08/02/28 平成20年2月28日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年2月28日(木)  13:00〜 厚生労働省 省議室 2.出席委員(14名)五十音順    新 井 洋 由、 飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、    岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 竹 内 正 弘、 田 村 友 秀、  早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 前 崎 繁 文、 三 瀬 勝 利、    溝 口 昌 子、 山 口 一 成   (注)◎部会長 ○部会長代理    欠席委員(2名)   庵 原 俊 昭、 土 屋 文 人    3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 村 上 貴 久(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)  森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会 医薬品第二 部会を開催させていただきたいと存じます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまし て誠にありがとうございます。現在のところ、当部会委員16名のうち13名の委員の御 出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。 本日は、土屋委員から御欠席という御連絡をいただいています。また、飯沼委員からは 30分程度遅れるという御連絡をいただいています。庵原委員からは御出席という御連絡 をいただいていますが、何らかの事情で遅れられているのだろうと思います。いずれに しましても、定足数に達していますので、会議を開催させていただきたいと思います。  それでは、部会長の池田先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 委員の先生方、お忙しいところをありがとうございます。本日は、審議 事項が2題、報告事項が1題ということですので、要領よく進めさせていただきたいと 思います。それでは、審議に入りますが、事務局から配付資料の確認と資料作成、利益 相反などに関する申出状況について御報告をお願いします。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座 席表、当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜3を あらかじめお送りしています。このほか、資料3-2、報告事項議題1の追加資料、資料 4「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料5「専門委員リスト」を配付 しています。  平成13年1月23日の薬事分科会申合せ、及び昨年4月23日の薬事分科会申合せに基 づく、資料作成、利益相反等に関する申出については、次のとおりです。議題1「ファ ムシクロビル」につきましては、退室委員は守殿委員、溝口委員、議決には参加しない 委員は堀内委員。議題2「スーテント」につきましては、退室委員は田村委員、議決に は参加しない委員は池田委員、庵原委員、前崎委員です。  なお、議題2「スーテント」につきましては、座長を堀内部会長代理にお願いしたい と存じます。 ○池田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。御確認いただけました でしょうか。それでは、議題1に入りたいと思いますが、守殿委員、溝口委員におかれ ましては、本議題、ファムシクロビルの審議の間は、別室で御待機いただくことになり ます。よろしくお願いします。 ── 守殿委員、溝口委員退室 ── ○池田部会長 それでは総合機構から概要の説明をお願いします。 ○機構 議題1、資料番号1、医薬品ファムシクロビル及びファムビル錠250mgの生物 由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否、再審査機関の指定並び に毒薬又は劇薬の指定の要否について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げま す。  ファムシクロビルは、スミスクライン・ビーチャム社(現、グラクソ・スミスクライン 社)で開発されたプリン骨格を有する新規化合物であり、penciclovirに代謝され、抗ウ イルス活性を示す薬剤でございます。本剤は、審査報告書3ページに記載いたしました とおり、米国及び英国を含め約70か国にて、「帯状疱疹」、「単純疱疹」の適応症で承 認されております。  本剤は、当初、スミスクライン・ビーチャム社により開発、承認申請が行われました が、申請中に本薬の販売に関する権利が旭化成株式会社(現、旭化成ファーマ株式会社) に譲渡されましたことから、現在の申請者は旭化成株式会社となっております。  1996年10月に申請された際には、効能・効果は帯状疱疹及び単純疱疹とされており ましたが、提出された試験成績において、対照薬との非劣性が検証されなかったことか ら、有効性を評価することは困難と判断されております。申請者は、これを受け、用法 ・用量を変更した上で、効能・効果を帯状疱疹に絞り、追加臨床試験を実施し、その結 果を平成19年6月に報告いたしました。今回の審査は、この成績に基づき行っておりま す。  本剤の専門委員といたしましては、資料5にありますとおり6名を指名し、御意見を 賜りました。  機構は、帯状疱疹を対象とした追加国内第III相試験の成績に基づき審査を行った結果、 審査報告書55ページにありますとおり、対照薬であるアシクロビルとの非劣性が検証さ れたことから、本剤の帯状疱疹に対する有効性は確認されたと考えており、安全性につ いても承認にかかわる大きな問題はないと判断いたしました。  しかしながら、審査報告書55ページにもありますとおり、精神神経障害については、 class effectの可能性もありますが、国内臨床試験の結果から類薬に比べて、発現頻度 が高い可能性も否定できないことから、本事象については、十分な注意喚起を実施する とともに引き続き情報収集することとし、申請者もこれを了承しております。  機構は、以上のような審査を行いました結果、本剤を審査報告書2ページにあります 効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。なお、再審査 期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来 製品にも該当しないと判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ファムシクロビルが、帯状疱疹を適応として 承認申請がされているということです。委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと 思いますが、いかがでしょうか。前回、非劣性が証明されないで、今回、非劣性が証明 されたというのは、用量が変わったことが一つ大きな理由と考えられるのでしょうか。 ○機構 前回の申請時には、用法・用量を1回250mgとして非劣性を証明しようとしま したが、検証されませんでした。今回の試験では、1回用量を500mgとして検証されて います。 ○堀内部会長代理 前回出されたときは単純疱疹も適応症に入っていたわけですが、そ の後の臨床試験では帯状疱疹だけでやられたというのは、早く臨床試験をやるためでし ょうか。ほかに理由があるのでしょうか。一般的に考えると、ある面では有効性はある かなと考えられますが、あえて削ったのはどうしてですか。 ○機構 申請者の開発方針として、まず帯状疱疹で有効性を確認し、今後は単純疱疹に ついても開発を検討していると伺っています。 ○堀内部会長代理 現在やられているということですか。 ○機構 着手はまだしていないのですが、開発を検討中ということです。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○前崎委員 審査報告書の56ページには、投与期間について「7日間の投与が望ましく、 漫然と長期間投与されることは回避する必要がある」という文言がありますが、添付文 書では、2.重要な基本的注意の(2)に「本剤を7日間使用し、改善の兆しが見られない か、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替える」と書いてあります。これは、 7日間で効いていればもう少し投与してもいいように取られる気がするので、投与期間 については7日間投与に限定するような文言にした方が誤解を生まないのではないかと 思いますが、いかがでしょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。御指摘を踏まえまして、検討させていただきま す。 ○池田部会長 よろしくお願いします。そのほかにいかがでしょうか。先ほど触れられ たように、精神神経症状が今回、追加で見られたということですが、これは、250mgの ときの試験では余りなかったのですか。今回は500mgでやって非劣性が証明されたとい うことですが、この精神神経症状というのは、用量が少なかったときはそれほどなかっ たということでしょうか。 ○機構 以前に実施された250mgの試験で3例に精神神経症状が認められており、今回 実施された500mgの試験では報告されていないものの、例数が限られていることから用 量との関係は明確ではないと考えております。 ○池田部会長 そうすると、今回500mgにして非劣性が証明されたけれども、250mgの ときには少し精神神経症状が見られていたので、市販後は十分に注意して見なさいとい うことですか。 ○機構 そのとおりです。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○新井委員 素人なので教えていただきたいのですが、精神神経症状が出るのは感染し た患者さんのみなのでしょうか。この薬の作用機序として、ウイルスが感染した細胞だ けリン酸化の物質が大量にたまる性質があることを考えると、そのリン酸化されたもの が副作用として示しているのか、この化合物そのものが副作用と考えられているのかと いうのは、そういった結果から分かるかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○機構 精神神経症状の発生メカニズムについては、正確なところは分かっていません。 私どもとしましては、このクラスのほかの薬剤の臨床試験等においても同じような精神 神経症状が認められていることから、薬剤によるもの、それから、疾患の一部としてそ ういう症状が起こってくる可能性も含めて考えています。私どもがこの薬剤で精神神経 症状に特に着目しました理由は、審査報告書にも記載しましたが、対照薬であるアシク ロビル群では認められなかったものが、この薬剤では認められているからです。class effectないしは疾患に由来するものかもしれませんが、これまでも認められているもの が、この薬剤使用時にはもっと頻度が高くなる可能性も視野に入れてウオッチしていく 必要があるのではないかと考えています。今後、いろいろな情報を積んでいく過程で何 か新しいことが分かってくれば、それを臨床サイドにもフィードバックしていくことが 重要だと考えています。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 そうすると、治療薬としては、ファーストチョイスはアシクロビル と考えてよろしいのですか。相互の位置付けについて聞かせていただきたいのですが。 ○池田部会長 いかがでしょうか。この薬をどういうときに使うことになるかというこ とにもなると思うのですが。 ○機構 臨床試験成績で裏付けがなされているデータとしては、アシクロビルより勝る というデータは安全性についても有効性についてもありませんので、どちらをファース トラインとするというところはリコメンドできる状況にはないと考えています。アシク ロビルとこちらの薬剤では服用回数が違います。アシクロビルは5回に対してこちらは 3回ということがありますので、患者さんのライフスタイル等に合わせて、かつ、今の 段階で得られているデータを十分踏まえた上で、どちらを選ぶかというのは個々の患者 さんごとに選択していただければと考えています。そのお話をしますと、バルトレック スも3回ではないかというお話が出ると思いますので、先に申し上げてしまいますと、 バルトレックスとの関係については直接比較をした臨床試験はありませんが、アシクロ ビルと同じ活性本体であるということからすると、アシクロビルと同じような効果が期 待できると思っています。アシクロビルとこの薬剤の関係については、今のところリコ メンドできるようなデータは何もありませんので、今後、臨床の現場での使用実態等を 踏まえて、学会の先生方とも連携しながら、何か位置付けを言えるものであれば、築い ていくべきものであると考えています。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかにいかがですか。一つ聞かせてほし いのですが、添付文書案の「重大な副作用」のところに、先ほど来問題になっている「精 神神経症状」とあって、「錯乱、幻覚」と書いてあります。それが両方とも太字になっ ていて、「(いずれも頻度不明)」と書いてあります。その後に「注)」と書いてあって、 「錯乱は主に高齢者で現れることが報告されている」とあります。そして、下の方に「注) 外国でのみ発現した副作用であるため、頻度不明とした」と書いてあるのですが、この 「注)」は何を「注)」として言いたいのかよく分からないのです。「錯乱は主に高齢者 で現れることが報告されている」というのが外国の例ということですか。 ○機構 この錯乱については、海外のCCDSに基づいて記載されていまして、今回の 書き振りとしても、この錯乱については海外で認められた副作用という意味で記載され ています。しかしながら、ここの記載の要否については、最新のラインリスト等も確認 した上で検討させていただきたいと思っています。 ○池田部会長 そうですね。実際に国内の第III相臨床試験で精神神経症状が認められて いるわけですから、それはまずディスクライブしなければいけないのではないかと思い ます。 ○機構 池田先生から御指摘いただいたもう一点の方ですが、「注)外国でのみ〜」とい う記載は、例えば「1)精神神経症状」の後ろに「(いずれも頻度不明)」と書いてあると ころの注です。御指摘のとおり、注が二つありまして、その二つの関係がとても分かり にくい状況になっていますので、この記載はこちらで整理させていただきたいと思いま す。御指摘ありがとうございます。 ○池田部会長 特に、精神神経症状がこの薬で認められて、ほかでは認められなかった ということで、今後注目して見ていかなければいけないので、特段分かりやすい記載に していただければいいと思います。そのほかにいかがですか。 ○前崎委員 これは1cmの4mmとかなり大きな錠剤になっていますが、500mg錠はもっ と大きいということで、250mg錠×2錠となっているということですが、誤飲などをし たときの溶解性はいかがなのでしょうか。 ○機構 本剤はフィルムコート製剤なので、溶解性は余りよくないと思います。日本で 250mg錠が選択された経緯としては、海外は500mg製剤なのですが、やはり剤形が大き く、飲むのに余り適していないのではないかということで、今回は、250mg製剤でも大 きいことは大きいのですが、それを2錠という形で申請されています。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。特にございませんか。もしないようでし たら、議決に入りたいと思います。なお、堀内委員におかれましては、利益相反に関す る申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくということで、よろしくお願い したいと思います。それでは、議決に入りたいと思いますが、委員の先生方、特に御異 存はございませんでしょうか。よろしいですか。よろしければ、承認可として、薬事分 科会に報告をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。それでは、守 殿委員と溝口委員にお入りいただきたいと思います。 ── 守殿委員、溝口委員入室 ── ○池田部会長 次に、議題2ですが、冒頭に事務局からございましたように、議題2の 審議については、堀内委員に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○堀内部会長代理 それでは、議題2に入りたいと思います。田村委員におかれまして は、本議題の審議の間、別室で御待機いただくということです。 ── 田村委員退室 ── ○堀内部会長代理 それでは総合機構から議題2の概要を説明していただきたいと思い ます。 ○機構 議題2、資料番号2、医薬品スーテントカプセル12.5mgの生物由来製品及び特 定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否などについて、医薬品医療機器総合 機構より説明させていただきます。  本剤の有効成分であるスニチニブリンゴ酸塩は、PDGFRや、VEGFR、KIT、FLT3 などの受容体型チロシンキナーゼ活性阻害作用によって、腫瘍の増殖が抑制されると考 えられている抗悪性腫瘍剤です。消化管間質腫瘍に関する本剤の対象患者は、標準治療 法であるイマチニブに抵抗性を示す患者です。  消化管間質腫瘍の患者では、手術適応のない場合、イマチニブが第一選択ですが、当 該領域でイマチニブに抵抗性となった場合、標準的に用いられる治療は確立されており ません。  一方、腎細胞癌に関する本剤の対象患者は、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌患者 です。腎細胞癌の患者では、手術適応のない場合、インターフェロンやインターロイキ ン2の、いわゆるサイトカイン製剤が標準的に用いられる一次治療として使用されてお りますが、その有効性は臨床的に満足できるものではありません。  今般、消化管間質腫瘍及び腎細胞癌の二つの疾患に対する承認申請がなされました。  本剤は優先審査に指定され、海外においては71か国にて承認されています。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料5にございますとおり、 11名の委員です。  品質、毒性、薬理、ADMEについて大きな問題は認められませんでした。  主な臨床試験成績としては、消化管間質腫瘍では国内で実施された一つの第I/II相試 験と、海外で実施された一つの第III相試験が提出されました。海外第III相臨床試験の結 果、イマチニブに抵抗性の消化管間質腫瘍患者に本剤を投与した場合に、プラセボに対 して無増悪期間の延長が認められており、本剤の有効性が示されたと判断しております。  一方、腎細胞癌では国内で実施された一つの第II相試験と、海外で実施された一つの 第III相試験が提出されました。根治切除不能又は転移性の腎細胞癌患者に本剤を一次治 療として投与した場合に、インターフェロンアルファに対して無増悪生存期間の延長が 認められ、かつ生存期間の延長が示唆されたことより、本薬の有効性が示されたと判断 いたしました。  安全性については、本薬の使用において特に注意すべき有害事象として、心毒性、高 血圧、創傷治癒合併症、間質性肺炎など、様々な臓器での有害事象が出現しており、国 内臨床試験では重篤例も認められています。機構は、本剤は、がん化学療法に精通した 医師が極めて慎重に使用する必要がある薬剤であり、製造販売後には全例調査による有 害事象の収集及び迅速な情報提供を行う必要があると考え、承認条件として設定しまし た。  以上の審査の結果、機構は、イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍、根治切除不能又は 転移性の腎細胞癌について、本剤を承認することは可能と判断しました。  本剤は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間を8年と設定することが適当であ り、原薬及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。また、生物由来製品及び特定生物 由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。  以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。本薬は、いわゆるマルチターゲットの分 子標的薬で、VEGFR、PDGFR、KIT、FLT3など、いろいろなもののリン酸化を抑制 するということで、適応症としては、消化管間質腫瘍と腎細胞癌ということですが、委 員の方々の御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○竹内委員 一つ確認させていただきたいのですが、効能・効果としては、やはり機構 の方ではイマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍ということでよろしいのでしょうか。全体 を引っくるめてではなくて、セカンドラインとして入っていると。 ○機構 そのとおりで、セカンドラインとして使用されるものと考えています。 ○堀内部会長代理 理由を説明していただけますか。 ○機構 消化管間質腫瘍に関しましては、従来は標準的治療、抗がん剤が全くなかった 癌腫でして、まず、イマチニブが標準的に用いられる薬剤として世界で認識されていま す。このイマチニブに抵抗性になった場合に全く治療はないということがありまして、 海外第III相試験が行われ、セカンドラインとしての有用性が示されたということで、現 時点ではセカンドラインとしての位置付けで承認を考えています。 ○堀内部会長代理 イマチニブがかなり有効性が高いので、そちらをファーストライン として使われるということで、治験もそのような組立てになっているということですね。 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。 ○上原委員 審査報告書の24ページ〜25ページに書かれていることについてお伺いし ます。イマチニブに抵抗性の消化管間質腫瘍に有効であるということで、そういう意味 では有用性の高い薬だと思いますが、この2ページ辺りに書かれていることでは、変異 の種類によっては効かないということが確認されていますね。そういうものについて適 切に情報を提供することが望ましいというような書かれ方がされていますので、私もそ れはもっともだと思います。そういうことを具体的にお医者さんがどのように患者さん に情報として提供されるのか、その辺の体制といいますか、その中身について教えてい ただけますか。 ○堀内部会長代理 KITの遺伝子変異の仕方によっては効かない場合があるというこ とを患者にもきちんと伝えるにはどういうことを考えればよろしいかということだと思 いますが、いかがでしょうか。 ○機構 現時点では、全例調査ということもありまして、情報を、先生がおっしゃる内 容も含めて、冊子にはなってしまうのですが、そのような資材を提供するということで、 今、機構では、ドラフトですが、企業と議論をしているところです。その中に、審査報 告書の内容等に関しては詳しく書かせたいと考えています。まだ議論が一部ある部分が 残っていますので、新しい情報が入ればそれに加えていくということを的確にしていた だきたいということで、企業とは議論をしていると御理解いただければと思います。 ○上原委員 将来的な話だと思いますが、理想的には、このようなことが分かってきま すと、患者さんの組織の遺伝子検査、ダイレクトPCRでその変異があるかないかを迅 速に調べて、効く可能性があるから使いましょうとか、こういう変異があるから恐らく 効かないですが、どうしましょうかとか、そういうことで判断を求めることが臨床の現 場に実現していく方向に持っていっていただければよろしいかと思います。 ○機構 コメントをどうもありがとうございます。先生がおっしゃるとおり、有効性を 個々の医療として理解して、例えばミューテーションの部分に関して情報が入れば、可 能性として効かない可能性があるということは、ドクターも患者さんも認識していただ くということが必要かと思います。しかしながら、この薬の特徴として、マルチターゲ ットというところがありまして、かなり複雑なものであるということもあり、一概に一 つのミューテーションが見付かったということだけで判断できない部分もあると、メー カーとも議論はしてきています。 ○堀内部会長代理 今後、簡便なチェックの仕方が開発されるでしょうから、遺伝子変 異等を調べて、それから投与するという方向性が、この件だけではなくて、一般的に求 められていくのではないかと思います。ほかにはいかがでしょうか。 ○池田部会長 副作用の件で、イマチニブの開発のときにもあったと思うのですが、欧 米と同じ用量でやると、日本人は少しオーバードーズになって、副作用が多く出ると。 例えばイマチニブですと、海外では600mgとか800mgを平気で使うわけですが、日本の 場合は400mgが標準的です。そこで少し差があるわけですが、この場合も、欧米と比べ ると、50mgでやっていくと副作用の出方が多いような気がするのです。ドーズを少し下 げたりすることに関するサジェスチョンのようなものは、この段階では難しいのですか。 スタディをやっていないから、効果がどうかということはなかなか言えないと思うので すが、イマチニブでも、400mgでやっていて非常に飲みにくいとか難しいというときに、 300mgまで減らして効果があるのか、ないのかと、しばらくの間相当議論になった経緯 があるのです。これは、日本の場合、副作用が欧米と比べて多いですね。その辺につい ての考え方は、どうしていけばいいのでしょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。まず、副作用が多い、少ないという点に関して、 我々の考えていることとしましては、我々に入っている情報では日本人で実際に使われ たものとしては80人程度の情報しかないということで、この数字が一人歩きといいます か、その判断は、多いか少ないかという議論は少しずらした方がいいかなとは思ってい ます。一方、先生が御指摘のように、肝障害も含めてなのですが、間質性肺疾患なども 実際に日本人では起きているということで、プロファイルとして、外国人と全然違うと いう話ではないと思うのですが、多いという懸念はあるということは、審査報告書にも 記載はしています。やはり調査の中から得られてくる情報を的確に反映していくという ことも必要だと思いますし、現時点でドーズを減らすことがいいのかということに関し ては、我々の審査の中では、結論として必要ないだろうという判断をしています。また、 個々の患者さんの状態によっても影響される部分もありますことを、「適宜減量」とい う記載をさせていただいていますので、この時点でドーズの設定を50にするということ に関しての、国内使用に関しての制限等については、しないという判断をしています。 ○堀内部会長代理 副作用の話になりましたが、特に、こういうマルチターゲットの薬 は、いろいろなところに作用する可能性がありますので、副作用について十分な議論を しておく必要があるだろうと思います。ほかに御意見はいかがでしょうか。 ○竹内委員 二つ海外の第III相試験が行われていまして、両方ともTTPとPFSで一 応いい結果が出ているのですが、両方ともサバイバルに対してはしっかりしたサロゲー トな値にはなっていない。添付文書を見ると、TTPとPFSだけの情報が書かれてい ますので、これが実際に市販された場合には、市販後調査で、OS、サバイバルの方は ある程度確認されるという理解でよろしいでしょうか。 ○機構 海外の第III相試験は、今後、OSに関してのディスカッションがされるような 手続が踏まれているということが一点ございます。国内での市販後調査の話なのですが、 市販後調査で試験ではないというところもありまして、厳密さという問題点にはかなり 疑問が残ります。我々としては、指示して何とか情報を集めていくことが可能かとは思 うのですが、実際、そのデータの評価という問題に関しては賛否が出てしまう可能性が あるので、それを特段重要視しているというわけではありません。我々としては、そう いう理解をしています。 ○池田部会長 これは、全例調査をして、市販後慎重に見ていくということで、非常に 結構だと思うのですが、もちろんここで議論することではないと思うのですけれども、 調査をするポイント、どういう仕組みで調査をするかということについては、今どのよ うな状況になっているのか、お知らせ願えますでしょうか。全例調査ですから、使って いるところの症例を集めて、後で解析しようというのもいいとは思いますが、こういう 薬は、ある目的を持って調査をするという方向に行かなければいけないと思うのです。 その辺は、誰が、どういう仕組みで責任を持ってやっていくのか。もちろん企業が責任 を持つのでしょうが、企業だけに任せていいのかどうかも含めて、御意見をいただけま すでしょうか。 ○機構 審査の中での議論を解説した記載が、審査報告書の114ページにあります。ま ず、どういう副作用を重点的なターゲットにして情報を入手するかということについて 触れられています。先ほど堀内先生からもありましたように、マルチターゲット、いろ いろなRTKに影響してくるということで、非常に複雑に、あるいは広範囲な臓器にわ たって障害が起きてくるので、かなり広めにということで企業とは議論をしてきました。 その結果、かなり多種類にわたっての調査にはなっています。現時点ではシステムとし て確立したものではない、企業とまだ議論しているというところはありますが、基本的 な考えとしては、全例調査の中でこういうものを入手して迅速に対応したいということ で、半年など、ある程度短い期間、症例数も600例程度でまず情報を一つフィックスし て、それで情報提供するべきかどうかについては、企業とやり取りさせていただいてい ます。そこで判断して、さらに続ける、あるいは、新たに出てくるもの、頻度が高いも のに関しての議論は、機構と申請者の中で議論がされていって、対応を決断していくと いうような流れは考えています。 ○堀内部会長代理 今は市販後調査のお話だったのですが、これは市販後臨床試験、特 に、先ほど数が少なかったからというお話がありましたけれども、外国で出ている副作 用と日本で起こっている副作用とは少し違いがあるようだということですが、この辺も 含めて、市販後の臨床試験は計画はされていないのでしょうか。 ○機構 現時点では、市販後臨床試験を指示している形にはなっていませんが、実際、 重篤なもので日本人に非常に特異的なものが出てくるのであれば、スタディはいろいろ なやり方があると思うのですが、臨床試験をやっていくような指示は、既に我々として はしているところです。 ○堀内部会長代理 ほかにいかがでしょうか。日本人では80数例ということですので、 明確な結論を出すには数が少なすぎるかと思いますが、有効性については、これまでの ところはかなり明確に出ているだろうと思います。その使い方等については、今後、慎 重に使っていかなければいけないということだと思います。 ○守殿委員 予防的投与について、添付文書(案)を見ますと、2ページの効能・効果並 びに、その下に書いてある「術前及び術後補助化学療法としての有効性及び安全性は確 立していない」との、この二点で、予防的投与は認めないという姿勢なのでしょうか。 この部会とは関係ないかもしれませんが、臨床家は、予防投与は術後に補助化学療法と して使いたがると思うのです。この辺は明確な言葉で否定できないのは分かるのですが、 これを使って保険が適用されないということになりますと、半年で500万円くらい一度 に飛んでしまいそうな値段ですので、その辺を明確にしてほしい気がするのです。 ○審査管理課長 医療保険における取扱いと薬事法上における評価をどのような形で結 び付けるかということが求められているのだろうと思います。慣例的にといいますか、 経験的にといいますか、最近ではかなり少なくなってきたと思いますが、前は、術後補 助化学療法をやることが当然であるかのようにやられてきた。しかしながら、データ的 に、それがエビデンスがあるのか、あるいは、エビデンスが否定されたものも多々あっ たということから、薬事法上におきましては、その評価を明確にしておくべきだという ことに至りまして、データがない場合には、データはありませんということを書くこと で整理をしているところです。これをもって、医療保険上、術後に使った場合に切る、 切らないというのは、いろいろなところがあるのだろうと思います。一概に、この表現 があるからすべて切るということでもないのだろうと思います。そこは、まさしく医療 保険上の取扱いということになってくるわけですが、薬事法上の世界としては、その評 価を明確にしておく必要があるのだろうということで、このような記載をしているとこ ろです。 ○守殿委員 「転移性の腎細胞癌」という表現もいろいろ解釈ができるのです。腫瘍が 切除断端に残存しているというような手術所見の場合に、肉眼的に現状では転移がなく ても将来転移すると、そういう意味での転移しやすい腎細胞癌という解釈なら使っても いいかなという気もするのです。その辺がなかなか難しいところだと思います。 ○堀内部会長代理 腎細胞癌の場合には、7割、8割は転移をするということだろうと 思うのです。ですから、そこはどうするのかは大事な点かもしれません。転移性でも構 わないと基本的には考えていいのでしょうね。 ○機構 どういう表現で効能を付けるかということに関しては、専門協議でもかなり詳 しく議論させていただきました。審査報告書の95ページですが、まず、どういう定義か ということに関して少し議論をして、最終的には「転移性の」という表現になっていま す。御指摘のとおり、腎細胞癌の術後補助療法の考え方といいますか、全摘ですので、 その後の治療をアジュバントととるかどうかという議論もしてきました。結論としては、 転移性ということで、実際に転移している患者さんに用いる、リンパに転移していると いうことも含めて使われる薬ということで、臨床試験のターゲットになった患者さんの 内容を反映しているというのが現状です。そういう点では、臨床試験を熟知していれば 間違えることはないし、複雑なものの場合の判断もできると理解はしていまして、表現 としては「転移性」と我々としては設定させていただきました。これが設定の経緯です。 ○堀内部会長代理 よろしいでしょうか。副作用のところですが、添付文書の6ページ 〜7ページに、「重大な副作用」ということで、たくさん出ています。データを見てみ ますと、特に肝機能は、日本人の場合にはまだ症例数は少ないのですが、かなりの患者 さんに重篤な異常が認められるように思います。「肝不全(1%未満)が認められた」と いうと、データは一般的には見ませんので、これだけ見ると、余り起こらないのかと思 ってしまいがちではないかと思います。もう少し表現の仕方を検討していただけません でしょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございました。おっしゃるとおりのことも機構としては思っ ていますので、表現等々に関しては対応させていただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 ほかにはよろしいでしょうか。御意見がないようですので、本議題 について議決に入りたいと思いますが、池田委員、庵原委員、前崎委員におかれまして は、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思い ます。それでは、議決したいと思いますが、本議題について、承認を可としてよろしい でしょうか。御異議がなければ、承認を可として、薬事分科会に報告ということにさせ ていただきたいと思います。ありがとうございました。 ── 田村委員入室 ── ○池田部会長 堀内委員、ありがとうございました。それでは、報告事項に入りたいと 思います。報告事項について、機構より説明をお願いします。 ○機構 それでは、報告事項の議題1「医療用医薬品の再審査結果について」報告いた します。  資料3と、本日机上に配付させていただきました、資料3-2を御覧ください。  本日配付させていただきました、資料3-2の1枚目は、送付させていただきました、 資料3の上から4枚目の「一般的名称」欄に関係のない商品名を私どもが入れてしまっ たことから、また、資料3-2の2枚目は、資料3のその後に続く「再審査報告書(案)」 というグループの13ページ目の「有効成分名」欄に、同じく関係のない商品名を入れて しまったことから差し替えさせていただくものです。申し訳ありませんでした。  今回、報告させていただくのは、一般的名称は「ランソプラゾール」、「アモキシシ リン水和物」、「クラリスロマイシン」の3剤を併用する、「胃潰瘍又は十二指腸潰瘍 におけるヘリコバクター・ピロリ感染症関係」の承認の効能・効果に対する、医薬品再 審査の結果です。  市販後の使用成績調査や特別調査、市販後臨床試験の成績等に基づきまして関係企業 から再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承 認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認 事項について変更の必要のない「カテゴリー1」と判定したものです。  また、これにより、ランソプラゾールを使用する、いわゆる3剤併用療法に係る、承 認時にそれぞれ付されていた関係の「承認条件」の内容については、確認されたものと 併せて判断しているものです。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御質問はございますで しょうか。特にございませんか。日常的に使われているお薬ということですが、よろし いですか。特にないようですので、報告事項については御確認いただいたということに させていただきたいと思います。ありがとうございました。  本日の議題は以上でございます。委員の先生方から特に何か追加して御意見はござい ますか。よろしいでしょうか。それでは、事務局から何か報告はありますか。 ○事務局 次回の部会ですが、既に御案内のように、4月30日(水)午後2時から開催さ せていただく予定ですので、よろしくお願いします。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了させていただき たいと思います。先生方、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2734)