほとんど同じぐらいの率です。入った方は、男女       差別は全くありませんので、順調にこのままいけば、役員も当然女性が出       てくるし、そこに前田さんがいらっしゃいますが、会長・副会長会議にも       たぶん女性の方が入ってこられるのではないかと思っています。私自身、       この統計表を見たときにちょっと、あれっと思って、そんなに後退しては       いないのではないかと。むしろ当然のような感じになってきて、特別なこ       とはしていないという会社が増えてきているのではないか。そういう意味       では、男女に差を設けるという仕組みは、組織上にも、運営上においても、       もうほとんど行われていないのではないか、というのが私の率直な印象で       す。        20年度の活動状況についての事務局案はこれで結構だと思います。も       う1つ、先ほど岡田さんも言われましたが、やはりトップの意識ですね。       トップが、変えていくという意識を示さないと、組織というのは変わりま       せん。中間管理職に変えろ変えろと言っても、なかなか変わらないもので       すから、長時間労働の改善も含めて、トップの意識改革は非常に大きい。       そういう意味では日本経団連が少し貢献できるところもあるのではないか       ということで、今後とも、引き続き応援していきたいと思います。 ○福原座長  ありがとうございます。いま高橋さんのおっしゃったことで特別なこと       をしていないということは、とても重要なことなのです。特別なことをし       ているから、うちの会社はあんなことはできないよと、こういうことにな       ってしまうのです。物事はすべて、当たり前のことを当たり前にやるとい       うことが基本なので、あらゆることを当たり前にやっていれば、トータル       してプラス、すごくいい点が付くし、成果が出てくると思うのです。経団       連さんには、そのような普及・広報活動を通じて世の中を啓発していただ       くというようなことを感じました。よろしくお願いします。立石委員、お       待たせしました。 ○立石氏   20年度の活動方針と言いますか、先ほど紹介がありましたが、私も、       あのような形で進められるというのには賛成です。        もう1つ。この間も雑誌のインタビューを受けて私どもなりのお話をい       ろいろしたのですが、ポジティブ・アクションというものに焦点を当てて       進める中で、その背景にある「なぜ」というところを、国民の方々がもっ       と理解できるような形での訴えをもう少しやっていく必要があるのではな       いだろうかと思うのです。やはり、詰まるところはダイバーシティの問題。       やはり若年労働者がそれこそ半減してしまう。いまの人口が1億2,77       6万人ぐらいですか、それが50年先には、4,000万人減って8,9       93万人になってしまうと。現実に15歳から64歳の生産年齢人口が半       減してしまう。そういう人口減の中で日本がこれから仕事という面を考え       た場合、誰が支えていくかと言ったときに、多様な方々を取り入れてやっ       ていく必要があるわけで、男性・女性の社会参画をもっと積極的に進める       ための施策に、国もそうだと思いますし、企業としても協力していく必要       があると思います。        それと同時に、元気な高齢者が多いわけで、彼らをどのように仕事の中       に組み入れて、教育、伝承に役立ってもらうか。それから外国人の方々が       入ってくる。多様な方々を迎え入れて仕事をしないと成り立たないような       時代になる中で、高橋委員も言っていましたが、女性の社会参画、労働へ       の参入というものをもっと積極的にやるために何をやるべきかというのが、       ポジティブ・アクションです。        ただ、普通の方がそれを聞いたときに、ただ単に女性だけではなくして、        多様な方々、この中には私は身障者も含めるべきだと思っていまして、そ       ういう方々にいかに積極的に参画してもらうかを総称した形として、ポジ       ティブという使い方をしたほうがいいのではないかと、私は思っています。       これは私なりの考え方です。        それから、このポジティブ・アクションを支援するための表彰制度です       が、先ほどの事務局からのお話で、今年度はグランプリがゼロだったと伺       いました。これを推進するためには、ゼロでなくて、1つでも2つでも、       もう少し数を出して、この程度でもできるのだ、取れるのだという、そう       いうやる気を起こさせるような数字でないと、施策としてはおかしいので       はないか。私が聞きたいのは、何でゼロなのかです。それは事務局から是       非説明をしていただきたいと思います。なぜこんな数字でOKしているの       か、是非よろしくお願いします。 ○安藤課長  表彰につきましては、地方組織からの推薦でやっていたものを公募制度       に変えたのですが、客観的な指標を作り、それに合ったものについては表       彰するとしたので、そこが若干厳しかったのかもしれないと反省をしてい       ます。それは表彰基準に照らしての判断にもよるところがあるかと思いま       すが、委員のおっしゃるように、表彰というのは取組を積極的に評価する       ものですので、そういった表彰の趣旨を十分理解した上での審査を、今後       の表彰についても心がけていきたいと思っています。 ○立石氏   1つの戦略になるわけですから、もっと喜んでもらう形でやるべきだと       思います。 ○福原座長  表彰というのは、第1回は審査をする側が慎重に構えすぎてしまうこと       があるのです。だから、そこを少し妥協してやらないと。世の中に広める       ことが大事なので、いまのような話から、そういうことをもう一遍考える       ことが必要ではないかと思うわけです。        それと、ここにいる方は全員、なぜということは再び説明する必要はな       いことですが、世間一般をとってみると、なぜというのをもっとわかりや       すく、納得するような説明をしていくことが必要なのではないかと立石さ       んはおっしゃっていると思うのです。業界の話をしていても、同じ業界の       人だとなぜということを言わないでも物事は伝わるのですが、新聞記者の       方と話をすると、背景から全部説明しないと曲がって伝えられる。そこを       省略してしまうことが、コミュニケーションギャップを生む 1つの状況       だと思うのです。立石さんのおっしゃったことは、我々全員が考えていか       なければいけないことだと思います。樋口委員、お願いします。 ○樋口氏   冒頭にご紹介のありましたポジティブ・アクションの実際の例が減少し       ているのだということに、私は非常に驚きました。派手な形、目に付きや       すい形で広がっていくことは、あまりなくなったのかもしれませんが、地       道に広がりつつあるのではないかと思っております。        私どもの会社は、ここに参りましたときも、管理職の数とか、役員が出       ていない点について進みが悪いものですから、皆さんのご指摘からすると       肩身の狭い思いをすることが多くありました。私どもとしては、地道に取       組を進めてきているということを、ここに参るについて、いろいろ担当か       らも説明を聞いております。我々の場合は、働き方の選択肢の拡大という       意味で、具体的には育児のフルサポートです。女性の場合、会社の中で普       通に成長していくのを妨げる要因は、結婚、出産、子育てが入ってきて、       その経過を経ているうちにみんなから遅れてくるとか、具体的にはそうい       う問題があるので、それに対して、育児休暇、休職前、休職中、復帰後、       そのすべてにわたって具体的な取組をしていく「育児フルサポート8つの       パッケージ」というのをつくって、これに積極的に取り組んできました。       2004年の頃は女性の管理職は8名だったのですが、いま現在は43名       になっております。        そういうことで、その43名の女性の管理職が中心になって、女性自身       に対する啓蒙とか、教育活動、意識の改善活動等、E−learning       システムを活用したり、マニュアルの整備をしたり、オープンカフェとい       う仕組みの中で女性管理職の有志が集まって、多くの女性管理職予備群の       意識改革やモチベーションアップにつながる活動をやってきて、それが随       分実を結んできていると感じています。        ただ、管理職の大勢を占める男性側が、ダイバーシティ・マネジメント       とか、ポジティブ・アクションについての具体的なイメージを持ちきれて       いないことはあるのですが、従業員の半分は女性ですから、女性が自分の       問題としてこれを捉えて、主体的に動き出していることが、だんだんに男       性側にも影響してくるのだろうと考えています。        もう1つの問題は、これは男性側、会社側だけに負わされる問題ではな       しに、女性側の意識とか、意思の問題で、どう取り組むかですから、会社       としては、1番目に制度上の問題とか、女性の自由な働きを阻害するよう       なシステム・制度をまず直して、誰にも機会の平等があり、意欲と能力の       ある人は会社の中で十二分に伸びていけるという制度をつくる。いまはそ       の制度がある程度出来上がり、今後は運用を進めていかなければならない       段階だと承知していまして、そのために運用を進めるために必要な措置を       これから講じていくだろうというのが、私どもの会社の現状ではないかと       思います。以上です。 ○福原座長  保険業界は第一線の営業社員の方を含めて、生活と極めて密接に関係し       た業界なのです。そうなってくると、先ほどお話のありましたライフプラ       ンを、働いている女性にいかに自主的に立てさせられるか、そして、それ       を会社あるいは組織がどのようにサポートできるのか、それがこれからの       課題であると考えます。前田委員、お願いします。 ○前田氏   私どもは金融機関ですので、女性が半分以上です。そういう意味では、       女性の活用そのものは昔から多いのですが、先ほどからご指摘の管理職と       か、いろいろな意味で、本当の意味で、女性を積極的に活用するインフラ       は整っていなかったと思います。        私も長いこと銀行にいますが、昔で言いますと、女性を支店長まで何と       かして育て上げたいと必死に特別待遇にしてやればやるほど、駄目になる。       これを積み上げてきました。役員もそうなのです。役員にしてあげたいの       ですが、いきなりはできないものですから、何とかそうならないかという       ことでやってきたのですが、残念ながらうまくいかなかったのです。        こういうことをどうして打破しようかとずっと考えていたのです。私ど       もは3行統合し、3万人以上の巨大な組織になりまして、仕事そのものを       マーケット別に2つに分けました。分けたときに銀行の職種も改めて分析       し直して、その中で女性に相応しい仕事のポストはどこなのかを明示して、       そこの部分に積極的に採用しようと、そのように考え方を変えました。        従来、支店長にするためにはどうしたらいいかとか、何となく象徴的な       女性がいればいいやということだったのですが、それはおそらく駄目にな       るということで、女性に相応しい仕事はということをかなり分析しまして、       そこの部分について採用を増やしていくことをしてきました。結果的にか       なり改善したと思っています。        基本的には、平等にやっていただくためには、母数がある程度ないと、       少数で特別待遇というのは最悪でして、母数がないと話にならない。女性       の闘争家が1人いるような感じで、みんなから差別されて、逆に差別され       てしまう。母数を増やすことによって、普通の姿にしたいと考えました。        いま採用で申しますと、私が社長になったのは2002年で、基幹職の       女性の採用比率は2%ぐらいだったと思いますが、それを2割にしようと       いう目標を作りました。2004年は7%、2005年は17%、200       6年以降は2割を超えていて、直近で言いますと34%です。母数を増や       すと採用する側も慣れてきて、特別扱いをしなくていい、ごく普通に採用       をすればいいのだと。それから、先輩の社員がたくさんいますので、入ら       れる方も安心する。どんな怖い所かというのはなくなって、こういう仕事       だというのがわかると。要するに、それがないと、いくら理屈を言っても、       入った後のことは本当におっかない話ですので、そういう意味ではそうい       う形のものができたなと思っています。管理職の比率も何とか上げたいと       いうことで、必死にやってきました。経営として、2004年度対で5割       増しにしようという目標をつくりました。2004年度には女性の管理職       は約700名なのですが、いまは約7%弱まできまして、約5割増しにな       りました。1,000人を超えるところまできました。これも女性だけの       管理職ということではありませんで、普通の管理職の中に女性がいるとい       うことです。これも母数が増えましたので、特別待遇はほとんどなくなっ       たと思っています。あとは、どうしても辞められる方がいるので、私ども       からしますと、辞められた方にもう1回戻っていただくことと、育児期間       中はソフト面でのいろいろな支援をすれば、その後また再就職いただくこ       とができるということで、これもかなり整備ができました。        私どものやったことを申し上げましたが、先ほどからお話が出ています       ように、特別視するのは異常の裏返しですから、そういう意味では、均等       法も均等ではないから均等法を作ったのだと思います。いまや均等法を頭       に入れて経営する人はいないので、ある意味では相当浸透したと私は思っ       ています。そういう意味で、これからやらなければいけないことは、むし       ろハード面よりソフト面で、どこまでサポートできるか、そっちを主にし       たほうがいいのではないかと思います。ある意味では、法律ですから違反       した人をやっつけるとかそういうのが重要なのですが、もうその段階は終       わったのではないかと思います。ハード面よりソフト面でいろいろな支援       ができないかということだと思います。        そういう意味では、先ほどから表彰制度のことがあり、私の個人的な意       見ですが、お役所が何かを表彰することによって、何かが良くなることは       ないと思っています。それは誤解だと。これは明治の初めの話ではないか       と。御国が偉いとか、ものすごい誤解であって、特に女性の関係で表彰は       やめたほうがいいと思っています。いまだにそんなことをやっているのか       と。私どもは中でもいろいろなことをしているのですが、女性だけの表彰       という制度はございません。それをやりますと、いかに女性は虐げられて       いるかとか、いかにひどい扱いを受けているかの裏返しになりますので、       それはそろそろやめたほうがいいと思います。ごく普通にやったほうがい       いのではないかと思います。よほど物事が進まないときに、象徴的に表彰       するのはいいのですが、まだそんなことをやっているのか、というのはあ       まりよくないと思います。        もう1つは、この種の話は女性の活躍ということですので、ここに関し       て言うと、女性が発言してはいけない。頑迷固陋な男性に発言させるとい       うのが、いちばん重要だと思います。女性が女性のことを何とかしろと言       ってしまいますと、受けないということだと思います。そのために私はこ       こに出てきたのだと思っていますが、こんな頑固な人が実は女性のことが       よくわかっていたというのは、大変にプラスになるわけでして、究極差別       論者が実は違っていたということが重要で、理解の深い人が言ったのでは       駄目なのです。そういう意味で、広報という意味では、ここにおられる方       は皆さん優しい方ばかりですから、もう少し過激な、どこかの知事みたい       な方が出てくると、非常に素晴らしいということになるのではないかと、       ちょっと逆説的なことを申し上げました。 ○福原座長  皆さん、ご出席の方はそうなのですが、大組織で昔からあることを変え       ていくということは、なかなか大変なことなのです。それも特別なことで       はなくて、着々とお進めになっていることに敬意を表します。それから、       大変本質的なご批評をいただいたことも、是非承知しておかなければいけ       ないことだと思っております。確かにそうなのです。だけど、そうでない       と引っ張っていけないところもあるので、それをどういうふうに調和させ       るのか。要は、この世界でもマネジメントの技術みたいなものが問われる       ところだと思うのです。これから進めていくには一本調子ではいけないの       で、いろいろと押したり引いたり、横からやってみたり、いろいろなこと       を考えていかなければいけないのではないかということに気づかされた思       いです。水越委員、お願いします。 ○水越氏   この推進協議会の最初のご案内は「女性の活用推進協議会」でした。そ       のときに福原座長より「女性は物ではないのですから、活用ではなく、活       躍という方がよいのではないでしょうか」というコメントがあり、全員の       賛成で「活用」という言葉から「活躍」に変更されました。キーワードは       大変重要だということを改めて認識しております。        いま、日本の労働力、労働環境を考えますと、私は、生産性の向上と多       様性の推進がとても重要ではないかと思います。国際競争力という点で見       ると、ITの時代になって以降、日本はどんどん生産性を低めてまいりま       して、G7の中では最下位です。        これまでは長時間労働で、みんなが猛烈に頑張ることによって大変な成       果を挙げてきたわけですが、これからの時代にあっては、価値を最大限に       活かしていくような働き方が大切で、この環境をどうつくっていくかがと       ても重要ではないかと思います。        先ほどから、多様性の推進の重要性が、何人もの委員の方々からお話が         ありましたが、私もまさにそう思います。生産性の向上と多様性の推進は、       日本が競争力をつけるために、いま、企業が真剣に取り組まなれければな       らないことだと思っています。        それはどうしてかというと、お客様や、株主、取引先等々、企業を取り       巻くステークホルダーの方々が、性別も国籍も年齢も多様になっています。       そういう時代に、そのニーズをきちんと企業が受け止められなければ活発       な正しい営業活動、情報発信もできないということで、そういう意味では、       企業にも多様性をきちんと内包する組織体をつくらなければいけないのだ       と思っています。        多様性を推進するにあたり、国際的に見ても、まず日本の国が遅れてい       る、女性の活躍の推進をしていかない限り、本当の推進はあり得ないと思       うのです。ですから、そういう意味では、本当に推進をしていかなければ       いけないと思います。        この多様性の推進をしていくことが企業を強くしていくのだという信念       を、トップの方々に実感していただくことが、とても重要ではないかと思       います。会社を強くしていくための多様性の推進、そして女性の活躍推進       なのだということが腹に座れば、当然活用が進むのだろうと思います。        でも、よく企業のトップの方々とお話をすると、「でもね、女性は管理       職に就けたいと言うと嫌だと言うのですよ」という声が返ってきます。私       どもの会社でも、そういう女性社員はいます。でも、女性だけなのかとい       うと、いまの若い男性も含めてですが、管理職になるよりもいまの立場で       ゆっくりと仕事をしていきたいという人がとても多くなっていることも事       実です。そういう意味では、私は責任を担う仕事はとても面白いのだとい       うことを、女性でも男性でも1回実感させることが重要なことだと思いま       す。仕事は大変でつらいことも多いけれども、一度でも面白さを実感した       人は、負けずに成長していきます。この実感を若いときに味わってもらう       のも、我々先輩の重要な仕事ではないかと思います。        私どもでは、女性の部長や取締役は90年代の初めには活躍していたの       ですが、店長はゼロでした。トップが業を煮やして、女性店長の就任を指       示しました。大変嬉しいことに、その女性店長は、半年ぐらいでAクラス       の成績の店にすることができました。その後、二陣三陣と女性店長が誕生       し、いまは9名います。でも、これまで全員が順調にきたかというと、そ       うではないのです。十数人が店長になりましたが、店長の適性よりバイヤ       ーやスタッフの適正がある人もいました。その人たちは適材適所でスタッ       フ部門に戻り、いい仕事をしています。でも、これにより、店長は女性に       は無理だという思い込みを取り払うことになったのです。まずはやらせて       みることが重要なのではないかと思います。        もう1つ、最近なのですが、3県の中小企業団体中央会の女性部会で、       お話をさせていただきました。日本は99%が中小零細の企業で賄われて       いますが、ここの女性経営者の方たちは本当にお元気でした。この輪が広       がっていけば、日本を元気に変えていくのだということを、最近つくづく       と感じました。フランスでも、イタリアでも、欧米では、小さな会社が世       界的に認められる仕事をきちんとしていらっしゃる例をいくつも見受けら       れます。日本ももっともっとこれら女性の力を社会に活かしていくことが       必要なのではないかと感じました。 ○福原座長  いまの話を伺って、我々でも説得できるような議論ですね。これをもう       ちょっとわかりやすく、我々以外の方々にも話をできるような機会を設け       ていただけるといいと思うのです。        いま思い出したのですが、女性の活用という話は、政府の会議の名前を       変えさせたのは私が初めてだそうです。先ほどの前田さんのお話を含めて、       民間にとっては、かなり政府を批判するようなことが自由に言えるように       なった世の中であることはありがたいことで、そしてお互いに手をつない       でいくことがいいのではないかと思うのです。茂木委員、お願いします。 ○茂木氏   ポジティブ・アクションの取組状況で中小企業がだいぶ遅れているとい       う話で、先ほどはポジティブ・アクションの言葉自体の問題が出ました。       ここで中小企業は30人以上になっていますが、30人以下も相当多いわ       けでして、そういうレベルですと全体から見てくると、ポジティブ・アク       ションという言葉も先進的であり、特殊なものだという感じがまだ残って       いるのではないかと思うのです。        実態の調査をやってみますと、現実に短時間勤務とか、半日休暇の辺り       はかなりやっているのですが、ポジティブ・アクションにつながってこな       いのが現実です。その点では、中小も実態としてはかなり動いているので       すが、それが数字で上がってこないのも実態としてはあります。        それとの関連も若干ありますが、先ほど表彰制度の話が出ました。私ど       もはいろいろな検定試験をやっています。3級、2級、1級とやって、だ       んだん難しくして、1級となると相当難しく作ろうというのがありまして、       難しくすると相当合格率が落ちて、そこでその試験は大体失敗するのです。       ですからそういう面からすると、いまの表彰制度で出てくる数字的なバー       も、中小企業からすると相当エントリーしにくい感じがします。その点で       はバーが高すぎるというのがあります。        それから、ワーク・ライフ・バランスの議論もいくつか出ていました。       「ワーク」の働き方の部分は当然出てくるのですが、「ライフ」の部分、       ライフというのは何を充実していくのかが、ある面で欠落しています。そ       こでワーク・ライフ・バランスが語られていきますと、なかなか進んでい       かない。要はワーク・ライフ・バランスが推進できるかは、私どもの調査       では、職場の中での相互理解が相当大きな要素を持っています。そうなる       と、いまの議論の、例えば育児を軸にしたワーク・ライフ・バランスです       と、なかなか相互理解を得られないことがあります。そういう点では一人       ひとりが、どうライフを充実するかの視点を持ったときに、初めてワーク       ・ライフ・バランスの議論と相互理解が生まれるのではないかという感じ       がしていて、その辺は私どもとしても会員企業にPRしていきたいと思って       います。 ○福原座長  茂木さんにもご協力いただいて、昨年、東京都で「男女平等参画のため       の東京都行動計画−チャンス&サポート東京プラン−」という報告書が出       ています。東京都の生活文化局に頼めば、無料で送ってくださると思うの       ですが、これはいまのようなことも含めて、かなり充実した内容のレポー       トになっています。        よけいな話ですが、今年は東京都生活文化局では、「企業の実態に即し       たワーク・ライフ・バランスの推進について」というレポートを今月出す       予定です。いまネットでは見られるようになっていると思いますが、報告       書ができましたら、皆さんにも見ていただくようにしたいと思います。        東京都のメンバーは学者が中心で、各方面で活躍している学者、有識者       を中心に、メンバーをお願いしまして、つくられたものです。ですから、       政府のものと東京都のものでは、ややレベルが違うというか、もっと実世       界に近いようなこともあります。もう1つは、学者の意見もかなり客観的       な見方も含めて書いてあります。是非ご覧いただきたいと思っています。       山崎委員、お願いします。 ○山崎氏   先ほど水越さんから女性部の話が出たのですが、私どもは多くの事業者       団体を抱えています。経営資源のない中小企業が同業種、異業種で集まり       まして、中小企業組合をつくっております。そういうものは全国に 4万       ぐらいあるのですが、そういう中で青年部と並んで、最近では女性部がで       きてきています。先ほど言われた経営者の奥さんだとか、若手の経営者も       入っています。そういう方が女性部をつくって、各県にもレディース中央       会をまとまってつくっております。それを私ども中央会がいろいろお手伝       いさせていただいています。        そして、11月に全国レディース中央会というのをつくりました。この       報告の中にも書かせていだきました。これから全国的な展開を図るという       ことです。そこで、女性の活躍の場の拡大とか、地域の女性の地位のアッ       プを切磋琢磨して図っていこうということですので期待しています。私ど       も中央会も、そういうリーダーの方を私どもの役員にして、いろいろな面       から協力をしていただいている状況がございます。        もう1点ですが、18頁で、先ほど茂木委員からもあったのですが、こ       こに中小企業は99〜30人までとあるのですが、これはポジティブ・ア       クションを知っている中小企業が回答をしたのではないかと思うのです。       これ以外に、ポジティブ・アクション自体を知らない企業があるのではな       いかと思います。        と言いますのは、企業数の99.7%が中小企業なのですが、このうち       の従業員20人以下の企業は80%あるのです。ですから、この表に表れ       ない企業がかなりあるので、これからもポジティブ・アクションの普及は、       下のほうにターゲットを当てる必要もあろうかと思います。        いずれにしても、この言葉自体が全国的に広まっていないということと、       横文字ということです。それと、どこを源に発しているか。私たちでもは       っきりわからないという状況があります。言葉が先行してしまって、よく       見たらこんなことでよかったのか、ということも意外とあるのではないか       という気がします。        いろいろ大手の事例があって、中堅の中小企業はかなり人事管理もしっ       かりしていますので参考になると思いますが、小規模の企業ですと、厳し       い時代で仕事に追われて、社長が兼従業員という立場でもあるわけですか       ら、なかなかそこまで行き届かないという現状があろうかと思います。必       ずしも十分な女性の活躍の場が中小にはないということです。とにかく知       ってもらわなければ何もならないということで、小さい企業にまで行き渡       るような、全員が認識するような雰囲気づくりが必要だと思います。        例えばポジティブ・アクション取組推進月間、旬間、週間でもいいので       す。これからの活動については10月にあるということですが、そのよう       な週間などをつくって、中央と地方のレベルで、同時に全国的に普及活動       をするということであれば、その期間は全国的にポジティブ・アクション       という言葉が流れるわけです。地方でも労働局を中心にして、行政なり私       どもの団体を使っていただいて、広報紙にいろいろなものをPRするとい       う週間にすれば、いろいろな予算の関係もあると思いますが、かなり全国       的に行き渡るのではないかという気がしています。        小さい企業も理解して取り組めるような、時間はかかると思うのですが、       そういう雰囲気づくりを醸成していく必要があろうかと思います。ですか       ら、この基本方針の中にもありますが、周知徹底は大切だと書いてあるの       で、是非とも具体的な方策を出していただいて、小さな企業にも普及させ       るように手を打っていただきたいと思います。 ○福原座長  またもやポジティブ・アクションという概念をどう広めるかという課題       が出てきているので、これはお互いに早急に検討していかなければいけな       いと思うのです。それから、この問題にかかわらず、すべていろいろなこ       とが中小企業の方々には普及しにくいのです。それは先ほどからお話が出       ているように、これを進めていくことの意義というか、将来こういう世界       になることが必要なのだということをわかりやすく伝えられることが第一       だと思うのです。そうなってくると、逆に大企業よりは中小企業、特にオ       ーナー企業においては、オーナーの方がこうだと決めると、わりあい会社       はそっちを向きやすいので、これは地方にもよって、地方を取り巻く社会       の状況もいろいろあるわけでしょうが、何か中小企業の経営者の方々にわ       かりやすいような方針をお伝えすることを、手を替え、品を替えして、考       えていかなければいけないのではないかということを考えるわけです。そ       の折はまた山崎さんにご協力いただけるようにお願いをしたいと思います。        皆さん、大変有意義な、そして活発なご意見をいただきまして、ありが       たく存じております。先ほど皆さんのご意見の中で、これから早急に取り       組むべきこと、あるいは着実に取り組んでいかなければいけないこと、両       方あったと思いますが、それらは事務局でまた整理していただいて、次回       の会議で、それからどうするのかということをお諮りするべきだと思って       います。        先ほどご説明した事務局案みたいなものについては、ただいまのご意見       を少しでも織り込んだ形で、修正して進めさせていただいてよろしゅうご       ざいましょうか。                  (異議なし) ○福原座長  ありがとうございました。それでは委員の皆様方にも、今日ご発言のそ        れぞれの方々のご発言によって、思い当たる、あるいは新しく発見したこ       ともあると思いますので、それぞれのお立場でご尽力をいただくようにお       願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。事務局からござ       いますか。 ○安藤課長  ただいま座長からお話がありましたように、本日の案を基にシンポジウ       ムの開催、その他の取組につきまして調整させていただきまして、また本       日いろいろとご意見も頂戴しましたので、私どもの政策の見直しなり、ス       タンスの考え方、そういったことについても、来年度行政としても取組に       反映させていきたいと思っています。 ○福原座長  局長はご退席になったので、審議官から一言感想をお願いします。 ○村木審議官 本当に今日はありがとうございました。先ほどの水越さんのご発言で、       奇しくも「活用」と言って、物置きの隅から置いてあった道具を引っ張り       出してくるようだと叱られたのを思い出しまして、ちょっと顔が赤らむ思       いでございました。        ただ、本当にあれから7年経ち、こういう言い方をすると大変叱られる       かもしれませんが、企業のトップの方がここでお話をされる、このテーマ       についてお話をされる雰囲気が、あの当時よりものすごく板に付いている       というのが大変感激でございました。行政に対してもたくさんご意見をい       ただきましたので、是非この会議を大事にして、また、今日いただいたご       意見を大事にして、これからの施策を進めていきたいと思いますので、引       き続きご協力をお願いいたします。今日はありがとうございました。 ○福原座長  協議会としては花マルはいただいていないのですが、良ぐらいはいただ       いたつもりで、あとはここで論議しているだけではいけないので、どうや       って世の中に広めていくかをやらなければいけないと思いますので、それ       は事務局の旗の振り方もあるし、皆様に具体的にいろいろお願いすること       があると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。皆さん、お忙       しい方々にお集まりいただきましてありがとうございます。本日はこれで       閉会します。            照会先:雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課                均等業務指導室 指導係                03−5253−1111内線(7842、7844)