08/02/08 第5回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録 第5回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録 1.日 時:平成20年2月8日(金) 14:00〜16:00 2.場 所:厚生労働省共用第8会議室 3.出席者:   <五十音順>   飯野靖彦委員、飯森眞喜雄委員、石名田洋一委員、大井利夫委員、長村義之委員、   落合和徳委員、北村聖委員、木下靱彦委員、木原和徳委員、菅野健太郎委員、   高橋姿委員、中田正委員、藤原研司委員、松岡健委員、柳澤正義委員、   横田順一朗委員、吉田謙一委員   事務局    人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長、保健統計室長    人口動態・保健統計課長補佐 4.議 題  (1)WHO−FICトリエステ会議の報告について  (2)ICD−11への改訂に係るWHOに対する意見提出について  (3)その他 5.議事内容 ○藤原座長  予定の時刻となりましたので、ただいまより第5回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び 死因分類専門委員会を開催いたします。  先生方におかれましては、ご多忙のところをご出席賜りまして、誠にありがとうございます。  まず、議事に入る前に事務的な確認等を事務局、よろしくお願いします。 ○事務局  それでは、まず、お手元の資料の確認をお願いいたします。本日の資料は議事次第、資料1〜 3、参考資料1〜4になっております。  委員の先生方の机の上には、それとはもう一つ別の資料をご準備させていただいております。 全体の枠組み以外の意見といったものが表紙に出ている2部構成となっておりまして、9月末ま でにいただきました全体の枠組みに関するご意見、そして、今般12月末までに学会からいただ きましたご意見をそのまま参考として配付させていただいております。  以上、本日の資料でございます。この時点で、お手元の資料につきまして過不足がございまし たら、事務局までお申しつけいただければと思います。  なお、本日は五十嵐委員、岩下委員、大江委員、黒岩委員、相楽委員、田中委員、土屋委員、 林委員、増田委員、渡辺委員の以上10名の委員よりご欠席のご連絡をいただいております。  以上でございます。 ○藤原座長  ありがとうございました。  それでは、議事の1.WHO−FICトリエステ会議の報告について、まず昨年10月28日〜 11月3日に行われたWHO−FIC年次会議について、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  「WHO−FICトリエステ会議について」事務局より説明いたします。  まず、お手元の資料1でございますが、別紙をご覧いただきますと「WHO−FIC組織図」 といたしまして、WHO−FICはさまざまな委員会及びグループ等から成り立っておりまして、 それぞれの委員会に基づいてさまざまな委員会に分かれて議論をしているのが分かります。まず、 資料1で全体の議論につきまして説明をいたしまして、その後で特に今回のトピックであります 分類改正改訂委員会(URC)と改訂運営会議(RSG)、その下の分野別専門部会(TAG) について特出しして説明したいと思います。それらにつきましては、WHOでエグゼクティブサ マリーとパワーポイントを使ったスライドがございます。改訂の動向も昨年大体の工程が示され ました後修正や追加もございますので、WHOのオリジナルの書類に従いまして後ほど説明をい たしたいと思います。  資料1ですが、「主な議題について」ということでRSG等からの改訂・改正に関する進捗状 況報告です。RSGの議長でありますシュートさんから方向性及び最終イメージについて提示が ございました。  TAGのチェアより改訂現状ということで、精神、稀な疾患、外因、内科、腫瘍、その他のT AGということで報告がございまして、内科につきましては担当範囲の検討とワーキンググルー プ(WG)の準備という状況になっております。  その他ICFにつきましては、小児青少年版でありますICF−CYが完成いたしまして、ベ ニス会議で報告されたということです。  各種委員会の報告ですが、まず、企画実行委員会で「planning committee」から「council (仮称)」と名称が変更になり、それぞれの出席委員の資格等も明文化されました。今後、企画 実行委員会を「council(仮称)」という枠組みに変更しまして、引き続き、企画立案の議論を行っ ていくということと、チェアが2名選出されたという状況になっております。  年次総会の組織も「annual meeting」から「assembly(仮称)」と変更しまして、協力センター からの代表、WHOと公式な関係を有するNGOからの代表、あと、WHO本部が参加を認めた WHO加盟国からの代表ということで、参加資格等を明文化して、組織的に「assembly(仮称)」 という形で続行して開いていくということが決められました。  普及委員会でございますが、アジア・パシフィック地域でのICDの普及等につきまして議論 がされました。  分類改正改訂委員会(URC)では125議題が提出され、そのうち89提案が受入れになりま した。URCのメンバーは各国の代表として11名と、後ほど説明します死因分類改正グループ (MRG)と疾病分類グループ(MbRG)の議長とWHO本部から1名ということで、14名で構 成されております。  教育委員会ですが、死因コーディング認定プログラムの作成や疾病コーディング認定プログラ ム作業の開発ということで、コーダーの認定化ということにつきまして議論がなされております。  電子媒体委員会ですが、ICDのメンテナンスツールの改訂作業やICD−11の改訂作業 ツールの開発ということで、今後ICDの改正・改訂をWeb上で行っていく方向が示されてお りますが、そういった電子媒体ツールの開発について話し合われたという状況になっております。  国際分類ファミリー拡張委員会(FDC)でございますが、看護の国際分類(ICNP)と、 伝統医学(ICTM)の国際分類ファミリーへの加入ということで、ファミリーに加入する二つ の分類の是非について検討がされております。  死因分類改正グループ(MRG)ですが、死因統計の視点からの議論ということで今回は50 議題が議論されまして、15議題が合意、5議題が要点合意で、若干の修正の後、URCへ提出 されました。あと、組織的な枠組みでございますが、URCだけではなくてRSGへも参加する ということが決まっております。  疾病分類グループ(MbRG)ですが、疾病分類について12提案をURCに提出しまして、 その他共同議長の交代等が話し合われました。  ターミノロジーグループ(TRG)ですが、WHO−FICとIHTSDOの連携ということ で、これはターミノロジーに関する国際的な非営利の合同体でありますけれども、それにつきま して今後ICDとターミノロジーとのリンク、マッピングということについて話し合われました。  生活機能分類グループ(FDRG)ですが、ICDと同様に改正のサイクルによって提案、改 正、修正等のサイクルに基づいて、差し当たりは改正のみを行うことになっておりますが、その 他ICDと同様にオントロジーやターミノロジーの作成も検討されております。  また、URCとMRGとMbRGの合同会議ということで、三つの会議が連携して話し合って いくという方向性が決まっております。  以上が、会議全体の各グループの主な議題と決定事項でございます。  次に、資料2「ICDの改訂に関する動向について」説明いたします。これまでさまざまな会 議で、電話会議やWeb上での会議も含めまして議論がされておりますが、対面での決定が必要 な事項や関係者間の情報交換や交流等の理由で、年1回の年次総会が行われております。今後の 予定としましては2月28日〜3月1日にMbRGの会議が予定されております。  次に、WHOで示しております改正・改訂の方向性ですが、参考資料1をご覧いただきますと、 エグゼクティブサマリー、会議要旨という形でWHOの事務局で今回の会議のまとめております ので、その部分から特に改訂のところを抜粋したものが「参考資料1(抜粋)(仮訳)」という資 料でございます。  ICDの改訂としまして、従来から言われているような医療分野の近年の進展を取り入れたり 国際的な比較可能性のある分類を作ったりという他にITの活用ということを挙げております。  RSGが改訂プロセスにおける管理機構、すなわち計画・舵取りを担当するものとして設立さ れまして、TAGと複数のWGによって仕事がなされるということが書かれております。  ICD−11への改訂は次の3段階で進むということで、特に(3)標準化された保健医療用語 集との有用なリンクを作成するということで、コミュニケーション、標準化された情報処理や研 究を促進するが、従来の形式でICDを死因、疾病報告に使用することは、これからも維持され るということで、(1)と(2)の段階でこれまでの統計分類としての役割は引き続き担うものの、 今回は用語とのリンクや電子化ということまで述べられております。  また、コンピュータサイエンスの進化は、疾患相互の意味関連付けを可能にする一連のツール をオントロジーによって与える、即ちICDにおける明確な知識表現が可能になり、上述のさま ざまなシステムとのリンクも可能になり、また、電子医療情報システムにおける使い勝手を向上 させることができるとありまして、IT化の一環として用語の意味関連付けも含めました電子医 療情報システムへの汎用性の向上も含めた用途を想定しております。  次に、改訂プロセスはストラクチャード・オープン・データベース・プラットフォームなど、 寄せられた示唆、議論やエビデンスなどを整理・統合するためのWeb上のツールを利用して行 うことになるとありまして、後ほどパワーポイント資料でも説明いたしますけれども、今後の改 訂・改正作業はこのようなインターネット上のツールを使用して協力を行っていくという方針が 示されております。  このインターネット上での知識管理・共有プロセスは、新分類の作成とその検討においてさま ざまな関係者の幅広い参加を可能にするものであるとございます。  「異なったTAGが」というところでございますが、現状は五つのTAGがございますが、そ れぞれのTAGについて進捗状況が示されております。  まず、精神のTAGですが、DSMIVと整合性をとるという方針が示されて、WHOの精神保 健・薬物乱用部門などとも連携をしながら進めるという方針が示されております。  稀な疾患ですが、これはフランスのオーファネットやあるいは稀な疾患のための欧州タスク フォースで組織されまして、欧州委員会とフランス政府の資金提供を受けていますが、米国の国 立衛生研究所(NIH)との協力により、更なる資金とノウハウ・情報等が投入される予定です。 稀な疾患につきまして戦略的な意義もあるようで、フランス、米国等が資金提供などを行ってお り、既に稀な疾患の7,000の表現型を収集しております。  損傷及び外因に関するTAGですが、これは外因に対する国際分類(ICECI)等と整合性 をとりながら進めるという方針が示されております。  次に、内科のTAGでございますが、血液、代謝・内分泌、呼吸器、循環器、消化器の疾患や 腎臓病学、膠原病学について担当する予定である。消化器病と腎臓病の作業班は開始の準備が出 来ている。この部会は内科学の他の分野についても担当する専門家を募れないか、その可能性に ついて探っているということで、内科のTAGにつきましては組織的な結成状況、担当範囲の検 討とWGの準備について述べられております。  新生物のTAGですが、国際癌研究機構(IARC)と連携が述べられておりまして、国際疾 病分類腫瘍学(ICD−O)やTMN分類等との整合性をとるという方針が示されておりまして、 次の段落でまだ担当のない医学分野のTAGの議長や専門家を探っているということで、他TA Gについても検討中であるということでございます。  WHOはRSGの会議開催とインターネット上の改訂プラットフォーム開発のための初期費 用を確保したということで、今後このプラットフォームを中心として改正・改訂の作業が進むと いう方針が述べられております。  これまでのICDの疾病、死因を含めた統計から更に踏み込んでターミノロジーやオントロ ジーの関連も考えているという方針が示されておりまして、「WHO−FICのメンバーはIC D及びすべてのWHO分類と用語の対応付けにはメリットが多いと考えている。彼らが、これが 改訂の主な目的のうちの一つであるとWHOは考えていることを理解している。WHOの意図は、 ICDの中心となる構造や概念をターミノロジー、オントロジーのツールを使って特定し、その 概念や構造をSNOMED−CTその他のターミノロジーを使って明確な形を与えることであ る」という記述がございまして、臨床インターフェイスや意思決定支援システムなどにも発展の 可能性を示唆しております。  また、「彼らはICDの異なる用途のためにインターフェイスを変えることは、この知識デー タベースの集成ルールの組み替えによって達成できることを理解している」ということでござい まして、オントロジーに基づき、例えば臓器や原因等によって分けた分類の見せ方の一つとして ICDがとらえられるのではないかということや、先ほどの3段階にあたる、即ちこれまでの統 計用の分類から更に踏み込んでオントロジーやターミノロジーにも汎用性を高めるという段階 でございますけれども、「プロセスの第1、第2段階にはICD−10+の作成とICD−11 の草案作成と実地試験が含まれる。既に始まっているTAGとWHO−FICの広範な作業は、 この最初の二つの段階を担当することが期待されている。分類の統計目的に資するこれらの改善 は、改訂作業の必要最低限の成果だとネットワークメンバーは考えている。ネットワークメン バーは技術的なプラットフォームに加えて、改訂の第3段階を請け負うのに必要な膨大な知的作 業に対する深刻な資金不足を指摘している。彼らはこれを改訂プロセスのすべての段階に完遂す ることに対する重大なリスクであるとみなし、徹底したリスク分析が必要であると感じている。 それゆえに、第1、第2段階の結果は定期的にICD−10の改正プロセスで利用可能になるべ きだとネットワークメンバーは提案している。第1、第2段階で開発された題材の構造と内容は、 ICD−10のままの構造に追加されるのに合っているかどうかによって、もし適切であれば、 ICD−10を改正し、充実させるのに使用されるべきである。」とございまして、第3段階ま でを現在のリソースで確実に行うために、従来は改訂として扱っていた高度の修正事項等も、改 正に前倒しして大改正、小改正に入れ込んでおくことで、オントロジーやターミノロジーとの整 合性をとるという第3段階も確実に完遂したいという意向が示されておりますので、今後、提出 する意見はWHOの方で改訂・改正の適当なところに判断をして組み込まれていくという方針が 示されております。  以上が、エグゼクティブサマリーによるWHO側のICD改訂の方針でございます。  次に、参考資料2としまして、WHOのウースタンさんという今回の改正・改訂の実務的な責 任者がそのプロセスについてパワーポイントのスライドを使って説明した資料の英語版と仮訳 を示したものがございまして、仮訳の日本語で説明いたします。「ICD改訂プロセス:ICD −11のインフラ構築 医療情報を作り上げる基本要素」という資料です。  初めにICD改訂としまして、これまで平均10年に一度の改訂を行ってきましたけれども、 今回徐々に改訂項目も増えまして14,473、これは詳細分類項目も含めまして多項目にわたって いるというのが1枚目のスライドでございます。  「改訂の背景」でございますが、今回の改訂ではさまざまな利用者を想定した汎用性の高いも のをつくりたいという方針が示されておりまして、医療情報システムにおける有用性や電子カル テ、その他についても示されています。  「ICD改訂プロセス開始」ですが、東京でプレスリリース等が行われたということが書かれ ております。  「ICD改訂:キーメッセージ」としまして、HIS(Health Information System)という ことで、一人の個人や一つの集団の力では情報を収集し総括することはできないということで、 Webのプラットフォーム等を利用しまして、幅広い関係者からの知識を吸収するという方針も 打ち出されております。そのようなWebツールの用途でありますとか、全世界のユーザーから のフィードバックの増大、分類を構築するためのデジタルツールの使用について言及されており ます。  次に、具体的なWebツールでございますが、ICD−10+、ICD−11草案、ICDター ミノロジーと3段階に分かれておりまして、αバージョンが出るまではICD−10+というア プリケーションを利用しまして、ユーザーの認証システムによって専門家のアクセス権限を掛け た上で、ユーザーからのフィードバック等を集約していくというアプリケーションになっており ますが、αバージョンが出た後は、次のカラムのICD−11草案Hi−Kiというツールに変わ りまして、今後ICD−11のTAG専門家でありますとか編集者が分類法ルールや定義、診断 基準等についてコメントや議論、エビデンスを提出するというアプリケーションになっておりま して、最後の第3段階のICDターミノロジーということですが、Protege/OWLといったオント ロジーの整合性を担保するようなツールを使いまして、第3段階としましてICDとSNOME Dとのリンクや他のオントロジー、ターミノロジーのリンク、臨床インターフェイス、アルゴリ ズム等を実現するという方針が示されておりまして、ICD改訂はターミノロジーとの関連を無 視できないということと、分類とターミノロジーの共同利用がかぎであるということと、それら の統合には共通のオントロジーモデルの使用が重要ということで、遺伝学オントロジーや分子生 物学や臨床情報システムということで、例えば、疾患のかかりやすさなどの遺伝学オントロジー、 その他につきましても示唆をしております。  次に「オントロジーとは?」ということで、一般的には哲学の領域の言葉で、存在論等の意味 もある用語ですが、ここではコンピュータサイエンスの一環としまして、ある領域の概念化の明 示的な仕様、実態と質(プロパティと属性)ということでございますが、用語に意味を与えて定 義をして、それに関連付けのようなものということで、下に具体的な属性の例がございますが、 is_a関係ということで、含む、含まれる関係ですとか、その原因、caused byでありますとか、 部位でありますとか、そういったさまざまな属性を用語に付加をして、用語同士の関連性をこれ らのコンピュータサイエンスの概念に基づいた厳密な定義付けによって実現するようなという 方針が示されております。  「ICD分類F32.0『軽症うつ病エビソード』にSNOMEDを使った場合」ということで、 うつ病に付属するさまざまな属性でございますが、抑うつ気分や興味喪失、エネルギー低下等に つきまして、それらの属性にコード番号等も与えまして、下の図でオントロジーツールでの互い の関連性を図式化したものが掲載されております。  次に「知識の表現」ということで、分類を厳密にするために用語を定義しないといけないとい うことで、血圧や咳嗽につきまして原因や定義、また予後、治療法、診断等について図式化され たものがオントロジーの一環として示されております。  次に「医療情報粒度」ということで、ターミノロジーが一番細かい個々の病名を含んだもので ございますが、このICDが12,000〜14,000という粒度の分類でございまして、ケースミック スあるいはケアミックスは、それぞれの疾病をグループ化した診断群というような単位で、一番 粒度の粗いものになっております。  「暫定スケジュール」でございますが、α版は当初2009年と言われておりましたが、1年後 倒しになって2010年になっておりまして、2011年にはβ版及びフィールドテスト版が出ること になっておりまして、2013年には一般レビュー用の最終版を出すというスケジュールになって います。2014年の世界保健機関による承認、2015年の導入ということについては、一応ここは 従来から変わっておらず、2015年導入予定というのが現在のWHO側の暫定スケジュールでご ざいます。  以上、トリエステ会議と改訂・改正の部分を特出しして説明いたしました。 ○藤原座長  ありがとうございました。ただいまのご説明につきましてご質問をお受けしたいと思いますが、 いかがでしょうか。  これは資金的には改訂のプラットフォームの初期費用は確保しているけれども、第3段階はか なり不足するらしいということですね。  その中で、かなりこれは手順も複雑ではありますが。  国際分類ファミリー拡張委員会の中で、伝統医学についても加入するようにという話をさっき されましたが、伝統医学はいわゆる東洋医学、漢方的なものを全部包括しているのですか。 ○事務局  伝統医学でICTMというものをつくりまして、現在、WPRO(WHO西大西洋地域事務局) では分類としては認められたところでございますが、ICDとの関連をつけるというところにつ きましてはFDCで話し合われておりまして、まだリンク付けには至っておりませんけれども、 今後、審議を続けていくというのが現在の進捗状況であると聞いております。 ○長村委員  ターミノロジーのところでSNOMEDとの突き合わせが第3段階であるのですが、これは具 体的にはWHOのどういう作業部会で進められていくかということと、ターミノロジーに関して、 国内で各学会から意見が出ておりますが、それは国際的にはどういうふうに反映されて、最終的 にインテグレイトされていくような構図というのはできているのでしょうか。 ○事務局  ターミノロジーにつきましては、資料1の別紙の組織図をご覧いただきますと、TRGとWH Oターミノロジーネットワークというもので審議されることになっておりますが、エグゼクティ ブサマリーで見る限りは、最終的にはSNOMED−CT等のターミノロジーとのリンク付けを して、更にはオントロジーもそれに合わせて付加されるということになっております。これはデ ンマークに本拠を置く現在のところ9か国から成る非営利の連合と対外的に説明されておりま すIHTSDOという団体がWHO−FICとリンクを持たせて、最終的に第3段階まで完遂す ることを目指して作業を進めていると説明を受けておりますので、第3段階まで行けば、例えば SNOMED−CTとICDとの網羅的なマッピング等がなされると理解しております。 ○長村委員  国内の各学会からの意見では、かなりターミノロジーに関するものが多いように拝見するので すが、それがWHOには具体的に、どういうスピードで反映されていくのかというのはいかがで しょうか。 ○事務局  意思決定はTRGというところで行われ、日本からも1名ほど参加しておりますけれども、そ ういった会議の場がございますので、そういうところに加わって今後、例えば、基本的にもとも とSNOMED−CT自体がアメリカやイギリスで作成されたものでございますので、どうして も今もアメリカやイギリスやオーストラリア、ニュージーランド等が中心となっておりますので、 言語圏のバランスということも言っておりますので、そのプロセスへの参加も検討しております。 ○藤原座長  ほかにどなたか。 ○横田委員  今ターミノロジーのことが出て、SNOMED−CTのことが出ましたが、我々の今までの検 討の中で、まず構造については、たくさんの属性因子を並列できる方がいいのではないかという ことになると、一つはここに出てくるオントロジーという言葉がキーワードとなりますが、それ がよくわからないというのがありました。  もう一つは、ターミノロジーの話で、一つの定義の核になっているのがSNOMED−CTだ とすると、SNOMED−CTは我々日本にはパブリックされていない、臨床家にとっては余り なじみがないということで、本当にその方へリンクしていくのであれば、日本がSNOMED− CTを自由に使えるというようなことを早くやらないと、我々は情報不足になってしまいます。 SNOMED−CTはイギリスからアメリカが版権みたいなものを買ってやっているような印 象を持っているのですけれども、今のWHOがそれを使うと言っている背景を含めて、情報があ れば教えていただきたいなと思います。 ○事務局  ICD室としまして、引き続き情報収集に努めるとともに、内部関係部局とも連携し、適切な 対応につなげていきたいと思っております。 ○横田委員  もうちょっと踏み込んでよろしいですか。あれは正直言いまして、私どもが自由に使えるとい う段階にはないと解釈していいですよね。WHOはそれを恐らくグループの領域の中で自由に、 コンピュータのマスターにして使うという自由度が向こうにはあるけれども、私どもには今の段 階で使用することは難しいですよね。 ○事務局  ICDの用途という観点から申し上げますと、WHOの方ではこれまでの国際疾病統計に供す る目的は引き続き連続するけれども、オプションのサービスとしてこういったものも付け加える とともに、各国でまた使い勝手等も含めてプラスαで使うかどうかということも検討していくと いうことですので、ひとまずは国際統計分類としてこれまでの国際比較統計でありますとか、年 次統計ができるという最低限の基本機能が満たされた上で、SNOMED−CT等のターミノロ ジーについて、勧告をどうするのかということも引き続き情報収集していきたいと思っています。  今のSNOMEDの関係で、トリエステ会議においてRSGのシュート議長が説明されたペー パーによりますと、SNOMED−CTとのリンクは一応考えているということはあるのですけ れども、ただ現段階でSNOMED−CT側との行うかの合意とか知的財産所有権があるかとい うと、全く今のところはありません。今後どうなっていくかということはわかりませんが、現在 のところはそういった方向を考えたいということをシュート議長が言っているという状況だと 思います。 ○藤原座長  ほかにいかがですか。よろしいですか。  ご質問がないようなので、議事の2.ICD−11への改訂に係るWHOに対する意見提出に ついて。事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  それでは、説明いたします。資料3「ICD−11への改訂に係るWHOに対する意見提出に ついて」をお開きください。  これまで意見の募集をしておりまして、現在までに様式では127、ペーパーで3ついただいて おります。それらについて、かいつまんでご紹介させていただきたいと思います。全部読んでい る時間はとてもございませんので、なるべく時間内に概要のみお伝えしたいと思いますので、不 足な点がありましたら補足いただければと存じます。  まず「1.学会に寄せられた主な意見」として(1)ICD−11改訂に係る組織体制について、 整形外科学会からTAGで検討される場がまだ明確でないので、それを明確にしてほしいという 意見をいただいております。  (2)ICD−11への改訂ビジョンについて、産婦人科学会から意見をいただいております。 周産期では病因が特定できないものが多いので、特有の病態コードが欲しいというご意見でござ います。 もう一つ、独立して分類すべき疾病として、そこに記載されているような疾病を挙げ ておられます。  (3)ICDの構造についてでございます。日本癌治療学会から意見をいただいております。乳 がんについて部位ではなく、病期、組織型を入れる方が重要ではないかという意見でございます。 また、上皮内がんを各臓器のがんの中に分類として組み込むべきという意見でございます。また、 多臓器にわたる疾患等につきまして、共通して4桁分類に到達できるシステムあるいは多種コー ド番号の共通化、キーワード入力による検索システムなど、効率性・利便性の向上をもっと図る べきだという意見をいただいております。  日本産婦人科学会でございます。O分類の中で妊娠に関連しない偶発合併症が含まれています ので、それを削除してほしいという意見でございます。妊娠高血圧症について意見をいただいて おります。今、国際分類がございますので、妊娠高血圧症候群につきまして国際分類との整合性 を図ってほしいという意見でございます。また、双胎妊娠の分類について、超音波診断の発達が ございましたので、それに合わせるような形で分類を改訂してほしいと。また、更年期障害に関 する意見をいただいております。更年期障害について項目の一つとして挙げることが理想であり、 そのような章立てをしてはどうかという意見をいただいております。また、産婦人科系の腫瘍に ついての意見をいただいております。産婦人科腫瘍の分類につきましては、部位で分類している ものが多いわけですが、発生母地や病理所見で分類した方がいいのではないかという意見をいた だいております。  日本法医学会からでございます。XX章の自殺、他殺その他及び負傷というところに関しては、 窒息だけではなく転落、溺水、煙・火焔等についてもっと詳細な部類が必要という意見をいただ いております。また、疾病や損傷について、結果と原因を分けて分類を同時に行えるような仕組 みが必要ではないかという意見をいただいております。  日本救急医学会から意見をいただいております。胸部のコードと外傷について重症度を加味し たコード体系が必要。また、AIS2005などの国際的に認められたような外傷の分類を考慮した体 系が必要ではないかという意見をいただいております。足首、手首、手などの分類につきまして、 もっと詳細な分類が必要というご意見をいただいております。また、多発外傷につきまして、例 えば身体区分をコード化する、あるいは重症度についての情報を追加していくようなコードの仕 方が必要ではないかという意見をいただいております。  日本消化器病学会から意見をいただいております。食道の疾病に関する分類につきまして問題 があるので、整理が必要という意見をいただいております。また、潰瘍について原因に関する分 類があるので、もっとそれを考慮してほしい。更に、胃炎の分類につきましても、分類の軸が不 明確なので、それを整理してほしいという意見をいただいております。ウイルス性肝炎に関して 合併症を追加してほしいという意見をいただいております。胆嚢炎について、有石胆嚢炎、無石 胆嚢炎という概念を分類に入れるべきという意見をいただいております。肝硬変の分類として重 要な肝炎ウイルスは、今、感染症の中に分類されているわけですが、ウイルス性肝炎の分類を消 化器系の疾患のところに移すべきという意見をいただいております。更に、消化器系の分類にあ ります慢性肝炎につきまして、原因による分類に変更すべきという意見をいただいております。 また、肝炎ウイルスによる肝硬変はコードがないのでK74に分類を追加してはどうかという意見 をいただいております。  日本口腔科学会です。う蝕や歯周病の分類について整理をしてほしい。特に、歯周病につきま しては世界的に認められている分類があるので、それと整合性をとるべきだという意見をいただ いております。WHOの最新腫瘍組織分類の中で、口腔科系の腫瘍につきましても、その分類の 考え方を取り入れるべきだという意見をいただいております。また、口内炎につきましては原因 別の分類をするべきだという意見をいただいております。  (4)現状の問題点について、日本癌治療学会から意見をいただいております。発生部位ではな く、病期、組織型の項目を入れるべきという意見をいただいております。また、ICD−Oとい うWHOの主要な分類がございますが、これとの考え方を統一すべきだという意見をいただいて おります。また、Nの章に分類されています子宮頚部の異形成などにつきましては、新生物の分 類に移すべきだという意見をいただいております。C56卵巣の悪性腫瘍の中に境界悪性病変が 含まれていないので、それを考慮すべきだという意見をいただいております。また、このような 分類の仕方について問題点が把握できているかどうか、また、どのような分野で活用したいのか について、もっと考えるべきではないかという意見をいただいております。  次に、日本耳鼻咽喉科学会でございます。P00、P01、P04のコードが使用しにくいとござ いますが、申し訳ありません訂正させてください。この項目は、その下の日本産婦人科学会の意 見でございますので、移動していただくようにお願いいたします。  日本耳鼻咽喉科学会からは、下記の疾患につきまして該当コードがないので追加してほしいと いう意見をいただいております。  続きまして、日本産婦人科学会も、資料に記載してあるような病名コードを追加してほしいと いう意見をいただいております。  次に、日本法医学会でございます。アルファベットのICDの今の体系では組合せが足りない ので、数字の桁数を増やして分類してほしいという意見をいただいております。また同時に、脳 挫傷、脳挫滅、外傷性脳内出血等分類できないものがあるという意見もいただいております。ま た、損傷に関する分類について問題があるということで、それを整理するべきだという意見をい ただいております。同時に、事故や火災、窒息、溺水、これらに関して情報が不足しており、よ り詳細な分類が必要であるというご意見をいただいております。また、入浴中の死亡につきまし て、死亡について明確な根拠がない限り、内因子・外因子不詳としてRコードに分類すべきとい う意見をいただいております。また、中毒に関する分類ですが、その中でも多発併用の中毒例、 または、アルコールの併用等の分類がないということで、そのような分類項目をつくってはどう かという意見をいただいております。  日本救急医学会です。薬物中毒の分類について、もっと整理して分類すべきだという意見をい ただいております。  日本消化器病学会でございます。例えば、ディスペプシアは症状が病名として分類されている という意見がございます。また、消化器における脈管疾患が循環器に入っている。例えば、静脈 瘤が入っているのはおかしいのではないかということで、それは消化器に入れるべき、また、出 血あるいは治療の有無等のわかるようなコードが欲しいという意見がございます。また、炎症性 腸疾患につきまして重症度、消化管の合併症を考慮するような分類が欲しいという意見がござい ます。消化器系の良性腫瘍についての問題点が並べられてございます。良性腫瘍につきましては 情報が不足しているため、もっと詳細にわかるような分類体系が必要という意見が寄せられてお ります。感染性腸炎の起因菌に関する分類についての意見で、最近重要になっているような腸炎 につきましては、起因菌を独立させて分類するべきだという意見がございます。また、機能性腸 管障害と非特異的機能性腸管障害という項目で分類をするべきだという意見がございます。K35 とございますが、これは急性虫垂炎です。汎発性腹膜炎や膿瘍を伴わない急性虫垂炎という疾患 が項目の分類がない。また、壊死や閉塞を伴わない一側性ヘルニアの単独コードがないことが問 題だという意見がございます。  日本口腔科学会でございます。ここでは歯、歯髄炎の分類の整理が必要ということで意見をい ただいております。同時に、Q35〜37、口蓋裂・唇裂につきまして顎裂・粘膜下口蓋裂等がその 中に明記されていない。また、S03.0顎の脱臼についてですが、分類項目を新たに変更する必要 があるという意見をいただいております。  (5)その他でございます。日本診療録管理学会からは、臨床医学の専門分野とはまた別の視点 で意見をいただいておりますので、それについてご紹介させていただきます。別紙1をごらんく ださい。  「ICD−11意見出し」ということで、日本診療録管理学会からいただいております。この 概要について少しだけ説明させていただきます。  まず、ICDの構造の問題ということで、1)コード構造そのものということで、アルファベッ ト、それに続いて2桁の数字のコード体系が限界に来ているのではないかということで、より詳 細な情報につきましては末尾のコード体系を持たせて運用してはどうかということについて書 かれております。具体的には、例えば解剖学的な部位、数、左右等をそれぞれICDに追加して はどうかという意見でございます。このようなことをすることで、分類の粒度の違いにより生じ る問題点について対応できるのではないかという意見でございます。  2)ICDの構造的問題点でございます。ここでは、ICD自体が臨床家の求めるような条件 を満たしていない。臨床家の考え方と乖離があるということについて指摘しております。つまり、 分類とは幅広いものでありまして、広い範囲を分類していくということがあるので、その裏返し として詳細さがないという弱点を指摘しております。つまり、そのような詳細性がないために、 粒度が粗いという問題が各所に起こってくるという指摘でございます。また、そのような分類の 仕方についても一貫性がないため、例えば、多軸分類であるとか複数の意味を持つコードが存在 して、分類する際に迷いや問題が生じているという意見をいただいております。  3)実際のコーディングについての問題点について意見をいただいております。ICDの第1 巻(日本版)で、コーディングの際のルールやガイドラインについて示している本でございます が、これが難解で、日本語化がうまくできていない部分があるということで改善が必要という意 見をいただいております。  4)構造についてのその他の意見でございます。いろいろな問題点はあるわけですが、ただこ こでは従来の統計との一貫性を図るという意味からも、構造は大きく変更することは望ましくな いという意見をいただいております。ただし、臨床現場との感覚の乖離については改善が必要。 例えば、任意の5桁細分類項目を設けることができる章を増やしてはどうかという提案が書かれ てあります。あるいは、アルファベット自体をあきらめて、基本コードを数字の4桁にしてしま うという考え方でございます。例えば、すべてを解剖学的に分類し、その中を感染症、新生物、 奇形などに再分類してはどうかという意見もいただいております。  「2.桁構造について」意見をいただいております。4桁目の問題ということで意見をいただ いております。4桁目の定義が一定してなくてあいまいであるという意見をいただいております。 例えば「.9」や「.8」は、場所によって定義があいまいであり、一貫性がないという意見を いただいております。  「3.処置後障害について」とあります。これは診療情報管理士が主に指摘したもので、医師 からは少なかった意見ということで非常に特徴的なものであるという意見をいただいておりま す。術後合併症、処置後合併症の明確な区分が困難であるという意見でございます。ICD−1 0により各章の処置後障害が分類できるようになったわけですが、T章にも処置後合併症がある けですが、それとの使い分けの定義がないという意見でございます。また、術後イレウス等の分 類がありますが、これが手術後どれくらいの期間というのが定義されていないという意見もあり ます。  「4.死因分類と疾病分類について」でございます。いわゆるMortalityとMorbidityについ ては、どのようにコードしていいかということが、内容例示表からは非常につかみにくいという 意見でございます。例えば、両者でコードを変えることもあっていいのではないかということで、 このような意見をいただいております。  「5.粒度について」でございます。さまざまな分類につきまして粒度が粗いと、また、分類 体系の粒度の細かさについてかなりばらつきがあるのだという意見をいただいております。  「6.総論(第1巻)について」、これは先ほどと同じで、第1巻のルールの書き方、ガイド ラインの書き方が非常に理解しがたいという意見でございます。  「7.部位の問題」は、先ほど悪性新生物のところでも取り上げられましたが、部位の整理の 仕方に一貫性がなくて、そもそも何で部位で整理しているのだという意見でございます。また、 例えば、わかりやすくするために同じ部位なら同等のコードを使ってはどうかと。そのような割 り当て方できないかという意見をいただいております。  「8.新たな疾患概念について」でございます。比較的新しく発見されたような病気、合併症 については分類に悩むことが多く、ICD−10は実態にそぐわなくなってきているのではない かという意見でございます。  「9.内容例示について」、具体的な病名をもっと追加してほしいという意見でございます。  「10.索引(第3巻)について」、索引表をデジタル化してほしいという意見でございます。  また、索引には古いあるいは実際に現場とかけ離れているような表現があるという意見もいた だいております。  「11.そのほか」、これは先ほど出ましたが、ICDコードだけでは重症度の度合いがわから ないという意見をいただいております。  「ICD−10利用上の問題点」、「1.アップデートの問題」、改訂の期間をもっと短くして はどうかという意見をいただいております。  「2.利用上の問題」、疾病分類としてのICD、いろいろな病院情報システムの導入により 病名コードブックとしてのニーズが高まっているので、その対応が求められているという意見が あります。そのほかの意見として、そのほかの分類との関係について、例えば、ICFとか歯科 分野の分類でありますICD−DAとの関連、ICPCとの関連性についてもっと進めるべきで はないか、また、整合性についてもっと検討すべきではないかという意見でございます。  次に「提言各論」でございます。「1.章をまたぐ問題」でございます。特に感染症の場合は、 本来臓器ごとの診断や治療手段、重症度、治療法に則した分類であるべきという意見をいただい ております。また、感染症、呼吸器疾患との間で混乱が生じているという意見でございます。例 えば、J項目にあるインフルエンザは全身性と考えて、ウイルス感染症のところに一括した方が いいという意見をいただいております。仮性クループの分類が紛らわしいということで、整理が 必要という意見をいただいております。先ほどありましたが、ウイルス性肝硬変について概念が ないので、それを整理してほしい、分類項目を追加してほしいという意見でございます。これも 先ほど出ましたが、食道静脈瘤を循環器の分類にするのか、消化器の分類にするのか議論すべき だという意見でございます。甲状腺種はE章に分類されておりますが、D章の甲状腺の良性腫瘍 との違いは何か、もっと整理した方がいいじゃないかという意見でございます。リン脂質抗体症 候群は、どこに分類されるのかという意見でございます。  「2.各章別の問題」でございます。「I.感染症」、結核につきましてPCRで診断されたも のにつきましてコード化したいという意見でございます。  「II.新生物」でございます。食道の悪性新生物につきまして、解剖学的あるいは区分による 両方を選択するという分類につきまして混乱が生じているというご意見でございます。また、脳 腫瘍につきまして病理学的な分類が反映されていない。また、膀胱腫瘍につきましても部位別で はなく、単発か多発か、表在性か浸潤性かというような情報について分類した方がいいのではな いかという意見でございます。また、ICD−Oについて連動していないという意見がございま す。また、良性新生物についてもっと細かく分類する必要がある。肝及び肝内胆管の部位と病理 が混在しているということで混乱があるというご指摘をいただいております。造血器の悪性疾患、 非ホジキンリンパ腫の分類が臨床分類より大ざっぱであるという指摘をいただいております。悪 性新生物の続発について、もっと更に詳細な分類とすべきという意見をいただいております。  「IV.内分泌、栄養」でございます。甲状腺種について、先ほどいただいた意見と同じでござ います。糖尿病の名称について「インスリン依存性糖尿病」という古い言葉が書かれているとい う意見をいただいております。  「V.精神および行動の障害」「VI.神経系の疾患」でございます。登校拒否症、高次脳機能 障害についてコードがないという意見でございます。  「IX.循環器系」でございます。1)急性リウマチ熱、2)慢性リウマチ熱について、現在の臨 床の知見や経験をもっと反映させてほしいという意見をいただいております。3)高血圧性疾患 について、分類の構造に問題があるのではないかという意見をいただいております。4)虚血性 心疾患、狭心症、急性心筋梗塞の分類について、もっと明確な定義あるいはもっと理にかなった 分類が必要であるという意見でございます。特に、急性冠症候群という新しい概念をどのように 取り入れるべきかが大きな問題となっているので、それを考慮すべきだという意見でございます。 (2)不整脈の領域の問題といたしまして、心房細動及び粗動、発作性頻拍の分類について臨床に は役に立っていない状況なので、もっと整理が必要であるという意見でございます。(5)大動脈 瘤及び解離、これも臨床には役に立たない状況であり、もっと整理・情報が必要という意見でご ざいます。  「☆Iの2 脳血管障害」でございます。Precerebral arteryという用語がございます。こ れはICD特有のものであるという指摘であり、このため現場で誤解を招いているという意見で ございます。(2)皮質下、皮質の定義が臨床とICDでは違いがあるんだという意見でございま す。また、疾患においては、脳動静脈奇形がクモ膜下出血に分類されているという問題があると いうことでございます。2)脳梗塞でございます。臨床では発生部位によって分類されているが、 ICDでは原因によって分類されているようであり、ここに食い違いがあるという意見でござい ます。脳梗塞の分類では、ラクナ梗塞の取扱いの規定がないということで、ルールが必要である という意見でございます。脳虚血発作(TIA)は、G章で分類されておりますが、これについ ては疑問があるという意見でございます。  「X.呼吸器の疾患」は、インフルエンザの先ほどの意見でございます。  「XI.消化器の疾患」につきましても、ウイルス性肝硬変、これは先ほどと同じ意見でござい ます。脂肪性肝炎について分類項目を立てるべきだという意見がございます。  「XIII.筋骨格結合組織の疾患」でございます。骨粗鬆症の分類が細か過ぎるということで、 もう少し粗くしていいのではないかという意見がございます。  「XIV.腎尿路生殖器の疾患」でございます。腎不全の扱い方について、もっとルールを明確 化すべきだという意見でございます。  「XVII.先天奇形、変形および染色体異常」でございます。先ほどありましたが、妊産婦だけ 限定される疾患のみOコードに分類した方がいいという意見でございます。また、胎児に関する 病名のつけ方について、もっと議論が必要という意見もいただいております。先天性心疾患でご ざいます。小幅ながらも整理が必要、アイゼンメンガー症候群、ファロー四徴の表現が不適当、 あるいは右心低形成症候群についてもっと整理が必要であるという意見をいただいております。  「XIX.損傷・中毒」でございます。多発外傷、これは先ほどもありましたが、コードが不足 している、また、実際臨床上に使用するには、具体的な部位が不明瞭でわかりづらい、損傷ごと のコードを使用する方が便利という意見をいただいております。  「XXI.保健サービス」についてでございます。在宅ケアについて、ケアの程度や種類による 分類をもう少し拡充させたい。あるいは悪性腫瘍に関して、治療の目的を表現できるような分類 が欲しいという意見でございます。  今の日本診療録管理学会の意見の次に、資料3別紙2というものがございます。中田委員から ICD改正に伴う死因データの連続性確保についての意見をいただいております。これは後ほど 中田委員からご紹介いただきたいと存じます。  資料3の9ページに戻っていただきます。これらのいただいた意見について、WHOに対する 意見提出のスケジュール、今後の対応についての案でございます。  (1)WHOへの提出方法ということで、その一つとして、最近ですがようやくICDの分類改 訂プラットフォームの形が整ってきたという状況にあります。これに掲載する際の必要な情報に ついて定められているところでございます。  参考資料4−1「ICD改正・改訂プラットフォーム」をお開きください。これは年次総会で WHOが示しておりますプラットフォームの概要のスライドでございます。  これは先ほど出ましたスライドですが、ICD−10改訂のプロセスの構想でございます。ま ず、ICD−10+をつくるためにWebアプリケーションを使いまして、さまざまなところか ら提案が入力される、それによってICD−11の草案ができ上がり、更に編集されて、次のス テップとしてターミノロジーによるオントロジーを作成していこうじゃないかという構想でご ざいます。今まさに一番左側のICD−10+を作成しているという段階であると理解しており ます。  次に4ページでございます。そのWEBアプリケーションなのですが、ICD Update and  Revision Platformが入り口でございます。URLは先ほどの資料3に示してありますので、 それをご参照ください。右の方にございますように、ユーザネームとパスワードを使ってログイ ンをするという仕組みになっております。  次に6ページでございます。ここより意見を入力していくわけでございますが、少し開きます と上のスライドの画面になります。ICD Update and Revision Platform、このようにI CDの章の構造がそのままここに載っております。このような章から項目を選択していくという 形で提案を掲示していくという手続をとります。  続きまして、参考資料4−2でございます。  具体的な項目を選択いたしますと、このような情報を入力してくださいという様式が示されま す。プラットフォームで要求される様式、その項目を示しているのが参考資料4−2でございま す。提案タイトル、影響を受けますコード、影響を受ける本、どのような提案の型であるか、変 更の理由は何か、提案の詳細、どのような提案であるかを記述する、その提案が必要であるとい う理論的根拠を記述するということでございます。更に、もしその提案を指示するようなエビデ ンスがありましたら、一緒にそこに掲示するという様式でございます。  では、先ほどのスライドの参考資料4−1の3ページをご覧ください。  「提案ライフサイクル」というスライドがございます。これはこのように動いていくという仕 組みを示しているものでございます。恐らく今後プラットフォームがどんどんソフィシティケー トされていきますと、このような流れになっていくのではないかと思います。  この図でいきますと、提案の流れということで上から下に流れていくという形をとります。提 案が矢印のように入っていきまして、正式なグループ、MRG、MbRGあるいはそれぞれのT AG、これらの中で議論を経てURCに行く流れ、あるいはモデレーションレイヤーを通して直 接URCの中で行く流れというものが示されております。URCの中で提案がどのように処理さ れるか、受理、実行あるいは返送という形、もっと議論すべきだというような形など、どのよう な処理になるかということが決まるということでございます。  現在プラットフォームの中ではTAGについてはまだ未整備でございますが、URCのプラッ トフォームが現在やっと整備されましてオープンになっている状況にありまして、このチャネル を用いまして、提案を直接URCへ持って行くルートを活用できないかということでございます。  また、そのほかの選択肢、つまりWHOが今後どのようになっていくかという動向も注意しつ つ、このルートを活用してはどうかと考えております。  資料3の9ページに戻ってください。  (2)、これらの状況を受けまして提出をいただいたご意見ですが、これらのうち国内調整を特 段必要としないもの、また国際的な議論にも耐えられるエビデンスが用意できるもの、それに よってWHO内での合意形成が見込まれるものについて、順次このプラットフォームに掲載する ということにしたいと考えております。  (3)、そのような提案する意見については、今ご紹介いたしました意見全部につきまして、す ぐ掲載するわけには到底いかないので、提案する意見については事務局、座長及び元になります 各学会と相談しつつ決定していきたいと考えております。その際には、このプラットフォームに 入力するということになりますので、必要な情報を様式に沿った形で提出すること、あるいは意 見提出後、関係者等の議論、質問が来ることが予想されますので、それについての回答あるいは 理論的根拠となる資料の提出を求められる可能性がありますので、それらの作業に当たりまして は、各学会の協力をお願いしたいということで考えております。  (4)、当室では今回提出することとした意見につきまして、3月31日までプラットフォーム に掲載を行う。これによりまして、URCの年次サイクルに乗った形で意見の提出ができるとい うことでございます。  (5)、なお来年以降のプラットフォームの意見掲載ですが、例えば、各学会の意見につきまし て学会間の調整を必要としない意見につきましては、その学会より掲載していただくなどの方法 も含めまして、WHOにおける今後のプラットフォームの運用が今後どうなっていくかによるの ですが、その動向を注視しつつ、その方針に応じて検討していきたいと考えております。  (6)、提出された意見の今後のWHO内の手続についてご紹介いたします。URCにプラット フォームの意見が届くわけですが、URCの中ではプラットフォームでのコメントや、そのやり とりの後にURCの中で11の協力センター、MRG、MbRG、WHOによる14の投票によっ て決定されます。プラットフォームの投票は年に2回行われる予定です。投票によって意見が分 かれた案件につきましては、いわゆる年次会議で議論し決定するという手続でございます。決定 は基本的に全会一致ということで行われます。  WHOにおいてこのような形で採択された意見につきましては、1月末までに勧告するリスト が作成されまして、ホームページに掲載されるという流れでございます。  私からの説明は以上でございます。  各学会の皆様方、委員の先生方にさまざまなご意見をいただきまして、誠にありがとうござい ます。いただいたご意見につきましては、今ご説明しました方針で事務局としては対応していき たいと考えてございますけれども、今回とりあえず3月31日というのは年度単位での締めでご ざいます。今年度分ということで幾つかピックアップして提出していきたいと思いますが、今回 提出しなかったらそれで終わりというわけではなくて、来年以降今後ずっと続いていく話でござ いますが、とりあえず今年度のサイクルに載せるのが3月31日ということですので、今申し上 げましたように、ある程度勝算のありそうなものをピックアップして提出していきたいと考えて おりますが、それに伴いまして、いろいろな質疑への反論の対応などがございますので、また皆 様方のご協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。 ○藤原座長  ありがとうございました。  WHOに対する意見は、ICD改正・改訂プラットフォームを通して行うのだということ、そ して、国際WG協力委員の先生方にもご協力いただく必要があるとのことですが、ただいまの事 務局からの説明に対してご質問いただく前に、菅野委員に内科のTAG進捗状況等を追加で説明 していただけますか。 ○菅野委員  内科のTAGは、先ほど事務局より説明がございましたように、日本が責任を持って設立にか かわったということでございまして、それに対応しまして国内体制を整えていくということで、 先ほど事務局の説明にございましたような資料2でございますけれども、11月26日と1月18 日に国内のTAGを開催しております。このTAGは、まだ我々の内科TAGが担当するアレル ギー、リウマチ科の学会のご協力が得られておりませんが、今後得られる予定であると伺ってお ります。  また、先ほどのトリエステ会議で内科TAGの領域として神経が抜けておりましたけれども、 これについては別のTAGができるのか、内科TAGに含まれるのか、まだ十分わかっておりま せんが、とりあえず内科の中に含んだ形で国内のTAGは開催しております。  これまで2回の会議を通じまして行ったことを簡単に申し上げますと、内科TAGの中の各サ ブスペシャリティの学会にお願いいたしまして、それぞれの内科TAGの中のサブスペシャリ ティに相当するWGの人選をお願いしております。国際的に認知された方々で、欧米だけではな くてアジア諸国を含むような形での人選をお願いいたしておりまして、これを既にWHOに提出 しております。1月の末でしたか、WHO側とテレカンファレンスをいたしまして、比較的よく バランスがとれているという全体的なコメントをいただいておりますが、WHOが最終的に内科 TAGの中のWGの委員会のチェアをどの方にするのかという情報は得ておりません。まだ検討 されていらっしゃるということですが、一応我々の提出したメンバーはよくバランスがとれてい るのではないか、また、国際的にも著名なグループが含まれているということで、ある程度満足 の意は表明されております。  また、第2回目の1月18日のTAGでは、各サブスペシャリティがどの分野を担当するのか、 先ほど申し上げましたが、内科は非常に幅広い範囲の分野が含まれておりまして、血液がDコー ド、内分泌代謝がEコード、神経がGコード等、循環器がIコード、呼吸器がJコード、消化器 がKコード、腎臓がNコードといったような形で多岐にわたっておりますし、先ほど来のご意見 提出で感染症が含まれる、あるいは腫瘍の分類の部分も担当が一部オーバーラップするという形 でございますが、主に担当すべき領域を学会の代表の方々と討議いたしまして、おおよその分担 領域を検討いたしました。  また、それぞれのコードには、例えば消化器でございますと口腔領域のコードが含まれており ますし、神経でございますと網膜であるとか、耳鼻咽喉領域の疾患と重なるところがある。ある いは、同じ学科でも心臓、循環器系等の血管領域が含まれるコードがあって、その分担を決める ということがある程度合意されております。  もう一つとしましては提言でございますけれども、消化器病学会は既にある程度意見出しを 行っておりますが、今後非常にたくさんパンドラの箱を開けるがごとく出てくることが予想され ます。しかも、もう一つの点は、2006年のアップデートまでが実はなされているわけでござい ますけれども、そのうちの一部は今回指摘されているものの一部として一部取り上げられている ものもございまして、その辺の整合性を整理した上で、先ほど事務局よりご説明がありました参 考資料4−2のフォーマットで絞った上で出し直す必要がございますので、意見出しのフォー マットが最初に厚労省から出された分厚いものがございますけれども、そのまま出すわけにはま いりませんので、それを絞った上で、先ほど来の根拠その他、理由その他すべてを埋めたあるい は埋められるようなものについて絞っていただいて再提出できるものをお願いしておりまして、 消化器病学会では2月末を目途にその整理を行って出すということを依頼しております。厚労省 に一応まとめていただいた上で、妥当と思われるものについては資料3のような形で、3月31 日までにWHOに提案するという予定を組んでおります。  以上でございます。 ○藤原座長  ありがとうございました。  先ほど事務局でちょっと触れられましたが、意見出しについて中田委員から資料3の別紙2に 沿って、コメントをいただけますか。 ○中田委員  それでは、統計データの利用者という立場から1点、意見を申し上げたいと思います。  「ICD改正に伴う死因データの連続性確保について」ということでございますが、日本では 平成7年にICD−9からICD−10への改正が行われました。このときには実はICDの死 因分類の変更だけでなくて、死因選択ルールの変更と死亡診断書そのものの変更が行われたため に、結果として非常に大きな改正になりましてデータの連続性が保てなかったということがござ います。  その状況につきましては、グラフ(図6、図8)をごらんいただきたいと思いますが、図6で 上から2番目に心疾患のグラフがございますが、昭和22年からずっと死亡率が上がってきたわ けですけれども、平成6〜7年に急にがくっと下がっています。その後、また上がっているとい う状況にありますが、逆に、脳血管疾患をごらんいただきますと、昭和40年前後にピークを迎 えまして、その後ずっと下がってきたわけですけれども、平成7年に逆に上がったということが ございました。この結果、死因の順位も、それまで悪性新生物、心疾患、脳血管疾患だったのが、 平成7年には悪性新生物、脳血管疾患、心疾患ということで、死因の順位まで2位と3位が変わ るということが起こりました。  統計を作成する立場から申しますと、統計作成の分類変更が行われるということですので、そ れに伴って統計的な連続性が保てなくなるということが時々起こりまして、ある意味では仕方が ないということなのでございます。通常はその場合、新しい分類で過去にさかのぼって再集計を してみたり、そういうことがなかなか困難な場合には、同じ年次につきまして新旧分類で変換率 を算出しまして、分類変更によって統計が不連続になったのか、もともとデータの性質あるいは 事象の性質が変わったのかということがわかるようにすることがよく行われるわけでございま す。  ICDの死因分類の変更の場合には、実際には過去にさかのぼって新分類で再集計するという ことは作業が余りに膨大になり過ぎまして、実際には不可能だろうと思われますので、通常はI CDの新旧分類で同じデータを集計しまして、ICD変更の影響を計測するということが行われ ます。これをbridge codingと呼んでおりますが、平成7年のICD−9からICD−10の 改正におきましても、日本でもbridge codingが行われました。その結果、ICDの変更の影 響が分析されて、その結果が公表されています。  したがいまして、こういったことはICD−10からICD−11に改正が行われる場合にお きましても、同じように行っていく必要があると考えるわけですが、作業量が非常に膨大という ことなので、方法論を含めましてあらかじめ準備しておくことが必要だろうと思います。  もう一つ、今のは日本なら日本の一国内だけの話なのですが、ICDの分類で変更が行われる 場合に、ある年次から世界じゅうで一斉に行われるということではございませんので、特に変更 期に限ってみますと、国際的に見れば新旧の分類、今度で申しますとある国がICD−10を依 然として使っているし、ある国はICD−11に変わっているということがございます。したが いまして、国際的な統計を使って分析しようという場合には2つのICDの分類が混在すること になりますので、お互いどのような関係にあるかといった変換率みたいなものを普及させた上で 死因の統計を国際的に使用するのが望まれると思います。  そういった観点から、一つはICD−9からICD−10におきましてどのような問題が起き たか、事務局で整理していただいてご報告いただけたらということがございます。もう一つは、 死因統計の国際比較を行う上での問題点も一緒にご報告いただけたらと思います。  それから、現在までの議論をいろいろ伺っていますと、分類の話に焦点が当たって、その辺の 問題がいろいろ議論されているわけですが、ICDの適用に関しましては、適用そのものが各国 の間で違うのではないかとか、あるいは先ほど申しました死因選択ルールの適用の仕方が違う じゃないかといった、分類そのもののほかにもいろいろ考えなければいけないこと、あるいは解 決すべき問題があるということをWHOにも理解していただくということが必要ではないかと 思います。  そういったことで、例えば先ほど申し上げましたけれども、各国共通でbridge codingの仕 組みを検討するといったことが必要ではないかと思います。  最後は、テクニカルになりますが、現在、死因の選択におきましてはアメリカで開発されたA CMEという死因選択ルールをコード表にしたシステムが使われておりまして、これが一種の世 界的なデファクトスタンダードになっているわけですが、これが世界的に使われるようになるの であれば、その適用について日本ではどうするのか、あるいは日本で使っている死因選択のシス テムとの関係を検討するということも必要になろうかと思います。  最後に、もう一点付け加えさせていただきたいと思います。今申しましたように、ICDの変 更に統計の利用者としては時系列上の不連続、それから、国際的な比較が難しくなることの二点 が大きな問題として出てくるわけですけれども、これは恐らく死因の話だけではなくて、今いろ いろ議論されていますDPCとか、疾病の関係の分析あるいはいろいろなものにICDを適用す る場合にも、同じように時系列上の不連続あるいは国際的な比較可能性の欠如という問題が起き てくるのではないかと思いますので、提出させていただいた資料は、私が実際にぶつかった問題 として死因の関係で書いてございますけれども、疾病についても同じことが言えるのではないか ということを付け加えさせていただきたいと思います。  以上です。 ○藤原座長  どうもありがとうございました。大変重要なご指摘をいただきました。  大井先生、意見出しについて何かコメントがございましたら。 ○大井委員  特別ございません。これだけたくさんの意見が集まっているものをどのようにWHOに反映し ていくか、URCの方で動き出すのでしょうけれども、その下のTAGの方から上がってきます RSGのグループ活動はどうなるのだろうかというようないろいろな問題がまだ未調整でござ いますので、プラットフォームはプラットフォームで動きながら粛々と進めていく以外にないだ ろうと考えております。 ○藤原座長  ありがとうございました。  それから、外因TAGの進捗状況と意見出し等について、横田先生いかがですか。 ○横田委員  外因の方も学会ではちょっと討議して意見を出させていただきました。その中で、一つに意見 を取りまとめることができなかったというのが正直なところです。それはなぜかと言いますと、 やはり使用目的が明確になっていないので、方向性がわかりづらかったためです。だけれども、 貴重な意見として出ましたのは、恐らくこれは日本診療録管理学会さんの考え方と同じで、属性 を入れたコード化をする、いわゆる性質と部位とかあるいは原因といったようなものを多元的に 表現することと、目的に応じて詳細化できるという階層化、さらに目的に応じてある一つの損傷 を重症度表現ができるようにするなどの構造を持った方がいいのではないかというのはコンセ ンサスが得られました。  もう一つは、TAGのチェアでありますハリソン先生とのコンタクトの件ですが、どうもハリ ソン先生たちは、外因のところは原因に興味をお持ちでして、ICDで言いますと20章に相当 するところをICECIとの整合性を持たせようとしています。一方、19章の解剖学的などい いますか、損傷そのものの分類については余りご意見をお持ちではなくて、彼はオーストラリア 人なのでオーストラリアのモディフィケーション、私たちはこんなふうにして桁数を増やしてモ ディファイしていますよというところで、ちょっと話をはぐらかされているという感じがいたし ます。  大体そういうところでございます。 ○藤原座長  ありがとうございました。  先ほど来の事務局からのご説明、また、今の4人の先生方のコメントをすべて含めて、全般に わたってご質問いただきたいと思います。 ○事務局  改訂に関して、まだ不透明感があるといったようなことも含めまして大井委員よりご指摘が あったところですが、4月中旬に改訂に関します会議、そして企画運営に関する会議がジュネー ブで開催される予定で今進んでいると伺っております。この4月会議の中でTAG関連の会議も 同時に行う予定と伺っておりまして、4月中旬の会議でまた一定の方向性が出されるのではない かと思っているところでございます。  中田委員からご提出いただきました資料3別紙2の裏側の表をご参考にしていただきたいと 思いますが、中田委員からのご指摘は非常に重要なご指摘だったと受け止めております。平成7 年の心不全の話は臨床の現場でもよく知られている話かと思います。  ICD−9からICD−10の変更におきましては、7,000項目あったものが14,000項目と 約倍に項目数が増えておおります。その部分だけに注目されがちなのでございますが、そのほか にも先ほど委員からもございましたが、原死因の選択ルールは先生方が死亡診断書のときに直接 死因の原因、更にその原因、更にその原因と各項目がございますが、そこに書いていただいた項 目が上下間でどういう関連性があるかといったことが一定のルール化をされておりまして、例え ば、悪性新生物で上に直接死因が肺炎と書かれたものについては、悪性新生物をとるといったよ うなルール付けがなされております。そうでないと、大半のものが肺炎で亡くなるとか感染症で 亡くなるといったようなことになりまして、いわゆる死因ということでとられないということが ございまして、そういうルールづくりも実はICDの一環の中でされており、改訂にともない変 更されております。  もう一つ、平成7年時点で大きかったのは、死亡診断書に具体的には疾患の終末期の状態とし ての心不全、呼吸不全は書かないでくださいという注記が加えられたことによりまして、非常に 大きく変わったというところがございます。  中田委員ご指摘のように、bridge codingと言われるICD−9、ICD−10どちらも適 用してどういうデータになったかという検討を幾つか厚生労働科学研究などで行っているわけ でございますが、実際の死亡数の変更でございますとか、平成7年時点でのインフルエンザの流 行等の影響あるいは相互的に影響し合っていたということもございまして、全部が一つの説明で 確定的なことが言えるわけではございませんが、幾つか概要についてご紹介させていただきたい と思います。  原死因の選択ルール、どういう原死因を選択するかというところでございますが、このルール が明確化されあるいは変更されたという部分がございます。中田委員から出された資料をごらん いただければと思いますが、脳血管疾患の増加の部分がございます。データで見る限り一番大き かった部分は、肺炎がこれまでは直接死因ととられている部分が多かったわけでございますが、 肺炎がいろいろなほかの疾患と関連性が強いということでございまして、直接死因に肺炎が書い てあっても、更に下に脳血管疾患があれば脳血管疾患をとるということになりましたので増えて おります。同様に、悪性新生物もあるいは胃がんとか肝がんといったものも増えているというこ とになります。  肝がんの中の増加でございますが、もう一つ影響がございまして、ウイルス性肝炎と一覧の中 にあった場合に、ウイルス性肝炎がもともとの原因なのだということでウイルス性肝炎を死因に するのか、あるいは肝がんを死因にするのかという部分で、肝がんを死因にするという形で平成 7年時点においてルールが明確化されたこともございまして、増加という傾向となっております。  一方で、肺炎は減少するということになっているわけでございますが、インフルエンザの流行 などがあったということもございまして、余り目立った値にはなっていないところでございます。  先ほど申し上げました死亡診断書の改訂により、死因疾患の減少が起こったということは有名 なところでございます。データとしては出てまいりませんが、こういう注釈が書かれたことによ りまして、ほかの疾患に流れたという部分もあるのではないかというところは、各方面から指摘 されているところでございます。こちらはICD−11の導入の際には、中田委員からご指摘の とおり、統計的な連続性が重要であるということは勿論でございますので、過去の研究結果もま た検証し直しまして、十分検討してまいりたいと考えてございます。  二つ目の質問に回答させていただきますが、ACMEと言われるものでございますけれども、ア メリカのCDCより出されておりますAutomated Classification of Medical Entitiesと いうことでございまして、原死因を選択するために各ICD項目の関連付けが設定されておりま すオートコーディングの一つのシステムということになりますが、この活用を前提にした議論と いうのは実はWHOの中でも行われているところです。こういうことを活用すると、どういうこ とが起こるのかと申しますと、各国間での運用の差異ですとか、どれを原死因にするかについて のあいまいな部分がなくなると、標準化が進むということになるわけでございますけれども、我 が国も今時点でACMEをベースにしてシステム構築しているわけでございますが、WHOとい たしましては、このシステムを勧告内容に入れるということにいたしますと、勧告内容に入れた 途端にそのメンテナンスについて管理運営上の責任が発生するということもございまして、勧告 内容に盛り込むということについては消極的にならざるを得ない側面もあるのだろうと理解し てございます。ですので、WHOの中でACMEと呼ばれるものが、そのバージョンコントロー ルも含めてどう位置付けられるのか、そして、勧告の内容に含まれるのか否かという動向も見極 めた上で、最終的に我が国で適用する際に検討を進めていきたいと考えているところでございま す。  以上でございます。 ○藤原座長  ありがとうございました。  では、今の事務局のご説明も含めまして、いかがでございますか。 ○松岡委員  内科のTAGで菅野先生の下で縦社会を見ていますと、今日は横串で専門委員会でございます ので、そういう意味で今日の資料は大変参考になりました。その中で私はやはり患者さんの視点 という意味で、これをどういう具合に使用していくかというのは、この委員会でも重要なことだ なと思ってご発言申し上げます。  資料3の5番では、実際に業務で使っている人はどういう具合に活用しているかというのが非 常に疑問であるということがございました。先ほど中田委員がおっしゃいましたように、包括医 療、DPCのところでやはり社会問題はアップコーディングというか、申請のときに疾患の分類 というのが非常に問題になると思っておりまして、そういう中で、例えば資料3の別紙の10ペー ジにはICDコードの重症度がわからない、先ほど中田先生は時系列がわからないとか、ちょっ と話題が逸れるかもしれませんが、このICD−11をどう使用するかということを厚労省の方 は考えているのか、その辺を若干お聞きできればなと思います。  以上でございます。 ○事務局  ご指摘はごもっともだと思います。ただ、前回の専門委員会のときにも申し上げたかもしれま せんが、ICD−11がどのような形になるのか、まだその全貌は見えていない段階でございま す。この段階で保険局が支払いについてどうするのかと聞かれても、答えようがないというのが 保険局側の担当官レベルでの回答でございます。正直に言うと、是々非々だろうと。使えるなら ば使えるし、使えないのなら使えないのだろうという回答でございました。  逆に言いますと、そういう視点も含めてご意見をいただければと思いますが、今時点で厚生労 働省として確実にICD−11をDPCに使うという断言もできないわけでございまして、ただ、 使わないという断言もできないというのが正直なところでございます。申し訳ありません。 ○松岡委員  できれば使えるようにしていただいて、アップコーディングのチェックの検索をこのシステム はできるのではないかという感じを私は持っておりますので、中田委員もおっしゃましたような ところを是非アップしていただければと思います。  以上でございます。 ○藤原座長  ほかにいかがですか。 ○石名田委員  今後、学会として意見を出していく場合は、参考資料4−2の項目ごとに出すという形で理解 してよろしゅうございますか。この委員会に出す場合、参考資料4−2の1〜3ページにわたっ て、こういうプラットフォームにすぐ出せるような形で事務局に提出するという考えでよろしゅ うございますか。 ○事務局  先生方には、この形式が埋めやすいようになっておりますエクセルベースでの表を後ほど送信 させていただきたいと思っております。一つの区切りといたしまして、我々が今できる対応とい うことで、3月末までに来年度ベースでICDの改正というサイクルに載せるための手続を行っ ていきますので、その際には先生方からいただいた意見を私どもの方でも調整させていただきま して、こういう形式に変えていくという作業を行いますので、その中で是非にというものがあれ ば、こういう形でいただけるとありがたいですし、逆に私どもが整えたものを、また先生方の方 でチェックをいただくというような協力体制を構築できればと考えております。よろしくお願い いたします。 ○藤原座長  要するに、学会から挙げられたものを事務局の方で調整して、それなりの所定の様式に従って いくと。そして、疑問点があれば、またそれぞれの学会にも問い合わせするという流れになると いうことですね。 ○事務局  ご指摘のとおりです。明文化した形でこういうところに出していくということになります。ど の程度フィルタリングされるかというのはわかりませんが、明文化されてこういう各国から投票 されるというような俎上にのせるということは、反論が出てくる可能性は十分にあるということ なります。反論が出た際に、それに対してどう反駁を行っていくかということにつきまして、ま た学会の先生方とご相談していきたいと思っておりますので、できるだけ戦えるものを、逆に 我々が選んでも、いや、それは理論的に厳しいので落としてくれということも含めてご相談させ ていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○藤原座長  ほかにいかがですか。  先ほどご説明されたプラットフォームの掲載、3月31日というお話がありましたが、もう時 間がないので、事務局として少しは進めておられますか。 ○事務局  英訳の調整や内部検討は進めているところでございます。 ○藤原座長  大変な作業だと思いますが、よろしくお願いいたします。  ほかにいかがですか。  それから、先ほどWHOにおける今後のプラットフォームの運用方針について検討すると説明 されましたね。基準などはあるのでしょうか。 ○事務局  基準と申しますか、現段階では情報提供ということでお受け止めいただければと思います。今 後プラットフォームと言われるWeb上のシステムがどの程度構築されて、どういった運営をさ れるかということを踏まえてご相談させていただくのが極めて現実的なところかと思っており ます。ただし、これがきちんと運営されていけば、ICD室だけで意見を言っていくのか、それ とも学会という窓口を開くのか、あるいはそういう門戸を開くという形にしますと、どういう ルールで我が国としては意見を言っていくのかということをまたご相談させていただきたいと 思っております。 ○藤原座長  ほかに何かご質問等ございますか。  それでは、議事3.その他に移らせていただきます。最初から全般にわたって何か先生方から ご質問等ございましたらどうぞ。特にございませんか。  それでは、事務局から最後に今後の予定等についてご説明をお願いいたします。 ○事務局  繰り返しになりますが、先生方から意見をいただいたものをご活用させていただく、あくまで 一つの手だてといたしまして、先ほど申し上げましたとおり3月末日に明文化した形で、一旦W HOのICDの改正というサイクルに載せていきたいと思っております。また、先生方にはご相 談・連絡等をさせていただくことがあるかと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。 ○藤原座長  何かご質問等ございますか。よろしゅうございますか。  それでは、以上をもちまして、本日のすべての審議が終了いたしました。次回の委員会開催等 について、事務局からご説明願えますか。 ○事務局  次回の委員会の開催につきましては、藤原座長ともご相談の上、改めて先生方にご連絡をさせ ていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○藤原座長  以上で、本日の第5回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会を閉会い たします。ありがとうございました。 照会先 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課     疾病傷害死因分類調査室     電話 (代表)03-5253-1111(内線)7493