08/01/25 未承認薬使用問題検討会議 第15回速記録             第15回未承認薬使用問題検討会議 速記録                              平成20年1月25日(金)                            於:全国都市会館第2会議室 ○ 中垣審査管理課長   定刻より少し早うございますが、御出席いただける先生方については既に御参集いただ いておりますので、ただいまより第15回の未承認薬使用問題検討会議を開催させていただ きたいと思います。  本日の先生方の出欠状況でございますが、樋口委員が30分ほどおくれられるという御連 絡をいただいております他、すべての委員に御参画をいただいております。また前回の会 議において御報告させていただきましたとおり、今回をもちまして本検討会議がちょうど 4年目を迎えるということから、半数の委員の先生方の改選をさせていただいたところで ございます。改めまして委員の先生方を御紹介申し上げたいと思います。  お手元にございます参考資料2をごらんいただきたいと思います。私の方から読み上げ させていただきます。聖路加国際病院薬剤部長の井上先生、日本医師会治験促進センター 長の岩砂先生、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授の大塚先生、国立医薬品食品衛生 研究所薬品部長の川西先生、信州大学医学部内科学第一講座教授の久保先生、杏林大学医 学部教授の後藤先生、東京女子医科大学病院薬剤部長の佐川先生、東京理科大学工学部准 教授の浜田先生、先ほど申し上げましたとおり精神・神経センターの樋口先生はおくれて まいられることになっております。兵庫県立尼崎病院院長の藤原久義先生、国立がんセン ター中央病院臨床検査部長の藤原康弘先生、青森県立中央病院院長の吉田先生、以上でご ざいます。よろしくお願い申し上げます。  また、本日御議論をお願いする個別品目の検討に当たりまして、事前に座長の堀田先生 よりワーキンググループの専門家を指名いただいております。資料2−2に載せさせてい ただいております。さらに要望書が提出された医薬品のうち、プレガバリンの要望書に関 しまして、聖マリアンナ医科大学・難治治療研究センターのセンター長の西岡先生に御参 画いただいております。ありがとうございます。それでは堀田先生、以下の議事進行をよ ろしくお願い申し上げます。 ○ 堀田座長  それでは始めたいと思います。まず事務局から本日の配布資料の説明をお願いします。 ○ 事務局   本日の配布資料でございます。お手元に資料がございますが、議事次第に続きまして、 配布資料一覧、それから本日の座席表の他。  資料1、ワーキンググループ検討薬品一覧。  資料2−1、ワーキンググループ検討結果報告書(トラベクテジン)。  資料2−2、ワーキンググループの専門家リスト。  資料3、昨年10月から12月に提出されました要望書の一覧表。  参考1、要望書のヒトヘミンに関する資料及び要望書。  参考2、プレガバリンに関する要望書。  資料4、昨年10月から12月に欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認された医薬品。  資料5として本検討会議で検討された医薬品リスト。  参考資料1、本検討会議の開催要項。  参考資料2、構成員の名簿。  参考資料3、対象医薬品の類型。  参考資料4、医療上特に必要性が高いと認められるものの考え方。  参考資料5、ワーキンググループの設置について。  参考資料6、本検討会議の検討状況の表。  その他、構成員の先生方の机上に本日の資料2〜4に出てきます6品目の医薬品の欧米 添付文書等につきまして、英文で恐縮でございますが、コピーをおいているところでござ います。大部でかつ英文ですけれども、傍聴される方の中でもこの資料を御希望される方 は会議終了後事務局までお声かけをお願いいたします。以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。資料の欠落等がありましたらお申し出いただきますようにお願 いいたします。よろしいでしょうか。それでは議事に入りたいと思いますが、個別の検討 に入る前に今回は構成員の交代等がありましたので、改めて本検討会議の主旨等について 事務局の方から説明をお願いします。 ○ 事務局  それではお手元の参考資料1以降をごらんください。本検討会議の目的でございますが、 いわゆる混合診療問題というものに端を発しまして、そのうち欧米諸国で承認されている ものの我が国で承認のない薬、未承認薬というものについて、その使用機会の提供と安全 確保を図るということを目的としておりまして、その具体的な方策としまして、この目的 のところに下線を引いて示しておりますが、まず欧米諸国での承認状況、そして学会・患 者要望を定期的に把握する、そしてそれらのものにつきまして臨床上の必要性と使用の妥 当性を科学的に検討するというものがこの会議の大きな目的でありまして、その結果を踏 まえまして、当該未承認薬について確実な治験実施につなげるということを目的としてお ります。  そしてその検討事項でございますが、先ほど申し上げましたように、まず1点目としま して、欧米諸国での承認状況の定期的な把握、2点目としまして、学会及び患者の要望の 定期的な把握、3番目としまして、その科学的な臨床上の必要性と使用の妥当性に関する 科学的な検証を行う、さらに、特に未承認薬でも我が国でまだ治験などが始まってないよ うな薬に関しては、この場で企業に対して依頼を行う、あるいはそれがかなわない場合医 師主導治験を行うなどの振り分けを検討することや、治験終了後のもので承認までの間に 必要があるものについて安全性確認試験という、治験の一類型のものを実施していくとい うことをやることを検討事項としております。  この会議の構成員につきましては、薬物療法に関する医学的・薬学的な学識経験を有す る方々ということで、本日御参画いただいている先生方にお願いしております。  具体的にどういったものが対象医薬品になるかということですが、参考資料3をごらん ください。この会議の目的として、海外での承認状況と患者さんからの御要望を把握する ということがありますので、対象医薬品をこの三つに分けてございます。類型Iでござい ますが、平成17年4月以降に欧米4カ国、米・英・独・仏のいずれかの国で承認されたも のである、これを類型1と呼んでおります。平成17年4月以降というのは、この会議が平 成17年1月に開催されまして、その後定期的に新しいものは要望を経ずとも自動的に見ま すという形でこのようになっております。  そして類型IIでございますが、過去5年間に学会・患者団体からの要望があり、かつ平 成17年3月以前に欧米4カ国のいずれかの国で承認されたものでございます。平成17年 3月以前というのは、先ほど申しましたように17年4月以降では自動的に類型Iとして見 るということでございます。  そして類型IIIでございますが、こちらは学会・患者団体からの要望はないけれども、過 去2年間に欧米4カ国のいずれかの国で承認され、かつ医療上の有用性が高いと考えられ るものでございますが、こちらにつきましては平成17年4月以降は自動的に見ているとい う状況ですので、実際これに相当するものはもう既に類型Iで見ているという形になって ございます。  次は参考資料4でございますが、その上で、この本検討会議で対象とする未承認薬の考 え方でございますが、大きく二つの柱がございまして、1つ目は適用疾病の重篤性です。 具体的にはその生命に重大な影響がある疾患、致死的な疾患であるか。また病気の進行が 不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であるかなど。それから2点目としまし て、医療上の有用性ですが、既存の治療法・予防法がないものや、または欧米の臨床試験 において有効性・安全性等が既存の治療法・予防法と比較して明らかに優れている、それ から3点目としまして、欧米において標準的治療法に位置づけられている、そういったよ うな観点で医療上の要請を評価し、これらを総合的に評価して医療上特に必要度が高いと 認められるものという形の判断をするというものでございます。  そして参考資料5ですが、特に検討を要するものにつきましては、ワーキンググループ を設置し、まずこの未承認検討会議の前にワーキンググループの先生方に御検討をいただ いて御報告いただくということとしておりまして、基本的なワーキンググループの構成は、 がん、小児、循環器の3領域の専門家で構成し、その他の領域については品目に応じて随 時専門家を選定し検討のお願いをするという形にしてございます。  そしてこのワーキンググループの専門家の先生におきましては、各領域における医薬品 の研究開発及び治験制度に精通した先生を座長の方から御指名をお願いいたしまして、御 報告をいただくということとしております。  なお、検討品目に関し、関与または特別な利害関係を有する場合は座長に申し出ること とし、関与等がある場合には当該品目について発言することできないこととされておりま す。  そしてこの会議でございますが、参考資料1の「4.運営」をごらんいただければと思 いますが、この会議は年4回定期的に開催することとしております。場合によって随時開 催することもできるとされております。そしてこの検討会議は知的財産権等にかかる事項 を除きまして、原則公開としておりまして、議事録も作成し公表することとしております。  また、この会議は必要に応じて別途専門作業班を招集することができるという旨の記載 がございまして、本検討会議につきましての庶務は私ども医薬食品局で行い、研究開発等 の関係から医政局、または保健局がこれに協力するという形で運営させていただいており ます。この会議の検討状況につきまして、後ほどこれまでも含めて御報告させていただき たいと思っております。以上でございます。 ○ 堀田座長  はい、ありがとうございます。それでは今の御説明につきまして、特に新しく参加され たメンバーの先生方は初めてのことでもありますから、確認したいことや質問したいこと がありましたら、どうぞ御自由に御発言いただきたいと思います。よろしいでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  事務局から、繰り返すわけではございませんが、簡単に申し上げますと、この検討会で 御判断いただくのは参考資料の4でございます。参考資料4のこの(1)(2)に当たるの かどうかというのを御判断いただくというのがこの委員会の一番の業務となるわけでござ います。すなわち致死的な疾患であるか、あるいは不可逆的で日常生活に著しい影響を及 ぼすかどうか、また医療上の有用性としては、端的に申し上げますと、今までのよりも非 常に優れているということがうかがえるかどうかというのを御判断いただく、御判断いた だいたものにつきましては、本検討会がいわゆる混合診療問題、すなわち治験に入れば特 定療養費的な形で医療保険の中で基礎的なものが賄われるということがございますので、 治験に入れというようなことを厚生労働省として指導をするというものでございます。そ の治験の中で患者さんの医療をこういうまだ未承認薬であるものについて、提供をしてい くというのを役割といたしております。  もちろん、治験が終了した段階で、承認申請という形になってまいるわけでございます。 承認申請の中では優先的に審査するというような仕組みがございます。これは別途優先審 査の申請を出していただいて、薬事・食品衛生審議会の中でそれが適当かどうかというの を最終的に判断する仕組みがあるわけでございますが、実態的に申し上げますと、ここの 委員会での判断と審議会での判断にそう大きな差があるわけではございませんから、総じ て一般的には優先的な審査を行うという形で取り組ませていただいて、最後の承認まで 我々といたしましては責任をもってやっていきたいというふうに考えておりますが、一義 的な目的で申し上げますれば、先ほど申し上げました特に医療上必要性の高いかどうかと いうのを御判断いただく、その効果というのは治験に入るということを指導するというよ うなものであるということを御確認させていただければありがたいと思います。 ○ 堀田座長  追加の説明がありましたが、いかがでしょうか。何か御質問はよろしいでしょうか。今 課長さんから言われましたように、優先順位をつけざるを得ないというか、全部がもちろ ん大事な薬もあるのでしょうけれども、ここでは特に緊急性、重篤性といったものを選び 出して、それを検討会として事務局を通じて企業なり、あるいは医師主導試験に結びつけ ていくという作業でありますので、どうしても自分の領域のものをどうしても押したくな るのですが、そういうことはないような形で進めていただきたいと思っております。 ○ 中垣審査管理課長  もう一つ手続についてお話をしたいと思います。最初にまずこの検討会で御議論願って よさそうだなというような御判断があるものについては、ワーキンググループにそれを一 旦下ろして、ワーキンググループでいろんな文献等に当たっていただいて、レポートを書 いていただく、そのレポートをもとに再度検討会で御審議をいただく、そこで最終的な判 断をするというのを一般的なルールとして運営されてきたというふうに考えておるところ でございます。  もちろんワーキンググループに下ろすまでもなく、これはもう大丈夫だよというような ものがあれば、また話は別なのだろうと思いますが、一般的な手続で申し上げますと、よ さそうだな、ではワーキンググループに作業いただこうかということで、ワーキンググル ープに作業をいただいて、その後もう一度御議論を願うというような形でございまして、 本日も御審議いただく中に、ワーキンググループからのレポートが上がってきているもの がございますが、それはそういう手続の中で行われていることだということを御紹介した いと思います。よろしくお願い申し上げます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。大体御納得いただいたということで次 に進めたいと思います。前回、10月の検討会で早期の治験開始を行うべきと、この会議で 結論された品目がございます。それにつきまして現在までの状況を事務局の方から説明を していただきます。 ○ 事務局  前回の検討結果でございます。概況を御報告させていただきますと、資料5の3ページ 目の下の4品目が前回御検討いただいた品目でございますが、39番のルフィナマイド、レ ノックス・ガストー症候群の対象疾病のものでございますが、こちらにつきましては、現 在エーザイの方で治験開始に向けて細部の検討を行っているところということでございま す。  その2品目目、オキシコドン注射剤、がん性疼痛でございますが、こちらにつきまして はまだ開発企業が正式に決定しておりませんで、開発を呼びかけるという状況でございま す。  そして3品目目の41番のメサドンでございますが、こちらは帝國製薬が開発をするとい う意思表明をいただきましたので、今後開発されるということでございます。  そして最後に42番目のエクリズマブでございますが、この開発会社のAlexion、国内治 験管理人はシミックでございますが、既に治験を開始したという報告を受けております。 以上でございます。 ○ 堀田座長  はい、ありがとうございます。よろしいでしょうか。早期に開始されるべきということ でありましたが、検討中のものと、それから治験実施中、治験が始まったものとがあると いうことでございます。それでは先生方からこの進捗につきまして何か御質問等はござい ませんか。よろしいでしょうか。 ○ 吉田構成員  オキシコドンがうまくいかないというのは、どういう理由なのですか。何かそんなに問 題なさそうに思いますが。 ○ 中垣審査管理課長  現実問題として、ある会社が開発を手がけてみたいということを申し出ていただいてお ります。その会社が今外国の会社と契約交渉あるいは関係する会社と契約交渉を行ってい るようなところでございます。そういう意味から申し上げますと、この薬につきましては、 全くあてがないわけではございません。アヒルの水かきではございませんが、今水面下で さかんに足をかいているところでございますし、我々としても積極的に取り組むようお願 いをしているところでございます。 ○ 堀田座長  次回ぐらいにその進展が報告できるかもしれません。よろしいでしょうか。それではそ の次にまいりたいと思います。本日の具体的な議事になるわけでありますが、ワーキング グループが報告書をまとめていただいた品目がございます。これは本日は構成員になられ ました藤原先生がワーキンググループの担当でしたので、そちらと二役をやっていただく ということになります。藤原先生から御説明をお願いいたします。 ○ 藤原(康)構成員  ではお手元の資料2−1をごらんください。Trabectedinです。欧州ではもう既に販売 されていまして、スペインのPharmaMarという名前の会社から販売されています。Yondelis という注射薬でございます。向こうでの対象疾病はアンスラサイクリン及びイホスファミ ド治療後に増悪をきたした切除不能転移性の軟部肉腫、soft tissue sarcomaと呼ばれる 疾患でございます。  まず対象疾病について簡単に御説明させていただきますと、国内で2000年度の軟部肉腫 の発生頻度というのは大体人口10万人当たり2人程度で、そんなに多いものではございま せん。2003年度の国内全がん死亡数における軟部肉腫の占める割合というのは0.68%で、 成人悪性腫瘍の約1%、小児の15%程度を占める疾患でございます。  通常切除不能、転移性の軟部肉腫に対する併用療法の奏功率というのは2〜3割と言わ れておりまして、生存期間中央値は1年弱、抗がん剤としては現在標準的に使われている のはアンスラサイクリン系抗がん剤のdoxorubicinあるいはepirubicinと呼ばれるものと、 アルキル化剤のifosfamide、この2種類を単剤あるいは併用で使うことが一般的でござい ます。  現時点でこの軟部肉腫に対して、これらの2剤を凌駕する抗がん剤というのは存在しな いというふうに考えておられまして、軟部肉腫に対して、この治療成績を向上すべく新し い薬の導入というのは広く求められているところです。  では本剤の簡単な説明に入ります。Trabectedin、これはET743といった方がPubMed とかではひきやすいのですが、そういう開発番号のお薬で、海産のホヤから抽出された tetrahydroisoquinolineの化合物で、DNAのマイナーグルーブというところにバインド するということで、かなり前から有名なお薬でしたが、DNAに作用して、細胞周期をG 2M期でブロックで阻害して薬理作用を発揮する、あるいは転写因子を阻害するというよ うなことも言われております。そういう薬剤です。 これまで非常に多数の臨床試験が、特に欧州を中心に行われてきました。お手元のさっ き課長さんがおっしゃっていました英語の資料のところで厚いTrabectedinとかSummary of Product Characteristicsと書いていますが、そちらの方に私どものワーキンググルー プの報告書を書いた後にEUの規制当局のサイトに向こうの報告書がアップされましたの で、よりそちらの方が詳細な記載が書いてありますので、後でそちらを見ていただいた方 が早いと思いますので、ごらんいただきたいのですが、私どもが書いているのは公開され ている公表論文の中で、その当時割と新しいものを二つほど選んでこの評価に使わせてい ただきました。  一つは前化学療法歴のある切除不能・転移性軟部肉腫104例に対する第II相試験、これ はがんの化学療法領域のトップジャーナルでありますJournal of Clinical Oncologyとい うアメリカがん治療学会の機関紙ですが、そこに2005年に発表された成績です。投与量は 1.5mg/m2で24時間持続点滴の投与で、3週間隔でこの薬を投与するというもので、前治療 歴がヘビーであるにもかかわらず、奏功率は7.8%、NCというのは増悪しないという安 定した状態に持ち込めたのが43%であった、無増悪生存期間中央値は105日、生存期間が 278日あったという成績が報告されております。  これは以前にも2004年に同じJournal of Clinical Oncologyに2報ほど同じレジメン の報告があります。それからもっと最近では、51例の軟部肉腫のうちの粘液型の脂肪肉腫 を対象にした、ここに第II相試験と書いてありますが、誤解があったらいけないので、や っぱりコンパッショネート・ユースというに書き換えます。コンパッショネート・ユース という状態で51例に投与されまして、この場合は1.1から1.5mg/m2と、割と用量幅があ る中で投与されて、投与方法は3時間で点滴するという、先ほどの24時間持続とは少し違 うのですが、その投与法で奏功率51%、無憎悪生存期間中央値は14カ月というものが昨 年のLancet Oncologyに報告されています。  有効性としてはこのような多剤耐性に近いsoft tissue sarcomaで、そこそこの成績を あげております。問題は薬剤の有害事象あるいは毒性でございまして、その下にまとめて ありますが、血液毒性と肝機能障害がポイントでございます。これが主に用量規制因子に なります。それ以外にEUの報告書を見ていただきますと、Rhabdomyolysisとか、横紋筋 融解症なんかも結構問題になる副作用となっております。  整理しますとその一番下のあたりですか、欧州のEMEAでは、これはヨーロッパの規 制当局で、アメリカのFDAに相当するようなものですが、欧州のEMEAでは2007年9 月本剤が最も効果を示すと考えられる患者集団を特定するデータが必要であるものの、当 該疾患の希少性を踏まえて、アンスラサイクリン及びイホスファミド治療後に増悪をきた した、あるいはこれらの薬剤投与が困難な切除不能転移性の軟部肉腫の効能効果で例外的 に承認するということにしたと報告書には書いてあります。あわせて本治療に最も効果が 得られる患者集団の探索を申請者に対して行うようにというふうな記載もされておりまし た。  検討結果をまとめますと、現時点で軟部肉腫に対してキードラッグであるアンスラサイ クリン系の薬剤及びイホスファミドの前治療歴を有する切除不能・転移性の軟部肉腫に対 して、Trabectedinは第II相試験等の結果から、単剤での有効性が示唆される。また主な 有害事象は骨髄毒性と肝毒性であり、従来の抗がん剤と比較して、有害事象への対応が大 きく異なる可能性は少ないと思われるけれども、現段階ではまだ確定的な評価はできるも のではなくて、今後のデータ発表等を注意深く見守ることが適当ではないかと考えるとい うのが私どものワーキンググループの判断でございました。よろしく御審議をお願いいた します。 ○ 堀田座長  はい、ありがとうございます。それではただいまのワーキンググループからの報告につ いて何か御意見あるいは御質問がありましたらお願いいたします。海外では小児も同じよ うに適応をとれているのですか。 ○ 藤原(康)構成員  いや、成人だけだったと思います。 ○ 堀田座長  軟部肉腫は、むしろ小児の方が比率的には高いように見受けられますが、小児への適応 といった問題はいつもつきまとってくる問題ではあります。既にアントラサイクリンとア ルキル化薬との併用というのが一応ファーストラインとしてはあるということですが、そ れに対するセカンドラインの治療として期待されているという状況であります。今の御報 告ですと、第II相試験もしくはコンパッショネート・ユースという比較的小規模のもので の承認という形で、それを例外的に承認という内容というのは、藤原先生、その例外的と いうのは何をもって例外的と言っているのですか? ○ 藤原(康)構成員  やっぱりII相試験もEUの、これは公表論文ではないのですが、EUの審査報告書には データが出ておりまして、2004年のアメリカのがん治療学会、ASCOとよびますが、そ れでOralのプレゼンテーションになったRandomized Phase Studyの結果が一応ファイナ ルのレポートとして今回のEMEAの報告書には書かれているのですね。それをもってし てもいわゆる第III相試験、例えばAI療法のあとのセカンドラインとしてなかなかいい薬 がないですから、何らかの既存の治療と比べてすごくすぐれたとかというところまではい ってないので、王道の標準的治療に比べてすごくすぐれているとまでは言えないというの が多分例外だと判断していると思うのですが、通常抗がん剤だと、こういうものの後にフ ァーストラインのようなところで使ってみて、既存の治療に比べて優れているということ が言えれば、まさに王道として承認してもいいのではないかというふうに言えると思うの ですが。 ○ 堀田座長  他の先生方は何か御質問はございませんか。 ○ 吉田構成員  例外的にということの意味ですが、フェーズIIIがないからということだとしても、やっ ぱり既治療例に対して有効な治療方法がないので、randomized trial、もし既治療例でや るとすると本剤を使うか使わないかというふうな比較しかなくなっちゃうのですよね。そ ういうことでちょっと意味がわかりにくいかなとは思うのですが、もっとわかりにくいの は、「ワーキンググループは今後のデータ発表等を注意深く見守って」ということなのです が、要するにまだ承認を急ぐというふうな状況ではないのではないかということですか。 ○ 藤原(康)構成員  その辺の判断はここの委員会で委ねたいなと思います。というのは臨床開発の経過を見 てみると、当初は24時間持続点滴とか、ウイークリーの3時間点滴とか、3週おきの3時 間点滴とか、さまざまあって、ようやくこのEMEAの最終報告書に24時間持続点滴とウ イークリーの3週おき投与の比較試験が出てきて、用法用量はすごい固定されているわけ ではないというところと、それからアメリカではたしか卵巣がんでも開発が確か進んでい るようなことも聞いていますし、全体的にこの当時公表されているデータが今まで検討さ れた品目に比べてちょっと少なかったので、でもただsoft tissue sarcomaというのは非 常に稀で難治性でありますし、薬がない状態なので、やれやれと僕等は言うわけにはいか ないので、ちゃんと開発状況を見ておきたいなというぐらいしか、ワーキンググループと しては言えないなという背景があります。 ○ 中垣審査管理課長  会社によりますと、ヨーロッパのEMEAに出したデータをアメリカのFDAに相談し たところ、これでは承認できませんというような回答があったというふうに聞いておりま して、会社はそれをもってアメリカでの開発を断念した、先ほどコンパッショネート・ユ ースという議論がございましたが、ヨーロッパにおいてそういう使われ方をしてきたよう なことも含めて、審査当局として場合によっては例外的というような形で判断をしたとこ ろもあるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。以上でございま す。 ○ 堀田座長  他の先生方はどうですか。 ○ 吉田構成員  ということは端的に言うと今までの議論と同じように臨床試験のクオリティが悪いとい うことで通らないということですか。 ○ 中垣審査管理課長  そこを断定的に言うだけの根拠はございませんが、仮にクオリティがよければFDAが いわば門前払い的なことをするとは思いませんので、総体的に見るとあまり良好な結果で はなかったのではないかなと考えているところでございます。 ○ 吉田構成員  確かに通常の抗がん剤とあまり有害事象への対応が大きく異なる可能性は少ないという レポートがありますが、グレード3、4の肝毒性がかなり出ているということは、ちょっ と注意が必要ではないかなというふうに思われますね。 ○ 堀田座長  作用としては新規のもので、今までのものにはないようなものですか。 ○ 藤原(康)構成員  Minor groove binderですが、GCのDNAの塩基配列とかに共有結合するだけなので、 非常に新規性が高いというかというと、分子標的薬に比べたらそうでもないかなというふ うには思いますが、一時DNA minor groove binderというのはかなり注目されていまし たので、この火付け役みたいな薬でしたので、それは新薬としては間違いないと思います。  それから安全性のところですが、EMEAの報告書を見ると肝毒性はsteastohepatitis、 脂肪性肝炎になることが多いみたいなので、肝毒性で死亡したような人はいないけれども、 やっぱりAST、ALTというのは結構上がるというふうに書いてあって、定期的なモニ タリング等が非常に必要でしょうというふうになっている報告書の内容になっています。 ○ 堀田座長  それでは先生方いかがいたしましょうか。この報告書に基づいて、ここで決断をしてい ただきたいと思います。報告書としてはデータ的に少しまだ十分でないということもあっ て、EMEAは通りましたが、FDAは許可してないという状況で、日本で開発するのは 企業としても厳しい状況であろうと思います。いかがいたしましょうか。何か御意見をい ただけますでしょうか。 ○ 藤原(康)委員  やめろとは言えないと思うので、ちゃんと医師主導治験を最近やっている人もいらっし ゃいますから、その人がこのPharmaMarとかと交渉して日本とやりますとかいうものをと めるものでもないですし、soft tissue sarcomaというものは患者さんにとっては非常に つらい疾患ですから、それに対応していこうというのがあれば、粛々と臨床開発等、医師 主導治験であろうと治験であろうと、コンパッショネート・ユースであろうと進めていけ ばいいのかなというふうに私は思います。 ○ 堀田座長  この検討会は緊急性、重篤性から他のものにも優先して開発を強く要請するということ かどうかということですので、そういうと2番目ぐらいに来るのかなということで、決し てどうでもいいと言ってるわけではありません。それだけの開発意識があればサポートは したいというふうに考えております。よろしいでしょうか。そういうことで基本的にはワ ーキンググループの報告を支持して注意深く見守っていきたいと思います。 ○ 吉田構成員  質問なのですが、これは企業は何か日本にブランチがあるとか、そういう企業でしたよ ね。 ○ 中垣審査管理課長  関係企業の日本支社がございます。 ○ 吉田構成員  それでも動きがわからないのですか。治験をするかしないかという話は。 ○ 中垣審査管理課長  先ほどちょっと申し上げましたが、アメリカでの開発を断念し、我が国を含む外国での 開発というのも今のところ積極的にはやらないという形になっていないというふうに聞い ております。もちろん今後のデータによってその考え方というのは変わるのかもしれませ んが、現段階ではそのようなことを聞いております。 ○ 堀田座長  吉田先生この辺でよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは次に資 料3の方を御参照ください。昨年の10月から12月に提出された未承認薬の早期承認に関 する要望が学会とか患者団体から追加であったもののリストであります。これについての 検討に移ります。それではまず事務局の方から簡単に御説明ください。 ○ 事務局  それでは資料3をごらんください。昨年10月以降、未承認薬の早期承認に関する要望書 はここに記載しております6成分ございます。いずれも早期承認を求める要望書でござい まして、ここに記載しておりますのは特段未承認薬使用検討会議に対してというのではな くて、私どもに対して提出されたものをここに表記しております。下の参考としてつけさ せていただきますのは、既に承認がある薬のうち効能追加を求めるものを参考としてつけ させていただいているものでございます。  本検討会議の対象となります未承認薬の要望書、1〜6でございますが、それらのうち この右側の備考欄に現在の状況をお示ししてございますが、既に治験実施中あるいは承認 審査中であるものを除いたものは2番のヒトヘミンと6番のプレガバリンの2品目でござ いました。  これらの薬の概要を簡単に説明させていただきますと、ヒトヘミンでございますが、参 考1としましてこのヒトヘミンの関係資料として、また対象疾患でありますポルフィリン 症を私どもの方で簡単にまとめさせていただいた資料、それからポルフィリン研究会から 提出されました要望書、参考資料をおつけしてございます。  このヒトヘミン、販売名はNORMOSANGというお薬でございますが、こちらはフランスで 1995年に承認をされておりまして、相互承認の仕組みによりまして欧州各国で現在承認を されているものでございます。しかし米国におきましてはオーファンとして指定されてい るという記録はございますが、今のところまだ承認はされてないようでございます。  続きまして6番のプレガバリンでございますが、こちらは線維筋痛症の適用疾患につい て早期承認の要望が出ているものでございます。これにつきましてはLyricaという販売名 で、まず2004年4月に欧州におきまして末梢神経障害性疼痛で初めて承認されたものでご ざいまして、米国におきましても2004年の12月に帯状疱疹後神経痛、及び糖尿病性末梢 神経障害性疼痛の効能で初めて承認がされたものでございます。現在我が国におきまして はいずれの効能においてもまだ承認はございません。  今般、NPO法人線維筋痛症友の会より線維筋痛症の適用について早期承認の要望があ りまして、こちらに掲載させていただいておりまして、この線維筋痛症につきましては、 アメリカで2007年6月に承認をされておりまして、欧州では現在臨床試験中と聞いており ます。  この薬の我が国の開発状況でございますが、開発企業に確認をしましたところ、現在帯 状疱疹後神経痛及び糖尿病性末梢神経障害性疼痛の効能について、いずれも第III相治験を 実施中と聞いております。要望のあった線維筋痛症につきましては、開発企業のファイザ ーでございますが、今般こういった患者会の要望なども踏まえまして、開発するという方 針を決定し、現在開発計画の検討に入りますというふうな報告を受けております。これら の医薬品の中でワーキンググループでさらに詳しい検討を行うべきものがあるかどうかに ついて御意見をいただきたいと考えております。以上でございます。 ○ 堀田座長  はい、ありがとうございました。資料3にありますように、6品目が早期承認を求める 要望書が出ているということですが、もう既に承認申請中であったり、優先審査に入って いるものもあります。こういったものは基本的にはすでに審査を急いでやっているという 状況でありますので、さらなるプッシュといってもそんなにインパクトはないかもわかり ません。問題はまだ未承認で治験が始まってないとか、そういったものに対してできるだ けきちんとした評価をして、我々としての態度を決めていきたいと思います。  それでは全般的に何かこれらの品目について御意見はございませんか。  それではまず1番目はよろしいでしょうか。もう治験実施中ということですが、何か特 別に御発言はございませんか。よろしいでしょうか。レベチラセタムについては、治験実 施中ということなので、治験を順調に進めていただくようにしたいと思います。  2番目のヒトヘミンです。ポリフィリン症でありますが、ポリフィリン症もいくつかの タイプがあって、この図にありますように、ヘム合成経路のグリシンとサクシニルのコエ ンザムAが重合いたしまして、それがポリフィリンの9までいって、鉄が入ってヘムにな るという中の経路にいくつかの合成系の酵素があります。いずれかの欠損がありますと、 その一つ前のポリフィリン体が蓄積していろんな障害を起こす、こういった概念だという ふうに思います。これに対しては基本的に特効的な薬が現在のところありません。最終産 物であるヘミンを投与することによって、ヘム合成系の最初の律速段階をネガティブフィ ードバックをかけて、全体の合成系を抑えるために、ポリフィリンがたまらなくなる、こ ういった作用だというふうに思っておりますが、いかがいたしましょうか。何か追加はあ りますか。 ○ 事務局  ちなみにこのポリフィリン症は先天的な病気と聞いておるのですが、大体患者数として は800人程度と聞いております。 ○ 堀田座長  他に代替治療がないという点であるし、生涯残ってしまう障害が起こるということから 言っても重篤性もあるというふうにも思いますけどね。いかがいたしましょうか。 ○ 吉田構成員  承認申請及び健康保険適用を強く要望するということですが、保険適用しようとすると 臨床試験が必要になりますよね。そうするとこれはオーファンか何かで指定した方が早く 手に入るのではないですか。 ○ 堀田座長  オーファンに指定しても治験はしなければいけないでしょう。 ○ 吉田構成員  しかし、臨床試験ができるだけの数が揃いますかね。 ○ 堀田座長  確かに大変希少な疾患で、以前にムコ多糖症の場合のように、例えば50例しかないよう な場合に、何十例かの治験をやれと言っても、やれるわけもないということで、治験とい う形を進めながら、結果が出る前に承認審査を進める。要するに治験開始と承認を同時平 行でするという試みもありました。この検討会でそういう判断をしたわけですね。これが それに当たるかどうかです。、この辺は課長さん、どんなふうでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  現在、個人輸入という形でいくらかのものが入ってきておるようでございます。承認を ヨーロッパでもっておるのはOrphan Europeという会社だそうでございまして、日本に支 社とかがあるようなものではございません。したがいまして返事がくるかどうかは別問題 として、そのOrphan Europeに日本における開発というのをどのようなことを考えている のかを聞いてみる、そこから出発する。  また、仮に国内の会社で私どもにかわってそのOrphan Europeと交渉してやってみたい というような会社が現れるのであれば、そういった会社を応援したいというようなことに なるのかなというふうに考えておりますが、最近、例えばアメリカのベンチャーでござい ますとか、ヨーロッパのベンチャーでございますとか、開発した薬を我が国に持ってくる というので、その引き受けてくれる会社等になかなか難しい点があるわけでございますが、 これまたそういうものの一つなのかな、今申し上げたような形で汗を流してみたいという ふうに考えているところでございます。 ○ 堀田座長  はい、よろしいでしょうか。いかがでしょうか。今言ったようなことで進めるとして、 例えば保険との関係というのはどういうふうになるのですかね。 ○ 中垣審査管理課長  医療保険との関係で申し上げますと、先生方御存知のとおり、薬価基準に載ってないも のというのは基本的に認められない、いわゆる特定療養費的に認められるものが、治験で あるとか、一部のものに限定をされておるというところでございまして、このルールをこ のヒトヘミンのために変えることはできるかと言われますと、もちろん照会はしてみます が、なかなかそれは難しいだろうというふうに考えておるところでございます。  もちろんこれ以外にも一部の従来あった先進医療的なもの、あるいはそれをよりしっか りした臨床研究の形にしたものについて、治験と同じような枠組みでとらえられないかと いうことが検討されておると聞いておりますし、そういった枠組みの中でこれが使われる 余地というのはあるのだろうと思いますが、現段階でのルールで申し上げますと、なかな かそれは難しいだろうというふうに考えておりますが、いずれにしましても保険局にこう いった要望が来ておること自体は既に伝えておりますし、とりあえずは先ほど申し上げま したように、そのOrphan Europeとの交渉と申しますか、協議を次回報告するという形に させていただければと思っております。 ○ 堀田座長  そうしますと今のような問題を含みながら、こういった重篤性のあるものに対する薬を できるだけ患者さんに届くようにはしたいと思うのですが、いろんな枠組みが整備されて ない状況もありつつ、その中でもできる対応をしていくということでまいりたいと思いま す。このものにつきましてワーキンググループでの検討をしていただくという方向でよろ しいでしょうか。 ○ 藤原(久)構成員  こういう稀な病気の場合はぜひそういうふうにされた方がいいのではないかと思います。 ○ 藤原(康)構成員  患者会からの要望書を読んでいると、ヘマチンというのも何か並列して書いてあるので すね。ヒトヘミンとヘマチンというのを書いてあるので、この辺のどういうふうに同じ製 剤なのか、別の会社から他の製品が出ているのかというのと、日本ではブドウ糖の大量投 与以外には本当に方法がないのかとか、世界的にこの急性ポリフィリン症の治療の表示的 な内容というのがあまりこの要望書からは読みきれてないので、その辺はワーキンググル ープでしっかりもんでもらった方がいいのではないかなというふうな気がします。 ○ 堀田座長  御指摘ありがとうございます。私もPorphyriaについては、経験もあったのですが、基 本的な治療薬がないというのが現状ではあります。専門家のワーキンググループに検討を 委ねるということでまいりたいと思います。よろしいでしょうか。はい、ありがとうござ います。  それでは6番目のプレガバリンですね。本日、西岡先生がわざわざ参考人として来てい ただいております。線維筋痛症に対する治療薬として、NPO法人線維筋痛症友の会から の要望が出ております。この病気はなかなか耳慣れないこともありますし、まずは実際ど ういう病気で、どの程度の頻度であって、どんな治療法が現在行われているかということ につきまして、西岡先生の方から御解説をいただきたいと思います。 ○ 西岡参考人  私は現在厚生労働省の中で関節リウマチと線維筋痛症の研究班の主任研究者を務めさせ ていただいております西岡と申します。よろしくお願いします。本日私がこちらにお招き いただいたのは、プレガバリン初め線維筋痛症に関する治療だとか病態、あるいはその疫 学的な現状がどこまで進んできたのかという、それを多分お話しすることだろうと思って います。とりあえず現在線維筋痛症という病気にについて述べさせていただきます。私ど もがちょうど3年前に厚生労働省の中に研究班をつくって疫学的な調査を開始いたしまし た。  そうしますと大体人口の1.66%ということは、約200万人の患者さんが日本全体にいら っしゃるということです。我々はこの数字は疫学調査を始める前から、もう大体そのぐら いの患者さんがいるだろうということはわかっていたわけです。と言いますのは、やはり 北米でのデータで見ますと360万人から400万人ですね、そうすると人口から換算すると 大体その半分が日本にはいるだろうということで予測していましたら1.66%という数字 が出たわけで、ほぼ200万人の患者さんがいらっしゃる。  先ほどらい非常に希少な病気に対する治験の話がいろいろ進んでいますが、それと違っ てこの病気は非常にたくさんの患者さんがいるにもかかわらず、この病気に対する診断だ とか啓発活動が非常に遅れているということに結論があるかと思います。ちなみにがんの 患者が170万人と言われていますから、がんの患者よりも実際この線維筋痛症の患者さん は多いということになっています。  1990年代の後半から2000年にかけて、我々の関連施設でこの患者さんは非常にふえて きた、実に昨年2007年では、私どもの関連施設だけで既に1,040人の患者さんが線維筋痛 症で訪れている。そのうちの約3割から4割は医療機関からの紹介です。6割はほとんど が、先ほど言いましたさまざまなメディア等を通じて自分で診断されて、外来へ来る。  なぜこれだけのたくさんいる病気が隠れているのか、あるいは潜在患者数がうまく検討 されなかったのかということも振り返ってみますと、やはりこの病気に対する認識不足が 非常に多かったということと、それからなかなか客観的にこういうマーカーがあればこの 線維筋痛症という病気であるということが、非常にわかりにくいという病気だったと思い ます。  実際に我々が多くの患者さんを拝見していまして、多分線維筋痛症と言われている病気 の中にはいくつかのサブクラスターがあるだろうということはわかってきました。特に中 高年の女性が大体8割ですね。実際のデータで見ますと、30代の後半から50代の患者さ んが大体80%を占めます。つまり働き盛りの、家庭の育児だとか、あるいは仕事の中でも 第一線で働いていらっしゃる女性の方が非常に多いということで、しかもQOLが著しく 悪い、ちなみに痛みの関節機能の評価でいきますと、関節リウマチの重症度の3ぐらいの ところまでいきます。  それから疲労度というのを検査で見ますと、大体ほとんどが重度の疲労度を持っていま す。それからうつ病とかのメンタルスコアで見ますと、やはりこれも重度の患者さんが大 体60%から70%を占めています。身体全般機能の障害頻度から見ますと、中程度から高度 の間に存在する。これもhacked scoreと言いますが、そういうふうに著しく身体機能ある いは特に長い間体中が激しく痛みつけられる、そういう不眠等も伴ってくるので、そうい うメンタルケアの障害が非常に出てくるという心身ともに非常に苦しんでいらっしゃる患 者さんが非常に多くいます。  したがって一時も早くそういうふうな形で何かの薬、それに適応する薬ということで、 我々もいろんなネットワークが網を張っていたわけですが、このプレガバリンには早くか ら注目していました。独特の疼痛抑制作用を持っていまして、実際に去年のアメリカのリ ウマチ学会でプレガバリンのすばらしいデータが発表されたわけです。ファイザーさんが 日本でも年度内に、おそらくとも年内には治験を開始出来るという情報を得ています。  ただ、治験を進めるに当たっては、やはりいろんな治験をするスコアといいますか、ジ ャッジ面での基準が、ライフスタイルが若干違う、そのQOLで評価していくことがQO L評価にもとづいていますが、日本とアメリカではかなり違うということで、私どもの研 究班では日本人向けのそういう薬効評価のJ−FIQというのですが、それを既につくっ て、これは論文にしてあります。ですからそういう意味ではこういうふうなプレガバリン を初め、線維筋痛症の薬剤に対する治験を評価するシステムというのは厚生労働省の研究 班でほぼいつでも我々はできるような形になってはきております。以上です。 ○ 堀田座長  どうもありがとうございました。大変アウトラインがよくわかったと思いますが、そも そもこの病気が疾患概念として確立してきたのがいつ頃でありますか。 ○ 西岡参考人  アメリカではこれの診断基準ができたのは1990年です。1980年ぐらいからこの病気が 非常にふえてきているということで、ただその精神科の領域と、私はどちらかというとリ ウマチ系なのですか、そういう心因性リウマチとか、メンタルな条件があるから痛みが出 てくるという考え方と、それから原因不明の痛みが長く続くので、それも痛みにいつも患 者さんは苦しめられている、どこの医療機関へ行っても診断がはっきりつかない、私の痛 みの原因は何だろうかということで、非常に患者さんは悩まれる、不眠に陥ったり、家庭 の中でも孤立してしまったり、職場の中でも孤立してしまうというようなところから、や はりメンタルに障害を受けてしまうというふうな患者さんが実際にずいぶんいらっしゃい ます。  ですから我々は今精神科、あるいは神経内科、それからリウマチ等々でリエゾン的なク リニックでたくさん患者さんを診ているのですが、やはり先ほどいくつかのサブセットが あると申し上げましたのは、明らかに痛みが先にあってからメンタルに、どうもいろんな 医療機関を転々と渡っても薬も効かない、そういうふうな患者さんのグループは明らかに、 これは線維筋痛症そのものだと思います。逆に明らかに何かメンタルな形の障害が先に来 て、それから後で痛みが来る、ただどっちがどっちでも結果として患者さんは痛みに苦し められているわけですから、その痛みをとってあげることが治療につながってきますので、 こういうふうな薬がやはり出てきたということは、私は患者をケアしている立場としては 非常にありがたいと思っています。 ○ 堀田座長  他の先生は何か御質問はありますでしょうか。 ○ 樋口構成員  線維筋痛症については昨今特に抗うつ薬の中のある種類のものがやはりこの線維筋痛症 に有効であるということが言われ始めてきております。したがって今の先生のお話を伺っ て、サブタイプがあるというのは、そのサブタイプごとにおそらく選択する薬剤が違って くるのかもしれないというふうに思うのですね。たしか米国ではその抗うつ薬の中のセロ トニンとノルアドレナリンを動かすSDAが有効であるということで承認を受けていると 思うのですが、それとこのプレガバリンの作用機序はおそらく全然違うものだと思います ので、これをとりあえず促進させたいというのは何かお考えがございますでしょうか。 ○ 西岡参考人  今先生がおっしゃられたのはミルナシプランのことだと思います。トレドミンですね。 これは一応治験を得て、それで今FDAに申請中だろうと思います。実際そのデータを詳 しく見てみますと、トレドミン100mgと200mgとを比較しましてやっておるのですが、と ころが我々もトレドミンに関しては注目していまして、日本人の患者さんのオープンでい ろいろやってみたのですが、とてもじゃないけど線維筋痛症の患者さんに100mgは使えな い、胃腸障害が非常に強くて、まして200mgは日本人の患者さんに使えないだろうという ふうに考えています。  しかしながら先生が今いみじくもおっしゃったように、トレドミンが非常によくレスポ ンスするグループと、それからこういうプレガバリンやガバペンチンなど抗てんかん剤、 こういうものが非常によくレスポンスするグループというクラスターがあります。しかし それはその線維筋痛症を構成している、その患者さんの背景因子、あるいはサブセットの 違い等に起因するものであって、当面そのプレガバリンというのは、原因はともかくとし て、疼痛を抑制するという面では非常に優れた、非常にユニークな薬剤であろうというふ うに考えています。ですからそれを先行してやっていただくということは臨床の現場とし ては非常にありがたいと思っています。 ○ 藤原(久)構成員  ちょっとこの病気のことを聞きたいのは、線維筋痛症と名前がついているけれども、線 維筋に別に何か量的な異常が起こるわけではないのですか。 ○ 西岡参考人  実は我々もそう思っていたのですが、英語ではFibromyalgiaということなのですが、実 は線維筋痛症のサブタイトルの中にMyotonic Myotoniaみたいな、非常に筋肉が緊張して、 いつも筋刺激になって筋肥大が非常に著明に出てくる患者さんがいます。それは大体線維 筋痛症の中の20〜30%を占めます。その患者さんはやはり筋線維がいつも痛みのために収 縮したり、我々が見えないところ、患者さんは寝ている間でも言ってみればストレッチ運 動をやってみているような形で、痛みのために筋が緩んだり収縮したりする、だから体の 中を虫酸が走るような感じがいつもしているというふうなことを訴えられる患者さんもい ますので、実際にはその筋線維そのものが多分二次的であろうと思うのですが、疼痛のた めにかなりいろんなストレスを受けていることは容易に推測できると思います。 ○ 藤原(久)構成員  そうするとCRPとか、そういう炎症のマーカーとか、一切動かないのですか。 ○ 西岡参考人  炎症のマーク等はほとんど動きません。 ○ 藤原(久)構成員  それで場所が変わるとかじゃなくて、いつも全身が痛いのですか。 ○ 西岡参考人  例えばこれを神経学的に、神経支配領域にあるところがあって、こういうところで系統 的な痛みでは起こらなくて、全くランダムに、例えば足の裏が痛いかと思うと、突然肩が 痛んでくるということで、多分ですが、痛みのシグナルの下降線の疼痛抑制経路にかなり 障害が来る、したがってそれはもうほとんど痛みそのものが一定の解剖学的な神経支配領 域にそった痛みではないというところが、この線維筋痛症というものを非常に診断を困難 にさせている原因の一つではないかというふうに考えています。 ○ 藤原(久)構成員  予後はどうなのですか。 ○ 西岡参考人  予後はさまざまです。ですから一番大事なことは、早期に診断をつけてあげることによ って、患者さんというのは非常に精神的な安定をされます、そのことが痛みを抑制します が、どんどん筋肉が肥大してしまうような患者さんに関しては早期に痛みをとってあげる ことが一番大事だと思います。そうしないと予後はかなり悪くなると思います。 ○ 岩砂構成員  例えば表面筋電図を使うとかして、そういうものは原因がはかったりすれば一定のとこ ろがあるものだが、結局その辺はどうなのですか。 ○ 西岡参考人  それは今やっている最中です。 ○ 藤原(康)構成員  これは病態自体は見たことはないのでお聞きしたいのですが、末梢性のNeuropathic Painというのはがんの患者さんでも結構あって、ガバペンチンというのがこの前日本でよ うやく通って、それ以前は海外で非常によく使われている薬ですが、ガバペンチンのよう なものは効かないのかというのと、他にこのLyrica以外に普通に使われているお薬という のはどの程度あって、これが大事なのかというのは、ちょっと要望書を読んでいてもよく わからなかったので、教えていただきたいのですが。 ○ 西岡参考人  ガバペンチンは私も非常に注目しています。というのはプレガバリンとガバペンチンと いうのは作用機序は基本的には全く同じです。ただ、プレガバリンの方が3分の1から4 分の1の、ガバペンが例えば300mgとか400mgいれば、プレガバリンは100mgぐらいの、 鋭い切れ味があるということで、実際に我々患者さんの同意を得てガバペンチンを使うこ とがあります。非常に切れ味はいいお薬です。ですからその感触から見てもプレガバリン というのは、今後一時も早く臨床の現場に使いたいというのが現状です。  そして僕自身はガバペンチンに注目したのは、最近のNew England Journal of Medicine だと思いますが、がん性疼痛のモルヒネの効果をこれを一緒に併用すると、モルヒネの用 量が非常に少なくなるというのが、僅か40例か50例ぐらいのスタディでNew England Journal of Medicineに出ていました。それでガバペンチンというのは非常におもしろい 薬だなというふうに注目していたところに、ちょうどファイザーの方から次の世代として プレガバリンが線維筋痛症にFDAで世界で初めて通ったという情報が入りまして、じゃ あそれも早急に日本でやってくださいと形でお願いを、いろんな方面に、特にファイザー に関しては直接向こうのHead Quartersの方とディスカッションを進め、とにかくようや くここまでこぎつけたかなという感じはしているのですが。 ○ 川西構成員  私は何もこの線維筋痛症の専門家では全くありませんので、症状云々ということは何の 批評もできないのですが、最近実はこれに関係したことで仕事の上で線維筋痛症に関して 調べる事情があって、ちょっと調べましたら、ある本にノイロトロピン錠とか、ロキソニ ンとか、そういうものが何か第一選択薬的な書き方をされている本がありまして、実はそ のノイロトロピン錠というのは別段これを僕は恨みがあるわけでも何でもないのですが、 ワクシニアウイルス接種のうさぎの炎症皮膚抽出液というもので、これの後発品の評価を どうしたらいいだろうかという相談を受けて、私はいろいろ調べたのですが、確かに効く ということはもちろんいいのですが、実態がなかなか難しいということで、多分大変品質 管理等々難しいだろう。  いろいろ調べるとやっぱり決定的な薬がないというのはもう確かなことですし、それか ら症状は多分非常に重篤で、患者さんは何とかしてほしいという病気であるし、というこ とからいくと、判断基準はいろいろあるでしょうけれども、この未承認薬の検討委員会と してやっぱりこういう有力な薬が現れてきたという限りにおいては、まずはワーキンググ ループにちょっと詳細に調べていただくというのが、私は今の段階だと正しい選択なんじ ゃないかと思います。  それでガバペンチンのことも私はちょっと調べたのですが、何かプレガバリンの方が取 り込みがいいので、結局低用量でも効く、そういう痛みとか坑痙攣とかはプレガバリンの 方がいいのだというようなことが書かれている本が多いです。ただ、これは私がネット等々 で調べた知識ですので、やはり専門家の方に検討していただいて、報告した結果で結論を 出せばいいのではないかというふうに私は思います。 ○ 堀田座長  その専門家の最たる人がきょうここにいらっしゃるわけです。ということと、もう一つ は差し迫った状況で、患者さんが大変待たれている状況もあって、ファイザーとしてはな るべく早く年内に治験を始めるというようなこともあります。そういう意味では既に動き があるというところで、これをなるべく順調に進めていただくということで、もうワーキ ンググループに検討結果を御報告いただかなくてもよろしいような気もするのですが、い いですか。事務局の方からお願いします。 ○ 中垣審査管理課長  西岡先生ありがとうございました。おそらくは西岡先生等の御努力によってなんだろう と思いますが、今座長が御発言されましたとおり、日本のファイザーも今やっております 帯状疱疹後の神経痛に引き続いてこの線維筋痛症についても具体的な治験をやりたい、や る方向で検討するというふうに聞いております。  したがいまして致死的な疾患を検討範囲とするこの検討会議の直接の対象であるかどう かは別問題として、多くの方々が苦しんでおられるというのは今西岡先生がおっしゃられ たとおりでございましょうし、それらに応えていくというのも我々の役目の一つだと思っ ておりますので、この会議の直接の対象かどうかは別問題として、ファイザーについては 我々からも早くしてくれないかということをお願いしたいと思いますし、ファイザーが困 るようなことがあれば、また我々も相談にのりますし、その点は西岡先生を初めとする研 究班の方々にも御協力をいただいて、できるだけ必要な治験が早く行われるようにしてい くということでいかがでございましょうか。 ○ 藤原(久)構成員  それでいいと思うのですが、ちょっとお聞きしたいのは、これは副作用とか、そういう のはどういうことを言われているのですか。 ○ 西岡参考人  臨床データをみてみますと、非常に副作用は少ないです。ですからそれよりもさらに先 ほど取り込みが非常にいいということをおっしゃられましたが、まさにそのとおりで、そ れから類推しますと、このプレガバリンの向こうの臨床データを見ても非常にきれいなデ ータが出ていますし、用量依存性も非常にはっきりしています。ガバペンチンはもっと僕 は副作用が多いだろうと思ったのですが、多少ふらつきだとか、そういうものがあるので、 飲み方を例えば夜に飲むとか、いろいろ工夫しながら使っているのが現状です。 ○ 堀田座長  はい、ありがとうございました。大体議論も出尽くしましたようでありますので、この 資料3のヒトヘミンにつきましてはワーキンググループにさらなる検討をお願いするとい うこと、それで次回に御報告いただくことに致します。それからプレガバリンにつきまし てはただいま御議論いただきましたように、本検討会の対象とは性格的にちょっと異なる けれども、その必要度からいいますと十分検討に値しますし、それから企業も治験を既に 進めるという計画をしているところでありますから、事務局の方からもそのような形で指 導を強めていただくということで、その進捗を期待したいと思います。ありがとうござい ました。西岡先生どうもありがとうございました。  それではその次にまいりますが、資料4の方を御参照ください。資料4は昨年10月から 12月に欧米の4カ国のいずかの国で承認された医薬品のリストであります。これについて の検討に入りたいと思います。事務局の方からまず簡単に御説明をお願いします。 ○ 事務局  それでは資料4をごらんください。こちらには前回の報告以降であります昨年10月から 12月の3カ月間に欧米4カ国で新たに承認された医薬品のリストでございます。今回は3 品目でございます。まず1品目目はラルテグラビルでございます。こちらはHIVの治療 薬でございます。作用機序といたしましては、従来の抗HIV薬でありますプロテアーゼ インヒビターやNRTI、またはNNRTIといったものと異なりまして、HIV1のD NAを宿主細胞の遺伝子に組み込む過程を触媒するインテグラーゼという酵素を阻害する という新しい作用機序の薬でございます。こちらにつきましては既に希少疾病用薬品とし て指定を済ませたところでございます。  次に2品目目のイキサベピロンでございますが、こちらはアントラサイクリン系及びタ キサン系薬剤不応性の転移性または局所進行性乳がんへの効能をもつ医薬品でございます。 こちらにつきましては既に昨年末に承認申請が出されたところでございます。  次に3品目目のニロチニブでございます。こちらはイマチニブの抵抗性または不耐容の フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病を効能効果とするものでして、チロシンキ ナーゼ阻害剤でございます。こちらにつきましても昨年3月に希少疾病用医薬品に指定し、 現在承認申請がなされ、審査中という状況でございます。  以上、今回御報告させていただいております3品目でございますが、1番目の抗HIV 薬につきましては、前回も同様でございましたが、本検討会議での検討を踏まえるまでも なく迅速に対応することとされていると医薬品でございます。また、その他の2品目につ きましても、いずれも承認申請が行われているという状況でございまして、これにつきま してまた改めてワーキンググループで詳しい検討を行う必要はないのではないかと考えて おりますが、何か御意見等ございましたらいただきたいと考えております。以上でござい ます。 ○ 堀田座長  はい、ありがとうございました。今の3品目、1番目の抗HIV薬ですが、これはもう 基本的には承認するという形で今動いておりますので、この検討の対象とはちょっと違っ てきております。それから2番目3番目について御意見をいただきたいと思いますが、い かがでしょうか。いずれも抗腫瘍薬に入るわけでありますが、藤原先生何か御意見はござ いませんか。 ○ 藤原(康)構成員  藤原は関与ですので、発言はいたしません。 ○ 川西構成員  これは2品目とも承認審査中となっているようですので、この会議の立場としてはそれ を見守るということでいいのではないかと思いますが。 ○ 堀田座長  基本的にはそういう立場でこれまで動きましたし、もちろんわざわざ審査をおくらせる ということはあり得ないわけでありますから、粛々と進めていただきたいというふうに思 います。特別な御意見がなければ、この3カ月に海外で新たに承認されたものにつきまし ては、特別にワーキンググループにかけるものはないという判断となります。したがって、 先ほどのヒトヘミンについて検討をお願いするという形に今回はしたいと思います。  それでは最後に資料5を御参照ください。これまでの検討会議で連続的にやってまいり ましたが、現在までの対応状況をまとめた資料が配布されております。事務局の方からこ れの対応状況の現状を御説明いただきます。 ○ 事務局  御報告させていただきます。この資料5でございますが、一番左に検討会議で検討され た会議の開催日、そして成分名、対象疾病が記載されておりまして、その次に検討会議で いただいた検討結果と、そして検討当時の状況が列記されまして、そして右から2番目に 現在の状況を示しております。前回の報告から進展があった品目につきまして御説明いた します。まず1ページ目の中程、9番目、エルロチニブでございますが、こちらにつきま しては昨年10月に承認されまして、12月14日で薬価が収載されたという状況でございま す。  次に下から2番目、13番のイブリツモマブ チウキセタンでございますが、こちらは先 生方に事前にお送りした資料には、昨年12月26日薬事分科会で審議という記載がござい ますが、本日付で承認となりましたので、本日お手元にお配りした資料には1月25日承認 といふうにさせていただいております。  次はページをおめくりいただきまして上から2行目のクロファラビンでございます。こ ちらにつきましては企業から治験準備に入ったという連絡があったということで、状況が 更新されております。  次に17番のネララビンでございますが、こちらは昨年10月に承認され、12月14日で 薬価収載をされたという状況でございます。  次に同じページの下から2行目のソラフェニブでございます。こちらも本日付で承認さ れたという状況でございます。  また同じページの29番、フォスフェニトニンでございますが、これまで企業名は入って おりませんでしたが、ノーベルファーマが正式に開発を行うということとなりましたので、 御報告させていただきます。  続きまして3ページ目の31番のデシタビンでございます。こちらも企業から治験準備に 入ったとの報告が入りまして、そのように状況を更新しております。  また35番のタルクにつきましては、ノーベルファーマが正式に開発を行うという表明を いただきまして、その旨を記載しております。以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。少しずつではありますが着実に進歩があります。全般を通じ てこれまでの対応状況について何か御意見等ありましたらいただきたいと思います。いか がでしょうか。かなり古いもので調整中というのがまだ残っていますが、この辺はどうな のですか。11番のストレプトゾシンなんかはいかがですか。 ○ 中垣審査管理課長  この調整中には2種類ございまして、私どもの方には開発をする方向で今例えば外国の 会社と契約を結ぼうとしているというような、先ほどオキシコドンの時に申し上げました ようなものもございますが、一方におきましては全く目処がついてないものもあるわけで ございます。  昨年、厚生労働省のホームページにたしか7品目でございましたか、10品目弱のものに ついて開発してくれる方を募集しています、関心があればいつでも言ってきてくれという ようなことをやったわけでございますが、まだまだうまくいってないものがございます。 できれば製薬企業の団体にぜひこれらのものを開発してくれないかというようなことで、 また別途お願いをしたい、そのような形で開発するところをぜひ見つけていきたいという ふうに考えているところでございます。以上でございます。 ○ 堀田座長  はい、ありがとうございます。その他先生方から何か御意見はございませんか。よろし いでしょうか。それでは本日御検討いただくものは以上ですが、最後のこの資料、未承認 薬検討会議の検討状況を御説明ください。 ○ 事務局  今回から新たに添付させていただきました参考資料6でございます。こちらは先ほど資 料5で御説明した品目につきまして、円グラフにしてございます。左側がそれぞれの品目 が検討された時点での状況、そして右側が今現在どうなっているかという状況でございま して、左側であれば右から時計回りにいいますと、国内治験前のものから国内治験中、治 験終了、承認審査中という品目でございましたが、それが現在の状況としまして、本日お 配りした資料が最新のものをおつけしておりますが、今現在14品目、それから治験実施中、 準備中のものが7品目、承認申請準備中のものは現在ございません。そして承認審査中が 8品目、そして承認済が本日付で13品目という状況でございまして、こういう状況になっ たということを見やすい形でおつけしております。また今後適宜アップデートしていきた いと思っております。 ○ 堀田座長  この表の左の方が会議の初めの時ですから、ここから3年経過をしております。その間 に右に13という斜線の部分がありますが、当然当時は0でありましたが現時点で承認に 13まではこぎつけているということでございます。本日予定した議論はここまででありま すが、今日初めて参加した先生方もいらっしゃいますので、一言ずつ、どんな印象だった かというのを伺いたいと思います。 ○ 大塚構成員  初めて出席させていただいものですから、ちょっとわからないのですが、資料3のとこ ろに参考として効能追加等にかかわる早期承認に関する要望書などというのがございまし て、その中のタクロリムスというラスムッセン症候群という難治な自己免疫によって起こ るてんかんがございますが、それに対するタクロリムスの適用を広げるというようなこと を私たちの小児神経学会からもお願いしたりしたのですか、この未承認薬の会議で既にあ る薬で、既に承認されている薬の適用を拡大するということに関する働きかけというのは どういう位置づけになるのでしょうか。 ○ 堀田座長  それは重要なポイントですから、課長さんの方から御説明します。 ○ 中垣審査管理課長  資料3で申し上げますと、上の表と下の表に分かれておるわけでございます。医療の観 点から純粋に申し上げますと、ものが全くない状態と、いわゆる効能追加が必要な状態と いうのは、それなりにやっぱり差があるのではないかというふうに考えておるわけでござ います。もちろん審査に当たる、あるいはいろんな相談にのるリソースが限られていなけ ればいろんな手法があるのだろうと思いますが、そういう面も考えますと、この検討会と してはまず一義的には上の、すなわち全くものがないもの、これについてどうするかとい うのを御議論いただくというのが最初に申し上げましたこの会議の主旨でございます。  一方におきまして、事務局には下と申しますか、効能追加の要望というのも多々まいる わけでございます。またこういった未承認薬検討会という形で各界の本当の有識者の方々 にお集まりいただく機会もあるわけでございます。下のものにつきましても事務局といた しましては当然のことながら企業にこういう要望が来ているけれどもどうなんだというこ とを照会したり、少し前向きに考えたらどうだというようなことを指導したりしているわ けでございますが、そこの重点の置き方というのもまたあるんだろうというふうに考えて おるわけでございます。  したがいましてせっかくのこういう機会でございますから、この効能追加についてもこ ういった場に出して、特にこれについては気をつけろというようなことがあれば、また教 えていただく、それはこの会議の一義的な目的とは別に、せっかくの機会でございますか ら、事務局に御示唆をいただくというようなことで整理をしておるところでございます。 以上でございます。 ○ 堀田座長  大塚先生、よろしいですか。小さく書いてあるのは本検討会議としては第一義ではない けれども、こういう要望も結構強いですし、重要性もあるものもありますので、特にここ で指摘していただきたいと考えます。進めたいものがあるという意見が強ければ、それを 事務局の方からこれはどこへ、研発の方へ通すという形になるんでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  ステージがまだまだ治験とかいうところに入らないようなものでございますれば、医政 局研発課にお願いすることになるのだろうと思いますし、治験にそのまま入れるようなこ とでございますれば、私どもの方から、あるいは医政局と共にという形で整理をするとい うことになると思います。 ○ 堀田座長  という対応で、途中からこれは資料に載せるようにしたのですね。下の部分は初めの頃 はなかったのですが、やっぱりそういう必要性もあろうということで、参考資料的ではあ りますが、出せていただいている経緯であります。井上先生はいかがですか。 ○ 井上構成員  今までなかなか臨床で使えないような薬がどのような状況にあったのかはよく見えない 部分があったのですが、今回初めてこういう検討会に参加させていただいて、それぞれ十 分な審議がされながら患者に使えるように検討されているということを聞いて、大いに勉 強させていただきました。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。久保先生いかがですか。 ○ 久保構成員  全くそのとおりでして、私は厚労省の難治性疾患で一緒に研究班をやっていまして、ど うしてもその難治性の疾患のいい治療薬がない、こういうところがこういう方法もあるの かなということで非常に勉強になりました。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。それでは佐川先生お願いします。 ○ 佐川構成員  未承認薬ということで、かねがねいろんな問題点を抱えているということは認識してい たわけなのですが、今回このような形で厳重にできる限りのことで評価されて、進めてい るということをお聞きいたしまして、感銘いたしました。それで自分の病院などでも表に は出て来ないわけなのですが、結構やはり使われているだろうということを思いまして、 今後そういった観点からも症例等も含めて当院の臨床医などとのコミュニケーションの中 でじっくりその辺を情報収集しながら、また参加させていただきたいというふうに思って おります。 ○ 堀田座長  はい、ありがとうございました。それでは樋口先生お願いいたします。 ○ 樋口構成員  おくれて参りましたので、前半で説明がなされたのかもしれないのですが、今回初めて 加えていただきまして、私は精神科の領域でございますが、先ほどの御説明だと主にと言 うか、致死性のと言うか、放っておくと確実に死に至るような疾患で、かつ他に治療薬が ないものを対象にしてというふうな御説明があったように思います。 ○ 堀田座長  致死的とは限りません。障害が続くとか、そういうことでもあります。 ○ 樋口構成員  そうすると精神疾患も含まれてよろしいということですか。 ○ 堀田座長  それは当然あり得ると思います。 ○ 樋口構成員  わかりました。では私どもの領域も結構そういった意味では世界からおくれをとってお りまして、他の国では当たり前に使われている薬が使えないという状況が多々ございます ので、そういったことにも私どもの参加させていただく役割があるのかというふうに思っ ております。よろしくお願いします。 ○ 堀田座長  それでは藤原(久)先生お願いします。 ○ 藤原(久)構成員  私も同じで、日本では欧米で使われている薬で使われてない薬はたくさんありますので、 ぜひこういう場を借りて使えるようになれば大変いいと思いますので、その意味でいろい ろ私も努力させていただければと思います。 ○ 堀田座長  藤原先生はもう何度も参考人できておられますが、初めて構成員として一言お願いしま す。 ○ 藤原(康)構成員  これまで同様いろいろ真面目に臨んでいきたいと思っております。 ○ 堀田座長  というわけでひと当たり新しいメンバーの先生からも御意見をいただきました。本日予 定したものもこれで終了でございます。最後に事務局の方から何か御連絡事項はあります か。 ○ 事務局  そうしましたら本日御検討いただいた品目につきましては、会議の結論を事務局から該 当企業に伝達させていただきたいと思います。またその後の状況につきましても次回の会 議で報告させていただきたいと思います。なお、次回の会議でございますが、現在日程調 整の用紙をお送りさせていただいております。私どもの都合で恐縮なのですが、次回につ きましては1カ月繰り上げさせていただきまして、3月に開催をさせていただきたいと考 えております。以降3カ月ごとに開催するというふうに考えております。以上でございま す。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。特に何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。それで は皆さんどうもありがとうございました。                                      (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111 1