08/02/29 薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会 議事録 薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会 議事録 1.日時及び場所    平成20年2月29日(金) 14:00〜    霞ヶ関東京會舘「シルバースタールーム」 2.出席委員(12名)五十音順    飯 島 康 典、 飯 沼 雅 朗、 板 倉 ゆかこ、 岩 月   進、    小 澤   明、 川 西   徹、 合 田 幸 広、 小宮山 貴 子、    西 沢 良 記、 橋 田   充、 藤 原 英 憲、◎望 月 正 隆、   (注) ◎部会長   他 参考人1名   欠席委員(4名)五十音順    太 田   宏、 望 月 眞 弓、 桃 井 真里子、 山 元   弘 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)     中 垣 俊 郎(審査管理課長)    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)   丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)      森 口   裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構一般薬等審査部長) 他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○事務局 ただ今から、薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会を開催させていただきま す。現在のところ、当部会委員数16名のうち12名の御出席をいただいておりますので、 定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。  本日、委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして誠にあり がとうございます。黒川審議官におかれましては公務で遅れるとの御連絡をいただいてお りますので、お申し添えいたします。  本日のその他の事項「一般用漢方処方に関する承認における基準の改正について(案)」 の参考人として御出席いただく先生を紹介いたします。千葉大学大学院医学研究院和漢診 療学講座教授の寺澤捷年先生です。寺澤先生は「その他の事項」に御参加いただきますの で、それまでの間待機していただくよう、よろしくお願いいたします。 ── 寺澤参考人退室 ── ○事務局 望月部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○望月部会長 それでは本日の議題に入りたいと思います。最初に事務局から、配付資料 の確認と、資料作成、寄付金等に関する申し出状況について報告をお願いいたします。 ○事務局 本日の資料は、事前に先生方にお送りした資料1〜5です。また、当日配付資 料として、議事次第、座席表、委員名簿を御用意いたしました。また各審議品目の諮問書 を、審議品目の資料として配付いたしました。  資料1は、「医薬品ニコレット パッチ1、同2、同3及びその他9品目の製造承認の可 否並びに毒薬及び劇薬指定の可否について」。これにつきましては、添付文書(案)及び外 箱(案)の差し替えがございますので本日お配りしております。資料2は、「医薬品シガノ ンCQ14、同7及びその他2品目の製造承認の可否、並びに毒薬及び劇薬指定の可否につ いて」。資料3は、「医薬品ニコチネル パッチ10、同20」の資料です。資料4は、医薬品 ルルアタックEX、その他7品目の製造販売承認について。資料5-1は、一般用漢方処方 に関する承認における基準の改正について(案)。資料5-2は、旧基準の処方に係る効能・ 効果等の見直し(概要)。資料5-3は、一般用漢方処方の改正における新旧対照表。また、 資料5の参考1は、一般用漢方処方(旧基準)。資料5の参考2は、新一般用漢方処方の手 引き案(抜粋)、以上が本日の資料でございます。過不足等ございましたらお知らせいただ ければと思います。よろしくお願いいたします。  平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく、資料作成への関与委員はいらっしゃ いません。  平成19年4月23日の薬事分科会申合せに基づく、寄付金等に関する申出については、 次のとおりです。議題1、医薬品ニコレット パッチについて、退室委員、議決に参加し ない委員は、どちらともいらっしゃいません。議題2、医薬品シガノンCQ14、同7につ いて、退室する委員はいらっしゃいませんが、議決に参加しない委員は小澤委員です。議 題3、医薬品ニコチネル パッチ10、同20について、退室委員はございません。議決に 参加しない委員は、小澤委員、西澤委員です。 ○望月部会長 皆様のお手元に、資料は全部届いているでしょうか。御確認いただいたと いうことで、早速議題に入らせていただきます。議題1、医薬品ニコレット パッチ1、 同2、同3及びその他9品目の製造承認の可否並びに毒薬及び劇薬指定の要否についてで すが、これは議題2、医薬品シガノンCQ14、同7及びその他2品目並びに議題3、医薬 品ニコチネル パッチ10、同20と医療用医薬品から移行した有効成分及び投与経路が同 様となりますので、併せて御説明いただくということでよろしいでしょうか。それでは御 説明をお願いいたします。 ○機構 まず議題1、ニコレット パッチ1、2、3他9品目について御説明いたします。 資料1の「審査報告書」と書いてあるタグのところを御覧ください。  本品目はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社による申請であり、有効成分として ニコチンを含有する貼付剤です。禁煙時のイライラ、集中困難などの離脱症状を緩和する ことによって禁煙を成功しやすくすることを目的とした、ニコチン置換療法あるいはニコ チン補充療法と言われるもののための製剤です。1枚中24.9mgを含有する高用量製剤、 16.6mgを含有する中用量製剤、8.3mgを含有する低用量製剤が申請されております。  禁煙と同時に、高用量製剤の貼付から開始し、禁煙を維持しながら、離脱症状が弱まる につれて中用量、低用量へと切り換えるものです。審査報告書では、それぞれの用量のも のについてNC-30、NC-20、NC-10ということで記載しております。  審査報告書の2ページに進みます。一般用医薬品としては、同様の目的の製剤として、 ニコチンを有効成分とするガム剤のニコレットなどが同社から市販されておりますが、本 剤はガム剤とは投与経路が異なっております。  審査報告書3ページに移ります。医療用では、ニコチンを含有する貼付剤として、本剤 と含有量は異なりますが、ニコチネルTTSが市販されております。本剤に関して、医療 用医薬品としての承認は取得しておりませんが、海外では医療用、一般用として数十か国 で承認されております。一般用医薬品としては、米国、英国等を含めて40か国以上で発 売されております。品質、毒性、薬理、ADMEについては、一般薬としての承認にかか わるような大きな問題は認められませんでした。  臨床試験については、審査報告書10ページ以降に書かれています。国内の二重盲検試 験はありませんが、評価資料として提出されたデンマークにおける二重盲検比較試験の結 果では、6週目及びその後の禁煙率はプラセボより有意に高く、英国、米国における比較 臨床試験でも、禁煙率に対する効果が認められております。国内においては、申請用法・ 用量による一般臨床試験が行われておりまして、これらの試験結果から、承認予定の用法 ・用量において本剤の効果は認められると判断しております。  なお、審査報告書の13ページに投与スケジュールについての記載がございますが、本 剤の初期用量であるNC-30の貼付期間が、海外では国によって6週〜12週と、かなり様 々です。その後の貼付期間についても幅がありますが、本剤は現在の米国における用法・ 用量に準じて、初期用量を6週間、中用量、低用量をそれぞれ2週間として申請しており ます。このスケジュールを妥当とする根拠について、14ページのようなやり取りを行い、 このやり取りの結果、申請用量を基本とするということで、6週間貼付後の漸減期間の貼 付については任意とする用法・用量で了承しております。  次は安全性についてです。国内臨床試験、海外での治験、使用成績等で最も高頻度に見 られる副作用は、貼付部位におけるそう痒、発赤、皮膚炎等の皮膚症状です。これらのほ とんどは、貼付継続のまま、あるいは中止や投薬等の処置により回復しております。全身 性のものとして多く見られたものは、嘔気、悪心、嘔吐、頭痛等でしたが、これらもほと んどは中止等の処置によって回復しております。また、アナフィラキシー様症状について は、同様の医療用類薬で記載があること、それから、本剤でも頻度は低いのですが、海外 において因果関係が明らかな副作用症例が見られることなどから、「使用上の注意」への 記載を求め、記載するということを回答として得て、了承しております。これらも含め、 適切な注意喚起を行うことにより、一般薬としての安全な使用は可能と判断しておりま す。  本剤を含むニコチン補充療法の製剤は、禁煙者が通常の自由喫煙をした際に得られるニ コチン血中濃度をたばこの代わりに製剤から補い、それによって禁煙時の離脱症状を緩和 するという目的で設計されております。15ページの下から3行目から、本剤の貼付によ り目的とする量のニコチンが供給されているかという観点から考察をしております。16 〜17ページにかけて記載がありますが、初期用量の貼付によって、到達すべき血中濃度 の範囲は離脱症状の緩和が可能、かつ、自由喫煙時血中濃度を上回らない範囲ということ で、文献等を含め、おおむね8〜30ng/mLの間ではないかと推定されます。本剤に関して 見ますと、薬物動態試験では、低代謝の人を除き、単回投与時のCmaxが12.1ないし 14.8ng/mL、平均血中濃度で8.0ないし10.7ng/mL、複数回投与時のCmaxが13.2ng/mL、 平均血中濃度で8.1ng/mLの値が得られておりますので、血中濃度の観点からも、臨床試 験に基づく評価とおおむね齟齬はないものと考えております。  本剤につきましては、適切な使用のために販売に伴い行われる情報提供、それから、提 供される禁煙支援の在り方などが重要と思われましたので、情報提供資料等について提出 を求めております。これらの案については、お手元の資料の「情報提供資料」の部分に添 付されておりますので御参照ください。  外箱表示が本日差し替えられておりますが、報告書19ページに記載のように、効果が ない場合の中止期間を1週間としておりますので、7枚包装の提供を求めております。ま た、適切な使用のため医療関係者の定期的関与を促進するという観点から、最大14枚ま での包装とすることを求めています。  以上の審議の結果、機構といたしましては、20ページに記載の効能・効果、用法・用 量で本剤を承認して差し支えないと判断しております。なお、承認条件として、承認後少 なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施することの条件を付すことが 適当であると判断しております。  続いて資料2、シガノンCQ14、同7、その他2品目について御説明いたします。こち らの審査報告書を御覧ください。本品目はグラクソ・スミスクライン株式会社による申請 です。1枚中に78mgを含有する製剤と36mgを含有する製剤の2種類が申請されておりま す。審査報告書におきましては、前者の78mg含有のものをCQ14、後者をCQ7と記載 しております。当初は1枚中114mgを含有するCQ21が申請されておりましたが、審査 の過程で取り下げるとの申出がなされております。  本剤は先に説明したニコレット パッチと同様、医療用医薬品としての承認は取得して おりません。しかし、以降の2ページに記載しているように、海外では医療用、一般用と して承認されております。一般用医薬品としては、米国、英国などを含めて19か国で市 販されております。  本剤の品質、毒性、薬理について、一般薬としての承認にかかわる大きな問題は認めら れておりません。  ADMEについては8ページから記載しておりますが、日本人の単回投与による薬物動 態試験が行われており、反復投与時については10ページ下段から11ページにシミュレー ション値が示されております。これらの結果では、日本人において、外国人での血中濃度 より高値を示す傾向が示されております。日本人ではCQ21投与時のCmaxが平均的 な自由喫煙時の血中濃度を上回るレベルであると考えられました。また、CQ21を初期 用量とした一般臨床試験では、ニコチン過量による可能性がある嘔気嘔吐等の副作用が高 頻度に認められております。嘔気嘔吐に関しては20%以上に見られたという結果です。 日本人でCQ21を初期用量とする妥当性について検討を求めた結果、CQ21を取り下げ てCQ14を初期用量とするとの回答を得ました。これについて、臨床データも踏まえて 了承しております。  臨床データは審査報告書13ページからになります。国内の二重盲検比較試験はありま せんが、米国における二重盲検比較試験(2試験)の結果では、CQ14を初期用量とした 6週間貼付による禁煙率はプラセボより有意に高いという結果であり、禁煙率に対する効 果が認められております。  報告書の18ページに投与スケジュールについての照会のやり取りを記載しております が、結果として初期用量CQ14を6週間貼付の後、CQ7を2週間貼付を基本として、 6週間貼付後の漸減期間の貼付は任意とする用法・用量で了承しております。  19ページの下から9行目以降に記載しておりますが、申請時に24時間貼付による用法 ・用量であったことについて、睡眠時にニコチン代謝低下が推察され、安全性の観点から、 24時間貼付の適正性について検討を求めました。そして、専門協議での議論も踏まえ、 就寝時に剥離する用法・用量とすることで了承しております。  安全性について、国内及び海外の成績で高頻度に認められる副作用は、貼付部位のそう 痒、発赤、皮膚炎等の皮膚症状、嘔気嘔吐、頭痛、不眠、異夢等でありました。その他の 低頻度の副作用も含め、適切な注意喚起を行うことによって、一般薬としての安全な使用 は可能と判断しております。  本剤貼付により得られるニコチン血中濃度について23ページ5行目より考察していま すが、本剤の薬物動態試験結果では、低代謝の人を除き、単回投与時Cmaxが16.5ng/mL、 平均血中濃度12.2ng/mL、複数回投与時のシミュレーション結果からはCmaxが 26.4ng/mL、平均血中濃度で17.1ng/mLという結果が得られておりますので、おおむね本 製剤が目的とする範囲の血中濃度になっているのではないかと考えられます。  使用上の注意については24ページから記載しておりますが、やり取りの結果、設定さ れた案を了承しております。また、情報提供資料は、お手元の資料の「情報提供資料」の 部分に添付されております。外箱表示については「パッケージ(案)」と記載の部分にあり ます。包装単位については、ニコレット パッチと同様に、7枚包装の提供、最大14枚の 包装とすることを求めております。  以上の審議の結果、機構は、27ページに記載の効能・効果、用法・用量で本剤を承認 して差し支えないと判断しております。なお、承認条件として、承認後少なくとも3年間 の安全性等に関する製造販売後調査を実施するという条件を付することが適当であると 判断しております。  続いて資料3、ニコチネル パッチ10、ニコチネル パッチ20について説明いたします。 審査報告書を御覧ください。本品目はノバルティス ファーマ株式会社による申請です。 1枚中に35mgを含有する製剤と、1枚中に17.5mg含有製剤の2種類が申請されておりま す。審査報告書では前者をTTS20、後者をTTS10と記載しております。また、審査 報告書3ページの2行目から記載されているように、本剤は医療用医薬品の禁煙補助剤ニ コチネルTTSと同じ製剤ですが、1枚中52.5mgを含む医療用の高用量製剤は一般用と しては申請されておらず、審査報告書では、この医療用高用量製剤をTTS30として記 載しております。  本剤は、海外におきましても医療用あるいは一般用として販売されております。特に一 般用としては、米国、英国等40か国以上で承認されております。  本剤につきましても品質、毒性、薬理、ADMEについて、一般薬としての承認に関わ る大きな問題は認められておりません。薬物動態試験においては、先のシガノンCQと同 様、外国人に比較して日本人で血中濃度が高値となる傾向が示されております。  臨床試験については、審査報告書の12ページからです。TTS20を開始用量とした国 内の二重盲検試験はありませんが、17ページ記載の、米国において実施された二重盲検 比較試験(3試験)のように、再解析を求めた結果では、TTS20を初期用量ないし維持 用量とした例で、プラセボより禁煙率が高い傾向が認められております。申請用量で実施 された日本における一般臨床試験では、報告書14ページに記載のように、8週貼付終了 時点で55.1%の禁煙率が得られていることも評価し、18ページ11行目以降に記載のよう に、初期用量としてのTTS20の有効性は認め得ると考えております。  申請の投与スケジュールについても、17〜19ページにかけて記載しておりますが、検 討した結果、申請の用法・用量を基本として、他社製剤と同様、6週貼付後の漸減期間の 貼付は任意とする用法・用量で了承しております。  なお、21ページの下から3行目以降に、本剤貼付により得られるニコチン血中濃度に ついて考察をしております。23ページ上段に記載されているように、TTS20の単回貼 付時のCmaxは17.6ないし22.2ng/mL、平均血中濃度で12.3〜14.4ng/mL。複数回投与 時の値は、Cmaxが22ng/mL前後、平均血中濃度で17.8ng/mLの値が得られております ので、TTS20の貼付によって、ニコチン補充療法が目的とする範囲の血中濃度が得ら れているものと考えられます。  19ページですが、24時間貼付による用法・用量が申請されていたことについて、睡眠 時のニコチン代謝低下が推察されることなどから、検討を求めた結果、専門協議での議論 も踏まえて、一般用医薬品としては就寝時に剥離する用法・用量としております。  安全性について、国内臨床試験及びTTS30を含む医療用での市販後調査成績等から、 医療用の再審査に関する機構の調査での特段の問題は見られないことなども踏まえ、適切 な注意喚起を行うことにより、一般薬としての安全な使用は可能と判断しております。情 報提供の資材案は、お手元の資料の「添付文書(案)等」の部分に記されておりますので御 参照ください。外箱表示は「外箱」と書かれた部分です。包装単位については、他剤と同 様に7枚包装の提供、最大14枚での包装を求めております。  以上の審議の結果、機構は、25〜26ページに記載された効能・効果、用法・用量で本 剤を承認して差し支えないと判断しております。なお、承認条件として、承認後少なくと も3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施すること、との条件を付すことが適当 であると判断しております。  最後に、ニコチン貼付剤の毒薬・劇薬指定の要否について、まとめて説明いたします。 1枚中含量が最も多いのはシガノンCQ14で78mgですので、こちらに関する資料によっ て説明させていただきます。資料2のシガノンの概要の401ページ以降にございますので 御覧ください。ニコチン及びその製剤について、劇薬等の指定という欄を御覧いただける と分かりますが、現在の指定では、CQ14は毒薬、CQ7及び他社の2製剤は劇薬に該 当します。しかしながら、本剤について403ページの下段の「毒薬劇薬指定基準」に、各 基準の大きさに該当しないと考えられる根拠が記載されております。これらに基づいて、 貼付剤の形態の本剤はいずれの基準にも該当しないと考えております。また、2社の製剤 についても類似の説明が「概要」に付されておりますが、同様に、貼付剤としてニコチン を含有する製剤はいずれも劇薬指定基準に該当しないと考えられ、ニコチンとして1枚に つき78mg以下を含有する貼付剤は劇薬に該当しないと判断しております。以上御審議の ほど、よろしくお願いいたします。 ○望月部会長 ただ今の内容に関しまして御質問、御意見等ございましたらお願いいたし ます。 ○小澤委員 質問が三つあります。一つは、どの製品か分からないのですが、この中で一 つの製品だけ2枚以上は貼らないようにと書いてあるのです。しかし、臨床の方でも、早 く治るようにとたくさん飲む人もいますし、ベタベタ塗る人もいる。いろいろな人がいる のです。だから、過剰量がどこまで安全なのか。ほとんどはステップが下がっていくと半 分量になりますから、それは2枚貼っても前に戻るからいいのですが、最初のものは2枚 と全部決めるのかどうか。そのことは何も触れていませんでしたが。 ○機構 その点につきましては、いずれも2枚以上は貼らないということになっていま す。おそらく、先生のお目に入る所に記載されていなかったのかもしれません。 ○小澤委員 5枚貼ったら、どうするのですか。 ○機構 2枚以上は貼らないようにという注意を入れております。 ○小澤委員 でも、使う人は結構貼りますよ。  それに関連して、もう一つお聞きしたいのです。3剤のどれか1個は、1日10本以下 と11本以上で基準を変えて最初のころ何かをやっておられたのですが、最終的に出てき たときに、そういうのは一切関係ない。例えば1日10本しか吸わない人と1日100本吸 う人、そんな人がいるかどうか知りませんが、そういう人が同じ量で始めて、同じ期間で ということで成り立つのか、よく分からないのです。 ○機構 先生がおっしゃったのはシガノンだと思うのです。最初シガノンCQ21の114mg 含有製剤について「11本以上」というのが付いていたのですが、11本以上と10本以下で 分ける根拠について審査の過程で聞きましたところ、明確な根拠がない。また、本数と血 中濃度がパラレルになっているのかというところについて、申請者の方からは必ずしもそ うではないと。本数は少なくても、深く吸われる方ではかなり高くなるという話がありま したので、そこについては分ける根拠がないということがあります。あとは、当初比較的 本数の多い方に使われることが想定されていたCQ21が申請取り下げになり、CQ14だ け残っています。そういう意味で、本数について制限はかけないということになっていま す。 ○小澤委員 間違いではないと思うのですが、これの治験をやったときに「ヘビースモー カー」は1日10本以上という定義があったはずなのです。だから10本で分けたのではな いですか。今のお話で言うと、あのときにはヘビースモーカーの人を対象に医薬品の治験 をやったはずなのです。だから、10本以下というのは、ヘビースモーカーではなくて、 ただ吸っているという意味なのだろうと思います、定義としては。そうすると、そういう 人に対しても同じような高濃度から始めて、ヘビースモーカーの人もその濃度で始めて6 週で終わっていいのか。逆を言いますと、何週までやっていいのか、どこまでやっていい のかということです。延々と、全然自分は変わりませんという人は20週でも30週でも貼 っているのですか。 ○機構 何週超えて貼らないようにということについても、使用上の注意で記載するよう にしています。 ○小澤委員 6週以上は貼ってはいけない、その先は責任をとらないということですか。 ○機構 用法・用量と使用上の注意事項を守ってお使いいただくということです。 ○小澤委員 そうすると、治癒率なんて全然違ってしまうのではないですか。 ○機構 用法・用量以上にベタベタと貼られても、問題ないというデータはありませんし、 長期に貼ることで禁煙率が高まるというデータも実はないのです。 ○小澤委員 ないからいいのではなくて、作らなければいけないのではないですか、そう したら。 ○機構 いや、そういう意味ではなくて。今言っている、6週なり8週を超えてずっと貼 付したものと8週までのものを比較したデータは幾つかありまして、結果的には変わらな いのです。 ○小澤委員 では、別に長く貼っても構わないということですか。 ○機構 そうではなくて、短くても変わらない。長く貼ったことでより効くわけではない のです。 ○小澤委員 薬なら医者がセーブできますが、これは買ってしまうわけですから、セーブ できないでしょう。 ○機構 そこは注意事項として。 ○小澤委員 こんなものを使って禁煙しようとする人は、大体軟弱者だから、危険なこと を言っておかないと。何週かを超えて使わない方がいいとか、1日何枚までは絶対ですよ ということだけは、きちんと明記しておかないと駄目なのではないでしょうか。 ○機構 そうですね。御指摘のような危険がありますので、ニコレット パッチの添付文 書(案)「してはいけないこと」の9番目に「10週を超えて使用しないこと」となってお ります。これは用法・用量で10週までになっているからです。同様に情報提供資料の中 に、ほかの物については8週までですので、8週を超えて貼付しないこと、という注意が 書かれております。 ○小澤委員 だから、それをもっときちんと書いたらどうでしょうか。一般の方はこんな ものを長々と読まないでしょうから、それがきちんと明記されるような包装なり何なりに したほうがいいと思います。 ○機構 では、そこは目立つようにいたします。 ○小澤委員 もう一点は投与の仕方についてです。最初の6週、それから7週〜8週、9 週〜10週、そういう表示の仕方がしてあるものと、貼り始めて6週以後の2週間という 形で書いてあるのと二つあります。例えば最初の書き方だと、7週間〜8週間貼ると勘違 いする方もいらっしゃる。三つのものは書き方が少しずつ違うのです。どれか一つだけは きちんと分かるように書いてあったけれども、あとの二つは、ステップ2は7週から8週 貼るのではないかと勘違いする人もいるのではないかと思いますので、明記の仕方をもう 少し分かりやすくされた方がいいのではないかと思います。 ○機構 ありがとうございます。そこは注意をさせていただきます。 ○望月部会長 そのような指導をしていただくということでお願いいたします。ほかには 何かございますか。 ○藤原委員 関連です。こういうパッチを使う場合に、保険適用の場合、1回使ったら1 年間はもう使えないという規定が多分あると思うのです。こういうパッチで一時的にたば こが禁煙できていても、また吸いたくなる。そういうときに、一般の方にはガムなどを噛 んで我慢しなさいというような話がされているようですし、ニコチンの入ったガムで対処 することも考えられているようですが、こういうパッチを指導の中で私どもが再度使いた いという場合、その方に対して、保険適用と同じ考え方で考えていったらいいのかどうか というのを教えていただきたいのです。 ○機構 そこについては、例えば1年絶対に貼らないでくださいというようなことは必ず しも考えていないのです。恐らく保険は別の要素があってそうしているのかと思うのです が。続けてずっと貼っていますと依存の問題も出てくると思いますので、続けては貼らな いということですが、しばらくして失敗してしまったけれども再度禁煙にチャレンジした いと思われたら貼ってもいい、というように今のところは考えております。 ○小宮山委員 適応部位に関してなのですが、用法・用量の適応部位に「胸、背中」とい うのがシガノンにあります。ほかの方は腕、あとは腰まわりというような所なのですが、 適応部位が異なることで濃度の違い、あるいは皮膚症状の違い等は考慮しなくてもよろし いでしょうか。また、こちらのものだけ胸に貼れるものと考えてよろしいのかというのが 一点です。よろしくお願いいたします。 ○機構 胸に貼れるのはこれだけかという御質問については、基本的にはそうです。書い てある用法・用量のとおりです。もし、なぜこうなっているかというところが御質問に入 っているのだとしますと、おっしゃるような、貼ったときの部位による血中濃度の問題等 があるのではないかということで、会社で実施した試験がございます。例えば「胸」と書 いてある会社の製剤については、胸と背中に貼って比較をしたところで、余り変わらなか ったということです。 ○小宮山委員 差がなかったということですね。 ○機構 はい。 ○小宮山委員 ここで御説明いただいた平均血中濃度は、胸でも、背中でも、腕でも、ど こでも同じ濃度が得られたものとしての平均濃度をお示しいただいているということで よろしいですね。 ○機構 基本的にはそうです。 ○小宮山委員 分かりました。 ○飯島委員 議題1の医薬品ニコレット パッチなのですが、製品がその他9品目あって、 その辺を消費者が混乱しないのでしょうか。売り分けとか何かがあるのか、お教えいただ きたいのですが。 ○機構 一般薬の場合、幾つかの商品名が有り得るということを想定して幾つか立ててく るのですが、売るときは大体一つだけになると思います。 ○望月部会長 ほかの先生方は、いかがでしょうか。 ○橋田委員 私もこの三つを並べて見せていただきましたので、その規格の中でお聞きし たいのです。いずれも、製剤としては放出制御型の貼付剤だということですから、適用し た後で剥がせば、製剤の中にかなりの主薬が残っているという状態だと思うのです。逆に、 その主薬は簡単に測れますし、また、それを測ることによって製剤機能の再現性や安定性 等いろいろなことが分かると思うのです。  3枚目の資料の製品について、これは外国でのデータということかもしれませんが、 in vivoの放出特性や残存量が出ています。一つ目の製剤で、私にはそれが見付けられな かったのですが、いずれもそういうデータは出ているのでしょうか。つまり、16時間貼 付して剥がした時点でどれだけ製剤に物が残っていたとか、それはどのくらい再現性があ るかとか、安定しているかとか、そういう意味です。 ○望月部会長 いかがでしょうか。そのデータはありますか。 ○機構 その点については御指摘のように、提出資料の中になかった製剤もあると思いま す。そこについて、もしあるようであれば後ほど。 ○橋田委員 それと関連して伺います。薬局、薬店用の解説書を見ますと、いろいろなこ とがQ&Aで書いてあるのですが、例えば3番目のもので言いますと、32ページに不燃 ごみですかと書いてあります。これはむしろ残ったものの安全性、小児などが間違って服 用する、誤用するという問題だと思うのですが、そういうところがあります。その中の2 「本剤を24時間貼付した場合のニコチン放出量は46〜48%であり、使用済みであっても 相当量のニコチンが含有されています」と具体的に書いてあるわけです。それに対して、 例えば資料1の同じ所を見てみる。例えば解説書の19ページのQ9で「使用済みのニコ レット パッチはどのように捨てればよいでしょうか」という所に、「使用済みのニコレ ット パッチにも薬効成分が残っていますので、粘着面を内側に折りたたみ、紙などに包 んで、小児やペットの届かない所に捨ててください」と書いてあるわけです。日本語もち ょっとおかしいのですが。使用後の製品を安全に確保するという意味では、もう少し具体 的に書いてあったほうがいいと思いますし、その理由が、バックグラウンドやデータが違 うからということであれば、これはちょっと御検討いただいた方がいいのではないかと思 います。 ○機構 分かりました。ありがとうございます。検討させていただきます。 ○望月部会長 検討していただくということでよろしいでしょうか。板倉委員、お願いし ます。 ○板倉委員 パッチが剥がれたときのこととの関係でお聞きします。全部を見渡していら れなかったのですが、シガノンの場合、新しいパッチを貼ってくださいというようなこと が書いてあるのですが、血中濃度を見ますと3時間ぐらいのところでピークになり、あと はスッと少なくなっているように見えるものですから、時間によって、新しいものを貼り 直すというようなことがあると、血中濃度が高くなっていくのではないかというようなこ とが感じられました。こういう発布剤の場合、いつの場合だったらやめるか、いつだった ら貼り直すかというようなことは、消費者にとっては割合関心の高いところなので、ほか との関係も含めて整理していただけると有り難いと思います。 ○望月部会長 実際に使う立場からそういう意見が出ているわけですが、いかがですか。 ○機構 そこは、具体的にどうしたらいいのかを消費者が分かるように、情報として、い ずれも入れておいた方がいいというお話で伺ってよろしいでしょうか。 ○板倉委員 はい。 ○機構 では、そうさせていただきます。 ○望月部会長 ほかに何かお気付きの点はございますか。 ○板倉委員 シガノンの見本を置いていただいているものを見ますと、手では簡単に切れ ないようになっているのですが、他の物もこういう形なのですか。使いやすさということ になると切れた方がいいのですが、安全性という意味でははさみを使って切れる方がいい ということで、そういう配慮がされているのかどうか。ほかの物も含めて、どのようにな っているのかをお聞きしたかったのです。 ○機構 これはいずれも、例えばお子さんが拾って食べたりするようなことがあってはい けないということがあります。あとは、いたずらで開けて食べてしまうようなことがある といけないので、チャイルドプルーフの意味で、切らないと開かないように、いずれもな っております。 ○板倉委員 全部これで確定、安全性を考えて、不便さは一応我慢してもらうというよう な形になっているということですね。 ○機構 そうなっております。 ○望月部会長 そういうことでよろしいのですね。ほかにはどなたか御意見がございます か。 ○小宮山委員 いずれの製剤、商品もそうなのですが、使用中のたばこの使用に関しては 記載があるかと思うのです。これは貼りますから、喫煙者によくある、貼っているだけな ので口寂しい。そのときに、市販薬として既にガムが手に入るわけです。口寂しいのでガ ムを噛んでしまうというような注意の喚起は、今回どの商品にもされていないのでしょう か。 ○機構 そこについては確かに抜けているかと思います。おっしゃった点については、同 時に噛んだときの保証はありません。多分血中濃度は上がるはずなので、そこについては 注意喚起をするように、いずれも指導したいと思います。 ○小宮山委員 そうかと思われました。あとは、今日席上でシガノンのパッケージを拝見 したのですが、ほかの物は含有量で大きさが違うようなのです。これは見本ですが、全く 同じパッケージサイズ、CQの「7」と「14」という表示の違いだけで判別せよというこ とでしょうか。ほかの物は、含有量の違いで包装そのものの大きさが全部違うかと思うの ですが、こちらは全く同じ大きさのもの、表示だけで見分けましょうということでしょう か。ほかのところが大きいのから小さいのになっているように、違いがあった方が安全で はないかと思います。 ○機構 分かりました。いずれにしても、両者が識別しやすいように何か工夫をさせると いうことでよろしいでしょうか。 ○小宮山委員 はい。 ○藤原委員 メーカー三つから出されますので、一応7枚から14枚とあるのですが、一 般の方がコンタミというか、1回目に使ったメーカーと違ったところのものを使う。指導 はしていかないといけないと思うのですが、そういうおそれはどうなのでしょうか。 ○機構 そこについて、うまいやり方があるかと言うと、今のところ、はっきりはしてい ないかもしれないのですが、3剤の区別ができるだけ付くようにということで、例えば商 品名が目立つようにする等の指導をすることを考えたいと思います。そういうことでよろ しいでしょうか。 ○藤原委員 お願いします。 ○西澤委員 副作用のことをお尋ねしたいのです。うつ病のことが少し記載されていると 思いますが、ちょうど、使われる年代が結構それに適応する可能性があるのです。これを やめたら、うつ病は改善するという範囲内のものですか。 ○機構 本剤によるというわけではないのですが、依存症の方がそこから脱却しようとす るときに、うつ病になりやすいということが一般的にあるということです。 ○西澤委員 薬剤でなるということではないわけですか。 ○機構 違います。 ○西澤委員 これを使用すれば脈拍が上がって、血圧が上がるということは十分予想され ると思うのです。注意書きでは心臓病ということで、心筋梗塞、狭心症、それから不整脈 が挙げられていますが、例えば重症の高血圧とかそういったことの記載は要りませんか。 ○機構 高血圧症については慎重投与のところに書いております。使う前にお医者さんに 相談をして使ってください、という考えになっています。 ○板倉委員 3薬ともに、捨てるときの処理というのが目に止まりにくい。こういったも のというのは、お風呂に入ったときに外して置いておいたりということをやりがちですの で、消費者、使う方にそこら辺がもう少し注意喚起できるようにしていただけると有り難 い。書いてあることですが、意外に無神経にそこら辺でよく外したものを見るということ がございますので、お願いしたいと思います。 ○機構 検討させていただきます。 ○望月部会長 その点、注意を促していただきたいと思います。 ○審査管理課長 先ほどシガノンの大きさについて、これだけが同じ大きさで、それ以外 のものは大きさが違う。できればそういう形で識別性を上げたらどうかという御意見を賜 っております。もちろんそういうことができれば、そういう方向で対応しますが、製造機 械であるとか、いろいろなことの制約がある可能性もありますので、色を変えるとか、い ろいろな工夫をして識別性を上げるということで対応させていただくことで御了解を願 えればと考えております。よろしくお願いいたします。 ○望月部会長 そのような形でよろしいですね。では、そのように御指導願いたいと思い ます。  それでは議決に入らせていただきます。議題1「医薬品ニコレット パッチ1、同2、 同3及びその他9品目」について。本剤は条件付きで承認して差し支えない、としてよろ しいでしょうか。ありがとうございます。  議題2「医薬品シガノンCQ14、同7及びその他2品目」について。小澤委員におかれ ましては、寄付金等の申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたしま す。本剤を条件付きで承認して差し支えない、としてよろしいでしょうか。ありがとうご ざいます。  議題3「医薬品ニコチネル パッチ10、同20」について。小澤委員、西澤委員におかれ ましては、寄付金等の申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたし ます。本剤を条件付きで承認して差し支えない、としてよろしいでしょうか。ありがとう ございます。それでは、これらにつきまして薬事分科会にその旨を報告させていただきま す。どうもありがとうございました。 ○事務局 御審議どうもありがとうございます。ただ今御審議いただきました品目につい てですが、現在、医療用ニコチネルTTSにおきましては「処方せん医薬品」の指定を受 けております。御審議いただいた結果、一般用医薬品として承認して差し支えないと御了 解いただきましたので、「処方せん医薬品」の指定解除を行いたいと思います。  また、一般薬については毒薬及び劇薬の指定からも解除されるということですので、同 じ成分である医療用医薬品ニコチン貼付剤につきましても、「劇薬」及び「処方せん医薬 品」の指定を解除したいと考えております。 ○望月部会長 ただ今説明がありましたように、医療用医薬品であるニコチン剤を含め て、「劇薬及び毒薬」、並びに「処方せん医薬品」の指定解除ということになりますが、 これについて御意見等はございますか。よろしいですか。ありがとうございます。以上、 審議事項を終わらせていただきます。  続いて、報告品目について事務局からの説明をお願いいたします。 ○機構 報告事項を説明させていただきます。資料4を御覧ください。販売名ルルアタッ クEX他3名称、及びルルアタックEX顆粒他3名称。申請者は滋賀県製薬です。成分・ 分量は、トラネキサム酸以下8成分が示した分量で配合されております。  用法・用量は、成人(15歳以上)1回2錠または1包を1日3回、食後なるべく30分以 内に服用する、となっております。  効能・効果はかぜ薬承認基準と同じで記載しております、かぜの各症状の緩和となって おります。  本品は3種の基準外成分であるイブプロフェン、ブロムヘキシン塩酸塩、クレマスチン フマル酸塩を同時配合した既に承認されているかぜ薬に、更に基準外成分であるトラネキ サム酸を加えたものです。  一般臨床試験において、全般改善度の「有効」以上が70.9%であり、安全性について も、示された有害事象はいずれも軽度で、有効性及び安全性に問題がないことを確認して おります。 ○望月部会長 ただ今の説明に関しまして御質問、御意見等はございますか。トラネキサ ム酸を加えたという特徴があるということなのですが。 ○板倉委員 新しい薬に基準外の成分を加えたということが売り物になって販売される のだろうと思いますが、違いますか。 ○審査管理課長 私も、説明を聞いていて異様に思ったので照会をしていたところです が、かぜ薬の中にトラネキサム酸を加えたものは承認前例がたくさんあるのです。今回新 しいというのは、組合せとしてこれが新しいというわけでありまして、例えばトラネキサ ム酸をかぜ薬に初めて加えることを御審議いただくようなことではないのです。 ○板倉委員 消費者にとって、こういったものは訳が分からないので、いろいろ入ってい ますよとか、はっきりと、本当に効果があるのか、わざわざこういうものを出す必要があ るのかどうかということが分からないままに売られて、いろいろな売り物の部分のところ で、より効いていくのかなというようなところをコマーシャルに乗って販売されるという ことについて不安があるという意味です。トラネキサム酸だけの話をしているのではない のですが、いつでも、こういったものを見るときに、何でこんなにたくさんのものを入れ て、それがさも新しいことであって良いことのように売られるのかなということを感じる のです。実際にこれが今までのものに比べて非常にいい、というようなところまで言える のかどうかというのが、これからは見えないのです。既製の今販売されている商品と比べ てのメリットがあるのだったら、あるということでいい。いろいろなものが出ていいとは 思いますが、商品としてどうなのだろうかということが思われましたので、単に質問した 次第です。 ○望月部会長 特別に、これで何かいいことがあるかという、ある意味では厳しい御指摘 だと思うのですが、お答えをいただけますか。 ○審査管理課長 板倉委員の御指摘は本質的な問題をはらんでいるのだろうと思います。 すなわち、薬事法をどのように運用していくのかということです。単純に申し上げますと、 今の運用というのは、アメリカにおいても、ヨーロッパにおいても同じだと聞いておりま すが、劣らなければいいということです。ですから、例えば新薬を治験する際にも、プラ セボとの優越性を検証するか、又は標準的な薬との非劣性を検証するというようなやり方 で、それが現在の法の運用の精神です。  一方において、医学、薬学の専門の方々から見れば、メリットがあるものが私たちは欲 しいのだと。また、メリットがあるものこそ、消費者に提供すべきだという考え方がある のだろうと思います。そこは我々は今後とも念頭に置きながら、できれば企業にもそうい う方向で指導したいとは思います。そういうことでこの問題は頭の中に置かせていただき たいと考えています。 ○望月部会長 ありがとうございます。みんなしっかり頭の中に置いておきたいと思いま す。ほかにはよろしいですか。先生方、ほかに御質問、御意見等ありましたら、ここでい ただきたいのですがよろしいですか。以上で報告事項を終わらせていただきます。寺澤先 生に入っていただきたいと思います。 ── 寺澤参考人入室 ── ○望月部会長 次は「その他」の議題1について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料5-1を御覧ください。1.一般用漢方処方については、昭和47年から計4 回にわたり、当時の厚生省から「承認内規」(以下「旧基準」とさせていただきます)を発 表いたしました。この旧基準においては、当時の専門家の委員の意見を基として、わが国 で漢方処方として用いられていた主な680処方のうち、一般用医薬品として「適当」と判 断された210処方について、その成分・分量、用法・用量、効能・効果を示したもので、 現在に至るまで実質的な承認における基準として取り扱っているものです。  しかしながら、公表よりかなり時間が経ったということもありまして、平成14年の厚 労省の「一般用医薬品承認審査合理化等検討会」の中間報告においても、その見直しが必 要とされてきております。  2.平成15年4月〜平成18年3月までの3年間、厚生労働科学研究として、本部会に おいても委員でいらっしゃる国立衛生試験研究所の生薬部長である合田先生を班長とし て、参考人の寺澤先生にも御参画いただいて一般用漢方処方の見直しを図るための調査研 究を行っていただきました。ここでは「新基準」と呼ばさせていただきます。この新基準 の特徴としては、一つ目、疾病の構造の変化に対応した新規処方の収載。二つ目、基本処 方と類似した処方。例えば加減、加えたり引いたりという加減方などを組み合わせた処方 の記載。三つ目、いわゆる漢方における「証」の概念に対応した「しばり」という概念の 導入。四つ目、現代に則した効能・効果の見直し。五つ目、15改正、局方に対応した構 成生薬の表記等々となっております。  この調査研究報告の処方を大きく分けると、資料の2.(1)〜(3)の三つとなっており ます。(1)旧基準の処方に係る効能・効果の見直しとして、一部の処方にしかなかった漢 方処方の適応となる体質傾向や症状を、原則すべての処方に分かりやすく追加いたしまし た。また、効能・効果等におきましても、分かりにくい表現を一般的に理解しやすい言葉 で表現し直しております。(2)旧基準の処方に係る加減方の追加として、旧基準の中から 基本処方となる処方を選定して、その処方に生薬を加えたり、減じたりした処方、加減方 の追加を行っております。  (3)新処方の追加として、旧基準にない基本処方と加減方を追加しております。これら すべて一般用医薬品として、適当なものを評価したものです。今回の検討におきましては、 資料5-1の3.(1)旧基準の処方に係る効能・効果の見直しを行うに際して、先生方の御 意見を伺いたいと思っております。本部会で御審議いただき、了解が得られた場合におい ては基準の改正を行いまして、既に承認を得られている品目について一部変更承認申請に より対応させていただきたいと考えております。なお、それ以外の(2)新処方の取扱いに ついては、今後検討させていただきたいと思います。  旧基準の変更内容について、もう少し詳しく説明いたします。資料5-2を御覧ください。 1.効能・効果の追加・変更です。(1)新たな文献等を参照して、新たな効能・効果が記 載されているものに関しては、その効能・効果が一般用医薬品として、適当であるものに ついては追加を行いました。これらは漢方臨床医の先生方の御意見等を踏まえて、妥当で あることを確認しております。(2)内服するすべての処方に「しばり」を入れて、どうい った体質の方に使ってよいのかということを分かりやすい表現で加えております。(3) 表現が古く、分かりにくい効能・効果について現代の表現に合ったものに変更しておりま す。  2.用法・用量の見直しについては、旧基準におきまして、「小児不可」とされていた 処方については、安全性に問題があるということではなく、効能・効果から見て小児には 有り得ないとの観点から付けられたと考えられるものがありました。そこで、新たに追加 された効能・効果が小児に対しても有効であり、安全性が確保できるものについて、「小 児不可」の部分を削除しております。また、旧基準に散剤、すなわち生薬の粉末の用法が ないものにおいても、文献からその用法が適当であることが確認できたものについて追加 を行いました。個々の具体例について、資料5-3の新旧対照表を御覧ください。この表の 縦の番号は各処方名を記載しております。横の欄は少し太い線で変更前と変更後の成分・ 分量、効能・効果、用法・用量を記載しております。なお、変更前においては「成分及び 分量」という表現が用いられておりますが、成分という単語は単に単一化合物に用いられ ることを考慮して、「処方構成」という表現に変更しております。従来の「効能・効果」 の欄は、より漢方の考え方に則した処方の選択を行えるようにするため、「しばり」と「症 状」に分割して記載しております。  表中で赤字の部分が変更、削除、追加に関係するところです。成分・分量欄におきまし て、特徴的な変更についてのみ色を付けております。  資料5-2で説明させていただいたものの具体的な例示としては、横表の1番目の安中散 を御覧ください。変更前のところの効能・効果にある赤字の「胃アトニー」という表現が されておりますが、こういった表現では非常に分かりづらいところがありますので、右の 方の症状の部分を見ていただくと「胃腸虚弱」という形にしております。この処方におき ましても、旧基準においては効能・効果で、左側の変更前では「やせ型で」と記載してお りますが、右の方のしばりの部分を見ていただくと、「体力中等度以下から虚弱で」とい うしばりに変更しております。  次のページの7番目の温清飲については、旧基準におきまして効能・効果から判断して、 小児の適応がないということから、小児不可となっておりました。これについては、皮膚 炎に対しても右の変更後の効能・効果の症状では効果があることが文献等で確認できまし て、また、小児においても安全性を確保すると判断されましたので、小児用法を追加させ ていただきます。  3ページの21番目の葛根湯を御覧ください。こちらの方で例えば鼻炎に対しても効果 があることが文献等で確認できた結果、効能・効果に「鼻炎」を追加しております。しば りについても、旧基準において記載がなかったわけですが、今回はしばりの部分で、「体 力中等度以上のもの」という記載を加えております。以上、一般用漢方処方に関する承認 における基準の改正について説明を終わらせていただきます。合田先生及び寺澤先生から 補足説明等がありましたらお願いします。 ○望月部会長 よろしくお願いします。 ○合田委員 記載の整備に関しては余り説明がありませんでしたので、その部分について 特に説明させていただきます。資料5-2の2枚目の3.例えばという例で、「朮」を「白 朮」と「蒼朮」に分離等と挙げられております。旧基準では、まだ局方が現段階とは違っ た状態で出されておりまして、局方名がまだ定まっていなかったものがたくさんありま す。従来の漢方の文献に書かれたそのものを生薬名として使われた例があります。今回の 改正に際して、基本的に名前は日本薬局方にある名前にそろえるという形にさせていただ いております。その場合、例えば「生姜(しょうきょう)」という生薬がありますが、これ は従来の基準では生の生姜(しょうが)と区別するために、「乾生姜」という言葉で書かれ ておりましたが、今の局方上、「生姜(しょうきょう)」というものに決まっておりますの で、それは「生姜(しょうきょう)」と書かせていただいております。  「朮」というのは漢方の昔の記載では「朮」としか書かれていないものがありました。 実際には、局方上は「白朮」と「蒼朮」という二つの同じ属の植物ですが、種が違う生薬 で分かれております。白朮と蒼朮を、実際に漢方の臨床の先生方は分けて使われていらっ しゃいます。どちらかと言いますと、「白朮」の方は健胃や利水剤に使われます。「蒼朮」 の方は痛みの関係で使われる場合が多いです。その部分をすべて判断して、白朮と蒼朮は 明確に区別すべきであるものについては、「白朮」あるいは「蒼朮」という具合に書かせ ていただいております。例えば、資料5-3の3ページ目、17番の化食養脾湯を見ていた だきますと、旧基準では「朮」としか成分・分量のところに書かれておりませんが、この 研究班の議論、検討によりまして、これは明らかに白朮以外は有り得ないということで「白 朮」という形に指定させていただきます。同様にここは「乾生姜」と従来記載されており ますが、「生姜」という形に書き直しております。このように基本的に局方が非常に多く の生薬をカバーしておりますので、局方の生薬名に対応した形で名前を記載したというこ とが記載上の整備ということの一番大きな点です。以上です。 ○望月部会長 ありがとうございました。それでは寺澤先生、何か追加をいただけますで しょうか。 ○寺澤参考人 今回、この作業班の合田先生の班に加えていただきましたが、私は現在千 葉大学で和漢診療科の科長をしており、漢方と西洋医学の融和を図るということで、日々 漢方薬を利用している者です。  今回の「しばり」が新たに強化されたことは、漢方の専門家としては非常に安全性と有 効性を担保する上で、大きな進歩だったと思います。  と申しますのは、同じくかぜでもイメージしていただきたいのですが、X軸とY軸があ りまして、これを「陰陽・虚実」と言います。X軸の方は右のX軸がプラスのときは熱に 支配された状態、マイナスは寒さに支配された状態です。Y軸を立てて、病気に対する反 応力が旺盛な状態、充実で「実」と言います。虚弱な状態、Y軸がマイナスの方にいって いる。少なくとも4パターンあるわけです。これを取り違えますと治らないばかりか、非 常に不具合が起こってくる。葛根湯は陽で実な状態ですので第一象限に位置しています。 小青竜湯は右下の方にいる。麻黄附子細辛湯は左下にいる。これを取り違ったのでは、病 気が治らないばかりか、かえって悪くなってしまう。そういう意味で、漢方薬の安全性、 有効性を担保する上でこのしばりは非常に大事だと思います。それが強化された点で評価 しています。以上です。 ○望月部会長 ありがとうございます。それではこれまでの説明につきまして、御質問、 御意見等いただけたらと思いますがいかがですか。 ○川西委員 私は正確に理解していない部分があると思うのですが、聞かせていただいて この二つのしばりと、症状と言っていいのか分からないのですが、それを分けるというこ とは、これは一緒に書いてあるより非常に分かりやすくて、いい方向だと思います。ただ し資料5-3で、変更後の「しばりと症状」の表の方は、「効能・効果」の中にしばりと症 状と書かれていますが、この資料5参考2の手引き(案)では、「しばりと効能・効果」と いう書き方になっています。この違いはどういう事でしょうか。 ○合田委員 資料5の参考2の厚い白い本ですが、これは基本的に研究班でやったもの で、従来、漢方薬の場合には「一般用漢方処方の手引き」という基準があるのですが、そ の記載を意識しながら書いたものです。その際に、従来は「効能及び効果」という形で、 言葉でまとめてあるものを、その中で特に漢方の対処を説明するような記載の部分は明ら かにしばりの部分であり、そうでないものはいわゆる効能・効果であろうということで分 けて作ったものです。これはあくまでも研究班の資料です。  今回、逆にこちらで出てきているのは、私の理解ではもう少し販売の形態のときにどう いう記載をするのかということに関して分けたものだろうと理解しています。それで「し ばりと症状」という形になって、実際は多分そういう販売の形態をされるときには、もう 一つ上の項が効能・効果になるのだろう。そういうことでこういう形で分けられたのだろ うと思います。  従来、資料5-3の変更前の「効能・効果」というところで、左と右の欄があるようにな っているのですが、従来は、これは連続して書かれており、右の「しばりと症状」に対応 して分けたためにこの線が書かれています。例えば、17ページを見ますと、椒梅湯から 神秘湯までの間は、全部しばりに対応するものはない。たまたま1ページ目は、しばりに 対応するものがありますが、この辺のところは全部ないということです。  今回の特徴は、左の「しばり」に対応するもの全部を書き込んで、ある程度漢方的な判 断が実際に一般用の医薬品を使われる患者さんや、その手助けをする薬剤師さんがある程 度判断ができるようにということで、こういうものを書いたという概念です。言葉として 「しばり」というのは漢方の証の概念に対応するものです。一応それが一番分かりやすい だろうという形で、「しばり」という言葉を遣わせていただいております。  右側のところで、これはどういう表現にするのか難しいところですが、一応「症状」で はないかと。患者さんが分かるのにはそうかという意味でこの名前を書かせていただいて います。 ○望月部会長 川西委員、よろしいですか。 ○川西委員 ということは、参考2の方は「しばり」と「効能・効果」という書き方にな っていますが、見直しの方向は資料5-3の表ということですね。 ○合田委員 今回、医療としての判断がそういうことなのです。 ○審査管理課長 合田委員の説明で尽きているのだと思いますが、もう一度整理させてい ただきますと、資料5の参考2というのは、事務局も申し訳ないと思っているのです。こ れを見ていただくとタイトルとして「新一般用漢方処方の手引き(案)抜粋」となっていま す。これが基準そのものだというふうにはお考えいただかない方がいいと思います。これ は研究班の報告の抜粋です。  薬事法上はどうなるのかと言いますと、資料5-3の17ページの変更後の「効能・効果」 の中の「しばりと症状」というのも、そういう意味で申し上げますと、こういった審議を する参考ということでお考えいただければいいと思います。承認をする際には、例えば、 118番の効能・効果は体力中等度あるいは(中略)の次の諸症として皮膚炎、慢性湿疹等 が並ぶ形になる。一連で一つの効能・効果となるということです。  そのときに117番をどう書こうかと今悩んでいるわけですが、基本的には「しばりと症 状」という欄が上と下という形で出てきて、一つの効能・効果となる。それを審議してい ただく際に分かりやすいように、このような形で整理をした。したがって、最終的に基準 として発出する際に、資料5の参考2で、少なくとも「しばりと効能・効果」という欄は なくなって、「効能・効果」という一つのものになって、上に「しばり」に相当するもの が出てきて、下に「症状」に相当するものが出てくるということです。 ○小澤委員 私は余り漢方は分からないのですが、今回しばりのことを書いていただい て、すごくいいな、分かりやすいなと感心したのと、是非これは進めていってほしいと思 うのですが、118番にちょうど皮膚科のものがあるのですね。皮膚炎、湿疹というのは、 皮膚科では同じ病気のことを言っているのです。ずっと見ていくと「かぶれ」と「ただれ」 では何が違うのか、皮膚科の医者としては全然分からないのです。  右側の「症状」を見ますと、全く素人で申し訳ないのですが、医学用語できちんと書い てあるものと、俗語で書いてあるものとあるのです。たくさんそれが並列で書いてある。 もちろんそれはなかなか分け切れないのだろうと思うのです。それはよく理解できます。 しかし、その専門分野の人間から見て、これを見ると何を言っているのか分からないもの がたくさんあるのです。要するに対象として何を選んでいいのか分からない。「ただれ」 「かぶれ」、どこが違うのですか。私は「接触皮膚炎」という診断を付けます。「慢性湿 疹・皮膚炎」は皮膚炎なのですから同じものですね。  例えば「しみ」って何ですか。「肝斑」のことを言っているのですか。炎症後の皮膚沈 着のことを言っているのですか。黒子を言っているのですか。患者さんによっては何でも 入ってきます。この説明が一般の方向けに書いてあるなら俗語としては全然いいのです が、婦人科のものを見ても、えっと思うようなものがたくさんありますので、そういう先 生方とよく御協議されて、少しずつでも解決していただくと、臨床科でも使わせてもらえ ますし、是非、この作業は続けていただきたいと思います。その際に少し専門家もちょっ と。皮膚科のひがみかもしれませんが、余りにも皮膚科の書き方がひど過ぎると思って読 んでいます。近大の先生方は皆さん皮膚科の漢方をやっていますし、富山もやっています ので、たぶん研究班に入っておられると思いますが、そういう先生と相談されてもう少し 直していただくと最高だと思います。 ○望月部会長 いかがですか。ただ今厳しい御指摘でしたが。 ○審査管理課長 先ほど事務局から「瘡」を「皮膚炎」と直したという説明をしましたが、 その横に「慢性湿疹」があって、私も若干思うところがあったところです。そういう意味 から申し上げますと、確かに整理した方がいいと思いますので、御指摘のとおりだと思い ます。もちろん、一般用としての効能・効果をある程度変えていくということから、純粋 医学的に変えていくというのはなかなか難しいと思いますが、それを勘案しながら、少な くともある程度の納得がいただけるレベルにまでもう一度整理をしたいと思います。 ○小澤委員 「じんましん」が入っていますので、それ自体間違っています。 ○望月部会長 ありがとうございました。他にどなたか御意見はありますか。 ○橋田委員 私も漢方は素人ですが、今御説明いただきまして大体内容もよく分かりまし たし、どういうふうにこれが扱われていくのか分かりました。そういう意味で、私は素人 なりにこだわったのは、「しばり」という言葉の御議論があったのだと思いまして、その 辺の問題はあるかということをちょっと感じておりました。  これも言わなくていいのかもしれませんが、それと同じような意味で、資料5-1、2の (1)に、しばりの言葉の定義がありますが、「漢方処方の適応となる体質傾向や症状を」 と書いてありますので、先ほどの話との混乱もあるかと思います。これは全然関係のない レベルの文章かもしれませんが、その辺も含めた整理ももう一度確認していただければと 思います。 ○望月部会長 ほかにどなたかありませんか。先ほど寺澤先生の御説明で、葛根湯と小青 竜湯との使い方で、葛根湯は陽で実であって、小青竜湯は陽で虚であるという御説明です が、この中身を見ると、私には葛根湯の説明が「体力中等度」であって、小青竜湯は「体 力中等度あるいはそれ以下で」ということが陽の実と陽の虚を分けていると理解してよろ しいのですか。 ○寺澤参考人 そうですね。葛根湯は、自然の発汗がないというのも陽で実の病症なもの ですから、自然に汗をかいている人が葛根湯を使ってはいけないので、右上にあることを 表現している。 ○望月部会長 というのが普通の薬局の薬剤師さんが、どのくらいそれを理解されている のかというのは非常に大事だと思います。確かに今は6年制の薬学教育の中には証を理解 する、「漢方」という項目があるので、その方々は確実にこれを患者に指導できると思う のですが、私どもを含めた4年制で習ってきた薬剤師というのは、どこでも教えてくれな いので自分で学ぶしかしようがないですね。ですから、これをやる場合には、薬剤師さん がきちんと患者さんを指導できるようなテキストと言ったらおかしいのですが、そういう ものをまず出すことである程度やらないと、今みたいな区別はできないかと思いますが、 その点についてはいかがですか。 ○合田委員 体力というのは、今、陽実とか陰陽とか虚実とかの部分のすべてを説明して いるものでは全然ありませんので、その一つの表現なのです。いろいろ議論があったので すが、一番素人にでも分かる、何か体質に関する表現をするときには、まず体力というこ とを入れるのが一番よいだろうということで「体力」の言葉が入っております。  実際に、我々はちょっと別な研究で薬剤師さんにお手伝いをいただいて、一般用の医薬 品の漢方の使用実態調査というのをやっているのですが、その中で、「体力について判断 ができますか」と。各判断をしていただいて、そういう漢方処方を効いたのかどうか調べ ているのですが、200人にアンケートを取っていますが、全員が体力については自分はど の位置にあるという判断ができるのです。ですから、他のものについては判断がしにくい ですが、体力についてだけは間違いなく個人でどのくらいのレベルであるのかということ は自覚していらっしゃる。これはアンケート調査ですので、統計的な有意は出せないので すが、確かに漢方の考え方である程度こちらの分類にある方が効くだろうと言われる人の 方が、やはり、やや効いているなというデータが出ております。そういう意味で、体力と いう表現でしばりをすべて始めているのは、一番判断がしやすいからという意味です。そ れ以外の概念でやる部分は、いろいろな所になるべく一般の方に分かりやすい形で言葉を その中に入れ込んである。例えば、葛根湯の場合には、汗をかいていない者ということで、 そこを表現できるようにしています。それを一生懸命工夫して書いたという状態です。 ○望月部会長 他の先生、何か御意見はありますか。板倉委員、お願いします。 ○板倉委員 変更前の「効能・効果」にやせ型と書いてあるものが、「体力中等度以下か ら虚弱で」と書き直されたというのは、今のお話から推定しますと、別に太っていても体 力がなければ使えると読めるということでよろしいですね。 ○合田委員 そういうことですね。 ○望月部会長 他にはどなたか御意見はありますか。 ○寺澤参考人 先ほど皮膚科の方で大変厳しい御指摘をいただいたのですが、現実には、 その薬を購入しようとする人が手にして分かるということを前提にしていることが一点 です。既にその記載で承認されて販売されているので、それを純粋に医学的な用語だけに 統一するということは、非現実的になってくる部分もあるのです。先生の御助言は十分に 分かりますが、既得権みたいなものがあるのです。 ○小澤委員 ひがんでいるわけではないのですが。 ○寺澤参考人 よく分かります。 ○小澤委員 いろいろな会議をやりますと、例えばドラッグリアクション、内科の先生や 小児科の先生がどんどんやるのは結構ですが、湿疹みんな間違っているのです。あとで皮 膚科が見ると、「何、これ」というのがたくさんあるわけです。ですから、現実に副作用 調査を見ますと、書いてあるのは「発疹」で、全然中身は分からないではないですか。そ こで皮膚科の人が入っていれば、「これは違う、滲出性紅斑だよ」「これは何だよ」とす ぐ分けられるわけです。そうすれば現場でもそれが一番役に立つわけです。私は別に医学 用語にしろと言っているのではなくて、紛らわしいものがいっぱいあるので。  これを今お読みして、とても分かりやすいと思うのです。私は全然知らないのですが、 「しばり」というのを読んで、なるほどこういうのの、こういう人がいいのだなと漠然と 分かるわけです。ただ、誰にも出せばいいというものではない。  こういうふうにやってくださるのはいいのですが、何を対象にしているのか決まってな いものにやってもしようがないのではないですかと思うわけです。ひがみかもしれません が、皮膚科の先生でも、どなたでもいらっしゃいますので、入ってもらって検討されたほ うがいいのではないでしょうかということです。この薬は先生方が処方する薬なのです か。それとも勝手に買える薬のことを言っているのですか。どちらを言っているのですか。 ○合田委員 一般用医薬品です。 ○小澤委員 一般薬というのは、勝手に買えるということですか。どうでもよければ、ど うでもいいと思います。漢方という位置付けをするのに、漢方の医学で言うと診断名も違 いますので、必ずしも西洋医学の診断名にする必要は何もないと思います。そうではなく て、紛らわしいものははっきりした方がいいのではないですかと言っているのです。「し み」と言っても、年寄りのしみなのか、化粧のしみなのか、日やけのしみなのか、どれに 対してやるのですかということです。それは漢方だろうと、西洋医学だろうと、病態が違 うので全然違うわけです。そういうことを言っているのです。是非、一緒に皮膚科を入れ てください。近大や富山は漢方が好きな人がたくさんいますので、そういう人を入れてい ただいてディスカッションされるといいのではないかと思いました。 ○望月部会長 ただいまの御意見の中で「勝手に買える」というお話が出ましたが、これ についてはいかがですか。薬剤師さんが間に入って売るものか、本当に勝手に買えるのか というのは、事務局の方から御説明をいただけませんか。 ○審査管理課長 基本的には漢方は今回の新しい薬事法の下では、いわゆる二類という形 で分類されております。したがいまして、薬剤師又は登録販売者の方々ができるだけ説明 をしながら販売をしていく。求められれば当然説明をするという分類に入ってきます。 ○小澤委員 説明する人が分からないのに、どうやって説明するのですか。 ○合田委員 ここに「一般用漢方処方の手引き」という、旧基準に関する本があるのです。 ここに書かれている成分・分量、効能・効果、用法・用量以外に、「解説」という項があ ります。そこにより詳しく、漢方的にはどう考えるのかという解説が全部なされています。  実は、今回の手引き(案)の方も見ていただきますと「解説」があります。同様に、この 物に話が進みますと、こういう物が同じような形で本として市販されて、実際にはどうい う形で使っていくのかということについての解説が、薬剤師さんは少なくともこれを見れ ばある程度のことは分かるだろうと。一つ一つの処方の細かい使い分けについても分かる だろうと。そういうことを意図してこれを作っております。ただ単に外箱のパッケージを 見るだけではなくて、より詳しくこの物に対しての情報が得られるような体制はある程度 作っているつもりです。 ○望月部会長 よろしいですか。 ○小宮山委員 私も専門分野ではないのですが、今回の「用法・用量の見直し」というと ころに関連して、むしろ、用法・用量の見直しというよりも、「用法・用量の記載の見直 し」という方が適切かもしれません。この処方の中に、非常に限られた処方ですが外用が 含まれています。一般的に外用という表現がなされていますが、これを一般の人が「外用」 と言ったときに、貼るのか、塗るのか、洗うのか、湿布するのか、この辺のことが分かっ ていく必要はありませんか。「外用」という言葉を、一般用の漢方処方の中で、今後も外 用という表示をしていくのかという点については、何か御議論はありましたか。 ○望月部会長 この点についてはいかがですか。 ○審査管理課長 これは会議用の資料ですので、「外用」とだけ書いているわけです。承 認する際には、「用法・用量」としては、もっと懇切丁寧に書くと考えております。 ○小宮山委員 具体的に貼る、塗る、その他分かりました。 ○板倉委員 私も余りよく分からないものですからお聞きしたいのですが、先ほどの御説 明で「散」というのは粉末で使う場合、「湯」と読むのですか。というのは、煎じ薬と読 めるというふうにおっしゃったのですが。それがよく分からなかったので、これが読み切 れなかったのです。  もう一つは、散と湯の関係がよく分からなかったのですが、処方構成の散とか湯という のは比率というのは分かるのですが、散のときは1〜2mgを1回、2〜3回と書いてあっ て、片方には何も書いていないので、これとの関係は一体どのように読めばいいのか御説 明をいただければ有り難いと思います。 ○合田委員 「散」というのは、生薬そのものを抽出しないでそのまま刻んで、最後に粉 末にして使っている形をここでは「散」という状態で書いております。  これはあくまでも従来の記載方法になるべく対応させる形で書いております。実際の製 剤というのは、ここに書かれているもののさらに延長上に製剤があります。これは基本的 な考え方がどうだということが書かれたものです。  数字は説明がなかったのですが、漢方というのは原典主義で、原典でこのものを1日量 当たり何g使うというのが、各先生方の考え方によって書かれております。ある本によれ ば、これは3g使うものが、ある本によれば4g使う場合もあるということで、実際上こ こで書かれている成分・分量は幅記載で、「原典」の中に出ている最小量か最大量までを 線で結んで記載しておりますが、実際の承認の場合には、もとの原典に戻って、その幅記 載の中の全部が良いというわけではなくて、どの原典に従ったのかということを書いて、 それに対応させる量を使わなければいけないということになります。多分、先生の御指摘 のところは、散のものは散として使うという原典はそれしかなかったので、その数字が1 点しかないのだろうと思います。 ○望月部会長 他にどなたか御意見はありますか。これまでの意見に基づいて、事務局で はどういう方向でまとめるのか示していただけるとありがたいのですが。 ○審査管理課長 御審議をありがとうございました。研究班の作業というのも膨大な作業 で、資料5の参考2としてお配りしておりますが、ここまでの御苦労に本当に感謝申し上 げます。  その上で今日御議論をいただいたわけですが、症状名あるいは疾病名について、今少し の整理をした方がよろしいのではないかという御意見をいただいたところですから、事務 局としても、また研究班の先生、あるいはそれ以外の先生方に御協力を賜って、次回にも う一度整理したものを出させていただきたいと考えております。それ以外は大きな御意見 はなかったのではないか、あるいは合田委員、寺澤参考人からのお答えで御了解をいただ けたのではないかと考えております。  具体的に申し上げますと、資料5-3の「症状」を今一度、一般用の限界は当然のことな がらあるとは思いますが、必要なチェックはやっていきたいと思います。どうもありがと うございました。 ○望月部会長 今後の方向についてはよろしいですか。 ○審議官 私も素人で、一つ議論が出ていなかったことで教えていただきたいことがあり ます。次回の検討でどこか反映されるのかもしれませんが、体力について御議論があって、 比較的体力が中等度以上ある方からない方、というものがあります。これはおそらく病気 の過程の中でどんどん変わっていくと思うのです。先ほどの寺澤参考人のお話にもありま したが、その状態というのは恐らく一定ではない。診断名が、通常の医学的な診断名が付 いたとしても、それはどんどん変わっていく。恐らくそれぞれの薬には最適の使い方があ るような感じもするわけです。最初から最後まで、例えば葛根湯や紫雲膏をずっと塗り続 けるとか、そういうことはないかもしれません。その辺りについてどのようなお考えや御 議論があったのか。あるいは解説等で補うのか、いろいろなことがあるのだと思いますが、 もし何かありましたら教えていただければと思います。現場でも使えるかとちょっと思い ました。 ○望月部会長 合田委員か寺澤参考人、いかがですか。 ○合田委員 まず、体力中等度以下という部分は、確かに審議官が言われたとおりで、そ のものに対して対応をしなければいけない場合もあるだろうと思います。ただし、それに 対応するものが「加減方」という形で今回一つ組み合わせたものです。若干、今までのも のよりもバリエーションを減らすことによって、ある程度そういう変化に対応ができるよ うな形になっています。そういうものを手引き(案)の中で、基本処方とか加減方がありま すので、それに対応した形である程度薬剤師さんが見ることによって、それを連続して読 むことによって、なるほどということが分かるようにしたつもりです。  そういう部分と、この本の中を見ていただくと分かりますが、解説が書かれており、そ の部分がさらに解説でどう考えるのかということがここに書かれています。そういう対応 の仕方をしています。実際に漢方の臨床医が見てこれを使うわけではないので、なかなか 難しいところがありますが、一応体力的な判断だけはある程度できるだろうということ で、1行目の最初に書かせていただいたということです。 ○寺澤参考人 黒川審議官はなかなか核心を突いた御指摘です。やはり、病気が流動的で あるというのが漢方医学のものの見方の特徴で、同じくかぜをひいても葛根湯のステージ と、もう4日くらい経ってしまったら小青竜湯に移ってしまうということがあるので、も しこういう本が確定したものが出るとしたら、そういうものであるという解説のようなも のを最初に載せた方がいいです。かぜには葛根湯でずっといっていいのだという話ではな くて、先ほどの陰陽の話とかも少し解説しておくと相対として、いつもこの処方は固定し たものではないのだということを。副作用が起こりますし、そういったことの注意等の喚 起とも併せて全般的に漢方のものの見方みたいなものを載せるといいかもしれません。動 くものですよ、変わるものですよということは明確にした方がいいと思います。 ○望月部会長 それでは他の委員の先生方から追加の御発言等はありますか。先ほど事務 局から御説明があったような方向で、さらに検討を進めていただきたいと思います。以上 で本日の審議と報告を終了いたします。次回は5月の予定となっております。改めて事務 局より御連絡をしていただきたいと思います。本日の「一般用医薬品部会」をこれにて終 了し、閉会といたします。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2775)