08/01/24 交通労働災害防止専門家検討会(第4回)の議事録 第4回交通労働災害防止専門家検討会 日時 平成20年1月24日(木)    13:30〜 場所 中央合同庁舎5号館16階    労働基準局第1・第2会議室 照会先:厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課 物流・サービス産業・マネジメント班 電話 03-5253-1111(内線5487) ○高橋副主任中央産業安全専門官 お集まりいただきましてありがとうございます。開催に先立 ちまして配付資料の確認をさせていただきます。資料No.1はこの委員会の開催要項、従来と同じ ものです。資料No.2は、第3回検討委員会の議事概要です。資料3、これが本日メインで使うもの ですが、新たな労働災害防止対策のために必要な事項について記載したものです。お揃いでしょ うか。  ただいまから、第4回交通労働災害防止専門家検討会を開催いたします。なお、本日は自動車 事故対策機構の平川委員がご都合により出席できませんので、代理として、同機構安全指導部の 飯塚アシスタントマネージャーにご出席いただいております。以降の進行は根本座長にお願いい たします。 ○根本座長 それでは議事に入りたいと思います。今日の議題は「新たな交通労働災害防止対策 の検討について」です。資料3として、前回までの議論を踏まえた資料を用意しております。前 半部分と後半部分に分けてご説明いただいて、それからディスカッションをするわけですが、皆 様のご協力を得て効率的に進めていきたいと思います。それでは事務局の方、ご説明をお願いい たします。 ○安井技術審査官 資料3につきまして説明させていただきます。資料3の構成ですが、それぞれ の項目に「前回までの議論」という形で入っており、それを踏まえて修正された部分には下線を 引いておりますので、今回は基本的に下線の部分で説明させていただきます。それから、右のほ うに「ヒアリング結果等」というところがございます。残念ながらたくさんの業種はできません でしたが、いくつかヒアリングをして、その結果をまとめたものを入れておりますので、それに ついても説明させていただきます。  まず1頁は「対策の目的」です。前回まで、こういった目的の部分は入れてなかったわけです が、運転者の責任についてはどうするのかというご議論の中で、総枠といいましょうか、もっと 全体的な記載があるべきだということもございましたので、目的という形で起こしたものです。 目的につきましては、従来の労働安全衛生法令や改善基準とあいまって交通労働災害防止のため のいろいろな対策を推進していくことを目的にした対策である、という目的規定を置いておりま す。  労働安全衛生法令においては、基本的に、事業者責任でありますので、それを第1にして、労 働者に自動車等の運転を行わせる事業者に対して、この対策を指針として交通労働災害防止に努 めるものとしております。  一方、運転者につきましても、実態としては事業者の管理の届かないところで運転をするとい う側面もございますので、自動車の運転を行う労働者は、交通労働災害を防止するために、事業 者の指示等必要な事項を守るほか、事業者が実施する労働災害防止に関する措置に協力すること と述べております。  ヒアリングでは、全般事項に対するコメントが1つございます。これは貨物運送業からです が、従来、国交省の貨物輸送安全規則等の法令も含めて、かなり詳しい規制があり、それとどこ が違うのかということを分かりやすくしていただかないと、現場では使いにくいということがご ざいました。これはすべての業種に適用するものではないので、本文に入れるというのは馴染ま ないと思うのですが、リーフレット等を作成する際に業種別リーフレットを作り、貨物トラック 業界向けのリーフレットにはそういったことも配慮したいと考えております。  2頁は、走行管理(走行計画関係)です。前回のご議論で、第1点に「戸別配送」、「ルート配 送」という言葉については注釈や説明が要るのではないかというご指摘をいただきました。そこ で3頁の「基本事項」の2つ目の○「走行計画の作成及び走行計画に基づく走行の指示」の(5)で、 走行の経路並びに主な経過地における出発及び到着日時の目安という項目について、従来から戸 別配送については行う必要はないと言っていたわけですが、そこの定義といいますか表現ぶりと して、戸別配送先に対する貨物運送など、配送先が多数であり、かつ毎回異なるため、走行経路 を特定することが困難な貨物運送を「戸別配送」と定義して、こういったものについては作成す る必要がないという定義条文を入れてございます。  次のご議論は「走行計画の変更」の部分で、事務所側が対応するという前提で書いてある部分 につきまして、24時間対応は可能かどうかというご議論があったわけです。これについては、緊 急連絡体制というのは必ずあり、運転者が事務所に指示をあおぐことを明記するのはいいという ことでしたので、この部分の記載は変更してございません。  同じく「走行計画の変更」の部分で、運転者への連絡に電子メールを使うことも考えられます が、そういったときには、当然停車中でなければならないということを明記すべきだという趣旨 のご意見がございました。これについては4頁のいちばん上の○、「走行計画の変更」の下線部 分で、電子メールを運転手に送付するという方法もあるわけですが、その場合は自動車の停車時 に読ませるということを明確に書いてあります。  運行状況の把握につきましては、タコグラフが8トン以上のトラックにしか付いていない。ま たドライブレコーダーについては、基本的に運行管理には使いにくいといったご意見もございま したので、それを踏まえて4頁「乗務状況の把握」で次のようにしております。まず「実態」と いう言葉は「状況」に直しました。「実態」と申しますとちょっと広すぎる。運行の実態と申し ますと、非常に細かいことも実態になりますので、そういったことでないということを分かりや すくするために「状況」という言葉に変えてございます。タコグラフ等を使うことは望ましいと いうのは、第2パラグラフは、もともと「望ましい」になっておりましたが、第3パラグラフは別 の表現を使っておりましたので、これについても「望ましい」という形で、必ずしもデジタコで なくてもいいということを明確にいたしました。  それから走行内容の記載に荷役作業の有無も記載すべきというご意見がございました。これに つきましては3頁の(4)として「荷役作業の有無と所要時間」を追加いたしました。  留意事項の中で、カーナビを利用した走行計画作成支援システムというのがありますが、「カ ーナビ」というのは車に乗っているイメージがあり、事務所で使うことが分かるようにしてほし いということがございましたので、3頁の「詳細事項」の走行計画の作成の2つ目の△でカーナビ という形ではなくて「地図情報を用いた走行計画作成支援システム」という形で、車に車載する ものではないということを明確にいたしました。  調査結果について、ポイントだけでも本文に盛り込むべきではないかというご意見が座長から ありました。これについては内部で検討しましたが、ガイドラインというのはシンプルに何をす べきだということを基本的に書き並べることが従来ほとんどですので、調査結果等のバックデー タについては、通達やリーフレットで紹介するという形で整理しておりまして、「基本事項」の 中には入れないという整理をしてございます。  これ以外に改定した部分について説明いたします。まず、走行計画の内容の(3)に、交通安全情 報マップに関する記載を入れております。これは、交通安全マップの活用を図るべきだというご 議論があり、国土交通省の運行指示書の中にも入っているということも踏まえて追加いたしまし た。  それから(2)で、従来は休憩時間だけを書いていたわけですが、改善基準の遵守を図るという観 点から、基準となる拘束時間や運転時間が計画に書いていなければ難しいということで、これを 入れました。  ヒアリングの結果ですが、商業分野の配達をされる方の業界にお話を伺ったところ、配達です ので配達先の順番を記載した書面(順路帳)は当然あるが、時間については、いついつまでに配 りなさいということは書いてない。口頭であるということでした。安全走行計画よりも一層きち んとしたものを作っているところもあるが、あまり多くはないということでした。  次に保健衛生業、介護等で訪問をするという業界に話を伺いました。訪問先は明確になってい ないと訪問できませんので、シフト表はあり、それに則ってやるが、いわゆる労務管理という側 面ではないということでしたので、走行計画が第3次産業で定着しているという状態ではないと いうことが分かりました。走行計画については以上です。  次は6頁「走行管理(勤務条件関係)」です。これについてはあまり議論がありませんでし た。高速道路の使用を効率的な走行の例示として挙げていたわけですが、高速道路の走行につき ましては金銭面でお金がかかりますので、金銭面における効率性とまでは言えないのではないか という指摘がございました。これにつきましては「基本事項」に書いてございますが、「適切に 高速道路を使用する」ということで、金銭的に見て効率的といえる場合、適切な場合に高速道路 を使ってくださいという形の表現ぶりを改めました。これについては、確かに金銭面では効率性 がよいとは必ずしも言えませんが、運行時間とか安全といった観点から、高速道路の使用は望ま しいというご意見もありましたので、高速道路を例示に使うということについては、そのままに してあります。  ヒアリング結果ですが、保健衛生の関係ですと直行直帰ということもあり、もともと労働時間 は完全に把握し切れているわけではありません。ただし、そんなに長い間車を走らせる、改善基 準の問題になるほど長時間走ることはない。走れば走るほどコストが上がるので、基本的には近 い所でやるようにしているということですので、改善基準に影響があるようなことは、商業や保 健衛生業の配達レベルではあまりないということです。  次は8頁の「走行前点呼」です。前回のご議論では、「走行前の点呼において体調の不良など 安全な運転に支障があると認められる社員に対して運転を禁止し」という表現について、こうい う強い表現でいいのか、実務上問題ないのかという議論があったわけですが、現状のガイドライ ンにおいても、こういった記載がございます。また、貨物自動車運行関係の規則でも同様に「さ せてはならない」という記載がありますので、表現ぶりは変えてありません。  著しく睡眠不足であることを判断する基準を数字で定めることは難しい。ここでは、外国では 就床時間2時間という基準があるということでしたが、なかなか書きにくいということで、「基 本事項」の中に明確な数字は入れておりません。ただ、「詳細事項」の中で、「就床3時間程度 を数日間連続した場合にラプスが著しく増加することを認める複数の調査結果がある」というこ とを記載しています。  「おそれの有無」についてもご議論がありまして、「おそれの有無」の報告を受けるけれど も、本人がおそれがないと言えばそれまでではないかというご議論があったわけですが、特に疲 労等主観的な状況については、労働者の自己判断によらざるを得ないところもあります。また疾 病の状況についても、医師でなければ、この人がどの程度の疾病で、運転を禁止すべきかどうか という判断を、客観的に下すことはかなり難しいということもありますので、ここはおそれがあ るかどうかという観点で聴き取りをしていただくような表現にしております。  運転を禁止するかどうかは総合的な判断であるという指摘がございました。例えば、睡眠不足 という1つの項目だけではなくて、体調不良と睡眠不足が重なって、運転を禁止すべきような状 態になることも当然あるということですので、それを踏まえて、表現ぶりを若干直しておりま す。「事業者は、走行前の点呼等において、体調の不調、著しい睡眠不足の累積等安全な運転に 支障がある状態と認められる者」ということで柔軟な解釈が可能になるような表現ぶりに直しま した。  点呼の記録の内容について、単に点呼を行ったかどうかではなくて、聞いた内容も残すべきだ という指摘がありましたので、点呼の記録内容を「詳細事項」の中に入れました。これについて は、国土交通省が通達で定めている点呼の記録内容と基本的に同じ内容に揃えています。  これに関するヒアリング結果ですが、走行前点呼というのは、例えば商業でいう新聞配達のよ うな場合は出発時間がまちまちで、一人ひとりをつかまえて点呼しているという実態はあまりな いようです。あるいは保健衛生の訪問介護の関係も、直行直帰ということが多いので、点呼はな かなか難しいという実態があるという話でした。また、新聞配達のような場合は非常に朝早いと いうこともありますので、睡眠時間の確保というのは実は難しいという側面があるといったお話 はございました。前半についての説明は以上です。 ○根本座長 ここまでのところを議論したいと思います。まず、1頁目は対策の目的を書き起こ したということですが、前のガイドラインにも、これに類するような頭書きがあったのですね。 ○安井技術審査官 そうです。ほとんど似たような表現でございます。 ○根本座長 トラック事業者用には別にリーフレットを出すなど、業界ごとに少し違うことがあ るとすれば、その段階で反映させたいという補足説明もありましたが、よろしいですか。 (了承) ○根本座長 2〜5頁の「走行管理」のうちの走行計画関係です。特に下線の部分を見ていただく と、前回の議論を踏まえてだいぶ加筆されているところもあるのですが、いかがでしょうか。 「基本事項」と「詳細事項」がガイドラインの本体ですね。 ○安井技術審査官 どういった形の行政文書にするかはまだ決めておりませんが、いずれにして も、基本とする部分として切り離して出すのは「基本事項」の部分だけです。「詳細事項」とい うのは、例えばリーフレットに書き込む、あるいは、もう少しランクの低い行政文書を出すと か、そういったことを考えております。 ○根本座長 調査結果のデータなども補足説明の資料にはなるかもしれませんが、ガイドライン そのものではないという理解ですね。 ○安井技術審査官 ガイドラインそのものには入らないのです。 ○根本座長 3頁の左の(5)、戸別配送のところにちょっと書き込んでいただいたのですが、この ような感じでよろしいですね。では4頁。前回この場で議論したときに、ドライビングレコーダ ーのことが少し話題になりました。ドライビングレコーダーを使って教育をしたり、安全な運行 の支援をしたりするという話がありましたが、ドライビングレコーダーとデジタコなどで教育す ることの違いは何でしょうか。利害、得失、いろいろあるという話がありましたが、結局、それ は最終的にどう整理されたのですか。 ○安井技術審査官 基本的にドライビングレコーダーというのは運行管理には使えないものがほ とんどだということですので、ここでは運行記録計(タコグラフ)を載せてあります。ただ、ド ライビングレコーダーは教育で使えるというご議論があり、教育内容の中にドラレコを明記して ございます。 ○根本座長 わかりました。そちらのほうで話します。ここはあくまでも走行計画関係ですから ね。後で気が付いたことがあれば戻っていただくことにして先に進みましょう。  「走行管理(勤務条件関係)」について、私から一言コメントをさせていただくと、高速道路 の利用によって事故率がかなり低くなるということがデータ的にも確認されています。国土交通 省の「費用便益マニュアル」でも、規格が高い道路で走った場合の交通事故損失額みたいなもの が出ています。そういうものは警察庁や国交省のデータに基づいて計算されたものですが、上の ほうの「調査結果等」に、そういう客観的なデータがあるということを書いておいてもいいかも しれません。これはガイドラインそのものではないわけですが、数字を見ると、みんながびっく りします。説得力があると思います。数倍ではなく、台/キロ当たりの事故率ですと、ものすご い差が出てきます。そういうのを見ると、安全のためには高速道路が役に立つということが実感 できると思うのです。これがデータに基づいてガイドラインを定めているという趣旨であるとす れば、このデータもどこかに書いておいてもいいかもしれないですね。 ○安井技術審査官 いまのデータの出所は警察庁ですか、国交省ですか。 ○根本座長 それは両方のデータを使っていると思います。 ○安井技術審査官 それはどこの調査ですか。 ○根本座長 交通事故そのもののソースは警察庁もお持ちでしょうけれど、費用便益、事故損失 額みたいなものは国交省のマニュアルに出ています。 ○安井技術審査官 わかりました。盛り込めるようにしたいと思います。 ○根本座長 道路種別の事故率というのは、もともと警察庁が作るものですか、あれはどうなっ ているのでしょうか。道路局と警察庁と、どちらかで作るのでしょうか。 ○安井技術審査官 交通事故そのもののデータは、おそらく警察庁のものだと思うのですが、走 行台/キロのデータは国交省が持っていると思います。 ○根本座長 それらを組み合わせて作るのですね。 ○安井技術審査官 そうですね。交通量については警察庁で持っていると思います。 ○高橋委員 それは事業用の自動車か、自家用の自動車かを分けてデータ解析されているわけで すか。 ○根本座長 私が見たものは、されてないですね。 ○三井委員 ただ、事故のデータ自体は事業用とそれ以外に分かれています。事業用と貨物車が 車種別に出ています。それから事業用、自家用と。ただ、走行台/キロが分かれているかどう か、国交省がそれをまとめたのかどうかです。 ○高橋委員 事業用でもそういうことが言えれば、より強いここの主張をサポートすることにな るかもしれないのですが、一般の自家用の車だとどの程度関連性があるか、いかがですか。 ○中村委員 そういったデータが見つかったとしても、本文にまで載せなくてよいのではないで しょうか。リーフレットなどに、今年このときにこういった参考のバックデータがあるというこ とで示す程度になると思うのです。その場合、高速道路のデータと一般道路のデータとを比べる のであれば、大まかな比較という意味では、もちろん厳密に事業用のものだけが出てくればよい のですが、逆に、それを出したときには差が縮まってしまうということも、もしかしたらデータ 上あるかもしれない。両方の比較対照が事業用と一般とを混ぜて比較したものであれば、それは それで使えなくはないのではないかと思います。もちろん事業用のものだけを抜き出したデータ が出て同じような傾向が見られるのであれば、そちらのほうが説得力は高いと思いますが。 ○安井技術審査官 もし、そういったデータがあるのであれば、そういうデータを荷主に提示す るようなことはされているのでしょうか。 ○三浦委員 営業で直接持っていくということはないですね。 ○中村委員 いまのお話でちょっと気をつけなければいけないのは、データそのものを私自身が 詳しく把握していないので何とも言えないのですが、走行台/キロで見た場合、あるいは走行時 間で見た場合と、元のデータの何を基準とするかによって、その辺りは大きく変わってくる可能 性はあると思います。 ○根本座長 事故率のデータは台・キロ当たりのデータが多いのです。高速道路の場合は、台・ キロ当たりになると相当少なくなる傾向にあるのですね。 ○安井技術審査官 もし、そういうしっかりしたデータがあるのであれば、後に出てくる「元請 ・下請との関係」のところにも入れてもいいかもしれないですね。いま見る限り「高速道路」と いう言葉は一切ないので。 ○平野安全課長 いま座長のお話のデータは2倍や3倍ではなくて、1オーダーぐらい違うのでは ないですか。 ○根本座長 そうですね、1オーダー違います。 ○平野安全課長 そうなると、自家用と業務用とに差があったとしても、それがひっくり返るよ うなことはたぶんないのでしょうね。もともと業界としても、高速道路のほうが事故が起きにく いというのは皆さんわかっているのでしょうか。 ○三浦委員 そうだと思います。 ○根本座長 出合い頭、交差点の事故が多いですね。 ○三浦委員 事故率を見ると、交差点が多いですね。 ○根本座長 自動車専用道路では事故が少ない。 ○中村委員 言葉の問題で非常につまらないところかもしれないのですが。最終的に変えていけ ばいいだろうとは思うのですが、「高速道路」という言葉で本当にいいのかということを確認す る必要があろうかと思います。「高速自動車道」なのか。高速自動車道に限らず、有料道路や自 動車専用道路、そういったものまで含めて記載したほうがむしろ親切だろうという気もします。 「高速道路」なのか「高速自動車道」なのか、用語の問題もあります。 ○安井技術審査官 用語について、正式名称だと、まず高速自動車国道等国交省の道路局の区分 がございますが、その辺りは調べまして分かりやすい表現を探したいと思います。 ○三井委員 警察では高速道路を高速自動車国道と、指定自動車専用道路といいまして、特に安 全対策上ちゃんと指定しているのです。警察ではこの「高速道路」という言葉をよく使うのです が、どこが指定自動車専用道路なのかということが明確に示されて、それで使っているのです。 ただ、国交省がどういう使い方をしているかというのは分からないので、その辺も調べて、厚生 労働省としてどれを使うかというのは明確にしたほうがいいかもしれません。 ○中村委員 ここで言わんとしていることは、要は一般道ではなくて、自動車専用道路のような 高規格道路を、たとえ有料であっても使ってほしいということで、必ずしも有料道路を通れと言 っているわけではないのです。 ○根本座長 そうですね。有料かどうかは問題ではないですね。 ○安井技術審査官 自動車専用道という、社会一般的に使われる意味における「高速道路」とい う意味で書いてあります。ほとんどの場合は有料だというのが一応前提にはなると思いますが。 ○根本座長 「高速道路」でいいような気がしますが、後で国交省の方と相談して、確認をして みましょう。 ○辻室長補佐 ここは「走行管理(勤務条件関係)」ということになっていますから、主に高速 道路を使用することによって拘束時間や運転時間の短縮に資するというようなことで「効率的な 走行」という項目立てがなされていると思うのです。しかし先ほどの議論でいくと、抜本的に、 高速道路を使用すること自体が事故防止につながるということであれば、別の項目での整理も考 えられるという感じも受けるのです。 ○根本座長 それは「勤務条件関係」ではなくて、別の場所になるということですか。 ○辻室長補佐 別の場所での整理でもいいのではないかということです。ここで整理するとした ら、要するに拘束時間の短縮、労働時間の短縮といった観点なのだろうと思います。 ○安井技術審査官 ここに入れたのは、労働時間の短縮に効果があるからなのです。ただ、そこ はデータがなくても、高速道路を使えば走行時間は短くなるというのは直感的に分かりますの で、入れていいと思います。確かにいまのお話のように、安全については「出合い頭」の事故が ないとか、そういう話ばかりに拘泥すると、ここは相応しくないということになってきます。た だ、高速を使ったら運転時間が短くなるというデータがない。あまりにも当たり前すぎて、誰も 調べていないと思います。もし、それも含めた形で書ければ、ここに置くというのはいけると思 いますので、ちょっと検討させていただきます。 ○根本座長 安全のところは別のところでまた多少言及できるかもしれないという感じですか。 ○安井技術審査官 もともとが効率的だというところで押さえておりますので、ここで押さえる のがいいのではないかという気はします。この勤務条件関係については、労働時間改善基準とい うのが厳然とあって、それ以上になかなか前向きの提案ができない中で書いておりますので、こ こに置けるなら置きたいと考えております。 ○根本座長 先に進ませていただきます。8頁、9頁は「走行前点呼」です。「ヒアリング結果」 で、商業とか介護その他では、点呼がなかなかしにくいということが明らかになったわけです。 ですからこの点呼も、すべての産業を通してガイドラインを作るとすれば、必ずやりなさいとは なかなか言いにくいということになってくるわけですね。 ○安井技術審査官 すべての産業といっても、産業の中でも、人によっても違うし、労働の実態 によっても違うと思います。いずれにしても、一律でやりなさいと言うことはちょっと無理では ないかと思いますが、後で出てきますが、ある程度一定の限定をかける必要があるとは考えてお ります。いまのところ、運転を主たる業務としている、いわゆるプロドライバーに限定するとい うアイディアで考えています。  それで、前回高橋委員から出た、外国の基準ということですが、具体的にはどういった国なの でしょうか。 ○高橋委員 マサチューセッツ州などアメリカのいくつかの州では入ったか、入りつつあるとい うことです。 ○安井技術審査官 それは貨物運送という観点ですか。 ○高橋委員 そうではなくて一般だと思います。 ○根本座長 どういう議論でしたか。 ○高橋委員 自動車に乗る前に何時間寝てない場合には駄目だということ。あるいは事故が起き た場合、何時間寝てなかったらペナルティがあるとかと。 ○安井技術審査官 それは業務上であるかどうかは全く問わないものですか。 ○高橋委員 そうだと思います。いわゆる警察的な観点なわけです。 ○安井技術審査官 もし、非常に確立したそういう基準があるのであれば書き込むことも考えら れると思ったのですが、なかなか見つからなかったものですから。 ○高橋委員 経緯を知る人に少し話を聞くと、数字を出すのはなかなか難しかったということで す。 ○安井技術審査官 その辺については高橋先生に詳しいことを伺って、もし何か書けるものがあ れば記載を充実させたいと思います。 ○根本座長 この前も、バスの運転手が風邪薬を飲んで、途中で意識がなくなったということが ありました。それは本人の責任なのか、事務所の責任なのかというところが結構問われていて、 事務所の方がテレビに出てきて謝ったと聞きましたが、事務所のほうにも管理責任があるのでし ょうか。 ○三浦委員 難しいですね。 ○根本座長 国交省としてはそういうところの管理責任を決めてあるのでしょうか。 ○高田オブザーバ 企業としての結果責任というのは必ず付いて回るわけです。 ○根本座長 法律とかガイドラインで、厳しくそこまで書いてあるものはあまりないですか。 ○高田オブザーバ ないですね。点呼でどこまで押さえられるか。こういう薬を飲んではいけな いということまで点呼で言うのかというところだと思います。 ○根本座長 大変ですね。 ○高橋委員 医者が処方する薬あるいは普通に買える薬でも、運転や機械作業のときはご注意く ださいとかと添付があったりします。ただ、飲んで実際に眠気などの効果が出るのはしばらく経 ってからという場合もありますし。 ○根本座長 個人差もある。 ○高橋委員 そうですね。ただ、あの方は非常に疲労がたまっていたり、インフルエンザなど疾 病状況にあるというのをどう評価し、最終的に運転を許可するかどうかという部分があります。 ○根本座長 「疾病」という文言で一応これはカバーされているわけですね。 ○高橋委員 そうだと思います。 ○安井技術審査官 どれぐらいの疾病だったらどうしなさいなどとは書いてありませんので、そ こは難しいところです。 ○根本座長 難しいですね。ではガイドライン上は一応これでよろしいということで、9頁まで は終わりました。では後半部分についてご説明をお願いいたします。 ○安井技術審査官 10頁の荷役作業から順に説明させていただきます。まず荷役作業につきまし ては「荷役用具」という言葉が何を意味しているかよく分からないので例示を入れてほしいとい うことがございましたので、「基本事項」の最初の○の3つ目のパラグラフで「台車、テールゲ ートリフター」という用語を例示で入れました。テールゲートリフターは荷役用具とは言えない と思いますので「設備」という言葉も併せて追加しております。  次は「休憩時間の確保」の関係です。荷役を行っても、行わなくても休憩時間は当然取るわけ ですが、荷役をやったから休憩時間を増やせばいいのか、増やさないほうがいいのかという議論 があったのです。しかし、データがないということでしたので、ガイドライン上は最初のパラグ ラフに「運転者の疲労に応じた十分な休憩時間」ということで定性的に、非常な重労働であれば 若干長めにするようなことも、配慮してくださいという記載にしてあります。  次が12頁です。まず「交通安全情報マップ」という用語がいきなり出てきて分からないという ことでしたので、これについては(2)「日常の教育」のイとウを、従来はこれらをくっつけて ありましたが、ちょっと分かりにくいということがありましたので分離しました。まずイが警察 等からの交通事故発生情報、交通事故の危険を感じたヒヤリ・ハット事例、それからデジタコの 記録、ドライブ・レコーダーの記録等から判明した安全走行に必要な情報に関する事項。これは 個々のドライバーの運転状況も見て、君はこういう運転の傾向があるから直しなさい、というこ との教育をしなさいと。  こういった情報を踏まえて交通安全情報マップを作って、それを使った教育を、個別ではなく て一般化して行うということでイとウを分けるとともに、「イの情報に基づき、危険な箇所、注 意事項等を示した交通安全情報マップ」という定義文も併せて入れた形で修正しております。  「タコグラフ」の正式名称は運行記録計であるという指摘がありましたので、全部直しまし た。  「運転者認定制度」について、大手以外は普及していないというご議論がございましたが、こ れはもともと「望ましい」という表現になっておりますので、ガイドライン上の表現は見直して ありません。  ヒアリングの結果ですが、保健衛生の関係では、新人教育の一環として、交通事故防止につい て教育は行っているが、腰痛対策や感染症対策のような、もっと身近なことの教育を優先してし まうので、交通事故対策といった教育まではなかなか手が回らないというご指摘でした。それか ら、これは保健衛生業の方も商業の方も大体同じだったのですが、ある特定の人が繰り返し事故 を起こす傾向がある。適性の問題があるということで、その場合は、そういった特定の人に対す る特別な講習をやることもあるといった話がございました。ただ、そういった者については、も ともと運転者認定制度のところで「運転適性に応じた一定の教育指導」で読めるのではないかと 考えております。  16頁の「安全意識の高揚」については前回特に意見がなかったわけですが、これについてのヒ アリングでも、交通事故防止のポスターなどは作っているということでしたので、特段問題はあ りません。  18頁が「荷主・元請との関係」です。まずペナルティのところで、そもそも、そんなにペナル ティをかける所はあるのか、どうなのかというご議論がありまして、一般ではあまりないだろう が、製造業の特定輸送というケースではあるかもしれないということでした。それと関連して、 正確な時間に到着できるという付加価値を値段に反映すれば、問題はないのではないかという議 論がありましたが、必ずしも値段に反映できるとは限らないという状況もございますので、表現 ぶりは、いまのところ同じにしております。  それから、荷主の責任を明確にする方向で進んでいるという情報提供がありましたが、それも 踏まえて荷主・元請というところは強調したいということです。また、文言は直してありません が、荷主及び運送業の元請を、ここの章だけ主語として使っていますので、ガイドライン上はか なり強めに書いていると言えると思います。先ほど高速道路云々の話がありましたので、もし書 き加えることがあれば書きたいと思います。  次は20頁の「安全管理体制等」です。まず管理者の例示で、安全管理者だけを例示していたわ けですが、国土交通省では運行管理者、警察庁では安全運転管理者とありますので検討いたしま して、21頁の「交通労災を防止のための管理体制の確立」のアで安全管理者のみならず、「安全 管理者、運行管理者、安全運転管理者等の交通労働災害防止に関係する管理者」ということで一 括して載せております。実は、それぞれ役割は違うところもあるわけですが、それぞれが労働災 害防止に関わるということですので、例示としては全部載せる形にしております。  運転者の責任を明記すべきではないかという議論がここでございましたが、これについては冒 頭で書きました。  ヒアリングの結果ですが、例えば新聞配達業の場合、店長や主任という方はおられても、そう いった方自らが配達する場合もあり、管理者が常駐している状況にはないそうです。それから、 管理の関係の方も、交通事故関係の担当者を決めている事業場はほとんどないだろうとのことで す。先ほど申し上げたシフト管理、走行計画に当たるようなものの管理をしている担当者は当然 いるわけですが、これにつきましては、シフト表の変更に忙殺されていて、交通事故という観点 はとても処理し切っていないという実態があるということでした。しかしながら、管理体制が全 くなくていいということではありませんので、ここはお願いするような方向で考えておりまし て、ガイドラインの文章は直しておりません。  21頁の「健康管理」の(2)で「健康診断の結果に基づく措置」については、健康診断の事後 措置指針がありますので、そういった指針の引用を付け加えております。  22頁では、平成18年に行われた安衛法の改正で新たに新設された面接指導について記載を追加 いたしました。  26頁の「その他」について、前回は特に議論がありませんでした。前回は異常気象だけ載せて いたわけですが、検討の結果、自動車のハードウエアに関する部分について、点検、安全装置等 についても触れたほうがいいだろうと考え、載せております。ただし内容については、もともと 道路運送車両法のハードウエア系の規制や、道交法で言う点検、そういったものがありますの で、ここはできるだけ簡潔にしたいということで、非常に短い記載にしております。  28頁は「貨物運送業以外における対策の在り方」です。これは先ほど若干議論した、点呼が果 たしてどれぐらいできるのかという問題に関わるわけですが、走行計画の作成と遵守、点呼の実 施とそれに基づく措置についてです。まず、走行計画については、改善基準の遵守など一定時 間、少なくとも30分とか1時間というオーダーではない時間の運転時間を前提にして運転業務に よる問題の改善を主たる目的としているものであります。点呼につきましても、30分とか1時間 の問題ではなくて、ある程度一定時間の運転を前提として疾病、疲労、睡眠不足の蓄積、飲酒 (これについては若干疑義があるところですが)について行うこととしております。これは一定 の時間というのを前提にしていますので、こういったことを踏まえて、走行計画の作成あるいは 点呼の実施について、車種は問わず一定時間以上運転することが見込まれるプロドライバー、つ まり運転業務に主として従事している労働者の運転業務について行う必要があるという整理をし てございます。  ただし、仮に運転業務を主たる業務としている方であっても、ハイヤーやタクシーのように走 行計画を作ることに馴染まない業種がございますので、こういったところについては当然作成す る必要はないとしています。さらに、走行計画の前提となる改善基準が四輪以上の自動車に限ら れておりますが、実際は二輪の配達もあるわけです。しかし二輪につきましては走行計画は拠り 所がないので作れないということですので、それは除くべきではないかと考えております。  安全衛生教育は幅広く実際に行われているという実態もございます。別に運転業務に主として 従事していなくても交通事故にいつ遭うかは分からないわけです。もちろん濃淡、つまりプロド ライバーと、そうでない人との差は当然つくべきですが、教育はやったほうがいいのではないか ということで整理しております。  その関係を表したのが29頁の表です。(1)となっているのが走行計画、点呼以下フルスペック。 (2)が走行計画はやらないというもの。(3)は、走行計画と点呼以外、つまり「教育」以下は全部や るという3段階に分けて考えております。ちょっとややこしく見えますが、実は簡単で、プロド ライバーは原則として(1)、ただし二輪車は(2)、そして、それ以外の一般の、プロドライバーでな い方は全部(3)であるという整理になっております。  28頁の留意事項のところで、貨物と旅客、バスとハイヤー・タクシー以外でプロドライバーが いるという例はこういうものがあると考えております。まず1つは郵便局の配達用の自家用トラ ック。それから製造業も、主に飲料水やパン等は白ナンバーの車が配達している場合が間々あり ますので、そういった運転者。それから小売業の配達、これは大型家具店のように、単に送り届 けるだけでなく、送った後で組み立てなければいけないような場合もほとんど白ナンバーでやっ ていますので、そういった方々も入ります。それから旅館の送迎バス、スクールバスも大体はプ ロドライバーでやっておられる。広告宣伝車というのは街宣車ですが、そのほか政党の宣伝カー もプロドライバーが行う場合が多いということですので、こういったものが例として挙げられま す。もちろん旅客と貨物運送業の方々も当然やっていただくわけですが、それ以外にも、こうい った方々については走行計画、点呼をやっていただく必要があるのではないかという形で整理し ております。説明は以上です。 ○根本座長 それでは戻っていただいて10頁、11頁のところからもう一度見ていきましょう。最 初は荷役作業です。これも変更は少ししかありませんが、いかがでしょうか。 ○中村委員 本題と外れるのですが、身体負荷を減少させるため、台車、テールゲートリフター 等適切なものを備え付け、安全な荷役作業方法についての教育を行うこと、とありますが、この 場合具体的に、安全な荷役作業方法というのは、どういうものが想定されるのでしょうか。 ○安井技術審査官 非常に泥くさい教育であると、重たいものを持つときは必ず腰を下ろせとか いったことが含まれます。荷役関係の教材はいくつかあるわけで、そういったものを想定してい るのです。 ○安本委員 1つの事故を時系列で追いかけていきますと、運行管理とか走行に関する指針みた いなものは国交省に非常に詳しいものがあるのですが、荷役に関するそういった指針というもの は厚生労働省の労働安全衛生法しかないというところですので、ここのところを疲労とか過労と かいうところに限定せずに、一言荷役の方法について示すということは大切なことではないかと 思います。 ○安井技術審査官 もう少し具体的に書いたほうがいいということですか。 ○安本委員 はい。確かにそういった指針もあるし、ガイドブックのようなものもありますし、 労働安全衛生法がらみのものはあるのです。ところが、ほかの省庁ではないのです。 ○中村委員 おっしゃるとおりだと思うのですが、これをザッと見た人は、あれのことだなと、 すぐにパッと思い浮かばないのではないかと思います。だから何か補足したほうがいいという気 がしたのです。 ○安井技術審査官 そうですね。当然代表的なものしか書けない。荷役のガイドライン等がない もので付記できるものがないのです。「基本事項」にどこまで入れて「詳細事項」にどこまで入 れるかという問題もありますので少し検討させていただきます。 ○根本座長 これからはパレットをフォークリフトで積み下ろしするという荷役がもっと増えて 然るべきでしょうけれど、そういった場合に、フォークリフトはトラックではないのですね。 ○安井技術審査官 車両系荷役運搬機械ということで労働安全衛生法令の中で規制があります。 ○根本座長 それはトラックの業務規制とは関係なくなるのですか。 ○安井技術審査官 ハードウエア規制で、労働安全衛生法に基づき資格も必要ですし、ハードウ エアの規制もあって、構造規格も厚生労働省が所管しています。 ○根本座長 そうするとフォークリフトが言葉として全然出てこないのは、ちょっと書き込みが 少ないということになりますか。 ○安井技術審査官 いわゆるドライバー向けに書いてありますので、どこまで書くのか議論のあ るところです。ドライバーがフォークリフトの運転をガンガンするという実態があれば書いた方 がよいのですが。 ○根本座長 それは契約だけれども、契約によってはドライバーがフォークリフトを運転しなけ ればいけないですね。ケースバイケースですが。 ○安井技術審査官 そういう事例があるということは伺うのですが、要はどこまで書き込むかと いうところで、そこまで確信が持てなかったので書いてないのです。そういう実態が非常に一般 的だということであれば、ある程度は言及することになると思いますが。 ○高橋主任中央産業安全専門官 これは交通労働災害防止のガイドラインということを念頭にお くべきだと思います。 ○根本座長 フォークリフトは交通じゃないのでしょうか。 ○高橋主任中央産業安全専門官 構内なので、陸上貨物運送事業というような言い方なら、まだ 入れやすいのでしょうけれど、ちょっと整理しないといけなくなると思います。 ○安井技術審査官 おっしゃるとおり、ここは荷役作業をすることによって事故が増えるという トーンで書いてあるのです。ですから、あくまでも休憩をちゃんと取りなさい、あるいは、正し い作業をすれば疲労の蓄積はないだろうというトーンで書いてあるのです。ただ、そういう意味 だとフォークリフトはちょっと遠いかもしれないです。 ○中村委員 以前からの議論として、疲れを溜めると良くないのだったら、フォークリフトだけ でなく、クレーンであったり、場合によっては荷受側に荷受人を付けてもらえなどといったもの があってもいいのではないかという話があったと思います。要は、なるべく負担を減らし、交通 事故の防止につなげていきたいということがあるならば、そのようなところまで入れてしまって もいいのではないかという気が、個人的にはします。 ○安井技術審査官 おっしゃるように、フォークリフトを使えば疲労の蓄積は最も少ないと思わ れますので、そのような文脈で書くのは可能かと思います。ただ、あまり詳しく書き過ぎると趣 旨がずれてきますので、いわゆる荷役における事故防止という観点ではなくて、あくまでも疲労 を残さないという観点で例示するということです。 ○根本座長 そのような意味ではフォークリフトではなくて、大事なのはパレット化など、荷姿 をもう少し楽にできるようにということが問題です。そこで出てくるのがフォークリフトなので あって、問題は荷姿だということです。 ○高橋委員 そうであれば、思い切って「安全な荷役作業の方法についての云々」というのは削 除するということはいかがでしょうか。 ○安井技術審査官 作業方法によって疲労度が著しく違うことは広く言われておりますので、大 きく関連はあると思います。ただ、理想論を言えば、走る人は走る人、荷物の積み卸しをする人 は積み卸しをする人とやれば、運転以外の労働負荷の軽減になりますが、それが、現実的なので しょうか。例えば、このガイドライン上でドライバーには荷役作業をさせないようにしましょう と書くことが現実的かどうかというところです。 ○高橋委員 それが非常に難しければ、できれば機械化といった程度にしたほうがよいでしょ う。一番の目的は荷役作業による運転手の身体負荷の減少であり、そこから過労運転につなげな いということがここでの趣旨であれば、もう少し何を優先させるかを書くべきでしょう。 ○中村委員 ここの文言を、荷役作業による運転手の身体負荷を減少させ、過労運転等を未然に 防止するためとか何とか、もう一文加えてしまうかです。台車、テールゲートリフター、フォー クリフト等、適切な用具設備等の備え付け云々と。 ○安井技術審査官 安全なというか、身体負荷がないような荷役方法になるかもしれませんが、 それが実は安全な荷役方法でもあるのですが、その具体的な例があったほうがいいという指摘に ついては、できるだけ反映するようにいたしますが、トーンとしては、あくまでも疲労の軽減と いう観点で、書ける範囲で書かせていただきたいと思います。 ○根本座長 わかりました。次に、12、13、14、16頁の安全衛生教育に入ります。ヒアリング結 果の説明のところでちょっと気になったのですが、介護事業者は他のことが忙しく、交通安全の 対策になかなか手が回らないとありました。トラック事業以外の業界で、事故率というか交通事 故が多い業界というのはあるのですか。そのようなデータはあまり議論しなかったと思うので す。 ○安井技術審査官 データについては、28頁の調査結果のところで若干統計的なことを述べてお りまして、運輸交通・貨物取扱、いわゆる荷物運送事業者と旅客運送事業者の交通労働災害に占 める割合は低下しており、現在は23.9%しかないという状況です。一方、他が増加しているわけ です。特に何が多いかというと、やはり商業の新聞配達、通信業として郵便局はかなり多いで す。製造業も470ですから少なくはないです。 ○根本座長 トラック事業以外のところで交通事故が多い理由が何か解明されていれば、その理 由に対応したようなガイドラインを書くというのも1つの考え方です。 ○安井技術審査官 交通事故の内容を見ると、特に業種に特殊な内容はあまりなく、結局車を運 転するという行為は変わらないので、我々の認識では業種業態別に、対策をそれほど変える必要 はないのではないかと思います。ただ、業種業態によっては、実行することが馴染まない対策と いうのも逆にあると思っておりますので、馴染まないものを除いていくという発想でいいのでは ないかということで、いまのところは整理しております。 ○根本座長 先に行ってしまいましたが、もう一度戻ります。そのような意味で、12、13頁は、 そういう意味で特にどこの業界はと言うこともないだろうということですね。 ○鶴田安全衛生部長 自覚がないまま飲酒運転をしているわけですから、安全衛生教育の中にそ このところは書かなくていいのですか。体調の維持管理のところで読むということですか。 ○安井技術審査官 認識がないとは何の認識ですか。 ○鶴田安全衛生部長 飲酒運転の危険性や健康への影響などです。飲酒の危険性というのは点呼 のときに相手が見るのではなく、本人自身が自覚して飲まないといった安全衛生教育を推進する 必要はないのでしょうか。 ○安井技術審査官 その点については12頁の基本事項の教育内容の中で、(1)の雇入れ時であ れば、アの部分の交通法規で運転時の注意事項、走行前点検の励行等運転者が遵守すべき事項、 改善基準の遵守、SASの問題もある睡眠不足などといった体調の維持が必要であることを教育す るとしております。従来、この辺がちょっと弱かったという認識がありますので、自覚を促す教 育は盛り込みたいと思います。 ○鶴田安全衛生部長 飲酒そのもの自体はどうなのでしょうか。 ○安井技術審査官 飲酒は例示には入っておりませんが、入れることは全く構いません。あまり にも当たり前すぎるので例示には入れておりませんが、内容には入っております。 ○鶴田安全衛生部長 自分は飲酒運転しても影響ないと思っている人がいるから、飲酒運転をす ることもあると思うのです。 ○根本座長 罰則も強まったりしましたが、完全になくなったわけではなくて、ときどき新聞に 出てきますからね。 ○安井審査官 今回の調査でも、実は飲酒はプロドライバーでも14%と結構出たので、まだまだ 根深い問題だという認識はしております。 ○根本座長 そのような意味では、どこかに例示でちょっと入れておきましょうか。 ○安井技術審査官 そうですね。 ○根本座長 次に、16頁、17頁の「安全意識の高揚」に入ります。これは前回もあまり議論がな くて、これでいいのではないかということだったのですが、何かあればお願いいたします。 ○安井技術審査官 先ほどの話で言えば、ここにもドライブレコーダーが出てきております。ま た、13頁の教育内容にもドライブレコーダーのことが例示として出ております。 ○根本座長 次に、18頁、19頁の「荷主・元請との関係」についてはいかがでしょうか。 ○安井技術審査官 これについては、先ほどの議論であれば高速道路についての記載を入れるか どうかがあると思います。 ○根本座長 ここに入れるのは適切かもしれないです。要するに、ほとんどの場合、高速道路は 料金を払うことになるので、荷主や元請の理解の下に高速道路の利用ということが出てくるでし ょうから、ここに書いてあるのは悪くないような気がします。 ○平野安全課長 実際問題として、高速を使うからちょっと料金が高くなりますなどといった話 が、荷主とはあるのですか。 ○三浦委員 具体的に高速道路を使う、使わないといったことは、事業者の責任でやる格好にな っておりまして、ここからここまでこの荷物を運ぶのにいくらといったような決め方をしており ます。ただ、荷主が使えということになったら使いやすい面はあるでしょうが、決め方としては 全部の経費を含めて決めていくような格好になっております。 ○安井技術審査官 前回、安本委員からコストが全然違うというお話がありましたが、結局、使 えるかどうかは発注金額で事実上決まってくるのではないですか。 ○安本委員 おっしゃるとおりで、事実上の単価と高速道路を使える、使えないということとは かけ離れた状態にあるというのが実情です。ただ、事業者の創意と工夫で使えるようにというの は、事業者側の責務のようにはなっております。ここにパートナーシップのガイドラインという 言葉を載せていただいております。今回、月刊誌『安全衛生のひろば』の中でも原油高騰のこと を紹介していただき、荷主に対してのお願いといった文章を出していただいておりますので、我 々業界としては大変ありがたいと思っております。 ○安井技術審査官 そうすると、表現ぶりは非常に難しいですが、結局発注金額にかかってくる という書き方になるわけですね。書くとすれば、高速道路の利用も配慮した料金設定などといっ たことになるわけですか。 ○根本座長 難しいですね。 ○安井技術審査官 料金設定というのはちょっと書きにくいと思いますので、高速道路の利用に も配慮するなどということでしょうね。 ○平野安全課長 そこのところは、発注というか仕事を注文するといった荷主との関係を重視す るのか、現状のように、それは受けた事業主の裁量の範囲内でやるべき話だとするのか、どちら で整理するのかということだろうと思います。 ○根本座長 契約して運賃を決めてしまえばあとは事業者任せということでないように、なって きていると思うのです。交通事故の問題にしろ、CO2の問題にしろ、どのように運んでいるのか ということに関して、荷主も一定程度責任を感じてくださいといったことが、大きな流れとして あるのではないかと思うのです。そうなると、やはり高速道路を使うことは環境や安全面にいい だろうと、荷主のほうが積極的にお願いするような形が出てきてもおかしくない。当然、結果的 にそこにはそれが払える運賃というのも出てくるということではないでしょうか。初めから運賃 を前面に出して、厚生労働省が民民の契約に対して高い運賃を払いなさいというのは言いにくい わけですが、荷主は安全などに配慮する必要があるということから切り込んでいけば、高速道路 のほうへ結び付いていくのではないでしょうか。このパートナーシップという考え方はそうでは ないかと思いますので、書き方を少し工夫しながらお願いいたします。 ○安井技術審査官 少し検討させていただきます。 ○安本委員 これとは違う話かもしれませんが、物流全体の大きな流れの中で、3PLという言い 方をしておりまして、生産ラインから顧客に至るまで物流業者が責任持ってやる、いわゆる商品 形態全体を把握しながら一式受けてやると。それも日本国内と国際物流といった目で受注してい くという受注の仕方もありまして、業者としての選択肢が非常に広がるといった方向にあるので す。こういったことで高速道路というのも1社辺りの話ではなく、トータルでの話ということ で、こういった指針が出ていれば、業界としてはブロックごとの話のときに非常に取り組みやす いということもありますので。 ○根本座長 この中でも荷主は安全に配慮しなさいといったようなことを書いておいてもらうの は、ありがたいということですね。 ○安本委員 現状、荷主はコスト競争が大前提ですから、その辺の意識が非常に薄いのです。 ○安井技術審査官 それについては18頁の荷主・元請に関する事項の冒頭の文章で、「次に掲げ る事項等、交通労働災害の防止を考慮した適切かつ安全な運行の確保のため必要な事項につい て、実際に荷を運搬する運輸事業者と協働して取り組む」という記載は入れております。 ○根本座長 この「荷主・元請との関係」というのは、ガイドライン全体の中でも結構扱いが大 きいですね。今回の特徴ということですね。 ○高橋委員 個別の△の前の4行の所の「協働して取り組むよう努める」についてですが、その 根拠として安本委員が言われた荷主にも安全責任があるという部分が、より重要ではないかと思 うのです。 ○中村委員 直接書きますか。 ○高橋委員 そのような責任性は思い切って書くことができますか。 ○安井技術審査官 これは運輸業界だけの話ではないですし、社会一般にそこまで普及している のかというところだと思います。国土交通省では、このガイドライン以上に踏み込んで検討など ということはあるのですか。 ○高田オブザーバー(国交省) パートナーシップのガイドラインについては昨年述べたことが あるので、いまはそれを浸透させていく、中身の確認、検証なりをしっかりやっていくというと ころが現状です。これとは違って、さらにどうということよりも、むしろ、とにかくこれを図っ ていくというのが現状だと思います。 ○安井技術審査官 荷主の安全責任を問うという流れはありますか。 ○高田オブザーバー 運送事業者だけにいくというのではなく、このような運送状況について は、やはり荷主も理解してくださいという方向でいけないかというのはあります。理解してくだ さいというレベルです。 ○根本座長 責任があるというよりは理解してくださいということですか。 ○高田オブザーバー 責任というと、何が責任かというところが出てきてしまうのです。契約と いうのはあるにしても、制度上どこまでが法的責任かと言うのは難しいですね。 ○高橋委員 法的責任とまでは言わなくても、なぜ協働してやらなければいけないかという部分 をあやふやにして、あるいは根拠を弱くしてしまうと、やはり荷主側のパワーによって一掃され てしまう危険性があるように思うのです。前回国土交通省のパートナーシップ・ガイドラインを 紹介していただいたときに、検討会などの中で、このようなガイドラインを作った過程で、実際 に荷主側のどういうレスポンスがありましたかと質問したのですが、あまり明確なお答えはいた だけませんでした。要は、荷主側がどう理解し、行動に移すかが核になりますね。 ○平野安全課長 いまの件に関して、これは1つの事例ですが、交通労働災害防止に関しては荷 主との関係が非常に重要なので、私ども労働基準監督署の1つが荷主団体とトラック事業者の団 体を集めて協議会というか、そのような取組みがあるのです。たぶん、やり始めたという段階で す。いま言われたように、現時点では理解を求めていく、同じ場について交通労働災害あるいは 交通事故を防ぐために、荷主としてもどうすればいいかということを、話し合ってもらう段階で はないかと思います。 ○高田オブザーバー 過積載など個別のテーマになってくると、荷主の求めといってもあまりに も無茶な面があるなら、それは問題だろうから協力要請、警告要請ということがあります。過積 載に留まらず、荷主のオーダーというのは確かに全体的にいろいろなところで安全に問題がある ということが出てくると思います。そうした荷主の安全責任といった広い話については、昨年パ ートナーシップを定めたので、荷主の理解を求めていく、きちっと説明していくといったことを いまのところはやっております。 ○根本座長 明らかな過積載の輸送を荷主が要求した場合は責任を問えるでしょうが、そういっ たことはそんなに問題にならなくなってきていると思います。むしろ、通常の契約の中で荷主と 事業者が「それでいい、お互い配慮しながら、安全に」といったときに、荷主の責任を法律的に 問うのは難しそうですね。 ○高橋委員 法的には難しいと思うのですが、必ずしも法的にではなく、少なくとも理解や認知 のレベルでは、責任という言葉の範疇に入るような気がします。 ○安井技術審査官 責任という言葉にこだわらなくても、パートナーシップ・ガイドラインとい うのはまさに、この問題については荷主と運送業者はパートナーなのだという意味ですから、裏 返すと責任ということもあるかもしれませんが、もっとニュートラルな言葉で言えば、きちんと 関係があるのだということが言えると思います。協働というか共に取り組むということは、その 裏には当然荷主も安全ということには関係があると言うのでしょうか、そのようなことは言える と思いますので、とりあえず今はそのようなレベルではないかと思います。 ○根本座長 そうですね。 ○安井技術審査官 記載ぶりでもう少しいい表現があればと思いますので、検討させてくださ い。 ○根本座長 日本語のボキャブラリーの中で、責任という言葉は割と曖昧かもしれないです。英 語だったら、法的な責任を意味するliabilityとresponsibilityなどいくつかあったと思うので す。日本語の場合はそのような言葉が少ないかもしれませんが、少ない言葉を上手に使いながら 表現することが必要かもしれません。 ○安井技術審査官 責任という言葉は法令用語では非常に嫌われるので使われないのですが、責 務という言葉はあるのです。安衛法では第3条に、発注者はきちんと安全に作業が行えるように する責務があるという表現があります。 ○平野安全課長 安全と衛生を損なわすような条件で発注するよう配慮しなければならないとい うことです。 ○安井技術審査官 条文の柱書きが責務になっているのです。ですから、そのような記載のほう がいいかもしれません。 ○根本座長 法律用語は難しいですね。 ○安井技術審査官 表現はちょっと検討させていただきます。できるだけ強めの表現がいいとい うことですね。 ○根本座長 そのようなことで工夫をお願いいたします。次に、20、21、22、23頁の「安全管理 体制」に入ります。「安全管理者、運行管理者、安全運転管理者など」と並べ、うまく調整を図 りながらやっていきましょうということでした。面接指導というのは前はなかったのですが入れ たのですか。 ○安井技術審査官 これは純粋に法改正を反映させたというだけで、改めて何かをどうしたとい うわけではありません。もともと平成18年に改正されていたものをガイドラインに入れたという ことです。 ○根本座長 わかりました。他に何かあればお願いいたします。 ○高橋委員 2が入ったことは素晴らしいことだと思います。月100時間とか80時間といった時間 外労働についてですが、運転労働における時間外の状況と、いわゆるそれ以外の業種における時 間外とうまくフィットしますか。月100とか80、60、45という数字がありますが。 ○辻室長補佐 面接指導の、月80時間とか100時間を超えてはならないということについてです か。 ○高橋委員 それがそもそも改善基準告示にそぐわなくなる可能性はありませんか。 ○辻室長補佐 おおむね満たしているということですので、改善基準告示に定める原則的な拘束 時間の範囲で運転業務に従事すれば、おおむねカバーされます。ただ、改善基準というのがそも そも手待ち時間、仮眠時間、休憩時間といったもの全体を含んでいますから、法定労働時間の8 時間を超える部分がすべて時間外労働といったカウントができないのです。場合によっては休憩 時間を限りなく縮めて、のべつ幕なしに拘束時間の範囲内で勤務したとすると、1カ月の上限時 間は80時間を超える可能性は出てくると思いますが、おおむね一致はしているということです。 ○根本座長 もしよろしければ、次の「その他」に進みたいと思います。その他には自動車の点 検と自動車に装備する安全装置等が入りました。いかがでしょうか。 ○飯塚氏(平川委員代理) 安衛則の中身を理解していないところもあるのですが、自動車の点 検は道路運送車両法でも基本的に義務づけている規定があると思うのですが、それと安衛則第 151条の75、第151条の76というのはリンクしているというか、項目的に同じようなものなのです か。 ○安井技術審査官 ここはいわゆる除外規定が特段ありませんので、道路運送車両法が適用にな っている場合にあってもやらなければいけないのです。ですから、重なっている部分はあると思 います。ただ、もともと安衛法は道路の上とは限りませんので、道路運送車両法が引っかからな い部分もたくさんあります。例えば、ダムの工事現場など道路ではない所、いわゆる作業場の中 でトラックを使うなど、ナンバープレートのないトラックというのもありますので、そういった 場合は安衛法がカバーすることになります。 ○飯塚氏 それも自動車という見解になるわけですか。 ○安井技術審査官 そうかもしれません。 ○飯塚氏 項目に漏れがない形であれば結構ですが、自動車の点検というのは基本的には道路運 送車両法が大本の規定というイメージがありましたので。 ○安井技術審査官 例に出して大変恐縮ですが、自動車の点検は道交法にもありますし、あちこ ちで義務づけられている状態ですので、それぞれの法律の趣旨に照らして労働災害防止という観 点か、道路上の交通事故の防止という観点か、あるいは自動車の安全性という観点か趣旨によっ て違うと思いますが、それぞれの法令で決まっているという側面はあると思います。ちょっとい まは整理して説明することはできませんが、重なっている部分があることはあるということで す。 ○根本座長 よろしいですか。 ○飯塚氏 はい。 ○根本座長 1つ点検すると、3つの法律がクリアできてしまうということでしょうか。 ○飯塚氏 くどいようで申し訳ないのですが、もともと気になったのは、この文章を読むと、走 行前点検実施云々の話があるのですが、道路運送車両法にも運行前点検の義務づけがたしかあり ますので、車両法の点検項目プラス何かがあるという規定だったら全然問題ないのでしょうが、 車両法の点検項目を満たさないようであれば、車両法の規定には漏れてしまうのではないかとい う感じがしたのです。 ○安井技術審査官 漏れてしまうとはどういうことでしょうか。 ○飯塚氏 道路運送車両法の運行前点検の項目が、走行前点検というもので満たしていないとす ると、車両法違反が発生してしまうのかなと。 ○安井技術審査官 そのような可能性はあると思います。要は、それぞれの法律の趣旨に基づい て最低限義務づけている項目が違うということは、望ましいことではないのですが間々あること だと思います。 ○平野安全課長 いま言われているのは、結局、ガイドラインとして事業主がこのとおりにやっ たら、知らず知らずのうちに、車両法違反の状態になってしまうようなことになるのではないか ということですよね。 ○飯塚氏 もしかしたらそのようなことがあり得るのではないかと。 ○平野安全課長 趣旨や法目的によって同じような規制があるということとはちょっと離れて、 そのようなことは完全に望ましくはないので、表現ぶりは検討したいと思います。 ○安井技術審査官 可能な限り整合性があるように確認したいと思います。ただ、これはもとも と法令事項ですので、法令を直すわけにはいきませんから、ガイドライン上ではどのような表現 があるか検討させていただきます。 ○根本座長 それは先ほどの管理体制のところに安全管理者、運行管理者、安全運転管理者とい うのがあって、それぞれ目的は少しずつ違いますが、安全に対して仕組みを持っていてという話 がありました。ひょっとしたらこの点検についても同じように、それぞれ観点は少しずつ違いま すが、やはり点検して安全にやっていこうということがある。点検項目はほとんど重なっている のでしょうが、重なっていないところがあったら、点検者は点検表を見て点検する人が、何か漏 れがあったりすると気の毒です。そのような意味では、ユーザーは点検というところから入って いくわけですから、もう少しユーザーサイドに立って、そこがわかるようにするというのは確か におっしゃるとおりです。  そのようなことで、少し検討をお願いいたします。同じような話ですが、ここで言う下の○の 安全装置というのは、装置の中身として具体的にはどのような装置が入っているのですか。 ○安井技術審査官 例えばABSとか、エアバッグは今ほとんど義務づけられていますから付いて いない車はないと思いますが、そういったものを想定しております。ただ、あまり個別具体的に 書くつもりはありません。 ○根本座長 わかりました。他になければ次の項目に入ります。28、29、30頁は「貨物運送業以 外における対策の在り方」です。 ○三井委員 28頁の最後に「自動二輪車及び原動機付自転車は走行計画の作成等の必要はない」 と書いてありますが、これは例えば「必ずしも必要でない」という表現のほうがいいと思いま す。と言いますのは、例えば安全運転管理者は二輪車をたくさん持っている所にも置くことにな っているのです。安全運転管理者の業務は、走行計画あるいは点呼を行いなさいという規定にな っているはずです。どちらに重点を置くかは別として、「必要はない」と書かれると整合性が取 れなくなってしまうような気がします。それに関連して、29頁の最後の(3)には「走行計画、点呼 以外の措置を実施する」とありますが、これも走行計画、点呼以外はやらなくていいという話に なってしまう表現になるので、「何々を実施する」と書けば、それ以外のことをやっても構わな いですよね。「必要ない」とか「それ以外の措置を実施する」という表現は、できれば避けたほ うがいい感じがします。 ○根本座長 点呼をやってはいけないことになってしまいますね。 ○三井委員 そうです。ですから、点呼を除いたこれとこれとこれをやるのだとしておけば、点 呼もやっていいことになるわけです。 ○安井技術審査官 そうですね。前向きに書けるように検討したいと思います。そうですね、あ えて書かないという手もないわけではないのですが、四輪車には作る必要があるとして、そこで 終わってしまう書き方もあったわけで、ちょっとわかりにくいかなと思って入れたところがあり ます。仮に、必ずしも必要はないといった表現で納得していただけるのであれば置いてもいいか なという気がしますが、表現ぶりについては検討させていただきます。できるだけ前向きに書き たいと思います。 ○三井委員 前向きのほうがいいですね。 ○中村委員 その上のハイヤー・タクシー業のところも一緒かなと思います。必要ないと言われ ると、やらなくていいのだということになるかと思います。 ○安井技術審査官 ハイヤー・タクシー業については、もともと計画的という業態ではないかな と思います。これはかなり断言していいのではないかというのはあります。 ○中村委員 前のところでもどこかにあったかと思いますが、例えば業態によっては点呼ができ ない、計画などできないという所もあるのですが、もともとの趣旨は、誰でもそんなことはでき ればやりたくない、面倒くさいし、計画どおりできるかどうかわからないところはやりたくない が、やったほうが効果的だというバックグラウンドがあって、それでやりましょうと言っている わけです。  そういった意味では、例えばお客さんをポンと乗せて、どこからどこまで行ってくださいと言 われたときに、「はい」と言ってスタートして、そこでどのルートかがわかっていれば、あの辺 に危険な箇所があるとか、大体何分ぐらいで着けるなどといったことを、本社と連絡を取るかど うかは別として、計画を立てるまではいかなくても見通しを立てるというところは、たとえ新聞 配達業であってももっと取り入れてほしいという感じはあるのです。そのような意味からいく と、ここの文面も「必要ない」と言ってしまうよりは、「必ずしも必要はない」という表現に柔 らげることができるのであれば、そのようにしていただいたほうが、必要ないと言い切ってしま うよりはいいのかなという感じも少しするのですが、いかがでしょうか。 ○高田オブザーバー 確かに走行計画という言い方をどこまで捉えるかということがあるかもし れません。ハイヤー・タクシーにおいても、事業者は過労防止の観点から、乗務割り、乗務時間 をきちっと定め、当然改善基準告示を守り、過労防止、健康状態を考え、勤務時間なりを定めて いくというのも、広い意味では計画と言えば計画だろうと考えられます。確かに、言い方はある かもしれません。意図としては日転換、1日これで走れということではないからと。大体速度を 考えて、逆算してどれだけの距離、時間ということではないかもしれませんが、広い意味での1 日当たりの勤務時間がどうだというのは、事業者が過労防止の観点から定めるということに変わ りはないので、その辺りでいい表現はないかなと思います。 ○安井技術審査官 おっしゃっているのは計画の定義ですね。 ○高田オブザーバー そうです。 ○安井技術審査官 要するに、就業時間だけ書いてあるような計画というのが認められるのか。 まさに言葉の定義の問題もありますし、おっしゃるように、後ろ向きな表現は避けたほうがいい と思いますので、表現ぶりは検討させていただきます。 ○根本座長 走行計画の定義は3頁に書いてありますが、ここでは地点などが割とはっきりする ようなものを走行計画として定義しているのですか。 ○安井技術審査官 (5)がある限りはそうですね、走行経路がありますので。 ○根本座長 これを全部書いていないと計画と呼ばないのか、これの一部分を書いていても計画 なのかということは、読んでいてもあまりはっきりしないです。地点が書いてあるものを走行計 画と呼んでいるような感じです。 ○安井技術審査官 そうですね。最低限(1)です。スタートがどこで終わりがどこだということな しに計画と言うのかというところがありますが、タクシーは事業所から出発して事業所に帰って くるではないかと言われればそうなので、計画の定義に基づいて検討させていただきます。 ○根本座長 よろしければ、全体を通して何かご意見があればお願いいたします。 ○鶴田安全衛生部長 10頁の「荷役作業」の「調査結果等」の(1)、(2)についてですが、この委員 会の結論としてはどちらの意見が大勢ですか。明確な関連がないという立場なのか、影響がある という立場なのかによって、基本的事項のガイドラインの荷役作業に対する配慮の前に書くか、 書かないかというのがあると思うのです。関係がないから荷役作業をさせてもいいという立場な のか、関係があるとすれば、そのような報告があることからそのようなことをさせるに当たって は云々と書くかどうかご議論いただきたい。 ○安井技術審査官 (1)の調査結果では、荷役作業の実施頻度、強度、負荷について、特に最後の 頻度については有意差が明確に出ましたので、関連がないとは言えないと認識しております。た だ、なぜそうなのかというところで、要するに疲労という問題があるわけですが、疲労という観 点でいうと、あまりきれいな調査結果がなかったので、因果関係は不明ながら、作業の頻度と事 故には有意な関連があることから、入れるべきだろうと考えております。ただ、記載内容につい ては、例えば休憩時間と疲労の関係など、その辺りははっきりしておりませんので抽象的な表現 に留まっているというのが実態です。 ○鶴田安全衛生部長 右側の詳細事項に書く話か、左側の荷役作業に対する配慮の間、つまり事 業者の上にそのことを書くか、書かないかということです。基本的には問題があると考えるの か、問題はないと考えるのかということです。 ○中村委員 荷役作業について1つ間違いなく言えることは、かなり強度の高いものを、ほぼ毎 日とか、ほぼ毎回繰り返し続けることによって疲労が蓄積していくことは、安全運転には悪影響 を及ぼすということは間違いありません。ただ、短期間のスパンで見ていった場合、運転そのも のは、身体的負荷というよりは認知的負荷のほうが重要性が高いものですから、逆に、途中で荷 役作業のような身体的な活動を行うことによって、認知的なパフォーマンスが向上するという研 究結果もあるのです。そういった意味では、荷役作業は一切やらせずに、運転業務だけに集中さ せろといったニュアンスになってしまったのであれば、それはまた問題が非常に出てくるところ だと思うのです。ここは荷役作業によって疲労が蓄積していって、ひいてはそれが運転業務とい う認知的な作業へのパフォーマンスにも、悪影響を及ぼすような状況は、未然に防止しましょう といった解釈をしていますので、あえて書かなくてもいいのではないかという気がしています。 ○安井技術審査官 あえて書かないとはどのような意味ですか。 ○中村委員 例えば、荷役作業というのが事故の発生に正の関連があるなどといったことは、あ えてこのガイドラインの中には入れる必要はないだろうということです。本当に言いたいのは、 荷役作業に対する配慮の部分ですから、それなりにしんどい荷役をやらせたのであれば、ちゃん と休ませてください、できればそういった負担は減らしてくださいということだと思います。 ○安井技術審査官 そうすると、いまは書いていますが、詳細事項にも書かないほうがいいとい うことですか。 ○中村委員 この表現であれば問題はないと思います。確かに、このようなデータがそのような ところを認める調査結果があるというわけで、ここではそれ以外の調査結果を認めないとは言っ ていないわけです。今後ほかの調査結果もわずかながら出てくる可能性はあるわけですが。 ○安井技術審査官 そのような意味では、ここはエビデンスがやや弱いところですので、詳細事 項の書き方はトーンをちょっと落としてもいいかもしれないです。 ○根本座長 今日も意見をいくつかいただき、だんだん微修正段階になってきていると思いま す。あと1回予定されておりますので、最後の会で確認して仕上げることになろうかと思いま す。追加意見等があれば、事務局宛にメールでご連絡くださいとのことです。事務局から皆様に 何かお伝えすることがあればお願いいたします。 ○安井技術審査官 座長がおっしゃったように、この回で最終回にできればと思っておりました が、まだ修正があることと、業界ヒアリングが関連のある業界を完全にやり切れていないという のがありますので、2月27日という日程でもう1回開催させていただきたいと思います。それまで にヒアリング等を完了させて、報告書案というきちんとした形でお出しし、最終的なご議論をし ていただきたいと考えております。 ○根本座長 2月27日(水)の10時からということですか。 ○安井技術審査官 はい。 ○根本座長 場所は決まっていますか。 ○高橋副主任中央作業安全専門官 場所については別途ご案内させていただきますが、5階の会 議室で開催する予定です。 ○根本座長 本日は以上で閉会いたします。どうもありがとうございました。