第1回 医薬品の販売等に係る
体制及び環境整備に関する検討会
資 料
平成20年2月8日

一般用医薬品の販売制度に関する概要

(1)情報提供等の内容・方法

【積極的な情報提供】

○ 第一類医薬品を販売等する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師をして、厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて、その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない。(薬事法の一部を改正する法律による改正後の薬事法(以下「改正薬事法」という。)第36条の6第1項、第5項)

○ 上記の規定は、医薬品を購入し、又は譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があった場合には、適用しない。(改正薬事法第36条の6第4項)

○ 第二類医薬品を販売等する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師又は登録販売者をして、その適正な使用のために必要な情報を提供させるよう努めなければならない。(改正薬事法第36条の6第2項、第5項)

○ 第二類医薬品の「積極的な情報提供」の実施に際しては、文書を用いることに努めるよう義務付けるべきである。(厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会報告書(以下「部会報告書」))

○ 販売時において購入者へ提供されるべき情報については、例えば、

・ 起こり得る重篤な副作用やその発生を避けるため留意すべき事項
(服用してはいけない人、併用してはいけない薬剤等)
・ 一定期間服用しても病状が改善しない又は悪化した際には医療機関での診察を受けること(受診勧奨)
等を中心とすることが考えられること。(部会報告書)

○ 「積極的な情報提供」に際して用いる文書としては、当該医薬品の添付文書を基本とすることが考えられる。(部会報告書)

【相談対応時の情報提供】

○ 一般用医薬品を購入する者等から相談があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師又は登録販売者をして、その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない。(改正薬事法第36条の6第3項、第5項)

○ 相談応需には、病状が改善しない等の場合に医療機関での受診を勧めることも含まれる。(部会報告書)

○ 相談応需については、販売時のみならず、販売後にも適切な対応が求められる。このため、購入者に店舗等の連絡先を伝えることも重要である。(部会報告書)

(2)情報提供等に関する環境整備

【リスク区分の表示についての考え方】

○ 一般用医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、第三十六条の三第一項に規定する区分ごとに、厚生労働省令で定める事項が記載されていなければならない。(改正薬事法第50条第6号)

○ 一般用医薬品について、そのリスクの程度について、購入者が判別しやすいよう、外箱に何らかの表示を行うべきである。ただし、その場合の具体的な方法・内容については更に検討が必要であると考えられる。(部会報告書)

【医薬品のリスクに応じた陳列】

○ 医薬品を他の物と区別して貯蔵し、又は陳列しなければならない。(改正薬事法第57条の2第1項)

○ 一般用医薬品を陳列する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、第一類医薬品、第二類医薬品又は第三類医薬品の区分ごとに、陳列しなければならない。(改正薬事法第57条の2第2項)

○ 第一類医薬品については、いわゆる「オーバー・ザ・カウンター」(注)を義務付けるべきである。

(注)専門家が関与した上で医薬品の選択・購入がなされるよう、販売側のみが医薬品を手にとるような方法で陳列を行うことをいう。(部会報告書)

○ 第二類医薬品については、オーバー・ザ・カウンターとするよう努めるべき(努力義務)である。ただし、第二類医薬品のうち、*の付された成分(「相互作用」又は「患者背景」において特に注意すべき「禁忌」があり、その要件に該当する者が服用した場合に健康被害に至るリスクが高まるものや依存性・習慣性がある成分等)を含む医薬品については、オーバー・ザ・カウンター又は積極的な情報提供を行う機会をより確保することが可能となるような陳列・販売方法とすべきである。(部会報告書)

○ 第二類医薬品のうち、*の付された成分を含む医薬品については、オーバー・ザ・カウンターそのものではないとしても、例えば店舗の中に相談カウンターを設けた上で、カウンターから見える場所で、かつそのカウンターより一定の距離の範囲内のところに陳列をするといったような方法も考えられる。(平成18年4月13日医薬食品局長答弁)

【着衣・名札等による識別】

○ 配置販売業者又はその配置員は、その住所地の都道府県知事が発行する身分証明書の交付を受け、かつ、これを携帯しなければ、医薬品の配置販売に従事してはならない。(薬事法第33条)

○ 着衣の有無や色、名札等により、専門家と非専門家、専門家の中での資質の違い(薬剤師とそれ以外の者の区別)を購入者が容易に認識できるように工夫することも重要である。(部会報告書)

○ 実務経験を行う者については、着衣の有無や色、名札等において、購入者が非専門家であることを容易に認識できるように工夫することが求められる。(登録販売者試験実施ガイドライン作成検討会報告書)

○ 登録販売者である配置員とそれ以外とを名札で識別できるようにすることや、身分証について、その旨を明らかにする、あるいは、さらに身分証を色で区別するといったようなことで、さまざまな工夫を検討したい。(平成18年6月7日医薬食品局長答弁)

【薬局又は店舗における掲示】

○ 薬局開設者又は店舗販売業者は、当該薬局又は店舗を利用するために必要な情報であって厚生労働省令で定める事項を、当該薬局又は店舗の見やすい場所に掲示しなければならない。(改正薬事法第9条の3、第29条の3)

○ 掲示は、店の外からも見えるようにすることが適当である。(部会報告書)

○ 掲示すべき内容としては、リスクの程度によって販売方法が異なることや扱っている医薬品の種類、相談対応可能な時間帯等が考えられる。(部会報告書)

【購入前の添付文書の閲覧】

○ 医薬品の添付文書の内容に関しては、できる限り、購入者が購入前に閲覧できるように環境を整備することが望ましいと考えられる。(部会報告書)

【苦情処理窓口の設置】

○ 制度の実効性を高める観点や薬事監視の限界を考えると、販売方法等(例えば、第一類医薬品を販売する際に説明を行わないなど)について、購入者からの苦情を処理する窓口を設けることも重要である。
苦情処理窓口を設ける機関としては、業界団体や、医薬品販売業の許認可権限を有している都道府県等が考えられる。(部会報告書)

(3)情報提供等を適正に行うための販売体制

○ 医薬品の販売等の業務を行う体制が厚生労働省令で定める基準に適合しなければならない。(改正薬事法第5条第2号、第26条第2号、第30条第1号)

○ 厚生労働省令で定めるところにより、第一類医薬品について、薬剤師に販売等させなければならない。(改正薬事法第36条の5第1号)

○ 厚生労働省令で定めるところにより、第二類医薬品及び第三類医薬品について、薬剤師又は登録販売者に販売等させなければならない。(改正薬事法第36条の5第2号)

○ 「適切な情報提供」及び「適切な相談応需」が行われるためには、薬剤師等の専門家の関与を前提として、

・ 専門家において購入者側の状態を的確に把握できること、及び
・ 購入者と専門家の間で円滑な意思疎通が行われること
が必要である。(部会報告書)

○ 「適切な情報提供」及び「適切な相談応需」が確実に行われることを担保するには、購入者と専門家がその場で直接やりとりを行うことができる「対面販売」が必要であり、これを医薬品販売に当たっての原則とすべきである。(部会報告書)

○ 情報通信技術の活用については、行政、製造業者等による啓発や情報提供については積極的に進めるべきである一方、医薬品の販売については、対面販売が原則であることから情報通信技術を活用することについては慎重に検討すべきである。(部会報告書)

○ 薬剤師または登録販売者は、一般用医薬品を販売する際に情報提供を行うとともに、販売後の服用前あるいは購入前にも相談対応を行うことが求められるので、お店を開けている時間においては、必ず専門家がいるということを要件にしている。(平成18年6月7日医薬食品局長答弁)

○ 一般用医薬品の販売又は授与の業務を行う体制については、一般用医薬品を販売する際に適切な情報提供が行われるよう、店舗の大小にかかわりなく一律の基準ということではなく、売り場の面積やレジの数等に応じて、販売に当たる者の配置の仕方等について、厚生労働省令で基準を定めるという具合に考えている。(平成18年6月7日医薬食品局長答弁)

(4)医薬品販売業者及び管理者の遵守事項等

【医薬品販売業者の遵守事項】

○ 厚生労働省令で、薬局における医薬品の試験検査の実施方法又は店舗における医薬品の管理の方法若しくは配置販売の業務に関する記録方法その他その薬局又は店舗若しくは配置販売の業務に関し店舗販売業者が遵守すべき事項を定めることができる。(薬事法第9条第1項、改正薬事法第29条の2第1項、第31条の4第1項)

○ 配置販売業者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、配置販売の業務に関し、その配置員の資質の向上に努めなければならない。(薬事法の一部を改正する法律附則第12条)

○ 配置販売業の将来方向としては、既存配置販売業者についても、配置員が試験に合格して新制度に移行できるようになることが望ましい。このため、既存配置販売業者に対しては資質の向上の努力義務を課しており、厚生労働省としても、配置員の資質向上が図られるよう関係団体等に対して必要な助言、支援、指導を行うことを考えている。(平成18年4月13日大臣答弁)

【管理者の義務】

○ 店舗若しくは区域を実地に管理する者は厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師又は登録販売者でなければならない。(薬事法第28条第2項、第31条の2第2項)

○ 薬局の管理者又は店舗管理者若しくは区域管理者は保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局又は店舗若しくは区域内に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、その薬局又は店舗の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局又は店舗若しくは区域の業務につき、必要な注意をしなければならない。(薬事法第8条第1項、改正薬事法第29条第1項、第31条の3第1項)

○ 薬局の管理者又は店舗管理者若しくは区域管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局又は店舗若しくは区域の業務につき、薬局開設者又は店舗販売業者若しくは区域販売業者に対し必要な意見を述べなければならない。(薬事法第8条第2項、改正薬事法第29条第2項、第31条の3第2項)

○ 管理者が行うべき業務としては、従事者の監督、物品管理に関すること等が考えられる。(部会報告書)


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