08/01/30 第2回救急医療の今後のあり方に関する検討会の議事録について 第2回 救急医療の今後のあり方に関する検討会 日時 平成20年1月30日(水) 10:00〜 場所 厚生労働省共用第8会議室 ○ 田邉専門官   定刻になりましたので、ただいまから第2回「救急医療の今後のあり方に関する検討 会」を開催いたします。メンバーの皆様におかれましては、ご多忙中のところご出席い ただきまして誠にありがとうございます。冒頭に、指導課長の佐藤から一言ご挨拶を申 し上げます。 ○ 佐藤課長  医政局指導課長の佐藤です。本日は2回目ということですから、皆様方に改めて会の 趣旨等をご説明する必要はないかと存じます。後ほどご紹介申し上げますが、保健医療 科学院の篠崎院長に委員として加わっていただいているほか、昭和大学の有賀徹先生に は参考人としてお越しいただきまして、ご説明いただくこととなっております。  いずれにいたしましても、昨今新聞報道等では、おそらくは医師確保の問題とも絡め てということだろうと思いますが、救急医療はいわゆるたらい回しという形で報道され ております。そういうこととの兼合いもあり、救命救急医療のあり方に関する検討会に 対する注目も集まっているのではないかと思いますので、どうぞ熱心な討議をお願いす る次第でございます。 ○ 田邉専門官  会議を始めるに当たり、事務局から資料の確認をさせていただきます。議事の1枚紙、 資料1から資料7までご用意いたしました。先ほど紹介させていただきましたが、本日 から保健医療科学院の篠崎院長に委員としてご参加いただきます。保健医療科学院は、 危機管理体制に関する研究を進めるなど、本検討会の検討内容と密接な関係を持ってお り、第2回からの参加となりますがどうかよろしくお願いたします。  また、参考人として消防と医療の連携についての問題に詳しいという立場から、有賀 昭和大学病院副院長をお招きしております。有賀先生、本日はよろしくお願いいたしま す。  なお、前川委員については所用のため欠席との連絡をいただいております。以降の議 事進行は島崎座長にお願いいたします。 ○ 島崎座長  早速議事に入ります。前回の議事の概要について事務局からお願いいたします。 ○ 田邉専門官  前回第1回救急医療の今後のあり方に関する検討会は、昨年12月7日に厚生労働省内 で行われました。その際に委員の皆様からいただいた主な意見を資料1にまとめさせて いただきましたので、簡単にご紹介いたします。  まず「救急医療全体について」ということですが、二次救急医療機関が十分に機能し ておらず、そのため三次の救命救急センターに過度な負担がかかっている。二次医療機 関の機能の低下は、医療訴訟や収益の悪さが背景にあり、診れば診るほどリスクと赤字 が増える。救命救急センターが機能するためには、二次救急医療機関の充実が欠かせな い、その手当てが必要ではないか。一見軽症に見えて重症化する疾病等への対応が重要。 医療は現場だけ、医療サイドだけでは成り立たず、医療者と患者の共同作業という視点 が必要、というご意見をいただきました。  「救命救急センターの役割・評価について」というところで、特に大学に設置されて いる救命救急センターについては、教育・研究も重視すべき。救命救急センターは、地 域の救急医療の核として、地域全体の救急医療の質を上げていくといった役割が求めら れる。病院の中だけの評価ではいけない。救急搬送の調整や、二次医療機関へのサポー トなど、地域のコマンダーなりコーディネータなど、ネットワークの中心的な役割を果 たすべきではないか。小児科や産科等も含めた幅広い疾患に対応する窓口としての機能 を持たせるべきではないか、というご意見をいただきました。  「今後の救命救急センターの整備のあり方について」というところでは、救命救急セ ンター等の整備については、距離(面積)と人口という2つの視点を併せて考えていく 必要があるのではないか。少しでも早く病院に着くべきという患者の気持はもちろん理 解できるけれども、1分1時間早く着くと予後が良くなるという証拠のある疾患は多く はない。外傷であれば1時間以内の手術、脳卒中や心筋梗塞等は3時間以内の治療とい った医学的理由に基づいて医療機関の整備を考えるべきではないか。東京や離島での医 療をどのように考えるかという極端な議論になるが、大部分は人口25〜30万人ぐらいの 医療圏での救急医療をどう考えるかということが重要ではないか。小型の救命救急セン ターをサテライト的に配置するといったことを考えてはどうか。反対に、地域において 少ない人口を対象にすべての診療体制を整えようとすると、各科の医師数が少なくなり、 1人あたりの負担が増える。なるべく広い範囲で多くの人口をカバーする医療機関を作 り、そこに患者も医師も集約化することが必要では。その実現にはヘリコプターの活用 などが考えられるのでは。大都市型の救命救急センターと地方型のものを分けて考えて はどうか。都会ほど、機能による集約化などが考えられるのではないか。初期・二次・ 三次の枠を超えたER型の施設についても考えていくべきではないか、というご意見をい ただきました。  「今後の高度救命救急センターのあり方について」というところでは、「高度救命救急 センター」の高度という呼び方は、救命救急センターの機能が「より優れている」とい う印象を持つけれども、実際は、重症熱傷・四肢切断・中毒への対応を求められている もので、これを「高度救命救急センター」と呼んでいる。どちらかというと、「特殊疾患 救命救急センター」と呼ぶほうがわかりやすいのではないか。四肢切断を除くと、重症 熱傷・中毒は通常の救命救急センターが引き受けている状況があり、その意味で「高度」 が何を意味するか再検討が必要ではないか、といったご意見をいただきました。 ○ 島崎座長  いまのが前回の概要ですが、訂正あるいはご意見等がありましたら後ほどでも結構で すから事務局のほうへ意見を述べておいていただきたいと思います。  前回の会議の最後に、救急搬送に受入れ病院の選定で非常に時間を要した姫路の吐血 の事案がありました。重症でありながら、なぜ地域の救命救急センターの受入れ依頼を しなかったのか。これについて、総務省消防庁に確認をするようお願いしたと思います がわかりましたでしょうか。 ○ 総務省消防庁(島田)  本日は荒木が国会対応中で遅れてまいりますので、救急企画室の島田から簡単に申し 上げます。姫路市の件は、救急隊が重症疾病者の受入れ病院を探す際に、地域の救命救 急センターに搬送依頼を行わず、二次救急医療機関のみに受入れの要請をし、受入れ病 院が決まるまでに相当の時間を要したと報道された事案です。  確認したところ、この地域にあった救命救急センターは、救命救急センターとはいい つつ、実質上、循環器専門病院であり、脳卒中や心筋梗塞等の循環器疾患を中心に、救 急患者を多く受け入れているものの、それ以外の疾患の患者の受入れについては、日頃 からなかなか引き受けてもらえないといった背景があり、本件の際にも救急隊は傷病者 が循環器疾患ではないと想定されたため、それでは受け入れてもらえないだろうと予め 電話をしなかった、というのが実態のようです。 ○ 島崎座長  毎年センターの評価をやっているのですが、そのときにはそういう実態はあまり出て きていないです。今後は、救命救急センターの評価のところで、もう少し現場の実態を きっちり把握できるような形にしたい、ということもこの検討会の1つです。  厚生労働省のほうで、最近メディアを通してたらい回しの報道があちらこちらで出て きています。その実態等について説明をお願いいたします。 ○ 田邉専門官  資料2を使ってご説明いたします。いわゆるたらい回しと報道される事案についてで すが、こういう表現には(1)(2)のような2つの状況が含まれているものと捉えております。  1つ目は、救急車が患者を搬送して救急病院に到着するも、何らかの原因でその病院 では診療ができないため、改めて別の救急病院に転送するものということで、救急車が、 ある救急病院に到着し、そこでは対応できないからといって別の病院に救急車で患者が 移動するといったものです。  これについては平成17年中に、何らかの理由により1回以上転送された割合というの は、全搬送人員のうち0.7%程度であり、近年その割合は横ばいということで、平成18 年度の総務省消防庁の救急・救助の現況で報告されています。これについては、最初に 搬送された救急病院で、医師が一度診療を行った後に、より高度の医療機関での診療が 適当と判断し、そういう病院へ転送することは、多くの場合医学的に妥当ということで、 近年報道で問題とされていることはないようです。  2つ目は、救急隊員が、救急車内などから電話で救急病院に患者の受入れを依頼する も、受入れが決まるまでに多数の病院に照会を必要とし、結果として時間を要したもの です。これについては、現在総務省消防庁において、重症傷病者等を対象に、受入れ実 態について調査をしているところです。昨今問題とされるものは基本的にこういう事案 であろうと捉えております。  いま実態調査中ですのでよくわかりませんけれども、産科・周産期に限って調査を行 ったものがあります。産科・周産期のほとんどがかかりつけの医者を持っているという ことで、一般の救急医療とはちょっと違う対象となるかもしれませんが、受入れに至ら なかった照会回数が3回以上のものはおよそ1.9%で、大都市圏において照会回数が多 い事案が多くなる傾向がありました。これは、都市圏においては選択肢となる病院が多 いため、その分、照会回数が増えるものと推定されます。  なお、病院の診療能力を超えて重症患者の受入れを行うと、かえって患者の利益にな らないこと等もあり、病院が照会に応じなければ必ずしも悪いことではない。しかし多 くの病院への照会の結果、受入れまでに時間を要することについては問題だろうと捉え ているところです。  次の頁に、先ほど消防庁から説明のありました姫路の件の報道について触れておりま す。その次に、最近報道された救急搬送に時間を要した事案ということで奈良県、福島 県、姫路市、大阪府、宮城県、東京の事例を簡単に報道情報の取りまとめということで まとめております。共通することとしては、いずれも夜間、深夜、明け方に起きている ということです。  こういう状況に対し、私どものほうで何かしらの対策をということで、この度平成20 年度予算案として、救急患者受入れコーディネータ確保事業を新規に盛り込ませていた だきました。これは、救急隊による受入れ医療機関の選定に相当の時間を要するなどの 事例について、地域の実情に精通した救急医を医療機関に配置するなどし、救急医療機 関の調整等を実施するものということで、都道府県にこういう事業が行われればと考え ているところです。  次の頁には、救急患者受入れコーディネータのイメージ図を書いております。各病院 に救急隊の方が電話で問い合わせてもなかなか受入れ先が見つからないといった場合に、 救急隊から病院にいる医師に連絡があり、受入れ医療機関の選定を依頼し、その医師が その医師のネットワークの中で、救急患者の受入れについて照会、あるいは依頼をし、 その結果を救急隊に伝える。その結果に基づいて、救急隊が患者を受入れてくれる病院 に運ぶといったことを想定し、コーディネータ確保事業をこの度新たに盛り込ませてい ただきました。  次は、救急医療情報システムの充実強化事業ということですが、これは後ほど有賀参 考人からご説明いただくものと重なりますけれども、こういう搬送に関わる事案が報道 される前に、救急医療情報システムについて何かしら対応したほうがいいのではないか ということで、この度救急医療情報システムの特に救急医療情報の随時更新、近隣県・ 周産期情報システムと相互に連携を確保するためのシステム改修に必要な経費を新たに 盛り込ませていただきました。  あとの資料としては、いわゆるたらい回しの事案ということでご紹介した詳しいデー タ、あるいはほかの救急搬送事案についての新聞記事の抜き出し等々を付けております。 ○ 島崎座長  以前に比べたら、救命救急センターの体制は結構充実してきていると思うのですが、 まだまだ問題があるということです。たらい回しには2つの意味があるということでし たが、確かにメディア等では(1)(2)をゴッチャにしているところがあります。(1)について は、プレホスピタルでは当然こういうことをして運ぶ、というのはそれなりに妥当だと 思います。(1)(2)については救命救急センターはあまり関わっていないことが多いのです けれども、(2)もまだまだシステムとして問題があるだろうということだと思います。ご 意見等がありましたらお願いいたします。 ○ 石井委員  日本医師会の救急災害担当です。まず、「いわゆる」と付いたたらい回しという事象を どう捉えるか、ということが先にしっかりしませんと。問合せ照会件数の数でそれを評 価した場合には、実態と齟齬を来す可能性があるのではないか。  それからお話をしますと、情報システムをもっと活用しようとか、それが自動的にマ ッチングをうまく付けるために問合せをいっぱいやりましょう、それが患者のためだと なった場合には、照会件数は当然増えるわけです。結果としていちばんいいマッチング の所に運ばれていれば、それは照会件数そのものが悪とは言えないと思うのです。今後、 その辺をますます活用していこうとか、患者側も専門医指向、専門指向というのがあり ますし、マッチングというのは非常に大事な話になります。そこが、1つ前提として必 要ではないかと思います。  付け加えれば、患者の高齢化というものは、予備力が低下し、また合併症、併発症を 含めてもちやすいとなれば、これとこれにマッチする所はどこかというのは、昔みたい な単純に骨折だからこうだということではなくて、プラスアルファ、プラス2つとか、 そういうものをどのように受け入れていくかという事象になっている。この辺も認識が 必要なのではないか。そこのところに専門の側と、いわゆるプレスなり、まして一般の 国民の中に齟齬があると議論が噛み合わないおそれがある。  もう1点、この間自賠責の会議に出ていたのですが、そこで全くそういうことがあり ました。自動車なりそういうヴィークルのセーフティネットはだんだん良くなってきた。 結果、死亡例は減っている。そういう意味で予算は少し余ってきている。ところが、そ のセーフティネットなり何なりを超えて起きている外傷はどうなるかというと、多発損 傷であり、非常に予後が悪いケースが今度は出てきている。そうすると、今後は後遺症 が問題になってくる。  これがいまのトレンドですから、それをどうやって受け入れていくかというのは、や はり受け入れる側も複雑系にならざるを得ない。いろいろなことを勘案しながら、最善 の対応をとることが現場に要求されている。この辺のところを一緒に考えていければと 思います。 ○ 島崎座長  従来よりも、よりきめの細かい選定作業等を含め、そういうシステム化が必要だという ことです。結構うまく、各疾患あるいは病態別に応じ、患者は昔と比べてずっとうまく 搬送はされているのですが、いまおっしゃったような外傷はちょっと抜けているところ だというご意見でした。  以前、私も避けられる外傷死に関する研究というのを、厚生労働省のお金でやらせて いただいたことがあります。現場では、この患者は助かるだろうなと思った患者が、重 症ですから救命救急センターへ運ばれるのですが、その患者の40%ぐらいが死亡してい ます。アメリカは大体10%以下です。アメリカでも30〜40年ぐらい前は40%近かった ということです。そういう意味では、アメリカの30〜40年前と同じ程度だと。これは、 システム等も含め、それから現場での治療、それから病院内での治療等を含め、救急医 学会、外傷学会でいろいろやっているのですが、そういうのを含めたシステムについて、 今後は特に外傷に関するものも必要だろうということです。 ○ 松下委員  外傷のことで、いま石井先生がおっしゃったように、複雑化して細かなマッチングが 必要という面ですが、外傷については、外傷かそうでないかという判断は極めて簡単だ と思うのです。特に、多発外傷の重傷を、怪我なのだろうか病気なのだろうかと迷うこ とはまずないと思うのです。  この中にも書いてありますが、1分1秒を争って早く運ぶ価値が一番あるのは多発外 傷と言われていて、1時間以内に処置を始める、出来れば30分以内に始めると救命率が 上がります。  ある地域内では特化して、外傷だったら全例そこへ運ぶ。受入先などの検討なしに運 んで、それをほぼ100%、24時間受けられる施設をつくらないと、相手を探していると 30分、1時間以内に手術を始められるという状況にはいかないような気がします。外傷 の場合の理想は半径50kmですが、少なくとも半径100km、これであればヘリコプターな ら30分で搬送ができます。本当は15分で運べる所がいいと思うのですが、そこへ集約 する。特に、都市とか人口の集中している所では、外傷については外傷に特化した施設 をつくり選別しないで運び込む面も必要なのではないかと思います。  外傷をそのように特化させることの1つの理由は、外傷以外は救命ということで命が 助かればそれでいいといいますか、それが極めて重要という面があります。しかし外傷 では石井先生がおっしゃったように、機能障害を残さないで、機能も良く直すという面 が非常に大事で、それが外傷の救急の特徴だと思います。まず命だけ救って、1週間ぐ らい経ってみたら、バラバラの手脚だけが残っていて、そこから四肢の治療を始めてい たのでは、最後の機能予後は極めて悪くなるので、初期から最終の機能までをにらんで、 専門家が集まった所でやるというシステムが必要なのではないでしょうか。  外傷と疾患とを比較すると、どうしても外傷の比率が少なくなって2割ぐらいしかあ りませんから、外傷専門の医師を全部の救命救急センターに分散させてしまうと、24時 間十分な体制がとれなくなるので、是非外傷専門医を集約化し、外傷には24時間完璧に 対応できる施設を整備していく必要があるのではないかと思います。 ○ 島崎座長  外傷に限りませんけれども、病気、脳卒中、脳血管障害、心筋梗塞等も含め、よりき めの細かい選定システムというのは、集約化も含めて必要かと思います。 ○ 山本委員   日本医科大学救命センターの山本です。情報システムのよりきめ細かいというところ で、いまの流れになっている原因の1つは、二次病院の情報端末をより細かく操作して いないところにあるのではないかという気もしています。しっかり細かく、いまは駄目、 いまは大丈夫というのがずっとあれば、それは情報として消防のほうも持っているのに、 それがなかなかうまくいかないで、空いているままに1日も2日もやっているから、何 回やっても駄目だ駄目だというのはその辺にあるように思いますので、そこも是非考え ていただきたい。  もう1点は、松下先生もお話になりました外傷のいまの情報というのは、もっと新し い情報システムを入れていって、言葉で重症だ何だかんだ言っても、動画、静止画が1 つ出てきて、バスがグチャグチャになっている、車がグチャグチャになっているのを見 れば、これは大変だというのは一目瞭然でわかります。その程度は、これから21世紀に やっていかなければいけないのではないかと思います。情報をもう少しきめ細かく、そ して最新情報を入れていくということです。 ○ 島崎座長  受入れ選定の際の情報の端末も、三次病院では結構うまく、こまめに情報の入換えと いいますか、手術が終わったらその度にインプットし直すようなことをやっています。 二次病院に関しては、それがほとんど動いていないということなので、その辺も含めて 検討が必要だと思うのです。  最近、広島では二次病院あるいは三次病院もそうだったか、救急車のほうから病院選 定の際に、同時にいくつかの病院に声をかけて、受け入れてくれる所を同時に探すとい うようなことをやっています。 ○ 山本委員  いま東京消防庁などは、地域を限定してポンとやると、近い所からボンと出ます。そ れを同時にやっているのです。 ○ 島崎座長  ただ、そのときも向こうの端末がきっちり動いていないとなかなかうまくいかないで す。 ○ 山本委員  いま私が言っているのは、東京消防庁の三次病院の場合ですけれども、それが二次病 院ですべてうまくいけば相当違うのではないかと思います。 ○ 野々木委員  国立循環器病センターの野々木です。いま山本委員からあったITの活用、というのは すごく重要なことです。いま、複数の病院を選定するときに、これだけインターネット が発達していますから、ボタン1つで複数の病院を呼び出し、かつ動画あるいは画像の 配信もすごく簡単です。外傷の状況だとか、大規模災害も画像を見れば状況が簡単にわ かります。心筋梗塞、脳卒中にしても12誘導心電図や麻痺の状況を見れば判断が容易に なるところがかなりありますので、是非その活用はいただきたいと思います。 ○ 島崎座長  情報を提供する側というか、現場のほうからはシステムとして結構出来上がっている のですが、レセプター側のシステムがうまく動いていないのです。 ○ 野々木委員  その場合に、汎用性のあるものを使わないと、以前の心電図電送みたいに、特殊なも のでは廃れると思います。 ○ 坂本委員  いままでの議論で、情報の整備ということに関してそれが必要であるというのは全く 異存はないのですけれども、そのもう1つ前の段階として、その受け皿が十分にあるの かどうかということについては前回も議論が出ました。需要が増えている、そして高齢 者、合併症等が多く、救急病床に入院しても、その後後方への転床がなかなか難しいと いうことで、そもそも受け入れるべき所が、10年前、20年前に比べて今の状況で足りて いるのかどうか。そこが足りないので、みんな同じ情報システムの中でやりきれなくな っているということであれば、そちらも同時に考えていかないと、その情報のことだけ ではなかなか難しいのではないかと思います。 ○ 島崎座長  情報等を含め、搬送を依頼する側のシステム、あるいは患者をエバキュエーションす るシステム、ドクターヘリも含めてできても、受け入れる病院側がそのままの状況だと、 とてもではないけれども格差がますます出てくるということで、その辺も含めて議題の 見直し等に入ります。いまご意見をいただいたような点も踏まえて議題に入ります。救 命救急センターの充実度評価の見直しということです。議題2の今後の救命救急センタ ーの整備についてとは切り離せないのですけれども、まずは評価という観点から、救命 救急センターの今後のあり方を議論したいと思います。  見直しに当たっての基本的な考え方は、前回の議論でご意見をいただいたのですけれ ども、厚生労働省が従来から行ってきた救命救急センターの充実度の評価を簡単に説明 してください。 ○ 田邉専門官  資料3は、「救命救急センターの充実度段階評価」ということです。これは、平成11 年度から救命救急センター全体のレベルアップを図ることを目的として実施し、以後毎 年行っております。前年1年間の実績に基づき、各救命救急センターからの報告結果を 点数化し、その合計点等により、充実度段階A・B・Cの3段階に区分しております。  評価は、救命救急センターの救急専用電話の有無、空床の確保数、診療データの集計 の有無、専任医師数等の診療の体制面を中心に実施しています。そのA・B・Cの評価結 果については、施設の運営費補助金や、診療報酬の加算に反映される仕組みになってお り、また、このA・B・Cといった充実度評価結果は、毎年公表する形になっております。 平成18年度・平成19年度においては全ての施設において充実段階はA評価でした。  これについてはそういう状況もあり、昨年6月に新たな評価方法について検討してお り、今年度中にこれを発表し、次々回の平成21年度より新評価方法について評価を実施 する予定という形で、こちらとしてはスケジュールを決めさせていただいております。  評価の実態を少しご紹介いたします。1枚めくりましてグラフのほうです。参考資料 (2)と書いてあるものですが、すべてA評価という形にはなっておりますが、個々の点数 評価を見ると、まだまだばらつきがあるというのが実態です。  もう1枚めくりますと、各都道府県別にA県にある救命救急センターすべてを平均し、 それを都道府県別に並べたものです。都道府県の平均として低い所もあるし、高い所も あるといった実態です。  平成18年度・平成19年度は全てA評価というご紹介いたしましたけれども、平成11 年のころはB・C評価というのがそれなりにあって、個々の救命救急センターが努力し、 あるいは都道府県が十分にサポートするという形もあって、現在はすべての施設におい てA評価になっているという状況です。 ○ 島崎座長  評価点数がどんどん右へは動いているのですけれども、実際には先ほどの姫路なども 含めて問題はあろうということです。評価点数は、一応50点以上をAにしているのです ね。 ○ 田邉専門官  そういうことになっています。 ○ 島崎座長  本来、試験は全部60点なので、そうするとまだまだだという感じがします。今後は評 価の新しいファクターも入れて見直していこうということの、いままでのデータという ようにご理解いただければと思います。  本日は有賀先生に来ていただいています。救命救急センターの新しい評価ということ になりますと、メディアで報道されているような、行き先がなかなか見つからないとい うようなこと、消防のほうからもご紹介のあったような例もあります。そういう観点か ら、総務省消防庁で、消防機関と医療機関の連携に関する作業部会で有賀先生は座長を されています。  そういう事案はどうしたら減るだろう、というようなことを含めて検討されておられ ます。先ほど田邉さんのほうから紹介のあった、救急医療情報システムとか、有賀先生 が座長でやっておられる所の意見等を含めて10分程度お話を伺いたいと思います。 ○ 有賀参考人  消防機関と医療機関の連携に関する作業部会で座長をしております有賀です。消防機 関と医療機関の連携というテーマに関して言えば、救命救急センターに限った話ではあ りません。そういう意味では、救命救急センターも含まれると。  この検討会の第1回の議論で、地域の救急医療全体についてある程度コミットするの が救命救急センターであろうとか、救命救急センターであってもそれなりの重症患者に 対する対応を、消防機関と一緒に上手にやらなければいけないというようなことでいく と、この評価の中にも連携のことは色濃く入ってくるわけです。消防と、そういう意味 での救命救急センターなり医療機関がある程度連動するというか、シンクロするという か。坂本先生が少し触れましたけれども、消防機関の救急隊だけが苦労しているわけで はなくて、病院そのものが苦労している。そのような状況において、その苦労の一部を 消防がかいま見ているという意見が、私たちの作業部会の第1回のときに出ました。  連携そのものについて焦点を合わせて議論することは、この作業部会の大事なテーマ なのだけれども、その周辺で起こっている社会的な状況について、ある程度共通の認識 を持っていたほうがいいだろうということです。時間としては20〜30分ですけれども、 それについて議論した中で重要なポイントは、二次救急病院がかなり辛くなってきてい る。それは、相対的に運ばれる患者の数は全国的に増えている。増えている内容は主に 高齢者で、脳卒中、大腿骨頸部骨折、肺炎、急性心不全がトップ4ぐらいです。そうい う高齢者の搬送が増えていて、なおかつ医療機関そのものは急性期病院において医師が 少し不足していて大変な状況になっている。その大変な状況の中で電話をかけていると いうことで、地域の消防の方たちも、そういう状況を自分たちの町の中で見ていますの で、いま坂本先生が触れられたようなことは、背景の認識としてはみんな共通して理解 した上で作業部会の議論を進めています。  平たく言いますと、消防機関はもともと自治体消防ですので、市町村消防としての固 まりが、それぞれの地域の中における情報をいままでどのように集約してきたか。その 得られた情報をどのように利用するか。その利用の具体的なものといえば、病院への連 絡と、病院へ患者を搬送するに当たっての連携。この辺についてのダイナミックなあり 方を見ているわけです。  あり方の中で、そもそも論としてその中の資料を田邉さんに付けていただきました。 資料4の表紙をめくりますと、情報システムの利用状況があります。その次の頁には、 情報システムを利用していない理由があります。中には姫路のような例もありますから、 一次、二次に関わらず、基本的にそれぞれの地域の状況を見ていただくとわかります。  例えば、13番目に東京都があります。東京消防庁は、23区と、稲城と東久留米以外の 多摩地区の自治体消防、例えばそれぞれ小平市や東村山市からの委託地域からなってい る。そういう意味で、東京都の場合ほとんどが東京消防庁が一括的に面倒をみていて、 東久留米と稲城市が自治体消防として、その他の地域と同じような形式になっています。  他に、全く利用していないが2とあって、最後に計6とありますが、これは大島とか 三宅島の消防のそれぞれの本部を入れて、そして総務省消防庁としての統計を取ってい ます。大島や三宅島では医療機関が限られている。次の頁の円グラフの下のほうに11% とありますが、医療機関が限られているので使う必要がないという話なのだと思われま す。  1でほとんど利用していないというのがあります。ほとんど利用していない、又はと きどき補完的に利用するというのが、日本国における全体の景色であります。これはど ういうことかといいますと、もともと自治体消防ですから、自分たちの町は自分たちで 守るという話になります。自分たちの町の医療機関は、どんな形で患者が運ばれて対応 できているか、ということについては町の景色ということで朝と晩に電話をして、本日 はどこどこ病院はOKとか、本日はどこどこ病院は循環器の先生が大学から来ている、と いうような情報を持って、それらをいままで利用してきたというのが実態です。  東京は、東京消防庁が広いので、電話で聞くといってもおそらく方面本部ごとに電話 を聞くとしてもえらい作業になります。かつて私が多摩地区で働いていたときの初めの ころは、確かに電話で聞いていたような気がします。いまでも東久留米は電話で聞いて いるのかもしれませんが、搬送範囲が広くなってくると、おそらく電話で朝晩に聞くと いうようなやり方ではいかなくなるだろうということがわかっています。  私たちの作業部会においては、現状は自分たちの町の状況を把握できればとりあえず 足りていた。だけど新聞報道などにあるように、自分たちの町の病院だけでは、自分た ちの町の患者を安全に運べるという状況ではなくなった。したがって、周辺の地域の情 報も知らなくてはいけないということがあるので、補完的な照会手段として利用してい るというのが、全体でいくと3割ぐらいあるといった状況になっていると考えられます。  いまのところ、このような補完的な照会手段として利用しているというのは、いずれ 主たる照会手段として利用するような形で、自分たちの運ぶ範囲が広まる。小児科の先 生は隣の隣の町に集約されているというようなことがもし起こっていけば、そのような 形での情報の収集は電子媒体を使うなどしなくてはいけないだろう。  そのときに問題になるのは、3頁を見ますとわかりますように、リアルタイムに情報 がない。これは、とりあえず電話で足りていたという牧歌的な景色がそのままずっと続 いていて、本当にリアルタイムの情報がもしあれば、おそらく自分の町でもそれは利用 するのだと思うのです。入れるという作業そのものが、医療機関側のパフォーマンスと して定着していない。  これは、東京消防庁の方からのプレゼンテーションでもそうなのですが、20〜30年前 を考えますと、今のような形で十分に利用できている状況ではなかった。確かに入れて くれている所もあったけれども、入れてくれない所が結構たくさんあって、だからそれ がすぐには利用できなかった。それが、だんだん入れてくれるようになったので、今で は救急車の中からポンと押せば、パッパッパッと出てきて、その出てきた中から近い順 に電話をかけてしまう。マルかペケかという情報は、リアルタイムで入れば入るほど信 用ができるということで使い勝手がよくなっていくという話なのです。うまくいくとド ンドンうまくいく、うまくないときには永久にうまくいかないという状況だと思います。  ちなみに、二次救急医療機関側がマルを付けていてもペケだという話は、確かにリア ルタイムで診察室が埋まってしまっていて、医師も全部そこで働きまくっているという 状況があったときに、リアルタイムで入れていないということもあります。例えば、先 ほど始まった手術に、また人が取られているという状況があれば、やはりリアルタイム で入れろと言っても、手術場に入って、一段落してからあっちはペケにしておいてくれ というような話にもなりかねません。入れる作業というのを、リアルタイムで入れよう と思えば思うほど、それを主たる仕事にするような人がいないと難しいのかもしれませ ん。ちなみに昭和大学では、リアルタイムに入れるのは事務の方にお願いしていて、い ま手術が始まったから整形はペケにしてくれ、終わったからマルにしてくれという話を 事務のほうとしています。  空床があるかないかというのは、男性の空床有り・無し、女性の空床有り・無し、手 術をやっているかやっていないか、診察でドクターが忙殺されていればマルかペケかと いうのは、各診療科に出るようになっているという状況です。  最後に言いますけれども、東京消防庁の状況も一朝一夕になったわけではなくて、長 い期間かけて医療機関側と話合いをしながら、朝晩電話をするよりもこっちのほうがい いでしょうと言ったり、朝晩入れるのを是非リアルタイムに入れてくれという話をした り、患者がこんな形で上手に運ばれるほうが地域にとっていいでしょうというような話 をしながら少しずつ歩んできました。画面もそうやって変えてきて、もっと使いやすい 画面に変える。内科ではなくて、消化器とか呼吸器といったような形で少しずつ進化し てきたということがあります。  私たちの作業部会で議論していることはそのようなことです。そのような状態を踏ま えた上で、全国的にどのような形で医療機関の情報を消防が収集し、それを上手に利用 して連携できるかという話を年度末に向けて加速し、頑張って議論するという予定です。 ○ 島崎座長  ご意見等がありましたらお願いいたします。 ○ 坂本委員  帝京の坂本です。2つ提案というか意見があります。いまの情報自体は医療機関が入 れて、それを消防機関が見る、といった一方向性のものである。もし、その情報を活か すのであれば2つ改善点があると思います。1つは、医療機関同士で双方の状況が理解 できるように、その情報を医療機関同士で共有する。  もう1つは、消防機関が、例えば昭和大学に聞いたらいまちょうど手術が始まったか ら駄目ですと言われても、バツにするという権限がいま消防にはない。せっかく聞いた ことを、またほかの消防隊が同じことを繰り返さなければいけないとか、周りの医療機 関はそれがわからない。照会をして、もし情報が変わったら、その時点である一定の権 限者はどんどん情報を変えることができる。そうすると、入力する人をつくるような手 間が少し減らせるかもしれない、ということも改善していただければと思いました。 ○ 有賀参考人  後者については、話の中でポツポツ出始めています。前者に関しては、現状における 情報という意味だけでいけばやろうと思えばあとはお金だけの問題です。それについて も、体系的に議論しながらこうしましょうという話にはまだなっていませんが、私の個 人的な見解からいくと、そうやって情報を持ち合いますと、あそこがバツのはずがない とか、あそこはマルに違いないというようなことがわかります。第三者が見て、お前は こうだろうと言うのと同じ効果が得られる、というようなことがしばしば情報の持ち合 いでは起こるようです。ですから、非常にいいやり方ではないかと思います。 ○ 島崎座長  医療機関側が受入れの院内の実情をリアルタイムで、搬送側の消防に提供するという のはなかなか大変です。何らかの工夫で情報の共有は絶対に必要だと思うのです。基本 的には、少し無理してでも、手術の最中でも誰かに連絡を取って、情報の端末を入れ換 えるとか、細かい作業ができるインセンティブが行政には必要なのです。それは、病院 が経営上メリットがあるとか、何らかのことを考えないと、救急患者を受け入れて治療 することにハードルが高いというか、受入れ病院側にはそれなりのことを考えてあげな いとなかなか大変だと思います。 ○ 有賀参考人  そのことについてもベーシックな議論はあります。東京消防庁では、病院へこれだけ 渡しますのでというようなことも全くないわけではないのだそうですが、具体的なこと はまだ把握しておりません。 ○ 島崎座長  二次医療機関がなかなか問題で、そのしわ寄せとしてどんどん二次医療機関が減って います。現場で話を聞いてみると、例えば輪番制の病院で、その地域の基幹病院で、本 日の当直は脳神経科の先生だと。ちゃんと輪番制として救急の受入れとして当たってい る。ところが、その患者が整形だったりすると、その段階で駄目ですということになる。 救急の輪番制の役割がうまく果たせていない可能性があるのです。その辺も含め、これ からシステムをうまく作っていかなければならない。例えば、ここは脳神経外科、ここ は整形外科、ここは内科で肺炎を診るような先生とか、輪番制にもいろいろつくって受 け入れ病院のいろいろな部署で受け入れられるということも必要なのかと思います。 ○ 有賀参考人  それは、地域によって工夫の歴史があるようです。江戸川区医師会では、4つぐらい のブロックに分けて、先生がいま言われたようなモザイク状の病院の配置の景色をベー シックに作っておいて、それをどのようにするかということでしています。あそこは三 次救急病院はありませんので一生懸命やっています。そのようなことも含め、自治体消 防のあのまとまりそのものはもっと大きくしていかないと時代にそぐわないのだという ことも同じような意味で必要だと思います。ですから、輪番制といっても、ルールその ものは金属疲労なのです。 ○ 石井委員  輪番制と、救命救急センターという辺りの関わりでいいますと、予算上の話で私の知 っている限りで言えば、前はそれを全国に配備するのだということで、財源をしっかり 手当てし、そしてそれを政策的に進めたという時代があるわけです。救急医療は災害医 療も同じで、ある種政策医療です。ところが、それが一般財源化されて、自治体に、あ とはそちらでやりなさいと。この中で大体やりなさいという形をとって、いまは上げる カーブではなくて、むしろ下げる下り坂のカーブの中にその政策があるようなイメージ があるわけです。  もう1つは、例えばメディカルクラークが、ようやく中医協の中で、保険診療の中で もそれを認めていこうという話がいま出ています。問題なのは、しからば機械を配備す れば、もちろん機械も政策的にやっていただかなければいけないと思いますが、人は現 場調達でやってというのも片手落ちだと思うのです。ヘリコプターの操縦する方を確保 するだけで、とにかく24時間交替勤務となれば5名確保するのが普通です。メディカル クラークフィーが、例えばパーヘッドで年間200万円ぐらい医療保険から給付しても解 決できない問題なのです。  その辺のところはしっかり予算化し、それで政策的に進める。そういうものが表裏一 体でない限り、結局現場にしわ寄せがいく。機械だけは来たけれども、全体では不採算 だと。そうすると、救急は不採算だというレッテルに入ってしまったら何にもならない わけです。そこのところはしっかり訴えていく必要もあるし、そういうことで取りまと めていかないといけないのではないかというお願いです。 ○ 泉委員  茨城の泉です。うちの県でも10月ぐらいから救急医療情報についての議論を始めてい ます。1つはパソコンがどこにあるかという問題で、インターネットベースの仕組みに していますのでどのパソコンでもいいはずなのですが、現実には医事課あるいは守衛室 にあります。夜は鍵が締まってしまったりしますし、入力する人はほとんどが事務員で、 看護師がやっている所は二次レベルの病院ではほとんどありません。これから頻繁な入 力、いまは2回をお願いしていこうと思っていますけれども、そのコストを誰がやるの かということがまず出てきてしまいます。  もう1つはシステムの構成の問題で、おそらく各県とも似たような仕組みで、縦軸が 診療科、横軸が診療の可否、手術の可否、空床、男女有り・無しというのがおそらくど こでもそうだと思うのです。そこで◎や○などを書いていただきます。仮にそこに○が あったときに、それが何を意味しているのかということがかなりバラバラである。診療 実態を反映しようとすれば、より細かい情報を取るべきなのでしょうが、逆にそうする と受け入れてもらえる可能性が低くなる。病院によっては○にしておいて、とりあえず 電話が来てからそこで判断すればいいから、とりあえず○にしておこうという幅広いと 言えば幅広い対応もあります。その情報の質というものをどう考えるのか、ということ をこれから議論しようと思っています。 ○ 島崎座長  マルだけれどもマルではないというのはありますよね。本当はペケでも、そういう受 け入れる医療機関が救急患者を取り合いになるぐらいのインセンティブを医療機関側に 持たせてあげないと、いくらその周辺の情報システム、あるいは搬送システムをきっち り構築しても、あるいは構築すればするほど受入れ側との格差が広がっていくのか。最 終的には、救急患者を受け入れるメリットを十分に施策として考えていただけるような ことがいちばん必要だろうと思います。 ○ 藤村委員  私は小児科なので、いまの議論には十分付いていけないのですけれども、大阪では新 生児の緊急搬送には約30年の歴史があります。いまされている議論は、ほとんど30年 間やってきましたので私が感じたことをちょっと申し上げます。  大阪では、産婦人科の先生が重症の新生児が生まれたらどこかへ入れたいので電話を するわけです。そうすると、いくつかの病院へ電話をしても断わられるというのが30 年前の状態でした。そこで、30年前に私たち小児科が決めたのは、電話を受けた病院が その情報を処理することにしました。ですから、開業の産婦人科の先生は、1回電話を すれば済むことになります。  受けた病院はどうするかというと、自分では探しません。情報センターにその情報を 転送します。その当時は電話で声と声でやるわけです。大阪には情報センターが2カ所 ありまして、府立と市立の周産期の基幹病院のNICUの医師です。そこでは、本日の状態 を大体全部つかんでいるわけです。そこにおいていま議論になっている端末の信用度は あります。私たちも持っていますが信用できません。  それにインセンティブを与えるために、府と市の補助金を配分する際、年に情報をど れだけ入れたかで比例配分しています。しかし、それはなかなか高まってきません。も ともと大したお金でないからです。しかし、大阪では年間、4,000件の新生児をNICUに 入院させ、これが産婦人科の先生にとっては30年間、断られたことがない。なぜかとい うと、みんな受け入れる側で処理しているからです。基幹病院が大事だということはお わかりだと思います。基幹病院は非常に重要で、本日はまだほとんど議論のない医師搬 送というのをやっています。産婦人科からNICUに電話がかかってきたら出発します。私 どもの病院の救急車に医師が乗って行くわけですが、まだ行く場所は決まっていません。 ともかく出発するわけです。それでその赤ちゃんをケアしている間に病院に残っている 別の当直医が入院先のNICUを探すわけですが、既にその日に1回、2回と探しています とあそこは今日のお昼はこうだったからまだ無理だとか、生の情報が判ります。大阪は 800万人の人口で周産期の施設は30施設、そのうち基幹病院は6カ所です。30施設の中 から受入先を探すわけですが、大体わかるわけです。産婦人科で新生児の処置が終わっ て、走り出したときには行く病院は大体決まっているので、電話ではいろいろ大変なこ とがあるけれども、実際の患者さんはストレートに入れています。しかも受け入れ医療 機関の医療水準を見ながら患者さんを搬送しますから、先ほどの評価ですけれども、そ れぞれこの患者さんは、いまここに行くのがベストだという判断がされた上で送り届け ています。例えば、25週の未熟児ならここの病院しか取れないというのはわかっている わけです。予後のことも考えて、アウトカムまでずっと勉強していますから、NICU施設 の会で集まって、この病院のアウトカムはどうだということを毎年、ずっと成績を評価 しているわけです。ですから、そういうものでいい所へ入れていくという形になるわけ です。  いまの話を伺っていると、入院依頼情報を中央管理するシステムがどうしてできない のかなというのが最終的な感じです。 ○ 島崎座長  コーディネータというのを設けようというのも、先生がおっしゃっていたような機能 の一部を引き受けてやろうということなのですが、上位の情報センターへ投げかければ どうだと。 ○ 有賀参考人  いま言った中央のというのは、都道府県単位に置かれている救急医療情報システムな のですよね。この救急医療情報システムがどういう経緯で都道府県にポンと出てきたの かというあたりが、歴史的に私はよくわからないのです。いまの中央でというか、もう 少し上のところでという話が、最初から私たちの国ではあるのです。東京は上手に利用 している。ほかは上手に利用できていない。つまり全国的に見れば主たる方法として利 用しているのは15%ぐらいという話です。だから、その部分とこのような議論を上手に していただきたいという感じです。 ○ 島崎座長  上位の情報センターへすべて投げかけて、そこが全救急に関する医療機関の情報を管 理している。それなりに予算が要るので、いま言われたようになかなか予算的な措置を 考えると大変かなとは思いますが、必要かもしれないですね。東京はいわゆる情報セン ターがあるので、そこへ医師が詰めて、うまくいっているようですけどね。 ○ 松下委員  いまの藤村先生の意見ですごく大事だった点は、集約化された所で判断をしているの が医師だということと、現場にとにかく医師が行っていて、その患者には医師がついて いるということ。その2つが普通の単なる情報システムと全く違うところで、それは海 外ではうまくいっている外傷システムのドクターヘリに、医師が乗って現場へ飛んで処 置をしながら、多くは自分の所に持って帰って来るわけですが、その患者の状況を判断 してヘリでの搬送先を変えたりしている。それとすごく似ていて、現場に医師を送り込 むことと、判断を医師がする。そのことがきちんとペイするシステムをつくるというこ とがすごく大事です。本来はそうすべきですよね。 ○ 島崎座長  それはいろいろな地域でやろうかという話が必ず出るのですが、いま救命センター等 を含めて、マンパワーがぎりぎりのところでやっていて、別にそこへ詰めて、またそこ から自分の所の医療機関と関係ない患者の搬送に、直接いろいろ手を尽くすというのは、 なかなかマンパワーの面から大変です。新生児の人はたくさんおられないと思いますが、 それなりに犠牲的な使命感でやっておられると思いますし、なかなか大変かなという気 がします。 ○ 山本委員  いまの藤村先生の話ですが、先ほど救命センターの存在というのは、人口あるいは面 積でいっているということがありましたけれども、我々の地域というのは消防の地域割 り、警察の地域割り、医師会の地域割り、行政の地域割り、実はみんな違うわけです。 そこに救命センターの地域割りというのでまた違うところが出てきている。大阪はそれ がうまくいっているから、いま藤村先生の話が出たのだろうと思いますが、地域によっ ては本当にばらばらの所があって、それを中央管理化することが非常に難しいから、こ ういう話が出ているというのも全国的にはあるので、そこが大事なところだと私は指摘 させていただきます。 ○ 石井委員  まさに山本委員の言われたことに関連する話なのですが、大阪の成功事例があるとい うのは非常にありがたい話だとは思います。問題なのは一極集中型の運営で、しかもシ ングルイシューであると、なかなかうまくいっているという話だと思いますが、地区に よっては、まさに山本委員が言われたように多極分散型であったり、ある地区から向こ う側は別な地区に依存していたり、それが複雑化していたり、そういうものをどうやっ て、しかもシングルイシューでない、マルチチョイスの中でやっていくかということな ものですから、そこはバージョンを上げて、いろいろな事例で見ていかなければいけな いのではないか。何かそんな感じがします。 ○ 島崎座長  新しい取組みが必要だろうということですね。時間が少し過ぎていますので、この件 はこの辺にしたいと思います。次は議題にありますように坂本先生にお話を伺いたいと 思います。厚生科研等で新しい救命センターの評価等についてずっと研究してこられま したので、評価の考え方、具体的評価方法等について、前回、私のほうから坂本先生に お願いさせていただいていますので、その点を含めてよろしくお願いします。 ○ 坂本委員  資料5をご覧いただきたいと思います。簡単に説明したいと思います。「新しい充実度 評価の基本的な考え方」ということで、この間、厚生労働科学研究あるいは救急医学会 の委員会等で議論してきた内容を、少しまとめさせていただきました。(1)として第三次 救急医療機関に求められる機能を明確にするということで、この中には2つのキーワー ドがあります。1つは救命救急センター自体を評価するということは、いわゆる独立型 の救命救急センターということだけで判断するのは困難だろうということ。救命救急セ ンターを有する病院が、総合的に救命救急医療にどのように関与しているかの観点で、 有する医療機関自体を評価するということ。ここで求められる機能として、当初の救命 救急センターというのがいわゆる救急の最後の砦ということで、そこに依頼されてきた 最重症の傷病者に対して、適切な治療をすることができればよかったわけですが、現在 の状況ですと、前回の議論にもありましたように教育研究等、あるいは地域全体の救急 医療の質の向上に対する役割、メディカルコントロール体制等々ということも含めて、 より広い機能が必要になってきているということです。ではどのような機能が必要かと いうことを、もう1回明確にした上で、その機能について評価をしていく必要があろう ということが(1)になります。  (2)については、それぞれの機能に対して体制として評価するだけではなくて、実際の 実績について、これはなかなか評価が難しいですけれども、その部分についても評価を していかないといけないだろうというのが(2)になります。  (3)で基本的に救命救急センターの充実度評価については、従来より自己評価という形 で提出されてきたわけですが、その客観性が保たれる必要があるだろうということです。 その中の一部は例えば消防機関であったり、あるいは都道府県の衛生担当部局から評価 できるような項目については、第3者からの評価、そして病院の自己評価の内容につい ても、可能な限り実際に台帳の調査等をすれば、客観的な検証が可能であるというよう な、つまり解釈によってどうでも付けられるというものを、できるだけ減らしていきた いというのが基本的な考え方の(3)になります。  (4)については、従来より通常の救命救急センター、新しく整備されてきた20床未満、 10床未満の小規模の救命救急センターでは、その救命救急センターの規模から、例えば 年間の患者数、そこにいる専従の医師数などの基準が異なってきたわけです。これは単 なる規模の大小というよりは、救命救急センターに対する需要がどのぐらいあるのかと いうことを、ある程度明らかにした上、その需要に応えているかどうかの観点で、その 周囲の人口、あるいは他の救命救急センターとの距離によって、水準を調整する必要が あるだろうということになります。  このような評価基準自体は、1回作ったら、それがパーマネントということではあり ませんから、ある程度評価項目を作った上で、それを毎年の実績に基づいて適宜修正を して、その現場にマッチするものにしていかなければいけないだろうということが、(1) から(5)の基本的な考え方の趣旨になります。  具体的な4本の柱ということで資料5ですが、先ほどの求められる機能に何があるか ということで大きく4つの機能を考えています。いちばんの柱となるのは(1)の重症・ 重篤患者の診療機能で、自分の受け持つ地域に発生したすべての重症・重篤患者に対し て、これは疾病の種類によらず24時間365日受け入れて、適切な診療を行うことが大前 提になります。ただ、これは先ほど申しましたように、消防のトリアージ、あるいは患 者の自己判断で重症・重篤というのがすべて判明するわけではないので、来てみたら重 症だったとか、来てから重症化するという傷病者もいっぱいいるわけです。その中で救 命救急センターは最初から重症・重篤という名目で来た患者だけ診ていればいいのでは なく、自病院に来院したすべての救急患者に対して、その中で重症・重篤化するものに 関しても、きちっとトリアージを行って診ていくことが、この2つ目の・で求められて います。  その中で救命救急センターのセンター長は、単に診療ができるだけではなくて、自分 の病院の救命救急部門以外の循環器、脳神経等々も含めた、すべての救急医療体制にお いて中心的な役割を担っています。これは診療というよりもコーディネーション、ある いは質の保証ということにつながりますが、そういうことの役割を担う必要があるだろ うということ。  (2)の地域においては、最初の・にあるように、メディカルコントロール体制に積極 的に関与していくことで、病院全糾合の内容についての向上に役立てていただく。もう 1つは、地域の救急医療体制協議会等を介した病院間のネットワークとか、地域として のある疾病に対するアルゴリズム、あるいは、どういう傷病者はどういう病院に運ぶと いったルールづくりに積極的な役割を果たす。そして先ほどから何回か問題になってい る地域で搬送困難、受け入れ困難の傷病者に対し、1つは自分の医療機関が最後の砦と なって常に受け入れる必要もあります。もう1つは今日の議論に出たように、それを自 分の病院以外の所で診られるような調整をするための機能も、ここに求められてくると 思います。  (3)については、良質な救急医療を地域で提供していくためには自病院だけではなく、 その地域において医学生、看護学生等も含めた学生、あるいは医師、看護師、救急救命 士等、すべての医療関係者に対して救急医療の教育・研修等を行っていくことが求めら れます。  (4)として、平素において救急医療を行っている救命救急センターというのは、災害 時の災害医療でいちばん核となる場になりますから、もちろん自分の地域の災害、遠隔 地の災害に対する派遣等も含めて、中心的な役割をしていただきたいということ。これ らの点を評価していくということで、後ろのほうの評価水準が作られています。  3頁については、今までのことでも実態との乖離が指摘されているということで、先 ほど申しましたように都道府県の衛生担当部局、もしくは消防等からの評価を行う。そ して時に立入り調査というわけではないですが、実態と乖離があることが強い場合には、 その実態調査を行っていく必要があるだろうと考えています。  4頁ですが、これは先ほどの人口もしくはその周辺のアクセスの観点ということにな りますが、基本的に受持ち人口は少ないけれどもアクセスが悪く、どうしてもそこにな いと周辺人口がアクセス不能になる地域については、ある程度水準を低い段階で設定し て、評価していかざるを得ないだろうということで、今後、このようなことが検討課題 となります。  5頁、6頁に関して、これは今年度まで行われている現状の救命救急センターの評価基 準です。左側が20床以上のいわゆる従来型、右側が20床未満のいわゆる小型というこ とで、基本的には、規模の相違によって数値目標が変わっているというのが主たる部分 です。これも先ほど申しましたように単に規模の大小というよりは、都市部にあるのか 田舎にあるのか、近くに救命救急センターがあるのかどうかの観点から、この水準を決 めていくべきで、必ずしも新型あるいは従来型ということだけで、数値目標を決めるべ きではないものと考えています。  7頁以降が、まだ現在議論中のものです。3段組みになっていて、真ん中の行が数頁前 に出ていた、現在使われている救命救急センターの充実度の評価方法についてになりま す。右端の欄に関しては、厚生労働科学研究の報告書で最終的に報告をした、いわゆる 救命救急センターの質の評価の指標の案になります。いちばん左に関しては、この2つ のものを見た上で事務局で作った「たたき台」の案という並びになって、基本的には、 それぞれ該当する項目について対照が可能なように横並びに書いています。  時間もありませんので細かい内容には踏み込みませんが、重症患者への診療内容とい うことで、専従医師数、救急科の専門医の数、日本救急医学会の指導医数等々が報告書 で挙げられていました。その中で専門科医師数、専従医師数等が、この事務局たたき台 では採用されています。また救命救急センター長については、その地域の救急医療全体 のコーディネーションをする観点から、専従かつ救急医学会の指導医であることが評価 対象になっています。  8頁は、先ほど石井委員からお話のあったメディカルクラークの数についての評価、 そして転院・転棟等、つまり救命救急センターが高齢者等が多くなったために、なかな か病床回転数が悪く、長くそこにいてしまうことが新規傷病者の受け入れを難しくして いますから、そのような調整員の配置等が議論されています。左側の(9)では、脳神経 疾患、循環器といった、いま問題となっている特定の疾病に対する診療体制に関して、 十分な体制ができているかどうかが評価対象になっています。  9頁は、第三者評価を受けているかどうか、感染症の管理、サーベイランス等が行わ れているかどうか、医療事故に対する対応についての項目等になっています。  10頁は、労働環境ということで、もちろん医師は十分数が確保されていなければいけ ないわけですが、それが過重な当直勤務によって維持されているのでは永続性がないで すし、それが救急医を減少させる大きな原因にもなっているということで、きちっと労 働基準が守られた上で、十分な人員が確保されているかどうか。重症傷病者数がきちっ と診られているか。この傷病者数に関しては、1つは救命救急加算が取れることに対応 する、いわゆる保険点数上で見るような重症患者ということもあるし、もう1つは救命 救急センターならではというか、救命救急センターがその地域の砦としてマンパワーを かけて、あるいはいろいろな機械を駆使して、救命しなければいけない重篤な病態に対 応する。この重篤にはどんなものがあるかに関しては、先般の大きなファイルの43頁、 青い資料の直前のところに、「このようなものは」ということで具体的な例が書いてあり ます。  あとは救急外来のトリアージ等について、先ほど言いましたように三次救急のみをや れば、救命救急センターとして機能が充実しているというわけではなく、そこに訪れる 1次、二次の傷病者の中からも、実は脳卒中であるとか、急性冠症候群であるといった 傷病者を、トリアージで見抜いて適切な治療をしていくことも求められる。そのための トリアージ機能が十分あるかどうかが評価されています。  12頁は地域の体制ということで、MC協議会、救急医療対策協議会等、より高次の救急 医療の体制作りに対しての参画、(25)では救急医療情報システムへの情報の入力・更新 が議論されています。  13頁は救急医療の教育機能ということで、その1例として救命救急士の実習受入状況 について、ひとつの基準を考えています。  14頁は災害です。これはまず災害拠点病院として認定されているかどうか。DMAT指定 医療機関であるかどうか等々です。具体的にはDMATというふうなものの指定にするのか、 あるいは災害医療に対して派遣チームを持つのかに関して、多少内容は詰める必要があ るだろうと思います。  15頁は、従来あったものの中で、いわゆる病棟稼働率、平均在院日数が評価基準にな っていたわけですが、この両者については稼働率を上げていけば、それだけ受け入れが 難しくなる。あるいは病院としての採算性としては上げたほうがいいだろうということ で、いっぱいにしておくことが必ずしもいいかどうかということもあって、今回は削除 候補の1つにしています。  時間の関係でざっとですが、このような観点で、もともとの厚生労働科研の案を基に 事務局でたたき台を作っているという実態を報告させていただきました。以上です。 ○ 島崎座長  ありがとうございました。救命センターのアクティビティが従来と比べて、比較的実 情をよく反映するような評価方法の基本的な考え方を、ご説明いただきました。いまの 説明に対してご意見なりご質問がありますか。 ○ 石井委員  方向に関しては全く賛成です。あえて気になるところだけ指摘させていただくと、1 つは10頁のIII・10です。救急専門医の項目と救急看護認定看護師は点数が付いてないの で、とりあえずは努力目標にとどめるのかなと見えるのですが、そのほうがありがたい かなと思います。あまりにそこでハードルを上げてしまって、全国でこぼれる施設がど んどん出てしまうと、これもまた地域医療に齟齬をきたしますので、そっと聞いておく ぐらいのほうがいいと思います。 ○ 坂本委員  いま先生がおっしゃったように、右端のIIIのところは厚生労働科研としてあるべき姿 として定義したもので、それを事務局で実際の行政として活かせるものが左端というこ とです。事務局としてはここは採用していないようですので、そこまで求めることは、 いまのところ厚労省としては考えていないということだと思います。 ○ 石井委員  わかりました。もう1点、14頁の災害対応というのも非常に大事なパラメータで、ま さにこれがあるべき姿なのだと思います。ただ、これもいきなりDMATということで全国 でやると、5点もらえない所が出てくるのではないかという危惧があるのです。それで 災害の場合には地域医師会が指定地方公共団体になっていますから、そこで派遣チーム を構成というパラメータがあります。だから5点はあげられなくても、そちらとコーデ ィネートしているということで4.5点とか、そういう配分をやっていただけると、地域 を一緒にやりましょうという概念になるのではないか。よければそれで5点いただける と、その辺をちょっと考えていただけるとありがたいです。 ○ 坂本委員  厚生労働科学研究では、いまのところに該当するのが同じ14頁のIV・3に、災害現場 へ派遣する災害医療派遣チームを持つということで、DMATには限定せずに、何かあった ら出かけるチームを院内で構成しているかどうか、というぐらいだったのですが、この 辺は少し行政的にDMATという言葉を入れたのだと思います。 ○ 石井委員  例えばDMATということでやっていただけると、振い落すよりは、すくい上げてレベル アップを図ると。 ○ 坂本委員  DMATと言いますと、最近ではだいぶ増えましたけれども、いわゆる赤十字系の病院等 も含めて、ちょっとここら辺は考える必要があると思います。 ○ 豊田委員  循環器病センターの豊田です。私も各論になるのですが、1つは、こういう救急の受 け入れ能力を考える上で大きく問題になるのは、手術室の稼働能力とか麻酔科医の数と いったものだろうと思います。手術への対応というのは、この評価方法では評価できる のでしょうか。 ○ 坂本委員  直接的に麻酔医の数がどうであるとか、手術室の何列同時にということは、この中で 特別な記載はありません。それは逆に脳神経疾患や循環器疾患等に対して適切に対応で きる。あるいは外傷に対して適切な対応ができるということから、従来、救命救急セン ターであれば逆に言うと当たり前というところだったかもしれませんが、いま先生がお っしゃるように、救命救急センターでも逆にそれが十分できていないとか、夜間手術が できない所があるということが、もし実態としてあるのであれば、それはご指摘のよう に、少しそれを担保するようなものを考えなければいけないのかもしれないと思います。 ○ 豊田委員  もう1つ、これも各論ですけれども、10頁のV・3の受け入れ患者の治療成績で、冠症 候群や動脈瘤破裂が入っていますが、疾病の頻度としては脳梗塞が非常に多いので、脳 梗塞患者の予後であるとか、あるいはtPA施行患者の予後であるとか、それは是非入れ ていただきたいと思います。 ○ 坂本委員  わかりました。これを作った時点では、要するに日本の学会等のレベルである程度治 療成績が重症度の層ごとに、標準化されて指標として使えそうなものをということでし た。例えばくも膜下出血でこれこれのグレードであれば、社会復帰率何パーセントとい う標準的なものができますが、tPAに関しては最近、tPAによる社会復帰率ということで 結構かなと思います。ただ、特に救命救急センターのことを考えると、母集団として極 めて重症の者がそこに集まってきますので、そこで母集団の重症度というものが十分考 慮できるようなアウトカム指標を用いないと、例えば救命救急センターに来るくも膜下 出血の成績は、おしなべて言ったらみんな意識300で、グレードVがぞろぞろと来るの で、これは何ともなりません。これは、こういう傷病者を主に診ましょうという、重症 度ごとに評価可能なものの例として挙げています。そういう観点で見ていただければと 思います。 ○ 山本委員  総論的なところのお話をさせていただきます。これは自己申告型の所での問題点の指 摘が以前からあったわけで、最初から立入り検査があるよというのがありましたけれど も、最初のころ、1施設にいったと思います。その後、そこのところがなくなってはい ないですけれども、なかなか現場に実際に出て行くというのがなかったわけです。1施 設でも必ず行くぞどいう流れがあるほうが、絶対にいいのではないかなと私は思います。  もう1つは、この評価というのは鞭だけの評価なのです。だからB・Cになってくると 補助金が少なくなる。あるいは保険点数のカット等々です。それもいいですが、我々は もっともっと飴がほしいのです。そこのところを座長、よろしくお願いしたいと心から 思います。 ○ 島崎座長  飴というか、正しく現場を評価してもらえるようなことを考えるということ。 ○ 山本委員  それもそうですけれども、そうなったらご褒美という、何かですね。 ○ 島崎座長  これの評価が、わかりました、補助金をあげるとか。 ○ 山本委員  そうそう、そういう意味。 ○ 石井委員  逆に足りないから、補助金をもっとあげて整備しなさいという概念も必要かもしれま せん。 ○ 山本委員  最初はそうだったのです。 ○ 島崎座長  これは実は、学会の後の会とか救命救急センター長会議なんかで、坂本先生が作って おられた段階で、経過報告みたいな格好でいくつか出ているのです。そこで意見として 結構多いのは、ハードルばかり高くして、それを越えるのに必死になっている。やはり ハードルを越えるなら、越えた後には、それなりのきっちりしたものを考えてください という意見は非常に多いので、まさに山本先生がおっしゃったようなことは、救命セン ター長会議で何回か出てきています。 ○ 坂本委員  私がこの班研究でずっとやっている間も、非常に多くの意見と苦情をいただいていま す。基本的には赤字補填という意味での補助金ということが1つあるわけですが、ただ、 ここで作ったのは、石井先生が言われたように補助金が必要だという観点ではなくて、 このような質の高い救急医療をやっている所が、それに見合う診療報酬を十分得られる ような医療体制を作っていただきたい、という意味での目標と考えています。 ○ 島崎座長  行政のほうも考えておられると思います。 ○ 石井委員  そうなれば、片方で満点を取ったら診療報酬で評価しましょう。逆にそうでないとこ ろは、政策的な誘導として補助金なり何なりで3年限定でこうするからレベルアップし てくれとか、例えば5年とかいろいろあると思いますが、そういう2つの予算の使い方 というのは当然あってもいいのではないかと思います。 ○ 島崎座長  行政のほうも、厚労省の中で横断的に考えていただかないと駄目かなと、いまの話で すとね。是非ともよろしくお願いします。 ○ 野々木委員  この三次の救命の評価は理想的なもので、達成できれば地域にとっても効果的だと思 います。問題として考えられるのは、いまの国民に本当に安全な医療を提供しようと思 うと、重症になってから三次救急が引き受けることでは効果的でないと思います。現場 でのトリアージを救急隊がしているのですが、疾病の重症度の判定は困難で、軽症と見 えてもいつ重症化するか明らかでない症例がほとんどです。トリアージは救急がやるの ではなく、すべての症例について、三次あるいは併設した総合的な病院でトリアージを すべきだと思います。そのためには、三次医療施設単独ではなく、後ろには総合病院が 併設あるいは連携できることが重要です。例えば大血管疾患の緊急手術、冠動脈バイパ ス、脳外科や外傷手術など、そこで24時間体制で手術ができる所が後ろに控えていない と、三次救命救急センターでの機能として求めると限界があります。そのあたりを保険 収入からの補填ではなく政策医療的な補填をしないと、いまドクターをはじめ医療者側 も疲弊していますから、とてもこの救急医療を支えていくことはできないだろうと思い ます。是非そこを考えていただかないと、三次の見直しだけではもたないと思います。 ○ 坂本委員  ご指摘のように、三次のある病院については三次救急だけをやればいいというわけで はなくて、その病院での1次、二次に関してもしっかりと充実させ、そこでトリアージ をして、必要なものを三次に吸い上げてくるというシステムが必ず必要です。そこは明 確に評価もしていますし明言もしています。  したがって、地域での救急医療をすべて三次医療施設でやって、二次医療機関が要ら なくなるかというと、そういうことはおそらくない。やはり二次医療機関には二次医療 機関として、いま圧倒的多数の救急患者さんを見ていただいていますので、そこについ ても十分な質の担保が必要です。そこでトリアージをして三次に運ぶという支援も残し ておかないと、すべての救急患者を三次に集めて、そこで取りあえず全部すればという ことでは、おそらく負担増で無理だと考えています。 ○ 野々木委員  ちょっと誤解があると思います。私たちはいま、急性心筋梗塞、脳卒中の循環器救急 についての専門委員としての立場でお話をさせていただきますと、順次搬送では解決し ないのです。発症から1時間ぐらいにベストの治療をしないと救命率も悪く、後遺症も 残す疾患群であり、軽症だから一次、二次へ搬送し、それが重症化して三次への搬送と いうと、治療までの時間のロスが生じます。救命のみならず、先ほどの外傷対応と同様 に脳卒中であれば機能改善も早期治療をすれば良くなるのですから、三次の見直しのみ ではまず無理だと思います。だから併設する二次機能を持った三次救急という形を持っ ていただければ、いま問題になっている数時間にもわたる搬送ということを改善しつつ、 対応可能となるのではないでしょうか。提案いただいたのは、三次救急の理想的な評価 だと思いますが、二次を含めた順次搬送の見直しも考えていただかないといけないかな と思います。 ○ 坂本委員  脳卒中、急性冠症候群、そして外傷と、これらについては非常にゴールデンタイムが 短いということで、それを病院前でその可能性があるものはトリアージをして、ダイレ クトにそのまま病院に運ぶシステムに関しては、おそらく全く異存がないと思います。 その受け入れ先として、例えば外傷であれば先ほど松下先生からもお話がありましたよ うに、三次救命救急センターがもちろん主体ですけれども、特に都市部等では、その中 でさらに少し集約していってもいいのではないかという話もあると思います。  脳卒中や心筋梗塞については、もちろん三次病院はそういう受け入れ病院の1つとし て絶対的に機能しなければいけませんけれども、それに加えて、一部の専門的な救急医 療をきちっとやっていただける所も、ある程度トリアージされた先として入れていかな いと、三次救急だけでは保たないというのは先生と同意見です。 ○ 石井委員  いまのお話で1つは、循環器や脳卒中というのは地域連携パスの立上げと連動してく る話なのだと思います。それを地域でどういうふうにやるか。もう1点は、いずれにし てもER型の機能をどこに持たせるかという問題があると思います。それは地域、地域で かなり実態が違うものですから、三次センターに並設するか、それともベストな場所に 置くか、いろいろな立上げ方が、おそらく歴史的、伝統的にあると思います。その中の 1つとしては私も全く同感なのです。ただ、それをこの評価の中に全部繰り入れてしま って合わないところが出てしまうと、それは切り捨てになってしまいますから、そこだ けは慎重なほうがいいと思います。 ○ 坂本委員  三次救急が直接、地域の脳卒中や心筋梗塞の患者をすべて診るかどうかは別として、 先ほども言いましたように、地域の病院前の体制や傷病者の発生状況、適切な病院がど こにあるかを把握しているのは、地域の救急医療の核である三次医療機関の責任だと思 います。三次救急というのはそういうことに関して、例えば循環器分野に関してはこの 先生方と相談して、地域としてこういうネットワークを作ることに関して、きちっと消 防との連携を取りながら調整していくことについて責任を持つし、そのことの業務に関 しては評価をしてあげたいと思っています。 ○ 藤村委員  私は日本小児科学会から出ていますが、ご承知のとおり、1歳から4歳の死亡はOECD カントリーで最低の21位です。事故がもちろんトップです。我が国の新生児死亡、周産 期死亡がいちばん低いのはご承知のとおりです。乳児死亡もいちばん低い。何故1歳か ら4歳でこうなるのか、事故等重症者への対応のまずさが考えられます。去年、Institute of Medicineから『Emergency Care For Children』について勧告が出されました。小児 に対する救命救急医療についてきちっと1つ視点を持っていただきたい。今ご紹介いた だいた基準について子供の視点が見えない。それだけ申し上げたいのです。  特に成人と子供を混ぜてはいけないという原則は、是非、この基準の中で出していた だきたい。お年寄りと子供を同じ部屋に並べてERで寝かせるというのは、子供の権利条 約違反です。我が国のこれからのシステム、基準ですから、是非、大人と子供を混ぜて はいけないということをどこかで入れていただきたい。そうすると子供用の機材とかい ろいろな設備が、その部屋には揃ってくるということになると思います。  もう1点は専門医療の提供です。たくさんの論文がありますが、小児専門の救命救急 をやると、そうでない所と違って死亡率などのアウトカムが全然違う。過去2、3年の調 査でも、ヨーロッパ、アメリカで死亡率が4分の1に下がるということです。成人のER に入った場合と、小児専門、つまり子供病院の救命救急に入った場合で、トータルでそ のぐらいの差が出ているということですから、これはかなり重要なことだと思います。 少なくともこの評価基準の中では、子供を区画した部分で実施して、そこから専門医も これから養成していかなければいけない時代だと思いますが、初めてアイデンティティ を示すことで、そういう専門家も育ってくるとお考えいただきたいと思います。 ○ 島崎座長  小児を受け入れる窓口としての救命センターはありでしょう。それがないと別にまた 作らないと駄目ですね。 ○ 藤村委員  既に2年前に厚生労働大臣宛に、日本小児科学会から要望書を出しています。これは 子供病院がいま30近くありますので、そこに救命救急センターを設置してほしいという 要望書を出して、昨年の2月には小児医療施設協議会から、同様の内容の要望書を厚生 労働省に出しています。子供専門の救命救急センターを、これから是非育てていってい ただきたい。その上で既存の救命救急センターでは、子供を独立した区画で対応してい ただきたいということです。 ○ 島崎座長  小児のほうも、小児外傷を診る先生というのはほとんどおられないのです。だからそ ちらのほうも学会として是非養成していただきたいということです。ありがとうござい ました。三次の救命センターの機能は、本来、地域医療の最終受け入れ機関として貢献 するということ。それともう1つは、幅広い救急患者を地域としてどう処理していくか の要というか、司令塔みたいなこともあるので、ERを併存させる救命センターというの も1つあると思います。すべてそうしなさいというのでなく、そういう地域医療の中で ERを持つ救命センターというのは、必要かもしれないですね。そういうのでアクティビ ティを高くしておられると、それなりにこの中へ評価できるような、小児のところも含 めて何か考えていただく。 ○ 石井委員  8頁の(10)に精神科・小児・産婦人科の連携体制という項目があって、とりあえず はここからというのが、現実的な話として。 ○ 藤村委員  これではちょっと不満なので、申し上げたのですけれども。 ○ 石井委員  不満がありますか。全国を面で捉えて整備しなければいけないわけですから、もちろ ん目標は高く。 ○ 島崎座長  逆に言うと、小児、新生児、産科、精神科、心筋梗塞、ストロークを含めて、それぞ れがやっておられたのを、うまく救命センターを窓口として利用してやっていくことは、 今後、必要でしょうね。そういう幅広い重症の受け入れシステムというのはね。産科は 別という格好でやっていたのですが、産科は診ることができてもお産のときの新生児を どうするかなど、いろいろ問題はありますけれども、それは次の問題です。 ○ 坂本委員  8頁ですが、これは事務局のミスというか1行改行しているので、真ん中の行の「そ れ以外」というのがいちばん左の下の行にくっつきます。右端にある「これが従来型」 の真ん中の行について、右側1行がごっそり抜け落ちていますから、8頁は後で修正版 をお願いします。右側1頁は、科研のほうでは小児科の医師の関与の方法について、3 段階ぐらいの段階別で詳細に書いていました。 ○ 島崎座長  いまの右側にあるのは真ん中であって、右側のは。 ○ 坂本委員  科研と書いた右側のは抜けています。 ○ 島崎座長  わかりました。よろしくお願いします。最後に1つ質問ですが、10頁の左の(16)の 労働環境で、労基法から指導や是正の勧告を受けたというのはプラス8点ですか。 ○ 坂本委員  マイナスですね。 ○ 島崎座長  こんなもの先生、救命センターで働く医師の平均の週労働時間は77時間ですよ。それ で勧告を受けたら、逆にアクティビティが高いからいいのではないですか。 ○ 坂本委員  ここに関しては厚生労働科研のほうでは、先ほどの24時間体制ですべて専門医がいる ということと、勤務体系がいわゆる当直制ではなくてすべて勤務時間、交替制勤務もし くは超過勤務等でですね。つまり夜間、救命救急センターで働いている業務というのは 単に寝て番をしているのではなくて、昼と同じように24時間、同じ質の医療を提供して いるという意味で、勤務としてやっているということを評価してほしいということで科 研では出したのですが、行政的な書き方になるとこのような書き方になり、調整中とい うことで、ここに関しては今後、これは事務局案ですので。 ○ 島崎座長  先生のおっしゃる後の「その心は」というのは、だから当直体制を引くのは駄目で勤 務時間にしなさいと。勤務時間外は時間外手当ですよという格好のことを言いたいのな らそう書かないと、これはその前の段階というか、全部マイナス8点になります。座長 からの提案なのですが、是非そういう形で「その心は」のほうにしていただきたいと思 います。事務局とご相談の上、よろしくお願いします。  時間もだいぶ過ぎていますので、この辺にしたいと思いますが、何かございますか。 何かありましたら次回にということにさせていただきます。一応、議論はこれで終えた いと思いますが、議題2の「今後の救命救急センターの整備について」ですが、事務局 から資料の説明をお願いします。 ○ 田邉専門官  時間が限られていますので、ごく簡単に説明したいと思います。資料6で書いたのは、 前回の議論を踏まえて救命救急センターの現状ということをまとめたものです。これに ついて次回、また改めて議論したいと思いますので、今日はごく簡単に資料のほうの説 明をしたいと思います。  昨今、救急医療機関が減っていると報道されていて、ただ、救命救急センターに限っ てみると、こういった形で昭和50年から一貫して増えてきている状況です。次の頁です が、これは二次及び三次の救命救急機関の推移ということで、各都道府県の状況を示し ています。右側の救命救急センターについては先ほどのグラフのとおりです。二次救急 医療機関については、総数で見ると確かに減っている状況がありますが、東京都をご覧 いただくと非常に数が減っているので、いちばん影響を与えているのは東京都の数の状 況ではないかと思っています。ただ、数ではなくて先ほど来指摘がありますとおり、二 次救急医療機関については、それぞれの医療機関を上回る形で需要があって、それに対 応しきれていないという状況はあるのだろうと捉えています。  次は何度か紹介したものですが、救命救急センターの全国の配置図と、それぞれの自 治体の役場から最寄りの救命センターに行くまでに、現状の道路を使ってどれぐらい時 間がかかるかを色別に示したものです。ご覧のとおり、まだまだ地域によっては最寄り の救命センターに到着するのに2時間、あるいは1時間を超えるという地域が残されて いるというところで、こういった地域への救命センターの配置をどのように考えるか。 その資料として提示しました。  ただ、次の頁で前回もご指摘いただいたとおり、面積と人口と両方併せて考えるべき ではないかといった議論がありましたので、1枚目は、それぞれの都道府県で30分以内 に救命救急センターに到着できる所が、各都道府県の何パーセントであるかを示したも のです。東京のような所、鹿児島県のような所といったのが、こういう形で色で示して いるところです。例えばですが、そういう状況ということです。次は、60分で見るとど うかというのを示したものです。 ○ 島崎座長  ありがとうございました。ただいまの説明に質問なりございませんか。東京都は二次 医療機関が半減しているのですね。 ○ 坂本委員  これは集計方法が変わって、平成11年まではいわゆる救急告示医療機関の数を出して いたのが、その後、指定二次医療機関ということで約半数になりました。東京医師会、 東京都福祉保健局のほうで、必ず3ベッド用意しておくという確保病床を義務づけた形 で、新しい補助金体系ができ、その時に減らしましたので体制的な変化だと思います。 ○ 島崎座長  時間も押していますので、続いていきたいと思いますが、議題3は「高度救命救急セ ンターのあり方について」、事務局からお願いします。 ○ 田邉専門官  時間も限られていますので、あとはフリーディスカッションしていただければと思い ます。 ○ 島崎座長  いまからしますか。 ○ 田邉専門官  今回はなしで。 ○ 島崎座長  わかりました。一応、予定していた内容というのは以上なのですが、全体を通じて何 かご意見、ご質問等はございますか。 ○ 豊田委員  私、今日参加している先生方の中で、いまでも徹夜で当直している数少ない人間だと 思いますので、その立場から申します。今日もお話の中で救命医療に当たっての見返り というか報酬というか、そういうお話が出ましたけれども、それと同様に救急医療をや ることに対する医師のプライドというのですか、それを守っていただきたいというのは つくづく思います。もう既にいろいろ言われていることなので皆さんは十分お考えだと 思いますが、やはり救急の現場というのは常に100パーセントの医療ができるものでは ないということ。患者さんが同時に来た場合は、トリアージをしなければいけない。あ る程度患者に差を付けなければいけないのは歴然とした事実であるということを、もう 少し国民というか皆さんが、報道の方も含めてご理解いただきたいと思います。  もちろん、理想としてベストを尽すべきなのですが、限られた医療資源や人材の中で、 特に救急に関しては、ある程度のトリアージをしなければいけないのだということを国 民に理解していただけないと、私たちは現場にいて日々、本当に恐れながら、もう少し わかりやすく言えば訴えられるのではないかという思いを抱きながら、診療しています。 今日のメインの話とは違うかもしれませんが、今後のあり方を考える上で大事だと思い ます。 ○ 島崎座長   非常に重要な話で、実は最後にそれをお話しようと思っていたのですが、先生に言っ ていただきました。現場は結構大変な中で、ほとんど使命感だけでやっているというよ うな感じです。それに見合う何らかのというか、働く環境等を含めてきっちりしたもの を作っていただきたいと思います。ほかに全体を通じて何かございますか。よろしいで すか。ではこれで本日予定した内容は終わりたいと思います。次回からは二次を含めて 救命救急センター以外の救急医療体制について、今回も議論の中に出てきていますけれ ども、それを含めて話を進めていきたいと思います。事務局から今後のスケジュールに ついて説明をお願いします。 ○ 田邉専門官  次回の検討会は2月下旬から3月中旬を目処に、追って日程の調整をさせていただき たいと考えています。引き続いてよろしくお願いします。 ○ 島崎座長  ありがとうございました。これをもちまして本日の検討会を終了させていただきます。 お疲れさまでした。 照会先:厚生労働省医政局指導課 代表 03-5253-1111(内線2551)