08/01/30 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」第7回議事録 第7回これからの地域福祉のあり方に関する研究会             開催日:平成20年1月30日(水)               場 所:厚生労働省 共用第8会議室 ○大橋座長  それでは定刻となりましたので、第7回これからの地域福祉のあり方に関す る研究会をはじめさせていただきたいと思います。本日はお忙しいところお集 まりいただきましてありがとうございました。年が改まりましてはじめての会 でございます。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。  昨年までは制度の置かれている現状とか課題で少し論議をいただいたので すが、昨年12月にお話ししましたように、これからは少し論点を整理して、 3月の報告書まとめに臨みたいと思っているわけでございます。この会自体は、 3月までに報告書をまとめるというスケジュールが組まれておりますので、今 日から論点を深めるということでご論議をいただきたいと思っております。  今日のところは、特段この論点でというふうに用意してございませんが、資 料2に、今までどういうことが論議の柱になっていたかを整理してございます ので、それに基づいてご論議いただければと思っております。ただそれに先立 ちまして、1月半ばに委員の中で、有志で日立市の地域福祉の現状を視察させ ていただきましたので、その報告を簡単にしていただいて、それらも視野に入 れながら資料2に基づいてフリートーキングをいただきたいと思っておりま す。これが前半部分でございます。  後半部分につきましては、やはり地域福祉を推進する上で相談支援事業とい うのが大変重要な意味を持ってきているかと思います。介護福祉分野、あるい は障害福祉分野、あるいは子育て支援分野、いずれも相談支援は大変重要な意 味を持っておりますので、今日は、静岡県富士宮市の土屋幸己さんにお忙しい 中を来ていただいておりますので、お話をいただきたいと思います。土屋さん は社会福祉士の資格を持っていて、地域包括支援センターのセンター長という 立場でもあるということです。土屋さんの話に先立ちまして、関係部局からも 相談援助事業の現況を報告いただき、その後土屋さんのお話をいただきたいと 思います。本日はこんな流れで進めたいと思いますのでよろしくお願いします。  それでは局長、年が改まって最初ですけれども、何か一言ご挨拶をいただけ ればと思います。よろしくお願いいたします。 ○中村社会・援護局長  本年もどうぞよろしくお願いいたします。昨年は委員の皆様に十分ディスカ ッションしていただける時間がなかったので、年明けからは議論を深めていた だきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、地域包括支援センター とかいろいろな場面で相談支援事業のお話が出ておりましたので、今回だけは そういう相談支援事業というテーマを後半に持たせていただきました。あとは、 多分3月末までに5〜6回この会議がセットできると思いますので、今日と次 回以降、報告書の取りまとめに向けて集約の方向でご議論いただければと思っ ておりますので何分よろしくお願いいたします。 ○大橋座長  ありがとうございました。それでは日立市の現地視察の状況等について事務 局からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○千田地域福祉課長補佐  1月15日に、委員の有志で、日立市に行っていただきまして、現場の皆さ んと意見交換をしていただきました。その状況について、資料1の方にまとめ させていただております。これを簡単にご説明申し上げたいと思います。  まず日立市の概要ですが、人口約20万、世帯が7万7,000、高齢化率が22% となっています。我が国の高齢化率の平均が20%ちょっとですので、それより 若干高目ということになっております。日立市につきましては、住宅団地が造 成されていて、いわゆる日立製作所の企業城下町であるということでございま すから、これから高齢化率はどんどん伸びていくような地域ではないかと想像 されます。  日立市社協の取り組みですけれども、いわゆる学区相当に対して小地域福祉 活動を行ってきておりまして、具体的には、ひとり暮らし高齢者の見守りチー ムづくりといった地域福祉推進事業を地区社協と一体的に行っているという 状況でございます。また、ひとり暮らし高齢者見守りチームづくり以外にも、 高齢者の避難訓練事業ですとか、あるいは配食サービス事業、ふれあいサロン、 健康クラブ事業、また子育て関連事業が実施されているところでございます。  さらに、その地域の中で塙山学区というところがございまして、ここは人口 7,400、世帯数が2,900、高齢化率が18%。こちらの方については「住みよい まちをつくる会」と称しておりましたけれども、行政が主体となってまちづく りを行ってきておりまして、その中で住民主体の総合的なまちづくりを行って きているところでございます。組織的には、自治会あるいはPTA、子供会、 女性会、小中学校、幼稚園、保育園等々がそちらに参加しています。  1枚めくっていただきますと、取り組みの状況の中で、住民の手で「塙山コ ミュニティプラン」を策定し、計画づくりをしているということで、いわゆる 自治会がイベント型活動を中心に行っており、365日の日常的な活動を中心に 行っているというところが特徴ではないかと思います。  また事業については、移送サービスや何でも相談、対象者に限らない何でも 相談事業を行っています。また、制度のはざまに落ちているような事業、例え ば、電球交換とか草むしり等々の暮らしサポート事業を実施しています。また、 子育て、青少年育成も重視しながら、福祉だけでなく防災対策事業なども行っ ているという状況でございます。  次に、諏訪地区社協の取り組みでございますが、人口7,000、世帯2,800、 大体塙山地区と同じような規模ですが、高齢化率が20%ぐらいの地域でござい ます。  ここでは社会福祉協議会がアウトリーチする形で、小学校区単位のまちづく り事業を中心に行ってきています。具体的には、男性の料理教室、あるいは出 前介護講座、そして小学校への総合学習支援などを実施しておりますし、高齢 者の見守りチーム事業などにも取り組んできているという状況をヒアリング してきました。2ページ目の後ろから3ページ目のところで、ヒアリングをし た相手方のご意見あるいはご要望という観点で事項別にまとめさせていただ いています。特に財政面ですとか、あるいは体制整備のお話ですとか苦労話と いうようなことも含め、活動されている方々のご意見等々を中心にまとめてお ります。以上です。 ○大橋座長  ありがとうございました。参加できなかった委員の方もいらっしゃいますの で、とりあえず日立市の地域福祉の視察ということで簡単にご報告いただきま した。今日はそれがメーンではありませんので、それらも参考にしていただき ながら資料2を見ていただきたいのですが、事務局で地域福祉検討の視点とい うことで、第1回からこれまで論議いただいたものを少し柱立てさせていただ きました。  1.地域における福祉の現状と課題、2.地域福祉の役割をどう考えるか、 3.住民が参加し主体となる福祉をどのようにつくるか、4.地域福祉を推進 するためには何が必要か。そのシステムと構成要素(圏域、資源、参加者等) は何か。5.行政の役割。他制度との関連について。6.既存の施策をどのよ うに考えるか。市町村地域福祉計画、民生委員・児童委員、ボランティア、市 町村社会福祉協議会。福祉サービス利用援助事業、中でも権利擁護に関してと いうこと。それから生活福祉資金貸付制度、共同募金、その他必要な施策等、 今まで論議をさせていただいたわけでございます。  今日は次回以降の論点を深めるためにも、少しご自由にご意見をいただけれ ばありがたいと思っております。1時間ほどこれに時間をとりたいと思います ので、どこの柱からでも結構でございますから、ご自由にご論議をいただけれ ばと思います。 ○木原委員  今日、地域福祉課から提示されたテーマの「地域の福祉の現状と課題」に関 わることですが、ここで三つのことを提示させていただきます。  まず一つ目。私は全国で住民の支え合いマップというのを作っておりまして、 もう10年ほどになります。住民の方と一緒に住宅地図を広げて、要援護者は どこに住んでいるか、その人に周囲の誰が関わっているか、人々はどこで井戸 端会議をしているか、などといったことを掘り起こしているのですけれども、 そこでつくづく感じるのは、地域の特定の要援護者をピックアップしてどんな サービスにつなげるかということだけではどうしようもないということです。  例えばある地区では、小中学生はほとんどいない、大きな子供は他県へ働き に行ってしまった、地元には店もない診療所もない、女性と老人だけで住んで いる。そこで要援護者をどうこうすると言ったって、それだけでは仕方がない。 地域そのものが「福祉」問題になっているわけです。そうなると、行政にして も庁内のすべての部局が一緒に考えていかなければもうだめだということで、 今ある地区でそういう試みを始めています。  また、福井市のある古い団地でマップを作ったら、一人暮らしの高齢者ばか りだった。見守りをどうするかと考えていたのですが、じつは彼ら同士で徹底 した助け合いをしていた。他者の支援なんか要らないというぐらいでした。と ころが最近行ってみたら、建て替えられて18階の高層住宅になっていました。 「10年かけてつくった助け合いが全部壊れちゃったよ」とリーダーが嘆いてい ましたね。だから、建築家にしてもこれからはそういう住民のふれあい・助け 合いの実態を掴み、それを生かしながら設計していただかないといけない。福 祉部門だけでは福祉は実現しないどころか、逆にそれを壊されてしまうという ことです。  またこういうこともありました。支え合いマップを作っていたら、高齢者が デイサービスへ殺到している地区と、全然行かない地区が隣り合っていた。デ イサービスが繁盛する地区には、ふれあいサロンや趣味グループがほとんどな かった。仕方なく、皆サービスに行ってしまうということがわかりました。デ イサービスへ行かない方は、あちこちにふれあいサロンができていたりと、ち ょうど逆の状況ができていた。その地区に豊かな生活文化が育まれているかど うかで、こんなにも福祉事情が変わってくる。  このようにして、福祉を狭く捉えている限り、地域の福祉は実現しないとい う感じがしてきました。  二つ目に、その福祉自体が専門化といいますか、専門家主導になり過ぎてい るのも問題です。世話焼きさんなんかが老人宅に行くとヘルパーから「素人は 来るな!」と言われた、といった話をよく聞かされます。「インフォーマルへ の蔑視」といいますか、だから住民はなかなか要援護者へ近づけない、それで 福祉活動から引いてしまっている。両者がお互いに別世界で行動しているとい う感じですね。専門家がもう少し住民と一緒に考え、行動していけるようなあ り方を考えていかないと、地域の福祉は実現しないのではないでしょうか。  三つ目。基礎構造改革で「利用者本位」ということを言っていたのですが、 これがなかなか実践されない、担い手主導のクセが関係者からなかなか抜けな いと、その解説書でも指摘していましたね。本研究会の主たる目的は制度の周 りにできたすき間をどう埋めるかということでしたが、この担い手主導が「す き間」をつくる大きな原因になっているのではないかと思います。  福祉関係者のやり方をみていると、福祉センターに陣取って、一つのニーズ を特定して、それに対応するサービスを考え出し、センターの足元に拠点を置 き、人材を集めて教育し派遣する、それに住民資源や要援護者を従わせるとい った極めて強引な手法が見られます。担い手の側から都合のいい福祉のつくり 方をしていて、当事者側の意向が反映されない。結果としてボロボロとニーズ を取りこぼしてしまう。おまけに住民の参加も得られにくい。  ボランティアをしたければボランティアセンターに来い。何か困ったら福祉 センターまで来なさいと言っても、来るはずがないと思うんですよ。住民の所 まで足を運んで、彼らのつながりの実態を丁寧に把握して、それを生かしなが らシステムを作っていくという、当事者主導、住民主導の姿勢にならないとす き間は埋りませんね。  担い手主導で自分のやりいいサービスをしている間に、その対象である要援 護者をただ「サービスを受ける一方の人間」に固定させてしまう傾向がありま す。そのため「私はただサービスを受けていればいいのだ」という依存心ばか りが強くなって、当事者力が非常に弱まっている。自分で主体的に周囲から福 祉資源を発掘しようという努力もしない「助けられ下手さん」が増えて、その 分サービスをする側に負担がかかってしまっています。  以上、三つの点を指摘させていただきました。 ○大橋座長  ありがとうございました。 ○和田委員  こういう実態をいろいろ聞かせていただいて思ったのは、地域の中で自治会 の活動だけではもうエネルギーは十分出てこない、しかし自治会はひじょうに 重要だと。なぜかというと、変わるほどのNPOや他のボランティア団体が出 てくるわけではないので、両方必要なのだということで、地域をベースにして 地域の中で市民が継続して活動に参加できるシステムとしての自由なボラン ティア団体とか、そういうものを自治会がサポートしながらどんどんつくって いくという考え方をしていくことがすごく重要かなと。そうするとエネルギー がたまってくる可能性が高いのではないかというのが1つ。  それから、生活上はやはりいろんな問題が出てくるので、サービスをきめ細 かくやるというだけでは限界があって、全然逆の発想のものをつくらなければ いけない。それは住民の側で、対象も限定しないし、必要だったら何でもやる というタイプの福祉の事業を積極的につくっていく必要があるのではないか。  だから、例えば行政主導で予算がついてつくったものだと、なかなかそれぞ れにひもがついている感じなんですが、市民がつくる方は自由にやれるわけで、 そういうものを大いに奨励もするし、できればその基本的なところをちょっと サポートできるようにすると、縦の制度的なきめ細かいこと、プラス市民の側 でつくった全く自由なものというのがうまくかみ合うことができていいんじ ゃないかと思いました。  それから今もお話が出ましたけれども、例えば行政サービスをやって、子育 て広場のような活動を行政でやっていらっしゃると、来ている人は完全に受け 身でサービスになっているのだけれども、あえてそれを住民主体だというふう に言ってやっていらっしゃるグループもあるわけですね。そしてそれは行政が サポートしている。そうすると全然違うのは、要するに来ている人たち自身が 活動の担い手とか、その事業を自分たちも参加してつくっているような意識に 変えるために運営しているボランティアの人たちが苦労してやっていらっし ゃるのですが、結果として、ただ受動的に来ているのとは全然違う人たちがそ こにたくさん生まれてくるんですね。  だからやはりそういう行政サービスで予算をつけてやっていく場合も、住民 が中心になった方がいいようなものについては思い切って方向転換をして、そ の活動がうまくいくようにサポートはするけれども、かなり住民が主体的に運 営できるものはしていただくような仕組みをこれからは考えていく必要があ るのではないか。それと助け合いの活動のようなものがベースに広がっていく ことと、両方。  ですから助け合い活動だけ、行政のサービスだけというのではちょっとだめ で、その間のところをいかに組織化していくのかということを合わせて考えて いくことが必要かなと思いました。 ○大橋座長  ありがとうございました。 ○清原委員  和田委員の最初の問題提起を含めて、いろいろある中で3点に集約して意見 を述べたいと思います。  1点目は、和田委員から、いろいろな地域における担い手、組織、あるいは 主体性を持った団体があると思うけれども、町会というか自治会というか、そ ういうものの可能性についてもう一度見直すことも有用ではないかというご 指摘がありましたが、三鷹市は都市の中のとりわけ勤労者が多い地域であるに もかかわらず、今和田委員がおっしゃったようなことを、私もこの間痛切に感 じて、むしろ町会、自治会等の活動を支援する取り組みを強化してきました。  そう申しますのは、地域福祉のこれからを考えていくときに、やはり一番重 要な1つの視点は「地域」をどうとらえるかということで、地域が都道府県の ような広域のケースもあるでしょうし、市町村という基礎自治体というケース もあるでしょうし、さらに今回私は伺えませんでしたが、日立市さんの取り組 みのような学校区というか学区というか、そういう分け方が有効に機能してい る場合もあるでしょう。さらに町会とか自治会とか、そうした組織が有効に働 くこともあるでしょう。  それは、もちろん目的や様々な地域福祉に関する機能の果たされ方によって 一方で類型化して明確にする必要があるかと思いますが、あわせて多層性とい うか、複層的に存在しているということの意義も常に押さえておく必要がある と感じています。  したがいまして、町会、自治会の中で既に持っていた相互扶助の機能を果た す担い手の中に、やはり核となるメンバーとして、2点目の問題提起ですが、 やはり従来の民生委員・児童委員がどうかかわれるのか。あるいは、何らかの ボランティア活動をしている層がどうコーディネーター機能を果たせるかと いった、「住民が備えるべき地域福祉の担い手としての専門性」はどの程度ま でか、そしてそれをどのように習得していけばいいのか、そしてそれを維持し て向上させていくにはどのような仕組みが必要か、人材の発掘と潜在的な人材 を顕在化していくためにどのような働きかけが有用かということなどが、次の テーマになってくると思います。  そこで私たち三鷹市が試みました取り組みの1つの事例をご紹介いたしま すと、「地域ケア」というのを進めていく上で、1つのヒントとして「傾聴ボ ランティア」を昨年度から養成してきました。これは高齢者や障害者を、直接 市民の皆様が訪問したり、あるいは老健施設等に出向いていただいたりして、 高齢者や障害者の生の声を聞くというボランティアですが、養成については市 が社会福祉協議会と共催し、主体的な指導者はNPO法人にお願いしました。  こうして市と社会福祉協議会とNPOの協働で行った事業でございますが、 受講者には民生委員・児童委員やボランティアの方も参加してくださいました が、町会・自治会で活動している方や、勤労者だったけれども何かできるので はないかと全く初めて参加された方もあぶり出されてきていました。今年度も 合わせますと80名ぐらいが具体的な活動に入りつつあります。またこれは、 来年度以降重要になってきます認知症サポーター養成の取り組みとも連携し ていくことになるかと思います。  3点目に、実は地域福祉の問題を考えている人と、地域の防災や防犯を考え ている人がかなり重なり合うということをこの間実感してまいりました。高齢 者や障害者の生活支援をしている方々は、火災を起こさないようにどうしたら よいか、震災時にどう助け出そうか、あるいは窃盗や振り込め詐欺等の被害か ら守りたい、悪質商法から守りたいというふうに、実は地域福祉で高齢者支援、 障害者支援あるいは子育て支援をする中で、社会全体の安全・安心にかかわる 取り組みを同時にしていく必要性や、あるいは有効性を考えて取り組んでいる ケースが顕在化してきました。  たとえば、私が市長になりましてから、三鷹市ではかなり様々な団体と防災 協定というのを交わしているのですが、今年度の象徴的なものの1つに、理容 師の皆さん、東京都理容生活衛生同業組合の三鷹支部の皆様と防災協定を交わ した事例があります。これは災害時の避難所での理容サービスの提供に関する 覚書だったのですが、同時にこの方たちは、今まで取り組んでいた福祉的理容 サービスを正式に「ケア理容師」という資格で行うこととしました。今年度、 三鷹市の高齢者施設と共催で研修を行いまして、高齢者、障害者等にボランテ ィアで理容サービスをするという福祉的な取り組みについてもやっています。  防災協定を交わしつつ、しかし実際に日常的にはケア理容という形で地域福 祉のボランティアもしてくださっているのですが、他には、助産師会の皆さん は子育て支援でかなり活躍をしていただいておりますが、災害時の救護所にお ける臨月の方や妊婦さんの相談に乗りたいということで、これもまた災害時の 応急救護に関する協定を交わしました。  これらは1つの例に過ぎません。私たちが地域福祉の取り組みをしていくと きに、防災防犯の取り組みというのが伴われることによって、より自主防災組 織の方たちが地域福祉にも関心を向け、そしてまた防犯協会等々そうした取り 組みをしている団体や商店やボランティア団体が、地域福祉という観点から活 動を広げていく可能性があるように思いました。  そこで国として地域福祉についてこれからどんな取り組みが有用かという と、具体例は本当にいっぱいあるということを昨年のヒアリングで学ばせてい ただきました。そのときに、しかしすべて類型化してきれいにできるものでは なく、基準をつくる際には地理的な状況や目的やこれまでの経過を踏まえた、 一面的ではない類型に基づいた基準のガイドラインが必要でしょうし、また担 い手も公共団体だけがするわけでもなく、既存の社会福祉協議会や民生委員・ 児童委員等の活動は大いに尊重しつつ、新たなるNPO等との連携によって補 強していく、あるいは新たなる地平を切り拓いていくことができる可能性がは っきりしてきたと思います。  そして3点目のように、地域福祉を深めていくということは、実は福祉の役 割を進めることだけではなくて、地域全体の暮らしの質を向上させ安全・安心 の面でも高めることができる切り口としてひじょうに重要ではないか、という ことが明らかになったのではないかと思います。以上3点に絞ってお話ししま した。ありがとうございました。 ○大橋座長  ありがとうございました。それでは佐藤委員。 ○佐藤委員  よく言われていることですけれども、1つは「福祉の地域化」ということで す。制度はどんどん地域に向かう、例えば施設から地域へという動きが出てき たり、在宅での生活を支える仕組みとか自立生活支援法という流れは、福祉が 地域化をしているということで、福祉制度自体も地域へ向かっていっています。  そういう中で、木原さんも少し言われていましたけれども、専門職の皆さん が本当に地域での生活を支えるような視点に、変化をしていっているのかどう かというと、なかなかそこは難しいようです。提供側の理屈と言われています けれども、地域生活を送る生活者としての視点で生活が支えられるような、視 点の変化が起きているのかどうかということは、1つ見ていかないといけない 部分だと思います。  もう一つ大事なのは、今度はちゃんと受けとめられる地域にしていくという ことです。最初にもお話しさせていただいたと思いますが、そこができてこな いと、いくら地域生活といっても実現できないわけです。例えば地域に精神障 害の人たちが帰っていっても、それをはじき出してしまう地域であれば、これ は地域生活を実現することは不可能です。どういうふうにすれば地域が福祉に 注目して福祉のことを考えるようになっていただけるのかというのが1つ大 きなポイントです。日立市の事例でわかりやすくいえば、コミュニティ活動を 最初はやはり行政が仕掛けているわけですね。でも、両方の地区で言われてい たのですが、どこかの時点でやはり住民主体でやろうということで切りかえを ご自分たちでされている。やはりそういうポイントがちゃんとあって、住民主 体で動き出すことでいろんな活動がそこから展開するようになっていってい る、そこが一体何なのかというところだと思うのです。これは私どもの経験で もそうですけれども、我々が形をつくったものを「地域の中でやってくれ」と 持っていくと、これは社協のお手伝いをする活動にしかならないです。そのこ とをそのとおりにやって「どうや、もうやったけどええか」という反応にしか ならないわけですけれども、皆さんにニーズを見ていただいて、ご自分たちで どうするか判断されてご自分たちが主体的につくった活動というのは、ニーズ の展開に合わせてどんどん活動が展開していくわけです。自分たちが活動しな がら次のニーズが見えてくると、そのニーズに合わせた次の活動が生まれてく るという展開が起こっていきます。局長がくしくも中でおっしゃっていました けれども、やはり住民が主体的に活動できる組織をどうつくってもらえるのか というところがひじょうに大きなポイントで、仕掛けや仕組みで、さっきも言 われたように全国的に大きく見てつくっていくと、その主体性がどこまで出せ るのかというところが一番のポイントかなと思います。その主体性を生み出す ためには、その地域に必要なニーズ、生活課題は何があるのかとか、その地域 でこれまでの歴史的な背景も踏まえてどういう形で対応ができるのかという ことを、地域地域で考えていただけるような場をどういうふうにつくっていた だくのかということに尽きるのかなと私自身は考えています。  もう一つは、先ほど言われていました自治会と活動グループの関係。地域の 中でものを考えたり意思決定をしていただく枠組みとしては、やはりどうして も自治会みたいな網羅的な組織があって、そういう中でそこの住民の皆さんの 意見を吸収したり意思決定したりという場が必要だと思います。しかし、自治 会の力が弱くなっているなかで、具体的にそこで生活支援の活動までかぶせる ことが自治会の活動を活性化させるかというと、これは逆に役員のなり手がな いとか、具体的なそういう声になってはね返ってくることになります。先ほど 和田委員が言われていましたけれども、実際に活動する部分については活動し たい人たちが集まって活動できるような枠組みを、少し広げた地域でもいいで すからつくっていく。それが日立市であれば、学区の社協という仕組みかなと 思います。協議できたり意思決定ができる、もしくは情報収集ができたり情報 が共有できるという場と、具体的に活動するところ、活動したい人たちが集ま ってきて活動する場というのを、並立させていけるような仕組みを考えていく。 それを一つのものでやろうとするとお互いに無理がくるような気がいたしま した。以上です。 ○大橋座長  ありがとうございました。それでは長谷川委員、どうぞ。 ○長谷川委員  この間、日立市の視察へ参加させていただきましてありがとうございました。 塙山等いろいろと皆さん方の話も伺ってまいりました。ああいった狭い地域の 中でより細やかな地域福祉対応がされていたわけですから、そういう意味から いえば、民生委員という古いイメージから新しい地域福祉コーディネーターに 名前を変えてほしいというような要望もありましたが、それはそれとして全国 的にはそういうわけにもいきませんが、しかしながら狭い地域の中で細かな対 応をすれば、そういう考え方にもなってくるのかなと、率直にそのような感じ はいたしました。  しかしながら、私たち横浜におりますと、住民のニーズはひじょうに多様化 しているわけでございまして、福祉施設がいろいろと建っておりますけれども、 なかなか人手が集まらなくてオープンすらできない、オープンが遅れている、 こうした実態があるわけです。決して立派な施設ができればいい福祉が成り立 つかというと、決してそういうわけではないと私は思っています。  そこには、生きがいを感じとってもらえているのかどうなのかというのが一 番のもとになってくるのではないか。またその支援を求めている方々に、その 夢と希望をいかにかなえてもらえるのかということが、我々民生委員に与えら れた一番の課題だろうと思います。  そういうことをする上においては、やはり行政と町内会とか、あるいはボラ ンティアにしても社協にしても、そうした連携の仕方をこれから少し考えてい かないと、それぞれの立場でそれぞれの方針でどんどん進んでもなかなかうま くいかない部分があるのではないか。そこで、これからの地域福祉を進める上 においても、そうした連携というけれども、その連携の仕方をうまく持ってい かないと、せっかくその気持ちになってもなかなかできないだろうという気が 率直なところいたしました。そういう意味で、我々も新しい地域福祉の構築に 向けて少しずつそういうことも考えながら、議論を重ねながら進めてまいりた いと思っております。 ○大橋座長  どうぞ、今田委員。 ○今田委員  僕は、あまり細かい現場のことは知らないのですけれども、福祉ということ についてはそれなりに考えることがあるのですが、この20年ぐらいの間に随 分福祉というものの考え方が変わって、かつては再分配といいますか、社会保 障で恵まれない救済するための制度が福祉の主たる目的だったけれども、最近 はそういう方向ではなくて、救済からエンパワーメントというのでしょうか、 その人がいろんなことができるように力をつけるという方向へかなり福祉が 変わっていっているというか、お金がないのも原因でしょうけれども、人が生 きていくためのエンパワーメントをどういうふうにするかということが1つ の大きなポイントになっているのではないかと思うのです。  そのときに、今までのいろんな福祉のやり方は、行政が福祉を担当する。こ れはあまねく公平だから、いつも手続きに時間がかかって、必要なときに必要 なサービスがなかなか得にくい難点があった。市場の提供するサービスは、お 金がある人はできるけれども、そうでない人にとってはうまくいかない、効率 を追求しますから。そのちょうどすき間にボランティア活動が入っているんで すよね。  ところが問題なのは、ボランティアというのを、人のためになるという感じ でやると長続きしない。長続きする人は、ボランティアは自己実現のためにや るのだと。そういうことが確認できないとだめなんですね。続かない。だから 行政はあまねく不公平がないように公平にやる。市場は効率的にやる。この両 方を満たしていればそれぞれいいのだけれども、そうでないボランティアの場 合は当人がいかに自己実現をするか。支援することが自己実現につながるとい う流れができていまして、何も人のため、他人のためにやるというのではなく て、やっていることは他人のためになっているかもしれないけれども、最終的 には自分のためになっているという、そこら辺を上手に設計しないと、途中で やっぱりやめるかという感じになるのではないかという気がします。  それから、私は社会システム論をやっているのですが、今まで管理システム というのはものすごく整備されてきているんです。六法全書、法による管理か ら行政管理その他等々、管理型タイプの社会運営はたけているのだけれども、 今大事なのはボランティアにもみられたように支援です。支援ってとっても難 しいことで、支援学というのを仲間と一緒にやっていますが、支援学というの は相手次第なんです。自分が目標達成したらいいというわけではなくて、相手 がエンパワーするようにこちらがその相手を見ながら自分の動きを決めなけ ればいけない。これはまさにケアリングですが、ケアリングってそうすること なのでしょうけれども、だからケアリングというものを通じたサポートはどう いう条件がそろっていればいいか。いくつか5つ6つあるのですけれども、ま たそれはおいおいお話しさせていただくとして、そういう世界をきちんと地域 社会の中につくり上げる。  それともう一つはリスク管理ですね。リスクはいくら管理してもいいのです。 リスクをサポートする必要はないのであって、最近は安全・安心の面で不安に なる人が多いので、リスクをうまく管理できるということが福祉の1つの大き なポイントになるのではないかと感じております。  それで支援のことですが、行政がやるのは公助と言われて、市場でやるのが 自助で、ボランティア、NPOその他でやるのは共助。昔は互助会で互助と言 っていたけれども、あまりイメージがよくないので公共の「共」の方がよくて、 この共助の空間をどう地域社会の中に設計するか。もちろんボランティアも失 敗がいっぱいありまして、資源不足だったり、温情主義に走ったり、組織運営 のノウハウをあまり知らなかったり、専門的知識もないという弱点も持ってい るので、この弱点を行政サイドがどう補うか、及び、市場の方でどう補うか、 補助支援するかということもとても大事なのではないかと思っております。  そういうことから、支援をメーンにして福祉というものを、先ほど皆さんが おっしゃっていて私もそのとおりだと思っていますので、要するにボランティ アとかNPO自身もエンパワーされて担当している人が自己実現できるよう な場をつくっていくということが、とても重要なのではないかという感じがし ております。 ○大橋座長  ありがとうございました。どうぞ、金井委員。 ○金井委員  私も福祉の専門家ではないので、なかなか議論についていけないところがい くつかあったのですけれども、事務局の資料に関して、今後議論の1つの焦点 になると思いますのでいくつか感想ないしコメントです。  まず大きな1つは、地域福祉における「地域」ということをずっと考えてい たのですが、いろんな議論を聞いていくと、どうも4つぐらいの異なる用法が あるような気がいたします。1つ目は単純に空間ということです。これはおそ らく他の機能的な政策とか制度の残りの部分ですね。残りを地域という概念で 全部引き受けるという意味です。機能的な概念からいうと、残りの部分という ことでの地域という概念がどうも1つ使われているようであるという印象を 受けています。  それから2つ目は団体ですね。何らかの地域における団体というものが暗黙 のうちに想定されているような印象を受けます。それは担い手の場合もあれば、 危機管理のニーズの決定とか、ニーズを発見するとか、ニーズを認定するとい うものを含めてですが、団体が想定されているという印象を受けます。  それから3つ目は、利用者主体という基礎構造改革の延長なのですけれども、 おそらく人間が地域にいるというのを前提にした上で、人間を焦点、あるいは 利用者を焦点にした概念として、この地域が言われているような気もする。た だしこの場合の地域イコール人間と言えるのは、その人があまり動かないとい うことを暗黙の前提にしていまして、毎日通勤通学したり移動している人は地 域福祉の対象としてどうも入ってきていないようであるということがあって、 何か個人を地域の名のもとでみているという印象を受ける。  それから4つ目は、地域における人間関係の結合といいますか、ある地域に おける連携とかネットワークがあるという状態を指して、どうも地域と呼んで いるようである。  まだ他にあるかもしれませんが、聞いている限りは、どうも4つくらいの用 法を論者によって文脈によって渾然一体となりながら議論しているような気 がいたします。そこで地域福祉は何なのかというのをちょっと理解しにくい。 別に理解したからといって、ただちに地域福祉が盛んになるわけではないので すが、理解した上で盛んになるということをちょっと整理できればと思ってい ます。  どうも聞いている限りは、4番目の「地域におけるある状態」というものが どうも地域福祉の対象なのではないか。あるいは目標状態なのではないか。だ から既存のサービスが、利用者であるとか、給付を受ける人とかクライアント とか、そういう人を想定しているのに対して、福祉の対象概念がどうも違うよ うな気がする。だからそこでは担い手ではなくて、やはり地域というのは対象 であって、ある相互に助け合えるような状態ということ自体がすでに政策目標 のように論じられているのかなという印象を持ったのです。今後整理すること ができればと思っています。  それから大きな2つは、論点5、6とかかわるのですが、あるいは既に木原 委員とか清原委員その他から言われていることだと思いますが、この制度とか 施策の範囲がどうも非常に広そうであるということがあります。事務局資料の 6で書かれているのは極めて限定していて、どこの所管の範囲に入るかわかり ませんが、極めて限定したカテゴリーである。おそらく介護保険とか医療とか そういうのを考えないことは、地域社会ではあり得ないのではないかという話 もありますし、防災とか建築の話とか普通に考えたら出てくる。それが仮に落 ちるのであれば、地域福祉の最大のポイントも消えてしまうのではないか。そ う思うと、この施策と制度をどういう意味内容で使っているのはそもそもわか りませんが、この施策と制度の範囲をどこまで広げられるのかということは非 常に大きなポイントです。外国人問題であるとか、いろんな問題が多分出てき ていたような気がします。  ここら辺はどういう範囲でしょうか。そもそも制度と施策という概念が何で 2つあるのかよくわかりません。その上でさらにどういう範囲を想定している のかということ。特に生活保護という根幹的制度がここに書いていません。こ れは社会・援護局の所管内でありますけれども、それさえも入っていないので、 一体どういう範囲を考えているのかなと。あるいは、どういう範囲まで広げる べきなのかなということが、1つ大きな問題なのではないかと思います。  これに関連していえば、地方自治法第1条の2第1稿においては「福祉の増 進」というのは結局自治体の任務だと書かれているので、概念的にいいますと、 自治体のやることは全部福祉なんですよね。地域における事務を総合的に担う 地方公共団体というのは住民の福祉を目指すと言っていると、ほとんど自治体 の行うことは皆地域福祉だという概念まで広げ得るんですね。  これはハードの面でいうと「まちづくり」という言葉がそういうふうに使わ れますよね。国交省のいうまちづくりというのは、中心市街地を活性化するこ とだけだと考えていますが、世間で一般にまちづくりといいますと、地域にお ける諸問題をハード的な問題も含めて全部やるという概念になっていて、普通 は見守りとか全部含んでいるわけですね。そういう意味では、この地域福祉と いうのは、すなわち自治体のやることすべてだとも考えられるし、おそらく地 域社会で活動している方はそういうふうに、全部やりたいということになると 思います。どこまで拡張できるのかということが非常に大きなポイントなので はないかと思います。  大きな3点目は「行政の役割」と書いてあるところが非常に問題であります。 この場合の行政というのはどこなのかというのが最大の問題で、市区町村なの か都道府県なのか国なのかというのは非常に大きなテーマになるわけです。や はり地域福祉で考える上では、市区町村を基本にせざるを得ないと思うのです。 合併とか、あるいは限界集落という意味で、市町村自体も本当に市町村内のす べてのエリアをカバーできるかどうか、とても微妙になっています。市町村行 政自体が撤退しつつある中で、地域福祉というのをどう考えるのか。  最後の担い手である市町村が撤収を始めているというのが限界集落です。そ もそも合併というのは、周辺部からの撤退というものですから、ここは相当に 大きな選択を迫られるかなと思います。ただ同時にニーズの認定とか、あるい は公共的決定を考えますと、やはりボランティアであるとかNPOに最終的な 意思決定は正統的にゆだねにくいということがあって、どうしても選挙で選ば れた市町村長のもとで決断をしていくということが最後の場面では必要にな ると思います。行政の役割というよりはむしろ地域政府の役割というべきです。 行政だけでなく政治的意思決定としての所在を明確にした上で、公益団体であ るとか国がどのように補完するのかということで論じていただければと思い ます。  以上長くなりましたけれども、感想あるいはコメントです。 ○大橋座長  ありがとうございました。 ○小林委員  問題意識としては、地域の福祉がコミュニティ全体を活性化する方策は何か ということが大きなテーマかなと思います。コミュニティがしっかりしていれ ばいいのですけれども、そうでない場合に、福祉がどのぐらい地域のコミュニ ティづくりに寄与できるかというのを問題意識にしたいと思います。これまで 今皆さんがいろいろおっしゃったので、私はちょっと違う観点からお話させて いただきます。  コミュニティで活動する人たちのイメージがいくつか出てきていました。以 前来ていただいた「すずの会」のリーダーの方ですが、あの方は地域のことを ひじょうに意識しながら、しかも自主的にいろんなネットワークをつくってい らっしゃるかたでした。木原委員は「世話やき」といっておられるので、こう いう概念をどういうふうに位置づけていくかということが1つの課題だと思 います。  社協にはこれまでコミュニティワーカーという概念があり、これは地域のい ろいろな活動を指導しておられると思います。専門的な観点からアドバイスを したり、住民の主体性をつくり上げていく活動をしていらっしゃると理解して います。もう一つコミュニティソーシャルワークという概念が―これは大橋座 長の専門分野ですけれども―ありまして、個別支援を中心とするワーカーの設 置が必要だという議論になっているかと思います。  これを民生委員をあてはめてみますとどうなるのでしょうか。おそらく、世 話やきさんとコミュニティワーカーとコミュニティソーシャルワーカーの全 部をやっておられるようにも思います。大変なことだと思いますが、逆にちょ っと荷が勝ち過ぎるのではないか。対象によってすこし機能を分けるというよ うな議論があってもいいかと思います。  もう一点は、先日訪問した日立市の塙山の話で、あまり英語を使ってはいけ ないかもしれませんが、お話してくださった方々はコミュニティ・マネジャー と呼んでもよいのでしょうか。いろいろな活動をある形にして行政に持ち込ん だり、行政から来た課題を適当にうまく組織化してやっていくということにな るのでしょうか。  いずれにしましても、コミュニティと福祉地区とを人材面からの関連をづけ てゆくことで、イメージをつくっていく必要があるのではないかという気がい たしました。 ○大橋座長  ありがとうございました。どうぞ。 ○河西委員  実は私は学者でも何でもなくて難しいことは全然わからなくて、一町会の会 長ということでこちらの方に呼ばれてきました。そのために難しいことまでは 説明できませんけれども、私はここへ来るまではずっと、地域福祉というのは、 横浜にあるいわゆる町会の集まり、連合会単位にある地区福祉協議会、地域福 祉協議会というところがつかさどるところが地域福祉かなという概念で来ま した。  いろいろとお話を聞くうちに、全国津々浦々を見ますとそれぞれ違いがある な、大きな違いがあるなというのがよくわかりました。そうしたときに施策あ るいは制度というのを立ち上げる上でどういうことに気をつけなければいけ ないのかというのも、実は我々が普段不都合に思っている部分かなと思ってお ります。  地域で福祉を進める上で何を目指すかというと、さっき金井委員がおっしゃ ったように、実は地域活動すべてが福祉だと思っています。そして、制度、政 策がどう住民のために有効に機能するか、させるにはどうしたらいいかという ところが、実は私どもが日々活動する中で考えるところでございます。  それにはやはり重層的な考え方といいますか、あるべき団体がすべて結集す るということが必要になってきます。それが実は連合会単位でつくる福祉協議 会であって、その中には当然民生委員も、保健活動推進委員、あるいは防災関 係消防団、あるいは学校関係すべてを網羅するというのがこの団体でございま す。  そうした中で実は横浜市も相当格差がございます。地域によって大きく活動 の格差がございます。なぜこれが生まれるかということですが、それは先ほど から皆さんのお話にあるように、キーマンとなる方、あるいはそこに施策とい いますか活動の方針を決める人がいないということが、大きな原因ではないか と思います。  今地域福祉計画ということで、横浜市では地域福祉保健計画とよんでいます が、地域で自主的に活動を考えなさいという内容で3年目に入っております。 その有効な機能の仕方は、やはり専門家である行政が指導しなければ進まない ことは事実です。自主性と言おうと何と言おうと我々は素人ですので――素人 といいますか考えが浅いので、しっかりとした施策をもった人が指導すること が大切です。  それにはやはりワークショップ的なものをどんどん開いて、軌道を修正とい うよりも先導する形で進めていただいて、地域の方々をその活動に駆り立てる という場面をつくっていくことが必要ではないか。その単位が実は連合会単位 ぐらいかなと思っています。  私どもでは町会内で福祉賛助会という福祉専門でやるボランティア団体を 立ち上げていますけれども、町会の大きさがまちまちでございますので、100 世帯前後からあるいは3,000というものもありますので、連合会は小学校区ぐ らいになっております。その単位で人材を集めて、行政から、あるいは社会福 祉協議会等も加わりながら、多くの方々のお知恵をいただきながらワークショ ップを開いていただいて、地域の教育をしていただくことが第一かなと思って おります。よろしくお願いします。 ○大橋座長  ありがとうございました。今日はフリートーキングですから、こちらでまと めるというよりも皆さんからいろいろ意見をいただいて、それを事務局と相談 させていただきながら整理をしたいと思っておりますので、今まで多分6回ぐ らいで言い足りなかったことがいっぱい残っているのではないかと思います ので、忌憚なくいろいろ出していただいて結構なのですが。 ○木原委員  和田委員の言われたことで重要なことがあります。自治会はいろんなことを やらされて疲労している。一方で元気な活動グループがある。この元気なとこ ろをどう生かすかということだと思いますが、その基本にあるのはこういうこ とでしょうか。今の地域福祉はたしかにいろいろ整備されている。民生委員も いる、自治会もある、地区社協もできている、いろいろあるけれども、どこか いまいちまだ元気でないところがある、それが地域福祉の推進を妨げていると。  では「元気な活動」をつくるにはどうしたらいいのか。川崎市の「すずの会」 の鈴木恵子さんが、この研究会の席で言われましたよね。「私たち、そういう 組織に組み込まれちゃうとだめになっちゃうんです」、つまり力を発揮できな いのだと。  全社協も言っておられると思いますが、両者が「つかず離れずの関係」をつ くるとか。例えば自治会に組み込まれるとなかなか自由な活動が阻まれるので、 ちょっと離れた状態、しかしどこかでチラッとくっついているようなスタンス のとり方。いずれにしても、「元気な存在」をどちらかといえば主役に置いて、 それを自治会なり民協なりがバックアップすることでその「元気さ」を継続さ せていく、そこがポイントだと思います。  ところが、実際にそうした「元気なグループ」たちに話を聞いていますと、 このあり方を実現させるのは容易ではないということがわかりました。彼らが 主役になって活動しようとしても、そのバックアップ役を担わされる民生委員 や自治会から、「何であんたたちが主役になるの? ただの素人の住民のくせ に」という、物凄い圧力がかかる。ただ和田委員の言われることはよくわかる ので、問題はその「元気なグループ」のフリーな動きをどう守ってあげられる かがポイントになるとは思います。これを「連携」と一言で言ってしまったら、 おそらく問題は解決しないままでしょうね。 ○大橋座長  はい、どうぞ。 ○今田委員  さっき言い忘れたのですが、6番の既存の施策をどのように考えるかという、 これは何度かこの中の共同募金とかその他等でこの委員会でも説明を受けま した。そのときのイメージですが、古いなという感じがしていて、これじゃ世 代継承して若い人たちがさっきおっしゃった生き生きと地域のコミュニティ の福祉づくりに乗れないなというイメージを抱いていまして、ボランティアは いいにしても民生委員とか、生活福祉貸付制度とか、共同募金とか、このイメ ージは若い人にはちょっと勘弁してくださいという感じになるのではないか。 もうちょっとネーミングの工夫も……中身をこれだけ変えていこうと、単なる 救済ではなくてというふうにしていくのであれば、ネーミングもそれにふさわ しい名前に変えていく必要があるのではないか。  それからもちろん趣旨も少しずつ変えていっていいのではないかという気 がします。制度を維持しながらもそういう変更はあっていいのではないかとい う感じがしておりました。 ○清原委員  皆様のお話を伺っておりまして、私は改めて2つの視点を提示したいと思い ます。  今日は、出席委員のうち、珍しく私1人だけが女性の委員なので、改めて男 女平等参画の観点から申し上げますと、地域福祉の事例をいろいろ伺っている ときに、女性の方の報告者が他の審議会に比べて多いということに委員の皆様 は気づかれたのではないかと思います。実際に地域福祉の現場で、専門家であ れボランティであれ女性の皆様の活躍は顕著です。ただ全体としてみますと、 必ずしも女性、男性という分け方を論ずるような段階まで今行かず、まさにこ れから全体としての機運が盛り上がり、活動が活性化していくべき領域だと思 うのですが。  これは都市部でみられていることですけれども、長寿化の中で男性も若い段 階から、子育て支援の問題にも自分の子どもがいない人もかかわろうとする。 あるいは長寿化の先に自分たちが地域でどのように生き続けるかということ については、実は高齢者になってから、あるいは退職後に考えるのでは遅くて、 今から準備をしていく必要があるという意識を、いわゆる2007年問題はかな りそのようなことを顕在化させたということもあると思います。  福祉の方で明らかにはなっていないのですが、三鷹市の場合ですと、「父親 の会」とか「おやじの会」というのが各小学校で毎年のように設立されていっ て、学校のコミュニティスクールにかかわる、あるいはキャンプであるとか学 校に宿泊する事業にかかわってくるということで、母親だけではなくて父親も その台頭を示してきております。今後必ずしも性差の切り口というのが前面に 出過ぎる必要はないと思いますが、より性別を超えて男性も活躍する地域福祉 のあり方を考える必要というのも1つあると思います。  2つ目は「居住形態」ということです。さきほど限界集落のお話をいただき ました。限界集落の事例をお聞きしたときに、限界集落では孤独に1人高齢者 が住むという体制から、グループホーム化を図りつつ見守りも有効にするよう な集合して住むということを進めている例もみえてきたようです。反対に都市 部では、集合住宅が圧倒的に多いわけですが、集合住宅も高齢化していく中、 今までは管理組合的なつき合いしかなかったけれども、地域福祉の観点や防災 防犯の観点から新たに町会的な組織をつくっていくにはどうしたらよいかと いう、それも1つの棟だけでつくったのでは30世帯とか50世帯のところ、も っと地域の集合住宅が連携してはどうかという動きが、例えば三鷹市内でもあ ります。他の地域でも起こってきているようです。  ですから限界集落の中では、分かれて戸建で住むよりも、ともに住むグルー プホーム化が進む動きがある反面、集団で住んでいるところでは、お互いによ り名前と顔を一致させようという動きがあるようなことから、地域といっても 居住形態や年齢構成等で地域福祉のあり方に新たな観点が加わるかもしれま せんので、「居住形態」という切り口も重要ではないかと考えました。以上で す。 ○大橋座長  ありがとうございました。私もちょっと論点を整理する意味で、金井委員に お聞きしたいのですけれども、とても大事なご意見を先ほどいただいたのです が、福祉の増進といったら地方自治体の任務全部だという話をされましたね。 多分そうだろうと思う。ただそう流れの中で、どうしてもやや問題を抱えてい る福祉サービスを必要とする人たちが、いろんな意味で日の目をみないとか焦 点が当たらないという状況が起きてきているのだと思います。それらの問題を 解決するときに、行政だけでは対応できなくて、自治会だとかあるいは校区社 協だとか、そういう任意の団体などもいろいろと活用してきたけれども、そこ もどうもアップアップしてきているのではないかという状況だと思います。  今田委員も言われた救貧ではなくて住民のエンパワーメントをしながら助 け合っていくというときに、任意団体的な組織で、果たして行政の役割との関 係が意味を持つのかということをずっと考えていて、ここの検討会でも、地域 福祉推進の基礎組織をどう考えるかといったときに、市町村よりももっと下の コミュニティ協議会的なところに権限をおろす可能性というのは今後相当あ り得るのでしょうか。 ○金井委員  大変難しい問題だと思いますが、公共的意思決定ですから、その正統性がど こにあるのかという担保が一番問題になります。1つには、これが期待通りに 機能しているかどうかはともかくとして、一応選挙というのはそれなりに意味 があると思うんですね。やはりいざとなったらある市長がよくないとなれば落 とせる、あるいは落とせないということが、最後の担保になるというのがあっ て、どうしてもデモクラティックコントロールに基づく正統性というのは1つ あると思うのです。  ところが地域の場合というのは、選挙によるデモクラティックコントロール がない団体なのです。ない団体でどういうふうに地域化していくのか。例えば オランダとかドイツで市町村より小さいものをつくるときに、結局選挙をやれ ということになるのです。選挙をやらないと憲法違反であるという話にどうし てもなっていくのです。が、日本の場合には、地域自治区を導入するときに公 選制を出そうとした総務省に対して、全国の議員関係者が抵抗したらしいとい う説があって、それが実現できないのです。議員関係者には自分たちの民主的 正統性を独占したいということがあったのかもしれませんが。ともかく、選挙 がない場合にどこまで地域に正統性があるのかということが非常に大きな問 題になります。そうしますと結局のところはだれか政治的な正統性を持った人 が委嘱したとか任命したとか、あるいはその人が権限を細かく定めたという形 で言わざるを得ない。そうすると、正統性の出どころが民生委員のように厚生 労働大臣になるのか、それとも地域の市町村から来るのかはともかくとして、 コミュニティ協議会や地域の基礎組織が、自分で正統性の根拠を持てないので、 どうしてもお上志向になってしまう。  もう一つは、別の正統性は専門家だということ。ちゃんと勉強して知識もあ っていろいろ考えているところで正統性を持つ。たとえば医者なら医者の診療 行為に基づいて診療報酬が出るというのが可能なのです。けれども、それはま た専門家の主導になってしまうという問題で、地域福祉といちばん対極になる ということなんですね。  だから、どこまで地域の団体が公開性とか正統性を持てるかということなん ですね。世話やきをやっていれば、皆がその人をありがたいなと思えば確かに 正当なのですが、「いつまでたってもあの人が仕切っていて言うことを聞いて くれないけれども、かわってやるのは大変だし」と思うと、あまり信任されて いない世話やきさんとか町会長さんがいると、正統性もないけれどもかわる人 もないということ。地縁団体に対して権限を渡しにくいというのは、やはり正 統性がないという問題が残っていて……。  私は最終的にはコミュニティリーダシップは選挙で支えざるを得なくて、市 町村が出張っていくしかないのではないかと思っているのですが、市町村は地 域福祉としては圏域が明らかに広過ぎる。しかも合併してますます中心部に逃 げているので、実態上は困っているというのが一番大きい……。全然お答えに ならなくて、いかに答えがないかということだけ説明していてまことに申しわ けないのですが、今後とも考えてみたいなと思っています。  個人的には、昔は地域選出単位の議員というのは、事実上選挙で選ばれた地 域の公的な地位であるとともに世話やきもできたのです。けれども、今日では、 議員が必ずしも住民から信用されていないらしいということがあります。この 前日立市でとても興味深かったのは、NPO活動をやっている方が、議員なの に議員であることが言えないんですね。むしろ議員がNPO活動をやっていて、 当たり前ですばらしくて、選挙でも正統性があった上で地域福祉活動をやれる のだからいいじゃないかと思うと、自分のNPO活動は議員活動と別だと言わ ざるを得ない。議員であるということが地域福祉活動の正統性を傷つけてしま うと思われているらしいと。となると一体何によって正統性が支えられている のかというのを、非常に深刻に思った次第です。以上です。 ○大橋座長  ありがとうございました。いろいろ論点を深めなければいけないことがいっ ぱい出てきまして、今日はありがとうございました。フリートーキングという ことですからまとめませんが、これで前半の議題は終わりにしたいと思います がよろしゅうございましょうか。  それでは、この間やはり地域における相談支援事業というのはたいへん重要 だということでございまして、それについてこれから各局からご報告いただい た上で、富士宮市の土屋さんから話題提供をいただきたいと思っております。 それでは最初に、老健局において、地域包括支援センターにおける相談支援事 業の現状ということでご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○小関老健局計画課長  老健局でございます。資料5をご覧いただきたいと存じます。地域包括支援 センターにおける相談支援について簡単にご説明させていただきます。  表紙をめくっていただきますと、地域包括支援センターの取り組み状況とい うことが書いてございます。平成18年4月施行の介護保険法で定められた地 域支援事業の中の包括的支援事業等を、地域において一体的に実施する役割を 担う中核機関として位置づけしているものでございます。  イメージ図をご覧いただきたいと思います。社会福祉士、主任ケアマネジャ ー、保健師、この3職種間での連携、チームアプローチをとることによって利 用者一人一人のケアマネジメントの継続的な支援、重層的な支援と自立の支援 に向けた取り組みを行っていく、そういうことが期待されている役割を持った 組織でございます。  3ページでございますが、総合相談支援事業というのは包括的支援事業4事 業の中の1つに位置づけられているものでございます。財源としては左側の地 域支援事業交付金ということで、平成20年度はこの包括的支援事業等のため のお金として、介護給付費の2%以内を充てることができるということになっ ております。  総合相談支援事業の中身でございますが、右上にございますように、地域に おける関係者のネットワークを構築するとともに、高齢者の心身の状況や生活 の実態、必要な支援等を幅広く把握して、相談を受けて、地域における保健・ 医療・福祉サービス、機関、制度につなげることを支援する役割をここで担お うということで行っている事業でございます。  次のページをご覧いただきたいと思います。地域包括支援センターでござい ますが、平成18年4月から今年の4月1日までの2年間で整備することにな っております。20年4月から本格施行ということでございます。設置主体は市 町村ですが、直営もございますし、一定の法人に委託することも可能というこ とで運営がなされております。センターの設置数は、昨年4月末現在で3,831 カ所、1市で1カ所の地域包括支援センターという自治体もございますし、複 数の圏域に分けてセンターを設置しているとか、いろいろ種類がございます。 保険者数としては1,640ということで、まだ30保険者については設置されて おりませんが、今年の4月1日時点ではすべての保険者がこのセンターを設置 することができる予定になってございます。  次のページでございますが、総合相談支援業務の内容でございます。3点に 分けてお話しいたします。1点目は地域におけるネットワーク構築ということ で、センターの方で支援を必要とする高齢者を見出して、様々なサービス等適 切な支援につないでいって継続的な見守りを行っていくということでござい ます。先ほど来お話が出ているように、民生委員、医療機関、福祉事務所、ボ ランティア、自治会といった方々のネットワークが期待されていると理解して おります。  それから2番目でございますが、実態把握。総合相談支援を適切に行う前提 として、ネットワークを活用する他、例えば高齢者世帯への個別の訪問とか、 あるいは同居していない家族ないし近隣住民からの情報収集といったものを 行って、高齢者の、あるいはその家族の実態把握を行うということが重要であ ると考えております。特に、地域から孤立しているような高齢者のいる世帯、 あるいはその高齢者の介護を含めた様々な課題を抱えているような世帯など、 支援が必要な世帯をきちっと把握して、その世帯の高齢者、あるいはそれに加 えて家族への支援につなげていくことができるようにすることが重要である と考えております。  それから3点目が総合相談支援ということで、初期段階での相談支援につき ましては、様々な相談を受けて、その状況を把握して、専門的、継続的な関与、 あるいは緊急の対応が必要かどうかをここで判断していただいて、仮に相談者 自身が解決できることであればその相談内容に対応したサービス等に関する 情報提供を行うということにしております。  それから初期段階での相談で専門的、継続的、あるいは緊急の対応が必要と いう場合につきましては、訪問を含めてさらに詳細な情報提供を行って、課題 を明らかにして個別の支援計画を策定し、その計画に基づいてサービスを受け られるようにする、他の制度につなぐようにするという役割が期待されており ます。それとともにフォローも行うということでございます。総括的に申し上 げれば以上のようなことになっております。  総合相談の実施状況ですが、詳しい分析がまだできておりません。18年度の 延べの相談件数だけ申し上げますと553万件で、その大半は介護保険その他の サービスに関することでございます。介護保険制度そのものに関するご相談で あるとか、あるいは介護サービスを利用したときの苦情相談というものも、こ の中には含まれております。  その他は権利擁護に関すること、あるいは高齢者虐待に関することで、それ ぞれ記載どおりの件数が相談として寄せられているという状況でございます。 簡単ですが以上でございます。 ○大橋座長  ありがとうございました。続きまして障害保健福祉部から、障害者関係の相 談支援事業の現状についてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いし ます。 ○高原障害福祉専門官  お手元の資料6でございます。障害者に対する相談支援事業について説明さ せていただきます。  まず、地域においてどのような相談支援体制がとられているかについてです けれども、障害者自立支援法は障害のある人が普通に暮らせる地域づくりを目 指しております。障害者の地域生活を支援するためには、複数のサービスを適 切に結びつけて調整するだけではなく、社会資源の開発とか改善なども行う相 談支援事業の充実が不可欠と考えております。その相談支援事業が主軸となっ て地域づくりを進めていくために、各市町村に地域自立支援協議会を設置して いただくことをお願いしております。  障害者自立支援法以前は、障害分野におきましてはケアマネジメントが制度 化されておりませんでしたので、障害者の相談支援を実施していない市区町村 も相当数ありましたけれども、自立支援法の施行により障害者の相談支援は市 区町村の必須事業となり、市町村では相談支援事業をみずから実施するか、そ の地域の指定相談支援事業者の中から相談事業を委託するということになっ ております。その結果市町村の相談支援体制は100%実施率となっております けれども、委託率は6割弱という状況でございます。  またケアマネジメントの制度化によって、サービス利用計画作成費という、 いわゆるケアマネジメント報酬がこれに当たりますけれども、この支給を、対 象となる方について個別給付しております。都道府県の役割としましては、市 町村を支えるために各種事業を実施していただいております。次のページをご 覧ください。  相談支援事業の内容についてですけれども、相談支援事業は障害福祉サービ スの利用援助のみならず障害者のエンパワーメント、自立を進めていくいくつ かの実施メニューがございます。相談支援事業には、一定の実務経験を持って、 相談支援従事者研修を修了した相談支援専門員が配置されと選ります。相談支 援専門員は、利用者から出された課題とかニーズを踏まえて、個別の支援会議 を開催し支援計画を立ててまいりますけれども、これですべてのニーズを解決 することにはならないこともあります。このような今すぐには解決できない課 題とかニーズにつきましても、これを集約しながら地域の自立支援協議会につ なげていくといったイメージ図でございます。  また、市町村における相談支援事業の機能を強化するために、地域生活支援 事業の中で、図の左にありますような市町村相談支援機能強化事業、これはい わゆる専門職の配置の事業でありますけれども、そうした強化事業、成年後見 制度利用支援事業、あるいは地域移行を進めていくための居住サポート事業と いうものを設けております。  相談支援体制と相談支援事業について説明をしてまいりましたけれども、こ の図は相談支援を受ける人に着目した図であります。障害分野では、ライフス テージに一貫した支援が必要であるということです。法の目的でもあります障 害のある人が普通に暮らせる地域づくりを目指して共生社会の実現をより確 かなものとするためには、子供のころから障害のあるなしにかかわらず、とも に遊び、ともに学び、ともに暮らしていく環境を整備していくことが必要だと 考えております。  そのためには福祉分野のみならず、乳幼児期におきましては、例えば医療と か保健分野とか、あるいは学齢期におきましては教育分野、青年期になります と労働分野などと協働していく必要が出てまいります。ライフステージごとに 支援者が異なる、あるいはその支援体制が違うということによって出てくる側 面をカバーしつつ、十分にそうした支援体制を引き継ぎ、また連携していくと いうことが求められております。障害のある人のライフステージを切れ目なく 支援していくために、その地域の他分野とのネットワークを形成していく、そ の意味におきましても、自立支援協議会が大変重要な役割を担っていると考え ております。  地域自立支援協議会は障害のある人が地域で安心して暮らしていくための システムづくりを行う目的を持っております。システムづくりの中核的役割を 果たす協議の場でございます。地域自立支援協議会を形骸化させることなく展 開していくためには、ここに書いてありますような機能をそれぞれの地域で具 体的な事例を通しながらよく議論していただく。何のために集まっているのか を明確にさせながら進めていく必要があると考えております。  新潟県柏崎市ですとか刈羽村では、合同で地域自立支援協議会の準備づくり、 小さなネットワークづくりを進めている最中に震災がありましたけれども、顔 の見えるネットワークが進む中で、いち早く安否確認ができたということを担 当課長からうかがいました。  地域自立支援協議会は、単に全大会を年に1〜2回開いて終わりというもの ではございません。相談支援事業によって個々のニーズが拾い集められ、個別 の支援会議で確認されたニーズ解決のための方策を地域のニーズとして整理 し、必要に応じて地域の社会資源の開発や改善につなげていく、そのプロセス を重視しております。  1例を紹介しますと、広島県のある町では、個別の支援会議で、障害のある 子供の放課後を支援する場が欲しいとか、夏休みなどの長期休暇になると親が 介護で倒れてしまうなどの声が確認され、地域自立支援協議会の中でこうした ニーズについて検討が重ねられてきたそうです。その結果、福祉系の大学があ るその市の強みを生かして、その大学出身者からなるNPO法人に学生ボラン ティアの育成と派遣を委託するという事業が始まりました。市単独の事業とし て学生サポーター事業がはじめられたそうです。  地域の実情をよく理解したメンバー、フットワークの軽いメンバーによる活 発な議論を通じ、必要であれば専門部会を付置させてその地域の課題に対する プロジェクトに取り組むことなども期待しております。  最後のページにありますように、市区町村レベルでは今年度中に約8割、都 道府県レベルでは今年度中にすべて設置できる見込みとなっております。今後 さらにこの自立支援協議会と相談支援事業を充実、強化していきたいと考えて おります。以上で説明を終わります。 ○大橋座長  ありがとうございました。続きまして雇用均等・児童家庭局より、子育て等 児童関係の相談支援事業の状況についてお話をいただきたいと思います。よろ しくお願いします。 ○高倉雇用均等・児童家庭局総務課長  資料7をご覧いただきたいと存じます。  まず1ページ目ですけれども、個別の相談支援の事業状況に入ります前に、 そういった相談支援がいかに必要とされているかということに関する1つの 背景、参考情報でございます。ここに2つの意識調査の結果を掲げております けれども、後ほど述べますような様々な相談支援事業が展開しておりますが、 その中で、しかしかなり子育ての孤立感が強い、負担感が強い、悩みや相談の 相手がいないといった方々もまだかなりおられるということが見てとれる、こ ういう状況がございます。  それではどんな事業をやっているか、2ページ目に、多岐にわたるので一覧 的に少し整理してみました。市町村においては、後ほど個別に触れますけれど も、ここに掲げてございますような何種類かの、地域の中でできるだけ身近な 相談支援ということで事業を行っております。また都道府県あるいは児童相談 所設置のところでは、特に困難な事例についての専門的な相談支援を行ってい る。そういった困難な事例の中の特に大きな問題である虐待問題につきまして は、これはまた市町村に戻ってくるような感じで、児童相談所だけでなく市町 村も含めて虐待防止のネットワークを張っていこうと重層的にやっていると いう、これは全体像でございます。  個別につきましてさっと一通りご紹介いたします。3ページで、児童委員・ 主任児童委員でございます。民生委員についてこの研究会でご報告いただきま したときに、あわせて児童委員を兼ねているということ、そしてまた民生委員 を兼ねている児童委員の中から主任児童委員を指名するという制度で行われ ていることはご紹介ございましたけれども、職務内容としては2番に書いてご ざいますように、大変幅広く相談に乗るということになっております。人数は 下にありますような22万人強という状況でございます。  4ページで、児童委員たちは兼務でございますから、活動の中でどれぐらい が子供関係かということ。これは11月に本研究会に提出された資料の中にあ った部分でございますけれども、その中で左下をご覧いただきますと、2割弱 が子供に関することとなっている。そのような比重であるということでござい ます。  5ページの法律の条文は省略いたしまして、6ページで、今度は市町村の行 っております相談支援の中で、もう一つ特徴的なこととして母子保健の諸事業 がございます。まず母子健康手帳を妊娠届けを行われた方に交付することを初 め、妊婦検診の実施、両親・母親学級の開催、訪問指導、乳幼児検診の実施等々 行っておりまして、そういった機会をとらえて主に生育、保健、成長等をめぐ る相談ニーズに対応しているという状況でございます。  次の7ページは、母子保健という視点だけでなく、もう少し幅広くいろんな 福祉的な支援あるいは虐待等の問題を早期に察知して対応するという複合的 な目的意識を持った事業として、平成19年度から国庫の交付金の対象事業と して開始しているものでございまして、生後4カ月までの間に全戸を訪問しよ うといったような事業。ここにございますようなかなり幅広い職能の方々に、 研修を加えた上で訪問していただいて、相談を開始するという事業をはじめた ところでございます。  訪問した上で、どうもこれはフォローアップが必要だなという場合には、7 ページの右上にございます育児支援家庭訪問事業という、個別のケース会議を した上でフォローアップ事業につないでいくといった事業構成になっており ます。  8ページに実施状況が示されておりますけれども、右下をご覧いただきます と全国状況ですが、19年度の状況としては、実施率が、こんにちは赤ちゃん事 業の方が6割弱、フォローアップの事業の方はまだ4割強ということでござい ますけれども、これをさらに全市町村で実施していただくようにお願いしたい と考えております。  9ページは、また違う角度からの相談支援でございますけれども、地域の中 で子育て支援拠点というものを設ける。いろんな類型として、ひろば型とか、 センター型とか、児童館型、どこを拠点にやるかということで若干分けており ますけれども、要は子育て中の親子の方が親子連れでやってきて、ある程度遊 びなどを通しながら自然な形でいろんな相談にそこのスタッフの方が乗って いく。あるいはそこに来ておられる方々が相互間でのご相談もできるといった ような場づくりをしているということでございます。  次に10ページでございますけれども、これは冒頭申し上げた都道府県にお ける専門的な相談の中核になる施設。その名も児童相談所というぐらいで、相 談を中心にということでございますけれども、設置箇所数は近年増えてきまし て、下にございますが、全国で今196カ所となっております。  相談の内訳ですが、11ページをご覧いただきますと、この近年数年間ぐらい の相談件数の推移を掲げておりますが、虐待を含む養護の相談、非行の相談、 障害の相談、育成相談、その他といった内訳がございます。件数的には約7割 を障害、育成関係の相談が占めておりますけれども、実は相談1件当たりの業 務量について平成18年度の調査研究で分析していただきましたところ、障害 相談への対応の業務量が1だといたしますと、例えば虐待相談の業務量は12.8 と、13倍ぐらい手間暇がかかる。あるいは養護の相談ですと6.3ぐらいという ことで、見た目の比重としては障害、育成が大きい感じですけれども、実際に は虐待、養護という部分の比重がひじょうに重くなってきておりますし、ここ でご覧いただきますように特に虐待相談などは数年間で件数比重としても倍 になるというように、虐待問題が急増している状況にございます。  12ページは、その虐待の部分の増加を抜き取ったものでございます。  対応するための仕組みとして13ページでございますけれども、都道府県の 児童相談所だけではなくて、いわば楕円の2つの中心のもう一つとして市町村 にかかわっていただこうということで、市町村に頑張ってもらう要保護児童対 策地域協議会、子供を守る地域ネットワークといったものを立ち上げていただ いて、できるだけチーム対応で相談をできるようにする事業をやっているとい うことでございます。  14ページはさらにもうちょっと具体的に、果たすべき機能とか参画機関等々 を掲げております。中身につきましては、以前虐待のときにご報告させていた だきましたので省略いたします。  設置状況は15ページでございますけれども、市町村の中でもこういったネ ットワークを立ち上げてくださった、100%という都道府県が13県。左にござ いますけれども、まだ4〜5割にとどまっている県も2県あるということで、 これから全市町村でのこの相談体制の整備が課題という状況でございます。以 上でございます。 ○大橋座長  ありがとうございました。たいへん重要な内容のものを短時間にご説明求め まして申しわけございませんでした。ありがとうございました。それでは、今 の報告と現場の実態がどうなっているかということで、富士宮市の土屋さんに ご足労いただいておりますのでよろしくどうぞお願いいたします。 ○土屋氏  それでは説明させていただきたいと思います。資料8に基づいてお話しさせ ていただきますが、今行政説明の方で3つの相談支援事業の説明をしていただ きまして、そこがだぶっておりますので必要なところだけ話させていただきた いと思います。  まず富士宮市が行っている地域包括支援センターは、本来は介護保険制度の 中なのですけれども、障害も児童も高齢者もDV等も初期相談に関しては、ワ ンストップで受けとめていこうというような体制をつくっているところが特 徴です。  なぜそういう話になったのかということですが、富士宮市ではちょうど平成 17年度に市の主導で地域福祉計画を策定しておりました。その中で今お話があ りましたように、介護保険法でも児童福祉法の改正でも、それから障害者自立 支援法の改正案などをみておりましても、市町村で身近な相談支援をすること が求められているわけですから、そこを部署ごとに一々縦割りにしなくてもい いのではないか、こういうようなフレーミングを私の方で提案していったわけ です。なぜ提案できたかというと、私は社協から派遣されてセンター長をして いるのですが、社協と地域福祉計画を協働でつくっていた過程がありましたの で、そのような案を提示できたということになります。  当初は行政の方でも、今までそういうことはやったことがないからというこ とで、たしか16年の終わりぐらいにフレームをつくって持っていったのです が、ピンと来ないような状況だったのですが、だんだん地域包括支援センター の内容がクリアになってくる中で、これでいこうということで、かなり考え出 していただきはじめたということです。  きっかけは、まず市長の方も総合相談ということをかねてからずっと考えて おられたということと、そのときの担当係長がかなり積極的に進めていただけ たということで、とりあえずそういう枠組みができたということになります。  実際に地域の中では高齢者も障害者も子供も大人も皆雑居しているわけで すから、法の種別で対応できない例えば重層的な課題を持っている家族などは、 今までですと、あっちに行けこっちに行けということで、全くきちんとした支 援体制をつくってもらえなかった。そういったことがないように、それらの相 談をワンストップで受けとめて相談支援体制を構築するためには、分野を選ば ない初期総合相談機能が必要だということでできてきたわけです。  資料の17ページをご覧ください。これが現在富士宮市で行っている、地域 包括支援センターを主体とした富士宮市における総合相談支援システムのフ ローということになっております。  まず支援を必要とする人で、真ん中の枠の下の小さい丸の上を見ますと、相 談内容が明確な場合は地域包括センターに来ないか、または来てもそこを案内 すれば済むということになります。例えば介護の申請をしたいということであ れば、介護の給付係を案内すれば済んでしまいますが、多くは主訴が明確化さ れていないケースや重層的な課題のあるケースが、地域包括支援センターに舞 い込んでくるわけです。  そのときには、地域包括支援センターでインテークをして、第1次アセスメ ントをして、必要な相談機関を連絡調整して支援体制の構築をします。それぞ れの関係機関に役割を振り分けて、その人の支援体制を構築した上で地域包括 支援センターはモニタリング体制に入るということをやっていくわけです。そ うしますと窓口に来た人は、あっちこっちに行かないで、そこですべて相談が 受理されて必要な支援体制が組まれるということで、包括支援センターですべ て解決するということは不可能ですので、関係機関をきちんとコーディネート してモニタリング体制に入っていく、そこが重要な役割ということになります。  実際にどんな重層的なケースがあったかということですが、3ページの方を ご覧ください。  これは包括支援センターができてすぐのケースですけれども、父親73歳が 脳梗塞で倒れる。母親70歳が初期の認知症で同居している。この方は知的障 害でもありました。長女は40歳、精神障害で既婚で別居していて、出戻りで 一緒に生活している。長男35歳は同居。これは後で知的障害として認定され たということですけれども、この相談が発覚したのは、長女がサラ金で多額の 借金をして自己破産の相談に来ました。そこで相談を受理している段階で、父 親がおうちで十分な介護も受けていない。お母さんは知的障害であってきちん とした介護もできていない。長男と長女はサラ金で莫大な借金をしている。そ して父親の入院費の支払いが滞る。こういうことがわかってきたわけです。  今までですと、父親は高齢者福祉課になりますし、長女は保健所に行きなさ いという話になりますし、長男は障害福祉課という話になるのですけれども、 これをすべて引き受けまして各機関の連絡調整をしました。  最終的には、父親は退院後の介護保険の申請をして、父親の年金通帳を守る ため、今は地域生活自立支援事業になっておりますけれども、財産管理のシス テムにつないでおきました。まさにその借金をこさえた理由というのは、長女、 長男が父親がためていた600万ぐらいの預金をすべて1年ぐらいで使い果たし て生活費が足りないということで莫大な借金をこさえていたということなの で、今後の父親の年金を守るためにも、まずここを実施。母親には、日々の生 活に関する支援とか、長男がてんかんの発作とかがありましたので、服薬の管 理もできておりませんでしたので、保健師等が服薬の指示、そして父親の通院 時の車の手配や支払いの支援、こういったことをやっていきました。  長女に関しては、サラ金の借金の自己破産の支援。これは弁護士にしてもら った。そして生活費の使い方の支援、長男にはサラ金の借金の自己破産支援、 そして明らかに知的障害でしたが今まで療育手帳も何も受けておりませんで したので、療育手帳申請支援、当然基礎年金も受給しておりませんでしたので 至急申請をして5年にさかのぼって受給されましたので300万ぐらいの収入が 入ってきたということになります。その後今は就労移行支援事業につないで就 労支援、また生活費の使い方の支援、健康指導、これらのことを総合的に各機 関と連携しながら実施しているという状況になります。  これが地域包括支援センターで今やっている状況ですけれども、なぜワンス トップサービスが必要なのかと我々がとらえたかといいますと、15ページをご 覧ください。  まず一番重要な部分は、ワーカビリティーのない人たちが相談の窓口に来る わけですから、その人たちをたらい回しにしないということ。それから、相談 者本人と家族の全体をとらえるということで医療、保健、福祉、介護保険、そ の他――その他というのはインフォーマルなサービスも含めて、先ほどのケー スなどでは近所の親戚の人まで含めて支援体制を組まないと対応できない状 況でしたので、こういうことが必要だろうと。そして相談からサービス利用の 連続性ということで、相談だけで終わらせない。相談は入口であって最終的な 支援までしていくということが重要。これは個別支援ということになります。 あと、生活支援を躊躇している人や社会的に孤立している人への働きかけ。こ れはごみ屋敷に住んでいたり、通院を拒否したり、そういう人にも積極的にア ウトリーチをかけていかなければならない。そういうワンストップの相談が必 要だろうということになります。  次の16ページをご覧ください。高齢者、障害者、子供等の種別にかかわら ず初期相談を実施するには、主訴が明確でワーカビリティーのある人は各相談 窓口へつなぐ。これは一番先にお話ししたとおりです。  主訴が明確でない、または漠然とした不安、重層的な課題のある人は、地域 包括支援センターでインテークをし、必要な支援機関をコーディネートする。 これが目的になります。そこで次の17ページ、最初につくった仕組みを立ち 上げたということになります。  この中で右側に権利擁護センターというのがありますが、今は準備中ではな くてもうでき上がっておりますが、権利擁護に係る専門的な支援に関しては、 専門家チーム、弁護士、司法書士、社会福祉士、人権擁護委員等を集めた権利 擁護センターというのを立ち上げてありますので、市長申し立てが必要なケー スとか消費者被害、または虐待で立ち入りのケース等は、こういった専門家の 後押しを受けながら行政が意思決定していくという、こういう機関もつくって あります。  その機関の説明が次の18ページに書いてあります。この機関には、弁護士、 司法書士、警察等のネットワークがつくってありまして、地域包括支援センタ ーから困難事例の相談があって、必要であれば弁護士とか司法書士を権利擁護 センターの事務局がコーディネートして、ケア会議等の日程調整をしてそこに 専門職の出席をしていただく、こういうような仕組みもスタートしております。 なお自分たちのスキルを深めるためにも、定例会議を2カ月に一度開きながら、 虐待事例の検討とかをしているということになります。  そういう人たちをいかに発見するかということでの見守りネットワークに なりますが、19ページをご覧ください。自分で相談に来られない人をどのよう に支援するか、ここが一番重要です。包括支援センターのことを周知徹底する というのはよく言われているのですが、パンフレットを配っても周知徹底はで きません。それは福祉課題のない人は見ないからで、全戸配布した後、各地区 社協を回って「パンフレットをご覧になった人」と言ったら数パーセントしか 見ていないわけです。特に認知症やひとり暮らしで閉じこもっている人はパン フレットを見て電話をしてくるということは100%ありませんので、そういう 人たちをどういうふうに発見するかという仕組みづくりが大切になってくる わけです。  そのためには、20ページをご覧ください。地域での見守りネットワークの構 築ということになります。地域住民の意識改革、これは先ほどからずっとお話 を聞いていてそのとおりだなと思いましたが、富士宮は地区社協という組織が 市内12カ所、12万5,000人の市ですけれども中学校区に1カ所ずつでき上が っております。そこには民生委員、それから保健委員、あと区長、班長さんた ちが役員として全部いるわけです。まず役員に理解してもらおうということで、 地区社協ごとに地域福祉の話を展開していきました。なぜ地域福祉が必要かと いうことなんですよね。  そういう話をしていきますと、役員さんが、なるほど確かに必要だという認 知がはじまりますと、役員だけが知っていてもしょうがないからうちらの住民 に話をしてくれということで、例えば土曜日の夜に地域住民400人ぐらいを体 育館に集めてくれるわけです。ただ、地域福祉の話を聞くから集まれと言って も集まりませんので、そこは役員さんたちが、僕の話の後に子供たちのダンス とか、お母さんたちのフラダンスを用意してあるわけですから、それが終わる まで帰れないという仕組みをつくってあるわけです。  そうすると嫌でも話を聞いてくれる。当然なるべくわかりやすく話しますの で、帰りには「ああそうか、そういうことが必要なんだな、じゃあおれたちで 子供たちの行き来の見守りぐらいはできるよね」ということで、ある地域では 先駆的に子供たちの見守りとか、自分たちで何をやるべきかという話し合いが 今はじまっているところであります。  老人クラブや民生委員との協働、ここも重要でありまして、老人の実態把握 をするのに一番知っているのは老人クラブですから、そこと、後で話しますが、 地域型のブランチの支援センターと今つないでありますので、老人クラブや民 生委員からの情報がひじょうに増えているということです。昨年の相談件数、 同時期で比較してみると特に多くなっているのが、民生委員からの相談という のが4倍ぐらいになってきています。ということは、そこと地域包括支援セン ターのつながりが出てきているのかなということになります。  あと今までありました地域型支援センター、これは7カ所ほどありますので、 そこを再編して見守り体制に組み込むということをやりました。  次の21ページをご覧ください。富士宮市は地域包括支援センターが直営で 1カ所です。その他に今までの地域在介、この黄色い丸がそうですけれども、 ここを地域型支援センターというふうに名前を変えました。これはなぜかとい うと、在宅介護支援センターというと高齢は対象になりますが、本体が障害者 等のインテークもしていますので、地域型の方もすべて同じように障害者の方 もインテークしてもらうと。ただ専門的に弱いですから、つないでくれればい いよということで後の対応はとってあります。  その周りに10の生活圏域ごとに地区社協がすべて設置されておりまして、 そこと地域型支援センターをエリアできちんとくくってあります。例えば右上 の富士根北支部と富士根南支部というのはのぞみという支援センターの担当 ですよということになっておりまして、それぞれの地区社協の年度総会のとき に相談員を連れていって、困ったらこの人に相談をまずしてくださいというこ とで全部顔をつないであります。  それともう一つ地域型の役割としては、地域でのサロンづくりをお願いして います。ですから、相談だけではなくて、キーになる人がいたらその人に協力 を仰いでサロンづくりを推進していますので、当然サロンには地域型の支援セ ンターが活動に参加して報告書を上げていただいていますので、そのサロン活 動の中から、どこどこのおじいちゃん最近顔を見ていないけれどもという情報 を得て、実態把握をして支援に入るという、こういう仕組みを今つくっており ます。  ただ、高齢者虐待等に関しましては、各地域からバイパスで上がってくるよ うなルートを残しておりますので、すべて地域包括支援センターの方に上がっ てくるケースと、地域型で処理してくれるケースと2通りになってくるという ことになります。  あと重要な部分では、これからのネットワークづくりということで、富士宮 市における地域福祉ネットと書いてあります。今認知症のネットワークづくり も県の事業を受けてスタートしているのですが、県の方は目に見える成果物を 期待しているようなのですが、我々の考え方は、この中の支部の人たちに認知 症の勉強会、これはキャラバンメイトとかサポーターを使って推進していけば、 この地域の人たちが認知症のことを理解してくれれば当然これは認知症ネッ トワークになりますし、高齢者虐待のことを理解していただければこれが高齢 者虐待ネットワークになりますので、いわゆるあて職で同じ人が集まった委員 会づくりは富士宮ではやめようということで、このベースの中に機能強化をし ていくことでネットワークづくりを進めていこうということで、まだ途に立っ たばかりですけれどもスタートしております。  22ページをご覧ください。最後になりますが、これは厚労省の方で示してい ただいた地域包括支援センターのネットワークのイメージに基づいて、富士宮 市がどういう取り組みをしているかということになります。  早期発見・見守りネットというのは一番左になりますが、これが今お話しし た7つの支援センターと12の地区社協のネットワークになります。一番右側 の関係専門機関介入支援ネットワークが、権利擁護センターということで専門 家のネットワークになります。今一番悩んでいるのが、真ん中の保健・医療・ 福祉ネットワーク、これをどう構築していこうかということで今検討中です。 医療機関との連携が一番ネックになっておりますので、この辺ができ上がると、 包括支援センターを中心とした3つのネットワークができ上がるのかなと思 っております。  最後に23ページだけご覧ください。そういったことを踏まえながら平成20 年度、来年度に向けて富士宮市ではこういう組織改革を考えております。これ は保健福祉部の中の福祉事務所機能の部分を抜き出したのですけれども、今ま で地域包括支援センターが総合相談の窓口だったのですが、今年からは福祉総 合相談課という課を設けて、その中で福祉相談支援係ということで、地域包括 支援センターと家庭児童相談室と障害者相談支援とDV相談、これを一つの係 としてくくって、この中で横の連携がもっと密になるような体制を構築しよう と考えております。  上の介護障害支援課は給付事業にかかわりますので、主に社会保障・給付事 業の担当ということになりますし、真ん中の福祉総合相談課は、地域支援事業 に関することとか、保護、措置、老人福祉法の事業等を担当していくというこ とで、まさに社会保障制度のはざまにいる人たちを包括的な支援体制の中で支 えられるようなワンストップ初期相談と具体的な関係機関による支援体制の 連携を構築して、福祉事務所機能を強化していこうということで考えておりま す。一応そんなことで報告を終わります。ありがとうございました。 ○大橋座長  ありがとうございました。大変すばらしいシステムで実践されているようで ございますが、時間があまりありませんが、ご質問なりがありましたらどうぞ。 ○木原委員  土屋さんにお伺いしたいのですけれども、資料8の3ページの事例は本当の 事例ですか。 ○土屋氏  本当の事例です。 ○木原委員  これをみて凄いとは思うんですけど、もしかしてこのケースをもっと早期に 発見していたら、まだ父親や母親の問題は出ていないかもしれないですね。こ れを放置しておいて、だんだん時間が経つと、母親が認知症になってきて、最 近になって父親が倒れてアウトと。  そこで以前、この研究会で権利擁護センターの方が発表されたのを思い出し ました。住民からなかなか相談の申請が上がって来ない。しかも来たときは既 に深刻な状況になっていると。そうすると、いかに早期に問題をキャッチする かということになりますよね。  私は住民の支え合いマップというのを作っています。そうすると、この人が このあたりの老人の相談に乗っているといった事実が浮かび上がってきます。 ミニ相談員ともいうべき人物が、向こう3軒あたりで1人いる。それから「ご 近所」、つまり50世帯ぐらいの圏域でやや大物の世話焼きさんが、悩める人の 相談に乗っています。もっと広い、数百世帯の圏域で相談に乗っている超大物 もいます。断っておきますが「私は相談員をしたい」なんて本人は言っていま せん。周りがその人を見込むんです。住民というのは各自、自分はあの人に相 談すると決めているんですよね。「これは民生委員に相談しなければいけない」 なんて、悪いけど思っていないですよね。 ○土屋氏  民生委員は嫌だという人もいます。 ○木原委員  そうでしょう。そうすると、住民は、おたく(地域包括支援センター)まで 悩みを持っていくのではなくて、せいぜい「ご近所」どまりで、「私はあの人 に言う」と決めている。今述べたように、「向う三軒」で第一次相談、「ご近所」 段階で第二次相談、「ご町内」段階で第三次相談が行われていると言っていい と思います。その住民立の(?)相談所に関係機関が顔を出すということがな い。「たかが世話焼きがやっていることじゃないか」ということでしょう。そ こに大きな「すき間」ができているような感じがするんですよね。おたくでは 地区段階でスクリーニングしていますよね。このあたりの世帯はどれくらいで すか。 ○土屋氏  ばらばらですね。4,000人から3万人ぐらい。 ○木原委員  おそらくそこからは地域は見えないと思います。おたくの方は専門家主導で すけれども、末端の方は住民主導でやっていて、住民はそちらの「相談所」に 行っている。ならばそちらの方へ顔を出して、そこから住民には手の負えない ケースを拾い上げていくということを何かお考えになっているかどうか。 ○土屋氏  地域包括支援センターができて、18年4月で、これは最初のころのケースで すけれども、当然今までどこでも拾われなかった。おそらくサラ金の相談に来 ても、その説明だけをしていれば終わってしまった。そこからうちのスタッフ がたまたま聞き出していって入り込んでいったケースなんです。  次は、地区社協の方が地域福祉計画の後、今度は活動計画ということで各12 地域で懇談会も終わって計画策定しているのですが、その中でまさに地域向こ う3軒両隣で見守ってくれる見守り支援員といったかな、支援隊といったかな、 そういうのを今考えていこうと。当然さっき言ったようにあて職を置くのでは なくて、本人に聞いて「あなたはだれに見守られたいですか」と。今の話です よね。それを確認してその人たちの同意を得て、地域での見守り体制をつくっ ていこうということを今検討しています。  それを12地区社協の中でこれから進めていく。だから、今はまだ十分には できていませんし、今までは全くゼロだったと思いますが、そんなことをこれ から計画していこうかなと。それでモデル地域をつくっていこうかなと思って いますけれども。 ○今田委員  とてもいいお話をいただいて、私が考えているのにぴったりのシステムづく りを考えられているようで、特に今日厚生労働省の方からも3つ出ましたが、 全部支援なのね。昔は管理行政といって福祉もどうやって管理してやるかとい うものでした。15〜16年前に支援学というのをやろうよと仲間とやり出したこ ろ、大体全国市町村を調べたの。住民支援課という「支援課」というのがなか ったんです。最近かなり出てきて、これも出ているじゃないですか。  社会保障制度のはざまにいる人たちを包括的な支援体制の中で支えるとい う発想が、ようやく行政とタイアップしながら出てきたというのはとてもいい ことで、こういう感じのものをつくることによって……この支援センターとい うのはまだ自治体の行政の枠内なのですか。 ○土屋氏  介護保険法の中ですから、そうです。 ○今田委員  もうちょっと自立するために、ボランティアとかNPOとパートナーシップ をうまく組む。こういうのを受け皿にしてパートナーシップを組むといいと思 うんですね。それでいろんなアドバイスをしてあげられる。  それから、福祉というのはケアが中心になると思うけれども、ケアというの は正義の論理のように普遍的な原理でいかない。今出ていましたように個別特 殊事情、それぞれに応じて手当てしないといけないという、その仕組みをどう つくるか。だから正義の女神じゃだめなんですよ。千手観音で1,000ほど手を 持っていないと手当てできないという発想でね。でも日本はそういう発想って 結構なじみがあるじゃないですか。だからそういう発想をどう根づかせるかと いうのは、今日聞いたお話は、その一歩としてとてもよろしいのではないかと 思って感動しました。 ○大橋座長  ありがとうございました。 ○和田委員  こういう体制ができるといいというお話だったのですけれども、他の自治体 でやっている支援センターとの違いはどこなのかというポイント、そしてそれ をやるために何か障害が実際にあり得るのか、それは市長なり市が方向さえ決 めてしまえば特に問題はないのか。それともう一つは、インフォーマルな部分 も含めて調整していらっしゃるというお話だったのですけれども、支援センタ ーが主導してそういうインフォーマルな部分も含めて調整するということは うまくいっているのかどうかというあたり、その2つを質問したいのですけれ ども。 ○佐藤委員  少し関連するかもわかりませんけれども、1点拠点のタイプになりますね。 何人ぐらいずつ職員がいらっしゃるのかということが1つと、地域型の支援セ ンターというのは、きっと委託という形態になっていて、その委託先の人の身 分なり人件費なりがどういう形で出されているのか。総合的に受けられる体制 がつくられているというのは、今までの議論中でいうと、セーフティネットの 役割を本当に地域が果たせるのかという意味では、こういうパートナーが出て くるというのはひじょうに重要なポイントだと思うのですが、そこは今度地域 と結びつくところでどうなのか。和田委員からも少しインフォーマルなところ との連携がどうなのかという話が出てきたと思いますが、全市が1点拠点で本 当にインフォーマルとつなぐ仕組みとして対応し切れるのかどうかというと ころについて、お聞かせいただければと思います。 ○土屋氏  まず職員体制ですけれども、今直営のスタッフは社会福祉士が2人と、主任 ケアマネジャーが1人と、保健師が8人、あとプランナーという臨時の、予防 プランだけやっている人が6人いますので、社会福祉士とか主任ケアマネジャ ーは基本的には予防プランを持たないという体制で臨ませていただいていま す。これは、そうしてくれと。プランをつくってもらうために来たんじゃない ということで、これは行政の意思でやってくれているということになります。  それから障害があったかということですけれども、1つはやはり市の意思で すよね。介護保険の保険者は市ですから、地域包括支援センターの責任主体は 市ですし、市が委託であっても責任を持たなければいけない。当初は社協に委 託という話もあったのですが、係長と話していくうちに、保健師を含めてこの 4事業を委託できるわけがない、だから軌道に乗るまでは市が責任を持って器 をつくる、でも人材がいないから来いということで呼ばれたわけです。  その他スタッフも、全部当時の課長が一本釣りして、使えるスタッフをダー ッとそろえてくれたので、みんなひとりでもやれるようなスタッフばかりなの で、そういう意味ではひじょうに楽をさせていただいております。ですから、 他の自治体ができないというのは、やはり行政の意思がそこにあるかないかと いうのが大きいです。その意思の後ろ支えをしているのがやはり首長だと思い ますけれども、そこだと思います。  よくこの話は聞かれるんです。どこでもできるんですかという話だと思いま すが、そういう背景がありましたので、障害という意味では大きな障害はあり ませんでした。そういうことで仕組みをつくったということになります。  あと地域型支援センターは在宅介護支援センターをそのまま移行しました。 社会福祉協議会は基幹型センターをやっておりましたが、それも地域型に移行 させて7カ所配置ました。その費用としては、全部組みかえまして出来高のよ うな形にしてあります。ベースはあるのですけれども、訪問1軒行ってくれた らいくらということで、結局上限があるので全部払うのですけれども、出ると きに今までの地域在介だと、ふらふらしないでケアマネやっていろと。兼務さ せていましたので出にくかったんです。そこも係の方で考えていただいて、出 たらお金が入るという仕組みをつくってくれました。あと地域のサロンのコー ディネート料もいくらということで、上乗せして全部合わせて500万円ぐらい ですから、1人区を雇えるかどうかというところです。ところが他の法人は医 療法人と特養の福祉法人で全部受けていますので、富士宮市の場合は介護保険 事業所連絡会があって地域貢献というのを会長さんがやってくれているので、 どこも手を引きませんでした。そういった意味ではひじょうに恵まれています。  ですから当然インフォーマルな関係も、地域の顔つなぎができてきています ので、そういうところがうまく使っていってくれる。といっても今ボランティ ア育成がひじょうに富士宮市は遅れているので、インフォーマルなというと民 生委員とか近隣住民とか、そういうことが主になってきていますが、もう少し 社会資源ができてくるとおもしろいつなぎができるのかな。まだ本当にはじま ったばかりなのでこれからだという感じはしております。よろしいでしょうか。 ○大橋座長  とてもすばらしい実践でもっともっと聞きたいのですが、時間がまいりまし たので申しわけございませんが、これでおしまいにしたいと思います。事務局 の方から連絡事項ございましょうか。 ○千田地域福祉課長補佐  次回でございますけれども、2月18日月曜日、17時から19時まで、会場は 厚生労働省でございます。また追ってご連絡いたします。次回は取りまとめに 向けての議論ということで、本日の議論を踏まえてさらに議論を深めていただ きたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ○大橋座長  それでは今日の会議はこれでおしまいにしたいと思います。本当にどうもあ りがとうございました。土屋さん、どうもありがとうございました。                                  (終了)                      【照会先】            厚生労働省社会・援護局地域福祉課地域福祉係            TEL 03−5253−1111(内線2859)                        1