07/12/20 社会保障審議会介護保険部会第22回議事録          社会保障審議会 第22回介護保険部会議事録           1 日時及び場所    平成19年12月20日(木) 14時00分から15時43分    霞が関東京會舘(シルバースタールーム) 2 出席委員    貝塚、天本、石川(代理:小島参考人)、井部、植木、勝田、川合、木村、 木間、齋藤、櫻井、高橋、土居、野呂(代理:渡辺参考人)、桝田、山本、 吉田の各委員    石原、岩村、小方、松本の各委員は欠席 3 議題    介護事業運営の適正化について 4 議事内容 ○依田総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第22回社会 保障審議会介護保険部会を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。私、本部 会の事務局を担当しております老健局総務課長の依田と申します。部会長選出ま での間、議事進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。  初めに、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。  天本委員でございます。  石川委員は本日御欠席でございまして、小島参考人に出席いただいております。  続きまして、石原委員は本日御欠席でございます。  井部委員でございます。  岩村委員は、本日御都合で欠席いたしております。  植木委員でございます。  小方委員は、本日御欠席でございます。  貝塚委員でございます。  勝田委員でございます。  川合委員でございます。  木村委員でございます。  木間委員でございます。  齋藤委員でございます。  櫻井委員でございます。  高橋委員でございます。  土居委員でございます。  野呂委員は本日御欠席でございまして、渡辺参考人に御出席いただいておりま す。  桝田委員でございます。  松本委員は、本日御都合で御欠席でございます。  山本委員は、若干遅れて来られるという御連絡がございました。  吉田委員でございます。  以上、21名の方に委員として御就任いただいております。  次に、老健局からの出席者を紹介いたします。  阿曽沼老健局長です。  木内大臣官房審議官です。  私、総務課長の依田でございます。  大澤介護保険課長です。  小関計画課長です。  古都振興課長です。  鈴木老人保健課長です。  中井介護保険指導室長です。  井内認知症・虐待防止対策推進室長です。  以上でございます。  ここで、事務局を代表しまして老健局長の阿曽沼よりごあいさつを申し上げま す。 ○阿曽沼老健局長 委員の先生方には、12月の慌ただしい中をわざわざお集ま りいただきまして大変ありがとうございます。  社会保障審議会介護保険部会は3年ぶりの開催ということでございまして、前 回が16年12月でございますので3年間くらい休止していたわけでございますけ れども、そろそろ新しい制度改正に向けて動き出すべきだろうということで動き 始めております。  介護保険制度が御承知のようにできまして、2000年からスタートをしまして 今は2007年でございますので8年目になります。制度のスタートをしたときの 事情と大分違ってきた面もございますし、保険料も2,900円くらいからスタート しましたけれども、今は4,000円を超えましたし、費用の額も6兆円から7兆円 に迫るというところまでまいりました。8年間弱で倍増するというふうな規模に 介護の世界も変わっております。  そういう中で、やはり体系的な議論をこれからしていくべきではないか。保険 料の問題もございますし、給付の問題もございますし、制度体系全体をどうして いくかということをもう一回考えるべき時期にきているのではないか。日本は大 変高齢化のスピードが早いわけでございますし、また残念なことに働く人たちの 数が減ってきておりますので、支え手が減って、かつ高齢者が増えるという大変 厳しい状況に置かれております。  昨年から今年にかけまして、特に今年に入ってからでございますけれども、残 念な事件が介護の世界で発生をしまして、かなりの取消しといいますか、処分あ るいは新規の指定ができなくなるというふうな事態が発生をしました。その事件 の反省に立って、今回当面事業者に対する規制をもう一回見直しをすべきではな いかということで、法改正も視野に入れて有識者の方に御議論いただきました。 その結果も今日御披露させていただきまして、当介護保険部会でも御議論いただ いて何らかの成案ができれば、次期通常国会に法案の形で提出することも視野に 入れて対応したいと思っておりますけれども、介護の世界はそういう事業の規制 のみならず、実態的な意味でも介護現場の賃金が低いのではないかとか、あるい は労働条件が悪いのではないかとか、いろいろな指摘がなされております。それ を制度の面からどういうふうに受け止めていくのか、大変多岐にわたる課題が多 いわけでございますけれども、先生方のそれぞれの立場からの貴重な御意見を賜 りたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げました。 ○依田総務課長 次に部会長の選任についてでございますけれども、部会長は部 会に属する社会保障審議会の委員の互選により選任されるとされております。本 部会には2名の社会保障審議会の委員がいらっしゃいますが、あらかじめお2方 に相談しましたところ、引き続き貝塚委員に部会長をお願いすることになりまし た。  それでは、貝塚部会長にこの後の議事進行方、よろしくお願いいたします。 (貝塚委員 部会長席へ移動) ○貝塚部会長 部会長を仰せつかりました貝塚でございます。  私はたしか3年前に介護保険部会の部会長をいたしまして、しばらくなのです が、今回はまた新しい事態が発生してもう一度全体としての介護保険制度を見直 す必要があるということのようでありますが、皆様方の御協力を得てこの会の円 滑な運営に努めてまいりたいと存じますので、よろしくお願いします。  それから、社会保障審議会令第6条第5項に、部会長に事故があるときには当 該部会に属する委員または臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者 がその職務を代理するということになっております。本日は御欠席でありますが、 部会長代理として社会保障法がご専門の岩村委員にお願いするということにい たしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは議事に入りますが、まず事務局から本部会の位置付け及び当面の検討 事項について御説明いただき、引き続いて本日の資料の確認及び説明をお願いし たいと思います。どうぞよろしくお願いします。 ○依田総務課長 それでは、まず本部会の位置付け及び当面の検討事項について 御説明いたします。  本部会は、介護保険制度をめぐる諸課題及びその対応方策等について御議論い ただくことを目的として、平成15年3月に社会保障審議会の下に専門の部会と して設置されたものでございます。本部会はこれまで合計で21回開催されてお り、前回の平成17年の制度改正の際にも本部会において精力的に御議論いただ き、制度見直しに関する本部会としての御意見を取りまとめていただきました。  今回の部会は、前回の制度改正後、初めて開催される部会となります。今回、 改めて部会を開催するに至った背景は、本年春に発覚いたしました株式会社コム スンの不正事案を契機とした事業者規制の在り方について御議論をいただくた めであります。コムスンの不正事案を踏まえ、本年の夏には老健局長の私的検討 会として「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」というものを立ち上げま して、今月の3日に検討会としての報告を取りまとめていただいたところでござ います。  こうしたことから、本部会においては当面、次期通常国会への改正介護保険法 案の提出を視野に入れ、介護サービス事業者の不正事案の再発を防止し、介護事 業運営の適正化を図るために必要な措置等について御議論いただきたいと考え ているところでございます。    引き続きまして、お手元の資料について確 認させていただきます。  資料1として、「介護保険制度の概要について」というものをお配りいたして おります。 資料2は、「事業者規制の現状について」でございます。  資料3は、「株式会社コムスンの不正事案に関するこれまでの対応について」 でございます。  資料4は、「介護事業運営の適正化の全体像(概要)」でございます。  資料5は、「介護事業運営の適正化に関する有識者会議報告書」でございます。  このほか、参考資料として3つ用意させていただいております。  参考資料1として「平成19年4月10日付け通知に基づく広域的に事業を展開 する指定訪問介護事業所監査実施結果について」でございます。  参考資料2は、「訪問介護サービス事業所が不正な手段により指定申請を行っ たことの法的取扱いの考え方」でございます。  参考資料3は、「株式会社コムスンの不正行為への対応等について」でござい ます。  資料の不足等がございましたら、お申付けいただければありがたいと思います。 よろしいでしょうか。  それでは、お手元の資料について担当の振興課長から御説明をさせていただき ます。 ○古都振興課長 それでは、私の方からお手元の資料に沿って、本日の議題であ ります事業運営の適正化の関係について御説明申し上げます。  最初に、新しく入られた委員の方もいらっしゃるということもございますし、 またそもそもの制度の話をまず確認させていただいてからお話を進めた方がよ ろしいかと思いますので、資料1の方で少し御説明させていただきたいと思いま す。  1枚めくっていただきまして、「介護保険導入の経緯・意義」ですが、要介護 高齢者の増加、介護期間の長期化などを踏まえまして、一方でそれを支える体制 の脆弱化といったようなことで、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みという ことで創設したものでございます。1997年に法律が通りまして、2000年、平成 12年4月から施行されております。その特徴は、基本的には自立を支援するこ と、その人らしい生活をしていただくこと、更にサービスについては自らの選択 で保健医療、福祉のサービスを総合的に受けるということが基本的な理念となっ ております。そして、これを実施する仕組みとして給付と負担の関係が明確な社 会保険方式をとったということでございます。  1枚繰っていただきまして、どういう方が御利用されるのかということでござ いますけれども、下の加入者のところをごらんいただきますと、基本的に65歳 以上の方を第1号被保険者という扱いにいたしておりまして、要介護状態という ものを保険事故とし、認定を受けてサービスを提供することとなります。  また、第2号被保険者、40歳から64歳の方々につきましてはこの介護保険制 度の趣旨にのっとりまして、加齢に伴う疾病といったものにつきましてそういう 疾病に罹患され要介護状態になったときには認定を受けてサービスを受けるこ とができるということでございます。7,000万人ほどの方々が被保険者としてお られます。こういう方々の保険料を必要な費用の半分、50%、そして残りを国、 都道府県、市町村が案分して全体の費用の基金をつくり、これによりまして実際 に要介護認定を受けた方々がサービスを利用されますと1割負担で在宅サービ ス、あるいは施設サービスが利用できるという仕組みになっております。  3ページで実際の数等をごらんいただきますと、第1号被保険者は2,617万、 第2号被保険者が4,285万、今、第2号につきまして加齢に伴うと申しましたの は、例えば末期がんとか関節リウマチなど、こういった形に起因する疾病につい て受給が可能であるということでございます。  4ページは先ほど御説明しました公費の割合ですが、5ページをごらんいただ きたいと思います。介護保険の総費用は毎年増加をいたしておりまして、2000 年度の実績が3.6兆円というところからスタートいたしまして、今年度予算では 7.4兆円を見込んでいるという規模になっております。この総費用と申しますの は、御利用者の1割負担と保険から給付の出る9割とを合わせた総額であると御 理解いただければと思っております。  その結果といたしまして、第1号被保険者の保険料、全国平均でお1人当たり ということで加重平均をいたしたものですが、第1期、平成12年から14年につ いては2,911円であったものが第3期、平成18年から20年度には4,090円にま でなっているということでございます。医療保険制度と若干違いまして、3年間 は基本的に保険料額を一定のものとして、できるだけ負担がある程度一定にした 方がいいだろうということで中期的財政運営を取っておりますが、現在のところ やはり利用者の増加に伴いましてこのような状況になっているところでござい ます。  6ページは、具体的にどうやって利用をするのかということでございますが、 利用者の方々が要介護の状態になったということであれば、市町村の窓口を通じ て認定調査を要請いたします。認定調査ということで82の項目についての点検 をして、その結果と、それから医師の意見書というものを総合的に判断して要介 護1から5、これは具体的な介護サービスが必要な方々、それから要支援1、2 ということで要介護状態となるおそれがあるということでいわゆる予防的なサ ービスの対象者、この7つの段階に分かれております。それぞれ本人の状態像に 応じてどのような目標を立てどのようなサービスを提供するかということでケ アプランをつくり、それに沿って利用するという形になっております。  そこで、この右側にございますさまざまなサービスというものは多くの指定事 業者からサービス提供が行われることになろうかと思います。本日の事業者規制 に関係する部分も、この右側の介護給付あるいは予防給付と言われるところで、 都道府県ないしは市町村長が指定をする事業所から提供されます。この指定をす るという考え方は、一定のサービスの質を確保した上で保険給付をするという考 え方に基づいております。  ただ、従前の福祉サービスのように市町村が委託をするという考え方ではござ いませんので、事業所に能力があること、例えば、設備、人員を整えれば指定を 受けられるという形で大幅に事前規制を緩めて、参入しやすい構造になっていよ うかと思います。  なお、7ページの方でございますが、では実際に被保険者・要介護認定者の数 はといいますと、被保険者数の方も7年間で500万人以上増加し、認定を受けた 方々も227万人増加で、現在では445万人です。  では、実際にサービスを利用しておられる方は8ページにございますが、2007 年でみますと居宅サービスの257万人、地域密着型サービスの17万人、それか ら施設サービスの82万人ということで、356万人の方々が実際には利用されて おられます。中には認定だけまず受けておこうという方もいらっしゃるようでご ざいますので、このような数字になっております。受給者数は著しく伸びている わけでありまして、被保険者の数の伸びよりも大幅に上回って増加をしていると いうことが見てとれるかと存じます。これが、現在の介護保険制度の概況でござ います。  そこで、こういう中で多くの要介護高齢者のサービスを満たすという観点から、 介護保険制度は基本的に在宅サービスを中心に多様な主体の参入を進めてまい りました。このことにつきましては、サービスの確保により一定の役割を果たし ているというわけでございますが、種々の問題も生じているところでございます。  そこで、事業者指定等がどうなっているのかということにつきまして、資料2 の方で御説明をさせていただきます。  資料2を1枚繰っていただきますと、指定の流れということになっております。 実際に指定を受けますと、利用者が指定事業者のサービスを利用するとその指定 事業者に9割の費用が保険者から支払われるということでございます。そういう 意味で、指定ということは非常に大きな意味を持ってございます。例えば居宅サ ービス、訪問介護などのサービスを行う場合には知事に申請をしていただきます。 これは広域に使うサービスという考え方だからです。  そこでいろいろな右の要件、人員基準などを満たさなければ指定はしませんと か、あるいは後ほど御説明しますが、取消から5年を経過しないと指定は認めま せんとか、いろいろな欠格要件がございまして、それらを見て審査の上、事業所 を指定いたします。そして、事業者は適切なサービスを提供する責務がございま すということで、これらを右の方から指導・監督をしましたり、あるいは不適正 な運営をしている場合は勧告、命令をかけるというようなことがございます。  また、一方で指定を受けたけれども、いろいろ場所が変わったり、あるいは職 員が変わったりすれば変更の届出を出していただく。あるいは、休・廃止の届出 を出していただく。実際に被保険者がちゃんと事業所からサービスを利用できる ように仕組みが整えられております。  更に問題があれば右の方にあります指定の効力の停止、取消というようなこと が行われて、結果的には不適切なサービスをされる事業所については退場してい ただいて、しっかりとしたところが残るという形での仕組みにしております。こ れについて、前回の改正では6年間という更新制度を導入しております。  なお、2ページは「指定基準の考え方」、どういう基準を満たせばよいかとい うことです。3ページは「指定拒否の要件」ということでございます。2ページ にあったような人員基準、設備基準、運営基準、こういった基準を満たして事業 を展開するわけですが、その申請者が例えば次の条項に該当するときには指定を してはならないというふうに現行制度はなっております。例えば法人でないとき、 それから人員に関する指定基準を満たしていないとき、あるいは設備、運営に関 する基準を満たしていないとき、こういう場合は指定をしないということになっ ております。この(1)、(2)、(3)のところが制度創設時、平成12年、2000年度から このような仕組みになっておりましたが、平成17年、当部会でも御意見をいた だいたところでございますが、そこからの意見を踏まえまして(4)、(5)、(6)、(7)、 例えば禁固刑を受けている。あるいは(6)でございますが、指定取消をどこかの事 業所が受けた。そうすると、取消を受けてから5年を経過しない場合は法人とし て事業所の指定を申請しても指定しませんという仕組みが追加になっておりま す。これは、全体として事後規制を整えるという観点でこういう規制が追加をさ れたということでございます。  5ページをごらんいただけますでしょうか。今、非常に単純化して申しました が、基準を満たさなければ指定をしないということと、実は取り消されてもそれ が新規の指定に影響を与えるか否かという観点で言えば、平成12年当時は取消 しをされることと新規の指定を申し出ることがリンクしていない。ちょっと言葉 が悪うございますが、指定を取り消されても新しい事業所申請を指定申請すれば、 内容が整っていれば認めざるを得ないという状況にあったということで、非常に 問題がある事業者についてこの介護の市場から退出していただくことは困難で あったという問題がございます。  したがいまして、事前規制から事後規制と言いながらもルールが不十分である のではないかということをこの部会でも御議論いただきまして、5ページにござ いますように事業者規制の事後規制のルールをもう少し見直しをしたというこ とでございます。1つが「指定の欠格事由、指定の取消要件の追加」で、これは 要するに指定の取消しをされたら、そのことが新規の指定ないし更新というもの に関係するという意味で要件追加になったところでございますし、更に個別の欠 格事由の追加あるいは不正や著しく不当な行為をしたときには、まさにこれは退 場してもらいます。こういうような規定が追加になったところでございます。  更に、従前は指定をした後、取消しか指導する方法がなかったということで、 きめ細かな指導ができないということでございましたので、勧告・命令ができる ようになったということです。  それから、3番目は指定の更新制で、よく自治体の方々から1回指定をすると 指定が永遠に続いてしまうので指導が困難であるということで、医療にも倣いま して有効期間6年の事業所の指定・更新制度というものを導入しました。このよ うに指定の更新制を導入したり、過去の取消事由などが新規の指定・更新の欠格 事由に当たる、あるいは勧告・命令等を追加するといった形で事業者規制の強化 をいたしたところでございます。  なお、7ページでございますが、その際、取消しに当たりましては一応グルー プ分けをいたしまして、例えば指定居宅サービス、指定地域密着サービスの幾つ かの類型分けになっております。左の方が要介護者のサービスで縦一覧、右の方 が予防サービスということで要支援者に対するサービス一覧でございます。この 四角の枠ごとにサービスの取消しが行われると、例えば訪問介護でサービスの取 消しが行われると新たに指定を申請した訪問看護は新規の指定が受けられない とか、こういう形になっておりまして、このグループごとに新規指定ができない といたしたところでございます。  なお、8ページでは大変たくさんの事業所さんがおられるということを御認識 いただければと思います。営利法人から始まりまして、NPO、医療法人、社会 福祉法人、自治体、さまざまな組織がございます。全体として11万余りの法人 種別がございます。  それから9ページでございますが、では過去に指定取消があったところは何か 法人で特徴があるのかと申しますと、確かに営利法人は多うございますが、非営 利の法人においても指定の取消しは行われているということでございますので、 実際にこういう観点から申しますと法人種別イコール問題というよりも、個々の 事業者の経営の状態、経営者の問題なども非常に色濃く関係しているのではない かということがございます。こんな現状と合わせて、事業者規制についてここで 申し上げたいのは、事前規制から事後規制ということで事後規制ルールをしっか り整えましたということでございます。  そこで、資料3をごらんいただきたいと思います。3及び参考1、2、3の資 料で御説明をいたします。今回、コムスンの不正事案について処分等を行ったわ けでございます。この沿革を資料3に沿って御説明いたしたいと思います。  東京都の方でコムスン等、広域的な事業者につきまして平成18年度の後半か ら監査等を行っておられました。そして、4月10日に東京都の監査結果が報告 されまして、いろいろ指導等がある中に、指定の取消というものについて取消処 分の前に事業所の廃止届を出して処分を逃れたという事例が3件ありました。  内容は、不正な手段による指定の申請、いわゆる虚偽申請であったということ でございまして、そういうことが発表された。それ以降、私ども国といたしまし ては全国の自治体にお願いをいたしまして、広域的な事業者を中心に監査を行っ ていただいたということでございます。  そういう中で1の「経緯等」の(1)にございますように、株式会社コムスン につきましては5都県8事業所で「不正な手段による指定申請」の事実が6月6 日時点で明らかになったところでございます。いずれも取消処分前に廃止届が出 されて、結果的に取消処分が行われなかったということでございます。  このうち、青森県、兵庫県の不正行為というものが18年4月以降のものでご ざいました。先ほどの事後規制の強化は18年4月から実施をいたしております ので、これにつきましては18年4月以降の不正行為は先ほど言いました指定の 取消しが新規指定・更新に関わるというような仕組みに当然乗ってくるものでご ざいます。そういう中で、この不正行為はいずれも取消処分前に廃止届が出され たわけでございますが、内容は虚偽の申請ということで、指定の取消の欠格事由 の内容に当たっているということでございました。そうすると取消処分が行われ なくてもその事実は残るということでございますので、改正介護保険法の不正行 為に該当するということで、6月6日にコムスンの介護サービス事業所について 今後5年間は新規指定・更新をしてはならない旨の内容を都道府県あるいは市町 村等に通知をさせていただいたところでございます。  その後、同社におきまして同一グループ内への事業譲渡の方針が出たりしたと ころでございますが、こういった問題については処分逃れではないかというよう な意見が相当多数ございまして、やはり理解が得られないだろうということで凍 結すべきという行政指導などをしたところでございます。  最終的には同社においてグッドウィル・グループはすべての介護事業から撤退 するという方針が示されました。そして、6月6日の段階で事業移行計画を出す ようにという指導をいたしたところでございますが、7月31日に事業移行計画 が提出され、居住系のサービスについては1法人で、そして在宅系サービスは各 都道府県単位での47法人、計48法人に分割して事業移行を行う。譲渡先につい てはコムスンが設置する第三者委員会という、弁護士、公認会計士など中立の立 場の方々で構成されるところで選定を行うことになったところでございます。  結果的に、8月27日に居住系サービスの移行先としてニチイ学館、9月4日 に3ページ目にございますような多くの会社等、法人が選定をされたところでご ざいます。  最終的にこれらにつきましては9月10日の段階で各都道府県の指定・監査担 当者の方々にお集まりいただき、私どもの方から状況を重ねて説明し、何よりも 利用者のサービス確保が最重点でございますので、円滑な移行をお願いいたした ところでございます。  その結果、居住系サービスにつきましては全国の都道府県関係市町村の御尽力 のお陰でグループホーム183、有料老人ホーム26が11月1日に新しい会社に移 行し、合わせて同日で指定が受けられたということでございます。それから、在 宅系サービスにつきましては41都道県におきまして11月1日に、6府県につき まして12月1日に、事業移行及び介護保険法に基づく指定を完了したというこ とでございまして、おおむね7月段階の御利用者、あるいは従事者に比べて、お おむね8割以上の方々が新しい事業所でのサービスを受けておられるという状 況になってございます。  この間、私どもといたしましてはサービスの確保が第一ということでございま して、種々利用者の不安への御相談等の窓口の設置などについて各都道府県と緊 密な連携を取って要請をお願いしたり、更に事業移行計画で公募という方法が示 されましたので、都道府県や事業者団体との間で周知の協力等を順次やってきま した。都道府県、市町村においては地元の利用者からの相談も受けていただいた り、事業所への御指導いただいたというところでございますので、私どもとして は8万人弱の方々、それから2万人以上の働いておられる方々のサービスの円滑 な移行は何とかできたのではないかと考えておりまして、引き続きこれについて フォローしていきたいと考えています。  今のコムスンの不正事業への対応について申し上げましたところですが、その 過程で幾つか問題点が出てまいりまして、サービスの利用者の確保ということと 合わせまして、私どもはやはり再発防止ということがもう一つの柱であろうとい うことで、資料4、5ということで御説明をいたしたいかと思います。  資料5というところで「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」の報告書 を会議でまとめていただきまして、資料4は私ども事務局の方でわかりやすいの ではないかということで全体像で整理させていただいたものでございますので、 実際は資料5を基本にお読みいただければと思います。  資料4で概観していただきますと、今回事業者の法令遵守が不十分ではないか、 事業者の本部への調査権限がないのではないか、あるいは先ほど来御説明をしま したように処分逃れがあるのではないか。こういった具体的な問題への対応と、 それから一律に連座をするということの問題、指定の取消が機械的に全国で同時 に更新ができないというものへの問題をどうするか、あるいは利用者のサービス 確保についてどうするかということを全体として御議論いただいたところでご ざいます。  少しここは丁寧に説明させていただきたいと存じますので、資料5をおめくり いただきたいと思います。有識者会議で御議論いただきましたが、櫻井委員、木 間委員にも参加をしていただきまして、東京都あるいは愛知県の自治体の現場の 部長さんにも御参加をいただいて、関係団体、例えば全国老人福祉施設協議会、 日本在宅介護協会、日本労働組合総連合会、日本介護支援専門員協会、あるいは 保険者代表等々からヒアリングも含め、都合5回開催をいたしました結果、御意 見をまとめていただいたところでございます。  そこで、1ページをごらんいただきますと、今回のコムスンの問題につきまし てでございます。コムスンは不正行為で介護事業から撤退したわけですが、特に 広域的な介護サービス事業者に対する規制をどうするか。それから、指定事業者 の法令遵守徹底のためにどういう措置が必要か。あるいは、事業廃止時における 利用者へのサービス確保の必要な措置がどうか。こういった問題が大きな柱とし てございましたので、この点を中心に御議論をいただきました。  まず、問題点の整理ということでございます。「問題の所在」でございますが、 先ほど来、介護保険制度、それから事業者規制について御説明をいたしましたよ うに、介護保険法の事業者規制というものは平成12年当初では悪質な事業者を 排除する規制が十分ではなかったということでございます。そこで、17年改正 では悪質な事業者を排除するために一事業所の指定取消が他の事業所の指定・更 新の拒否につながる仕組みなどの導入のいわゆる事業者規制の見直しを行った ということは、先ほど御説明をしたところでございます。  それで、今回のコムスンの処分で申しますと、複数の事業所で最終的には全国 36か所の指定取消、指定取消相当があったという結果が出ておりますが、複数 の事業所で不正な手段による指定申請が組織的に行われたということでござい ますので、17年改正規定を適用して全事業所について指定及び更新を拒否する ことにしたということですが、ある程度適切であっただろうということでまとめ ていただいております。  そこで、有識者会議の議論の中ではどういうことがあったかといいますと、こ この6つのポイントです。  1つ目は企業統治、ガバナンスの中心である事業者の本部に立ち入調査・報告 徴収ということができず、命令を行うことができなかった。  2つ目でございますが、処分逃れということで処分前に事業所の廃止届を提出 したので、指定権者が取消処分をできなかった。  3つ目といたしまして、同一グループ内の他法人に事業譲渡を行おうというこ とだったわけですが、実質的な処分回避と見られかねず、現行の法制では何らそ こについては手だてがなかった。  この辺りが、コムスンの個別の事案からこの制度における特徴的な問題点とし て出てきたところでございますが、4つ目以降、もう少し広く制度的に見ますと、 1つは不正行為を組織的に行っていない事業者でも一事業所の指定取消が一律 に他の事業所の指定・更新の拒否につながるということで、行為と制裁の均衡と いうことから妥当かどうかという御議論。  5つ目といたしまして、事前規制から事後規制という流れの中で内部統制の仕 組みの重要性があるのですが、法令遵守というものが十分確保されていないので はないか。  6つ目といたしまして利用者数の多い事業所、あるいは居住系サービスの事業 所が廃止される場合にサービス確保ということは重要でありますが、十分ではな いのではないか。こういう問題点がよく国に指摘をされたところでございます。 これらについて、一つの考え方を3以降でおまとめいただいたところでございま す。  1つは「指導・監督体制の充実」という観点でございます。まず押さえておく ことは、この介護事業というものにつきましては法律上、各事業所がきちんとサ ービスを満たしているかどうかということで都道府県、市町村が事業所ごとに指 定をしていただいておりますし、指導・監督が行われております。このことは、 個別に個々の事業所ごとにサービスの質を確保するという上では有効であって、 この事業所単位の指定規制というのは引き続き維持する必要があるということ が整理をされております。  3ページでございますが、一方で組織的な不正行為が行われた場合は法令遵守 を含めた事業者の業務管理体制に問題があるということで、やはり組織的な関与 が疑われる場合には事業者の本部等に国、都道府県、市町村が立入調査をするよ うにする必要があるのではないか。  それから、その調査の結果、法令遵守を含めた業務管理体制に問題があるとす れば、国、都道府県、市町村が是正勧告・命令できるようにする必要があるので はないかということでございます。  同時に、業務管理体制に関する規制は都道府県域を超える場合には広域に事業 展開を行っている事業者については国が、あるいは市町村域を超えて県内全域に 広がっているような事業者については都道府県が主体となって、それぞれ相互に 関係自治体と緊密な連携の下に適切な対応をする必要があるのではないかとい うことで、まず1点目はおまとめいただいております。要は、事業所単位の規制 を基本としながら、事業者に対する一定の規制をかけていくということでござい ます。  2つ目の「不正事業者による処分逃れ」ということにつきましては、まさにこ れは廃止届の提出を事後から事前にする。更に、監査中に事業所の廃止届を提出 できないようにする仕組みの導入も加えて検討する必要があるのではないかと おまとめいただいたところでございます。  そこで、同一法人グループ内の事業移行につきましては、処分逃れのおそれが あると認められる場合には指定権者が指定を拒否できるような一定の制限を課 すことができるような仕組みにしてはどうかということでございます。  「ただし」ということで、確かに同一グループ法人内の指定の拒否は逆に非常 に優秀な会社があった場合に過度の規制になる可能性もあるということでござ いますので、グループの実態を踏まえた対応ができる必要もあるという意見もい ただいております。  それから、介護事業は有識者会議での御議論の中でもございましたが、介護サ ービスは営利、非営利の主体が混在しているサービス提供体制であるということ で、さまざまな法人主体が経営参入しておりますことから、同一法人のグループ といった場合にも単なる資本関係のあるなしだけではなくて、もう少し実質的な 廃止・被支配というようなことにも着目する必要がある。このような整理がされ ております。  4ページは監査指導の問題です。これは非常に事業者団体からのヒアリングで も多うございました。監査指導はそもそも不正行為の未然防止あるいは業務の健 全性確保で機動的に行われる必要があるとなっております。そういう意味では3 つ目の丸にございますように都道府県、市町村の監査指導については少しばらつ きがあるので標準化を図ってほしいという御意見が1つでございます。  それから2つ目の丸に戻りまして、都道府県、市町村は事業所の監査をした際 に事業者に問題ありということがあれば、その事業所監査の延長線上で事業者本 部に立ち入ることができるようにする。これは、いきなり事業者に行くだけでは なくて、下からも上にいけるという仕組みにしてはどうかということを御提案い ただいております。  4つ目の丸でございますが、「不正又は著しく不当な行為」というコムスンの 場合は、明らかに虚偽申請という行為で処分できなかったという事実でございま すので、そのこと自体は取消事由に合致しておりましたから不正行為ということ でございますが、この内容についてこういう規定の仕方は立法技術的にはよくバ スケットクローズということで想定外の問題が起きたときに使う条項でござい ますが、自治体によって判断に差が生じることのないよう例示を示すなどのいろ いろな検討をしてはどうかという御提案をいただいております。  それから、不正行為につきまして機動的な対処ということで、人員、設備・運 営基準違反だけではなくて、広く指定取消事由となるような違反行為についても 改善勧告・命令とするようにする必要がある。  それから、不正行為を行った事業者について、より効果的な規制というものが 重要になるわけですけれども、介護報酬の返還、加算金の支払いについては確実 に徴収できる仕組みがあった方がいいんじゃないかということで、現行なかなか 返還がされないというような実態も踏まえてこういう整理がされたところでご ざいます。  4番目は先ほどの冒頭の4つ目の問題と同様ですが、いわゆる連座制の問題に つきましては組織的な不正行為を行った、例えばコムスンのような場合の排除に ついては、当然こうした不正行為に関連して指定・更新を拒否する仕組みは引き 続き必要だということで、基本的に指定の取消しが新規指定・更新に関係すると いう意味での連座は必要であるということでございます。  ただ、その際、組織的な不正行為を行っていない事業者について、一事業所の 不正行為をもって一律に指定・更新を認めないことは妥当かどうか。更に、先ほ ど冒頭のところで御説明しましたように、引き続き事業所指定を都道府県知事、 市町村長が行うという基本は維持するという考え方でございます。そうした際に、 一自治体の指定取消処分が他の自治体において機械的に新規指定・更新できない ということは、他の自治体の権限を過度に制約することになりはしませんかとい う問題点の指摘があったということでございます。  そこで、事業所の指定取消があった場合には指定・更新を拒否できる仕組みを 維持した上で、事業者の不正行為の組織的な関与の有無を確認した上で、各自治 体が自らの権限として指定・更新の可否を判断できるようにする必要がある。  それから、自治体の圏域を超えて事業を展開している事業者については組織的 な不正行為が疑われる、あるいは確認された場合に国、都道府県、市町村が十分 情報共有を行って緊密な連携の下に対応すべきだという整理をいただいたとこ ろでございます。  それから、今回コムスンの事案の中で居住系のサービス、いわゆる有料老人ホ ーム、グループホームといったものと、それから訪問系のサービスでは若干扱い が違うのではないか。特に居住系サービスの御利用者さんからもいろいろ御意見 があったところでございまして、ある意味では居住系サービスについては生活の 場を確保する必要があるということから利用者に対する影響が大きい。したがっ て、例えば居住系サービスを通所型・訪問型の在宅系サービスとひとくくりにし ている現行の指定類型の在り方についてよく検討する必要があるのではないか ということでございました。  4番目の法令遵守につきましては、やはり介護保険制度は公益性の高い事業で ございますので、通常以上に高い水準の法令遵守と事業運営の透明性が必要だと いうことでございます。  そこで事業者単位の規制を先ほどするとの提言をいただいたわけでございま すが、その中で具体的なものとして法令遵守を含めた業務管理体制の整備を義務 づける。そして、その際は規模だとか、法人の態様に応じた義務とする必要があ るということが整理をされてございます。  それから、これは制度だけでは対応できないだろうということで、事業者自ら の自主的な取組みを促す必要があるとし、情報公表や第三者評価制度を活用する 形で同僚評価的な取組みなど、自主的な取組みを促す必要があるとされています。  6番目でございますが、業務管理体制の整備に当たっては制度や規制・指導の 内容について理解を深める必要があるということで、規制内容の周知の徹底ある いは事業管理者に対する法令遵守の研修を実施するなどの取組みも必要であろ う。更に頑張っておられる事業者、適切な事業者さんについては逆に更新申請時 の事務の簡素化など、一定のインセンティブを与えることも考えたらどうですか という形での御意見で整理をいただいております。  それから、「事業廃止時における利用者へのサービス確保」ということにつき ましては、やはり一時的には事業者責任です。ただ、当然その際に事業者がやる わけですが、手続の公平性・公正性、あるいは従業員の雇用維持ということにつ いても適切な配慮をすべきだろうと。更に、事業者がその上で他事業者へのあっ せん等々の措置を講ずることが必要だということでございます。  一方、今回のコムスンの事例を見ましてもさまざまな関係者が関わってくるわ けでございます。利用者、従事者だけではなくて国、都道府県、市町村、それか ら他の事業者、引受け先あるいはそれを支える金融機関等々、さまざまな関係が ございますので、当該事業者のみでは十分対応できない場合も出てくる。そうな ると最後は行政が事業者の実施する措置を支援する必要があるだろうというこ とで、何らかの支援措置が必要ではないかということでございます。  それから、更新制を導入したわけですが、何らかの処分が行われたときに間近 に更新がくるといきなりサービスが提供できないということで、サービス確保に 困難が生じ得る。実は、指定申請は毎月のように行われておりますので、更新の 有効期間の一定の延長、弾力的な運用も検討したらどうかということでございま す。  7ページは「その他」で長期的課題ということです。やはりきめ細かな監査指 導というのは市町村の役割が大きいけれども、現時点では地域密着型の指定権が 市町村に移行されて間もないということで長期的課題ということで、ここは今す ぐというものではなく議論を重ねるべきだろうということが言われております。  最後に、こういったことを踏まえて早急に検討を行い、国民から信頼を回復さ れるような制度にすべきだと。  こういう有識者会議の御報告をいただいたところでございますので、こういっ たものを御参考に、更に御議論を賜われればと存じます。 ○依田総務課長 事務局からですが、山本委員がおいでになられましたので御紹 介いたします。  山本委員でございます。 ○貝塚部会長 ただいま、事務局からの御説明をありがとうございました。櫻井 委員と木間委員のお2人はこの有識者会議の委員であられましたので、ただいま の事務局の説明に対して何か補足すべき点があれば御発言いただければありが たいと思いますが、いかがでしょうか。 ○櫻井委員 私はこの有識者会議に参加させていただきまして、介護事業という のは高齢化社会を迎えるに当たってきちんと全うに成長してもらわなければい けない行政領域であると思っております。自分の問題でもあるということも含め ましてですけれども、そういう意味でちょうど試行錯誤しながら制度もつくって いるということが手に取るようにわかったということで、前回の平成17年の法 改正で当初の制度設計よりは改善をしたということです。  しかしながら、改正した途端に予想していないような事態が起きて、それに対 してどう対応するかというふうに行政は動いておられるんですけれども、これは 法制度の成長という意味では極めて健全なことで、適切な法改正がなされるとい うことが極めて重要だと思っております。  この会議そのものは比較の問題なんですけれども、比較的法律論としてはかな り高いレベルの議論がされていたのではないかと思っておりまして、今回の事案 を受けて、あるべき法制度というものを考えるとすると大体こんな感じで、おお むね問題はフォローされているのではないかというのが私の感触でございます。  ただ、私の意見が全部通ったわけでもありませんので私なりにコメントを申し 上げますと、1つは成長すべき行政領域だということの具体的な意味というのは、 介護の担い手の問題としてはやはり公的な主体からだんだん民間的な主体に重 点がシフトしてくるのは避けられないことですし、むしろ民間の人に積極的に入 ってもらわないと人的にも非常に対応が難しい領域です。したがって、営利法人 が入りやすく、そして不正を行いにくい、そういうスキームをつくっていくこと が基本的な方向性だろうと思うんです。  ただ、やはり営利法人ですから、そこは何と言っても経済合理性で行動してく るということでして、そこは目端の利いた企業も入ってくるし、またそういう企 業に入ってきてもらわなければいけないということを踏まえる中で、うまくちょ うどメリット、デメリットの中間的なところでバランスをとりながらスキームを 設定していくというところに腐心をしていただけるといいのではないか。これは 従前の法制度の仕組みの仕方としては特に厚労関係といいますか、福祉関係の行 政の仕組みとしては余りなかったのではないだろうかと思っています。  もう一つは、それと同じような話なのですけれども、これは厚労省の行政だけ ではなくて法律論で今すごく大きく変わっていまして、有識者会議の中でたしか 申し上げたと思うんですけれども、ついこの間も混合診療の禁止を違法とする東 京地裁判決などが出ましたが、あのテーマとは別に法律論として読み取るべきこ とは、出るところに出たときにちゃんと通用するような仕組みをつくっておかな ければいけないということです。それは簡単に言いますと、内部的な規制ではな くて外部的な規制にしていかなければいけないということでして、そういうとこ ろが介護保険法は比較的近代的につくられていると思いますけれども、まだまだ そこのところは問題意識としては弱いのではないかということを感じておりま す。そんなところを留意して、具体的な制度設計に当たってはどうぞぴりっと効 くような仕組みをつくっていただきたいと考えております。以上です。 ○貝塚部会長 どうもありがとうございました。木間委員、何かございますか。 ○木間委員 介護事業運営の適正化に関する会議といいますと、私の立場では利 用者の権利擁護でありますとか、経営環境の問題なども議論されるのかと思った のですが、そういうことではなくて今、櫻井委員がおっしゃいましたように法制 度の議論でありました。  そういう意味で、多様な意見が御専門家から出されてここまでまとめ上げられ たものでありますので、この報告書について補足するということはございません。 ○貝塚部会長 どうもありがとうございました。  それでは、事務局から主として資料5の有識者会議の報告書についての御説明 がありましたが、この報告書について御質問あるいは御意見がありましたらどう ぞ御自由にどなたからでも御発言ください。 ○山本委員 最初の今までの説明の部分はもう締め切ったんですか。 ○貝塚部会長 この有識者会議の報告書の説明を中心に厚生省の方の説明に従 ってお願いします。 ○山本委員 最初のものは、もう終わったということですか。 ○阿曽沼老健局長 これから御議論いただきます。 ○山本委員 では、私は意見がありますので申し上げます。  介護保険がコムスンのようになったのは、私は1つはやはり皆の責任があると 思うんです。介護保険をつくったときは、何でもいいからやれ、やれだったんで す。これは御承知のとおりです。一つの規制もないわけです。  この介護保険で20万の新たな雇用を生み出すというんです。当時の話ですが、 何でもOKだったんです。そういうふうにしてやったものですから、私はコムス ンみたいなところが出てくる根拠になったのではないかと思います。  ところが、だんだんこれが落ち着いて事業が安定化してきました。いろいろな 意味でこの事業は公費と被保険者の負担によって実施をしているものですから、 大変貴重な事業なんです。普通の企業とは違うわけです。だから、それだけに慎 重にやっていくことが必要だったんです。  今回のコムスンの場合を見てみますと、例えば、私の県などのコムスンが悪い。 では、全部全国的に悪いのではないかというような認識でコムスン全体を見てき たということもあると思います。そうしますと、コムスンの場合は御承知ですか ら申し上げませんけれども、そういうようなきちんとした規定がないものですか ら、1か所が悪ければ全国に展開している事業は全部悪いんだという認識をされ がちなんです。1つが悪ければ全部が悪い。だから指定を解除してしまえという ことになり得るんです。  だから、先ほどからいろいろ御説明をいただきましたが、ああいうような細か いところまで気をつけていただければ今度のように一括してどうだこうだとい うことにならないでいくと思います。同じ監査をする場合でも、それぞれ監査を する人が違う。この件はこの市町村がする、この件はこの市町村がすると、1人 の人がやらないわけですから、さっきの説明のようなある程度の規定、規則でや ることが必要だと思うんです。だから、連座制が今回は非常に有効に働いたから よかったのではないかと思いますので、連座制を更に強化していく考え方がいい のではないかと思います。ここが悪いから全部悪いというような考え方はやめる。 例えば、北海道と九州で同じ会社がやっているということになって、北海道が悪 いから九州も悪いんだというようなことのないようにしてやることが大事だと 思います。  それからもう一つは、大きな業者、大きな組織、事業者、あるいは事業所の他、 小さな一つの町でようやくやっているような小さいサービス事業者があります。 そういうものは同じような取扱いをしないように、小さいところは小さいような 監査等々ができるように考えてやることが必要ではないかと思われます。恐らく そこら辺りの気配りはしていただいていると思いますので、もし重複していたら お許しください。小さいところがちゃんと監査を受けられて適正に事業をやって いくというならば、介護保険というのは公共事業と同じなんですから、そういう 意味でそこら辺りまで気配りをしてやることが大変大事ではないかと思います。  その次に、さっきの法律をつくってこういうふうに厳しくやっていくんだとい うのは当然なことですから、それはやっていただかなければならないし、またや るべきだと思います。それで、もし廃止になったときに被介護者、いわゆる介護 を受けている人たちが1日でも2日でも1時間でも2時間でも介護の面倒を見 てもらえないことにならないように、そこら辺りの配慮が欲しいんです。  例えば、私がやっているところはだめだ。おまえのところは指定取消だとされ たら、業者とそこに働いている人はそれでいいかもしれませんけれども、そこで 介護を受けている人たちは指定取消のために空白をつくってしまうということ になりかねません。そこら辺りのことがさっき出ていたような気もするけれども、 十分考えていくべきだと思います。  それから、働いている従業員もそのまま放置するのではなくて、ちゃんと転職 の世話をしてあげるとか、さっきこと細かく説明がありましたが、あれだけの説 明をなさるならばそういうところまで気配りをしていただいて、働いている人た ちが安心して介護行為ができるようにしてやることが必要ではないかと思いま すが、そこら辺りが抜けているような感じがしました。気配りはしていると思い ますけれども、そんな感じがしました。  そこで、今度はその後やり変えるとき、あるいは廃止をするときなどの世話は 自治体が監査をし、そして決定をすることになるわけですから、事業者そのもの が一生懸命自分の責任で処理をしなければならないことは言うまでもありませ んが、どうしても自分の力で及ばないときは行政が応援するということも考えて いいのではないかと思います。  私のところにあるとすれば、そこが廃止になった。そこの従業員はどうしまし ょうか、あるいはそこで介護を受けている人たちをどうしましょうかというよう なときは、自分たちで一生懸命やってもらわなければいけないけれども、どうし てもできないところがあると思います。また、そういうことが出てきた場合はそ この行政、例えば市町村あるいは県が応援をしてベストな処理をしていった方が いいと思います。そういうことにも配慮していただけるようなことを考えていた だければいいと思いますから、是非今回はきちんとした改正をしていただきたい とお願いを申し上げておきたいと思います。  申し上げたいことはいっぱいありますけれども、私は最初から介護保険に携わ っておりますものですから、気の付いたところだけを申し上げさせていただきま した。どうぞよろしく会長のお取り計らいをお願いしておきたいと思います。以 上です。 ○貝塚部会長 ただいまの山本委員の御発言はこの報告書では6ページ、7ペー ジ辺りの利用者へのサービスの確保及びどこが責任を持つかというと、元来は市 町村ですが、しかし県レベルないしはその辺のところも長期的に検討すべきだと いうことで、何か課長の方で補足されることはございますか。 ○古都振興課長 今の御意見も十分尊重して、いろいろ具体的に考えてまいりた いと思います。 ○貝塚部会長 では、ほかにどうぞ。 ○勝田委員 介護保険の介護サービスを利用している立場、認知症の人と家族の 会の勝田と申します。  3年ぶりに開催されるこの部会の議題が「介護事業運営の適正化」ということ で、利用者の立場としてコムスン問題を始め、多くの不正がこの介護の現場で起 きたという悲しい現実と、なぜこのようなことが起こったのか。悪質な事業者を 排除するために業務管理体制の指導とか監督権の強化だけで再発を防げるのか。 もっと根深いところに原因があるのではないか。  例えば、今回の不正の中でも指定申請時から雇用実態が確認できなかったとか、 ほかの事業所と二重に勤務するなどということがありますけれども、介護従事者 の不足や介護報酬などの問題があるのではないかと考えます。そもそもこのよう な不正が起きる原因をどのように当局としてはお考えなのか、お聞かせいただき たい。私たち利用者は、この介護保険制度が持続可能な制度であって、利用者の 尊厳が守られるということと同時に、介護従事者が誇りを持って働ける介護事業 であるということを願っています。  今、山本委員からも御指摘がありましたけれども、2万人余りのコムスンに働 いていた方々がとても肩身の狭い思いをなさっている。現場では本当に御熱心に お仕事をされていた方々が、コムスンに働いていたということでとても肩身の狭 い思いをなさっているという実態があります。そういう中では誇りを持って働け るように、監督とか管理ばかりを強めるのではなくて、本当にこの問題がどこか ら発生したのかということも含めて是非御検討いただきたいと思いますし、当局 としてはそこら辺をどのようにお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。 ○貝塚部会長 ただいまの御質問について、課長の方からお願いします。 ○古都振興課長 ただいまの御指摘は、貴重な御指摘だと思います。基本的にま ず上流から考えれば、介護事業というものが非常に公益性の高い事業であって、 要介護者の方々に対しまして社会的な連帯で実際に費用も負担をしながら支え る事業です。そういう意味では、ここに参入していただく方々には高い志といい ましょうか、公益性を踏まえた考え方と、それを実施できるだけの資質が1点は 必要ではないかということだろうと思います。  それと合わせまして、やはり法令遵守をするのが当然だということは十分徹底 していかなければいけないのではないかということが2つ目です。  それから、3つ目といたしましては今、働いておられる方々が非常に肩身の狭 い思いではないか。決してそういうことで人を差別してはならないわけでありま すし、あってはならないというふうに私は思います。その上で、そういう従事者 の方々が安心して働けるような環境も合わせてつくっていかなければならない のではないか。  折しもそういう介護労働者の問題等につきましては別途、給付費分科会等でも 御議論いただいているところでございますし、そういう形で総合的にきちんと規 制あるいは指導を徹底していくことはもちろんですけれども、事業者自身がやは り高い志と法令遵守を自らにも徹底していただく。更に事業者、従事者が働きや すい、あるいは経営しやすい環境も合意の中で形成していく総合的な対策が必要 な時期にきているのではないかと認識いたしております。 ○貝塚部会長 いかがですか。私の個人的な意見では、介護事業というのは確か に10年間くらい日本経済は不況の時期にありまして、勤め先がそう簡単に見つ からないという状況もありました。ところが、最近やや経済がよくなってくると、 私は経済学者ですので割合とドライに考えれば、やはり昔と同じ待遇でそのまま やれるのかという問題が1つはあり得ると思います。  ですから、その辺りは非常に微妙なところですが、介護報酬は今、給付費分科 会で議論されているのでしょうか。やはり経済の情勢に応じてある程度弾力的に 動かせる条項を入れておいた方が、先ほど言われたようなお話ともある程度関係 すると思います。多少ドライな話ですが、待遇の問題それ自身はかなり重要な問 題で、そこら辺りも今後とも弾力的に対応することが重要な気がいたします。こ れは私の全く個人的な意見です。ほかに、どうぞ。  では、吉田委員どうぞ。 ○吉田委員 冒頭、老健局長の方からも介護労働者の労働条件についての御指摘 があったのですが、働く者を代表する連合としましては介護労働者の労働条件は、 取り分け賃金が非常に低いと認識しております。高齢者の尊厳を支えるという非 常に高い意識を持ってこの介護分野に入ってきた多くの労働者が疲弊に疲弊を 重ねた結果、この分野から去っていってしまう。そういう状況を、早急に解消し ていくべきだと考えます。  例えば、介護報酬からどの程度賃金に回っているかといった労働分配率につい ての実態把握など、できることから早急に着手して介護労働者の労働条件、労働 環境を改善していく必要があると強く感じています。  本題の事業の適正化についてですが、連合としてもこのコムスンの問題は非常 に重要だと考えており、6月8日には談話を発表し、その中で今回の問題は介護 保険制度に対する国民の信頼を失墜させるものであり、また同時に介護労働者の 熱意をも裏切る行為であると、事業主に対する強い憤りを表明したところです。  国民の信頼を回復するためにも、再発防止に向けた対策を強化するべきですが、 そのためにも適正かつ厳正な指導、監査の実施、法律の厳格な適用が必要である と考えます。  また、利用者のサービス継続の確保、同時に、利用者にとってなじみの関係に ある介護労働者の確保という点からの、労働者の雇用の確保、という重要な2つ の課題が今回の問題で表面化したと考えています。  適正化のためには、行政指導が地域において適切に行われることが大前提であ ると考えます。そのためにも行政指導のルールを透明化し、行政指導を行う根拠 を法律またはガイドラインという形で明文化して、ばらつきのない適切な行政指 導が行えるような仕組みや措置を講ずるべきだと考えます。以上です。 ○貝塚部会長 では、天本委員どうぞ。 ○天本委員 この不正ということの中身ですけれども、サービスの内容というも のにおいては私が知る限りは、アウトプット自体は利用者との関係はそんなに大 きな問題が起きていなく、むしろそのプロセスにおいていろいろな不正があった。 それは事業を運営するための届けとか、マネジメントにおける不正などだろうと 思うんですけれども、利用者のサービスの確保にはこの事業者とワンセットで労 働者があるわけです。営利が参入するということで利益を追求したということで、 これは特に人が生み出すサービスですね。そこにいろいろな意味で介護労働者に どのような形で利益追求の影響があったのか。  といいますのは、現実的には他産業と比べて平均的に給料はほとんど伸びない とか、非常に若い人たちのみがそこに集中しているとか、そういうことでもし利 益追求をなされていれば、今後の継続性とか、いろいろなことにおいて構造的に もう一回見直しをしなければいけない問題がたくさんあると思うんです。  今回の場合には、不正の内容をもう少しきちんと吟味する中で、そこの労働者 の労働条件との絡みで今後の企業の継続性、永続性というものも含めて、やはり 構造的に労働者の供給体制そのものが非常に厳しくなっております。先日の新聞 においても、学校への入学者が13パーセントも減っている。ということは、も う2年後には卒業者、介護労働者が減るわけです。しかも、若い人たちが中心で すから、その人たちがバーンアウトして辞めている現実からすると、今後介護を 受けたい人はどんどん増えているにもかかわらず、かなり喫緊の課題だろうと思 うんです。だから、単なる不正の取締りだけでなしに、やはり労働条件について もきちんと見直す形で議論を進めていただければと思います。 ○貝塚部会長 齋藤委員、どうぞ。 ○斉藤委員 コムスン問題につきましては、これまで事業者に対して性善説とい うことが盛んにこの審議会で出されていたと思いますが、これに一石が投じられ たものではないかと理解すべきだと思っております。幸い、厚労省の適切な対応 もあり、また世論が処分回避を許さないというものがありまして、結果的にはい い方向に進んだと理解をしておりますし、今回の有識者会議で皆様の努力で不正 防止の道筋を示していただきましたことは大変ありがたいと思っております。  利用者にとりましては、どのような理由があれ、事業所が廃止をされて、その 後のサービスが引き継がれればそれで問題解決するということではなくて、特に 施設系などでは主体によって運営の在り方も違っておりますし、ただ単にサービ スだけがあればいいというものではない。そういう意味では、介護レベルであり ますとか職員との信頼関係も大変大事な話でありますので、事業者が変わるとい うことは利用者にとっては大変大きなストレスであり、不安を抱える。事前に不 正の防止をするということは一番大事なのですが、すべて事後規制、事後規制と いうことで後追いになっているということが本当にこれから先、これで健全な事 業者の育成につながるのだろうかということは、いずれ議論していただかなけれ ばいけない部分があるのではないか。  いただいた資料を拝見しますと、不正事案の事業所は営利法人が非常に多い。 次に社会福祉法人なのですが、発生率というような視点で見ますと、これはこの 資料の数字だけで言うのはいささか問題があるのかもしれませんが、NPO法人 が一番発生率が高い。その次に営利法人という順になっています。逆に発生率が 低いのは社会福祉法人であり、地方公共団体であるという結果になっております。  先ほど、この介護保険事業というのは公的な主体だけでは賄い切れない民間の 活力が大事だという発言がありました。私もその点は理解をいたしますけれども、 しかし、利用者の立場からいたしますとどうも公的な主体に対する安心感と、民 間に対する不安感というものが同居しておりまして、この先、民間の力を借りて いくというときには、ここはよく見極めていかなければならない。研究者の中に は、今の事業者は玉石混交だと評価される方もいらっしゃる。しかし、利用者に とってみればとれが玉でどれが石なのかわからない。見分けがつかないわけであ ります。  私は今回のこの資料を拝見いたしまして、これから勧告や、さまざまなことで 行政処分をする事案が出てきた場合に、事業所の名称を公開するというのはいさ さか問題があるのかもしれませんけれども、都道府県別に法人種別で資料提供は 公表すべきではないか。それが、それぞれの法人のモラルというものを高めてい く一つの指導指針になるのではないかと考えるわけであります。  是非、今後の検討として玉石の見極めを利用者もつけられるような資料や、そ れに限らずほかのものでもいろいろな資料を出していただきませんと、今、公表 されております事業所の羅列、これはインターネットで見ると利用する人たちは 大変ですね。自分のところのものを見てどれがいいのか選びようがないというこ とが正直あるのではないかと思いますので、再発を繰り返さないためにもこうい うものを利用する側がしっかりと見て、そして選択ができる。そういうことがモ ラルハザードをなくしていくことにつながるように思いますので、是非御検討い ただくようにお願いしたい。  最後に、もしこの法人類型で何か特色的なことで分析されているものがおあり ならばお教えいただきたいと思います。以上でございます。 ○貝塚部会長 ただいまの御質問にわたる部分は、要するにいろいろな問題が発 生したときにいろいろな形態の経営の仕方があって、それによって何か違いがあ るものとか、そういうふうな点についてどうぞ。 ○古都振興課長 法人類型での違いというのは、詳細な分析をしたことはござい ません。ただ、言えることは今、委員の御発言にもありましたように、営利から 非営利まですべからく、多い少ないという問題はあれ、取消を受けている。そう すると、やはり共通点は経営者の資質とか管理者の問題というような部分もある のではないかというふうに推察はいたしますが、類型別での分析はいたしており ません。 ○貝塚部会長 先ほどの資料でいきますと、資料2の最後の方に取消しの事例と か、一応タイプ別には分かれているんですね。とりあえずあるのはこういうこと です。  では、御発言をどうぞ。 ○高橋委員 経団連の高橋です。ごく簡潔に申し上げたいと思います。  資料5の2ページ目の「指導・監督権の創設」ですけれども、これは組織的な 不正行為を減殺するという意味では一定範囲において私どもはやむを得ないと 判断しておりますので、この点はよろしいかと思います。  それから、4ページ目の「きめ細かな監督指導」のところで自治体ごとのばら つき、これは非常に大きな問題になりますので是非標準化をしていただきたい。 合わせて標準化と同時に、自治体にそのことを徹底していただいて共通した運用 がされるように研修会等もやって必ず周知していただきたいということが要望 であります。  3つ目は5ページ目の「体制の整備」のところですが、業務管理体制について 規模別の義務とするというのはちょっとわからないという気がします。業務管理 体制というのは業者であればすべからく必要だと思いますので、規模別にどの程 度のことを意識されているのか。これはむしろ質問としてお答えいただければ、 どういうことを意識されているのか教えていただきたいと思います。 ○貝塚部会長 ただいまの御質問にわたる部分ですね。要するに、業務管理体制 の整備というのはもう少し具体的に言うとどのようなことでしょうか。 ○古都振興課長 いろいろ法人によって規制も違います。例えば、財務諸表でい くと上場企業ですとか、社会福祉法人は既に公開をされております。ではそれ以 外の特定非営利法人はどうなのかというように、法人によってさまざまな透明性 についての規制の段階も違うだろうと想います。  では、一法人一事業所に、例えば大企業の上場企業が課されておられるような 社外取締役を入れなさいとか、いろいろな会社法等でも規制をされているような ことが、それがそのままそっくり当てはまるかというとそうではないのではない かという趣旨でございますので、趣旨はすべからく業務管理体制をきちんとやっ てくれということがまずあって、そのためにはではどういう具体的、効果的な方 法があるのかということを考える必要があるのではないかという御意見だと存 じます。 ○貝塚部会長 では、どうぞ。 ○渡辺参考人 事業所指定をする県の立場として質問を1つお願いします。  報告書の5ページの(2)の1つ目の丸ですけれども、指定・更新を拒否できる仕 組みを維持した上で自らの権限としてということで、指定をするかどうかという 2つに1つなんですが、裁量の幅としては非常に大きいものがあるのかなと。こ の文言だけでは少しわからない部分ですが、要は拒否できる仕組みは基本的には 今のままであって、ただ、こういう場合は拒否しなくても指定できるというふう に例外的に裁量権をつくるのか。あるいは、逆に拒否できる仕組みの方は小さく して裁量の方を大きくしていこうとされているのか。その辺は何かお考えがあれ ば教えていただきたいと思います。 ○貝塚部会長 では、ただいまの点をお願いします。 ○古都振興課長 これはこれからの御議論もあろうかと思いますが、この中で非 常に機械的に今、行われているということでございまして、裁量の余地は全くな いということでございますので、そういう意味ではある程度実態に即した裁量が できるようにしていかなければいけないのではないかという御意見だろうと思 います。  そうすると、その裁量というのは当然一般的に考えまして、説明責任をきちん と果たせるような内容でなければならないだろうということでございますので、 裁量についてもおのずと合理的な範囲というのはあるのではないかと考えてお りますが、具体的にどのようにそれを表現するのかということについては実務的 な検討が必要であろうと思います。 ○貝塚部会長 川合委員、どうぞ。 ○川合委員 私は資料5の5ページの中の文章の2点と、お尋ねを2点、合計4 点の発言をしたいと思います。  今まさしく三重県の方がおっしゃったように、裁量という言葉について私は頭 の整理ができていない点があります。丸の4つ目であります。居住系サービスで あるグループホームや有料老人ホーム云々のところで3行目に利用者に対する 影響が非常に大きいというところと、今まさに渡辺代理人がおっしゃった(2)のこ のための指定取消というようなところです。  断っておきますが、三重県ではありません。ある別の県ですけれども、我々の ところは今、事業の申請といいますか、更新制となり、その手続きをしています が、我々と当局、局長を始め担当課長とは合意ができているものを、県の裁量で もって従わなければ更新はしないといううわさが広まっています。どこの県とは 申しません。そのことについては、それがここの(2)の指定解消に当たる事案であ るとは思いません。それを裁量の担当者が我々の県の指導に従わないことには困 るというふうな発言をされ、再認可いただきにくい状況になっているといううわ さがあります。そこの県支部からは複数、私の元に情報がきていますので、ここ の(2)と(4)に関しましては本当に慎重に取り扱っていただきたい。居住系サービス に関してはいろいろな意味で現に入所しておられる方ですから、単に担当者が気 分が悪いからと言っただけで、もう国と全老健レベルでは合意ができていること に関して、県の方針に従わないから指定はしませんよと、冗談でも言うべきこと ではないと思っております。  それから、一番下の4の丸の3つ目でありますが、非常に面白い表現と言って は失礼ですが、介護サービス情報公表制度、または「第三者機能評価制度等」と いう文章があるんですね。「等」は何を指されるのか。もう一つあるということ、 あるいはもう2つ3つあるということを称して「等」とおっしゃっているのか。 我々は今もう既に3つこういう規制があるというふうに理解をしておりますけ れども、これを何とか一本にまとめていただけないだろうか。今、齋藤委員がお っしゃったように、見てもわからないんですね。見てもわからないものを制度化 していかがなものなのかというふうな気がいたします。  「せっかく」という表現を使わせていただきますが、せっかく3つの制度が今、 屋上屋を重ねて、その上にまた屋根があるわけですが、それをまとめていただく 努力をしていただけないかと思います。それが、この文章の2つであります。  それで、残り2つはいろいろ介護の現場のことでお話がありました。雇用の問 題がありました。それで、我々は今、文章をまとめておりますので、年明けくら いに数字も入れて、ここがいいのか、介護給付費分科会がいいのかわかりません けれども、我々の見解を表明させていただきたい。  それからもう一つは、コムスン問題に関しまして我々はこの5月、6月の段階 で見解をまとめております。内部で大分推敲を重ねてきましたけれども、そのこ とに関しても協会とマスコミ、あるいは専門誌の方々と記者懇談会というものを つくっておりますので、そこでの教材といいますか、我々が勉強しようとするこ とも、いろいろな意味の御意見を賜りながらコムスン問題というふうなこともま とめておりますので、もしよろしければ提出をさせていただければと思っており ます。以上、4点であります。 ○貝塚部会長 ただいまの点について、事務局の方で何かお答えいただけますか。 ○古都振興課長 最初のところでございますが、確かに裁量に余りにもばらつき があってはならないというのはこの部会でも出されております。広域的な事業者 にどのように対処するかということはここにも書いてございますが、国、都道府 県、市町村がまず情報共有をして認識を一致させてからどうするかということを したらどうかと言われておりますので、裁量と言ってもちゃんと根拠に基づいた 対応ができるように国、都道府県、市町村で協力してやっていくということでご ざいます。  それから居住系サービスですが、これは最初に少し絵でお示ししたときに、訪 問系と通所系と居住系が今、一緒のくくりになっているという趣旨がございまし たので、そこについて少し整理が必要ではないかという御意見があったというこ とでございますので、御自宅に伺う場合のサービスと、住まわれている場でのサ ービスは違うのではないでしょうかということですから、それはそういう整理で はないかと思います。  それから「等」ですが、ここはいろいろな形での透明性の議論等がございまし たのでいろいろな手法がある。その議論の中で、これが法的な制度なのか、ある いは第三者評価制度のように自主的な評価なのかとか、そういうことを特に細か く規定しているわけではございませんし、更にアンケート調査をされたりいろい ろなことがございますから、ちょっと制度の取組みも入っていますけれども、自 主的な取組みも含めて「等」にはいろいろあるのではないかと認識しております。 ○川合委員 今の御答弁は本当にありがたいと思っております。そのように国と 都道府県、地方自治体の情報交換がスムーズにいけるように、これは事業者側の ひがみかもわかりませんけれども、各地方自治体の担当者の好みによって、これ をしないと更新申請を拒否しますよというようなことを一言でも言われたら 我々はびびり上がりますので、その点の御配慮をよろしくお願いしたいと思いま す。  それから、情報公開ということは確かに情報発信をして説得をして説明をして 納得をしていただいて初めて情報共有ができるんですけれども、情報発信が多過 ぎてもちょっと混乱するのではなかろうかという危惧は持っております。その点 の整理の方もよろしくお願いしたいと思います。 ○貝塚部会長 では、木村委員どうぞ。 ○木村委員 資料5の5ページで今、川合委員がお話をされた後段の方に「介護 支援専門員など専門職や同業者間の総合評価的な取組を推進する必要がある」と ありますけれども、具体的にどういうことをイメージされているのかを教えてい ただきたいと思います。 ○貝塚部会長 今の点、いかがですか。 ○古都振興課長 これもいろいろ御発言あるいはヒアリングのあった内容等を ある程度整理して短い言葉で書いてありますので、全部細かく説明しているわけ ではないということでございまして、やはり法令遵守の自主的な取組みを促すと いう観点から考えますと、あらゆる専門職のところで既におやりになっているこ とはたくさんあるわけでございますので、そういったことで質を高めていただく という議論が前段でございますし、後段の方はピアレビューと申しましょうか、 事業者間でいろいろ総合評価をやる。特に事業者団体の中でもそういうことをお やりになっている組織もございますので、そういった趣旨を例示として挙げさせ ていただいているところでございます。ここはまさに自主的な取組みということ でございますので、それぞれの専門職なり事業者の方々が工夫をして取り組んで いただくことが肝要ではないかと考えております。 ○木村委員 わかりました。介護支援専門員同士がその地域で大体地域の状態と いうのはわかっていますので、相互にそういうことでやっていくという形にした いと思います。  1つお願いでありますが、今回のこの有識者会議の報告書というのはあくまで も事業所の運営に関する指定とか、取消しとか、そういうところに着眼点がある んだと思いますが、4ページの(3)の「きめ細かな監査指導の実施」の一番上 の丸のところで、先ほど前段で説明していただいた介護保険制度そのものが自立 支援とか利用者本位ということを進めるんだということで、一言で言えばケアマ ネジメントを徹底するということだと思うんです。ですから、一番上の丸にあり ます「事業者の不正行為を未然に防止し」の辺りに、すべての事業所がケアマネ ジメントの徹底をきちんとやって、必要な人に必要なサービスが提供されている ということをどんどん進めていただかないと、この指定と取消しというよりも御 利用者さん一人ひとりが守られるケアマネジメントの徹底ということが最大に 必要なことだと思うんです。そこが進めば、客観的な目がどんどん入ってきます ので、不正というのは逆につままれてくるかと思いますので、法律改正のところ には直接的に関係はないかもしれませんが、利用者を守るということから言うと ケアマネジメントの徹底ということはこの部会の議論の中にも置いていただき たいと思います。以上です。 ○貝塚部会長 勝田委員、何かございますか。ちょっと時間が超過しております ので、なるべく手短にお願いいたします。 ○勝田委員 やはりこのような不正が起こる背景の一つには、事業所運営の経済 的な困難があると思います。その中で、この有識者会議報告の5ページの一番下 の例えば介護サービスの情報公表制度とか第三者評価制度に関わって皆さんの 自主的な取組みを促すということです。  多分、別の機会にこのことについてはしっかり論議もしたいと思うんですけれ ども、たまたま私どもの知り合いで情報開示に関わる費用なんですが、たくさん の事業をなさっているところなんですけれども、年間300万円かかる。これは毎 年かかるんだということと、そこの事業所の全体の利益がそれと同額ぐらいとい うことなんです。それで、現在私自身も評価調査員として現場に出ております。 今日はこれを論議する場ではありませんが、今のこの情報開示の在り方だけでは 利用者としてはほとんど参考にならないし、実際問題、選択の余地がないという 現実もあります。そういうことも踏まえて、今日ではないと思いますけれども、 今後是非やっていただきたいと思います。  それから、これからの部会の進め方についてひとつお願いがあります。今日は もう時間が迫っているんですけれども、やはりしっかり委員の意見交換をするた めには最低2時間から3時間1回に取っていただくようなことをお願いしたい ということと、今回であれば次回の議題について、この次はこんなことを話し合 うんだということ、そして資料もなるべく早く私たちの手元に届いて意見をしっ かりまとめてここに参加できるように御配慮をお願いしたいと思います。 ○貝塚部会長 ほかに御意見ございますか。  では、石川委員、簡単にお願いいたします。 ○小島参考人 本日、稲城市長の代理で出席させていただいておりますけれども、 市長からの意見をいただいてきておりますので報告させていただきたいと思い ます。  第1点目としまして、事業者の本部等への保険者等の立入調査権限の強化につ いてでございます。まず不正行為の抑制対策に力を入れるべきである。このため に、不正行為が組織的との疑いがあった場合は、まず保険者は指定権限者である 都道府県へ通知し、都道府県は保険者からの通報に基づき速やかな立入調査を実 施し、その結果を保険者へ報告することを義務付けるといった新たな取組みを創 設すべきである。もちろん保険者が自ら立入り調査できるところは直接行ってよ い。保険者機能の強化の観点からも、保険者に対する都道府県の協力の在り方も 合わせて検討すべきである。  第2点目ですけれども、いわゆる連座制の骨組みの堅持についてでございます。 社会保障制度への国民からの信頼性を維持することは最も重要なことである。1 点目の対策を経た上での最終手段として連座制を位置付けることが必要である。 基本姿勢として、介護事業者に対するいわゆる連座制を伴った不正抑止のための 仕組みは堅持すべきである。以上でございます。 ○貝塚部会長 ほかによろしいでしょうか。  それでは、とりあえず本日の部会はこれで終了させていただきます。次回以降 の予定について総務課長の方からお願いします。 ○依田総務課長 初めに、本日の会議につきましては年末の大変お忙しい日程の 中で委員の御都合のつくぎりぎりのところで設定させていただきました関係で、 十分な時間がとれずに大変失礼いたしました。また、資料等につきましても次回 以降、事前に十分早くお送りして、また御説明なりさせていただきたいと思って おりますので、よろしくお願いいたしたいと思っております。  次回の部会でございますけれども、来年1月17日木曜日10時からを予定いた しております。議題でございますけれども、本日委員の皆様からいただきました 御意見を踏まえまして、事務局の方で論点の整理案を作成いたしまして、これに ついて御議論いただきたいと考えております。  なお、場所につきましては追って事務局より御連絡いたしますので、よろしく お願いいたします。 ○貝塚部会長 それでは、今日の会合はこれで終わらせていただきます。次回は、 先ほど言われましたように今日の議論を基礎にした論点整理で、それでまた御意 見があればそのときにいろいろお伺いすることにいたします。  それでは、今日の部会を終わりたいと思います。どうもありがとうございまし た。 【照会先】  厚生労働省老健局総務課総務係 東(あずま)   TEL 03−5253−1111(内線3913)   FAX 03−3503−2740 1