07/12/14 第36回 独立行政法人評価委員会 医療・福祉部会 議事録 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第36回)          日時 平成19年12月14日(金)          9:30〜          場所 中央労働委員会7階講堂 ○部会長 おはようございます。ただいまから第36回独立行政法人評価委員会医療・福 祉部会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、師走で、本当に走 り回っていると思います。お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。 本日は真野委員からご欠席というご連絡をいただいております。  それでは初めに事務局から本日の議事について簡単にご説明願います。 ○政策評価官室長補佐 議事のご説明に先立ちまして、本年8月24日付け、9月1日付け で、事務局の人事異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。杉浦政策評 価審議官でございます。  ○政策評価審議官 杉浦でございます。どうぞよろしくお願いします。 ○政策評価官室長補佐 成田政策評価官でございます。 ○政策評価官 成田でございます。どうぞよろしくお願いします。 ○政策評価官室長補佐 それでは本日ご審議いただく議題について、順次ご説明をさせ ていただきます。独立行政法人の組織・業務全般の見直し案につきまして、医薬品医療 機器総合機構並びに、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園についてご審議を賜りた いと思います。本年8月の部会におきまして、医薬品医療機器総合機構及び国立重度知 的障害者総合施設のぞみの園につきまして、「組織・業務の見直し当初案」を兼ねます 「独立行政法人整理合理化案」をご審議いただいたところでございます。改めまして、 医療・福祉部会において見直しの対象となっております2法人についてご説明させてい ただきたいと思います。  医薬品医療機器総合機構につきましては、中期目標期間は来年度までとなっておりま すが、「経済財政改革の基本方針2007」、いわゆる骨太の方針におきまして、1年前倒 しで見直すこととされた法人ですので、今般見直し当初案についてご審議をいただいた ものでございます。  国立重度知的障害者総合施設のぞみの園につきましては、今年度が中期目標期間の最 終年度になっておりますことから、見直し当初案についてご審議をいただいたところで ございます。  本年8月にご審議いただきましたこれらの「見直し当初案」を8月末に総務省等に提 出し、9月以降実施されました政策評価・独立行政法人評価委員会、いわゆる政・独委 でございますが、そちらでのヒアリングや、内閣総理大臣を本部長といたします内閣の 行政改革推進本部に設置されております行政減量・効率化有識者会議等のヒアリングを 重ねた上で、今般12月11日に政・独委より、資料1−1のとおり、第1次の「独立行政 法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」が発出されたところ でございます。この「勧告の方向性」を踏まえ、厚生労働大臣は「見直し当初案」を改 めて精査・検討し、「組織・業務全般の見直し案」として、行政改革推進本部に提出す ることとなります。その際、「見直し当初案」と同様に、厚生労働大臣は「見直し案」 につきまして本独立行政法人評価委員会の意見を聴くこととなっております。この「勧 告の方向性」を踏まえた「見直し案」をいま申し上げた2法人について、本日の資料 1-2及び資料1-3のとおり取りまとめたところでございますので、委員の皆様方より、 これに対するご意見をいただきたいと考えております。なお、「見直し案」につきまし ては今後、財務省等関係機関との協議が必要なため、今後変更があり得ることを申し添 えます。  当省所管の独立行政法人といたしましては、他に労働部会より評価をお願いしており ます勤労者退職金共済機構、高齢・障害者雇用支援機構についても同様に見直しを進め ております。なお、国立病院部会で評価をお願いしております国立病院機構、労働部会 で評価をお願いしております労働者健康福祉機構につきましては、12月11日の第1次の 「勧告の方向性」、こちらにおいて今後、政・独委において引き続き検討の上、別途通 知するとされているところでございまして、本日までに勧告の方向性が政・独委から当 省評価委員会宛て、発出がされておりません。従いまして見直し案の作成がまだ行われ ていないことをご報告させていただきたいと思います。  なお、ここで「独立行政法人整理合理化案」に基づき、政府において策定される予定 の「独立行政法人整理合理化計画」についてご連絡をさせていただきます。8月の総会 でもご説明させていただいたとおり、「基本方針2007」において、101の全独立行政法 人について、原点に立ち返った見直しを行い、本年内を目途とした、独立行政法人整理 合理化計画の策定が決定されているところでございます。独立行政法人整理合理化計画 につきましては、参考資料の1、「独立行政法人整理合理化計画の策定に関する指摘事 項」のとおり、11月27日付で、行政減量・効率化有識者会議において、とりまとめが行 われ、今後閣議決定される予定でございます。委員の皆様方におかれましては、本日は 整理合理化計画をお示しすることはできませんが、決定されましたら、事務局より郵送 させていただきたいと考えています。  改めまして今年度の独立行政法人の見直しの経緯につきましては、参考資料の1-2に 「平成19年度独立行政法人の見直しの経緯」にまとめさせていただいているところでご ざいます。  また見直し案につきましては、本部会を含め、各部会からいただいたご意見を踏まえ まして、本日午後5時から開催されます総会におきまして、決定いただくこととさせて いただきます。  続きまして、議事の(3)の(1)です。福祉医療機構の次期中期目標(案)についてご 審議いただきたいと思います。福祉医療機構については、平成19年9月、心身障害者扶 養保険検討会におきまして、心身障害者扶養保険制度の見直しが行われたところでござ いますが、地方公共団体等に対して、同制度の見直しに伴う、国の財政支援が次期中期 目標にどのように反映されるのかを、早期に提出する必要があるため、資料2のとお り、扶養保険事業に係る部分を抜き出して、前倒しにして、ご審議を賜りたいと考えた ところでございます。なお、福祉医療機構の組織・業務見直し案については、政府全体 の政策金融改革との関係から、中期目標期間最終年度よりも前倒しで実施することとさ れておりまして、昨年度の8月及び12月の部会・総会におきまして、ご審議をいただい ております。従いまして、今回は組織・業務見直しの対象となっておりませんことをご 報告いたします。また、本日ご審議いただきます、一部前倒しの部分も含めました全体 の中期目標・中期計画につきましては、本年度3月末までの間にご審議を賜りたいと考 えております。  議事の(3)の(2)でございますが、福祉医療機構の平成19年度債券発行及び平成19年 度第3・四半期長期借入金についてのご報告をさせていただきたいと思います。本内容 につきましては、これまでも当部会におきまして、ご報告をさせていただいております が、福祉医療機構の債券発行と長期借入金につきましては、資料3を作成しております ので、ご報告をいたしたいと思います。本日ご審議いただきたい議題は以上でございま す。  ここで、当初、本部会にご報告案件として議事に予定しておりました、「平成18年度 における厚生労働省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果等についての意 見について」、これは「政・独委からの2次意見」と申しておりますが、それについて 若干ご説明をさせていただきたいと思います。 政・独委の2次意見ですが、平成19年 8月までに皆様に取りまとめていただきました、当省所管の独立行政法人に係ります評 価に対しまして、政・独委において、例年ですと11月末頃までに2次的な評価がされま して、その後、政・独委の当該評価結果が「政・独委2次意見」として当省の評価委員 会あて通知されるものでございます。本年につきましては、現在までのところ、政・独 委より当省評価委員会あて2次意見が通知されておりません。従いまして、本日、内容 をご説明することができないため、政・独委から通知され次第、委員の皆様方には郵送 等によりご報告させていただきたいと考えています。なお、本日の審議の進め方につき ましては、各法人ごとに分けて進めさせていただきますので、これに伴い審議の途中で 事務局の入替えを行いますが、何とぞご容赦くださいますようお願いいたします。 ○部会長 ありがとうございました。それでは審議に入りたいと思います。冒頭事務局 よりご説明がありましたとおり、本年8月の部会において、医薬品医療機器総合機構並 びに国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の「見直し当初案」につきましてご審議い ただいたところです。これから事務局より、個別法人毎に見直しの内容を説明していた だくことといたします。  まず議題(1)の医薬品医療機器総合機構の組織・業務全般の見直し案についてご審 議いただきます。それぞれ法人から20分程度でご説明をお願いしたいと思います。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○医薬食品局総務課長 医薬食品局の総務課長でございます。それではご説明をさせて いただきます。お手元に資料1-2-1と書いてありますが、独立行政法人医薬品医療機器 総合機構の見直し案があります。資料は3点になっておりまして、1つ目は、見直し案 の骨子、2つ目は資料1-2-2ですが、今回の「勧告の方向性」と「見直し案」の対比 表、3つ目が1-2-3で、見直し案そのものでございます。本日は時間の関係もあります ので、見直し案の骨子でポイントを中心にご説明したいと思います。  まず、医薬品医療機器総合機構の現状についてです。この辺りは、当初の見直し案の 際に既にご説明をしておりますので、割愛をします。3頁目、機構の組織・業務の見直 しに係る基本的考え方です。この度の勧告の方向性を踏まえまして、次期中期計画期間 において、事務及び事業の見直しを図るというものです。内容的には3点あります。1 つは審査関連業務ということですが、ドラッグ・ラグ2.5年を平成23年度に解消すると いう目標に向け、審査の迅速化・質の向上に係る年度別の達成目標及び工程表を作成 し、進捗状況について評価、検証等を行い、達成状況を踏まえて、必要な見直しを行う ということです。  医療機器ですが、ドラッグ・ラグに対応する言い方で、デバイス・ラグと言っており ます。デバイス・ラグの現状把握、原因分析を行うとともに、その結果を踏まえ、必要 な措置を講じ、審査の迅速化を図るということです。  大きな2つ目です。安全対策業務ということで、一層の効率的かつ着実な実施を図る とともに、各事業の成果をより的確に把握できる指標を設定する。  最後ですが、業務全般ということで、効果的かつ効率的な業務運営を徹底するという ものです。全体を通じて申し上げれば、私どもの当初案を、ほぼお認めいただいた形 の、どちらかと言いますと、サポートしていただける勧告をいただいているのではない かというように考えております。  次から各論です。ポイントですが、まず1つ目。ドラッグ・ラグの解消へ向けた新医 薬品審査業務の見直しということです。新医薬品審査については、ドラッグ・ラグ2.5 年を平成23年度に解消するとの目標に向け、審査の迅速化・質の向上に係る年度別の達 成目標及び工程表を作成し、毎年度その進捗状況について評価・検証等を行い、達成状 況を踏まえて必要な見直しを行うことというものです。これは前回当初案の際にもご説 明いたしましたけれども、審査員の倍増ということで、今年度から3カ年で、新医薬品 については236人の審査員の増員ということです。そういったことが体制の問題として あるわけです。  2つ目ですが、アクション・プランについては、次期中期目標期間中に到来するドラ ッグ・ラグ解消の目標年度終了後、速やかにその成果の検証を行うこととするというこ とです。  5頁目ですが、デバイス・ラグです。デバイス・ラグの解消へ向けた新医療機器審査 業務の見直しということで、新医療機器審査については、デバイス・ラグの現状把握、 原因分析を行うとともに、その結果を踏まえて、審査プロセスの標準化、マネジメント の強化及び業務の効率化等の必要な措置を講じ、審査の迅速化を図るということです。  3番目ですが、安全対策業務です。安全対策業務については、一層の効率的かつ着実 な実施を図るとともに、業務の実施状況や成果を国民に対して分かりやすく説明する観 点から、次期中期目標等において、各事業の成果をより的確に把握できる指標を設定す ることとしております。  6頁目です。全般的な効率化の問題です。まず1つ目は各業務について、効果的かつ 効率的な業務運営を徹底する。もう1つ、次期中期目標期間中に、事務所については現 在霞が関にありますが、より効果的かつ効率的な業務運営の確保の観点から、他の場所 への移転を含めた検討を行い、必要な措置を講ずるということです。  最後に、その他の業務全般に関する見直しということで、一般管理費、事業費に関 し、効率化目標を設定し、効率化に努めるということです。もう少し具体的に申し上げ ますと、7頁にありますが、給与水準と随意契約について、多少詳しく書いてありま す。まず給与水準の適正化ということですが、総人件費について、平成18年度からの5 年間で5%以上を基本とする削減について、引き続き着実に実施するということと、人件 費改革の取組を23年度まで継続するということです。  対国家公務員指数121.1となっている給与水準の検証を行う。高いのは理由があるわ けですけれども、これを維持する合理的理由がない場合には、必要な措置を講ずること により、給与水準の適正化に速やかに取り組むとともに、その検証結果や取組状況を公 表するとしています。  最後ですが、随意契約の見直しということで、契約については原則として一般競争入 札等によるものとし、以下の取組により、随意契約の適正化を推進する。随意契約見直 し計画というもので、その取組状況をそれに基づいて行って、結果を公表するというこ とです。2つ目ですけれども、一般競争入札等により契約を行う場合であっても、特に 企画競争や、公募を行う場合には、競争性、透明性が十分確保される方法により実施す る。それから、監事及び会計監査人の監査において、入札・契約の適正な実施につい て、徹底的なチェックを行うよう、これを要請するというものです。  以上が私どもの勧告の方向性を踏まえた新しい見直し案ということです。どうぞよろ しくお願いいたします。 ○部会長 ただいまご説明がありました、医薬品医療機器総合機構の見直し案ですが、 ご質問並びにご意見がございましたらお願いいたします。 ○浅野委員 かなりこのドラッグ・ラグの2.5年を解消するということで、重点的なこ とが行われるということです。まさにその辺のニーズが非常に高いというふうに感じて おります。具体的にこの中でどのような方針が取られるかということが書かれていませ んので、私のほうでご意見としてこういうことを検討していただけたらいいのではない かなと。既に検討されていることもあるかと思います。  まず1点は、テーラーメイド型の医療が進んできていて、患者さんの特性に合わせて 医薬品、医療機器をアレンジした形で出てくると。従来のように同じようなスペックで ないものが出てきたときに、例えば、性状が違うということで、個々に承認審査を取ら なければいけない。そういったときに現行法ですと、非常に煩雑なことになる可能性も あるのではないかと思います。そんなときにテーラーメイド型を迅速に患者さんに提供 するのにはどうしたらいいかというようなことも、是非検討していただきたいというの が1点。  現在、既に2.5年のラグがあるということなので、海外にある既存製品をどんどん入 れていこうという発想以外にも、現在ある最新の製品を、先にやる。いわゆる先入れ先 出しみたいなことが可能かどうかということ。それから達成の工程表を作られるという ことなので、日本の中で海外の製品が利用できないことで、いちばん困っているよう な、優先度の高いものとか、医療機関ニーズでそういう製品のニーズが非常に高いも の、あるいは患者さんの側からニーズが高いもの、そんな重点リストのようなものを作 ることができるのかどうか。そのようなことをお考えいただければいいのかなというこ とです。雑多な意見なのですが、そのようなことを考えております。 ○部会長 浅野委員からご意見とご質問を交えてのご意見がございましたけれども、担 当課、いかがでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 まず第1点目でございますが、今後テーラーメイド 医療という形で、特に遺伝子解析をして、いわゆるバイオロジックスを応用した、新し い技術を応用した製品がどんどんできると思います。機構の中でも、発足時に従来の医 薬品の審査と少し分けまして、バイオ系といいますか、生物系の審査部を作りました。 従来は1部だったのですけれども、今年はそれを2部にしまして、体制の強化を図っ て、新しい今後のバイオ系統の製品にも対応できる体制をいま整備しております。  2番目は、確かに後追いでタイム・ラグ、ドラッグ・ラグを縮めるだけではなくて、 やはり最終的には欧米と同時並行で開発、申請、承認していくということが、我々の最 終ゴールでありますので、現在もメーカーといろいろお話する機会には、是非いま国際 共同治験というのが主流になってきていますので、そのファースト・ステージから、是 非日本を組み込んでほしいという要請をしています。その段階から日本が入っていかな いと、最終的にドラッグ・ラグを完全に解消することができないので、それを目指して 取り組んでいきたいと思っています。  3番目は、確かに高い目標を掲げた新プランですので、それを着実に実行していくと いうことになりますと、工程表といいますか、マイル・ストーンを着実に実行し、それ を検証しながら進めていくということが必要です。これは機構だけでできるものではな くて、やはり申請者側といいますか、メーカーと協力しながら、共同作業として進めて いかなければいけないということで、タスクフォースという形で、常時実務的な問題 を、頻繁にミーティングをしながら解決を図って進めていくというスタイルで進めてお ります。  それから、医療的に非常に重要なものは早く日本に入れるということにつきまして は、1つは厚労省の未承認薬の検討会でそういうものをリストアップして、これは早く 日本に入れたほうがいいというものについては、優先審査、迅速審査という形で、早く 審査してマーケットへ出すという形を取っていますので、今後も非常に医療の有用性の 高いものについては、優先審査なりのルートで、早く出していくという形で対応したい と思っています。 ○浅野委員 どうもありがとうございました。大変よくわかりました。 ○宗林委員 次のところに書いてありますデバイス・ラグの解消のところですけれど も、これは具体的になかなか困難であると、先般お話を伺っておりましたが、見直しを されるということで、人員であるとか、ここに書いてある中で、少し構造を変えるとい うこと以外に、何か対策は現在あるのでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技術総括・安全担当) デバイス・ラグの原因分析を 今後しますけれども、現在感じておりますのは、審査の過程でも、申請者側が要してい る期間がかなりあるということで、やはり開発過程において、もう少しこちらとの治験 相談といいますか、対面助言相談といったものを充実することによって、より申請者側 がスムーズに申請をし、承認するといったような体制、仕組みが必要ではなかろうか と。これまでも、対面助言相談を進めておりますけれども、そういったものを拡充して いく必要があると、このように感じております。 ○部会長 よろしいでしょうか。予定をしております時間がまだありますので、ご意見 並びにご質問がございましたらどうぞ。 ○石井委員 すみません、教えていただきたいのですが、非常に基本的なことですが、 医薬品の審査をして承認をいたしますと、薬事法で承認をしたというような格好で薬と して国が薬効等について、大丈夫ですよというような形になるのですか。それで今度は それが保険の適用になるかどうかは全く別なことなのでしょうか。 ○医薬食品局審査管理課長 薬事法上におきましては、医薬品がまず効果がなくてはな らない。その上で効果と安全性を比較考量した上で、有用性がなくてはならないという のが、薬事法上の考え方です。従いまして、それを審査をして承認をすることになりま す。医療保険上におきましては、例えば、予防に使うワクチンとか、即ち医療保険にそ もそも馴染まないものがございます。そういうものは当然のことながら、医療保険の中 で使われないわけですが、基本的にはそれ以外のもの、即ち予防に当たるとか、そうい うものを除いて、承認したものは、医療保険の中に取り込まれていくと考えておりま す。 ○石井委員 具体的に言うと何品目ですか。 ○医薬食品局審査管理課長 例えば、昨年の実績でございますと、薬事法上承認したも のが、件数にしてたしか70件程度だと思います。そのうちの9割5分以上は、医療保険 の中で採用されております。採用されていないのは、ワクチンだけではなかったかと思 います。 ○石井委員 現状の全体で見ると、何万品目ですか。 ○医薬食品局審査管理課長 医療保険の中に、薬価基準がありまして、薬価基準に収載 されているものが、約1万5,000程度でございます。 ○石井委員 承認されているワクチン等も含めたものというのはどのぐらいあるのです か。 ○医薬食品局審査管理課長 承認されておりますのは、昭和36年からの実績でございま すので、実際に製造等がされていなくても、承認が残っているというようなものもござ いまして、そういう面で申し上げますと、いま日本で流通している医薬品、その中には 薬局、薬店で売られます、いわゆるOTCと呼んでおりますけれども、医療機関で用いる ことを前提に流通している医薬品の9割5分、ほとんどは医療保険の中で使えるという ような状況にあると思っております。その例外なのが、ワクチンとか、予防に使われる ものというふうに考えています。 ○石井委員 すみません。評価にならない議論ですが、時間があるのでちょっと教えて いただきたいのですが、テーラーメイドの医療の分野において、先ほどのような拡大が どんどん起きていったときに、それはまた全部保険で適用するというのは基本的な考え 方なのですか、この国は。 ○医薬食品局審査管理課長 テーラーメイド医療は、まだ確たる定義がございませんか ら、そういう意味で申し上げますと、ご質問と答えが一致しないのではなかろうかと思 うわけですが、典型的に実用化したテーラーメイド医療で申し上げますと、イリノテカ ンという抗癌剤がございます。その抗癌剤を飲みますと、肝臓で分解されて、少しずつ 排泄されていくわけです。その肝臓に、ある特殊な酵素がある方とない方によって、そ のイリノテカンの血中濃度が酵素がないと、代謝されませんから高くなる。それによっ て副作用が出やすい。酵素があれば低くなる。もっと飲まないと効果が出ないというよ うなものがございまして、この酵素の有り無しというのを、遺伝子レベルで調べるよう な検査というのが、実用化しております。間もなく、おそらく承認することができると 考えています。こういうものですと、当然のことながら医療の一環として、その薬を用 いるために、その人に合った量を用いるということで、医療保険の中に取り込まれてい くだろうと考えております。  また一方において、最近承認しました人工皮膚、表皮でございますが、これも患者さ んから表皮の部分を一部取ってきて、ここで培養をして、その患者さんに戻すと。重症 の患者さんで、火傷がひどくて、緊急に表皮でおおわないと、体内成分が蒸発してお亡 くなりになられる危険性も高いというようなもの。これも一種のテーラーメイド医療な のだろうと思います。そういうものについても、医療保険の中で取り込まれていますけ れども、今後いろいろな雑誌あるいは学会等で論議されているテーラーメイド医療の中 には、医療保険の対象になる、ならないという微妙なものも出てくるのだろうと思いま す。例えば、健康保険に関わる分野ですとか、そういうものもあるようでございますか ら、それはそれでいろいろ難しい論議があるのだろうと思います。 ○石井委員 この機構の役割は将来そういう形で、非常に個々の個体によって適用が異 なるようなタイプの薬がどんどん増えていった場合でも、そのすべての領域について安 全性を確保するための役割を担う、こういうことなのですか。 ○医薬食品局審査管理課長 そのとおりでございます。 ○部会長代理 この機構は各製薬企業等からの拠出金等で成り立っていると思うのです けれども、移転を含めたことを検討するというようなことが6頁にあります。そういう ことに費用が非常にかさむ話になってくると思うのですけれども、そのようなことが拠 出金等にかかってくるとか、そういうようなことはないのでしょうか。結局最終的には 医薬品の値段が高くなっていくとか、そのようなことにもつながっていくのではないか と思うのですが、その辺はどうですか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 今回の中にも、事務所問題が1つ付けてあります が、先ほどありましたように、240名近く職員が増えますので、今の所ではスペースが それでは足りませんので、今の所が空室ができてそこで間に合えばいいのですが、それ ができない場合はどこかへ移転をしなければいけないということで、いま検討事項とし て挙がっているわけです。もちろん我々は財政的にどれぐらいのものを支出してそれに 対応するかというのは、当然中でも検討しております。特に最近家賃が上がってきてお りますので、今後のランニングコストを考えると、適正な家賃の事務所を捜すという条 件も出てきますので、そういうあらゆる条件を考慮しながらやっていくということでご ざいます。  財政的には確かに9割近く、審査の場合は手数料、安全については拠出金という形 で、メーカーの方にはご負担をかけないようにやっていきますけれども、財政収支は毎 年度公開しております。手数料等につきましては、財政状況を見ながら、必要性があれ ばまたメーカーの方々と話合いをして、改定が必要かどうかということも、合意の上で やっていきますので、そこはメーカーといろいろな議論を重ねながらやるという形を取 っています。 ○大島委員 ドラッグ・ラグの2.5年を平成23年度に解消するということでございます が、8月の段階で236人の審査員の増加・増員でも、非常に難しいというお話を伺いま したが、3年間で解消するという目標はどのぐらい達成できる計画なのかということが 少しわかりにくいので、その辺。  それからそのときも優先順位の話で、優先順位をどうするかというお話はお決めにな っていないというか、くじのような形でというようなお話も伺ったのですが、その辺が どうなっているかということ。  それからデバイス・ラグのほうは、具体的な解消の目標ということが書いてありませ んので、その辺がこれだけですと、迅速化を図るというだけではなかなか納得できない ような気がしますので、その辺のご説明をお願いしたいと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 ドラッグ・ラグの解消プランは、一応5カ年計画に なっておりますので、今年度からスタートします。23年度に一応解消するという目標に なっています。そのために、今年度から3年間で人員を236名増員するということで、 今、リクルートをやって、どんどん募集をかけて、マンパワーを集めているという段階 であります。ただ、5カ年の道行きを言いますと、大量のスタッフを採用してもすぐ即 戦力というわけにはいきませんので、いろいろな育成・研修をして一人前に育ててパフ ォーマンスを出していくという形になります。計画の前半は、パフォーマンスを上げる というのは、なかなか難しいかと思いますが、戦力が整ってくれば、後半には、かなり パフォーマンスを上げていくということが可能かなと思いますので、5年後の着地点に おいては、何とか2.5年のドラッグ・ラグを解消するという目標を達成したいというこ とで、今取り組んでいます。  5カ年の各年度ごとの工程表は先ほど言いましたように、マイル・ストーンという形 で各年度にどういうことを取り組むかということを明示しておりますので、そういうも のを検証しながら着実に進めていけば、何とか目標を達成できるのではないかなと思っ ています。  今優先順位やくじの話が出ましたが、おそらくこれは治験相談のことだろうと思いま すけれども、現在残念ながら、需給ギャップがあって、すべての相談申し込みに対応で きない、キャパシティが足りない状況にありますので、優先順位を付けて、優先度の高 いものから相談に応ずるという形を取っています。それも今年度でそういう形をやめま して、来年度からは、すべての申込書に答えるという形の体制にもっていきたいと思っ ておりますので、そういう点も解決していきたいと思います。  デバイス・ラグのほうですが、ドラッグ・ラグはきちんと新しいプランが作られて、 目標も具体的に設定されていますけれども、まだデバイス・ラグについては、そういう 形の計画というのは明示されていません。また次の第2期の中期計画において、これは 医療機器に限らず、我々の業務全般について、次の5年間でどういう目標を立ててどう いう業務を進めるのかというのを、これから具体的に決めていかなければいけませんの で、そういった中で、デバイス・ラグについても第2期の5年間でどういう目標を立 て、どういうふうに進めるのかということを、これから関係方面と議論しながら、進め ていくということですので、具体的にどういう目標を掲げてやるのかという辺りが明ら かになってくるだろうと思います。現在のところは、抽象的な表現に止まっているとい うことであります。 ○大島委員 医療は日進月歩でございますので、デバイス・ラグのほうが、次の計画と いうのは大変遅いように思われるのですが、この年度で、今の段階で、もう少し具体的 に目標なり方法を提示するということができなかったのでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 やはりデバイス・ラグについても、なかなか一気に 解消できないので、おそらく5年ぐらいのタームの計画を作って、計画的に取り組まな いといけないのですが、その場合には基本的にどういうシステム、やり方を取るのかと いうことと、当然マンパワーという体制の問題がありますし、仮にそういうものを重視 するとすればそれに対する財源、そういうものすべてに関連しますので、トータルに検 討して整理していかないと、一気にデバイス・ラグを解消するということは難しいと思 いますので、その辺りはこれから関係方面と十分詰めた議論をして、整理して作ってい くという形になります。今のところでは、第2期が21年度から始まりますので、そうい う話合いがこれから始まりますと、1年弱ぐらいかかりますので、タイミング的には21 年度からスタートの第2期計画の中でどう盛り込むかというスケジュールになっていく と思います。 ○医薬品食品局総務課長 私のほうから補足をいたしますと、医薬品については、2.5 年のドラッグ・ラグを解消するということで、具体的な計画があるわけでございます が、これは、経緯を申し上げますと、18年に政府の総合科学技術会議というところか ら、新薬については承認を急げ、それに必要な人員の確保をしろと。こういう答申がご ざいまして、急遽新しい計画をつくって、それに沿って19年度から人も増やし、審査も 急いでいくということになっています。  デバイスのほうは、実は今回も私どもの当初案の中では、一連の業務の改善を行うと いうことと合わせて、業務体制の見直しということで、手数料等を財源とした必要な要 員確保を書いています。今回の政府全体の整理合理化計画の中では、人の増員は、率直 に申し上げれば実現し難いということですので、その中のやり繰りでデバイス・ラグの 解消にも取り組んでいかざるを得ないということです。今現在はそういうことです。ま た、今理事長からも申し上げましたように、21年度からの事業計画を作るということで ございますから、もう一度そのときには増員問題について、可能であれば何とかしたい なというところをもっていますから、引き続き当部会のご理解とご支援をちょうだいし たいと思っています。いずれにいたしましても、政府全体としては非常に厳しい人員の 抑制がかかっておりまして、その中でどうやり繰りをしていくのかということで、苦慮 しているところでございます。 ○部会長 いろいろご意見いただきました。これもこの機構に対する国民の関心が高こ うございますし、私ども委員個人個人としましても、健康増進並びに病気をどのように 治していくかということで、とても関心が高いです。安全対策業務の着実な実施につい てご意見がありませんでしたが、これも国民の信頼を得るために、着実に実施していた だく指標も、次のときにご披露いただくということですので、期待を申し上げたいと思 っています。概ね今の見直し案、抽象度が高いというご意見もございましたけれども、 着実に実施していただくようなことですので、概ねこの方向でよろしいでしょうか。                (異議なし) ○部会長 それでは基本的にこれを了承するということでお願いをしたいと思います。 ありがとうございました。  最後に法人理事長よりコメントをいただきたいと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 本日はどうもありがとうございました。当機構は平 成16年4月の発足以来、より有効でより安全な医薬品・医療機器をより早く国民の皆さ んに提供するという使命を果たすべく、審査・安全対策業務の充実・強化に努めてまい りました。なお、人員体制は脆弱であり、今後とも審査・安全対策業務の増加や、専門 性の高度化に対応するための体制整備が、より一層求められると思います。  特に近年、医薬品医療機器のグローバル開発や国際共同治験が進展していく中で、欧 米と比較して、我が国の対応の遅れが今も話題になりましたドラッグ・ラグ、デバイス ・ラグといった社会問題として指摘されております。このような動きも踏まえまして、 次期中期計画においては、当機構の使命を十分に果たし、我が国が欧米と並ぶ三極とし て、国際的な役割を担っていくためにも、業務の見直しや効率化に取り組んだ上で、審 査・安全対策業務のさらなる充実・強化を図ってまいりたいと思っております。  審査業務につきましては、この度の新プランによりまして、ドラッグ・ラグの解消を 目ざす、新薬審査の体制強化の道筋は一応つきましたので、今後はこれを着実に実行し ていきたいと思います。新薬審査以外の医療機器の審査につきましては、従来から医薬 品に比べて整備がやや遅れているという面もありますので、これにつきましては、4月 に革新的医薬品医療機器創出のための5カ年戦略も出ましたので、それを踏まえまし て、審査プロセスの効率化等も行いながら、審査の迅速化を図るための審査相談体制の 充実を目指していきたいと思っております。  このほか、今回明記されていませんけれども、後発医薬品なり、OTCにつきまして も、後発医薬品の使用促進やセルフメディケーションの推進を踏まえまして、審査の迅 速化のための業務の充実を図っていきたいと思います。  もう1つの大きな事項である、安全対策業務につきましても、やはり優れた医薬品医 療機器を国民の皆様に早く提供していくためには、審査と市販後の安全対策を車の両輪 として、連携したトータルなリスクマネージメントを的確に行いたいと思っています。 特に最近は、国民の皆様の安全、安心に対する関心は、各方面で非常に高まっており、 また、この傾向は国際的に見ても大きな問題になっておりますので、第2期中期計画で は、国民の皆様の安全、安心を確保する、安全に対する業務の充実を重点に取り組んで いきたいと思っております。機構の安全対策業務は、機構発足時に新しく立ち上げた業 務でありますので、まだまだ整備途上にありますが、現在審査部門の整備がやや先行し ておりますけれども、審査とバランスの取れた専門性の高い機能を持った安全対策業務 を確立して、トータルなリスクマネジメントをしっかりしていく必要があると思います ので、次期中期計画においても、そういう視点から取り組んでいきたいと思っていま す。これに関連して、GCP調査やGMP、QMS調査につきましても、データの信頼性や製 品の品質を確保するためにも、調査業務の充実も必要かと思っております。  健康被害救済業務につきましても、システム等による効率化を図って、更なる迅速な 事務処理をしてまいりたいと思っています。  以上、今後の第2期中期計画の取組につきましては、本日の見直し案を踏まえて、今 後各方面とも十分議論を重ねながら、検討を進めて具体的なものとしていく必要があり ますが、当機構は発足10年目に当たる、第2期中期計画の終わりまでには、何とか欧米 並みの水準の機能の整備を完成させたいと思っております。今後とも委員の皆様方のご 指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。 ○部会長 ありがとうございました。では次の議題に入ります前に、事務局の入替えを しますので、しばらくお待ちください。                (事務局入替え) ○部会長 それでは、議題2の国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の組織・業務全 般の見直し案について、ご審議いただきます。それでは法人の見直し案について、担当 課より説明をお願いします。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 障害保健福祉部の難波と申します。のぞみ の園の見直し案ということで、資料1-3-1で説明します。1頁に「勧告の方向性」と 「見直し案」の対比表があります。今回の「勧告の方向性」においては、第1の事務・ 事業の着実な実施ということで2点指摘があります。1つは、重度の知的障害者に対す るモデル的な支援の確立と、いちばん大きなテーマである施設利用者の地域生活への移 行という問題があります。地域生活への移行の問題については、現実には実績が目標を 相当下回っているということで、意見としては、実現可能性を勘案しながら、地域生活 への移行目標を設定したらどうか、という指摘があります。  2点目の調査・研究等の業務についてですが、これについてはなかなか評価がしづら いということがあって、具体的なテーマを設定するなりして評価ができるようにしてほ しい、という指摘があります。  これに対して、地域生活への移行の問題については、平成19年度、平成18年度の実績 を見ますと、いま15名程度の地域生活への移行が進んでおります。地域生活を進める際 のいちばん大きな問題は、地域での生活の場の確保です。これについては平成18年度か ら市町村の障害福祉計画が定められており、これによりますと、各市町村のケアホーム あるいはグループホームの整備の問題がありますが、平成23年度までに2.5倍ぐらいに 増やしていこうという計画です。したがって、いま申し上げた実績に加えて、こういっ た地域生活の場が確保できるという観点から、私どもが考えているのは毎年度20人程度 の地域生活への移行を進めたらどうかということです。したがって、5年間で100人程 度の地域生活への移行を考えており、そういうことから現行の3〜4割という地域生活 への移行目標がありますが、これを3割という形で下方修正をしたいと考えています。  調査・研究の問題ですが、これについては、年明けから始まる地域目標の設定の際 に、具体的な内容を詰めたいと思いますが、いずれにしても個別の研究テーマを定め て、それを中期目標の中に明示することによって、その評価をお願いしたいと思ってい ます。  2頁です。これは各独法共通の問題として指摘されている問題です。1つは、効率化 目標の設定です。これについては、のぞみの園自体は現在の中期目標の中では、各年度 3%程度の運営費交付金の削減を行っております。今後においても同程度以上の交付金 の削減を図っていきたいと思っています。  給与水準の適正化の問題です。これについては、行革推進法に基づく考え方、これは 5年間で5%以上の削減をするという問題。骨太の方針の関係で言いますと、平成23年 度までに継続的に人件費を減らしていくということがあります。いずれにしてものぞみ の園については、現在の中期目標の中では、平成16年度から毎年度給与の引き下げとい う形で3.5%ずつ行っており、結果として、いま公務員支出を下回る状況にきていま す。今回の指摘の中にも、民間事業者との給与水準の問題辺りを検証しながら、引き続 き給与の適正化を図っていきたいと思っています。  随意契約の問題も引き続きのぞみの園自体も、随時契約の見直し計画を作っています が、これに従ってできるだけ一般競争入札に持ち込んでいこうという基本的な考え方に 立っております。いずれにしても年明け早々から次期の中期目標の策定に当たって、具 体的な内容を詰めていくということですから、またご審議をいただきたいと思っており ます。簡単ですが、以上です。 ○部会長 ただいまご説明のあった見直し案について、ご質問、ご意見がありましたら お願いします。 ○山村委員 3点ほどあります。見直し案ですので、提案、質問を含めていくつか伺い たいと思います。第1点は、第1の左の勧告の方向性の中には「国の施設であることを 踏まえ」という表現がありますが、右の見直し案では、そういう表現が消えているので はないか。とりわけ「国の施設」であるから国立という名前が残っていますが、独法に なっています。しかし、民間とは全然違う特別な存在の施設であることから、これは取 ってしまわないで、何らかの形で特別な施設であることを、見直し案にも謳っていただ くほうがいいのではないかという意見です。  何をするのかについては、当然重要な役割を担っておられるわけですが、モデル的支 援あるいは右のほうでサービスモデルという項のことです。当然特別な施設であるのぞ みの園で、他ではできないまさにサービスモデル、あるいはモデル的な支援を開発して いただくことが期待されているわけです。その際にサービスモデルということを改めて 考えてみますと、2つあるのではないか。1つは、サービスプログラムというか、どう いうやり方で、どうしたら地域移行なり、より良い生活ができるのか。それはサービス プログラムの問題です。  もう1つは、人材です。いろいろな専門職を含めて、どういう人材がサービス提供に 関わってくるのか。そういうことになってくると、当然財政に絡んできます。ですか ら、特別な施設であるがゆえに、数多くの人材が確保でき、またそれを支える国のお金 も投じられている中で作り上げられるサービスモデルが、一般化するのかという辺りも 十分勘案して考えていただきたいのです。ですから、サービスプログラムの問題と、そ れを支える人材という両方が、特別な施設であるがゆえに、そこしかできないというも のであれば、とてもではありませんが、モデルにはなり得ないわけで、名目ではこのよ うな先導的な役割を担うということですが、同時に一般化できるような、まさにそうい うサービスモデルを構築するところに、この施設のこれからの期待されるところがある と考えておりますので、よろしくお願いします。  到達目標の下方修正については、過去の実績を踏まえて、3〜4割、4割は無理では ないかということで、了承したいと思います。  もう1つの調査・研究情報提供等々についての評価がしづらい。ならば具体的に評価 できるようにするということについては、もう少しお考えを伺いたいのは、例えば、研 修会の評価ができるというのは回数とか数になりますが、そのような形で案を作られる のかどうか。作っていただきたいと思います。研修会の回数、発表論文の数です。数だ けではいけませんので、できれば全国の多様な人材を集めて、のぞみの園で研究プロジ ェクトを推進していただく。そういう論文数なり、プロジェクト数なり、そのようなこ とでより皆さんに期待されるものであってほしいと思います。  給与水準のことですが、5年間で3%下げることについて実現可能だというのはよく わかります。下のほうの(1)(2)辺りのことについては、民間事業者の給与水準がどういう ところにあるのか。そしてのぞみの園がどういうレベルにあるのか。十分保障されて良 い給与の下で働くことについて、何ら反対はないわけですが、全国の多くの民間事業者 の給与水準がどの程度で、そのことをどのように勘案しながら、のぞみの園の給与水準 を考えていくのか。これは国民の理解の中の、国民というのは多くの同業者にあって は、先ほど申し上げたような特別な人材配置、特別財源の下でなされるモデルは一般化 しづらい。そのようなことと考え合わせていただいて、給与水準についても検討してい ただきたいと思います。 ○部会長 いかがでしょうか、今の問題について担当課からお願いします。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 まず1点目の勧告の方向性では、「国の施 設」という文言があるのに、見直し案にはないではないかというご指摘だと思います。 ご指摘のとおり、そこは大きな意味はなく、当然のことながら、それはのぞみの園法で 業務が書かれているわけですから、公的なものとして行われているということです。  サービスモデルの点ですが、これは当然地域移行をするためのプログラムなどの確立 に加えて、これから自立訓練や新しいサービスメニューを取り込むに当たって、各民間 事業者がまだ実際に新しいサービス体系に移行していないこともありますので、のぞみ の園が先行して実施することによって、そういったプログラムを含めてサービスモデル を民間事業者に提供できればいいのではないかという基本的な考え方に立っています。 それに合わせて調査・研究の中でも、そういった内容も取り込みながら、具体的な研究 を進めていく必要があるのではないかと考えています。  人材の問題も当然ですが、これは養成・研修と関連する話で、そういった点について も具体的には来年早々から始まる次期中期目標の具体的な内容の中で、その辺は具体的 に詰めさせていただきたいと思っています。  調査・研究、研修のところでもご指摘がありましたが、具体的な研究テーマはどのよ うなものに設定するか。これは行政課題とか、いろいろなものを含めて、その内容を次 期中期目標の策定に当たって加味していきたいと思っています。  養成・研修についても、具体的な内容あるいは回数等々を含めて、具体的に内容を詰 めたいと思っています。  最後に給与水準の問題です。民間事業者との給与水準の比較がありますが、単純に民 間事業者と比較すべきなのかどうかという問題があります。それは何かといいますと、 公的な部分と先駆的な取組を行っているとか、新たな調査・研究をするとか、そういっ た違う分野もありますので、一概に民間事業者とイコールという形にはならないと思い ます。したがって、公的部分でも、国でいえば福祉職とか、そういうものもありますの で、そういったところの比較も十分加えながら、国民の目から見て理解できるような水 準に持っていきたいと思っています。 ○部会長 あとで補足議論をしていただきたいと思います。 ○松原委員 地域移行の際に、例えば、私はグループホームなども当然加えるべきだと 思うのですが、グループホーム、またはのぞみの園を出た別の施設なども含むのか、定 義を教えていただきたいと思います。  あとは先ほどと絡むのですが、機能があるのなら、その機能に見合った費用をちゃん と付けるべきだと思いますので、民間と人件費が違って当然だと思います。その際に、 民間の一般的な福祉施設に入っている方と、のぞみの園に入っている方の重度の比率は どのぐらい違うとか、そういった機能の違いをしっかり出せば、人件費などが違ってい ても全く問題はないと思います。後半は質問ではなく、意見です。 ○大島委員 いくつかありますが、1つは私どもが夏の段階でいちばん力を込めて申し 上げたところが、第1の、特に2でした。「国の施設」として調査・研究あるいは情報 提供、研修に非常に重点を置かなければ、施設だけを考えますと、民間とあまり違いは ないのではないか。あるいは雲仙のように、全員が地域に出て、閉鎖している地方であ ることを考えますと、3割の下方修正が妥当かどうかも含めて、民間委託も視野に入れ なければならないということもあるかと思いますが、特に「国の施設」として先駆的な いろいろな研究をもう少し厚くしていかないと見直しという意味がないのではないかと 思っています。  そういう点では、例えば下方修正をしたということでいいのかどうか、あるいはそこ も含めて、民間委託も文言の中には入れておいたほうがいいのではないかとも思わない わけではありません。見学したときにその違いが施設自体にははっきりと感じられると ころがなかったという意見が随分出たと思いますので、その辺は少し書き方を変えてい ただいたほうがいいのではないかと思います。  第2のほうの給与水準ですが、実は予算が非常に多く費やされているということで、 私どももその辺の質問は相当させていただきました。いま民間の非常に厳しい給与水準 なり運営費なりを考えますと、一人ひとりの給与水準の適正化というよりも、事務部門 というか管理部門の厚さに、ほかの民間の施設との違いがあるのではないか。例えば退 職金の問題にしても今の管理部門の人数にしても、(職員数)280人規模の施設にして は非常に多くの管理者がいるという印象を受けて、その辺も申し上げたいと思います。  できるだけ適正な人員配置の中に、管理部門の簡素化というかスリム化を入れない と、あれだけ多くの予算を毎年費やすシステム自体が、国民に納得できるものではない のではないかと思われます。例えば、現場で研究者を厚くする、あるいは個々の指導員 の非常勤から常勤化するというところでは納得できるところがあるのですが、管理部門 が厚くて、お金がたくさんかかっているということは、公開されたときに国民に納得で きるような数と金額にはなっていないと申し上げたので、適正化のところに何かを加え ていただかないと見直しにならないのではないかと思います。 ○部会長 いまの管理部門の適正化は、入れるとしたらどの辺りですか。具体的な提案 としては、業務全体の。 ○大島委員 給与の水準だけではないのではないかと思います。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 給与水準の問題になりますと、2頁の効率 化目標の設定というのがありますが、当然のことながら、運営費交付金については、現 行3%削減していますが、同等以上の削減を次期の目標に置いても行うということです から、当然のことながら、数の問題、給与の単価の問題ですべて反映される形で全体が 落ちていくと考えています。 ○大島委員 その点は8月に申し上げたと思いますが、できるだけ非常勤化するという 話が出てきたと思います。現場の職員の中での非常勤化ということは、文言として何回 か出てきたと思いますが、そこで管理側の人数のスリム化はあまり出てこないで、意見 だけを申し上げたような気がします。現場の職員を削減するという方向ではないのだと いう私どもの意見が、あまり見受けられないものですから、その辺を何か加えていただ けると有難いと思います。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 職員の問題については、事務職、福祉職を 問わず、全体として削減していくという基本的な方向に立っています。福祉職について も当然利用者が減少すればスタッフが要らなくなる部門も出ますので、そういった減の 問題と、事務についても効率化等を進めることによって人の数を減らしていくという両 方の面があるのだろうと思います。それは全体としては交付金の額をどのように削減し ていくかという問題にかかわってきますので、現行の3%を同等以上に削減していくと いう基本方針に立っていますから、全体としては落ちていくことになろうかと思いま す。 ○山村委員 3%をどうするとか、5%をどうするというのは順調に推移していると思 います。給与水準の適正化の文言を見ても、「以下のような観点からの検証を行って、 これを踏まえた適正化を図って、なお結果は公表する」となっています。これは単に書 いてあるだけでは困るわけで、ならばどういう検証を行って、適正化を図るというの は、何が適正かがある程度見通しがなければ図りようもないわけです。だから3%、5 %を決められたとおりに現実しますが、ここに書いてあることは、なお一層検証しなが ら適正化を図りますよと。適正化とは何なのかについて、しっかりした見識がなければ 修正もできないと思いますが、その辺りはいかがですか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 ここにも載っていますように、公的な部門 という観点から見れば、公務員指数という問題が前提にあるのだろうと思います。た だ、そうは言っても、福祉職の部分は公務員の中ではあまり数字が出ておりませんの で、単純に比較はできませんが、今直轄の国立の施設については、福祉職というのがあ って、それとの比較の問題と、同様の事業を行っている民間施設の給与の問題など、全 体的に勘案してやっていくような形になろうかと思います。現在でも給与の問題につい ては公表している話ですから、当然のことながら、次期目標期間においても、こういっ た観点からの見直しを行って公表をしていく形になろうかと思います。 ○部会長 大島委員も「給与水準の適正化」という言葉の中に、公務員指数99.4がどう かというよりも、適正な仕組みとの関係のバランスの話だと思います。私自身は民間施 設の給与水準がいいのかといえば、非常に議論になっていますし、社会福祉士及び介護 福祉士法の最後のパブリックコメントに出す段階になっていると聞いています。国会の 附帯決議にも付きましたように、日本の福祉職の水準があまりにも低いことが。もちろ んいろいろ議論はありましょうが、そういう議論になっているときだけに、ここが誤解 されてとられると、福祉全体にとってもやや良くないので、意図は全体の総人件費の使 い方みたいなところをもう少し工夫できないか、というご意見が8月にもありました。  その辺りですが、いまのご意見は「国の施設」という観点から、国の基本的な考えに 基づいてやっていけば、総人件費は減りますという答弁に聞こえてしまうので、山村委 員が言われるように、検証の視点や独自のお考えはないのかということも聞いておられ ると思うのですが、その辺はいかがですか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 民間施設の給与水準の調査が明確にあるか どうかは、私はここではわかりません。これは障害者の施設で報酬設定がされており、 その中で人件費にどのぐらい充てているかという現実の問題があるのだろうと思いま す。  私どもがすぐ出てくる数字は、国家公務員でいえば、福祉職俸給表で、これは民間施 設も一時は導入した時期があったと思いますが、それがいちばん明確に出てくるのでは ないかと思っています。 ○山村委員 難波室長が言われているように、国家公務員の中の比較、福祉職との比較 の中で、のぞみの園はある程度頑張ってやっているということになるのだと思います。 申し上げたいのは、同様の仕事に従事している全国のいわば同業者と比べて、いかにそ こで理屈があったとしても、特別なものとして、特別な手当の中でなされていることに ついては、大島委員も言われたように、特別なことをやっているのだったら納得できる が、そうでない限り民営化という話もありましたように、評価の問題もあります。その 辺りがこのままでいいのかということを厳しく問われている今日であることを考えてい ただいて、今後は考えないと、ここの文言の中の理屈で推移しても、果たしてやってい けるのか、いいのかなということを切に思いますので、真意を汲み取っていただきたい と思います。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 今回の勧告の方向性は大きな基本的な考え 方が示されたことに対する考え方と整理していますので、当然のことながら、来年に入 りますと中期目標の具体的な議論に入りますので、そこでは当然中身に入っていかなけ ればいけないだろうと思っています。 ○部会長 いかがですか。修正案を出すかどうかは議論をしなければならないのです が、例えば、「国の施設」であることを踏まえると、山村委員が言われているのは、そ こを含めて非常に温かいご指摘と取りますが、その辺りはよろしいのでしょうか。 ○障害保健福祉部障害保健福祉課施設管理室長 国というのが漏れているのは、特に意 図があって漏れているという意味ではありませんので、そこはご容赦いただきたいと思 います。 ○山村委員 もっと胸を張って、もう一回取り込むように。 ○部会長 もっと深読みをして、それを書くことが、今後いろいろ課題になるのであれ ば入れませんが、そうでなければ、今回はそうされておいたほうが、あとの理屈からし て、いいですよという委員のご指摘だと考えます。  それにしても(1)の「サービスモデルを他の知的障害者関係施設等へ提供するものとす る」という文言を、民間施設従事者、国民の理解を得るための「もう少し踏み込みませ んか」というご指摘だと思いますが。あとは文言的に書くということは実施しなければ ならなくなりますので、担当課のご意見を少し聞かねばなりませんが。 ○石井委員 対国家公務員指数99.4と書いてあるのですが、この施設が独法になった最 初の年のは、いくつですか。  私は、この施設の議論をしたときに、他の独法に比べても有数に人件費が高い。どう してこんなに人件費が高いのだという議論を最初にしたような記憶があります。それに 対して99.4というのは平均より下がったということのようですが、他との比較ではなく て、自らの時系列的な推移の中で、ここが独法に移行した、ないしは移行する前年の国 直営であった時代の対国家公務員指数はいくつで、どれだけの改善が行われたのかを見 せていただけないでしょうか。 ○障害保健福祉部障害保健福祉課施設管理室長補佐 ……平成15年度の数ですが、対国 家公務員指数で106.2、対全独法法人で98.8です。この指数は、独立法人については報 告する義務があるので毎年とっているのですが、その前の特殊法人のときには告知義務 もありませんでしたし、データとしても持っておりません。 ○石井委員 そして平成18年度の99.4というのは106.2に対応する数字ということでよ ろしいのでしょうか。平成18年度の99.4は、対国家公務員比で106.2に対比する変化。 98.8に対して今はいくつなのですか。対独立行政法人というのは、いま数字をいただい たのですが。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長補佐 92.6です。 ○石井委員 大島委員がとても素晴らしいコメントをされて、私は現地を見学していな いので実感が全然湧かないのですが、こうやって見てくると、1人当たりの人件費に関 しては、確実に独法以降の本当に大きなテーマで、人数で人件費を割り返すと、とんで もない額だったという記憶があって、それに関してはかなり大きく変化をしています。  さて、その数はどうなのですかという議論をしていて、数ということに関しては、勧 告の方向性には水準の議論はありますが、あまりはっきりと数の議論がなくて、「等」 というところで見るのか、効率化目標のところで数の評価をしているのか、という議論 になるかと思います。  私は実感がなく、管理部門がお見えになっているのに、管理部門の方にこんなことを 言ってもいいのかどうかというのはあると思いますが、管理部門があまりにも数が多 く、非効率であると見られるのであれば、確かにそれは改善すべきだというのは現実の ことで、文章化するかどうかは別にして、そこは認識をしていただく必要があるのかも しれないなと思いました。  大島委員は数の議論をされていて、1人当たり単価の議論をしているのではないの で、そこだけはかなりきちんと主張されたものですから、意識をされますか。いや、そ うではないのだ、管理部門が非効率な形ではなくて、大変少ない数で効率的に事務の処 理をしているのだというのであれば、そうではないのだという議論をしたほうがいいの かなという感じがしましたが、いかがでしょうか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長補佐 障害者の施設としては、職員の配置基 準が定まっていますので、直接処遇職員については明確に多い、少ないという議論は出 てくるのですが、事務職員については特に基準がないという問題があります。したがっ て、今の業務に対して人数が多いのかどうかという主観的なものとして、どこまで判断 できるかという問題があります。ただ、業務の効率化は図れる部分もありますので、そ ういう点については当然事務職員も含めて削減を行っていくという形になろうかと思い ます。  それから直接処遇職員については、基準以上に配置されていることが現実にあります ので、そういった点についてもどういう削減をしていくかという基本的な考え方の整理 は必要になってくると思います。  現行の中期目標期間中については、職員について10%カットするという形で、今回の 目標の中で動いています。したがって次期目標の中でどういう整理をするかというの は、予算との関係もありますが、そういう整理が要るのだろうと思っています。 ○部会長 10%削減というのは職員の総数ですか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 現行の中期目標期間中には職員を10%カッ トする。職員給与については、毎年度3.5%削減していき、両方からやっているという ことです。 ○山村委員 職員数10%というのは、現場の直接支援の職員ですか。 ○障害保健福祉部障害保健福祉課施設管理室長 そうです。ですから、地域移行が進ん で利用者が減るとか、寮の再編成を行って効率化を図っていくなどということで、職員 を減らしています。 ○山村委員 職員を減らすということですか、人件費を減らすということですか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 ですから、人の数を減らす問題と単価を減 らすのと両方からやっています。 ○山村委員 単価というのは給与の水準を減らすということですか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長補佐 給与を3.5%ずつ削減しています。 ○山村委員 話がこんがらがりますが、職員を減らすという話の中に、民間も人件費を 圧縮せざるを得ないわけですが、職員の頭数を減らすことはできない。しかし人件費を 圧縮しなければいけない。どうするかといったら、正規職員を非常勤職員にどんどん切 り換えていくという流れでやらざるを得ないというのが、全国の民間施設の現状です。 大げさではなくて、5%という水準ではなく、約10%程度の減収が2年ぐらいで起こっ ているのが全国の状況ですので、そういうことも勘案しながら考えていただかなけれ ば、こちらは天国こちらは地獄みたいな議論になって、大変だと思います。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 その点では、民間事業者とイコールかどう かという議論の問題があるのだろうと思います。したがって、先ほど来、出ていますよ うに、調査・研究の部分について、民間ではできないことをやっているとか、サービス モデルを確立するとか、民間との違いの部分が一部出てこないと、委員が言われるとお り、イコールではないかという議論が出てくるので、その辺については調査・研究を含 めて、具体的な内容をきちんと定めて対応していく必要があるだろうと思います。 ○大島委員 今のご指摘のように、どこの部分に人を投じる必要があるかということ で、そこがいちばん大事なところです。8月と今と私たちとか、マスコミも含めて見る 目が厳しくなっていることは実感されていると思いますが、そういうときに、これが公 表されて、なかなか言いにくいのですが、例えば理事長以下、給与の水準から理事の 数、管理職の数を考えますと、300人の規模の施設として適正かということを納得でき るような数字になるかというと、何年間かの課題だったと思いますが、なかなか説得で きるような数ではないように、私も最初に見せていただいたときに思いました。  それについて、すぐに改善できないとしても、文言として、例えば今後の人員配置を 目標に合わせた調査部門とか、研究部門を手厚くする、あるいはサービスモデルという か、サービスプログラムが提供できる人員配置に改善する努力をすることがないと、特 に給与水準の適正化がほかは3行ぐらいですが、これは一人ひとりの給与を適正化しま すという部分が非常に厚くて、ほかの大事なところが非常にスリムに書かれているとこ ろがあって、何に力を入れて見直しをするのかという点を考えても、最初に私どもが申 し上げたようなところに向けての適正な配置というか人員の配置も入れておかないと、 説得できるようなことではないのではないかと思っています。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 今のご指摘の点については、具体的な数の 問題もさることながら、全体の運営費交付金という部分について、当然のことながら地 域移行を3割進めることになれば、3割分の運営費交付金を落としていくという基本的 な考え方があります。落とすということは、当然人も減らし、単価も減らさなければ落 とせないというつながりになってきますから、いまご指摘の点については、利用者の減 少と関連した形で減っていくという整理になってくると思います。 ○部会長 大手の民間の社会福祉法人の施設も同じことが言えますので、今問題になっ ているのは、のぞみの園と大手の同じようなコロニーだったのを、施設と比較したとき に、こちらが大手の民間施設とは違うということを強調しないと、なかなか納得がいか ないと思います。  これだけ議論が出ていますので、のぞみの園の目標を実現していくために適正な職員 配置をどのように考えるかという必要があるのかを検討しながら、これの実現に向けて やっていただく、という1行は入れてもらわなければいけないのかと思っています。  ただ、今日17時からの総会にかけなければなりませんので、もう少しご意見をいただ きますが、先ほど国立としてのという、ほかとは少し違うということを入れながら、そ のことの意味は研究や研修やモデル事業をいろいろやっていただいたり、全国へのモデ ルになりますよと。これが実態が伴なわないと民間のほうがモデルになっているという 実態では、これまた大変なのです。  それは置いておいて、そのことと適正な職員の配置に関して検討を進めるということ を午後までに修正をしないと、この委員会としては現行で「はい」と言うわけにはいか ない雰囲気だと部会長としては判断しましたが、いかがでしょうか。 ○宗林委員 大変つまらないことで恐縮ですが、「国の施設」である特徴というか、特 別なものであるということを、そこに入れていただくのと同時に、前後の省略が、「の ぞみの園」からになってしまっているのですが、すべて勧告の方向性に書いてある「国 立」から始めたほうがいいと思いますので、それも同時にお願いします。見直し案だけ 見たときに、最後の方はのぞみの園から始まるので、変えたほうがよろしいかと思いま す。 ○部会長 比較は表で見ていますが、文章としては、資料1-3-3を見たほうがいいので すね。  それはいちばん後ろのほうですね。  ○浅野委員 特別な機能を有するものということが、非常に重要だという議論が進んで いる中で、最後の調査・研究、情報提供とあります。今も大学の先生方を受け入れて教 育をしておられると思いますが、より一歩踏み入れて、いわゆる福祉専門家の教育とい うのは非常に重要だと思いますし、その底上げもすごく重要なので、大学院教育にも積 極的に出ていって、この研究組織もインスティテュートみたいなイメージのいわゆる研 究機関になるような動きも明確に打ち出してもいいのではないか。そのときに人材が必 要ということでいろいろ議論がありますが、その場合には連携大学院の制度や客員研究 員の相互のネットワークの制度がありますので、そのようなものを活用するコーディネ ート機関みたいなものを位置づけてリードされていくことも考えたらどうかと思いま す。素人考えですが、そのような思いがありますので、コメントさせていただきまし た。 ○部会長 研究者の出入りが多くなければ認められないことがあります。さまざまな民 間施設には研究者が多く視察をし、示唆をいただく。その割には、国立のぞみの園の視 察が量的にどうなのかなどという厳しいご意見もあちこちから聞こえて、実証的ではあ りませんが、漏れ聞こえるという状況の中での見直し案になりますので、確かに厳しい ものになろうかと思います。この委員会としても責任もありますし、是非いい施設にな っていただきたいという願いを込めて、少し部分修正が必要かと判断をいたしました。 地域移行の定義はどういうものですか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 地域移行自体は、実際に自宅に戻れるケー スとケアホームやグループホームに戻るケースが大半になってくると思います。場合に よっては地域の中の施設に戻る場合も例としては出てきていますが、基本形としては自 宅なりグループホームの形がベターであろうと思っています。 ○部会長 国立のぞみの園の性格上、地域といったときに、出身県の施設に帰るのも地 域移行に入れています。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 現実に何人かいらっしゃるということで す。ただ、それも恒久的というよりは、一時的にそこに入っていただいて、地域の中の グループホームが空けば、そちらに移っていただくとか、途中経過的なところは少しあ ります。  ○部会長 事務局側としては修正できますか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 勧告の方向性と少し違う部分が出るのです が、その辺をどう考えるかということだと思います。 ○部会長 国としてのというのは行けますけれどもね。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 ですから、今回は勧告いただいた内容に対 する見直し案という形になっているものですから、その辺まで書けるかということで す。 ○部会長 そうですね。ご意見として伺い、次期の中期目標期間に具体的にどう反映す るかという問題もあろうかと思います。 ○石井委員 最初に質問させていただこうかと思ったのですが。ということで、いまお っしゃったことは、勧告はどこから出てくるかというと政・独委から出ているのです か。今日の会議の目的は、最初に私が座ったときに何なのかなとよくわからなかったの です。政・独委から出てきた勧告書に対する回答を決めるという会議だとすると、今の 話は確かにしづらいのだよねというのがあります。最初に実は思ったのは、また政・独 委からぐちゃぐちゃ言われているのだなというのがあって、そのために年末に、またこ の回答書の検証を個別独法委員会でやるのだと思ってしまったのですが、基本はそうい うことなのですよね。 ○部会長 そうです。 ○石井委員 そうすると、今とても重要な議論をしていただいた部分は、本来、通常と いうところの、独評と毎年度の評価のときに、今のようなことに関して、きちんとした 説明文書を、来年出していただけるかみたいな話になってしまうのかなと。大島委員 が、すごくきちんとした整理をされて、数量・価格分析で評価をしたい。しかも数量・ 価格分析は、これだけ年数が中期の期間で経ってきたので、数量・価格分析は全体法人 単位ではなく、現業と事務という意味での配置も考えて、どういう変化をこの間してき たのだろうか。トータルとして給料が下がったのははっきり見えた。では、それは現業 部門でどうだったのだろうか、事務部門でどうだったのだろうか。あるいは数的にも確 かに10%削減で、現実にはどのような形で、どの部門について、どのように見直された のかということの評価がわかるようなデータを、これではなくて、例えば夏にやる本来 評価のときに、きちんと説明をしていただけるようなものを出していただく、という作 業なのかとも先ほどから思っていたのです。  これは前回の夏の評価からも、私が何気なく、時系列の評価をきちんとわかるように 来年は出してください、とお願いしているのですが、政・独委に対する回答書だけの議 論だとすると、追加がしづらいというのは確かなのかと思っています。そこのところは どうなのでしょうか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長 今回の勧告の構成に対する対応という形で 整理しておりまして、先ほど来、貴重なご意見をいただいている話については、当然の ことながら、来年早々から次期中期目標の検討に入るときに、具体的な内容として盛り 込まれるものだろうと思っています。したがって、ここで勧告の内容をどこまで細かく 書くかという問題があるのだろうと思いますが、具体的な中期目標の中でご議論いただ く点であろうかと思っています。 ○政策評価官室長補佐 事務局からご説明させていただきますと、いま室長から説明が ありましたように、今回の勧告の方向性を踏まえて当面の見直し案ということで、これ を説明して、ご意見をいただくことになっています。  先ほどから申しておりますように、次期中期目標については、年が明けて2月か3月 ごろを目途に、今いただいたご意見も踏まえて、具体的に給与水準なども含めて、どう あるべきかというご議論をいただければと思っておりますので、今回については先ほど 「国の施設」というご意見もあって、それは反映させようということでした。別途、今 回ご意見が出たということは総会にもきちんと報告した上で、中期目標を策定する場合 や来年の夏の部会の実績評価の際には、給与体系のあり方についてもご説明をいただい た上で、ご議論を賜ればと考えています。 ○部会長 混乱させました。その他、給与水準についての説明が十分に国民の理解を得 られるものとなっているかという「給与水準なの」位が入っているとできるのですが、 入っておりませんので。 ○宗林委員 例えば、ほかの法人も、その前に説明のあった法人の増員が230何人ある という話でしたが、その全体像の構成などについては、次期の中期のときに提案された ものに対して意見を出していくという性格のものだと思っていました。今ご意見が出て いることは、またご議論いただくことだろうと思いますが、ここに書き込むべきことで はないような気がしますので、私は書いていただかなくて結構です。 ○部会長 わかりました。そうしましたら、一部修正、「国の機関」ということを、明 記していただくということを含めての表現の修正はあるかもしれませんが、それはお任 せいただくということで、大筋これで認めていただき、2月、3月開催予定の次期の中 期目標設定のときに、今回はかなり厳しいものになろうかと思いますので、是非精査し ていただき、反映していただくことにさせていただきます。ご協力を感謝いたします。  それでは、いろいろご意見が出ました。最後になりましたが、法人理事長にコメント をお願いします。 ○国立のぞみの園理事長 非常にご熱心にご議論いただきましてありがとうございまし た。途中、はらはらして聞いておりましたが、一応この案の方向でご了承いただけると いうことですので、厚く御礼申し上げたいと思います。  種々ご指摘がございましたことについては、私どもの説明が、これまで十分ではなか ったということで反省しております。年を越して中期目標、中期計画の作成についての 部会があるということですので、その際には具体的な数量的データをお示ししながら、 ご意見、ご助言をいただけたらと思います。年を越しましてもどうぞよろしくお願いい たします。 ○部会長 では、次の議題に移る前に、事務局の入替えがございます。5分ほど休憩を いたします。                  (休憩) ○部会長 それでは審議を再開いたします。議事の3の1つ目、福祉医療機構の「次期 中期目標(案)」について、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○障害保健福祉部企画課企画官 資料については、資料2-1から資料2-4になります。 説明については、主に資料2-2と資料2-3について説明いたします。今回、福祉医療機 構の中期目標の一部ですが、先取りで先行的に審議をお願いするものです。これは機構 が行っている心身障害者扶養保険事業に係るものです。これは基本的には都道府県の条 例に基づく制度です。それを福祉医療機構が再保険をするという仕組みです。この見直 しが進んでおり、12月の議会、来年2月の議会で各都道府県のほうで条例改正が行われ るスケジュールになっていますので、その部分だけを先行的にご審議をお願いして、あ る程度確定をお願いするという趣旨です。  資料2-2について、背景と制度の概要についてご説明します。1頁、「行政改革推進 本部等の指摘」、1つ目は当委員会です。業務実績の評価ということで、平成16年8月 に心身障害者扶養保険事業について、繰越欠損金があるということで、その解消に向け て検討が進められることになっているということで状況が述べられています。平成16年 度、平成17年度の業務実績の評価結果も同じような趣旨でした。  2点目は、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からの指摘です。昨年の11月 27日の勧告の方向性の中で、「心身障害者扶養保険事業については、心身障害者扶養保 険責任準備金に対応する資産の積立不足により、平成17年度末で約388億円の繰越欠損 金が発生しているが、現在、厚生労働省において、心身障害者扶養保険制度の見直しを 行っており、その方向性が定まった段階で、事務及び事業の見直しに係る具体的な措置 を定める」とのご指摘です。  3点目、これらを受けまして、昨年の12月14日の行政改革推進本部の決定の中におい て心身障害者扶養保険事業については、「現在、厚生労働省内において、当事業に係る 制度の見直しを行っており、その結果を踏まえ、次期中期目標が平成20年度からの福祉 医療機構の中期目標等において、事務及び事業の見直しに係る具体的な措置を定める」 となっております。  2頁目、そもそも心身障害者扶養保険の制度の概要としては、基本的には加入者は障 害者の保護者です。保護者が生存中に掛金を支払い、その保護者が死亡、あるいは重度 障害になった場合、残されたお子さんである障害者に対して終身年金を保障する制度で す。これは制度自体は、地方公共団体、道府県、政令指定都市が実施主体となってお り、条例に基づいて実施する共済制度を福祉医療機構が再保険する仕組みです。  5頁目の図、真ん中、右側が福祉医療機構です。地方公共団体が実施主体となる扶養 共済を条例に基づいて実施しております。右上、加入者である障害者の保護者が掛金を 毎月支払い、その掛金を地方公共団体が共済を行っております。それを福祉医療機構が 再保険をするという形で保険料、一部公費負担も入っていますが、福祉医療機構にお金 が払い込まれる。福祉医療機構からは生命保険会社と生命保険契約を結んでおり、保険 料を支払う。加入者である親が死亡したときに、生命保険会社から生命保険金が下りる という構造になっています。契約に基づいて、生命保険金が下りる。その生命保険金を 原資として、福祉医療機構が信託銀行へ預けて、資産の運用を行う。その運用益原資 と、運用益を基にして、それが年金の原資となるわけです。その年金のお金がまた地方 公共団体を通じて、保護者が死亡したあとの障害者、お子さんに地方公共団体を通じて 年金として支払われるという仕組みになっています。  国の立場としては、福祉医療機構を指導監督する立場であるとともに、この制度全体 の助長ということで、自治体の数が多いものですから、例えば制度見直しなどについて の音頭取りをする。また、地方公共団体とともに公費負担の形でこの制度にかかわって います。  2頁目、具体的な制度の中身としては、加入者は知的障害者等の障害者を扶養してい る65歳未満の保護者です。掛金は1口当たり、これは加入時の年齢によって異なってい ますが、月額3,500円から1万3,300円。年金給付としては、加入者死亡時、もしくは 重度障害時に1口当たり月額2万円の年金が支給されます。2口まで加入できますの で、2口加入すれば4万円ということです。  加入者数等については、加入者数は2口加入の方がおられますので、延べで9万 5,000人余、実人員として、6万7,591人。受給者、これは障害者で年金を受けている 方、延べ4万1,310人、実人員としては、3万6,329人という状況です。  2、制度の現状、この制度は平成8年においても、掛金の積立て不足が発生したとい うことで、大きな改正をしています。(1)保険料の引き上げ、(2)過去の保険料の納付不足 分について、国及び道府県・指定都市で46億円ずつ公費を入れる形で措置を講じたとこ ろです。しかし、その後、いまの経済状況、低金利が続いているという状況の中で、運 用利回りの低下、障害者の受給期間も長期化しています。これらに伴いまして、将来の 年金の支払いが不可能になる恐れが生じておりました。  このまま放置しますと、平成38年、あるいは平成39年度には資産が枯渇して、制度が 立ちいかなくなるという状況にありました。そのような状況の中で、3、検討の状況、 本年の3月から検討会で議論を行っています。9月25日、「心身障害者扶養保険検討委 員会」から制度見直しの方向について、報告書が取りまとめられたところです。  報告書自体は、資料2-4として付けていますが、詳細は省略します。今後、地方公共 団体で条例改正の手続きを進めて、現在、早い所ではもう審議に入っています。平成20 年4月から実施予定です。  3頁目はその見直しの要点です。給付額としては、月額2万円という年金額は据え置 こうということです。  2、保険料の見直しとして、任意加入の制度ですが、財政が安定するように保険数理 に基づき、適正な保険料水準に設定ということで、昨今の利回り等を踏まえた保険料水 準に設定するということです。ただ、既加入者については、保険料が大幅な引き上げに ならないように、一定の配慮をするということです。具体的には、4頁目、現行の保険 料水準です。左側が改正後の保険料です。新規加入者については、その年齢に応じて、 9,300円から2万3,300円まで、およそ2.5倍の引き上げになります。これは利率の見直し 等によるもので、この水準であれば、きちんと保険原理に基づいて制度が回っていける 水準です。  ただし、既加入者については、5,600円から1万4,500円ということで、1.5倍の見直し に止どめています。引き上げが十分でない部分については、公費で国と地方公共団体が 支援するという形にしています。  3頁目、3、公費による財政支援の延長については、国と地方で平成8年からすでに このようなスキームができておりますが、引き続き公費投入を延長して行う。  4、定期的な見直しについては、今回の審議に関わる部分です。このように、制度が 見直しをしないとどうしても制度が揺れてしまうということで、定期的な見直し。毎年 度財政の健全性を検証し、その結果を公表するとともに、少なくとも、5年ごとに保険 料水準等について、今後の社会、経済状況を十分に踏まえた見直しを実施する。こうし た旨、制度の健全性を担保するために、厚生労働大臣が制度運営する独立行政法人福祉 医療機構に指示する中期目標の中に、このような趣旨を具体的に盛り込むことが、この 検討会の報告書でも指摘されたところです。今回の中期目標の見直しは、報告書の中身 を踏まえたものです。  資料2-3、今回の中期目標の見直しの新旧対照表です。右側が現在の中期目標です。 共済事業については、あまり具体的な形では盛り込まれてはおりません。左側が、平成 20年度から平成24年度までの中期目標の案です。  まず、総論部分のなお書きのところです。この制度につきまして、国においてはその 安定的な運営を図り、将来にわたり障害者に対する年金給付を確実に行うため、19年度 末の積立不足に対応し、機構が定期的に行う扶養共済制度の長期的な財政状況の検証を 踏まえ、毎年度予算編成を経て、必要な財政支援措置を各地方公共団体とともに講ずる こととし、機構は、上記の国・地方公共団体による財政措置を踏まえ、資金の安全かつ 効率的な運用に努める。  ここでは国等による公費の投入の内容を明記するとともに、機構はそれらを踏まえ て、安全かつ効率的な運用を行うと記載しています。それらを具体的に(1)財政状況 の検証については、報告書にもありましたとおり、この制度の安定的な運営を図り、将 来にわたり、障害者に対する年金給付を確実に行うために、保険事業の財政状況を定期 的に検証するとともに、加入者等に対して、定期的に公表する。国においては、少なく とも5年ごとに保険料水準等の見直しを行うこととしていることから、基礎数値等の見 直しに必要な情報を提供するとともに、将来的に当該事業の安定的な運営に支障が見込 まれる場合には、厚生労働大臣にその旨の申出をすることを具体的に記載しています。  (2)扶養保険資産の運用ということで、先ほどの信託での運用を行っており、その 運用を効率的に行うということです。(1)基本的な考え方、安全かつ効率的に運用すると いうこと。(2)運用の目標、大臣が別途指示する運用利回りを確保するため、長期的に維 持すべき資産構成割合、「基本ポートフォリオ」を定め、これに基づき管理を行う。別 途指示する運用利回りについては、今回の改正においては、年2.8%ということで指示 する予定です。2.8%の予定利率を基に、今回扶養保険の制度設計を行っています。  あとは年度ごとのベンチマーク収益率を確保する、運用についての記載があります。 運用の部分については、別途、年金積立金の運用を行っている年金積立金管理運用独立 行政法人の中期目標を参考に、同じような項目で作成しています。(3)運用におけるリス ク管理、これは分散投資等による運用を行う。(4)年金給付のための流動性の確保という ことで、給付に必要な現金等の流動性を確保する。(5)運用に関する基本方針を決める。 (6)基本ポートフォリオの策定ということで、リスクを最小限にするポートフォリオを策 定する。(5)基本方針と(6)ポートフォリオについては、機構に置かれる資産運用委員会に おいて策定することとしています。(7)基本ポートフォリオの見直し。(8)リスク管理の撤 底。(9)運用手法。運用手法としては、長期保有を前提としたインデックス運用等のパッ シブ運用ということで、これは市場平均並みの収益率の確保を目指すという運用で、あ まり冒険をせず、安全な運用をするという趣旨です。(10)企業経営等に与える影響の考 慮。個別名柄の選択を行わない等の記述があります。(11)は、生命保険契約における運用 実績等の検証です。これは機構と、図の左側の生命保険会社との関係においても、きち んと財政検証を毎年度行うという趣旨です。  (3)事務処理の適切な実施については、中身は現在の中期目標と同じですが、タイト ルだけ「事務処理の適切な実施」と改めています。以上が、独立行政法人福祉医療機構 の来年度からの中期目標における扶養共済に関する部分です。 ○部会長 ありがとうございました。平成20年からの中期目標(案)の一部ですが、そ れに関して、少し早く地方自治体ならびに公開をする必要があるということもあり、こ れのみ今回やっていただくことになっております。ご質問はありますか。  私もこれを理解するまでに、時間がかかったのですが、都道府県の条例によってなさ れているわけですが、本機構が多く機能を発揮するために公費を使いながらやっておら れるということで、この機構における中期目標案を公表しないと、自治体によっては財 源措置ができない、という議会の意向もあると聞いておりますので、今日決めていただ くということです。 ○山村委員 本質的なことではないのですが、少しだけ教えていただきたいのです。資 金を運用するという、もともとの資金というのはどれくらいの規模のものになっている のですか。 ○障害保健福祉部企画課企画官 全体で500億円程度の規模になります。 ○部会長 よろしいですか。委員会報告書を踏まえて、次期の目標案に反映させていた だいているようにお見受けいたします。 ○石井委員 資金の安全かつ効率的な運用に努めることは、先ほどのご説明では、資産 運用委員会みたいなものができるのですか、もうできているのですか。 ○障害保健福祉部企画課企画官 機構の中に現在ございます。 ○石井委員 それは外部の人ではなくて、内部の人で構成されている。全部、内部です か。 ○障害保健福祉部企画課企画官 全部、外部の方です。 ○石井委員 具体的には何人で、どんな方で構成されておりますか。 ○障害保健福祉部企画課企画官 これは機構の中の組織ですが、運用の専門家や、学者 の先生、年金数理の専門家、企業年金の関係の方など、5名の有識者にお願いしており ます。 ○石井委員 これだけ現在の状況に対して、次期の目標案が詳細になったというのは、 資金の安全かつ効率的な運用に努める。努めたかどうかの評価をするということに関し て、2頁以降の運用目標、リスク管理、流動性確保、その他諸々の運用手法等も含めた ところの表現を入れることによって、ここで規定されている形でやっていた場合には、 機構は資金の安全かつ効率的な運用に努めた、というように対外部、あるいは国民等に 対して、責任の説明をできる。あるいはそれによってその責任は果たしたことになると 整理してよろしいのですか。 ○障害保健福祉部企画課企画官 ご覧いただいてわかるように、現在はほとんど書いて いないわけですが、それを具体的に書いたと。これは年金の資金運用の独立行政法人の 中期目標にならった形で、かなり細かいところまで規定したということです。基本的に は、それぞれの項目、別途指示する運用利回り、目標値として2.8%という形で示しま すので、これらをそれぞれ点検することにより、説明責任も果たせるのではないかと考 えています。 ○石井委員 ということで、従来はほとんど責任がなかったように思われたものが、今 回のこの規定によって、当該独法が、この勘定に関してはっきりとした責任を負わされ たということですか。 ○障害保健福祉部企画課企画官 今までも当然この制度を動かしていたわけですので、 責任がなかったというわけではないのですが、より中期目標の中で明確にすることによ り、評価し、今後見直しが必要な適宜適切な見直しにつなげていくという意味で、議論 ができるデータ、情報が取れる、評価ができるという形になったと考えています。 ○石井委員 思いつくまま質問させていただいている理由は、数100億の繰越欠損金が あって、この仕組みを見たときには、何となく当機構は、単につなぎをやっているよう に、私が勝手にある部分理解していて、本当は400億円の繰越欠損金を貸借対照表に載 せること自体が正しいのかどうか、個人的にはずっと疑問に思っておりました。  会計的に言うと、当該機構が繰越欠損金をバランスシートに計上する貸借対照表能力 を持ち得ているのだろうかみたいなことを、会計士的にはずっと疑問に思っていたので す。当然、監査法人が監査をして会計上の問題はないと言っているわけですので、そう なのかなと思っていました。今回の改正を見ていくと、逆に言うと、はっきりさせられ たのかなと。ただ、そうなってくると、この評価委員会は、この勘定に関して資金の安 全かつ効率的な運用をしたかどうかという評価をしなければいけないのでしょうか。私 は職業が会計士ですが、「長期保有を前提としたインデックス運用等のパッシブ運用を 中心として、500億円の資金運用をする」という表現を聞いたときに、私はあまり理解 しておりません。つまり、資金運用委員会のメンバーのような、何らかの資金運用に関 して、最低限の基本的な知識を持っている方がいないところで、評価ができるのかどう かが自信がありません。新しくできた年金資金の運用の独法の評価の委員の先生たちと いうのは、そのような評価ができる方はやはり入っていないのですか。 ○政策評価官室長補佐 年金部会の先生ですと、名簿が7頁にあります。この中に専門 的な知識を持っている方は、京都大学の川北委員、横浜国立大学の山口委員、臨時委員 の方でも光多委員など専門的な知識を有する方が入っております。 ○石井委員 竹原先生も、大学院のファイナンス研究科の教授でいらっしゃいます。す みませんが、質問として自信がありません、という意見表明、はっきり言って責任回避 をしています。機構は非常に多くのカウントを持っていまして、特に単純に普通の年金 とは違ってという言い方は悪いかと思いますが、心身障害者の扶養保険制度に絡むとこ ろの資金運用議論で、ただでさえ400億円もの繰越欠損金を抱えて、社会保障のとても 大きな要素なのではないかと思うのです。いちばん保護してあげなければいけない人た ちに対して作っている保障制度で、それに関する資金運用の評価をせざるを得ないのだ とすると、たまたま私は財務諸表の意見を私だけが書いていますので、その辺のところ はどうなのでしょうかと。私が機構さんではなく、評価官に対する質問なのかもしれま せんが、今日の話をお聞きして、正直なところ不安感を抱いており、自信がないなと思 っているのです。これはご検討いただいたほうがいいのかなと思うのです。何かあった ときには、非常に大きく社会的批判を受ける領域だと思います。  例えば、いまの2.8%に対して、サブプライムの問題などがあって、実績は1でした よと言ったときに、評価委員会はどのような判断を下すのだろうかと考えていくと、少 し寒い思いをしておりますので、そこはご検討をいただけないかと思っております。今 ここでの決断は結構です。 ○部会長 評価をせねばならないことになる次期にこれぐらい入れていただいておりま すので、その評価に当たって、何らかの工夫ないしは是正をということです。ありがと うございます。部会長を下りないといけないなと思っておりましたが。ただ、次期の中 期目標案としては、これでお願いしたいと思います。 ○障害保健福祉部企画課企画官 我々としても、できるだけわかりやすい資料なり、デ ータの説明の工夫をするようにしたいと思います。 ○部会長 次回出てくるときに、1、2、3、4は非常にわかりやすく出てきて、5だ けがレベル的に違った次元のものが多く記載されるようですと、少し全体の整合性との 関係もありますので。しかし、これも今日通してしまいますので、それは大丈夫です ね。他の次期の中期目標案の辺りが少し心配です。  それでは、心身障害者扶養保険事業はとても大事な事業です。中期目標案は、これで ご了承をいただくことにいたします。もしも多少の字句修正がありましたら、これは部 会長に一任していただきたいと思います。それでは次の議題に入ります。  福祉医療機構の平成19年債券発行に関して、事務局よりご報告をお願いします。 ○福祉医療機構経理部長 第3・四半期の債券発行の実績、ならびに長期借入金につい て報告いたします。  資料3の1頁、平成19事業年度における機構の債券発行についてのご報告です。平成 19事業年度については、一般勘定については555億円。また、年金担保貸付勘定につい ては570億円、併せて1,125億円の債券の発行を予定しています。  すでに第1・四半期において500億円を発行しており、今回第3・四半期ですが、12 月5日に第15回債として170億円、これは期間3年ものですが、これを発行していま す。この170億円については、年金担保貸付事業の貸付け原資に充てるということの発 行です。  なお、トータルの残高は455億円がまだ残っているわけですが、今後資金需要、起債 環境等を考慮しながら、発行時期、または発行金額等を検討していく予定です。また、 15回債の債券発行に関しては、10月31日付で、部会長の了解の旨をいただいて、11月9 日付で厚生労働大臣の認可をいただいたことを報告いたします。  次頁、過去に発行した一覧を載せています。3頁、長期借入金の実績です。年間計画 額については、一般勘定で3,172億円、年金担保貸付勘定で135億円となっています。 すでに年金担保貸付勘定については、全額借入れを行っていますが、一般勘定につい て、第3・四半期532億円の認可をいただいています。この金額については、予定では 12月20日に借入れを予定しています。第3・四半期の借入金については、同じように11 月1日付で部会長より了解の旨をいただきまして、11月27日付で厚生労働大臣の認可を 頂戴していることをご報告いたします。債券ならびに長期借入金についてのご報告は以 上です。 ○部会長 これは報告事項ですが、ご質問をどうぞ。よろしいですか。石井委員、何か ありますか。それでは、当部会としてはご報告を承ったということで、お願いいたしま す。どうもありがとうございました。次の議題に移る前に、事務局は退室いたします。 (事務局(福祉医療機構関係者)退室) ○部会長 予定していた議題は以上です。今日、石井委員からもいろいろご指摘をいた だいたり、各委員から活発なご意見がありましたが、何か全体的にご意見、ご質問があ りましたらお願いします。あと事務局からお手元にお願い事を送付したかと思います。 その件についてご説明がございます。私も心細くなってきまして、責任がすごく大きな 委員会だなということで、身を改めて出直さないといけないと思っております。全体と してよろしいですか。また2月、3月ありますので。それでは、事務局から連絡事項を お願いします。 ○政策評価官 本日は朝早くから、長時間にわたりましてご審議をいただきましてあり がとうございました。事務局から何点か申し上げたい事項があります。  最初に、この場をお借りして1点お願いしたい事項があります。委員の皆様方には、 先週郵送で、政策評価官室から「独立行政法人の組織等に関する予備的調査に係るご依 頼について」という文書を郵送でお送りいたしました。これは先月衆議院の調査局長か ら厚生労働大臣宛に依頼があったもので、昨年、一昨年も実施されているものです。国 会の委員会の調査や、審査のために必要な調査を委員会が調査局長に命じ、命令を受け た調査局長が厚生労働大臣に協力の要請をしてきたという性格のものです。  調査項目については多岐にわたっておりまして、その中に各府省の独立行政法人評価 委員会委員の皆様方に関する事項、具体的には、所属されている審議会名、各府省など からの金銭授受等の項目が含まれています。こういった事項につきましては、委員の皆 様に確認させていただかなければ回答できないものですので、今般、調査表をお送りし ております。この調査の性格としては、委員の皆様にご理解をいただいた上で、ご協力 をお願いするという性格のものですので、回答を差し控えられるということであれば、 その旨をご回答いただければと思います。回答については、2月1日までにお願いいた します。お忙しいところ大変恐縮ですが、ご理解、ご協力をいただきますようにお願い 申し上げます。なお、昨年度は委員の皆様方についての調査のみでしたが、今年度は委 員の皆様が所属しておられる組織についての各府省等からの金銭の授受についても調査 項目になっております。この点については、政策評価官室から直接それぞれの団体・組 織宛照会させていただいておりますので、ご了知いただければと思います。  今後の日程等については、本日17時から「第21回独立行政法人評価委員会の総会」を 開催する予定です。ここで本日ご審議いただいた医薬品医療機器総合機構、国立重度知 的障害者総合施設のぞみの園の2つの法人の見直し案を、労働部会でご審議いただいた 2つの法人の見直し案と併せて、総会にお諮りしたいと思います。正委員の皆様方に は、同じ日に2つの会議ということで、大変恐縮ですがどうぞよろしくお願い申し上げ ます。  冒頭でもご説明いたしましたが、政・独委の2次意見については、当初議題に含めて おりましたが、まだ政・独委から出ておりませんので、後日、政・独委から通知された 後、委員の皆様に郵送等で資料をお送りいたします。同じく、今後閣議決定される予定 の「独立行政法人整理合理化計画」も閣議決定がされた後で、皆様方に郵送等でお知ら せいたします。  この部会の日程については、2月下旬から3月下旬にかけて、先ほど一部ご議論をい ただいた福祉医療機構や国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の第2期の中期目標な どをご審議いただきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。 事務局からは以上です。 ○部会長 特にご質問等がなければ、終了したいと思います。よろしいですか。それで はどうもありがとうございました。終了いたします。 (終了) (照会先)  政策統括官付政策評価官室政策評価第2係  電話:03−5253−1111(内線7780)