08/01/31 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 平成20年1月31日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録 1.日時及び場所   平成20年1月31日(木) 16:00〜17:00 ホテルフロラシオン「芙蓉」 2.出席委員(16名)五十音順   安 達 知 子、 猪 熊 茂 子、 國 頭 英 夫、 倉 田 雅 子、   児 玉   孝、 柴 川 雅 彦、 土 屋 文 人、 中 澤 憲 一、   新 見 伸 吾、 埜 中 征 哉、 日 野 治 子、 藤 田 利 治、   堀 内 龍 也、 槇 田 浩 史、◎松 本 和 則、 三 宅 良 彦      (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(8名)五十音順   五十嵐   隆、○池 田 康 夫、 甲 斐 知恵子、 木 下 勝 之、   工 藤 宏一郎、 倉 山 英 昭、 首 藤 紘 一、 宮 村 達 男 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    松 田   勉(安全対策課長)、   倉 持 憲 路(安全使用推進室長)、 関 野 秀 人(薬事企画官)   川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 三 澤   馨(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)、他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、平成19年度第2回医薬品等安全対策部会を開催いた します。本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしておりますが、カメ ラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々に おかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴者の方 々におかれましては、傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし喧噪にわたる行 為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、 厳守をお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、御多忙の中お集まりいただきまして、 誠にありがとうございます。本日の会議は、五十嵐委員、池田委員、甲斐委員、木下委 員、工藤委員、倉山委員、首藤委員、宮村委員より欠席の御連絡をいただいております。 現在、16名の委員に御出席いただいておりまして、本部会の定員は24名ですので、本 日の部会は定足数に達しております。  議事に入らせていただく前に、「薬事・食品衛生審議会薬事分科会における利益相反 問題への対応」について、本日の医薬品等安全対策部会においては、個別品目の承認の 可否や個別品目の安全対策措置の要否の審議がありませんので、平成19年4月23日の 薬事分科会申し合わせに該当しないことを御報告いたします。それでは、議事に入らせ ていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事の進行 は、松本部会長にお願いいたします。 ○松本部会長 委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがと うございます。それでは、まず、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 お手元の資料で確認させていただきたいと思います。資料番号の付いていな いものから紹介いたします。席上の資料は、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会会 長あての諮問書、当部会の委員名簿、座席表です。封筒の資料は、医薬品等安全対策部 会の議事次第、配付資料一覧、資料No.1-1として「一般用医薬品のリスク分類案」、資 料No.1-2として「一般用医薬品(天然物由来成分)のリスク分類案」、資料No.1-3として安 全対策課長から各都道府県衛生主管部(局)長あての「一般用医薬品の区分リストについ て」という通知、資料No.2-1として平成20年1月31日付けの「市販直後安全性情報収 集事業(定点観測事業)報告書」、資料No.2-2として「平成20年度医薬関係予算案の概要」、 資料No.2-3として平成19年12月25日付けの「リン酸オセルタミビル(タミフル)につい て」です。 ○松本部会長 よろしければ、早速、議題に入りたいと思います。まず、議題1の「一 般用医薬品の区分について」です。事務局から説明をお願いいたします。 ○薬事企画官 議題1の一般用医薬品の区分について、諮問書、資料No.1-1、1-2、1-3 の4種類を用い、簡単に御説明いたします。諮問書にあるとおり、一昨年11月29日の 段階をもって、厚生労働大臣から審議会に対して、「記」に書いてあるとおり、第1類 医薬品及び第2類医薬品の指定について諮問をしている最中です。これについては、11 月29日の諮問の後、一昨年11月の安全対策部会で大きなリスク区分に関して議論して いただいたところです。それについては、資料No.1-3のように最終的に行政上の措置と して成果が得られており、平成19年3月30日をもって、お示しの資料は通知ですが、 これに加えて官報に大臣告示の形で第1類、第2類の指定として行政上の措置が施され ております。  今回はそれ以来の審議ということになりますので、この議題の背景について少し説明 したいと思います。資料No.1-3を御覧ください。1ページに書いてあるとおり、去年の 3月30日をもって、一般用医薬品に関して、いわゆる第1類医薬品、第2類医薬品、第 3類医薬品の三つに区分するということで、行政上の行為が行われております。なぜこ のようなことを行ったかと言うと、一般用医薬品、いわゆる市販されている薬に関して カテゴリーを三つに分けて、それぞれに関してきちんとした販売体制をとっていただこ うと。具体的には、第1類については比較的リスクの高いものという定義がなされてい るので、これについてはきちんと文書を使い、販売する際に薬剤師が情報提供、説明を 行うことの薬事法上の対応が求められることになっております。こういったことについ て平成18年の段階で薬事法の改正を行い、その3年後の平成21年には、この制度によ り、世の中がこの区分に従って、必要な品目についてはきちんと説明がなされ、販売さ れていくという状態が出来上がります。今は平成21年の施行に向けて準備段階というこ とになりますが、こちらの医薬品等安全対策部会には、情報提供の仕方のベースになる 医薬品の区分を議論していただき、その都度、大臣告示に反映させていただくというこ とをお願いしている最中です。  資料No.1-3に掲げられているものは、去年既に御審議いただき、三つのカテゴリーに 分かれているものです。1ページは第1類医薬品で、三つに分けた中で相対的なリスク が比較的高いものが表に示されております。そのほか、1ページに書いてある文章に該 当するものとして第1類医薬品としての区分がされているものです。3ページからは第 2類医薬品ですが、数が多いのでかなりのページ数になっております。これらに該当す る成分を含む製品に関しては、販売の際にできるだけ情報提供をするという扱いになっ ております。26ページからは第3類医薬品が示してあります。26ページ以降に掲げた成 分を含む一般用医薬品に関しては、原則、販売するたびの情報提供は不要という扱いに なっておりますが、制度が動き始めると、必要に応じて適宜情報提供を行うという扱い になります。いずれにしても、この三つの区分にして、販売時の情報提供に関して、必 要なものはきちんとやり、必要に応じて判断するものはそれに応じて説明するといった、 めり張りをつけた制度が平成21年から動き出すという状況にあります。  今回御審議いただく対象になるものは資料No.1-1と1-2に書いてあるものですが、昨 年3月の段階で告示したものに追加すべきものを新たに把握できたので、昨年3月に行 った措置に追加するものが幾つかあります。もう一つは、3月の段階で行った内容に関 して、事務的なミスも含めて私どもに間違いがありましたので、それを正すというもの が資料No.1-1、1-2に含まれております。本日お時間をいただき、それについて説明いた しますので、御意見をいただければと思います。  資料No.1-1は合成化学薬品に該当する成分を示してあります。二つに分かれている表 の上が追加分、下は変更分です。上の九つは、いずれも今回新たに大臣告示に追加する もので、その対象となる成分は、表の左から四つ目のカラムですが、「成分」の欄に一 通り書いてあります。オキシテトラサイクリンから始まり、マクロゴール軟膏までの九 つです。これらは私どもがこの1年間で新たに把握できたもので、これらが三つのうち のどこの区分に該当するかを見ていただきたいと思います。成分欄の右側に「根拠」の 欄がありますが、ここに掲げているのは昨年3月の段階で既にリスクの区分が行われて いるものです。今回対象となる成分と薬理作用あるいは構造式から見て類似のもの、さ らに薬効も含めて類似だと思われるものがあれば、それに最も近いものを参考にし、既 に告示されているものと同じような区分にするのが妥当だろうということを考え方の基 本として、今回見ていただく9成分に関して分類案を右から二つ目の欄に示してありま す。  幾つか例を紹介すると、最初にあるオキシテトラサイクリンは、右の欄にあるように、 デメチルクロルテトラサイクリン(2)と記されております。これは第2類に既に分類され ているもので、デメチルクロルテトラサイクリンとオキシテトラサイクリンは薬効から 見ても、あるいは構造から見ても同様だろうとの判断をし、今回のオキシテトラサイク リンに関する分類案を第2類としてはどうかという提案です。同じような考え方で、五 番に書いてあるテトラサイクリンを第2類として示してあります。  そのほか、二番〜四番に掲げているのはいずれも軟膏で、吸水軟膏、親水軟膏、単軟 膏です。これらは非常にベーシックな薬ですが、市販される薬の中には皮膚を保護する という適応を持っており、その範疇において、一般用として現在も流通しているところ ですが、告示で指定しないと今後、一般用医薬品となりませんので、今回手当が必要と いうことになっております。これらは「根拠」の欄にあるワセリンと同じ目的で使われ るもので、既にワセリンは(3)として第3類に分類されていることから、同じような扱い ということでの分類案を示しております。同様の考え方で、白色軟膏、ヘパリンナトリ ウム、ポリミキシンB、マクロゴール軟膏もそれぞれ類似のものを現在の告示の中から 見付けたので、それと同じ区分にしてはどうかという提案です。  下の表の変更分については、幾つかおわびをしなければいけないものがあります。事 務的なミスもありまして、今回告示を少し変更させていただきたいというものです。最 初にある、成分名で言うとグリセリンモノグアヤコールエーテルは、既に指定されてお り、第2類として告示されております。一方、根拠欄にあるグアイフェネシンは(3)とし て第3類に分類されております。これらは呼び方は違いますが、全く同じ成分であるこ とが後で分かりました。同じ成分であるにもかかわらず、言葉が違うがゆえに片や第2 類、片や第3類というのはおかしいので、今回、修正をかけたいと思っております。そ の際、グアイフェネシンが今日に至る過程において、専門家を集めた委員会の中で直接 的に評価され第3類という区分になったという経緯がありますので、化学的に見て妥当 な分類はグアイフェネシンが第3類として扱われている方だということで、こちらを優 先し、グリセリンモノグアヤコールエーテルが第2類に入っている方を削除する。今後 は、グアイフェネシンという呼び方をしようが、グリセリンモノグアヤコールエーテル という呼び方をしようが、第3類の扱いに統一するということです。  同様に、二番のシーサップ、トリメチルセチルアンモニウムペンタクロロフェネート ですが、シーサップは第3類、トリメチルセチルアンモニウムペンタクロロフェネート は第2類に入っております。これも呼び方が違うだけで同じものですので、トリメチル セチルアンモニウムペンタクロロフェネートが正しいという判断で、きちんとした経緯 を経て評価されているという調べがついたことから、こちらを優先し、シーサップが第 3類に入っている方を削除するということです。その他、同じように呼び方の違うもの が幾つか並んでおりますが、四番までは同じような考え方で今回告示を整備するという ものです。七番も同様です。  五番、六番は、現行の薬事法のルールでは薬剤師がいるところでしか扱えない指定薬 に該当しておりましたが、昨年6月にこの医薬品等安全対策部会で御審議いただき、既 に指定薬の解除という評価が行われておりますので、今回このタイミングをもって、こ の大臣告示も手当するということで、事務的な作業の扱いとして区分を変更します。そ うすると、第1類でない場合は第2類か、第3類かという話になりますが、テルビナフ ィンに関しては、既に類似のブテナフィンが第2類に該当するので、第2類として扱う ことが妥当であるということです。プラノプロフェンに関してはケトプロフェン、これ は点眼と外用で剤型は違いますが、最も近いものはこれだろうとのことで第2類という 分類案を示しております。なお、テルビナフィンは一番右の欄に*が付いております。こ れは表の下にある解説のとおり、法律上の区分は第2類ですが、第2類の中でも比較的 作用が強いため、慎重に使う必要があるという評価が既になされているもので、第2類 という扱いですが、販売するに当たっては注意を要し、できるだけ専門家が介入するよ うな販売方法、陳列方法を取ってもらうべきということになっております。ブテナフィ ンが同様の扱いですから、テルビナフィンに関しても*を付けております。  資料No.1-2は、天然物由来の成分に関して同じようにまとめたものです。追加分と参 考として二つの表がありますが、上の五つの追加分については、新たに一般用として扱 われていることが分かりましたので、内服の場合はどの区分に当たるか、外用の場合は どの区分に当たるか、分類案を現行制度と同じような考え方で示しております。カラセ ンキュウ(唐川※)の場合、唐が付かない「川※」が既に告示されているわけですが、そ れと同じようなものとして分類案を示しております。同様の考え方で五つほど新たに追 加したいということです。その下にある参考は告示上の対応ではないのですが、左の成 分欄にあるアカネコンからマムシ抽出液までが新しいものとして見付かったので、右側 にある根拠欄に示した成分というか生薬名と同等という考え方で、いわゆる既に告示さ れているものの別名という扱いで、通知として説明させていただくものです。例示とし て、一番上のセンソウ(茜草)が既に第2類として分類されているので、今回分かったア カネコンは茜草の別名として通知し、アカネコンでも茜草でも第2類の取扱いをすると いうものです。同様に、このようなものが12個ありますので、今日提示させていただい ております。説明は以上ですが、不明な点があれば御質問いただければと思います。 ○松本部会長 ただ今、この議題の内容について説明していただきました。昨年3月の 本部会での審議を踏まえた平成19年3月30日の告示に対して、追加等のコメントが寄 せられた成分に関するものです。一般用医薬品に配合されている成分について、その分 類等について、何か御質問、御意見等があればお願いいたします。 ○日野委員 私どもは皮膚科ですので、この軟膏、外用薬は使用しておりますが、今回 の追加分に関しての分類は妥当だと思っております。後の方の既に分類されたところを 見ても、同等薬が入っておりますので、よろしいと思います。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。ほかに何かあればお願いいたします。このような 追加、変更でよろしいでしょうか。それでは、今回、一般用医薬品のリスク分類案につ いて、今後の予定について、事務局から説明をお願いいたします。 ○薬事企画官 今日御審議いただきました内容に関しては、告示という措置に向けて、 まずは本日説明した内容でパブリックコメントをかけて、パブリックコメントを通じて 求めた意見を集約し、この部会に提示させていただいた上で、告示の手続を進めるとい う予定にしておりますので、よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。特に御意見がなければ、次に進みます。「その他」 ですが、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.2-1の「市販直後安全性情報収集事業(定点観測事業)報告書」につい て説明いたします。前回、昨年6月28日の医薬品等安全対策部会において、販売名バラ クルード錠、一般名エンテカビル水和物について御報告したところですが、今回はベル ケイドとアリムタについて報告いたします。なお、前回の部会でも説明いたしましたが、 市販直後安全性情報収集事業は、平成18年度から安全対策課の事業として進めているも ので、新たに承認される新医薬品のうち、新規性が高いものや国内外における使用経験 が少ないもの等、特に市販直後の安全性確保が必要と判断されるものについて、原則と して市販後6か月間、当該医薬品の使用状況や副作用等の発現状況、臨床現場への製造 販売業者による情報提供活動状況等を、国が直接、臨床現場から収集・評価することに より、必要な対応を図ることを目的としております。  まず、1ページにある、販売名「ベルケイド注射用3mg」、一般名「ボルテゾミブ」 の報告をいたします。製造販売業者はヤンセンファーマ株式会社、承認は平成18年10 月 20日、販売開始は同年12月1日です。効能又は効果は再発又は難治性の多発性骨髄腫 です。今回本事業の調査実施をお願いした施設は資料にあるとおり、市立旭川病院、慶 應義塾大学病院、国立がんセンター東病院、愛知県がんセンター中央病院、大阪市立総 合医療センター、島根県立中央病院、香川大学医学部附属病院及び九州大学病院の8機 関で、臨床科の医師、薬剤師に毎月1回御報告をいただきました。調査実施期間は平成 18年12月25日〜平成19年6月22日の6か月間です。なお、薬事法に基づく市販直後 調査の実施期間は、大体これにかぶせた形になりますが、平成18年12月1日〜平成19 年5月31日となっております。以下、概要を簡単にまとめております。  1ページの下から二つ目のカラム、当該医薬品の使用状況ですが、今回御協力をお願 いしたすべての調査実施機関において採用され、うち7施設で合計20名の患者に使用さ れております。副作用等の発現状況及び報告状況ですが、11例23件の副作用が調査期 間中に調査実施機関から報告されております。副作用の詳細については2ページに記載 のとおり、帯状疱疹4件、腫瘍崩壊症候群1件、便秘1件、白血球減少2件、血小板減 少5件、好中球減少1件、赤血球減少1件、細菌性肺炎1件、発熱1件、低酸素血症1 件、食欲不振1件、嘔吐1件、下痢1件、胸水貯留1件、心不全1件でした。心不全に よる死亡例については、主治医によると、因果関係は完全には否定できないものの、原 疾患の悪化によるものと判断しております。御協力いただいた各施設から安全対策課に 報告されたこれらの副作用症例については、製造販売業者も該当施設から報告を受け、 そのうち今回報告書でアンダーラインを付して示してある重篤なケース2例4件につい ては、製造販売業者から薬事法第77条の4の2に基づく報告が国になされていることを 確認しております。  次に、製造販売業者による情報提供活動状況ですが、行政通知により、製造販売業者 は製造販売した医薬品を使用する医療機関に対し、納入前と納入後2か月間はおおむね 2週間以内に1回の頻度で、その後も適切な頻度で、おおむね1か月以内に1回の頻度 で、医薬情報担当者(MR)が、当該医薬品が市販直後調査の対象であり、その期間中で あること、当該医薬品の適正な使用に努めるとともに、関係が疑われる重篤な副作用及 び感染症が発現した場合には、速やかに当該製造販売業者に報告することを、説明及び 協力依頼することとしております。  市販直後調査において得られた安全管理情報は、例えば重篤な副作用が多く報告され ている場合には、毎月取りまとめた上で安全確保のための対策とともに情報提供するな ど、医療機関に対して適切な頻度で情報提供を行うこととされているところです。今回、 調査実施期間中に企業が収集した事例については、非重篤と判断された事例を含め、企 業から各医療機関に安全性情報として情報提供がなされていることを確認しておりま す。また、2ページにあるように、調査実施機関からはおおむね1〜2週間に1回程度 の定期的な訪問又はメールによる安全性情報の提供等の情報提供活動が行われていたと の報告がありました。  その他として、今回御参加いただいた調査実施機関から、製造販売業者からの安全性 情報等について院内で周知し、適切に活用した旨の御報告がありました。本事業に対す るコメントとしては、医療機関のスタッフの良好な関係の必要性を認識したこと、患者 の安全性を担保する一つのトライアルとして有益であるなど、本事業の有用性などにつ いても述べられておりました。  続きまして、3ページ、販売名「アリムタ注射用500mg」、一般名「ペメトレキセド ナトリウム水和物」の報告をいたします。製造販売業者は日本イーライリリー株式会社、 平成19年1月4日に承認、同年1月22日に販売が開始されました。効能又は効果は悪 性胸膜中皮腫です。調査をお願いした医療機関は東北大学病院、東京都立駒込病院、千 葉大学医学部附属病院、近畿大学医学部附属病院、労働者健康福祉機構岡山労災病院、 国立病院機構九州がんセンターの6施設です。調査実施期間は平成19年2月5日〜平成 19年8月4日の6か月間、薬事法に基づく市販直後調査の実施期間は平成19年1月22 日〜7月31日となっております。当該医薬品の使用状況ですが、今回お願いした6施設 のうち5施設において当該医薬品が採用され、合計25名の患者に使用されております。  副作用等の発現状況及び報告状況ですが、3人の患者に食欲不振、貧血及び皮疹の3 件の副作用が発生したとの報告が安全対策課にありました。調査実施期間中、安全対策 課はいずれも軽微な副作用として報告を受けましたが、その後、私どものフォローアッ プの中で、貧血については赤血球数減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少によ る重篤症例として製造販売業者から薬事法に基づき報告されたことを確認しておりま す。  調査実施期間中に企業が収集した事例については、企業から各医療機関に安全性情報 として情報提供がなされていることを確認しております。製造販売業者による情報提供 活動状況ですが、おおむね2週間〜1か月に1回程度の定期的な訪問又はファックス等 による安全性情報の提供等の情報提供活動が行われていたとの報告がありました。その 他として、製造販売業者からの安全性情報について院内において周知し、本薬の適正使 用を促した旨の報告がありました。今回の調査に当たっては特段問題となる報告はあり ませんでしたが、薬事法に基づき、引き続き副作用報告の収集を行い、必要な安全対策 措置の検討などを随時行っていきたいと考えております。 ○松本部会長 ただ今説明があった市販直後安全性情報収集事業のベルケイドとアリム タについて、御意見、御質問があればお願いいたします。 ○堀内委員 製造販売業者による情報提供活動状況のところで、両方ともかなり問題が 起こるかもしれない、したがって、全症例をきちんと追跡しましょうということですが、 その間にボルテゾミブの場合でも1〜2週間に1回程度の訪問ということです。規定に よれば最初は2週間に1回ということかもしれませんが、それは一般的な医薬品につい ての話ではないかと思うのです。このようなものが発売になった最初の時期に、1〜2 週間に1回しか訪問しないというのは十分とは思えない。特に、アリムタの場合は2週 間〜1か月に1回という話になっていると思うのです。どの病院もかなり大きな専門病 院であることを考えると、やはり訪問回数が少ないのではないかということが考えられ ますが、それについてどうか。  もう一つは、副作用が起こった場合。当然、使用する患者が入れば、製造販売業者、 MRはその状況を把握すると思いますが、副作用が起こった場合も同じような状況なの か。もう少し経過についてきちんとフォローする必要があるだろうと思いますが、その 辺の状況は上がってきているのでしょうか。市販直後調査の中では、その辺が一番大事 な点ではないかと思います。 ○松本部会長 事務局、いかがですか。 ○事務局 一つ目のMRによる訪問状況ですが、委員の御指摘のとおり、販売当初は2 週間に1回程度でして、行政通知上はそのような形にさせていただいており、こちらが 把握している範囲でも、ベルケイドについてはおおむね1〜2週間という頻度で行われ ております。アリムタについては病院によって頻度にばらつきがあり、多いところは平 均して月4回など訪問しているようです。そのような意味では行政通知上は外れるとこ ろはないのですが、定点観測の対象となる医薬品であれば、それが妥当かどうかはもう 少し検討する必要があるか考えてみたいと思います。  経過について詳細なフォローをしているかということですが、本事業の目的が副作用 の詳細を御報告いただくものではなく、各医療機関で安全対策上、特に問題となるよう なこと、例えば未知・重篤な症例が見付かった、また現場の先生方がお気付きの点を報 告していただく形で、添付文書に載っていないものについて早期に安全対策を取るとい うところではないかと思います。また、企業が医療機関から受け取った副作用報告が国 に報告されているか否かを検証するといった形も行っておりまして、事業の性格上、今 回はそのような事例があるかどうかという観点で見させていただいております。 ○安全対策課長 結局、どのような情報提供をするかという問題ですが、回数もありま すし、実際の医療現場の先生方が欲しているものがきちんと提供されているか、剤に応 じた情報提供がなされているかどうかを先生方から個別に御報告いただいているつもり です。本当に希望する必要な情報がきちんと提供されていない、適切な情報が来ていな いということがあれば、私どもも各企業に個別にきちんとやっているのか、このような 情報が足りないのではないかということも必要に応じて指導したいと思いますので、是 非その辺も御指摘いただければと思っております。 ○堀内委員 MRの仕事としては、適切で迅速な情報提供というのが一つあります。ま た、例えば副作用等が起こった場合は、その情報を迅速に収集し、逆に全国にフィード バックすることも必要だと思います。その場合に、経過、重篤度等について詳細に把握 する必要があると思います。ですから、それが医療機関から報告書として出てくるまで 待っているというのではとても遅いわけで、現場で常に医師や薬剤師と連携を取ること が大事だと思っております。最後にお尋ねした、副作用が起こったとき、どのような情 報収集をやっているかということは大事になると思いますので、それについても是非、 厚生労働省として御指導いただければ有り難いと思います。 ○安全対策課長 おっしゃるように、収集が遅くて、一報は入ってもそこから何か月も かかっているようでは、こちらとしても安全対策を取るのが遅れますので、そのような 事例があれば私どもとしてもきちんとした指導をしたいと思っております。 ○藤田委員 関連してですが、決められた頻度でやるという平均値的な議論ではなく、 例えば納入された直後は頻繁にする、あるいは何かが起こったら頻繁に訪問するという、 そういうことが確認できるような形がいいかなという気がいたします。 ○安全対策課長 その辺も留意して、今後、先生方から報告をいただいたものをまとめ たいと思います。 ○松本部会長 そのほかに何かあればお願いいたします。 ○土屋委員 調査の項目内容の細かさなどについて、このようなものが使われた結果の 有害事象などの把握はいいのですが、出されたときにそもそも適正ではなかったとか、 例えば抗がん剤であれば、レジメンを使っているところとそうでないところなど、様々 な処方時のエラーといったもの、そのチェックがどうなっているか。実際に他の抗がん 剤などで起きているのは、休薬期間のところがうまくいかなかったなど、そういう事例 があるわけです。市販直後のこのような調査は、そういうことについて、起きた事実と 言いますか、疑義照会その他で修正されて、結果としてこうなったという情報も収集さ れているのでしょうか。 ○事務局 今のところはここにあるような形での報告項目となっておりまして、先生が 指摘されたところについて、それぞれ報告者がその他の項目で、もし気付かれたところ があれば書いていただける場合もあるかもしれませんが、特別にそういったところをお 書きくださいといった形での報告にはなっておりません。 ○土屋委員 使い方の本当の適正さを担保するために、その辺はウオッチングしていた 方がよく、できればそのような情報は書いてくださいときちんと申し上げた方がいい。 これが基礎データになって、次にもっと広いところでいろいろやられていくわけですか ら、そのような意味で言えば、適正使用に伴ったヒヤリハット、特に処方に伴ったヒヤ リハットといったことはきちんと把握しておくことが、この市販直後調査の意味を余計 大きくするという気がいたしますので、是非そのような体制をとられたらと思います。 ○國頭委員 正直言ってイメージがちょっとわきにくいのです。これは何を調査したの か、今更聞くなと言われそうですが、副作用が出たものを全部チェックし、報告してい るのですか。 ○事務局 副作用については、例えば特に問題となるようなこと、そのような意味では 未知で重篤な症例で、添付文書に載っていなかったような副作用などです。 ○國頭委員 例えばアリムタの副作用は、絶対出るものが三つ並んでいます。10人に使 えば、9人にこの副作用は出ます。25人の患者に使って3例にこれが出たという報告は 何の意味があるのか。臨床で使っている私どもの感覚と大分かけ離れているのです。貧 血は絶対出ますし、食欲不振もまず確実に出ます。シスプラチンとの併用ですから、25 人に聞いたら、25人に食欲不振は出るはずです。それがここで1例出ているというのは、 何を集めたのか、今一つぴんとこないのです。 ○事務局 前回の安全対策部会でバラクルードの報告が一般的な報告形式になっていた ことから、委員の方々の御意見の中には副作用が何人の患者にどれくらい起こったのか とか、定量的な数字を示してほしいといった御指摘がありましたので、今回は報告形式 を工夫させていただき、このような形になったということもあります。御指摘のように、 当たり前に絶対出るような副作用の件数を単に並べているだけでいいのかといったとこ ろもありますが、こちらの目的としては、未知・重篤な症例について早期の安全対策を 取るという観点から事業をさせていただいているところもありまして、むしろ、そうい ったところに重点を置きたいと考えております。 ○國頭委員 私が担当医師であったら、恐らく何を報告すればいいのか分からないと思 います。アリムタとシスプラチンを併用して、白血球が減った、食欲が落ちた、気持ち が悪くなった、腎機能の数字がちょっと上がったというのをいちいち報告するのか。し ろと言うならするが、それは分かっていることではないか、今更何をするのかというこ とになるだろうと思うのです。ですから、これは報告書に書こうという人と、このよう なことは誰でも知っているから書かなくてもいいではないかという人と、多分ばらばら だろうと思うのです。恐らく何がというのが分かっていないから、何かとんでもないこ とが起こったときに、すぐにというのであれば、普通の経過であったら、無事に終わっ たということだけMRに伝えればいいのかなと、そのようなことならそれでいいと思う のです。  それから、多分、シスプラチン、アリムタはそのようなことはないと思いますが、こ れを見るとベルケイドは週2回とかなり複雑です。週2回という薬は余りなくて、例え ば月曜日と木曜日にするか、火曜日と金曜日にするか、最近は月曜日が休みのことが多 いからかなわないなと。そうすると、患者も面倒だから1日でまとめてくれなどと言い かねないのです。本当にそのようなことをしていないのかどうか。これは罰するために するのではなく、きちんとやっているものなのかを。私は専門外ですから、週2回をこ の辺は週1回にまとめて用法を倍にしてやってもいいとか、若しくは本当は月、木にす べきところを、これからゴールデンウィークに入る、年末年始に入るから月、火でやっ てくれと言われたら、そうやってしまっているものなのか。そのようなことは結果的に 出たこと以外に把握するべきではないでしょうか。特にこういうスケジュールが、他の 薬で同じようなものを私は知りませんので。余りない薬ですので。 ○事務局 昨年度から実施し始めた事業ということもありますので、そのような意味で は、やり方を工夫し、改善できるところは改善しながら進めていきたいと思っておりま す。 ○國頭委員 恐らく現場の担当になっているドクターは、何をどう報告していいのかよ く分からなくて、これはやるの、やらないのと、MRとあれこれ言っているだろうと思 います。私が担当だったらそうだろうと思います。 ○猪熊委員 定点観測というのは非常に大事そうに思います。新規性が高く、安全性の 担保が必要な医薬品に対して定点観測ということですが、私どもはリウマチ領域の薬を 扱うのです。この領域の薬で全例登録をしているものがあります。全例登録の場合は100 %の全例登録ですが、これは施設を決めて全例登録をするという、段階が少し柔らかい という理解でよろしいでしょうか。 ○安全使用推進室長 企業が行う全例登録とは別に、厚生労働省が直接調査を依頼し、 何かおかしなことが起こっていないか、特に未知で重篤な副作用を中心に直接収集する というものです。当然、企業は企業で全例登録で把握していただき、別途、厚生労働省 も直接情報を得て、企業がしっかりやっているかを監視しているという仕組みです。 ○審議官 この事業の本当に大切なところは、今、室長から申し上げたように、年間 30,000件ほど寄せられている副作用報告のうち、直接医師から得られているのは3,500 くらいで、それが実際にどのような形で、例えば日ごろメーカーが説明している、ある いは計画している、そのとおり行われているかどうかを、もう一つ、今度は国が直接医 療機関にお願いして、おおよそあるべき姿で動いているかどうかということをしっかり 把握すると。もし具合が悪ければ、ここから得た情報で私どものシステムを改善してい こうということです。もちろん、メーカーは法に基づき、きちんとやっているという前 提に立ってですが、我々も直接把握して万全を期すという機能が大切ではないか、とい うことが少なくとも当初の思想にはあったわけです。それに加えて、その際に、副作用 として新しいものなどが出てくれば、それは直ちにいただいて手を尽くすというのは当 然のことです。  國頭委員が言われた用量規制因子のような副作用については、まさしく欲しいのか、 欲しくないのか。頻度であればある意味で欲しいのかもしれませんが、症例数が20症例 くらいですので、どれに意味があるか分からないと思います。課長から申し上げたよう に、その辺のインストラクションをもう少し薬の特色に応じて、また、例えば企業がや っている市販直後調査のプロトコールなどと相補的な形になるようなことで工夫してや れば、実が上がるのではないかという感じがします。 ○國頭委員 今更聞くなと言われそうですが、実際には誰が、どこに報告しているので すか。例えばベルケイドでは、市立旭川病院の先生が。 ○安全対策課長 参加いただいている、旭川病院なら旭川病院の内科の医師と薬剤師の 先生から連名で、私ども厚生労働省の方に直接いただいております。 ○國頭委員 ヤンセンファーマは通さずにですか。 ○安全対策課長 全く通しておりません。逆に言うと、ヤンセンファーマに、このよう な事業をやっているということは全く言っておりません。 ○國頭委員 骨髄腫の患者が来てベルケイドを使おうということで、例えば私が処方し たとすると、私と薬剤部の連名で安全対策課にファックスを送ると。 ○安全対策課長 毎月1回です。 ○國頭委員 何歳の男性に使用しましたということを流していると。 ○安全対策課長 そうです。 ○國頭委員 その後、例えば2週間経ちましたが、お元気ですかとか、4週間経ちまし たが、何かありますかというのは、そちらからは来ないのですか。 ○安全対策課長 先生の方から一月ごとに、使った患者の副作用はどうか、MR側の情 報活動はどのような形で来たかの報告をいただいて、私どもの方でもっとこのようなこ とを聞きたいということがあれば、先生方に追加で連絡を取らせていただいております。 また、MRの活動に対して、どうもここがおかしいということがあれば、その段階で企 業の方にはきちんとやっているかということを確認することにしています。 ○國頭委員 全例調査もいっていますから、一人、ベルケイドを使いましたというのは ヤンセンにもいきますね。言ったのにヤンセンから何も言ってこないから、まともにや っていないのではないかということを安全対策課に告げ口するというようなところもあ るわけですか。 ○安全対策課長 そういう性格もあります。先生がヤンセンファーマにこのような未知 で重篤な副作用があったと言って、私どもの方にも先生からそのようなことで情報提供 したと報告いただいているにもかかわらず、仮に法律に基づいた報告が来ていないとい うことであれば、どのような体制になっているのだと注意する、指導するといったこと にも使います。 ○國頭委員 例えば、一月経っても病院の医師が何も言ってこなければ、あの患者さん はお元気ですかという問合せとか照会などはそちらからくるのですか。 ○安全対策課長 患者を個別にフォローするというよりも、安全対策を今後考えていか なければいけないような未知で重篤な副作用があるかということをまず把握することが 一つと、会社側が情報提供なり、副作用の収集なりをしっかりやっているかということ をきちんと把握することが目的ですので、個々の患者についてどうでしょうかというこ とは詳しくは調査しておりません。 ○國頭委員 ただ、20人、30人というレベルの患者ですと、仕事を増やすようで申し訳 ないですが、どなたか一人が2週間、4週間、2か月したらどうですかといったような ことを、何らかの形で問い合わせるという方が、恐らく、何かが起こったときの対応は 早い。なぜかと言うと、私自身も含めて、がんを相手にしている医者は、亡くなってし まったときに「がんだからね」という一言で言い訳も利きますし、こちらも「もうしょ うがないよね」ということになってしまいかねないのです。ふたを開けてみると、そん なこともないでしょうが、例えば北海道の人ばかりが亡くなっているとか、寒いときに やってはいけないとか、そのようなことが。数が少ない疾患で、出る数が少ない薬です ので、一つ一つの患者を。こちらで見ていると、これは許容範囲内というか、よくある ことだよねで済まされてしまうことが、多分あろうと思うのです。私は、東病院でアリ ムタを使っている患者の経過など、一人も知りません。中であればある程度分かっても。 全体をまとめるというのは、数十人規模であれば、そういう収集の仕方の方が見付けや すいのではないかと思います。始まった事業だそうですから、今からある程度変えるこ ともできるかと思いますので。 ○松本部会長 ほかに御意見はございませんか。この事業の本質的な目的と実際との間 に、かなり乖離と言いますか、改めるべきところがあるかもしれないので、その辺を、 今日の御意見を伺った上でもう少し現実的に、変えられるところは変えていっていただ ければと思います。 ○國頭委員 あとは、実際にベルケイドが何日と何日に投与されたか。そのチェックを するだけだったら別に大した手間にもなりませんので。途中でやめてしまったとか、先 ほど申し上げたように、月、木にすべきところを、連休だから月、火にしてしまったと か、そういうことが本当に起こっていないのかどうか。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、次の議題をお願いします。 ○事務局 お手元の資料No.2-2に基づいて、平成20年度の安全対策関係の予算案につい て御説明します。  資料No.2-2の1枚目に、医薬食品局の予算額をお示ししております。平成20年度の予 算案としては88億8,200万円で、平成19年度の予算額に比べて若干の減、対前年度比 99.6%となっております。2枚目には安全対策関係の予算をまとめております。平成20 年度の予算案としては5億6,800万円で、こちらも平成19年度の予算額に比べて若干の 減額となっております。主な事業としては、今、御報告していろいろ御意見をいただき ました市販直後安全性情報収集事業が、平成19年度は1,200万円の予算額で、今申し上 げましたように、厚生労働省が調査をお願いした医療機関から直接情報を収集するとい った事業を実施してきております。平成20年度においては、現在行っている新規性が高 く国内の治験例が少ないなどの新医薬品に加えて、緊急安全性情報の発出を指示したな ど、安全性について注意喚起を行ったような医薬品、そういった注意喚起を行うと使用 状況などにいろいろな変化があると予想されるような医薬品も、重点監視医薬品という ことで対象に加えることとしております。現在、一定期間を6か月程度として行ってお りますが、新薬などの場合、販売開始から採用などを考えると、6か月では若干短いの ではないかという御指摘もありまして、その期間も1年程度に延長して、使用状況、副 作用など、臨床現場の情報を国が収集するという事業を実施しまして、予算額としては 増額を見込んでおります。  また、医療機器についても同様の安全性情報収集事業を、来年度から開始したいと考 えております。このほか、ここには特に載せておりませんが、今年度から開始した、医 療現場での情報伝達の状況など、具体的にマニュアルなどを作っていくという実践事業、 そういったものについても、引き続き実施をしていくこととしております。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。平成20年度の医薬関係予算案の概要について 説明を受けましたが、御質問、御意見等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。 よろしいようでしたら、次に進ませていただきます。説明をお願いいたします。 ○安全使用推進室長 お手元の資料No.2-3、平成19年12月25日の「リン酸オセルタミ ビル(タミフル)について」を御覧ください。  これは、昨年12月25日に安全対策調査会を開催して、タミフルの服用と異常な行動、 あるいは突然死といったものとの因果関係の検討結果について、この時点での取りまと めを行ったという、その内容をまとめた資料です。  最初にこの資料の構成を御説明したいと思います。1ページと2ページが調査会とし て取りまとめた内容になっております。その次にまた1ページが始まります。右肩に「別 添 参考資料」とありますが、これが全部で5ページから成っております。これはタミフ ルが平成12年に承認されて以降、現在に至るまでのいろいろな異常な行動に関する安全 対策、あるいは検討の経緯などを時系列に整理したものです。  その5ページの次にまた1ページが始まりまして、右肩に「別添1」と書かれており ます。安全対策調査会の下に主に動物実験、非臨床試験を中心に検討を行う基礎WGと、 臨床試験や疫学調査について検討を行う臨床WGと、二つのWGをそれぞれ設置して検 討をお願いしているわけですが、この別添1は主に非臨床試験について調査検討を行っ た基礎WGの調査検討の結果で、全部で6ページにまとめられております。これが昨年 12月25日に、基礎WGにおける調査検討の結果ということで、安全対策調査会に報告 された報告書です。  次にまた1ページが始まって、右肩に「別添2」と書かれておりますが、これは臨床 試験や疫学調査についての検討結果を取りまとめた臨床WGの報告書です。全部で21 ページ、最後のページまでありまして、これも同じく昨年12月25日の安全対策調査会 に臨床WGから報告された検討結果です。このような構成になっております。  最初のページに戻っていただいて、昨年12月25日の安全対策調査会では、この両W Gから調査検討の結果について報告を受けて、調査会として一定の取りまとめを行った ものですが、中ほど、一つ目の○に調査会としての考え方が書かれております。「当調 査会は、基礎WG及び臨床WGから非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査(現時 点では、明確な結論を得るために必要な解析には至っていない)等の結果について報告を 受けた」として、「現時点において、直ちにタミフルの服用と異常な行動及び突然死と の因果関係を示唆するような結果は得られていない」という結論で、「特に、疫学調査 及び臨床試験については、十分かつ慎重な検討や分析を進め、可及的速やかに臨床WG 及び当調査会に報告することが適当である」とされております。  非臨床試験と臨床試験について、多くの試験が行われているのですが、その中の一部 の検討結果を整理しております。まず、非臨床試験としては「バインディング・アッセ イの結果、臨床用量投与時に推定されるタミフルの未変化体及び活性代謝物の脳中濃度 では多くの中枢性の受容体やイオンチャネル系への作用を持たないとされた」などの検 討結果となっております。一方、臨床試験については「睡眠検査室試験の中間解析によ ると、タミフルについて、睡眠異常を起こさないこと、心電図検査において著明な変化 が認められないことなどが確認された」などの検討結果が示されております。  以上のようなことから、二つ目の○ですが、「当調査会としては、引き続き基礎WG 及び臨床WGにおいて、現在実施中又は解析中の非臨床試験、臨床試験及び疫学調査等 の結果を含めた更なる調査検討を進め、できるだけ早期に最終的な結論の取りまとめを 行うこととする」とされております。  非臨床試験、臨床試験、疫学調査がいろいろと行われているわけですが、その調査の 実施状況が4、5ページに表になっております。「基礎的及び臨床的調査検討の進捗状 況について」として、4ページ〜5ページの上にかけてが基礎的調査検討事項、要する に、左の欄に非臨床試験として行われているものの試験名など、右の欄にもう試験が終 わってWGに報告済みのものとまだ実施中のものという整理がされております。5ペー ジの下の方が臨床的調査検討ということで、臨床WGで検討されている臨床試験あるい は疫学調査の一覧です。1.臨床試験については、二つの試験、いわゆる睡眠検査室試験 と夜間心電図の製造販売後臨床試験で、夜間心電図については実施中となっております。  2.疫学調査等については、二つの疫学調査が行われていまして、一番目の岡部先生の 研究については2006/2007シーズン、要するに昨シーズンの調査の結果は報告済みです が、今シーズン、2007/2008シーズンの調査は現在実施中ということです。先ほど「(現 時点では、明確な結論を得るために必要な解析には至っていない)」という括弧書きの記 載があったものが、この疫学調査等の二番目の「インフルエンザ随伴症状の発現に関す る調査研究」で、廣田先生の研究班ですが、昨年12月25日の第5回臨床WGに、第一 次予備解析という中間的な解析結果が報告されていまして、現在さらに詳細な解析を実 施しているころです。  それに加えて3.副作用症例についての詳細な調査検討ということで、昨年9月30日 までに中外製薬から報告されたタミフル服用後の異常な行動あるいは死亡例の副作用に ついての状況なども、臨床WGあるいは安全対策調査会に報告されております。その概 要は臨床WGの報告書に整理されております。  今このような状況にあるということで、実施中のものについて、なるべく早期に結果 を報告し、最終的な結論を取りまとめたいということになっております。  最初の方の2ページを御覧ください。取りまとめの続きですが、一番上の○、「イン フルエンザによって異常行動が起こり得ることに対し、改めて医療関係者及び国民の注 意を喚起する必要がある」ということで、タミフルについて中外製薬に対して、今回の 結論を含めて、改めて現在の添付文書の記載など、注意喚起をお願いしているところで す。また、それに加えて厚生労働省のホームページに、こういったインフルエンザの基 礎知識に関する資料を掲載するとともに、ポスターを作成して関係者に配付するなどの 対応を行っております。  二つ目の○、「以上を踏まえ、タミフルについて現在講じられている措置は、現在も 妥当であり、引き続き医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当であ る」ということで、昨年3月20日の緊急安全性情報(ドクターレター)における、10歳 以上の未成年の患者についてはハイリスクな患者を除き原則として本剤の使用を差し控 えるといった注意は、引き続き継続するとされました。  最後の○ですが、「ザナミビル水和物(リレンザ)及び塩酸アマンタジン(シンメトレル 等)について、次の点を添付文書の使用上の注意に記載して、インフルエンザに罹患した 小児・未成年者の異常行動発現のおそれについて改めて医療関係者、患者・家族等に対 し注意喚起を図ることが適当である」とされました。具体的には、タミフルの添付文書 にも記載されていることですが、「因果関係は不明であるものの、本剤の使用後に異常 行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。小児・未成年者については、異 常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による 治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を 行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮す ることについて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等によっ ても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと」という 記載をすることとされました。この決定は昨年12月25日に行われたわけですが、この 結論の取りまとめを受けて、翌日12月26日付けで、リレンザ及びシンメトレル等の製 造販売業者に対し、使用上の注意の改訂の指示を行い、現在、情報提供が行われている ところです。  基礎WGと臨床WGの報告書は大部にわたりますので、説明は省略させていただいて、 何か御質問等があればそれに答える形にさせていただきたいと思います。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。リン酸オセルタミビルの安全対策について説 明いただきましたが、御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○國頭委員 薬剤の添付文書に書かれることですから、こういう書き方でしょうがない とは思うのですが、早い話、何の薬を飲もうと飲むまいと、インフルエンザになった子 供から目を離すなということですね。それで、最後の2行を取って付けたように、イン フルエンザ脳症等によってもうんぬんというのは、インフルエンザになったらみんなイ ンフルエンザ脳症になる可能性があるわけですから、これは分かりにくいような感じが します。要するに、インフルエンザの子供からは目を離すなということですね。 ○安全使用推進室長 各薬剤ごとの添付文書なのでこういう記載になっていますが、こ の2ページの一番上に書いている「インフルエンザによって異常行動が起こり得ること に対し、改めて医療関係者及び国民の注意を喚起する必要がある」ということを受けて、 今、厚生労働省のホームページに掲載されているようなインフルエンザの基礎知識とか、 あるいは関係機関に配布しているポスターなどには、もっとシンプルに、分かりやすく 書かせていただいております。 ○國頭委員 要するに、タミフルのことが余りクローズアップされますと、白か黒かま だ分からないだろうと、私も思いますし、そうだろうと思うのですが、逆に言うと、世 の中一般は、飲んでいなければ大丈夫というような、何となくそういう風潮に。少なく とも私の周りにはそのような誤解をしている人がいます。それはむしろまずいのではな いかと思います。 ○安全使用推進室長 繰り返しになりますが、そのような誤解がないように、この2ペ ージの一番上にある「インフルエンザによって異常行動が起こり得る」ということは、 今、普及啓発と言いますか、そのための情報提供活動に努めているところで、なるべく そのような懸念がなくなるように今後とも努力していきたいと思います。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかに御意見はございませんでしょうか。 ○藤田委員 疫学ですので、その観点から少し言わせていただきたいと思います。まず、 別添2の岡部班の話ですが、異常行動の情報収集をするという研究です。2006年〜2007 年について、レトロで、後ろ向きに、こういった重度の問題が起きたというのを調べた ということです。これは事例ですから、薬を使ってどのくらい起きるのか、頻度は分か らないわけです。そういう意味では、137例の重度の異常行動が報告されたというとこ ろですが、できれば薬の販売量、あるいは年齢階級別の使用量のようなものがあると少 しは分かるのかなと思いました。  それから、今シーズンと言いますか、2007年〜2008年にかけてのシーズンについて、 同様の情報収集を行うということになっております。これは非常に重要だと思います。 ただ、昨年3月20日の緊急安全性情報で、10代は原則使用禁止ということになりまし たので、10代については、タミフルを飲んだ場合には上がってこない場合があるという ところは、ちょっと注意する必要があるのかなと思います。つまり、薬剤疫学の立場か ら言うと、バイアスのかかった情報が与えられてしまった上での調査である、というこ とを意識しないといけないのだろうと思います。この辺はコメントです。ただ、やはり これはきちんと把握すべきものだろうと思います。  ここからは私は発言していいのかどうか、平成17年度の横田班のメンバーで、今回の 問題には関係者ということですが、発言してよければ続けます。いかがですか。 ○松本部会長 報告ですからどうぞ。 ○藤田委員 横田班の平成17年度の調査につきましては、この委員になる前に、参考人 という形でこの部会に報告したと思います。異常行動あるいは精神神経症状についての 話だったわけですが、平成17年度の調査で評価ができたのはタミフルとアセトアミノフ ェンのみで、あとの薬剤については使用頻度が低かったので評価ができなかった。対比 してみますと、発熱の影響をコントロールしないといけないのですが、そのコントロー ル調整が不十分だったとは思っていますけれども、明らかにアセトアミノフェンの方が 問題だということを御報告した記憶があります。そういうこともあって、平成18年度は、 そこについての調査が必要だという形で考えました。その点については、日本小児科学 会誌の12月号に掲載されております。  そういう意味で、タミフルの問題という形で、あるいは抗インフルエンザ薬の問題と してとらえられておりますが、唯一の小児の解熱剤であるアセトアミノフェンについて、 実は我々はそちらの方を懸念していたのです。そこに焦点をあてた調査が必要であろう ということで、平成18年度に調査票の収集をしたという形です。いろいろ問題が起こり ましたので、我々が収集した調査票を廣田班の方にお預けして解析をしていただいてい る。  その辺が資料では微妙な書き方ですが、調査したのは我々の方です。そういうことを 踏まえますと、例えば別添2の6ページ、「本研究デザインの長所と短所をより深く見 極めることが必要である」、これは、調査を計画した人間だったらこのようなことは書 けないわけです。解析の方法も、企画した人間は頭の中にあって、しかるべき解析を考 えていました。今回出された解析は、私が思っていた解析とはかなり違う、ほど遠い解 析だった。これにはアセトアミノフェンについての影響が評価されていません。また、 発熱の影響等の時間経過はこの解析の中に入っていませんので、やはり暫定的な解析だ ろうと思います。素直に読めば、タミフルはリスクを半分くらいにしているわけですか ら、予防的になってしまうわけですが、きちんと解析しないといけないのだろうと思い ます。その辺のところがきちんと解析できるような体制が必要ですし、あるいは、我々 の方にお任せいただければきちんと解析ができると、そのように思っています。 ○松本部会長 ありがとうございました。ほかに御意見はございませんでしょうか。よ ろしいでしょうか。  それでは、事務局からほかに何かありますか。 ○事務局 特にありません。 ○松本部会長 本日用意した議題はこれですべてです。全体を通じて御発言はありませ んか。ないようでしたら、本日の部会はこれで閉会とさせていただきます。長い時間ど うもありがとうございました。 ( 了 ) ※外字=草冠に弓 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 美上(内線2748)