08/01/30 中央社会保険医療協議会総会平成20年1月30日議事録 08/01/30 中央社会保険医療協議会          第122回総会議事録 (1)日時  平成20年1月30日(水)9:52〜12:20 (2)場所  全国都市会館第1会議室 (3)出席者 土田武史会長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員        前田雅英委員 庄司洋子委員       石井博史委員 対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員 丸山誠委員          高橋健二委員 松浦稔明委員       竹嶋康弘委員 鈴木満委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員       渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本昭文専門委員 古橋美智子専門委員 黒崎紀正専門委員       <参考人>       松本純夫保険医療材料専門組織委員長 加藤治文薬価算定組織委員長       <事務局>       水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官        磯部薬剤管理官 他 (4)議題  ○医療機器の保険適用について       ○先進医療専門家会議の報告について       ○適応外の医療機器の使用に関する評価療養の追加について       ○平成20年度実施の薬価制度見直しの内容(案)について       ○市場拡大再算定品目について       ○平成20年度実施の保険医療材料制度見直しの内容(案)について       ○平成20年度実施の特定保険医療材料の機能区分の見直し等について       ○平成20年度診療報酬改定について (5)議事内容  ○土田会長  ただいまより、第122回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。  最初に、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、大島専門委員が御欠席に なっております。  それでは、議事に入らせていただきます。  初めに、「医療機器の保険適用」について議題としたいと思います。  まず、区分C1及びC2につきまして、保険医療材料専門組織の松本委員長より説明を お願いいたします。 ○松本委員長  松本でございます。今回の医療機器の保険適用については、C1が3つ、C2が2つで す。  最初のC1、資料、総−1−1の1ページを見ていただきたいと思いますが、「NSE  PTCAバルーンカテーテル」、経皮的冠動脈形成術(PTCA)における血管内狭窄 部の拡張及びステント留置直後の拡張に使用される医療機器です。特に、一般型バルーン カテーテルを用いた場合にスリッピングを起こして十分な拡張が得られないと考えられる 病変部に対して使用されるものです。そういう意味では改良されたものであります。それ で新しい区分を設けるべきとは考えますが、既にかなり類似した区分がございますので、 補正加算はなし、15万1,000円という価格設定をさせていただきました。  C1の2番目は「シームデュラ」。資料の4〜6ページです。脳硬膜欠損部の補綴を目 的とした人工硬膜であり、生体内で吸収される点がこれまでの人工硬膜と異なる。また、 内部に不織布を挟んだ、厚み約0.2ミリメートルのシート状の構造を有しており、繊維 性物質である硬膜様組織に置換され、その後徐々に加水分解が起こり、約8カ月間で完全 に吸収されるものです。類似した区分がございますので、生体内で吸収されるという部分 で、有用性加算(I)30%を加えまして、1平方センチメートル当たり1,250円と いう価格設定をさせていただきました。  C1の3番目は「ナビスター DS」です。資料の7〜10ページに記載されています。 I型心房細動の診断及び治療として、これまで別々の医療機器により実施されてきた高周 波電流による心筋焼灼術(アブレーション)と心腔内の電気生理学情報や位置情報の獲得 等心臓電気生理学的検査の両方を1つで実施できる電極カテーテル。これまで2本のカテ ーテルを取りかえてやらなくてはいけなかった作業が1本で済むという意味で、画期的な ものです。こちらも新しい区分を設けるべきとは考えますが、既にかなり類似した区分が ございますので、補正加算なし、42万4,000円という価格設定をさせていただきま した。  内外価格差の面からの評価ですが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの4カ国の 外国平均価格は31万3,223円であり、その1.35倍となっていますので、加算が なくても妥当ではないかと考えております。  続きまして、C2は2つありますが、C2の1番目は資料の11〜14ページでありま すが、「頚動脈用プリサイス」です。経皮的に血管内に挿入し、頚動脈(総頚動脈、内頚 動脈)の狭窄部位にステントを留置することにより、血管内腔を拡張・維持することを目 的としたステント・デリバリーシステム。近似する機能区分が存在しないだけでなく、技 術として評価する点数が存在しないため、C2区分として評価しております。しかし、頚 動脈ではそういうようなものが今までなかったわけですが、その他の末梢血管ではありま したので、ステントとしては類似した区分がございますので、有用性加算(I)20%を 加えまして、28万1,000円という価格設定をさせていただきます。  内外価格差の面からの評価ですが、アメリカ、イギリス、ドイツの3カ国の外国平均価 格、22万6,514円の1.24倍となっていますので、妥当ではないかと考えており ます。  C2の最後になりますが、今お話ししました頚動脈用プリサイスと一緒に使うという形 になると思いますが、「アンジオガードXP」、資料の15〜17ページです。経皮的に 血管内に挿入し、頚動脈の血管狭窄部の遠位側(下流)に一時的に留置することにより、 病変部におけるステント留置時に飛散する血栓等の血管塞栓物質を捕捉・除去することが できるフィルター構造の遠位塞栓防止用医療機器です。先ほども申しましたとおり、頚動 脈用プリサイスとセットで使用されるものです。  C1及びC2について、以上の5つでございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、本件につきましては中医協として承認するということで同 意をいただきたいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  それでは、ただいま同意いただきましたので、中医協として承認したいというふうに存 じます。  次に、「医療機器の保険適用」について議題としたいと思います。  区分A2及びBにつきまして、事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)  医療課企画官でございます。それでは、資料、中医協総−1−2をごらんいただきたい と思います。1ページ目、まず医科分の区分A2(特定包括)(特定の診療報酬項目にお いて包括的に評価されている区分)ということで、この1月1日保険適用開始のものでご ざいますが、ごらんのとおり30件ございます。  続きまして、1枚おめくりいただきまして2ページでございますが、区分B(個別評 価)(材料価格として個別に評価されている区分)ということで、こちらの2ページ目に ございます24件ございます。合わせまして、医科は54件でございます。  続きまして3ページでございますが、歯科について今のA2(特定包括)、ごらんの2 件ございます。そしてB(個別評価)につきましては、ごらんの12件ということで、歯 科は合計14件。  医科、歯科合わせまして68件ということでございます。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして何か御質問などございますでしょうか。  よろしいですか。  それでは、次の議題に移りたいと思います。「先進医療専門家会議の検討結果」につい て議題としたいと思います。  これも事務局より最初に説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)  資料、中医協総−2をごらんいただきたいと思います。今回、先進医療専門家会議にお ける科学的評価結果として、適として2件上げられてございます。  1件目は、「Real Time PCRを用いたEBウイルス感染症の迅速診断」ということで ございまして、1枚おめくりいただきまして2ページ目のほうの「先進性」に書いてござ いますが、Real Time PCR法は、ウイルスのDNA量を数時間以内に定量的に評価する 優れた方法で、簡便にして迅速にEBウイルス感染症を診断することができるということ でございまして、特に臓器移植の手術の際には免疫抑制剤を使いますので、このEBウイ ルス、比較的多く存在しているウイルスですが、こういった免疫抑制剤のときには合併症 を起こすこともあるので迅速な診断が必要ということで、これが非常に有効であるという ことでございます。また、そのほか伝染性単核球症や慢性活動性EBウイルス感染症等の 診断にも非常に役に立つということでございます。  次の3ページ目のほうに「適格性」として書いてございますが、適応症、妥当である、 その他問題はなし等々で、一番下のところに総合判定「適」というようになってございま す。  そして4ページ目に、「当該技術の医療機関の要件」としまして、こちらのほうにいろ いろ書いてございますが、それほど難しい要件はなく使えるというようなことでございま す。  1ページ目に戻っていただきたいと思いますが、このReal Time PCRを用いた迅速診 断につきまして、保険外併用療養費が858万円と非常に高くなってございますが、これ は移植の場合の金額ということでございまして、常にこのような額がかかるということで はございません。御留意ください。  そして2つ目、「内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術」ということでございますが、これは 既にある程度認められているものについて適応症を拡大するということでございます。  これにつきましては5ページをごらんいただきたいと思いますが、普通、内視鏡の手術 ですと、内視鏡を入れるだけの切開創しか設けないのですが、それよりもう少し大きく、 「ミニマム創」と書いてございますが、切開を加えることによりまして、その内視鏡で見 る画像と、それから直接の、自分の目で肉眼で見るのと、両方見ながらやるという手術で ございまして、侵襲性が非常に低い、それからコストもあまりかからない、安全性も非常 に高いということで、この「適応症」のほうに書いてございます腫瘍につきましても適応 を拡大したいということでございます。  それで、ちょっとこれ漏れておりますが、適応症で、最初、申請時には水腎症というの が入ってございました。それが次のページの6ページの一番下でございますが、総合判定 としては「適」なのですけれども、「水腎症を適応症より除外すれば、妥当」ということ で、評価結果として、水腎症のみ除外するというような評価をいただいております。  「医療機関の要件」としては7ページのほうに書いてございますが、泌尿器科の専門医、 こういった要件でこういった技術を用いるということでございます。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして何か御質問などございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、説明のあった技術につきましては、保険給付の併用を認め るということで中医協としては特段の意見がないということでまとめたいと思います。よ ろしいですか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  それでは、次の議題に移ります。「適応外の医療機器の使用に関する評価療養の追加」 につきまして議題としたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。中医協総−3の資料をごらんいただきたいと思います。これは、 医療機器の適応外使用に関して評価療養として保険外併用を認めていただこうというもの でございます。  内容につきましては、1ページめくっていただきまして2ページ目に、現在の保険外併 用療養費の図がございます。右側の枠で囲った中の評価療養、現在6種類ございます。こ れを見ていただきますと、先進医療、医薬品の治験に係る診療、医療機器の治験に係る診 療、薬事法承認後で保険収載前の医薬品の使用と、同じく医療機器の使用とございます。 もう1つ、適応外の医薬品の使用はありますが、今回はこれに加えて、適応外の医療機器 の使用という部分をつけ加えようとするものでございます。  通常の薬事承認のルートで申し上げますと、メーカーが治験を届けを行って、治験に入 って、それからデータをそろえた段階で承認申請という形になってまいりますが、それで 承認を得た後保険収載になっていく。  この治験が始まってから保険収載に至るまでずっと保険外併用療養として評価療養の範 囲に入っておりますが、実はそのルートと違うルートが1つございます。それがいわゆる 「公知申請」と言われているものでございまして、3ページをごらんいただきたいと思い ます。既存の、承認を受けた医薬品や医療機器につきまして、その使用範囲を効能・効果 を超えて使いたい、あるいは使用方法を変えると、こういうような適応外の使用について 広く広げていこうというルールでございます。学会等からその希望がございましたら、そ の中身が妥当かどうか、厚生労働省のほうで検討いたしまして、その適切な情報収集を踏 まえて一部変更申請をしてはどうかというふうに企業に伝えることになっております。企 業は、それぞれ必要な情報を集めた上で、そのデータをもとにこの適応外の使用に係る一 部変更申請をして承認を受けていく、こういうようなルールになっております。ですから、 いわゆる治験を通らずに来るルールでございます。これ、下にちょっと書いてございます が、「適応外使用に係る取扱いの通知により申請された事項が医学薬学上公知と認められ る場合において、臨床試験の試験成績に関する資料の添付を省略して行われるもの」、こ ういうような形になっております。  4ページ、5ページに、厚生労働省の、当時は厚生省ですが、研究開発振興課と審査管 理課両課長名で都道府県あてに「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」の通 知が出されております。  5ページ目の(1)、(2)、(3)とございます。これが公知の事実としてどういう ものを想定しているかという部分でありますが、(1)、例えばアメリカなど外国におい て既に当該効能または効果等により承認され、相当の使用実績があると。それから、その 外国における審査当局に対する申請に添付されている資料が入手できる。いわゆる外国で 認められてそのデータが使えますと、こういうような場合。(2)、外国において承認さ れ、医療における相当の使用実績があり、国際的に信頼できる学術雑誌に掲載された科学 的根拠となり得る論文、あるいは国際機関で評価された総説等、このような学術的に認め られているようなもの。(3)、公的な研究事業等、こういうようなものの中でしっかり と研究がなされて、倫理性、科学性、信頼性が確認し得る臨床試験の成績がある。こうい うような場合については、その適応を広げるという意味合いにおいては、新たに治験を要 しないで承認をしていこう、こういうような流れでございます。  戻っていただきまして、3ページにございますように、これらの公知の事実を添えて一 部変更申請をした場合に、受理をされてから保険に至るまでのところが現在は医療機器に ついては併用ができていない、この部分を保険外併用療養の評価療養として追加してはど うかというのが今回のものでございます。  説明は、以上でございます。 ○土田会長  ありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、説明にあった件について中医協として了承するということ にしたいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございます。  次の議題に移ります。「平成20年度実施の薬価制度見直しの内容(案)」につきまし て議題としたいと思います。  先ほど開催されました薬価専門部会において取りまとめがなされましたので、事務局よ り説明をお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。資料、中医協総−4でございます。「平成20年度実施の薬 価算定基準等の見直しについて(案)」ということでございます。この資料は、昨年12 月14日に中央社会保険医療協議会で了解いただきました「平成20年度薬価制度改革の 骨子」の内容を具体的に、この薬価算定ルールの、言ってみれば条文化をして、それが現 行と新しいものとどう変わるかということをまとめさせていただいた資料でございます。 そういった資料の性格上、薬価制度改革の骨子で実施するとしておる、例えば次々回実施 の市販後に承認適応をとった場合の引き上げルールですとか、そういったものについては、 次々回の実施ということもございまして、この中には記載がございませんことを御了承い ただきたいと思います。  1ページ目から、まず「新規収載医薬品の薬価算定」ということで、類似薬効方式の関 係の記載がございます。最初に、点線で骨子がございまして、現行の薬価算定ルールがど うなっておって、2ページでございますけれども、改正案がどうなるかということでござ います。この新薬の分については、10年間に薬価収載されたもので後発品が収載されて いないものとする。ただし、ケース・ケースで適当と認められる場合、必要と認められる 場合があるということもあるだろうと思いまして、そういった分を入れさせていただいて おります。骨子の原則に対応するものでございます。  3ページから、補正加算がどう変わるかということをまとめさせていただいておりまし て、4ページに行きますと、その補正加算の傾斜配分の関係。  5ページで、原価計算における営業利益率におけるメリハリの関係。それから規格間調 整の関係でございます。  6ページに参りまして、キット加算の見直しの関係。  7ページに参りまして、薬価算定組織における企業の意見陳述の改善の関係。それから その下でございます「既収載医薬品の薬価改定」でございますが、再算定の関係での類似 品の関係の拡大の関係がございます。  8ページに参りまして、市場拡大再算定における補正加算の傾斜配分での標準値、それ から市場規模で行うということの改正の部分。  9ページに行きまして、そのルール改正に伴う激変緩和の関係の措置の内容。それから 9ページの下から、後発品のある先発品の薬価改定ということで、市場実勢価に基づく改 定からさらに追加で引き下げる部分につきまして、18年度から若干縮めて16年度の段 階にとどめるということで、それの関係が10ページ、11ページに記載がございます。  11ページの下のところ、不採算品再算定の見直しということで、製造業の平均的な営 業利益率を上限として認めることについて、具体的に12ページの頭に記載させていただ いております。  それから最低薬価につきましても、乖離が非常に大きい区分につきまして見直しをして 引き下げるということで、引き下げを行った部分の薬価について、12〜13ページに記 載をさせていただいております。  13ページで、平成12年、この薬価算定ルールに明文化した段階で最低薬価を既に下 回るものについてはみなし最低薬価ということでございますが、それについてはそれに入 るその区分の引き下げを適用するということで、14ページの下線の部分を追加をさせて いただいております。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして何か御質問などございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、中医協として了承するということで対応していきたいと思 います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  ありがとうございました。  次は、「平成20年度実施の市場拡大再算定品目」について議題としたいと思います。  本日は、薬価算定組織の加藤委員長においでいただいております。最初に説明をお願い いたします。 ○加藤委員長  薬価算定組織の加藤でございます。私のほうから、今回検討しました「市場拡大再算定 品目(案)」について報告させていただきます。  資料の中医協総−5をごらんください。薬価算定組織における検討の結果、市場拡大再 算定の要件に該当すると判断し、平成20年度薬価改定に際し、薬価の引き下げを行う品 目の案は、資料の一覧表にありますとおり、11成分、30品目であります。市場拡大再 算定の要件などについては、本日了承された「平成20年度実施の薬価制度見直しの内 容」のとおりでございます。  それでは、個々の品目の検討結果について説明させていただきます。  初めに、通し番号1から6までのブロプレス錠、ディオバン錠、ミカルディス錠、ニュ ーロタン錠、オルメテック錠、プレミネント錠であります。  通し番号1のブロプレス錠4品目につきましては、原価計算方式以外の方式により薬価 算定されたものでありまして、薬価収載後に使用実態が著しく変化したものに該当し、薬 価収載時から10年を経過していないものに該当し、年間販売額が薬価収載時点における 予想年間販売額の2倍以上で、かつ150億円を超えるものに該当することから、市場拡 大再算定対象品に該当すると判断いたしました。  また、本品目については、市販後に集積された調査成績により、真の臨床的有用性が直 接的に検証されている場合に該当すると判断し、補正加算率、A=7.5%と評価いたし ました。  具体的には、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインにおいて、高血圧治療の目的は、 高血圧の持続によってもたらされる心臓と血管の障害に基づく心血管病の発病とそれらに よる死亡を抑制することとされておりますので、薬価算定組織といたしましては、国内で 市販後に実施された軽症ないし中等度の高血圧症患者を対象とした  のコスト試験にお いて脳卒中、心筋梗塞などの心血管イベントを有意に抑制したこと、国内で市販後に実施 された重症高血圧などのハイリスク高血圧患者を対象とした試験、CASE−J試験及び 冠動脈疾患合併の高血圧患者を対象とした試験、これはHIJのクリエイト試験、におい て糖尿病の新規発症を有意に抑制したことなどの市販後の調査成績を評価したものであり ます。  通し番号2のディオバン錠、通し番号3のミカルディス錠、通し番号4のニューロタン 錠、通し番号5のオルメテック錠の合計11品目については、いずれもブロプレス錠の薬 理作用類似薬であること、また、通し番号6のプレミネント錠については、通し番号4の ニューロタン錠の成分ロサルタンカリウムが同一であることから、市場拡大再算定類似品 に該当すると判断しました。  次に、通し番号7から9までの、パキシル錠、デプロメール錠、ルボックス錠、ジェイ ゾロフト錠でございますが、通し番号7のパキシル錠2品目につきましては、原価計算方 式以外の方式により薬価算定されたものでして、薬価収載後の使用実態が著しく変化した ものに該当し、薬価収載日から10年を経過していないものに該当し、年間販売額が薬価 収載時点における予想年間販売額の2倍以上で、かつ150億円を超えるものに該当する などのことから、市場拡大再算定対象品に該当すると判断いたしました。  通し番号8のデプロメール錠、ルボックス錠、通し番号9のジェイゾロフト錠の合計6 品目については、いずれもパキシル錠の薬理作用類似薬であることから、市場拡大再算定 類似品に該当すると判断いたしました。  次に、通し番号10のレミケード点滴静注用については、原価計算方式により薬価算定 されたものに該当し、薬価収載日から10年を経過していないものに該当し、年間販売額 が薬価収載時点における予想年間販売額の2倍以上で、かつ150億円を超えるものに該 当するなどのことから、市場拡大再算定対象品に該当すると判断いたしました。  また、本品目については、市販後に集積された調査成績により、真の臨床的有用性が直 接的に検証されている場合に該当すると判断し、補正加算率、A=5と評価いたしました。  具体的には、厚生労働省の抗リウマチ薬の臨床評価方法に関するガイドラインにおいて、 関節リウマチ治療における真のエンドポイントは、QOLの長期維持や関節の構造的損傷 の防止であるとされていることから、薬価算定組織として国内で市販後に実施された関節 破壊の進行抑制に関する市販後の調査成績を評価したものであります。  最後に、通し番号11のプログラフでございます。プログラフ5品目については、原価 計算方式以外の方式により薬価算定されたもので、薬価収載後に使用実態が著しく変化し たものに該当し、効能変化の承認日から10年を経過していないものに該当し、年間販売 額が効能変化承認日の直前の薬価改定時点における年間販売額の2倍以上で、かつ150 億円を超えるものに該当することから、市場拡大再算定対象品に該当すると判断いたしま した。  以上で、「市場拡大再算定品目(案)」の報告を終わります。 ○土田会長  ありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございましたら、どうぞお願いします。  よろしいですか。それでは、中医協としては了承するということにしたいと思いますが、 よろしいでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございます。                 〔加藤委員長退席〕 ○土田会長  次に、「平成20年度実施の保険医療材料制度見直しの内容(案)」について議題とし たいと思います。  先ほど開催されました保険医療材料専門部会において取りまとめがなされましたので、 事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)  資料は中医協総−6をごらんいただきたいと思います。「平成20年度実施の保険医療 材料制度見直しの内容(案)」ということでございますが、12月14日の中医協で了解 いただきました骨子につきまして、具体的に以下のように変更をさせていただきたいとい うことでございます。  まず、「新規の機能区分(C1,C2)に係る事項」といたしまして、「1.迅速な保 険導入」ということでございますが、これはC1につきまして、3月前の末日というもの を1月前の末日ということで、1ページ目の真ん中よりやや下のところ、下線を引いてご ざいます「1月前」ということに修正ということでございます。  続きまして、「2.補正加算の見直し」ということについて、1ページの下から3ペー ジのほうに書いてございますが、3ページの改正案として下線を引いておるとおりでござ います。一番下の「別表1より抜粋」というところにございますように、数字のほうも若 干変更があるということでございます。  4ページでございますが、「3.価格調整」につきまして、これまで「2倍以上の場合 に2倍の価格」としているものを、「1.7倍以上の場合1.7倍の価格」とするという ような改正案になってございます。  5ページ、ここから「既存の機能区分に係る事項」ということで、「1.基準材料価格 改定」につきまして、一定幅、ダイアライザー11%を7.5%に、フィルム5%を4% にするというような改定でございます。  その下の「2.再算定」でございますが、これは先ほどの新規と同様2倍というものを 1.7倍に変更するというような内容になってございます。  6ページの「3.既存の機能区分の見直しについて」ということで、ここに記述のとお りでございまして、この見直しに基づきまして、この後松本委員長のほうから見直しの案 につきましてお話があるということでございます。  最後、「1.不服意見の表明」につきまして、希望する製造販売業者は、決定区分案が 決まる前に材料専門組織に出席して直接意見表明を行うというような内容の変更でござい ます。  以上でございます。 ○土田会長  ありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、説明のありました件について中医協として了承するという ことにしたいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  次の議題に移ります。ただいま企画官のほうから話がありましたように、「平成20年 度実施の特定保険医療材料の機能区分の見直し等」について議題としたいと思います。  保険医療材料専門組織の松本委員長より説明をお願いいたします。 ○松本委員長  それでは、中医協総−7の資料をごらんください。特定保険医療材料の機能区分の見直 しは、先ほどの材料部会からの報告の6ページ、「3.既存の機能区分の見直し」にもあ りますとおり、臨床上の利用実態を踏まえて必要に応じて見直すことになっております。  今回、機能区分の細分化に関する見直しを8分類、機能区分の合理化に関するものを2 分類、機能区分の新規評価に関する見直しを2分類、機能区分の簡素化に関するものを1 2分類というふうにさせていただきました。  2ページ目をごらんください。細分化(1)ですが、「在002 在宅中心静脈栄養用輸液 セット」ですが、従来の在宅中心静脈栄養用輸液セットには、患者さんによっては必ずし も使用しない医療材料が含まれている場合もあるので、それらの主なものは、付属品とし て区分を細分化し、使用された材料が適正に評価されるよう機能区分を見直しております。  3ページ目ですが、細分化(2)、「在005 在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポー ザブルカテーテル(1)経鼻用(2)乳幼児用」ですが、乳幼児用の在宅寝たきり患者処置用 栄養用ディスポーザブルカテーテルについては、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(以下、 「DEHP」)が材料として含まれたポリ塩化ビニル製の医療用具のものがあります。D EHPについては、一般毒性物質、精巣毒性を有する化学物質とされていますが、薬剤や 栄養液等に接触するとその成分が溶け出してくることから、現在薬事法上代替品への切り かえについて注意喚起がされており、使用可能ではあるものの、安全対策上の観点からD EHPが材質として含まれないことが望ましく、また、価格差もあるので、今回機能区分 を見直しております。  4ページですが、細分化(3)、「026 栄養カテーテル(1)経鼻用(2)乳幼児用」で すが、先ほどの「在005 在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル (1)経鼻用(2)乳幼児用」と同様に機能区分を見直すこととしております。  5ページですが、細分化(4)、「038 交換用胃瘻カテーテル」ですが、バンパー型胃 瘻カテーテルを交換する際に、ガイドワイヤーを用いて交換する場合とガイドワイヤーを 用いないで交換する場合では、交換手技の安全性、精度、価格等に差があるとの指摘もあ ることから、ガイドワイヤー付きの有用性を明確にするため、機能区分を見直すものです。  6ページですが、細分化(5)、「084 脳動静脈奇形手術用等クリップ」ですが、脳動 静脈奇形手術用等クリップについては、特殊な形状のバネ型が追加されたことにより、一 般型との価格の乖離が激しくなっており、区分を細分化し、使用された材料が適正に評価 されるよう機能区分を見直しております。  続いて細分化(6)、歯科「014 栄養カテーテル(1)経鼻用(2)乳幼児用」ですが、 医科点数表の「026 栄養カテーテル」と同様に、歯科点数表においても機能区分を見 直しております。  7ページですが、細分化(7)、「調剤報酬010 在宅中心静脈栄養用輸液セット」です が、医科点数表の「在002 在宅中心静脈栄養用輸液セット」と同様に、調剤報酬にお いても機能区分を見直しております。  8ページです。細分化(8)、「調剤報酬013 在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポ ーザブルカテーテル(1)経鼻用(2)乳幼児用」ですが、医科点数表の「在005 在宅寝 たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル」と同様に、調剤報酬においても機 能区分を見直しています。  9ページですが、合理化(1)は、これまで調剤報酬における注射器については、薬剤によ り新たな機能区分を新設してきたが、同じ価格で償還している11区分について合理化を しております。  10ページですが、合理化(2)は、これまで注射針については、用いる薬剤により機能区 分を評価してきましたが、今回注射針の特性に着目して機能区分を見直し、合理化と細分 化をしております。  11ページですが、新規(1)は、歯周外科手術の一つである歯肉剥離掻爬手術に伴う歯周 組織の再生材料を新たに評価するため新機能区分を設けております。  次ですが、新規(2)は、現在、在宅医療における悪性腫瘍の鎮静療法において、携帯型デ ィスポーザブル注入ポンプを用いた場合には、医科の診療報酬上評価されていますが、調 剤報酬においても評価できるようにするため新たな機能区分を設ける。  12ページですが、簡素化については、機能区分に該当する医療機器がなくなったため、 12の機能区分を削除することとしております。  機能区分見直しについては、以上について検討させていただきました。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございますでしょうか。 ○事務局(宇都宮企画官)  すみません、ちょっと事務局から。失礼しました。6ページの資料にちょっと間違いが ございましたので、訂正をお願いしたいと思います。6ページの「(3)歯科点数表の第 2章第8部及び第9部に規定する特定保険医療材料」で、014の栄養カテーテル、右側 のほう、「新機能区分案」なのですが、イのほうで「DEHP型」となっていますが、そ の前に、そのほかの項目でもありました「非」を入れて、「非DEHP型」としていただ きたいと思います。申し訳ございません。訂正いたします。 ○土田会長  よろしいでしょうか。ほかにございますか。 ○松本委員長  ちょっと説明し忘れたものがあります。申し訳ございません。事務局から指摘されまし た。13ページですが、「再算定対象機能区分(案)」という資料をごらんください。い わゆる内外価格差のことであります。最初のページですけれども、平成18年度は281 区分でしたが、大変な作業が必要であるということで、平成20年度は効率的に中止する ということで、シェアが前回と今回で変わらない程度の区分ということで、150区分を 対象としております。  内容を見ますと、再算定の対象となる区分は80区分から14区分へと区分数は減って いますが、過去の改定時における数々の再算定の結果と企業の大変な御努力もあると思い ますが、そういったことから、今回は内外価格差の大きい区分が少なくなってきたのでは ないかと考えております。  その次の14ページに具体的な再算定対象機能区分がございまして、今年度、これだけ のものにわたって再算定を検討しております。例えば整形外科のスクリュー等の材料、脊 椎固定用材料、髄内釘といったものが対象となっております。  この項に関して、以上です。失礼いたしました。 ○土田会長  どうもありがとうございます。よろしいですか。  それでは、ただいまの補足の説明がありましたところも含めて、中医協として承認した いということで御異議ございませんでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  松本先生、どうもありがとうございます。                 〔松本委員長退席〕 ○土田会長  次は、「平成20年度診療報酬改定」について議題としたいと思います。  前回、前橋で行いました中医協総会におきまして事務局に整理をお願いしておりました 資料が提出されておりますので、その説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  中医協総−8−1の資料をごらんいただきたいと思います。  1枚めくっていただきまして、前回の総会で、診療所から病院へ、どの程度財源的にシ フトするのかと、そのためには、今病院の勤務医対策等でどの程度の額を必要とするのか、 それについて提示しろということがございましたので、資料を準備させていただきました。  ここでは、左側、「産科・小児科・病院勤務医対策」として、ハイリスク妊産婦あるい はハイリスクの妊婦の救急搬送等の評価を行います。これで約150億弱。それから地域 の子ども病院等を中心としまして小児の専門病院を高く評価するということで50億強。 それから地域の中で総合的に急性期をしっかりやっている中核の病院について、より入院 医療に特化していただこうということで、外来を縮小するとか、あるいは勤務しておられ る勤務医の勤務環境の改善のための計画をつくってもらう、このような形で評価をいたし ますということで、この中核病院の評価等におきまして約150億弱を必要とします。そ れから、いわゆる医療クラークと言われる医師の事務補助の職員の配置についてでありま すけれども、これにつきましては、約350億強ということになっております。それから、 手術等技術料の適正な評価ということで、これはさまざまな部分が含まれますが、主に手 術なのですが、全部合わせますと約600億程度。その他安全対策や迅速な院内検査体制 等々を使いまして、その他の部分で約250億強。合わせますと、約1,500億円が今 回この対策として必要だと見込んでおります。  それに対しまして、今回技術料本体としてプラス0.38%、医科の部分だけで申しま すと約0.42%、約1,000億円強のプラス財源がございます。これをすべてこの病 院勤務医対策に使いましても、約400億円強が足らないという状況でございます。この ため、診療所のほうから、この400億円強について追加的な財政支援をお願いしたいと 考えております。  右側のほうに5つ項目が、「考えられる選択肢」の中にございますが、下の2つ、検査 判断料の適正化と、それから軽微な処置の初・再診料への包括化、この2項目については 既に合意を得られているということで、この2つの項目でおよそ200億円強が診療所か ら病院へ出せるという形になっております。残り200億円強まだ必要になるわけですが、 それらについて、再診料や外来管理加算、あるいはデジタル処理加算等で工面をしたいと 考えておりますが、再診料につきましては、現在のところ、1点で約120億程度の財源 が出ることになります。それから外来管理加算につきましては約240億、デジタル処理 加算につきましては、経過措置等の関係もございますが、100億程度というふうに財源 として見込める。  ただ、外来管理加算やデジタル加算につきましては、財源としては見込めるのですが、 あとそれを例えばデジタル加算を廃止しますと、診療科のアンバランスが極めて大きくな りますので、そのアンバランスを取り除くために、逆に100億全部が使えないと、そう いう条件もございます。また、外来管理加算にしましても、診療科によって非常に大きな マイナスになるところもありますので、そういう診療科間のバランスをとるというものを 差っ引きますと、この外来管理加算とデジタル加算合わせまして約200億円強というふ うに見込んでおります。  3ページ目をごらんいただきたいと思います。今この病院勤務医対策としてさまざまな 項目を申し上げました。それの期待される効果をまとめたものでございます。ハイリスク 妊産婦やハイリスク分娩管理加算やハイリスク妊娠管理加算というものを設けまして、あ るいは現在問題になっていますいわゆる「たらい回し」問題への対応ということで、救急 搬送等の受け入れ、こういうものを重点的に評価していこうと考えております。  ハイリスク分娩管理加算につきましては、対象として約1万5,000人が対象になる。 あるいはハイリスク妊娠管理加算につきましても約1万5,000人が対象になる。それ から救急搬送につきましては、約1万2,000人余りがこの対象といいますか、算定さ れるだろうと見込んでおります。  それから、小児専門病院につきましては、地域の中核的な小児医療機関をしっかりと手 厚く評価していく。ここでしっかりとした小児科の質の高い医療を提供するということで、 子ども病院と言われる病院等を中心でございますが、全国で約3,000床が対象になる と考えております。  それから、外来を縮小して入院にできるだけ特化していき、その勤務医の負担軽減策を 講じてもらう、そのような中核病院の評価でありますけれども、ここにつきましては、全 国で当初は約170の病院が対象になるだろうと見込んでおります。  医療クラークにつきましては、救急医療の体制に組み込まれている三次救急医療機関で ありますとか二次救急の輪番制に参加している医療機関等を中心にいたしまして医療クラ ークの配置を考えておりますが、当初、全体的には約1万8,000人のクラークが該当 するだろうと見込んでおります。  手術等の技術料の評価でございますが、手術をはじめ病院で算定される技術、これにつ いて特に近年さまざまな技術革新に伴ってコストが上がっているもの等もあると聞いてお りまして、そのあたりをしっかりとつけることによって病院の体制を強化していくという ことを期待したい。  その他のところ、医療安全や、あるいは迅速検査で、逆に、要するに検査結果だけ聞き に来る再診などが減りますので、そのような効果などを見込んで、この病院の勤務医対策 等を考えているところでございます。  4ページ目でございますが、現在議論が残っております再診料や外来管理加算あるいは デジタル加算について、それを財源として使った場合のメリットやデメリットについて簡 単にまとめてございます。再診料を引き下げた場合は、当然病院と診療所が現在の再診料 の格差14点が縮まるという期待ができる。それから後期高齢者につきましては、再診料 を引き下げて初診料を上げると、これは初・再診での手間の多少ということから、手間が 少ない再診料を引き下げる、こういうのが適切な評価になるのではないか。  しかしながら、再診料を用いますと、産科や小児科を含めすべての科に影響してまいり ます。そういうところに対する影響が及んでしまうというデメリットもある。それから、 地域医療を支えている診療所の医師にとって、やはり再診料という基本診療料について引 き下げがあると意欲の低下をもたらすという御意見もございましたし、診療所にとっての 大幅な収入減になって地域医療提供体制へ影響を及ぼすのではないかというデメリットは 考えられる。  それから、外来管理加算、これについて、「時間の目安」を導入してはどうかという提 案をしているわけでありますが、これにつきましては、時間といいますか、患者さんの話 をじっくりと聴く、あるいはその診察結果、検査結果等について懇切丁寧に説明をする。 このような診察が導かれるだろうということで、そのようなものが期待できる。一方、時 間という外形的な基準によることについての問題点は指摘も受けておるところでございま す。また、当然ながら外来管理加算も、金額的に大きな項目でございますので、収入減に よる地域医療体制への影響があるだろう。  後期高齢者におきます外来管理加算につきましては、現在、病院が47点、診療所が5 7点となっております。これは、高齢者ではない、若人の外来管理加算の52点に比べて、 上下5点ずつ離れた形で設定がされております。現在これを統一してはどうかということ なのですが、これを若人の52点のところに統一いたしますと、診療所と病院の格差がな くなるということがありますが、一方で、診療所の側では大きな収入減になるということ もあります。  レントゲンのデジタル処理加算につきましては、このデジタル処理の後、フィルムにわ ざわざ焼きつけないでモニター画面上でしっかりと診断をしていっていただくことによっ て環境にも優しい医療ができるのではないか、そのほうがさまざまな面で非常に画像の拡 大等がしやすいということもございますので、このデジタル処理からさらにフィルムを使 わない、コンピューターで処理をするような方向に行っていただこうということで、この 廃止を考えているわけでありますが、これによりまして、陳腐化した、古くなった技術を より新しい技術へ導くことができるのではないか。それから、ただ一方で、診療所や中小 病院では、なおかつやはりデジタル処理が残っているということはあって、その存続がど うなのかということがデメリットである。それから収入減というものがございます。  下の2つ、既に合意をいただいております検査判断料の引き下げや軽微な処置の初・再 診料への包括化ということにつきましては、検査につきましては、検査実施料と判断料の バランスが少し適正化できるかということ。軽微な処置の初・再診料の包括化は、非専門 的な行為の評価の適正化ができるのではないかというメリットが考えられるということで あります。  この資料の5ページでございますが、今また多岐な個々のものについて申し上げました が、一般的に診療報酬点数を引き上げるあるいは引き下げる場合の私どもの考え方を少し 整理をさせていただきました。  まずは、相対的に評価が高くなる、あるいは低くなる、それによって引き上げたり引き 下げたりすることがございます。例えば、既に議論いたしましたが、放射線の治療での大 量コバルト照射というものを昔はやっておりましたが、最近は一様に当てるのではなくし て、もう少しポイントを絞った形で放射線治療ということをやっていくという方向になっ ておりますので、そのような昔の技術は点数を低くして、新しい技術を高くする、こうい うような形で、診療の内容を、診療行動といいますが、を変えていこうとするわけでござ います。  それから、早期にまず普及する必要があるものについては評価を基本的には引き上げて いく。一方で、普及目的が達成されたものについては、一定程度引き下げを考えていく。  それから、実際のサービス提供のコストが上がったり下がったりする場合がございます。 例えば、手術料などで新しい材料を使うようになった場合にはやはり点数を引き上げる必 要がある。あるいは、一方で、典型的な白内障の手術などの眼内レンズなどの価格は下が ってきておりましたので、そういうものについては材料込みの点数ですので、その点数を 引き下げる、そのようなコストの反映。  それから、実施状況に照らして適正化が必要なもの。これは例えば外来精神療法という 項目を説明いたしましたが、これらにつきましては、外来で精神科の患者さんを診察する わけでありますが、専門的な診療をしていただくのに当たって、やはりこれも時間がかか るというのは当然考えられるわけでありますが、非常に短時間でこの外来診療料をとって おる診療所もある、あるいは病院もあるということで、この部分については適正化するた めに要件を厳しくした上で、あるいはその短い時間の場合には引き下げる、こういうよう な形で点数を動かす場合がございます。  その他、もの代については実勢価格の上昇・下落に合わせておりますし、最後に、財政 面からの調整ということでありますが、やはり今日本の医療はほとんどが保険医療で医療 機関が運営されておりますので、その医療機関全体の財政状況というところから見て、そ れの調整のために、特に基本診療料等を使いましてそのあたりを調整するということも、 この引き上げる・引き下げるときの観点ではございます。  上に挙げました2つないしは4つ程度は、直接的に診療内容を変更していただくこうと、 そういうような誘導効果をねらったその点数の上下というような性格があるのではないか というふうに整理させていただいております。  私のほうからの資料説明は、以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございますでしょうか。 ○対馬委員  宿題に対する回答ということで、この資料を見ますと、随分意図的なものを感じるので す。例えば2ページ目のところで言いますと、説明の中でもございましたけれども、再診 料についてはいじらなくても200億円相当が出るというお話もございました。また、4 ページ目ですが、こういった資料を私は初めて見ました。4〜5年、こういった審議会や 検討会に出ていますけれども、事務局が提案しているものでもって「○」より「×」が多 い資料というのはあまり見たことがないのです。非常に謙虚な資料なのか、それとも2号 側に随分配慮しているのかということですけれども。  特に非常に気になりますのが、例えば再診料の引き下げの「×」の2つ目には「診療所 の大幅な収入減による」云々と書いています。これは確かにそうかもしれません。再診料 を引き下げますと、点数の引き下げをどの程度やるかにもよりますけれども、そうなるか もしれません。しかし、それが外来管理加算などすべてにおいて「診療所の大幅な収入 減」という項目があるのです。だとするならば、逆に、「病院について大幅な収入増にな る」という表現があってもよろしいのではないでしょうか。  やはり事務局としましては、特に今回再診料の問題というのは一番大きな課題なわけで すから、中立性、公平性が求められるということで、こういった資料を見ますと、私ども としては一体どういう意図の下にこの資料をつくられたのかということに対して疑念なし とはしないというのが第1番目の感想であります。  それから、意見になりますけれども、2ページ目のところですが、診療所のほうから病 院、急性期を中心にした病院のほうに財源の移転を図っていくのだと、これは確かにこの 資料で分かりますけれども、全体的にこの1,500億円が、先ほどの説明では個別の項 目の積み上げでされていると承りました。財政的な観点からどうしていくかということで、 全体的な人件費なり経営に対する影響を考えると、この1,500億円というのは一体ど ういった位置づけになるのか。例えば急性期の病院の全体の総費用が幾らで、それに対し て1,500億円というのはどの程度の改善になるのか、こういった視点では検討された のでしょうか。急性期の病院も、先般の医療経済実態調査を見ても相当厳しい状況であり、 そこに1,500億円を投入することによって当初の目論見どおりの改善になるのか、そ れともスズメの涙なのか、焼け石に水なのか、そういった検討をされたのでしょうか。  また、例えば小児専門病院の評価は50億円と言われました。小児専門病院は相当な大 赤字のはずで、それが50億円で本当に改善が進むのでしょうか。そういったことが一切 分からない。私どもからしますと、そのつけた費用でもって最終的には各病院の判断にな りますけれども、産科、小児科等々の病院の勤務医の処遇改善までつなげていきたいとい うことですけれども、この1,500億円を投入すると処遇改善につながってくるのでし ょうか。  現在、病院の先生方の月給は大体100万円と医療経済実態調査で出ましたけれども、 100万円に対してこの1,500億円をつけると幾らぐらいに相当するのでしょうか。 何千円なのか、それとも数万円になるのでしょうか。こういったことが一切分からない中 では、1,500億円ありきで考え、1,000億円強はプラス財源で出るので、したが って残りの400億円で結構だということにはならないのではないかと思うが、そこをま ずお聞きしたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  例えば病院のほうで、一般病床で約90万床ございます。主としてここに出てまいりま すのは、一般病床のところが多いので、ざっとこの一般病床だけでこの1,500億円が 使われたとしたら、1床当たり1年間で約17万円相当になります。したがいまして、例 えば100床当たり1,700万程度ですので、300床の病院で年間5,000万円の 収入増につながるという形になろうと思います。ただ、ここでつけられております項目は、 どちらかというと、主として大きな病院、あるいは急性期の病院というところに中心につ けておりますので、そのような一律な形ではちょっと述べることはなかなか難しいという ふうに考えております。  それから、具体的な改善ということで、医師の給与がどれだけ上がるかというのは、そ れぞれの病院の考えですので、診療報酬でなかなかそこまで規定することは困難だと思い ます。ただ、例えばハイリスク分娩管理加算でありますとか、ここで言っております外来 縮小する中核病院、あるいは事務補助職員を配置する病院、これらの病院につきましては、 医師の勤務環境改善の計画を職員に周知して、届出時に当然その計画を出していただく、 そういうようなことを考えておりますので、具体的に改善が進むだろう。  それから、勤務医の対策として、給与だけではなくして、例えば医療クラークと言われ るものは、事務的な仕事をできるだけその事務の補助職員にやっていただくことによって、 医師の負担感は当然軽減するだろうと考えております。 ○土田会長  先ほど小児専門病院に50億円で大丈夫かというような質問も出ておりますので、それ はいかがでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  小児専門病院に約50億程度と考えておりますが、ここは全体として、これだけでもっ て全部大丈夫かどうかということはなかなか語れないところではあるかと思いますが、現 在は、ここで考えておりますのは、小児の入院医療管理料というのがありますが、その病 棟について1、2、3というランクが設けられております。1のところで、小児科の常勤 医が5人以上いるというような条件をつけておりますが、実は、子ども病院というのは、 もっと非常にたくさんの小児科医が集まっているところでありまして、それについてより 高い評価をしていく。すなわち、その高い評価をしないと、従来の入院医療管理料1の、 要するに5人の水準の点数しか設定されていませんので、それ以上に手厚くやる部分につ いて評価されていないわけです。ですから、今回そういうようなものは高いところの水準 をつくって高く評価をするということで、従来よりも改善が見込まれるというふうに考え ております。 ○竹嶋委員  今の対馬委員のご発言に対して3つほど御意見申し上げたいと思います。  まずは、審議会に初めてこういうのが出たというお話でしたが、私どもは2年前から初 めてこの会議に実は出ておるのですが、審議会、そこではいつも資料はずっと今までと同 じような形で出るのか、これが第一問題、1つです。  それからもう1つ、そういうことで私は発言するのですが、この資料は偏っていないか と、2号側委員に配慮してとのご発言ですが、中医協のこういう場で、私は極めて不適切 な言葉であると思います。2号側委員としてこれについては大きく抗議したい。  それからもう1つは、子ども病院に50億で足りるのかと。ではお聞きしたいのだけれ ども、今度の改定率、改定幅、幾らですか。1,100億です。それしか上げていないの です。本当に今の上げ幅では医療は大変なのです、地域医療が。であれば、医療費はもっ と上がるべきであった。それは診療側、支払側、公益側関係なく、日本の医療を考える場 合であればもっと上げるべきであったのです。それができなかったのです。その中でやっ ていくということを御認識あるかどうか、お尋ねをしたい。 ○対馬委員  この資料は私どもとしてもそれなりに見ていきたいと思います。ただ、この資料はいろ いろな意味合いがありますから、例えば小児について今50億円という話がありましたけ れども、いろいろなことを考えさせられます。例えば小児の入院医療管理料の1や2を算 定している病院については、医療経済実態調査を見ましても、非常に厳しい数字になって いるのです。たしかマイナス7%ぐらいだったと思いますが、前回はマイナス1.数%で した。それが50億円で本当に対応できるのかどうか、こういったこともあります。また、 前回の改定は今回よりも大幅に小児にはつけたという記憶がありますけれども、それとの 関係はどうなのだろうかと、そういう問題も出てくるわけであります。  2つ目の問題ですけれども、偏っていないかという意見が、極めて不適切だということ ですけれども、その判断というのは、恐らくここにおられる方々がされることだろうと思 います。私としては、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな審議会に出ていますけれ ども、こういった資料というのは初めて見ました。したがって、不適切であるとは全く思 いません。  それから、改定率の関係は、まさに年末に随分議論して決めたわけでして、それでは逆 にお尋ねしますけれども、仮に改定率がゼロだった場合、この400億円しか出さないと いうことだったのでしょうか。今回たまたま0.42%に決まりましたから、1,500 億円ぐらいになりましたけれども、±0改定であれば、この1,500億円がないから4 00億円でいいと、こうお考えでしょうか。そうではないでしょう。やはりこれだけ厳し い状況の中では、産科、小児科等々の病院勤務医に対してはもっとつけていくべきだと、 大幅な財源の組みかえをやっていくべきだということでないでしょうか。それはむしろ私 のほうからお伺いしたいと思います。 ○中川委員  議論がどうもちょっと違う方向に行っているような気がします。対馬委員が、特に2ペ ージを含めて、2号側に配慮したというふうにおっしゃいました。私はむしろこれは我々 にとっては、逆の印象を持っています。病院の経営難、勤務医の疲弊、これは長期の医療 費の抑制によるものというのは、医療関係者はだれでも認識していることであります。前 回も申し上げましたが、その中で、我々は大幅な診療報酬の引き上げを求めたのですが、 結果が0.42%の引き上げ。長期の医療費の抑制の中で、地域の病院と診療所、診療所 と診療所、病院と病院、これは本当に強固なネットワークを組んで、非常に苦しい中で頑 張ってきたのです。この2ページのこの整理は、まさにそういうところで、まるで診療所 が既得権力を守って財源を出さないから病院が改善されないのだというようなことを意図 的につくったようにしか思えません。決して診療所が楽しているわけではないということ は、再三中医協でも小委員会でも総会でも、我々は申し上げてきたと思います。そういう 中で、この意図的な表というのは、私はむしろ2号側にとって極めて不適切だというふう に考えます  それともう1つ、プラス0.42%引き上げということが決まった中での手当てはどう するかというときに、勤務医対策でどれだけ必要かと、1回の診療報酬改定でこれが全部 解消するわけがないではないですか。今このプラス0.42%という限られた財源の中で まずやれることと、これから継続して審議して、次回に向けてまたこれは診療報酬の引き 上げを目指してやることを、峻別しなければいけない。同じ診療側を分断するような意図 的なこういう考え方はぜひ改めていただきたいなと、強く思います。 ○土田会長  1号側、2号側、この資料をめぐって意見が異なっているわけですが、この資料を求め たのは私でございまして、それで今までのやり方とは変えると前橋で発言いたしました。 それで今までは、幾ら幾らという予算が、あるいは積み上げが出てきて、それをどう分配 するかということだったのですが、今回緊急課題として病院の勤務医対策ということが挙 げられました。具体的にこういうことが必要であるということが出てきた場合に、一体幾 らぐらいかかるかという発想の転換を今回求めたということでございます。それに対応し て医療課のほうから、こういう予算が必要であるということが出てきたということであり まして、こういう資料が提出されたのは確かに中医協では初めてでございまして、こうい うやり方をしたということは前例がないことは確かですが、ただこういうやり方をしたと いうことのメリットといいますか、そういう決め方もあるのだということを一応考慮して いただきたいと私は思っています。そういう意味では、こういう具体的な数字が、細かい 項目も上がってきて、それで具体的にどうすればいいのかということの検討するためには 大きな一歩であったというように私は思っております。  ただ、先ほど対馬委員が発言されましたメリット・デメリットというところで、確かに 「×」が多いという話は、これは言われるのはもっともでして、したがって、当然ながら、 こういう再診料の引き下げあるいは外来管理加算の見直しということを行った場合には、 診療所の大幅な収入減ということはデメリットであるけれども、メリットとして病院の収 入増ということは当然あるわけですから、したがって事務局としては、もう1つ「○」を 加えていただきまして、各項目について病院の経営の改善に資する、あるいは収入増とい う項目をつけ加えるのが妥当であったと私は思います。だから、その意味では、対馬委員 の発言は納得できるところであると思います。  それから、中川委員が発言されまして、これは、診療所があくまで財源を抱えていて、 それで病院と対立するような、あるいは病院に対して何らかの責任を負うというような発 言がございましたが、そういう意図ではございません。つまり、1,100億円しか改定 率による財源がないという前提の中で、それではその他にどこに財源があるかという場合 に、これはやはり診療所に対して痛みを分かち合っていただくしかないということから出 た発想です。したがって、病院がよくて診療所が悪いとか、そういう発想では一切ござい ません。あくまでも財源移転の問題であるということです。これはまだ決まった話ではご ざいませんから、あくまでも診療所の側からの財源移転に対して同意をいただきたいとい うことで、これからの審議を進めていきたいということでございますので、ここでこの資 料が妥当であるか妥当でないかということの議論はあるでしょうが、一応こういうもので あるということを前提として議論を進めていただきたいというように思います。 ○勝村委員  前回の前橋のときの会長の工夫というのには敬意を表したいと思っておりましたが、そ の結果が今日出るというときに、前回から一つしっかり見なければいけないと思っていた のは、事務方が、病院対策・勤務医対策に幾ら要るというその額の根拠をしっかり聞かな ければいけない、ということです。2年前のこの診療報酬改定の前から私たちはどんな議 論をしてきたかというと、勤務医が大変だ、ハイリスクの産科、小児科、救急医療が大変 だと、勤務医がやめて開業医になっていく、それで救急が崩壊していると。私はその場で、 もう30年以上前から、小児科のたらい回しで裁判になって、病院だけではなくて奈良市 という行政がだめだという判決まで出ているのもあると、それから30年たってまだ奈良 でたらい回しが起こっているというようなことは大きな問題だ、と既に2年前に言ってい たわけですよね。  今回いろいろな検証も検証部会とかでしていただきましたけれども、2年前の改定の際 に、僕がこの場で発言させていただいたのは、一番の反省点は、本来患者が、今もたらい 回しされている患者の立場になって考えていただいたら、これはすぐ直さなければいけな い。そこの原因はどこなのかということが言われてきているわけですから、前回の診療報 酬改定の反省すべきところは、勤務医の対策にダイナミックさが欠けた。だから、結局、 ブレーキをきちんと踏むとか、何か本当に動きをつくらないともう崩壊すると。救急医療 がいよいよもうだめになるというときに、きちんと対応しておかなければいけないのに、 焼け石に水と言うのか何と言うのかわかりませんが、その程度だったからとめられなかっ た、さらにひどくなってきたということになっている。これを今回こそは本当にとめなけ ればいけないですねという一致だったと思うのです。そういうニーズがあると思うのです。  それが本当に1,500億円でいけるのですか。何が1,500億、会長がおっしゃっ た必要な額というのは、僕の言っているそのために必要な額というのと違うのですか。同 じだと思うのです。本当にその額でそれができるのですか。もう本当に救急車に乗った子 どもや、妊婦はたらい回しに遭わないのですか。  去年、一番最新の病院の動態統計を厚労省のホームページで見ましたけれども、1年間 で新たな診療所が1,000以上できている。1つの診療所の収入がどうかというよりも、 勤務医をやめてどんどん診療所をつくっていっている。診療所は救急医療は基本的にでき ないわけですから、診療所では基本的にハイリスクの妊婦は扱っていただきたくないわけ ですから、ハイリスクの妊婦にはチーム医療をしていただきたいわけですから、そのあた りの対策として、たった1,500億円という額にはちょっと僕は納得できないのですけ れども、その額の説明をもっとしっかりしていただきたいと思います。 ○土田会長  これは、事務局に今発言してもらいますが、ただ、これはある意味ちょっと誤解してい るのではないかなと思います。救急医療とかそういうのはこの後やりますけれども、それ は全部実績をベースに積み上げしているのです。ですから、そこの、本当にこれでいいか どうかというのは、今日の後半あるいは金曜日になるかもしれませんが、あるいはそれ以 降になるかもしれませんが、そこで救急医療はどうするかという、改めてきちっと論じて いく話だろうと思います。具体的には、この間邉見先生からああいう発言があったことに 対して、事務局ではちゃんと加算をしているということです。診療報酬のこの金額だけで すべて救急医療は済むなどという話はもともとありませんので、救急医療は救急医療で、 この後どのぐらい具体的にどうなっているかということも議論は進んでいくわけですから、 そこは誤解しないでいただきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  なかなか診療報酬だけですべて解決できない問題の提起となったと思いますが、例えば 金額を積み上げるのは簡単なのですけれども、例えばハイリスク分娩管理加算というのは 前回平成18年度に新しくつくりました。恐らくその対象になる方が8万人程度見込んで おりました。その積算上は全体を掛け合わせていって、何億円か何十億円かを多分出した のだろうと思いますが、実際には、実績として、その10分の1も満たなかったと。とい うことは、要するに、お金として見込んでも、実際にそこで対応できる医療機関がしっか りと対応できるか、医者がいるかどうかも含めてですけれども、その実際の対象者に全部 対応できるかどうかというのはなかなか診療報酬では解決できない問題だろうと思います。 その意味で、今回は、例えばハイリスク分娩管理加算にしても、実績のおよそ倍程度が見 込めるだろうということを考えておりまして、さらに点数の引き上げと産科の勤務医の勤 務環境の改善計画というものを出してもらう。そういうような形で一歩進めていきたいと いうふうに思っております。  そういう意味では、なかなか金額をたくさん積めばいいという問題だけでもなくて、あ る程度どれだけの実績を見込むのかというところがありまして、比較的今言ったようなと ころではかために一応考えて積んでいるところでございます。 ○勝村委員  それぞれの医療機関の赤字・黒字という問題もあるのですけれども、僕は、勤務医が開 業医に動いていっていることについて、そういう流れをとめるということがとても大事だ と思っているわけです。診療所も増え過ぎると、1医療機関当たりの収入は減っていくか もしれないわけです。増え過ぎると1医療機関当たりの収入が減っていく可能性があるわ けで、にもかかわらず今までどおりの収入を得ていこうとすると、それは診療所にますま すお金が行ってしまうということになってしまいますから、一方で勤務医がいないとか、 救急やハイリスクを扱う病院がないとか、そういうことになってはいけないので、その辺 をきちんと、変な動きがとまるように、勤務医をやめてどんどん開業されていくみたいな ことがとまるということをしないといけないということを2年前の改定の前に繰り返して 発言させていただいた。それを今も続けて言わなければいけないということを、それは今 回でとめてほしいと思ったわけです。  今すぐではなくてもいいですが、あさってまででお願いしたいですが、勤務医がどれぐ らいやめていっているのかとか、年間1,000以上診療所が増えているとかいうのを聞 いていますけれども、どれぐらい増えていっているのか。それは2年前の改定の前と改定 の後で、その流れは加速傾向なのか、減速傾向なのかとか、教えて下さい。もっとさらに、 この改定を終えて、診療所が経営的に安心だということで、ますます勤務医がやめて診療 所がまた年間1,000や2,000と増えていくみたいなことではいけないと思うので、 僕はそのあたりの収入のバランスというものが動きをつくっていってると思いますので、 それをいいバランスにするための額というものをここでやはり提示しておくことが、医療 に対して責任のある態度ではないかと思うのですけれども、ぜひその辺りのデータは次回 までには僕は教えていただきたい。 ○事務局(原医療課長)  診療所の数の変動等、できるだけ最新のを含めて提示はさせていただきたいと思います。 ○松浦委員  私は数字だけちょっとお尋ねしたいのですが、さっき1,500億で、300床で5, 000万と言われたのですね。300床の病院で大体5,000万。今度は診療所のほう なのですけれども、「考えられる選択肢」と書いてあるところの、これは全部診療所だけ ですね、病院はないですね、ここで影響を受けるのは。 ○事務局(原医療課長)  当然病院もございます。その病院分は、ここの金額には含めておりません。 ○松浦委員  入ってない。それで、この400億円強とあるのですが、これ全部の診療所で数を割っ たらどのぐらいになるのですか。1診療所当たり、400億円ぐらい、この減分はどのぐ らい減るのですか。  それともう1つ、再診料で120億、1点というのがあったのですが、これ、1カ所の 診療所当たりに1点減るとどのぐらい影響をこうむるのですか、お金で。 ○土田会長  これはここに診療所9万カ所とありますから、400億円強を割れば出てくるはずです。 ○事務局(原医療課長)  450億でしたら、450を9万で割ると50万ですから、だから、50万弱というこ とに、恐らくその程度になるだろうと思います。 ○松浦委員  了解。 ○対馬委員  先ほど中川委員のほうから、今回改定ですべての問題を解消することは無理だろうとい う話ですが、それは私どもも認識しているのです。ただ、今回やったことが全体的にどう いった位置づけにあるのか、言ってみますとマイルストーンみたいな話ですよね。前に進 んでいるのか、それともあまり進んでいないのか、そこは見極める必要があるのだろうと 思うのです。300床で5,000万円というお話が出ましたが、各病院によっても違う のでしょうけれども、どうでしょうか、やはり数10億円ぐらいの規模ではないのでしょ うか。恐らくそれで割りますと1%ぐらいだというふうに思うのです。やはり1%という のは少ないというのが一般的な見方ではないのでしょうか。例えば勤務医に給与をどうす るかというのは確かに病院の判断です。けれども、仮の計算上の話ですけれども、それを すべて上げたとして仮に1%であれば、給与に換算しますと100万円では1万円上がる と。それが病院勤務医に対する強いメッセージとして伝わりますでしょうか。それでは1 0万円ならいいのか20万円ならいいのかというのはあるかもしれませんけれども、やは り1万円ではなく2万円、3万円ということになるのではないか、こういうふうに思うの です。ですから、そういった全体の規模感がなくて個別の積み上げだけではなかなか難し いというふうに思うのです。  あと、小児専門病院についても、確かに50億円ではなかなか難しいかもしれない。け れども、小児専門病院に50億円つければ、全体の規模がこのぐらいあって、どのぐらい 改善されると。それがないとマイルストーンというのは見えないのではないかと、こうい うふうに思うのです。そこをぜひ次回にでもお出しいただきたいと思います。 ○鈴木委員  対馬委員のお話は、話としては非常によく分かるのですけれども、ここは長期目標を立 てるための話し合いではないと思いますし、目標を立てるのに、先ほど勝村委員からもあ りましたけれども、この中医協で解決できるような話ではないのです、今のお二人の話は。 診療報酬だけで解決するのであれば、中医協でできると思いますけれども、むしろもっと 構造的な問題、それから税制的な問題、前は未収金ですとか消費税ですとか、あるいは官 民格差というようなお話をさせていただきました。診療報酬のほかにいろいろなファクタ ーがございますので、それを全部この場で解決はできないと思います。そこのところを踏 まえたマイルストーンというような話としてはいかがでしょうか。数10億、もうおっし ゃるとおりです。それだけのお金を下さい。 ○勝村委員  いいですか。 ○土田会長  時間が少なくなっておりますので、短くお願いします。 ○勝村委員  今の鈴木委員の議論はこれまでもあったのですけれども、それは承知の上で、だけれど も、この中医協でやはりできる限りのことはしようということでやってきていまますので、 それはもうそういう議論はある、そのつもりでおるということです。  だから、この1,500億という数字を出すのが今日の宿題だったと僕は思っているの ですけれども、この1,500億、会長、宿題自体はどんな宿題を出されたのでしたか。 この答えが1,500億なのですけれども、この1,500億という答えを出しなさいと いう宿題の問題文というのはどんな言い方だったのでしたか。 ○土田会長  勤務医対策に対してどのぐらい必要であるかということを出していただきたいという、 そういう表現にしまして、それからあと中川委員のほうから、改定率と、ある意味で中川 委員は誤解したと思いますが、前と同じような話ではないかという話はありましたが、そ うではなくて、具体的な各項目、ここで言っている、小児病院であれば、それに対してど のぐらい具体的につけていくかという各項目について金額を出していただき、それを積み 上げた合計が幾らかというところを求めたわけで、したがって、僕としては求めたものが 出てきたという印象ではございます。 ○勝村委員  ちょっと議論が、中医協の中で論じることを超えた議論なのではないかというような御 意見があったので、僕としてはそうではなくて、会長がおっしゃるように、この後の議論 によるのでしょうけれども、この後の議論で、それぞれ僕たちが必要だと思っている額の 合計額とはきっとこの答は違うのではないかと僕は思っているわけで、だから事務局の提 案のこれからされようと思っている額ではこういう額になるだろうけれども、僕としては 本当に今回の診療報酬改定で動かすべき、今後の医療のために、だれのためでもない、だ れのためでもないというのは変な言い方ですけれども、本当にすべての国民の医療のため に必要な個々の額というものの自分のイメージの合計額とは、この数字とは違うというこ とは、この段階でしっかり意見として発言しておきたいと思います。 ○土田会長  先ほどの話を、ちょっと誤解されているのではないかなと思います。今まで10月から やってきた議論では、あるものをかなり廃止したり縮小したりして、必要なところに乗せ ますよと、それをやった上でさらにこれだけつけますという話をしてきました。ですから、 これだけで勤務医対策がすべてできるということではなくて、ほかのところで既に点数を 減らしたり増やしたりするという議論をしてきておりますから、そこを忘れないでいただ きたいということです。  また、今日はこの議論だけになると思いますが、この後、もう一回各項目一つ一つの項 目について、例えばこの間から勝村さんがおっしゃっている領収書あるいは明細書の問題 にしても、一点一点、一項目一項目、もう一回検討していくということになっていますの で、そこを誤解しないでいただきたい。 ○勝村委員  だから私も、今までの議論を全部否定するつもりは全くなくて、ダイナミックにという 言葉を使いますが、今までの議論を大きく覆したいと思ったわけではなくて、今話されて いる中では、再診料を1点も下げる必要もないくらいでいけそうだというような言い方が 僕としては違和感があるということなのです。今後のすべての議論を変えてくれというの ではなくて、今後される議論に対して、あらかじめの話が出ているのだったら、僕として はこの段階でこれを今省略することはできないというふうに、ちょっとそういう意味の意 見です。 ○土田会長  ほかにございますか。  それでは、ないようでしたら、1号側、2号側に対してもやはり宿題をお願いしており ます。前回の前橋の総会におきまして、今回のそういう改定が疲弊した病院を救うという ことを踏まえて、さらに日本の医療全体に対して非常に大きな影響を与えていくという観 点から、1号側に対しては、再診料だけではなくて、もっと広い財源を賄っていくという 観点から検討いただきたいということ、それから2号側に対しては、再診料の引き上げを 含めてさらに検討をお願いするということで宿題をお願いしてありました。  それで、そのことについてちょっと御意見を承りたいと思います。 ○対馬委員  一部先ほど申し上げましたけれども、私どもとしましては、もちろん再診料が最大の眼 目であります。そこは診療所の点数を下げて病院のほうにつけていくということが、財源 的にもかなり出てきますし、またそのことが国民なり勤務医に対する重要なメッセージに なるのだろうということがございます。  そういうことからしますと、先程来申し上げている、1,500億円でいいのかどうな のかと、こういった議論をしていく必要があるのだろうというふうに思います。  それから、再診料以外の項目につきましては、基本的には前回申し上げたとおりでござ います。デジタル管理加算については移行措置をきっちりやっていって、やはり廃止する のだろうと。それから外来管理加算については、時間を目安にするというのはやはりどう かと思いますので、あまりいい案がないのであれば継続検討にしてはどうか、こういうふ うに思っております。それから老人、高齢者についても、先般申し上げたとおりでござい ますので、基本的にはあまり宿題のお答えになっていないかもしれませんけれども、そう いうことでございます。 ○土田会長  ありがとうございました。  2号側、お願いします。 ○竹嶋委員  これまでの論議と、それからたった今ここで整理された事項の論議がありました。そう いうものを踏まえて、申し訳ありませんが、少し発言が長くなることをお許し願いたいと 思います。  今も御論議がありましたが、産科、小児科、そしてまた救急医療、これを担う病院の勤 務医師が疲弊しているということは、医療現場を実際に預かっている私どもが十分に認識 しております。日本医師会といたしましては、あるいは医療団体として、この平成20年 度診療報酬改定におきましては、医師の半数以上を占めておられる病院勤務医師の待遇改 善のために、限られた財源を重点的に配分いただくよう、この中医協の場でも重ねて表明 をしてまいりました。  先日、私ども診療側委員は、昨年秋の後発医薬品処方に係る加算廃止により捻出される 財源は、これは全額病院勤務医対策へまず振り向けるべきと、いち早く表明いたしました。 また、昨年末に診療報酬改定率が決定され、本体部分につきまして、これが8年ぶりに引 き上げられるとされましたけれども、このプラス分の医科0.42%につきましては、こ れを診療所への配分を求めず、すべて勤務医対策の財源としてお使いいただければ、そう いう意見表明も公式にこの場でいたしております。  さらに、先ほども出ましたけれども、軽微な処置、これは廃止しまして、再診料等の基 本診療料において包括的に評価する、あるいは検査の判断料の引き下げにつきまして、主 に診療所に大きく影響することを危惧しながらも、再度申し上げますが、勤務医対策のた めに使っていただければとの考えで、これもこの席で了承いたしました。  しかしながら、これまでの3回にわたるたび重なる診療報酬引き下げにより、診療所の 開業医師も経営上の圧迫が差し迫ったものとなっていることは御理解願いたいと思います。 現在争点となっています再診料と外来管理料加算の見直し、さらにデジタル映像化処理加 算についての引き下げの措置につきましては、はっきり申し上げまして、診療所にとって かなり厳しく、これ以上耐え切れるものではありません。そういう見解を持っております。  特に再診料についてでございますけれども、先日の骨子についての議論の中で、歯科診 療報酬点数の改定におきましては、一部の技術料を基本診療料で包括的に評価することに より、再診料等を引き上げることで意見の一致をここで見ました。これと同じような考え をもしするのであれば、医科の診療報酬におきましても、軽微な処置は基本診療料で包括 的に評価することで、再診料を引き上げるべきということになろうかと思います。なお、 この引き上げるべき額につきましては、再診料の点数に換算すれば2点程度と思われます が、仮に再診料が据え置きとなった場合でも、事実上は2点の引き下げ措置と同等の措置 であるというふうに認識しております。  また、再診料は全診療科にまたがる一律の措置でございますが、診療所の中にさまざま な診療科、開業形態がある、これは御存じのとおりであります。再診料の一律引き下げを 行った場合には、例えば日中の平常時間のみしか開業していない医師もこれは当然影響を 受けますが、同時に、日夜を問わず働いておる地域の医療現場で頑張っている医師も加え て、この再診料引き下げによる影響を受けてしまうことは避けられません。  さらに再診料に位置づけられている基本診療料につきましては、開業医師にとっては、 診療報酬の中でも何度も申してきましたが、まさに基本的な部分として象徴的に私ども受 けとめております。私は、福岡市や福岡県の地域医師会の活動を通じまして、また自分で も診療所の地域医療をじかに実践してまいりまして、先に述べたような議論が現場の診療 所開業医師へのやる気をそぐ結果といいますか、モチベーションをそぐということになる ということをはっきり申し上げさせていただきたいと思います。  先ほどから述べておりますとおり、平成20年度の診療報酬改定に向けた議論におきま しては、診療所から病院への財源の移転を伴う措置につきまして、日本医師会として病院 勤務医対策の充実のために幾多の苦渋の選択をし、支払側委員との合意形成の努力をして まいってきております。御承知のとおりであります。医師会会員の半分以上を占める病院 勤務医の負担軽減の一助となればとの一心で、診療所から病院に対する財政支援を表明し ているわけであります。しかしながら、現在行われております診療所の再診料の引き下げ、 そしてその分を病院に回すという議論は、地域医療の現場で働いている開業医師の、先ほ ど申しましたように、この診察意欲とか診療意欲というところを損なうということも一面 ではあるということを御認識願いたいと思います。  ただいま事務局から御説明いただきました資料によりますと、病院勤務医対策のために、 診療所から病院に対して既に200億円上回る財源シフトを行うということになっておる ようでございますが、これは明らかでございます。先般土田会長のほうから、さらなる病 院勤務医対策のために再考をとの御指示を私ども診療側委員にはいただいておりますが、 年明け以降、中医協ではこの再診料の引き下げばかりに焦点を当てた議論がなされており、 このような流れの中でさらなる財源シフトを求められても、私どもは地域医療を預かる立 場からなかなか受け入れがたいと申し上げたいと思います。  したがいまして、合意に向けて御尽力されておられます土田会長はじめ公益委員の皆様 方に対しましては、大変心苦しいものがありますが、この時点で、事務局から聴きました 今の説明、それを踏まえて、これまでどおり再診料の引き下げ、外来管理加算の見直し、 デジタル映像化処理加算の廃止につきましては、いずれも反対という立場を維持せざるを 得ません。  以上の点につきまして、1号側委員、そして公益委員の皆様方に御理解をお願いする次 第であります。以上であります。 ○土田会長  ありがとうございました。1号側、2号側、大変短い時間に御意見をおまとめいただい たことに対して感謝を申し上げたいと思います。  ただ、私としてはもう少し溝が埋まればなという思いがあったのですが、依然として隔 たりが大きいというふうに思います。そういうことがあるわけですが、ただ、前回の総会 におきまして、1号側委員及び2号側委員より、これまでの議論を踏まえて公益委員に対 して判断を求めるという意見がございました。それで、その判断というものをこの後お示 ししたいと思いますが、ただ、その前に、一言、1号側及び2号側委員に対しまして、私 の現在の率直な気持ちを申し上げたいと思います。  これはいつも申し上げていることなのですが、私は平成17年6月に、星野前会長より 後の指名を受けました。その際にも申し上げましたことですが、中医協というのは、通常 の審議会とは異なって、保険制度の運営に当たる保険者側の代表と、それから保険診療を 担当する診療側の代表との当事者が直接協議をして、合意を形成していく場であるという ふうに認識しております。公益委員はあくまでもそれを補佐するといいますか、あるいは それを中心としながら対応していくというふうに認識しておりますが、ただ、1号側、2 号側が合意に達しない場合には公益側が判断を下すという役割だろうと思っております。  今回御出席されている委員の方たちとも、平成18年度の前回の診療報酬改定を経験さ せていただきましたが、その際には、4つの点について判断を示させていただきました。 1つ目は医療費の内容の分かる領収書の問題、2つ目は禁煙指導、ニコチン依存症の問題、 3つ目は褥瘡管理対策、4つ目は後発医薬品の使用促進、この4点について公益委員とし ての裁定をさせていただきました。先ほど、繰り返しますが、私としては基本的にはあく までも1号・2号側がこの場で審議をした上で合意形成を図っていくということが本筋で あろうと思いますが、やむを得ない場合にはそう判断せざるを得ないと思います。今回も この財源をめぐりまして意見が一致しないということですから、そこに対して一定の判断 をせざるを得ないというふうに思っております。  それでもう1つ申し上げたいのは、その議論をまとめるに当たって、どういう視点から まとめようとしているかという点について一言申し上げたいと思います。これは3点考え ておりまして、第1番目は国民の納得ということであります。日本では国民皆保険体制が しかれておりますので、国民全員が医療保険の関係者ということになります。したがって、 当然ながら、国民が納得するような診療報酬体系とすることが重要だと認識しております。 これは患者の方の意見ももちろんその中に含まれます。前回の中医協におきまして丸山委 員からその国民の納得という御指摘をいただきましたが、全く同じ意見として承っており ます。  第2番目は、医療現場の納得を得る必要があろうということであります。医療の提供と いうのは、日々その診療に当たられている医療の現場の方たちが納得いただけるような体 系とすることも極めて重要なファクターであろうというように思います。前回の前橋での 公聴会におきまして、患者代表の方から、医療現場あるいは医療に携わる医師と患者が元 気になるような議論を望むという発言がありましたが、全くそういう点では、医療の現場 の同意を得ていくということも必要だろうと思っております。  第3番目は、診療報酬という極めて技術的なツールでありますが、それを使いながら社 会の要請にこたえていくということの視点であります。先ほど事務局より、診療報酬上の 評価を引き上げることによって技術の普及を図るというような説明がございました。診療 報酬は、このように医療現場の診療行動に対して影響を与えます。同時に、診療行動の変 化を促すということによって、患者にとってよりよい医療というものが提供されるという ふうに期待できると思います。今日、それではよい医療とはどういうものであろうかとい った場合に、これは先日の中医協総会におきまして、平成20年度診療報酬改定において は、勤務医対策、病院勤務医の過重な負担を軽減することを第一の主眼とするということ になっております。したがって、私たちはこの主眼に基づきまして決定を判断をしていく ということになろうかと思います。この3番目の診療報酬を通じというのは極めて技術的 な問題でありますことから、ここで10月以来種々長い時間をかけまして議論を重ねてま いりました。また同時に、国民の皆様に対しては詳細な問題をすべて公開という形で提供 しているところでございます。そういうことを踏まえまして、私たちは、その技術的な問 題をきちんとそしゃくして、理解して、議論して、そして決定していくという責任を担っ ていると思っております。  ということで、この3つの視点を踏まえながら、公益委員として改めて1号側、2号側 との合意をいただきたいということで提案をさせていただきたいというふうに思います。  まず1つは、病院勤務医対策という社会的な要請にこたえるためには、前回も申し上げ ましたが、財源シフトが必要である。具体的には、診療所から病院に対する財源シフトが 必要であろうという視点、それからもう1つは、病院と診療所において再診料格差がある ということ、これを短縮する必要があるということを前回申し上げました。  そこで、まず最初に病院格差の問題から申し上げたいと思いますが、この点は、患者の 方たちの納得を得るためにも非常に重要であろうと思っております。そこで、これは先ほ ど医療課長が説明された資料には載っておりませんが、病院の再診料を引き上げていただ きたいということでございます。病院の再診料を引き上げていただく。と同時に、これは 資料に載っておりましたが、後期高齢者につきましては、病院と診療所の外来管理加算と いうものの価格を統一していただきたい。基本的にはこの2つで病診格差の是正を図って いただきたいということでございます。  続いて、どういう財源を調達してくるかという話に移りますが、先ほど話がありました ように、1つは軽微な処置の再診料への包括化あるいは検査判断料というところで200 億円強が出ておりますが、残りの200億円強につきましては、外来管理加算及びデジタ ル加算の改定を行うということで調達していくのが妥当であろうというように判断いたし ました。  そうなりますと、当然ながら1号側委員が強く主張されております診療所の再診料の引 き下げという問題は一体どうなるかということになろうかと思います。今回、それに対し まして手をつけないということになるわけございますが、そういう判断をした理由を申し 上げたいと思います。  これは基本的に3点ございます。1つは、先ほど竹嶋委員のほうから話がありましたよ うに、この軽微な処置の初・再診料への包括化ということは、診療所の再診料で換算いた しますと約2点でございます。したがって、再診料を変えないということであっても、実 質2点のマイナスになっているということが1つ。  それから2つ目は、外来管理加算の見直しをするということの意義についてであります。 外来管理加算といいますのは、再診に行った際に再診料と合わせて徴収されるものでござ いますが、これを確認したところ、約50数%の再診に対してつけられているということ であります。しかしながら、その外来管理加算の内容についてこの場でいろいろ検討いた しましたが、必ずしも明瞭ではないということであります。これは、公益委員で話し合っ たときに庄司委員から話がありましたが、例えばアメリカなどで診療を受けた場合には、 お医者さんが「Have you a question(何か聞きたいことはありませんか)」ということ を聞くのが必ず決まりになっていて、質問に対してちゃんとしっかり答えていくというこ とがなかった場合には、医者としての責任が問われる、あるいは訴訟問題になって、もう 非常に苦しい立場になるという説明を受けました。このように、これは主に内科医の方に 当時はつけられた加算だと聞いておりますが、内科医だけではなくて、そういう再診に来 た患者の方がいろいろな質問をされる場合に、あるいはいろいろなアドバイスを求める場 合に、それに対してきちんと対応していくためにつけられたものであるというふうに判断 いたしますと、この外来管理加算というのは従来から極めてあいまいに行われてきたと思 います。それでそういう十分な説明がない場合にも再診料プラス外来管理加算プラス例え ば薬剤の処方せん料という形でつけられてきたというふうに聞いておりますので、これに 対してしっかりと手をつけていく、つまり、その見直しを求めていくということは、たと え再診料そのものに対しては見直しを求めないとしても、実質的には、再診料の見直しあ るいは再診料の引き下げにつながるものであるというふうに私たちは判断いたしました。  それから3つ目は、実は、ちょっとこれは私の責任でもあるのですが、前に軽微な処置 等の包括化の検討を行いましたときに、医療課長の説明があったのですが、そのときに、 再診料を包括化していくということは、前の改定のときに一応の合意だというふうに思っ ていた病院と診療所の再診料を統一させていくということについて、ある意味の見直しを 含んでいたということであります。つまり、私たちは、私も含めて、あるいは1号側の対 馬委員も含めてだろうと思いますが、あるいは2号側もそうだと思いますが、前回改定に おいて初診料は統一しました。再診料は、1点格差を詰めたということで、次回はもう少 し詰めようというのが合意だったと思います。ただ、医療課の判断としては、後期高齢者 の医療制度が新しく導入されたということ、あるいはそのほかのファクターも含めまして、 再診料の包括化も含めてですが、全般的に再診料の相違を必ずしも一致させない方向で対 応していこうということだったと思います。それで先ほど言いましたように、軽微な処置 の包括化という提案のときには、課長としては、再診料は統一化ではなくてもう一回新し い概念でもってとらえていくというメッセージだったというふうに思いますが、私はそれ をそのように受けとめることができませんでした。これは私の責任でありまして、今回ち ょうど後期高齢者医療制度が導入されるのに際して、後期高齢者については、初診でしっ かり診ていくとか、あるいは再診また総合的な医療等々を診ていくというような提案がさ れておりますので、本来であれば、この際に、病院と診療所の初診料及び再診料はどうあ るべきか、一致させるのが果たして正しいかどうか、あるいは違うとすればどういう方向 で見直すべきかどうか、それから、その現役の人々と後期高齢者における初診料・再診料 というものの機能は同じであっていいのか、あるいは違っていいのかということを含めて、 初・再診料の役割あるいはその点数を含めてきちっと検討すべき時期であったと今になっ て思います。  したがいまして、今回再診料に対して直接の見直しは行わないということでありますが、 そういうこと含めますと、再診料というのはアンタッチャブルにしては決していけないわ けで、次回の改定に対して、これは付帯意見としてぜひつけたいと思っておりますが、私 は今申し上げたようなことを含めて、初診料及び再診料を基本的に全部見直すことにした いと思います。この再診料については僕が最初に委員としてなったときに、ちょうど逓減 制を導入してその見直しを行う議論が行われているときでした。それ以来、あるいはその 前からそうですが、再診料をめぐって常に1号側、2号側が、激しい意見の対立を見せて いました。そうした議論は決して無駄ではないのですが、ただ、そういうことだけでは、 そのレベルではいけないわけで、もう一度見直しまして、それで、お互いの議論の中で合 意を形成して、初診料と再診料というものをもう一回組み直していただきたいということ を含めて、今回は再診料の引き下げは見送るという結論に達しました。  以上の3点から、そういうふうな判断をしたわけでございます。  それから、外来管理加算についてもう一言申し上げておきたいのは、最初事務局から、 時間の管理、つまり5分ということで基準を設けたいという、そういう話がありましたが、 ここで1号側、2号側、両側から、そのことに対して批判が出ました。これは、その批判 はもっともでありまして、私としては、外来管理加算を中心としてこの200億円強を出 していくということでありますが、その場合には単純に時間のファクターを入れるという ことではなくて、基本的にどういう基準でもって外来管理加算というものが患者の方の同 意を得られるものであるかということを見直していただいて、その上でその引き下げなり 効率化を図っていただきたいということであります。  以上が、今回の1号側、2号側から求められました、公益側としての判断についての結 論です。  ただもう1つ忘れました。後期高齢者医療です。後期高齢者の医療制度につきましては、 外来診療のところで、初・再診料、初診料を引き上げて再診料を引き下げる、それから外 来管理加算を統一するというような提案がございましたが、外来管理加算を5点上げて5 点引き下げる、それで統一するという、そこで十分財源が確保されるということもありま すし、それから、先ほど言いましたように、初・再診料について基本的に見直しをお願い するということも含めまして、後期高齢者の初・再診料についても同じように見送るとい うことで判断をいたしました。  こうした判断は、先ほど1号側、2号側から発言いただきましたことについては、つま り、再診料に手をつけないということで言えば非常に1号側は不満でしょうし、外来管理 加算については手をつけないでほしいという2号側にとっては非常に不満でしょうが、そ こは、ここで1,500億円と、あるいは400億円強というお金を診療所のほうから出 していただくということについての合意を形成するための案として、以上、提案申し上げ ます。  1つデジタル管理加算を忘れました。これもやはり手をつけるということですが、ただ これは、1号側、2号側から同じように話がありましたように、経過措置だけでは非常に 乱暴だということもありますので、そこは、これは引き下げていただきますが、そこはか なり慎重に対応していただくということを申し添えたいと思います。  以上が私の提案でございます。御意見を承りたいと思います。 ○対馬委員  先日私どもから、公益の先生方にぜひ御裁断に、汗をかいていただきたいということで、 今お話しのとおり御判断をいただいたということについては敬意を表したいと思います。  ただ、私ども説明責任もございますので、ちょっと確認の意味を含めて2点ほどお尋ね したいのですけれども、1つは、国民なり病院の勤務医に対する正確なメッセージという ことからしますと、病院の再診料は引き上げます、診療所の再診料は引き上げませんと。 しかし、実質的には2点程度のマイナスとおっしゃられましたけれども、それでは明快な メッセージにはなかなかなりにくいのではないかと思うのですけれども、それが1点です。  あともう1点は、病院の再診料の引き上げということをおっしゃられましたけれども、 それは格差の是正ということで望ましい方向だろうというふうには思います。けれども、 これは財源的には、先ほどの400億円でありますとか1,500億円でありますとか、 これは事務局に伺ったほうがいいのかもしれませんけれども、それに上乗せになる、オン される、こういった理解でよろしいのかどうか、そこをお尋ねしたいと思います。 ○土田会長  これはまた事務局に答えていただければと思いますけれども、私としては、病院の再診 料の引き上げ分も、当然ながら診療所からの費用でもって賄っていただくということにな ります。ですから、この外来管理加算240億、それからデジタル処理加算100億で3 40億、それを戻しながら200億ぐらいという話がありました。そこをどう操作するか どうか分かりませんが、そこは細かい話は事務局に任せまして、ともかく基本的には、診 療所のほうの財源でもって充てていただくということであります。  それから、先ほど、最初のほうの質問ですが、外来管理加算の合理化といいますか、も う少し明確にしていくということが果たして再診料の引き下げと同じなのかということは、 かなり国民に対するメッセージとしては不明確であるということがあります。それは私も やはり、再診料というのは非常に分かりやすい話ですから、それに比べれば非常に不明瞭 であるということは確かだろうと思いますが、むしろ、であるからこそ、この外来管理加 算というものをもっと明確にしたいというメッセージをここでもう一回投げかける。つま り、明細書が出てきた場合に、外来管理加算という点数がついている、一体これは何だと いうことは当然出てきますから、そういうことのないように、あるいはそういうことであ れば、それに対してきちんと説明できるような内容にしていきたいということであります。  ほかに御意見承りたいと思いますが。 ○松浦委員  私も大変苦慮されたと思いますが、会長、御苦労様でございました。  それで、裁定の中の、次期、必ず初診料それから再診料についてその性質から根本的に 見直すということは、ここで1号側も2号側も、はっきりそこだけは確認できるのでしょ うか。 ○土田会長  していただきます。それをしていただかないといけません。再診料については、次回に 非常に重要課題としてこれはぜひとも改めていただきたいということです。  2号側いかがでしょうか。また意見があるかもしれません。どうぞ。 ○竹嶋委員  1号側委員、2号側委員、こうしてなかなか合意に達しないという、こういう状況の中 で、本当に、先ほども申しましたが、土田会長ほか、公益委員の皆様方、粘り強く何とか 合意形成ということで、これは国民の医療のためということですが、御尽力いただいたこ とにまず感謝申し上げます。  そしてまた土田会長から御提案ございました、診療所から病院への、さらなる協力につ きましては、先ほども述べましたが、私どもこれを拒む意思はありません。しかしながら、 何度も言いますが、たび重なる診療報酬引き下げで本当に開業医師も経営上の圧迫は限界 だということを御理解いただきたい。これは1号側も御理解いただきたいと思います。  同時に、これも何回も申しますが、病院勤務医師がここまで至った窮状、苦しい状況、 これにやはり中医協としても、いろいろな施策が決まった後、そのいろいろな振り分けを するにとどまらず、しっかり委員皆様方が考えていただいて、いろいろなところで発言し ていくということを求めていきたい。私どももそうしたいと思います。  そして最後に、土田会長のほうから、それからまた松浦委員もおっしゃいましたが、初 診料・再診料、それから外来管理加算、これは結局は、病院と診療所の機能連携と私ども よく言っているのですが、その具体的な在り方を担保するところなのです。ですから、そ こに大きく踏み込んでいくわけですから、これについてはもう全く異論はございません。 医療につきましてはこの中医協の委員が一番詳しいだろうと私は思うのです。ぜひこの中 でまた議論の機会があれば御議論していっていただきたいと願います。  そういうことの中から、私ども3つ要望を出しております、経過措置とかいろいろな条 件ですね、これをおつけいただき、御理解をいただいたということで、今の会長裁定、そ れを受けさせていただきたい。ここでそう申し上げます。  以上です。 ○丸山委員  本件はもう嫌と言うぐらいいろいろ申し上げたのですが、今土田会長のお話は、それは、 私個人として言えば受けざるを得ぬというのが現実でございますが、今日、1号側も2号 側も、それから公益の先生も、非常にいいお話をされたのだろう。評論家的なことを言っ ては申し訳ないですが。これはやはり、世間に向かって情報発信をしないといけないだろ うと思います。さっき土田先生がおっしゃった国民の納得性を高めるために、あるいは病 院勤務医の、あるいは診療所の先生の納得性を高めるためのちゃんとした情報発信をぜひ やらないといけないと思います。それはやはり1号側、2号側が発信するとややバイアス がかかりますから、公益委員の立場でぜひ工夫していただきたい。その中で、再診料はこ れでチョンになったということではないということを強調していただいて、今後初・再診 料の在り方を、継続して検討するのだということを明確にしていただきたいと、どこかの マスコミに書いてありましたが、診療側にねじ伏せられたという表現というか、そうでは なくて、いろいろな角度から再検討して結論を出すのだという、そういう意味の、今後継 続検討していくのだという意味の情報発信をぜひお願いしたいと思います。 ○土田会長  ちょっとお待ちください。先ほど、実は竹嶋委員から同意いただくという返事をいただ いて、まだ1号側からいただいておりませんので。 ○丸山委員  私の個人の意見でございますから。 ○土田会長  個人の意見ですが、これは。 ○勝村委員  その同意をいただいて終わってしまうのですか。 ○土田会長  終わりません。では、それは後にしましょう、同意をいただくのは。どうぞ、鈴木委員。 ○鈴木委員  会長の提案されました御提案にはもう異論はありませんけれども、ただ申し上げたいの は、次回の改定で再診料に手を加えるのは絶対というようなお話でありましたけれども、 これは、例えば経済状況が変わるとか、財源が増えたところで変えるのだったら簡単な話 なのですけれども、またマイナス改定でまた変わるみたいな話というのは、これは約束し たからという話にはとてもなりませんので、そういう不確定要素の例外というようなこと もお認めの上での検討ということにしていただきたいと思います。 ○土田会長  それは認められません。これはあくまでも概念規定ですから、上げる下げるの話はその 後に出てくるわけで、したがって、再診料はどうあるべきか、初診料はどうあるべきかと いうことを考えていくということですから、最初から上げるというのは…… ○鈴木委員  いや、概念規定であれば問題ないです。 ○土田会長  いや、再診料を下げることに今から同意するなら別に構いませんけれども、そうはいか ないわけでしょうから、ですから、基礎からもう一回検討し直すということをよろしいで しょうか。 ○鈴木委員  はい。 ○勝村委員  やはり中医協だけでは解決できないとおっしゃいますが、中医協ができる部分は僕はか なりあると思っています。やはり勤務医対策という表現になっていますけれども、僕は、 その向こう側の医療被害者を出さないということに少しでも努力したいということなので す。明細書発行も僕はこだわっていますが、僕は子どもが死んでもレセプトが最後まで見 られませんでした、裁判になっても。何という薬を使われたか、全く分からない。だから 僕は、同じような被害というか同じような嫌な思い、つらい思いというのをなくしたいと いうことにできる限りのことをしたいと思っているわけです。  それで、その上で考えるならば、皆さんおっしゃるように、公益委員のお立場とか会長 のお立場からすれば非常に苦しい中で御判断されているということに敬意を表するという 気持ちは変わりませんが、今のお話の中では、1点私としては納得できないというのは、 病院の再診料を上げていくということ。なぜかといいますと、今ニーズがどうなっている かというと、救急がないではないか、やってくれないではないか、ハイリスクを扱ってく れるところが少ないではないか、へき地とかそういうところの医療が少ないではないか、 僕はそういうところに、やはり価値、単価、診療報酬をつけていく価値があるのだよと、 思っているわけです。例えばオーファンドラッグみたいなものがありますけれども、非常 に希少な疾患の人だったら患者数は少ないかもしれない、でも、それは国民からすれば非 常に価値があるのだよと、そういうところに単価をつけていく、価値をつけていくという ことが僕は健全な医療をつくっていくと思いますから、そういうところが足らないのでは なく、そういうところにつけていくという方向で僕は一貫してこの中医協では発言してい きたいと思っていましたから、本当に患者から見て価値があると思うものに価値をつけて いく。そうではなくて、そういうのとは無関係に一律に上げていくという部分ではなくて、 やはり救急医療をしてくれたのだから価値をつけましょうと。例えば、在宅とか往診して くれるのだから価値をつけましょうとか、へき地に行ってくれるから価値をつけましょう とか、そういうふうなところにこそつけていくべきだと思います。  お医者さんであれば、病院に勤務していれば、どこであろうと同じようにしていきまし ょうというのでは、今の問題になっているニーズ、今被害が出ている部分、そういうとこ ろには逆に解決していくことに僕はならないと思います。今のままでよい、ということに なってしまうわけですよね。僕はもっと、医療が動いていってほしい、もっと救急医療が 増えていってほしい、もっとへき地で勤めるお医者さんが増えていってほしい、そういう 動きをつくっていくような、価値観を変えていくような診療報酬をつくっていってほしい というのが僕の一貫した願いなので、それとちょっと逆行しているのではないかと思いま すので、僕は今ここで御苦労されていることに関しては言いませんが、次回に向けた議論 も始まっているというふうに認識していますので、ちょっと発言させていただきました。 ○土田会長  ただいま勝村委員が発言された内容は、僕は全く同感です。だからそういう立場でやっ ているわけで、したがって、あるいは誤解されているかと思いますが、病院に対して再診 料を引き上げるというふうに言いましたが、これは一律ではないのです。病院の再診料と いうのは200床未満につく話ですから。したがって、地方の、へき地等々の中小病院が 苦労しているというところに対して再診料の引き上げを行っていくという、そういうこと になりますので、これは先ほど課長の説明の中で、今回の対策では、大病院に対して、あ るいは救急の大手に対して幾つかの手当てをしていくという話はありましたが、中小が抜 けているのです。では、そこに対して再診料でもって一つの手当てをしていこうという意 図もあります。したがって、そこのところはあくまで誤解しないでいただきたい。全く思 いは同じでございます。ただ、それだけではないと。それだけですべてが、診療報酬が動 くわけではありませんから、ですから、そこのところは一定の限界はあるということです が、ただ、少なくともこれで一歩は進んだと私は判断しておりますので、そこのところは ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。 ○勝村委員  もちろん全否定しているわけではなくて、私としては、それならばそれでへき地何とか 加算とか、そういう分かりやすいメッセージを伝えていかないと、社会の価値観を変えて いくというのは、やはりメッセージ性が必要だし、そういうふうに価値観が変わっていく のだなという分かりやすい加算なり、同じように病院に対してお金を足していくにしても、 そういうメッセージを出していくということをお願いしたいという趣旨です。 ○土田会長  わかりました。 ○小島委員  1号側の最終的な判断は対馬さんにまとめてもらいますが、その前に私たちも意見を言 っておきます。私もこの間、この診療報酬改定に当たっては、社会保障審議会の医療部会 のほうのメンバーですので、そちらでの議論で取りまとめた今回の診療報酬改定について の基本方針の中でも、まさに緊急課題として小児、産科をはじめとする病院勤務医の負担 の軽減というものを真っ先に挙げているということで、これについては共通の認識に立っ ていると思います。今回の診療報酬改定でどこまでこれをできるかということがまさに課 題だったということでありますので、全体的にはそういう方向に向かっているので、本当 に今日示された財源対策でそれがどこまで可能かということが問われる、ここが今回の診 療報酬改定の最終的な評価になるだろうと思っておりますので、そういう意味で、この間、 そういう観点から私も1号側の意見として主張してきたつもりであります。そういう中で 一つの象徴的なものは、病院と診療所の格差是正の問題で、再診料というのが象徴的にあ ったわけでありますので、そこを強調したわけでありますけれども、それ以外の部分につ いても、やはりそこは今回の診療報酬改定の基本方針に沿って解決すべきだという主張を してきました。  会長の公益委員としての最終的な判断ということで先ほどお話がありました中で、国民 の納得性というのが一番に挙げられておりますので、今回の診療所の再診料は下げないと いうことで、まさにかわるものとして外来管理加算ということでの実質的な病診の格差是 正を図るという御説明でありますけれども、それを国民に分かりやすいような、まさに納 得できるような説明というのが必要だと思っておりますので、そういうことも含めて全体 的な点数配分ということが必要ではないかというふうに思っております。というのが私の 意見です。  会長、もう1つ確認したいのですけれども、後期高齢者のところについての検討課題に 挙がっていました再診料の見直し、これについては今回は手をつけないということですね。 ここは確認しておきます。 ○土田会長  はい。 ○小島委員  ということで、後期高齢者のところについても、ここも私としては、高齢者担当医、包 括化というところとの関連で、そこはやはり見直しをすべきだという主張をしてきたので すけれども、そこについても今回は手をつけないということで会長は取りまとめるという ことでありますので、これはここも含めて、次の課題、まさに4月から後期高齢者がスタ ートしますので、その中で、本当にそれでいいかどうかということも、十分これは検証す る課題だと思っておりますので、そこも引き続きの大きな課題だというふうに思っており ます。 ○土田会長  どうもありがとうございます。全く同じです。  ですから、これはまだ検証部会がありますので、今回改定した結果については、検証部 会で引き続き検証しながら次回の改定に臨んでいくということになろうかと思います。 ○松浦委員  初・再診の見直しということでして、それは全く新たに全部御破算にしてゼロからとい う考え方でやりますと、さっき鈴木委員からちょっと本音らしいものが聞かれましたが、 なかなか話はつかないと思うのです。それでやはりこの今までどうして初・再診を見直さ なければいかぬというふうになった、この経過というものを踏まえて書いていただきたい。 今回再診料を見送ったという、この経過を、それを踏まえて次にこうだということで私は 了解したいと思います。 ○土田会長  わかりました。了解しました。 ○対馬委員  今1号側の委員の皆様方、各々話されましたので、まとめてということになりますけれ ども、公益の先生方に私どもとしてはぜひ御裁断をということでお願いした立場でもあり、 さまざまな多面的な検討の結果出されたのだろうと思いますので、私どもとしては、もう これは受けていくということだろうというふうに思います。やはり、今後、この初・再診 料についてきちんとした議論をしていくということが大変重要だろうと思いますので、そ こはぜひ1号側、2号側ともに、公益の先生方を含めて、最終的な結論に至った際に答申 の附帯事項という形で記載させていただきたいということを一つ申し上げたいと思います。  また、2号側の委員の皆様方にも、再診料をできるだけ統一したいという思いでさまざ まなことを申し上げまして、失礼なことも申し上げたかもしれませんけれども、やはり地 域医療を守っていくということは、1号側、2号側ともに一緒でございます。私どもとし ても、我々の被保険者が産科、小児などの緊急のときに給付を受けられないと、これは私 どもとしては最大の問題でありますので、そこはぜひ御尽力も賜りたいというふうに思い ますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 ○土田会長  どうもありがとうございました。 ○西澤委員  今日は、土田会長の御決断でこういう形で決まったことをまず感謝したいと思います。  私たち病院、本当に非常に勤務医不足、それからやはり救急、産科、小児科等々でいろ いろな問題を起こしています。何とか改善していきたい。もちろんこれは診療報酬だけで はできないのは重々分かっておりますが、この診療報酬を少しそちらのほうにいい方向に 向かうような、かなりの力はあると思っています。そういう中で、正直に言いますと、病 院のほうには、もっと診療報酬改定率が多ければ、たくさん欲しいわけでございますが、 我々提供側といたしましても、やはり大病院、中小病院それから診療所、あわせて地域医 療を守っているわけですから、そのバランスの中では、今回日本医師会にも苦渋の選択で これだけ出していただいたということでは、この範囲で、今後どのように今言ったような 勤務医対策等々に有効に使えるかということを検討していければと思っています。そうい うことでは、今回の三者の皆さん方の御決断に感謝したいと思います。 ○土田会長  ほかにございますでしょうか。  どうもありがとうございます。それでは、こういうことで同意をいただいたということ でよろしいですか。  どうもありがとうございました。  それで、先ほど来、丸山委員はじめ発言がありましたが、今回の公益委員の判断、裁定 というものは、前回ニコチン依存症等々に行ったことに比べますとはるかに意味が大きい といいますか、影響が大きいというように思います。  しかも、先ほどから話がありましたように、この外来管理加算というものは、なかなか 国民に分かりづらいというところもありますので、これは事務局にお願いなのですが、こ れは一方ではいろいろマスコミ等々で報じられて、再診料がどうのこうのという話だけに なっておりますので、そうではなくて、外来管理加算の見直しというのはどういうものか ということをきちんと国民に分かるように広報活動をお願いしたいというふうに思います。  それで、今日の議論は必ず文章にしてホームページなりなんなりで流していただいて国 民の理解を得る努力をしていきたいということで、ぜひお願いしたいと思います。よろし いでしょうか。  今日は一応これが終わった後で「20年度診療報酬改定について」ということで、短冊 の話を議題にする予定でした。資料を配られていると思いますが、もう12時過ぎており ますので、今日はここまでにして、それ以降はまた金曜日改めて御議論いただくというこ とにしたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  次回は2月1日金曜日、全国都市会館で行います。よろしくお願いいたします。時間は 今日と同じ9時半を予定しております。 ○土田会長  どうも本日はありがとうございました。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)