08/01/28 第50回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第50回 労働政策審議会 職業安定分科会 1 日 時 平成20年 1月28日(月)14:00〜16:00 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委 員(公益代表)            大橋分科会長、岩村委員、白木委員、清家委員、征矢委員、            宮本委員 (労働者代表)            有村委員、斎藤委員、徳茂委員、成瀬委員、長谷川委員、            古市委員、堀委員 (使用者代表)            荒委員、石井委員、石原委員、市川委員、川本委員、北城委員、            尾崎委員代理(吉村氏)       事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、荒井審議官、            岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野職業安定局総務課長、            三上雇用開発課長、小川雇用政策課長、鈴木需給調整事業課長、            山越労働基準局総務課長、姉崎職業能力開発局総務課長 4 議 題 (1)駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する   臨時措置法の一部を改正する法律案要綱について(諮問) (2)雇用政策基本方針案及び平成20年度全国指針案要旨について (3)競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案要綱   (職業安定法関係部分)について(諮問) (4)日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき   措置に関する指針等について(諮問) 5 議事内容 ○清家分科会長代理 定刻になりましたので、ただいまから「第50回労働政策審議会職 業安定分科会」を開催いたします。本日は、大橋分科会長は、電車の遅延で少し遅れて お見えになると伺っておりますので、大橋分科会長がお見えになるまでは私が代わりに 議事を進行させていただきます。 (出欠状況報告)  早速議事に入らせていただきます。本日の議題は(1)駐留軍関係離職者等臨時措置 法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案 要綱についての諮問。(2)雇用政策基本方針(案)及び平成20年度全国指針(案)要 旨について。(3)競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正す る法律案要綱、(職業安定法関係部分)についての諮問。(4)日雇派遣労働者の雇用 の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針等について の諮問の合計4議題です。  最初の議題は、(1)「駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う 漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案要綱」でございます。本件につ きましては、本年1月9日に開催いたしました第49回の当分科会において了承いたしまし た「雇用対策基本問題部会報告書」を踏まえて作成されたものであり、本日付けで厚生 労働大臣より労働政策審議会あて、諮問をうけておりますので、これについてご審議い ただきたいと思います。  初めに事務局から説明をお願いします。 ○雇用開発課長 お手元のほうに資料のNo.1-1等があります。ご覧いただきたいと思い ます。このNo.1-1の2頁に法律案要綱があります。第一、駐留軍関係離職者等臨時措置 法についてですが、この法律につきましては先ほど話がありましたように、本年1月9日 に本分科会におきまして、資料のNo.1-3にもあります雇用対策基本問題部会の報告をご 了承いただいたところです。法の有効期限を5年間延長するものとしております。  第二、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法につきましても、同じ く本年1月9日に本分科会におきまして、雇用対策基本問題部会の報告をご了承いただい たところです。法の有効期限を5年間延長することとしております。  第三、施行期日につきましては、公布の日から施行するものとしておるところです。 なお、今回の改正につきましては資料の1-2にもありますように、わが国をめぐる国際 環境を踏まえ、駐留軍関係離職者及び漁業離職者の発生が今後とも予想される状況に鑑 みまして、引き続き、駐留軍関係離職者対策及び漁業離職者対策を実施する必要がある ことから、有効期限を5年間延長するものであるなど、法律の趣旨、目的及び改正内容 に共通性があることから、両法の改正案を一括した法律案として、提出したいと考えて おるところでございます。よろしくお願い申し上げます。 ○清家分科会長代理  ありがとうございました。ただいま事務局から説明がありまし た報告につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、どなたからでもご発言くだ さい。  よろしゅうございますか、特にご意見ございませんか。それでは特にご意見、ご質問 ないようでしたら、本日付をもって本審議会に諮問されました駐留軍関係離職者等臨時 措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法 律案要綱につきましては、当分科会としてこれを妥当と認めるということとし、これか らお配りします案で、労働政策審議会に報告をしたいと思いますが、そのように取計ら うことでよろしいですか。 (異議なし) ○清家分科会長代理 ありがとうございます。では、事務局から報告文(案)を用意し てもらっていますので配付してください。 (報告文(案)配布) ○清家分科会長代理 ざっと文案にお目通しいただきたいと思います。よろしいですか。 (異議なし) ○清家分科会長代理 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。  次の議題です。(2)雇用政策基本方針(案)及び平成20年度全国指針(案)要旨につ いてです。まず、前回議論いただきました雇用政策基本方針案について、事務局で修正 案を用意しておりますので、その内容について、事務局のほうから説明をお願いしたい と思います。それに引き続きまして、都道府県労働局が平成20年度に策定いたします、 地方方針に関する指針である、全国指針案の要旨について説明をお願いします。では事 務局のほうからお願いします。 ○雇用政策課長 私のほうから説明をしようと思います。お手元の資料でイメージの後 に雇用政策基本方針案というのがありますが、その後に「参考」として変更事項が赤字 で入っていると思いますが、それをご覧いただければと思います。それをベースにして 説明をしようと思います。  前回いろいろとご意見をいただきまして、それを踏まえて修正をさせていただきまし た。修正点につきまして説明をしようと思います。まず2頁です。第1章の1で、概観と ありますが、原案では「全般的には改善傾向が続いている」とありますが、11月の有効 求人倍率が1倍を割り込んだという最近の情報を踏まえまして、「ただし、足下をみる と、有効求人倍率が2年ぶりに1倍を下回るなど、改善の動きが弱まっている」と書いて あります。  次に5頁では、これは日本経団連からの意見がありましたけれども、原文では、高齢 者につきまして他の年齢層と比べると求人倍率が低いなどという表現もありましたけれ ども、10月から年齢制限の禁止が施行されたということもございまして、年齢別の求人 倍率がかなり揃ってきたという実態がありますので、これにつきましては削除しており ます。  その下で、新たな働き方の出現に伴う課題のところで、人件費の変動費化の他に、「 将来の不確実性の対応」が含まれております。荒委員からのご指摘で、ここに派遣労働 者という例示でありましたけれども、派遣労働者が人件費の変動化のためと読まれかね ないという指摘もありましたので、この例示は削除をしております。  次の、正社員の絞込みとその影響ですが、これも荒委員からの指摘で、正社員の企業 内において、正社員の能力開発機会の多寡が、ある意味では賃金が異なるのと同様に、 当然のことであるという指摘もありましたので、懸念ということにつきましては、それ 自身の懸念というよりは、むしろ、「将来の社会全体の人的資本の蓄積不足が懸念され る」と書いてあります。  6頁では、長谷川委員の方から、こういった中で、格差をはっきりと書くべきである という指摘とか、長期雇用が大事であることをしっかり指摘するべきという指摘があり ましたので、6頁の下のところで、「第1章で指摘した、格差の拡大・固定化や非婚化に 伴う少子化の加速のおそれ、労働力人口の減少が経済成長に及ぼすマイナスの影響、仕 事と生活の調和への障害などの課題を克服することを目指し、当面5年程度の間」と、 また、当面5年程度の間ということで外国人労働者も含めまして、当面5年程度の間とい うことについて、明確にしております。  7頁の真ん中のところで、前回成瀬委員の方から、はじめ、右側に削除した原文があ りますけれど、「労使の信頼関係に基づく長期的視点に立った労働条件の調整に柔軟に 対応しつつ」と、ここから入ると、何かその労働条件の切り下げにも見えるということ もありましたので、ここで順番を入れ替えまして、「労使の信頼関係に基づき、長期的 視点に立った雇用安定機能と人材育成機能を有しつつ、労働条件の調整に柔軟に対応す る長期雇用を基本とすることが引き続き重要であるとともに」と書いてあります。(3) の下のところですが、最初は全部1文で入っていたのが、「労働者が人生の各段階に応 じた多様な働き方を主体的に選択できる社会を目指す」。ここで一端切った上で「こう した社会において、企業は多様な労働者の能力を最大限に活用し、生産性の向上や競争 力の確保を図ることが可能になる。」と書いてあります。これは成瀬委員と日本経団連 からの指摘です。  8頁の上です。いちばん最初に足下の状況を書き加えたのに対応をいたしまして、今 後急激な雇用失業情勢が悪化した場合においては、機動的かつ強力な雇用対策の展開を 図ることを加えています。8頁の真ん中ぐらいで、前回のこのフリーターをピーク時の8 割という目標値について、水準につきましてもご議論をいただきましたけれども、ここ だけ目標値が入ってもおかしいとのことですので、目標値を落としまして、その代りに、 「フリーター、次代を担う若者の雇用・生活の安定を図るべく、フリーター常用雇用化 プランを強力に推進する」。その次のところで、派遣労働者等の正規雇用化につきまし ては、必ずしも、全ての派遣労働者が望んでいるわけではないという指摘が日本経団連 からありましたので、これは「正社員を望む」というように限定しています。  11頁では、障害者の権利条約の関係では、これにつきまして「さらなる条件整備を早 期に図っていく」というのが原文ですが、強すぎるのではないかと日本経団連からあり ましたので、「必要な環境整備などを図っていく」と。真ん中のところでは、長谷川委 員のほうから中途障害者についても触れるべしとの指摘がありましたので、「精神障害、 発達障害、難病による障害等のそれぞれの特性に応じた支援や中途障害者の継続雇用に 向けた支援等」と修文しております。  13頁では、荒委員のほうから、前は「専門性が高い人材を中心に」とありましたけれ ども、別に専門性が高い人材だけではないだろうという指摘もありましたので、これは 「はじめとした」と書いてあります。偽装請負やもう1つ例示として、禁止業務派遣と いう例示を加えております。13頁の真ん中には随分書き加えていますが、長谷川委員、 成瀬委員のほうからもコンプライアンスの問題、法令遵守の問題。また、労働雇用期間 にとどまらず社会保険についても、法令遵守とか周知が必要であるということもござい ましたし、長谷川委員からもちゃんとセーフティネットをしっかり書くべしとの指摘も ありましたのでその点について加筆しました。中央会の市川委員の方から円卓会議の関 係では、「生産性の向上を踏まえた」ということと、「政労使の合意を踏まえ」という ことについて書き加えるべしという指摘もありましたので、それに従って修文しており ます。13頁の下のほうですが、これにつきましても長谷川委員のほうから、企業内教育 訓練が重要であるということもありましたので、それについて加筆しています。  14頁では、国の責務もしっかり書くべしと、これも長谷川委員の方からありましたの で、これについて書き加えております。14頁の下で、前は「キャリア中に失敗があった とき」という表現でしたけれども、長谷川委員の方から、わかりにくいという指摘があ りましたので、「フリーターなど職業能力形成機会に恵まれなかった者等」と変えてい ます。  15頁の(3)のところでは、始めに「人材の」というのが入っていましたが、日本経団連 のほうで「人材の」は必要はないだろうという指摘もありましたので、削除しておりま す。真ん中ぐらいの技能実習生につきましては、市川委員からの指摘のとおり、一部の 研修生が実質的に低賃金労働者のように扱われているという事例があると。改善は「適 正化を図る」と書いてあります。  16頁の下では、これも市川委員のほうから、「仕事と生活の調和憲章」と「行動指針」 ということに触れるべきであるいう指摘もありましたので、これについて書き加えてあ ります。   18頁の最後ですが、長谷川委員のほうから有期労働者についても、もう少し書き加わ えるべきではないかと指摘がありましたので、この「有期労働者契約の締結、更新及び 雇止めに関する規準」とか、こういったことを書き加わえています。また、契約法につ きましても「就業の実態に応じた」と書き加わえているということで、これで大体前回 の審議会で、労使からいただいたご意見につきまして反映させたものでございます。  引き続きまして、(2)平成20年度全国指針案要旨について、説明します。趣旨です が、この初めのポンチ絵にもありますように、先ほど説明をした、雇用政策基本方針は、 当面5年程度の雇用政策の基本的な方針について定めたものはありますけれど、この全 国指針は、毎年度、翌年度の安定行政の、重点的にやっていくことについて、まとめた ものです。これについて趣旨の後段にもありますように、都道府県労働局において、こ の全国指針に盛り込まれた内容を基にして、各都道府県の実情に応じた課題等を盛り込 んだ地方方針を、都道府県知事の意見を聞き定めます。これにつきましてはその地方の 労働政策審議会でご議論をいただくことになっております。  平成20年度の雇用施策の重点ということでありますけれど、この1から12までありま すように、1は若者、2は女性、3は高年齢者対策の推進、4は障害者対策、5は母子家庭 とかホームレスなど弱者に対する雇用環境の整備、6は地域雇用対策の充実、7は「ジ ョブ・カード制度」の構築、8は外国人の就業促進、専門的・技術的分野の外国人の就 業促進と就業環境の改善、9は中小企業や福祉・介護分野の人材確保等へ支援、10は仕 事と生活の調和の実現、11は公正かつ多様な働き方の実現ということで、偽装請負等の 違法派遣の防止・解消に向けその制度の周知、厳正な指導監督。日雇派遣等の情報公開 等。12は地方公共団体との連携。このようなものがありまして、これを基にして各地方 の労働局におきまして、地方方針を作っていくことになっております。以上でございま す。 ○大橋分科会長 以上ですか、ありがとうございました。遅れまして大変申し訳ありま せんでした。本件につきましてご質問、ご意見等がありましたらお願いいたします。特 に基本方針につきましては、大変丁寧に20か所以上訂正がありますのでよろしくお願い します。 ○成瀬委員 いまご説明をいただきました。前回何点か意見、要望を申し上げさせてい ただきましたけれども、いくつかは反映していただきましてありがとうございます。た だ全てが反映ではなく一部重要なところが反映いただいてないようですので、再度意見 を申し上げたいと思います。  ひとつは7頁です。7頁の真ん中の赤くなっているところです。先ほどの説明でいいま すと、「労働条件の調整に柔軟に対応しつつ」というところから入ると、違和感がある ということなので順番を入れ替えたとおっしゃっられたわけなんですが、私が前回発言 をした趣旨は、順番の問題ではなくて、それもあったかも知れませんが、そもそも行政 としての雇用政策の方針として、労働条件の調整に柔軟に対応するということを、なぜ わざわざことさらに言わなければいけないのか、言う必要はないのではないかというこ とを申し上げた次第です。  もちろん周りの状況を無視して、前回の繰り返しになりますが、労働条件の改善、向 上ができるわけではありませんが、経済の発展、企業の業績、付加価値額の増額等の範 囲以内で労働条件の改善、向上を求めるのは当然でありまして、行政の基本方針として もやはりそういう対応をすべきではないか、そういうことを打ち出すべきではないかと 思っております。これは当然ながら皆さんご存じでしょうが、労働基準法第1条第2項で は「労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてならないことは もとより、その向上を図るように努めなければならない」とありますし、また、雇用対 策法の第1条の目的のところでも、「これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会 的地位の向上とを図るとともに・・」、あとは省略しますがこういうふうに明確にされ ているわけです。労働者の経済的社会的地位の向上といっても労働者が得られるものは 基本的には賃金しかないわけですので、労働条件の改善がなければ、経済的社会的地位 の向上はあり得ないわけです。したがって、雇用政策の基本ということで、細かい表現 の差異は別として、諸条件との調和の中で労働条件を改善向上する。そういうような表 現にすべきだということを前回言ったにもかかわらず、残念ながら考慮されていないと いうことは、一体どういうことなのかをお聞きしたいと思っています。  こういう表現ではないと、もしかしたら、使用者側がOKされないと慮ってのことかも 知れませんが、これは今年の日本経団連の経営労働政策委員会報告でございますが、20 08年版に限らず毎年ほぼ同じ形で総額人件費の増加額は、あくまで自社の付加価値額の 増加額の範囲以内で、利払い費、配当、内部留保なども考慮し、個別企業ごとに交渉で 決定すべきである。つまり言い換えれば、付加価値の増加額の範囲以内であれば、他の 条件もいろいろあるでしょうけれども、総額人件費が増加するのは、個々の企業の判断 だと言っているわけであって、そういう意味でも「労働条件の改善向上」ではなくて、 「労働条件の調整」とことさらに言わなければいけない理由がわからないと思っていま す。したがって、「労働条件の調整」という表現は削除をお願いしたいと思います。  2つ目ですが、10頁の真ん中、これは前回意見を申し上げましたが、何ら修正がない ですので赤くなっておらず黒い文字のままですが、「『70歳まで働ける企業』の普及・ 促進を図るなど」という部分です。これは前回の説明でも、例示だということでありま したので、例示ということであれば、この例を上げる必要はないのではないかと、例示 はなくてもいいのではないかと思います。その前の2行前から、「意欲と能力があれば 65歳までに限らず、65歳を超えても働ける社会の実現に向けた取り組みを進めていくこ とが必要であり、年齢に関わりなく働き続けることができる社会を目指す取り組みの一 環として、60歳代半ば以降の高齢者が働ける職場を増やしていく」というふうにつなげ れば文章として通るので、「『70歳まで働ける企業』の普及・促進を図るなど」は、あ えて必要はないのではないかと思います。  高年齢者雇用安定法の中でも、60歳以降65歳までの雇用確保措置で言えば、定年延長、 雇用延長、定年の廃止の3つの類型が出されているわけでありまして、この3つの類型の うち、定年の廃止ではなく、前の2者、定年延長、雇用延長しかありえないという誤解 を生じさせないためにも、この例示は私は不適切だと思いますので削除をお願いしたい と思います。  あとは細かい点になりますが、15頁の(3)の4段落目の1行目、さらに「『生活者として の外国人』に関する総合的対応策」、これも前回質問をさせていただきましたが、この 基本方針の中では、「注」を付けない主義なのかも知れませんが、できれば「注」を付 けていただいたほうが、これは公表する基本方針にもなりますので、読む方にとって親 切なのではないかと思います。  4点目です。最後の18頁でありますが、「有期契約労働者の件」、表現の追加補強を していただきありがとうございます。この追加した分の文末ですが、「有期契約労働者 の処遇の改善を図る」とありますが、処遇の改善ももちろんそうなのですが、この中に 含まれるということなのかも知れませんが、やはり、雇用の安定ということを強調して いただきたいと思いますので、できれば「有期契約労働者の雇用の安定と処遇の改善を 図る」という書きぶりのほうがよろしいのではないかと思います。以上、まず4点申し 上げました。よろしくお願いします。 ○徳茂委員 徳茂と申します。前回欠席して、初めて意見を申し上げることになるので すが、11頁に「中途障害者の雇用継続」という文言を追加していただいた件は、大変歓 迎したいと思っております。この中途障害者がどういう方々なのかということですが、 近年、若年認知症という方々も、だいぶ注目されるようになってきました。実際には、 そういう方々の就労継続が大変困難をきたしております。中途障害者の雇用継続という のが、身体にかぎらず、若年認知症なども入っているという理解でよろしいかどうかを お伺いをしたいと思います。これが質問の1点です。  もう1点は、15頁の(4)の後段から介護分野の人材確保について言及があります。介護 分野の人材難は大変逼迫をしておりまして、保険制度が何とか生き長らえても、サービ ス提供労働者の供給が追いつかないような事態になっておりまして、ここにも言葉とし ては、「労働者の処遇面の問題により、人材確保が困難となっている」という形で触れ られておりますけれども、昨年の秋に「福祉人材確保指針」を厚生労働省社会援護局の ほうで出した指針の中などでも、賃金の改善について言及があるという社会援護局から すれば、少し外に広げた問題意識で報告を作られている事情もありまして、こちらの雇 用のほうがその意味では本筋ですので、この文章の中でももう少し明確に、介護人材の 賃金の改善などに言及したらいかがかと思いますのでご意見を伺いたいと思います。以 上です。 ○大橋分科会長 その他ございませんか、ではお願いいたします。 ○雇用政策課長 最初の7頁目です。7頁の「労働条件の調整に柔軟に対応する長期雇用」 と、ここでいちばん言いたいことは、長期雇用を基本とするということだと思います。 調整ですから、ある意味でニュートラルですから、上にいくか下にいくかは、どちらも 調整であり得るわけですから、それについて必ずしも引き下げていくわけではなく、あ る意味では、労働条件の調整に柔軟に対応する長期雇用とセットにして考えたほうがい いのではないかということです。その際に、長期雇用の特徴として、雇用安定機能と人 材育成機能を有すると、ある意味で、長期雇用についての説明をここでまとめて書いた という趣旨です。  15頁の注を付けるかどうかですが、そもそも、これは大臣告示として発表することに なりますので、注は難しいと思いますが、これだけを裸で書くとわかりにくいかもしれ ませんので、例えばこの下にカッコ付けで説明をするということなど考えていきたいと 思います。  18頁で、有期労働者の基本的に処遇の改善ということで、雇用の安定等も含めて我々 としては考えています。徳茂委員からのご質問の障害者のことはまた後で話します。福 祉人材の確保というところで、雇用環境の改善という言葉を書いていますが、基本的に 雇用環境の改善の中に、賃金の改善も含めて我々は考えています。 ○高齢・障害者雇用対策部長 高齢者雇用安定指針の際には、いろいろな議論をしてい ただきましたけれども、全体の政策の方向性は年齢と変わりなく働ける社会をどうやっ て作っていくかということです。そういう中で現在の60歳代前半、あるいは60歳代後半 について各企業におけるいろいろな対応等を考えていった場合、どういうところに力を 入れて、何をインパクトに政策を進めていくかも考えていかなければいけない。  その際に、60歳代前半については、法律に基づいて、一定の高齢者雇用確保措置が義 務付けられているのでそれを進めていくわけですが、60歳代後半、もちろん70歳代も当 然その延長上で考えていますが、60歳代後半に、どうやって企業あるいは労使でインパ クトを持って政策を進めていくかとなった場合、やはり、そこのところにきちんとした メッセージを示していく必要があると思います。  カギカッコが付いているのは、施策のある意味では固有名詞として我々はやっている ので、これがあるからといって70歳で止めるという趣旨ではなく、むしろ、60歳代後半 をきちんとやりながらその先をというメッセージです。固有名詞であるということを含 めて、成瀬委員も言われたように全体のトーンを見ていただくと、当然、年齢にかかわ りなく働ける社会を見通していることはわかると思いますので、そういったことで理解 をしていただきたいと思っています。  中途障害者の問題については、これは障害の種別を問わず、すべて必要な方について は、個々の施策はいろいろ検討をしていかなければいけませんけれども、身体、精神の どれかに限定したという意味ではなく、すべてのものを視野に置いて政策を進めていき たいと考えています。  最後に介護のところで、15頁は「雇用環境の改善」となっていますが、16頁は「給与 や労働時間等の雇用環境の改善」となっており、給与を1つの例示で挙げていますので、 ご指摘のところは入っていると思います。 ○大橋分科会長 いかがでしょうか。 ○宮本委員 私は前回お休みしてしまいましたので、いまになって大変申し訳ないと思 うのですけれども、拝見して、1点入れていただく必要があると思うのは、8頁の下から 7行目のブロックは、若年者の職業訓練に関して述べているのですが、7行目に職業相談 ・職業紹介、技能講習、住居確保の相談と挙がっており、住居確保という文言が入って いるのは大変重要なことだと思います。  技能講習に関して、実態申し上げると、例えばジョブカフェを始めとして、地域若者 サポートステーションや各地で行われているさまざまなジョブトレーニング関係の、例 えばNPO等がやっていると思うのですけれど、どれを見てもいちばん欠けている問題は、 職業訓練に伴う経済支援の問題であり、住む家がないという問題はさかんに言われてい ますが、そこまでいかない親元にいながら不安定なフリーター状態にある人でも、職業 訓練を受けて一歩上に出ようとしたときに、それだけの経済的な余裕がないので、とに かく働き続けなければいけないという実態があるので、この間さまざまなメニューがあ りましたけれども、経済的に全く余裕のない人に対する経済支援が、ゼロの状態である ことが大きな問題だと思っております。その点で、「訓練に対する経済支援」という文 言を入れる必要があると思います。 ○成瀬委員 先ほど答弁をいただきましたが、7頁の労働条件の調整の部分ですが、こ の表現自体はニュートラルな表現であって、労働条件を上げる場合も下げる場合も両方 含めているということなのですが、行政の在り方としてそもそもニュートラルでいいか という問題があると思います。  雇用政策基本方針は、先ほどから言っているとおり、雇用対策法に基づいて策定され るわけであり、雇用対策法の目的は先ほど言いましたとおり、もちろん目的はいくつか ありますが、その中の1つとして「労働者の経済的社会的地位の向上を図る」というの があるのですね。したがって、「経済的社会的地位の調整」ということではなく、明確 に、雇用対策法の目的はニュートラルではなく、「向上を目指す」となっているわけで すから、その趣旨から反しないように、逸脱しないように、雇用政策基本方針を立てて いただかないとおかしいのではないかと思います。それとも、雇用対策法の第1条の「 目的」は変えるべきだとお考えなのでしょうか。よもやそういうことではないと思うの ですけれども、是非その辺の整合性を持ってここは表現をしていただきたいと思います。  もう1点、10頁の高年齢者のことなのですが、個別の政策の固有名詞ということ、そ れから、インパクトを持って訴える必要がある、それはそれとしてわかるのですけれど も、そういうことであれば、折角、高年齢者雇用安定法の中で3つの類型を出していな がら、事実上定年廃止を目指そうとする労使に対しては、それはやはりブレーキ役とな って、定年延長ないしは雇用延長のほうでやるべきだというメッセージになるのではな いかと思っているわけです。  もちろん、70歳までということで、定年延長ないし雇用延長という形で年齢をどんど ん、どんどん延ばしていこうというやり方を否定するつもりもないし、実際はそちらの ほうが多数になるのではないかと思います。一方で明確にエイジレス、エイジフリーの 社会を目指すということで、定年そのものをなくしていこうという挑戦をしていこうと いう労使もあるわけですから、そこに対する援助、支援、メッセージも同等以上に発し ていただきたいと思うのです。そういう観点から、この1つだけの例示は如何なものか と前回から申し上げているのですが、その点についていかがでしょうか。 ○川本委員 ちょっと1つ、2つご意見を申し上げたいと思います。7頁で先ほどからご 指摘のある「労働条件の調整に柔軟に対応する長期雇用を基本とする」という問題です が、先ほど日本経団連が発表した、「経営労働政策委員会の報告」の記述のご説明があ りましたので申し上げておきます。経営労働政策委員会で付加価値の問題、賃金の問題 に触れてありますけれども、そこは別に政府に求めている部分では全くなく、個別の企 業が労使で話し合いをしながら、決めていただくときの1つの考え方を示しているので、 政策の観点として示しているものではないのです。賃金はあくまでも個別企業労使での 話し合いと考えているということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、10頁の「『70歳まで働ける企業』の普及・促進」のところで、これを削除 すべしというお話しがあり、要はブレーキのメッセージになるのではないかというご指 摘でしたが、たしか、「70歳まで働ける企業」の事例を聴取されたり、いろいろな発表 された取組は進められていると思っております。そういうことも含めて考えると、ある いは、目指す取組の一環としてということで、一環という言葉が入っていますので、す べてエイジレスそのものをブレーキをかける表現にはなっていないと、別に私は読んで 違和感はないと思ったということだけ申し上げておきたいと思います。以上です。 ○大橋分科会長 宮本委員が話された、訓練に対する経済的支援ということについてい かがでしょうか。 ○雇用政策課長 それについては、基本的に若年者のフリーターなどについては、生活 保障よりはむしろ一人ひとりの事情を踏まえて、その働く意欲を喚起しながら就職支援 を効果的、積極的に行っていくことが大事だと思います。  ただ、公共職業訓練においては無料、または低廉な費用で訓練を受けられるコースを 中心にするとともに、来年度からはジョブ・カード制度の枠組みの中で、技能者育成資 金貸付制度という受講資金のない訓練受講生に対して、受講に必要な資金をとおして生 活費を加味した資金の貸付を予定するなど、訓練生本人の費用負担が重くならないよう に配慮しているところです。  それから、成瀬委員のご質問ですけれども、赤を引いた上のほうに、雇用・生活の安 定向上の確保が大事であると、そのためには長期雇用が基本であるとなっていますので、 基本的に雇用・生活の安定向上が大前提で、そのために長期雇用が大事であると。つま り、雇用が安定しなければ、こういったものがうまくいかないとご理解いただければと 思います。 ○大橋分科会長 いかがでしょう。 ○宮本委員 いまのご説明に関して、1点、実態に即して問題を感じるのは、企業に対 して訓練のための費用を国が払い、それを通して、企業が雇用なり訓練生という形で、 若い人を選んでその機会を与える形で動こうとしていると思われますが、現実には、そ れで選ばれにくい人たちがいちばん問題なのです。どういう人が選ばれにくいかと言え ば、まず、早期に学校を去った人、それから、家庭が貧しい人等で、いちばん不安定な 仕事に就きやすい人ですけれど、企業にいった訓練の助成金でその人たちを優先的に採 るとは思えない問題があります。  そういう点で言うと、本来であれば企業に対して助成をするのはもちろんですけれど、 もう一方で、選択肢としては企業に選ばれない、しかし、自分でやりたいという人に対 する可能性を残すためには、訓練に対する広い意味での経済支援というのを作っておく 必要があると思います。 ○職業能力開発局総務課長 フリーター等、能力開発機会になかなか恵まれない人たち を対象に、来年度から先生もご承知のジョブ・カード制度を実施します。座学と実習の 組み合わせ訓練の機会を提供するということですが、大きく2つの種類があり、企業と 雇用契約を結んで賃金をもらいながら訓練を受けるパターンと、それから、民間教育訓 練機関等に委託をして、その訓練コースの中に企業実習を作るという2種類のものがあ ります。  雇用契約を結んで実習を受ける場合には、企業から賃金がもらえますが、このときの 助成はoff-JTだけではなく、OJTについても1時間当たり600円と、OJTについても助成を する形にしています。  それから、教育訓練機関にいく場合には、訓練費用は無料ですが、その間の生活費で、 フリーター等の方でも雇用保険の受給資格者の方の場合には雇用保険がありますけれど も、そうでない方が問題であり、先ほど雇用政策課長がお話した技能者育成資金と申し ますのは、雇用能力開発機構が運営をしているものであり、経済的支援がないと訓練が 受けられない雇用保険がない方です。今回ジョブ・カード制度の中で、民間委託型の訓 練期間中の資金が必要な方については、この技能者育成資金制度を拡充して、一定額毎 月生活費を加味した資金が出せる仕組みを今回新しく作りました。これについては、ご 本人に直接お金を融資する仕組みになっています。 ○大橋分科会長 そのほかご意見いかがでしょうか。 ○成瀬委員 高年齢者の件の答弁をまだいただけていないのですけれど、私の2回目の 発言に対してです。 ○高齢・障害者雇用対策部長 従来の雇用について企業の取組みをどう認識しているか にも関わると思います。この「70歳まで働ける企業」と、こういう施策名で打ち出して 始めたわけであります。成瀬委員が言われるような形で、定年をなくそうと思っていた のだけれども、これでという反応を私はほとんど聞いたことがなくて、むしろ、高齢者 雇用確保で65歳まででいいと思っていたのに、今度は70歳ですか、というのが基本的な 企業の認識だと思っています。今後、高齢化の進展等々を考えた場合には、法律とかは まだ無理にしても、やはり、企業においては65歳で終わりではないということをきちん とやっていくことは非常に重要だと考えています。  中期ビジョンの中でこの施策名を落とすことは、成瀬委員が思っていることと逆のメ ッセージになる可能性のほうが高いのではないかと思っています。70歳までいいですよ ということでは決してない、これは文章の全体の流れと、それから、先ほど言いました けれども、カギカッコを付けてあることでわかっていただけると思っています。むしろ、 60歳代後半以降をどう考えるかをメッセージとして出していくためには、やはり、この 施策名をきちんと位置付けていくことは非常に重要だと考えます。 ○大橋分科会長 このタイプの議論は、1980年代に組合の方が60歳定年を盛んに主張さ れたときに、60歳という言葉を出して議論されているのですね。そういう点で、70歳と か60歳というのは、多分その時代に即した形で出てくるわけで、今度は70歳だから組合 の方が反対されるというのはいかがなものでしょうか。今や時代の流れとして、70歳ま で働けるというのは容認されるのではないでしょうか。75歳まで働けるというのはまだ 社会的に容認されないと思いますけれど、一応シンボリックな意味で、70歳までという のは容認できると私は思うのですけれど、いかがでしょうか。 ○成瀬委員 その点、言われたのでちょっとコメントすることもなくなりましたけれど も、過去、60歳の定年延長ということは、労働側がそうおっしゃったので当然ながら承 知はしております。当然、そのときそのときの日本社会の状況に応じて、かつ、雇用状 況、あるいは労働者の実態から何を求めているかということでそのときの方針が出てく るわけで、それは労働者の多数がそれを望んで、それを政策として、それを方針として、 労働運動として進めたということだと認識をしております。  翻っていまどうなのかと言ったときに、先ほどの答弁もありましたが、実際問題とし てそういうケースが多いのかもしれませんが、ただ、そうではなく、つまり、70歳まで 働けると明確に言うことが、雇用は70歳まで延長すればいいです、それ以降はなしでい いという受け止め方をされて、本来はエイジフリー社会、年齢に関わらず働く意欲と能 力があれば、何歳でも働ける社会に近づいていくには、マイナスになる面もあるのでは ないかという観点から言っているわけで、いまの日本の労働運動の中で何歳と明示をし たほうがいいのか、それとも明示をしないほうがいいのかはいろいろな議論があり、か つてとは違って、取り巻く環境が違いますので、そういう状況になっていることは申し 上げておきたいと思います。 ○長谷川委員 ちょっと労側の意見が割れておりまして、これは成瀬委員個人の意見で あり、労側全体がそうかと言えばそうではなくて、今回の60歳以降の高齢者雇用安定法 のときに、60歳から年金開始年齢までどうするのかという議論があり、そのときに、定 年の延長、定年制を決めない、継続雇用、この3つの中から選ぶということでいままで 進んできたのですね。それ以降の働き方はどうなのかは、いろいろな意見がまだあり整 理はされていません。ただ、働く意欲と能力のある人が働き続ける社会ということであ れば、誰でも納得するのですね。そこは納得するのですが、そのときに、65歳とか70歳 と、55歳から60歳にしたときのほうに、60歳から65歳とするか、70歳とするのがいいの かどうなのかは、まだ全体的に私どものところではコンセンサスはできておりません。 例えば成瀬委員のようなところで定年制を廃止してやろうという構成組織もあれば、い や、70歳までというのはきついというのもありますし、そこまで書く必要はあるのかと、 そこのところはまだいろいろな意見があり、むしろ、政府が早い時期に70歳代と出して しまったので、労使が後追いの状況になっている。だから、労使で意見があるとすれば、 働く意欲と能力のある人が働ける社会という漠然としたところでは一致しますけれども、 そのときに、制度設計をどうするか、雇用安定法をどうするかは別の議論になると思い ます。 ○大橋分科会長 かなり立ち入った話になってきましたので、ここはそういう場ではご ざいませんので、その他ご意見はいかがでしょう。 ○斉藤委員 私は前回欠席いたしました。15頁の中小企業等の人材確保なのですが、本 分科会で取り扱う案件と若干違う観点かもしれませんけれども、ここに書いてあるよう に、日本経済が柔軟に対応し、安定的に高い付加価値を生み出していくために必要不可 欠なところが中小企業であるし、しかしながら、一方で人材確保という面では労働者の 処遇面の問題等もあってなかなかうまくいかない。よっていろいろな策を講じる。これ はよくわかるのですけれども、いわゆる、中小企業等がどうしてそういう隘路に立つの か考えたときに、16頁の4行目ぐらいに書いてありますけれども、「中小企業が労働者 の能力を有効に発揮させ生産性を向上するために支援を実施していく」。誠にそのとお りなのですが、生産性が向上されたその次の段階において、向上された分も含めてメー カ側からのコストダウンという構図ができてくる。そうなってくると、生産性を向上さ せることと、向上した後の企業の姿であるとか、労働者の処遇面であるというところが マッチしてないものですから、そういう面においては本当にインセンティブがわくのか 等の問題もある。当分科会とはちょっと意味合いが違っているが、ではどんな政策とい われてもないわけです。いわゆる公正な取引等に関することについて、今後相当意を配 していかないと、結果的にはいろいろな策を講じても、最終局面において企業側におけ る成長の源泉や、労働力側における生活の源泉等というものが、本当に好循環するのか という意味においては大変疑問を持っているのです。この中でどうこう云々は大変難し い点はあると思いますが、私はそういう局面でしっかりと捉えておく必要があると思っ ています。 ○大橋分科会長 斉藤委員もご指摘のように大変答えにくい質問ですが、何かありまし たら。 ○雇用政策課長 問題意識としては我々もそう思う、ある意味で共通のところはあるわ けです。厚生大臣の告示ですので、我々の行政の範囲外についてここに盛り込むのは難 しいです。ただ、研究会報告の中では、それについて若干書かせていただきます。問題 意識としてはそうしたことも考えている。ただこの方針の中では行政の範囲を超えてい るので書き切れなかったと、ご理解いただきたいと思います。 ○大橋分科会長 その他ご意見ありませんか。 ○成瀬委員 今回13頁で、労働保険、社会保険をはじめ、セーフティネットの充実とい うところはかなり書き込んでいただき、そういう意味では大変ありがたいと思います。 ただ、その追加をした3行目で、「ハローワークにおける職業紹介と一体となった雇用 保険制度の運用を図ることによって」とあります。打ち出されていること自体は非常に いいことであり、是非このとおり隅々まで推進をしていただきたいと思うのですが、実 際に現場での運用がどうかというところで言うと、不安もあります。  たまたま先日聞いた事例ですが、私の知り合いの当時失業者が、ハローワークに就職 先が決まって再就職手当の受給に行ったそうです。そうした場合に、手続を聞いたわけ ですが、「再就職手当支給申請に係る調査書を出してください」と。その中で、雇用保 険被保険者となった、あるいはなる予定、会社が雇用保険に加入してない、というチェ ックする欄があるわけです。就職が決まった会社は、「雇用保険に加入していない」と いう所にチェックをすると、「未加入ということがばれてしまって、会社から叱責され る懸念があるので嫌だ」と言ったら、ハローワーク窓口担当者が、「未加入であること は把握するけれども、現在の取扱いでは未加入の事業所に電話して、加入してください と言うに留まり、すぐ加入させるとか罰則を適用するということはしていない。そのた め安心してください。」という返事をされたということを聞いています。これはたまた まそこのハローワークだけの対応なのかどうか知りません。  そういう意味でいうと、この2行目の「適正な加入が図られるよう事業主への指導の 徹底」この部分が本当にされているのかという点では、私はかなり不安に思っているわ けです。今まで以上に、一層の監督指導の強化をお願いしたいと思います。  また前回の分科会で、雇用保険と並んで健康保険についても申しましたが、健康保険 についても適正な加入の徹底をお願いしたいと、重ねて申し上げておきたいと思います。 ○職業安定局総務課長 ただいまの雇用保険の加入の件ですが、いずれにしてもちょっ と個別の事案については承知をしていませんので、この場でコメントはいたしかねます が、ここにありますように、雇用保険の加入の促進、あるいはそもそも加入しなければ ならない事業所への指導については、私どもとしても労働局ハローワークへさまざまな 形で指示をしているところです。これからも引き続き、これは非常に重要な問題ですの で、そうした形で務めてまいりたいと思っています。 ○大橋分科会長 その他、ご意見いかがですか。よろしいですか。  それでは、雇用政策基本方針については概ねご意見も出尽くしたかに思いますので、 本日いただいたご意見を踏まえて、修正内容については私に一任いただくことでご了解 いただければと思います。また、全国指針については、本日いただいたご意見を十分に 踏まえた上で策定していただくようお願いいたします。  次の議題は、(3)競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正す る法律案要綱(職業安定法関係部分)についてです。まず、事務局より法案の概要につ いてご説明いただきます。本件については、当分科会に先立ち、労働力需給制度部会に おいてご議論いただいているところですので、本日は同部会の部会長である清家委員か ら部会での議論についてご報告をいただきたいと思います。その後、再度事務局より部 会における議論を踏まえた諮問内容をご説明いただきます。まず、事務局より法案の概 要の説明をお願いいたします。 ○職業安定局総務課長 私から説明させていただきます。資料3−1、競争の導入による 公共サービスの改革に関する法律、いわゆる公共サービス改革法ですが、この一部を改 正する法律案です。この法律案自身は内閣府の所管ですが、今回お諮りする部分につい ては表題にあるとおり職業安定法の特例を定めるものですので、本分科会のご意見をい ただこうというものです。まず、この資料のいちばん上の「概要」にあるこれまでの経 緯等です。ハローワークの窓口における無料職業紹介についての市場化テストについて は、一昨年来、経済財政諮問会議等の場でご議論をいただいてきたところです。私ども としては全国ネットの無料職業紹介については、セーフティネットとして国が責任を持 って行うことが必要であるということで、引き続き主張いたしました。その結果を踏ま え、説明は省略いたしますが、資料3−1の5〜6頁のとおり、これが昨年5月に私どもの 当時の柳澤大臣が、経済財政諮問会議の場で、こうした形でハローワークの市場化テス トを行いたいということで提示し、ご了解いただいた内容です。  これを踏まえ、同じく資料の3頁の経済財政改革の基本方針2007、いわゆる骨太2007、 6月に閣議決定をされたものの中に、3頁にあるとおり、官と民のイコールフッティング が実質的に確保されるよう、所要の法改正を行うとともに、平成20年度を目処に市場化 テストを行うという内容が盛り込まれています。さらに、同じく4頁に、具体的な市場 化テストにおいてどういった事業を行うのかについては、この公共サービス改革法に基 づく公共サービス改革基本方針の中に盛り込まれることになっています。4頁にあると おり、平成19年12月24日改訂、閣議決定された公共サービス改革基本方針の中に、この ハローワークの職業紹介事業が盛り込まれている、こういった経緯です。  今申しましたように、このハローワークの無料職業紹介についての市場化テストにつ いては法的な整備、先ほど申しましたような職業安定法の特例が必要ですので、それに ついてご審議をお願いするものです。  具体的な改正の内容は、資料3−1の1頁目の真ん中の部分です。「公共サービス改革 基本法第32条第1項の特定業務に、ハローワークの職業紹介業務を追加をする」という ものです。これは同じく2頁の参照条文をご覧ください。この公共サービス改革法の32 条の条文「職業安定法の特例」があります。32条のまず第1項ですが、この特定業務を 実施する施設において職業紹介事業を行う者は、職業安定法第30条第1項の許可を受け た者でなければならないとなっています。これは国が委託費を支給をし、職業紹介事業 を行いますので、有料職業紹介の許可を取った業者でなければできないというものです。 以下、1号、2号が具体的な特定業務、これは現行平成19年度から市場化テストを実施し ている業務が記載されています。1号が人材銀行、2号がキャリア交流プラザの事業です。 今回の改正においては、この3号にハローワークの窓口における無料職業紹介の事業を 追加をするという内容です。  さらに、この特定業務の追加をしますと、その効果として、同じく第32条の第2項を ご覧いただくと、この1号、2号に記載された業者については、国以外の者から手数料又 は報酬を受けないときには、職業安定法第32条の11の規定は適用しない、適用除外とす るという規定になっています。この職業安定法32条の11が、その下にあるとおり、有料 職業紹介事業者は、港湾運送業務や建設業務の取扱いは禁止されています。この市場化 テストを行う場合についてはその禁止を適用しない、その規定を適用しないという内容 です。市場化テストは官民のイコールフッティングということが大原則ですので、あく までもこの市場化テストの中で行う場合については、職業安定法の第32条の11の規定を 適用しないという内容です。  大きな3点目として、具体的に、それではハローワークの窓口での市場化テストはど ういった形で行われるか、それを今回法律の3号として記載をすることになるわけで、 それが資料3-1の1頁のいちばん下の段、「新たに追加される特定業務の範囲」のところ です。具体的なイメージとしてはこの図にあるような形で、ハローワークの本庁舎の中 で職業紹介の窓口について、国、公務員が行う部分と、民間事業者が行う部分を併設を して、職業紹介を行うという内容です。冒頭に申しましたように、全国ネットの無料職 業紹介はセーフティネットとして国が責任を持って行う必要がある。そうした内容につ いてはILO第88号条約においても要請をされていることを踏まえて、あくまでも全国ネ ットの無料職業紹介は国が行うという体制に反しない形で、こうした形で職業紹介を行 う、市場化テストを行うというものです。  したがいまして、法律の条文についても、今申しました形が明確に示されますように、 「新たに追加される特定業務の範囲」に、少し太字で、「ハローワークの庁舎において、 その職員が自ら職業紹介業務を行う窓口に併設する窓口において行う職業紹介業務」と、 民間の事業者が行う業務を、こうした形で特定をしたいという内容です。こうした内容 が、先ほど申しました公共サービス改革法第32条の1項の3号に新たに追加をされる内容 です。私からは以上です。 ○大橋分科会長 引き続き、清家委員からご報告をお願いいたします。 ○清家委員 労働力需給部会長の清家でございます。では、「競争の導入による公共サ ービスの改革に関する法律の一部を改正する法律(案)、職業安定法関係部分について」、 労働力需給制度部会における議論の内容をご報告申し上げます。 「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律(案)、職 業安定法関係部分について」は、労働力需給制度部会としてはこれを概ね妥当と認める という結論を得ましたことを、ご報告申し上げます。また、本報告に至る過程、検討の 過程において、ハローワークの職業紹介業務の市場化テストの実施に際しては、その利 用者として高齢者や障害者、あるいは母子家庭の母親等の、特に就職が困難な方々が多 く利用しているということを踏まえ、官民のイコールフッティングを確保するとともに、 以下の3点についてご意見がありましたことを、併せてご報告させていただきます。  以下の3点と申しますのは、まず第1点として、利用者である求職者及び事業主の立場 に立ち、サービスの低下やハローワークの有する全国的なネットワークの無料職業紹介 によるセーフティネット機能が、損なわれることがないよう十分に留意する必要がある こと。第2点として、市場化テストの取組状況や課題等について十分検証する必要があ ること。第3点として、ハローワーク自身も、そのサービス向上に一層努めるべきであ ること。この3点についてご意見がありましたことを併せて報告させていただきます。 なお、ハローワークの市場化テストについては、ただいま報告させていただいた部会に おけるご意見を踏まえれば、その実施状況等については、当分科会においても十分注視 していく必要があるのではないかということを考えておりますことを申し添えさせてい ただきます。 ○大橋分科会長 本件についてご意見、ご質問があればお願いいたします。 ○川本委員 ただいまご推薦いただきまして、ありがとうございました。今回の内容は 市場化テストに伴う必要な改正を行うというものですが、また労働力需給制度部会のほ うでもとりまとめいただいたということですので、私どもとしては異議はございません。 その上で、1言だけ申し上げさせていただきたいと思います。実は、私どもハローワー クの重要性については十分認識をさせていただいている次第です。昨年末に日本経団連 で経営労働政策委員会の発表をさせていただきましたが、この中でもハローワークの機 能は雇用のセーフティネットであって、今後とも、無料かつ全国的な職業紹介組織を維 持していくべきであると、記述させていただいているところです。ハローワークの事業 は、全国ネットワークでの職業紹介と、それから雇用保険・雇用対策の一体的実施が基 本となっているということです。国が維持すべき最低限の職業紹介機能の効率化を図り ながら、職業紹介事業の民間開放を一層進めていくべきであって、市場化テストの推進 によって官民が相互に補完し合う、きめ細かいサービスの提供体制の構築をしていく必 要があると考えています。市場化テストの結果を踏まえて、課題が出てくるようであれ ば、先ほど部会長からご説明がありましたが、審議会の場でも議論をしてまいりたいと 思っている次第です。以上です。 ○徳茂委員 需給部会のほうでの議論をいただいた結論については、私としても尊重し たいと思っています。その上で、この市場化テストという手法で、既にいくつかの事業 が実施されていると思うのですが、市場化テスト法の法律の趣旨として、そのサービス の質と価格の両方において優れているものが落札するということになっていたと、たし か記憶しています。この質の評価というのをどのように行うかは、実は大変困難なこと だと思っていまして、過去の事業の事例では数値化できるもの、例えば件数としてカウ ントできるもの、ハローワークでいえばマッチングできた件数とか、数値化できるもの についてを評価することは、それとしては可能だと思うのです。マッチングした中身を 評価することになると、そう簡単ではないのではと考えています。ご報告の中にもあり ましたが、このハローワークを利用する求職者と求人側の両方が満足できる、質の高い マッチングになるかどうかをどのように評価するのかについては、少し慎重な検討が要 るのではないかと思っています。いただいた資料を見れば、利用者に対するアンケート を義務づけることなども書いてありますが、アンケートの項目をどうするのか、どうい う観点でアンケート結果を評価するのかについては、ここの、例えば分科会で議論する ことも必要ではないかと感じているところです。数と、それからハローワークで行った サービスの質を評価する際の考え方、そういうものがどこでどのように定まっていくの かについて、お教えいただけたらというのが1点です。私としては、この分科会などで 是非議論すべきではないかという意見を持っています。  もう1つは、失業者が大勢来る窓口ですから、何らかのトラブルなどが起きた場合の 責任の問題はどうなっているのか。包括的に委託することになるのでしょうから、その トラブルの解決まで含めて全部、参入する民間事業者が責任を負うべきということにな るのかと思いますが、有り体に考えて、役所の窓口などで責任者を出せという類のトラ ブルというのはよくあるわけです。そういう際には、誰が最終的に対応するのかなどは、 どういう考え方になっているのか、質問をさせていただきます。 ○職業安定局総務課長 2点ご質問いただきました。まず1点目の評価の問題、これはご 指摘いただきましたとおり、非常に難しい問題であると思っています。本日の資料3−1 の6頁にもあるように、単純に、私どもとしても就職者の件数とか、就職率のみで評価を できるものではないと思っていますので、今後その法律が成立しましたら、具体的な実 施要項により、いまご指摘がありましたような評価基準等々についても具体的に詰めて まいりたいと思っています。また、先ほど部会長からもご指摘がありましたように、こ の市場化テストの状況については、私どもとしても併せてこの分科会にも途中経過等々 ご報告させていただければと考えています。  2点目の、最終的に誰が責任を持つのかということに関しては、それぞれの事案の内 容にもよるとは思います。ただ、あくまでもこれは最終的にはハローワークの市場化テ スト、ハローワークの職業紹介部門についての市場化テストということになりますので、 それは最終的には官の窓口、民の窓口を含めて、ハローワークとして最終的な責任をと る必要があると考えております。 ○大橋分科会長 トラブルの問題は。 ○職業安定局総務課長 ですから仮にトラブルが生じたような場合についてはですね。 ○大橋分科会長 その他いかがですか。 ○岩村委員 1点だけ。既に部会でも議論があったのかもしれませんが、要するに、一 種の公共的な事業の競争入札を、ハローワークについて部分的にやりましょうという話 だと思うのです。そうしますと、これは競争入札に伴ってよくある話ですが、応札は非 常に低価格で応札する、儲けは他で出すということがよくあることで。この場合も、考 えればハローワークの部分を請け負っておいて、そして求職者は自分のところの、例え ば派遣業のほうに回してしまう。そちらで儲ければいいという、そういうこともやろう と思えば可能だということもある。ある意味一種の利益相反だと思うのですが、そうい うことについてのチェックというのは適正に行っていただきたいと思います。 ○長谷川委員 徳茂さんが言いたいことはもう1つあったのです。それは何かというと、 ハローワークが1階だったら1階のフロアーに、官と民がいて仕事をする。トラブルが起 きる。失業者ですから、いろいろなトラブルが起きるわけですね。そのときに、ではそ のトラブルに対して官が、必ず管理者出せと言うから、課長とか所長が出てきて。そし てその民の人に、こうしなさい、ああしなさいと言うと、業務指示になるのではないか。 それって、違法派遣ではないかと言われて。ハローワークで違法派遣を展開するのです かというふうに言われて。では、そこはよくわからないので今日ご質問したらいかがで すか。今日ちょっと品良く彼女聞いたので、私は彼女から聞いたものをずばっと言うと、 そういう話です。だからすごくこれから起きてくる苦情処理とか、トラブルが発生した ときに、ある所で酒に酔った人が来てトラブルになった。救急車呼ぶ話か何かいろいろ、 結構ある話。そういうのから細かい業務指示の話からあると思うのですが、そういうこ とを心配しています。 ○職業安定局総務課長 ご指摘のとおり、おそらく事細かに、日々日常的にそうしたや りとりを個々の業務ごとに行うことになりますと、派遣法なりに触れるというようなこ とも十分あり得ることだろうと思います。ですから、当然ながらこれは本家本元のハロ ーワークでありますので、そうした事態は避けなければなりません。一方で、当然なが ら何らかのトラブルを避けるために一定の民の窓口と、それからハローワーク側との意 思の疎通も重要であると思います。それは個々個別にということではなく、やはり何ら かの形でそれぞれの業務を調整をする、法令に違反しないような形でやっていく体制は 必要であると思っています。そうしたような体制も含めて、引き続き具体的に検討して まいりたいと思っています。 ○大橋分科会長 その他ご意見いかがですか。特にないようでしたら、本案件について は大体ご了解いただけたと思います。つきましては、労働政策審議会に対して、労働力 需給制度部会におけるご意見を付記して、概ね妥当ということで報告したいと思います が、よろしいですか。 (異議なし) ○大橋分科会長 事務局から、報告文の案をお配りいただきます。 (報告文(案)配付) ○大橋分科会長 お手元に配付いただいた報告文(案)により、労働政策審議会長宛て 報告することとして、よろしいですか。 (異議なし) ○大橋分科会長 お認めいただいたことにしたいと思います。  次の議題に入ります。「日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及 び派遣先が講ずべき措置に関する指針等について」です。本件については1月9日の分 科会において報告があったとおり、労働力需給制度部会でご議論いただき、その結果が まとまったということです。本日は、同部会の部会長である清家委員からご報告を、ま た事務局からはそれを踏まえた諮問内容のご説明をお願いしたいと思います。では、よ ろしくお願いいたします。 ○清家委員 まず私、清家のほうからご報告をさせていただきます。前回のこの分科会 において、私のほうから労働力需給制度部会の中間報告についてをご報告させていただ きました。その中で、日雇派遣、派遣元事業主の情報公開、効果的な指導監督の実施に ついて必要な省令・指針の整備を速かに検討をするとしており、それを受けて労働力需 給制度部会において今月2回にわたり検討を行いました。労働者代表委員及び使用者代 表委員からそれぞれさまざまな意見が出されてまいりましたが、日雇派遣労働者の雇用 の安定等を図るための指針の制定、派遣元指針の改正、労働者派遣法施行規則の改正を 行うべきであり、それらについて厚生労働省案は概ね妥当であるとの結論に至りました。 なお、労働者代表委員からは、本来日雇派遣については法改正により禁止すべきもので あり、今後中間報告に基づき設置される研究会等において引き続き検討してほしい旨、 また使用者代表委員からは、日雇派遣の問題と軽作業系の派遣の問題を整理して議論し てほしい旨、それぞれご意見がございました。引き続き諮問案の内容について、事務局 から説明をお願いいたします。 ○需給調整事業課長 事務局です。資料4−1をお開きください。今回、審議会に諮問し ている案件は3件です。1件目が、日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元 事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針案要綱です。2件目が、派遣元事業主が 講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱です。3件目が、労働者派遣事 業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部 を改正する省令案要綱です。順次、ご説明いたします。  次頁、別紙1の日雇派遣の指針について説明いたします。現行一般の派遣については 派遣元指針、派遣先指針と2つの指針がありますが、これに加えて、日雇派遣について は通常の派遣とは異なったいろいろな事情があるために、新たな指針を1つ創設すると いう内容です。  まず、第一の趣旨のところですが、5行目に、この指針の適用対象者を書いています。 日々又は30日以内の期間を定めて雇用される者、(日雇派遣労働者)とあります。これ は雇用保険の日雇保険の定義が、日々又は30日以内というものですので、これに合わせ て、この日雇派遣指針の適用対象を決めているものです。  第二に入り、雇用の安定を図るために必要な措置ですが、一は現行の派遣元指針と同 じです。二と三の部分は、派遣契約の契約の期間の長期化と雇用期間の長期化の2つが 書いてあります。そのうちの通常の派遣元指針においては、雇用契約期間の長期化につ いては派遣契約期間とできるだけ合わせるようにとありますが、日雇の派遣の場合にお いてはこの派遣契約自体が日々発注で、これに合わせたところで日雇には変わらないこ とになってしまいますので、まず派遣契約期間の長期化ということを書き、日々発注で はなく、できる限り長期に発注してもらった上で、それにできる限り雇用契約期間を合 わせていくという書きぶりにしています。  3頁、四の派遣契約の解除に当たって講ずべき措置です。解約の場合の合意を得るこ と、それから新たな就業機会の確保を図ること、いろいろ書いています。(三)の3行 目に、損害賠償が書いてあります。通常の指針においては30日前の予告等と書いてあり ますが、これについては日雇派遣の場合は30日前の予告というのがなかなか困難ですの で、「損害賠償を適切に行う」と表現しています。  4頁、第三、就業条件の確保です。これについては、一で派遣元事業主が派遣契約で 定めた就業条件をきちんと確保するために、定期的に巡回する等の規定を書いています。 二の派遣先について、若干書き込みをしています。(二)、(三)で、就業場所の巡回 と就業状況についての報告です。これについては、「一の労働派遣契約について少なく とも1回以上の頻度で」と記述しています。これは、派遣契約を守るためには派遣契約 の間、1回は少なくともその契約がちゃんと行われているかどうか、しっかり見ろとい うことです。ある意味当たり前のことですが、日々に契約している場合にも、日々就業 場所の巡回、それから就業状況の報告を求めることが必要になるものです。  5頁、第四、労働・社会保険の適用の促進です。先ほど、中期ビジョンの中でも雇用 保険とか健康保険について、しっかり適用するというご意見ありましたが、ここで日雇 労働保険、それから日雇の健康保険がありますので、一の部分で書いています。雇用保 険と健康保険については日雇の特例措置がありますので、それについては労働者が手帳 所有者である場合には、一の印紙の貼付等の手続を派遣元事業主はしっかり行えという 規定を入れています。二が、一般の労働・社会保険です。三以降においても、日雇保険 についても手続を行っているのかどうか、それから行っていない場合にはどういう理由 であるのかを派遣先、労働者にそれぞれ通知をし、派遣先は雇用保険等に入っていない、 若しくは日雇保険に入っていない、理由が妥当ではないと思われる場合には、派遣元に 対して派遣先から、しっかり雇用保険に入れてから派遣するようにというように求める 規定を置いているところです。これにより、私ども厚生労働省でもしっかりと雇用保険 ・健康保険等々の適用についてはチェックいたしますが、派遣元、派遣先のダブルチェ ックもかけて、この施行を図ってまいりたいというものです。  7頁、第五、就業条件等の明示です。まず、一は雇入れ時の労働契約の締結に際して 労働基準法に基づき労働条件の明示をすること、二は実際に派遣されるときに派遣法に 基づき就業条件等の明示を確実に行う。この場合に派遣法についてはメール等でも明示 ができることになっていますので、メールを活用してモデル就業条件明示書なども作り、 明示がしっかりされるように図ってまいりたいと思っています。  第六は教育訓練の機会の確保です。部会でも、教育訓練が日雇派遣の場合しっかりや れていないのではないかという議論がありましたので、具体的に第六の二、三、四が3 点セットの規定です。まず二は、その日に従事する業務について、職務遂行に必要な能 力を付与するための訓練については派遣就業前、具体的には、大体朝集まり、そこから バス等で現場に送られていくと思いますが、送られる際もしくは集まったときに、その 日に必要な仕事についての注意事項なり、必要な技術指導等々については行いなさいと いうものです。三で、さらにその職務を効率的に遂行するためのスキルを身につけるた めの訓練については、実施するよう努めるという規定にしています。四では、それ以外 の、例えば日雇ではなく一般の登録型の派遣や、常用型に移るような場合に、必要なス テップアップの訓練等については、労働者の希望等もありますので、職務の内容、意欲、 能力・経験等に応じて実施することが望ましいという規定にしています。  8頁、第七、関係法令等の関係者への周知です。日雇の場合は派遣先それから派遣労 働者が関係法令、派遣法とか基準法について、なかなか理解をしていないというケース もありますので、まずは登録の際のホームページなどに法令等のコーナーを設ける、登 録説明会をする場合には、その説明会において説明を行うということで、関係法令の周 知を図るとともに、派遣元は派遣先それから派遣労働者に対して周知をする。派遣先に ついては、実際に指揮命令する者に対して関係法令等を周知する。こういう規定を盛り 込んでいるところです。  9頁、第八、安全衛生に係る措置です。これについては安全衛生法に基づき、雇入れ 時の安全衛生教育について派遣元が、それから危険有害業務就業時の安全衛生教育につ いては派遣先が、それぞれしっかり行うということを書いています。  10頁、第九、労働条件確保に係る措置です。特に、その中の(一)、(二)ですが、 賃金の一部控除、賃金の中から協定の締結なく、もしくは必要な説明をしないまま不適 切な控除が行われているという例が日雇派遣の場合ありましたので、これについての注 意事項を書いているものです。(二)の労働時間ですが、先ほど申しましたように、朝、 集合場所に集合してから実際の就業場所にバス等で移動することが多いわけですが、拘 束度合いによってはこの時間が労働時間とカウントされるケースがあります。労働時間 を適正に把握して賃金を払う。これが必要となってきますので、ここに書いているもの です。二の部分で、それ以外の基準法もしっかり遵守してくださいという内容を書いて います。  第十、情報の公開です。いわゆるマージンが非常に高いのではないかというご指摘も いろいろありましたところから、派遣元事業主の事業の透明性を図るために、派遣料金 の額や派遣労働者の賃金の額、これを情報公開することにより、派遣労働者それから派 遣先が良質な派遣元を適切に選択できるようにするという趣旨の規定です。日雇派遣の 指針については以上です。  次頁に別紙2派遣元指針があります。これは現行ですが、派遣元指針に、いま説明し ました日雇派遣の中の指針でも書いていました、情報の公開、すなわち派遣料金の額と か派遣労働者の賃金の額を公開することを追加するという規定です。情報の公開は日雇 派遣に限ったことではないということで、一般の派遣元についても情報の公開を積極的 に進めましょうというものです。  次頁、別紙3、省令(案)要綱です。5点あります。1点目と2点目は、派遣先の責任者 及び管理台帳の作成の義務で、もともと派遣先の責任者や管理台帳は一般の派遣事業所 では必ず置いていただくことになっているのですが、日雇の場合は省令で特例が設けら れており、日雇派遣の場合はこの責任者、管理台帳を置かなくともいいという規定にな っています。これはもともと1日だけ派遣され、それで終わりということを想定したも のですので、そうしますと責任者や台帳を置く必要もないであろうというようなことで したが、最近の実状を見ますと、1日派遣が繰り返される状況ですので、こういう適用 除外規定を設けることは、逆に適当ではないであろうということから、この適用除外規 定を削除するというものです。  第三、いま設けることにした管理台帳ですが、この中に実際労働者が派遣就業した場 所を派遣先に記述してもらう。これは日雇派遣で二重派遣等問題になっていますので、 実際に就業した場所を記入してもらうことにより二重派遣の防止、それから指導監督の 際の便宜に資するものです。  第四、派遣先管理台帳の記載事項に係る通知です。派遣先から管理台帳に記載してい る事項について、現行でも労働者の氏名、派遣就業日、派遣就業時間については月に1 度、派遣元に対して通知をするという規定です。この中に、今追加した派遣就労した場 所、業務の種類の2つを追加することにより、二重派遣とか禁止業務派遣について、そ の防止を図るという趣旨の規定です。  第五、事業報告書です。年に1度派遣元事業主から事業報告を求めているところです。 この中に、日雇派遣に関する事項がありませんでした。したがって、どこの事業所で日 雇派遣をやっているかがわかりませんでしたので、今回これを追加することにより日雇 派遣の実態をチェックしようというものです。以上簡単ですが、説明とします。 ○大橋分科会長 本件について、ご意見をお願いいたします。 ○成瀬委員 質問を何点かさせていただきたいと思います。資料の1頁、日雇派遣の指 針の、まず第一で、今回はこの日雇派遣労働者というのを、ちょっと確認的な質問です が、純粋に日々雇用だけではなく、30日以内の有期の雇用契約の派遣労働者も含めて、 日雇派遣労働者と定義をするということと読み取れるのですが、そういう理解でいいの かどうか。  それと、情報公開のところですが、日雇派遣指針、それから派遣元指針の改正両方に なりますが。この派遣料金の額、派遣労働者の賃金の額の情報公開をするというのは、 例えば、その派遣元事業主が取り扱っている平均の金額ではなく、個々の個別の金額を 公開するということを言っていると理解すればいいのか。まず2つお聞きしたい。 ○需給調整事業課長 お答えいたします。1つ目の定義の部分ですが、おっしゃるとお り、純粋日々ではなく30日以内の有期、全部に適用するというものです。なぜかと申し ますと、1日単位でやってしまいますと、例えば2日単位契約とかそういうものは規制し なくていいのかということで、そういうことではないだろうと、一定期間の短かい契約 で、不安定だから、こういう問題が生じるのだと、こういう趣旨かと思っています。 そうしますと、例えば雇用保険の日雇保険については、そういう不安定な契約のものを 保護するという趣旨のものですので、それに合わせて日々又は30日以内というように規 定したところです。  情報公開の部分ですが、これについては個々のものではありません。派遣元が、派遣 先、派遣労働者の選択に適切に情報を提供するという趣旨です。これについては、個々 の契約ではなく、例えば平均的なものについての公表を考えています。具体的なイメー ジとしては、資料4−2で付けていますが、事業報告で派遣労働者の賃金、派遣契約の派 遣料金の額を取っています。これに類するような内容のものを具体的に公表いただく。 公表方法としてはホームページ公表等いろいろありますが、公表いただくことを想定し ているものです。 ○成瀬委員 1点目はわかりました。どうもありがとうございます。2点目は、そうする と要は派遣事業者として許可を得てしばらくの間は実績がないわけですので、ある程度 からではないと公開できないわけですね。そういうことになる。 ○需給調整事業課長 それは実績がなければ公表すべきものがないので、1カ月か2カ月、 合理的な期間内は公表せずに、その後実績ができ次第公表いただく。こういう形になろ うかと思います。 ○成瀬委員 わかりました。 ○川本委員 日雇派遣指針については、昨今の日雇派遣をめぐります問題についてのさ まざまなお答えが入っておりまして、この解決を図っていくためには法令遵守が大前提 であり、今回の日雇派遣指針の策定をはじめとします一連の措置がございますが、十分 評価に値するものと思っております。  ただ、一応こういう指針を策定しただけでは解決しないわけですので、今後この指針 が実施された後は、やはり実効あるものとして機能するように、厚生労働省におかれま してはすべての派遣元事業主、あるいは派遣先において指導監督を行って、この指針の 運用を高めていただきたいと思っております。また、併せまして今ご質問のあった日雇 派遣労働者の数とか派遣料金の問題、あるいは賃金、こういう項目が今回の事業報告書 の様式に追加となったわけですが、労働者派遣制度を健全なものとして維持していくた めに日雇派遣労働者の実態をしっかりと把握して、その上で指導監督を行っていただき たいと思っています。以上です。 ○岩村委員 非常に細かいことで、本来でしたら調べてくればよかったのですが、お伺 いしたいのは今回の指針の中で、日雇労働者からの、派遣労働者からの賃金の控除の点 で、当然のことながら労基法24条で労使協定がなければ控除できないとなっていますが、 その場合の派遣元における過半数組合ないし過半数代表者の算定というのは、派遣元の 常用雇用労働者だけをカウントするという理解なのか、それともその協定を結ぶ時点で の派遣労働者も含んでということなのか、そこを1つ確認させていただきたいと思いま す。あともう1点、コメントがあるのですが、先に確認的にお教えいただければと思い ます。 ○需給調整事業課長 これは担当は基準局だと思いますが、私からお答えします。労働 基準法第24条の協定の締結ですが、いわゆる労使協定の締結の例と同じように、過半数 組合がある場合は過半数組合、それがない場合は過半数代表です。この過半数代表につ いては、例えば日雇で入れ替わっていても、ある協定を結ぶ時点において在籍している 労働者の過半数という理解でよかったかと思います。これは部会でも議論になったので すが、常に労働者が入れ替わっていくという場合もありますが、ある一時点をとって、 ここの過半数の代表と協定を結べば、労働基準法の免責は生じると、こういう仕組みに なっているかと思います。 ○岩村委員 どうもありがとうございました。あと1点、コメントです。正確ではない かもしれませんが、新聞報道などを見ると、今回控除されていた金額の中に、例えば派 遣先で損害を発生させた場合の、その損害保険の保険料みたいな名目で取っていたとい うのを聞いたように思いますが、法律的には派遣労働者が派遣先で何か損害を与えた場 合には、これは派遣先の企業と派遣労働者との間には雇用関係というか、契約関係がな いので、不法行為で整理される。そうすると、第1次的な責任自体は派遣元の事業主な のですね。そして通常理解されているところでは、事業主が不法行為責任を負う場合に ついて、労働者に対する求償規定というのは民法上ありますが、通常は故意または重過 失による場合に限っての求償が許されると理解されていると思います。また雇用契約上、 債務不履行責任を追及するということもあるとは思いますが、それも普通は故意または 重過失に限定すると理解されているようにも思います。新聞報道などを見ていて非常に 奇異に思ったところでもありますので、これが厚生労働省当局の問題なのかどうか、微 妙でありますけれども、そういうこともちょっとご留意いただいて、ご指導等、ご検討 いただければと思います。 ○需給調整事業課長 これも基準局が指導する話だと思いますが、今回の問題というの は基準法上の有効な控除協定が結ばれていて、基準法上合法かどうかという争点と、そ れが民事上そういうものを差し引くことが妥当かどうか。したがって、たぶん裁判にな っていますのは、この民事上の話かと思います。その中にはそもそも先生がおっしゃら れたように、そういうものを保険をかけてまで引く必要があるのかということと、それ を労働者がちゃんと認識して差し引きを認めていたか等々、論点があります。私も報道 等でしかその内容を知りませんが、かなりあやふやな形になっていたのではないかと思 っています。 ○大橋分科会長 他にご意見ありませんか。特にないようでしたら、当分科会としまし ては、厚生労働省(案)を概ね妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申 し上げたいと思いますが、よろしいですか。 ○長谷川委員 概ね妥当でよろしいのですが、先ほど清家部会長からご報告がありまし たように、今回のこの指針、省令の策定にあたりましては、まず1点目は労働力需給制 度部会の中間報告にしたがった内容なのでありまして、こういう形では止むを得ないと 思っております。2点目は、ではこの指針と省令で日雇派遣の問題が解決できるかとい うと、どうもそこは疑問でありまして、私どもとすれば、日雇派遣というのは法改正し て禁止したらどうかと考えております。3点目は、今後派遣問題について12月の中間報 告のとき、何点か整理されておりまして、それについて研究者による研究会がこれ以降 開催されますが、そのとき日雇派遣が労働者派遣法として、本当に認めていいかどうか という根本的な問題についても、引き続きそこで検討していただきたいと考えておりま す。今日概ね妥当ということで、それはそれでいいのですが、労側審議会委員の全員の 総意として意見を作成いたしましたので、できるならばそれを配付していただければと 思っているところです。 ○大橋分科会長 それでは事務局から報告文の案等をお配りいただきます。 (報告(案)配付) ○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文により、労働政策審議会長宛 て報告することとしてよろしいですか。 (異議なし) ○大橋分科会長 その他、何かご意見ございますか。特にないようでしたら、本日の分 科会はこれで終了します。 (署名委員指名) どうもありがとうございました。                     (照会窓口)                        厚生労働省職業安定局総務課総務係 TEL:03-5253-1111(内線 5711)