08/02/06 社会保障審議会介護保険部会第24回議事録          社会保障審議会 第24回介護保険部会議事録 ○ 日時及び場所    平成20年2月6日(水) 14時00分から15時11分まで    都市センターホテル5階「オリオン」 ○ 出席委員    貝塚、天本、石川(代理:小島参考人)、石原、井部、植木、小方、勝田、 川合、木村、木間、齋藤、櫻井、高橋、土居、野呂(代理:渡辺参考人)、 桝田、松本、吉田の各委員    岩村、山本の各委員は欠席 ○ 議題    介護事業運営の適正化について ○ 議事内容 ○依田総務課長 土居委員がまだお見えになっておりませんけれども、定刻とな りましたので、ただいまから第24回「社会保障審議会介護保険部会」を開催さ せていただきます。  本日は、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。  本日は、石川委員、岩村委員、野呂委員、山本委員が所用により御欠席との連 絡をいただいております。  なお、石川委員の代理として小島参考人、野呂委員の代理として渡辺参考人に 御出席いただいております。  なお、松本委員には今回初めて御出席いただいておりますので御紹介させてい ただきます。 ○松本委員 松本でございます。 ○依田総務課長 それでは貝塚部会長、議事進行方よろしくお願いいたします。 ○貝塚部会長 それでは、議事に入りたいと思います。本日は、ますます雪が降 りそうなので、なるべく議事を早く進めたいと思います。  前回、一応の案がございまして、それについて皆様御意見をそれぞれに出され、 事務局がそれを踏まえてかなり修文をして、私自身も多少意見を申し上げて介護 事業運営の適正化に関する当部会としての意見案を作成してもらいました。  それでは、その説明をお願いいたしますが、その前に資料の確認からお願いし ます。 ○古都振興課長 それでは、お手元の資料についてまず確認をさせていただきま した後に御説明をさせていただきたいと存じます。  本日お配りいたしております資料は、議事次第、配席表、委員名簿のほかに「介 護事業運営の適正化に関する意見(案)」というものと、それからもう一つ、別 添といたしまして「介護事業運営の適正化に関する有識者会議報告書」、この2 点をお配りさせていただいております。資料の不足等がございましたらお申付け いただければと存じますが、いかがでございましょうか。それでは、引き続きま してお手元の資料1につきまして御説明を申し上げたいと思います。  先ほど部会長からもお話がございましたように、前回、前々回、当介護保険部 会におきまして介護事業の御議論を賜りました。誠にありがとうございます。1 回目は規制の状況について、合わせて有識者会議の報告、それから今回の御検討 の発端となりました介護事業者の不正事案等々につきまして事実関係、制度論、 それから報告書を御説明させていただいた上で御議論いただきました。それから、 前回は議論の御意見の要旨をまとめたものをお配りし、また私ども1回目では十 分御説明できなかった点等々について御説明をさせていただき、そして先回、部 会長の方から意見案をまとめるようにという御指示をいだいたところでござい ます。  そこで、前回までの御議論を踏まえながら、御議論の大層といたしましておお むね有識者会議の報告に沿った御意見が中心であったということでございます し、意見として早くまとめるようにという御意見もございました。そういった点 等を踏まえながら、意見案を作成させていただきました。  1枚繰っていただきまして、冒頭の「はじめに」というところで部会長の方か ら少し今回の議論のポジションと申しましょうか、位置付けなりを歴史的な流れ の中できちんと整理しておく必要があるのではないかということでございまし たので、1回目目にも介護保険制度の概要等を御説明いたしましたが、それらを 基にしながら「はじめに」で整理いたしております。  1つ目の丸の点でございますが、この介護保険制度の創設の契機といたしまし て、要介護状態になっても尊厳を持って生活できるということで、社会的な支援 の仕組みとして平成9年に法律ができ、そして12年4月から全面施行されまし た。その上で、施行後、サービスの利用量あるいはサービスの提供量は大幅に増 加し、「基礎的な社会システム」としても定着するに至っているのではないか。 こういう御評価を以前、当部会でもいただいておりますし、その方向は変わって いないのだろうということで整理をさせていただきました。  「しかしながら」というところで、要介護認定者数あるいは受給者数の伸びと 同時に、利用量あるいは費用の増大といった諸課題に対応し、持続可能な制度に するという観点から、施行5年後の見直しというものが法律にも規定されており ましたので、この部会で十数回にわたり介護保険制度全般にわたる御議論をいた だいたというふうに承知いたしております。  そこで、平成16年7月30日に「介護保険制度の見直しに関する意見」という ものを介護保険部会で取りまとめをいただき、そしてこれに沿って平成17年に 介護保険法の一部改正を行ったというところでございます。  そして、17年改正といいますのは平成17年10月の食費、居住費の自己負担 化も含めまして18年4月から本格施行されております。今日まで「自立支援」 と「尊厳の保持」ということを基幹にしながら介護予防の推進、地域ケアの推進、 あるいは質の確保・向上等々の多様な取り組みを関係者の御協力で進めていると いう状況にございます。  また、改正後の状況の変化等に伴いましてさまざまな課題が出ているわけでご ざいますが、この点につきましては1回目、2回目でも御発言がございましたよ うに、今後この部会において御議論いただくとともに、例えば介護報酬、労働力 の問題につきましては既に介護給付費分科会でも御議論をいただいております ので、そういう趣旨も含めまして各方面で検証と評価が行われる必要がある。こ ういう御趣旨がこの会の総意だったのではないかと考えております。  その上で、昨年発生しました介護サービス事業者の不正事案から見受けられる 事業規制の運用上の問題については早急な対応が必要ということで、これが17 年改正以降の動きと、この部会における今回の検討のポジションではないかとい うことで整理をさせていただいたところでございます。  そこで2ページ目でございますが、介護サービス事業運営の適正化もこれまで の経緯を丁寧に追っております。  1つ目の丸でございますが、介護保険制度創設時にはやはりサービスの量とい うものを確保しなければならない。そういうことで、民間活力の活用ということ を一つの柱とし、多様な主体の参入を認めてまいりました。その上で、利用者の 適切な選択と事業者の自主的な競争によって質を確保する仕組みにしたという のが介護保険制度におきますサービス供給の基本的な考え方ではないかと存じ ます。その結果といたしまして、多数の介護サービス事業者にいわゆる指定事業 者として参入をいただきました。  しかしながら、その後の平成12年以降の流れの中で介護保険制度創設時の仕 組み、平たく申しますと事前規制から事後規制へという流れの中の規制の仕組み ではサービスの質の確保、あるいは実効のある事後規制といったものが必ずしも 十分ではないのではないかということが前回の介護保険部会で大きく御議論に なったところでございます。  そこで、17年改正におきまして、いわゆる悪質な事業者は排除し、同時にサ ービスの質の確保・向上を図るということで、一事業所の指定取消しが他の事業 所の指定・更新の拒否につながる仕組み、いわゆる連座制の導入と、それから指 定欠格事由の追加あるいは指定更新制の導入といった事業規制、事後規制の部分 の見直しが前回の改正で行われたということでございます。  これにつきましては18年4月から実施に移されたわけでございますが、その 際、複数の事業所で不正な手段による申請という、組織的な不正を行っていた事 業者が撤退をしたわけでございますが、この事業者への対応過程において不正事 案の再発防止、そして介護事業の適切な運営のためのさらになる措置が利用者の サービスの継続とともに大きな問題として浮かび上がったところでございます。  そこで、「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」というものを設けまし て、1つは広域的な介護サービス事業者に対する規制の在り方、それから指定事 業者の法令遵守のための措置、そして事業廃止におきます何よりも利用者へのサ ービス確保といったことへの措置を中心に御議論をいただきまして、まさに別添 におまとめいただいた報告書が昨年の12月3日にできたということでございま す。  この介護保険部会は、それを踏まえまして昨年の12月20日以降御議論をいた だいているわけですが、冒頭に申しましたように事業規制の現状について把握を した上で、この報告書を基に事業運営の適正化について御議論いただいてきまし たが、全体の会議の総意というものを表すとするならば、報告書には不正事案の 再発防止及び介護事業の適切な運営のために必要な措置等が総括的に取りまと められており、本部会としてはこの報告書の方向に沿って今後の制度の見直しを 進めるべきものと考えるということで、全体の御意見の集約の案として整理をさ せていただいたところでございます。  その際、有識者会議の報告書に触れられたことは当然でございますが、この場 で熱心に御議論いただいた中で、特に視点あるいは観点として今まで十分に出て いなかった部分、強調すべきという部分、それから内容的にももう少し明確にす べき部分等々の御意見がございましたので、それを以下7点に整理をさせていた だき、この有識者会議の別添の報告と合わせて意見としてはどうかということで 整理をさせていただきました。  1つ目は、事業規制の見直しに当たっては多様な主体の参入ということを介護 保険制度でこれまでもやってまいりましたが、そのこと自体を排除するのではな く、不正を行いにくい仕組みをきちんと修正していくということが制度の真価と して必要ではないかという御意見がございましたし、そういうことをきちんと国 民に理解していただく必要があるということで、ひとつ全体の整理をしておりま す。  2つ目に、事業者における法令遵守等は行政指導だけでは無理である。むしろ 事業者団体を育成する、あるいは事業者団体による自主的な取り組みというもの が非常に重要なのではないか。後からの事業規制だけではなくて、そういう事業 者を育てるという観点で御意見をいただきましたので、そのことを特に整理いた しました。  3つ目に、事業者の本社・本部への立入調査ということにつきましては、国、 都道府県、それから市町村で十分な情報共有・連携を図る必要がある。まさにば らばらでは困るということが御意見であったのではないかと存じます。そして、 その際、保険者機能の強化あるいは地方分権、すなわち国、地方がどういう役割 を果たせるのかという観点も踏まえながら、機動的で効果的な指導監督体制を検 討するべきだということでございました。特にここは前回も、指導と監査という ものは違うのだからきちんと整理すべきということも踏まえて、表現も整理して 記載させていただいたところでございます。  それから、これは複数御意見がございました。自治体が実施する指導等につい てはきめ細かく機動的な対応を行うということです。実際に事業者の状況あるい は行ったことを見ながらきちんと指導をしていくという趣旨でございます。きめ 細かく機動的な対応を行うということと、指導内容について監査担当者ごとにい ろいろばらつきがあるのはよろしくないという御意見でございましたので、過度 なばらつきが生じないように標準化に向けた措置をきちんとしなければ、事業者 の方も安心してサービスが提供できないというような御趣旨だったと存じます。  それから、事業所の指定取消しがあった場合に新規指定あるいは更新が拒否さ れる制度というものについては、不正を抑止するという観点からも維持すべきだ という御意見がございました。その上で、一方、有識者会議のまとめにもござい ましたように、一律というのはいろいろ見直すべきところがあるという御趣旨で、 各自治体が事業者の不正行為への組織的な関与の程度を十分把握したというこ とに立って、一定の判断基準で指定・更新ができるようにすべきではないかとい うことで整理をさせていただきました。  それから、サービスの確保という点におきましては、事業廃止時において利用 者のサービスの継続を確保すべきということ。これは在宅におきましても居住系 サービスにおきましてもきちんと生活の継続を確保し、そして適切なケアマネジ メントを実施して新しい事業者、居住系のサービス提供場面においてきちんとサ ービスを受けられる。このことが利用者の不安解消になる。何よりも不安を解消 するということが重要であるとともに、このサービスを提供するのはだれかとい うことであれば従業者の方でございますので、この方々の雇用確保について配慮 しなければならないということで整理をさせていただきました。  それから、これは不正抑止の観点かと思いますが、不正を行った事業者から保 険者が介護報酬の返還金及び加算金というものを徴収することができることに なっておりますが、これを確実に徴収する仕組みを設けるということ。これは、 この事業が保険料と税という公的な資金で賄われている仕組みとしては大切な ことではないかという御発言がございましたのでこのように整理をいたしまし た。  以上が、別添の報告書に加えて特に強調あるいは追加すべき視点、論点として 御意見を整理させていただきました。複数の御意見をある程度一つにまとめさせ ていただくということで、事務局としては整理したところでございます。  そして、「おわりに」というところで、前回も複数の委員の方から速やかに意 見をまとめて速やかにやるべしという御意見がございましたので、介護サービス 事業者の不正事案を受けて改善できる点については早急に制度改正を行い、速や かに法整備を進められたいという御趣旨を整理いたしております。  それから、前回も前々回も、この事業運営の適正化以外にもさまざまな課題が あるではないかということ、冒頭の方でも検証と評価が必要というふうに整理を していたところでございますが、本部会の議論におきましては介護事業の適正化 以外に介護労働者の労働条件・労働環境、報酬あるいは介護サービス情報公表制 度等々、介護保険制度におけるさまざまな課題について御指摘いただいたところ でございます。今後、本部会ですべきものについては、この介護保険制度全体の 在り方について幅広い見地から検討を行うことにしたいということで、まず事業 運営の適正化については第1段階だということを明らかにしました、以上、意見 案として事務局として整理させていただきましたので、何とぞよろしくお願いい たします。 ○貝塚部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に ついて御質問、御意見がありましたらお願いいたしたいと思います。 ○吉田委員 まずは、この意見案をまとめられたことを、部会長を始め委員の 方々、または事務局の皆様に深く御礼を申し上げます。  私たち労働組合の連合としては、利用者のサービスの確保と、サービス確保を 担保するためのなじみの関係にある介護労働者の雇用の維持という点を主張し てきました。  今回の意見の取りまとめでは、3ページの6つ目の点のところに事業廃止時に おけるサービス確保と利用者の不安解消や従業員の雇用確保への配慮を行うこ とというような文言が入ったことを感謝しています。これについては、行政とし ても制度を運営する立場、または最終的な責任を負う立場から、廃止時の事業が きちんと継承されるような支援がなされるものと考えています。このような趣旨 に留意して、速やかに法整備の方を進めていただきたいと考えます。  また、もう一点、4ページの終わりのところで、今後この部会で検討していく テーマとして労働条件や労働環境というものが入っています。繰り返し申し上げ ていますが、今回のコムスンの件についても、バランスを欠いた介護労働市場が 問題の背景にあったと認識しています。労働環境、労働条件について、是非この 部会でこれからも継続して検討することをお願いしたいと思います。以上です。 ○貝塚部会長 ただいまの御感想、御要望はかなり文章の中には入っております ね。 ○吉田委員 はい。満足しています。 ○貝塚部会長 ほかに何かございますか。どうぞ。 ○木村委員 3ページの下からの2つ目の黒ポツのところですけれども、「事業 廃止時において」云々というところから「適切なケアマネジメントの実施により 利用者の不安解消に努めるとともに」という形になっています。これは要望です けれども、ケアマネジメントそのものをこういうふうに事業廃止時に限定的に表 現する、ここはここで適切だと思いますけれども、もっと介護保険制度の大枠で、 もっと言うならばエンジンそのものがケアマネジメントだと思いますので、各サ ービス提供者全員がケアマネジメントを理解して徹底していくということが大 事だと考えます。  ですから、提案ですけれども、4ページの「おわりに」の2つ目の丸の「本部 会の議論において」云々で「労働条件・労働環境、介護報酬及び介護サービス情 報公表制度など」の中に「ケアマネジメントの充実」という言葉を入れていただ きたいと思います。よろしくお願いします。 ○貝塚部会長 文章としては、終わりから3行目の「情報公開制度など」の後で すか。 ○木村委員 はい。その「など」の前に「ケアマネジメントの充実」という言葉 を入れていただいて、居宅介護支援を一人でやるのではなくてすべてのサービス 提供者がケアマネジメントを理解し、徹底して充実していく。そのことを入れて いただくことが今回のいわゆる法令遵守につながっていくことと考えますので よろしくお願いします。 ○貝塚部会長 井部委員、どうぞ。 ○井部委員 ただいまの発言と関連していることですけれども、コムスンの問題 でマスコミなどで取り上げられた内容の一つに、もちろん不正な人員水増しとか、 いない人の名前が入るとか、そうした不正の請求があったということは聞いてお りますが、もう一つ気になったことは、利用者のニーズに応じて対応したことが ケアプランあるいはサービスプランに盛り込まれていないのに、それを請求した から不正請求というふうな側面もあったと聞いております。  つまり、一言で言えば「ケアマネジメントの充実」ということになると思いま すが、ケアプランやサービス計画が個別のニーズにきちんと対応しているのだろ うか。柔軟なサービス計画が立てられて、個人のニーズにきちんと対応できるよ うになっているのだろうかという問題が潜んでいるのではないかと思います。ケ アプランを立てるということが根幹になるわけですけれども、適切なケアプラン が立てられ、かつ柔軟に変更されて利用者のニーズを満たしているかどうか。そ れを一言で言えば「ケアマネジメントの充実」と言うのかもしれませんけれども、 その側面を常に判断できるような仕組みが非常に重要なのではないかと思いま す。したがって、「おわりに」の部分のただいま指摘のあったところにそうした 意図を盛り込んでいただくといいと私も思います。 ○貝塚部会長 ただいまの御意見は、先ほど木村委員がおっしゃった「ケアマネ ジメントの充実」という言葉にかなり入っていると言えば入っていますが、その 文言でよろしゅうございますか。細かく説明するというのも……。 ○井部委員 きれいに言うとそういうことになります。中身の問題を是非今後も 取り上げていただきたいと思います。 ○貝塚部会長 それでは、先ほど木村委員がおっしゃった点を追加するというこ とで、今の具体的な中身は入っているということを了解した上で、ほかに何かご ざいませんでしょうか。 ○石原委員 前回も申し上げましたけれども、指導監査は厳しく、しかし、専門 性は高くとあえて事業者の立場で申し上げます。  目の前で高齢者などの介護に手を差し伸べている現場では、書類ばかりの指導 監査で字句の正確さや記録ばかりの要求が増え、そのことで間違っているなどの ご指摘が続きますと、忠実な事業者ほど不安が募って、本当に大事なポイントを 見失いがちになります。利用者にとってこの介護保険を使いながら最も適正に専 門性を高く提供するための大切なポイントは何かを、指導監査する側、事業者側、 利用者側で皆が同じ思いで整理をして共有して行けたらと願っています。 ○貝塚部会長 ただいまの御発言は、多分3ページの3つ目の終わりの方の「地 方分権の観点も踏まえつつ、機動的で効果的な指導監督体制を検討すること」と いうところに広く解釈をすると入っているように思いますので。 ○石原委員 具体的にお願いいたします。 ○貝塚部会長 では、ほかにどうぞ。 ○勝田委員 利用者サイドから考えたときに、今回のような事態が起きたという ことはやはり安心してサービスを受けられる場とか、介護の質とかに大きく関わ ってきます。それで、3ページの一番下にあります事業廃止時におけるサービス 確保に当たってはということなのですが、今回も私たちはコムスンの問題で事後 規制をやるとか、強化するということでやっておりますけれども、実は今、現場 の中で人員確保が難しいとか、利益がなかなか確保できないということで、事業 所が知らない間に閉鎖されたり廃止されている現状があります。そしてまた、利 用者にとってケアマネさんがある日突然辞めてしまったりというようなことの 中で、とても不安にさらされることがあります。  実際に、サービスの供給量をしっかり確保していくということも介護サービス 事業運営の適正化だと思うんです。コムスンに振り回されるばかりではなくて、 今、現場で実際に事業所が廃止されている中で、そのときに利用者をどうやって 次につないでいくのか。どうしても辞めるときはある日突然のような形だったり する場合が多々あります。  そういう中で、やはりそこに対する目配りだとか、一体今はどんなことが起き ているのか。その中には人材確保の問題や介護報酬の問題もあると思いますが、 この3番目の一番下の事業廃止時におけるサービス確保ということは、何もコム スンのことばかりではないということを一言付け加えておきたいと思います。 ○貝塚部会長 ただいまの御意見は、具体的にはコムスンの事例があるわけです が、ここで議論をしておりますことは一般的な話としていろいろなことが起こり 得る場合のことに触れているということで。 ○勝田委員 実際に今、廃止されている事業所は結構多くなってきていますので、 そういう数もしっかり把握していただけたらと思います。 ○貝塚部会長 では、課長どうぞ。 ○古都振興課長 事業廃止時というのは通常の場合でも廃止はございますので、 基本的には運営基準上も必ず在宅事業であれば御利用いただいていた方が次に ちゃんといけるようにということを、指定権者には廃止の届出が出てまいります ので、そこできちんとチェックをしているということでございます。そういった ところは自治体とも協力してしっかりやっていくということです。  それから、今のような問題にならないようにするための予防策は何かというこ とで、有識者会議の報告書にもおまとめいただきましたが、廃止の届出は事後に 届け出るということになっておりまして、事後に届け出たときに利用者にはどこ どこに行っていただいたという形になっております。そこは、そうではなくて廃 止の前に事前に届け出ていただくという御指摘もいただいておりますので、是非 そういう方向で、よもやないとは思いたいのでございますけれども、ある日突然 事業所がなくなって利用者が路頭に迷うことのないように、手を打っていきたい と考えております。 ○勝田委員 現場では、廃止された事業所の近隣に別の事業所があった場合、そ の事業所に余裕があって定員増を申請しても認めてもらえないんだ。そこの事業 所では何とかそういう方たちを受け入れたいということで、そういうふうに申請 するんだけれども認められない。泣く泣くお断りせざるを得ないんだという訴え もございます。是非そこら辺で、だれがどう認可するかというのはもちろん地方 の方の裁量だとは思いますけれども、現場では今そういうことも起きてきており ます。 ○古都振興課長 そういう御意見もいろいろございますので、きめ細かく自治体 ともよく連携をとって対応してまいりたいと思います。 ○貝塚部会長 有識者会議の報告書の中の6ページの5の最初の丸のところが 今の話と関係しておりまして、一義的には事業者の責任です。しかし、「他事業 者への個別利用者の紹介や事業の継承に当たっては、事業者間又は事業者と利用 者の間での契約を尊重すべきであるが、その際、手続き」云々と、この辺りは私 は経済学部卒業なので法律のことはあれですが、岩村先生がもしおられれば、要 するにこの種の契約の継続性その他というのは当然労働法のお立場から言えば 考え方があるわけで、それにのっとって適正にするものだという視点で、それで よろしいのでしょうね。 ○古都振興課長 ここにも書いてございますが、基本的には指定事業者という形 で受けたところが一義的には責任を負う。ただ、ここにもう一つ加えてございま すのは、そういったときにいろいろな状況でなかなか難しい面もあるだろう。そ ういうときはきちんと今後は自治体も含めて支援措置を講じていくということ で二重、三重の措置を講じていこうということでございますので、もちろん現在 でも一生懸命現場において行政も含めてやっていただいているとは思いますけ れども、このようなことも含めて今後の制度改正につなげさせていただきたいと 存じます。 ○貝塚部会長 ほかに、どうぞ。 ○天本委員 3ページの一番下の事業廃止時のことで、前回も少し述べさせても らったんですけれども、多様な住まいにおける居住系サービスの場合、この際の 事業廃止時の利用者サービスというのはあくまでも介護サービスという視点だ ろうと思いますが、居住系サービスの場合には居住サービス提供主体と、それか ら介護サービス提供主体とが同一事業体、事業者ということがあり得るわけです。 そうすると、当然そこで介護サービスが事業廃止になりますと、そこの居住サー ビスへの影響というものも、もしかすると一体的に経営が成り立たないというこ となどが起こることも予測し得るわけです。  その際に、要するにここの利用者のサービスというものは、多分これは介護サ ービスだろうと思いますので、ある意味で居住者の生活をどうしていただけるの か。特に高齢者の場合はついの住みか、最後の投資をして財産もこれでなくした というような状況が十分想定し得るわけです。その辺のことは介護サービスで語 るだけの問題ではないかもわかりませんけれども、非常に大きな社会問題化しや すいことですので、利用者のサービス・居住者の生活の継続確保といいますか、 そこまで大きく言っていいのかどうかはあれですが、その点への配慮をどのよう にしていただくのかという疑問がちょっとありますので、御質問させていただき ます。 ○古都振興課長 そこは今、天本委員が言われたように、居住系サービスではこ の住まいでこのサービスをと一体的に提供されている場合が多いかと思います。 それから、有料老人ホームであってもどちらかというと住宅系といいましょうか、 そういったところについては外のサービスを御利用される場合もございます。そ の場合は、介護保険の処分と有料老人ホームの経営とは直接関係はございません ので、恐らくそういう場合はいいのだろうと思います。  ただ、今、言われたのは、例えば最近出てまいりました介護専用型の特定施設 といったようなものはどうなのかということでございますので、そこは私どもは サービスということには非常に広い意味を含めて理解をしております。サービス の継続というのは、利用者は何よりも要介護者でございますので、まずは第一義 的には介護サービスが必要であると。その介護サービスを支えるサービスとして、 当然生活サービスというものをお求めいただいて有料老人ホームに入っている のだということでございますので、恐らく委員のこれまでの御意見からも継続性 を重視すべきで、指定がだめになったからと言ってその建物を出て移らなければ いけないということがあってはならぬぞという御趣旨ではないかと思いますの で、そこはあえて介護サービスとか、そういう表現は使わずに、「サービスの継 続確保」という形で強調した趣旨で書かせていただいたということでございます。 ○天本委員 その点が含まれていれば私はいいと思うんですけれども、特養とか 老人保健施設のような施設系サービスというのは一体になっておりますが、この 特定施設なり有料老人ホームというものがある上に、わけのわからない特定施設 と、特定というようなものがそこに入ってきて、そこがぽしゃってしまうと本体 そのものまでつぶれるということが当然あり得るわけです。お年寄りがそこで大 変問題になるということで、これから大きな社会問題化することを危惧しており ますので、これは介護だけの問題ではないかもわかりませんけれども、今のこと を含んでおるということで私は意見として述べさせていただきます。 ○貝塚部会長 ただいま課長が言われたように、利用者のサービスということで、 ある意味で非常に広目に、場合によっては施設それ自身の問題まで含み得るとい いますか、そういう感じの表現で、ここはやや広目の解釈ということで、何も書 いていないということはある意味で……。 ○天本委員 ですから、実際に起こった後、また同じように予測もしなかったと いう言葉がないようによろしくお願いしたいと思います。 ○古都振興課長 今の御意見をしっかり受け止めまして、生活が分離してしまわ ないように一体のものとして私ども指導なり、あるいは支援なりを考えてまいり たいと存じます。 ○貝塚部会長 ほかに何か御意見ございますか。 ○松本委員 松本でございます。1回、2回と重要な審議のときに欠席いたしま して誠に失礼いたしました。  昨年の報告書、それから今回のそれに追加する部分、それぞれもっともなこと で、私は特に異論があるわけではないんですが、ただいまの御議論を聞いていま して、継続的なサービスを提供している最大手事業者が違法なことをやったこと によって業務停止になって最終的に倒産したという例がもう一つ、昨年ございま す。有名な英会話学校のケースでありまして、相当大きな消費者被害が出ていま す。  違法な行為をやったんだから市場から撤退してもらうというのは当たり前な のですが、その場合にあらかじめ前払いでたくさんお金を払っている利用者、消 費者はいわばとらわれた消費者という立場になっているわけで、つぶれることに よって非常に損害を被る。今おっしゃっていた居住系の介護サービスというのは、 まさに消費者がとらわれているという状況であります。とりわけ、有料老人ホー ムの場合には相当高額のお金をあらかじめ払った上でとらわれるというわけで すから、身の代金ごととらわれているということになって、単に生活ができない プラスあらかじめ払っているお金もなくなってしまうという一番悲惨なことに なる。  今回の介護サービスというのは、あらかじめ払っているお金が返ってこないと いう部分はなくて、従来受けられていたサービスが受けられなくなるというとこ ろですから、まだその限りでは被害の程度は少ないんでしょうが、高齢者である ということから一度そういうサービスから放り出されることによるリカバリー がしにくくなるというような別途の側面もあるのではないか。英会話ですと金銭 的損失で終わる部分はありますか、高齢者介護はそうはいかない。  英会話の場合でも、一つの施策としては他の同業者に講座を引き続きやっても らうというようなことを主務官庁が働きかけて、一部ディスカウントで引き受け ましょうかということになったケースなどもございます。ですから、ここでも書 かれていますように、介護事業者の事業者団体の力をより強化して、今のような 違法行為による撤退の場合、それから個社の経済的事情による撤退の場合も含め て、介護サービスがスムーズに移行できるような力量アップを事業者団体にやっ ていただきたい。  それは、個々の事業者の力量アップも当然含まれていると思うんですが、法整 備だけではなくて事業者サイドあるいは事業者団体サイドの自主的な取り組み を強化しましょうという部分については私は大変賛成で、その一部として今、申 し上げたような一部事業者の撤退の際の代わりのサービス提供等も含めてやっ ていただきたいということです。 ○貝塚部会長 ただいまの御意見は、先ほどの文言と関係する部分ですね。 ○松本委員 別に文言を変えていただきたいという意味ではなくて、賛成で、も っとそこを重視して取り組んでいただきたいということです。 ○貝塚部会長 課長、どうぞ。 ○古都振興課長 まず、今のお話は有識者会議の報告の6ページでもその趣旨が 書かれております。ちょうど私どもが昨年6月6日以降にコムスンの処分を通じ てまさに実体験したと申しましょうか、今、委員の御指摘のとおり私ども都道府 県あるいは市町村と連携をして利用者の不安解消と同時に、言われましたように どこが事業を引き継ぐのかということにつきましても事業者に対する指導と同 時に、更に最終的には指定を受けなければならないということもございますので、 市町村や自治体の協力、あるいは事業者側で引き受け事業者を公募するというこ とでございましたので、そういうところは関係団体にお願いいたしまして、でき るだけ参加をしていただくようにという促しをしたり、そういう具体的なことを 当然やっていかなければいけないだろうと思います。個々の事業者の規模や状況 によってかなり違うとは思うんですけれども、今、申し上げた趣旨で工夫をして、 要はサービスが途切れないできちんと引き続き生活が安定してできるというこ とを具体化すべきだと思いますので、今の御趣旨も踏まえて今後具体の運用に当 たっては努力してまいりたいと考えております。 ○貝塚部会長 ほかに何か御意見がございましたらどうぞ。 ○木間委員 意見案につきましてはこれでよろしいと思っております。今後の運 用上のことについて2点申し上げたいと思います。不正を行いにくい仕組みに関 してです。  1つは、介護事業者の財務内容の公表が必要という点です。介護サービス情報 では財務内容について、事業者は財務内容に関する資料を閲覧可能な状態にして いるか否かという点のみ知ることができます。既に、財務内容を公表している介 護事業者は存在するのですから、不正防止の面からも、介護報酬の検討、または 介護人材の確保の面からも、財務内容の公表を義務付ける必要があると思います。  もう一点も介護情報に関わりますが、介護情報サービス情報を見ますと、介護 職員の実態や利用者への提供実績などがわかります。都道府県と市町村は、制度 に基づく介護サービス情報と指導監督をつなげ、更に苦情と内部告発を突き合わ せれば不正防止にかなり役立つと思います。それには国、都道府県、市町村の情 報共有にとどまらず、苦情相談が寄せられる消費者行政との連携を図ることが必 要だと思います。  先ほど天本委員と松本委員がおっしゃった点でありますが、有料老人ホームに 関しては2000年の4月以前から国民生活センターや消費生活センターに苦情が 寄せられており、高齢者のホームの苦情は市町村の介護保険行政よりも消費生活 センターの方がたくさん寄せられております。それ以外の介護サービスの苦情件 数はそれほど多くありませんが、是非、消費者行政との連携も今後図っていただ きたいと思います。以上です。 ○古都振興課長 今、御指摘がありましたように、特に国民生活センターなど消 費者行政との連携というのは非常に重要な話として我々も努力していかなけれ ばいけないと思っておりますし、私どもも国民生活センターからよく意見書をい ただいておりますので、そういったことも含めて、特に利用者にとって身近なと ころでの行政が縦割りにならないように連携を図っていきたいと考えておりま す。  それから、現在情報公表制度を運用いたしております。そういったことで、今 の閲覧の問題につきましてももっともっと事業者の方々に理解をしていただく 必要があるのではないかと思いますし、社会福祉法人あるいは上場企業の方は公 表されておるわけですが、逆に言いますと非上場の株式会社とか、民間非営利組 織とか、そういうところは制度的にも十分でないところがございますので、そう いった他法他制度の動きも見なが、ら、しかし一方でできるだけ情報が透明にな っていくような仕組みというのは今後考えていく必要があろうと考えておりま す。 ○貝塚部会長 ほかに何かございませんか。 ○高橋委員 大変コンパクトにまとめていただきましてありがとうございまし た。この方向で是非やっていただきたいと思いますが、1点だけ確認があります。  3ページの下から4番目のポツになりますけれども、「指導内容について過度 なばらつきが生じないよう標準化に向けた措置を講じること」とあり、これは是 非進めていただきたいのですが、標準化をだれがするかはこの文章から必ずしも 読み取れないので、これは国がやるのか、国と都道府県と市町村が協力してやる のか、そこを明確にしていただければと思います。 ○貝塚部会長 今の点について、課長からお願いします。 ○古都振興課長 直接個々の指定事業者について、事業所について指導監督を行 うのは当然指定権者であります。都道府県と市町村になります。それから、今度 新しく入れようといたしております事業者の本社本部への指導は、それぞれのエ リアに応じて国あるいは都道府県、市町村がなろうかと思います。  したがって、当然入っていくのは指導担当の職員ということになりますので、 先ほど石原委員からお話もございましたが、どういう観点でどういうことについ てきちんと見ていくのかといったことは当然標準化をしていかなければいけな いし、その考え方についても標準化をしていかなければいけないのではないか。 そういう意味では、前回も申しましたように今もガイドラインとかをつくってお りますが、研修を繰り返すとか、そういう内容を充実していくということを通じ て、若干地味な努力になりますけれども、国、都道府県、市町村が一体となって 取り組むべきことで、主語としてはその3者だという趣旨でばらつきをなくすよ うにしてまいりたいと考えております。 ○貝塚部会長 櫻井委員、どうぞ。 ○櫻井委員 私も一言だけ申し上げたいと思います。今の標準化の御議論はもっ とはっきり言ってもいいんじゃないかという感じもしましたけれども、全体には 有識者会議で7月くらいから議論をしてきて、パーフェクトということではある いはないかもしれませんが、相当程度詰めた議論がそれなりにはされてきたのか なと思っていまして、事は動いているので、あとは速やかにこの文章で示された ツボといいますか、心の部分を上手に法律と、政省令と、それから指針的なもの も含めて、うまく動くような形でつくっていただきたいと思っています。  私は、議員立法を必ずしも悪くないと思っているんですけれども、最近は変な 議員立法も出てくるので、そこら辺は行政の方の技を見せていただきたいという ことで、できました法令等については後で検証させていただくことにしたいと思 っております。  それで、1点だけ具体的に申し上げたいのは3ページ目の下から3つ目のポツ ですが、2行目のところで「各自治体の事業者の不正行為への組織的な関与の程 度などを十分に把握した上で」というところがあります。これは、日本語として は2行目に「上で」というのがあって3行目にも「上で」というのがあると美し くないと思います。  それから、やはり実態をちゃんとわかるということは行政調査をどういうふう にできるかということも含めて前の会議でも議論があったかと思うので、例えば 「組織的な関与の実態を踏まえ、一定の判断基準に基づいて指定・更新ができる ようにすること」というような感じで修正されたらいかがかと思います。  それから、1つだけ付け加えると、先ほどどなたかもおっしゃっていたのです が、その上の2つくらいのところで「機動的な効果的な指導監督体制を検討する こと」という中に書類の話が出てまいりましたが、別のところでも本当にそうで、 ドキュメンテーションばかりなんですね。審査する方も、される方も、本当に紙 の無駄だと思うんですけれども、そこら辺は行政のビジネスモデルとしてやはり もう少し考え直さないといけないということが横断的なテーマとしてはあるか と思っております。いい法律ができるように注視させていただきたいと思います。 以上でございます。 ○貝塚部会長 最初の御意見の文章的な点は下から3つ目のポツですが、最後の 方の「組織的な関与の程度などを十分に把握した上で」というのを「十分に踏ま え」でしょうか。役所の文章というか、霞ヶ関の文章は結構独特なところがあっ て、別に不思議はないのかもしれませんが、「十分に踏まえ」とか、そういう感 じにしたらよろしいですね。 ○櫻井委員 はい。日本語の問題ですので。 ○貝塚部会長 では、表現上の工夫をお願いします。  土居さんどうぞ。 ○土居委員 ここに出ている原案は、基本的に私としてもよい内容で賛成できる ものです。もちろん今、既にお出しになっている修文案も私は基本的に賛成いた します。  ただ、1点私の意見として述べさせていただきたいのは、3ページの1つ目の ポツのところで「不正を行いにくい仕組みに修正する」ということです。これは、 当然そういう精神をこれまでに議論し、更に有識者会議の報告書でも打ち出され ているということですが、ニュアンスとしては不正行為を行ったから厳しく処罰 するというトーンではなくて、むしろ逆に厳しく処罰するということは当然法令 上規定してあるんだけれども、そうすることが得ではないと事業者に思わせる。 不正行為を行うということは得策ではないということを認識させることを通じ て不正行為を未然に防ぐ。そういうインセンティブといいましょうか、そういう トーンがより表に出た方が、不正行為をすれば厳しく処罰するという話ばかりを 前に出すというよりは、健全に事業を営めばよりよい事業が営める。更には、社 会的にも貢献できるということになるのではないかと思います。以上です。 ○貝塚部会長 土居さんの言われる趣旨は、文章にするのは難しいですね。 ○土居委員 そういうニュアンスということで。 ○貝塚部会長 そういうニュアンスを含んでいるという解釈ですね。どうも失礼 しました。  ほかに何かございますか。どうぞ。 ○植木委員 3ページの最後ですけれども、事業者の選定のときの適正な人を選 ぶというところにも関係しますが、不正があった場合に返還及び加算金を確実に 徴収する仕組みを設けるというのは今のところどういうシステムを考えていら っしゃいますか。 ○貝塚部会長 私の素人的な感想ですと、これは結構難しい話ですね。 ○古都振興課長 加算金について徴収できる規定というふうになっております ので、自治体の方からはそうすると非常に時間もかかってなかなか大変である。 一方で、他法他制度の中には徴収金という形でそれを先取りできるという仕組み もございますので、そういったことも参考にしながら、今のできる規定のままで は払ったり、払わなかったりということが起こり得るということですので、そこ を改善すべき必要があるという御指摘かと思っております。 ○植木委員 倒産に関しては、予防はないんですか。 ○古都振興課長 徴収できると言ったときに倒産した場合には恐らく管財人が 入ってくると思います。そうすると、まず何から取っていくかということになり ますから、そういう順番の中に当然入っていくのだろうと思います。 ○貝塚部会長 これは、非常に多様なケースが起こり得るわけですね。倒産して しまうケースというのは本当にどこから取っていくかという話で順位がありま すから、そうでない場合と、割合簡単にいくものと……。    たしか山本町長が、市町村としてはここの部分は非常に実際的にやりにくい部 分だということをおっしゃっておられましたので、そこをもう少しやりやすいよ うにということで、行政上はそういうふうな御趣旨だと思います。  ほかに何かございますか。 ○川合委員 2点です。原則的に私はこれはいい文章だと思いますし、このよう に法案をつくっていただきたいと思いますが、まず1点申し上げたいのは、今回 のコムスン事件に今、拘泥していますけれども、私は素人ですからお教え願いた いのですが、強力な認可制と手挙げ方式の届出制の基本的な我々事業者の考え方 としては、認可制の場合は認可したところにも責任がありますねということだと 思うんです。それで、ここ4、5年流れが変わってきて、手挙げ方式による届出 制を後で追認するというところには事業者のかなりの責任がある。  ですから、確信犯かどうかわかりませんけれども、今いろいろ議論されたこと に関して厳罰に処するという法文的なところはこれからプロがされるんでしょ うから、それはそのとおりにしていただきたいんですが、やはり一罰百戒じゃな いですけれども、きちんと厳罰は下るんだぞというふうなことは届出制であるか らこそ、それはあなたにも責任があるんですよという概念、認可制の場合は認可 した方に大きな責任があると考えます。  そういう点で私は前回も申しましたけれども、行政サイドは実地指導監査、そ れを包括した全段階が監督だと思うんですが、いきなり「監査」という言葉を使 われてしまいますと、この「監査」の後ろには専門用語として「行政処分」があ りますので、やはりこの場で、平場で議論する場合は今、座長もおっしゃったよ うに「監督」という言葉で統一をしていただきたいと思います。  我々はこの2つ目のポツの「自主的な」ということで取り組んでおりますし、 団体による研修はヒアリング等々で、手前みそで我田引水で恐縮でございますが、 全老健はものすごくいい研修をしているという評価をいただきましたので、我々 はそれに自負を持っております。そういうふうな意味で、「監査」と「監督」と 「指導」という審議会レベルでの発言にはきちんとめり張りを付けてお願いをし たいと思います。議事録に残ってしまいます。  そのところでばらつきということは、やはり厳罰に処したようなことが起こっ たときに、行政指導の中でのばらつきは主語が3人になるのか1人になるのか、 それはわかりませんけれども、きちんと統一したことをお願いしたいと思います。 それが1点目です。  2点目は、継続性ということをいろいろ議論されました。これは私の4、5年 前の経験ですけれども、ある箱物のところが、箱物のサービスは継続したいけれ ども、いわゆるケアプラン事業は人数不足になってきてできないから返上せざる を得なくなった。そこで私共にケアプランだけを作ってくれないかと依頼があり ました。その業者だけでなく行政からもありました。ケアマネージャーの数とか、 いろいろなことを考えますと、こちらも営利ではありませんが、やはり職員に給 料を出さなければならない。ケアマネージャーに過度の負担を与えることはでき ないという観点から、お断りした方がいいのではなかろうかといろいろと悩みま した。  ですから、ペナルティを課して、それを剥奪するのはいいことなんですけれど も、利用者のサービスを受ける継続性という意味でそうしたら別の業者にあなた のところでいいことをしているんだったらケアプランを続けてつくってやれよ と言われても、現場のスタッフのことを考えるとちょっとしんどいですねと答え たいなというようなこともありましたという経験論をお話させていただきまし た。 ○貝塚部会長 ただいまの御発言は3つ目のポツで、要するに「機動的で効果的 な指導監督体制」ということで、これはかなりいろいろなレベルがあるんですね。 ですから、指導というのはある意味では緩やかで、監督というのは先ほどおっし ゃったようにそれに従わないとすると何か変なことが起きたときにパニッシュ メントとか、そういうものが起こり得るということは多少含んでいる。これはか なり多様な言い回しなので、言われた趣旨は入っているかと思いますが。 ○古都振興課長 まさに今おっしゃいましたように、私ども前回は「監査指導」 などという表現を使っておりましたが、それは整理をさせていただきまして「指 導監督」であり、「監査」は別だというふうに理解しています。そのようにばら つきの解消について努力していきたいと思います。 ○貝塚部会長 ほかによろしいですか。では、どうぞ。 ○桝田委員 3ページの4番目の問題ですけれども、指導内容についてばらつき が生じないようにという部分で「過度なばらつき」という表現なんですが、この 過度なばらつきが生じないということは少々ばらつきがあってもいいのではな いかという考え方に入っていくのではないか。でき得る限りばらつきが生じない ようなと、まず標準化というのが先にあって、ばらつきを認めるというのではな くて、できる限りそろえていくというふうな表現の方がいいのではないか。事業 者側からすると、「過度な」と言われたら少々あってもいいという裏の読み方に なってしまいますので、よろしくお願いします。 ○貝塚部会長 私は、ここの部分は要するにばらつきはある程度あるのが当然と いうか、各自治体がそれぞれやっていますから、違う自治体であればちょっと違 うというか、それはそれで地域の特性に従って多少違っているということがある。 ただ、それはむしろ介護サービスのある意味での特徴を市町村が中心でやってい る。  ただ、考えてみれば随分開きがあるという話が起きてくると、これは地域間の 話として非常にまずいわけですね。その辺は微妙で、「過度なばらつき」という のはかなり分権的にやらなくちゃならないので、自主的にやってそれで違いが出 てくる部分はある程度はそのとおりだけれども、しかし非常にばらつきが増えて しまうと、介護保険のシステムは全国の社会保障のシステムですから、そういう ふうなニュアンスで受け取っていますが、それでよろしいですか。 ○古都振興課長 基本的には、自治体の事務は自治事務という扱いになっており ます。  全国統一で介護保険の省令等を決めておりますので、そういう意味ではナショ ナルスタンダードとしての標準化はしていかなければならないと思っておりま す。ただ、そのときにどうしても地域の中で多少解釈の幅が出る。確認の仕方に ついても、同じものを確認するにしてもどういう形で確認するのか。多少それは 自治体によって個性が出てまいるところもございますので、そういったところは 我々もできるだけ平準化をしていくという趣旨も踏まえて書かせていただいて おりますが、国の事務として実施するわけではございませんので、自治事務とし ての部分もある程度評価をしていくという趣旨でございます。 ○貝塚部会長 今のところを余り強く言われると、山本委員にしかられるんじゃ ないかと思いますが……。  では、どうぞ。 ○野呂委員(代理・渡辺委員) 委員の三重県知事がスケジュール調整がつかず に、今日も代理ということで申し訳ございません。  先日、野呂知事にこの件を説明申し上げました。その際に、実際の運用に当た っては国、自治体間で情報共有と連携が欠かせないので、今後も連携を密にして 十分に調整を行ってほしいというようなコメントをいただきましたので御紹介 をさせていただきたいと思います。  本日、御提示のありました意見案につきまして、基本的にこれでいいかなとい うふうに私は思っております。特に前回もお願いをいたしましたが、報告書の案 の3ページにございます下の方の連座制の関係の問題でございます。一定の判断 基準に基づいて指定・更新ができるようにということで、このことにつきまして はその更新の判断、説明責任は自治体の責任ということになってこようと思いま すので、やはり制度の根幹をつくっていただきます国の方でできるだけ具体的な 形で基準の提示をしていただけるとありがたいといいますか、そういう提示が必 要であると思いますので、よろしくお願いをいたします。  それから、先ほど来も自治体が実施をいたします指導監督といいますか、それ につきましていろいろ御意見が出されております。過度なばらつきが生じないよ うに標準化が必要であるということで、「標準化に向けた措置を講じること」と 3ページも書いてございます。実際に事業者の保護、あるいは高齢者の状況をい ろいろと見させていただきますと、高齢者の置かれた状況あるいは御本人の環境 というのはまちまちで、一人ひとり違うものがございます。介護サービスのフォ ーマルなサービスでいくのか、あるいは地域等のインフォーマルなサービス、社 会資源を使っていくのかとか、いろいろな状況に応じた運用の判断というものが あろうかと思いますので、なかなか県の中でも実際に一律にいかないケース、見 た感じが一律にいかないところが出てくるかとは思っておりますが、当然合理性 のない違いではいけませんので、やはり県の中でも研修会を開いたり、あるいは 難しい判断に迷うことについては厚労省の方にもお伺いをしたりということで 運営をしているところでございます。  そこで、自治体間の標準化のためにはやはり自治体の担当者の方に研修会なり 情報交換会といったことを国の方でもお考えいただくとか、あるいは地方でそう いうことをやる場合に厚労省の方でも支援をいただきたいと思います。  どの自治体も人、金とも非常に厳しい状況にございますので、自治体の職員は 悪いことがあれば正していきたいと皆、思っておりますし、一生懸命やりたいと 思っておりますので、その辺の御支援の方もよろしくお願いしたいと思います。 以上です。 ○古都振興課長 そういう御趣旨を踏まえて今後の作業を進めてまいりたいと 思います。○貝塚部会長 ほかによろしゅうございますか。  私が伺っているところ、全体としては賛成であるということで、多少の修文な いしはどう読むかという話、何を含むかという話で、1か所修文があるかと思い ます。3ページの下から3つ目のポツですが、「組織的な関与の程度などを十分 に踏まえ」というふうに変えさせていただきます。あとは、文章それ自身の修正 はありませんね。 ○木村委員 先ほどの「ケアマネジメントの充実」というのをどこかに入れてい ただきたいと思います。お願いします。 ○貝塚部会長 わかりました。「介護情報サービス公表制度」の次に「ケアマネ ジメントの充実など」ということですね。では、その2か所を修文及び追加とい うことでそこを修正しまして、一応この介護保険部会としてはその修正を含めて 皆様方これでよろしゅうございますか。  それでは、今回のこの介護保険部会はそういうわけで案を正式の部会の意見と して提出するということで、これで一応私どもの仕事は大体終わったのかなとい うふうに思います。  あとは事務局あるいは局長から何かあればよろしくお願いします。 ○阿曽沼老健局長 意見をまとめていただきましたので、私どもとしては立法作 業にこれから入りまして、できれば今国会に提出をすべく、できるだけ迅速な作 業をしたいと思っております。 ○貝塚部会長 先ほど来、なるべく早く立法措置ということで、その点、厚生労 働省はいろいろな業務を抱えておられますが、とにかくこれもなるべく早く国会 の中でと思います。  それでは、ここの介護保険部会はこれをもって終了させていただきます。どう も委員の方、いろいろ御協力いただきましてありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省老健局総務課総務係 東(あずま)   TEL 03−5253−1111(内線3913)   FAX 03−3503−2740 1