08/02/21 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会第29回議事録         第29回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会                   日時:平成20年2月21日(木)14:30〜                   場所:ホテルはあといん乃木坂312号室 ○平野部会長  ただいまから、第29回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を始めます。本日 は金城委員、内藤委員がご欠席です。1つ目の議題に入ります。1つ目の議題は「労働者 災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行 規則の一部を改正する省令案要綱」についてです。本件は厚生労働大臣から労働政策審議 会会長宛の諮問案件です。諮問案件のうち、通勤災害保護制度と二次健康診断等給付の見 直しについて、前回の部会において事務局に整理をお願いした事項がありますので、まず 事務局から説明をお願いします。 ○労災管理課長(前田)  資料参考1-1をご覧いただきたいと思います。「労働者災害補償保険法施行規則の一部 を改正する省令案について(通勤災害保護制度の見直し関係)」という資料です。これま での部会の議論も踏まえまして、整理させていただきました。  趣旨は、家族の介護というものが労働者の生活に深く関わってきていることや、昨年4 月の大阪高裁の判決を踏まえて、労働者が要介護状態にある家族の介護を行う場合につい て、この通勤災害保護制度の対象とする省令改正を行うということです。  改正の必要性については(1)にありますが、現在、労働者が移動の経路を逸脱あるい は中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤災害保護の対象になら ないということですが、イにありますように、その逸脱又は中断が日常生活上必要な行為 であって厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により行うための最小限度のものであ る場合には、当該逸脱又は中断の間を除き、通勤とされるということで、省令として「日 用品の購入その他これに準ずる行為」などが規定されているわけです。  この場合に、介護行為については具体的に内容が多岐にわたり、また相当長時間を要す るということで、これを現在の労災則の8条1号の「日用品の購入その他これに準ずる行 為」に該当すると解釈して、省令をそのままにする場合に、現在、この「日用品の購入そ の他これに準ずる行為」というのは、ごく短時間のものを想定していて、介護のようなも のまでこれで読むとした場合に、さらに別のもので長時間要するようなものも司法判断で 拡大する恐れもあるということから、1号の「日用品の購入その他これに準ずる行為」と いうのは、ごく短時間のものであるということを明確にするためにも、別途、介護につい ては省令で規定することが適当ではないかということです。  (2)で具体的にどういう場合を対象にするかということですが、介護を受ける対象者 の範囲については、「要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、 かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹」としてはどうかということです。この対象 者については、育児・介護休業法に基づく介護休業制度の対象となる家族が、ここで書い てあるものになっていて、基本的にそれに合わせてはどうかということです。  2頁の上のところをご覧いただきたいと思います。要介護状態の判断基準については、 単身赴任者が就業場所と帰省先住居の間を移動する経路を、通勤災害保護制度の対象とす る場合の考え方と合わせるということです。要介護状態について労災則の第7条で規定し ていて、「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、二週間以上の期間にわた り常時介護を要する状態」と規定しています。要介護状態については、それをそのまま使 うということです。  具体的には次の3頁に、判断基準ということで書いています。これも介護休業法で使わ れているものですし、また、現在、労災の要介護状態の判断基準においても使っているも のです。この1、2のいずれかに該当するものということで、1は日常生活動作事項です が、第1表の中で歩行、排泄、食事、入浴、着脱衣の5つがあります。この5項目のうち 全部介助が1項目以上及び一部介護が2項目以上あって、かつ、その状態が継続という場 合か、2の問題行動のほうで、第2表のうちのいずれか1項目以上が重度又は中度に該当 し、かつ、その状態が継続すると認められること。こういう場合に「常時介護を要する状 態」と判断しています。これを使って要介護状態を判断してはどうかということです。  2頁に戻っていただいて、もう1つは、介護を労働者が反復継続して行っていることを 要件とすることが適当ではないかということです。労働者本人にとってその介護が日常生 活上必要な行為であるということが必要で、通常は他の者が行っているのを、たまたまア ドホックに代わりにやることまで対象にすることは適当ではないということから、反復継 続して行っていることを要件にしてはどうかということです。理論的には、たまたま初め て介護を行った場合に、そこで災害に遭うということもあり得るのですが、そういった場 合には、その後も介護を反復継続して行うことが予定されていたかどうかで判断せざるを 得ないと考えています。  さらに、介護の内容や時間については、なかなか限定を付すことが難しいということが あり、特に省令で定めは必要ないのではないかと考えています。いずれにしても保護の対 象となるのは、その逸脱・中断がやむを得ない事由により行うための最小限度のものであ る場合ということが、法律上かかっていますので、介護についても当然、「やむを得ない 事由により行うための最小限度のもの」という制約がかかりますから、それによって自ず と一定の制限がかけられるものと考えています。施行については、この4月1日の施行を 予定しているということです。  育児については、これまでもご議論いただいていたのですが、基本的に共働きの親が子 供を保育所なりに預ける場合には、これまで合理的な経路の中でカバーされています。育 児は既に経路の方でカバーされているのではないかということと、実際上、具体的な事例 ということがまだ想定しにくいことから、育児については今回は見送り、今後の実態をみ ながら検討してはどうかと考えています。  次は参考の1-2の「二次健康診断等給付の見直し関係」です。改正の内容は、この前の 部会で説明させていただいたとおり、労働安全衛生規則で定期健康診断の検査項目が見直 されたことに伴い、二次健康診断の対象の要件、検査項目を見直すということです。これ までの二次健康診断等給付の実績・効果ということで、2頁をご覧ください。二次健康診 断等給付が平成13年度に創設され、昨年度まで支給件数、支給額はここにあるとおりで す。件数、金額とも徐々に増加してきています。  この二次健康診断等給付の効果についてどうみるかということで、難しい面もあるので すが、1つは、平成14年度から18年度まで脳・心臓疾患で労災認定された方が全体で1,610 人、一方、適用事業場の労働者数が大体4,891万人強ということで、その割合を単純に出 すと0.0033%です。一方、平成14年度から18年度までに二次健康診断等給付を受けた 労働者が5万7,311人おられて、その中で同じく脳・心臓疾患で労災認定された方は2 人で、その割合は0.0035%ということで、割合的にはほぼ同じような感じになっていま す。  ただ、二次健康診断等給付の対象者というのは、基本的には肥満、高血圧、高脂血症、 高血糖の4つのいずれもが異常値である方ということですので、もともと本人の有する危 険因子がかなり高いハイリスクの方であるということ。例えば、この1995年の研究によ れば、相対リスクは13.3倍という研究があります。そういったもともとリスクが高い方 が二次健康診断等給付を受けることを前提にすると、それにもかかわらず、脳・心臓疾患 の労災認定された方がほぼ同じ割合ということで、二次健康診断等給付を受け、さらにそ の後の指導なども行われますから、それによって脳・心臓疾患についての一定の予防効果 が上がっているとみることができると考えています。  通勤災害保護制度と二次健康診断等給付の見直しについては以上ですが、それ以外の項 目も含めて省令の改正案の諮問をしていますので、まず要綱を読み上げたうえで、さらに 内容について説明させていただきたいと思います。 ○労災管理課長補佐(河野)  資料1をご覧ください。 労働政策審議会会長、菅野和夫殿。 別紙「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別 措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。平成20 年2月21日。厚生労働大臣、舛添要一 別紙 労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特 別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱 第一 労働者災害補償保険法施行規則の一部改正 一 通勤災害保護制度の見直し  逸脱又は中断の間を除き、通勤災害保護制度の対象とする日常生活上必要な行為として、 要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、 祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)を加えるもの とすること。 二 介護補償給付及び介護給付の限度額等の引上げ (一)常時介護に係る介護補償給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出 した費用がその額を超えるときに支給する額を、月額十万四千九百六十円(現行十万四千 五百九十円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親 族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額五万六千九 百三十円(現行五万六千七百十円)に改めるものとすること。 (二)随時介護に係る介護補償給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出 した費用がその額を超えるときに支給する限度額を、月額五万二千四百八十円(現行五万 二千三百円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親 族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額二万八千四 百七十円(現行二万八千三百六十円)に改めるものとすること。 三 二次健康診断等給付に係る検査項目の見直し (一)一次健康診断において血圧検査、血液検査その他業務上の事由による脳血管疾患及 び心臓疾患の発生にかかわる身体の状態に関する検査のいずれの項目にも異常の所見が あると診断された労働者に対しては二次健康診断等給付を行うこととなるところ、当該一 次健康診断における検査項目を次のように改めるものとすること。 イ、血清総コレステロールの量の検査に代えて、低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコ レステロール)の量の検査を定めること。ロ、BMIの測定を腹囲の検査又はBMIの測定に 改めるものとすること。 (ニ)ニ次健康診断として行う脳血管及び心臓の状態を把握するために必要な検査項目に ついて、空腹時の血清総コレステロールの量の検査に代えて、空腹時の低比重リポ蛋白コ レステロール(LDLコレステロール)の量の検査を定めるものとすること。 四 職場意識改善助成金の創設  労働者災害補償保険法第二十九条の社会復帰促進等事業として、職場意識改善助成金を 創設し、次のいずれにも該当する中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が三億円(小 売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については五千万円、卸売業を主たる事業 とする事業主についてはー億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が三 百人(小売業を主たる事業とする事業主については五十人、卸売業又はサービス業を主た る事業とする事業主については百人)以下である事業主をいう。以下同じ。)に対して、 支給するものとすること。 (一)次のいずれにも該当する中小事業主であると都道府県労働局長が認定したものであ ること。イ、労働時間等の設定の改善に向けた職場における意識の改善(以下「職場意識 改善」という。)に積極的に取り組むこととしていること。ロ、職場意識改善に係る(1) に掲げる実施体制の整備のための措置、(2)に掲げる職場意識改善のための措置及び(3) に掲げる労働時間等の設定の改善のための措置を記載した計画を作成し、当該計画を都道 府県労働局長に届け出ているものであること。 (1)労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第七条第一項に規定する労働時間等設 定改善委員会の設置等労働時間等の設定の改善を効果的に実施するために必要な体制の 整備並びにその雇用する労働者からの労働時間等に関する個々の苦情、意見及び要望を受 け付けるための担当者の選任 (2)その雇用する労働者への当該計画の周知及び職場意識改善のための研修の実施 (3)労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇の取得の促進のための措置、所定 外労働の削減のための措置及び労働時間等の設定の改善のための次に掲げるいずれかの 措置。(i)労働者の多様な事情及び業務の態様に応じた労働時間の設定。(ii)子の養育 又は家族の介護を行う労働者その他の特に配慮を必要とする労働者に対する休暇の付与 その他の必要な措置。(iii)在宅勤務その他の多様な就労を可能とする措置。 (二)(一)のロに規定する計画に基づく措置を効果的に実施したと認められる中小事業 主であること。 (三)(一)及び(二)に規定する措置の実施の状況を明らかにする書類を整備している 中小事業主であること。 第二 炭鉱災害によるー酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則のー部改正  炭鉱災害によるー酸化炭素中毒症について労災保険の療養補償給付を受けている者で あって常時介護を必要とするものに支給する介護料の額を、介護の程度に応じて月額五万 六千九百三十円、四万二千七百円又は二万八千四百七十円(現行五万六千七百十円、四万 二千五百三十円又は二万八千三百六十円)に、介護に要する費用として支出した費用がこ れを超えるときに支給する限度額を、介護の程度に応じて月額十万四千九百六十円、七万 八千七百二十円又は五万二千四百八十円(現行十万四千五百九十円、七万八千四百四十円 又は五万二千三百円)に改めるものとすること。 第三 施行期日等 一 この省令は、平成二十年四月一日から施行するものとすること。 二 この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めるものとすること。 以上、諮問申し上げます省令案要綱でございます。 ○労災管理課長  要綱の1頁の第一の一が「通勤災害保護制度の見直し」で、先ほど説明した考え方を基 に、要介護状態にある配偶者、子、配偶者の父母、同居、かつ、扶養している孫、祖父母、 兄弟姉妹の介護というものを加える。そして継続的に又は反復して行われるものに限ると いうことです。  二の「介護補償給付及び介護給付の限度額等の引上げ」ですが、これは参考の1-3にそ の説明がありますので、そちらをご覧いただきたいと思います。労働災害で介護を要する 状態となった労働者について、労災保険法で介護に要した費用を介護補償給付として支給 しています。これについて他の介護手当、これは例えば原爆被爆者援護法による介護手当 等との均衡を考慮して、最高限度額、最低保障額についてこれまで見直しを行っています。 直接的には人事院勧告のアップ率あるいは引下げ率によって、上げ下げをしてきておりま す。昨年の人事院勧告で0.35%のアップということになり、その率でこの最高限度額及 び最低保障額を引き上げるという内容です。  労災保険法に基づく介護補償給付については、常時介護、随時介護について最高・最低 が、それぞれここにある金額ですが、括弧内が現行の額であり、それを0.35%上げると いうことで、括弧の外のアンダーラインを引いた額にそれぞれ改めるというものです。  (2)の炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法に基づく介護料というこ とで、これは労災保険法の介護補償給付ができる前から、炭鉱災害の一酸化炭素中毒症に ついては、特別措置法で介護料を支給していました。特に一酸化炭素中毒症ということで 重篤な神経症みたいなものがあるので、常時監視が必要なわけです。介助の程度に応じて 3段階のランクがあり、これも先ほどの0.35%のアップ率で最高限度額、最低保障額を上 げるということです。ですから、この1頁の部分が労災保険法の介護補償給付、あるいは 介護給付についての金額を改めるという部分で、(一)が常時介護、2頁の(二)が随時 介護の金額ということです。  2頁の三の「二次健康診断等給付に係る検査項目の見直し」については、一次健診にお ける検査項目として、イの血清総コレステロールの量から、LDLコレステロール量の検査 に変えるということと、3頁のロで、BMIの測定については腹囲の検査又はBMIの測定に 変えるということです。二次健康診断として行う検査項目についても、空腹時のLDLコレ ステロール量の検査に改めるという中身です。四の職場意識改善助成金については、勤労 者生活部から説明します。 ○勤労者生活部企画課長(土屋)  私からは、いま要綱の第一の四にありました「職場意識改善助成金の創設」についてご 説明申し上げます。資料は参考1-4をご覧いただければと思います。近年の労働時間の現 状を見ていくと、1つに、労働時間が短い方と長い方がそれぞれに増加しているという、 長短二極化の現状があります。また、年次有給休暇の取得率が依然として低い状況にある など、まだまだ課題がたくさんある状況です。  そういった中で近年、ワークライフバランス、仕事と生活の調和という議論が盛んに出 てきて、政府全体の取組としても、昨年末に仕事と生活の調和のための憲章と行動指針を、 労使のトップにもお入りいただいた官民トップ会議の場で、お決めいただいている状況が あります。  労働時間の面においてもこういった動きを受けまして、社会的気運の醸成や、具体的な 企業の取組の促進を図っていく必要があると考え、現在、労働時間等設定改善指針の改正 を労働条件分科会でご議論いただいているところです。これと併せて、ワークライフバラ ンスを進めていくための事業を、いろいろな形で展開していきたいと考えています。その 一環として、この職場意識改善助成金を、労働時間等の設定改善に向けた職場意識の改善 に積極的に取り組む、中小企業を対象とした助成金として創設させていただき、企業の取 組の一層の促進を図っていきたいということです。  具体的な助成金の内容については概要に記載しています。職場意識改善計画を2年間の 計画として策定していただき、この中に(1)のイ、ロ、ハにあるように、イの実施体制 の整備として労使の話合いの機会や担当者の選任、ロの具体的な意識改善の措置として、 この計画の周知、研修の実施、ハの具体的な設定の改善のための措置として年休の取得と 支援のための措置、所定外労働の削減のための措置など、こういったものを計画に盛り込 んで実際にこれを進めていただく。具体的な支給額としては(2)にありますように、そ の取組状況に応じて1年目に50万円、2年目に50万円ないしは上乗せをして100万円と いうことで、最高で150万円の助成金を出したいというものです。  いま参考の1-4に沿って申し上げた内容を、省令の案として要綱の形に整理したのが、 資料1の3頁で四の「職場意識改善助成金の創設」です。よろしくお願いいたします。 ○平野部会長  ただいまのご説明に対して、皆さんからご意見、その他ございましたらお願いします。 ○齊藤委員  通勤災害のところで、今回、育児が入らなかったというのは大変残念です。育児休業法 から照らすと、なかなか入れにくいという状況も理解できますので、改正という部分で育 児の部分が入らなかったということは了承できます。ただ、前回の議論の中で、例えば難 病で入院している子の所に行って本を読んであげるとかといった行為をして帰った場合 は、それは通勤災害になるのでしょうかという問いに対して、家族の孝養のための行為で 救済することができるという、事務局の答弁があったように記憶しています。そうである ならば、改正には至らなくても現行の中で、それは当てはめることができるということで 通達なりを出していただくと、ありがたいと思います。 ○労災管理課長  具体的にどういうふうにやるかということについて、検討させていただきたいと思いま す。 ○齊藤委員  よろしくお願いします。それと一緒に、保育所に連れて行くのが合理的な経路になると か、保育所から家までの間に病院に連れて行って帰った場合はどうなるのかなど、個々の ケースがあります。そういったケースも事務局で当てはまると思われるものがありました ら通達に入れて、今回の介護の場合には出ていますので、育児という場合にはこういうも のが該当しますというのを通達で出していただくと非常にありがたいのですが、これは要 望ですのでよろしくお願いいたします。 ○平野部会長  ほかには何かございますか。 ○松井委員  参考1-4で、いまご説明がありました職場意識改善助成金の創設について、少し確認と いうか意見を申し上げたいと思います。今回、諮問されたこの助成金については、昨年7 月のものに少し似て非なるものだということだと思います。中小企業労働時間適正化促進 助成金というのがありました。よくよく要件を見ると確かに違っていて、担当部局も、労 働基準局の中で監督課と勤労者生活部で違うということらしいですが、これはかなり似て いるものなので、場合によっては同じ事業主が同じような取組をしたときに、違う助成金 だからということで、支給を受けることができるようになっているのでしょうか。どうい う仕組みになっているのか、そもそもの疑問がありますので、その点についてご回答を願 いたいということです。  次は意見なのですが、このように非常に似たようなものが創設されてくるというのは、 労働福祉事業、現在は社会復帰促進等事業と名称が変わりましたが、それについての効率 化、合理化、統合化ということが進められてきている中で、今年になってこういう似たよ うなものがまた出てくるのはなぜなのか。かつての似たようなものはそもそもどういう状 況になったのかということもあまり検証されないで、ワークライフバランスというのが世 の中の動きだから、こういうものを創設するのだというのは、一部理解しないわけではな いのですが、待てよ、前のはどうなっているのかと思います。そういうことをきちんとし て、厚生労働省全体としては重複が起きないような取組を是非していただきたいと思いま す。そうしませんと、せっかく効率化をしようとしても意味がないということ。  それと二次健診の給付のほうについては、若干、前回意見を申し上げたので、少し効果 があるのではないかという雰囲気が漂うような資料が出ているのですが、是非お願いした いことは、二次健診結果というのを今年4月から始まる新たな枠組みの中で、その健診結 果のデータを保険者が共有できるような仕組みにしていくのかどうか。あるいは、もとも とこれは個人のデータだけになってしまっていると思いますので、事業主あるいは産業医 のほうとして、そういうものをうまく活用していくような仕組みを合わせた形で対応して いく。是非、そういうことも踏まえてやっていただかないと。  やったら何か効果があったのではないかというようなご説明ではあったと思いますが、 本来、企業と労働者本人、そして今回からは保険者が、こういう部分について相当責任を 負って対応する仕組みになってきていますから、新たな枠組みの中でも対応し得るような ことも現実に進めていく中で、例えば通達でもいいですが、データをきちっと然るべき所 に従業員自身が進んでお知らせするような対応をとっていただく。そういうことをしてい ただかないと、せっかくこういうものを使ったとしても、あまり意味のある使われ方にな らないのではないかと思います。是非、そういう点でのお取組をお願いします。 ○勤労者生活部企画課長  最初にご指摘のありました職場意識改善助成金の関係について、お答え申し上げます。 いまお話があった労働時間の適正化促進助成金との関係ですが、確かに中小企業を対象と して労働時間に着目してということで近い関係にあるかと思っています。この適正化推進 助成金は先ほど松井委員からもお話いただきましたように、今回の職場意識改善助成金と は違い、36協定において特別条項を持っているような、いわば長時間労働の問題が顕在 化しやすい中小企業に対して、助成金の支給の場面でも省力化投資とか新規の雇入れとか、 そういったところまで踏み込んで対応していただいた中小企業に対して助成を行う形の 助成金です。そういった意味で今回のとは対応の場面、趣旨も違うものと考えて、こちら の助成金のお願いをしているところです。  ただ、重ねてこの2つの助成金が支給されるということについては、確かに問題もある かと考えていますので、併給は調整をする方向でいま検討していますので、よろしくお願 い申し上げます。  助成金の新設について、特に社会復帰促進事業の中での必要性はよく精査したほうがい いというご意見については、私ども担当課としてもそこはよく精査させていただいて、今 回はいまお話がありましたようにワークライフバランスという大きな動きの中でのお願 いですので、ご理解を賜ることができればと思っています。いずれにしても必要性につい てはよく精査してお願いをしていきたいと思っています。 ○労災管理課長  社会復帰促進等事業については、これまでもPDCAサイクルで目標を設定して、その成 果を評価して見直しを行っていくということでやっています。これらの助成金についても そういう観点から、今後さらに精査をしてまいりたいと思っています。  二次健康診断給付の関係ですが、事業主なり医師との関係については、二次健診を受け た労働者からその結果の証明を事業主に出して、その場合には事業主は必要な措置につい て医師の意見を聞くという仕組みになっています。そういう点で事業主と医師との連携も できるような仕組みになっています。その辺はさらに周知を図ってまいりたいと思ってい ます。そもそもの高齢者医療確保法等の運用の問題については、さらに検討してまいりた いと思います。 ○平野部会長  将来的な話も入っていますが、そういう方向でやらせていただくということでご了解い ただきたいと思います。 ○中窪委員  いまの助成金に関連してなのですが、私も松井委員と全く同感で、この前と似たような ものができたなという印象を持ったのです。いま見ると確かに要件も違うということです が、社会復帰促進等事業として今どういうものがあって、それに今回こういうものが加わ って、全体の体系がこうなっていますということがわかるような資料を出していただけれ ばと思いました。  もう1つは、これは余計なことですが、職場意識改善というネーミングは何となく押し つけがましいというか、ちまちましている印象です。むしろ「意識改革」のほうがまだい いかなという感じもします。内容に反対というわけではないのですが、もう少し前向きの 印象になるようなネーミングができないかなと思いました。それから、本当に全く余計な ことですが、厚生労働省のほうも夜11時過ぎにメールが頻繁に来たりしますけれども、 職場意識を改善していただいたほうがいいのではないかという感が若干あります。 ○平野部会長  法律の名前を変えろということ、よろしいですか。ほかには何かご意見ございますか。 先ほど読み上げていただいた諮問のことについてですが、皆さんのご賛同が得られれば、 この部会では諮問の方向に賛成ということで回答したいと思いますが、よろしいでしょう か。                   (了承)  皆さんのご了解をいただきましたので、そのようにさせていただきます。報告について は私に一任させていただくということで、よろしいでしょうか。                   (了承) ○平野部会長  ありがとうございました。それではそのようにさせていただきます。次の議題に移りた いと思います。「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令 案要綱」ですが、本件も厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛の諮問案件です。事務局 より説明をお願いします。 ○労働保険徴収課長(清川)  労働保険徴収課長の清川です。よろしくお願いします。まず要綱を読み上げた上で、内 容についてご説明します。 ○労災管理課長補佐(小林)  資料2に沿って、諮問文と要綱を読み上げさせていただきます。 労働政策審議会会長、菅野和夫殿 別紙「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」に ついて、貴会の意見を求める。 平成20年2月21日。厚生労働大臣、舛添要一 別紙。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱 第一 概算保険料を延納させる場合の納期限の変更 一 継続事業に係る概算保険料の延納について、四月一日から七月三十一日までの期分の 概算保険料の納期限を六月一日から起算して四十日以内に、八月一日から十一月三十日ま での期分(以下「第二期分」という。)の概算保険料の納期限を十月三十一日(労働保険 事務の処理が労働保険事務組合に委託されている事業に係る概算保険料(以下「委託に係 る概算保険料」という。)の納期限については十一月十四日)に、十二月一日から翌年三 月三十一日までの期分(以下「第三期分」という。)の概算保険料の納期限を翌年一月三 十一日(委託に係る概算保険料の納期限については翌年二月十四日)に、それぞれ変更す るものとすること。 二 有期事業に係る概算保険料の延納について、第二期分の概算保険料の納期限を十月三 十一日に、第三期分の概算保険料の納期限を翌年一月三十一日に、それぞれ変更するもの とすること。 第二 その他。その他所要の規定の整備を行うものとすること。 第三 施行期日。この省令は、平成二十一年四月一日から施行するものとすること。 以上になります。 ○労働保険徴収課長  この省令案要綱について、趣旨及び改正内容についてご説明したいと思います。お手元 に参考2として「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部改正について」 というのを用意していますので、それをご覧いただければと思います。  まず趣旨ですが、継続的な事業に係る労働保険の概算保険料については、毎年、年度更 新の時期、これは現行で4月1日から5月20日までと定められているわけですが、その 全額を一度に申告・納付するということが原則ですが、労働保険の保険料の徴収等に関す る法律に基づき、一定の事業主、下の※に書いていますように概算保険料額が一定以上の 事業主ですが、これについては延納(分割納付)することが認められていて、労働保険の 保険料の徴収等に関する法律施行規則において、それぞれの各期別の納付期限を定めてい るところです。  第1期(4月〜7月分)については、年度更新時期の5月20日まで、第2期(8月〜11 月分)については8月31日まで、ただし事務組合に委託して行う場合には事務組合が委 託事業主から集めて、それを集約して労働局に納めるという手間があることから、2週間 後の9月14日となっています。第3期(12月〜3月分)については11月30日となって いるところです。  ただ、下の○にありますように、これは社会保険庁改革法案の一連ですけれども、平成 19年の通常国会において成立した「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等 の一部を改正する法律」により、社会保険の算定基礎届と労働保険の年度更新期限を、事 業主の方の利便性の向上の観点から統一するということで、年度更新期間について社会保 険と合わせて、6月1日から7月10日までの間に変更されることに伴い、この分割納付 をする場合においての期別納付期限についても見直す必要が生じたものです。  改正の内容ですが、年度更新時期の変更に伴い、以下のとおり継続事業の期別納付期限 を変更したいと考えています。第1期(4月〜7月分)については、年度更新の時期であ る7月10日まで、第2期(8月〜11月分)については10月31日まで、事務組合委託分 は11月14日まで、第3期(12月〜3月分)については1月31日まで、事務組合委託分 は2月14日までと考えているところです。  なお、期間が定まっている有期事業については、直接これと連動するわけではありませ んが、分割納付する場合に2期分、3期分、それぞれ継続事業と同時期と現在しています ので、これを違うようにすると事業主の方に混乱が生じてくる可能性があることから、第 2期及び第3期の期別納付期限に限って、変更後の継続事業の期別納付期限に揃えたいと 考えているところです。  3のスケジュールですが、施行は平成21年4月1日からということで、1年以上後とな っているわけですけれども、対象の事業所数が非常に多いこと、また事業計画の変更など とも関係してくるということから、できる限り早く公布して周知することが必要だろうと 考えているところです。できれば平成20年3月中に公布して、それから1年間かけてじ っくり周知したいと考えているところです。以上です。 ○平野部会長  ありがとうございました。ただいまのご説明について何か皆さんのほうから、ご注意い ただくことはありませんか。 ○松井委員  これは分割納付のとき期限がずれるだけであって、一括納付のときには変わらないので しょうか。そこら辺の取扱いはどのようになるのでしょうか。 ○労働保険徴収課長  一括納付、つまり年に1回、年度更新時期に申告・納付することになりますので、申告 時期が従来の4月1日から5月20日にずれると、それから6月1日が7月10日にずれる というのと合わせて、一括納付の場合も従来5月20日までであったものが、7月10日ま でになるという取扱いになるものです。 ○平野部会長  納付の時期のお話ですので、もし特に問題ないようでしたら、諮問のあった件について は当部会としては妥当であるという結論を出したいと思いますが、いかがでしょうか。                   (了承) ○平野部会長  ご賛同いただきました。ありがとうございました。それではそのようにさせていただき ます。報告につきましては私にご一任いただくことにいたします。よろしいでしょうか。                   (了承) ○平野部会長  ありがとうございます。最後の議題に移りたいと思います。「労働保険審査制度の見直 しについて」、事務局から説明をお願いします。 ○労災管理課長  労働保険審査制度の見直しについては、前回の部会でもご説明申し上げたのですが、法 律の条文の改正作業が若干遅れていて、まだ法案要綱という形で部会にお諮りすることが できていません。改めて現状についてご説明して、またご意見をいただきたいと思ってい ます。  資料3をご覧ください。「労働保険審査制度の見直しについて」ということで、まず現 行の審査制度についてですが、労災保険及び雇用保険の給付に係る処分については、現在、 処分があってから60日以内に、各都道府県労働局にいる労働保険審査官に対して申査請 求を行う。これが第1審になります。それに不服がある場合には労働保険審査会に再審査 請求を60日以内に行う。場合によってはさらに裁判に移るという形になっています。  労働保険審査官については、各都道府県労働局に置かれています。これは厚生労働省の 職員が任命されて、かなり迅速に処理をするということです。労働保険審査会については、 国会同意を得て厚生労働大臣が任命する委員で、現在は常勤6名、非常勤3名の計9名で やっていて、基本的には3人一組の合議体によって審査を行います。これは行政としての 最終判断ということで慎重な審査を行い、統一を図っていこうということです。  2頁をご覧ください。現行の仕組みが、いま申し上げたように労働保険審査官に対して 審査請求を行い、再審査請求を労働保険審査会に行うということですが、今回の見直しが 右側です。行政不服審査法で審査請求を一段階化するということ。併せて、審査請求につ いては行政不服審査会等へ諮問する形になっています。基本的に審査請求は本省庁レベル のところでやることが、行政不服審査法の基本的な考え方です。労働保険の場合にも、審 査請求は労働保険審査会に対して行うものに一段階化するということです。  ただ、行政不服審査法で、大量に行われる処分については、その審査請求の前段階とし て、再調査の請求を個別の法律で認めることになっていて、この労働保険の問題について も、大量に処分が行われ、それが要件事実の認定に関わるようなものであるということで、 審査請求の前段階に「再調査請求」というものを設けます。  再調査請求というのは、原処分を行った行政庁が改めてその内容を見直すということで すから、法律的には、例えば保険給付であれば労働基準監督署長に対して再調査の請求を して、決定をするという形になります。ただ、実際の運用においては、いま審査官が審査 請求に関わっているわけですが、その審査官の代わりに、原処分に関わっていない方が関 わる形で、再調査に関わる事務を担当する職員を置いて、運用上の工夫を図っていきたい と考えています。  3頁以下が現在の取扱いの現状等です。第1審でやっている審査官の取扱い状況で、労 災保険の関係についてですが、だんだんと請求件数が増えています。平成17年度以前は 大体1,500件程度であったのが、平成18年度は1,870件と大きく増えています。請求の 中身としては業務上外が865件ということで、これがいちばん多いということです。それ に次いで多いのが障害等級の問題で476件です。平成18年度に増加しているのは、労災 保険法、新法それぞれで石綿関係の審査請求がかなり増えたということが、1つの要因と 考えられます。決定件数については、平成17年度までは大体請求に見合った形の処理が なされていた状況ですが、平成18年度は請求がだいぶ増えたので、若干、残件数が増え てきている状況です。  4頁で労働保険審査会における再審査の状況ですが、請求件数が最近では大体500件前 後という形です。一方、裁決件数が特に平成12年度あたりからは200件台で少なかった ということがあり、継続件数が増加してきた状況が見られます。ただ、平成17年度、平 成18年度は請求よりも多く600件台の裁決をしていて、徐々ではありますが継続件数は 減少しています。さらに平成19年度も上半期で400件以上の裁決をしていて、そのペー スでいけば年間800件ぐらいになりますから、本年度末においてはさらに継続件数は減少 するものと見込んでいます。いずれにしてもまだ継続件数が多いということです。  労働保険審査会においては、審査手続の簡素合理化ということで、特に裁決書を簡素化 するとか事務局職員の増員などによって、これまでも審査の迅速化に取り組んできている ところです。今回の見直しに合わせて、5頁の行政不服審査法案の中で、例えば標準審理 期間を設定するとか、あるいは争点・証拠の整理手続を導入するという形になっています。 これは労働保険についてもそういった標準審理期間を設定し、計画的な審査を進めていく ことで、さらに迅速化を図ってまいりたいと考えています。法案要綱についてはまだでき ていませんので、恐縮ですが次回にお諮りさせていただければと考えています。 ○平野部会長  ありがとうございます。第3番目の案件は、いま課長さんから説明があった状態ですの で、今回、皆さんのほうからご意見をいただければ、それを反映させることができると思 います。 ○長谷川委員  2頁の審査請求の流れで、現行と改正後があります。改正後というのは2審制ではない かと思いますが、2審制でないというのはどうやって見ればいいのか。要するに2審制を 維持するということなのですか。 ○労災管理課長  審査請求は一段階化するということですので、審査請求そのものは労働保険審査会に対 するものなので1審制ということです。 ○長谷川委員  私から見ると2審制みたいだと思ったのですが、2審制ではなく1審制なのですね。も う1つは、審理の客観性と公正性の確保、審理の迅速化があるのですが、例えば労働委員 会も計画審査をやれとか、審査の迅速性のために計画審査をやれとか、いろいろなことが あって改正になったのです。今回、これは法律のどこかで計画審査だとか、そういうもの というのは全部、労災法の改正で何か新しく条項を作ってやるのかどうなのか、そういう ことをまず聞きたいと思います。  労働委員会の改正のときに、迅速化だとかをするためには命令の権限強化とか出頭命令 とかで、当時そういうのを労働委員会でやったのです。今回、労災のところの迅速化のと きにも、使用者が資料を出さないとか、結構そういうことがあったり、なかなか命令を出 しても言うことを聞かないということがあります。それから立入調査などもあるのですが、 46条の命令権限だとか、48条で言われている調査権限を一層強化するというものがない と、迅速化だとか適正化というものは進まないと思います。そういうのは今回、どこで担 保するのか教えてほしいと思います。 ○労災管理課長  まず標準審理期間を設定するとか、あるいは争点・証拠整理手続を導入するということ について、技術的に行政不服審査法そのものを適用する、あるいは、特別法である労働保 険審査官及び労働保険審査会法のほうに標準審理期間などの規定を設ける、いずれかの措 置によって、そういう手続を法律上定めたいと考えております。行審法そのものを適用す るか、こちらのほうで規定を設けるかについては、法技術的にいままだ法制局と相談中で す。いずれにしてもそういう標準審理期間を定めるということは、法律上、どこかで明ら かに規定したいということです。 ○長谷川委員  46条と48条を確実に担保する何らかのものがないと、46条と48条はあるけども、ち ゃんとこれが使われているかどうか。 ○労災管理課長  そもそも、いま労働保険審査官及び審査会法の中で、「審理のための処分」、「労働総覧」 の2378頁になりますが、審査官が申立てあるいは職権で、そういう報告聴取や物件の提 出命令、鑑定をさせるという規定があって、それによる権限があり、罰則もかかります。 審査官なり審査会に処分権限は既にありますので、それで基本的に対応できると考えてい ます。 ○長谷川委員  なぜかというと、3頁と4頁を見るとわかるのですが、例えば労働保険の再審査事件処 理状況を見ると、残っているのが1,000件ぐらいあるわけです。これを多いと見るか少な いと見るかというのは非常に重要なのだと思います。でも労災保険というのは最近すごく 社会的関心も高くて、早く救済してくれという声があると思います。そうすると、迅速化 と適正化というのはすごく重要なのです。早ければいいというものでもないので、早いの と納得性で労働者が本当に納得するようなものかどうか。そこは一緒なのですが、そのと きに確かに46条や48条を法律の中で規定していますから、それをちゃんと活用すること により、迅速化というのは担保されてくると思います。  それと同時に、労災保険審査法か何かの改正をして、そういう計画審理などをやらない と、実際は行政不服審査法だけでいいのかといったら、私はちょっと違うのではないかと 思うので、そこは当該局は準備しないといけないと思います。様子を見てと言わないで、 自分のところの問題だから、ちゃんと準備したらどうかと思います。こういう時でないと、 そういうものは着手できないので、改革時期にはちゃんと改革したほうがいいのではない かと思います。 ○平野部会長  いまのご意見は、よろしいでしょうか。 ○労災管理課長  はい。 ○平野部会長  ほかには何かございませんか。 ○中窪委員  件数はいただいたものでわかるのですが、具体的に原決定が覆った率というのはどのく らいあるのでしょうか。 ○労災管理課長  審査官の段階で、平成18年度は決定件数が1,444件ですが、そのうち取消しが181件、 十数パーセントになっています。再審査のほうで平成18年度は裁決が655件ですが、取 消しが29件、5%弱ぐらいです。 ○平野部会長  よろしいですか。ほかにはございませんか。 ○稲葉委員  2頁の審査の流れの表の中で、先ほどの説明で再調査請求のところの審査官の代わりに、 事務担当の職員を置くということを言われていましたが、これのイメージはどういうイメ ージになるのでしょうか。それから現行制度では裁判をやるためには、審査会の最終的な 結果が出ないとできませんけれど、新しい仕組みでも、それはそのまま踏襲するというこ とになるのですか。 ○労災管理課長  いま審査官という形で職員を任命しているのですが、審査官というのは法律上は廃止に なります。それに代わるような再調査担当官と言いますか、そういう形で、担当の職員を 置くことを検討したいと思っています。  裁判については、審査請求前置ということで、審査請求を経てから裁判ということでは あるのですが、現在でも再審査請求をして3カ月以上たてば、裁判提起はできるという形 になっています。今後についても、審査会に対する審査請求を経た上で裁判ということで はあるのですが、そこは3カ月経過すれば裁判を提起できるという形で考えています。 ○稲葉委員  先ほども出ましたが、労働基準監督署の中で、その事案を担当していない方が調査員に なるのでしょうけど、そこのところははっきり線を引かないと、同じ管理職の下でその職 員がいるわけですから。当然、再調査ということの真の意味が失われることになる危惧が あるので、そこはしっかりと規定を設けるなり、あるいはしっかりとした基準等を設けて、 その独立性みたいなものを強める形の規定を設けるのが望ましいのではないかと思いま す。そこはこの法案の要綱を見てみたいと思いますが、今のところはどんな感じでお考え になっているのでしょうか。 ○労災管理課長  そういう再調査担当の職員のことまで、法律レベルとして出てくるわけではないので、 そこは運用の中で原処分に関与していない者を再調査の担当官とします。これは職員の増 員の要求になるのですが、そういう形で運用の面で考えていきたいと思っています。 ○中窪委員  新たに増員するのですか。 ○労災管理課長  増員と言いますか、審査官が配置されますので、それを振り替えるという形になります。 ○平野部会長  よろしいですか。 ○長谷川委員  資料3の1頁にあるように、労働保険審査会のほうは委員3名による合議体になるわけ ですよね。先ほど言ったように大量件数があるというときに、この組を増やさない限り、 機械がやってくれるわけではなくて合議体でやるわけだから、迅速化というのは計画審理 をやったとしても、ある程度の人数がいないとできないので、この合議体の組の数を増や すことも、あえて検討する必要があるのではないかと思います。  行政のいろいろな改革が行われてくるのですが、こういう不服審査とか苦情処理制度と いうのはすごく重要なので、もっとこういうところに人の配置を厚くするというのは、私 はとても重要なことだと思います。こういう改革のときに合議体の数を増やすということ も、是非、検討してほしい。そうすればもっと早くなるのではないかと思います。 ○労災管理課長  委員については、行政改革の中で増員というのが非常に難しいという面があります。事 務局職員の動員などでサポート体制といいますか、そういうものをこれまで強化してきて いるところです。さらにそういったことを進めてまいりたいと思っています。 ○平野部会長  ほかに何かご注意いただく点、その他ございませんか。この件については今日はご意見 を伺ってということで終わるのですが、お気付きの点がありましたら事務局のほうに申し 出ていただくと、ありがたいと思います。ほかにご意見がございませんようでしたら、本 日の部会はこれをもって終了といたします。ご協力ありがとうございました。署名委員は 労働者代表の林委員、使用者代表の平山委員にお願いしたいと思います。よろしくお願い します。ありがとうございました。 照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係                          03−5253−1111(内線5436,5437)