生活安心プロジェクトについて

「経緯」

10月1日総理所信表明演説「国民の安全・安心を重視する政治 への転換」

10月26日 総理の国民生活センター視察

11月1日 総理より岸田大臣にとりまとめ指示

11月2日 閣僚懇談会 各大臣へ指示関係省庁局長会議

福田総理所信表明演説‐抜粋‐

(国民の安全・安心を重視する政治への転換)

国民生活に大きな不安をもたらした耐震偽装問題の発生を受け、安全・安心な住生活への転換を図る法改正が行われました。成熟した先進国となった我が国においては、生産第一という思考から、国民の安全・安心が重視されなければならないという時代になったと認識すべきです。政治や行政のあり方のすべてを見直し、国民の皆様が日々、安全で安心して暮らせるよう、真に消費者や生活者の視点に立った行政に発想を転換し、悪徳商法の根絶に向けた制度の整備など、消費者保護のための行政機能の強化に取り組みます。
 毎日の食卓の安全・安心は、暮らしの基本です。消費者の立場に立った行政により、食品の安全・安心を守るため、正しい食品表示を徹底するとともに、輸入食品の監視体制を強化します。
 今なお頻発する災害による死者の発生は、国民生活に大きな不安をもたらしています。災害が発生した場合の「犠牲者ゼロ」を目指し、対策の充実に意を用いてまいります。

「行政のあり方の総点検」

1.国民生活の基本である「食べる」「働く」「作る」「守る」「暮らす」の分野について、法律、制度、事業など幅広く行政のあり方の総点検を実施

2.国民生活審議会において以下の観点から検討春を目途にとりまとめ→政府決定

※国民生活審議会総合企画部会に、「食べる」「働く」「作る」「守る」「暮らす」の5分野ごとにワーキンググル−プを設け検討。

12月ワーキンググループヒアリング結果中間報告

1月ワーキンググループ検討結果報告

2月総点検の論点整理

3月総点検のとりまとめ

「緊急に講ずる具体的施策とりまとめ」

・国民生活の安心を確保するために必要な、緊急に講ずる施策を年内を目途にとりまとめ

・各大臣が地方視察、地域住民との対話等を通じ、指導力を発揮して、現場感覚で具体的な政策を検討

[1]「食べる」加工食品の原材料表示の充実[2]「働く」働く人を大切にする雇用[3]「作る」子供やお年寄りに優しい質の高い製品づくり[4]「守る」暮らしの安全を守るルールづくり[5]「暮らす」地域コミュニティ・安心生活空間の再生 など

11月19日(月)一次締め切り

11月20日(火)〜 内閣府ヒアリング

11月29日(木)中間報告

12月14日(金)関係省庁局長会議

12月17日(月)関係閣僚会合

5つの分野

「食べる」〜ホンモノのある食生活

1.食品表示の適正化

・加工食品の表示の信頼向上(原材料供給者にもJAS法の表示を義務付け)(19 年度中、JAS法告示改正)

・「食品表示特別Gメン」の新設等不正表示の監視取締体制強化(20年度、増員)

・監視取締体制の一層の強化のため、関係機関の情報共有(20年度)

・消費者向け情報提供活動の強化(19年度中)

2.食品等の安全性の確保

・モニタリング検査の充実など輸入食品に関する検疫体制の強化(20年度、増員)

・食品のトレーサビリティの普及のための調査実施(20年度)

・食器等の鉛の溶出量の基準値の厳格化(20年度、規格基準改正)

3.食品企業の活動の適正化

・各業界団体の自主的行動計画策定の促進、品質管理システムの導入促進(20年度)

・格付等により食品安全等に関する事業者の取組を評価・奨励する枠組み作り推進等(20年度)

「働く」〜働く人を大切にする雇用

1.安心・納得して働ける環境づくり

・日雇派遣の労働者等の雇用安定(19年中、労働者派遣制度の見直し)

・有期契約労働者の正社員への転換促進等(20年度、奨励金新設)

・パート労働者と正社員の均衡待遇のため、雇用管理の専門家を配置(20年度)

2.仕事と生活の調和

・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進(19〜20年度、憲章策定等)

・長時間労働の抑制、特に長時間労働が目立つ事業場に対する重点的指導(20年度、助成金新設)

・次世代育成支援対策推進法に基づく企業の行動計画の公表、中小企業の行動計画策定促進(19年末〜20年度、制度見直し)

3.就職する希望を持つ全ての人の支援

・年長フリーター等への支援などフリーターの常用雇用化(20年度)

・「地域若者サポートステーション」の拡充などニート等支援(20年度)

・実践的な職業訓練の提供とその履修証明等の交付により、就職活動を支援する「ジョブ・カード制度」構築(20年度)

・職業能力向上支援のための教育プログラム提供(20年度)

・短時間労働について新たに障害者の雇用義務の対象とする制度の見直し(次期通常国会、障害者雇用促進法)

「作る」〜子どもやお年寄りに優しい質の高い製品と施設づくり

1.製品・施設の安全性の確保

・企業の自主リコール実施の際の基準など分野横断的指針の策定(20年度、指針策定)

・ヒヤリ・ハット情報も含む事故情報の関係機関での共有(20年度、事故情報データバンク構築)

・経年劣化による重大事故発生の防止(20年、消費生活用製品安全法施行準備)

2.子供等に配慮した商品・施設づくり

・おもちゃの塗料に係る鉛の規格基準の厳格化(19年度中、規格基準改正)

・「キッズデザイン賞」の実施等、子供が事故に巻き込まれにくい製品・施設の普及啓発(20年度)

・都市公園の遊具の安全確保(19年度中、指針改訂)

・小中学校施設の耐震化(19年度〜)

3.住宅の長寿命化(「200年住宅」)

・住宅の寿命を延ばす「200年住宅」に向けた取組(20年度、住宅金融支援機構、税制、新法)

4.重大な事故等オンブズマン制度の設置

・製品・施設に関する事故等について、公開の場で、所管省庁の対応策等を、外部の有識者が調査審議する場の設置(20年度、重大な事故等オンブズマン制度の創設)

「守る」〜暮らしの安心を守るルールづくり

1.悪徳商法の根絶に向けた制度整備

・規制対象の限定列挙方式から原則適用方式への転換、消費者団体訴訟制度の導入等(次期通常国会、特定商取引法)

・個品割賦購入あっせん事業の参入規制等(次期通常国会、割賦販売法)

・一定の不当表示に対する課徴金の創設、消費者団体訴訟制度の導入(次期通常国会、景品表示法)

・取り消すことができる勧誘行為や、無効となる契約条項の拡大(20年度検討、消費者契約法見直し)

・第三者機関がサービス事業者の認証を行う上でのガイドライン策定等(20年度)

・「悪徳商法関係省庁連絡会議」の設置(19年度中)

2.国民生活センターの消費者トラブル解決機能の整備・充実等

・国民生活センターの情報収集・提供、苦情相談、商品テスト等における中核機関としての機能、裁判外紛争解決機能の整備(次期通常国会、国民生活センター法)

・消費生活センターの支援等(20年度)

3.医療事故死の原因究明体制の整備

・医療機関に対する診療関連死の届出義務付け、中立的な立場から調査を行う「医療安全調査委員会(仮称)」の設置(早ければ次期通常国会、新法)

4.インターネット上の違法・有害情報対策等の強化

・予め同意や請求・承諾等した者にのみ広告メール送信を認める方式の導入(次期通常国会、特定電子メール法、特定商取引法)

・プロバイダ等による違法・有害情報の自主的削除の促進(20年度)

・青少年向けフィルタリングの導入促進策取りまとめ(19年度中)

・インターネット取引における適切な広告表示のあり方等のルール検討(20年度、準則改定)

5.事業者の社会的責任の取組促進、消費者の自立支援

・「社会的責任の取組促進に向けた円卓会議(仮称)」を開催(20年度)

・学校教育における消費者教育の充実(19年度中、学習指導要領改訂)

「暮らす」〜地域コミュニティ、安心生活空間の再生

1.地域コミュニティの持つ力の再生

・団塊の世代等の元気高齢者の能力の活用等(平成20年度)

・地域の支援担当者等を調整する者(コミュニティーソーシャルワーカー)の配置(20年度)

・高齢者見守りネットワークの総合化(20年度)

・住まいと街の防犯機能向上のための取組促進(平成20年)

・伝統文化等地域の資源を活かした事業の支援(次期通常国会、新法等)

2.安心して暮らせる生活空間づくり

・歩行者と自転車がともに安全に通行できる環境整備(20年)

・自転車の通行ルール等に関する教則改訂、違反者に対する指導取締強化(20年度)

・子育てバリアフリーの視点の取り入れなどバリアフリー化推進要綱の改定等(19年度中、要綱改定等)

・野生鳥獣被害の防止(20年度)

3.生活の足の維持・確保

・地域公共交通の活性化及び再生に関する法律を活用した事業を一体的に補助する制度創設(20年度)

4.地域医療の確保・救急医療の充実

・臨時緊急的な医師派遣など地域の医師不足への対応(20年度、5項目)

・消防と医療機関の連携構築など、緊急搬送患者の受入れの確実化(20年度、2項目)

生活安心プロジェクト〜緊急に講ずる具体的な施策〜

平成19年12月17日「生活安心プロジェクト」に関する関係閣僚会合

1.消費者や生活者の視点に立った行政へ

(1)安全・安心を第一に,大きく発想を転換

これまでの政府の仕事のやり方は,生産第一の視点から作られてきたため,国民生活の安全・安心の確保という視点が,政策立案の中心に置かれていなかった。国民が日々,安心して暮らせるようにしていくため,安全・安心を第一に,消費者や生活者の視点に立った行政へと大きく発想を転換すべき時代が来ている。

(2)不安を感じさせる事件の発生

近年,耐震偽装問題,食品の不正表示,救急医療に係る事故等の発生や高齢者等を狙った悪徳商法の横行など国民に不安を感じさせる事件が数多く発生している。また,人間関係の希薄化等による地域コミュニティの崩壊,若者の非正規雇用の増加など,国民生活に身近な場において,様々な新たな問題が生じている。

(3)行政のあり方の総点検

このため,国民生活に直結する分野について,各府省庁等で取り組んでいる政策(法律,制度,事業等)を消費者・生活者の目線に立って総点検し,被害を防止し,国民に安全・安心をもたらすものとなるよう根本から見直す,あるいは充実強化していくことが必要である。国民生活審議会(総理の諮問機関)において,11月より,こうした行政のあり方についての総点検を開始したところであり,点検結果をもとに今後の政策の方向を取りまとめる。

(4)緊急に講ずる具体的な施策の取りまとめ

また,このような総点検に先立って,国民生活の基本である「食べる」「働く」「作る」「守る」「暮らす」の分野について,生活の安心を確保するために必要な具体的な施策として,緊急に講ずるものを下記のように取りまとめ,推進する。

(5)国民の声の反映

取りまとめに当たっては,関係大臣等が地方視察・地域住民との対話等を行い「現場の声」を把握した。また,併せてインターネット等で,国民の意見を広く募集した。

2.5つの分野

緊急に講ずる具体的な施策として,以下の施策を推進する。

(1)「食べる」 〜ホンモノのある食生活

[1]食品表示を適正化する

(国民の声)

食品表示の偽装事件が多く安心できません。食品の表示について消費者がもっと安心できるようにして下さい。行政は,監視指導体制を厳しくしてほしいと思います。抜き打ちで製造現場や仕入先など検査したり,通報を真摯にとりあげ調査したりしてほしい。(官邸ホームページへの意見,農林水産省「食品表示地域フォーラム」,「生活安心」意見募集より)

ア.消費者の加工食品の表示に対する信頼向上を図るため,原料供給者についてもJAS法上の表示を義務付けるよう品質表示基準(告示)を改正する。(平成19年度中)(農林水産省)

イ.不正表示の監視取締体制強化のため,農林水産省に「食品表示特別Gメン」(広域,重大案件に対して機動的に調査を実施する専門チーム)を新設する。(20年度)(農林水産省)

ウ.不適切な食品表示に関する監視を強化するため,関係する都道府県の機関と国の出先機関との間で,「食品表示監視協議会(仮称)」を設置すること等により,不適正な食品表示に関する情報が寄せられた場合に,必要に応じて関係機関で情報共有,意見交換を行い,迅速に問題のある事業者への処分等必要な対応をとるとともに,こうした対応が円滑に実施されるよう,関係省庁の間で「食品表示連絡会議(仮称)」を設置し,関連情報の共有を進める。(20年度)(公正取引委員会,警察庁,厚生労働省,農林水産省)

エ.賞味期限など食品の期限表示の意味について消費者が正確に理解できるよう,関係省が連携し,消費者の視点に立った分かりやすいパンフレットを早急に作成し,情報提供活動を強化する。(19年度中)(厚生労働省,農林水産省)

[2]食品等の安全性を確保する

(国民の声)

輸入食品の安全性に対する不安があり,輸入食品の検査を充実させてほしい。土鍋から鉛が溶け出すなど,食器等の安全性に対する不安も高まっています。(内閣府「食品安全モニター」より)

ア.輸入食品について,モニタリング検査の件数の増加・検査項目の充実を図るとともに,検疫所の検査センターを中心とした検査体制の強化のため,食品衛生監視員(現状334名)を増加させ,検疫所における体制を強化する。(20年度)(厚生労働省)

イ.食品事故発生時の的確な対応が可能となるトレーサビリティを普及するため,取組が遅れている中小事業者を対象に取組状況について調査を実施する。(20年度)(農林水産省)

※トレーサビリティとは,食品が生産から販売にわたってどのようなルートを通ったか把握できること。

ウ.食器等の安全性を確保するため,深さ2.5cm以上で容量1.1L以上の加熱調理用の陶磁器の場合,該当する鉛の溶出量の基準値を2.5μg/mlから0.5μg/mlに引き下げる等,陶磁器製食器等の規格の改正を行うとともに,ハンダの鉛の含有量の基準値を20%から0.2%に大幅に引き下げる等,食器等の金属性原材料の規格の改正を行う。(20年度)(厚生労働省)

※μ(マイクロ)gとは,1gの100万分の1の重さのこと。

[3]食品企業の活動を適正化する

(国民の声)

食品企業の従業員の一人ひとりがしっかりと行動を取れるような気運にしなければならない。監視体制の強化が必要だが,事業者の自主的な努力を支援することも必要。(農林水産省消費者団体へのヒアリング,若林農林水産大臣視察より)

ア.相次ぐ食品業界の不祥事の発生を踏まえ,食品企業の法令等の遵守(コンプライアンス)及び品質管理の徹底を推進するため,ガイドラインを作成することにより,各業界団体の自主行動計画策定を促進するとともに,HACCP等の品質管理システムの導入を推進するため,セミナー,シンポジウムを開催する。(20年度)(農林水産省)

※HACCPとは,食品のすべての製造工程で,あらかじめ危害を予測し,危害防止につながるポイントで継続的に監視・是正することにより,問題のある製品の出荷を未然に防止する管理手法。

イ.食品の安全や,消費者の信頼確保に向けた事業者の意欲的な取組を促すため,民間の多様な主体が格付や優良事例の表彰及び普及などによりこれら事業者の取組を評価・奨励するための枠組み作りを推進する。(20年度)(農林水産省)

(2)「働く」 〜働く人を大切にする雇用

[1]安心・納得して働ける環境を作る

(国民の声)

派遣は毎日機械のように働きながら常に解雇におびえています。これでは将来性がない。正規労働者とパート労働者の不平等を改善すべきです。(「生活安心」意見募集より)

ア.偽装請負など法違反に対する指導監督を強化するとともに,雇用が不安定との指摘のある日雇派遣労働者の雇用の安定を図ること等に向け,労働者派遣制度の見直しを行い,年内に結論を得る。(19年中)(厚生労働省)

イ.有期契約労働者について,正社員登用制度の導入や安定的な雇用関係に配慮した雇用環境の整備などの雇用管理改善に向けた指針を策定し事業主への指導を新たに行うとともに,正社員登用制度を就業規則に明示し,実際に正社員に登用した事業主への奨励金制度を新設する。(20年度)(厚生労働省)

ウ.パートタイム労働者の待遇を正社員と均衡したものとするため,新たに雇用管理の専門家(均衡待遇推進コンサルタント(仮称))を都道府県労働局に配置し,これら専門家が事業主を個別に訪問し,実情に合った助言を行う。(20年度)(厚生労働省)

[2]仕事と生活の調和を図る

(国民の声)

自分の会社は残業が当たり前。主人も帰宅時間は毎日23時以降で,子どもを作る時間も気力も持てません。(「生活安心」意見募集より)

ア.官民一体となって「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を策定する(19年中)。これに基づき企業等の取組を積極的に後押しするとともに,社会全体の運動として広げていく。(20年度)(内閣府,厚生労働省)

イ.長時間労働の抑制に向けて,職場意識の改善や業務体制の見直しに取り組み,実際に年次有給休暇の取得率の向上等の成果を上げた中小企業事業主に対する助成金制度を創設するほか,特に長時間労働が目立つ事業場に対する重点的な指導を実施する。(20年度)(厚生労働省)

ウ.仕事と生活の調和に向けた企業の取組を中小企業を含め多くの企業に拡大し,またその取組を見えやすくすることが有能な人材確保等に向けた企業の一層の努力を促すと期待されることから,次世代育成支援対策推進法に基づく企業の行動計画の公表と中小企業の行動計画策定促進のための制度見直しのための検討を進める。(19年末〜20年度)(厚生労働省)

[3]就職する希望を持つ全ての人を支援する

(国民の声)

安定した働き口がなくフリーター等で雇用されている人達が正社員として就職できるようにしてほしい。若年無業者や障害者の就業の支援に更に取り組むべきです。(「生活安心」意見募集より)

ア.フリーター常用雇用化プランの目標を35万人に引上げ,特に年長フリーター等に対し,企業の人事担当者の協力を得て模擬面接を行い面接場面でのアピールの仕方等,企業の目から見た生の助言をする「ジョブミーティング」事業を創設する。(20年度)(厚生労働省)

イ.ニートなどの自立の支援拠点である「地域若者サポートステーション」の箇所


トップへ