厚生労働省発職高第 号
労働政策審議会 会長 菅野 和夫 殿
厚生労働省設置法第9条第1項第1号の規定に基づき、別紙「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」について、貴会の意見を求める。
平成20年2月4日厚生労働大臣 舛添 要一
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱
第1.第一条による改正関係
[1]地域障害者職業センターの業務の追加
地域障害者職業センターは、障害者就業・生活支援センターその他の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言その他の援助を行うものとすること。
[2]関係子会社に雇用される労働者に関する特例
事業主及び当該事業主と厚生労働省令で定める特殊な関係のある株式会社(以下「関係子会社」という。)が申請を行い、当該事業主が雇用する身体障害者又は知的障害者である労働者及び当該関係子会社に雇用される身体障害者又は知的障害者である労働者の雇用の促進等を確実に達成することができると認められること等の基準に適合するものとして厚生労働大臣の認定を受けた場合は、雇用義務等に関する規定の適用については、当該関係子会社が雇用する労働者は当該事業主のみが雇用する労働者と、当該関係子会社の事業所は当該事業主の事業所とみなすこと。
[3]事業協同組合等における特定事業主に雇用される労働者に関する特例
事業協同組合等及びその組合員たる事業主(その雇用する労働者の数が常時厚生労働省令で定める数以上である事業主に限る。以下「特定事業主」という。)が申請を行い、当該事業協同組合等及び当該特定事業主について、計画に基づき、身体障害者又は知的障害者である労働者の雇用の促進等を確実に達成できると認められること等の基準に適合するものとして厚生労働大臣の認定を受けた場合は、雇用義務等に関する規定の適用については、当該特定事業主が雇用する労働者は当該事業協同組合等のみが雇用する労働者と、当該特定事業主の事業所は当該事業協同組合等の事業所とみなすこと。
[4]障害者雇用調整金の支給
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構は、厚生労働省令で定めるところにより、二の事業主若しくは関係子会社又は三の事業協同組合等若しくは特定事業主等に対しても、障害者雇用調整金を支給することができるものとすること。
第2.第二条による改正関係
[1]短時間労働者等の雇用義務対象への追加
(一)雇用義務等に関する規定における労働者数及び障害者雇用率の算定に当たっては、短時間労働者は、その一人をもって、厚生労働省令で定める数の労働者に相当するものとみなすこと。
(二)雇用義務等に関する規定における身体障害者及び知的障害者である労働者数及び障害者雇用率の算定に当たっては、身体障害者又は知的障害者である短時間労働者は、その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の身体障害者又は知的障害者である労働者に相当するものとみなすこと。
(三)雇用義務等に関する規定における身体障害者及び知的障害者である労働者の算定に当たっては、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間労働者は、その一人をもつて、政令で定める数に満たない範囲内において厚生労働省令で定める数の身体障害者又は知的障害者である労働者に相当するものとみなすこと。
(四)国及び地方公共団体の雇用義務等に関する規定における職員数の算定についても、(一)から(三)までと同様とすること。
[2]障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大
(一)当分の間、障害者雇用納付金の徴収、障害者雇用調整金の支給等に関する規定を適用しないものとする暫定措置の対象範囲は、その雇用する労働者の数が常時二百人以下である事業主とすること。
(二)その雇用する労働者の数が常時二百一人以上三百人以下である事業主に係る障害者雇用納付金の調整基礎額及び障害者雇用調整金の単位調整額は、(一)の施行日から五年間は、政令で定める金額以下の額で厚生労働省令で定める額とするものとすること。
第3.第三条による改正関係
[1]障害者雇用支援センターの廃止
障害者雇用支援センターを廃止するものとすること。
[2]障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大
(一)当分の間、障害者雇用納付金の徴収、障害者雇用調整金の支給等に関する規定を適用しないものとする暫定措置の対象範囲は、その雇用する労働者の数が常時百人以下である事業主とすること。
(二)その雇用する労働者の数が常時百一人以上二百人以下である事業主に係る障害者雇用納付金の調整基礎額及び障害者雇用調整金の単位調整額は、(一)の施行日から五年間は、政令で定める金額以下の額で厚生労働省令で定める額とするものとすること。
第4.施行期日等
[1]施行期日
この法律は、平成二十一年四月一日から施行するものとすること。ただし、第二については平成二十二年七月一日、第三の一については平成二十四年四月一日、及び第三の二については平成二十六年四月一日から施行するものとすること。
[2]検討
政府は、施行後五年を経過した場合において、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
[3]その他所要の規定の整備を行うこと。
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案の概要〜意欲・能力に応じた障害者の雇用機会の拡大〜
趣旨
1.障害者の就労意欲の高まり
求職件数7.8万(H10)から10.4万(H18)
就職件数2.6万(H10)から4.4万(H18)
地域の身近な雇用の場である中小企業での障害者雇用が低下傾向(大企業では増加傾向)
※実雇用率は、100人〜299人規模の企業が最も低い状況
2.短時間労働への対応
福祉から雇用への移行が進められ、また、高齢障害者がフルタイムで働くことが困難な場合がある中、短時間労働に対する障害者のニーズが相当程度あるのに対し、現行制度は対応できていない。
事業主の雇用義務としては、現行法は週30時間以上の常用雇用を基本短時間労働者の雇用者の受入れのインセンティブが乏しい。
「改正内容」
1.中小企業における障害者雇用の促進
[1]障害者雇用納付金制度の適用対象の範囲拡大
障害者雇用納付金制度(納付金の徴収・調整金の支給)が適用される対象範囲を常用雇用労働者101人以上の中小企業に拡大(一定期間は、常用雇用労働者201人以上の中小企業まで拡大)
※現行は経過措置により301人以上の事業主のみ
[2]雇用率の算定の特例
中小企業が、事業協同組合等を活用して、共同で障害者を雇用する仕組みを創設
※事業協同組合等が、共同事業として障害者を雇用した場合に、当該組合等と組合員企業とをまとめて雇用率を算定
※併せて、中小企業に対する支援策を充実、経過措置として負担軽減措置を実施
2.短時間労働に対応した雇用率制度の見直し
障害者の雇用義務の基礎となる労働者及び雇用障害者に、短時間労働者(週20H以上30H未満)を追加
3.その他
特例子会社(障害者の雇用に特別の配慮をした子会社)がない場合であっても、企業グループ全体で雇用率を算定するグループ適用制度の創設
「施行期日」
平成21年4月1日施行予定。ただし、1.[1]は平成22年7月1日(200人以下については、P)2については、平成22年7月1日