08/02/01 社会保障審議会 第3回少子化対策特別部会議事録 第3回少子化対策特別部会 議事録 日時:2008年2月1日(金) 17:00〜19:15 場所:厚生労働省 省議室 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、飯泉委員、岩村委員、内海委員、大石委員、小島委   員、清原委員、駒村委員、佐藤委員、杉山委員、宮島委員、山縣委員、吉田委員  事務局   大谷雇用均等・児童家庭局長、村木審議官、高倉総務課長、朝川少子化対策企画室長、   小林虐待防止対策室長、定塚職業家庭両立課長、藤井家庭福祉課長、田中育成環境課   長、井上児童手当管理室長、義本保育課長、千村母子保健課長  参考人(オブザーバー)   社団法人日本経済団体連合会経済第三本部長 今井克一参考人(福島委員代理)  参考人(ヒアリング出席者)   ○全国中小企業団体中央会 専務理事   市川隆治参考人                労働政策部長 原川耕治参考人   ○日本商工会議所     醍醐建設株式会社 代表取締役社長      東京商工会議所 少子高齢化問題委員会 副委員長 田中常雅参考人     理事・企画調査部長                近藤英明参考人 議第次第:  次世代育成支援に関する先行して取り組むべき制度的課題について 資料:  資料1   児童福祉法等の一部を改正する法律(案)の主な内容  資料2-1  中小企業団体中央会の概要(全国中小企業団体中央会)  資料2-2  子育てサポート中小企業応援マニュアル(全国中小企業団体中央会)  参考資料1 飯泉委員提出資料  参考資料2 大石委員提出資料  参考資料3 第1回少子化対策特別部会3-1  参考資料4 第1回少子化対策特別部会3-2 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から「第3回社会保障審議会少子化対策特別部会」を開 催いたします。委員の皆さまにおかれましては、お忙しいところお集まりくださいまして ありがとうございます。  議事に入ります前に、事務局より資料の確認と委員の出席状況に関するご報告をお願い いたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配布させていただいております資料の確認をさせていただきます。 まず1枚目に「議事次第」があります。次に横紙の資料1「児童福祉法等の一部を改正する 法律(案)の主な内容」、その下に中小企業団体中央会の関係の資料2-1があり、その下の 冊子は資料番号を付しておりませんが資料2-2でございます。その下に参考資料として飯泉 委員と大石委員からの提出資料、参考資料3、4は第1回でお配りした資料です。一番下に は、部数の関係で委員の机上のみに配布していますが、全国中小企業団体中央会より発言 要旨の提出がありましたのでお配りしています。もし不足等がありましたら、事務局へお 声を掛けていただきたいと思います。  次に、本日初めてご出席いただきます委員がおられますので、僭越ですが事務局よりご 紹介申し上げます。  慶応義塾大学経済学部教授の駒村康平委員です。 ○駒村委員  駒村です。 ○朝川少子化対策企画室長  大阪市立大学生活科学部教授の山縣文治委員です。 ○山縣委員  山縣です。前回は欠席いたしまして申しわけありませんでした。 ○朝川少子化対策企画室長  委員の出席状況でございますが、本日は庄司委員、福島委員、山本委員からご都合によ り欠席とのご連絡をいただいております。それから、岩村委員と佐藤委員は出席の予定で すが、遅れるという連絡をいただいております。なお、福島委員の代理として、社団法人 日本経済団体連合会経済第三本部長の今井克一参考人にご出席いただいております。  ご出席いただいております委員の皆さま方は定足数を超えておりますので、会議は成立 しております。  次に、本日参考人として本部会にご出席いただいております参考人のご紹介をさせてい ただきます。全国中小企業団体中央会専務理事の市川隆治参考人です。 ○市川参考人  市川でございます。よろしくお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  全国中小企業団体中央会労働政策部長の原川耕治参考人でございます。 ○原川参考人  よろしくお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  日本商工会議所、醍醐建設株式会社代表取締役社長、東京商工会議所少子高齢化問題委 員会副委員長の田中常雅参考人でございます。 ○田中参考人  田中です。よろしくお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  日本商工会議所理事・企画調査部長の近藤英明参考人でございます。 ○近藤参考人  近藤でございます。よろしくお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。議事に入る前に、本日欠席委員の代理としてご出席の方につ いてお諮りいたします。福島委員の代理としてご出席いただいております社団法人日本経 済団体連合会経済第三本部長の今井克一参考人のご出席について、いかがでしょうか。ご 異議はありませんか。  ありがとうございます。それでは議事に入りたいと思います。本日は、お手元の議事次 第にありますように、次世代育成支援に関する先行して取り組むべき制度的課題について、 次世代法および児童福祉法の見直しにかかわるご議論をお願いしたいと考えております。  まず、制度改正の案について、事務局からご説明いただき、その後、全国中小企業団体 中央会および日本商工会議所から意見陳述をいただき、その後、これらのご意見に対する 質疑を含め、まず、次世代法の見直しについて意見交換をお願いしたいと思っております。 そしてその後に、児童福祉法の見直しについて意見交換をお願いいたします。  それでは、事務局から制度改正案についてご説明をお願いいたします。 ○高倉総務課長  雇用均等・児童家庭局総務課長でございます。資料1に沿って、現在検討を進めており ます次世代育成支援ということで行う「児童福祉法等の一部を改正する法律(案)の主な内 容」についてご説明させていただきます。  なお、この資料1の右上の所に※で書かせていただいていますけれども、この全体像の 中で特に2ページ目に出てまいります社会的養護の関係につきましては、別途本日先ほど 行われました社会保障審議会の児童部会において検討ということでご議論をいただいたと ころでございます。  それではこの全体像でございますけれども「趣旨」といたしましては、12月に本特別部 会が立ち上がったときにご説明させていただいておりますが、「子どもと家族を応援する日 本」重点戦略等を踏まえて改正していくということでございます。内容に入らせていただ きます。1番目として「児童福祉法の一部改正」の一般的なサービスにかかわる部分を(1)と して1ページ目に掲げております。子育て支援事業などを法律上位置づけて、質の確保さ れた事業の普及促進に資するようにしてまいりたいというものです。  具体的には、まず(1)としまして、以下の事業ということで(1)、(2)、(3)、(4)それぞれ後ほ どご説明しますが、これらの事業について法律上明確に位置付けまして、省令で必要な基 準等を設け、都道府県知事への届け出・指導監督等にかからしめるというものです。  個別の事業につきましては、定義のイメージということで、4ページをご覧いただけます でしょうか。「子育て支援事業の定義規定のイメージ」ということで書かせていただいて おります。1番目から4番目までが1ページ目の(1)に対応しております。  まず1番目の「乳児家庭全戸訪問事業」これは平成19年度から予算で交付金事業の対象 としており、通称としては「こんにちは赤ちゃん事業」と呼んでおりますけれども、法律 上今般これをここに書いてありますように「原則として市町村内の乳児のいるすべての家 庭を訪問」することにより、省令で定めるところにより以下の四つのことを行う事業です。 一つは「子育てに関する情報の提供」、二つ目には「乳児及びその保護者の心身の状況及び 養育環境の把握」、三つ目には「養育についての相談及び助言を行う」、また四つ目として 「必要に応じて」ということで、(2)番目の養育環境等を把握してみると、どうもこれはサ ポートが必要だという場合には、「養育支援家庭訪問事業」という2番目に書いてある事業 などにつないでいくといった事業として規定しようというものです。  2番目は「養育支援家庭訪問事業」と書いていますが、1番目の事業を通じて、どうも継 続サポートが必要だと把握された方々というのが(1)ですけれども、そういった方々に対す る訪問を継続してサポートしていくということ。また、それ以外の経路からもいろいろな 形で要支援だと把握された場合にはサポートしていこうということで、(2)として「保護者 に監護させることが不適当であると認められる」主に虐待等の情報があったという場合で す。(3)は、従来の予算事業をさらに少し拡張して予防的な観点も取り上げていこうという ことで書き足そうというものですけれども、出産後の養育についても出産前において支援 を行うことが特に必要と認められる妊婦。これはこの後大変だなと考えられるような場合 には、妊娠の段階から、こういった養育支援の取り組みの輪の中に入れていけるように、 そこも含めて書き込んでいこうと考えております。  3番目は「地域子育て支援拠点事業」です。具体的な詳細は厚生労働省令で定める予定で すが、「親子のひろば」といった名称などで行われている事業です。乳児または幼児及びそ の保護者が相互の交流を行う場所を開設し、子育てについての相談、情報の提供、助言そ の他の援助を行うという形で規定しようと考えています。  4番目は「一時預かり事業」です。「家庭において保育されることが一時的に困難となっ た乳児又は幼児について」、これは両親が働いていることに限らず、いわゆる専業主婦の方 のご家庭も含めた全家庭の対策としてニーズがある場合に、厚生労働省令で定めるところ により、主として昼間において保育所その他の場所において一時的に預かり必要な保護を 行う事業と規定していこうと考えています。  5番目は省略して、1ページ目にお戻りいただけますでしょうか。今、申し上げました(1) 〜(4)の事業を、そういう形で法律に位置付けていくということにしておりまして、2番目の ○にありますけれども、従来から児童福祉法に既に書いてありますいろいろな事業につい ては、市町村の実施努力義務が規定してございますので、今般明記していく(1)〜(4)につい ても同様の市町村の措置の実施に努めるものとするという規定の対象となるということで す。  ※のところでございますけれども、児童福祉法にそのように位置付ける改正に合わせま して、社会福祉の各種の事業の通則規定であります社会福祉法も改正いたしまして、これ らの(1)〜(4)の事業また後述いたします養護関係の小規模住居型の事業について、第2種社 会福祉事業と社会福祉法の中にきちんと位置付けるということにより、社会福祉法の中に ある規制と助成の仕組みである事業開始・指導監督の規定、あるいは消費税などの非課税 措置というメリット等の対象となるという法効果が生じるというものです。  (2)の家庭的保育事業の法律上の位置付けにつきましては、今週の月曜日に開かれた特別 部会の中でヒアリングも含めてご議論いただきましたので、詳細な説明は省略させていた だきますが、特に最初の○にございますように、これは保育に欠ける乳児または幼児を家 庭的保育者の居宅などにおいて保育する事業。家庭的保育者としては「保育士であって市 町村の行う研修を修了した者その他の省令で定める者で、市町村長が適当と認めるもの」 と整理しようと考えていますけれども、その方々の「居宅等において保育する事業につい て、法律上位置付けるとともに、省令で必要な基準等を設ける」という内容でございます。 保育所保育を補完するものという位置付けで行い、必要な規制の対象とするというもので す。この点については、前回の特別部会で取りまとめていただきましたことを受けて、私 どもとしては省令等を定めていくに当たりましては、前回座長からご指示のございました 「幅広い関係者の参加の下に、開かれた議論で皆の納得のいく形できちんと質を担保する ような基準をつくっていくべき」という結論に沿って進めてまいりたいと考えています。  次のページに入ります前に、最後の5ページですけれども、法律効果につきまして、若 干の補足説明の資料でございます。左側が「乳児家庭全戸訪問事業」あるいは「養育支援 訪問事業」、「地域子育て支援拠点事業」の三つですけれども、これらは社会福祉法の第2 種社会福祉事業としての規制の対象とするということで、緩やかな規制ということで、事 後届け、そして必要に応じて報告徴収、立入検査は可能ということですし、どうしてもそ ういったことに応じない、あるいは不当な行為をした場合などは、事業の制限・停止命令 をかけることができるといった規制体系の下に置くということになります。  一方、「一時預かり事業」と「家庭的保育事業」につきましては、保護者と分離した形で サービスを提供するという事業になりますので、より強い規制の必要性があるという考え 方から、事前届け出の対象とするということ。そしてまた左側と比べますと、命令のとこ ろで「事業が基準に適合しない場合は、必要な措置を命ずることが可能」。いわゆる改善命 令といったようなものの対象にするという体系を予定しています。  下の枠に書いてありますのは、この他の法律効果ということで、(1)〜(5)が、いわゆる規 制の系統ですけれども、(6)にあります「消費税、登録免許税等の非課税措置の対象となる」 というメリットの対象にもなるということです。  2ページ目にお戻りいただいて、これは困難な状況にある子どもや家庭に対する支援、い わゆる社会的養護の分野でございます。こちらにつきましては、児童部会においてご議論 いただいたということで簡単な説明にさせていただきますけれども、虐待などが増えてい て、なかなか本来の保護者の下での養育が適当でないとそういう社会的な養護を必要とし ている子どもが増えている中で、できるだけ家庭的な環境の中での養護の提供を増やして いくべきであるといった基本的な考え方から、一つにはまず里親制度を改正し、養子縁組 を前提とした里親と区別して養育里親ということを位置付けていき、また研修等の要件を 定めていこうというものです。  (2)は「小規模住居型児童養育事業(仮称)」と書いておりますが、養育里親のところで過ご していくというメニューに加えて、もう一つ別の形で、養育里親的な養育者の住居で数名、 実際には5、6名程度の範囲内というのを念頭に置いていますけれども、そういった所で要 保護児童を養育する、通称「ファミリーホーム」といったようなことで今、先駆的な実態 がございますけれども、そういう類型についても法律上きちんと位置付けて、家庭的な環 境での養育の場のメニューを増やしていこうというものです。  (3)は「要保護児童対策地域協議会の機能強化」ということで、特に虐待等を受けた子ど もたちをケアするのに、子どもたちのサポートをチームワークでやっていこうという協議 会でございますけれども、その協議対象を要保護の児童だけにとどめずに、要支援といい ますか養育支援が特に必要である、要保護まではいかないけれど要サポートだというとこ ろに拡大する。また、先ほどの説明でも関連事項がありましたが、妊娠の段階でも、どう もこれは養育支援が今後必要であるといった場合には、生まれる前から要保護児童対策協 議会のネットワークの見守りの中に入れていこうということを規定していこうと思ってい ます。また、2行目にありますのはこの地域協議会のネットワークの中に一つ調整機関を置 くとなっていますが、その調整機関に例えば児童福祉司のような能力というものを念頭に 置いていますけれども、実際の対処能力のある方を置くように努めていただきたいという 規定を盛り込んで機能強化を図りたいということです。  (4)番目は「年長児の自立支援策の見直し」です。これは児童自立生活援助事業というも のがありますけれども、そこの提供形態のきっかけを利用者申し込みというものも認める とするとともに、今は義務教育終了後の児童だけになっていますけれども、18歳19歳とい う分野でもサポートが必要だという実態がありますので、その部分も対象に追加しようと いうような見直しです。  (5)番目は「施設内虐待の防止」に関する規定の整備です。現在はこういった部分につい て、まだ規定がないということで、従来から児童虐待が議員立法で改正がなされたときに、 施設内虐待についても一連の規定の整備を行うようにと宿題になっていたものです。  (6)その他関連事項ということで、児童家庭支援センターという所で、今、保護者指導を やっていただいておりますけれども、そこ以外の場にも能力があれば委託できることにし ようと。あるいは児童家庭支援センター自体も児童福祉施設に附置要件がありますけれど も、これは単独でも能力があれば良いだろうということです。また、最後の○は、養育里 親を増やしていこう、あるいは小規模住居型も含めた児童養護施設を増やしていこうとい ったことについて、できるだけ都道府県に計画的な整備をしていただけるように、必要な 法的規定を設けていきたいというものです。  次に3ページです。本日の本題部分ですけれども、3番の次世代法の改正関係です。地域 関係と職域関係がありますが、地域関係につきましては、まず(1)「国による参酌標準の提 示」です。現在の次世代法に基づく市町村行動計画を策定していただくに際しましては、 特段量的な整備について国からお示ししているような標準というものはないわけですけれ ども、年末におまとめいただいた重点.戦略の基本的な考え方として、そういった市町村ご とに目の前の顕在化しているような、例えば待機児童の需要などに過去の延長線で対応し ていくという計画づくりでは間に合わないのではないか。むしろ、ナショナルゴールとい う国全体の考え方として、重点戦略で議論となりましたのは、例えば、今後働き方を抜本 的に見直していく必要があると。働き方を見直していって女性で結婚・出産出した後も就 業を継続したいと思っている方が相当数おられるわけですが、そういった方々がすべて継 続就労が可能となるためにはどれぐらいのサービス量が必要なのかとそういう考え方に立 って将来からその世界から展望して市町村にも計画を作っていっていただく。そういう考 え方に切り換えていくべきだといった重点戦略における議論を踏まえて、国がそういう考 え方に基づく標準を設定し、これを参酌していただいて市町村行動計画を策定していただ く、こういう方法論に切り換えていきたいというものです。  (2)には、これも重点戦略の中でも1本目の非常に大きな柱として、今後は働き方の見直 し、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現ということに向けた取り組みを国 民運動、社会全体の運動にしていくべきだという方向が打ち出されたわけですけれども、 それを次世代の地域行動計画の策定プロセスの中にもきちんとそういう視点が入っていく ようにするための、いわば手続保障をしていこうという考え方から、市町村、都道府県が 行動計画を策定・変更しようとするときは、住民の意見を反映させる。これは現行でも書 いてありますけれども、その他、労使を参画させるよう努めるものとするという規定を設 けて、手続保障を行っていきたいというものです。  (3)は地域行動計画につきまして、従来は計画策定期間を5年とするという定めだけがあ りまして、特段定期的にチェックをしていこうといったところまでは書き込んでいなかっ たのですけれども、近年の実績を踏まえて考えますと、さらにここのところはてこ入れを して定期的に実施状況などを評価し計画の変更などの措置を講ずるよう努めると。いわゆ るプラン・ドゥ・シーでアクションにつなげて改善していくという考え方を明確に規定し ていこうということで書いているものです。  4番以下が今度は事業主、職場関係でございます。いわゆる民間の事業主を次世代法では 一般事業主と呼んでいますので、それを4番に書いております。次世代法に基づいて一般 事業主の行動計画、働く方々が仕事と出産・子育てなどを両立しやすくするための行動計 画を作っていただくという法制で、現在は301人以上の大企業の事業主について行動計画 の策定届け出が義務付けされていますけれども、それをさらに対象を広げて中小事業主の うち100人超の事業主の方にはこの行動計画の策定・届け出を義務にさせていただきたい というものです。  (2)は、一般事業主行動計画につきまして、せっかく作っていただいた計画につきまして、 そういった計画の策定や届け出義務のある事業主につきましては、世間にも公表していた だき、また従業員にも周知していただく。この辺りを義務付けるということにさせていた だきたい。また、この公表・周知につきましては、行動計画の策定・届け出が努力義務の 事業主、現在でいうと300人以下、今後は100人以下ということになりますけれども、そ ういった事業主についても公表や周知については、努力義務は設けさせていただきたいと いうものです。  欄外の※に書かせていただいておりますのは、必ずしも法律事項でないものも入ってい ますので欄外にしていますけれども、(1)、(2)で書いたことは、いわば事業主の皆さまに従 来以上の取り組みをお願いする部分でございますので、お願いするだけではなくてサポー ト、支援を充実する。あるいはそういった積極的な行動計画を作っていただいただいた場 合にはメリットがあるというような部分を、さらに充実させていきたいというもので、ま ず一つには(1)次世代育成支援対策推進センター、これは次世代育成支援対策推進法に基づ いて厚生労働大臣が指定するということで、今、全国で94カ所を指定していますけれども、 そこの事業主が行動計画を策定して実施していくという局面で、より適切に支援していけ るように、国としても応援を考えていきたいということです。  また、後段に書いておりますように、地域における国、地方公共団体、事業主及び次世 代センター等の連携・協力の強化です。事業主行動計画につきましては、国の出先機関で ある労働局に届けていただくということで、国は情報持っていますが、必ずしも地方公共 団体と共有されないという現状がありますので、ここはやはり地域の中で活かしていける ように情報も共有していくようにという考え方から、連携・協力を法律の規定にきちんと 盛り込んでいきたいと考えております。当然、地方公共団体だけでなく事業主あるいは次 世代センター等も含めて連携・協力して取り組んでいくようにしていきたいと考えていま す。  (2)は、一般事業主行動計画を策定していただいて、そしてそれを実施していただいた暁 に、現在一定の要件を満たした場合には厚生労働大臣が認定します。認定すると「くるみ んマーク」というマークを付与するということで、そのマークを大いに製品の販売等の営 業あるいは職員採用等の局面で、良質な会社であるとPRに使っていただけるという付加価 値のあるマーク制度を平成19年度から始めておりますけれども、現時点では認定するため のハードルとして「男性の育児休業取得者1名以上」というものを含んだ認定基準で運用 しています。しかしその場合に、大企業の場合は別ですが、100人超ぐらいの中小企業の場 合には対象年齢層の男性の従業員がいないといったようなことも考えられることから、そ ういった場合には他の面で十分良い取り組みをしていただいている場合には、必ずしもそ の「男性の育児休業取得者1名以上」というハードルはなくてもよいのではないかという ように、中小企業に関しては緩和して、メリットである「くるみんマーク」をより取得し やすくしていくようにしたいと考えています。  最後の5番目は、次世代法の用語の体系として、国や地方公共団体の長いわゆる公務セ クターの事業主を特定事業主と呼んでおりますけれども、特定事業主もその職員のために 計画を策定しなければならないとなっておりますが、既にここは、官は民よりも一歩先を 行って率先垂範すべきだという議論もあって、既に公表義務がかかっておりますけれども、 まだ従業員への周知義務というものはないので、これは民間にもお願いすることですので 当然公務セクターでも同じ義務付けをしたいということ。そしてまた、これは民間には今 回そこまでは義務化は考えないことにしていますけれども、公的セクターにおいては計画 を公表するだけではなくて実施状況も公表して、ある意味世間の批判を受けながら、きち んと自分たちを改善していくための努力をしていくというように規定を設けてきたと考え ております。概要は以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。続きまして、ただ今ご説明がありました「児童福祉法等の一 部を改正する法律(案)の主な内容」につきまして、4人の参考人からご意見を伺いたいと 思います。最初は市川参考人、原川参考人からご意見をお願いいたします。 ○市川参考人  ご紹介いただきました全国中小企業団体中央会専務理事の市川でございます。本日はよ ろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。  まず資料2-1に私どもの団体の概要が書いてございます。残念ながら、必ずしも中小企業 団体中央会についてはあまり目に触れることが少ないのではないかと思いますので、若干 のご説明をしたいと思います。名前の中に「団体」の2文字が入っておりますように、私 どもは真ん中より下にずらずらと並んでおりますが、事業協同組合でありますとか信用協 同組合、火災共済協同組合等の中小企業が、1企業だけではなかなか力不足なので、組合と いう組織を作って一致団結して力を発揮していこうという組合を指導・監督、支援をする 団体ということです。その図にもありますように47都道府県にそれぞれ中小企業団体中央 会があります。その全国組織として私ども「全国中小企業団体中央会」というものがござ います。中小企業組合の数としましては私どもの傘下に約3万2,000の組合がございます。 それぞれの組合がさらに中小企業何社かで構成をしておりますので、中小企業の数という ことでカウントしますと約305万の中小企業が私どもの傘下に入っているということでご ざいまして、資料2-1の一番下にありますようにいわゆる組織率ということで計算をしてみ ますと、全国に約430万の中小企業者がいるわけでございますが、そのうちの約305万と いうことで7割強の組織率になっています。日本の中でこれだけの組織率を擁しているの は、私ども中央会だけであると自負をしているところでございます。  次に私ども中央会の次世代育成支援対策への取組でございますが、私どもは歴史的にも 労働政策につきましてかなり深く取組んでおりまして、若年者・高齢者・障害者の雇用で ありますとか、今報道にも盛んに出てまいります日本版デュアルシステム等についても深 く関わっております。それとともに、この次世代育成支援対策につきましても、積極的に これまで取り組んできているところでございます。具体的には次世代育成支援対策推進法 が制定されて以来、今日まで中小企業に対するこの法律の周知それから中小企業の実情に 合った行動計画の策定支援ということを行ってきたわけでございます。先ほどの高倉総務 課長のご説明にございました次世代育成支援対策推進センターというものが全国に94カ所、 大臣の指定を受けて活動しているわけですが、その94カ所の内36カ所が私どもの都道府 県の中央会でございますし、また私ども全国中央会もそのセンターの一員でございますの で、合計37カ所の中央会がセンターの仕事をさせていただいているということでございま すので、94カ所のうち約4割を私ども中央会でやらせていただいているという状況でござ います。積極的に取り組ませていただいているということですが、具体的には平成16年度 から厚生労働省の委託を受けまして、本日まだおみえになっていませんが、この審議会の メンバーでございます佐藤博樹委員のご指導を受けまして、中小企業のための行動計画策 定マニュアルというものを策定し、2万部印刷しまして役立てております。また平成18年 度には認定取得マニュアルということで、これも2万部作成しております。今日の資料の 中のピンク色のマニュアルです。これを平成18年度事業として策定したところでございま す。また本年度、平成19年度につきましては、今作成している真っ最中ですが、中小企業 の認定事例等を集めましたマニュアルを作成し、この事業に取り組んでいるということで ございます。このように私ども中央会は4年にわたりまして中小企業における行動計画の 策定・届け出、そして認定制度の普及、先ほどご説明ございました「くるみんマーク」で ございますが、その認定制度の普及等にも取組んでまいりまして、成果としましては徐々 にはありますけれども上がってきているのではないかと自負しているところでございます。  昨今の中小企業の経営環境ということでございますが、非常に厳しい状況でございます。 円高、原油高、そしてまた原材料高と厳しい経営環境が続いております中で、余力のない 中小企業が極めて多いということで、今後ともこの次世代育成政策の普及には相当の時間 を要することが予想されるのではないかと感じているところでございます。先ほどご説明 がありました今回の改正についてですけれども、私どもが改正をするという話を承ったの は昨年の11月末でございましたか、非常にご審議いただく期間が短いのではないかという ことを感じております。またこの審議会のメンバーの方々を拝見いたしますと、必ずしも 中小企業を代表する方がおられないということで、言葉は若干きついかもしれませんけれ ども、中小企業の軽視になるのではないかというような感想を持っている次第です。 今般301人以上から101人以上というところまで中小企業への法律の義務化の拡大を検 討するということですので、そういうことであれば、法律制定当初は恐らく中小企業の 負担というようなことを考慮していただきまして、義務とするのは301人以上の大企業 と、中小企業については努力義務ということになったのではないかと推察するところで すけれども、この法律制定当時と比べましても中小企業の実情と言いますか、経営環境 と言いますか、そういった所は変わらず厳しいものがあります。むしろ今般の状況を考 えますと、さらに厳しいものがあるということを感じておりまして、こういった実態も 十分に時間をかけて慎重なご議論をしていただく方がよろしかったのではないかという 感じを持っている次第でございます。支援策の強化というようなこと、あるいは周知期 間の確保というようなことを併せて配慮していただきまして、中小企業がソフトランデ ィングできるようなそういった最大限の配慮をしていただければと思ったところでござ います。  そこで私どもの中央会として具体的にどういった点を要望するのかということでござい ますが、4点にまとめてみました。1点目は中小企業の負担増あるいは無用の混乱というも のを避けるという意味で、中小企業への周知あるいは計画策定支援のための期間を確保す る必要があるのではないかということでございまして、中小企業への対象の拡大につきま しては法律の成立から施行までできるだけ長い期間、少なくとも3年以上の期間をもって いただくということが必要ではないかと考える次第です。3年というのは非常に長いような 印象を持たれるかもしれませんけれども、都道府県・市町村が策定をいたします新しい地 域行動計画が平成22年度からのスタートになるとお伺いしております。そうしますと、そ の地域行動計画に基づいて、さらに101人以上の中小企業それぞれが一般行動計画という ものを策定するということを考えますと、平成22年度からさらに1年かけて中小企業に周 知をしていくということで、平成23年度からの中小企業に対する義務化の施行ということ が適当ではないかと考える次第でございます。  2点目ですが、認定の取得が容易になりますように中小企業の実情を踏まえて、男性の育 児休業要件など認定基準を緩和していただけないかと思っております。これは先ほどの高 倉総務課長のご説明の中にも入ってございました。ちなみに私どもの全国中央会の事務所 におきましても「くるみんマーク」の取得ができないかと検討したときに、残念ながら私 どもの事務所は約40数名ですがその中に男性の育児休業を取るような者が、現在のところ 1人もいないということがわかった次第です。そういったことが101人以上の中小企業で すと、あるのではないかということで、認定基準の緩和、これはぜひお願いをしたいと思 っています。  それから3点目が行動計画の公表の義務化ということでございます。これにつきまして 中小企業は引き続き努力義務にとどめておくべきではないかと思う次第でございます。公 表の義務が行われることになりまと、中小企業においては策定義務が新たに課される上に 恐らく同時に公表義務を課されるということになるかと思います。これまで大企業は義務 化されてはおりましたが、公表義務は努力義務ということで、確か4年だと思いますが、4 年ほど公表の義務化がない状態で今般の法律改正で初めて公表義務が課されるということ だと思いますが、中小企業については今のご提案ですと、同時に義務化もされ公表義務も 課されるということになるかと思います。中小企業について公表するとどういう問題が出 てくるのかということですが、公表自体にどれだけのコストに見合う効果が期待できるの かというようなこと、それから行動計画の策定・届け出が進まない理由が、本当に公表が 義務化されていないことなのかどうなのか、さらに公表の義務化がかえって行動計画の策 定・届け出の阻害要因となるのか、ならないのか。それから公表した結果、親企業との取 引が中小企業の場合にはあるわけですが、親企業の大企業から不当なコストダウンの要求、 それだけ余裕があるのであればもっと値段を下げてもよいだろうというような要求等、下 請企業に対する取引上の不利益や悪影響などそういったことが生じる懸念がないのかとい うようなことを十分な検証と検討を行った上で、義務化すべきかどうかということを慎重 にご判断いただく必要があるのではないかということで、策定の義務と同時ではなくて、 若干時間をおいて公表の義務化に至るということにしていただけないかと思うわけでござ います。本当にどういう影響が出るのかということは、私どもとしても非常に判断しにく いところでございます。ただ別の件で1例を挙げますと、昨今非常に大きな問題になって おりますのは建築基準法が改正されまして、例の耐震偽装という問題で建築確認を非常に 厳しくやるようにしたわけでございます。これは法律の要請としては非常にまっとうな要 請でございまして、建築確認を厳しくしないとまた耐震偽装というようなことが起きるの ではないかということで厳しくしたわけでございます。ところが、現在そのことが地域経 済に大きな悪影響を与えているわけでございます。地域に、田舎に行けば行くほど建設業 のウエートというのは、地域経済の中では非常に大きいものがあるわけですけれども、マ ンションの建設が建築確認ができないことによって遅々として進まない、しかもマンショ ンだけではなくて、中小企業の工場、せっかくその地域に誘致をした工の建築確認ができ ないために工場の建設が進まないということで地域経済にとっては大きな悪影響が出てい るわけでございます。これは国土交通省の案件ですが、国土交通省サイドでは恐らくこの ような悪影響が出るとは思っていなかった。そういったことに対する準備が非常に不足し ていた。その結果ではないかと思うわけでございますが、法律の要請としては正しい、ま っとうなことをやるとしても場合によっては、こういう思いもよらない悪影響が出ること があるということを1例として挙げさせていただいたわけですが、この公表の義務化がそ ういったことにならないように、慎重の上にも慎重を期していただきたいということでご ざいます。  それから最後の4点目でございますが、「次世代育成支援対策推進センター」の機能をぜ ひ強化していただきたいということでございます。このセンターを中心に、地域において 行動計画の策定あるいは認定の取得というようなことをPRしてきておりますが、そういっ たことを効果的に推進するために積極的にこのセンターを活用していくということが重要 ではないかと。そのためには機能強化をはじめ、このセンターに対する国サイドからの支 援の充実強化をぜひこの法改正、中小企業に対する義務化と同時にセットで講じていただ ければと強くお願い申し上げたいということでございます。私の方からは以上でございま す。ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今、次世代育成支援に関して中小企業のこれまでの取組 と現状についてご説明をいただいた後、4点の要望が出されました。これにつきましては、 後ほどの意見交換のところで皆さまにお諮りしたいと思います。それでは続きまして東京 商工会議所からご意見を伺いたいと思います。田中参考人、近藤参考人お願いいたします。 ○田中参考人  日本商工会議所東京商工会議所から参りました田中でございます。商工会議所のことに ついては皆さまご存じのことと思いますので、私と私どもの取組について少しお話をさせ ていただきたいと思っております。私は東京商工会議所少子高齢化問題委員会の副委員長 をしております。商工会議所は、少子化については早くから課題として取り上げていて10 年来委員会を作って取組んでいます。昨年作ったものが「実践中小企業におけるワーク・ ライフ・バランスの推進」というガイドブックですが、毎年何らかの形でマニュアルやガ イドブックを作って少子化対策の中小企業への浸透を促進しようと考えております。また、 私は東京商工会議所の大田支部会長をしております。大田区には約4,000社の中小工場の 集積があるということで、ほとんどが中小の工場でありますので、その実情は実感として よくわかっていると思います。そういったベースに立ちまして、商工会議所として発言内 容を幾つかメモしてきましたので、それに基づいて若干私なりの解説を加えてお話しさせ ていただきたいと思っています。  まず少子化対策は、政府、国が取組むべき大事な課題であると考えています。企業が両 立支援など自主的な取組を推進することは、我々も必要であると考えていますが、それだ けではなくて、もっときちんと対応するべきではないかと考えています。少子化対策は保 育施設など社会基盤インフラを整備したり、将来も安心できる社会保障制度を再構築した り、国民的な意識改革を図ったり、産業構造の将来の対応を促進するなど、国が責任を持 って取り組むべき大きな課題であると感じています。企業においても人口減社会において 優秀な人材を獲得するために、既に各社で多様な両立支援に向けた自主的な取組が進んで います。本来で言えば政府はこうした企業の自主的な取組を促進すべきであると考えてお りましたが、現在、次世代育成支援対策推進法で301人以上の企業に行動計画の届け出の 義務化をしているという現状であります。結果98%の企業が届け出済みということであり ますが、努力義務である300人以下の企業については、約9,700社と全体の1%にすぎない 届け出数にとどまっているということはご承知の通りです。300人以下の企業にも両立支援 の取組を促進させるために、対象範囲を101人以上に拡大するとのご提案でありますが、 大企業と中小企業では取り巻く環境が大きく異なり、中小企業に行動計画の届け出を義務 化することが有効であるとは思えないし、また自主的で柔軟かつ多様な取組をかえって阻 害するのではないかと懸念しています。以下4項目ほどお話しさせていただきたいと思い ます。  次世代育成支援対策推進法の見直しについては、今お話をした通り賛成できないところ があります。中小企業白書でも示されているのですが、従業員規模が小さい企業ほど女性 社員1人当たりの子どもの数が多く、女性社員の出産後の就業継続率も高い中小企業にお いては、既に特色を活かした柔軟な対応が行われているということは事実であると思うの です。またこのような両立支援の取組を進めていくということについても、我々商工会議 所は普及啓発のパンフレットを作成するなど積極的に支援をしています。しかしこれまで 中小企業に合う両立支援のあり方などを検討してまいりましたが、あまりにも取組が規 模・業種でさまざまであって、例えば取組の評価一つを取っても相当柔軟な基準が必要で あると思っています。つまり画一的な形で行動計画を策定、提出させるよりも、中小企業 に両立支援に取り組むことへのインセンティブを付与したり、柔軟かつ多様な取組を自由 に進めさせていくという実際の取組が大事だろうと考えています。また、東京商工会議所 でファミリーフレンドリー表彰企業等に関して、行動計画などを通じたワーク・ライフ・バ ランスの取組状況をヒアリングした結果、約3分の2が成果が上がっていないという回答 でした。ファミリーフレンドリー表彰企業でさえ、まだ効果が感じられていない中で、行 動計画を策定することへの具体的な企業のメリットなどについても、十分な検証が必要で はないかと感じています。単に対象企業を中小に拡大することについて、どのような効果 があるのかは疑問視せざるを得ないと感じています。  次に300人超を100人超に提出義務対象を引き下げることについては、以上の話の通り 相当な配慮が必要だろうと感じています。今、中小企業と大企業の環境の違いというのを 実際にどのように理解しているのかが問われるところであると思うのです。例えば産業全 体のグローバル化や生産性の向上といったことが進んでいます。中小企業はその結果、仕 事量の減少や過度な価格競争に直面しています。さらに平均給与も大企業との間で大きな 差が出ていることは事実であると思うのです。このような産業構造上、経営上の問題につ いて、しっかり取組まないで行動計画の提出を義務化するということが、果たして成果が あるのだろうか。さらに努力義務とはいえ、ほとんどの中小企業が行動計画を提出してい ないというのは、企業が計画を策定するメリットが具体的に見えてこないことが原因であ ると思われます。実際に中小企業がどのように今の状況に直面しているかというと、先ほ ど建築基準法の改正によって非常に影響を受けているという話が出ていましたが、実際に ほとんどの中小企業が自転車操業でやっていて、仕事が止まればそれで終わってしまうと いうような企業が多いのです。当社もこの半年の間に3件ほど、建設中の建設会社がつぶ れてしまったので仕事をやってもらえないかということをお引き受けしております。コー ポラティブハウスの2億円前後の規模の物件なので設計事務所もしっかりしているし、そ れに眼鏡にかなった建設会社が請け負っている。要するに仕事上全く問題はないのですが、 全体的な仕事量が途絶えてしまうとそこで終わってしまうというぎりぎりのところにある ということです。建設業も製造業もそういったところに現状の問題があると思っています。 101人以上の企業に対象拡大するのであれば、少なくともこうした現状を踏まえた具体的な メリットを明示する必要があると考えています。今後商工会議所でも検討を重ねる予定な ので、対象拡大をする場合は現状を十分にヒアリングして、効果が上がる策としての裏付 けを持ってやっていただきたいと思っています。中小企業白書や我々のヒアリングでも明 らかでありますが、300〜100人の企業は両立支援への取組が難しい状態にあります。理由 としては財政的に難しいとの意見がほとんどですが、具体的に人事などの専任担当部署を 置くことが困難であったり、この問題だけを取り出して取組むだけの余裕がないという現 実であったり、300人以上の企業の多くは人員の年齢構成もバラついていて、数年に1回ぐ らいしか女性の育児休業取得者が出ないような状況の中で、制度化することは難しいなど といったような声が挙がっています。つまり300人以下に拡大する場合は、対象となる企 業は経営上の悪影響がない形で柔軟に取り組んでいくためには何が必要かといったことを 具体的に検討する必要がありますし、経営上直面している実情をもう少し理解する必要が あると思います。先ほどお話しした中小企業白書に出ている仕事と育児の両立がしやすい か、しにくいかといったことを従業員数で作ったグラフでもやはり100人前後が一番難し いですね。特に製造業は300人以上が大企業、300人以下が中小というように境目があり ます。実際その300人から100人までぐらいの企業が、グローバル化の対応のしわ寄せを 一番受けているということが、こういったグラフに表れているのではないかと私どもは考 えています。  こうした状況の中で、もし300人という規模を100人超といったように、下の方に施策 を落としていくのであれば、十分な検証をする時間を持ちながらやっていくことが必要で はないか。いっぺんに100人ということにしなくても、例えばある程度の合理的な段階を 追っていくとか、時間をかけるということが必要でありますし、大企業の施策を中小企業 に落としていくといったところの展開の合理性をきちんと説明ができなければ難しいと考 えています。  3番目に300人以下の企業に義務化をする行動計画は、就業規則の変更を伴わない前向き な企業の取組等を認めるような柔軟な仕組みとすべきではないかと考えています。労使の 別もなくて、お互いの顔や家族構成などもよくわかっている中小企業では、運用でワーク・ ライフ・バランス環境を確保しているところが多いと思います。本当にうまくいっている 企業ほど、運用で対応している傾向が強いと思います。従って行動計画が義務付けられれ ば、これまでの運用で対応してきたことについて、就業規則を変更しなければならないよ うな内容は、計画に書き込みが難しくなってくるように思います。企業の柔軟な対応がか えってブレーキになりかねないと考えられます。有給休暇取得キャンペーンを行うなど、 いろいろな事については、商工会議所も進めていきたいし、そういったことについても意 見を交換させていただきたいと考えています。  私の会社は本当に小さな会社なのですけれども、例えば母子家庭の社員は、海外旅行に 子どもを一緒に連れていくような社員旅行をしたりしています。お昼に子どものために退 社した社員がお昼を一緒に食べに来たりしています。こういったものを、会社の規則でど うぞというような話ではないと思うのです。中小企業はそれなりに対応しているというこ とから考えれば、一律な尺度とか一律な規則で対応するといったようなことが果たしてふ さわしいかどうかは検証する必要があると思います。  4番目に、公表・周知の義務化については、企業の自由度を確保した形で進めるとともに、 企業経営に悪影響が出ないように慎重に進めていただきたいと考えます。公表して評価を するということが本当に有効なのかということは、今までの中でもお話ししましたが、検 証もできていない中で、そういった取組制度そのものを評価したり公表したりしているこ とが本当に効果があるのだろうかということをやはり我々も疑問に思っています。  以上が大体商工会議所としての少子化についての意見なのですが、児童福祉法の見直し についても、今回の改正だけでは不十分で、保育に欠ける要件も見直していただきたいと いう要望を持っています。先ほどの企業のことだけではなくて、国もしかるべき対応をし ていただきたい。児童福祉法の見直しで、その保育に欠ける乳幼児を対象としている現行 の保育所制度をもっと拡充すべきだろうと思っています。待機児童の数は大都市部を中心 に2万人も存在していて、潜在的な保育ニーズは依然として高いということがあると思い ます。親がフルタイムで働いているなど保育に欠ける状況が相当深刻でなければ国の認可 保育所に入れない状況にあります。児童福祉法の保育に欠けることを要件とした現行保育 制度は見直すべきで、つまり保育に欠ける人だけではなくすべての保育が必要な人に保育 を提供する必要があることを明確にすべきだと思います。特に中小企業については、フレ キシブルな就業体系を採っているところも多いと思っていますが、フレキシブルになれば なるほど、こういった制度に引っ掛からないという現実があるということは、問題である と思っています。こういった要望は毎年商工会議所では出させていただいていると思いま すので、ぜひ今回もそういった点についてはご検討いただきたいと思います。以上雑駁で すが、一応整理したことについて、私なりにご報告させていただきました。ありがとうご ざいました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。今田中さんが最後におっしゃいました児童福祉法の件は、お っしゃる通りで、親の就労と子どもの育成の両立を支える包括的な次世代育成支援の枠組 みの構築ということで、その制度化を児童福祉法の方でお諮りしているところですが、そ れは今日の後段のところで改めてお諮りしたいと思います。ありがとうございました。  ただ今、全国中小企業団体中央会と日本商工会議所のお二方から意見の陳述をしていた だきました。今の参考人のご意見を踏まえまして、まず次世代法の見直しにつきまして皆 さまからご質問も含めまして意見交換をお願いしたいと存じますが、この点に関しまして、 飯泉委員から参考資料1をご提出していただいていますので、冒頭飯泉委員からご意見を 伺いたいと思います、 ○飯泉委員  参考資料1をご覧いただきたいと思います。全国知事会では、それぞれの年度、今回で すと平成20年度の国の予算に向けまして、施策、また予算に対しての提言・要望を行わせ ていただいているうちの、次世代育成支援対策の推進に関しての点です。この中の要素と しては大きく三つ入れさせていただいております。  まず四角の中をご覧いただきたいと思います。最初の4行のところにつきましては、子 どもまたは子育て家庭に対する支援を大幅に強化すべきではないだろうかという点であり ます。この具体的な内容につきましては、具体的な要望事項というものが(1)以下にあるわ けですが、例えば所得税をはじめとする税制面での支援。また最終行にありますが現物給 付方式によります乳幼児の医療費助成制度。これはどこの県でもどの市町村におきまして も、要望が強く出ていますし、またヒアリングなどを行った場合にも、これから結婚をし よう。あるいはこれから子どもをつくっていこうという皆さまから、こうした経済的な不 安、特に医療の点について不安が大きいという声が寄せられていますので、そうしたもの をどんどん、例えば徳島県におきましても、今全国第4位のレベルになっていまして、7歳 未満児まで入院そして通院ともに行っているわけですが、こちらを現物給付方式に行いま すと、2ページの1行目でありますが、国民健康保険の国庫負担金の減額措置というペナル ティーが課されることになっております。こうした点につきまして、利用者の皆さまの利 便性を考えた場合には、ぜひとも廃止を行うなど、こうした子育てを行っている家庭への 支援といったもの、またその声に応えていくという地方公共団体の取組に対しまして、国 も最大限のご理解をいただきたいというものです。  次にまた四角の中に戻っていただきますが、2番目としてまた以下の4行です。こちらに つきましては、今も両団体からお話がございました。男性も女性も仕事と子育てが両立で きるということであれば、やはり思い切った価値観の改定が必要ではないだろうか。ワー ク・ライフ・バランスという用語があるわけですが、こうした点で男性も女性もともに仕 事、家事を行っていく。子育てにつきましても同様である。そうなってまいりますと、企 業における働き方の見直し、あるいは従業員の皆さまへの支援といったものが不可欠にな ってくるのではないだろうか。つまり雇用環境の改善が必要であるということです。 具体的には2ページ目の(4)以下に記しております。今大企業つまり301人以上の企業に 対しては、この一般事業主行動計画の策定義務が課されているわけです。しかし地方に おきましては、圧倒的に、もっといいますと日本は99%以上が実は中小企業の皆さまで 成り立っているわけであります。ですから、そうなってまいりますと、各地方部におき まして、あるいは全国において、こうした次世代育成支援といった新しい価値概念、ま たワーク・ライフ・バランスといったものが浸透していくためには、ぜひとも中小企業 の皆さまのご理解が必要ではないだろうかと考えるところです。もちろん両団体の皆さ まからお話しいただきましたように、この行動計画をつくったときに、一体どれくらい のメリットがあるのか、またその際の担保というものがちゃんと取れるのかどうかとい った点についても最大限に配慮する必要があると思いますが、やはり一定の計画を作り、 こうしたものを、もちろん公表について若干の周知期間が要るのではないかといった話 もあった訳でありますが、そうした公表というもの。しかもこの公表は対外的に行い、 そして企業として子育てに対し、また次世代育成に対し、大変理解度の高い企業である と。これがこれからの企業イメージのアップ、ブランドにつながっていくのではないか という点もありますし、また何よりも企業の中の従業員の皆さまに、うちの企業ではこ うした制度を一生懸命導入し、そしてこれを使ってほしいのだという点を周知徹底して いただくという観点が、よりこの次世代育成の支援、またワーク・ライフ・バランスと いったことを、この価値概念を広めていくことになるのではないだろうかと考えるとこ ろであります。  しかし、両団体の皆さまがおっしゃいましたように、当然企業にとりましては、この点 については大きな負担を伴うわけであります。特に経営基盤の安定といった観点で、これ もご意見がございましたが、なかなか厳しい環境にある中小企業の皆さまにおかれまして は、やはり大きなメリットシステムが必要になるのではないのかということで、知事会と いたしましても、こうした義務化に伴いまして例えば税法上の支援、これは法人税の支援 という点もあるでしょうし、「また」以下のところに書いてありますように、21世紀職業財 団の助成金という制度があるわけですが、これは知事会の特別部会の中でも千葉県の堂本 知事や私も申し上げたのですが、この制度というものが十分に知れわたっていない、十分 使われていないといった点も指摘がございますので、こうした点について使いやすくでき るような要件緩和の手続。また中小企業の皆さまには、これから特に手厚い助成制度の幅 を広げていただく。つまり当然厳しい義務化を果たしていく、課していくということであ れば、それ以上にメリットといったものを税法あるいは財政上の支援といったものを付与 すべきではないだろうかと考えております。 しかし、両団体の皆さまをはじめ中小企業の皆さまにもご理解をいただきたい点につき ましては、わが国の経済を担っていただいているのは、中小企業の皆さまが中核である という自負をぜひともお持ちいただきまして、これからの新しい企業のブランドイメー ジとして、こうした次世代育成に対して理解度の高い企業、これが環境面などと同様に 企業ブランドにつながっていくといった点につきましても、この際ぜひともご理解いた だきたいと思います。  そしてまた括弧に戻っていただいて、最後でありますが、さらに以下の3行であります。 どうも最近は子育て、あるいは子どもを産み育てるということは大変なという、どちらか というとネガティブイメージが非常に横行しております。いろいろな講演会あるいはシン ポジウムのときにも「子育ては大変ですよね」まずこうした言葉から入られるわけであり ます。ですから、こうした点について、逆にポジティブキャンペーンといたしまして、マ スコミなどを通じ「子育てというのは大変素晴らしいことなのだ、楽しいことなのだ」と いった点を大いに国民の皆さまに広げていただきたい。2ページの(7)に記させていただい ているわけですが、そうした国民の皆さまへのメッセージ。これはぜひとも我々地方公共 団体としても行っていきたい。行っているところでもありますが、ぜひとも国を挙げてこ の点については行っていただきたい。そのように思っております。以上3点です。よろし くお願いいたします。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ここからは両団体のご意見に対して、今知事会か ら出された、特に次世代法に関するご意見を踏まえて、どうぞ活発に、意見交換をお願い したいと思います。それでは清原委員、駒村委員、お手を挙げていただいているのは小島 委員ですか。その三人の方に続けてお願いしたいと思います。 ○清原委員  両団体から率直なご意見を伺いまして、どうもありがとうございます。三鷹市のような 地方自治体は、中小企業や小規模事業者、商工会関係の皆様と単に地域産業の活性化にの み協働しているのではなくて、防災や防犯など地域全体のまちづくりで協働している重要 なパートナーです。そうした皆様にとりまして、最近の大きな課題は事業の承継であり、 そして優秀な人材の確保であり、もちろんそれを踏まえた経営の安定ということだと認識 しています。その中で、特に人材の採用とか優秀な人材の定着の効果として、次世代育成 支援行動計画はどれぐらいメリットがあるのか、そしてプラスに働くのかということは重 要な観点であると、今日の両団体の話から伺いました。 そこで、一つずつ質問させていただきたいのですが、市川専務理事にまず伺いたいのは、 今日作成していただいて、4割の支援センターの取組をしていらっしゃる上で作られたこ の「子育てサポート中小企業応援マニュアル」の中で、21ページに行動計画を達成して 認定を受けようと奨励され、認定を受けると以下のようなメリットがあるということで 例示されています。これはあくまでもその認定を奨励し、そしてそれを支援するという 立場での取組ですが、ここに書かれているようなメリット、あるいはそれ以外でも、実 際にこの認定を受け、「くるみんマーク」を受けることによって、その企業が今までとは 違う、たとえば入札基準の緩和であるとか、融資とか補助金を受けやすくなったとか、 あるいは人材確保に少しでもプラスになったとか、何らかの効用として把握されている ものがあればご説明いただければと思います。  それから田中副委員長からも本当に率直な話を伺って、私が日ごろ商工会の皆様から伺 っているものと共通のものがあります。特に私が大変重要だと思いましたのは、中小企業 あるいは商工の関係者であるならば、多様で柔軟な基準で、まさに経営の円滑化とそして 働きやすさ、まさにワーク・ライフ・バランスのために取り組んでいるもので、なかなか 「計画」というような形式に落ちない対応があるということです。そして、むしろそれら を尊重していくならば、相当な配慮が必要であって、実際に運用面で生き生きとしている ものを殺してはならないということでした。そうであるならば、そうした具体的な運用で、 まさに小規模事業者で働きやすい環境の中に次世代育成ができるならば、それこそ計画の 中に入るような計画づくりに、次世代育成支援行動計画の中身や形式も具体的に変えてい くのであれば、より皆様が共有できるものもあるでしょうし、お困りの小規模の事業者が 連携し合いながら大企業とは違うあり方を提案していけるかもしれません。その辺の今ま で苦労されたからこその、何か望ましい情報共有や、課題解決の方向性の連携のあり方に ついて、さらにご意見があれば、簡潔で結構ですので、ご紹介いただければと思います。 以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。一問一答ではなくて、まとめてご意見・ご質問をいただいて、 議論を展開していきたいと思います。駒村委員、いかがでしょうか。 ○駒村委員  両団体のお話を聞きまして、中小企業は大変厳しい経済状況の下で、さまざまな工夫を しているということを踏まえて、清原委員がおっしゃったように、さまざまな配慮が必要 だろうということはよくわかりました。一方では、少子化対策は企業と自治体と国が、そ れぞれ分担して連携して対応しないと、公だけで何とかなるというような性格のものでは ないということ。それからその時間軸についてですけれども、私の理解は団塊の世代のジ ュニアはちょうど30代半ばにさしかかるところです。ここの部分の両立支援がしっかりし て、出生率が上がらないと、多分日本経済・社会は大変厳しいことになるだろう。そうい う意味では、かなり時間がない。厳しい時間制約の中で、政策の有効性を高めていかなけ ればいけない。極端な場合、さまざまな障害があれば、そこは時間をお金で買う。つまり 財政的な支援を行うという必要があろうと思います。  そういった点で二つほど質問させていただきたいわけですが、具体的な策定に関して、 費用はかかる。人がかかる。ここはさまざまな支援が必要だろうと思いますが、公表につ いて、ここについての金銭的なコストがかかるのかがよくわからないのです。お話を聞い てわかってきたことは、一つ先ほど市川参考人から非常に驚くべき、でももしかしたらあ るのかもしれないなという話があったのは、公表すると取引企業から余裕があるではない かといっていじめられる。圧力がかかると。このような話の企業が世の中にあるかどうか はわかりませんが、マーケットメカニズムですから、何があるかわからないというのは確 かにあると思います。もしそうであるならば、先ほども清原委員がおっしゃったように、 あるいは知事会から出たように、この計画を作ること、中小企業が作ること、あるいは「く るみん」マークを持つことにメリットを持たせる。それ自体が非常に高いインセンティブ、 メリットのある仕組みにしていけばよいわけで、例えば方法としては先ほど入札の条件に 何か工夫をするという方法もある。これは公がすぐできる、自治体がすぐできる方法だと 思いますし、あるいは法人税の何かの工夫をするという方法もあるかもしれない。あるい は取引企業に「くるみん」や中小企業で行動計画を作っている企業と取引をすると、非常 に大きなメリットがある。その取引をすることを、そのポイントを集めていくことによっ て、実は取引企業にもメリットがあるというインセンティブを一つ作る。これは国の方で もそういう工夫を市場の状況を見ながら、市場の原理の状況を見ながら工夫していくとい うことは必要だと思いますが、その辺をどう思われるかというのが一つ目です。インセン ティブ次第によってはいけるということであれば、これは知恵を出していただければよい のではないかと思います。  二つ目は公表についてですが、ワーク・ライフ・バランスは、結局仕事のあり方と保育 サービスという自治体との連携によって決まるはずですが、自治体のさまざまな両立支援 の話や次世代育成の話を考えたときに、一番困ってくるのは企業が一体どういうことをや っているのか、全然情報が手に入らない。公表しないで進めることができるのか。特に中 小企業の場合は地元の雇用も多いと思いますが、さまざまな場合、東京ではまた違うのか もしれませんが、公表せずに地域自治体とどのように連携できるのか大変疑問に思ってい ますので、この辺り公表しなくても自治体との連携ができる、あるいはやっている事例が あるのか。それはどういう工夫をされているのか教えていただきたいです。以上です。 ○大日向部会長  それでは小島委員お願いします。 ○小島委員  連合の小島です。今中央会、商工会のお二人のお話を伺って、確かに中小のおかれてい る経営基盤の厳しさは、私どもも理解しているところです。皆さまの企業に連合加盟の組 合があると、大変少ないということですが、それにしても中小で働いている組合員の皆さ まも、この連合には加盟をしていますので、そういう中小の皆さまの働いている従業員・ 労働者の状況も踏まえて、私としてはこれまで対応してきたつもりです。そういう意味で、 今までの次世代育成行動計画の策定義務が301人以上で、これは301人以上の義務化によ って、その効果はそれなりにあったのではないかと思っています。私どものさまざまなデ ータを見ますと、この計画策定以後の育児休業の取得率は高まっているというようなこと も出ていますので、この301人以上の義務化のところでは、それなりの効果があると思っ ています。今回提案されているような101人以上まで義務化を求めた場合に、その効果は どうかというお二人からのお話ですが、この効果は今後義務化されれば進んでいくと思っ ています。メリット・デメリットを指摘されています。この計画書の策定をして公表する ということは、働いている従業員にとってはより働きやすい、子育てをしながら働き続け られる職場環境を作るという雰囲気は、働いている方にとってはメリットがある。あとは、 それは経営上どうかという判断もあるかと思います。そういう働きやすさ、仕事と子育て、 家庭との両立ができるという職場であれば、より優秀な人材が集まってくるということに もなってくると思います。そういう意味では策定された計画を公表して初めて、その企業 がそういう働きやすい職場であると理解できるということになりますので、そういう面で のメリットというのは当然あるのかもしれません。その辺についてどうお考えかについて は、両団体のお二人に、そこは質問ということです。  それから、さまざまな中小企業に対する策定義務化、あるいは公表に当たっての支援策 というのは必要だと思っています。税制上あるいはさまざまな法的な支援ということも含 めて、さまざまな支援というのは今後さらに検討するべきだろうと思っています。それか ら、これは労働組合の立場からしますと、もし今の段階で、中小企業でこの計画策定のと きには、ぜひ従業員、組合があればその組合員の代表が参加して、一緒に計画を作るとい うことが必要だと思っています。従業員と一緒に計画を作るということは従業員に対する 周知にもなりますし、それを作って棚上げするのではなくて、自治体に発表するというこ とにつながってくると思いますので、ぜひそういうこともご検討いただければと思ってい ます。最後のところはお願いです。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。先ほど4人の参考人、二つの団体から、中小企業は非常に厳 しい。これまで努力はしてきたけれども、次世代育成法の一部改正は、中小企業の首をか えって絞めることになるのだと。そして中小企業に求める前に国がするべきことがあるの ではないかという厳しいご要望も出されたわけですが、それに対して今3人の委員の方々 の質問も含めたご意見は、非常に平たく申しますと、少子化対策は喫緊課題で、国と自治 体と企業が共同で取り組むべきことで、中小企業の厳しさは本当によくわかるけれども、 メリットシステムを導入することによって、かえって人材確保等に活路を開くことはでき ないのだろうかという方向の質問であり、ご意見だったと思います。それぞれ4人の参考 人の方々、お答えできるところで結構ですし、何かご意見がおありだと思いますので、ど うぞ自由にご発言いただければと思います。 ○市川参考人  よろしいですか。最初のご質問の中にどういう効果があるのかということですが、ちょ うどピンク色のマニュアルの33ページ以下で6社ほど、これは300人以下の中小企業で、 積極的に認定を取っておられる企業の例を挙げていますが、33ページの株式会社カミテと いう秋田県の従業員30名の非常に小さな企業ですが、そのページを見ていただきますと、 真ん中よりちょっと上の辺りですが「認定を目指す理由、認定のメリット」という欄があ りまして、「製品に対するイメージが向上し、それによる売り上げの増加や、社員のさらな るモチベーションアップなどを期待している」という記述があります。その下の「行動計 画の策定効果」ということで、社員の定着。モチベーションアップ。当社では出産・育児 を理由に退職した社員はいない。ということを挙げています。この辺りが現実に積極的に 取り組んでいる企業の偽らざる声ではないかと思います。ご発言の中に融資とか補助金と か、そういったところにメリットはないのか。あるいは入札条件等でメリットということ は考えられないのかということですが、現在のところ、直接そうしたメリットを得たとい うような声はあがってきていないのではないかなと思います。ご指摘にありましたように、 そういったインセンティブを、大いに取れるような仕組みを、社会として採っていったら よいのではないかというご指摘もありました。まさにおっしゃる通りでございまして、そ ういった税制とか補助金融資といったところでメリットが出てくれば、それは大変ありが たいことです。ただ税制等の状況を考えてみましても、なかなか子育て支援ということで、 そこまでの大きなメリットが実際に認められるのかどうか。その辺りはやっていただけれ ば大変ありがたいと思いますが、かなり厚い壁があるのではないかと懸念する次第です。  それから下請けいじめということについて、そんな企業があるのかという指摘もありま した。実際この子育て支援等につきまして、具体的にそういった下請けいじめに遭うのか どうか。これは私どもとしても正直なところわからないという面もあります。ただ一般的 に大企業が下請け企業をいじめるというようなことは、これは残念ながら日常茶飯事と申 し上げなければならないと思っています。行政当局としても、そういった下請け取引の公 正さを確保するために、例えば駆け込み寺というような支援拠点を設けて、そういったこ とがないようにという最大限の努力をしていただいているわけですけれども、そんなこと は一切聞いたことはない、本当にそんなことがあるのかということでしたら、これは残念 ながら日常茶飯事として現に起きていることであります。こういうふうに申し上げざるを 得ない状況です。そうした中で、公表することによって、公表自体はコストはほとんどか からないと思いますが、公表したことによって、何らかの悪影響が出はしないかという懸 念があるということです。私からは以上です。 ○大日向部会長  田中参考人、いかがですか。 ○田中参考人  どんな施策が本当に効果を上げるのかということを冷静に考えていただきたいと思うの です。今の施策のほとんどは、企業が利益を出しているという状況にあれば効果があると 思います。労使間でそれについての余裕があって、労働者側に少し軸足をもっていこうと、 考えるのは当然のことだと思うのです。中小企業は労使という概念ではなくて、運命共同 体の中で、どう取り組んでいこうかというのが前提にあると思います。ですから成功事例 はたくさん出ています。省官庁はそれを表に出して普及しようとしています。行動計画の 策定が必ずしも中小企業の対策として適正かどうかということは検証すべきだろうと思い ます。公表であるとか義務化ということが合わないのではないかといっているのは、本当 にその施策が有効かどうかを検証していただきたいということで、私は有効ではないと思 います。それがまず一つです。  少子化は大事な問題だからすぐに取り組まなければいけないではないか。それは当然そ う思っているのです。ですから子育て世代に対して国の施策を厚くしてもらいたいと思う のです。どのような企業に働いていたとしても働きながら生活がちゃんとできるような、 若い人たちにそういう環境を作ってほしい。我々は本当にそう思っているのです。ですか ら、企業でできることとできないことを若い世代の人たちがちゃんと子どもを産んで育て られるような環境づくりは大いにやってほしいと思うし、それについて真剣に我々も考え ているということは認識していただきたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。佐藤委員と杉山委員。そして吉田委員。順番にどうぞ。今日は 児童福祉法の見直しも後半にやりたいと思っていますので、効率よくお願いできればと思 います。 ○佐藤委員  前半は出席できなかったものですので、配付資料文章とか、先ほど後半の田中参考人の お話とか、今質疑応答の中で理解した範囲以内でコメントを述べさせていただきます。も し誤解があったらすみません。伺っていますと行動計画を中小企業に義務化すると非常に 負担だというご意見が強いようです。例えば就業規則を変えたり制度を入れなければいけ ないという話が田中参考人からありましたが、これは301人以上について義務化したとき もそうだったのですが、行動計画の策定義務の中身について誤解されているのではないか。 例えば就業規則を変えなければいけないのか。変える必要はないのです。新たに制度を入 れなくても平気なのです。もちろん認定をとる場合はそれを考えないといけない部分があ りますが、基本的には法定どおりの制度で問題ないのです。法定どおりの制度があればい いのです。もちろん、法定に関しては就業規則での規定が必要ですが。例えばどういうこ とを取り組めばよいかというと、育児休業を取りにくいとか短時間勤務の制度が使いにく いとか、あるいは恒常的残業が多いとか、例えば法定通りの制度が使いやすいような職場 にするとか、意識改革をするということで十分なのです。新しい制度を導入する必要はな いのです。その辺の誤解があるだろう。もちろん認定をとる場合は、まず一つは男性・女 性育児休業取得者が出なければいけませんから、これは対象となる層の社員がいなければ いけませんが、認定をとる場合でも法定を超える部分では短時間勤務等を6歳まで導入す ることがありますが、これも短時間勤務等を誤解していて、短時間勤務を入れなければい けないのかとの誤解があります。例えば残業免除でもいいですし、短時間勤務等の中にい ろいろなメニューがあるのです。ですから、もちろん認定をとる場合は一定の基準があり ますが、基本的には今よりも社員が子育てをしながら仕事も続けやすい仕組みを作る相対 的基準です。出発点は、中小企業では進んでいるところもあるし、そうでないところもあ る。その点はよくわかりますが、そこから1歩でも上に行ってくださいという仕組みです ので、皆ここまで目指せというようなものではないのです。誤解されている301人以上の 企業もありましたので、対象を拡大する場合は、当然そういうことをきちんと説明しなけ ればいけないと思いますが、別にコストがかかるものや負担がかかるものではなく、中小 企業は運用でやっているということを進めていけばできるのではないかと思います。  もう一つメリットは何かということですが、極端な言い方をすればメリットがなくても やらなければいけない時代だと思います。これから人材を確保し、社員に意欲的に働いて もらうために必要な取組です。やらないと逆にマイナスになるのです。やったらメリット があるからやるのではなくて、逆にやらないとマイナスになる。人が来ないし辞めてしま う。そういう意味では私はメリットがないからやらないのではなくて、やらないとデメリ ットがあると、ぜひ考えていただければと思います。 ○大日向部会長  では、杉山委員お願いします。 ○杉山委員  どうもありがとうございます。1点最初にご説明いただきました厚生労働省の資料の1の 3ページの特定事業主の取り組みの次世代育成支援の方をコメントさせていただきたいの ですが、こちらは国や地方公共団体の職員の行動計画の部分になるかと思うのですが、こ この地方公共団体、国もそうですが、こちらの方たちが率先して推進していく立場である と説明があったのですが、それは全くその通りで、ぜひ推進していただきたいということ と、自治体同士での競争があって、それでワーク・ライフ・バランスが進んでいったとい う事例をイギリス辺りでも聞いたことがありますので、ぜひそういった互いに競争しなが らよい人材を獲得していくというようなことを、まずそれこそ自治体が率先してやってい かれたらよいのではないか。「くるみんマーク」は自治体の特定事業主のところでは使われ ないという話もあったのですが、学生から見ますと、企業にいくか、公務員にいくか、ど うしようかと選ぶわけですから、そのときからお互いに競争し合ってもよいのではないか と思うので、そういった意味でもぜひ率先してやっていただきたいことと同時に、地方に 出かけていって首長さんのお話を伺う機会も多いのですが、そういったときに自分の部下、 特に男性の働き方に関して、若干まだ「男がそんな子育てなんて」という部分がチラッと 見えるときがあるので、その部分と中間管理職の方たちにもそういった部分が少し感じら れることがあるので、その辺りの意識啓発の部分もお願いできればと思っています。  もう1点、参考人のお二人に簡単な質問ですが、現在このようなマニュアルを作って配 っているということを伺ったのですが、その後例えば研修などをして人事担当者であった り、先ほど申し上げました中間管理職の方たちに向かっても理解していただくような、そ ういったアフターフォローは実際にされているのかどうか。せっかく作ったマニュアルが、 本当に必要な人のところに届いて読んで理解していただいているのかが大事だと思います ので、その辺りの取組について教えていただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。次にお手をお挙げいただいているのは吉田委員と宮島委員と 今井参考人ですね。その順番でお願いします。 ○吉田委員  時間の関係もありますので、手短に申し上げます。業種・業態は違いますが、私も中小 企業というか小企業を経営しているので、実感としてわかります。あえて申しあげますが、 就業規則がない会社は基本的にない。その就業規則自体に基本的には仕事・子育ての両立 支援の要素が、育児介護休業法に反映した部分が入ったり、ワーク・ライフ・バランスに 託した部分が入っている。そこを行動計画ということで言語化するという発想でよいので はないか。しかも大企業のようながっちりした緻密な、しかもかなり数値目標5年間で見 通してと、そこまでやる必要はない。そういう意味では行動計画をあまり過大に考えずに、 確実に自分たちのところでワーク・ライフ・バランスに向けた、改善に向けた意欲を言語 化する姿勢が大事だろうと思います。しかも次世代法に基づく後期の行動計画は重点的・ 計画的な計画ということであって、本来はそれを恒常的にやるということで、平成22年度 から5年間やって終わりという話ではありませんので、大事な大きな糸口をつけるという 意味で、逆に行動計画をもっと柔軟に考えていただきたいと思います。  公表については、私は品川区の次世代育成支援対策推進協議会の副会長をしていますが、 品川区で本当に考えようとすると、地域の中小企業とタイアップせざるを得ない。けれど も肝心の中小企業は行動計画がない。あるいはあるかないかすらわからない。もちろん公 表されていない。そうすると就業と子育て支援の切れ目のない展開を考えるときに、企業 に立派な行動計画を作って実践してもらうかどうかではなくて、こういう行動計画があっ て、ここまでが限界とわかれば、品川区としてはそれに切れ目なくつなげるために、区と してできる限りこうしましょうとか、あるいは行動計画策定でも区の方で少しバックアッ プ体制を取りましょうという意識はかなりあるのですが、チャンネルがないということと、 うまくタイアップできないということが、前期計画で大きな課題になってきましたので、 むしろ長期計画に向けて、その辺を考えていただきたいことと、公表も例えばホームペー ジで誰でも見られるレベルの公表でなければいけないのか。少なくともその企業の従業員 に周知しないといけない。その次に地域の地方公共団体が希望した限りはこういう行動計 画でこういう中身ですといって連携ができるようにする。つまり先ほどの言い方だと取引 企業にまで公表しなくてもよいのではないかと。公表も段階があるので、その辺も運用で 柔軟にカバーすることで、大分お互いに歩み寄って、結果良い方向を目指せるのではない かと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。では宮島委員お願いします。 ○宮島委員  先ほど佐藤委員もおっしゃったのですが、参考人のお二方の話で気になりましたのは、 企業にデメリットがないように、という「企業のメリット」というところです。  サラリーマンをしていますと、実感として短期的に見れば、その企業に負荷は絶対にか かってしまうと思います。つまり24時間働ける男性と子どもを持ったばかりの女性のどち らが働けるかといったら、それは非常にはっきりしていますし、私自身も後輩を束ねる立 場になりますと、子どもの熱が出たから早退していいですかと言われると、私自身も「う っ」と思います。それは多分誰でも偽らざるところだと思います。けれども国とかいろい ろなことからみて、そこはやらなければいけないこととして、皆が「うっ」と思わないよ うに努力しないと、仕事をしたい女性はなかなか産まないと思います。後輩たち30代の女 性も、今、本当に悩んで悩んで産まないという決断をしています。企業には長期的な目で メリットを考えてほしい。そのためにも、行動計画を出し公開し合って、ちゃんと育児支 援をしないと恥ずかしい、と企業が思うくらいのムードをつくらないと。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは今井参考人お願いします。 ○今井参考人  まず中小企業への拡大の問題ですが、私ども日本経団連としても、中小企業のおかれた 実情を踏まえて、十分な準備期間、段階的実施という形で円滑に対応をするということが 重要と考えています。次に公表の問題ですが、次世代法の趣旨からいって、それぞれの企 業の自主的な取組を基本とすべきで、公表をはじめとした取り扱いにつきましても、本来 は企業の自主性に委ねられるべきものと考えています。しかしながら関係各主体それぞれ が課題に取り組んで、社会全体として少しでも前に進めていこうということであるならば、 経済界としても関係主体の一つとして、できるだけ前向きに考えていきたいと考えていま す。従って企業だけが取り組めばよいということではなくて、それぞれが課題に取り組む べきで、国におかれましても法律の周知に、より積極的に努めていただきたいと存じます。 また運用方法につきましては、画一的になることなく企業の実情に即した形で柔軟に行え るようにしていただきたいと存じます。なお従業員への周知につきましては、本来いわず もがなの話で、わざわざ法律で義務付けるということには違和感があります。ただこの問 題も公表の問題と同様に、そういう観点から前向きに捉えたいと思います。なお認定基準 の見直しにつきましては、本年度より認定が開始されたばかりですので、中小企業に配慮 した必要な見直しは当然かと存じますが、それ以外につきましては見直すことは時期尚早 ではないか。むしろ「くるみんマーク」の認知度を高めていただくということで、国が一 層広報啓発活動に努めていただければと考える次第です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。申し訳ありません。先ほど杉山委員が出された質問に関して は時間の関係で後ほど個別に伺っていただければありがたいと思いますが、どうでしょう か。よろしいですか。ここまでの議員の大方のご意見は、この次世代育成法の一部改正と いうのは、中小企業にとっても他の多くの自治体にとっても、メリットがある無しにかか わらず推進すべき時代を迎えているというご意見だったと思います。同時にこれはメリッ トにつながるという方向でのご意見だったと思います。しかしながら、先ほど中央会から 出されました4点の要望、大変厳しい要望もあります。これに対して事務局がどのように お考え下さっているのかを最後に伺わせていただければと思っています。定塚職業家庭両 立課長、よろしくお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  本日いただいた参考人のご意見、それから委員の方々の意見を踏まえて一言申し上げま す。まず行動計画策定のメリットということですが、私どもの方で策定をしている企業、 認定をいただいている企業にヒアリングしたところ、企業のイメージ・認知度の向上、人 材の確保・定着、職員のやる気の向上のメリットを伺っています。こうしたことは中小企 業についても当てはまることと考えています。また次世代行動計画の義務付け対象範囲の 拡大に当たりましては、もっと慎重にしてほしいという要望をいただいているところです。 私どもとしても中小企業の大変な実情というものは配慮し、またいろいろな状況に置かれ ている企業が、それぞれの企業の独自性を生かした計画を柔軟に立てていただくというこ とが何より重要だと考えています。このためにそれぞれの企業、例えば先ほど出たような 子育て中の方がいない企業、あるいは非常に経営が厳しくて、余裕がなく高度な計画を作 れないという企業、それぞれに対してどのような計画であれば作れるのかというモデル例 も用意するなど、さまざまな検討を行い準備をしてまいりたいと思っています。施行時期 につきましてもご意見がありましたので、ご意見も踏まえながら、どの程度の準備期間を おいたらよいか、その準備期間に中小企業団体の方のご意見も踏まえながら、先ほど申し 上げたようなモデル例の策定、その他どのような準備をしたらよいかについて、ご意見を 伺いながら図ってまいりたいと思っています。こうしたことを踏まえて、先ほどからご意 見が出ているように、少子化対策の一層の進展というために、ぜひ法改正案を提出させて いただきたいと考えていますので、ぜひともご理解のほどお願い申し上げます。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは次世代法につきましては、この辺りでひとまず終わ りとさせていただきます。  次は時間も限られていますが、児童福祉法の見直しにつきまして、ご意見・ご質問を含 めまして意見交換をお願いしたいと思います。これにつきまして先般、今週の月曜日、1月 28日に臨時で会を設けまして、家庭的保育制度に関して検討いたしましたが、その後に大 石委員から参考の意見も届いています。これもどうぞご覧いただければと思います。山縣 委員お願いします。 ○山縣委員  一つの意見と一つの質問をお願いします。まず質問ですが、家庭的保育につきまして、 社会福祉法人が法人事業として実施するという考え方があるのかどうかについてお聞かせ 願えたらと思います。その際、もしあるとすれば労働問題・会計問題というところに絡ん でくると思いますので、もし実施される場合に配慮をよろしくという点です。  2点目は意見です。私は、家庭的保育は非常に重要だと考えている立場にあるわけですが、 今回の文章でも、まだ保育所における保育を補完するという位置付けになっています。第1 段階として制度化されることが非常に重要だと思いますので、今回の改正はこれで了承い たしますが、補完ではなくて子どもの育ちの面から見て必要な制度であると位置付け、そ うすると当然そこで働く職員の方々、保育者の要件も、専門職としての重要性、補完のよ うな制度ではなくてきちんとして保育要件が必要となってくる。それについては保育士を ベースに考えておられますが、保育所・保育士は集団保育をベースにした人たちですので、 保育士が即家庭的保育の要件を満たすものではないのではないかと個人的に思っています。 その辺を今後第2段階の改正・改革等の中でご検討いただけたらと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。ただ今の点について、保育課長からお答えいただけますでしょ うか。 ○義本保育課長  今のご質問でございますけれども、この事業につきましては、市町村事業という形で位 置付けることからスタートしていこうと思っています。ですから、そういう意味において 社会福祉法人自体が事業主体になるという形態は、このスキームの中においては今のとこ ろ考えています。それは将来の検討課題だと思っています。ご意見の中で特に補完ではな くて、本来の育ちからすると必要な制度だと。これは前回の2回のときにもご議論いただ いたことがありますが、メリットから考えますと、特に低年齢の子どもにおいては家庭的 な育ちは非常に重要という点があります。そこはスタート時点から押さえていきたいと思 っていますが、ご指摘いただきましたように、まずは制度をスタートさせ、それをどう展 開していくのかをまず優先課題として取り組ませていただいて、その上で今ご指摘いただ いたことについては、考えていきたいと思っています。それから資質の問題として、この 前の第2回のときの議論にも出たわけですが、家庭的保育は単なる集団保育ではない点で す。例えば異年齢の子どもを保育する場合はどうするのかといった問題もあります。この 点につきましては家庭的保育ならではの研修が大事だと思っておりまして、今検討段階で すが、資格のあるなしにかかわらず、基礎研修という形で必要な研修はすべて生かしてい くという形で担保を図ろうと考えています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。まだご発言のない岩渕委員からでよろ しいですか。 ○岩渕部会長代理  質問と少し意見を申し上げます。質問ですが、今の関連でいきますと、保育ママの研修・ 養成については、さまざまな非常に重要な難しい保育であるということから、質の担保・ 質の高さを求める意見がほとんどです。ただ一つだけ、もちろんその通りで、この間部会 長がまとめられたことについてはそのまま賛成するのですが、ただ今までの保育ママが現 実に機能してこなかったという点についても、改善の努力をしていただきたいということ です。どれくらいの研修時間を考えていらっしゃるかはわかりませんが、質問としては例 えばフランスはどのような研修時間を設定しているのか。あるいは事故が起こった場合ど ういう形で補償しているのか。もしわかれば教えていただきたい。例えばホームヘルパー1 級で230時間というようなこともあります。具体的な制度設計はこれからの話ですが、そ の辺りをどうするか。絵に描いた餅にならないように、一つお含みおきいただきたいとい う点。  それからもう一つ。知事会からも出ていますように、医療費を無料化すると国庫負担金 を削られるというばかな話が、未だにまかりとおっているというのもけしからん話であり ます。このことについては縦割り行政で私のところの担当ではないので知りませんと、知 らん顔していないで、行政としてきちんと対応してください。同じ厚生労働省ではありませんか。  それからもう一つ申し上げておきますと、産科医療が今崩壊状態にあるということで、 この関連でこれから我々のところで議論する余裕があるかどうかはともかくとして、現実 に産科医療をどうするか。なぜ今産科の医師が足りなくなっているのか。出産一時金で35 万円出しても、地方自治体が、福祉の観点から25万円くらいに公立病院での出産の費用を 抑えている。その結果一般の開業医や民間の方は、そういう値段と太刀打ちできずに、ど んどん離れていっているのが最大の原因であるという指摘もあります。もちろんそれだけ でないことは十分承知の上ですが、どういう方法でも結構ですので、産科の崩壊を食い止 めるのは、縦割り行政のこの場で検討する話ではないというふうに役所の人たちは絶対思 っていると思うのですが、子どもを産む人、国民にとって見れば、自分のところの担当で はないから知らないなどと社会保険庁みたいなことを言われても、冗談ではないですよ。 それを含めてここで議論はできない、する能力がないとなれば報告書レベルでもきちんと 言及していただきたいと思います。これは意見です。以上。 ○大日向部会長  今の岩渕部会長代理のご意見は、今後ぜひ検討したいとは思いますが、この部会に課せ られた範ちゅうを超えていますので、別のところで議論をしていきたいと思います。どう ぞ小島委員。小島委員で最後にさせていただいてよろしゅうございますか。吉田委員もで すか。それでは手短にお願いします。 ○小島委員  時間もありませんので、一言だけ。先ほど日本商工会議所の田中参考人ですかね。それ から、最後にありました保育に欠ける子どもの児童福祉法の見直し。全くそこは私たち連 合もそのような思いで、今まで行政もやっていることなので、そこは引き続き一緒に考え ていきます。そして、そのような立場から今回の児童福祉法の見直しの方向性について、 この二つの事業をきちんと法律に位置付けるという方向性については賛成です。その際、 特に家庭的保育、保育ママの資格については、十分ここは質の確保と保育ママのバックア ップ体制といいますか、公的な保育所とのバックアップ体制、十分にその支援体制が必要 だろうと思っています。そこも含めて十分なこれからの対応、あるいは市町村が行う研修 修了後と書いてありますけれども、その研修の内容もきちんとした研修ということをぜひ お願いしたいと思います。 ○大日向部会長  では吉田委員、お願いします。 ○吉田委員  駆け足で申し上げます。一時預かり事業について少しお聞きしたのですけれども、普段 保育所を利用する場合は通常の保育があり、パート労働等に対しては特定保育があり、ど うしても緊急でやむを得ない場合には一時保育があり、一時保育も今は制度が弾力化して 母親のリフレッシュのための利用など部分的に可能になっているということですが、その ような中で、一時預かりはもっと弾力的なものだと思いますが、そうすると時間の幅をど のように見るのか、利用頻度はどれぐらいまで認めてもらえるのか、非定型的な利用にし ても、どのようなイメージで言っているのか。多分、共有されていないといけないのでは ないかと思います。  それから、もう一つは地方であれば保育所を活用するということは十分にあり得ますが、 都市部で待機児童が多いということになれば、恐らく柔軟であれば一時預かりの利用規模 は相当数あると思われるのですが、都市部の保育所ではそのような状況ではないだろうと。 そうするとどこでどのようにせっかくの一時預かりをやるのか。例えば実際には幼稚園で も十分できるのか、そういったことを含めて、簡単に具体的なイメージを教えていただけ ればと思います。 ○大日向部会長  それでは、まず義本保育課長、簡単にお願いします。 ○義本保育課長  岩渕部会長代理からご質問がありましたフランスの対応ですけれども、講義60時間、実 演(実習)の合計120時間を課している、フランスの場合は特に資格要件は設けず、その120 時間を経て、それで具体的なやる場所についての物理的条件や、ご本人自身の資質・能力 等を判定した上で認定する仕組みを採っていると聞いています。事故のときの対応につい ては調査中で、それがわかった段階でまた必要があれば部会にもお知らせする機会がある かと思っています。  それから、吉田委員からご質問があった一時預かりの問題について、時間の幅や利用頻 度の問題については、恐らく実施基準あるいはガイドラインというレベルかもしれません けれども、今後それについて定めることになりますので、その中で監督させていただくと いうことだと思っています  それから都市部の場合においての保育所以外の一時預かりをどこまで広げるかという問 題についても、ガイドライン、実施基準の中で定めるということだと思っています。現実 問題としては、保育所以外の機関をなるべく確保できること、その一方で質あるいは供給 体制の問題がありますので、その両面をにらみながら考えていく話かと思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございました。どうぞ。 ○岩村委員  手短でいいのですが、保育ママの制度で市町村の事業にするという先ほどのご答弁だっ たのですが、法的なイメージとして、親と市町村が直接契約を結ぶというイメージなのか、 それとも親と保育ママが契約を結んで、そして費用について市町村が補助をするイメージ なのか、これによっていろいろな法的問題の位置付けが変わってくるのですけれども、そ れについてはどのようにお考えになっているのかをお聞かせいただければと思います。 ○義本保育課長  ここは大事なポイントだと思っています。家庭的保育事業は実際に今、市町村で先行し ているケースもあります。その場合でも市町村と保護者が契約する場合、それから保育マ マと保護者が契約をする場合の両方があります。  ですから、こうした現状を踏まえると、一律に基準としてこうだとは言えないと思いま すが、やはり利用者と家庭的保育者自身が直接向き合っていくケースがやはり多いかと思 っています。 ○岩村委員  すみません追加ですが、これは高裁の判決があるのですが、そうすると何か問題が起き たときには市町村は責任を負わないということになりますね。 ○義本保育課長  責任をどのように分担するかという問題も含めて、私どもとしては考えさせていただき たいと思います。いずれにせよ問題が生じることがないような対応を考えたいと思います。 ○岩村委員  具体的には損害賠償責任なのですが、今言ったような構成だと、従来の判決では市町村 には責任がないということになります。 ○大日向部会長  岩村委員、よろしいでしょうか。前回の28日はおられましたか。そうですか。ご発言に なられますか。まとめに入りたいと思っていますが、いかがでしょうか。 ○岩村委員  いいえ、もう結構です。 ○大日向部会長  時間が過ぎておりますが、恐縮ですが2、3分いただいて、まとめをさせていただきたい と思います。この児童福祉法の見直しに関しまして、特に家庭的保育制度に関して、皆さ まが大変関心を持っていらっしゃることは、前回の活発な議論から明らかでした。本日も 山縣委員、小島委員、そして岩村委員からもご指摘がありました。これに関して、前回の 28日の特別部会で申し上げたことを再度申し上げて、一つはまとめとさせていただきたい と思います。  この家庭的保育制度というのは2本立てで行われてきまして、2000年に創設された国庫 補助事業としての家庭的保育と、それよりもはるかに前から行われていた地方自治体独自 の制度の2本立てです。今回、親の多様な働き方やニーズに柔軟に対応するために、家庭 的保育事業の拡大を図るということでした。その点に関して私は山縣委員が先ほど言われ たように、従来の保育所保育の補完ではないだろうというご意見は、その通りだと思いま す。28日の皆さまのご意見もその方向だったと思います。もっと新たな意義を認めること で一致しておりました。そのための法制度化を図るということです。そのときに委員の皆 さまがやはり共通しておっしゃったのは家庭的保育には保育所保育とは違った課題が非常 にあるのだということです。そのために、従来、国庫補助事業としてやってきた保育士、 あるいは看護師が担ってきた保育の質の水準をいかにキープするかということが問われて いるという点では皆さま同じ意見だったと思います。ただし、一方で先行して地方自治体 の事例があり、そこをどう配慮するかということがなかなか難しい課題です。それもただ 無資格でよいということではなくて、ガイドラインや研修制度の確立を鋭意やっていくと いうお答えを事務方からもいただいています。  そこで私が皆さまにお諮りした点は2点ありました。この家庭的保育制度に関して、こ の部会で細かいことを議論する時間もありません。また、それに対して私たちが果たして 専門性があるかということも、いろいろと疑問があります。そこで1点はこの問題に詳し い、発達心理や保育の専門家、さらにはそれぞれの学会の担当者が入って、ぜひとも専門 的な議論をしていただきたい。その検討会で、今、岩村委員がおっしゃったような点もぜ ひ検討していただきたいと思いますし、フランスの家庭的保育制度がどうなっているかと いうこともご議論いただきたいと思います。  そして2点目は、その検討会の議論をどうかオープンにしてください。いろいろな保育 関係の皆さまが合意できるようなオープンな議論をしてくださいということを申し上げま した。その点に関しては、本日冒頭に高倉総務課長からも同じことを繰り返していただけ たことを大変ありがたく思います。そのような方法で家庭的保育制度を含めた児童福祉法 の見直しをお認めいただければと思います。  本日、参考資料を大石委員がお出しくださいましたが、時間の関係で直接お言葉で言っ ていただく時間がなかったことを申し訳なく思いますが、ぜひこのご意見も皆さまお目通 しいただきたいと思います。  それでは、まとめということですが、私ども少子化対策特別部会は第1回の立ち上げの ときにご説明をいただいたと思いますが、2点の課題・使命があります。第1点は先行して 実施すべき課題について法案の提出を念頭に検討を行うこと。第2点は包括的な次世代育 成支援のための具体的な制度設計という二つの課題の検討を使命として課せられたのです。  前者の先行して実施すべき課題につきましては、年末より集中的に本日も含めて活発な ご議論をいただきましたおかげで、大変有意義な意見交換ができたかと思います。厚生労 働省におかれましては、3月上旬を目途として、現在開会中の通常国会に「児童福祉法等の 一部を改正する法律(案)」という形で、法案を提出すべく準備中と伺っています。それに ついては本日資料として事務局から出されました案が基本的にご了解いただいたものとし て、事務局の厚生労働省におかれましては、この間、本部会でいろいろと出されたご意見 をどうか十分に踏まえ、法案改正に向けた作業をお願いしたいと思います。その方向で先 行して実施すべき課題の議論を締めくくりたいと思いますが、ご了解いただけますでしょ うか。よろしいですか。ありがとうございます。  それでは次回からは、後者の課題である、包括的な次世代育成支援のための具体的な制 度設計のご検討をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。そのような段取 りでよろしいでしょうか。異議はおありですか。異議なしでよろしいですか。ありがとう ございます。  それでは最後になりましたが、局長から一言お願いいたします。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長  昨年末以来、大変急なスケジュールでお願いしましたけれども、精力的にご議論いただ きまして、誠にありがとうございました。  今、大日向部会長からお話しいただきましたとおり、この特別部会のご意見を踏まえま して、「児童福祉法等の一部を改正する法律(案)」を今国会に提出すべく準備を進めてま いりたいと考えております。また、国として取り組む法律以外の諸課題や、またその運用 面の問題、それから局をまたがる幾つかの問題もご指摘がありましたし、将来に向けての ステップとしての課題もありましたが、その一つ一つについて、法案と同時に取り組んで まいりたいと考えております。いろいろありがとうございました。  また、今後この少子化対策特別部会におきまして、二つ目のテーマですけれども、「子ど もと家族を応援する日本」重点戦略会議の結論を受けまして、包括的な次世代育成支援の ための具体的な制度設計の検討等のご議論をまた開始していただかなければならないと考 えています。3月以降、具体的な日程については別途ご相談させていただきながら、またく れぐれもよろしくお願いしたいと思います。 ○大日向部会長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。