07/12/20 第35回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 第35回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日 時 平成19年12月20日(木)10:30〜12:00 2 場 所 経済産業省別館1014号会議室(10階) 3 出席者 [委 員] 市川委員、市瀬委員、伊藤委員、小林委員、鈴木委員、            高橋(均)委員、高橋(寛)委員、西村委員、            布山委員、林委員、松本委員、宮本委員、室川委員            山川委員       [事務局] 氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、            田尻勤労者生活課長補佐       [参考人] 勤労者退職金共済機構 黒田理事長代理、等々力理事 4 議 題 (1)部会長及び部会長代理の選出について (2)中小企業退職金共済制度の現況及び平成18事業年度決算について (3)その他 5 議事内容 ○吉本勤労者生活課長 ただいまから第35回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業 退職金共済部会を始めさせていただきます。  本日は委員の皆様方の改選後初めての当部会の開催となりますので、部会長が選任さ れるまでの間、私、勤労者生活課長の吉本が、議事進行を代行させていただきます。ま ず議題に入らせていただく前に、今回の部会の日程につきましては不手際がありまして 委員の皆様方には大変ご迷惑をおかけいたしました。改めてお詫び申し上げます。  それではまず改選後の初めての部会ということですので、委員の皆様を名簿の順にご 紹介いたします。  新任の伊藤委員、本日欠席ですが、臼杵委員、新任の小林委員、同じく新任の西村委 員、山川委員、鈴木委員、新任の高橋均委員、高橋寛委員、新任の林委員、同じく新任 の宮本委員、同じく新任の市川委員、同じく新任の市瀬委員、布山委員、松本委員、新 任の室川委員です。  次に事務局の紹介をさせていただきます。夏の異動で氏兼勤労者生活部長が就任いた しております。また勤労者生活課長に私、吉本が就任いたしました。事務局を代表いた しまして、部長から一言ご挨拶を申し上げます。 ○氏兼勤労者生活部長 皆さんおはようございます。今年7月から勤労者生活部長を拝 命しております氏兼と申します。何とぞよろしくお願い申し上げます。  皆様方には日頃から私どもの勤労者生活行政につきまして、大変なご理解とご協力を いただいております。改めまして御礼申し上げます。また本日は年末の押し迫った大変 お忙しい時期だと思いますが、ご足労いただきまして、審議会に参加していただきあり がとうございます。重ねて御礼申し上げます。  ご案内のとおり中小企業退職金共済制度というのは昭和34年に、発足しておりまして、 もうすでに50年弱の歴史がございます。当然のことですが、財務的な体力のない中小企 業に働く勤労者の皆様方にも退職金制度を作って、勤労者の福祉の向上を図るという趣 旨で設けられたものですが、その後50年弱の間、いろいろな経済社会情勢の変化があり ました。その時々の変化に応じて、この制度も形を変えてこれまでになるわけです。昨 今、更に経済のグローバル化と申しますか、企業間の競争の激化、更には、高齢化社会 の進展ということで我が国の経済社会を取り巻く変化を背景に、働く人たちの仕事と生 活の調和をどう図っていくか、非常に問題になっております。  先日も内閣のほうでワークライフバランス憲章、仕事と生活の調和憲章、それから行 動指針というものが策定されまして、私どもの担当する行政にも非常に関わりをもって くるところでして、この方針に従って私どもも一生懸命行政をやっていこうとそういう 決意です。その中において、退職金制度というのも勤労者の財産の形成を図っていくと いうことで、非常に重要な位置を今後とも占めていくのではないかと考えておるわけで す。  何とぞ制度の適正な運営につきまして、私どもも決意を新たにして取り組まないとい けないと思っておりますので、よろしくご協力をいただきたいと思います。  本日は平成18年度決算の状況、それから最近のこの制度を取り巻く現況等をご説明す ると共に、皆様方から有益なご意見をいただきたいと思います。  いま時期的なこともありますが、独立行政法人の職務の適切な執行は非常に大きい問 題になっています。国会においても、この勤労者退職金共済機構が行っております中退 共制度の適切な運営、確実に退職金をお支払いしていく必要があるということでいろい ろご議論をいただきました。報道等で皆様方もご承知かと思います。  いずれにしても私どもはこの退職金制度の普及を図ることが1つの大きな目的で、そ のためにも確実に退職金を支給していくということがこの制度の信頼性につながって、 更にこれが普及につながるということが基本であろうかと考えております。その点につ きましても今日は勤労者退職金共済機構のほうから2名の理事にも参加していただいて おりますので、その辺のご報告をさせていただき、皆様方から有益なご意見を賜りたい と思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○吉本勤労者生活課長 ご紹介が遅れましたが、今日は勤労者退職金共済機構のほうか ら理事長代理、理事に来ていただいております。ご紹介いたします。  黒田理事長代理と、等々力理事です。それから本日は西村委員と、林委員はご所用の ため途中でご退席と伺っております。  それでは議題に移ります。  議題1は部会長及び部会長代理の選出です。部会長の選出につきましては、資料1− 1の労働政策審議会令に基づき選出することになっております。資料で申し上げますと、 3頁、第7条第6項です。「部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する委 員のうちから、当該部会に属する委員が選挙する」といった規定になっており、ここで いっております委員とは労働政策審議会、本審の委員のことを指しており、当部会にお きましては公益を代表する本審の委員でいらっしゃるのは伊藤委員お一人となっており ますので、この審議会での規定により、部会長を伊藤委員にお願いすることとなります。  今後の議事進行につきましては、部会長にお願いしたいと存じます。恐れ入りますが 席のご移動をお願いします。 (部会長席の移動) ○伊藤部会長 大変不束でございますが、ただいま部会長を仰せつかりましたので、委 員の皆様方のご協力を得ながら議事を進めてまいります。よろしくお願いします。  最初に部会長代理の指名を行います。部会長代理の選出につきましては先ほどご覧い ただきました、労働政策審議会令の第7条第8項に「部会長に事故があるときは、当該 部会に属する公益を代表する委員又は臨時の委員のうちから部会長があらかじめ指名す る者が、その職務を代理する」という規定がありますので、今回、あらかじめ部会長代 理を指名させていただきます。  今回の委員改選前から委員をなさっております、山川委員に部会長代理をよろしくお 願いいたします。  では議題2「中小企業退職金共済制度の現況及び平成18事業年度決算について」を 事務局から説明をお願いします。 ○吉本勤労者生活課長 それでは資料に基づきましてご説明いたします。  資料2−1「中小企業退職金共済制度の現況」について。まず、1頁、中小企業退職 金共済制度の加入及び在籍の状況です。新規加入状況のところ、左側の共済契約者数、 これが事業主の数ですが、18年度は23,543です。このうち一般の中小企業退職金共済が 16,232で、17年度より若干減少しておりますが、それ以前と比べるとやや高めの数字で す。これは、適格年金からの移行の影響で、特に平成17年度に法改正により、それまで ありました上限額が撤廃になりまして、ここで件数が増えてきていることが影響してい ると考えられます。  建設業は7,228件で若干減少です。清酒製造業は1件、林業は82件とやや増加しており ます。  被共済者数が、合計で569,806件です。これも一般の中退が416,246件と平成17年度よ り減少しておりますが、その以前と比べるとかなり増加しています。これも適格年金か らの移行者が約8万人おられて、それらが大きな影響を与えていると考えております。  一方で、建設、清酒製造業につきましては、減少傾向が続いており、林業については 若干増加している状況です。  下の在籍状況は、18年度末で、共済契約者数、約58万事業所。右の被共済者数で見ま すと約560万人ということで、これも先ほどの新規加入の一般中退の影響で、在籍者数 が増えており、建設業も若干の増加ですが、清酒、林業は減少傾向が見てとれます。  次の2頁目には退職金の支給状況の表があります。18年度の支給件数は合計で 361,113件で、14年度の数が出ておりますが、これがピークで、以降減少してきており ましたが、18年度につきまして一般中退の支給件数がやや増加したといった状況です。 これは定年退職者が増したことが一因ではないかと考えております。一般中退1人当た りの支給金額につきましては129万円余り。また建設業につきましては支給件数は減少 傾向が続いております。支給金額の平均で92万円といった状況です。清酒製造業も支給 件数は減少傾向でして、1件当たりの支給金額は123万円、また林業も減少傾向にあり支 給金額89万円といった現状になっております。  3頁ですが、一般中退の平均掛金月額の状況で、現在5千円〜3万円の間の掛金で事業 主の方に選択をしていただいているわけですが、平均が9千円余りといった状況です。  5の特定業種のほうは掛金がそれぞれ日額で、そこにありますような額に決まってお るところです。  資産の運用状況です。18年度の資産は合計で左下にありますように4兆5,508億円。そ のうち一般が3兆5,888億円ということで、これも先ほどの適格年金からの移行等により 資産が増えているといった状況です。  次の頁以降で少し細かくなりますが、それぞれの運用状況につきまして、資料を付け させていただいております。4頁が一般中退の資産の運用状況です。左にあります様々 な運用方法により、運用しておりますが、主に債権、金銭信託といった形での資産の 運用を行っております。その結果として、一番右下の数字になりますが、18年度の平均 運用利回りが2.81%となっております。これは平成17年度の8.34%と比べるとかなり大 きく低下しておるわけですが、これは市場環境によるもので、国内外の株式市場が17年 度は非常に堅調だったことに比べて18年度になって不振であったということで、特に金 銭信託の運用利回りが低下したことが影響していると考えております。  次の5頁は建設業で、同じように表をご覧いただくと、右下に平均運用利回りが出て います。二段に分かれておりますのは、上段が一般の運用利回りで、下段のほうが、特 別給付経理と言っておりますが附帯的に行っておる中小企業以外の大企業からの掛金に よる事業で運用している部分です。これも17年度に比べた利回りの傾向ということでは 同じような状況と言えます。  6頁は清酒製造業です。これにつきましても、平均利回りで2つの数字を挙げてあり ますが、同じ意味合いでして、一般のほうでご覧いただくと、給付経理運用利回りは 1.66%、これも平成17年度に比べると低下しています。  7頁は林業で、18年度の利回りが1.51%と、これも17年度と比べると低下していると いった状況です。  引き続きまして、資料2−2の18年度決算の概要です。1頁は4つの事業の合計にな っておりますので、それぞれにご覧いただいたほうが分かりやすいかと存じます。2頁 目の一般中退につきまして、上が貸借対照表、下が損益計算書となっておりますが、先 ほど申しましたように平成18年度の平均運用利回りについては低下をいたしましたが、 予定の運用利回り1.0%を大きく上回り、結果的に当期の純利益で見ますと、損益計算 書の一番右下で、713億余りの利益が出ており、これを上の貸借対照表で見ますと、繰 越欠損金とありまして、17年度末では854億あったわけですが、当期の利益を差し引き しまして、141億余りまで減少してきているといった状況です。  ちょっとこれに関して一言申しますと、かねてから一般中退におきまして、過去に予 定運用利回りが実際よりも低くなってしまっていた時期があり、累積欠損金というのが あるといった状況で、多いときは2,000億円を超えるような額であったわけですが、平 成17年の10月にこの累積欠損金解消計画といったものを策定いたしまして、それにより ますと13年間かかって2,200億円強を解消するといった計画で、1年当たり180億円を目 安にするという計画ですが、結果は運用環境に恵まれたこともあり、大きくそれを上回 る解消が進んで、先ほど言いました現況になっているといったところです。  3頁は建設業で、これにつきましても同様のところをご覧いただきますと、18年度の 当期純利益は58億円余り、ということで上のところの積立金プラス今期の利益を含めた 利益剰余金ということで申しますと、982億余りの利益剰余金を保有している状況にな っております。  4頁が清酒製造業です。18年度は4,100万円の純利益がありまして、利益剰余金として は10億6,800万円という状況です。  5頁目の林業、これにつきましても先ほど申しました一般中退と同様の累積欠損金の 問題がありまして、同じく平成17年10月に累損解消計画を作ってそれに基づいてやって きておるといった状況です。毎年の解消の目安額を9,200万円といった計画でやってま いりましたが、17、18年度2年間でそれを上回る額が解消されている状況です。18年度 末時点で上にありますように、13億余りが欠損金として残っているといった状況です。  6頁は独法の会計基準、会計処理上、こういった決算書を付けることになっているも のです。要は国民の方々が負担するコストを表示することで、一定の決算基準によって 計算しているものです。勤退機構の場合は、費用よりも収益が多いということで、△が 付いているわけで、国民に対する負担はマイナスということで負担にはなっていない状 況でございます。  7、8頁は参考ですが、今申しました決算の書類につきまして、独法の評価委員会の 手続を踏みまして、9月に大臣が承認をしたものということですのでご参考までにお示 しさせていただきます。  資料2−3の「一般中退の財政状況の現状と課題」というタイトルを付けさせていた だいておりますが、今回これをお示しした趣旨ですが、一般の中退の予定運用利回りの 改定が、前回の平成14年の11月に行われており、法律上は5年ごとにその検討を行うと いうことになっておりますことから、今年度できるだけ早いうちに検討を開始しなけれ ばならないといった状況になっております。それで今回は検討に当たり、まず前提とな る現状と課題をご報告して、共通の認識をお持ちいただければということで資料を配布 させていただきました。それを見ますと、重複いたしますが、累積の欠損金がこのとこ ろ存在する状況になっていたと、それを解消することが課題となっていたことから、そ こにありますような取組をこれまで実施してきたところです。平成14年11月の利回りの 見直しにより、従来の3%から1%に引き下げております。また単年度で生じる利益の 配分ルールにつきましても、変更しまして、付加退職金に充てていた利益の2分の1を 累積欠損金の解消にも充てるといったことを基本ルールにしまして、さらに累積欠損金 解消計画の中で優先的に180億までは累積欠損金の解消に充てるといったことを内容と する計画を策定したということです。  結果として、欠損金が解消してきている状況です。 今後の検討課題として、整理させていただいております一番大きいものが財政再計算で す。いまほど申しました5年ごとに行う掛金、退職金等の額、具体的には予定運用利回 りの見直しをどうするかといった検討を今後したいと考えております。 次の頁で、併せまして、やや細かい会計処理上の問題ですが、支払備金の計上方法につ いて、後でも指摘があったことを申し上げたいと思いますが、支払の済んでいない退職 金については支払備金に計上する、負債の中に計上するといった会計処理を行っており ますが、法律上の時効がきたものについてはそれを支払備金から除外して収益のほうに 入れるといった処理をしてきました。しかしながら後でご報告申し上げますように、支 払の済んでいない未請求になっている退職金についても今後できるだけ請求をしていた だけるように取組を進めていきたいと考えており、その場合に支払の準備としてこれら の額を負債に計上しないままでいいのかどうかというご議論がありまして、支払備金に 再度一部又は全額計上することについて検討をさせていただきたいと思っておるところ です。  以下の資料は参考で付けさせていただいております。以上でございます。 ○伊藤部会長 ありがとうございました。いまの中小企業退職金共済制度の現況と、平 成18事業年度決算の説明について、ご質問やご意見等がありましたら、是非お願いし たいと思います。 ○鈴木委員 いいですか。一般中退の18年度の当期利益について、前回の部会のときに 93億円ぐらいの見込みで、それがいまは713億円と増えたのですが、その要因は何です か。 ○吉本勤労者生活課長 前回、付加退職金の支給率を議論していただいたときにお示し した18年度当期利益の額の見込み93億円と、本日ご報告した713億円の違いについての ご質問と存じます。仕組みとして前回の部会では昨年度平成18年の3月に、まだ18年度 が終っていない時点で収益や欠損金がどのようになるかを推計して支給率の議論をして いただきました。その推計の仕方が一番安全を見込んだやり方で計算をした結果として、 先ほど言われたような額を前提とした議論をお願いしたということです。環境としては、 ちょうど世界の同時株安の状況が発生したときに当っておりましたので、その時点での、 各資金運用先である国内外の債権・株式それぞれの長期にわたるベンチマークがどのよ うであるかを調べて、それがどのくらい上下に揺れるのかを算定して、それが下にここ まで落ちてもまだ大丈夫だという安定的な安心できるレベルを見込んで、先ほど言われ た額を見込んだということです。その後の経過としては、そこまで運用状況は悪くなら なかったことで、結果としてかなり大きな差額が出てしまったという状況です。 ○鈴木委員 ということは、世界同時株安が大きく波及しなかったが、その最低ライン を見たものが93億円だったということなのですか。 ○吉本勤労者生活課長 簡単に言えばそうです。それで、どのくらい下揺れするのか、 上揺れするのかは、何年かにわたってみたときの動きを一定の計算式で計算して、それ より下回ることは本当にわずか2〜3%しかないだろうという安心できるレベルでの推計 でお願い申上げたということです。 ○伊藤部会長 よろしいですか。 ○鈴木委員 はい。 ○伊藤部会長 ほかにございますか。 ○高橋(寛)委員 資料2−1の1頁です。ここに被共済者数があり、一般のところを 見ると括弧書きで短時間労働者が6,656と数字があるのですが、これは416,246の内数で しょうか、別の短時間勤務でしょうか。それと、短時間勤務労働者の定義を教えていた だきたいと思います。建設業の中に短時間勤務労働者が区別できていないのか、されて いないのかもお聞きしたいと思います。以上です。 ○吉本勤労者生活課長 まず括弧書きは内数です。短時間労働者の定義については、い ま調べます。建設業については、特にそのような区分はありませんので、就労すれば時 間にかかわらず、1日当りの掛金をお支払いいただくという同じ取扱になっているとい うことです。 ○伊藤部会長 よろしいですか。定義については調べているようですから後でお答えい ただくとして、ほかにご意見、ご質問がありましたらどうぞ。 ○小林委員 決算書で固定負債の部分の、共済契約準備金の計上方法を教えていただけ ればと思います。 ○吉本勤労者生活課長 決算書類のどこの部分ですか。 ○小林委員 計上方法で、共済契約準備金の計上方法です。 ○吉本勤労者生活課長 これは退職金の支給に備えて準備していただくということで、 現在被共済者になられている方々が退職された場合の退職金の額を見通しまして。 ○小林委員 それはわかるのですが、それの計算方法はどのようにしているのでしょう か。私の質問の意図は、退職なさる方のために準備金を設定しているということだと思 うのですが、それが財務的に貸借対照表上はインパクトを与えています。ですから、そ の計上方法はどのように計上しているのかということです。簡便法みたいなもので計上 しているのでしょうか。 ○吉本勤労者生活課長 先ほど申上げた支払備金、それは既に確定しているけれどもま だ支払に至っていないもの、それから責任準備金という、まだ退職していないけれども 将来見込まれるもの、その2つの合計であります。将来の脱退を見込んで必要となる額 を計算しているということなのですが、予定運用利回りによって確定する基本退職金と 言われている部分と、先ほどの議論にありました付加退職金支給率を掛けて上乗せする ことによる付加退職金の部分の両方を見込んで、それを現時点で置き直すといくら必要 になるかということで計算しているものです。 ○伊藤部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。どうぞ。 ○高橋(寛)委員 先ほどの定義の話ですがパンフレットの中では、パートタイマーの 特典というものがございまして、パートタイマーイコール短時間労働者となっています。 ですから、短時間勤務労働者、パートタイマーで加入した人数ということでよろしいの でしょうか。要するに、企業が掛金を払うときにパートタイマーは何人、正規労働者は 何人ということで、パートタイマーで加入された方の合計ということで受け取っていい のでしょうか。 ○吉本勤労者生活課長 はい。 ○高橋(寛)委員 ですから、わからないことになってしまうのですね。 ○吉本勤労者生活課長 すみません、いま、定義があるかないか調べているのですが、 掛金は当然違いますので、それは分けた上でお金をいただいているということではない かと思います。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 すみません、お答えさせていただきます。短時間 労働者・パートタイマーについては、掛金の特例ということでご承知だと思いますが、 2千円、3千円、4千円の掛金を選択することができるということでありまして、最初か ら5千円の掛金で加入されてそれを引き下げる予定のないパートタイマーの場合は、特 段、短時間での申告の区分けをしなくても加入はされている実態です。したがって、こ こに出てくる内数としての数は2千円、3千円、4千円の掛金で加入をさせようとする場 合に出てくるもので、実態はそのとおりではないという、むしろ、どちらかと言えば過 少に出ているものだというように考えます。 ○伊藤部会長 よろしいですか。 ○高橋(寛)委員 はい。 ○吉本勤労者生活課長 すみません、先ほどの定義のところですが、皆様方にお配りす るパンフレット等では、パートタイマーとは1週間の所定労働時間が同じ事業所で雇用 される通常の従業員より短かく30時間未満といったことなのですが、いまのお話のとお りその人たちがすべてそちらの掛金の安いほうになっているとは限らないと、こちらに 計上したものは安い掛金の方を計上しているということでございました。すみません、 ちょっと混乱いたしました。 ○伊藤部会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、後ほど何かありまし たらご意見を伺うことにしまして、議事を進めさせていただきます。  議題の3「その他」の中で事務局から説明事項があるようですので、お願いいたしま す。 ○吉本勤労者生活課長 「その他」といたしまして今回は、一般の中退におけるいわゆ る退職金の未請求の問題、また、建設業退職金共済における手帳が長期に未更新になっ ている問題に対する取組状況について報告をさせていただき、また、意見交換を頂戴で きればと考えております。  資料3−1ですが、1つは、一般の中小企業退職金共済における退職金の未請求の問 題です。これについては、この臨時国会の中でも何度か指摘があったということ、また、 後で申上げますが、ちょうど、勤退機構の独法の見直しの時期に当っておりますが、そ の総務省の評価委員会の委員の方々からも同様の指摘が出されている課題です。現状に ついて1頁で、平成18年度末において、退職して5年経過後も未請求となっている退職 金が、累計で366億円、件数にすると49万件となっています。ただ、その間の支給額、 支給件数に対する割合で言いますと、それぞれ0.63%、5.75%の割合です。なぜこのよ うな未請求の事態が起こるかですが、これまでの取組の冒頭に書いているとおり、この 制度については、機構は契約関係にあるのは事業主、共済契約者は事業主ということで、 従業員の被共済者の方々は直接の関係には立っていないということで、これまでは基本 的には従業員のその方々の住所などの個人情報を把握していなかったことがあります。 実際に加入し掛金を納めていただいて退職に至った時点でその事業主から退職届が機構 に出てきます。それと同時に、事業主から辞められた従業員の方に退職金請求書の入っ た退職金共済手帳を交付することが事業主の義務にもなっているわけです。退職した従 業員はその共済手帳に付いている請求書により機構に直接退職金の請求をする仕組みに なっているわけですが、その段階できちんと従業員に退職手帳が渡っていたかどうか、 また、退職手帳が渡ったとしてもそのような手続についてきちんとご本人が認識してい たかどうか、それを請求していかれたかどうかといった、それぞれに未請求に至ってし まった背景はあるのかと考えていますが、結果としてこのような数字が累積している状 況であります。  これまでの取組としては、(1)から(5)にあるようなことをやってまいりました。まず、 事業主が一義的ないろいろな手続に関する義務を負っていることで、さまざまな機会を 通じて、そのような退職手続についての説明を行っています。(2)は請求を簡単にすると いうことで、その様式が難しかったりするとなかなか本人が請求に至らないことがあり ますが、現在は口座番号を書いて住民票を添付して送っていただければ手続ができるよ うな非常に簡便なものにしています。(3)ですが、実際に退職届が出て3カ月経ってもま だ請求がない場合については、事業主に対して、事業主を通じて請求の喚起をしていた だくようにとお願いをしています。(4)は、最近開始した取組ですが、その後そのままに するのではなく、5年が時効になるので、それに至る前ということで、平成14年度以降 の未請求の方々について、事業主からご本人の住所を聞き出して直接機構から連絡をし て請求の手続を促すことも始めております。また、相談窓口を設置し、フリーコールも 投入しているところです。  次の頁ですが今後着手することを予定しているものとして、1つは、先ほども申しま したように3カ月経ったところで請求するということでありますが、それでも請求がな い方々については、再度依頼をしていくということです。また、特に未請求の額が高額 になっている方々については、ピックアップして優先的にお知らせをするようなことを すぐ開始したいと思っています。  (2)は、今後の検討課題として、5年以上経った方々をどのようにするかです。これ は、先ほど言ったように機構自体は住所等を把握していませんので、事業主からその連 絡先などを入手して直接手続を促していく具体的な方策について検討してやっていきま す。また、被共済者本人に対して、よりそのような手続が必要であること等についての 周知を行っていきます。例えば、被共済者の退職時にその時点で住所の提出を求めると いうようなことも含めて検討していきたいと考えています。  その他は、過去の方々は連絡先がわからないという問題があるわけですが、そのよう な場合の1つの材料として、雇用保険トータルシステム、これで働いている方ですと、 どこで働いているかというような事業所については把握できる可能性があるわけですが、 それを手立てにして本人に連絡することができないかどうか、注に書いているような個 人情報保護法上の観点から問題がないかどうかを検討しつつ進めていきます。  支払備金の見直しについては、先ほどちょっと申上げたことであります。  次に3頁ですが、建設業退職金共済における手帳の未更新の問題です。これについて は、制度としていろいろなところで働くということで、手帳に働いた分だけ証紙を貼付 することによりその掛金を納めていただく仕組みであり、その手帳1冊分が12月、1年分 ということを想定しておりますが、ただ、働き方によっては、季節労働者の方で2、3カ 月しか働かないということであれば、1冊埋めるのに3、4年かかるというような事実も あるので、長期未更新がすべて未請求ではない点は申し上げておきます。ただ、実態が きちんと把握できていないと、中には業界からもう引退しているのだけれども請求に至 っていない方もいますので、そのような実態調査を行っていくということです。これま でも前の手帳更新から3年を経過したものについては、企業にその実態調査を行い、退 職している場合には連絡先を聞いてその請求をはたらきかけることをやっていますが、 今後、さらに従業員に対する周知として、パンフレットや業界団体を通じた週知の徹底 をしていきたいと思っています。また、長期未更新者は41万人いるわけですが、これま で実態調査をかけてこなかった方々についても、平成20年度から始まる中期目標の期間 中に、できるだけその作業に着手するようにしたいと考えています。  資料3−3はご参考で報告します。独立行政法人については、その中期目標の期間の 終了時に業務全般にわたる見直しを検討することになっており、その検討の過程で総務 省のいわゆる政独委と言われている政策評価・独立行政法人評価委員会からのヒアリン グを受け、そこから勧告の方向性が出され、それを踏まえて次期の中期目標、中期計画 の策定に向けた見直し案を厚生労働省として作る手続になっていますが、現時点は、総 務省の政独委からこの勧告の方向性が出された段階です。この12月11日にこれは出され ており、それをご参考までに付けています。全体の文章は後に付けていますが、細かく なりますので、その概要だけをご覧いただきますと、いままで申上げたことと重複しま すが、1つは一般中退における未請求退職金の問題で、今後発生しないようにというこ とで、あらかじめその加入時に、住所を把握しておくことや本人に直接通知をすること ができないか、それから、過去に累積してしまったものについては、早期に住所を把握 して通知する方策について検討をすべきといった指摘を受けております。また、特定業 種については、1つ目は、3業種いずれについても指摘を受けているわけですが、先ほ ど建退共について手帳の未更新の問題を申上げましたが、それと同様の問題が清退、林 退についてもあります。このような方々の実態調査、連絡先の把握、支給請求のはたら きかけをすべきだという指摘がなされております。また、建退共については、併せて証 紙をきちんと貼付するための取組の推進、また、現在24月以上掛金月数があることが退 職金の支給要件になっていますが、一方で一般中退は12月となっていることも踏まえて、 退職金の支給要件の見直しの検討をすべきと指摘を受けているところです。なお、この ような指摘も、十分踏まえながら厚生労働省としての取組、また中期目標の策定等の作 業を進めていきたいと考えています。  続いて、機構からも、今回、取組の状況について資料を用意していただいております ので、お願いします。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 機構で中退金を担当しております、等々力でござ います。私から中退共事業における退職金未請求者に対する取組についてご説明をいた します。資料として、資料3−2を用意しています。それに沿って説明いたしますが、 1頁目の取組についてと書かれているペーパーは、ただいま勤労者生活課長から説明い ただいたことと基本的には重なっております。そのようなことで、ざっとご覧をいただ くということにさせていただきますが、特に一番下のところで、今後実施を検討してい るものとして、被共済者に対する周知、これは加入時に中退共制度に加入したことにつ いて、事業主を通じて従業員に通知することなど、被共済者の住所等の把握、退職後5 年以上の未請求の者に対する対策、これらを中心に機構の主要な事務及び事業の見直し 案、先ほどの課長の説明では勧告の方向性に指摘された内容ということになると思いま すが、それらを踏まえて実施の方策、時期等について検討を進めているところです。  2、3頁目については、未請求となっている退職金の状況を示した統計データを載せ ています。2頁目は全体、年度別の状況、3頁目で、未請求(時効)の金額階級別の件 数を載せていますが、これは、このような分析が可能な昭和43年以降の集計です。5万 円以下の比較的金額の低いところにおおむね7割程度が入っているという状況です。そ れから4頁目につきまして、これを簡単にご説明したいと思いますが、既に着手してい る取組といたしまして、未請求期間が5年以内の未請求者につきまして、事業主から住 所等の連絡先を入手し、機構から直接従業員に退職金請求の手続を促すという取組を、 今年の9月から実施をしております。  今年度は、5年を経過する直前に当たる平成14年度の退職者を対象に実施しておりま して、この4頁にまとめた状況は、この平成14年度退職の未請求者に対する取組状況で す。簡単に申し上げますと、対象となる未請求者が在籍をしておりました共済契約者 5,831所、こちらに対しましては9月以降、住所等の情報提供を依頼する文書をすべて発 送して終わっております。  これに対しまして、共済契約者からの回答の状況ですが、第1期としまして、10月初 旬までにこちらから発送した分の1,078所に限って、それの追跡調査ということでまと めておりますが、11月19日までに約半数の549所の事業所から回答がありまして、これ によりまして、489人分の住所情報が得られております。この489人のうちの430人まで に請求を促す文書を発送した段階の状況ですが、11月30日現在で216人からの回答が返 って来ております。請求書ありの28人というのは、既に請求手続に入っている方でして、 それから請求書なしの188人につきましては、請求書再発行の申し出をいただいたとい うことです。全体がこの作業の途中経過ですので、情報としては不完全なものですが、 参考までにご報告をさせていただきました。以上で私からのご説明を終わります。 ○黒田勤労者退職金共済機構理事長代理 建設業の担当をいたしております理事長代理 の黒田です。私からは、建退共の長期未更新者の問題、取組につきまして、ご報告させ ていただきます。資料3−2の5頁ですが、私どもかねてから手帳を長期間にわたりま して、更新されていない方がいらっしゃるという事実は把握いたしておりますが、その 実態につきましては、必ずしも詳細を把握していたわけではございません。そもそも私 どもの建退共制度におきましては、期間雇用者をその対象といたしておりますので、手 帳は本人に持っていただいておりますが、その更新時期がその個々人の就労の実態に応 じまして、規定されるわけでして、長い人もおりますし、短い1年で更新される方もい らっしゃいます。そういう方々の手帳が長期に未更新であるというのは、たぶん、建設 業界を退職されたという場合もございましょうし、そのまま次のいつの日か建設業に従 事するという方もいらっしゃいます。これは、ご本人の意思にかかっておるわけでして、 必ずしもほかから情報が得られるわけではございませんので、ご本人の意思表示がなけ れば私どもは未請求やましてや未払とか、そういう概念でとらえるのはなかなか難しい わけです。そういうのがこの建退共の長期未更新者の実態です。それで、2にございま すように、それに対する対策としましては、ご本人から意思表示をいただけないかとい うことを中心にしております。(1)にございますように、平成9年度から「長期未更新者」 と書いてございますが、この場合は5年でしたが、その後3年間ということで、長期にわ たって手帳が更新されてないという実態を踏まえまして、被共済者に共済契約者のご協 力を得まして、退職金の請求をするなり、手帳をさらにご活用いただくなりの要請をし てまいりました。それから、共済手帳又はパンフレット、チラシ等によりまして、退職 金の支給要件はこういうものですということを、被共済者の方々にお知らせしていると ころですが、これをさらに進めてまいったわけです。  それから、私どものホームページにおきまして、手帳に貼付されております証紙の枚 数を元に退職金の概算額を試算できるシステムを掲載し、その未更新者の皆さん方に、 大体これぐらいになるんだなという情報を提供できるようにいたしております。  また平成16年度からは、これはちょっと角度が違いますが、新規加入された被共済者 に対しまして、私どもから直接的にあなたはこのたび建退共の制度に入られましたと、 従って、きちんと手帳に就労日数に応じた証紙を貼ってもらうようにしなさいというこ とを、お知らせしております。また、今年の11月には退職金請求の手続等についての注 意喚起の文章をホームページに掲載した次第です。  このようなことをやってまいりましたが、今後は先ほど課長さんからお話がありまし たように、私どもの主要な事務事業の見直しのご指導に従いまして、出来る限り退職金 がきちんと初期の目的どおり、被共済者の方に支払えるように努めてまいりたいと考え ております。ご説明は以上です。 ○伊藤部会長 ただいまの退職金の未請求者の問題と、建設業退職金共済のほうの共済 手帳の長期未更新者の対応を中心にいろいろお話がありましたが、皆さんのほうから、 ご質問、ご意見等がありましたらどうぞお願いをしたいと思います。 ○鈴木委員 今回こういった形で出てきたのですが、この未払というのは、昭和34年か らあったのですよね。ぼくも4年ぐらいやっているのですが、その間こういった情報と いうのは一切なかったですね。要するに、未払の分があるんですよと。今回、10月4日 に新聞報道で出て、長妻議員が出て、こうなってきて、さあ大変だ。そして、ここに出 て来て、今までやってきました、きましたよということなのですが、今までもありなが ら、実際こういったのが公表されなかったというか、我々の中でも、それではこの366 億ぐらいですか、これは言うならばいま累損の部分が151億というような数字ですよね。 それが実際には365億という分が足されるという形ですか、累損のほうは。実際に今ま でこういった部分が全部隠されていたというようなそんなふうに受け取られてしまうの ですね。だから、今までどうしてこれが出なかったのですか。 ○吉本勤労者生活課長 事実関係といたしますと、今回こういった形でかなり国会なり、 独法の委員会の中でもご指摘があったわけですが、過去を遡りますと、国会の中で例え ば中退法の制度改正をしたような際に、こうした問題もあるのではないかといったご指 摘があったこともあり、そうしたことを契機としながら、解消に向けてやれることはや ってきたといったことの取組状況がいま先ほどご説明申し上げたことです。ただ、こう した場のご審議の材料としては、特に私どものほうからご説明申し上げたことはなかっ たのかもわかりませんが、私どもと機構との中で、取組を改善できる部分については、 やってきたというのが経過です。あと会計の処理に関しましては、366億円部分がいま のところ支払備金から落ちて収益のほうに入っているといったことで、先ほどの支払備 金の見直しをどうやるか、すべて戻すのか、あるいは一定の額を戻すのかといったこと はご議論として、ご検討いただければと思いますが、いずれにしても、改めて支払備金 のほうに戻すといったことを考えております。今までも当然のことながら、時効が成立 していても請求があれば、お支払いをしてきたわけですが、実際問題としては、時効に 至ったあとに、請求が出てくるといったケースはごくわずかに限られておりまして、そ こで、特に会計処理上の問題は、監査の中でもかねては指摘されたことはなかったわけ ですが、今回、このように過去に遡って改めてその請求を促していくといったことを契 機として、そのようなご検討をお願いできればと考えております。 ○鈴木委員 要するに、請求がなければ払わないんだよという態度だったのですね、結 局機構としても。今回、ここに出てきて、前もってやりましょうと、フリーコールを入 れましょうと、設置しましたよと、だから、はっきり言って過去に遡れば、ずうっとや っていればよかったのですよ。そういった姿勢が見られなかったというのは。 ○吉本勤労者生活課長 ちょっと繰り返しになりますが、例えば、過去の推移をみます と、近年請求が一時期よりは出てきているというのは、例えば、さっきの手帳の様式を 簡単にしたといったような効果もあったのではないかと思ってます。それは、平成8年 から既に始めております。あと、3カ月経ったところで請求を促していくといったよう な取組も、当然のことながらせっかく掛金を払っていただいて、請求の権利がありなが らそのままになってしまうといったこと防止するためにやってきたことでして、ただ、 今までの姿勢としてあえて申し上げれば、やはり、その契約者は一義的には事業主の皆 様方だったと、事業主からきちんとご本人に手帳を渡して、その請求手続についてご説 明をいただくといったことが前提となっておりまして、主にそれを促していくといった 取組に留まっていたといったことが、事実としてあったと思います。そこで、そういっ た取組に留まらず、機構のほうから直接に住所を聞き出して、アプローチをする取組も、 積極的にこれからやって改善してまいりたいと思っているところです。 ○室川委員 退職金の未請求者への告知といいますか、その辺のタイムスケジュール的 な部分というのは、どういう形で考えていますか。 ○吉本勤労者生活課長 今までやっておりましたのは3カ月経ったとき、それでも出て こないときはやっていくというのは、もういまはやっています。それから、また時効を 迎える前にやると、これが年間8,000件ぐらいございますが、それも継続してやってい くということですが、それ以外に過去に遡ってやると、40数万件あるものにつきまして は、いまはどういったスケジュールでどういったやり方をするのが適当か検討いたして おりまして、それで来年度から新たな中期目標、中期計画が始まりますので、そこの中 に盛り込むべくいま検討しているといったような状況です。 ○小林委員 先ほど鈴木委員がおっしゃったことは、とても大きな問題だと思うのです ね。先ほど貸借対照表のほうでちょっと質問したのですが、5年を経過してしまったも のは、法律上請求権が消滅するということで、収益化していたということだったのです ね。だけど、掛金を払っていて5年経過したから、請求しなかったからそれを収益化す るというのは、非常に公平性から考えると変なことで、その支払備金というのを、先ほ どご提案があって、支払備金の見直しのところを、一部又は全額を支払備金に再度計上 するというふうにしてはどうかというご提案がありましたが、その支払備金の部分を、 受け取って預かって運用して、それで将来支払うというもので、請求があるなしと無関 係に預っているわけですから、その支払備金の部分は、きちんと貸借対照表のほうに明 示されたほうがよろしいのではないかと思うのですね。先ほどご説明で、共済契約準備 金の中に支払備金を含めておりますというご説明があったのですが、そこの部分の準備 金の内訳のまだ請求はないが、預かっている分というのは、非常に重要な項目ですから、 支払備金としてやはり、内訳でも計上すべきではないかと思います。結局、お預かりし ているものというので、それを将来お支払いしなければいけないということだと思いま すので、そこはやはり明確にしておいたほうがよろしいのではないかと思います。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 本日配付されている資料のほうは、要旨といいま すか要約になっておりまして、そういう内訳はきちんと表示しております。本物といい ますか、財務諸表としましては。 ○小林委員 重要性から鑑みると、説明責任としては、この要旨の部分でも、やはり重 要な項目だと、いうことだと思うのですね。もちろん、私は詳細な部分は見ておりませ んので、この要旨だけを見て、申し上げておりますが、支払備金の部分は、年数にかか わらず、非常に重要な項目ではないかということです。 ○吉本勤労者生活課長 ご指摘の趣旨はよくわかりましたので、今後に向けて検討させ ていただきます。 ○市瀬委員 いま昭和34年からということになってましたが、当然いま生きていらっし ゃる方でという形で、死亡なさった方に関しては、例えばこういうことに、どうとかま では考えていらっしゃらないということですか。昭和34年からですと、もう48年経って いるわけですよね。例えば、20歳で働いていた方でも、相当高齢になっていらっしゃい ますし。 ○吉本勤労者生活課長 正直申しまして、すべての方が生存していらっしゃるかどうか ということを含めて、実態がわからない部分があるわけです。ただ、仮に死亡なさって いた場合については、その遺族の方にお支払いするといった制度上の仕組みがございま すので、その要件に該当すれば、そうしたことも考えられるのではないかと思います。 ○市瀬委員 遺族の方がもし、ということであれば、請求されればお支払いするという ことですね。 ○吉本勤労者生活課長 はい。 ○山川委員 2点ありまして、1点は先ほどの支払備金のほうに計上するということを、 全部一部ということだったのですが、その基準みたいなものがありうるかどうか、つま り、全部と言いますと、その制度発足時からのものをすべて支払備金とするかどうか、 いまのお話とも関係があるのですが。もう1つは、追跡のような形で、住所を探す。こ れは、役所としてもおそらく企業としても、相当事務的に大変ではないかと思いますの で、たぶん、有効なのは先ほどお話のあった加入時や採用時に周知して請求ができやす くするとか、あるいは退職時すぐに住所を把握するということではないかと思うのです が、その1つの質問は、退職届の中に、退職労働者の住所を記入するような欄というの がないかどうかという点と、もう1つ、加入時とか採用時の周知の方法、建退共のほう ではやられているという話でしたので、どういう方法でやられているのかとその点をお 伺いしたいと思います。 ○吉本勤労者生活課長 まず、支配備金の計上の仕方につきましては、結論から申しま すと、今後いろいろな視点を踏まえて検討したいとは思っておりますが、いつ何時、す べての方が請求にあるかもしれないということを考えれば、例えば全額を入れるという ような考え方も成り立ちましょうし、あるいは、現実問題としては、今までに非常に少 なかった、これから取組をやった段階でどのぐらい出てくるかということをある程度見 通して、それに応じた額といったような考え方もありましょうし、ちょっとそれについ ては、今後の検討課題とさせていただければと思っております。それから、周知の方法、 住所の把握等の方法ですが、おっしゃるとおり、いったん退職されてしまった後ですと、 その把握が非常に困難になるといったことですので、加入時なのか退職時なのか、ある いはその間も継続してといったようなご意見も独法の評価委員会の中ではあったのです が、そうは言っても、できるだけ効率的なやり方できちんと住所を把握できる方策を考 えていきたいと思ってまいす。現在の仕組みでは、一応入ったときに、労働者の方々の 同意ということが必要ですので、あとは就業規則等にそういったことが書かれていると すれば、分かるようにはなっているということだと思いますが、ただ実際問題として、 個々の労働者のご本人にどこまでそうしたことをご認識いただいているのかというとこ ろが問題だと思っておりまして、ですので、例えば、本人に加入者証のようなものがも しわたっていれば、もう少し分かりやすくなるのではないかとか、いろいろな方策があ り得ると思いますので、そうしたことを含めて、今後機構とともに検討してまいりたい と思っています。 ○氏兼勤労者生活部長 補足させていただきますと、いまのシステムは、退職したとき に、事業主から機構のほうに個々人の名前のご連絡があって、それから勤労者の方は、 機構のほうに直接請求するというシステムなのですが、金額的に申し上げますと、これ は機構が出している資料にもございますが、これで99.5%ワークしているのですね。残 りの0.5%をいかに効率的にやっていくかということだと思うのです。そのためには、 先ほど機構からのご説明もありましたが、5年時効を迎えようとしている人に直接やっ ていくと。いまは5年ですが、それを0.5%の部分はなるべく早いほうがいいと思うので すね。それをいつごろからやるのかというと、実態もよく調べそれを踏まえながら最も 効果的、効率的なことをやっていくべきだということで、計画を作っていきたいと思っ ております。 ○伊藤部会長 よろしいですか。ほかに、ご意見等ございましたらどうぞ。 ○鈴木委員 今後の取組で高額未請求者に対する直接連絡というのですが、ちょっと聞 き逃したかもしれないのですが、その高額者というのは、どこの範囲を言うのですか。 ○吉本勤労者生活課長 先ほど全体の額のことについて申し上げなかったのですが、資 料3−2の3頁目ですが、機構からのご説明でもなかったので、ちょっと改めてご覧い ただきますと、そこにありますような分布でして、10万以下のところで8割以上になっ ていると、平均すると7万円ぐらいになるということなのですが、ただそうは言っても、 中には非常に高額の方がいらっしゃるということで、ここにありますように、1,000万 以上の方が5名いらっしゃるということです。それで、いままずは1,000万以上の方々か らといったことで、着手をし始めているところです。その後の取組について、もし機構 のほうからございましたらお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構理事 厚生労働省のほうのご指導もございまして、その1,000 万円以上の5人につきましては、個別にお知らせする取組を既に行っておりまして、事 業所としても5カ所ございます。事業所のほうには、そのうち4カ所までは、文書でとい うか連絡がついておりまして、それからお2人については、既に支給に至っております。 そういった状況です。 ○鈴木委員 だから状況はわかりました。いま1,000万以上の人をやると、順次それ以 下の人もやっていくということですか。 ○吉本勤労者生活課長 どこまでどういうスケジュールでやるのかというのは、いま具 体的な計画までは、まだ定めてはおりませんが、今後、機構とも相談しつつ計画的に進 めてまいりたいと思います。 ○鈴木委員 これを見ると、高額請求者だけに対応しようというような、そんなふうに 見えますが。 ○吉本勤労者生活課長 そういうことではありません。もちろん全部なのですが、あえ て言えばその部分を優先的にどこまでやるかといったことで、全体が必要なことだとい うことは、私どもも認識しています。 ○伊藤部会長 あと、よろしいですか。 ○市瀬委員 未請求者の年代は、どんな感じが多いのですか。例えば、近年がすごい多 いのか、すごく昔の方たちが多いのか、ちょっとその辺の内容を出していただければと 思います。 ○吉本勤労者生活課長 1つ材料として申し上げているのは、資料3−2の2頁目でし て、過去からの未請求の数、相当前に既に時効を迎えてしまっているというものがある ということで、その方々はその退職時点からさらに年数が経っているということですの で、それなりの年齢を重ねた方々ではないかと推察されます。ただ、すべてが高齢にな ってから辞められる方ばかりではございませんので、そういう意味では、申し訳ありま せんが、正確な年齢別の申し上げられる数字がございませんが。 ○松本委員 資料3−1で「今後の取組」の所の実施の予定と実施の検討があると思う のですが、この予定の部分は、具体的に予定はいつからとご検討いただいているのです か。 ○吉本勤労者生活課長 実施の予定をしているというものは、もう既に前倒しで着手し ているものもございます。もう直ちにということです。実施を検討していると書いてい るものにつきましては、具体的には、来年度から始まります中期計画の中で、そのスケ ジュールも含めて具体的に書ければと思っていまして、また、これもやることが前倒し でできることがあれば、もちろんやっていただくという姿勢です。 ○伊藤部会長 私から聞くのも変ですが、こういう請求を前提にいろいろな制度の設計 をしている、その周知がちょっと足りなかったり、仕組みに欠けているところがあると、 こういうのが累積してくる問題が出てくる。その辺は、十分反省しなければいかんとこ ろだろうと思うのですが、過去に遡ってそうやっていくというのは、もちろん、これか ら取り組まなければいけないというのが、取組に書いてあるわけですが、将来に向けて いまの仕組みのままだと、やはり、また請求して来ない人がだんだんだんだん出てまた 溜まっていくという問題を同時に抱えているような気がするのですね。その将来に向け て、そういう請求漏れをどう防いでいくのかという辺りの対応というのは、これからお 考えになるのでしょうか。 ○氏兼勤労者生活部長 これはもちろん2本立てということでして、今後未請求が新た に発生するのを防ぐ手立てをやりながら、過去の累積したものも解消していくと。これ は総務省のほうからもそういうご指摘をいただいておりますので、それは当然2本立て でやっていきたいということです。 ○伊藤部会長 どうしても制度の立て方がそういうふうになってきてしまったところを 変えないと将来に向かっては、あれかもしれないですね。 ○氏兼勤労者生活部長 例えば一般ではなくて、建退共のほうですが、機構のほうで実 態調査をやっているというお話がございましたが、私どものほうで機構からヒアリング を受けますと、実態調査の過程でご本人にいきついたと、その場合、自分は将来この業 界で働くのか、あるいは働かないのか自分自身でまだ決めかねているような方も、多数 いらっしゃるということなのです。そうすると、制度の仕組み上、建退共は業界退職金 ですから、業界から退く意思をご自分で持たれたときに、退職金をお支払いするという ことですので、その意思をまず確認していかなければいけない。外形的な実態だけでは なくて、当該労働者の方の内面的な意思を確認、確定していくということですので、ま さにその部分は地道な努力を重ねていかないといけません。制度でどうこうというのが もちろんあるのですが、そういう実態把握を鋭意進めていくというのは、非常に地道な 努力なのですが、それはやっていかなければいけない。それから、いま部会長がおっし ゃられたやっぱり退職金制度は実際の契約者は事業主と機構との契約なのですが、第三 者の利益にするための契約ですので、実際の被共済者の皆さんに、勤労者の皆さんに自 分は退職金のシステムに入っているんだよということを、認識していただくということ がいちばん重要なので、ホームページを充実させるなり、あるいは入られたときに、個 別に通知をするなり、入られたとき通知してもそのうち忘れられるということもありま すから、その後も継続的な広報みたいなことも必要です。いろんな手立てを個別と全体 で講じていかなければいけないと考えております。 ○高橋(寛)委員 それがやっぱり大切なことだと思います。それ以外にないと実は思 っています。その中小企業の利益は、今も実は総じて低下を続けておりまして、その利 益の中から掛金を捻出して、従業員のためにあるいは企業も人材がほしいわけですから、 いい企業であれば人材が集まるわけでして、何とか事業のために私どもの立場で言えば、 事業のために何とかしたいという事業主の皆さんがいらっしゃるわけでして、何らかの 理由で周知の意図が切れている場合もおそらくあると思います。そこで、事業主の皆さ んも随分残念なことだろうと、新聞紙上マスコミの報道を見て、おそらくそう思ってい らっしゃるのだろうと思います。そこで、2点検討をお願いしたいことがございます。 1点目は、市町村の一部でも掛金を助成しているところもありますので、都道府県や市 町村の協力も得ながら、ウェブページなどで加入している企業名を閲覧できるようには、 できないものでしょうか。退職後も自らあるいは、周囲の方から情報を受ける機会が随 分増えるものと思います。この場合、中体共制度にわが企業が加入をしているというこ とが外に漏れて不具合があるのでしょうかということで、ぼくは逆だと思っています。  2点目は、機構でもカレンダーをお出しになっておりますが、社内で広く従業員に周 知させるために、私は事業主、企業が会員になっていって、請求するのは本人なもので すから、そこでなかなかうまくいかないと思ってまして、中退共制度の簡単な説明をし た、請求してくださいというようなことを説明している旨のポスターあるいはカレンダ ーを作って、会社、企業の事務室や社内食堂、社員食堂ですとか、そういう所に掲示を していただけないものかということなのです。もう既に予定されていることかと思いま すが、検討をよろしくお願いします。以上です。 ○吉本勤労者生活課長 大変貴重なご意見をいただいたと思いますので、検討してまい りたいと思います。建退共などでは、建退共に入っていることを記す現場標識がありま すし、すべての企業の企業名まで本当に公表して問題がないかどうか、そこのところは 少し慎重に検討しながらご提案を受けて検討してまいりたいと思っています。 ○氏兼勤労者生活部長 いま高橋委員がご指摘の点は、非常に重要なことだと思うので すね。もちろん、中小企業退職金制度というのは、勤労者の退職金ですので、一時的に はその勤労者の福利厚生ということなのでしょうが、事業主にとってもこれは非常に宣 伝材料で、だからこそ事業主が契約主体になっているのですね。例えば、いろいろな求 人広告などがございますが、いくつかの求人広告の中には、うちの企業は中退共に入っ てますよ、だから、退職金制度もありますというのが結構ございます。ですから、せっ かく入られたこの制度ですので、事業主の皆さんに適正な支払に協力いただき、実績を つくっていただいて、それをいい人材を集める材料にする、それも当然のことだと思う のですね。まずそこが根本にあり、そういった観点から今までも機構も事業主を通じて いろいろ施策を講じてきたと思うのです。これで、何度も言うようですが、99.5%の金 額については、事業主のご協力を得ながら、きちんと支払われている。残りの0.5%を どうしていくかというのが非常にまた重要になってくるので、繰り返しになりますが、 更に全体的な広報と同時に0.5%部分について個別にあたっていくということが必要な のかと思います。 ○伊藤部会長 この問題は、大変皆さんの関心も高い課題ですし、いろいろご意見にわ たる部分もご提案もございましたので、また、そういうものについてどう取り組んでい ったか、またその結果、どう進展していったのかというようなことを含めて、今後の部 会のスケジュールとも関係しますが、いずれまた話を聞かせてもらう形をどこかで作っ たほうがいいと思います。いったん、この課題について、ご意見等を賜るのはここまで にして、いまの関係もございますが、今後のスケジュール等も含めて、事務局のほうか らお話を聞かせていただきたいと思っています。 ○吉本勤労者生活課長 本日はいろいろ貴重なご意見を賜りまして、ありがとうござい ました。差し当たっての今後の日程ですが、本日も一応現状と課題ということでご紹介 をいたしました財政再計算につきまして、今後はできるだけ早目に本格的なご議論をお 願いできればと思っております。年明けに改めて日程調整をお願いしたいと思っており ます。また、年度末に向けましては、定例的に3月にやっております付加退職金の支給 率のご議論もお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○伊藤部会長 よろしいですか。本日の議題は以上で終了させていただきたいと思いま す。ほかに特になければ、これで本日の部会を終了させていただきます。  それでは最後になりますが、今日の議事録の署名委員を、鈴木委員と市川委員にお願 いをしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。 照会先: 厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課(内線5374)