(資料3−1)

検討のためのたたき台(II−4.研究実施の要件について)
(ヒト受精胚の作成を伴う研究を実施する場合)

1.研究実施に必要な要件についての基本的考え方

・総合科学技術会議意見におけるヒト受精胚の取扱いのための具体的な留意事項のうち、研究実施の要件に関する事項としては、(1)胚の取扱いの期間の限定や記録の整備等、(2)研究実施機関の研究能力・設備の要件、(3)倫理的問題に関する検討の体制整備、(4)研究責任者の明確化、(5)提供者の個人情報保護、(6)研究に関する情報公開を定めること、等があげられている。
この意見を踏まえたうえで、胚の作成・利用を伴う生殖補助医療研究の実施に係る要件について、以下の項目について検討を行うこととする。

(1) 研究実施機関について、機関の要件、機関の長の要件、研究責任者の要件、研究実施者の要件、機関内倫理審査委員会の要件

(2) 配偶子の提供機関について、機関の要件、機関の長の要件、機関内倫理審査委員会の要件

(3) 共同研究の場合について、機関の要件、機関の長の要件、機関内倫理審査委員会の要件

・これらの要件を検討するにあたっては、

・ヒト受精胚の作成を伴う生殖補助医療研究が、ヒトの配偶子を使用して人の生命の萌芽として位置づけられる胚を研究目的で作成及び滅失するものであること

・夫婦間以外のヒト配偶子から胚を作成して利用する研究を行うことも想定されること

に留意し、作成されたヒト受精胚から個体の発生につながる行為を行わない等、受精胚の取扱いについて十分に考慮しなければならないこととする。

※参考 総合科学技術会議「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」(平成16年7月23日)(抄)
(以下、下線はすべて事務局による)

第2.ヒト受精胚

3.(1)研究目的のヒト受精胚の作成・利用

ヒト受精胚の研究目的での作成・利用は、ヒト受精胚を損なう取扱いを前提としており、認められないが、基本原則における例外の条件を満たす場合も考えられ、この場合には容認し得る。

その場合においても、ヒト受精胚は、体外にあって胎盤を形成しない限り、発生の過程が進んでも「胚」として扱われるため、研究目的での作成・利用については、その取扱いの期間を限定する必要がある。ヒト受精胚は、原始線条を形成して臓器分化を開始する前までは、ヒト受精胚の細胞(胚性細胞)が多分化性を有していることから、ヒト個体としての発育を開始する段階に至っていないと考えることができるが、原始線条を形成して臓器分化を開始してからは、ヒト個体としての発育を開始したものと考えることができる。これを踏まえ、研究目的でのヒト受精胚の作成・利用においては、その取扱い期間を原始線条の形成前までに限定すべきである。(p6)

第4. 制度的枠組み

2.制度の内容

(1)ヒト受精胚の研究目的での作成・利用

(略)

本報告書の基本的考え方に基づいたヒト受精胚の取扱いのための具体的遵守事項として、研究に用いたヒト受精胚を臨床に用いないこと、未受精卵の無償提供、ヒト受精胚や未受精卵の提供の際の適切なインフォームド・コンセントの実施、胚の取扱い期間の制限、ヒト受精胚を取扱う研究についての記録の整備、研究実施機関の研究能力・設備の要件、研究機関における倫理的問題に関する検討体制の整備及び責任の明確化、ヒト受精胚や未受精卵等の提供者の個人情報の保護、研究に関する適切な情報の公開を定める必要がある。(p17)

このうち特に、未受精卵の入手については、提供する女性への不必要な侵襲を防止するとともに、提供への同意には心理的圧力がかかることがないよう、女性の保護を図る必要があるため、既に述べたとおり、個々の研究において必要最小限の範囲に入手を制限するとともに、自由意志によるインフォームド・コンセントの徹底等を義務付ける必要がある。(p18)

2.研究実施機関と提供機関は別の機関の場合

2−1 研究実施機関

(1)研究実施機関の要件

・研究実施機関とは、研究目的でヒト胚を作成・利用する機関であり、作成された胚から抽出したDNA、RNA、タンパク質等のみを分析する機関は除く。

● 研究実施機関は、ヒトの配偶子を使用してヒト受精胚を作成することを伴う研究を行うために、胚を作成し、培養するための設備を備えた培養室等の十分な施設、設備が整備されている必要があることとする。

● ヒト受精胚の作成を伴う生殖補助医療研究が、ヒトの配偶子を使用して人の生命の萌芽として位置づけられる胚を研究目的で作成及び滅失するものであることを配慮した上で、研究実施機関は、作成されたヒト受精胚の取扱いを適切に行うための管理体制(管理者の設置、記録の保存、施錠管理等)及び規則等の整備の措置を講じることとする。

○ ヒト胚の作成を伴う研究の実験室については、提供者の善意による無償提供をもとに、ヒト胚という生命の萌芽を作成し、滅失するという倫理的観点に加え、作成された胚からの個体産生を事前に防止するという観点、及び作成されたヒト胚を無断で使用したり、持ち出したりすることができないようにするための管理徹底という観点から、検討することとしてよいか。

○ ヒト胚を無断で使用したり、持ち出したりすることができないようにするための管理・徹底という観点から、ヒト胚の作成を伴う研究の実験室は、臨床(いわゆる生殖補助医療)を行う場と分けることとしてよいか。

○ ヒト胚という人の生命の萌芽を作成し、滅失することに配慮し、人の尊厳を侵すことのないよう、誠実かつ慎重にヒト胚の取扱いを行う観点から、ヒト胚の作成を伴う研究の実験室は、原則として他の動物細胞を用いる実験室と分けることとしてよいか。

○ ただし、研究において必要不可欠な場合には、他の動物細胞等を当該実験室内で扱うことが出来るとしてよいか。

● 研究実施機関は、研究の科学的妥当性や倫理的妥当性について、第三者的な立場  から意見を述べることのできる倫理審査委員会を機関内に設置することとする。

● 研究実施機関は、ヒトの配偶子及び胚を取り扱った十分な実績とともに、動物又はヒトの受精胚作成に関する十分な実績がなければならないとする。

● ヒト胚の作成を伴うことから、研究実施機関内につき、少なくとも1名の医師が研究に参画することを必要とする。

● 研究実施機関は、ヒト胚の作成を行うことから、教育研修計画(技術的能力及び倫理的認識を向上させるために必要な教育及び研修を実施するための計画)が定められていることとする。
(具体的な教育研修の内容としては、指針を策定するに至った背景や指針の内容の理解、生命倫理に関する一般的な知識の向上等を目指すための勉強会、講習会等が想定される)

※ 共同研究については、4.において別途議論する。

※参考  ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年 文部科学省告示)(抄)

第一条 この指針において、次の各号に定める用語の意義は、それぞれの当該各号に定めるところによる。(中略)

十 樹立機関 ヒトES細胞を樹立する機関をいう。

第三条 ヒト胚及びヒトES細胞を取り扱う者は、その取扱いに関して、ヒト胚が人の生命の萌芽であること並びにヒトES細胞がヒト胚を滅失させて樹立されたものであること及びヒトES細胞がすべての細胞に分化する可能性があることに配慮し、人の尊厳を侵すことのないよう、誠実かつ慎重にヒト胚及びヒトES細胞の取扱いを行うものとする。

第六条 ヒトES細胞の樹立の用に供されるヒト胚は、次に掲げる要件に適合するものとする。
(中略)

四 受精後十四日以内のものであること。ただし、凍結保存されている期間は、当該機関に算入しない。

第七条 樹立機関におけるヒト受精胚の取扱いは、医師又は医師の指導により適切に行うものとのする。

第八条 樹立機関は、次に掲げる要件に適合するものとする。

一 ヒトES細胞の樹立及び分配をするに足りる十分な施設、人員、財政的基礎及び技術的能力を有すること。

二 ヒトES細胞の樹立及び分配に際して遵守すべき技術的及び倫理的な事項に関する規則が定められていること。

三 倫理審査委員会が設置されていること。

第十条  樹立機関の長は、次に掲げる業務を行うものとする。

七 ヒトES細胞の樹立及び分配に関する教育研修計画を策定し、これに基づき教育研修を実施すること。

第十一条 樹立機関責任者は、次に掲げる業務を行うものとする。

八 ヒトES細胞の樹立及び分配に携わる研究者に対し、前条第一項第七号に規定する教育研修に参加させるとともに、その他ヒトES細胞の樹立及び分配を行うために必要な技術的能力及び倫理的な認識を向上させるための教育研修を実施すること。

第四十八条 使用機関は、次に掲げる要件に適合するものとする。

一 ヒトES細胞を使用するに足りる十分な施設、人員及び技術的能力を有すること。

二 ヒトES細胞の使用に際して遵守すべき技術的及び倫理的な事項に関する規則が定められていること。

三 倫理審査委員会が設置されていること。

特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用に関する検討会報告書(平成19年 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課)(抄)

2.特定不妊治療費助成事業の実施機関における設備・人員等の指定要件について

特定不妊治療助成事業の実施医療機関の指定要件については、当面の間は以下のとおりとすることが適当である。

(2)実施医療機関の具備すべき施設・設備要件

a)基準施設 実施医療機関は、次の施設・設備を有するものとする。

○ 採卵室・胚移植室

・採卵室の設計は、手術室仕様とすること。

・清浄度は原則として手術室レベルとすること。

・酸素吸入器、吸引器、生体監視モニター、救急蘇生セットを備えていること

○ 培養室

・清浄度は原則として手術室レベルとすること。

・手術着、帽子、マスクを着用すること。

・手洗いを行うこと。

・施錠すること。

○ 凍結保存設備

・施錠すること。

○ 診察室

○ 処置室

b)その他の望ましい施設 実施医療機関は、次の施設を有することが望ましい。

○ 採精室

○ カウンセリングルーム

○ 検査室

生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解(平成18年 日本産婦人科学会)(抄)

1. 生殖補助医療の実施登録施設の具備すべき要件と設備

(3)登録施設の設備

登録申請を行う際には、下記の具備すべき施設基準を満たすように努力すべきである。

a)基準施設

・採卵室 採卵室の設計は、基本的に手術室仕様とする。

・培養室 培養室内では、基本的に手術着、帽子、マスク着用で手洗いを行う。
培養室内は、エアフィルターを通じた清浄空気を循環させる。

・凍結保存設備

b)その他望ましい施設

・移植室

・採精室

・カウンセリングルーム

・検査室

ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成16年12月文部科学省、厚生労働省、経済産業省告示)(抄)

第6 用語の定義

(9)研究を行う機関 ヒトゲノム・遺伝子解析研究を実施する機関及び個人事業者(試料等の提供が行われる機関を含む。)をいう。

(11)共同研究機関 研究計画書に記載されたヒトゲノム・遺伝子解析研究を共同して行う研究を行う機関をいう。ある研究を行う機関がその機関以外の試料等の提供が行われる機関から試料等の提供を受ける場合には、その試料等の提供が行われる機関を含む。

臨床研究に関する倫理指針(平成15年7月厚生労働省告示)(抄)

第1 基本的考え方

3 用語の定義

(8) 臨床研究機関 臨床研究を実施する機関(試料等の提供を行う機関を含む。)

(9) 共同臨床研究機関 臨床研究計画書に記載された臨床研究を共同して行う臨床研究機関(試料等の提要を行う機関を含む。)をいう。

(2)研究実施機関の長の要件(*資料3−2を参照)

● 研究実施機関の長は、研究責任者から提出される研究計画の妥当性を確認し、その実施を承認するとともに、研究の進捗状況を把握し、研究責任者に対し必要に応じて指示を与えること等の監督業務等の役割が求められる。また、研究実施機関の長は、機関内倫理審査委員会を設置して、研究責任者から提出された研究計画の妥当性について意見を求めることについてもその役割を果たす必要がある。したがって機関の長は、中立性、透明性を確保する観点からも、研究責任者を兼ねてはならないとする。

○ 生殖補助医療研究の場合、研究実施機関として極端に規模の小さい研究機関等も考えられるが、そのような小規模の機関において機関の長としての業務を他の者に代行させた場合、監督業務等の機関の長としての業務が代行者によって適切に遂行されるかどうかの実効性に疑問があること、また、規模の大小の基準を設けることは困難であることに鑑み、機関の長としての業務を他の者に代行させることは認めないこととするか。又は、技術的な観点から研究責任者として適当な者が他にない場合もあることから、研究実施機関の長としての業務を他の者に代行させてもよいとするか。

○ 研究実施機関の長は、機関内倫理審査委員会を設置して、研究計画の妥当性について意見を求める責務がある。したがって、研究実施機関の長を他の者に代行させることができない場合、機関の長は、中立性、透明性を確保する観点から、研究実施機関の長は、研究実施者を兼ねてはならないとするか。又は、研究実施者については、研究の総括を行って責任を負う役割を求められておらず、研究責任者の指示に従って生殖補助医療研究を実施することから、研究実施機関の長は研究実施者を兼ねても構わないとするか。

※参考 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年 文部科学省告示)(抄)

第十条

(略)

2 樹立機関の長は、樹立責任者を兼ねることができないものとする。ただし、あらかじめこの指針の規定に定める樹立機関の長としての業務を他の者に代行させることを樹立機関の定める規則により規定している場合には、この限りではない。

● 研究実施機関の長は、生殖補助医療研究を行うために必要な教育研修計画(技術的能力及び倫理的認識を向上させるために必要な教育及び研修を実施するための計画)を策定し、これに基づき教育研修を実施することとする。

※参考  ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年 文部科学省告示)(抄)

第十条  樹立機関の長は、次に掲げる業務を行うものとする。

七 ヒトES細胞の樹立及び分配に関する教育研修計画を策定し、これに基づき教育研修を実施すること。

(3)研究責任者の要件

○ 研究責任者は、ヒト配偶子を使用して人の生命の萌芽と位置付けられるヒト受精胚を作成し、滅失させる生殖補助医療研究を実施すると共に、その研究にかかる業務を総括する責任を負うという役割が求められることから、動物又はヒトの配偶子及び胚を取り扱った十分な実績とともに、動物又はヒトの受精胚作成に関する十分な専門的知識及び実績がなければならないとするか。

○ 研究責任者は動物のみの実績でよいとするか。その場合、研究実施者はヒトの実績がなければならないとするか。

● 研究責任者は、必ずしも医師であることを要件としない。

● 胚の作成・利用を伴う生殖補助医療研究は、配偶子を使用して人の生命の萌芽として位置づけられる胚を作成し、滅失させる研究であり、研究責任者は、この研究に従事する研究者を指導する立場にあることから、生殖補助医療研究に係る生命倫理に関して十分な知識を有した者でなければならないとする。

● 研究責任者は、研究実施者に対し教育研修に参加させることとする。

※参考  ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年 文部科学省告示)(抄)

第一条

 (略)

十四 樹立責任者は、樹立機関において、ヒトES細胞の樹立及び分配を総括する立場にある者をいう。

第十一条

 (略)

2 樹立責任者は、一の樹立計画ごとに一名とし、ヒトES細胞に係る倫理的な認識を有し、動物胚を用いたES細胞の樹立の経験その他ヒトES細胞の樹立に関する十分な専門知識及び技術的能力を有し、かつ、前項各号に掲げる業務を的確に実施できる者とする。

第十一条 樹立機関責任者は、次に掲げる業務を行うものとする。

八 ヒトES細胞の樹立及び分配に携わる研究者に対し、前条第一項第七号に規定する教育研修に参加させるとともに、その他ヒトES細胞の樹立及び分配を行うために必要な技術的能力及び倫理的な認識を向上させるための教育研修を実施すること。

※参考 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年 文部科学省告示)(抄)

ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成16年12月 文部科学省、厚生労働省、経済産業省告示)(抄)

第6 用語の定義

(15) 研究責任者

個々の研究を行う機関において、ヒトゲノム・遺伝子解析研究を遂行するとともに、その研究計画に係る業務を統括する者であって、ヒトゲノム・遺伝子解析研究の有用性及び限界並びに生命倫理について十分な知識を有する研究者をいう。

「ヒト精子・卵子・受精卵を取扱う研究に関する見解」(平成14年 日本産科婦人科学会会告)(抄)

ヒト精子・卵子・受精卵を取扱う責任者は、原則として医師とし、研究協力者は、その研究の重要性を充分認識したものがこれにあたる。

特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用に関する検討会報告書(平成19年 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課)(抄)

2.特定不妊治療費助成事業の実施機関における設備・人員等の指定要件について
特定不妊治療助成事業の実施医療機関の指定要件については、当面の間は以下のとおりとすることが適当である。

(3)実施医療機関の配置が必要な人員要件

a)必要不可欠な基準要員 実施医療機関は、次の人員を有するものとする。

○ 実施責任者 (1名)

○ 実施医師(1名以上、実施責任者と同一人でも可)

○ 看護師(1名以上)

b)配置が望ましい要員 実施医療機関は、次の人員を有することが望ましい。

○ 泌尿器科医師。特に、精巣内精子生検採取法、精子上体内精子吸引採取法等を実施する施設では、泌尿器科医師との連携が取れるようにしておくことが重要である。

○ 配偶子、受精卵及び胚の操作・取扱い、並びに培養室、採精室及び移植室などの施設・器具の準備・保存の一切を実際に行う、生殖補助医療に精通した技術者。

○ 患者(夫婦)が納得して不妊治療を受けることができるように、不妊治療の説明補助、不妊治療の選択の援助、不妊の悩みや不妊治療の悩みや不妊治療後の妊娠・出産のケア等、患者(夫婦)を看護の側面から支援する者。

○ 心理学・社会学に深い造詣を有し、臨床における心理カウンセリングの側面から支援できる技術を持つ者。 

(4)実施責任者の要件 実施責任者は、次の項目をすべて満たすものとする。

○ 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医である者。

○ 専門医取得後、不妊症診療に2年以上従事した者。

○ 日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設において1年以上の勤務又は1年以上の研修を受け、体外受精・胚移植の技術を習得した者。

○ 常勤である者

生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解(平成18年 日本産科婦人科学会)(抄)

1. 生殖補助医療の実施登録施設の具備すべき要件と設備

(4)登録施設の要員

a)必要不可欠な基準要員

・ 実施責任者 (1名)

・ 実施医師(1名以上、実施責任者と同一人でも可)

・ 看護師(1名以上)
不妊治療及び不妊患者の看護に関する知識、技術を十分に習得した看護師であること

b)その他望ましい要員

・ 精巣内精子生検採取法(TESE)、精子上体内精子吸引採取法(MESA)等を実施する施設では、泌尿器科医師との連携が取れるようにしておくことが重要である。

・ 配偶子、受精卵及び胚の操作・取扱い、並びに培養室、採精室及び移植室などの施設・器具の準備・保存の一切を実際に行うARTに精通した高い倫理観をもつ技術者を有することが望ましい。

・ 生殖医学・遺伝学の基礎知識、ARTの基礎知識および心理学・社会学に深い造詣を有し、臨床におけるカウンセリングの経験を持ち不妊患者夫婦を側面からサポートできるカウンセラーとの連携が望ましい。

2.生殖補助医療の実施登録施設における実施責任者の要件

本会に登録の必要のあるARTを申請する施設の実施責任者は次の各項の条件をすべて満たす者であることを要する。また、実施責任者に異動が生じた場合には、遅滞なく報告する。ただし、異動により下記の条件を満たす医師が欠ける場合には、その欠員が充足されるまで実施を停止する。

・ 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医である者。

・ 専門医取得後、不妊症診療に2年以上従事した者。

・ 日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設において1年以上の勤務又は1年以上の研修を受け、体外受精・胚移植の技術を習得した者。

(4)研究実施者の要件

● 研究実施者は、研究責任者の指導・監督の下で、直接ヒトの配偶子及び受精胚を扱う者であることから、ヒト又は動物の配偶子、受精胚の操作等の技術に習熟した者であることを必要な要件とする。

● 直接ヒトの配偶子及び受精胚を扱わない者は、研究実施者に含めないこととする。

● 胚の作成・利用を伴う生殖補助医療研究は、配偶子を使用して人の生命の萌芽として位置づけられる胚を作成し、滅失させる研究であることから、研究実施者は、生命倫理に関して十分な知識を有した者でなければならないとする。

○ 生命倫理に関して十分な知識を有しているかどうかは、教育研修を受講した実績で判断してよいか。

※参考 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年文部科学省告示)(抄)

第七条 樹立機関におけるヒト受精胚の取扱いは、医師又は医師の指導により適切に行うものとのする。

第八条 樹立機関は、次に掲げる要件に適合するものとする。

一 ヒトES細胞の樹立及び分配をするに足りる十分な施設、人員、財政的基礎及び技術的能力を有すること。

二 ヒトES細胞の樹立及び分配に際して遵守すべき技術的及び倫理的な事項に関する規則が定められていること。

三 倫理審査委員会が設置されていること。

「ヒト精子・卵子・受精卵を取扱う研究に関する見解(平成14年 日本産科婦人科学会会告)(抄)

ヒト精子・卵子・受精卵を取扱う責任者は、原則として医師とし、研究協力者は、その研究の重要性を充分認識したものがこれにあたる。

特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用に関する検討会報告書(平成19年厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課)(抄)

2.特定不妊治療費助成事業の実施機関における設備・人員等の指定要件について

特定不妊治療助成事業の実施医療機関の指定要件については、当面の間は以下のとおりとすることが適当である。

(3)実施医療機関の配置が必要な人員要件

a)必要不可欠な基準要員 実施医療機関は、次の人員を有するものとする。

○ 実施責任者 (1名)

○ 実施医師(1名以上、実施責任者と同一人でも可)

○ 看護師(1名以上)

b)配置が望ましい要員 実施医療機関は、次の人員を有することが望ましい。

○ 泌尿器科医師。特に、精巣内精子生検採取法、精子上体内精子吸引採取法等を実施する施設では、泌尿器科医師との連携が取れるようにしておくことが重要である。

○ 配偶子、受精卵及び胚の操作・取扱い、並びに培養室、採精室及び移植室などの施設・器具の準備・保存の一切を実際に行う、生殖補助医療に精通した技術者。

○ 患者(夫婦)が納得して不妊治療を受けることができるように、不妊治療の説明補助、不妊治療の選択の援助、不妊の悩みや不妊治療の悩みや不妊治療後の妊娠・出産のケア等、患者(夫婦)を看護の側面から支援する者。

○ 心理学・社会学に深い造詣を有し、臨床における心理カウンセリングの側面から支援できる技術を持つ者。 

(4)実施責任者の要件 実施責任者は、次の項目をすべて満たすものとする。

○ 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医である者。

○ 専門医取得後、不妊症診療に2年以上従事した者。

○ 日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設において1年以上の勤務又は1年以上の研修を受け、体外受精・胚移植の技術を習得した者。

○ 常勤である者

生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解(平成18年 日本産婦人科学会)(抄)

1. 生殖補助医療の実施登録施設の具備すべき要件と設備

(4)登録施設の要員

a)必要不可欠な基準要員 

・ 実施責任者 (1名)

・ 実施医師(1名以上、実施責任者と同一人でも可)

・ 看護師(1名以上)
不妊治療及び不妊患者の看護に関する知識、技術を十分に習得した看護師であること

b)その他望ましい要員 

・ 精巣内精子生検採取法(TESE)、精子上体内精子吸引採取法(MESA)等を実施する施設では、泌尿器科医師との連携が取れるようにしておくことが重要である。

・ 配偶子、受精卵及び胚の操作・取扱い、並びに培養室、採精室及び移植室などの施設・器具の準備・保存の一切を実際に行うARTに精通した高い倫理観をもつ技術者を有することが望ましい。

・ 生殖医学・遺伝学の基礎知識、ARTの基礎知識および心理学・社会学に深い造詣を有し、臨床におけるカウンセリングの経験を持ち不妊患者夫婦を側面からサポートできるカウンセラーとの連携が望ましい。

2.生殖補助医療の実施登録施設における実施責任者の要件

本会に登録の必要のあるARTを申請する施設の実施責任者は次の各項の条件をすべて満たす者であることを要する。また、実施責任者に異動が生じた場合には、遅滞なく報告する。ただし、異動により下記の条件を満たす医師が欠ける場合には、その欠員が充足されるまで実施を停止する。

・ 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医である者。

・ 専門医取得後、不妊症診療に2年以上従事した者。

・ 日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設において1年以上の勤務又は1年以上の研修を受け、体外受精・胚移植の技術を習得した者。

(5)説明者の要件

※ 説明者の要件については、インフォームド・コンセントの手続きについて検討した後、改めて検討することとする。

(6)研究実施機関における機関内倫理審査委員会

● 機関内倫理審査委員会は、研究計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるように、委員の構成は、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者、一般の立場に立って意見を述べられる者を含むとする。

● またこの場合、中立的な審査を確保するために、研究機関に属する者以外の者が2名以上含まれていることとする。

● 男性及び女性がそれぞれ2名以上含まれていることとする。

○ さらに研究計画の専門性に考慮し、ヒト胚の作成を伴う研究の科学的妥当性を審査するために、医学に関する専門家として、生殖補助医療に識見がある者を委員に含めることを要件とすることでよいか。

○ 機関内倫理審査委員会は、研究関係者と常に中立性を保ち、第三者的立場から意見を述べる立場にあることから、研究実施機関の長、研究に関係する者(研究責任者、研究実施者、研究責任者との間に利害関係を有する者及び研究責任者の三親等以内の親族)は、当該案件に関しては機関内倫理審査委員会の委員となってはならないこととしてよいか。

● 審査の透明性を確保し、社会の理解を得るために、機関内倫理審査委員会の議事の内容について知的財産権に関する情報、個人情報など公開が不適切であるものを除き、原則として公開するものとする。

※参考 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年文部科学省告示)(抄)

第十二条 樹立機関の倫理審査委員会は、次に掲げる業務を行うものとする。

一 樹立計画又は第13条第1項に規定する樹立計画の変更についてこの指針に即し、その科学的妥当性及び倫理的妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して樹立機関の長に対し意見を提出するとともに、当該審査の過程の記録を作成し、これを保管すること。

2 樹立機関の倫理審査委員会は、次に掲げる要件に適合するものとする。

一 樹立機関の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるよう、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べられるにふさわしい識見を有する者並びに一般の立場に立って意見を述べられる者から構成されていること。

二 樹立機関に属する者及び樹立機関の属する法人に所属する者以外の者が二名以上含まれていること。

三 男性及び女性がそれぞれ二名以上含まれていること。

四 樹立計画を実施する者、樹立責任者との間に利害関係を有する者及び樹立責任者の三親等以内の親族が審査に参画しないこと。

五 倫理審査委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続きが定められていること。

六 倫理審査委員会の構成、組織及び運営並びに議事の内容の公開その他樹立計画の審査に必要な手続きに関する規則が定められ、かつ、当該規則が公開されていること。

3 倫理審査委員会の運営に当たっては、前項第六号に規定する規則により非公開とすることが 定められている事項を除き、議事の内容について公開するものとする。

生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解(平成18年 日本産婦人科学会)(抄)

3. 生殖補助医療に関する登録申請にあたり留意すべき事項

(4)倫理委員会

a)倫理委員会を設置することが望ましい。特にヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究を実施する施設、ならびに非配偶者間人工授精(AID)を実施する施設は倫理委員会を設置し、承認を得る。

b)倫理委員会は中立を保つため委員構成に配慮が必要であり、中立的な外部委員を複数入れることが望ましい。

c)倫理審査委員会委員長を施設責任者・実施責任者が兼ねることは望ましくない。

d)倫理委員会の審査記録を添付すること、但し、審査記録には審議議題と結果ならびに審査者氏名を含むこと。

ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成16年12月 文部科学省、厚生労働省、経済産業省告示)(抄)

9 倫理審査委員会の責務及び構成

<細則2(倫理審査委員会の運営に関する細則)>

研究を行う機関の長、審査対象となる研究の研究責任者及び研究担当者は、その審議又は採決に参加してはならない。ただし、倫理審査委員会の求めに応じて、会議に出席し、説明することができる。

2−2.提供機関

(1)提供機関の要件

以下、卵子(卵巣を含む)の提供、精子(精巣を含む)の提供の場合を分けて検討する。

(1) 卵子(卵巣を含む)の提供機関

● 提供機関は、提供者から直接ヒトの卵子の提供を受けることから、採卵室、胚培養室並びに卵子の保存設備など十分な施設、設備が整っているとともに、管理体制(管理者の設置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されていることとする。

● 提供機関は、ヒトの配偶子の提供を受ける目的について、科学的妥当性や倫理的妥当性について、第三者的な立場から意見を述べることのできる機関内倫理審査委員会を必ず機関内に設置することを必要とする。

● 提供機関は、十分な臨床経験のある産科婦人科の医師が所属していることを必要とする。

● 提供機関は医療機関でなければならないとする。

● 手術等で摘出された卵巣又は卵巣切片からの提供の場合については、卵子の採取に必要な採卵室のような施設、設備は必要ないとする。ただし、その場合であっても、管理体制(管理者の設置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されていることとする。

(2) 精子(精巣を含む)の提供機関

○ 提供機関は、提供者から直接ヒトの精子の提供を受けることから、精子の保存設備など十分な施設、設備が整っているとともに、管理体制(管理者の設置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されていることとするか。

○ また、採精室が設置されていることが望ましいとするか。

○ 提供機関は、ヒトの配偶子の提供を受ける目的について、科学的妥当性や倫理的妥当性について、第三者的な立場から意見を述べることのできる機関内倫理審査委員会を必ず機関内に設置することを必要としてよいか。

○ 提供機関は、十分な臨床経験のある産科婦人科又は泌尿器科の医師が所属していることを必要とするか。

○ 提供機関は原則、医療機関でなければならないとするか。又は、ボランティアの提供も考慮に入れて、医療機関ではない提供機関を認めるか。

○ 手術等で摘出された精巣又は精巣切片からの提供の場合については、精子の採取に必要な採精室のような施設、設備は必要ないとしてよいか。ただし、その場合であっても、管理体制(管理者の設置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されていることとしてよいか。

※参考 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年文部科学省告示)(抄)

第一条 この指針において、次の各号に定める用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

十一 提供医療機関 ヒトES細胞の樹立の用に供されるヒト受精胚の提供を受け、これを樹立機関に移送する医療機関をいう。

第二十条 提供医療機関は、次に掲げる要件に適合するものとすること。

一 ヒト受精胚の取扱いに関して十分な実績及び能力を有すること。

二 倫理委員会が設置されていること。

三 ヒト受精胚を提供する者の個人情報の保護のための十分な措置が講じられていること。

人クローン胚の研究目的の作成・利用のあり方について(第一次報告)(平成20年2月生命倫理・安全部会)(抄)

第2編第3章 研究実施機関等

2.未受精卵またはヒト受精胚の提供医療機関

(1)説明担当医師及びコーディネーターの配置

(2)必要とされる技術的能力等

手術等により摘出された卵巣や卵巣切片の提供を受ける場合を除き、未受精卵またはヒト受精胚の提供及び提供された未受精卵またはヒト受精胚の適切な取扱いを確保するため、提供医療機関は、

(1)生殖補助医療実施施設として必要な施設・整備・機器・人員の基準を満たしていること

(2)未受精卵またはヒト受精胚の培養、凍結保存、体外成熟等の技術に係る十分な実績及び能力を有すること

が必要である。

特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用に関する検討会報告書(平成19年 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課)(抄)

2.特定不妊治療費助成事業の実施機関における設備・人員等の指定要件について

特定不妊治療助成事業の実施医療機関の指定要件については、当面の間は以下のとおりとすることが適当である。

(2)実施医療機関の具備すべき施設・設備要件

a)基準施設 実施医療機関は、次の施設・設備を有するものとする。

○ 採卵室・胚移植室

・採卵室の設計は、手術室仕様とすること。

・清浄度は原則として手術室レベルとすること。

・酸素吸入器、吸引器、生体監視モニター、救急蘇生セットを備えていること

○ 培養室

・清浄度は原則として手術室レベルとすること。

・手術着、帽子、マスクを着用すること。

・手洗いを行うこと。

・施錠すること。

○ 凍結保存設備

・施錠すること。

○ 診察室

○ 処置室

b)その他の望ましい施設 実施医療機関は、次の施設を有することが望ましい。

○ 採精室

○ カウンセリングルーム

○ 検査室

生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解(平成18年 日本産婦人科学会)(抄)

1. 生殖補助医療の実施登録施設の具備すべき要件と設備 

(3)登録施設の設備

登録申請を行う際には、下記の具備すべき施設基準を満たすように努力すべきである。

a)基準施設

・採卵室 採卵室の設計は、基本的に手術室仕様とする。

・培養室 培養室内では、基本的に手術着、帽子、マスク着用で手洗いを行う。
培養室内は、エアフィルターを通じた清浄空気を循環させる。

・凍結保存設備

b)その他望ましい施設

・移植室

・採精室

・カウンセリングルーム

・検査室

(2)提供機関の長の要件 (*資料3−2を参照)

○提供機関の長は、研究実施機関の長より依頼された研究計画について、インフォームド・コンセントの内容も含めてその妥当性を確認し、その実施を了解するとともに、提供の進捗状況を把握し、主治医に対し必要に応じて指示を与えること等の監督業務等の役割が求められるが、研究の実施には直接関わらないことから、提供機関の長が主治医を兼ねることを認めるか。又は、適切な採取やインフォームド・コンセントの取得の手続きを審査する機関内倫理審査委員会を提供機関の長が設置することから、主治医を兼ねてはならないとするか。

資料4−1

3.(2)1)

● 実際にインフォームド・コンセントが適切に得られたかについては、提供機関の倫理審査委員会によるフォローアップの一環として行うこととする。

※ 具体的なフォローアップの方法は、倫理審査委員会の責務を議論する際にあらためて検討する。

※提供機関の長の要件について、明記している指針はない。

(3)提供機関における機関内倫理審査委員会の要件

○ 提供機関の機関内倫理審査委員会は、研究実施機関の機関内倫理審査委員会の要件に加え、研究機関が行う研究計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性について、配偶子を提供する提供機関として審査を行うほか、特にインフォームド・コンセントの手続き等について審査を行うこととするか。

○ 機関内倫理審査委員会は、提供者と常に中立性を保ち、第三者的立場から意見を述べる立場にあることから、提供に関係する者(主治医等)も、機関内倫理審査委員会の委員となってはならないこととするか。

※参考 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年文部科学省告示)(抄)

第二十一条 提供医療機関の倫理審査委員会は、樹立計画または第13条第1項に規定する樹立計画の変更についてこの指針に即し、その科学的妥当性及び倫理的妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して提供医療機関の長に対し意見を提出するとともに、当該審査の過程の記録を作成し、これを保管する業務を行うものとする。

2 第12条第2項及び第3項の規定は、提供医療機関の倫理審査委員会の要件及び運営について準用するものとする。この場合において、「樹立機関」とあるのは「提供医療機関」に読み替えるものとする。

第二十四条 提供医療機関の長は、樹立計画に基づくインフォームド・コンセントの取得の適切な実施に関して、第22条第2項に規定する書面、説明書及び説明実施書を確認するとともに、当該提供医療機関の倫理審査委員会の意見を聴くものとする。

生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解(平成18年 日本産科婦人科学会)(抄)

3. 生殖補助医療に関する登録申請にあたり留意すべき事項

(4)倫理委員会

a)倫理委員会を設置することが望ましい。特にヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究を実施する施設、ならびに非配偶者間人工授精(AID)を実施する施設は倫理委員会を設置し、承認を得る。

b)倫理委員会は中立を保つため医院構成に配慮が必要であり、中立的な外部委員を複数入れることが望ましい。

c)倫理審査委員会委員長を施設責任者・実施責任者が兼ねることは望ましくない。

d)倫理委員会の審査記録を添付すること、但し、審査記録には審議議題と結果ならびに
審査者氏名を含むこと。

3.研究実施機関と提供機関が同一の場合

(1)機関の要件

○ 機関の要件については、前述の研究実施機関の要件及び提供機関の要件をともに満たすこととすることでよいか。

○ 研究実施機関と提供機関が同一である場合、当該機関には提供機関として提供者の個人情報を有しているため、個人情報の保護のための特段の措置を講じるということでよいか。

※ 提供者の個人情報の保護については、別途議論することとする。

ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成16年12月 文部科学省、厚生労働省、経済産業省告示)(抄)

第1 基本的考え方

3 保護すべき個人情報

(1)「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であて、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(ほかの情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。

(2)個人情報を連結不可能匿名化した情報は、個人情報に該当しない。個人情報を連結可能匿名かした情報は、研究を行う機関において、当該個人情報に係る個人と当該情報とを連結し得るよう新たに付された符号又は番号等の対応表を保有していない場合は、個人情報に該当しない。

<連結可能匿名化された情報の取り扱いに関する細則>

連結可能匿名化された情報を同一法人又は行政機関内の研究部門において取り扱う場合には、当該研究部門について、研究部門以外で匿名化が行われ、かつ、その匿名化情報の対応表が厳密に管理されていること等の事情を勘案して適切な措置を定めるなど、当該機関全体として十分な安全管理が確保されるよう、安全管理措置を定めることができる。

(3)ヒトゲノム・遺伝子解析研究において扱う情報が、個人情報に該当しない場合であっても、遺伝情報、診療情報等個人の特徴や体質を示す情報は、本指針に基づき適切に取り扱われなければならない。

(2)機関の長の要件(*資料3−2を参照)

・研究実施機関と提供機関が同一の場合、機関の長は同一人物となる。

○ 機関の長の要件については、2−1(2)の研究実施機関の長の要件及び2−2(2)の提供機関の長の要件をともに満たすこととすることでよいか。

2−1(2)研究実施機関の長の要件

● 研究実施機関の長は、研究責任者から提出される研究計画の妥当性を確認し、その実施を承認するとともに、研究の進捗状況を把握し、研究責任者に対し必要に応じて指示を与えること等の監督業務等の役割が求められる。また、研究実施機関の長は、機関内倫理審査委員会を設置して、研究責任者から提出された研究計画の妥当性について意見を求めることについてもその役割を果たす必要がある。したがって機関の長は、中立性、透明性を確保する観点からも、研究責任者を兼ねてはならないとする。

○ 生殖補助医療研究の場合、研究実施機関として極端に規模の小さい研究機関等も考えられるが、そのような小規模の機関において機関の長としての業務を他の者に代行させた場合、監督業務等の機関の長としての業務が代行者によって適切に遂行されるかどうかの実効性に疑問があること、また、規模の大小の基準を設けることは困難であることに鑑み、機関の長としての業務を他の者に代行させることは認めないこととするか。又は、技術的な観点から研究責任者として適当な者が他にない場合もあることから、研究実施機関の長としての業務を他の者に代行させてもよいとするか。

○ 研究実施機関の長は、機関内倫理審査委員会を設置して、研究計画の妥当性について意見を求める責務がある。したがって、研究実施機関の長を他の者に代行させることができない場合、機関の長は、中立性、透明性を確保する観点から、研究実施機関の長は、研究実施者を兼ねてはならないとするか。又は、研究実施者については、研究の総括を行って責任を負う役割を求められておらず、研究責任者の指示に従って生殖補助医療研究を実施することから、研究実施機関の長は研究実施者を兼ねても構わないとするか。

2−2(2)提供機関の長の要件

○ 提供機関の長は、研究実施機関の長より依頼された研究計画について、インフォームド・コンセントの内容も含めてその妥当性を確認し、その実施を了解するとともに、提供の進捗状況を把握し、主治医に対し必要に応じて指示を与えること等の監督業務等の役割が求められるが、研究の実施には直接関わらないことから、提供機関の長が主治医を兼ねることを認めるか。又は、適切な採取やインフォームド・コンセントの取得の手続きを審査する機関内倫理審査委員会を提供機関の長が設置することから、主治医を兼ねてはならないとするか。

○ 研究実施機関及び提供機関の長は、研究計画について、インフォームド・コンセントの内容も含めてその妥当性を確認し、その実施を了解するとともに、提供の進捗状況を把握し、主治医に対し必要に応じて指示を与えること等の監督業務等の役割が求められるが、研究には直接関与しないことから主治医を兼ねても構わないとするか。又は、適切な採取やインフォームド・コンセントの取得の手続きを審査する機関内倫理審査委員会を機関の長が設置することから、主治医を兼ねてはならないとするか。

○ 研究実施機関及び提供機関の長は、研究実施者を兼ねてはならないとするか。又は、研究実施者については、研究責任者の指示に従って生殖補助医療研究を実施するものの、研究の統括を行う役割を求められていないことから、研究実施機関の長は研究実施者を兼ねても構わないとするか。

(3)研究責任者の要件(*資料3−2を参照)

○ 研究責任者は、生殖補助医療研究を実施すると共に、その研究にかかる業務を統括するという責任を負うため、配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防止する観点から、主治医を兼ねてはならないとするか。

(4)研究実施者の要件(*資料3−2を参照)

○ 配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防止する観点から、主治医が研究実施者を兼ねてはならないとするか。又は、医療機関における一般的な研究においては、主治医が研究実施者を兼ねる場合があることから、主治医が研究実施者を兼ねても構わないとするか。

(5)機関内倫理審査委員会の要件

○ 研究実施機関と提供機関が同一である場合、機関内倫理審査委員会は一つでよいとするが、機関内倫理審査委員会の要件については、2−1(6)の研究実施機関の機関内倫理審査委員会の要件及び2−2(3)の提供機関の機関内倫理審査委員会の要件をともに満たすこととすることでよいか。

○ 上記の要件に加え、個人情報保護の措置を講ずることとしてよいか。

2−1(6)研究実施機関における機関内倫理審査委員会

● 機関内倫理審査委員会は、研究計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるように、委員の構成は、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者、一般の立場に立って意見を述べられる者を含むとする。

● またこの場合、中立的な審査を確保するために、研究機関に属する者以外の者が2名以上含まれていることとする。

● 男性及び女性がそれぞれ2名以上含まれていることとする。

○ さらに研究計画の専門性に考慮し、ヒト胚の作成を伴う研究の科学的妥当性を審査するために、医学に関する専門家として、生殖補助医療に識見がある者を委員に含めることを要件とすることでよいか。

○ 機関内倫理審査委員会は、研究関係者と常に中立性を保ち、第三者的立場から意見を述べる立場にあることから、研究実施機関の長、研究に関係する者(研究責任者、研究実施者、研究責任者との間に利害関係を有する者及び研究責任者の三親等以内の親族)は、当該案件に関しては機関内倫理審査委員会の委員となってはならないこととしてよいか。

● 審査の透明性を確保し、社会の理解を得るために、機関内倫理審査委員会の議事の内容について知的財産権に関する情報、個人情報など公開が不適切であるものを除き、原則として公開するものとする。

2−2(3)提供機関における機関内倫理審査委員会

○ 提供機関の機関内倫理審査委員会は、研究実施機関の機関内倫理審査委員会の要件に加え、研究機関が行う研究計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性について、配偶子を提供する提供機関として審査を行うほか、特にインフォームド・コンセントの手続き等について審査を行うこととするか。

○ 機関内倫理審査委員会は、提供者と常に中立性を保ち、第三者的立場から意見を述べる立場にあることから、提供に関係する者(主治医等)も、機関内倫理審査委員会の委員となってはならないこととするか。

4.共同研究について(*資料3−3を参照)

○ 胚を作成した研究実施機関は、原則として、その胚を他の機関に移送してはならないとするか。

○ 複数の研究実施機関が共同で、作成した胚を利用することが考えられるが、その際、例外として、作成された胚の研究実施機関の間での移送を認めてよいか。

○ 作成された胚からの個体産生を事前に防止するという観点から、共同研究を行う研究実施機関以外への胚の移送を認めないとしてよいか。

※参考 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年文部科学省告示)(抄)

第十八条 複数の機関が連携して樹立機関の業務を行うことができるものとする。

2 前項の場合において、各機関は、各機関ごとの役割分担及び責任体制に関する説明を樹立計画書に記載するとともに、各機関ごとに、樹立計画又は第十三条第一項に規定する樹立計画の変更について、当該機関に設置された倫理審査委員会の意見を聴くものとする。

臨床研究に関する倫理指針(平成15年7月厚生労働省告示)(抄)

3.用語の定義

(9)共同臨床研究機関

臨床研究計画書に記載された臨床研究を共同して行う臨床研究機関(試料等の提供を行う機関を含む。)をいう。

2.臨床研究機関の長の責務等

(2)倫理審査委員会の設置

臨床研究機関の長は、臨床研究計画がこの指針に適合しているか否かその他臨床研究に関し必要な事項の審査を行わせるため、倫理審査委員会を設置しなければならない。ただし、臨床研究機関が小規模であること等により当該臨床研究機関内に倫理審査委員会を設置できない場合には、共同臨床研究機関、公益法人、学会等に設置された倫理審査委員会に審査を依頼することをもってこれに代えることができる。

<細則>

臨床研究機関に既に設置されている類似の委員会をこの指針に適合する倫理審査委員会に再編成することで対応可能であり、その名称の如何は問わない。


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