08/02/15 第2回平成19年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会議事録   平成19年度第2回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会 日時 平成20年2月15日(金) 10:00〜 場所 厚生労働省2階共用第6会議室 ○永野化学物質評価室長補佐 まだ定刻にはならないのですが委員の皆様お揃いですので、 ただいまより「平成19年度第2回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価 検討会」を開催いたします。本日は大変お忙しい中ご参集いただきまして、誠にありがと うございます。本日は内山委員よりご欠席の連絡が入っております。また、オブザーバー として、厚生労働省の委託によりリスク評価事業を実施している中央労働災害防止協会化 学物質管理支援センターからも出席いただいておりますことを申し上げます。それでは、 以後は櫻井先生にご進行をお願いいたします。 ○櫻井座長 皆様お揃いでしょうか。議事に入る前に資料の確認をいたします。事務局か らお願いいたします。 ○永野化学物質評価室長補佐 資料2-1は「平成19年度第1回化学物質による労働者の健 康障害防止に係るリスク評価検討会議事概要(案)」です。資料2-2は「リスク評価の手法 (改定案)」、資料2-3は「平成19年度リスク評価物質の評価値関係資料」、資料2-4が「有 害物ばく露作業報告の状況」、資料2-5が「ばく露状況調査実施事業場一覧」、資料2-6が「ば く露作業報告と実態調査選定事業場の関係について」、資料2-7が「ばく露測定データ」、資 料2-8が「リスク評価物質のばく露の状況及び対策の方向性について(案)」です。資料2-9 が「健康管理について」です。  参考資料ですが、参考1がホルムアルデヒド等の改正に係るパンフレットです。参考2 が「特定化学物質の区分について」の1枚紙の資料です。参考3が「平成19年度リスク評 価物質有害性評価書」のうち、ニッケルと砒素の部分です。以上です。 ○櫻井座長 議事に入ります。前回の議事概要の確認等を行います。事務局から説明をお 願いします。 ○永野化学物質評価室長補佐 資料2-1です。事前にメール等でご確認をいただきたいとい うことでしたが、いまのところ特段ご意見等はいただいておりません。 ○櫻井座長 特段問題がないようですので、この議事概要は確定とします。  次第に従って、まず「事業場におけるばく露実態調査の結果」について、事務局からご 説明をお願いいたします。 ○永野化学物質評価室長補佐 本題に入る前にご報告ですが、参考1にあるように、昨年 度平成18年度にリスク評価をしていただいた結果、ホルムアルデヒド、1,3-ブタジエン、 硫酸ジエチルについて、リスクがあるので法令の改正を検討すべきとご提言をいただいた ものについて、昨年12月に、関係政令、省令、告示等の改正をして、一部の規定を除いて、 今年の3月1日から施行される予定です。  本題に入ります。資料2-2です。「リスク評価の手法(改定案)」で、これは前回の6月 20日の第1回の会議でお示しして、その検討を踏まえて若干修正しています。4頁で、下 線で一重線と二重線がありまして、一重線が、前回6月20日の会議で、このように改定し たいとお示ししたもので、二重線が前回の会議を踏まえて、今回このように見直しをした らどうかということです。  4頁のaで、昨年度はすべて発がん性の閾値がないと見なされる場合だったのですが、今 年度は閾値があると思われるもの、あるいは閾値があるのかわからないものもあるという ことで、abcの3つに分けて、aのアで、一次評価値を最初に定義させていただいて、あと は一次評価値と比べてどうかと表現振りを変えています。  bについても、最初に一次評価値を定義して、「試験で得られた無毒性量に不確実性係数 を考慮して求めた評価レベルを一次評価値」と最初に定義して、あとは「一次評価値」と いう言葉を使っています。  cで、発がん性の閾値の有無が不明な場合、閾値の有無の総合的な判断を行った結果、閾 値の有無が不明な場合はイの二次評価に移行する。  6頁の(イ)の2(注:ローマ数字(小)の2)で、ばく露レベルが二次評価値以下の場 合、従前は「さらに」の部分で、「一次評価値又はがんの過剰発生率10−3に対応した濃度 を超える場合」、いろいろ細かく場合分けして検討したらどうかということだったのですが、 現実に10−3を使って対策を分けていないので、10−3に対する濃度の部分は今回は削除させ ていただければと思っています。  資料2-3です。これは前回の会議でご検討いただいたもので、修正したところは、1、2 頁にある備考とか、二重線を引いてある部分です。  オルト-トルイジンについては、一次評価値の方が二次評価値よりも上回ってしまうとい うことで、備考に理由を書くということで、「一次評価値は発がんに係る試験で得られた無 毒性量に不確実性係数を考慮して求めた値であるが、二次評価値は経皮吸収を含め、ばく 露を極力抑制する目的で定めているため、一次評価値が二次評価値を超えている」。  4のベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]フルオラセンの部分で、 二次評価値が定められないので、「定量下限値を超える濃度が測定された場合、詳細な検討 を行う」としていましたが、定量下限値というのは測り方によって変わるものですので、「労 働現場で通常用いられる測定値の下限をいうものである」と記載を加えています。  8のフェニルオキシランは、許容濃度がなくて、二次評価値を何にするかということで、 スチレンの代謝経路の主要物質になっているので、このスチレンの許容濃度の10分の1を 二次評価値とした、ということを備考の欄に追加しています。変更点は以上です。  続いて資料2-4です。「有害物ばく露作業報告の状況」です。ばく露作業報告の提出の締 切が昨年6月30日で、データの抽出を昨年7月中旬ぐらいに行いまして、それを集計、整 理したものです。  対象物質は10物質あったのですが、そのうち弗化ビニルとブロモエチレンの2物質につ いては、有害物ばく露作業報告の提出がありませんでしたので、これらについては集計し ておりません。  資料2-4の1頁が、2,3-エポキシ-1-プロパノールの集計表です。昨年度と同じ形で表を取 りまとめています。提出のあった事業場数が、(2)のいちばん下の合計で、6事業場からあり ました。作業の種類として多いのが、コード33の「計量、配合等の作業」、34の「サンプ リング、分析、試験等の作業」です。用途としては、そのものの製造あるいはそのものを 使って他の製品を製造するというものが多くなっています。  従事時間ですが、いちばん短い「1月20時間以下」がすべてで、労働時間は短いという ことになっています。下の換気装置ですが、「その他」が57%でいちばん多くなっています。 具体的に何かというのは、報告上はわかりません。保護具については、防毒マスクが43%、 保護眼鏡と保護手袋については100%使用しています。性状についてはすべて液体です。温 度については、86%が「50度未満」で取り扱っているということです。  2頁が塩化ベンゾイルです。35の事業場から報告がきています。作業でいちばん多いの が、33の「計量、配合等」になっています。用途で多いのは、他の製剤等の製造を目的と した原料としての使用がいちばん多くなっています。従事時間は90%が「20時間以下」と いうことです。換気装置については、56%で「局排を設けている」ということです。保護 具については、66%が防毒マスクを使用している、80%で保護眼鏡、94%が保護手袋を使 用している。性状については、すべて液体です。温度については、98%が「50度未満」の 低いものです。  3頁がオルト−トルイジンです。これについては19の事業場から報告がありました。作 業の種類としては「計量、配合等の作業」「サンプリング等の作業」「充填又は袋詰めの作 業」等が多くなっています。用途は、そのものの製造とか、それを使って他のものを造る という、01、02の用途が多くなっています。労働時間は、68%が「1月20時間以下」と なっています。換気装置については、64%で「局排を設けている」となっています。保護 具については、68%で防毒マスク、59%で保護眼鏡、100%で保護手袋を使用しています。 性状ついては、すべて液体で取り扱っています、温度については、73%が「50度未満」で すが、27%で「100度以上」で取り扱っています。  4頁がクレオソート油です。これについては32の事業場から報告が出ています。作業と しては、多いのは34の「サンプリング等の作業」、その次が33の「計量、配合等の作業」、 49の「ろ過、混合、撹拌等の作業」が多くなっています。用途としては、02の他の製剤の 製造で、主にカーボンブラックになるかと思います。あるいは08のクレオソート油を使っ た防腐の作業が多くなっています。労働時間は、72%が「1月20時間以下」になっていま す。換気装置では、「局排」が33%で、「全体換気」が57%です。保護具ですが、防毒マス クが35%、保護眼鏡が61%、保護手袋が89%です。性状は、すべて液体です。温度は、 43%が「50度未満」で、35%が「50度から100度」、22%が「100度以上」という状況で す。  5頁が、1,2,3−トリクロロプロパンです。5つの事業場から報告が出ています。作業の種 類としては、「サンプリング等の作業」「充填等の作業」「保守等の作業」などが報告されて います。用途としては、そのものの製造、他の製剤等の製造を目的とした原料としての使 用などになっています。労働時間としては、すべて「1月20時間以下」になっています。 換気装置は、75%で「局排」があるとなっています。保護具については、防毒マスクは38%、 保護眼鏡が88%、保護手袋が88%です。性状は、すべて液体です。温度はすべて「50度 未満」となっています。  6、7頁でニッケル化合物です。これについては595の事業場から報告があります。作業 の種類も多様です。多いものとしては、いちばん多いのが48の「めっき等の表面処理の作 業」、次が33の「計量、配合等の作業」、あとは35の「充填等の作業」などが多くなって います。用途としては、これもいろいろに使われていますが、01の対象物の製造、02のこ れを原料に他のものを製造する用途、あとは08のめっきの用途、03の触媒等としての使用 が多くなっています。労働時間としては、54%が「1月20時間以下」、25%以上で「1月 101時間以上」となっています。換気装置は、69%で「局排」が設けられています。保護 具については、58%で防じんマスクを使用しています。保護眼鏡が73%、保護手袋が93% です。性状はいろいろで、固体が22%、粉末が37%、液体が40%となっています。温度 は73%が「50度以下」となっています。  8、9頁は砒素及びその化合物です。51の事業場から報告が出ています。作業の種類で多 いものとしては、33の「計量、配合、注入等の作業」、43の「鋳造、溶融又は湯だしの作 業」、38の「清掃又は廃棄物の処理の作業」などが多くなっています。用途としてもいろい ろありますが、そのものの製造とか、それを原料に他のものを製造しているというものが 多くなっています。従事時間ですが、「1月20時間以下」が48%です。換気装置について は、51%で「局排」を設けているとしています。保護具については、82%の作業で防じん マスクを使用しています。78%で保護眼鏡、89%で保護手袋を使用しています。性状につ いては、39%が固体、44%が粉末、14%が液体、3%気体となっています。温度については、 77%の作業が「50度未満」の低い温度での取扱いとなっています。  10頁がフェニルオキシランです。5つの事業場から報告が出ています。作業の種類とし ては、「計量、配合等の作業」「ろ過等の作業」となっています。用途としては、他の製剤 等の製造を目的とした原料としての使用、顔料、染料等としての使用があります。この物 質は国内では製造されていないと聞いています。労働時間ですが、すべてが「1月20時間 以下」となっています。換気装置は、86%で「局排」を設けています。71%で「全体換気」 をしています。保護具ですが、86%で防毒マスク、71%で保護衣、57%で保護眼鏡、86% で保護手袋を使用しています。性状は、すべて液体です。温度は、86%が「50度未満」の 低い温度での取扱いになっています。  これを受けて実態調査をするということで、調査をした事業場が資料2-5です。1頁は、 2,3-エポキシ-1-プロパノールで、1、2、3、4、5とありまして、この5つの事業場につい て調査をしています。2,3-エポキシ-1-プロパノールは6事業場しか報告がないので、その うちの5事業場について調査をしました。用途は、そのものを造っている事業場とか、副 生物ができるとか、他のものを製造するというところです。  2頁が塩化ベンゾイルで、これについては5事業場の調査をしています。対象物の製造事 業場とか、塩化ベンゾイルを使って他の製剤を造っている事業場、中間体で取り扱ってい るという事業場等、5事業場について実態調査を行っています。  3頁がオルト−トルイジンです。これについては5事業場の調査をしています。用途とし ては、溶剤、希釈剤としての使用、顔料、染料としての使用、他の製剤等の製造の原料、 オルト−トルイジンを造っているという事業場について、調査をしています。  4頁がクレオソート油で、6事業場について実態調査を行いました。「08」と書いてある のは木材防腐の事業場です。あとはカーボンブラックを製造しているとか、クレオソート 油自体を造っている事業場などについて、6事業場ほど調査をしています。  5頁が、1,2,3−トリクロロプロパンです。これについては4事業場の実態調査を行って います。トリクロロプロパンの製造事業場とか、トリクロロプロパンを使って合成樹脂を 造っている事業場などについて調査をしています。  6頁から9頁までがニッケル化合物で、ニッケルはいろいろな用途、作業があるので、手 厚く調査するということで、15事業場について実態調査を行っています。用途はいろいろ で、接着に使うとか、他の製剤の製造、電池とか、めっき液を造るとか。あと多いのが、 表面処理ということで、めっきに使う用途が多くなっていて、そのような事業場について 調査を行っています。ニッケル化合物を造っている事業場についても調査をしています。  10頁が砒素及びその化合物です。4事業場について調査しています。1が対象物を製造し ている事業場です。2が「接着」とありますが、鉛合金の中に砒素が入っていて、そういう ところの取扱作業です。3は半導体の事業場で、アルシンとガリウム砒素を取り扱っている 事業場です。4が銅製錬の事業場で、銅の鉱石の中に不純物として砒素が入っているという 事業場について調査をしています。  11頁はフェニルオキシランです。これについては3事業場ほど調査しています。フェニ ルオキシランを使って他の製剤を造っている事業場、顔料、染料、塗料などとして使って いると報告のあった事業場について、調査をしています。  資料2-6は参考ですが、昨年度もこのような資料を作ったので、同じものを作っています。 1頁ですが、(1)(2)の2つ表があって、(1)はばく露作業報告の状況を簡単にまとめた ものです。2,3エポキシ-1-プロパノールについては、作業の種類としては、33、34、35の 報告がありました。用途としては、01、02、12の用途がありました。  (2)が、実態調査をするということで選んだ事業場で、報告で、このような用途がある、 このような作業があるとしていたもので、報告であるとされた作業すべてが、今回実態調 査をした中に入っています。すべての用途が実態調査をした事業場で入っています。  その他、ほかの物質についても同じような表を作っておりまして、作業や用途の多い物 質については、必ずしもすべての作業、用途について調査をしているわけではないのです が、主要な作業、用途については調査ができたと思います。参考までに作成しましたので、 目を通していただければと思います。  ばく露実態調査をした結果が、資料2-7です。1〜3頁が一覧表なのですが、表で見るよ りも、グラフにしたほうがわかりやすいので、4頁をご覧ください。2,3-エポキシ-1-プロパ ノールの測定結果です。2つありまして、左側がA測定結果、右側が個人ばく露測定結果 です。  この物質については、一次評価値が0.00033ppmと非常に低い濃度です。二次評価値が、 ACGIHのTLV、2ppmということで、上のほうの点線が、二次評価値です。それぞれ測定 値を小さい順に、1から順番に並べています。見ていただきましたように、一次評価値はと てつもなく低いので、これを超えているものもありますが、二次評価値に比べれば、各測 定値は十分に低い濃度になっている状況です。  続いて5頁が塩化ベンゾイルです。これについては、個人ばく露測定が、吸着剤として キシレンを使わなければならないということで、有害なものを胸元に付けて測定すること は困難でしたので、個人ばく露測定は実施していません。その代わりA測定結果と、スポ ット測定の結果を並べています。一次評価値はありませんが、二次評価値が、ACGIHの天 井値、0.5ppmになっています。A測定の結果も、この0.5と比べると十分に低い値になっ ています。スポット測定値も、評価値が天井値なので、0.5ppmの半分とか、3分の1程度 の濃度と比べても低い値になっています。個人ばく露は測定していませんが、A測定とスポ ット測定の結果から、個人ばく露についても、おそらく十分二次評価値を下回るものでは ないかと考察できると考えています。  6頁はオルト−トルイジンです。これについても、上の1ppmのところに引いてあるのが、 二次評価値で、産衛学会の許容濃度です。A測定、個人ばく露測定とも、1ppmと比べて十 分に低い値になっております。  7頁はクレオソート油なのですが、3頁に戻っていただいて、クレオソート油は混合物で、 この検討会ではそれに含まれている有害な成分についてそれぞれ測定して、評価をするこ とにしていて、今回実態調査をした事業場から採取したサンプル等の分析等の結果から、3 頁にあるようなナフタレン、ビフェニル、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[e]フルオ ラセン、ベンゾ[a]ピレンというものが入っていそうだということで、この5物質につい て調査をしています。  ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[e]フルオラセン、ベンゾ[a]ピレンについてです が、これについては二次評価値がないので、測定限界を超えて測定されたら詳細に検討す るということなのですが、結果として、測定限界以下であったということで、グラフに描 けないのでこれはグラフにしておりません。ナフタレンとビフェニルについてはグラフに しております。  7頁になりますが、ナフタレンの測定結果です。縦軸が対数目盛になっています。二次評 価値が10ppmですが、例えば個人ばく露ですと平均が0.0009ppmと非常に低い濃度にな っておりまして、二次評価値と比べて十分に低い値になっています。  8頁がビフェニルです。これも縦軸が対数目盛になっていて、二次評価値が0.2ppmのと ころ、例えば個人ばく露ですと平均が0.002ppmということで、2桁ぐらい低い濃度になっ ていますので、十分ばく露は低いと考えられます。  9頁が、1,2,3−トリクロロプロパンです。二次評価値が10ppmですが、それぞれ測定値 も下に張り付いていますが、低い濃度で、平均でも0.03ppmで、二次評価値と比べて十分 に低い濃度になっていると考えています。  10頁はニッケル化合物です。上がA測定結果で、下が個人ばく露測定結果です。ニッケ ル化合物については二次評価値が2つありまして、可溶性のニッケル化合物、亜硫化ニッ ケルについては、ACGIHは0.1mg/m3です。不溶性のニッケル化合物については、0.2mg/ m3です。A測定ですと、すべての測定値が二次評価値の低いほうの0.1以下ですが、下の 個人ばく露測定を見ますと、0.1のほうで比べると、6人のデータが二次評価値を超えてい ます。0.2で見ても3人が超えているということで、評価値を超えるばく露が認められたと いうことです。  どのような作業がこの評価値を超えているのかを簡単にまとめたのが、下の表です。ば く露が高い順に、39から34まで並べています。39、38、36、35は同じ事業場のデータで す。37と34はそれぞれ別の事業場で、全部で3事業場6人の労働者で、個人ばく露測定 の結果、評価値を超えるばく露があったということです。  まず、39、38、36、35ですが、ニッケル水素電池の極板の製造の用途で使っている事業 場で、ニッケルを含む水素収蔵合金(粉末)又は水酸化ニッケル(粉末)を投入、混合し、 水と混練したスラリーを極芯に塗布、乾燥、切断、圧延、成形、面取り、タブ溶接、巻き 取り、包装するという工程です。  37は、用途は表面処理、防錆剤の製造原料で、表面処理をしているところではなくて、 表面処理をする製品を造っている事業場で、ニッケル化合物の粉末を溶解槽に投入して、 混合して、金属の表面処理剤を製造し、容器に充填している事業場です。ここも粉末のニ ッケル化合物を取り扱っている事業場です。  34がニッケル金属、化合物の湿式製造で、ニッケル化合物(粉末)を溶解槽に投入し、 溶解し、湿式工程で硫酸ニッケルを製造し、袋詰めするということで、工程の中に粉末の ニッケル化合物を取り扱う作業があります。  11、12頁は、砒素関係です。砒素については、二次評価値が、砒素及びその化合物と、 アルシンとガリウム砒素の3つに分かれていますので、3つに分けてグラフにしています。  11頁の砒素及びその化合物ですが、左側がA測定で、右側が個人ばく露です。これにつ いても縦軸を対数目盛にしていて、二次評価値が産衛学会のリスクレベル10−3に対応した 濃度ということで、0.003mg/m3が二次評価値です。対数表示になっているので、例えば個 人ばく露の平均ですと、0.0421ppmということで、0.003と比べると桁が外れて大きな値 になっていて、最大のものは2桁のオーダーで二次評価値を超えて、ばく露をしていると。 ほとんどの測定値について、二次評価値を1、2桁大幅に上回ってばく露をしているという ことです。  これは3事業場についての測定で、そのうち2つの事業場の労働者で、この高いばく露 がありました。具体的にどのような作業かを表にまとめています。  用途に(a)(b)とありますが、(a)は1つの事業場で、(b)がまた同じ事業場になって います。(b)というのが、銅製錬の事業場で、砒素を含む銅精鉱を自溶炉で溶融し、マッ ト、スラグは次工程で処理される。炉からマットを取り出すタップ作業、粗銅を電解精製 するためのアノード作業。副製する鉛の電気炉、鋳造作業、スラグの処理作業で砒素が発 散します。(b)のところが、個人ばく露でいうと、15、14、11、10、8、4の労働者です。  (a)が、砒素及びその化合物を製造している事業場です。砒素化合物を原料として砒素 を製造したり、砒素製造工程及び製造された固形砒素をクラッシャーで粉砕して包装する 作業などがあります。  先ほどのニッケルは、粉末の作業が危ないのではないかと推測されるのですが、砒素は 固体とか、粉体とか、溶融した金属の取扱い、いろいろな形状のもので、必ずしも粉末で あるとか、形状でうまく切れないのではないか。あと、許容濃度と比べて非常にばく露が 高いということで、他のいろいろな取扱いでも、二次評価値を超えるようなばく露が相当 あるのではないかと推測されると考えています。  12頁が、砒素のうちのアルシンとガリウム砒素です。これは同じ会社での調査で、半導 体の製造です。それぞれ二次評価値として、0.005ppmと0.0003mg/m3という値がありま すが、それぞれこれと比べて十分低い測定値となっています。  13頁はフェニルオキシランです。二次評価値がスチレンのTLVの10分の1を使うとい うことで、2ppmになっていますが、それと比べても十分に低い測定結果になっています。 ○櫻井座長 ただいまのものは、測定結果がメインですが、そこに至る判断、プロセス等 も含めてご説明をいだきました。ご質問、ご意見等はございますか。 ○永野化学物質評価室長補佐 測定結果と、次のそれに応じた対策はリンクしているので、 よろしければその説明をさせていただいてから、併せて全体についてご議論をいただいて もよろしいかと思いますので、対策のほうも説明させていただきます。  ただいまの測定結果を踏まえまして、資料2-8で「ばく露の状況とそれに応じた対策の方 向性(案)」をまとめました。2,3-エポキシ-1-プロパノールについては、ばく露の状況が、 A測定、個人ばく露測定の双方において、一次評価値0.00033ppmを超えるデータが見ら れるが、測定したいずれの事業場においても、二次評価値2ppm以下であることから、対 策の方向性については、ばく露レベルは低いものの有害性の高い物質であることから、国 は、既存の法令に基づく対応を図るとともに、事業場においてリスク評価を実施して、引 き続き適切な管理を行うべき。去年の塩化ベンジルとか、エピクロロヒドリンと同じよう に、既存の法令に基づいてきちんとやってくださいということで、通達を発出する形で対 応したらどうかと考えています。  塩化ベンゾイルです。A測定、スポット測定の双方において、測定したいずれの事業場に おいても、二次評価値0.5ppm以下である。個人ばく露測定については、適当な捕集剤がな いため実施できなかったが、A測定値、スポット測定値とも十分に低い値であったので、個 人ばく露濃度も二次評価値以下であると思われる。対策の方向性は、上記の2,3-エポキシ-1- プロパノールと同じ考え方です。  オルト−トルイジンです。A測定、個人ばく露測定の双方において、測定したいずれの事 業場においても、二次評価1ppm以下であった。対策の方向性についても上の2つと同じ 考え方です。  クレオソート油です。有害成分のうち二次評価値を設定できた物質については、A測定、 個人ばく露測定の双方において、いずれも二次評価値以下であった。有害成分のうち二次 評価値を設定できず、定量下限値を超える濃度が測定された場合、詳細な検討を行うとし ていた物質、ベンゾ[a]ピレン等では、いずれの物質も個人ばく露測定値は検出限界以下 である。対策の方向性としては、上記3物質と同じ考え方です。  2頁です。1,2,3−トリクロロプロパンです。A測定、個人ばく露測定の双方において、 測定したいずれの事業場においても二次評価値1ppm以下であったので、対策の方向性も 上記4物質と同じ考え方です。  ニッケル化合物と砒素は飛ばして、3頁のフェニルオキシランです。これも上記の物質と 同じで、A測定、個人ばく露測定の双方において、測定したいずれの事業場においても二次 評価値2ppm以下であったので、対策の方向性も同じと考えています。  弗化ビニルとブロモエチレンです。有害物ばく露作業報告の提出がなかった。業界団体 に確認を行ったが使用事業場が把握されなかった。現在のところリスクはないが有害性の 高い物質であることから、国が既存の法令に基づく対応を図るとともに、使用する場合は 事業場においてはリスク調査を実施して適切な管理を行うべき。弗化ビニル、ブロモエチ レンとも、このような方向でということです。  2頁です。ニッケル化合物と砒素です。まず、ニッケル化合物です。A測定においては一 次評価値を超えるデータがあるが、測定したいずれの事業場においても二次評価値(可溶 性ニッケル及び亜硫酸ニッケル1mg/m3、不溶性ニッケル0.2mg/m3)以下である。個人 ばく露測定においては、二次評価値のうち低い値(可溶性ニッケル及び亜硫化ニッケル 0.1mg/m3)を超えるデータが6データ見られるが、これは電池製造業務、めっき液の製造 業務及びニッケル化合物の製造業務における、粉末のニッケル化合物の取扱い作業である。  対策の方向性ですが、二次評価値を超えるデータは屋内の作業場における、粉末のニッ ケル化合物の取扱い作業であることから、これらの作業については局所排気装置等の設置、 作業主任者の選任、作業環境測定の実施等、特定化学物質の管理第2類に求められる措置 による対策を行うべき。ばく露の低い作業については、国は既存の法令に基づき対応を図 るとともに、事業場においてリスク評価を実施して、引き続き適切な管理を行うべき。  次は砒素及びその化合物です。評価値の異なる、(1)砒素及びその化合物、(2)アルシン及 び(3)ガリウム砒素について評価する。(1)砒素及びその化合物。A測定、個人ばく露測定の双 方において、二次評価値3μg/m3を超えるデータ、A測定2データ、個人ばく露データ22 データが見られる。二次評価値を超えるデータは、砒素及びその化合物の製造作業及び銅 製錬事業場における周辺炉作業である。  (2)アルシン、二次評価値0.005ppmを超える個人ばく露測定値は見られなかった。(3)ガ リウム砒素、二次評価値0.3μg/m3を超える個人ばく露測定値は見られなかった。  これらの結果を受けての対策の方向性の案として、砒素及びその化合物(アルシン、ガ リウム砒素を除く)の二次評価値を超えるデータは、砒素及びその化合物の製造作業及び 銅製錬事業場における炉周辺作業であるが、そのほとんどの作業で評価値を大きく超えて いること、砒素及びその化合物の許容濃度が低いことを考慮すると、その他の事業場の多 くの作業についても、評価値を超えるばく露があるものと思われる。よって、作業を限定 せず、局所排気装置等の設置。著しく困難な場合は呼吸用保護具等の代替措置、作業主任 者の選任、作業環境測定の実施等、特定化学物質の管理第2類に求められる措置による対 策を行うべき。後ほど「管理第2類」とは何なのかはご説明させていただきます。  次に、アルシン及びガリウム砒素は、半導体製造に限られた用途に用いられる物質で、 評価値を超えるばく露が見られなかったことから、国は既存の法令に基づく対応を図ると ともに、事業場においてリスク評価を実施して、引き続き適切な管理を行うべき。という ことでよいのではないかと考えています。  管理第2類についてですが、参考2という1枚紙の資料をご覧ください。「特定化学物質 の区分について」というものです。特定化学物質は、1類物質、2類物質、3類物質と3つ に大きく分かれていまして、1類物質は、がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、特に 有害性が高く製造工程で特に厳重な管理(製造許可)を必要とするものです。実際に災害 が多発したとか、そのようなものについて指定をしています。  第2類物質が、がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、1類物質に該当しないもの。 製造許可までは要らないものです。ほとんどの慢性障害を引き起こすものは、現在第2類 物質です。昨年度のホルムアルデヒドも2類にしましたが、ベンゼンとか、いろいろな物 質が第2類になります。  第3類物質は、がんなどの慢性障害対策ではなくて、大量漏えいによる急性中毒を引き 起こす物質です。慢性障害の対策が必要のないものですが、急性中毒対策の要るものにつ いて、第3類物質にしております。  第2類物質は細かく分かれていまして、特定第2類物質、管理第2類物質、あとは特殊 なもので、オーラミン等と3つに分かれています。  特定第2類物質は、慢性障害の発生を防止する措置のほかに、併せて急性中毒を防止す る措置、第3類物質に係る措置が必要となる物質です。例えば昨年度に評価したホルムア ルデヒドはがんを引き起こすということで、慢性障害の対策が必要になるのですが、急性 中毒にもなるので、その対策も必要です。ホルムアルデヒドは特定第2類、ベンゼンなど も特定第2類になります。  管理第2類は、がんなどの対策は要るのですが、3類物質に要求される大量漏えいによる 急性中毒の対策が不要であるものです。  オーラミン等は2つしかなくて、オーラミンとマゼンタという2物質です。慢性障害の 発生を防止する措置のみ必要となる物質のうち、そのもの自体に起因するリスクは低いが、 特定の工程において何らかの副生物等による発がん等慢性障害のリスクが認められるもの であって、大量漏えいによる急生中毒のリスクのないものです。オーラミンとマゼンタに ついては、製造工程がIARCでグループ1になっておりまして、物質自体は2Bになってい まして、そういう特殊な要因からオーラミン等というものを設けています。  ニッケル化合物のうち、ニッケルカルボニルは、すでに特化物第2類の特定第2類物質 になっています。ニッケルカルボニルは液体で急性中毒が非常に強いということで、なお かつ発がん性ということで、がんと急性中毒の両方の対策が必要ということで、特定第2 類となっておりますが、今回のニッケル化合物は、ニッケルカルボニルを除いたものでご ざいますので、固体のもので急性中毒の問題になるような程度のものではないと考えてお りますので、これは管理第2類でよろしいのではないかと考えております。  具体的に管理第2類になるとどんな措置が出てくるかというと、作業主任者を選任する とか、作業環境測定をするとか、特殊健康診断の実施をするとか、細かいもので除じん装 置を設けるとか、床の構造を、これは特化物全部にかかりますけれども、きちんと浸透性 のものとするとか、立入り禁止とか、そんな措置がかかってきます。休憩室、洗浄設備と か、いわゆる特化則で要求される規制がかかります。  参考2のいちばん下に、特別管理物質というのがあります。これは、第1類物質、第2 類物質のうち、一部について特別管理物質に指定をしております。これは何かというと、 人体に対する発がん性が疫学調査の結果明らかとなったもの、動物実験の結果発がんが認 められたことが、学会等で報告された物等、人体に遅発性効果の健康障害を与える、又は 治ゆが著しく困難である有害性に着目し、特別な管理を必要とするもの。特別な管理とい うのは、作業の記録を作って、作業環境測定とか特殊健診の記録を30年保存するとか、こ の作業について必要な事項を作業場に掲示をするとか、そういった遅発性効果に着目した 特別な管理を必要とするものでございます。  今回のニッケル化合物につきましては、当然発がん性物質ということで、すぐに発生す るという問題ではなくて、遅発性ということを考慮する必要性があると考えておりますの で、ニッケル化合物については、この特別管理物質に指定をすべきではないかというふう に考えております。  また、特定化学物質とは直接リンクはしないのですが、労働安全衛生法の57条に、製品 を譲渡、提供するときに、製品の容器とか包装に表示をするという制度がありまして、こ れはほぼ一部の例外を除いて、ほぼ特化物になったものは、対象にしているので、ニッケ ル化合物につきましても、特段しなくてもいいという理由もないと思いますので、表示の 対象にするという方向で考えております。  特化則の細かい規定として、用後処理というものがありまして、廃液の処理とか排気の 処理とかあるのですが、これは現在ごく限られた一部の物質、アクロレインとか、弗化水 素、硫化水素とか、そういう一部の物質だけが義務づけられておりまして、今回のニッケ ル化合物あるいは砒素及びその化合物は、排ガスとか排液の処理まで、三酸化砒素も対象 になっていませんので、そこまではいらないのではないかと思います。  あとは特殊な管理のところで、ベンゼンを溶剤に使う場合の措置とか、燻蒸するとか、 そのようなものもあるのですが、今回は燻蒸にも使いませんし、溶剤にも使わないという、 現行の特殊な作業の管理に該当するようなものはないのではないかと思います。新たに特 殊な作業で義務づけなければないようなものがあるのか、もしそういうものがあれば逆に ご提案いただければと思います。  あと、砒素及び砒素化合物は同じで、管理第2類物質、これも固体のもので、大量漏洩 するということなので、三酸化砒素も現在管理第2類物質であるので、同じように管理第2 類物質に指定をして、特別管理物質に合わせて指定をする。表示につきましても、作業を 限定するということではなくて、すべて義務づける方向と考えております。  もう1点、資料の2-9ですが、第2類物質になると原則特殊健康診断が義務づけられる ことになります。義務づける場合には、健診項目をどうするのかということが問題になり ます。ニッケル化合物につきましては、一部ニッケルカルボニルが既に特化物になってお りまして、参考情報というところに、法定の健診項目が書いてあります。1次健診として6 カ月に1回、業務の経歴の調査とかニッケルカルボニルによる頭痛、めまい、これこれの 検査、3で頭痛、めまい、悪心、嘔吐、せき、胸痛等の検査。1年おきに胸部エックス線直 接撮影による検査。2次健診で作業条件の調査、肺換気機能検査、胸部理学的検査、医師が 必要と認める場合は尿中または血中のニッケル量の測定というような健診項目が設けられ ておりますので、こういったものを参考に、少しご議論をいただけたらありがたいと思い ます。  同じく砒素及びその化合物につきましても、三酸化砒素が既に特化物になっておりまし て、健診の法定の項目が定められております。1次健診を6カ月おきに、業務の経歴の調査、 三酸化砒素による鼻粘膜の異常、呼吸器症状、口内炎等の検査、せき、たん、食欲不振、 体重減少、知覚異常等の他覚症状、又は自覚症状の検査、鼻粘膜の異常、鼻中隔穿孔等の 鼻腔の所見の有無の検査、皮膚炎、色素沈着、色素脱失、角化等の皮膚所見の有無の検査、 尿中ウロビリノーゲンの検査、一部の業務の経験者については、胸部のエックス線直接撮 影の検査が1次健診で義務づけられています。  2次健診で作業条件の調査、医師が必要と認める場合は胸部エックス線直接撮影、もしく は特殊なエックス線撮影による検査、毛髪もしくは尿中の砒素の量の測定、肝機能検査、 赤血球系の血液検査、喀痰の細胞診、気管支鏡検査、又は皮膚の病理学的検査というよう な項目が現在三酸化砒素については設定されておりますので、これなどを参考に、少しご 議論いただければありがたいと考えております。事務局からの説明は以上です。 ○櫻井座長 対策の方向性についても詳しく説明がありましたので、それを含めてご議論 いただきたいと思います。あと健康管理の方法については、あとでということにしまして、 まず対策の方向性の健康管理を除く部分まで含むというところで、何かご意見ございませ んか。十分資料を整えたご説明でございました。よろしゅうございますでしょうか。 ○和田委員 いずれにしても金属の場合、粉じんの中に金属が含まれているので、ちょっ と大きな粒子が補足されれば、値が上がってしまいますから、そういった意味だろうと思 うのですけれども、その意味で粉じん対策は非常に重要になると思うのですが、管理第2 類で砒素のところに書いてある呼吸保護具の使用はすべてに義務づけているわけですか。 また、下のほうの砒素のところには書いてありますが、上のほうのニッケルには書いてい ないのですけれども。 ○永野化学物質評価室長補佐 結局法令的には同じ形になりますが、下は銅製錬とかで炉 の周りの作業があるので、局所排気装置とかを技術的に付けるのが困難な場合もあるので はないか。その場合法令的には、困難な場合には代替措置、ほかの労働者の健康障害を防 止するための措置を講じなければならないとなっておりますが、そういった場合に保護具 の使用等があるのではないかと。法令的形は全く同じになるのですけれども、銅製錬とい うのがあったので、括弧書きを加えております。原則は保護具を使わないでもいいような 作業環境の管理をするということでございます。 ○和田委員 粉塵の場合、局排がかなり効くと思うのですけれども、保護具もかなり有効 ではないかと思います。粉じんを対象にする金属の場合、保護具も明記したほうがよいの ではないかなと思いますが。 ○江馬委員 資料2-9のニッケルのところに、ニッケルに起因して発がんが確認されたのは、 ニッケル精錬所においてのみであると。これは粉末なのですか。 ○春日化学物質評価室長 資料2-9の発がん性の根拠のところでしょうか。ここについては 粉末かどうかというのは、評価書のほうから読み取っていないのですけれども。 ○江馬委員 粉塵。 ○春日化学物質評価室長 精錬粉塵中と書いてございますので。 ○江馬委員 この資料にはあったかもしれないですよね。 ○櫻井座長 同じように考えていいのですか ○春日化学物質評価室長 そうですね。固体状もしくは粉塵だと思っております。 ○櫻井座長 対策の方向性、事務局案、ニッケル化合物と、砒素及びその化合物以外のも のにつきましては、それぞれ同じ表現になっています。それから、ニッケル化合物と砒素 及びその化合物につきまして、この2つを管理第2類物質とすると。それから特別管理物 質に指定する。法の第57条の表示も合わせて行うということでよろしゅうございますでし ょうか。                 (異議なし) ○櫻井座長 特にご異存ないようですので、この方向性の案をこの場で承認したというこ とにさせていただきます。  健康管理の管理項目、健診項目について議論してほしいということですので、ご意見を 頂戴したいと思います。ニッケルカルボニルの健診項目と、ニッケルの健診項目は当然若 干違ってくる面があるかと思いますが、自覚症状等書いてありますね。 ○和田委員 ニッケルカルボニルは急性症状がありますけれども、金属ニッケル塩の場合 は急性症状はなく、めまいとか急性症状はいらないと思います。 ○櫻井座長 ニッケルカルボニルによる急性症状が、項目の中で他覚症状又は自覚症状の 種類の中に含められておりますので、それは取除くということになろうと思います。胸部 のエックス線直接撮影を1年ごとに実施することになっておりますが、これもニッケルカ ルボニルのやや急性の毒性を考えたものではないでしょうか。 ○和田委員 まあ、肺がんの有無を見ていくのかどうかですね、でも普通はニッケルの健 康影響では肺がんを見なければいけないですから。肺がんを見るのに胸のレントゲンの直 接撮影で十分かということもありますけれども、胸部の検査は必要でしょうね。CT検査 を入れた方がよいとも思いますけれども。 ○櫻井座長 そのほかのいろいろな化学物質で1次健診に胸部のエックス線を義務づけて いるものはそれほど多くないですね。医師の判断でということになります。三酸化砒素は、 そのようになっているので、そのすぐ下の、これも肺がんを考慮するわけですが、ばく露 レベルに応じて判断するということを医師に求めている。三酸化砒素のほうで、尿のウロ ビリノーゲンというのはどうでしょう。 ○和田委員 私はなくていいと思いますが、他の健診でもずっと入ってますね。 ○櫻井座長 ずっと入っているのですが。 ○和田委員 普通の肝機能検査がなかった時代のスクリーニング法で過去の検査ですね。 ただし、ここだけ削るというわけにはいかないでしょう。三酸化砒素の場合は医師の判断 でもCTを撮りなさいということですけれども、これはおそらく肺がんができる前段階と して、鼻の粘膜の異常とか、鼻中隔穿孔とかくるから、それがある場合はしなさいと、そ れである程度の判断できるからということかもしれないですね。ニッケルの場合はそうい う前期症状があるかどうかですね。医師が判断できるような材料が。 ○櫻井座長 このあたりは1つの検討の方向になりますね。 ○和田委員 血液や尿のニッケルの測定はたぶん急性ばく露を見ている可能性ありますよ ね、慢性のときに測っても、あまり意味がないのではないかと思うのですけれども、どう でしょうか。がんに関しての血中濃度は量反応関係はないと思いますが。 ○櫻井座長 そうですね、ニッケル。 ○和田委員 ニッケルです。 ○櫻井座長 2次健診でこのニッケルカルボニルでは、尿又は血液中のニッケルの測定と書 いてありますが。ニッケルの評価基準、ACGIHはまだ出していないですか。産業衛生学会 はまだ出していないですね。やや難しいというのがあるようです。ですからちょっと、1次 に上げるわけにはいかないのではないかなと。必要と認める場合というのは、それでいい のだろうと思います。砒素のほうで毛髪はどうですかね。毛髪は非常にコンタミが多くて。 ○和田委員 全員にやったら大変なことになってしまいます。 ○櫻井座長 2次の三酸化砒素で上がっているのですけれども、それをそのまま踏襲するの かどうなのかという。砒素化合物の場合、三酸化砒素の健診項目とおおよそ同じで、方向 としてはいいのだろうと思うんです。 ○大前委員 ニッケルの場合はニッケルカルボニルの健診項目はほとんど参考にならない と思うので、もう一度どこかでしっかり検討しないといけないだろうと思うのですけれど も、いまこの場で決めるのは非常に難しい気がするのですけれども。三酸化砒素のほうは まあ。 ○櫻井座長 同様という感じですね。ただ、三酸化砒素の1次の7に、令第23条第5号の 業務と、非常に特殊な業務を指定しておりますが、これはそういうことが可能かどうかは わかりませんね。 ○和田委員 5号の業務というのは何ですか。23条第5号の業務と限定されていますね。 ○金井労働衛生課長 労働安全衛生法施行令第23条第5号を読ませていただきますと、三 酸化砒素を製造する工程において、焙焼もしくは精製を行い、又は砒素をその重量の3%を 超えて含有する鉱石をポット法もしくはグリナワルド法により製錬する業務ということで、 精製したり製錬した場合の業務ということです。 ○櫻井座長 三酸化砒素では皮膚の症状等を見ていますが、これは砒素も同様ですね。鼻 粘膜の異常、これもそうですね。2次健診で肝機能が入っているものは、相当高濃度ばく露 の場合なのだろうなと思います。まあ、いいですね。 ○和田委員 おかしいですね。三酸化砒素による場合にとしていますが、三酸化砒素によ るかどうかということをどうやって判断するのですかね。 ○櫻井座長 そういう書き方になっているものが多いですね。医者に判断してくれという ことを求めているのですね。 ○清水委員 今日の測定データを見ますと、砒素のところでは、個人ばく露が二次評価値 をかなり超えてますよね。当然防じんマスクはやっているのでしょうけれども、生物学的 にモニタリングしていないから、どの程度入っているかわからないですね。こういう職場 が非常に多いと、ある意味モニタリングといいますかね、生物学的モニタリングというの は、是非必須として一次にするか二次にするかという問題があるかと思うのですけれども。 ○櫻井座長 それは検討課題だと思います。ただ、尿の砒素を、食品等から有機砒素がい っぱい入りますので、それと分別して無機の砒素、3価と5価の無機の砒素と、モノメチル アルソン酸でしたかね、その3つを足したものが、こういった職業性のばく露のいい指標 だという方向になりつつあるようですが、まだ評価値が定まっていないように思います。 ですから、将来の方向性としては望ましいのだろうと思いますけれども。 ○清水委員 ニッケルも同じようにばく露値の高いところがありますね。 ○櫻井座長 3マイクログラム、二次評価値に対応する尿中の生物学的モニタリング指標が まだ確立していない。今後の課題かなという感じがいたします。  健康管理の項目等について、そのほか何かご意見ございますでしょうか。それでは今日 予定の議事は一応これで終わらせていただきます。先ほどニッケル化合物、砒素につきま しては、管理第2類物質にする。あるいは特別管理物質にする、57条の表示も合わせて行 うということについての確認をさせていただきましたので、それを含めまして、今日の議 事は一通り終了とさせていただきます。次回の予定はどうなっていますでしょうか。 ○永野化学物質評価室長補佐 次回の会議でございますが、既にご連絡してありますよう に、3月4日の15時から、場所は中央合同庁舎第7号館の9階、共用第2会議室でござい ます。次回は今回のご議論等を踏まえまして、今年度の報告書案についてご検討をいただ く予定になっておりますので、よろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 以上をもちまして今日の検討会を終了とさせていただきます。どうもありが とうございました。             照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                            化学物質評価室                電話03-5253-1111(内線5511) 7