08/01/18 第1回看護基礎教育のあり方に関する懇談会議事録 第1回看護基礎教育のあり方に関する懇談会議事録 日時  平成20年1月18日(金)15:00〜17:00 場所  はあといん乃木坂213号 −健保会館− 委員  井部俊子、尾形裕也、梶本章、田中滋、寺田盛紀、矢崎義雄     (敬称略 五十音順) ○石原課長補佐 ただいまから第1回「看護基礎教育のあり方に関する懇談会」を開催 いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず当懇談会にご出 席いただき、誠にありがとうございます。司会を務めさせていただきます石原と申しま す。  会議に先立ちまして、医政担当審議官の木倉よりご挨拶申し上げます。 ○木倉審議官 審議官の木倉でございます。本来ならば医政局長外口が参りましてご挨 拶を申し上げなければいけないのですが、どうしても今日出席できませんので、代わり ましてご挨拶を一言申し上げます。本日はご多忙のところ、この看護基礎教育のあり方 に関する懇談会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、委員の皆 様方には平素より厚生労働行政全般にわたりましてご協力を賜っておりますことを、こ の場をお借りしまして心より感謝申し上げます。  ご案内のとおり、医療をとり巻く環境は大きく変化しておりますが、特に医療制度は 大変大きな転換期だろうと思います。医療計画の策定、実際に今も進めていますが、4 月から本格施行ということであります。医療構造改革全体、高齢者の制度等々、すべて この4月からスタートするところを迎えています。今年は、この数年の医療に関する大 きな改革の流れ、大きな節目を迎えることになる年であろうと思っています。その中で、 厚生労働省全体では、大臣の指揮の下で、「安心と希望の医療ビジョンの策定」を進め ているということで、将来を見据えた議論をしっかりしておかなければいけないと思っ ています。その中で看護をとり巻く状況は大きく変化をしているわけでして、急性期医 療の充実あるいは在宅医療の推進、習慣病対策、介護予防等々、看護職の皆様方さまざ まな場での役割が大きく期待されているわけです。昨年の春にとりまとめていただいた 「看護基礎教育の実施に関する検討会の報告書」の中では、将来を見渡す観点からの教 育のあり方に関して、その抜本的な検討を別途早急に行っていく必要があるというご指 摘をいただいています。このような動きを受け、この懇談会でご検討をお願いするに至 った次第です。委員の皆様方におかれましては、将来に向けました看護職員のあるべき 資質でありますとか、その資質を育成していくための基礎教育のあり方について、高い 見地からのご指摘、ご議論を賜りますように、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○石原課長補佐 次に、看護課長の野村から委員の皆様及び事務局の紹介をさせていた だきます。 ○野村看護課長 看護課長の野村でございます。委員の皆様方には、この度懇談会の開 催に快く委員を引き受けていただきまして、誠にありがとうございます。委員のご紹介 を申し上げますが、名簿は資料の2枚目にございます。  初めに、本懇談会の議事の進行・とりまとめをお願いする座長は、私の正面におかけ ですが、慶応義塾大学大学院経営学管理研究科教授の田中滋委員です。どうぞよろしく お願いいたします。  引き続き委員のご紹介をいたします。田中座長の右手からですが、聖路加看護大学学 長の井部俊子委員です。そのお隣りが、九州大学大学院医学研究院教授の尾形裕也委員 です。窓際のほうに飛びまして、朝日新聞社論説委員の梶本章委員です。そのお隣りで すが、名古屋大学大学院教育発達科学研究科長・教育学部長の寺田盛紀委員です。その お隣りですが、独立行政法人国立病院機構理事長の矢崎義雄委員です。  続きまして事務局の紹介をさせていただきます。先ほどご挨拶を申し上げました医政 担当審議官の木倉です。私の右隣りになりますが、医政局総務課長の二川です。逆、左 隣りですが、看護職員確保対策官の小野です。なお、オブザーバーとして、文部科学省 高等教育局の三浦医学教育課長に出席していただく予定ですが、本日別の会議というこ とで20分ほど遅れてまいりますので、その後出席することといたしたいと思います。 以上で紹介は終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○石原課長補佐 それでは田中座長には一言ご挨拶いただきたく、よろしくお願いいた します。 ○田中座長 この度、本懇談会の座長をさせていただくことになりました慶応大学の田 中です。改めまして、よろしくお願い申し上げます。前回の看護基礎教育の充実に関す る検討会に比べると人数もずっと少ないですし、逆に話しやすいかもしれませんので、 皆様のご協力を得て、将来を担う看護師職員の養成について、実のある議論をしてまい りたいと存じます。どうぞご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○石原課長補佐 ありがとうございました。冒頭の写真撮影はこれで終了させていただ きます。なお、会議中の写真撮影、ビデオ撮影及び録音はできませんので、よろしくお 願いいたします。カメラの方は退席お願いします。  議事に入る前に、本懇談会の議事の公開の扱いについて説明をいたします。本懇談会 は公開で行い、各委員から提出された資料や議事要旨についても、厚生労働省ホームペ ージ等で公開いたしますので、併せてご了知ください。以降の議事進行については、田 中座長によろしくお願いいたします。 ○田中座長 では早速議事に入ります。事務局より資料の確認をお願いいたします。 ○小野対策官 クリップで止めてあります大部な資料ですが、恐縮ですが外していただ き、右肩、資料1「看護基礎教育のあり方に関する懇談会について」という2枚紙があり ます。次に、分厚い資料ですが、資料2-1「看護の状況等について」です。その次に、 1枚紙で資料3「看護基礎教育と卒後研修(新人看護職員)の位置づけについて」があり ます。資料4として「今後の進め方について」が1枚。その次に、右肩に参考資料(1)「保 健師助産師看護師法の抜粋」の1綴りが1つです。最後に、冊子になっている参考資料(7) 「看護基礎教育の充実に関する検討会報告書」がついています。もし、不足等ありまし たら、事務局のほうまでよろしくお願いいたします。 ○田中座長 よろしいですね。もし不足等ありましたら、事務局までよろしくお願いい たします。  資料1に基づき、この懇談会の趣旨についての説明からお願いします。 ○小野対策官 資料1をご覧ください。資料1では、この懇談会の設置趣旨を書いていま す。我が国におきましては、現在約130万人の看護師をはじめとした看護職員の方々が、 医療の現場でさまざまな役割を果たしておられますが、少子・高齢化の進展や医療技術 の進歩の中で、その役割は、ますます重要なものとなると見込まれています。特に、後 ほど資料でも説明いたしますが、今後の高齢化の進展とともに、いわゆる多死社会の到 来を控え、看護職員の資質の向上が一層求められるところです。本年4月にとりまとめ られました「看護基礎教育の充実に関する検討会報告書」においても、「今後、将来を 見渡す観点からの望ましい教育のあり方に関する抜本的な検討を別途早急に行う必要が ある」と指摘されているところです。  これを受けて、さまざまな医療制度の変革といったものも視野に入れつつ、将来にお いて看護師を中心とした看護職員に求められる資質について議論するとともに、その上 で、少子・高齢化等我が国の社会構造の変化を踏まえ、そうした資質の高い看護職員を 養成していく上での看護基礎教育の充実の方向性について、幅広い観点から議論を行い 論点を整理することを目的として、この懇談会を設置しました。看護師を中心とした看 護職員に求められる資質というものをご議論いただき、その上での看護基礎教育の充実 の方向性について論点を整理することを目的とし、懇談の内容としたいと考えています。  議論の整理のタイミングとしては、この懇談会、一応の目処ですが6月頃を考えてい るところです。懇談会の委員としては、本日お集まりの先生方です。また、懇談会の位 置づけとしては、厚生労働省医政局長の私的懇談会として省内の関係課、あるいは文科 省高等教育局医学教育課のご協力をいただき、私ども医政局看護課で事務局を担当した いと考えているところです。以上です。 ○田中座長 ただいまの資料1の説明について、何かご質問おありでしょうか。特にな ければ、また、もし思いついたらいつでも質問をしていただくことにし、具体的な中身 である議論に入りたいと思います。最初はちょっと分厚いですが、資料2、資料3を使っ て、現在の看護に関する状況について、一当り私ども理解をしてから議論したいと思い ます。では、用意された資料についての説明をお願いいたします。 ○小野対策官 資料2-1をご覧ください。資料2については、今回の懇談会でのご議論を いただきます前に、先生方に共通のご理解を賜りたいということで、基礎的な資料を整 理し提示しているところです。大変基礎的な資料ばかりですが、一通り説明いたします。 頁数は左側になっています。  2頁目資料2-1ですが、最初のほういくつか人口推移に関する資料を提示しています。 過去から未来にかけて中長期的なデータをお示しする中で、こういった状況下において 求められる看護職員の資質についてどういったものなのだろうかということについて、 先生方のご意見を賜るきっかけにしたいと考えているところです。  まず2頁目の資料は、1950年からの人口総数の推移と2055年までの長期推計、及びそ の中における人口階層ごとのシェアを表したものです。総じて、我が国は人口減少局面 に入っております。今後一層少子・高齢化が進展すると予想されていることを、端的に 物語った資料となっています。3頁目は平均寿命の推移、男女別で国際比較で示したも のです。左側が男性、右側が女性ですが、男性、女性ともにG7諸国の間でいちばん高い 数字となっています。  4頁目は、人口ピラミッドの将来にわたる変化を示したものです。左側が2005年の実 績、真ん中が2030年、右が2055年となっています。例えば、いま現在21歳、看護師養成 所を卒業されて看護師1年生、21歳22歳の方がいちばん若い方でなるわけです。 そうした方は、真ん中2030年では22年後ですので43歳、2055年には68歳になります。 2055年はさすがに遠過ぎる部分があるかと思いますが、2030年という20年後の未来にお いては、そうした方は43歳という年齢で、現場でご活躍されます。いま小学校6年生、 12歳のお子さんたちが22年後にはちょうど34歳になります。今年生まれのお子さんは22 歳ということで、看護師1年生ぐらいになるわけです。そうした10年後、20年後の将来 において中核的な位置を占める看護職員に対してどういった役割が求められるのか、ま たそれについてどういった資質の看護職員を養成していくべきか。免許を取る前の基礎 教育にはどういった内容の教育が求められるのかを、この懇談会でのご議論の際の視点 としたいと考えているところです。  5頁は18歳人口の推移、同じデータベースに基づくものです。いちばん左が現在です。 今後18歳人口はますます減少していくことが見込まれ、2030年、4頁の人口ピラミッド でいうと、4頁の真ん中のグラフの年には現在の3分の2の90万人弱に減少することが見 込まれています。こうした中で1学年の人口が減り、一方において高齢化も進展してい く中で、看護職員にはどういった資質が求められるのだろうかといったこともご議論 を賜れればと思っています。  次の2枚は死亡に関するデータを示したものです。  6頁目は、死亡数の年次推移と推計値です。約30年後の2040年には年間死亡数が約166 万人、いわゆる多死社会といわれるような時代を迎えることが予測されています。7頁 目は、医療機関における死亡割合の年次推移です。亡くなる場所について、医療機関で 亡くなる方の割合がトレンドとしては年々増えているところです。こうした状況下にお いて、私どものほうでは在宅医療を進めていきましょうということで施策も進めていま すが、そうした中で看護職員に求められる資質、役割といったものについてもご議論を 賜れればと思っています。以上が人口に関する資料です。  資料2-2は保健医療福祉制度に関する状況についてです。ここ数年の保健医療福祉政 策の流れについて、大まかにご覧いただくための資料です。9頁目は縦形ですが、近年 数年の看護に関係する、保健医療福祉の主な法や制度等の施行の変遷を簡単にまとめた ものです。平成12年の介護保険法の施行、また平成17年に介護保険法の改正があります。 平成18年の医療制度改革関連法、こうしたものは医療福祉の現場に関わる大きな改正で す。また平成15年の健康増進法の施行、あるいは心神喪失者等医療観察法、児童虐待の 防止等に関する法律の施行、障害者自立支援法といった制度は、保健分野も含め、多様 な広がりを持った内容のもので、それぞれの中で現場の看護職員の方々に求められるも のがあります。そうした中で、看護職員の資格などを定めている「保健師助産師看護師 法」については、平成14年、平成18年の2回、制度改正がありました。  10頁目は、平成18年度の医療制度改革法、先ほどの年表で下のほうにあったものを示 しました。左側の水色の囲みの中に、その際の基本的な考え方が整理されています。特 に、今回の話に関連の深いところでは、1の(1)の患者の視点に立った安全・安心で質の 高い医療が受けられる体制の構築、あるいは(2)の生活習慣病対策の推進体制の構築と いった考え方を示しています。また(1)の中で、急性期や慢性期といったような医療機 能の分化・連携の推進、あるいは患者の適切な選択の支援、または在宅医療の充実とい った方向性も示した上で、制度改正を行ったところです。  11頁目の資料2-3は、看護職員の状況についてです。データで看護職員の最近の状況 を示しています。最初のグラフは1960年(昭和35年)からの看護職員の就業者数の推移 を長期的に示したものです。就業者数ということですので、ライセンスを持っていなが ら就業していない方はここには含んでいません。いちばん右の平成17年で看護師、准看 護師、保健師、助産師、合計で約130万人が就業しています。先ほどの人口のデータで、 平成16年の人口のピーク時が約1億2,800万人、日本国民の全体ですので、国民の約100 人に1人が看護職員として従事されています。ご覧のように、看護職員の中でも看護師 の伸びが高くなっており、看護師と准看護師の比は、現時点において約2対1です。13頁 目は、その看護職員の方々130万人がどこで働いているかを円グラフで示しています。 約6割強の方が病院、2割強の方が診療所で、これらの方で8割5分、次に多い介護施設等 の8%で、合計130万8,409人が直近の働いている方の数です。  14頁目と15頁目は、最近5年間の職種ごとの就業場所別の就業数を数字で示したもの です。14頁目は、保健師、助産師、看護師、准看護師を合計した数値と、保健師だけの 数値があります。15頁目は、助産師と看護師プラス准看護師の数値がそれぞれあります。 16頁目は、そうした看護職員の就業者の実数を年齢階級別に示したものです。看護師は、 ご覧のとおり若年の就業者数がピークになっています。准看護師のほうは、もう少し年 齢の高いところ、45歳〜49歳が就業者数のピークになっています。  17頁目は、平成17年12月に作成の第六次看護職員需給見通しです。先ほどの保健師、 助産師、看護師、准看護師を合計した看護職員の数に関する需給見通しで、需要のほう は各都道府県に私どもからお願いをし、そこで医療機関に対して調査をした数値を積み 上げたものです。供給のほうの数値は、私どもで推計をしたものです。いちばん下の2 つの欄、いちばん下から2つ目が、需要のほうと供給のほうの差で、供給が需要を満た せていない数です。その充足率がいちばん下にあります。こうした需給見通しがあると いうことです。  18頁目の資料2-4ですが、看護教育の現状についてです。19頁目は、看護教育制度図 です。これが現状を最もよく要約した資料になっていると思っています。看護師、助産 師、保健師が上にありますが、左の上の看護師の国家試験を受けるまでのルートが、こ の下に書いてあります。大きく分けて3つに分立しています。左下の高等学校を卒業し て看護師学校養成所に行くルートが1つ目。2つ目は中央にありますが、中学を出てから 一貫教育校などを5年かけて卒業するルート、3つ目は右側にありますが、准看護師にな った上で看護師学校養成所2年課程を卒業をするルートです。まず左の看護師学校養成 所3年課程ですが、「大学」と書いてあるのは4年制大学の意味です。4年制大学と短期 大学、養成所(いわゆる専門学校などの養成所のこと)の3つがあります。1学年が約3 万6,000人となっています。比率としては、4年制大学で4年間勉強して国家試験を受け られる方が約3分の1弱です。短期大学の場合は2年ではなく、いわゆる専攻科という呼 び方をしますが、3年間の課程での短期大学になります。この短期大学あるいは養成所 で3年勉強して国家試験を受ける方、養成所の中には一部4年の所もありますが、概ね3 年です。 そうした所で勉強されている方が、約3分の2強です。いちばん右にあります看護師学 校養成所2年課程を卒業するルートの方は、いま現在1学年1万4,000人の方が勉強され ています。こうした方々と、あと真ん中の5年間校のルートの方が3,500人います。こ の3,500人と1万4,000人とを合わせた約1万8,000人の方が、左の3年課程ルート以外で 国家試験を受験されることになります。左の3年課程組と右側の2つのグループのシェ アは、おおよそ2対1です。概ね90%程度の合格率で看護師になるというのが、現在の 看護師の養成の基本です。即ち左側の約3万6,000人の方と右側の約1万8,000人の方と の合計の5万人強の方が受験されて、9掛けですので4万5,000人強の方が看護師1年生と して毎年合格しているというのが、大体の数字です。  保健師と助産師ですが、規則上は半年、実際にはほとんどの学校が1年以上の専門教 育をした上で、国家試験受験資格を得ることになります。保健師、助産師については、 4年制大学においては看護師だけではなく、保健師のほうの教育も行うことになってい ます。4年制大学における助産師ですが、4年の中で行われている所もありますし、外 で行われている所もあります。20頁目は、19頁の左側のルートの学校養成所の設置主 体別の分布です。上のほうにある大学や短大は、学校法人が多くて、次には国等とあ りますが、公立学校です。一方養成所については、そうした所に加えて、公的とあり ますのは、いわゆる公的病院といわれる所や医療法人、医師会、社会福祉法人といっ た所も、看護師養成所の設置主体となっています。21頁目と22頁目ですが、21頁目が 看護師等学校養成所の施設の数、何校学校があるかというデータです。22頁目は同じ 分類で、1学年の定員がどうなっているのかというグラフです。同じ色で同じほうに示 しています。21頁目で説明しますと、上の図は保健師、助産師、看護師3年課程です。 看護師3年課程は、19頁のフロー図でいうところの左側のグループです。看護師3年課 程、看護師2年課程、看護師5年一貫、准看護師、それぞれの学校数です。看護師3年課 程の学校数が、中でも伸びが大きくなっているのは見ていただけると思います。下の 図は、看護師3年課程のうち、大学、短大、養成所の数がどうなっているかですが、3 年課程の養成所は横這い、やや微増です。赤い線の大学はかなり急増ともいえる数で 増えていますが、短大は若干減っています。同様の傾向が22頁の1学年の定員数で見る と、下の図での大学、短大、養成所のトレンドの違いが、より明確な形でグラフのス ケールの形として出てきているところです。  23頁目、資料2-5からは、看護師等基礎教育の内容についての資料です。24頁目は、 看護師3年課程の教育内容の変遷のグラフです。昭和26年にいまの文部科学省と厚生労 働省の共同省令の看護師等の学校養成所を指定するための規則である保健師助産師看護 師学校養成所指定規則、私どもは「指定規則」と言っておりますが、こうしたものが制 定されています。当時はご覧のように、この輪切りになっているものですが、基礎分野、 専門基礎分野、専門分野、実習、合わせて3年間で5,077時間でした。その後、いまに至 るまでに3回にわたる改正があり、21年に4回目の改正が予定されているところです。  昭和42年の第1次改正について、オレンジ色の四角で書いてある所の言葉を補足する ような形で説明します。今まで昭和42年の前までは、例えば内科学及び看護法である とか、小児科学及び看護法というように、医学モデルといいますか、医学のことの看 護法ということで、教育の内容が規定されていました。それを例えば、成人看護学、 小児看護学といったような形で、専門科目として看護学を独立させるような改正が行 われました。 実習については、その当時までは授業のほうと特に関連がつけられていませんで、例え ば内科の実習とか小児科の実習というような形で、診療科ごとに実習が義務づけられて いたのを、○○看護学の実習というように、先ほど成人とか小児とか申しましたが、そ うした○○看護学の実習と体系づけた改正が、昭和42年にあり、併せて時間数の短縮が 図られました。  次の平成元年の改正ですが、今までは専門科目として薬理学や病理学といったものも 位置づけられていたのですが、そうしたものは専門科目からは外し、専門科目は看護の 関係の科目に限るといった改正をしました。あるいは精神保健とか老人看護学を新たな 科目として立てました。あとは総時間数を減少し、カリキュラム上のゆとりが強調され た改正がなされました。  次の平成8年の改正ですが、今までは、例えば小学校でいいますと、国語とか算数と かいうような形で、基礎看護学とか精神看護学とかいいまして、教育の中身を科目とし て決めていたわけですが、これを科目ではなく教育内容であると規定をし直し、学校ご とに科目については自由の裁量が認められるようになりました。その他にも、在宅看護 論を含めるなど、教育内容を充実したり、あるいは単位制を導入しました。統合カリキ ュラムは何かといいますと、先ほどいいました看護師の勉強だけではなく、看護師プラ ス保健師での勉強でのプログラムを組むような、養成所における統合カリキュラムです が、そうしたものの提示などがされました。平成21年にここに掲げられているような改 正を予定していますが、これについては後ほど説明したいと思います。  25頁目は看護教育の変遷という歴史の資料です。大正4年に遡り、看護婦学校養成、 講習所の時代からの看護教育の変遷で、昭和50年以降までという形で模式図化した資料 です。古い話の詳細は省略させていただきたいと思いますが、左下にありますように、 昭和23年(1948年)に保健師助産師看護師法が公布されています。創設当初で、制度が 落ち着く前までに、例えば、甲種看護婦、乙種看護婦とあったのを、准看護婦と看護婦 と2本立てにするとかはありましたが、根本的に大きな制度の体系を変えるような改正 はなかったところです。「保健師助産師看護師法」は、今年で交布してから60年を迎え ることになっています。26頁目は、25頁の看護教育の先ほど模式図にしたものを言葉に して若干説明を加えたところです。大正4年から昭和22年、昭和26年、昭和42年、平成 元年、平成8年となっています。説明は省略いたしますので、またお目通し賜れればと 思います。  27頁目と28頁目は、いまの保健師助産師看護師養成所あるいは大学のほうで、どうい う教育内容をミニマムでやっているかというものです。具体的には、先ほども説明しま した文部科学省と厚生労働省の共同省令である「指定規則」で、ここまでは決めている というところです。これは文部科学省のほうで所管されている大学や短大あるいは5年 一貫校、厚生労働省のほうで所管している養成所、両方に該当するものです。ここにあ るような教育内容での教育が学校でなされているところです。左側がそれぞれ現行で、 右側が平成21年からの改正内容です。28頁目は同じような形で、保健師と助産師につい て、現行のものと平成21年度からの改正内容です。  29頁目は、看護基礎教育の充実に関する検討会報告書です。先ほど説明を省略させて いただいた平成21年からの基礎教育の改正について、説明をしたものです。冒頭の四角 にありますように、これは現行の教育期限の範囲内、看護師3年、保健師・助産師各半 年となっています。実をいいますと、「保健師助産師看護師法」という法律の中で3年、 それぞれ半年と規定がされているところですが、その範囲内での改正で、現下の問題に 速やかに対応するためのものです。看護師教育、保健師教育、助産師教育、それぞれこ こに書いてある内容での改正です。例えば看護師の教育であれば、統合分野・統合科目 を創設し、臨床での実践を意識した教育内容を充実するということ。あるいは保健師、 助産師、看護師それぞれ各分野での教育内容を充実するとともに、必須の技術項目と卒 業時の到達度を明確にするような改正をしています。  一方において、この検討会では人口の変化、医療に関する変化、そうした大局的、長 期的な視野での検討というものが若干不十分な面がありましたので、いちばん下の緑の ところに書いてありますように、我が国社会と保健医療福祉制度の長期的な変革の方向 性等、将来を見渡す観点からの望ましい教育のあり方に関する抜本的な検討を別途早急 に行うと、とりまとめられているわけです。こうした流れを踏まえて本日の懇談会を開 催させていただいている次第です。  31頁目、資料2-6は、最近の主な検討会における看護基礎教育に関する提言です。ま ずは、平成15年の新たな看護のあり方に関する検討会の報告書です。これは、今日委員 でご出席いただいている井部先生に参加をいただき、おまとめいただいたものです。 その中でも、こうしたことについてさまざま提言されています。例えば、3つあるうち の真ん中、「看護基礎教育の内容の充実について」では、「看護師等の判断力や責任能 力を向上させるとともに、更には豊かな人間性や人権を尊重する意識の涵養、コミュニ ケーション能力の向上が求められており、看護師等の養成のあり方についての様々な課 題に取り組んでいく必要がある」というような指摘をいただいています。  次に2番ですが、これは先ほど説明しました平成18年の医療法などの一部を改正する 法律案、これについて参議院のほうで付帯決議をいただいています。その付帯決議を引 いたものです。その中で「医療の高度化、チーム医療の推進、安心・安全な医療の確保 など、医療をめぐる状況の変化や国民のニーズを踏まえ、質の高い医療従事者を育成す るために、教育や研修の在り方について必要な検討を行うこと。医療の現場において看 護師が果たす重要な役割に鑑み、大学教育の拡大など教育期間の延長を含めた看護基礎 教育の在り方について検討する」、そうしたご指摘をいただいています。  32頁目は、医療政策の経緯、現状及び今後の課題についてです。厚生労働省の長い内 部組織の名前が書いてありますが、要は私どもとして、先ほどの医療法改正の後、ポス ト医療法改正における医療政策の今後の課題などを、当時の段階でまとめたものですが、 看護職員を含めた関係職種の資質の向上、役割分担のあり方を検討する必要がある。あ るいは医師と看護師との間でプロトコールを作成する中で、看護師に委ねる部分は委ね る形で連携していくことができるよう、看護師等の資質の向上を図る必要があるといっ たことを盛り込んでいます。  あと参考資料では、参考資料(1)から(7)までまとめています。参考資料(1)は法律の条文 です。参考資料(2)の5頁目は、先ほどのミニマムで教える教育内容を「指定規則」と書 いていましたが、それをさらにブレイクダウンしたものを厚生労働省の所管のところに つきまして、行政指導の形で運用している「留意点」としてより深く書いたものです。 9頁目の参考資料(3)は、学校教育法の抜粋です。大学や短期大学の考え方などを整理し たものです。10頁目は、諸外国における看護基礎教育制度の概要ということで、簡単に 整理したものです。11頁目と12頁目は、保健医療関係の他職種との比較です。11頁目は、 数多くの資格について、教育の機関とか修業年限の比較です。12頁目は、医師と歯科医 師と看護師、3職種の数の推移を示したものです。  最後に、資料3を簡単に説明します。資料3は、看護基礎教育と卒後研修(新人看護職 員)の位置づけについてです。これは下の図がいちばん端的なものです。水色の部分、 左側の免許を取る前の学生時代における研修、右側のピンクの免許取得後の研修につい て、それぞれ考え方を整理した資料です。水色の基礎教育については、ここにあるよう に、免許取得前に習得しておく必要のある知識や技術を教育するということ、もう1つ は、免許取得後も将来にわたり看護職員として成長していくための基礎的な素養を身に 付けることを主眼とした教育というように考えています。また右側のピンクの卒業研修 ですが、免許取得後に実場面における患者・利用者等との関わりを通じてしか培うこと ができないことの習得を主眼とする研修というように整理しています。本日の懇談会で は、この左側の看護基礎教育の部分、水色の部分についてのご議論を中心にお願いした いと思っています。なお、右側の職員研修ですが、これについては、より実務的で具体 的な方法論についてモデル事業などを私どもで行い、また別の場での検討を進めてまい りたいと考えているところです。大変長くなって恐縮ですが、以上で説明は終わります。 ○田中座長 ありがとうございました。膨大な資料の説明でした。いま言われたように、 社会の変化を踏まえて、看護職員に求められる資質がどういうものか、その資質を養う ための看護基礎教育に関する考えについて、委員の先生方、私も含めてそれぞれの知見 を述べることにいたしましょう。まず、ただいまの資料についての質問、またそこから 出てきたご意見があればお願いいたします。 ○梶本委員 単純な質問ですが、資料の12頁で、看護職員の就業者数、働いている人が、 あるいはその次の頁でもいいのですが、大体130万といっていますけれど、免許を持ち ながら働いていない人の人数を参考までに教えていただけますか。 ○小野対策官 私どもの推計では、この130万人の外に、約55万人ぐらいの方が、免許 を持っているけれど働いていらっしゃらない方がおられると推定しているところです。 ○田中座長 テクニカルな質問ですが、13頁等の130万人という数値と、17頁の需給見 通しとのずれは、何か統計の基が違うからですか。 ○小野対策官 13頁のほうは、平成17年の実際に働いている実績値です。17頁のほうの ものは、実は平成17年の末に策定しました平成18年にどうなるかという推計値です。 平成18年の実績値がまだデータが間に合っておりませんので、それがわかりますと、平 成17年の終わりに作った18年の見通しの推計値と、18年の実績値の違いがわかるように なるというところです。 ○田中座長 供給の見通しのほうが少ないですね。17年末ですでに130万人働いている のに、18年の供給見通しが127万ということは、少なくなってしまっていますね。 ○小野対策官 それにつきましては、実績値を取ってみたら、やはり供給見通し、その 17年12月の段階での見通しの数字よりは大きくなっているところですが、供給見通しの ほうはどちらかというか、コンサーバティブといいますか、少しそういう形で見積もり をするようになっているところです。ですので、実績値とのずれが出てくるというとこ ろになっています。 ○野村看護課長 追加をいたしますと、需給見通しは第六次、これがスタートですけれ ども、今までもずっと需給見通しを作っていまして、時々ですが、供給の見通しよりも 実績がより上回ったということが何回かあります。ですので、ここもそのような状況か なと思っています。 ○田中座長 現実の就業状況のほうが多いのですね。はい、わかりました。 ○梶本委員 先ほどの関連ですけれども、念のためですが、免許を持ちながら仕事をし ないという人は、傾向的には増えているのですか。それとも、常に55万人ぐらいずっと プールされているのでしょうか。 ○小野対策官 実は55万人というのは推計値です。免許を取っている人が、例えばいま ご存命であるかどうかは逐一背番号制的に必ずしも統計を取っていないということがあ りますので、申し訳ないのですが、いまのトレンドで言うとどうなのかについてはちょ っとお答えしかねるところです。 ○田中座長 看護師の場合は、ドクターの医籍に相当するものはないのですね。 ○野村看護課長 看護師の籍はありますけれども、その籍を更新していくというシステ ムがありません。ですので、亡くなられた方も、また働いてない方もそのまま残ってい るという状況ですので、データとして就業届というのを取らないと、数値が出てこない 状況です。 ○寺田委員 カリキュラムですが、平成元年辺りからでしょうか、統合カリキュラムと いうのが平成8年から特に強化されたのでしょうかね。この統合カリキュラムの考え方 というのはどういうことなのでしょうか。なぜそういう、従来の専門の枠を超えて総合 化していくのかということについてですが。 ○小野対策官 この統合カリキュラムを提示したということは、学校なり養成所の中で、 看護師と保健師の免許を一遍に取れるようにそれぞれの科目をやった上で、受験資格を 取るような運営の学校というのがあるわけですが、そうした所の教育内容で、看護師の ものと保健師のものを4年間で教えるのであれば、そこは少しお互いの関係を見て、そ れぞれ個別に教えるのに比べて、ちょっと教育内容を変えてもいいのではないかという 考え方があり、こうした統合カリキュラムというものを提示したところです。平成21年 のほうの統合分野というのは、「統合」と同じ言葉を使ってしまっているのですが、ち ょっとニュアンスが違います。平成8年のほうは、そのように職種を超えて、看護師ア ンド保健師、看護師アンド助産師といったものになるわけですが、平成21年の統合のほ うは、先ほど申しましたような感じで、基礎看護学、成人看護学、老年看護学というよ うに分立して、看護学の体系ごとに教えてきたことを、最後におさらい的に統合して、 それらの知識を総合して現場で仕事をしていく上での勉強を最後にするというような意 味合いの「統合」という言葉遣いです。 ○矢崎委員 16頁の年齢構成ですが、我が国では女性の社会的な活躍を促進しようとい うことで、いま大体医師も含めて、一般的にはMカーブといいますか。大学を卒業した 後、あるいは学校を卒業した後に就業率が増えて、出産育児で下がって。しかし、その 後また回復するというMカーブです。外国では、そのMカーブがなくて、ほとんど一定 の年齢、フラットなのです。我が国では女性のMカーブをなくしましょうということな のですが、ところが看護師さんのケースはMカーブすらなくて、一方的に下がって。こ れは、かつて我が国の女性の就業年齢構成がこういうようなものだったので、外国では 実際にどうなっているのか、資料はありますか。 ○小野対策官 2つありまして、1つはこのグラフです。そこは大変ミスリーディングだ った部分があるかとも思いますが、実際に働いておられる方の数の年齢階級です。若い 方のほうが、学校の数が増えたり1学年の数が増えているので、働いている方の実数が 増えている。そうしたことで実数が高く出てしまっています。実は、年齢階級別の就業 状況の、いわゆるM字カーブといわれる、あのグラフを書こうと思いますと、看護職員 でもM字カーブの傾向が出るところです。その上で、国際比較の数字が、Mがどうなっ ているのか、看護職員の場合どうなっているかについてはちょっと探してみたいと思っ ています。私自身いまぱっと思いつくものがありませんので、もし可能な限り次回用意 するようにしたいと思います。 ○寺田委員 いまの話と関係あるのですが、非常に気になっていますのは離職率ですね。 一般的に現在の若者の早期離職というのは非常に顕著なわけですけれども、看護師の場 合もかなり最近そういうことが目立ってきていると思うことがあるのですが、少なくと も3年以内にどれぐらいの離職になっているのでしょうか。 ○小野対策官 離職率の統計としましては、実は3年以内というものが、私のちょうど はまるものがないわけですが、それぞれ、日本看護協会でお調べになっているデータが あります。まず新人、いわゆる1年目の離職率で見ますと、2004年で新人看護職員が離 職率9.3%になっています。同じ日本看護協会でお調べいただいているデータで、2004 年の看護職員全体で見ますと、12.1%となっているところです。 ○田中座長 いまの離職というのは転職を含むのですか。それとも、看護師を辞めてし まったという意味ですか。病院から病院に移ったのも離職ですか。 ○小野対策官 ここは1つの病院をお辞めになった方だと聞いておりますが、そこの定 義につきましても、この資料も含めまして、私ども、日本看護協会にも確認した上で、 次回、詳しい資料をお配りしたいと思います。 ○田中座長 寺田先生、そういうことだそうです。次回もまたデータが出るそうです。 はい、尾形委員。 ○尾形委員 聞き落としたのかもしれないのですが、24頁の教育内容の変遷の所です。 この図を拝見すると、昭和26年と昭和42年で時間数が大きく変わっています。そのあと は多少の変動はありますが、3,000時間台で推移しているのに対し、ここで5,077から 3,370時間へと大変大きな変化があるように見えます。その注にあるように、看護が専 門科目として独立した、あるいは臨床実習が各学科目の授業に組み込まれたというのは わかるのですが、全体として時間数をこれだけ大幅に減らしたというのは、何か背景が あったのか、あるいは政策的な意図があったのか、ということをお聞かせいただきたい と思います。 ○小野対策官 これについても私ども、ちょっと古い資料をめくってみて、直接的にそ うだと、いまのQに対してAが用意されたものがないのですが、参考にした資料によりま すと、このころ問題として表面化してきたと言われていることのまず1つに、昭和26年 の時代には年間の授業数が47週間あったそうで、一般の学校とだいぶ違っていたという ことが当時、問題として表面化してきたとされています。もう1つは、臨地実習、実習 に関しまして、教育目標が明確ではなくて、学生がいわば人員の不足を補うための応援 の人員であると考えられていたとか、そういった指摘があって、当時、そういったこと が問題として表面化してきたということが指摘されているところです。 ○田中座長 質問以外にも、最初に申し上げましたように、これからの看護職員の資質 や、それに相応しい教育のあり方についてのご意見を言っていただくことのほうがむし ろ主眼かなと思いますので、ご自由にお願いいたします。井部委員、どうぞ。 ○井部委員 資料の7頁、医療機関における死亡割合の年次推移です。自宅で死亡する 者の割合が右肩下がりなのですが、在宅医療を支えるということで、訪問看護等のいろ いろな施策はとられてきているのが最近ですが、これは、よく見ると、右肩下がりでも なくなってきたかなと見えるのですが、目を凝らしたらどのように見えるでしょうか。 ○小野対策官 目を凝らして見ると、実を言いますと、医療機関と自宅の2つを足すと、 100にはならないところになっています。100にならないのはなぜかと言いますと、特別 養護老人ホームのような福祉の現場で亡くなられている方は、実はこの青と赤にも入っ ていないのです。そういったところの数値が出てきていて、おそらくそこが少し存在感 を出してきている、というのが「目を凝らして見ると」の数値だと思います。これにつ きましても、今日、元データを用意していなくて恐縮ですが、次回、また、最近の元デ ータの数値をご用意したいと思います。 ○田中座長 いまの訪問看護ですと、17頁の需給見通しには訪問看護というのはないの ですね、現実にはなかなか増えないとはいえ、2万何千人の方が働いていらっしゃいま すが、訪問看護は、需要の側でどこに入るのですか。 ○小野対策官 すみません、いま後ろのほうで調べていますので、わかり次第、私から 答えさせていただきたいと思います。申し訳ございません。 ○田中座長 混乱させる質問をしまして。でも、訪問看護は大変重要な点だと思います ので、1から8にないのならおかしい気がしましたので、お願いいたします。 ○井部委員 いま頁数がわからないのですが、外国の制度の紹介がありましたよね。 ○小野対策官 参考資料(4)の10頁です。 ○井部委員 本論から外れるかもしれませんが、参考資料(4)の10頁に、オーストラリア、 イギリスが、卒後研修制度あり、ありとなっています。これはどのような研修制度か、 もしわかるようでしたら、簡単に説明していただくとありがたいと思います。 ○小野対策官 すみません、これも詳細はまた、少し調べまして、次回、ご報告させて いただきたいと思います。先ほどのご質問の訪問看護ステーションの数ですが、すみま せん、先ほどご指摘いただきました訪問看護ステーションは、需給見通しの本体の資料 の17頁目、(4)の介護保険関係の内訳として入っています。介護保険関係の内訳で申しま すと、介護保険関係の中に何が入っているかと言いますと、いわゆる特別養護老人ホー ムなどの介護老人福祉施設、老人保健施設、介護療養型医療施設と呼ばれる施設、そう いったものに加えて訪問看護ステーションが含まれているところです。 ○田中座長 わかりました。医療保険を使っている場合もありますが、一応、塊として は介護保険に入れてしまって、まとめて統計を作っているということですね。ありがと うございました。 ○井部委員 ただいま説明していただいたのは、性質上、看護に関係するデータが大半 なのですが、一般の18歳人口は、その進学率は、特に女性ですね、どのような進学の傾 向になっているか、わかったら教えてください。 ○小野対策官 大学進学率は、平成17年で、女性の大学進学率が49.8%、大学等進学率、 全体が51.5%、というのが直近の数字です。 ○井部委員 先ほど、新卒者の1年以内の離職率が9.3%とありました。これは日本看護 協会の調査のデータですが、一般の大卒が1年以内に辞める割合はどのようになってい ますでしょうか。 ○小野対策官 すみません、手元に一般ので1年目で辞める率というのはないのですが、 全産業の全部というのは手元にありますので、ご参考になればと思って申し上げます。 全産業の離職率は、看護職員が12.1、12.1といった数字の比較でいきますと、これは大 卒に限らないものですが、17.5%、これは平成17年のデータです。男女で見ますと、男 性が14.6%、女性が21.7%です。いま先生がご指摘いただいたようなデータがあれば、 これも、またご用意して、次回に提示したいと思います。 ○梶本委員 その問題に関連しての考え方です。看護師さんたちの教育の問題を考える に当たっては、卒業したけれども辞めたという人、あるいはならないという人に、なぜ なのかというのをもう少し分析しますと、その教育にどのような問題があるのかという ことが相当浮き彫りになるのではないかと。免許を取りながらそれを利用していない人 が55万人もいるというのは、ほかの職業のほうが魅力があったのかもしれませんが、確 かに社会的にも相当無駄だと思います。ですから、そういう人たちが何をしているのか、 何で看護師にならないのか、そういうこともちょっと調べたほうがいいと思います。 それから、例えば1年で辞めてしまう人、それがどうしてなのかということは、たしか 看護協会もかなり調べたデータを持っているような気もしたのですが、そういうものも 見て、そことその教育、現場との関係がどうなっているのかというのが1つ議論したほ うがいいテーマかなと、いままでの話を聞いて感じました。  もう1つは、ヒアリングという場合にはそういう人たちから意見を聞いたほうがいい のではないかと、そんな感じもちょっとしましたので、念のために。 ○田中座長 ありがとうございます。事務局で検討してまいります。大変重要な点をご 指摘いただいたと思います。 ○矢崎委員 資料2-6の最後の31頁と32頁、いちばん最後の所です。看護基礎教育に関 する提言で、1は、新たな看護のあり方に関する検討会報告書です。これは比較的、方 針と言いますか、そういうものを述べているのですが、3番で、32頁では、今後の課題 について医療職における役割分担のあり方を検討する、あるいは、医師と看護師との間 のスキルミックスができるように看護師等の資質の向上を図る必要がある、と相当具体 的な提言になっていると思うのです。私としては、看護基礎教育を議論するに当たって も、このような具体的な視点を背景にして議論を進めていただければ大変ありがたいと 思います。 ○田中座長 議論の進め方の根本にある視点についてご指摘いただきました。ありがと うございます。  一委員としての質問です。看護教育のあり方を考えるときに、我々大学人としては、 教育のカリキュラム内容や科目も大切ですが、教える側の技量や資質もとても大切だと 思うのです。よい教育をするためには、科目名がよくても教える教員が足りない、ある いは資質が不十分であれば、よい教育などはできるわけがないわけですよね。その意味 で教員、大学のほうはたぶん三浦課長がご存じなのでしょうが、養成所等で教員の方々 が、どういう数がいて、どういう条件でなれて、足りているとか足りていないとか、今 回、そういうほうの統計は一切ないですが、いかがなのでしょうか。 ○野村看護課長 詳細については、次回の懇談会のときにデータをお示ししようと思い ますが、概略で申し上げますと、養成所については、数でいきますと、120名の定員の 場合には教員が8名必要だというような規定が医政局長通知の中に規定されています。 それは、ほとんど満たしているという状況かと思います。  資質につきましては、それぞれの資格の業務を5年間行ったあとに研修、およそ1年間 くらいの研修ですが、教員になるための研修を受けた者といった規定があります。それ 以外にも、大学を卒業した場合にはという例外の規定もありますが、そういった規定の 中で教員というものの資質をキープしているというところです。詳細な文章等につきま しては、後ほど、また資料としてお示ししたいと思います。 ○三浦課長 大学についても、新規に大学を立ち上げるということになりますと、少な くとも12人の教員が必要だと、そのうち半分が教授でなければいけないと。あと、学生 数などに応じて、その数は変わる。また、大学ですので、教員数だけではなく、大学に 相応しい教育環境などが整備されているかどうかということも非常に重要です。そうい う意味では規模的にも、一般の通常の養成所と言いますか、専門学校よりは大きくなる ということです。 ○尾形委員 第1回目ですので、少し一般的な意見を2点ほど申し上げたいと思います。 1つは、資料1のこの懇談会の設立の趣旨の最後に「幅広い観点から議論を行って論点を 整理する」と書いてあります。これは大変結構なことだと思うのですが、その場合、看 護特有の問題とか対策、言ってみれば、部分最適のような議論だけではなく、全体最適 を常に意識していく必要があるのではないかと思います。そういう意味では、今日の参 考資料の中に国際比較、あるいはほかの職種との比較を入れていただいたのは大変結構 だと思うのです。  例えば、今日の資料の13頁に看護職がどういう所に就業しているのかというグラフが ありますが、病院が80万人以上で62%となっています。看護のほうから見ると確かにこ ういう数字ですが、逆に病院でどういう人が働いているのかという観点から見ると、例 えば一般病院の平均ですと、病床100床当たり、全体の職員数は110人ぐらいだと思うの ですが、そのうち、おそらく50人ぐらいが看護職ということになります。看護職は最大 の専門職集団なわけで、まさに病院の死命を制していると言ってもいいような圧倒的な ボリュームを持っているわけです。ですから、看護のほうから考えるということと同時 に、一般的な医療、あるいは医療機関ではどういう位置づけなのかという、両方から考 えていく必要があるというのが1点です。  もう1つは、今日の資料の29頁、看護基礎教育の充実に関する検討会の報告書の最後 に緑の枠で「看護基礎教育の方法や内容、期間については云々」と書いてあります。 確かに方法、内容、期間といったことの検討が必要なのだろうと思うのですが、これは 言ってみれば、ストラクチャー、プロセス、アウトカムという言い方がよくされますが、 その中で見るとプロセス、あるいはストラクチャーに関わるような話だろうと思います。 しかし、最終的にはやはりアウトカムを良くしないといけないということだろうと思う のです。そういう意味では、アウトカム、成果をどのように考えるか、あるいは、それ との関係でこういうプロセスをどう変えていくかという視点が必要なのではないかと思 います。 ○田中座長 先ほど来、出ている考え方の視点をまた1つ別の角度から言っていただき まして、ありがとうございます。第1回ですので自由なご意見を伺いたいので、思いつ きましたら、どうぞ何でもお願いいたします。 ○井部委員 同じ29頁の緑色の所ですが、我が国社会と保健医療福祉制度の長期的な変 革の方向性といったようなものを見渡して考えるということになっていますので、我が 国の社会、あるいは保健医療福祉制度がどのような方向でいくのかということについて も、少し検討する必要はあろうかと思います。医療の現場から見ますと、平均入院日数 がどんどん短くなっているので、一般の人たちが一生のうちに保健医療福祉の問題を抱 えた場合にどこで過ごすのかということを広く考えてみると、病院ではないのではない かと思います。そうした将来展望を見越して、そのようなニーズに応えるための看護師 の基礎教育ということも、少し先を見た上で考えていかなければならないのではないか と思います。 ○田中座長 2030年の医療提供体制のあり方は今とは違うはずですから、それを今から 踏まえて教育のあり方を考えよう、ということですね。ありがとうございます。 ○井部委員 もう1つ、この文章に「抜本的な検討」とあります。厚生労働省は「抜本 的」というのがお好きなようですが、その「抜本的」でない答案が結構多いので、今回、 この「抜本的」というのはどういう意味を込めて使っていらっしゃるのか、教えていた だければありがたいです。 ○小野対策官 実は、この緑の所はちょっと端折った表現になっています。端折る前の ものは、お手元の参考資料(7)の27頁にあります。  「抜本的」の思いですが、要は、1段落目で、横紙で言いますと上のほうの四角に書 いてあったような、3年、6カ月、6カ月という年限を前提にいかなる充実が可能かとい う観点からまとめたものだということ。もう1つは、現下の問題点の解決、いまの問題 点の解決という視点を出発点として行われました。例えばと書いてありますが、「今後 未曾有の高齢化社会・多死社会を迎える我が国において求められる看護職員像」といっ たようなものが、長期的な変革の方向性というものの1つイメージしたものの表現に出 ています。そういった2つの前提がありましたので、前のこの基礎教育充実の検討会で の議論の視点とは違うような検討をしたい、もう少し中・長期的な観点での検討をした い、という思いが「抜本的」という表現で表現したというところだと理解しております。 ○田中座長 よろしいですか。 ○井部委員 はい。 ○梶本委員 これは私の意見というか視点というか、そんなものだと思うのですが。20 年後の医療がどういう姿であるのかということを、今からきちっと予見するのはなかな か難しいのですが、そこを目指してどういう教育をしていくかということなので、むし ろ看護教育の中の細かい話よりも20年後の医療というものを見据えた上で、そういう視 点からどのような看護師が必要なのかというような視点で、考えていかなければいけな いのではないかと思うわけです。  そうすると、トレンドとして、いまの医療をパッと見ますと、いちばん問題になって いるのは医師不足です。医療の崩壊と言われて、それは主として、病院からお医者さん がだんだんといなくなっているといったことが言われているわけです。2020年とか2030 年に医師がどうなっているのか。これは三浦さんに聞くと大体わかるのだと思いますが、 そこが、いまの危機的な状況を見ると、看護の世界でもどうするのかというようなこと をどうしてもその関連で見なければいけない、という視点が1つあると思います。  もう1つは、65歳以上の高齢者がいま2,500万人ぐらいいますが、それがだんだんと 3,500万人ぐらいになっていく。そして、病院で死ねる人も減ってきて、みんな、在宅 で亡くなっていく。在宅で療養するというトレンドがあるとすれば、やはり訪問看護と いう部分はこれから相当伸びていくし、伸びていかざるを得ないのだろうと。そうする と、看護教育というのは、どんどん伸びていくという視点から準備していかなければい けないということが1つあると思います。  もう1つ、少子化ということで言いますと、看護師は、年間、5万人ぐらい養成してい ると言います。これをものすごくアバウトに考えますと、いま1つの世代が、例えば18 歳なら18歳が100万人余り、100万人とか110万人とかいます。そんな感じです。 だから、それを男性と女性の2つで割ると、大体50〜60万人女性がいるとか、男性がい るとか、そういう時代です。これがどんどん小さくなっていくわけです。そうすると、 男性の看護師もいますが、看護師そのものは、女性の職としては、50万人で5万人とす ると、大体1割を占めています。しかし、これがどんどん減っていくと、そんなに人を 確保できないかもしれない。そうすると、2020年とか2030年になったときに、同世代の 1割も看護師に来ない、もっと少なくなるのではないか、あるいは絶対数も減るのでは ないか、そうした中で看護師がいろいろな役割をしなければいけない場合に、教育とし て何を考えていかなければいけないのか。大体このような視点が必要なのではないかと 私は思っています、最初に勝手なことを言わせてもらいました。 ○田中座長 ありがとうございます。訪問看護を重要な分野として意識していくという のは、私も賛成です。本来はさっきの見通しの所に別枠であるべきなのだと、いまの時 代では思います。  それから、5頁の統計では「120万人いる若者がやがて100万人を切っていくという中 で、看護師の確保は大変な問題である」。一方で、ご存じのように、介護分野でも人材 不足は言われていて、そもそも、学校への受験者数が減っているのは大きな問題になっ ています。そういう取り合いになるのかもしれませんので忘れてはいけないということ ですね。ありがとうございます。看護の学校の受験倍率はどうなっているのですか。 ○小野対策官 受験倍率ですが、先ほどの3種類、大学と3年課程の養成所と3年課程の 短大で見ますと、4年制大学が平成18年で4.8倍、3年課程の養成所が平成18年で3.6倍、 3年課程の短大が3.1倍となっています。 ○田中座長 では、介護福祉士などに比べるとまだまだ人気がある。プログラムも、人 気がある状態はきっと続いているのですね。しかし、だからと言って安心してはいけな い、というのが今の梶本委員のご意見ですね。 ○井部委員 その倍率は実数ではないと思うのです。掛持ちが多いのですよね。 ○小野対策官 定員充足率についても一応統計を申し上げます。4年制大学の定員充足 率が106.8%、3年課程の短大が107.1%、3年課程の養成所が97.0%、というのがそれぞ れ平成18年のデータとなっています。 ○田中座長 学校経営者から本音の発言がありました。 ○矢崎委員 先ほどの梶本委員のおっしゃるとおりで、これから高齢化社会と多死社会 を迎えるに当たって、やはり入院医療の需要の増大と在宅医療の需要の増大が極めて大 きくなるわけですね。ですから、先ほど申し上げましたように、看護基礎教育から、資 料1の2の32頁にありますように、やはりこの医療の中で、いま病院の医療においては看 護師も数が多いから主役というお話がありました。私どもとしては、看護師が活躍の場 をもう少し広げていったらどうかということで、32頁の具体的な方針をこれからどう進 めるかということも、カリキュラムなども、教育の内容をこういう方向に沿ってどう工 面していったらいいかということを考えていくことが重要ではないかと思います。 ○田中座長 そのとおりですね、これからの大きな変化に合わせてカリキュラムを変え なくてはならないと。ほかにいかがでしょうか。 ○寺田委員 私、職業教育という分野を専門にしているので、看護についてはいままで 特に考えてこなかったのです。そういう角度から少し気になっていることは、一般に看 護業務の高度化、あるいは学校制度の問題としては大学化という、年限延長ということ で進んできているようです。国際的に見ても、他の商工業等の分野でも職業教育を高等 教育化する、高等教育段階にシフトしていくという動きは確かにあります。  ただ、気になるのは、看護大学が出来てもう随分古いようですが、この間、特に4年 制化をしてきていて、うちの大学にもありますが、病院経営のニーズという点と、もう 1つ非常に大事なのは、患者のニーズという点から見て、いわゆる看護業務の高度化な りアカデミック化ということが、果たして合っていたかどうかの検証を是非一度やる必 要があるのではないかという気がします。私は必ずしも批判的に見ているわけではあり ませんが、その辺の役割分担をきちっとしておかないと、結局、患者のニーズに応えら れない、あるいはミスマッチが起こる、というようなことにつながる可能性があると思 います。何かそういう調査結果等がありましたら、次回以降、お出しいただければあり がたいという気がいたします。また、ここでのそういう議論があれば、ありがたいと思 います。 ○井部委員 ただいまの寺田委員の発言に基本的には賛成ですが、看護師の教育が、卒 業生が全部臨床に行って、1、2と働くということだけを想定して考えていただくことは、 職業としての発展性からすると不十分だと思います。つまり、臨床科としての働き手も 必要ですが、研究者も必要ですし、教育者も必要ですし、制度を考える人も必要です。 一方では、梶本委員のようにジャーナリストになるというような道も重要です。マスコ ミはときどき誤報をすることがありますから、その意味では、看護師としてのきちんと した教育を受けた者がマスコミに行って活躍するということも必要だと思っております。 その点では、全部が臨床実践のナースとして仕事をするという範囲だけではない、幅広 い検討が必要ではないか、この看護という職業を高めていくため、あるいは変えていく ためのさまざまな役割を持った重要な人材が必要だと思っています。念のためです。 ○田中座長 もう1つ、2つ、いかがでしょうか。 ○井部委員 先ほど矢崎委員がおっしゃったのか梶本委員でしたか、医療の崩壊という ようなことで看護師の代替制のようなことに言及されたと思うのですが、医師の問題の 対応のために看護師がどのくらい期待されているのか、医師の補完としての看護と捉え られているのか、看護師はケアの時代ということで看護師としての専門性を高めていく ということをかなり強く意識して考えるべきなのか。最近の風潮を見ていると、勤務医 の負担軽減のために看護師は頑張れみたいな論調があって、私にとってはちょっと気に なるのですが、このことについてはどのように考えたらよろしいのでしょうか、誰に向 けて質問をしているのかよくわからないのですが。 ○矢崎委員 医師不足のために看護師さんをといま言われたようなことは、私は全然考 えていないのです。患者の目から見ますと、医師の雑用とか医療行為の周辺業務を看護 師にお願いする。それはそうではないと私は理解しています。  というのは、医行為には、その周辺業務とかそういうものはないと思うのです。一つ ひとつの医行為は、要するに、医行為と言っても医師法に定める医行為ではなく、実際 に患者に関わる侵襲的な行為も含めてですが、そういうものは、患者から見ると周辺業 務ではなく、主体となる医行為ではないかと思うのです。というのは、例えば、注射な どのように痛みを伴う毎日受けなければならない行為は、患者にとっては、ものすごく 重大な行為であると思うのです。ですから、手術とかそういうところではなく、入院し て治療を受けるときの侵襲を伴った、痛みを伴った行為は、私は幸いこの年になって入 院治療を受けたことがないのですが、患者から見ると、例えば病院の中では看護師が中 心に業務としてある程度確立したスケジュールで行えるような、そういうことが患者サ ービスの上でも重要で、看護師はそういう部分をやっていただくほうがいいのではない かということです。さっき申し上げた32頁に書いてあるのは、患者の目から見て、そう いうものがポイントではないかと思っています。  本当に卑近な例は、例えば、朝、検査のための食待ちの採血などがありますよね。多 くの病院では看護師がやっておられると思いますが、そうでない所もあります。例えば、 点滴が漏れた場合に受持ちの先生を呼んで時間が過ぎてしまう、患者は痛い思いをしな がら我慢しなければならない。そういうところを看護師がある程度カバーできるような 体制だと、病棟の業務が時間どおりに行われるので、それだけの能力を持って、数があ る程度確保できる看護職の方にやってもらうということは1つの患者サービスの向上に もなる、ということで私は主張しています。  ただ、将来的には、先ほどもおっしゃいましたように、入院医療、あるいは在宅医療 がどんどん増えているときに、医師でカバーできるかどうかという問題も出てくると思 いますので、そういうことも考えないといけないのではないか。その場合には、看護師 は、やはり特別な教育を受けた方がそういうことをやるように、全員の看護職が全部そ ういうことを行うということではなく、教育体制も変えてもう少し考えていかないとい けないかなと。そこは、将来はある程度資格の問題とかそういうものが絡まっていくの で、ただ単に医師の業務分担を看護師のほうに付加するということではないのです。  それから、いま看護職が行っている、例えば、私どもは病院なのですが、病院の中で 医師がやらなくてもいいような事務的なことはなるべく明確にしてほしい。一方、看護 職の方が必ずしも看護でやらなくてもいい用をやっておられることもあるのではないか。 ですから、役割分担の明確化というのは、そういう意味でも重要なのではないかと思う のです。ですから、それは是非、また、ディスカッションさせていただければと思って います。 ○梶本委員 その関連で、私もそういうことに言及しましたので。ちょっと念頭にあり ましたのは、井部委員の病院の大先輩である日野原先生が例えば麻酔などは看護師がや ってもいいのだ、そのようにやらせたいというようなことをおっしゃっていたので、医 療行為を看護師がもっとやれるようにする道はあるのではないかと思った次第なのです。  それから、看護師に医者の医療の補助をやれというのと、患者の世話をしろというの はそういう規定になっているのだと思うのですが、静脈注射ですか、私は医療行為の中 の細かいことはあまり知りませんが、昔は医師しかやってはいけないと、しかし、ある ときから看護師もできるのだというようなことで、現実はほとんど看護師がやっている のに、そのような規定になっているということもあったように思います。  要するに医師と看護師の仕分け、これは医療行為でこれは看護師の仕事だと、これは 本当は看護師がやってはいけないのだ、実態はどうなっているのか、今度、そのような ことを資料としてもう少しきちっと出してもらって、その実態なども見ていったほうが 今後の議論のためには。いきなりそこの議論にいくとは思いませんが、ある段階ではそ ういう議論になっていくのではないか、それがまた教育の中に跳ね返ってくるというよ うな気もしますので、看護師がやれることややってはいけないこと、医師しかできない こと、この辺の仕分け、あるいは実態がどうなっているのか、その辺をもう少し資料と して出していただければと思います。 ○田中座長 看護のあり方について、時間の関係でどこまでできるか、できるものにつ いてはお願いいたします。  私ももう1つ。今度は看護のあり方ではなくて看護教育のあり方からすると、先ほど から教員のことを言っていますが、看護の養成所や学校で教員の確保がちゃんとできて いるのかどうか。例えば、教員は毎年入れ替わっているのか、それとも長くいるのか。 看護師からの退職ではなくて、教員にはなってみたけれども夢は果たせず、やっぱり病 院で勤めるほうが自分の人生でもっといい、大学なんているところではない、と思うの か、いや、大学は居心地がよくてそのほうがいいのか、そういう資料はあるのでしょう か。あるいは、こちらはいいことでもあるのですが、お互いに教員をすごく引き抜き合 っているとか。 ○野村看護課長 データがあるかというのはわかりません、調べてみますが。現実の動 きとしては、もしかしたら井部委員のほうが具体的なことをご存じだと思いますが。 ○田中座長 別にいますぐ答えるのでなくても結構です。教員はあまり固定していても よくないし、異動しすぎていてもよくないし、そこはある程度バランスがあるのですが、 イメージでも結構ですが、もしわかれば教えてください。 ○井部委員 数ははっきりわかりませんが、看護大学の教員も、異動は多いと思います。 私は日本看護系大学協議会の会長をしているのですが、いま看護系の大学が157校ある のですが、来年は、また10大学増えるのです。そうすると、教員は、その確保に非常に 苦労していますし、一度確保した教員が魅力的でない大学からは、とっとと出ていくと いうようなことは簡単に想定できるので、流動的だと思います。 ○田中座長 わかりました、ちょっとイメージがつかめれば。時間になってきましたの で、資料2及び3につきましては、一応ここまでといたします。いろいろとありがとうご ざいました。続いて、議題2に移りたいと思います。次回以降の進め方の議論です。 事務局から、また、説明をお願いいたします。 ○小野対策官 資料4をご覧いただけますでしょうか。1枚紙ですが、「今後の進め方に ついて」です。本日、さまざまな点で資料の追加のご指摘を頂戴いたしましたので、そ れについては、できる限り調べまして、次回、お返しするような形にしたいと考えてお ります。その上でですが、次回以降、さまざまな分野の有識者の先生方から、ヒアリン グを中心としまして、本日いただきましたようなディスカッションの中身を深めていた だければと思っております。  「ヒアリングの進め方について(案)」です。まず、ヒアリングの内容としましては、 いろいろなバックグラウンドをお持ちの方、それぞれに対しまして、そのご専門やご経 験を踏まえたご意見を賜れればと。具体的には、書いてありますように、少子・高齢化 の進展などの変化を踏まえまして、中・長期的未来において必要とされ、期待される看 護の機能・役割といったものはいかなるものなのだろうか、看護の機能・役割、その上 でそうした機能・役割を果たすために看護師を中心とした看護職員に求められる資質・ 能力といったものは一体どのようなものなのだろうか、そういったものについてご意見 を賜れればと考えております。その上でヒアリングの対象者ということで考えておりま すが、以下のような分野の有識者ということです。  1番目は「看護・医療に係る歴史、文化、学術」の有識者の方々。これは、いわゆる 国際的な視点を持った方もということで考えたいと思っております。2番目は「看護・ 医療の臨床現場」の方々。3番目は「患者やご家族」の立場の方々。4番目は「関係の団 体」の方々。こういった方々からのヒアリングということで進めさせていただければと 思っております。 ○田中座長 ありがとうございました。資料4についてのご意見、ご質問をお願いいた します。今後のヒアリングというのは、1回だけではなくて、複数回の意味でしょうか。 ○小野対策官 先ほど、6月ごろに何がしか整理をしたものをまとめたいと申し上げま したが、それまでの間に何回か、1カ月に1回ぐらいになるのでしょうか、4、5回、5、 6回というようなことで私ども、考えております。4、5回、5、6回というのは、この会 議を閉じるまでにそれぐらいということですので、ヒアリングの回数は複数回、ゲスト の先生方のアベイラビリティなども考えまして、考えてまいりたいと思います。 ○田中座長 ここの内容は、看護のあり方については網羅されていると思うのですが、 看護教育に関するヒアリングは、井部先生がここの委員でおられるから特にしなくても いいということなのでしょうか。 ○小野対策官 すみません。意味合いとしましては、看護職員に求められる資質・能力 とはどういうものなのかということで、その中でいわゆる教育としてこういったことを 教えるべきだとか、こういった形の教育であるべきだとか、そういったことにつきまし ても、ご意見を賜れるような形にしたいと思っております。 ○田中座長 だそうですが、どうでしょうか。資料4についてご質問、ご意見をお願い いたします。 ○寺田委員 いま座長がおっしゃったことに賛成です。さっきの質問とも関係しますが、 やはり看護教育のあり方についてですので、教育の実践がどうなっているかというのは 是非知りたいと思いますので。3年課程、2年課程というような形である程度仕分けをさ れて、それぞれのこの間の成果と課題と言いますか、その辺りを是非お聞きしたいと思 います。 ○小野対策官 言葉足らずでしたが、1番の「看護・医療に係る歴史、文化、学術関係」 という中に看護の先生に当たるような方々も念頭に置きたいと思います。 ○田中座長 では、我々の言っていることは満たされそうですね。ありがとうございま す。 ○矢崎委員 資料の19頁にありますように、看護師になる教育システムが非常に多種多 様にありますよね。だから、これもやはり検討する必要があるかなと思うのです。それ で、ヒアリングの中に教育の実践現場からということで、多様な養成システムが本当は どうあるべきかということも考えておくのも必要ではないかという気もいたします。 ○田中座長 ありがとうございます。今後の進め方について、ほかに何かご意見はござ いますか。 ○井部委員 看護の社会だけではなくて、若者がどうした傾向にあるのかといったよう なことも視野に置きながらいきたいと思います。それは文化とか学術というところに含 まれるのかもしれないのですが、18歳人口が減ってきているので、若者の傾向はどのよ うな方向にいくのか、という幅広い社会を見据えた話があってもいいかなと私は思いま す。 ○田中座長 時間制約がありますので、きっとある程度作戦を練るでしょうが、我々が 言っているのは一応要望ですので。要望は、言うのは自由で、全部満たされるかどうか は制約条件下で決まることですので。要望だけは何を言ってもいいと思いますから、い ろいろなことを言っておきましょう。  私も要望ですから別に入っても入らなくてもいいのですが、医療の臨床現場について、 先ほど来言っている、在宅医療をなさっているドクターから見て、地域の訪問看護のあ り方について意見を聞きたいなと思います。これも要望ですから、プログラム上入らな ければしょうがないですが、申し上げておきます。大体よろしいですか。  7、8分前になってきましたので。先生方、それぞれ、ご自分の立場から大変活発な意 見をありがとうございました。今日いただいたいろいろな意見を基に資料への要望や、 考え方の整理もありました。また、ヒアリングについてもいろいろと希望がありました ので、事務局のほうで、それを整理して進めてください。では、次回以降の日程につき まして、事務局から説明をお願いします。 ○石原課長補佐 次回以降の日程です。次回は3月3日(月)、第3回は3月24日(月)、 いずれも15時から17時の開催とする予定です。場所などが決まり次第、ご案内をお送り しますので、よろしくお願いします。  それでは、これで第1回看護基礎教育のあり方に関する懇談会を閉会いたします。お 忙しいところ、ご出席いただきまして、ありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局看護課 課長補佐 石原(内線2599)       吉田(内線2595) ダイヤルイン 03-3591-2206