07/12/25 平成19年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録 平成19年度第5回薬事・食品衛生審議会  医薬品等安全対策部会安全対策調査会 日時 平成19年12月25日(火) 17:00〜 場所 霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」 ○事務局 ただいまより平成19年度第5回安全対策調査会を開催いたします。本日の 調査会は従前の取扱いと同様公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでといたし ます。マスコミ関係者の方々におかれましてはご理解とご協力をお願いいたします。傍 聴者の方は傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし喧噪にわたる行為を行わな いこと」「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守をお願い いたします。  本日ご出席の先生方におかれましてはお忙しい中お集まりいただきましてありがとう ございます。本日ご出席いただいているすべての先生方には、タミフルの国内製造販売 業者である中外製薬株式会社との関係で事務局より事前に、タミフルの承認(2000年 12月)以降、中外製薬株式会社より寄附金又は委託研究費を受けていないこと、タミフ ルの治験に関与していないこと、また、2000年12月以降、中外製薬株式会社の治験に 関与していないことについてお尋ねし、これらの実績がないことを確認させていただい ております。  本日ご出席の委員及び参考人の先生方をご紹介申し上げます。正面より座長の松本委 員です。土屋委員です。中澤委員です。安全対策調査会委員の慶應義塾大学医学部教授 の池田委員は本日ご欠席です。飯沼参考人は若干遅れるとのご連絡をいただいておりま す。一瀬参考人です。猪熊参考人です。内山参考人は遅れるとのご連絡をいただいてお ります。浦田参考人、大野参考人、岡部参考人、鴨下参考人、工藤参考人、倉田参考人、 児玉参考人、新見参考人、日野参考人、廣田参考人、広津参考人、水口参考人、宮村参 考人、桃井参考人です。  これより議事に入りますのでカメラ撮りはここまでとさせていただきます。カメラマ ン等の方はご退室をお願いいたします。以後の進行は座長の松本先生にお願いいたしま す。 ○松本座長 委員の先生方、参考人の先生方、この暮れの押し詰った時期、お集まりい ただきありがとうございます。それでは、事務局から資料の確認をお願いします。 ○安全使用推進室長 本日の配布資料を確認いたします。最初に議事次第がありまして、 その次の頁に本日の配布資料一覧がありますので、ご参照していただきながら確認いた だければと存じます。次に出席者一覧及び座席表があります。  資料1-1「タミフルの安全対策の経緯等について」。資料1-2「基礎的及び臨床的調査 検討の進捗状況について」です。資料2-1ですが、この後、基礎ワーキンググループの 座長からご報告がありますが、「リン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキ ンググループ(基礎WG)における調査検討の結果について」です。資料2-2、その基 礎ワーキンググループで検討された資料で、中外製薬作成の「基礎WGの指示に基づき 実施した非臨床試験及び自主的に実施した試験・解析の結果について(その1)」です。 資料2-3は、同じく基礎ワーキンググループで検討された資料ですが、同じタイトルで (その2)というものです。  資料3-1は、この会議の前に臨床ワーキンググループを開催しましたが、今、その報 告書をまとめております。現在コピー中ですのでまだ資料は配布されておりませんが、 コピーが終わり次第お手元に配布する予定です。資料3-2、臨床ワーキンググループの 検討資料で「リン酸オセルタミビルの健康成人男子を対象とした睡眠に関する製造販売 後臨床試験」です。資料3-3「インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究」ということで、 厚生労働科学研究で岡部先生がまとめられた報告です。資料3-4「平成19年度厚生労働 科学研究費補助金『インフルエンザ随伴症状の発現状況に関する調査研究』」ということ で、大阪市立大学の廣田先生がまとめられた報告書のカラーコピーのものを配布してお ります。  資料4-1ですが、以後は副作用報告関係でありまして、「タミフルの副作用報告の精査 について」ということで、今年の9月30日までにタミフルの副作用報告としてあった 異常な行動などの症例をまとめたものです。資料4-2関係です。配布資料一覧の2頁目 ですが、資料4-2-1、タミフルの異常な行動が記録されている事例について、販売開始 から今年9月30日までの282例の異常行動の概要です。資料4-2-2ですが、資料4-2-1 の282例につきまして中外製薬が睡眠との関係について追加調査した結果です。資料 4-2-3は、その282例の異常な行動が記録されている症例について集計解析をした結果 です。資料4-2-4ですが、282例の異常な行動について、薬事法の規定に基づいて副作 用報告されたものの原本です。机上に製本されたものがたくさん積まれておりますが、 以降、原本のものはすべてこちらのほうにありますので説明は省略いたします。続きま して、資料4-3ですが、資料4-3-1として、タミフルについて異常な行動以外の精神神 経症状の事例について361症例分の概要です。資料4-3-2ですが、これが異常な行動以 外の精神神経症状361例について中外製薬が追加調査をした結果です。これらの異常な 行動以外の精神神経症状の報告原本が机上に置いてあります。  続きまして、タミフル以外の異常な行動の事例ですが、資料4-4-1-1がザナミビル水 和物、リレンザの異常な行動の事例の概要が10例分配られております。この10例につ いての追加調査の結果が資料4-4-1-2として配られております。資料4-4-1-3はその10 例についての集計結果です。資料4-4-1-4がそれの原本で、こちらの製本されたものに なります。資料4-4-1-5ですが、ザナミビル水和物、リレンザの異常な行動以外の精神 神経症状について概要をまとめた30例分です。その30例についての追加調査の結果が 資料4-4-1-6です。資料4-4-1-7がリレンザの異常な行動以外の精神神経症状の報告書原 本で、製本されたものが机上にあります。  続きまして、資料4-4-2のシリーズですが、これは塩酸アマンタジン、シンメトレル などについての異常な行動等の事例です。資料4-4-2-1が塩酸アマンタジンの異常な行 動発症例についての概要です。それについての追加調査が資料4-4-2-2です。資料4-4-2-3 がそのアマンタジンについての集計解析の結果です。資料4-4-2-4は机上にある報告原 本ということになります。資料4-4-2-5がアマンタジンの異常な行動以外の精神神経症 状事例61例の概要です。その61例の追加調査の結果が資料4-4-2-6です。アマンタジ ンの精神神経症状の原本は机上にあります。  資料4-4-3はタミフル非使用例ですが、タミフル以外にもシンメトレルやリレンザな どが使われていないような、いわゆる抗インフルエンザ薬を使用していない症例での異 常な行動の事例でありまして、それが資料4-4-3-1です。全部で24例の概要があります。 資料4-4-3-2がそれの追加調査の結果です。資料4-4-3-3がその24例の集計結果です。 それの報告原本が資料4-4-3-4ということで机上にあります。  続きまして、死亡症例関係が資料4-5で、資料4-5-1がタミフルについての死亡症例 71例の概要です。追加調査の結果が資料4-5-2となります。その71例についての集計 解析の結果が資料4-5-3です。それの死亡症例71例の原本は机上にあります。  資料5ですが、資料5-1が「インフルエンザの基礎知識」ということで、先週、厚生 労働省のホームページに掲載したインフルエンザの基礎知識の資料を打ち出したもので す。これは本年4月4日の当調査会でのご指摘を踏まえて作成したものです。資料5-2 は、いくつかの意見書や要望書を全部綴じておりますが、薬害タミフル脳症被害者の会、 あるいは薬害オンブズパースン会議、NPO法人医薬ビジランスセンターなどの意見書、 要望書を綴ったものです。  続きまして、参考資料になりますが、参考資料は全部1つに綴られておりまして、平 成19年2月28日の、インフルエンザ治療開始後の注意事項についてのお願い、3月20 日の緊急安全性情報や4月4日の当調査会での取りまとめ結果、あるいは臨床ワーキン ググループ、基礎ワーキンググループの報告内容を綴じたもの、あと、タミフルやシン メトレル、リレンザの添付文書なども綴じております。もう1つ参考として、今年の11 月27日に開催された米国FDAの小児諮問委員会、タミフルの安全性についてご議論い ただいた会ですが、その勧告内容の仮訳も付けさせていただいております。それ以外で ナンバーの付いていないものがありまして、資料3-3の追加ということで、本日の臨床 ワーキンググループで岡部先生から「インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究の追加報 告」ということでご報告いただいた資料をお配りしております。  最後になりますが、これも資料番号が付いていませんが、今シーズンにおけるリン酸 オセルタミビル使用症例で異常な行動が記録されている事例の概要・年齢順というもの と、今シーズンにおけるザナミビル水和物、リレンザ使用症例で異常な行動が記録され ている事例の概要ということで、10月以降先週末までに報告のあったタミフルとリレン ザ服用後の異常な行動3例ずつを参考にお配りしております。以上でございます。 ○松本座長 資料のほうはよろしいでしょうか。ないものがあれば事務局にご請求くだ さい。  それでは、これまでの経緯及びワーキンググループにおける検討の経緯を事務局から 説明してください。 ○安全使用推進室長 資料1-1、「タミフルの安全対策の経緯等について」です。時間も ありませんので簡単に説明させていただきますが、タミフルにつきましては平成12年 12月にカプセル剤が治療効能で承認されまして、平成13年2月から販売されておりま す。その後、小児用量が追加されたり、ドライシロップ剤が承認されたり、あるいは予 防効能が追加になったりということで承認事項の一部変更が行われたりしているという ことです。  2つ目の○ですが、平成16年の5月に、添付文書に「重大な副作用」として「精神・ 神経症状」が追記されました。続きまして、平成19年の2月にタミフルを服用したと 見られる中学生がお二人転落死されるという痛ましい事例があったことを受けて、タミ フルの処方の有無を問わず異常行動発現のおそれがあることについて説明をしたり、あ るいは少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮するこ とを患者・家族に対し説明するよう注意喚起を2月28日に行っております。  その後、そのような予防的な対応が行われていたわけですが、今年の3月20日に12 歳の患者さんが転落して骨折されたという例が報告されたということで、そういった報 告を受けて3月20日に緊急安全性情報を医療機関に配布するという対策がとられまし て、その内容がその下の枠囲み、警告欄にありますように、10歳以上の未成年の患者に ついては合併症や既応歴などからハイリスク患者と判断される場合を除いては原則とし て本剤の使用を差し控えることという対応が行われて、少なくとも2日間、保護者等は 小児・未成年者が一人にならないように配慮するということをタミフルの添付文書の警 告欄に記載するということになったところでございます。  そういったところで、平成19年4月4日にこの安全対策調査会が開催されまして、 販売開始以降のすべての副作用症例について検討が行われまして、その結果、タミフル と異常な行動あるいは突然死などの副作用との関係について結論は得られなかったと。 ただ、当面の措置として3月20日の緊急安全性情報の配布に関する措置は継続するこ とが妥当とされたところであります。併せて、基礎ワーキンググループ、臨床ワーキン ググループを設けてさらにその因果関係についての調査を進めていくということとされ たところであります。  2頁目の下の○ですが、臨床ワーキンググループは会議を2回開催しまして、6月16 日のこの調査会に睡眠障害に類似している異常な行動の症例があるということで詳細な 追加調査を行うべきという指示がなされまして、次の頁にありますように、さらに健康 成人男子を対象とした睡眠検査室試験を実施すべきであるという指示がなされておりま す。  一方、3頁目になりますが、基礎ワーキンググループも会議を2回開催しまして、こ この記載にありますように、脳における薬物動態や代謝研究といった5つの種類の研究 を行うことについて調査会に報告され、その後、審議が進められたという経過でありま す。これ以後の調査結果については、この後、基礎ワーキンググループ、臨床ワーキン ググループの両座長からご報告があるかと存じます。以上です。 ○松本座長 続きまして、基礎ワーキンググループの検討結果について、基礎ワーキン ググループの座長である大野先生から報告をお願いします。 ○大野参考人 基礎ワーキンググループの検討結果をご報告させていただきます。基礎 ワーキンググループでは、今回問題になった中枢性の副作用というか、そういう報告例 についての機構を探ることについて検討したわけです。その中で、この薬物が中枢の副 作用ということで脳にどのように入っていくかということ、脳でどのような作用を現わ す可能性があるかということ、それから、突然死との関係もありまして循環器系に対す る作用がどのようなものがあるかということについて検討いたしました。その過程で中 外製薬やロシュを通して検討していただいた資料について資料1-2で書いております。 脳における薬物動態と代謝研究、脳内におけるウイルス以外の内因性標的に関する活性 の有無の検証、幼若ラット等を用いた追加毒性試験、脳内直接投与による薬理学的な試 験、これはまだ実施中で報告書は上がってきておりません。それから、循環器系に対す る影響評価に関するin vitro試験、その他、企業が独自に検討したところがあります。 これらについて報告いたしますが、時間の都合もありますのでエッセンス的なところに なることをご容赦ください。  今日の資料2-1に基礎ワーキンググループの検討のまとめが書いてあります。ここで 追加していただきたいのですが、第1の1の脳における薬物動態・代謝研究における試 験結果の2)幼若ラット脳のオセルタミビルエステラーゼ活性は0.2pmol/min/mgと書 いてありますが、これは脳のS9画分です。次のヒト脳のS9画分と同じものです。含量 が0.2pmol/min/mgとありますが、これはmgプロテインのことです。それから、この まとめは最初に中外から出た資料について、次にワーキンググループで検討した結果に ついてまとめております。特に、この2頁の5の基礎WG調査検討結果という所から説 明して、折に触れて前に戻って説明したいと思います。  2頁目のいちばん下ですが、前回の会議のときにも報告しましたが、幼若動物におい て、タミフルの能動輸送に関して中枢に非常に高く分布していたのはなぜかということ について検討するということで、脳に移行するのにどんなトランスポーターが関与して いるか検討していただいた結果、P-gpというトランスポーターが関与している。移行と いうか、移行したものが出るときですね。それが抑制されたときには脳内濃度が高まる 可能性があるということが示されたわけです。それらについてはほかの大学の先生方の 報告でも、やはりP-gpが関与しているのではないかという論文が出ていまして、それ が抑制されても脳内濃度の上昇は大体10倍か10倍以下というような報告がありまして、 中外から出された報告について妥当であろうと判断したところです。  それから、今回試験をやり直して、幼若動物でどのぐらい脳内に分布するかというこ とを見ていただいたわけですが、成熟ラットにおいてはオセルタミビルとその活性化体 であるカルボキシルエステル、その両方の脳への移行は非常に少ないということが確認 されました。申請時に提出された資料の中で、幼若動物、7日齢のラットでの脳中濃度 が成熟ラットと比べて数千倍高いという結果が出ており、なぜそんなに移行するのかと いう疑問があったわけですが、新しい試験では成熟動物よりは高いけれどもそれほどで もなかった、即ち、前回の試験結果は誤りであったという報告がありました。それにつ いて私どものほうでは最初の予想からいくと妥当なデータに近づいてきたかなというこ とだったのですが、そのまま信じるわけにもいきませんので、中外製薬から生データと かプロトコールを出していただいて確認したところ、以前の試験結果は間違いであって、 実際は前回の試験より2けた低いオーダーであるということが確認されました。  それから、タミフルが脳内に入ったときに、そこで活性化されると水に溶けやすくな りますので、脳に一度入ったものが出にくくなるということで、脳内において活性化が 起きるかどうかについて調べていただきましたが、その活性は非常に低いということが 示されました。それは、最初の頁の1の2)ですが、肝臓に比べてヒトでは300分の1 程度ということです。  それから、脳に一度入った場合、どのような作用を現す可能性があるかということに ついて、脳に存在していると思われるさまざまな受容体やイオンチャネルに対して、こ の薬物や活性化体がどのような作用を持っているかを推定するために、受容体やイオン チャネルに対する親和性を調べてもらったところ、OP濃度が30μMでいくつかのもの については30%から40%の抑制効果が認められました。申請時の幼若ラット分布デー タでは脳内濃度が極めて高いということでこれらは不十分だと考えまして、さらに高濃 度での試験を要求していたところです。  しかし、今回、前のデータが間違っていて、脳内濃度は2けた低いということがあり まして、それから考えると30μMの濃度で十分な量であると。その濃度でほとんど作用 が認められなかったということで、臨床投与時に推定されるこの薬物や活性化体の脳中 濃度では中枢性の受容体やイオンチャネル系への作用は持たないと考えました。  この薬物はインフルエンザウイルスのNeuraminidaseに対する抑制作用を持つとい うことが作用機序ですが、Neuraminidaseはウイルスだけではなくて普通の動物やヒト も含めて動物の体の中にたくさん存在していますので、いろいろなところに存在してい るわけです。そういったものに対する抑制作用があるとすると、それに基づき薬理作用 なり生物作用が出てもおかしくないということで、それらに対する作用を検討していた だいたところ、インフルエンザウイルスのNeuraminidaseに非常にスペシフィックで あって、哺乳類のNeuraminidaseに対しては1mMという高濃度でも抑制を示さないと いうことが明らかになりました。  ただ、論文でヒトのNeuraminidase2というサブタイプでアジア人に多い多型が存在 し、この多型の人だと酵素活性が低下しているだけではなくて、オセルタミビルによっ て抑制がかかりやすくなるという報告がありました。ただ、そのときのKi値が 175μmol/Lということだったのですが、実際に臨床で使用される用量での未変化体の脳 中濃度は、幼若ラッ トでの脳への分布量から推定すると約0.2μM程度ですので、それと比べて極めて高い濃 度である。それから、Neuraminidase2というのは、今までの報告によると骨格筋のみ に存在していて脳には存在していないということがありましたので、この Neuraminidase2に対するタミフルの抑制作用が中枢性の副作用につながるということ は考えられないのではないかというふうに考えています。  それから、6番については先ほど申しましたけれども、幼若ラットでの試験の解析に 誤りがあったことの説明です。それから、4頁の7)の所に「死亡例についての考察」が ありますが、非常に高濃度、高用量、788mg/kgという用量を投与した幼若動物におい て、死亡を含め、いろいろな症状が認められています。申請者は、このような症状に関 して、それは瀕死状態に関連する症状であるというようなことを言っています。  ただ、私どもの所には症状の発現と死亡との間の時間経過に関するデータが提示され ていませんで、今のところは必ずしもそのような結論にはできないのではないかと考え ております。そういうことで、より詳細なデータを要求しているところでございます。 ただ、このような症状が出て死んでいるわけですが、これは臨床用量、小児では大体 mg/kgということですが、その250倍以上の投与量で認められているものですので、臨 床での異常行動や死亡に関連づけることは困難ではないかと考えています。  循環器系に対する作用ですが、それに関しては4頁の下のほうにワーキンググループ の検討結果が書いてありますが、30μMというような高濃度でナトリウムやカルシウム、 カリウムチャネル、これらを抑制するような多チャネル阻害作用を現わしているわけで すが、そういった作用が見られた濃度は臨床血漿中濃度の100倍以上であって、安全域 は十分に確保されていると判断しました。それ以外に、要請したモルモットでの乳頭筋 での結果とか、ウサギのプルキンエ線維での実験結果とか、プルキンエ線維に関しては 企業が自主的に出してきたデータですが、そういったデータを解析した結果でも特に臨 床で想定されるような血中濃度で突然死につながるような作用は認められませんでした。 また、臨床試験成績に基づいてエキスパートレポートというものが提出されましたが、 それについてワーキンググループでも検討しましたけれども、オセルタミビルによって 突然死に結び付くような循環器系の作用を示唆するような結果はありませんでした。  それから、5頁目の第3の所で、いろいろな意見を民間の方々からいただきましたが、 それについて私の考えているところを列記いたしました。まず、オセルタミビルまたは その活性代謝物の脳への移行に関しては非常に少ないということが明らかになったと考 えております。  ヒトの肝臓のエステラーゼが阻害されることによってオセルタミビルの血中濃度が非 常に高まって、それで脳への移行が非常に高まるのではないかという指摘もありました が、エステラーゼを完全に阻害したときにどの程度血中濃度が上がるものかということ をシミュレーションしたところ、せいぜい10倍弱だということで、十分な安全域が保 たれていると考えています。  それから、感染モデル動物を使ってやるほうがいいのではないかという意見がありま したが、それに関しては現時点では確立したモデルがなくて実験をするのはなかなか難 しいのではないかと考えています。  それから、脳に直接投与したときにどういう作用があるのかということで、これは大 きな問題ですが、それについてはまだ実施中であって、最終報告書は得られていません。  オセルタミビルが脳浮腫とか肺水腫の関係を通して影響を及ぼすという可能性につい て指摘されましたが、成熟動物や幼若動物においての毒性試験の結果では脳浮腫の所見 は認められていない。肺水腫については認められていますが、非常に高い用量で投与さ れた動物のみで認められている。肺水腫について、アクアポリンの関与についてご指摘 がありましたが、それについても今までのデータから見て否定的であるということがあ ります。  それから、インフルエンザの急性期に血液脳関門機能の低下が認められているという ことはいくつか報告されていますが、インフルエンザ脳症患者において脳脊髄液及び脳 中のオセルタミビルなり活性化型の濃度が血中濃度をはるかに下回っていたという報告 がありますし、今回、インフルエンザで異常な行動を起こした患者で脳脊髄液中濃度が 高まるというようなことは報告されていません。  7番目の所では、オセルタミビルは現在知られているターゲットに関する結合性が非 常に弱くて、中枢神経系に対する影響を及ぼすものとは思われないということです。  8番目ですが、アジア人で一定割合に認められるヒトNeuraminidase2の変異体に対 する関与の可能性については先ほど申しましたが、それはいまのところ中枢性の副作用 につなげるということは無理なのではないかと考えております。以上です。 ○松本座長 ただいま大野先生より基礎ワーキンググループの検討結果について説明を いただきましたが、ご質問、ご意見等はございますか。 ○宮村参考人 この検討結果はほとんどのものが企業側に対してこの基礎ワーキンググ ループがこういう実験をしてくださいと、データを出してください、ということをお願 いして出してもらったことに対する見解ですか。 ○大野参考人 そうです。 ○宮村参考人 そうすると、例えばまとめの所に書いてありますが、「脳内投与試験につ いては現在実施中であり、その結果については改めて評価する予定である」ということ については結果が出ていないということですか。 ○大野参考人 最終報告書はまだいただいていません。ただ、中間報告的な内容の報告 は受けております。それに関しては、脳室内にこの活性化体とオセルタミビル原体それ ぞれを投与して、この異常行動につながるような症状はいまのところ認められていない ということですが、プレリミナリーな報告書なので、また最終的な報告書が出てから確 認したいと思っています。 ○桃井参考人 質問ではないのですが、このデータを事前に逐一拝見していくと、濃度 が何とかg/L単位とmol単位とがゴッチャになっていて、いちいち換算して読まなけれ ばならないので、それを判断するのにものすごく苦労いたしました。何かデータが付け 加わるとすると、どちらかMか何かに統一していただくと大変ありがたいと思います。 ○大野参考人 申し訳ございませんでした。 ○松本座長 よろしいようでしたら、次の臨床ワーキンググループの検討結果を臨床ワ ーキンググループの座長である鴨下先生から報告をお願いいたします。 ○事務局 ただいま資料をお配りしますので、しばらくお待ちください。 (資料配布) ○安全使用推進室長 大部にわたりますので、事務局からその報告された概要を簡単に 説明した後に、鴨下先生からワーキングとしての検討結果をご説明いただこうかと存じ ます。 ○松本座長 鴨下先生、それでよろしいですか。 ○鴨下参考人 はい。 ○松本座長 では、お願いします。 ○安全使用推進室長 それでは、お手元の「臨床的調査検討のためのワーキンググルー プにおける調査検討の結果について」ということで、構成としましては1頁目から6頁 目までに疫学調査の結果についての記載があります。その中に岡部先生の研究班の疫学 調査と廣田先生の研究班の疫学調査の結果の記載があります。6頁目から7頁目にかけ て、中外製薬が実施した臨床試験の結果、主に睡眠検査室試験の結果についての記載が あります。7頁目以降が主にタミフルについての異常な行動282症例についての追加調 査の結果などをまとめたもの、リレンザやシンメトレル等の結果などと比較したものが 13頁目まであります。そこまでいろいろな集計結果がありますが、その集計結果は15 頁目以降にタミフル、リレンザ、シンメトレル等、タミフル等非使用例について横に並 べた形で見やすいような表を後ろに付けてあります。戻りまして、13頁目から14頁に そういった疫学調査あるいは臨床試験、異常な行動症例についての追加調査の結果など を踏まえた、臨床ワーキンググループにおける調査検討の結果のまとめを記載している という状況です。  それぞれについて、例えば1頁目をご覧いただきたいのですが、第1の1として「イ ンフルエンザ様疾患罹患時の異常行動情報収集に関する研究」についてということで、 これは岡部先生の研究班の疫学調査ですが、(1)として「目的等」ということで研究内 容の概要を1頁目から2頁目にかけて紹介しております。  2頁目の(2)として、岡部先生の研究班から報告された結果の概要を記載しておりま す。最後に、3頁目にその結果についての臨床WGの意見・考察を(3)ということで 記載しております。以下、同じような流れで構成されておりまして、そのようなまとめ になっているということでご覧いただければと考えております。  1頁目にまた戻りまして、岡部先生の研究班の結果ですが、今回報告されたのは内容 の(1)にある2006から2007シーズン、昨シーズンの調査結果ということで、重度の異常 な行動についての調査結果をご報告いただいております。1頁目の(2)にある2007から 2008年シーズン、今シーズンの調査は現在実施中ということです。次の頁ですが、報告 された結果の概要ですが、137例の重度の異常な行動の報告がありまして、その内訳は 10歳未満58例、10歳代76例という内容になっております。性別については男性101 例、女性36例という内容です。その重度の異常な行動137例についてタミフルの服用 の有無についてまとめたものがその下の表になっていまして、タミフル服用有りが82 例、60%、タミフル服用無しが52例、38%、あと、シンメトレル、リレンザについて も同様の集計結果を示しております。異常な行動と睡眠の関係についてですが、表が2 頁にわたっていますが、タミフル有群でも無群でも異常な行動が眠りから覚めてすぐに 起こったものが大体半分ぐらいを占めているという結果が示されています。  3頁目で、10歳代での異常な行動と10歳未満での異常な行動との比率は、3月20日 の通知前後で有意な差はなかったという内容になっております。その表の下ですが、通 知後はタミフルの処方が相当程度減少したと思われるが、10歳代での異常な行動が有意 に減少したとは言えなかった。あとは、重度の異常な行動の内容として、突然の走り出 し、飛び降りは、137例のうち72例ですが、それに限定しても同様の結果であったと いうことです。ただし、この調査の限界、課題としまして、後向き調査であるというこ とでバイアスが生じている可能性がある。タミフルの処方率が正確にはわからないので、 異常な行動の発症率の厳密な推定、タミフルの服用の有無別の比較は難しいとされてい ます。臨床WGの意見・考察は後ほど鴨下先生からご紹介いただきます。  3頁の下ですが、「インフルエンザ随伴症状の発現状況に関する調査研究」についてで す。これは大阪市立大学の廣田先生によって実施されたものです。ここに記載がありま すように、18歳未満の者における臨床症状と治療薬剤との関連の調査ということで、括 弧の中にありますが、平成17年度の横田先生の結果を踏まえて実施された研究です。 内容としては、4頁の下にありますが、経過観察調査を中心として行われておりまして、 インフルエンザ感染を最初に確認した患者について、参加医師が定めた特定の日から連 続する10〜20名の調査ということで、参加医師が「医師用調査票」に情報を記入した 上で、患者・家族に「患者家族用調査票」を渡して必要事項の記入を依頼して、その結 果を患者・家族から回収した上で医師用調査票に残りの部分を記載して、研究班にその 結果をまとめて報告するという調査でありまして、調査事項は下の注1から注3に記載 のとおりです。  次の頁ですが、「事例調査票」につきましては最終的には解析対象から除外されました ので説明は省略いたします。5頁目の(3)その他としまして、経過観察調査にあたっては 異常行動・異常言動については5つに分類をして報告を求めておりまして、A群として 事故につながったり、他人に危害を与えたりする可能性がある異常な行動ということで、 B群からE群は以下の記載のとおりです。なお、その他の2つ目のポツに書いておりま すが、研究班に送付された調査票につきましてはCRO、医薬品開発業務受託機関に委託 してデータベースを作成しておりまして、薬剤師による内容の点検なども実施されてお ります。  そういったデータベースを基に、今回、第一次予備解析結果が報告されております。 5頁目の(2)でその結果の第一次予備解析結果の概要ですが、全国692施設から報告 があり、回収されたものが全部で1万1,661症例です。先ほど説明しましたように、医 師用調査票と患者用調査票がありまして、その両方が送付されたものが9,358症例とい う内容です。あと、その未記入の項目などについては追加調査を行って、5,313症例の うち4,774症例についての返答が得られて解析に加えられております。最終的に現時点 で今回解析対象になったのは医師用調査票に基づき、1万316症例のデータが整理され ております。先ほど説明しましたように、事例調査票は解析対象とはしてないというこ とです。  この調査におけるタミフル使用例は79.3%であったということです。あと、インフル エンザ発症者の14.7%に異常行動の発現が認められ、その異常行動に占める重度なもの、 先ほどのA群ですが、事故につながったり他人に危害を与えたりする可能性のある異常 な行動の割合は3.2%で、これは全体ではなくて異常な行動の中に占める割合が3.2%で あったということです。  タミフルの服用の有無と異常行動・異常言動の発現の有無について解析が行われてお ります。第一次予備解析の結果、異常行動に対するタミフルのcrude-OR、オッズ比で すが、それは別添参考資料のとおりであったということで、オッズ比と95%信頼区間の 数字が最後の21頁に参考資料ということで添付してあります。  21頁をご覧いただきたいのですが、全症例、10歳以上、実データ、リスク最大見積 りに注釈が付いておりまして、全症例というのは、今回の症例は18歳未満を対象にし ておりますが、そういった18歳未満の症例全部を対象に解析した結果です。そのうち、 10歳以上の症例のみを取り出して対象にして解析したのが10歳以上です。実データと いうのは、タミフルの投薬あり、かつ異常行動ありの症例のうち、異常行動の発現時刻 がタミフル投薬時刻より前の症例をタミフル投薬なし、異常行動ありの症例に加えて、 また、異常行動の発現時刻とタミフル投薬時刻の時間的な関係が不明な症例をタミフル 投薬あり+異常行動ありの症例から除外して解析した結果を示しております。リスク最 大見積りはタミフルの投薬あり+異常行動ありの症例のうち、(1)は全く先ほどと同じで、 異常行動の発現時刻がタミフル投薬時刻より前の症例はタミフル投薬なしで異常行動あ りという症例に加えた上で、その異常行動の発現時刻とタミフル投薬時刻の時間的な関 係が不明な症例をタミフル投薬あり+異常行動ありの症例に加えて解析した結果を示し ております。この解析の詳細については、資料として本日配布の資料3-4として配布し ておりますが、今回は参考資料としてcrudeなオッズ比だけを添付しております。  続きまして、また報告書の6頁に戻りますが、この研究の今後の課題としましては、 本研究デザインの長所と短所をより深く見極めることが必要である。2つ目として、交 絡因子を調整した多変量解析結果の検討が必要である。ただし、交絡因子に関する情報 は不足している。3つ目としまして、データ欠損による結果の偏りの解釈を行う必要が あるといったような報告書の記載があります。臨床WGの意見・考察は後ほど鴨下先生 からご説明いただきたいと存じます。  続きまして、6頁の第2「臨床試験について」ですが、タミフル服用後の異常な行動 の症例につきまして睡眠障害に類似しているものがあるという指摘があったことを踏ま えて、睡眠検査室試験の実施が臨床ワーキンググループから指示されまして、その結果 が報告されております。試験デザインは、ここにあるように、20歳から25歳未満の健 康成人男子を対象として3施設で行っておりまして、目標症例数30例のところ、いま のところ中間解析11例についての結果が報告されております。主要評価項目は、ここ に記載があるように脳波等の確認が行われております。  7頁目に移りまして、報告された結果の概要ですが、いま説明しましたように、目標 症例数30例のところ、中間解析で11症例についての結果が報告されております。1つ 目の○ですが、ビデオ観察中の睡眠期間において異常な行動は認められなかった。有害 事象として、頭痛、手のこわばり、耳介びらんなどが認められたが、これらの発現はプ ラセボ投与期間であった。3つ目として、臨床検査値としてはいくつかの項目でわずか な上昇が認められたが、いずれもタミフルとの因果性は否定された。4つ目は、覚醒時 の心電図(標準12誘導)測定において著明な変化は認められなかった。最後が、中間 解析においては症例数が限られていること、睡眠検査項目が多岐にわたることから、タ ミフル投与による影響に関して結論を得ることは困難であると考えられたといった報告 が中外製薬からなされております。(3)の臨床WGの意見・考察については後ほど鴨下 先生からご報告いただくこととしております。  続きまして、7頁目の第3「異常な行動」、突然死等の副作用報告等の追加調査につい てですが、これについても調査会などでの議論の中でこの副作用報告として報告されて いる内容が睡眠障害に類似しているものがあるので、そういった異常な行動が就寝中や 覚醒直後に発現していないかどうかという、そういった睡眠との関係の調査について指 示があったので中外製薬がその追加調査を実施しております。  タミフル服用後の突然死を含む死亡症例についても、さらに詳細な検討をするために 心電図、剖検の結果などについての追加調査が臨床ワーキングの指示の下に行われてお ります。なお、リレンザ、シンメトレルにつきましても、そのようなご指摘があったこ とを踏まえて、厚生労働省から各企業に対してタミフルと同様の追加調査を指示してお ります。また、タミフル等の非使用例についても医療機関から厚生労働省に直接報告が されておりますので、厚生労働省のほうから追加調査をかけております。  報告された結果の概要ですが、時間もあまりありませんので、基本的には省略いたし ますが、いずれもタミフル、リレンザ、シンメトレルについてほぼ同様な傾向が、睡眠 との関係あるいは年齢構成、性別等につきまして類似したような結果になっているとい う印象でございます。これにつきましては、最終的な臨床WGの意見・考察について 12頁目に記載がありますが、これも後ほど鴨下先生からご報告いただきたいと考えてお ります。13頁の第4「臨床WGにおける調査検討の結果(まとめ)」も後ほど鴨下先生 からご報告いただきたいと考えております。 ○松本座長 ただいまの事務局の説明に対しまして、鴨下先生から補足のご発言をお願 いします。 ○鴨下参考人 事務局から説明がありましたが、臨床ワーキンググループは3つの柱の 上に乗っております。第1が疫学調査です。第2が臨床試験、これは睡眠時脳波です。 第3が異常な行動、突然死等の副作用報告を追加調査する。  第1の疫学調査が、先ほどお話がありましたように、岡部班と廣田班2つに分かれて おります。事務局の報告と多少重複いたしますが、臨床ワーキンググループで検討した ことの意見あるいは考察のまとめを申し上げたいと思います。  岡部班ですが、重度の異常な行動137例のうち、タミフル服用の有無に関してはタミ フル服用有りが82例、60%、タミフル服用無しが52例、38%でした。この結果から直 ちに異常行動の発症率を導き出すことは困難ですが、インフルエンザ様疾患と診断され、 かつ重度の異常な行動発現のうち、タミフルを服用していない例が38%も占めることが 明らかになりましたので、インフルエンザ様疾患と診断された小児・未成年者について は重度の異常行動発現のおそれがあるということについて改めて注意喚起する必要があ ると考えられました。これはタミフルの服用の有無を問わずそうであります。昨シーズ ンの疫学調査の結果、これは後向き調査ですので限界があります。その分析は今後進め なければなりませんが、併せて今シーズン、これからの調査結果、引き続き前向き調査 をして検討したいということです。  それから、廣田班につきましては第一次のご報告ということでありまして、まだ分析 データは完全ではないということもあります。一応報告は伺いましたが、これは途中経 過であって、今後もう少し続けていただいた上で臨床ワーキンググループとしては結論 を出したい。今の段階ではまだ結論を云々するには至っておりません。今後さらに分析 を進めていただき、できるだけ早く結果を出していただくように求めました。  以上のことから、この調査の結果についてさらに解析を進めるとともに、現在、実施 中の岡部班疫学調査の前向き調査などと結果を併せて、引き続きワーキンググループと しては検討したいと考えております。  臨床試験、睡眠時の脳波に関してですが、これは事務局から説明がありましたように、 製薬企業からの報告をもらっていますが、特にタミフルについて睡眠異常を起こさない、 あるいは睡眠を妨げる作用が認められない、心電図においては著明な変化が認められな いということが確認されております。ただし、これは目標症例数30例のところ、3分の 1強の11例についての中間解析の段階ですので、この試験自体が大変多岐にわたる睡眠 検査項目について探索的に行われているということもありますので、今後提出される最 終報告を待った上で引き続き検討したいと考えております。  それから、製薬企業には当臨床ワーキンググループから指示を出しております。それ は、タミフル服用時における夜間の心電図への影響をホルター心電図を使って検討して ほしいということでありまして、健康成人男子を対象とした夜間の心電図に関する製造 販売後臨床試験というものを別途実施中で、この結果につきましても脳波と同じように 最終報告の結果と併せて検討する必要があると考えております。  次の「『異常な行動』、突然死等の副作用報告等の追加調査」ですが、これは異常な行 動の患者の背景を見ると、年齢についてはタミフル、リレンザ、シンメトレル及びタミ フル等非使用例のいずれも20歳未満の小児・未成年者が6割強から9割強を占めてお ります。特に10歳代が多い傾向があります。また、性別についてはいずれも男性が多 く、7割台にありました。これらの結果は岡部班の疫学調査の結果とほぼ同様のもので ありまして、岡部班の調査結果を支持するものと考えられました。  それから、異常な行動と睡眠、就寝等の関係を見ると、タミフルについては就寝中ま たは覚醒直後に異常な行動が発現した症例がそれぞれ60%から54%を占めております。 この結果も岡部班疫学調査の結果とほぼ同様のものであり、その結果を支持するものと 考えられました。  就寝中または覚醒直後に異常な行動が発現した症例については、タミフルとそれ以外、 リレンザ、シンメトレル等、非使用例の比較をしたところ、異常な行動の症状や発現の 状況に大きな差違は認められない、ほぼ同様のものと考えられました。当ワーキンググ ループでは、今後の異常な行動・突然死の副作用報告の状況についてもフォローアップ しつつ、基礎ワーキンググループの結果並びに臨床試験、脳波、岡部班疫学調査、廣田 班疫学調査の結果等も参照しながら異常な行動及び突然死の副作用報告等についての詳 細な調査検討を行う必要があるということです。  全体的なまとめですが、これまでに臨床ワーキンググループでは調査検討を行った疫 学調査、臨床試験の結果等からはタミフルの服用と異常な行動及び突然死との因果関係 を示唆するような結果は得られておりません。  しかしながら、以下のとおり、一部の疫学調査及び臨床試験については現在実施中ま たは解析中であり、これらの結果の如何によってはこれまでの調査検討の結果の解釈に 影響を与える可能性があると考えられます。また、異常な行動の副作用報告についても さらに詳細な検討が必要です。以下のとおりといいますのは、疫学調査ですが、これは 岡部班、廣田班です。それから、臨床試験は睡眠時、睡眠検査室試験、夜間の心電図、 これらです。臨床ワーキンググループとしましては、引き続き現在実施中または解析中 の疫学調査及び臨床試験等の結果を含めたさらなる調査検討を進めることとしておりま す。  なお、岡部班疫学調査の結果等を検討した結果、インフルエンザ様疾患と診断をされ、 かつ重度の異常な行動発現例のうち、タミフルを服用していない例が38%を占めるとい うことが明らかになりましたので、臨床ワーキンググループとしてはタミフルの服用の 有無を問わず、インフルエンザ様疾患と診断された小児・未成年者は重度の異常行動発 現のおそれがあることについて改めて注意喚起する必要があると考えております。  それから、リレンザ、シンメトレル等について、例えば次の点を添付文書の使用上の 注意に記載するなどして、インフルエンザに罹患した小児・未成年者の異常行動発現の おそれについて改めて医療関係者、患者、家族等に対し注意喚起を図ることを考慮すべ きと考えます。  因果関係は不明であるものの、本剤の使用後に異常行動等の精神神経症状を発現した 例が報告されております。小児・未成年については異常行動による転落等の万が一の事 故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は異常行動の 発現のおそれがあること、自宅において療養を行う場合は、少なくとも2日間、保護者 等は小児・未成年が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対して説明 を行うこと。なお、インフルエンザ脳症によっても同様の症状が現れるとの報告がある ので、上記と同様の説明を行うこと。  以上がワーキンググループとしての報告でございます。なお、岡部班、廣田班につき ましてはそれぞれ班長さんがここに参考人としておられますので、何かあれば追加をお 願いできればと思います。以上です。 ○松本座長 今日は岡部先生、廣田先生がご出席ですので、補足があればお願いしたい のですが。岡部先生、いかがですか。 ○岡部参考人 前回の臨床ワーキンググループでこの解析についてはすでに発表してお ります。そのときも分析担当者である大日からご説明しておりますが、あくまで今回発 表したのはレトロスペクティブな調査で、いわば、思い出しについて届けていただいた というのがありました。ですから、例えばそうかもしれないと思う人にとって強く打ち 出されたり、あるいはそうではないと思う人によって強く打ち出されたり、両方の思い 出しのバイアス、リコールバイアスがかかる可能性があるので、一応そういうものであ るということの制限を持った上で発表させていただいたつもりです。  ただ、追加資料に少しあったのですが、そのときにタミフル使用制限に関する通知の 前後でどういう変化があるかということであったり、いくつかのご指摘を受けたところ もありましたので、それによって年齢別の分布をやってみると、通知前後での異常行動 は20歳代以下という形で分析した場合には特に異常行動が下がっているというような データも出ています。この辺は年齢の分析によって変化が出てくるというところも数的 な問題もあると思うのですが、プロスペクティブな方法によってきちっとしたスタディ をやっていく必要があるだろうと思います。そういう意味で、資料3-3、追加というデ ータを今回の発表に付けております。  それから、今回は委員会だけですが、多くの臨床の先生方に、今シーズン、そういう 患者さんはいないほうがいいわけですが、もし異常な行動が見られる患者さんであった り、あるいは定点の先生方にお願いしている軽症の症例など、経験された場合は是非ご 報告をいただければと思います。以上です。 ○松本座長 廣田先生、いかがですか。 ○廣田参考人 私どもは前横田班からのデータを引きついで解析するという役割を担っ ているわけですが、自分たちがデザインしたスタディではないということで非常に苦労 しながら解析をしております。解析にあたってはとにかく先入観なしに淡々と解析をす るということをモットーにしております。臨床の先生方は、一旦集めたデータを一度検 定して有意差があったかなかったかという判断をされようかと思います。治験、臨床試 験をしておられる先生方はかなり型にはまった形での解析ということになろうかと思い ますが、何分、これは一般の開業の先生方を介して患者の家族に回答してもらうという、 まさに非常に複雑な疫学研究という形でございます。  そういう中で、先入観なしに今回も第一次の予備解析ということで作業の進捗状況を 正直に出したという状況です。なお、まだまだこれは第一次の予備解析で、なおかつこ れがcrudeの値ですので、この結果が先走りしないように、まだどう変わるかわからな いような状況であるということを申し添えさせていただきます。特に、その点の取扱い はミスリードすることが起こらないようにプレス関係の方々にもお願いしたいと存じま す。以上です。 ○松本座長 ただいま臨床のワーキンググループからのご報告をいただきましたが、こ れについてご質問、ご意見等がございますか。 ○岡部参考人 追加ですが、すでにワーキンググループの委員長から強調されていまし たが、薬剤を使わないグループからもある一定数の異常反応が出ているということにつ いては、このインフルエンザという病気に対して、軽症だから放っておいていい、薬を 使わなければ大丈夫である、ということにはならないので、その点はこの病気に対する 注意はしていったほうがいいということも併せて。 ○松本座長 1点だけ確認させていただきますが、この薬剤を服用していないグループ に異常行動が起こっているということは、インフルエンザでそういう症状が起こるとい うことであると思ってよろしいですか。 ○岡部参考人 今までの文献報告あるいは臨床医の経験でもそういうことがあったわけ ですが、それが一つ大きいサーベイランス調査というふうにはまとまっていなかったわ けです。それがサーベイランスデータの中で服用以外、つまりインフルエンザという病 気でも出てくる。ただし、その中にはそのほかいろいろなファクターが入っている可能 性はありますけれども、現在、少なくとも、問題になっている薬剤について、これを使 用しなくなったから完全にこの異常行動あるいはその他が消え去るということではない、 ということが明らかになったわけで一つの警鐘とすべきであろうと思います。 ○松本座長 かなり頻度が高いみたいなのですが、これまで気がつかなかったというこ とでよろしいのですか。 ○岡部参考人 頻度ではなくて、これはあくまでインフルエンザという病気の中で異常 行動を起こされた方についてその薬を使った使わないということで、決して30%に起き るということではもちろんないわけです。それから、最近の臨床の先生は、臨床診断だ けではなくて検査診断も併せて行っておりますので、その対象になっている患者さんの ほとんどはインフルエンザであるということがいわゆる迅速診断キットで証明されてお ります。 ○松本座長 ありがとうございました。ご質問等はございますか。 ○広津参考人 お願いがあるのですが、いま臨床ワーキンググループの鴨下先生が丁寧 に説明されたように、疫学調査データからは現時点で何も言えない、これからの調査を 待つと言われました。それはそのとおりでいいのですが、一方で廣田先生の報告でも一 時報告で、例えば最後にある参考値が独り歩きをしないようにというご注意をされたの ですが、ある意味、現時点での結果であって将来は変わるかもしれない、というのはこ の種の会議での決まり文句だと思いますが、いま言われていることは、決まり文句では ない、本当にまだ結論はわかっていない、というふうに受けとっていただきたいと思う のです。参考資料、一次資料といいながら先ほどオッズ比の説明がされまして、たぶん、 一般には意外な結果として、オッズ比(λ)0.5という数値が示されています。しかし、 事前の臨床ワーキンググループ検討会で詳しく述べたように、これは本当にまだ一時暫 定的とも言えないような値です。例えば表のすぐ下に書いてあるのですが、(1)で異常行 動の発現時刻がタミフル投薬時刻より前の症例をタミフル投薬なし異常行動ありに入れ るというのは普通に考えると当たり前そうなのですが、実はそれが当たり前ではなく、 むしろそれらの症例をタミフル投薬部分として扱ったほうがいいという考えもあり得て、 それによってλは大きく変わり、1を超える可能性もあります。そういう精査の前にこ の数値が独り歩きしないように是非お願いしたいと思います。 ○廣田参考人 広津先生がおっしゃったとおりでありまして、例えば喫煙以外の肺がん のリスク因子を調査しようというときに、大体、飲酒が3倍あるいは5倍肺がんのリス クを上げる、有意に上げるというような結果が得られることがあります。そういうとき は、本当かということで慎重にずっと解析をするわけでして、最終的にこれは喫煙で調 整すれば消えるわけです。喫煙者は酒も飲む、酒を飲む人はよく喫煙をするという関連 があるために出るわけです。そういうわけで、これは最初に解析した状況をここでご報 告したということで、そういう意味から、この結果は今後の解析を進める上で変更の可 能性は十分にあるということです。 ○猪熊参考人 私も、いちばん最後の21頁の実データの説明の「タミフル投薬あり+ 異常行動ありの症例のうち」という所ですが、タミフル投薬なし異常行動ありの症例に タミフル投与時刻より前の症例を加えるという所を拝見して、すでに異常行動が起こっ ていて、それをタミフルが増幅するという可能性に関する検討はできないだろうかと感 じましたが、何らかの方法でそれを検討する必要があるのではないかと思っております。 ○飯沼参考人 基礎のデータも非常に大事だと思いますので、確認させていただきたい のですが、5頁目です。今まで6月と11月と今日で、基礎ワーキンググループから報告 をいただくのは3回目ですが、中外製薬が報告されるデータで、今度の新しいはっきり したデータは脳内の濃度が血漿中濃度とどう違うかということで、前回のデータと違っ ていたというお話があるだけであまり進んでいないので、そこがちょっと納得いかない ということと、それのデータを是非欲しいということを前回お願いしたのでその答えが ここに出ていると思うのですが、ご自分の所のデータをご自分がひっくり返して、これ で誤りが見出だされたぐらいでいいものなのでしょうか。それが第1点です。  それから、脳の中にタミフルそのもの、また、その代謝物が特段ほかの所と同じだと いう証明をかなり精度正しくやらないと、やはり行っているのではないかというものの 考え方をする人があると思うので、そこら辺のところをしっかりやっていただきたいと 思います。「意見陳述等に対する基礎WGの見解まとめ」に書いてある「脳への移行に ついて」というのはいま私が申し上げたことだと思うのですが、(2)に「提案のような 試験の実施は現時点では容易ではない」とありますが、この提案のような試験というの は何の試験のことを指すのでしょうか。それを教えていただきたいと思います。 ○大野参考人 最後のほうからですが、提案のような試験ということですが、これはイ ンフルエンザ感染モデルでの試験のことです。それから、代謝物の件ですが、オセルタ ミビルの活性代謝物とオセルタミビルの両方が脳にどれだけ入っているかということを いろいろ調べています。濃度から考えると、先ほどわかりにくいというお話がありまし たが、脳に存在するいろいろな受容体とかイオンチャネルとか、そういったものに対す る作用が現れると想定される濃度と比べて極めて低いぐらいだという、ヒトの結果が最 初の1頁、第1の1の4)のいちばん下の所に書いてあります。臨床用量の2倍に相当 する用量のオセルタミビルを投与したとき、オセルタミビルの血漿中Cmaxは 120ng/mLで、これはモル濃度にすると大体0.3μMぐらいです。OCのほうは500ng/mL とありますが、これは大体1.5μMぐらいということです。それと比べてさらに脳・脊髄 液濃度が低いですから、nM程度のオーダーです。それと比べて非常に高いところで初 めて中枢性の受容体やイオンチャネルへの作用が出ているということです。例えば薬物 相互作用とか、そういったことで血液脳関門の機能が抑制された場合でも10倍程度に しか上がりませんから、そういう状況で考えても十分に安全が保たれる濃度だろうとい うふうに考えています。  それから、申請者の試験に間違いがあったということに関してですが、先ほど申しま したけれども、企業が出したことをそのまま「はい、そうですか」と聞いたわけではあ りませんで、生データのコピーを出していただいて、チャートから出てくる分析結果を 遡って調べたところ、検量線のところで10倍上がって、希釈のところで50倍の間違い があったということで、合わせて500倍というようなことを確認いたしました。そうい う数値だけではなくて、もともと脳にそれだけ高く上がるというのは想像できないぐら い高い濃度ですので、修正した値が妥当だろうと考えたところです。 ○飯沼参考人 前回の試験における血中濃度の算出といいますけれども、前回はデータ がなかったのです。発表はなくて、なぜ脳のホモジネートのデータがないかという質問 を私はしています。ただ、近々出ますという答えでしたので、この前回試験の結果とい うのは拝見していないと思うのです。ワーキンググループの先生が見られていれば、そ れはそれでいいと思いますけれど。2頁の3の2)「新試験の結果」です。前回の記憶だ と、脳のホモジネートの中のタミフルの濃度を測ればいいのにどうしてデータが出てい ないのかという質問を私はしています。 ○安全使用推進室長 ご指摘の点は、もし間違っていたら大野先生にご修正いただきた いのですが、報告書の1頁の第1の1の3)に「ラットにおける脳、脳脊髄液及び血漿 中濃度の測定」というのがありまして、前回、11月の調査会の際には脳脊髄液と血漿中 濃度の結果だけが報告されて、脳の濃度がまだ報告されていなかったと。今回、その後、 脳中濃度も報告されておりまして、それがこの1頁の3)に脳ホモジネート/血漿という ことで、AUC比は約19%ということで報告がその後出されて、その内容がここの記載 に反映されていると。その後、基礎ワーキンググループにどのような形で報告されたか と申しますと、前回は(その1)という資料で調査会には報告させていただいたのです が、資料2-3の(その2)という資料が提出されまして、その際に脳中濃度も併せて報 告されまして、先ほど説明した報告書に反映されているというように理解しております。 ○松本座長 それでは、ほかにご質問等はございませんか。猪熊先生のご質問で、増悪 しているかいないかということを調べるということなのですが、これは、廣田先生や岡 部先生、できますか。臨床の今日の結果を聞くとまだ何となく曖昧模糊としているので、 そこまで行けるかどうか非常に難しいところだと思うのですが、いかがでしょうか。 ○廣田参考人 いつまでと言われても、これは研究班でやっていますので私の一存では 言えないのですが、できる限り今年度中に報告書できちんと上げるということを心がけ ております。 ○松本座長 先ほどの意見というのは重要なポイントですね。インフルエンザそのもの でも起こるわけですから、この薬剤が悪くしたか、また、誘発したかどうかというのは 残ってくるわけなのですが、あるいは独自な形で異常行動をタミフルが起こし得るかど うかということに関しましても、これは基礎ワーキンググループがどこまでアプローチ できるかという問題にかかるとは思うのですが。 ○広津参考人 先ほどのご質問の流れからの議論に関しては自分も同じように考えます が、例えばその症例はずっと観察してデータがあるわけですね。ですから、タミフル投 与前に起こしていたという事実に引き続いて、投与後その症状が続いたのかなくなった のかというデータは当然あるのだと思うのですが、そうではないのでしょうか。 ○松本座長 そういうデータはお持ちでしょうか。 ○岡部参考人 今回の学会発表の中では反復例というのは出ております。つまり、同一 の人が繰り返して発症しているという例は学会発表ではあります。ただし、その場合も、 タミフルを飲まなくても反復している方もおられるというのがあります。 ○松本座長 この度、タミフルを服用しているものと服用していない群とで差があまり はっきりしないということになると、そこまで議論が進められるかどうか非常に難しい ところではないかと思うのですけど。 ○猪熊参考人 例えば、16頁に、最初の投与から異常な行動の発現までの時間で、1時 間未満からずっと1時間置きに書いてあるぐらい丁寧な情報が得られているわけですね。 これだけ丁寧な情報を得ることのできる原簿があるのであれば可能ではないかなと思い ます。 ○安全使用推進室長 この表でまとめているものは岡部班あるいは廣田班の研究で集め られた異常行動の症例の解析の結果ではなく、薬事法の規定に基づいて製薬企業を通じ て報告されている症例、タミフルであれば282例、リレンザ10例、シンメトレル等8 例について解析した結果でありまして、岡部班や廣田班で報告された内容とは別な症例 ですので、これはまた別なものというようにご理解いただきたいと思います。 ○松本座長 いろいろな所からの結果が入り込んでいるので混同するところがあるので す。いちばんスッキリするような形で臨床のほうをまとめていただければと思うのです が、いかがでしょうか。あとは、どういう結果が出ればもう少しクリアカットに物が言 えるようになるかということまでお示しいただければ、検討する側としては大変ありが たいと思うのです。先ほどのお話を伺っておりますと、何か、範囲があまりはっきりし ないという気がいたしますが、いかがでしょうか。 ○猪熊参考人 基礎はもちろん大きく離れる仕事なのですが、基礎でほとんど影響がな いというのが基礎のワーキンググループの結論のように聞こえて、それと臨床の実態と の乖離を説明する何かが必要かなと思った次第です。 ○松本座長 基礎の大野先生、何かご発言はありますか。一応、陽性所見といいますか、 支持する所見がないということで結論がある程度出ているのではないかと思ったのです けど。 ○大野参考人 ご指摘がありましたように、残念ながらと言うのも変ですが、これまで のところ、基礎のデータから臨床での副作用に直接結び付くようなものは認められなか ったというところでございます。 ○松本座長 症例検討に関しましては、さらに廣田先生のほうで検討していただくとい うことでよろしいでしょうか。 ○内山参考人 確かに、こういった薬剤によって異常行動が起きるか起きないか、ある いは因果関係はどうかということに関してはこれはクリアカットな答えが出ていないの だと思います。ただ、今回こういった不幸な事例が起こってしまったということに対し てどういう予防措置を講ずるべきかということに関しては、インフルエンザだけでもこ ういったことが起こり得るということが出たことは、一つ大きなことであって、今まで これは世界中の人たちが見落としてきた程度の異常行動がインフルエンザ脳症を伴わず にも起こり得る、ということを出したことは非常に大きなことだと思います。全体の頻 度としては非常に高いものではありませんが、こういうことが起こり得るし、こういう ことに対して全般的な警告を皆さんに呼びかけるというのは、こういった学問的な意味 での因果関係を調べることとは別に、ユーザーサイドに対してどういう情報をこのワー キンググループあるいはこの検討会が出せるかということに関して一つ大きな仕事をし たのではないかと思います。ここから先は、むしろ、そこを前提として、先ほど猪熊先 生がおっしゃったように、こういうことが本来インフルエンザによって起こることをど れだけ高めるのかということについて、もう少し戦略を練った上で前向き調査などを行 っていくということが非常に大切なことではないかと思います。ですから、そういう意 味では、はっきりした答えといいますか、学問的な意味ではなくてあるところの線は出 せたのではないかと私は考えます。 ○松本座長 そのとおりだと思います。これは薬剤との関係だけではなくて、全体的に どうするかということになりますので、おっしゃるとおりだと思います。 ○岡部参考人 それでは、タミフルをそんなに使わないでインフルエンザがいっぱいあ る米国ではどうか。先般、米国のFDAに呼ばれてこれに関する委員会で日本の状況の 説明と向こうの様子についての情報交換みたいなものをやったときに、米国の状況はど うですかと向こうに聞いたのですが、インフルエンザそのものの診断がほとんど現場で 行われてないので、インフルエンザに伴って異常行動があるかないかという視点で見て いないのでわからないというのが実情でした。もう1つは人種差もあるのかもしれませ んが、現在の状況で外国のものと照らし合わせて有る無いの判断、つまり外国にはない と言うのはちょっとその分早計だろうと思います。それで、彼らのほうにそういうスタ ディをやったらどうかということは勧めてはきているのですが、それに取りかかるかど うかについては不明です。 ○松本座長 いろいろなご意見をいただきましたが、最後に現在とられているタミフル の安全対策に対するご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。10歳代は原則 禁忌ということで、現在と同じような安全対策でよろしいかどうか。そのことに関して ご意見をいただけないでしょうか。 ○倉田参考人 できるだけ使わないでいただきたいと思うところは最初から同じなので すが、いまいろいろと伺っておりますと、どの抗インフルエンザ薬でも同じようなこと が起きるかもしれないし、そのインフルエンザ薬を使わなくてもインフルエンザそのも のでこういう異常行動が起きるかもしれないということで、たぶん、お医者さんに行っ た患者やその家族たちは抗インフルエンザ薬は要らないと言って断わるケースも出てく ると思うのですが、そのときに、今後どのように子どもを看ていってケアをしていった らいいかというお医者さんからの説明と、患者のほうもこれはかなり覚悟をして看護を していかなければいけないだろうと思うのですが、その辺の説明をよくしていただける ようにガイドラインか何かをつくっていただけるとありがたいのですが。 ○岡部参考人 わからないものについてガイドラインをつくるのはなかなか難しいと思 うのですが、現在の段階で私たちのほうでもホームページなどで一応書いているのは、 インフルエンザそのものは決してすべてが悪い病気ではなくて、ほとんどの場合にこれ は治りますといういことです。これも事実だろうと思います。それから、異常行動が非 常に重大な問題にはなっていますが、なられた方は本当にお気の毒ですからそれを無視 するわけではないですが、確率から言えばそんなに皆さんがかかるわけではない。そう いう意味では、インフルエンザだからといってヒヤヒヤする必要はないのです。しかし、 病気というものに対する注意、観察というのは十分必要であって、それはその薬を使っ た使わないに限らずきちんと見ていただいて、「何々をしたから全く安心である」という 保証をすることは残念ながら医療というものの中では言えないと思います。 ○松本座長 医療の基本に戻れということだと思うのですが、現在の使用上の注意をど うするかに関しましては、ワーキンググループの座長である鴨下先生、何かご意見ござ いませんか。 ○鴨下参考人 臨床ワーキンググループははっきりした返事が出せなくて申し訳ないの ですが、これは2つの研究班におんぶしているものですから仕方がないのですが、私ど ものワーキンググループでその問題は特に時間をかけて議論したわけではないのですが、 ともかくはっきりした結論が出るまでは現在の警告を遵守していくしかないのではない か、それでよろしいのではないかと考えております。それから、ついでに、これは誠に 個人的なことなのですが、私は小児科医なのですが、小児科医不足なものですから、今 日の午前中も50人ぐらい患者を診ていたのです。中にインフルエンザとおぼしき患者 が3人おりまして、検査をしましたら2人がAの陽性だったのです。1人はネガティブ だったのですが、これは予防接種をしていたのです。それはさておき、タミフルはどう しますかと言ったら、あれは危ないと聞いていますから要りませんということなのです。 そういうふうに、現場ではそういう状況もあるということで、このインフルエンザがこ れから流行し始めたらここら辺のところは問題になると思います。ただ、今までのいろ いろな臨床ワーキンググループの中間的なデータでは特に今の警告についてこれを変更 したりする根拠もありませんし、ともかくもう少し様子を見なければいけない。それに つけても両研究班にはできるだけ早くクリアカットな結論を出していただきたい。これ はお願いでございます。 ○松本座長 ありがとうございます。基礎ワーキンググループから大野先生、現在の対 策に関して何かご意見ございませんか。 ○大野参考人 基礎ワーキンググループで十分に検討できたとは申し上げられないので すが、結局、P-gpの遺伝子多型とかNeuraminidaseの遺伝子多型とか、そういう部分 もありますので、また、Neuraminidaseの神経系に対しての役割というのも曖昧なとこ ろもありますので、将来の問題としてそういう異常行動を起こしたような患者さんの遺 伝子レベルでの詳細な検討をやれれば何かわかってくることがあるかもしれないなとい うところです。 ○水口参考人 現在の警告の内容を変更するべきかどうかまではわかりませんが、副作 用報告の結果とか疫学調査の結果から、いわゆる飛び出し・飛び降りという異常行動が 5歳から9歳の年齢にも見られているということと、圧倒的に男の子に多いということ ははっきりしてきておりますので、このことは一般の間にも知識として広めておいたほ うが、いろいろなことを気をつけて見ていくという上でも有用ではないかと思います。 ○廣田参考人 これは私個人の意見ですが、現在、説明がなされるときに異常行動を起 こした人の中のタミフルの服用者の割合、あるいはタミフルを服用していない人の割合 ということで、タミフルを飲まなくても異常行動を起こすことがあるよという説明が、 いつの間にか、タミフルと関係ないという誤解をされるような形で伝わっているのでは ないかと思います。だから、患者の中での割合を云々するというのは本来根拠がないこ とでありまして、異常行動を起こした人の95%は歯磨きをしていますので、では歯磨き が原因かということにもなりますし、あるいは呼吸器がんを起こした人の中でアスベス トにばく露している人はほんのわずかですが、アスベストと呼吸器がんの関連というの は極めて強いわけです。そういうわけで、この説明の仕方は患者の中での割合というこ との限界をきちんと心得た上で説明するようなことが必要ではないかと思います。 ○松本座長 ありがとうございました。まだまだご意見はあると思うのですが、時間が 随分経ちましたので、当調査会としての報告の案を作成しなければいけませんので、そ ろそろその段に入りたいと思っております。臨床ワーキンググループの鴨下先生と基礎 ワーキンググループの大野先生と私とで案を作成させていただきますので、少しの間休 憩とさせていただきます。 (座長、大野参考人、鴨下参考人は別室に移動) (休憩) ○事務局 ただいま報告書案のまとめの案を配布しています。間もなく再開しますので、 皆様、ご着席をお願いします。 (報告書案配布) ○松本座長 会議を再開します。事務局は報告案、まとめ案を読み上げてください。 ○事務局 報告案を読み上げさせていただきます。  平成19年12月25日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会、 リン酸オセルタミビル(タミフル)について。当調査会は、リン酸オセルタミビル(タ ミフル)の服用と異常な行動等の副作用との関係について結論の取りまとめを行うため、 本年4月4日、6月16日及び11月11日に会議を開催した。本年6月16日にはタミフ ルの安全性について希望団体等からの意見陳述の聴取を行った。また、本年6月16日 及び11月11日にはリン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググルー プ(基礎WG)及びリン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググルー プ(臨床WG)から調査検討の状況について報告を受けて検討を進めてきた。(注1)  (注1)タミフルの安全対策の経緯等については、別添「参考資料」参照ということ で、参考資料をただいま省略しておりますが、本日の資料1-1がここに該当するかと思 います。  本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGにおける調査検討の結果について、それぞ れ別添1及び別添2のとおり報告を受けて検討を行った。別添1と別添2は省略をして おりますが、それぞれの基礎、臨床のWGの報告がここに添付されることになります。  タミフルの服用と異常な行動及び突然死との関係についての現時点における当調査会 の検討結果等は、以下のとおりである。  本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGから非臨床試験(動物試験等)、臨床試験、 疫学調査等の結果について報告を受けた。次のように、いずれもタミフルの服用と異常 な行動及び突然死との因果関係を示唆するようなものではないと考えられた。したがっ て、現時点においてタミフルの服用と異常な行動及び突然死との因果関係を示唆するよ うな結果は得られていない。なお、特に、疫学調査については、更に必要な分析を進め、 臨床WG及び当調査会に報告することが適当である。  (1)非臨床試験。バインディング・アッセイの結果、臨床用量投与時に推定されるタミ フルの未変化体及び活性代謝物の脳中濃度では多くの中枢性の受容体やイオンチャネル 系への作用を持たないとされたこと等。(2)臨床試験。睡眠検査室試験の中間解析による と、タミフルについて、睡眠異常を起こさないこと、心電図検査において著明な変化が 認められないことなどが確認されたこと等。(3)疫学調査。現時点では、明確な結論を得 るために必要な解析には至っていないこと。  このようなことから、当調査会としては、引き続き基礎WG及び臨床WGにおいて、 現在実施中又は解析中の非臨床試険、臨床試験及び疫学調査等の結果を含めた更なる調 査検討を進め、できるだけ早期に最終的な結論の取りまとめを行うこととする。  インフルエンザによって異常行動が起こり得ることに対し、改めて医療関係者及び国 民の注意を喚起する必要がある。  以上を踏まえ、タミフルについて現在講じられている措置(注2)は、現在も妥当で あり、引き続き医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当である。  (注2)現在講じられている措置ですが、平成19年3月20日の緊急安全性情報:10 歳以上の未成年者の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合 を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。さらに、ザナミビル水和物(リ レンザ)及び塩酸アマンタジン(シンメトレル等)について、次の点を添付文書の使用 上の注意に記載し、インフルエンザに罹患した小児・未成年者の異常行動発現のおそれ について改めて医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当である。因 果関係は不明であるものの、本剤の使用後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が 報告されている。  小児・未成年者については、異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための 予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれが あること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成 年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。な お、インフルエンザ脳症等によっても同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と 同様の説明を行うこと。以上です。 ○松本座長 ありがとうございました。いまの報告案についてご意見を伺いたいと思い ます。 ○岡部参考人 内容への言及ではないのですが、最後のほうに注意喚起があるわけです が、そのあとのほうでもいいのですが、今後、重症な症状が見られた方については、す べての医師にお願いして報告をいただこうとしていますので、そういうシステムがある ことをご説明いただくと、一層のきちんとしたサーベイランスに結び付くのではないか と思いますので、その点、よろしくご検討いただければと思います。 ○松本座長 事務局、いかがですか。すべての人にアプローチできるかどうかですが。 ○岡部参考人 いや、すべての先生に一応お願いをしてあるので、どの先生でもお届け できるというシステムはできています。ただ、そういう報告や、例えば、通知や何かを 発していますが、現場の先生にすべて徹底しているかと言いますと、決してそうではな いと思います。  ですから、事あるごとに私は、そういう報告システムは出来上がっているので是非、 万が一そういう患者さんをご覧になった時には報告をしてくださいというお願いをして いますので、折角この結論が出て、ワーキンググループの中で、報告をするという研究 班がありますので、利用していただければと思います。 ○安全使用推進室長 その件は、健康局と医薬食品局から、今年の調査開始前に通知を 出していますので、ちょっと健康局とも相談して対応したいと思います。 ○浦田参考人 この今日の報告書の裏の○の2番目の「以上を踏まえ、タミフルについ て現在講じられている措置」についてですが、この3月20日の緊急安全性情報ですが、 これはもともとこの症例報告をもとにされて出されているのですが、これの症例報告も そうですし、岡部先生や廣田先生の報告から見ても、年代的にはもう一つ下のほうから、 つまり5歳以上の方はかなりこの範囲に含まれているように思うのですが、その点は別 に放置しておいてもよろしいのでしょうか。 ○安全使用推進室長 放置ということではなくて、このリレンザとアマンタジンに追記 する内容が、基本的にいまタミフルの警告欄に記載されている内容とほぼ同様なので、 いまご覧になっている頁の下の○をご覧いただきたいのですが、小児・未成年者、要す るに10歳未満の小児や未成年者については、このように異常な行動の発現があること、 あと自宅において療養を行う場合は、少なくとも2日間保護者等は小児・未成年者が一 人にならないように配慮するという注意喚起が、タミフルの服用如何を問わず、現在も されています。  ですから、あくまでも緊急安全性情報は、予防的な対応として、10歳以上の未成年の 患者について、ハイリスク患者については、本剤の使用を原則として差し控えていただ きたい、という対応を行っているということで、10歳未満の患者の安全対策は、いまも 講じられているということです。 ○浦田参考人 この○のほうは、リレンザとシンメトレルについての文章ですから、も し、そういうふうに言われるのであれば、この文章の中にタミフルも含められたほうが いいのではないか、と私は思うのですが、いかがですか。 ○安全使用推進室長 それでは、注2に10歳のことしか書いてないのですが、小児・ 未成年者についても記載がありますので、注2で、緊急安全性情報の一部分だけちょっ と抜粋してしまったのですが、小児・未成年者についての注意も付記して、誤解がない ようにさせていただきます。 ○松本座長 それでは、そのようにお願いします。 ○日野参考人 いまの件も少し絡むかもしれませんが、資料5−1の6頁ですが、「タミ フル服用後の異常行動について」と書いてあります。いま配られた最後のザナミビル、 リレンザ、シンメトレルということもありますので、そうしますと、この6頁のタミフ ルだけでなくて、リレンザ、シンメトレルも加えた文章に書き替えなければならなくな ってくるのではないでしょうか。 ○安全使用推進室長 これは、つい先日、厚生労働省のホームページに掲載したばかり ですが、今日このような結論が取りまとめられましたら、こちらも速やかに修正して掲 載したいと存じます。 ○松本座長 ほかに特にご意見はありませんか。広津先生よろしいですか。 ○広津参考人 あまりしつこく言ってもいけないのですが、因果関係を示唆するような ものではないと考えられたということが強調されると、ちょっとニュアンスが違うかな という気がします。下の(3)の疫学調査で、「現時点では明確な結論を得るために必要な解 析には至っていないこと」と注釈にありますが、これを、因果関係を示唆しないという ように否定的な読み方をされると、いささか問題があるかなということです。ちょっと した表現の問題です。 ○松本座長 これは、上の2行目の疫学調査の後ろ側に「現時点では明確な結論を得る ために必要な解析に至っていない」と入れるのはいかがでしょうか。2行目の○のとこ ろの「本日」のところの「疫学調査等」の疫学調査の後ろ側に「現時点では明確な結論 を得るために必要な解析に至っていない」ということに。 ○広津参考人 まだ最終的な文章が頭に入らないのですが、そこがリンクするように書 いていただければ、はっきりするかと思います。 ○松本座長 具体的には、そうしますと。 ○安全使用推進室長 もう一回、読み上げます。1頁目の1つ目の○ですが、「本日、当 調査会は、基礎WG及び臨床WGから非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査」 のあとに、括弧をして、その下に書いてあります「現時点では、明確な結論を得るため に必要な解析には至っていない等の結果について報告を受けた。」  あと、「次のように」以下はそのままでいかがでしょうか。(3)の「疫学調査」以下の少 し字の小さいのは削除ということでいかがでしょうか。 ○広津参考人 「次のように」というのは何を指しているのでしょうか。 ○安全使用推進室長 非臨床試験と臨床試験を指しています。 ○広津参考人 はい、分かりました。 ○浦田参考人 文章の言葉がややこしくなっているのではないでしょうか。はっきり言 って、「結果について報告を受けた」と。そして、「その報告からは、現時点においてタ ミフルの服用と異常な行動及び突然死との因果関係を示唆するような結果は得られてい ない」と。結果がいまダブったので、文章を推敲していただければいいのですが、「次の ように云々」というパラグラフが何か余計なのではないでしょうか。 ○松本座長 おっしゃるとおりだと思います。「次のように」以下を消して、「現時点に おいてタミフルの服用と異常な行動云々」という形につながっていくのはいかがでしょ うか。そうすると、すっきりするのではないかと思います。この流れからいくと、結果 は得られていないが、疫学調査については十分かつ慎重な検討、分析を進める必要があ ると思われるという形ではどうですか。それでは、また事務局から読んでもらいますの で、聞いてください。 ○審議官 事務局ですが、いま松本座長からおっしゃられたのを少しまとめますと、「本 日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGから非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫 学調査(現時点では、明確な結論を得るために必要な解析には至っていない)等の結果 について報告を受けた。現時点においてタミフルの服用と異常な行動及び突然死との因 果関係を示唆するような結果は得られていないが、特に、疫学調査については十分かつ 慎重な検討や分析をさらに進め、可及的速やかに、臨床WG及び当調査会に報告するこ とが適当である」ということかと思いますが、いかがでしょうか。 ○松本座長 いかがでしょうか。 ○広津参考人 それで結構です。 ○猪熊参考人 これは誰が報告するのですか。 ○松本座長 先生が報告していただくのではないかと思いますが。 ○岡部参考人 研究班等々はまだ継続が決まっていませんので、これはどこかがやるこ とにはなりますが、明確に現在の研究班と言われるのも、また。ただ、示唆するところ はそこだろうと思います。来年度もよろしくお願いします。できるだけ早く報告してい ただいて。 ○一瀬参考人 睡眠のところですが、これも、やはり中間報告で30分の11しかまだ出 ていません。最終報告を求めて、改めて検討というのが結論ですから、疫学調査だけで なくて、睡眠についても同じように。 ○松本座長 いいですか、睡眠についてもできるだけ早く検討してもらう。 ○一瀬参考人 ここで言う臨床試験です。 ○松本座長 臨床試験の中の睡眠との関係は、まだ3分の1くらいしかできてないとい うことなので。 ○安全使用推進室長 1頁目の下に、これは十分ではないというご意見かもしれません が、現在、実施中又は解析中の非臨床試験、臨床試験、この臨床試験の中にその睡眠検 査室試験がありますが、できるだけ早期に。 ○松本座長 一つ報告を早めることと言われると、次から次へと出てくるのです。文章 のままでよろしいかと思いますが、睡眠試験も早く出すことというのを入れますか。 ○一瀬参考人 30例データが揃って、まだ解析が出てないということをお聞きしていま すので、どこがどこに、いつ検討するのかはっきりさせておかないと、また消えてしま うのが心配です。よろしくお願いします。 ○松本座長 分かりました。 ○安全使用推進室長 先ほど、「特に疫学調査については」とありましたが、「特に疫学 調査及び臨床試験については」とさせていただきます。 ○松本座長 ほかにございませんか。よろしいようでしたら、最後に、もう一回読み上 げてもらいますが、ほかにご意見はありませんか。それでは、最終的なものを読み上げ てください。 ○安全使用推進室長 直したところだけを読ませていただきます。  「本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGから非臨床試験(動物実験等)、臨床試 験、疫学調査(現時点では、明確な結論を得るために必要な解析には至っていない)等 の結果について報告を受けた。現時点において直ちにタミフルの服用と異常な行動及び 突然死との因果関係を示唆するような結果は得られていないが、特に、疫学調査及び臨 床試験については、十分かつ慎重な検討や分析を進め、可及的速やかに臨床WG及び当 調査会に報告することが適当である」。  以上です。 ○松本座長 変更は、あと、2頁の注2に少し加えるということですね。 ○安全使用推進室長 すみません。それと、2頁目の注2に10歳以上のことだけが書か れていますので、小児・未成年者についての注意喚起の内容も追記いたします。 ○松本座長 これでよろしいでしょうか。ご異論がなければ、これを当調査会の報告と して、了承させていただきます。ありがとうございました。  それでは、続きまして、議題の2「その他」について事務局からお願いします。 ○安全使用推進室長 「その他」ですが、先ほど委員からご指摘がありましたように、 インフルエンザの基礎知識に関する資料を、本日、資料5-1として配布していますが、 先ほど申し上げましたように、本日の結果を踏まえて修正を行わせていただきたいと思 います。  もう一つ報告事項ですが、「平成17年度インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に 関する調査研究」、横田先生の研究ですが、その検査結果について調査で収集した生デー タ、調査票ですが、その入力プロセスを確認したところ、不適切な点は見られなかった ということです。あと、統計専門家により再解析を行ったところ、タミフルの使用と異 常行動との発現の関連性は、平成17年度調査と同様の結果が得られましたので、その 点をご報告させていただきます。  今後の予定は、今日、引き続き検討となっていますので、また、各ワーキンググルー プや当調査会については、何らかの臨床試験や疫学調査などの結果が得られ次第、また 再度日程を調整させていただきますので、また、その際はよろしくお願いいたします。 以上です。 ○松本座長 ただいまのご発言、また全体を通じてご発言はありますか。 ○鴨下参考人 あえて申し上げるまでもないのですが、ワーキンググループは、今日は 決定的な報告にはならなかったわけですが、やはり、それは一つは、前の横田班もそう ですし、現在の廣田班も非常に、やはり調査の結果からデータの解析も難しい面もある わけです。  そうは言っても、やはり、これをきっちりレトロスペクティブなものはバイアスがか かるとか、当てにならないということもありますが、それを出していただかないと、私 どものワーキンググループの結論は出せませんので、重ねてのお願いになりますが、是 非、よろしくお願いしたいとうことを申し上げたいと思います。 ○松本座長 それでは、本日の第5回の調査会をこれで終了いたします。長い時間、活 発なご議論ありがとうございました。 照会先:厚生労働省医薬食品局安全対策課 電話:03−5253−1111