08/02/12 第1回麻しん対策推進会議議事録                          健康局結核感染症課予防接種係                                  内線2383 第1回 麻しん対策推進会議 議 事 録 議事次第   日  時  平成20年2月12日(火) 10:00〜12:10     場  所  厚生労働省 省議室(中央合同庁舎5号館9階) I 開  会 II 委員紹介   1 厚生労働省審議官あいさつ   2 委員の紹介   3 座長・座長代理の選出 III 議  事   1 世界及び日本における麻しんの現状と日本の取るべき方向について   2 麻しん対策推進会議について    (1)都道府県における麻しん対策会議との連携について    (2)麻しん対策技術支援チームの設置について   3 その他 IV 閉  会 ○山田課長補佐 それでは、定刻になりましたので、これより第1回麻しん対策推進会議 を開会いたします。  本日は、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  それでは、開会に当たり、西山健康局長よりごあいさつを申し上げるところでございま すが、本日国会対応をしております。代わりまして、中尾審議官よりごあいさつをお願い いたします。 ○中尾審議官 厚生労働省の審議官の中尾でございます。委員の皆様方におかれましては、 お忙しいところ、本日の推進会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 この麻しん対策推進会議は昨年の成人麻しんの流行を受けまして、予防接種に関する検討 会から提言された麻しん排除計画案を基に策定された、麻しんに関する特定感染症予防指 針に基づいて設置されたものでございまして、この計画による政策の評価、公表、見直し の提言を行うものであります。  この予防指針におきましては、2012年、平成24年までに、日本国内より麻しん患者の 発生を限りなくゼロに近づけるということを目標にしております。そのために国、地方自 治体、医療機関、教育関係者が連携して取り組むべき施策が示されているところでござい ます。麻しん患者の発生を抑制し、日本国内における麻しんの流行を阻止するためには、 当該施策が着実に機能しているか、また、その施策が成果を実際に上げているのか、評価・ 分析を行い、必要に応じて修正をしていかなければなりません。麻しん対策の確実な推進 に関しまして、本推進会議の積極的な役割が期待されているところでございます。  麻しんは空気感染により感染するウイルス性の感染症であり、その感染力は非常に強い こと、また、麻しんにかかって治っても突然、亜急性硬化性全脳炎という重篤な脳炎を発 症する子がいることなど、予防が大切な感染症でございます。麻しんはワクチン接種によっ てかからなくすることができる感染症であり、ワクチンを接種することによってポリオに 続き世界から根絶できる感染症であります。WHOを初めとして世界各国がその排除に向 けて邁進している現状にございます。つきましては、我が国の麻しん排除に向け、ワクチ ン接種を一層推進するなど、この麻しん推進会議の場におきまして、各委員の皆様から活 発な御議論をいただけるよう期待申し上げまして、開催のあいさつとさせていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 続きまして、出席者の御紹介をさせていただきたいと思います。本日は 第1回目の会議でございますので、委員の皆様には簡単な自己紹介をお願いいたします。 ○飯沼委員 日本医師会で感染症を担当しております飯沼でございます。よろしくお願い いたします。 ○今井委員 今井達男でございます。武田薬品工業株式会社営業本部のワクチンのグルー プマネージャーをしております。よろしくお願いいたします。 ○植田委員 高知市保健所の所長で植田と申します。財政状況の厳しい折ですが、国のこ うした積極的な姿勢を受けて、本市でもやっと予算編成で3期・4期の無料接種を決めて まいりまして、やっとここへ出席がかないました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○岡部委員 感染症情報センターの岡部と申します。感染症情報センター長のほかに、は しか、ポリオなどについてはWHOとの関連で、そちらの委員もさせていただいておりま す。どうぞよろしくお願いします。 ○荊尾委員 島根県教育庁保健体育課健康づくり推進室で指導主事しております荊尾と申 します。よろしくお願いいたします。 ○加藤委員 国立成育医療センター総長の加藤でございます。予防接種に関する検討委員 会の座長を務めさせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。 ○金城委員 Kiroroの金城綾乃です。よろしくお願いいたします。親の立場からいろいろ なことをお伝えできればなと思います。よろしくお願いします。 ○玉城委員 Kiroroの玉城千春です。はしかについては本当に保護者になって初めていろ いろな知識、そして、今回こうやって会議に参加することでいっぱいいろいろな話を聞か せていただいて、学んでいます。皆さんからいっぱいいろいろ教えていただいて、私たち ができることを伝えていけたらなと思いますので、いろいろ今日は教えてください。よろ しくお願いします。 ○西口委員 皆さんおはようございます。三重県で医療政策監をしています西口といいま す。全国衛生部長会からの推薦で、この場所に来させていただきました。私自身は小児科 なんですけれども、今現在は麻しんというより医師不足も含めた医療対策全般で非常に困 惑しています。今回の会議は、日本から根絶されることのスタートになればいいと思いま す。どうかよろしくお願いいたします。 ○畑委員 SSPE青空の会の畑と申します。亜急性硬化性全脳炎の被害者の親として参加さ せていただきました。一番悲劇的な被害を受けた者として、麻しんの撲滅を願っておりま すので、是非よろしくお願いいたします。 ○福田委員 阪大微生物病研究会、福田仁史でございます。本日は、ワクチンを供給する 側の立場から出席させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 本日、御出席予定の森谷一夫様は少し遅れているようでございます。  その他の委員の皆さんについて簡単に御紹介させていただきます。  衛藤隆様、東京大学大学院教育学研究科教授でございます。  蒲生真実様、ひよこクラブ編集長でございます。  田代眞人様、国立感染症研究所ウイルス第三部長でございます。  寺島光一郎様、北海道乙部町長でございます。  以上4名の方については御欠席の連絡をいただいております。  また、本日は関連機関にオブザーバーとして御参加いただいておりますので御紹介させ ていただきます。  医薬食品局の血液対策課でございます。  総務省でございます。  東京都健康安全研究センター様でございます。  外務省でございます。  ただいま森谷様がお着きになってございますので、着いた早々でございますが、簡単に 自己紹介をお願いしたいと思います。 ○森谷委員 遅くなりまして申し訳ございません。全国高等学校PTA連合会理事の森谷 でございます。どうかよろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 続きまして、事務局を御紹介いたします。 (事務局紹介)  なお、中尾審議官におかれましては、所用のため退席をさせていただきますので、御了 承ください。 (中尾審議官 退室) ○山田課長補佐 続きまして、今後の議事の進行に当たり、本会議の開催要項の規程に基 づき、座長及び座長代理の選出を行いたいと思います。開催要項の規程では、座長及び座 長代理は委員の互選により選出することとなっております。委員の皆様におかれましては、 座長及び座長代理に適任と思われる方の推薦をお願いいたします。 ○岡部委員 もし、よろしければ成育医療センター総長の加藤先生に、座長をやっていた だければと思います。加藤先生は、今までの対策委員会あるいは検討委員会で、麻しんだ けではなくていろいろな問題を座長としてリードをとっていただきましたので、そのとき の経緯も含めてこれから進めていただければと思います。 ○山田課長補佐 座長の推薦がございましたが、座長代理の御推薦をいただけますでしょ うか。 ○植田委員 座長代理には、国立感染症研究所で感染症情報センター長をお務めの岡部委 員に是非お願いしたらと思います。 ○山田課長補佐 ほかに御意見はございませんか。 (「なし」と声あり) ○山田課長補佐 特段ないようでございますので、座長に加藤先生、座長代理には岡部先 生にお願いすることでよろしいでしょうか。 (拍手起こる) ○山田課長補佐 それでは、皆様の御賛成をいただきましたので、座長は加藤委員、座長 代理は岡部委員にお願いいたします。加藤委員は座長席に移動をお願いいたします。 (加藤委員 座長席へ) ○山田課長補佐 マスコミの方にお願い申し上げます。カメラ撮りはここまでとさせてい ただきます。よろしくお願いいたします。  この後の議事の進行につきましては、加藤座長にお願いしたいと存じます。よろしくお 願いいたします。 ○加藤座長 それでは、本日の議事を進めさせていただきたいと思います。  まず、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。 (配付資料確認) ○加藤座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。  それでは、本日の会議の進行でございますけれども、最初に、国内外の麻しんの現状を 確認するという意味で、日本の目指すべき方向について認識を新たにするためにも、本日 参考人として御出席いただいております、国立感染症研究所感染症情報センター長の砂川 先生にまずお話をいただきまして、後に、これまでの経緯を踏まえまして、麻しん対策に ついて日本のとるべき政策、方策、また、麻しん対策推進会議の開催の経緯及び役割につ いて、事務局から御説明いただきます。  まず、砂川先生、よろしくお願いいたします。 ○砂川参考人 おはようございます。国立感染症研究所感染症情報センターの砂川と申し ます。我々の国立感染症研究所感染症情報センターの麻しんチームを代表いたしまして、 今日は15分程度のプレゼンをさせていただきたいと思います。 (PP)  まず、世界における麻しん死亡の推定に関する情報がございます。これは、ここ20年ほ どの麻しん死亡の推定の状況を見ているものでございますけれども、かつて1990年代の頭 には100万人ほどの麻しんによる死亡が毎年見られるという状況がございまして、WHO やユニセフは、はしかのワクチンを使いまして、これを少なくしていくというような作戦 に出ておりました。特に2000年以降ごろから2回目の麻しんワクチン接種の機会を与える というような政策が非常に効果を上げてきまして、この10年の間に100万人ほどの患者さ ん、死亡者数が35万人まで減るというような非常に大きな成功を収めております。このワ クチンですけれども、標語が「We want to be alive!」、我々は生きたい、麻しんワ クチンは命を保障する、生きてこそこれを保障するワクチンであるというものとして世界 的に広く認識されております。 (PP)  ちょっと古いデータになりますが、2002年の10万人当たりの麻しん患者の報告数の状 況を示すスライドです。赤い情報として描かれているのが、麻しんの患者さんが多く発生 している地域で、やはりアフリカ地域でありますとか、南アジア地域などにたくさんの患 者さんが見られております。非常に残念ながら我が国も2002年におきましては、かなりの 麻しん患者が発生するという状況にありまして、後ほどその推移を御紹介させていただき たいと思っております。 (PP)  次に、麻しんワクチンの2回目の接種機会を導入した国の2005年の情報をお示しさせて いただきます。この地図を見てもおわかりになりますように、世界のほとんどの国、WH Oの加盟国のうち2005年段階で89%の国々が、麻しんを含むワクチンの2回接種機会を 導入しておりまして、日本は2006年6月から導入されたわけですが、まだこの段階では白 になっておりました。 (PP)  日本と関連のある国として、多く旅行者がなどが行き来をしているアメリカの状況なん ですけれども、1996〜2003年の間で得られた患者さんの報告総数を見てみますと、いわゆ るアメリカ合衆国、麻しんがなくなっている国というようなところで輸入されました麻し ん患者の総数は290人となっておりまして、その中で日本は44人の報告がありました。こ れは2003年までの報告でして、これが2005〜2006年になりますとゼロになるというよう な状況で、やはり日本国内の麻しんの流行状況を反映した麻しん患者の流出というような 状況になっていると思われます。 (PP)  これが2007年で、いわゆる若者を中心とした流行という状況が見られる中で、日本から のはしかの輸出例が各国において検出されていると。その国において大きな問題を引き起 こすというような状況がありました。アメリカですとか、カナダ、オーストラリア、スイ ス、台湾といった国々で、日本に由来すると思われる麻しん患者が報告されております。 この旅行の形態としましては、一般の旅行者の方々であったり、もしくは修学旅行、これ が一番大きな問題になっておりましたが、あるいはスポーツの国際大会で出掛けていった 小学生の中に麻しんの患者さんがいたりというようなことで、非常に各国において大きな 問題となっております。 (PP)  これは、カナダに修学旅行に行きました東京都内の高校生が当地で麻しんを発症すると いうようなことで、非常に大きな国際的な問題という状況になっております。 (PP)  では、我が国のはしかの状況がどういったものであるかというところを1980年代の状況 から最近に至るまで振り返ってみますと、非常に大きな患者さんの流行が数年置きにあっ たわけですけれども、1978年に予防接種法に基づく定期予防接種が開始されて、これがぐ んと減ったということでございます。また、予防接種法改正などがありまして、接種の在 り方が変わるというところがあったんですけれども、アメリカなどにおきましては、はし かの患者さんの報告数が100人を切るような時代に、我が国におきましては20万人を超す ような患者さんの発生数が予想されて、恐らく死亡者数も100人を超すような状況があっ たのではないかということが予想されているという状況になったわけです。 (PP)  その中で、非常にセンセーショナルな情報でありましたのが、1999〜2001年の間に沖縄 県で報告された9例の赤ちゃんのはしかによる死亡ということで、これは地元の小児科の 先生方に非常に大きな影響を与えまして、地域レベルではしか対策をとっていこうという ような大きなうねりの発端になりました。 (PP)  その沖縄の例も含めまして、はしかが原因となった患者さん、死亡者数の報告がありま す。これは恐らく一部しか反映できていないと思うんですけれども、人口動態統計にはし かによる死亡ということが書かれていた人たちです。やはり2000年ぐらいまでは0〜4歳 というお子さんが主流であったんですが、それ以降はだんだんと大人の数が総体的に増え ていくというような感じがあります。しかしながら、全体としては減ってきているという 状況にあるかと思います。 (PP)  次は、小児科定点で報告されました、はしかの全国の報告数の推移を見たものです。こ れは定点ですので、全体がどれくらい反映されているかというところに対して非常に気を つけて情報を見ていかなければいけません。しかしながら、2001年の大きな流行を受けま して、特に1歳代への麻しんワクチンの接種が非常に進むようになりまして、患者さんの 数自体は減っていくという状況にあります。しかしながら、こちらに出ている3万人とい う数は、恐らく10分の1ぐらいの状況を表しているのではないかと予想されるところです。 (PP)  そういうことで、麻しん風しん混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレゼントにしましょ うというような動きが先にあり、それから、2006年6月になりまして今度は2回目の接種 というようなことで、小学校就学前にもう一回接種する。2回目のチャンスを与えること で、はしかの患者さんを劇的に減らすことができるだろうということが期待されてござい ます。 (PP)  しかしながら、昨年の大学生・高校生などを中心とするようなはしかの発生ということ で、関東地方を中心に非常に多くの大学などが休校といった事態に陥りました。 (PP)  この状況が感染症発生動向調査、サーベイランスの上に如実に表れております。これは 基幹定点で報告される成人麻しんの状況を見たものですけれども、1999年以降最大の成人 麻しん、15歳以上の方々の麻しんの罹患が報告されているという状況です。20歳前後の若 者でも発生が目立ったというのが昨年の状況です。 (PP)  ほとんどの学校が休校したり、学年閉鎖に追い込まれたり、また、学級閉鎖に追い込ま れたりという状況があったわけですけれども、例えば、休校した学校は大学や小学校など を含めまして263校に上るということが明らかになりました。 (PP)  この年にいわゆる重傷度のはしかということで、これは感染症発生動向調査の中で急性 脳炎というクライテリアが最近報告をされるようになりましたけれども、その中で重症な 麻しんの様子が見てとれるようになっております。これは2007年に9例の麻しん脳炎とし て報告された患者さんの状況ですが、10代、20代という若者を中心とした麻しん脳炎です。 麻しんによる脳炎の場合は、非常に重篤な経過をとることも多いということもありますの で、麻しんの重症患者さんがまだ出続けている、特に若者たちに多く出ているということ は、大変な注意を払っていかなければいけない状況であると思っています。 (PP)  今度は、血清学的な調査で血液をとりまして、その中に麻しんに対する免疫がどのくら いあるかを見る、いわゆる感染症流行予測調査事業が行われておりますけれども、2006年 の状況を見てみますと、まだ免疫としては非常に不十分であると思われる16倍以上の方々 になりますと、ある程度の年齢が、特に2歳ぐらいまでの間に来るわけですが、これを少 し厳し目に128倍で見てみますと、5歳刻みぐらいに5〜24歳までの各年齢層におきまし て、麻しんに対する免疫を持っている人の割合が82〜87%ぐらいになるという推定がなさ れております。つまり、残りの18%でありますとか、13%という方々には十分な免疫がな いのではないかというのが、小学生から大学生辺りの年齢の人たちに認められると。これ は非常に注意しなければいけないということになります。 (PP)  今度は、これを数として表してみますと、それぞれの人口を掛けてみますと、約270万 人の方々、0歳とか1歳とか今から予防接種を受けるであろう方々も含まれているわけで すが、特に5〜20歳という辺りに感受性者、これから麻しんにかかってしまう可能性のあ る人が集まっているということが予想されるというわけです。 (PP)  今年になりましても、麻しん患者さんの報告が出続けている。特に神奈川県などを中心 に、はしかの患者さんの流行が出ていると。この年齢層を見てみますと、13〜15歳という 中学生、高校生における患者数が多いという状況が、既に2008年1月の間だけで見られて います。この1か月間だけで全数報告に変わったわけなんですけれども、659人、うち検査 診断例が181例というような形で報告がなされています。 (PP)  なぜ今、若者にはしかが流行したかということですが、推定されるところといたしまし ては、やはりワクチンを受けておらず、また、はしかにかかったこともないという人たち が10%。この人たちに対しては、本当にワクチンをする必要があります。もしくは、ワク チンを打っていたけれども免疫ができなかった、これは非常に少ない率で発生します。そ れから、ワクチンを受けて免疫はできたけれども、徐々に免疫の記憶が弱くなる、つまり、 はしかの定期的な流行にさらされるという機会がなかったので、免疫の効果が落ちてきた という人たちが10〜20%ぐらいいると、このコンビネーションがあるだろうと。その人た ちが学校という集団でいるところに、はしかのウイルスが入り込んだと。また、この人た ちの特に若者は行動範囲が広く、日本国内あちこちに、沖縄の麻しんも修学旅行生によっ て持ち込まれたケースが多くありましたけれども、関東地方や外国も含めまして、それが はしかの発生を広めたということになるだろうと思います。 (PP)  今回の麻しん流行の問題点としましては、一人一人にかかっては困るということ、また、 国内ではやると困る、特に赤ちゃんを守るということを考えたときに、若者の間でかかっ たことで、まだ抵抗力の弱い小さな子たちに波及してしまうというような心配をしないと いけないということがあります。また、国際的な問題として、はしかの対策というのは世 界的に進んでおりますので、その中で日本だけが遅れる、患者さんを輸出してしまうとい うことは避けなければなりません。 (PP)  アメリカの20年ぐらい前の情報ですが、これは1回接種が一生懸命行われていた直後の 状況だろうと思いますけれども、非常に日本の状況と似た患者さんの分布があります。ま ず、15歳を中心とする中学・高校世代に患者さんの集積があるという状況がありましたが、 2回目のはしかを含むMMRワクチン接種を導入して、これを徹底的に実施すると。特に、 小学校に入学する時点で徹底的に接種するということをやったために、麻しんの排除、は しかゼロということにアメリカは成功しております。 (PP)  はしかは2回目のワクチン接種というのが非常に重要だということが、いろいろな世界 的所見からも見られておりますが、2006年度の第2期の接種率を見てみますと80%ぐらい ということで、これを何とか95%に近いところまで上げていくということが非常に重要に なると思います。  なぜ2回接種が必要なのか。1回の接種で免疫がつかなかった子どもたちに免疫を与え ましょう、チャンスを与えましょうと。1回の接種で免疫がついたにもかかわらず、その 後の時間の経過とともに免疫が減衰した子どもたちにワクチンをすることで免疫を強いも のにしましょうと。また、接種しそびれた子どもたちがいた場合に、もう一回チャンスを 与えるということが理由となっています。 (PP)  これが2007年度の途中経過です。9月30日現在ですが、全国的には麻しんを含むワク チンの2回目の接種率が48.3%ということで、最終的な結果はまだ出ていないわけですが、 これをできるだけ上げていくという努力が必要となっております。 (PP)  麻しん排除の国際的な目標というものがWHOから提唱されておりまして、地域ごとに そういった目標があるわけですけれども、北米、南米大陸では、2000年にはしかはゼロと いうことで達成しておりますが、今ヨーロッパと中東地域が2010年までにはしかをゼロに しようと。日本を含めます西太平洋地域は2012年を目標にしようということになっていま して、今回麻しん対策が2012年という一つの大きな節目になった理由は、この辺りにもあ るものと思います。  また、まだ患者さんが結構出ているアフリカとか南アジアといった地域におきましては、 まずは患者さんの死亡数を減らすというところを当面の目標にしております。 (PP)  WHO西太平洋地域では、麻しん排除の定義といたしまして、確定例が1年間に人口100 万人当たり1例未満であるということを目標にしており、2回目の麻しん含有ワクチン接 種率が95%以上であること、全数報告などのすぐれたサーベイランスが実施されているこ と、輸入例に続く集団発生が小規模であることなどを挙げております。 (PP)  日本の隣の韓国でも、2000〜2001年ごろに掛けてはしかの流行があったときに、患者さ んが発生しました年代を見て、それに対応する対策をとっております。日本の今の状況と 非常に似ているわけですけれども、11歳ごろを中心とするような患者さんの発生が見られ たということで、小学校に入学する時点でのはしかワクチンを必須にした。それから、中 学校、高校の前半ぐらいまでの年齢の人たちに対しまして、キャッチアップキャンペーン という、当時600万人近くの生徒さんたちに一斉にワクチンを接種しまして、韓国におき ましてははしかが排除されたということです。 (PP)  韓国におきまして一番最初にはしかワクチンを受けた方が、当時の厚生大臣の方で、そ のときの韓国の意気込みが非常に見てとれるという状況でした。 (PP)  今後は、余り詳しくは述べませんけれども、韓国の麻しん排除指標が達成されたという 状況をWHOが認定してまして、2006年11月に認定されましたはしかの達成状況の情報 です。 (PP)  もう一つ非常に重要な状況といたしましては、国際保健規則(IHR)というものがあ りまして、これはいわゆる鳥インフルエンザでありますとか、新型インフルエンザ、SARS みたいなものにも国際的に対応を強化していこうというところで挙げられておりますけれ ども、あらゆる公衆衛生上の脅威に対応していこうということで、国際的な懸念を有する 公衆衛生上の緊急事態に対応することということで、新しくこれが定まっております。 (PP)  この中に幾つかの重要な指標がありまして、公衆衛生上のインパクトは重大かとか、予 期せぬものかとか、いわゆる麻しんがなくなった地域において麻しんが入ってきた場合に、 こういったものが国際的な伝播として、国際的な感染症の警戒態勢に合致してしまうおそ れもあるということで、恐らくそういったことも含めまして国際的な関心の高さにゆだね られているのだろうと思います。 (PP)  2012年の日本からの麻しん排除を目指しまして幾つかの目標、1年間に人口100万人当 たり麻しん確定例が1例未満になること。2回の麻しん含有ワクチン接種率がそれぞれ 95%以上に達すること。全数サーベイランスなどがすぐれたレベルが実施されること。ア ウトブレイク、集団発生が起きても小規模で抑えられることということが挙げられるかと 思います。  ということで、私のプレゼンテーションを終わらせていただきます。ありがとうござい ました。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  委員の皆様には、今の御説明で日本の現状と世界の現状を認識していただけたと存じま す。この推進会議といたしましても、今後の麻しんの排除に向けて、より一層積極的な対 応に向けて頑張っていかなければいけないと考える次第でございます。  続きまして、事務局より日本の対策について資料の説明をお願いいたします。 ○三宅課長補佐 御説明させていただきます。  資料4と資料5を使わせていただきます。資料4が「麻しんに関する特定感染症予防指 針」というものでございます。我が国の感染症対策のための法律でございます感染症法に 基づきまして、一つの特別な個別疾患ごとの予防指針として大臣告示を昨年12月28日に させていただいております。  この特定感染症予防指針でございますが、昨年6〜8月に4回にわたりまして、予防接 種に関する検討委員会という、加藤座長にやっていただいております検討会におきまして いろいろ検討しまして、ヒアリング等も行いました結果、検討会の麻しん排除計画案とし て、国の方に麻しん対策を充実するようにということで提出されたものでございます。そ れを受けまして厚生労働省といたしましても、更にいろいろ検討を続けさせていただきま して、麻しんに関する特定感染症予防指針というものに結実したわけでございます。  当推進会議につきましても、この予防指針に従いながら一つの項目としてやっていただ くわけでございますので、この麻しんに関する特定感染症予防指針について少し説明をさ せていただきます。  全部で第一〜第七までの項目に分かれております。まず、第一で目標、それから、第二 原因の究明について、第三で発生の予防及びまん延の防止をどうするか、第四で医療の提 供をどうするか、第五で研究開発の推進についてどうするか、第六で国際的な連携につい てどう考えるべきか、第七で評価及び推進体制の確立をどうするかという項目になってお ります。  「第一 目標」といたしましては、先ほど砂川参考人から出ましたように、2012年まで に麻しんを排除するというアジア地域目標を我々も達成するんだと。そして、その後も麻 酔排除の状態を維持するんだと。そのことを目標とさせていただいております。そのため に何をしなければいけないかということでございます。  「第二 原因の究明」でございますが、先ほど申しましたように、正確な麻しんの発生 動向がつかめていなかったということがございます。  二にございますように、国内で発生したすべての症例を把握するものとすると。今年1 月1日から全数把握に移行させていただいております。  そして、麻しんの届出基準、日本医師会との協力等につきまして、麻しんと似たような 症状である風しん等と見分けがちゃんとつくように検査診断を進めようということ、それ から、日本医師会などとも連携をいたしまして、早く把握できれば感染拡大を抑えること もできるだろうという精神に基づきまして、なるべく早く届出をしてもらおうということ を考えております。  そして、感染研におきまして、第1例目が見つかったら、それに対してどう感染拡大を 防ぐかということを専門にやる専門家を更に養成して、都道府県、市町村に支援ができる ようにしようということをうたっております。  「第三 発生の予防及びまん延の防止」でございます。  一は、平成19年の流行の原因不分析ということで、先ほど参考人より御説明をいただき ました。  三、予防接種法に基づく予防接種の一層の充実、これが一番国全体としてはお金が掛かっ てしまうのかなと思うところでございますが、平成20年度から5年間を麻しん排除のため の対策期間と定め、韓国で言うキャッチアップキャンペーンの期間といたしまして、中学 1年生と高校3年生に相当する年齢の者に2回目の接種の機会を与えるということを時限 的な措置としてしようということでございます。これによりまして、この5年間で約10の 学年に相当する方々に2回目の接種の機会が与えられるということでございます。  また、少しでも接種率を上げるために、年度当初の4〜6月までを積極的な勧奨の期間 として定めました。  次に3として、厚生労働省は文部科学省に協力を求め、就学時健診及び学校保健法第6 条に規定する健康診断の機会を利用し、定期の予防接種の対象者の罹患歴及び予防接種歴 を確認し、未罹患であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数接種していない者に接種勧 奨を行うものとすると書いてございます。このようなことを通じまして、ほかにもいろい ろございますが、文部科学省と一緒に連携を強めながらやることによって、少しでも接種 率を上げようということをうたってございます。  四、予防接種法に基づかない予防接種の推奨という言い方をしておりますが、今までの ところは予防接種法にうたっている定期接種ということで、国民に努力義務が掛かる方々 に対してどう打ってもらうかということのいろいろな工夫でございましたが、予防接種法 に基づかない方々におきましても、いろいろ接種を進めていく必要があると。それは先ほ ど参考人からも御説明がございましたが、海外に輸出してしまっていることもございます。 ですから、修学旅行の際にしっかり打ってもらう、それから、高校・大学で教育実習とい う形で、まだ予防接種の対象年齢にならない幼稚園や保育園に行く学生の方々もいらっ しゃいます。また、医療従事者の方々から病院や医療機関ではしかがうつるということは あってはならないことです。倫理的にも非常に重要な打っておくべき方々につきまして、 この予防接種法には基づきませんが、予防接種の推奨ということで医療関係者、児童福祉 施設等の職員、学校等の職員はしっかり打ってくださいということをうたいましたり、ま た、医療、福祉、教育に係る大学及び専修学校の学生及び生徒に対し、麻しんに罹患する と重症化しやすい者と接する可能性がある実習があることを説明し、当該学生に対し、そ の予防接種の推奨をしようということ。  また、五、その他必要な措置でございますが、更にそれ以外にも全国民的に予防接種を 啓発する必要性がございます。そのことについて国またはいろいろな機会をとらえまして 啓発を行っていこうと。  その中でも一つ注意しなければいけませんのは、1にございますけれども、今回中1と 高3を対象にするということで、妊娠が可能な年齢になるわけでございますので、特に妊 娠中の接種による胎児への影響等に関し、積極的な情報提供をするようにということは予 防接種に関する検討委員会でも専門家から意見として出されたところでございます。  5、厚生労働省は、国土交通省に協力を求め、旅行会社等に対し、外国へ渡航する者に 国内の麻しんの発生状況、外国で麻しんを発症した場合の影響等について情報提供を行う よう依頼するものとする。先ほど参考人からも御説明がございましたが、カナダに修学旅 行で渡った高校生の方々がはしかを発症したということで、はしかにかかっていなくても 予防接種を受けてなかった方々を中心にホテルに隔離されて、一歩も出るなと、観光旅行 もすべてキャンセルしろという強い指導を受けております。そのように、先進国で麻しん を排除した国におきましては、麻しんに対する考え方が大きく違うことを理解して、しっ かりやっていただくということを依頼しております。  「第四 医療の提供」でございますが、基本的な考え方としましては、麻しんの患者が 適切に早く診断できるように、流行情報や必要な診断情報につきまして国がきちんと医師 に伝えなさいと。そしてまた、国民に対しても早急にとるべき対応等について周知してい くこととしております。  「第五 研究開発の推進」につきましては、実際のはしかに比べて予防接種の副作用の 頻度は非常に少ないとされているところでございますが、更に少しでも予防接種による副 作用を少なくするための研究、また、予防接種歴を今後いろいろなところで確認すること が必要となりますので、定期の予防接種歴の確認を容易にするシステムの整備などの研究 開発をしっかりしなさいということをうたってございます。  「第六 国際的な連携」でございます。  二、国際機関で定める目標の達成でございますが、参考人からもございましたように、 世界保健機関においては2回の予防接種において、それぞれの接種率が95%以上の達成を 目標に掲げているほか、世界保健機関西太平洋地域事務局、アジア地域事務局におきまし ては、2012年には同地域から麻しんの排除を達成することを目標に掲げてございます。こ の目標は我が国も一緒に達成しなければならない、アジア地域の先進国の一つとして、更 にリーダーシップを発揮しなければならないということで、その目標の達成について取り 組むということをうたってございます。  「第七 評価及び推進体制の確立」でございます。この予防接種につきましては過去の いろいろな経緯の中で、米国等では予防接種を受けないと学校に入れないようなきついシ ステムになってございますが、我が国においては努力義務ということで、予防接種は国民 が受けることを努めなければならないという法律でございます。そのような中で接種率を 上げるためには、より多くの情報を与えて皆さんに知っていただく、重要性をわかってき ちんと皆さんに受けようという意識付けをしていただくことが非常に重要です。また、我々 国だけではなく、実際の予防接種の主体は市町村でもあることから、常に透明な情報公開 の中でどれだけ、どこの市町村がしっかりやっていただいているか、それぞれそこに住む お母さん方等がわかるように情報公開を進める。そして、いろいろな学校の場、医療機関、 いろいろな場で予防接種の重要性と、「受けていないんだったら受けたら」という言葉掛け を行う、そういうところによって努力義務の中でしっかり皆さんに受けていただくという ことが重要だと考えております。  その中で、評価及び推進体制の確立というのはもしかしたら一番重要なのかもしれませ ん。その中で、二の麻しん対策委員会の設置が当推進会議のことでございます。ここに書 いてございますように、国は感染症の専門家、医療関係者、保護者、地方公共団体の担当 者、ワクチン製造業者及び学校関係者から成る麻しん対策委員会を設置し、毎年、本指針 に定める施策の実施状況に関する評価を行うとともに、その結果を公表し、必要に応じて 当該施策の見直しについて提言を行うこととする。このことが当推進会議の役割でござい ますので、よろしくお願いいたします。  なお、名前につきましては「麻しん対策推進会議」ということで、若干変えさせていた だいております。  三、都道府県における麻しん対策の会議の設置でございます。先ほど申しましたように、 予防接種をする主体は市町村でございます。全国に2,000ございます市町村が主体となっ て定期接種を行うわけでございますが、それを国とつなぐものとして都道府県の役割とい うのは、やはり非常に大きいものでございます。都道府県における麻しん対策という会議 を設置していただきまして、先ほど申しましたような接種率でございますとか、いろいろ な対策、啓発を主体的にやっていただくために、こういう会議の設置をお願いしていると ころでございます。  四、関係機関との連携でございますが、今回の追加接種につきましては中1と高3の学 年に相当する方々でございます。どうしても学校というところは一つの大きな介入の点と なることから、文部科学省さんにもいろいろ連携をお願いしているところですが、文部科 学省に対しまして学校の臨時休校の情報でございますとか、学区ごとの予防接種の率等で、 どこの学校がしっかりやっていただいているとか、そういうことがわかるようにしながら みんなで進めていきたいということで、ここで情報の提供を依頼しているところでござい ます。  最後に2として、繰り返しになりますが、はしか自体に比べまして予防接種による副作 用というのは非常に確率としては低いものでございますが、今回のように一気に対象人数 が2倍になると、紛れ込み例もございますが、一定の確率で副作用の方々が出ることはあ り得るものでございます。そのため、報告体制を充実させるという提言を受けておりまし て、重篤な副反応の事例は今まで以上に速やかに国に報告されるように予防接種実施要領 等を変えることを今検討させていただいております。  資料4は、以上でございます。  続きまして、資料5のポンチ絵でございますが「麻しん対策推進会議と都道府県におけ る麻しん対策会議との関連」ということで、先ほどの予防指針に基づいたものを簡単な絵 にさせていただいております。左にある麻しん対策推進会議というのが当会議でございま す。その仕事としましては、上にございます予防指針の評価及び推進体制の確立、そして、 施策の見直しの提言をしていただきたいと考えております。  その提言の評価をするための基礎情報となるのが、右側の47都道府県における麻しん対 策会議等からのいろいろな情報をいただきながら、しっかり進めていきたいと考えており ます。  長くなりましたが、以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  事務局からは、これまでの経緯や国の麻しん対策の根幹となります麻しんに関する特定 感染症予防指針と本推進会議の関係、または、その役割につきまして御説明いただいたわ けでございます。ここで一区切りつきまして、何か委員の方々で御質疑がございましたら お願いいたします。  いずれにいたしましても、砂川先生がお話しなりましたような環境のもとで、日本でも 2012年までに麻しんの発症をゼロに限りなく近づけていくということを目的として、この 特定感染症予防指針というものをつくり上げたということで、これは後で文部科学省から もお話ししていただきたいと思っておりますけれども、いろいろな各省庁にかかわること でもございますので、また国だけではなく、各都道府県が協力してやらなければいけない ということでございますので、そのようなところから特定感染症予防指針というものがで き上がったというところでございます。 ○岡部委員 言葉の定義ですけれども、今の事務局の御説明と、情報センター砂川のプレ ゼンテーションの中では、elimination(排除)ということが正確に出てましたが、言葉の 端々に先ほどのごあいさつにも「根絶」という言葉がどうしてもわかりやすくて出てしま うんですが、根絶はeradicationで、WHOの決めている根絶は徹底的にウイルスもなしに するということで、ちょっと定義が違います。日本語としては確かにわかりにくい部分が あるのかもしれませんけれども、「根絶」という言葉を正式な場で使うとちょっと誤解があ りますので、そこは注意しながら使って頂きたいと思います。 ○加藤座長 根絶は、いわゆる天然痘のようなものを言って、今私たちが目標としている ものは、あくまでも排除という言葉遣いということでございますが、特に御意見ございま すか。また後でディスカッションの時間もございますので、そのときでよろしいでしょう か。  何かこのことに関連しまして御提言のようなことはありますか。キャンペーンを張って いこうというようなことでも結構ですが。 ○岡部委員 キャンペーンのことではないんですけれども、ついこの間、私はWHOの会 議がマニラでありまして、はしかのことに関する日本の状況の説明もしてきました。その ときにWHOの担当者が非常に気にしていたのは、日本としてどういう姿勢を出すんだと いうことをしきりに聞いていました。そこで、こういうはしかに対する対策委員会ができ て、そのときの最大の目標は現状をよくすることに加えて、WHOが示している2012年と いうものを我が国もelimination(排除)の目標とするということがきちんとうたわれてい ますということで報告はしてまいりました。ほかの国が随分気にしているところです。 ○加藤座長 ありがとうございます。  ほかに御意見ございますか。よろしゅうございますか。  岡部先生、こういうキャンペーンを張っていくときに、疾病を排除していきましょうと いう気運を高めていくために、ロゴマークとかそういうものをつくったりすることがござ いますね。そういうことは世界各国または先生御自身でもいいですが、何かアイデアはお 持ちですか。 ○岡部委員 やはり共通の目標としては、わかりやすい言葉と何かにつけていろいろな マークが出てくる。最近の例で言うと、例えば「クールビズ」というのは最初はわかりに くい言葉だったのが、いつの間にか浸透したり、そういったような工夫は必要じゃないか と思います。ただ、それは、あるところが単独で一生懸命使用して、ほかの人は使いませ んということではなくて、むしろそういうものを広くみんなが使えるような形にした共通 のものを考えていく必要があると思います。  そういうことはWHOなどがよく使う手でもありますし、ほかの国々も一般の方へ示す ということで、しばしば用いていることじゃないかと思います。必ずしもはしかに限らず、 ほかの対策でも使われることだと思うので、是非こういう場でも導入していただけたらと 思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。  また、後ほど委員の方々のお話し合いの中で、こんなキャッチフレーズがいいかしらと いうようなことも御提案いただければ、今のうちに頭の中に入れておいていただいて、フ リーディスカッションで積極的な御発言をいただければと思います。よろしくお願いいた します。  それでは、ロゴマークであるとか、スローガンでありますとか、普及啓発に重要な役割 を果たすと思いますので、今後も事務局は十分その辺も御考慮いただいて、お進めいただ きたいと思います。  先に進めさせていただきますが、混合ワクチンの副反応について、いろいろと皆さん関 心が深いところであると思われます。厚生労働省のもとには、予防接種健康状況調査とい うシステムがございますが、その健康状況調査の中で特にMRに関しましては少し急ぎま して、このたび速報というものをまとめさせていただいているところでございますので、 その会議の資料が添付されております。参考資料1でございますが、これを岡部先生から 御説明いただきたいと思います。 ○岡部委員 度々済みません、参考資料1、参考資料2もそうだと思うんですけれども、 参考資料1は国で、これはMRに限らず定期接種として使われているワクチンに関する健 康状況調査ということで行っています。重い副反応という意味ではなくて、予防接種をし た後に一定期間保護者の方に観察していただいて、そのときに例えば熱が出た、下痢になっ たというようなことについて細かく報告していただくという形で上がってきているもので す。これはMRがスタートしてから行われているわけですけれども、表で言うと参考資料 1の中にある2ページの表1、表2という形でそれぞれ細かいデータがまとめられていま すが、結論から言うと、それぞれでもある程度の発熱であるとか発疹であるとか、そうい う反応が起こるわけですが、はしか・風しん、それぞれでやったときを超えるものではな い。もうちょっと簡単に言ってしまうと、2つに分けたから例えば副反応が倍になるとい うような状況ではないということで、一般的な安全性については今のところ特別なものは なかったという報告でした。  もう一つは、加藤先生の発表だと思いますので。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  それでは、私の方から。 (PP)  参考資料2をごらんいただきまして、これは御承知のとおり平成6年4月までの生後12 か月から90か月までの方を対象として、はしかの予防接種をしてきたところでございます けれども、はしか・風しんの対策を強化して、風しんによる先天性風しん症候群の発症を 予防するという厚生労働省の指導のもとに、平成18年4月1日から第1期と第2期に分け まして12〜24か月の子ども、そして、5歳以上7歳未満の者を対象とする、そして、そこ ではMRワクチンを接種すると政省令を改正したわけでございますが、このときの政省令 改正では、既にM・Rワクチンを接種している者は対象外であるということでございまし たので、実際には第2期接種をする人がいなかったのが現状でございました。  そこで、同じ年の2か月後には政省令が更に改正されまして、12〜24か月を1期で行う、 そして、その方が第2期の年齢になったときに5歳以上7歳未満の者に対して第2期の接 種として行う。このときにMRワクチンだけでなくてよろしいと。MまたはRワクチンを 単独で使ってもよろしいということが附則でついてございます。すなわち、こことここの 違いは、第1期で接種した者も対象とするということでございます。ただし、既にはしか にかかっていた方、または風しんにかかっていた方は、この対象ではありませんよという ことを取り決めて現在に至っているところでございます。  ただ、先ほど指針にも出てまいりましたけれども、恐らく4月1日からは第1期と第2 期がそのまま続けて行われるようになりまして、第3期として5か年計画で13歳となった 者、18歳となった者を対象として行うと、このように変わっていくものと思われます。 (PP)  その研究の目的は、平成18年6月2日から実施されております第2期MR混合ワクチン に関しまして、安全性と有効性及び接種率を確認するということでございます。また、今 年は4月から行われる13歳、18歳に接種されるMR混合ワクチンに関しても同様。それか ら、平成20年4月からは既にはしかに罹患した方に対しても、MRワクチンの第2期を接 種するということが許されるようになると思われますので、以上に対する安全性・有効性 及び接種率を確認するということが目的でございます。  なぜこれを目的にしたかと申しますと、世界各国では一人の個人が2回接種しているこ とは十分承知なわけでございますけれども、日本では一人の個人が2回はしかワクチン、 または風しんワクチン、またはMRワクチンを接種するという経験がありません。したが いまして、一人の個人が2回同じワクチンを接種して果たして安全性があるのかどうか、 また、必要性があるのかどうか、有効性があるのかどうかということは日本の制度として のデータがございませんので、これを理由とさせていただいたわけでございます。 (PP)  研究方法ですが、24か月までにMRワクチンを既に接種したことが確実である者を選び まして、第2期にMRワクチンを接種する者の接種前と接種後6週目に血清をいただきま して、はしか・風しんのELISAでのEIAの抗体を測定することにいたしました。また、 一定の調査票をつくりまして、先ほどの岡部先生のデータと同じような状況調査ですが、 28間健康状態を調査いたしました。これは中間報告ですけれども、全国から無作為に抽出 された方々を対象といたしまして、はしかワクチンの累積接種率がどのくらいになるかと いうことを研究しているということでございます。 (PP)  これが一般的な健康状況の調査票でございまして、各先生方がフォローしてずっと追っ ておりますので、かなり信頼のおけるデータであろうと思っております。 (PP)  結果ですが、2006年6月2日から2007年12月31日までのデータですけれども、1,118 例がつかまりまして、このうち37.5℃以上の発熱、これは28日間延べです。15.9%。接種 した場所が赤くなったり腫れたりするというのは10%か7%程度。風しんのワクチンが 入っておりますので関節痛が起きたのが1.8%、リンパ節腫脹が1.6%程度ございました。  抗体の検査は507名について集められまして、これはELISA法で行われましたが、接種 前に陰性だったという方が33例ございました。接種後はどこを基準にとるかということが 非常に難しいところなんですが、いずれにいたしましても、接種後抗体が上がりましたと いうのは全例が陽性でした。風しんでは50例が陰性の方がありましたが、2例が不変とい うことでした。接種後陽転したり、または2倍以上抗体が上がったというのが、はしかか 63%、風しんが51%でした。  このようなデータを蓄積していきますと、やがてMRの第2期接種の安全性と有効性が 確認され、接種率が向上し、はしかの排除という方向に向かうのではないかということが 研究の目的でございます。 (PP)  これは接種前の血清の値でして、2倍以下のもの、2〜4倍の間、4〜8倍の間、この ようにいろいろな倍数をとっております。接種をすると抗体価ががどのように変化してい くかといいますと、例えば、全く抗体がないものが33人いたわけですが、2倍以下の方々 が接種をいたしますと全員が2倍以上になってくる。これ以上の分析はしておりませんか らわかりませんが。また、ここのグループにいた方々が接種をいたしますと、これもまた 2倍以上になる確率が高い。100%、100%。ここぐらいの抗体を持っていた方が接種をい たしますと大体97%ぐらいです。ここのグループの方々もやはり94%程度。ここぐらい高 くなってきますと、それほど飛び抜けて抗体が上がるわけではなくて、70%程度になりま す。すなわち、高い抗体をもともと持っている方々は、接種をしてもそれほど飛び抜けて 抗体が上がるわけではないけれども、接種前に抗体が低い方々は、ほぼ100%近くの方々が 抗体を維持するということがわかりまして、2度接種することによって今まで抗体の低 かった方が抗体が高くなるということを示しています。 (PP)  風しんはもう少し明らかでして、これも全く同じでございます。抗体が低い方々に2回 目のMR接種をいたしますと抗体がどんと上がる。だけれども、もともと高い抗体を持っ ている方々は、接種をしてもそれほど効果は上がらない。ですから、2回接種をするとい うことは、もともと抗体が低い方々に対して2回接種をすると上がるという、ブースター と効果と申しますが、それが十分に効いているものと思われます。 (PP)  これが1,118名の健康状況調査でございますが、先ほど岡部先生からお話のあったとおり で、接種した場所が赤くなったり、腫れるということが多い。発熱はずっとまんべんなく 出ているので、このような形になります。大体接種して0〜6日までの間に局所の反応が 強く出てまいります。発熱に対しては37.5℃以上を超えますのはまんべんなくありますの で、特にワクチンのせいではないのではなかろうかと考えておりますが、いずれにしても、 このワクチンの特徴は副作用というより、むしろ局所の反応は比較的接種して1週間以内、 大体は翌日ですが、強く出てくることがあるということがわかりました。 (PP)  これはパーセントで表したものでございます。 (PP)  これが第1期のワクチンで5,020名に接種したもの。では、1歳代でワクチン接種する とどのような副反応が起きるかというと、これは全身の発疹なんですけれども、発疹とか 比較的1週間から10日目に割合ピークが来ている。ここでも見えますけれども、この辺に ピークがあるというのが今までの小さいお子さんにはしかワクチンを打ったときの特徴で す。今回の大きい方々に打ったMRワクチンの特徴は、こちらの方にピークが少し移って いるかなというところかと思われます。 (PP)  これはパーセントを示しています。 (PP)  これは、先ほど無作為的に5,000人にワクチンの接種を行って経過を見たものですけれ ども、これはまだやり始めですから、2006年4月からスタートですから、徐々に上がって まいりまして、砂川先生の先ほどの御発表と同じで、私たち研究レベルでも、現在のとこ ろ大体80%ぐらいが第2期説明の接種率です。これを95%まで上げるようにしなければい けないというのが、そもそも今日行っている会議の目的であろうかと思います。 (PP)  要するに、MRの混合ワクチンは適切な時期に接種されている必要があって、低い抗体 価の方々は十分な抗体を持つようになる、すなわちブースター効果も良好と考えられる。 それから、安全性も重篤な健康状況は今までのところ認められず、安全なワクチンと考え られる。ただし、1期のワクチン接種に比べて、接種の初めのころに局所反応が多く見ら れまして、第1期のワクチンに見られたように接種後7〜13日に出現した全身反応は頻度 が低かったということです。  接種率の累積率は現在は80.3%であるということでございます。 (PP)  今後は、この数を増やすことと、13歳、18歳がMRワクチン接種の有効性等を調べるこ と。また、既にはしかにかかっている方々に対してもMRワクチンを接種するとか、また は、治験の段階でMRワクチンを接種した方に対して、またMRワクチンを接種して、そ の安全性・有効性を見ていきたいということでございます。最終的には、その安全性・有 効性が確認できれば、ますますキャンペーンを張らせていただいて接種率が向上し、2012 年にははしか、または風しんの排除が行われているであろうということをもくろんでいる ということでございます。  以上申し上げましたように、現在までのところ、厚生労働省の予防接種後の健康状況調 査でございますとか、このような研究班の結果を見てみますと、今のところは2期のMR ワクチンに対する安全性は担保されているのではなかろうかということが考えられる。ま た、有効性というものは将来的にこの方法をとっていきましたときに、はしかの患者さん が出ないということが見られませんと本当の有効性は確かめられないのですけれども、抗 体の上昇というものから考えますと、これはやはり一定の抗体上昇が見られる。そして第 1期の接種を行ったにもかかわらず低い、また抗体価がない方々に対して、大体10%程度 だったわけですが、その方々に対して第2期の接種をすることによって一定の抗体価の上 昇を見たということから、第2期のMR混合ワクチンの予防接種の必要性というものは一 定の評価を得てもいいのではないかというように今のところは考えてございます。  何か委員の皆様の中で御意見がございましたら、お伺いしたいと思います。 ○岡部委員 副反応の問題というのは非常に懸念されることがあると思うんですけれども、 少なくとも今のところは問題がないとはいえ、やはり数千万単位になるとよくわからない もの等が発生することが当然あるので、これついては市販後調査という形でいろいろな薬 品でも進められているので、同様のことを今後しっかり見ていく必要があるだろうと思い ます。ただし、理論的には極めて起こりにくい、現状のはしか・風しん単独のものを越え るものではないということが理論的には言えると思います。  それらについては平成18年4月に小児科学会のホームページで、私は小児科学会の予防 接種委員もやっているので、その立場ですけれども、見解という形で内外の文献によって はしか・風しんの混合注射あるいは重ねてはしかの免疫を持っている人にはしかの接種を する、あるいは風しんの免疫を持っている人に風しんの接種をすることについての安全性 あるいは考え方については、文献的に考察しております。  それから、もう一つやはり危惧されるのは、前の検討委員会でも随分出ていましたけれ ども、この会議ははしかが中心ですが、風しん、特に先天性風しん症候群の排除あるいは 根絶に近いことが同様の作戦でできるために、はしかと風しんの混合ワクチンを使うわけ ですが、先ほど冒頭にもありましたように、生ワクチンを接種したときの妊娠をしている ときの注意というのは、十分に喚起しておく必要があると思います。ただし、過剰に心配 し過ぎる、例えば、後で妊娠がわかったときにただちに心配だというようなことではなく て、現実には例えば、自然感染の場合には奇形性が強い、催奇形性が強い風しんの場合で も、世界の報告で実際に妊娠された方での出生児での異常はない。ただし、理論的な心配 があるので、できるだけそういう心配を払拭するために、妊娠中の生ワクチン接種あるい は接種した後に気がついた妊娠というものに対しても、実際上の心配はない。ただし、十 分に慎重に行う必要があるだろうという意味だと思います。この点も恐らくいろいろな方 が危惧される部分ではないかと思います。  それから、付け加えますと、2005年の段階ではしかの2回接種をやっている国は実は世 界で90%でして、我が国はその時点では導入していなかった。日本はまだなのという話が 一つ。  それから、そのときに同じようにレポートが出まして、いわゆる先進国でははしかプラ ス風しんあるいははしか・風しん・おたふくのMMR混合ワクチンをほとんどの国が使っ ているけれども、例外的な国は日本であるというようなWHOのレポートもそのときにあ り、世界じゅうではこの方法は広く導入されているということを改めて御紹介しておきた いと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  ほかにございますか。 ○飯沼委員 岡部先生が最後におっしゃられて、私が質問しようと思ったのはそれなんで すけれども、MMRの真ん中を抜いたワクチンだけの議論をここではするのか、MMRも 含めてここで議論するのかということを先に決めておかないと、私はMMR派でございま すので、MMRのワクチンは当面ここでは話をしないということなんでしょうか。 ○加藤座長 難しい問題でございますけれども、座長といたしましてはMRワクチンで議 論を重ねていっていただきたいと考えております。と申しますのは......、と話しますと長 くなりますので控えさせていただきますが、皆さん御承知のとおりだと思いますので、結 論から先に申し上げまして中を飛ばさせていただきましたが、MRで御議論いただきたい と思います。 ○飯沼委員 先生、その中のところを1分ぐらいで説明していただけませんか。 ○加藤座長 御承知のとおり、MMRワクチンは平成5年以来、接種を見合わせていると ころでございまして、見合わせていることが解かれていないという事情がございますので、 議論の場に乗ってこないということでございます。 ○飯沼委員 外国の文献は無視するということでございますね。 ○加藤座長 現在の日本では、それはちょっと難しいということでございます。 ○飯沼委員 それから、もう一つお尋ねしたいのは、1回目に抗体価が上がらない人たち がブースターで上がったと。その抗体価が十分あるのか、持続性もあるのかという検討は まだないですよね。余り低いケースだと、ひょっとして3回目も考えるのか、それは自費 でも何でもいいと思いますけれども、そういうお考えはございますか。 ○加藤座長 これは今後の研究課題であろうかと思いますが、とりあえず足掛かりをつ くったところでございますので、基礎的なデータを見た上で、今後検討していくべき問題 ではなかろうかと考えております。  ほかにいかがでしょうか。飯沼先生から厳しい御質問がたくさん続きますので、つらい 立場でございますけれども、よろしゅうございますか。  それでは、先に進ませていただきます。続きまして、議題2に入らせていただきます。 都道府県における麻しん対策会議との連携につきまして、事務局からお願いいたします。 ○三宅課長補佐 資料7でございます。「都道府県における麻しん対策会議のガイドライン (案)」ということで、先ほどの特定感染症予防指針でも御説明させていただいたとおり、 間である都道府県の役割というものも重要であろうという中で、ただ、何をすべきかとい うことにつきまして、我々としてもこういうことをやったらいかがかというガイドライン をつくるべきだろうということになりまして、感染研を中心にいろいろつくっていただき まして、感染研のホームページで公開したり、我々で事務連絡をしたりしながら、都道府 県の方々のいろいろな御意見も聞きながらつくり上げたものが、この都道府県における麻 しん対策会議のガイドライン案でございます。本日ここで御報告をさせていただきまして、 それを更に都道府県に通知させていただければと思っております。  最初の2ページが要旨になってございますので、そこを中心に御説明させていただきま す。  まず、設置単位としましては、全国47の各都道府県に設置していただきたいと。  そして、本会議の構成としましては、ここに集まっていただいた多種多様な専門家と同 じように、専門家、医療関係者、保護者、学校関係者、保健所、福祉関係者などによって 構成されることが望ましいとしております。  また、沖縄につきましても先進的な活動を既にされておりますが、先進的な活動を行っ ている自治体につきましては、しっかりした連動といいますか、それを土台にして、それ をつぶして新しくつくるものではないということを念のために書いてございます。  市町村に対する役割といたしましては、市町村の麻しん排除に向けた活動計画の策定や 実施の支援をしていただきたいこと。それから、必要なワクチン等の調整、ワクチンが足 りないということにならないように調整等について積極的な役割を果たしていただきたい ということです。  予防接種に関する情報の公表といたしまして、先ほど申しましたように、情報公開、そ して、それを評価として進めていく、そのサイクルが非常に重要でございます。毎年4〜 9月及び前年度1年間の予防接種率を調査し、それぞれ1月、翌年度の7月に国の推進会 議に御報告をしていただきたいと考えております。  また、学校等に対する協力の要請ということでございますが、教育機関と連携し、学校 単位での予防接種率等につきましても情報の収集をお願いして、地区ごとだけではなく、 学校ごとの接種率等につきましても、情報が入り、評価し、必要なところに更に支援をし ていく、そのようなことができないかと考えております。  また、麻しん発生時の対応につきましては、患者が最初に報告された時点から封じ込め、 もしくは流行の阻止に向けた対策が重要なことから、その対策に向けた支援をしっかり やっていただきたい。特に、技術的な協力を受ける必要性が生じた場合には、国立感染症 研究情報センターを中心としまして、後ほどいろいろ議論していただきますチームなどを 使いまして、この推進会議に支援要請をしていただいて、更にしっかりした対応ができる ようにということを書いてございます。  麻しん排除状態の認定でございます。最終的には、国として麻しん排除という状態をW HOに認定していだたけるように進めていくわけでございますが、その前段階として各都 道府県におきまして、しっかりした対策を打っていただくところが次々と麻しん排除状態 の認定を受けることによりまして、先進事例がほかの自治体の刺激になるよう、そして、 先進事例がほかの自治体のモデルとなるよう、このような認定をされるよう都道府県の状 態を積極的に評価し、認定していきたいということを考えております。  最後に、麻しん排除への地域運動といたしまして、今後5年間(1)〜(4)に値する方々が定 期接種の対象となるわけでございます。この定期接種の対象の方は、先ほど申し上げまし たように、定期接種外であるが予防接種を受けるべき方々に対してどう働き掛けるか、国 がいろいろ大声で言っても実際にやっていただくのは市町村、都道府県の方々でございま す。そういう方々に対する支援を、特に市町村に対する支援を県としても是非やっていた だきたいということで、このような準備、実施、評価についてしっかりやっていただく。 そして、県としても県の運動に対して準備、実施、評価をしていただくいうことを書いて ございます。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  ただいま都道府県における麻しん対策会議との連携について、事務局から御説明をいた だきましたが、どなたかこの御説明につきまして御意見・御質問等がございましたら、お 願いいたします。 ○森谷委員 まず最初に、東京都におきまして昨年、大学、高校で麻しんが発症しまして、 保護者としても大変これは衝撃であったわけなんですけれども、今回の指針の内容なんで すが、「四 予防接種法に基づかない予防接種の推奨」の4番目になりますが、「また」以 下のところで「医療・福祉・教育に係る大学及び専修学校の学生及び生徒」と例示的に挙 げられているんですが、例えば東京都の場合ですと教科「奉仕」というのが決まりまして、 既に高校生が幼稚園とかあるいは小学校に入って、低年齢の児童と接する機会が増えてき ていると思うんですね。そういう場で感染する可能性というのもありますので、そういう ボランティア活動に関連したところでの事前の予防策といいますか、その辺のことについ てどうお考えかお伺いしたいんですが。 ○加藤座長 資料4の「四 予防接種法に基づかない予防接種の推奨」というところでの 御質問ですね。ここに書かれているもの以外については、どうお考えかということでござ いますが、事務局いかがでしょうか。 ○三宅課長補佐 先ほど申しましたように「四 予防接種法に基づかない予防接種の推奨」 というのは、国として予防接種法に基づいて対象の方々に努力義務が掛かるものではござ いません。職業倫理的または予防接種を受けられない、受けていないような方々をどう守 るかという中で、是非ともこういう方々には予防接種を受けていただくようにお願いする というところでございます。ですので、今言ったような予防接種を受けていないような方々 が仕事として、または、ボランティアとして従事する場合は、是非とも予防接種の推奨と いうカテゴリーの中で考えていただけたらと思います。 ○森谷委員 承知いたしました。 ○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。 ○西口委員 今回MRが2回になって、それから、中学1年生と高校3年生が対象に入る わけですけれども、この辺の文部科学省との連携はいかがでしょうか。私は三重県ですが、 全体から考えると、市長に対しては1歳半児健診とか3歳児健診という部分では随分介入 ができるんですけれども、やはり学校関係になると、その辺が統一的な形で動くこともな かなかできないし、恐らく95%なりを維持しようと思うと、かなりその部分に対する積極 的な関与をしていかないと難しいのかなと。多分、地域によっては高校年代ぐらいまでに この部分をしっかりやっていかないと、あとは大学に行ったりとかかなり流動が激しくな りますから、いかに中学校1年生、高校3年生ぐらいのところまでにしっかりとした対策 をするのかというのが重要かなと思いますので、具体的な戦略というのは都道府県単位で 考えるのかもわかりませんが、基本的な国のガイドラインの考え方をお示し願いたいと思 います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  その件に関しましては、次の支援チームの設置というところが終わりましてから、文部 科学省の御意見を伺うなり等で進めていきたいと思いますので、また、後ほど西口委員か らも御意見を伺いますので、少し先に延ばさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、議論がまだ進んではおりませんが、予防接種の実施主体は市 町村でございますので、各市町村におきまして積極的に取り組みを図るということが麻し ん対策を前進させるものであると考えますが、その状況を集約いたしまして評価するため の機関が都道府県単位の麻しん対策会議であろうかと思います。事務局からは、国の麻し ん対策推進会議との活動の関連について今御説明いただいたところでございますが、各都 道府県におきましても、速やかに麻しん対策会議を設置することを検討していただく等で 積極的に御協力をお願いいたしたいというところでございます。  先に進めさせていただきますが、次の議題でございます麻しん対策技術支援チームの設 置の案について、事務局より御説明をお願いいたします。 ○三宅課長補佐 資料6でございます。これまでも感染症法によりまして技術支援が必要 な場合は、都道府県は国に要請をできることになっておったわけでございますが、この麻 しん対策を推進するために、この会議の下に麻しん対策技術支援チームを設置してはどう かという話でございます。この支援チームとしましては、厚生労働省とともに文部科学省 など関係省庁との連携を図りながら対策に当たるものとし、国立感染症研究所内に設置す ると。  役割といたしましては、2の(1)〜(5)でございますが、積極的疫学調査のガイドライン や、今話題に出ましたような学校との連携をどうしていくかのガイドラインをしっかりつ くっていただく。そして、そのサーベイランスにおける評価・解析、検査室診断の推進を していく。そして、流行時に対応するなどのための疫学調査をどうするか、地方自治体で もやっていただくための研修会。そして、普及啓発事業のためのツール作成、その他麻し ん排除に必要な事項について検討いただくためにチームを設置してはどうかということで ございます。  以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  ただいま麻しん対策技術支援チームの設置について、事務局から御説明いただきました けれども、ただいまの御説明につきまして何か御意見はございますか。 ○岡部委員 感染研の方でこういうチームをつくりなさいということですので、これは喜 んでお引き受けしたいと思うんですが、ただ、我々は技術的ないわゆるテクニカルエージェ ンシーという言い方をしていますけれども、そういう面ではいろいろディスカッションも できると思うんですが、言わずもがなですが、これは国のサポートがないとなかなか進ま ない。あるいは行政的な判断は我々の方ではどうしてもできかねることがあるので、そこ は行政的な部分と技術的な部分とディスカッションしながら進めるということが必要だと 思いますので、ここにあるような形で支援チームはその活動に当たっては、厚生労働省と ともに文部科学省と関係省庁との連携を図りながら対策に当たるということですけれども、 連携及び協働といったような形ではないかと思いますので、文章上のことはいいんですが、 やり方として御理解いただければと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。  いろいろと御議論をいただきましたけれども、麻しん対策技術支援チームを設置してい ただきまして、市町村及び都道府県の麻しん対策会議の活動が円滑に運営されますように、 しっかりと支援していただくということを期待いたしておきます。 ○岡部委員 併せて、自治体の実際の動きや何かについては、やはりいろいろ御意見をい ただかなければいけないと思いますので、勿論技術支援ということでやりますけれども、 是非いろいろな御意見をいただきながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願い します。 ○加藤座長 どうぞよろしくお願いいたします。  麻しん対策につきましては、先ほど申し上げましたが、都道府県や市、区、町村の自治 体の取り組みが基本であると考えますけれども、やはり麻しん対策を推進させていくには、 今回のように13歳、18歳等の年齢相当の方々にも接種するということで、学校での取り組 みも重要であろうと考えられます。このようなことから考えまして、先ほど西口委員から の御質問もございましたけれども、それを踏まえまして、文部科学省といたしましてどの ようなお取り組みをなされる予定でございましょうか、できればお話を伺いたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○作花学校健康教育課長 文部科学省でございます。  先ほど資料4の説明などで「文部科学省の協力を得て」という記述が何箇所かございま した。また、資料7の都道府県のガイドラインでも教育関係者の協力というところが出て いたかと思います。こういった事項を中心としながら、私どもとしても取り組んでいきた いと思っています。具体的には、従来から行っていますけれども、就学時の健康診断の際 に、ワクチン接種の確認及びしていない場合の勧奨を徹底していくということ、あるいは 海外に修学旅行する際に留意する事項を周知していくこと、あるいは学生が教育実習に入 る場合に、きちんと接種してから入るという趣旨を徹底するということ。先ほど教育実習 だけではなくてボランティアの問題もございました。高校生あるいは大学生がボランティ ア活動で乳幼児に接する機会は確かにあろうかと思いますので、そういった観点も踏まえ て周知をしていきたいと考えております。  更に具体的には、これから中学校の1年生、高校3年生に定期接種が始まるわけでござ いますので、その重要性というものを啓発していくために、リーフレットを作成して、全 国の学校現場に配付し、保護者の目に触れるように、そういった啓発を進めていきたいと 考えております。  更に、学校での麻しん対策というものが的確に、円滑になされるように、学校向けのガ イドラインといったものも感染研あるいは厚生労働省の協力を得て、早急に作成していき たいと考えております。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  文部科学省から非常に力強いお言葉をいただきまして、今後の麻しん対策について貴重 な御努力をしていただくということになろうかと思いますので、よろしくお願いいたした いと存じますが、本日は教育の現場からも委員として御出席しておられます荊尾委員から 何か御意見ございましたら、いただきたいと存じますが。 ○荊尾委員 今、学校保健を推進するということでは、関係機関との連携あるいは地域保 健との連携というのは、どうしても離して考えることができない状況ですので、このたび こういう方向性が出まして、県の教育委員会としてもできる限りの協力をしたいと、今日 会議に出て感じていたところです。  そして今、文部科学省の課長さんから啓発のためのリーフレットというお話がありまし たけれども、今までにもいろいろ通知をいただいておりますが、これをどのようにわかり やすく学校現場に流せばいいのか、そして、誰もが同じレベルで理解するためにはどうい う流し方をすればいいのかというのを考えてまいりましたので、啓発あるいは保護者、学 校への情報提供ということを課題としていましたので、今度、文部科学省で作成されるリー フレットを活用しながら、学校あるいは保護者への啓発活動もやっていきたいなと考えて いるところです。  そして、学校では健康診断を行いますときに、必ず保健調査を事前に行いますので、就 学時健診のみでなくて、小・中学校、高等学校でもそれらを活用して、罹患状況あるいは 接種の状況というのは把握できるのかなと考えておりましたので、また御指導いただきな がら、できる限りの協力はしていきたいと強く思っているところです。  一点質問ですけれども、「中学1年生と高校3年生相当」という言葉と、「13歳と18歳」 という言葉が接種の対象者として出てくるわけですが、通常中学1年生は12歳、高校3年 生は17歳という年齢で数えているのが現状だと思うんですが、この辺りはどのように理解 すればよろしいのか教えていただきたいと思います。 ○加藤座長 この年齢と学年は検討委員会でもかなりディスカッションいたしまして、ま ず、学年ありきというところからスタートしたものですから、高校3年生相当は全部が高 校生ではないので「18歳相当」という言葉に置き換えたという経緯がございますが、法令 的にはいかがかということですが。 ○山田課長補佐 まさに、法令的には非常にわかりづらい表現になっておりますけれども、 実際は12歳と17歳の方に接種をすると御理解いただければよろしいかと思います。学年 としてですね。4月1日からの予定ということでございます。 ○荊尾委員 ありがとうございました。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。いつも年齢のところはわかりにくくなってくると ころなので、こんがらがるところでございますけれども、恐らくきちんと厚労省から見解 が出されることと思います。  せっかく文部科学省からお見えですので、何か御質問・御意見ございましたら。いかが ですか。 ○岡部委員 従来もいろいろな場で、学校に行っている子どもさんたちにどうやって予防 接種を勧めるか、あるいは場を提供するかということでいろいろ議論がある中で、いつも 起きるのは学校側の協力を是非得ていただきたいということなので、今回、文部科学省の 方に出ていただいたのは非常に強いインパクトになるんじゃないかと思っています。  加えて、先ほど修学旅行の話も出ましたけれども、どうしても一省庁、厚生労働省ある いは文部科学省だけではなくて、今日来ていただいている外務省あるいは国土交通省の 方々にも、はしかは必ずしも子どもだけの病気ではないという認識で、その他いろいろな 機関の御協力をいただければと思います。それは麻しん対策技術支援チームというのがで きたときに、むしろほかのところに御相談に行ったり、御意見を伺ったりあるいはお願い に行ったりすることもあると思いますので、そういう意味でのここに書いてある「厚生労 働省、文部科学省など関係省庁」というところで是非よろしくお願いいたしたいと思いま す。これは技術支援チームとしてやる側からのお願いです。 ○加藤座長 ありがとうございました。是非、関係省庁の皆様よろしく御協力をいただき たいと思います。  ほかに御意見ございますか。 ○植田委員 実施主体の市町村も覚悟を決めまして、1類疾病であるということから、少 なくとも全国市長会の調査では未回答は一部ありますけれども、自己負担なしでほとんど の自治体が実施する覚悟を決めておりますので、3期、4期があります上に、昨年の流行 を踏まえて、大学ですとか専門学校が合格通知に入学までに予防接種をしてくるようにと いう文書を出すということを随分聞いております。今回の会議にはワクチン提供側の委員 さんもお出でになっていますので、昨年実はDTの2混が1〜2か月供給されないという ようなことがあったのですけれども、特に3〜6月辺りに想像を超える量のワクチンが消 費されるのではないかと希望的に予測するんですけれども、その辺りの供給は十分なので しょうか。 ○加藤座長 話題が少し移りますので、文部科学省への御意見はよろしいですね。 ○岡部委員 では、もう一つだけ。度々済みません。学校の協力を得て、あるいは学校の 御理解を得て予防接種をやるということは、やはり学校側に対して非常に負担を強いるの ではないかというような意見が私たちのところにも寄せられるんですけれども、例えば、 昨年春の流行で大学を含めた学校で、一旦流行が起きると大変な努力と大変なエネルギー と場合によってはお金も必要なわけで、できるだけあらかじめそういうことにならないよ うにやっておくという日常の活動が必要なので、予防接種を例えば学校側の協力をいただ くというのは決してeliminationだけの問題があるからやるのではなくて、学校自身が労力 を使わないで済むように、あるいはそういうもので子どもたちがあるいは大学生も含めて ですけれども、そういう人たちが健康の被害に遭って日常生活、学校生活が妨げられない ためであるということも是非学校関係者の御理解はいただきたいと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。  いずれにいたしましても、定期の対象者のうちに親の勧奨が行き届きにくい年代で学校 に通っている方には、学校からのアプローチが必要不可欠になってくるわけでございます ので、是非、文部科学省の積極的なお取り組みに期待をしていくところでございますので、 何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日は、時間は無制限なタイトルマッチだそうでございますので、余り頻回に開かれる 会議ではございませんし、せっかくの会でございますから、いろいろな御意見を伺いたい と思います。先ほど植田委員から誘導していただきましたが、本日はワクチンのメーカー 側からも委員として御出席されておりますので、ワクチンのメーカー側からの御意見を 伺っていきたいと思います。  では、武田薬品の今井委員から、先ほどの植田委員からの御質問はワクチン供給の件で ございましたが、そのこともひっくるめてどうぞ御自由に委員として御発言いただいて結 構でございますので、よろしくお願いします。 ○今井委員 現在、既に増産体制は整っておりますので、麻しん排除のための計画に必要 な数量について適時出させていただきます。  ただ、一点に集中してしまいますと、昨年のようなことが起きます。通常から見ますと、 十何倍のものが出てまいりますので、そこまでたった1か月でということになりますと大 変難しい問題でございますけれども、ただ、やはりスケジュールを持っていただいて、そ して、必要量を買っていただくいうことであれば、対応はしていけるのではないかとは考 えております。その辺余り過敏に過剰にならないで、やはり必要だからまとめて欲しいと いうのは人間の心理として当然だとは思うんですが、その辺のところは是非御理解をいた だきたいと考えております。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、福田委員、お願いします。 ○福田委員 私どもも昨年より1〜4期すべての方がワクチンを受けられるようにという ことて増産体制に既に入っております。  ただ、今井委員から言われたように、4月の頭に全400万人であるとか500万人分がそ ろうかというと、それはあり得ないことですので、必要なときに必要な量だけを要求して いただければ出せる体制ということで今進んでおります。ですから、4月以降順次、接種 対象者全員を一度に買うのではなくて、接種が必要な人の量だけを順次購入していただけ れば足りる量だと私どもは認識しておりますので、その辺は安心していただけるのではな いかと思っております。 ○今井委員 追加で御提案ということでお願いさせていただきたいと思います。やはり私 どもは流行に対して度々品物の流通について困難を極めることが多うございます。そう いった中でも、特にインフルエンザワクチンのような問題がございますけれども、この辺 につきましてはそれぞれ地区でいろいろこれからお話し合いいただけるとは思いますが、 例えば、インフルエンザワクチンの購入の様に予約数量についての徹底をしていただくと か、先ほど申し上げましたことが返品に結びつかないよう、まとめ買いを避けていただく とか、品薄感が出たときに医療機関で融通し合っていただくというようなことについての 御検討も是非していただければと考えております。 ○加藤座長 私としては、メーカー側が悲鳴を上げるほど4〜6月の間に接種率が上がれ ば、これほどうれしいことはないと思っておりまして、片方ではそうやれと言って、片方 ではちょっと困るという状況でございますけれども、先ほど私がスライドでもお見せいた しましたように、1年間を見てみますと決して4〜6月に集中しておりませんので、9〜 12月もかなり高い範囲で接種されておりますが、厚生労働省の指針としては4〜6月の間 に集中的に接種を行っていただきたいということで皆さんにお願いしているわけですので、 是非メーカー側も御努力をしていただきたいと考えております。  せっかくですから、畑委員から何か御意見がございましたらいただけますか。 ○畑委員 ずっと聞かせていただいて、現状は「勧奨」という言葉になっているわけです が、韓国とか外国の方ではもっと強い、先ほどカナダでの修学旅行生の受入れの状況など がありました。現状では勧奨という形でやるしかないのだと思いますけれども、いろいろ な施策の中では実質、強制的な状況になるような、それぐらいの意気込みでやるべきだと 考えております。  はしかというのは、多少は出てもそんなに大した問題ではないという世間の認識という ものがまだあると思うんですね。そこを非常に深刻な病気も起こし得るもので、日本だけ 遅れている状況であるということをもっともっと啓蒙を続けて、積極的に強制的な状況に 落とし込めるようになることを期待しております。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  先ほど自治体の西口委員から御質問がございましたが、あれでよろしゅうございますか。 ○西口委員 1点、「設置することが望ましい」と書いてあるんですけれども、本当に今年 度というか、ここ1年ぐらいの間で確実に設置すべきだと考えると少しフォームが緩いの で、多分自治体に配慮してもらって「設置することが望ましい」と書いてあるんでしょう けれども、その部分はいかがでしょうか。 ○三宅課長補佐 勿論、私どもの心意気としては是非とも設置していただきたいと思って いるんですが、ただ、地方自治をどんどん進めると、我々がやれと言うのではなくて主体 的にしていただくと、そのときに何を我々が支援できるかというのが今の日本の進むべき 方向だと思いますので、このような書き方にさせていただいておりますが、そのように言っ ていただけると非常にありがたいです。是非ともよろしくお願いいたします。 ○西口委員 2012年までに排除しようと思うと、情報公開とか情報提供とか、各自治体単 位で現在の進捗状況はどうかということをかなり正確に把握しながら進めていかないと、 キャッチフレーズは出すけれども、現実2012年には余り進んでいないということもあり得 るわけですから、やはりこれは世界に対する約束ですから、我々、全国衛生部長会の方で もしっかりやりたいと、そういう話を今度の部長会議でもさせていただきたいと思います。 ○加藤座長 先ほどのところで、私は対策会議を設置することを強く検討していただきた いという表現にとどめさせていただきましたのは、まさに今、課長補佐が御説明したとお りのところでございまして、是非、積極的に地方自治体で働き掛けをして、お互いに設置 していただくということで御了解いただきたいと考えます。よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日の委員で保護者の代表といたしまして、沖縄出身の歌手であられます Kiroroのお二人が参加されてございます。現在は子育て中と聞いておりますけれども、今 後委員としてどのようなお考えをお持ちでございましょうか、お時間はゆっくりございま すので、お二人に十分お話しいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。 ○金城委員 初めてはしかという名前を聞いたときは、本当に予防接種の一つとしてすぐ 治る病気だろうという認識しかありませんでした。赤ちゃんを産んで1歳になるまでに予 防接種の数はたくさんあって、親も勉強しながらいろいろなものを読んだりするのですが、 本当に納得して、これをやらなければいけないんだという気持ちが高まるところまでは実 際に自分もなくて。勿論娘ははしかの予防接種はやりましたけれども、いろいろ予防接種 がある中で娘の体調が悪くて受けられなかったり、自分の都合が合わなくて受けられな かったり、すごく危機感が薄いがゆえに大丈夫だろうというような甘さが、今ははしかの ことがわかるにしたがって、すごく怖いことだったんだなというのが正直なところです。  親が子どもを思う気持ちはみんな一緒だと思うし、予防接種の大切さとか、はしかが本 当に恐ろしい病気なんだというのをお母さんたちがわかると、もっともっと自主的に心が 向いていくんじゃないかなって思っています。  私が思ったのは、子育てが始まるとすごくドタバタで毎日が過ぎていくんですが、出産 をして大体1週間ぐらい病院に入院させてもらうんですけれども、その間にミルクのつく り方や赤ちゃんの育て方とかいろいろな指導を受けます。その中で予防接種の指導も併せ て、これは絶対に子どもは受けなくちゃいけないんだよと、それは親の役目だからねとい うことを、親も子どもを育てる意欲に沸いているときなので、そういうときにいろいろ教 えていただけると、こういう予防接種があってこういうことなんだなってわかりながら、 はしかの予防接種は1歳までにやらなければいけないとか、本当にわかりやすく親も落ち 着きながら受けられるようになるじゃないかなと思いました。 ○玉城委員 いろいろな資料を見せていただいて、私も2006年に1人目を出産したんです けれども、運よくといいますか、日本では2006年から2回接種が始まっていて、それまで は本当に世界に遅れていたということも知らず、そして、はしか自体が命にかかわること なんだと、あと、特効薬もない、そして、後遺症も残る怖い病気だということも知らなかっ たんですね。なので、2006年から普通に1歳になればはしかの予防接種を受ける、そして、 小学校1年生のときに2回目を受けるんですよという話は聞くんですけれども、これが日 本で当たり前じゃなかったんだということを聞いて、今その怖さを知っているところです。  だから、今子どもを産んでいる保護者もそういう怖さをわからないで、普通の予防接種 と同じようにはしかの予防接種も受けていて、軽く考えていて、保護者の責任としてはし かの予防接種を忘れている人もいると思うんです。私たちができることは、その怖さをわ かりやすく伝えていかなければいけないなということと、保護者として市町村がやってい らっしゃることも本やいろいろ資料を見てわかったんですが、正直言ってそこまで重要と いうか、そこまで怖いものだということが伝わらなかった部分があったんですね。それは 本当に怖いなと思います。だから、なるべく国も市町村の方々も、はしかの怖さというも のを是非いっぱいいっぱい伝えていただいて、私たちも母親として、保護者としてわかり やすく伝えていければいいなと思っています。  世界では本当に鬼気迫って皆さん予防接種しているのに、日本ではちょっと遅れている ということがショックだったんですけれども、やはり安全に子どもを育てていきたいので、 是非その辺は私たちも広げていきたいと思いました。 ○加藤座長 どうも力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。Kiroroの お二人には、麻しん対策の普及啓発、まさに普及啓発にはお二人は大変貴重な方でござい ますので、是非お力になっていただきたいと存じますので、今後ともよろしくお願いいた します。みんなで頑張って日本の国からはしかを排除していきたいと考えております。  何か言い忘れた、もっと言いたいという方はいらっしゃいますか。 ○岡部委員 はしかの方が出ると、周辺の方の調査であるとか、あるいは、まだうつる可 能性が残っている方へ接種を勧めるといったようなことをどうしてもやらざるを得なくな ると思うんですね。対策がとれない、あるいは修学旅行に行って発生しないようにあらか じめチェックしておくといったようなことがあるんですけれども、今はたくさんあるはし かですが、もうちょっと数が少なくなってくると、たった1人出たがために周りが大変迷 惑をするというような考え方が余り強くなり過ぎてしまうと、そこでせっかく仲よしだっ た友達が「あいつのせいで」とか、そういったようなことになりかねない風潮もあるので、 この辺は十分慎重にやらなくてはいけないと思います。  はしか対策の前書きのようなところにも書いたんですけれども、それはその子が悪いの ではなくて、周りできちんとしてあげなかった大人が悪いのでしょうし、あるいははしか の対策は個人個人の力が非常に重要になりますけれども、やはり社会でやるといった意味 で、もし一人一人が出たときに、特に学校がそういうことが起きやすいのではないかと思 うんですけれども、この辺も是非いろいろな方の御理解をいただいて、その人が余りいじ めに遭ったり、そういうことがないような工夫をしてあげたいなと思います。そういうこ とにならないように集団生活に入る前にきちんとこの病気を防ぐ。先ほど畑委員からも強 制に近いというような言葉がありましたけれども、強制というのはななかか難しい問題が あるだろうと思います。でも、それは一人一人が助かるし、先ほども申し上げましたよう に、幼稚園とか学校とかそういう集団がえらい思いをしないで済むということですので、 一番大切なのは事前の対策ということではないかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。  本日は第1回の麻しん対策推進会議の開催をいたしましたが、本会議を中心にとらえて、 今後の麻しん対策の進め方など貴重な御議論をいただきまして、ありがとうございました。 皆様には麻しんの対策が日本におきましても、世界におきましても重要な課題であること が認識されたことと存じます。今回議論いただきました内容につきましては、事務局で取 りまとめていただきまして、今後の対策に生かしていきたいと存じます。  最後に、三宅結核感染症課長から一言お願いいたします。 ○三宅結核感染症課長 本日は、大変実りの多い御議論をいただきまして、誠にありがと うございました。参考資料5に、これまでの麻しんの報告状況と、一番最後に2008年の全 数把握のデータが出ております。今年に入ってこの4週間の間に既に660名の方が麻しん にかかっているという状況がまだございます。5年後に是非ほとんど麻しんは見られなく なったという結果につなげられるように、我々も取り組んでいきたいと思いますし、是非 とも皆様方の御協力をいただければと思います。  本日はどうもありがとうございました。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。これをもちまして終了とさせていただきま すが、最後に事務局からございましたら、よろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 次回の開催についてでございますが、平成20年度の市町村の実施状況に ついて、各都道府県の取りまとめができるのが平成21年6月ごろではないかと考えており ます。本会議につきましては、平成21年7月ごろを予定させていただきたいと考えており ます。正式な日程が決まりましたら、皆様にお知らせいたしたいと思います。  また、市町村には平成20年度上半期の取りまとめをお願いしようと考えておりますが、 その取りまとめの状況につきましては、座長と御相談させていただき、皆様に御報告させ ていただきたいと考えております。  本日は、長時間にわたり御議論いただき、誠にありがとうございました。これをもちま して終了させていただきます。