08/01/24 第33回議事録 第33回労働政策審議会安全衛生分科会 1 日 時 平成20年1月24日(木)10:00〜12:00 2 場 所 厚生労働省 省議室  3 出席者 (委 員) 公益代表  平野委員、相澤委員、今田委員、露木委員、内藤委員、 中原委員、名古屋委員 労働者代表 鈴木委員、高橋(孝)委員、中桐委員、仲田委員、   芳野委員 使用者代表 高橋(信)委員、豊田委員、中村委員、松井委員、 三浦委員、山崎委員、伊藤委員(代理として佐藤氏出席) (事務局) 青木労働基準局長、鶴田安全衛生部長、坂口計画課長、 平野安全課長、金井労働衛生課長、榎本化学物質対策課長、 野澤計画課調査官 4 議事録 ○分科会長 出席予定の方がすべて集まりましたので、ただいまから第33回 労働政策審議会安全衛生分科会を開催します。古市委員、眞部委員、伊藤委 員は所用のため欠席されています。本日は、労働政策審議会令第9条に規定 する定足数に足りていますことをご報告申し上げます。なお、本日欠席の伊 藤委員に代わり、日本商工会議所産業政策部課長の佐藤様に代理出席をして いただいています。  議事に移ります。本日の議題は、「第11次労働災害防止計画(案)」につい てです。本件は、今後厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛の諮問が行わ れる予定の案件です。まず、事務局からご説明いただきます。 ○計画課長 本日は、いま分科会長からもお話がありましたが、昨年の10月 に当分科会で第11次の労働災害防止計画について、第10次防の評価も含め ましてご議論いただきました。そのご議論等を踏まえまして、案文を事務局 で作成しましたので、それに基づいてご議論をいただきたいということです。 本日のご議論、ご意見等も踏まえまして、今一度案文等を精査して、来月に もう一度分科会の開会を予定していますので、そちらで正式に諮問しますの で、よろしくお願いします。  お手元に資料を2つお配りしています。資料No.1は労働災害防止計画(案) ということで、第11次防の全体の案文です。資料No.2は第11次防の後半部分、 後ほど説明しますが第11次防の課題と対策をわかりやすくまとめている具体 的な部分の資料です。  私からは資料No.1、全体の構成について説明したいと思います。資料No.1の 目次をご覧ください。骨子のご議論のときにもお話等をしていますが、第11 次防の全体の構成として目次にあるように1 計画のねらいということで、労 働災害防止に対する国、労使等の関係者の姿勢と申しますか、あるべき姿を 示して計画のねらいを謳っている部分です。2 労働災害を巡る動向というこ とで、産業構造、就業構造等の変化も含めて労働災害の発生状況、労働者の 健康を巡る状況、労働安全衛生全般に関わる状況について、その状況と課題 を記述しています。3 本第11次防における安全衛生対策に対する基本的な考 え方ということで、これについては労働災害全体を減少させるためのリスク の低減、重篤な労働災害の防止という2つの観点から安全衛生対策に取り組 もうということを記述していまして、その上では目標の設定、計画的な実施 を通じて、より的確なこれらの対策の推進を図る。いわゆるPDCAサイクルを 回すという基本的な姿勢で臨むことについての考え方を記述しています。4 計画の期間は、平成20年度を初年度とする5カ年を定めた上で、5の計画の 目標では労働災害防止安全衛生対策に対する全体的な目標を(1)で記述をし た上で、特に重点とすべき行政施策とそれに対する対応についての目標を(2) に記述しています。  後ほど詳細に説明しますが、この安全衛生に対する基本的な目標の(1)と しては、労働災害による死亡者の数、死傷者の数、定期健康診断の有所見率 を掲げています。また、これらの数値目標に対しては、国、労使がそれぞれ の立場から目標達成に対して取り組むことが必要ということも併せて謳って います。(2)重点対策及びその目標については先ほど申し上げましたとおり、 本計画において特に重点とすべきものをピックアップをした上で、それに対 して国、労使等がどのような取組をするか。その結果、どういうことを目指 すかということを目標と併せて記述をしているというものです。  6 計画における労働災害防止対策ということで、(1)の自主的な安全衛生 活動の促進から次の頁の(10)の効率的・効果的な施策の推進についてまで の10項目にわたりまして、個々の対策あるいは関係施策についての取組を記 述しています。  これから内容について調査官の野澤からご説明しますが、非常に大分なも のですので、いまも申し上げた目次の中の計画のねらい、3の基本的な考え方、 計画の期間、5の計画の目標について非常に総論的かつ重要な部分ですので、 読み上げ的な形も含めまして詳細説明をさせていただいた後、資料No.2に基づ いて動向とそれに合わせた計画における対策についてのエッセンスをご説明 します。よろしくお願いします。 ○計画課調査官 それでは1から2の一部、3、4、5について読み上げをしま す。  1 計画のねらい。労働者の安全と健康はかけがえのないものであり、労働 者本人にとってはもちろんのこと、家族、事業場、産業界、国全体にとって 最大限尊重すべきものである。事業場の生産活動を優先するあまり、労働者 の安全と健康の確保がおろそかになってはならないことであり、事業者をは じめとする関係者は常に労働者の安全と健康の確保を優先しなければならな い。労働者自身もこのことを十分に理解し、安全衛生に関わる活動に積極的 に取り組み、協力しなければならない。  労働者の安全と健康の確保を目的とする労働安全衛生法においては、事業 者が遵守すべき最低基準を義務として示すだけでなく、積極的に労働者の安 全と健康を確保する措置を講ずることを求め、また労働者に対しても必要な 事項の遵守や事業者の安全衛生に関する措置への協力に努めなければならな いとしている。  労働災害防止を図るためには、国、事業者、労働者をはじめとする関係者 が一体となり、対策を総合的かつ計画的に実施する必要がある。このため、 国は労働災害防止についての総合的な計画を長期的な展望に立って策定し、 自ら今後取るべき施策を明らかにするとともに、労働災害防止の実施主体で ある事業者等において取り組むことが求められる事項を示し、その自主的活 動を促進することとしているところであり、今般平成20年度を初年度とし、 平成24年度を目標年度とする労働災害防止計画を策定するものである。  事業者、労働者をはじめ、関係者においては本計画の趣旨、対策の内容等 を理解し、自ら積極的に安全衛生水準の向上に努めることが求められる。  2は(2)のアを読みます。2頁です。(2)現状分析及び課題。ア、労働災 害の発生状況等。平成15年度を初年度とし、平成19年度を目標年度とする 労働災害防止計画(以下「前計画」という)においては、労働災害防止によ る死亡者数について年間1,500人を大きく下回ること、労働災害総件数につ いては、計画期間中において20%以上減少させることを目標としていたが、 死亡者数は平成18年度に初めて1,500人を下回ったことに続いて、平成19 年も引き続き減少傾向にあることから1,500人を大きく下回り、前計画の目 標を達成することが見込まれる。一方、労働災害による休業4日以上の死傷 者数(以下「死傷者数」という)は、昭和53年以来27年間にわたり逐年減 少し、その間3分の1となったが、平成18年には28年ぶりに増加し、前計 画期間中の減少率は約10%に留まることが見込まれるなど、目標の達成は困 難な状況にあり、今後更なる減少を図るためには予断を許さない状況にある。  6頁の冒頭の3からです。3 計画における安全衛生対策に係る基本的な考え 方。本計画における安全衛生対策については、労働災害全体を減少させるた めのリスク低減及び重篤な労働災害の防止という2つの観点から取り組むと ともに、目標の設定、計画的な実施等により的確な推進を図ることとする。  (1)労働災害全体を減少させるためのリスク低減対策の推進。死傷災害等 の労働災害全体を一層減少させるため、事業場における危険性又は有害性の 特定、リスクの見積り、リスクの低減措置の検討等を行い、それに基づく措 置の実施を行う「危険性又は有害性等の調査等」が広く定着することが必要 であり、その取組を促進する。  (2)重篤な労働災害を防止するための対策の充実。死亡災害等の重篤な労 働災害の一層の減少を図るため、これらの労働災害が多く発生している作業、 機械設備等について、労働災害防止対策の効果的な推進を図るとともに、そ の強化について検討し、必要な対策の充実を図る。  (3)目標の設定、計画的な実施等による対策の的確な推進。最近の行政に おいては、計画的な行政運営、評価等が必要であり、平成19年度に批准され た「職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約」(ILO第187 号条約)においても、同様の考え方が安全衛生の国内計画に求められている ため、本計画については目標の設定、評価等を行うことにより、的確な推進 を図る。これについては、(1)と(2)を労働災害防止の両輪として対策を進 める。(3)は対策について、PDCAサイクルを回して的確に推進するといった 趣旨のことを基本的な考え方としてあります。  4 計画の期間。本計画は平成20年度を初年度とし、平成24年度を目標年 度とする5カ年計画とする。ただし、この計画期間中に労働災害防止に関し、 特別の事情が生じた場合は必要に応じ、計画の見直しを行うものとする。  5 計画の目標。(1)目標。労働災害の防止並びに労働者の健康の確保及び 快適職場の形成促進を図り、安全衛生水準の向上を期すために次の目標を設 定する。国、事業者、労働者をはじめとする関係者は、それぞれの立場で目 標達成に向けて積極的に取り組むこととする。なお、平成24年までの間、こ れらの目標に向けた逐年での減少等を図る。ア、死亡者数について、平成24 年において、平成19年と比して20%以上減少させること。イ、死傷者数につ いて、平成24年において、平成19年と比して15%以上減少させること。ウ、 労働者の健康確保対策を推進し、定期健康診断における有所見率の増加傾向 に歯止めをかけ、減少に転じさせること。  (2)重点対策及びその目標。本計画において、特に重点とすべき行政施策、 それを踏まえて事業場で実施される安全衛生対策等について、以下のとおり 定める。ア、「危険性又は有害性等の調査等」について、作業内容に即した具 体的な実施方法の公表及びその普及、事業場内外の人材養成の促進等を図る ことにより、その実施率を着実に向上させること。イ、化学物質における「危 険性又は有害性等の調査等」について、化学物質等安全データシート(以下 「MSDS」という)等を活用することにより、その実施率を着実に向上させる こと。ウ、機械災害の防止について、労働災害が多発している又は重篤度の 高い労働災害が発生しているなどの機械の種類ごとの安全衛生対策の充実を 検討し、必要な措置を講じることにより、機械災害の更なる減少を図ること。 エ、墜落・転落災害の防止について、災害が多い足場、建築物における作業、 荷役における作業等における墜落・転落災害防止対策の充実について検討し、 必要な措置を講じることにより、これらの作業での墜落・転落災害の更なる 減少を図ること。オ、粉じん障害の防止について、アーク溶接作業、金属等 の研ま作業、トンネル建設工事等に係る粉じん障害防止対策を重点とした総 合的な対策を推進することにより、じん肺新規有所見者数の減少を図ること。 カ、化学物質による健康障害の防止について、化学物質に係る有害業務にお ける作業主任者の選任及び職務遂行の徹底、作業環境管理の徹底、安全衛生 教育の促進を図るなど必要な措置を講ずることにより、特定化学物質及び有 機溶剤による中毒、一酸化炭素中毒等の化学物質による職業性疾病の減少を 図ること。キ、労働者に対する健康診断について、労働者の自主的な取組を 促進するとともに、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指 針」に基づく措置を徹底し、高齢者医療確保法に基づく医療保険者が行う措 置とも連携することにより、健康診断結果等に基づく健康管理措置の実施率 の着実な向上を図ること。ク、メンタルヘルスについて、過重労働による健 康障害防止対策を講じた上で、労働者一人ひとりの気づきを促すための教育、 研修等の実施、事業場内外の相談体制の整備、職場復帰対策等を推進するこ とにより、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合を50%以上と すること。これらの重点対策について、ア、イは先ほどの3の(1)のリスク 低減対策といったものと関連していますし、ウ、エ、オ、カ、クについては (2)の重篤な労働災害防止対策に関連すると思っています。これらの項目は、 先ほどの(1)目標のア、イの達成に結び付いていくと思っています。キにつ いては、ウの定期健康診断の有所見率に係る目標に結び付いていくというこ とで、これらの重点対策及び目標に取り組んでいくことによって、ア、イ、 ウの目標が達成可能になっていくのではないかと考えています。  6以降について、資料No.2で現状分析及び課題と織り交ぜて説明をします。 7、8頁になりますが、自主的な安全衛生活動の促進については、「危険性又は 有害性等の調査等」ということで、いわゆるリスクアセスメントですが、そ ういったことについては現状としては非常に危険性、有害性が多様化してい る。その上で先般平成18年から法の施行を行っていますが、まだまだ取組の 実施率は2割という状況にあります。そういったことの問題点として、中小 規模事業場での取組については、1つ目のポツにあるように中小規模事業場等 で典型的にある作業についてのリスクアセスメントのマニュアル等を作成す ることを進めていきたい。さらに、それを担当する人がなかなかいないとい うこともありますので、そういった方の養成を進めていきたいと考えていま す。  機械、化学物質等については、それぞれ製造者におけるリスクアセスメン トの実施。それを川上から川下に向けてそういったことの情報を提供してい くことを考えています。また、化学物質についてはこれも法改正で行ってい ますが、化学設備等の改造等のときの注文者による請負業者への情報の提供 といったこともしっかりやっていきたいと考えています。(ウ)リスクアセス メントを実施する上では、いろいろな情報が必要である。これは指針にも書 かれていますが、そのような中で労働災害事例や安全衛生に関する各種の情 報、行政が持っているものをはじめとする情報について公開して、提供して いきたいと考えています。最後に、リスクアセスメントに取り組んでまいり ますと、そのリスクアセスメントに基づく措置と安全衛生規則に定められる 措置との関係といったことも問題というか、その整理というものが必要にな ってきますので、そういったことについて労働安全衛生関係法令の適用につ いて、柔軟化できるかどうかといったことの検討も進めていきたいと考えて います。  引き続きまして、労働安全衛生マネジメントシステムの活用です。これに ついては1つ目のポツにあるように、基本的には自主的な導入ということで リスクアセスメントとは違いまして、法的にも指針の根拠規定を設けている 状況ですので、措置としては自主的な導入をベースにそれを行政として促進 していきたい。その1つの手段として2つ目のポツにありますが、公共事業 等の入札制度において建設会社のほうで労働安全衛生マネジメントシステム に取り組んでいる場合に、それを発注者が評価する制度を行政として働きか けて発注者側に導入していただこう。こういった環境整備を図ることによっ て、自主的な導入、その促進を図っていきたいと考えています。  ウ、自主的な安全衛生活動促進のための環境整備です。1つ目のポツは、労 働者の安全と健康を最優先する「安全文化」について、企業トップをはじめ 企業全体への浸透を図ることを考えています。2つ目は、企業取引等において 積極的な安全衛生対策の取組が考慮されるなど、安全衛生への積極的な取組 が社会的に評価される仕組み、よく言われるCSRに近いものかもしれません が、これも行政のほうが押し進めるというよりも、そういう環境整備を図り つつということになると思いますが、そういったことの検討も着手したいと 考えています。3つ目は、国民に対する広報です。労働者だけではなくて、就 学前の学生や労働者の家族といった、労働者の周りにいる労働者に近い国民 をはじめとする、広く国民に対して安全衛生の重要性の認識を高めるための 広報を推進していきたいと考えています。  本文9頁です。エ、情報の共有化の推進です。これは先ほど少しリスクア セスメントのところでも申し上げましたが、労働災害事例あるいは化学物質 についてはMSDSという形で後ほど触れますが、それも拡大していきたいとい うことがあります。そういったことを通じて、情報を提供する。受け取る側 も、それについての認識を高める。労働者にせよ国民にせよ企業にせよ、そ ういったことの認識を高める。そういったサイクルを回すことによってより オープンになって、なおかつ社会的に評価されることを考えています。  (2)特定災害、資料No.2でいきますと2頁です。特定災害対策としては、 右側にあるア、イ、ウ、エの4点を掲げています。これは左側でいきますと、 死亡災害は交通労働災害、墜落・転落災害が多い。死傷災害は墜落・転落、 はさまれ・巻き込まれ災害が多い。あるいは墜落・転落災害については、製 造業、陸上貨物運送事業等建設業以外でも発生している。爆発・火災災害に ついても件数そのものはそんなに多いわけではないですが、一度発生すると 大きな災害となって、依然として発生が続いている。そのような問題意識の 下に、4つの災害を特定災害対策ということで掲げています。  アの機械災害防止対策です。上のポツ3つ分ぐらいですが、要するに機械 の設計、製造、使用という段階のユーザーサイドのこともありますが、リス クアセスメント等をしっかり実施してもらう。そういったことを譲渡のとき に、使用上の情報として川下に流してもらう。さらに、そういった取組につ いては機械への表示とかの制度を導入いただく。そういったことについて検 討していきたい。いわゆる、機械のメーカーに対するいろいろな安全衛生上 の取組を求めていきたいと考えています。その辺は本文ですと、(ア)で書か れています。(イ)については、いまのようなリスクアセスメントの取組とは 別にというか、一方で労働災害が多発している又は重篤度の高い労働災害が 発生している機械がありますので、そういったことは安全対策の充実につい ての検討、必要な措置を講ずることを進めていきたいと考えています。  イの墜落・転落災害です。(ア)(イ)については足場関係の災害防止とい うことで、足場先行工法、手すり先行工法、あるいは現在検討を進めている 足場からの墜落防止措置に関する新たな安全対策といったことについて、周 知徹底、普及を進めていきたい。基本的にはというか、大部分は建設業にお ける対策ということになってきます。それに対して(ウ)については、建設 業以外でも建物から、あるいは荷役作業中の車両から墜落・転落災害が製造 業、陸上貨物運送事業等で起きていますので、そういったことの対策につい ても検討を行い、必要な措置を講じていきたいと考えています。  10頁のウの交通労働災害防止対策です。1つ目のガイドラインについては、 運転実態と労働災害発生の関係に関する調査を行っています。そういったこ とを踏まえて、ガイドラインの周知徹底を図っていきたいと考えています。2 つ目は、いわばカーナビと一緒のような技術だと思いますが、IT技術を活用 してトラックの走行状況をリアルタイムに事務所のほうで把握できる、リア ルタイム遠隔安全衛生管理手法というものを開発中です。これを活用して、 事業場から必要な安全衛生管理のための指示を行うといったことの取組を普 及していきたいと考えています。  エの爆発・火災災害防止対策です。1つ目は、引き続き労働安全衛生関係法 令に定める措置の徹底ということですが、さらに化学物質の取扱いによる爆 発が多々ありますので、それについてはMSDS等を活用したリスクアセスメン トの普及促進を図っていきたいと考えています。  (3)労働災害多発業種対策です。資料No.2を見ていただくと次の頁にかけ てですが、製造業、建設業、陸上貨物、林業、第三次産業について、それぞ れ災害上の懸念される点があります。そういったところを含めて対策を進め ていきたいと考えています。製造業については資料No.2の左側にありますが、 機械災害が4割あって、指の切断等障害が残る重篤な労働災害も多いという ことがあります。あるいは、墜落・転落災害も多く発生しているということ があります。さらに、派遣労働者や請負労働者に係る労働災害の増加も懸念 される。あるいは、これは製造業だけのことではないかと思われますが、団 塊世代の大量退職による安全衛生水準の低下の懸念がされるといった問題点 があります。リスクアセスメントあるいは機械災害、墜落・転落災害の対策 については先ほどから述べているようなことを製造業の中にしっかり適用し て、取り組んでいきたいと考えています。  就業形態の多様化に対する対応です。本文は10頁の(エ)にありますが、 第1点としてはどうしても経験年数が短い方が多くなってきますので、雇入 れ時等の安全衛生教育の徹底、実際の機械等を使用して労働災害を模擬的に 実体験させること等による危険感受性向上教育というものを推進していきた い。請負労働者が混在する作業での労働災害防止という観点からは、平成18 年からの法令改正で義務づけている作業間の連絡調整、あるいはそれも含め た製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理の指針といった、 最近用意されている施策の周知徹底をしっかり図っていきたいと考えていま す。化学物質の関係についても、先ほど申し上げたような関係者が混在する ような作業における情報の提供といったことを進めていきたい。派遣労働者 については、派遣法に基づいて安衛法の措置義務が派遣元・派遣先それぞれ 各条文が決められています。この履行の徹底を図ることが一義的に重要だと 考えています。  前後する記述になって恐縮ですが、IT技術を活用した安全衛生管理につい ては、団塊の世代の大量退職によりまして、安全衛生分野の技術ノウハウの 喪失等があるということで、IT技術として情報をデータベース化しておきま して、それをPDAというモバイルの端末と例えば機械ごとに付けてあるICタ グといったものを利用することによってそのデータを呼び出しまして、不足 しているノウハウ等を補うといった手法について、普及促進を図っていきた いと考えています。  資料No.2の建設業対策です。本文でいきますと(ア)(イ)については、建 設業における元方事業者による統括管理、いちばん上に立つ親企業における 統括管理、それから専門工事業者ということで、従来の取組ですが、その現 場に入るそれぞれの業者の自分たちの事業場における安全衛生管理能力の向 上、引き続きそういった重層関係に着目した対策をしっかり取っていきたい と考えています。(ウ)の発注者による配慮については、先ほどマネジメント システムのところで説明したものです。墜落・転落災害防止対策についても、 先ほど墜落・転落災害のところで説明したものです。あとは、いわゆる3大 災害として建設機械災害防止対策、土砂崩壊災害防止対策については、それ ぞれ有効と思われる対策の普及、定着、推進を図っていきたいと考えていま す。陸上貨物運送事業ですが、交通災害防止対策については先ほど申し上げ ていることをこの業種に適用するということです。  本文12頁です。一方で災害の発生状況では、死傷災害のうち3割は荷役作 業中の墜落・転落災害であるということです。これも墜落・転落のところで 申し上げましたが、陸上貨物運送事業におけるトラック等からの墜落・転落 災害防止対策の充実について検討し、必要な措置を講じることを考えていま す。  エの林業対策です。これについては、災害の発生状況でも死亡災害の半数 以上が伐木作業中ということで、伐木作業中の中でも最も危険な作業とされ るかかり木の処理という、切った木がほかの木に引っ掛かってうまく倒れな い状況について処理を行うわけですが、その作業の危険性が高いということ で、それについての対策の充実の検討を行い、必要な措置を講じたいと考え ています。  第三次産業です。業種的には資料No.2の左側の卸売・小売業のように、件数 的に多いもの。社会福祉施設、通信業等のように増加しているもの。あるい は、産業廃棄物処理業等のように労働災害発生率が高いといった、それぞれ の業種が見られます。これらの業種については本文(ア)にありますが、業 種別のモデル安全衛生管理規程、「労働災害防止のためのガイドライン」とい ったものを活用した対策を推進してまいりたいと考えています。(イ)、(ウ)、 (エ)については、先ほどから申し上げているリスクアセスメント交通労働 災害防止、情報の公開共有化による対策をこの業種においても適用して進め ていきたいと考えています。カのその他の業種として、必ずしも件数そのも のは多くないのですが、港湾貨物運送事業や鉱業は災害発生率が高いので、 こういったことについても引き続き業種の実態等を踏まえた対策を推進して まいりたいと考えています。  続いて、職業性疾病についてです。本文は12頁です。これについては、資 料No.2の右側を見ていただくと粉じん障害、腰痛、振動・騒音障害、熱中症、 酸欠その他。化学物質関係は別項がありますので、こういった対策について それぞれまだいろいろな意味合いで課題があるということです。対策として、 粉じん障害防止対策についてはアーク溶接や金属研ま、トンネル建設工事と いったところで新規有所見者も多く発生していることがありますので、その 辺についての総合的な対策というものを進めてまいりたいと考えています。 さらに、従来の作業環境測定では、なかなかばく露状況が把握できないよう なところについては、個人サンプラーによる粉じん濃度測定方法についても その研究を行いまして、その成果を踏まえたばく露低減対策の検討も進めて いきたいと考えています。  腰痛予防対策については、先ほど社会福祉施設の話も出ましたが、腰痛が 介護作業等で多く発生していることもありますので、それに対する介護用機 器の導入等、そういった作業での負担を軽減する具体的な手法を検討して、 現在ある指針の必要な見直しを行うとして、その周知徹底を図っていきたい と考えています。腰痛については、事業者や労働者が自分が行っている作業 の腰痛の危険性について必ずしも認識を持てない場合も多いということもあ りますので、その辺を認識してもらえるような手法の検討、普及促進を進め ていきたいと考えています。  ウの振動・騒音障害防止対策です。まず、振動工具の振動レベルに応じた 作業時間基準といったことに基づく、作業管理ができる対策の普及促進を進 めていきたいと思っています。そのためには、振動工具の振動レベルの情報 が必要になってきます。そういったことから、振動工具への振動レベルの表 示を製造者等に働きかけていきたいと考えています。3つ目は、騒音障害の防 止についてです。これは現在ガイドラインが出ていますので、引き続きの徹 底が必要だと考えています。  熱中症、酸欠症についてです。熱中症は平成8年に通達が出ていますが、 具体的な対策に必ずしも言及していない部分もあるということで、その検討 を行ってそれを普及、周知徹底を図っていきたいと思っています。酸欠は酸 欠則という規則がありますので、規則の徹底を進めていきたいと考えていま す。  その他の職業性疾病ですが、電離放射線あるいはVDTという従来の取組に 加えて、資料No.2の真ん中に書いてある2つ目のポツの新型インフルエンザ等、 新たな伝染性の疾病についても、関係機関との連携の下発生に備えた危機管 理体制の構築を推進しなければいけないと考えています。  (5)石綿障害予防対策です。これについて、1つ目のポツあるいはアに書 かれているものは、現在ある全面禁止の徹底、その中でポジティブリストと いうことで全面禁止の措置が猶予されている石綿製品がありますが、これら についても安全性の確保に配慮しつつ、石綿製品以外への代替の促進をして、 全体として猶予措置の撤廃に向けて進めていきたいと考えています。2つ目の ポツ、本文の14頁のイです。製造関係はいまの関係で原則的にはないという ことになるわけですが、建築物の解体あるいは建築物に現にいま石綿が吹き 付けられているわけですが、それが損傷したことによる労働災害、労働者の ばく露防止という観点から石綿則の徹底を図ることを考えています。さらに、 吹付け石綿等の除去作業においては、電動ファン付き呼吸用保護具の使用の 義務づけといったことをはじめとする、先ほど申した石綿則の措置の対策の 充実について検討を行い、措置を取っていきたいと考えています。  離職者については、健康管理手帳の交付要件の拡大がされています。その 周知とともに、拡大に対して医療機関等の体制の整備も含めて行い、離職後 の健康管理措置の適切な推進に資するようにしてまいりたいと考えています。  (6)化学物質対策です。本文は14頁です。化学物質対策としては、アの 化学物質による労働災害の防止があります。1つ目は、これも前からその都度 申し上げていますが、化学物質のリスクアセスメント。そのためにはMSDSの 拡充というか、それが必要であるということで、そういったことに努めてい く。それに伴って、表示対象物質あるいは文書交付対象物質についても拡大 する点があれば、それを検討し推進していきたいと考えています。(イ)の関 係も重点対策のところにもありましたが、化学物質関係の職業性疾病、健康 障害を防止する観点から、化学物質関係の規則があります。そういった中に は作業主任者のこと、その他法令に定める措置、安全衛生教育といったこと がありますが、その措置の徹底をしてまいりたいと考えています。それから、 化学物質管理の1つの大きな手法として作業環境管理がありますので、測定 とその結果の評価も進めてまいりたいと考えています。  一方、今後の有害性のある化学物質についての管理ですが、14頁のイにあ るように発がん性のおそれがある物質等については、有害物ばく露作業報告 制度をいま運用しています。それについて、国においてリスク評価を行って、 もしリスクが高いとされれば規制等について進めていく。一方で、そういっ たものに至らないもの、それ以外の化学物質については自主管理。それらを 適切に組み合わせるということで、化学物質管理の一層の推進を図っていき たいと考えています。  15頁の(イ)です。化学物質については、国際的な化学物質管理の動向が 多々あります。そういったことに、しっかりと対応することも必要です。考 え方としては、2002年に世界サミットで長期的な化学物質管理に関する国際 的合意がある。それを実現するために、国際的な化学物質管理のための戦略 的アプローチ、SAICMと申しますが、それから化学物質の登録、評価、認可及 び制限に関する規則、REACHと申しますが、こういった国際的な動向がありま す。こういったことを踏まえて、先ほど言っているような国だけではなくて 民間も役割分担を含め検討を行い、対応を進めていきたいと考えています。  (7)メンタルヘルス、過重労働対策です。メンタルヘルス対策については (ア)にありますが、まず事業場でどういったところから取り組むかといっ たときに、相談体制をしっかりと整備してもらいたい。そのためには、労働 者本人あるいは管理監督者、産業保健スタッフといった方がメンタルヘルス の不調についての気づきが必要であろう。それから、その後の各種の対応と いったことについて理解が必要であろうということで、教育研修を促進して、 それを踏まえて事業場内の相談体制の整備を図っていただきたい方向で進め ていきたいと考えています。当然、具体的にメンタル相談担当者の配置ある いは次に申し上げる事業場外資源への有効な活用につなげていきたいと考え ています。  事業場外資源は、メンタルヘルス相談の専門機関について一定の要件を満 たしたものについて登録・公表するということで、優良な機関の確保を図る。 その利用の促進をすることを考えています。そういった機関があれば、メン タル不調者等があればそれに迅速につなぐことの構築も必要だと考えます。  16頁の(ウ)です。そういった中で医療まで進んで、軽快して職場に復帰 することにおいては、現在手引きというものを出していますので、その充実 を図って対策を推進したい。そのときには、産業医と精神科医の連携が不可 欠だという認識を持っています。その辺のネットワークの強化についても進 めていきたいと考えています。  過重労働です。(ア)にありますように、基本的には長時間労働の抑制とい うことで、時間外・休日労働の削減や年次有給休暇の取得促進等、長時間労 働を容認しない社会的気運の醸成を図っていきたい。また、一旦過重労働に よる業務上疾病が発生したのであれば、その原因究明及び再発防止対策の徹 底を進めていきたいと思っています。そういった周辺部分というか、時間の 問題だけでなく、安衛法上は平成18年から義務づけている面接指導もありま すので、今度は平成20年からは猶予のあった50人未満も適用になるという ことで、すべての事業場においてそれが徹底されるように、まず50人以上で は産業医の選任義務があるということで、それを軸に徹底を図っていただく。 50人未満の場合には、地域産業保健センターといったところの面接指導の実 施体制を整備して、その活用促進を進めて受皿にしていきたいと考えていま す。  (8)産業保健活動、健康づくり及び快適職場づくり対策です。従来から言 われているような産業医の問題、産業保健推進センター、地域産業保健セン ターの有効活用、産業医の研修、保健師等の産業保健スタッフの積極的な活 用を掲げています。17頁の(イ)の3行目から「これらの取組に加え」とあ ります。先ほど定期健康診断のことを目標に掲げていますが、それに関係す る対策ということで重点対策で書いている内容と同じですが、健康診断の実 施及びその結果に基づく健康管理の徹底。それについては、高齢者医療確保 法に基づく医療保険者が行う措置との連携。労働者サイドから見ればそれを 受けて、あるいは自主的に健康管理の推進を図ることの必要性をここに書い ています。  健康づくり対策については、中小規模事業場でも取り組みやすいようにと いうことで、指針の見直しをしています。目標の設定と評価の明確化、計画 的な推進といった内容を盛り込んでいますので、その普及・定着を図ってま いりたい。これについても、高齢者医療確保法に基づく医療保険者が行う措 置との連携という側面も出てまいると理解しています。  快適職場づくりについては、まず対象として従来のハード面の対策に留ま らずに、職場の人間関係などのソフト面の観点からの快適化についても調査 研究を行い、指針の見直しについて検討を行っていきたいということです。  受動喫煙については、受動喫煙防止のための効果的な手法の普及に加え、 国内外の情勢を踏まえつつ、受動喫煙防止対策の充実が必要であれば、それ も進めていきたいと考えております。  資料No.2ですが、安全衛生管理対策についてです。アとしては、安全衛生教 育ということで、これも先ほどから申し上げているようなことを、安全衛生 教育の項の中で改めて書き上げている部分がほとんどです。本文の(ウ)、ポ ツの3つ目の項目については、安全管理者等の担当者の能力向上教育、ある いはその評価ができることについて進めようと考えております。  本文の18頁、中小規模事業場対策ですが、これについては、前回の骨子案 のときにも対策を明示的にしっかりと書き出すべきとのご意見をいただいた ので書いております。(ア)は、中小規模事業場は、他の大企業からの注文に よる生産を行っている場合が多くあります。そういったときに、注文者たる 大企業のほうから安全衛生状況についての配慮をいただくことが必要だろう と思いますので、それを進めていきたいということです。進める方法論とし て、行政としても好事例を収集して提供するといったことを進めていきたい と考えております。  (イ)については、この対策の中にも多々盛り込まれております。例えば、 中小規模事業場向けのリスクアセスメントのマニュアルの作成、健康づくり の指針についても、中小企業を意識して作ったなど、そういったことについ て中小規模事業場に対してしっかりと徹底を図っていきたいということです。 そのようなことも含めて、いろいろな中小規模事業場での取組に対して支援 をする場面も必要だと思いますので、そのようなことにも取り組んでいきた いと思っております。  その下のポツですが、「労災防止指導員」という労使による労災防止活動を 推進する制度がありますので、その辺りも中小規模事業場を対象にしっかり と運用していきたいと考えております。さらに、内部の人材の養成、情報の 提供といったことも、中小規模事業場を対象に考えていきたいと思っており ます。  19頁、ウの就業形態の多様化に対する対応ですが、これは内容的には先ほ ど製造業の所で触れた部分と重複します。そういったことの対策を進めてい きたいと考えております。  エの高年齢労働者対策の推進ですが、これについても前回の骨子案のとき にご意見をいただいたので、書き出しております。(ア)としては、高年齢労 働者の身体特性に配慮した安全衛生対策が、すべての労働者の労働災害防止 にも資することから、そういったことでのいろいろな工夫について促進して いきたいということです。これについても、行政としても事例を収集して公 表することも進めていきたいと思っております。  加えて、(イ)では各事業場や企業の工夫からもう一歩進めて、いろいろな 科学的なデータを集積することによって、高年齢労働者に配慮した安全衛生 対策がどのようにあるべきかを、情報提供に併せて検討して行政の中に反映 していきたいと考えております。  資料No.2の次の頁ですが、グローバル化への対応ということで、諸外国のい ろいろな知見や規制などについては的格に反映して対応する、あるいは当方 からアジア圏、諸外国に対していろいろな情報を提供し、マネジメントシス テム等当方の安全衛生対策についての国際協力も進めたいと考えております。  (10)として、効率的・効果的な施策の推進ということがありますが、研 究の促進、あるいはイとして地域においてそれぞれの労働災害多発業種が、 この災防計画に載っていない範囲でも多々あります。そういった所に関して は、地域に局署一線機関があるので、そちらでそのようなことを重点として 計画的、効率的・効果的に対策を推進するということをここに掲げておりま す。関係機関として労働災害防止団体と各関係機関との連携、災害防止団体 については活動を促進してもらうことについて書いております。  エとしては、先ほどPDCAの話もしましたが、これら対策の進捗状況、成果 目標の達成状況などの評価を行って、その結果を踏まえてそれ以降の対策の 推進に結びつけていきたいということです。 ○分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、委員の皆 さんからご意見、ご質問がありましたらお願いします。 ○山崎委員 この中で、墜落・転落の防止については重点目標や特定災害、 建設業対策に書かれているわけですが、特に最近、建設業においてかなり転 落・墜落事故が多い状況が見られます。現在、足場や手すりなどについては ガイドラインによってやられていることは承知しているのですが、海外のい ろいろな情報を見ると、日本のほうがだいぶ事故が多いのです。国際的な基 準が緩いのではないかという、建設業に携わっている中小企業がいっぱいあ るわけですが、そのような所からの声がかなり出てきているわけです。例え ば、手すりはいまいちばん上だけが2段になるとか、各階にするとか、足場 にも幅木を入れるとか、そういうことで事故を防ぐための細かい配慮をして いただきたいという声も出ているわけです。こと死亡に関することですから、 かなり費用はかかると思います。しかし、十分すぎることはないと思うので す。  もう1つは、9頁の下から5行目に「足場からの転落防止対策の充実」とあ りますが、検討を進めているということを、いまどのようなことを行ってい るかはわかりませんが、それを文言として入れるのはどうかということと、 今後の細かい対策はこれから計画されると思いますが、かなり事故が多いと いうことを改めて再認識していただいて、対策を若干なりとも強化して、事 故を防ぐような配慮を是非お願いしたいと思います。 ○安全課長 いま山崎委員からご意見がありましたが、これについては前回 もお話したと思いますが、現在足場からの墜落災害対策の充実について、別 途研究会を設けて検討しております。いまお話のあった国際的な動向も踏ま えつつ検討しており、その結果を踏まえて、必要な対策を取っていきたいと 考えております。 ○中村委員 メンタルヘルス対策についてお伺いします。現在、心の問題は 職場で非常に大きな問題になってきております。これは今後どんどん大きな 問題になっていくと思います。事業所によっては、非常に積極的にそれに対 する活動を行っており、予防から管理、職場復帰支援、職場の調整など、一 人ひとりに時間をかけて対応している所もありますし、まだ十分でない所も あります。やらなければいけないのだけれど、どこからスタートしていいか わからないという戸惑いの意見も、ときどきご相談を受けることがあります。  今回も、メンタルヘルスについては目標として取り上げていただいている のですが、その目標は、メンタルヘルスに取り組んでいる事業所の割合を半 分以上にするというものですが、これはどういった取組をしている所をもっ て取り組んでいると言うかで、だいぶ違ってくると思います。取り組んでい る事業所を上げることによって、どこに目標があるのか、うつ病の発生を減 らすことなのか、自殺する人を減らすことなのか、そういったところまで踏 み込んでやっていただいたほうがいいのではないかと思います。  細かい文言のことなのですが、15頁の「メンタルヘルス対策及び過重労働 による健康障害防止対策」で、職場におけるメンタルヘルスと自殺予防対策 が並列に書いてあるのです。メンタルの病気による自殺ということがありま すから、メンタルヘルス対策と並列に並ぶものではないように思います。そ の結果として自殺を減らすことになるのです。これだと別々のことが並列に 並んでいる形に見えるので、この辺りの書き方は工夫が必要だと思います。  もう一つ、メンタルヘルスとは関係ないのですが、13頁の「その他の職業 性疾病等の予防対策」と書いてある所に、「新型インフルエンザ等の新たな伝 染病」と書いてあるのですが、新型インフルエンザを職業性疾病と書かれる 理由をお伺いしたいと思います。新型インフルエンザ流行時における職場の 対応は重要なことですが、これを職業性疾病ととらえるのかなと疑問を持っ たので、そこを教えていただきたいと思います。 ○計画課長 いくつかご質問をいただきましたので、まずメンタルヘルスの 関係について私のほうからお答えします。メンタルヘルスに取り組んでいる 事業場の割合を半分以上にするという目標についてですが、目標として掲げ ているのは、冒頭にご説明したようにPDCAサイクルで評価分析をすることも 必要になってきます。そういった意味では、ある程度データをどう取るかと いうことからいくと一定の制約が出てくるので、その意味で言うメンタルヘ ルスとしての取組という意味では、いろいろな調査統計の中では相談やカウ ンセリングを実施しているとか、労働者に対する教育研修をしているとか、 情報提供をしているといったいくつかの項目について、メンタルヘルスに関 わる取組をしていただいている所を、評価チェックの中では反映したいと思 っております。  いま中村委員からご指摘があったように、実際上の取組となればそれぞれ 奥深いものもあるでしょうし、私どもとしても労働者の心の健康保持増進の ための指針ということで、いくつかより奥深い取組のお願いもしております。 そういったところについては、実際上の施策の分析をしていく中では、その ような視点も加味しながらやっていきたいと思っております。  15頁の(7)の冒頭の「職場におけるメンタルヘルス・自殺予防対策」の、 自殺予防の部分とメンタルヘルスの関わりについて書き方の工夫をとのご意 見については、ご指摘を踏まえながら表現の工夫をしたいと思います。 ○計画課調査官 最後の新型インフルエンザの点ですが、私ども原課から聞 いているものについての理解を含めてご説明します。新型インフルエンザに 関しては、海外出張などでの罹患、もちろん単に海外に旅行に行くこともあ りますから、必ずしも業務に関係するとは限りませんが、業務に関係した部 分もあるのではないかと思っております。いま委員もおっしゃったように、 それが職場に帰ってきて職場の中で伝播するとなれば、伝染病の伝播という ことで、労働安全衛生法の中でもそのようなことの対応は入っているので、 そういった意味で、すべてがすべて無条件で労働災害防止や労働安全衛生の 範囲ではないですが、職業に関係して罹患し、それに対する対応を取ること については計画の範囲の中ではないかと思っております。 ○松井委員 いまの新型インフルエンザの件は、本文の13頁の文章でいけば、 「その他の職業疾病等」の「等」に入ると読むと理解をすればいいのでしょ うか。中村委員の指摘は、これは職業性疾病とは言わないのではないかと、 そこをきちんと明らかにしてほしいという趣旨だと思うのです。 ○労働衛生課長 松井委員がご指摘のとおり、職業性疾病等という広い意味 でここに書いてあるということで、ご理解をいただきたいと思います。  15頁ですが、メンタルヘルスと自殺予防対策がパラレルなのかどうかとい うのは、いろいろご議論があると思いますが、我が方としては自殺対策基本 法に基づく大綱の中に、自殺予防対策としてのメンタルヘルスが位置づけら れているので、このような書き方をしております。先ほど計画課長からあり ましたとおり、もう少し整理をしたいと思います。 ○高橋(信)委員 6頁に計画の目標ということで数値が挙げてありますが、 これまでの10次の防止計画の中でも死傷者数は実現できなかったのを、さら に提言として謳ってありますが、このようなものについて、必ず年度計画等 に展開してやっていこうという位置づけになっているのかどうか。特に、定 期健康診断における有所見者率の増加の歯止め、そのあとに減少に転じさせ るということがあるのですが、その目標の中で、実際にはこの6の様式で届 けられた健康診断の結果の評価でおっしゃっていることだと思うのです。こ れが何項目かあって有所見とカウントされる人と、1つでもカウントされる人 といると思いますが、そういったものの評価をどのように減少に転じさせる ことにつなげるのかをお聞きしたいと思います。場合によっては、歯止めを かけるということだけにしておいて、減少したかどうかは数値の総合の見極 めも必要だと思いますので、できればきちんとクライテリアを押さえて、目 標の位置づけをしっかりしていただきたいと思います。  健康確保ということで、本文の17頁で健康づくり対策とか快適職場づくり というものが出てきますが、私は大いに賛成です。しかも、高齢者のことも 別途出てきて、これから高齢化する中でこのような取組は大事だと思います。 特に我々経団連から要請した高齢者対策を盛り込んでいただいて、感謝申し 上げます。その中で、労働者の自主的な取組というのが、ワードとしては何 箇所か出てくるのですが、この部分をもう少し強調して、就業時間外の個人 的な取組を啓発するなり動機付けを推進する必要性を謳っていただければあ りがたいと思います。 ○計画課長 1点目について、私からお答えします。計画の目標についてご指 摘をいただいております。計画の目標は、重点目標のみならず全体目標とい うことで、6頁にア、イ、ウの形でまとめております。10次防との関係もご 指摘がありましたが、目標の設定については、例えば死亡者数については先 ほども本文の説明の中で読み上げたとおり、10次防で1,500名を大きく下回 ることを達成している状況の比率であったり、死傷者の数については10次防 の目標は20%と掲げていて、それには至りませんでしたが、10%程度になっ ているので、そういった10次防での取組の状況も考慮に入れながらの設定を しております。  有所見率のウの部分については、いまもご指摘いただいたとおり、10次防 ではなかった部分ですが、血糖や血圧等いくつか項目があるのもご指摘のと おりですが、昨今の状況を見ると、例えば平成11年は42.9%の有所見率であ ったものが、平成14年には46.7%、平成16年には47.6%、直近では平成18 年が49.1%と、高齢化の影響もあり、有所見率が高まってきているのも事実 ですが、若干増加傾向も収まってきている状況があります。そのような中で、 さらに高齢化の中で国、事業者、労働者全体で取り組む目標としては、増加 傾向にもう少し歯止めをかけ、増加のカーブを寝かせ、だいぶ寝てきている ところを、一定のレベルの設定は難しいですが、ベクトルを逆さまに矢印を 向けることは、皆で取り組む姿勢の目標としては必要なのではないかとの考 えから、事務局としては提示をしております。1人の労働者でいくつかの有所 見があるというのはご指摘のとおりですが、ある程度評価、分析をしていく 中での目標設定には制限もあるので、このような形での目標設定にした上で、 今後このようなPDCAのチェックをするにあたっては、高齢化の問題等も含め ていろいろな観点での見方をしながら、その施策の取組状況の分析に気をつ けていきたいと思っております。 ○計画課調査官 3点目の労働者の健康管理についてですが、委員のおっしゃ るとおりもっともだと思っておりますし、そのようなこともあって、目標あ るいはご指摘のあった17頁にも、労働者のことを書いております。詳細をつ まびらかに確認しているわけではないのですが、従来の労働災害防止計画の 中で、総括的な部分での労働者の協力・対応についての言及はあったと思い ますが、こういった個別のところに言及しているということは、労働者の健 康という個人個人の、それも24時間の中でのことということをもって書いた つもりです。そのようなことで、さらにこの表現について、例えばもう少し 具体化ができるかなどについても原課とも少し相談してみたいと思いますが、 いま言ったような状況で書いているということはご理解いただきたいと思い ます。  当然、具体的に労働者にいろいろ働きかけることに対しては、例えば産業 保健スタッフ等を通じて働きかけるとか、直に働きかける場面としては労働 衛生週間などの場で働きかけるとか、我々も従来から取り組んでいる取組を 活かしながらやる場面があると思っております。そのような場面では、でき るだけ労働者にしっかりそれを受け止めていただける形で、指導を進めてい きたいと考えています。 ○松井委員 有所見率が増加してきた中身そのものを教えていただきたいの ですが、例えば石綿が近年問題になってきています。従来、化学物質をはじ め、いわゆる職業性疾病による有所見率、先ほど全体の有所見率の数値を教 えていただきましたが、そこの傾向がどうなっているのかを教えていただけ ればと思います。それによって、高橋委員がおっしゃったものについては、 本当に労働者個人が進めていかなくてはいけない部分がより多いのかどうか、 それは本当にこういう計画を立てるときに、安全衛生法は基本的には事業者 側が取り組むことになっておりますが、労働者の協力なしにできないものに ついて、反対に労働者側がこういう計画を立てたときに、それを達成するた めの積極的な取組をどこまで求めるのかにも関係してくるので、全体の有所 見率だけでなく、そこにおける職業性疾病による有所見率も上がっているの かそうでないのか、事実を教えていただきたいと思います。 ○計画課調査官 これも原課のほうで何かあるかもしれませんが、職業性疾 病によって定期健康診断の有所見率がどのような状況になっているかの数値 は、私が承知している範囲ではないのではないかと思っております。ただ、 定期健康診断が労働安全衛生法の中でいろいろな健診項目を義務づけている ことについては、さまざまな形で、直接ばかりではなく間接的に、職業生活 を送っていることによって増悪するといったことを含めて、健康管理をする 必要があるということで義務づけがされていると理解しております。その観 点から、今回このような目標も加えていると考えております。 ○労働衛生課長 作業関連疾患となる脳・心臓疾患ですが、過重労働プラス 高脂血症等の基礎疾患が合わさって発症する作業関連疾患については、労災 認定件数が増えているのはご存じのとおりです。数値は持ち合わせておりま せんが、増えている状況です。その要因となりうる高脂血症、いまは脂質異 常症といいますが、そのようなものや心電図検査など、有所見率は増えてい る状況です。そういったものを歯止めをかけて減少に転ずることは、作業関 連疾患の観点からも重要だと考えております。  また、別の面から見ると、平成17年に医療制度改革大綱を政府与党で策定 しているわけですが、この中で、平成27年度には、平成20年に比べて生活 習慣病有病者と予備軍を25%減らすといったものも示されております。我が 方に直接関連するわけではありませんが、政府全体でそのようなものを策定 していることを念頭に置きながら減ずるということを書いております。その ような背景があることをご理解いただければと思います。 ○三浦委員 本文の3頁の(2)の建設業の中で、下のほうに「このほか、一部 にコスト割れが懸念される」という文章が記載されています。これは、低入 札の問題を指していると思うのですが、現在建設各社とも法令遵守の徹底を 図っており、また国土交通省も総合評価の見直しの形で、行政も防止に向け た対策を進めています。現在は取組によって収束の方向に向かっていると 我々は考えていると。  2番目に、この中で、安全衛生経費の確保と入札問題は直接的なつながりが あってはならないという基本的な立場に、我々は立っています。このような 状況において、建設業の低入札問題だけが特別に記載されるのは、必ずしも 適切ではないと思います。これを5年計画に記載するのであれば、ましてい ま収束に向けている中で記載する文章としては不適切ではないかと思います。  9頁のイに「墜落・転落災害防止対策」という文章がありますが、足場など からの墜落と荷役等の車両等からの墜落とをここで同列に記載するのは、適 切ではないのではないかと思うのです。また、(ア)と(イ)の「など足場を 組んで仕事をする業種」は、建設業にほぼ限定されるのではないかと思いま す。業種を横断的に本項に記載するのは、適切ではないのではないかと思い ます。この内容については、いままでどおり11頁の建設業対策の(エ)の墜 落・転落災害防止対策等の強化等に記載する内容ではないかと思っておりま す。  (ウ)の対象は、建設業以外と判断されますが、建設業以外の業種の建物 からの墜落・転落災害は実際どの程度発生しているのか、また具体的な災害 事例にはどのようなケースがあるのかが明確にされていないので、示してい ただければと思っております。仮に記載されている他業種の墜落・転落災害 の事例が、主に荷役などのトラックや車両からの墜落等が大部分なのであれ ば、それは足場からの墜落防止と同じく、業種別の陸上貨物運送事業で取り 組むのが適切ではないかと思われます。  11頁の(エ)の墜落・転落災害防止対策の強化等の中で、「また、建築物の 梁からの墜落」とありますが、この記載事項は木造家屋低層住宅建築物の梁 からの墜落と記載するのか、または総称して建築物の開口部等からの墜落と 記載するのが適切ではないかと思います。建設各社の足場と同様に、梁だけ でなく墜落防止対策を講じており、建築物の梁だけをここで強調するのは不 適切ではないかと思われます。 ○計画課調査官 1点目のコスト割れの点ですが、当方としては、いまそうい ったことがある中で対応しておりますが、我々が承知しているところでは、 国交省で最近でもかなり強い問題意識の下に検討を開始したと聞いておりま す。収束、あるいは収束に向けて努力されていることはあるのかもしれませ んが、収束しつつある、あるいは今後5年間大丈夫だという状況ではありま せん。  安全経費と入札の経費が一体になってはいけないとのご指摘ですが、これ も理念というか、安全衛生の取組としてそうあるべきことを求めてきている 基本的な姿勢があると思っておりますが、現実にはいろいろな形で重層下請 関係の中で、下請のほうへいけばそういった実態もなきにしもあらずという ことではないかと思っております。ただ、それが全面的に十把一絡げすべて このような状況にあるという表現については、少し表現ぶりを考えなければ いけないと思う点もありますが、基本的にそのような認識が安全衛生に影響 するという点については、我々はそのような理解であるということをご理解 いただきたいと思っております。  足場からの墜落ですが、9頁で特定災害として掲げている点については、 我々は墜落・転落災害イコール建設業という受止めがずっとあるのかなと思 っている中で、他の業種においても死亡災害の要因について見ると、1〜3番 目ぐらいに墜落・転落災害が出てきます。そのような中で、製造業や陸上貨 物運送事業にもそういった災害が多いということで、横断的に墜落・転落災 害対策を重点にも掲げ、取り組んでいきたいと思っております。そこにおい て、確かに足場等については建設業がほとんどだろうということはあるかも しれませんが、製造業でもローリングタワーやそれに類似する形で、一時的 に使うといったこともあります。そういった中では、対策について他業種の ノウハウも我々が仲に立って互いのほうへ流せるのであれば、流しながら墜 落・転落災害を建設業に限らず減らしていきたいという観点から、この項目 を設けているということでご理解いただきたいと考えております。  災害の件数については、原課のほうでわかればお願いします。 ○安全課長 平成18年の死亡災害を見ると、全産業で353名の方が墜落・転 落で亡くなっています。そのうち、建設業で190名、続いて多いのが製造業 で46名、陸上貨物運送事業で17名という状況になっております。その他の 業種が88名です。  建設業での死亡災害の種類ですが、どのような所から墜落したかに関して は、平成18年の死亡災害は全体で190名ですが、いちばん多いのが窓、階段、 開口部、床からの墜落で30名、次に多いのが屋根、屋上からで28名、続い て足場からの26名という状況になっています。 ○三浦委員 ご理解いただきたいということですが、我々建設業として、2002 年から投資金額が大体50兆円台ぐらいで推移しています。数字的には減って いないわけです。前段の文章の中で、「建設業における労働災害は減少傾向を 維持し、特に死亡災害においてはその減少が顕著である」とここで謳われて いて、それと相反するものを感じるのです。ゆえに、我々はこの下の文章に ついては納得がいかないのです。 ○計画課調査官 文章が顕著な減少だけで終わっているので、そこの表現は ちゃんとフォローしなければいけないかもしれませんが、引き続き死亡災害 にとって最多の業種であるということ、努力あるいはそれに伴う成果はそれ はそれとして認めますが、引き続き多いということにおいて、我々として建 設業対策も進めていただきたい。その中の墜落災害、墜落災害については、 先ほど申し上げたように他業種にもあるので、建設業のノウハウがそのまま 使えるかどうかは検討の中での話かもしれませんが、そういったものを他の 業種、例えば製造業も50人近くあるということの中に、我々行政が仲に立つ ことも含めて伝えられたら、災害全体の減少に資するのではないかと考えて おります。そういった観点から、文章上表現について考えるところがあれば、 検討する余地はあると思います。 ○佐藤氏(伊藤委員代理) 1つ話題が前に戻りますが、6頁の目標の定期健 康診断の有所見率の関係で、1点だけ申し上げます。有所見率を下げること自 体の重要性や意義は別にして、果たして労働災害防止計画の目標としてこの ことを位置づけるのが、正しいのかどうかという点で疑問に思ったので発言 します。有所見率というのは、労働者の働いている時間とそれ以外の時間と、 トータルの生活の結果として出てくるものだと思いますが、関連して、今回 は労働災害防止計画としてということですが、厚生労働省全体、あるいは政 府全体で健康診断の有所見率について、国民生活全体、労働行政に限定しな い部分で方針があるのか。あれば、それについて教えていただきたいと思い ます。 ○労働衛生課長 ご指摘の趣旨は、労働災害防止計画に有所見率のことを載 せるのは、必ずしも適切ではないということだと思いますが、先ほど松井委 員からのご質問にもお答えしたとおり、作業関連疾患に関係する項目が定期 健康診断に数多く入っていて、それを防ぐことは労働災害防止、労災認定件 数の減少にもつながると思いますので、ここに書くのは間違いではないと、 妥当性があると考えております。  先ほども申し上げたように、政府全体としては平成17年に医療制度改革大 綱を策定し、その中に、平成27年度には平成20年度に比べて生活習慣病有 病者と予備群を25%減らすという目標があります。繰返しになりますが、直 接我が方に影響する話ではないのですが、それを念頭に置いて減少に転ずる ということを書いております。 ○豊田委員 2点ほどコメントします。8頁の真ん中辺りのイの労働安全衛生 マネジメントシステムの活用等ですが、「自主的な導入を促進し、労働災害の 防止を図る」という点はいいと思いますが、次に「公共事業主等の入札制度 に絡めてこれを促進する」という記載があります。入札というのは、本来入 札案件に関する見積金額や作業内容で評価されるものであって、マネジメン トシステム自体は入札の案件とは直接関わる内容ではないのではないかと思 うのです。これに絡めて促進するのは無理があるのではないかと思います。  もう1点は、14頁の化学物質対策の(ア)の危険性又は有害性等の調査等 の普及促進についてです。2行目の「このための基盤として」というところで、 「欧州において危険性又は有害性があるとされているすべての物質について これを推進していく」という記載がありますが、なぜ欧州なのか、若干唐突 ではないかという気がします。「欧州において危険性又は有害性があるとされ ているすべての物質」というのを、もう少し汎用性のある表現にしたほうが いいのではないかと思います。例えば、危険性又は有害性が高いとされてい る物質についてとか、汎用性のある表現にしたほうがいいと思います。 ○計画課調査官 前段のほうですが、いま公共工事の入札については、私の 理解としては総合評価入札方式、例えば環境への取組等を含めてそれらも点 数化して、それを含めて評価し業者を決定する方式を行政的にも推奨してお りますし、それに取り組んでいる所も多くなりつつあると思っております。 そのような中で、労働安全衛生の取組も、いろいろな判断基準があると思い ますが、マネジメントシステムの採用を判断基準にしていただくように発注 者側に働きかけることも、十分状況の流れに即していると思っております。  後段のほうですが、欧州の取組について私の理解も正しくないので、原課 のほうで補足があればお願いしたいのですが、それなりに進んでいるという か、最も労働者の安全や健康の側に立って進めていると。MSDSについては、 自主管理を含めた情報として使ってもらうということなので、そこを幅広く 取り組むということは、我々が労働災害防止を進める上では必要ではないか と考えております。 ○化学物質対策課長 若干補足します。私どもの理解としては、海外につい てはそれぞれの状況があると思いますが、欧州ではかなり進んでいると認識 しております。危険・有害性が指摘されている物質が大体3,000物質程度あ る中で、MSDSについては私どもで分類ができていないものが約半数ぐらいあ り、その辺りを踏まえてこのような表現にしております。ただ、ご指摘のよ うに、記述としてなぜ欧州だけがここに出てきているのかというところはあ ると思いますので、表現ぶりはご指摘を踏まえて検討したいと思います。 ○豊田委員 いまのことに関連して、すべての物質と言うと、欧州では10万 物質ぐらいという定義もあるので、そういう意味でも、もう少しここを正確 に記載されたほうがいいのではないかと思います。EU指令で分類が進んでい るのは、特にシーエムでは8,000物質ぐらいと言われていますし、すべてと 言うとある人は10万物質ぐらいと捉えるかもしれないので、そこはもう少し 丁寧に記載したほうがいいのではないかと思います。 ○中原委員 私の質問というよりは、いままでの議論をお聞きしていると、 私が問題にしようと思ったところは単なる誤植かなと思うのですが、17頁の 上から3行目の「地域保健・高齢者医療確保法に基づく」と書いてあります が、この地域保健とはどういう意味かを聞こうと思ったのですが、これは完 全に誤植ですね。 ○計画課調査官 そのとおりです。これを含む形で、高齢者医療確保法の取 組という意味です。 ○中原委員 地域保健法という法律もあるのですが、地域保健法には医療保 険者の措置の記述はないので。高齢者医療確保法に基づく医療保険者の措置 というのは、簡単に言うと特定健診、特定保健指導、そのあと定期健診の有 所見者率を横這いかあるいは下げていこうという方針を出されているので、 少し気を回しすぎたのですが、地域保健と職域保健の連携が、厚生労働省の 健康局から市町村や都道府県の健康づくり対策は非常に強い指針として出さ れていて、健康づくり推進協議会が各都道府県や大きな市にはありますが、 そのような所では地域保健と職域保健の連携に関する部会が作られて、一生 懸命やれという指令が来るのです。どうすればいいか、なかなか難しいとこ ろがあります。もう少し有り体に言うと、先進的にやっている大企業のほう が、地域でやるものよりはよほど進んでいるし、一方では中小企業等は昔か らできない。だから地域保健と連携を取って一緒にやったらどうかという趣 旨と両極端があって難しいのですが、地域保健と職域保健の連携というレベ ルのことは、一方では労働災害防止計画なので、あまり取り上げる筋ではな いという考え方もあるし、かといってその下に健康づくり対策があるので、 そこに同じ厚生労働省から、一方のヘルスプロモーション担当の所からはい ろいろ検討しなさいと言われるという状況の中では、何か一言言及されたら いいかなと考えております。  この「地域保健・」は地域保健及び高齢者医療確保法に基づく措置と読む のかと思ったのですが、そうではないということなので、いまの問題点は少 し考えていただければと思います。 ○労働衛生課長 ご指摘のとおり、私の理解では「及び」ということです。 この趣旨は、地域保健については、ご指摘があったように地域・職域連携推 進協議会の件及び来年度からの健康増進法で、市町村が歯科健診やがん健診 などいろいろ取組むようなので、そういったものとの連携ということで書い ております。その辺りをわかりやすいように、ご指摘を踏まえて対応したい と思います。 ○中原委員 計画課はそこまで十分理解をしていないようなお答えだったの で、是非よろしくお願いします。 ○中村委員 お願いなのですが、5頁の健康づくり及び快適職場づくりのとこ ろに、たばこ規制に関するWHOの条約の動向を踏まえ、受動喫煙の防止対策 を一層充実していきたいと書いてありますが、その中には受動喫煙というの はいくつか出てきますが、喫煙率を下げるということは一言も出てきていな いのです。吸うのは個人の自由という考えもあるのですが、労働者の健康を 管理する上でたばこを止めていただくことは、ものすごく大事になってくる と思います。こういった機会に入れていただくことがとても大事になってき ますし、私は産業医の立場として、是非これは何かの形で一言入れていただ きたいと思います。受動喫煙だけが表に出てくると、一方だけの話になって しまっているのではないかと思います。  最後のほうに「受動喫煙防止のための効果的な手法の普及等により」と書 いてありますが、いちばん効果的にというのは、やはり吸う人を減らしてい くことになってくるので、いくら排気装置を着けても十分ではないので、そ ちらを強調していただきたい。これは両方にとって役に立つことだと思いま すので、是非お願いしたいと思います。 ○労働衛生課長 非常に重要なご指摘をいただいたのですが、喫煙率を我が 方で出すより、これは全体として健康局で対応するほうが適切ではないかと 思います。我が方としては、受動喫煙の対策はいままでもガイドラインに基 づいてやっているので、それをさらに徹底したいと考えております。実際、 受動喫煙対策、分煙などについてはかなり対策が進んでおります。そういっ たものをさらに進めたいということで、このような書き方をしておりますの で、ご理解いただきたいと思います。 ○松井委員 豊田委員がご指摘になった8頁の労働安全マネジメントシステ ムについてですが、もう少し書き方も工夫が必要なのではないかと思います。 自主的に取り組むということであれば、イの中に書いてある最後のパラグラ フの「厚生労働省が定めたマネジメントシステム指針に沿った業界別団体等 による自主的なマニュアルの作成を促進する」というのは入札より前に来て、 前回の安衛法の改正で設けられた「計画届の免除認定制度の一層の周知等を 図る」とありますが、これは周知でいいのか、そもそもこういう仕組みがイ ンセンティブになり得るのかどうか、そのようなことも含めて検討するのが 次にあって、最後に、この計画を立てても、厚生労働省が国も含めて入札に 入れるようにと働きかけることを現実にやるのか、そこもどれだけ力をもっ て取り組めるかもわからないし、順番が相当違う感じもするので、書き方に ついても本当の意味でのプライオリティは何なのかを踏まえて書き直してい ただければと思います。  先ほど三浦委員がおっしゃった書きぶりについても、まだ納得がいかない ということもありましたので、是非次回の分科会までに各委員の意見を聞い て、対応をお願いできればと思います。  もう一つ、労働者自身の健康の問題についていろいろ意見が出ていました が、今回は使用者側ばかり発言をして、労働者側にはお詫びしなくてはいけ ないのですが、労働者側からの積極的な取組もあって、このようなことが達 成していかれるのだという共通認識を持ってもらえれば幸いです。 ○中桐委員 これまでの議論をお聞きして、たくさんある議論の中でまとめ ていくのは大変な作業だったと思います。10次防の5年間は、自主的な法遵 守の対応型から労使の自主的な取組で、大変な転換をする5年間だったと思 います。それがやっと法改正を含めてできたわけで、11次防は定着、普及を していくところだと思います。ここに掲げているいろいろな課題は、個々に いろいろな問題があろうと思いますが、それぞれが必要な課題で、それをど うやって取り組んでいくかが仕組みとしてあると思います。  そういった意味で、私どもがいちばん心配しているのは、これを実施する ときに、大手企業の場合にはさほどの問題はないかもわかりませんが、50人 未満の中小企業の場合は推進する人材がいない、それを助けてもらうスタッ フがいないのです。そういった意味で、産業医や看護師や保健師、安全衛生 コンサルタントの方々の支援がなければ、今後マネジメントシステムもほか の課題も、中小事業場ではなかなか進まない状況があろうかと思います。今 日の提案はだいぶ理解できておりますが、それがキーだと思うので、もう少 し強化する必要があるのかなと思っております。  そういった意味で、これからの5年間は定着をさせるところをどうするの かだと思いますので、是非それを次回の議論で進めていただければと思いま す。個々の課題については、今後の議論の中でもできると思いますので、ま ず11次防の大きな仕組みは何かというところでの合意を次回までにと思って おります。私どもも、このあと全国の労災防止指導員を集めての会議や担当 者の会議を開きながら現場の意見を聞きますが、これまで随分議論をしてき て、そういった要望も厚生労働省の側にも他の審議会等も通じて出しており ます。そういったものもだいぶ取り入れられておりますし、ほぼ妥当な計画 ではないかと思っておりますので、次回までにはもう少しそういった付記要 求もあるかもしれませんが、基本的にはこの計画を支持したいと考えており ます。 ○分科会長 ありがとうございました。今日はお忙しい方には時間を割いて ご出席いただいておりますので、本来はいろいろなことがあったらここで意 見を出していただくのが筋なのですが、ここでご発言いただかなかった分で も計画課のほうにお知らせいただければ、配慮して次回までに案を出すこと にします。もしかしたらご不満があるかもしれませんが、この会はここで閉 会にしたいと思います。  それでは、本日の会議は以上をもって終了しますが、議事録への署名は鈴 木委員と山崎委員にお願いします。よろしくお願いします。皆さん、お忙し いところありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部計画課(内線5476)