07/12/14 第4回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録 第4回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録 1.日 時:平成19年12月14日(金) 14:00〜16:00 2.場 所:三田共用会議所 第2特別会議室 3.出席者: <五十音順> 大川弥生委員、大橋謙策委員、河原和夫委員、木村隆次委員、佐藤修一委員、 丹羽真一委員、長谷川省悟委員 事務局  人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長、保健統計室長 4.議 題  (1)WHO−FICトリエステ会議の報告について  (2)国際生活機能分類−小児青少年版について  (3)その他 ○事務局  予定の時刻となりましたので、第4回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会を 開催いたします。  各委員の先生におかれましては、お忙しいところご出席賜り誠にありがとうございます。  お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。  議事次第、資料1−1「WHO−FICトリエステ会議について」、資料1−2「WHO− FICトリエステ会議を踏まえた「国際生活機能分類」の現状」、資料2「国際生活機能分類 −小児青少年版(仮称)について」、参考資料1「WHO PUBLISHES」で始まります英語の資料が ございまして、その仮訳をしました日本語の資料がございます。その後、参考資料2「Towards a Common Language for……」で始まります英語の資料、「ビギナーズ・ガイド」と呼んでおり ます資料がございます。  先生方のお手元に、厚い資料ですが、ICF−CYの英語の資料が置いてあると思いますけ れども、これは、10月に確定版が出ましたICF−CYにつきまして、WHOプレスから、審 議のために資料のコピーを配付して良いということでしたので、そのような趣旨で今回、ご審 議にご活用いただければと思っております。お持ち帰りいただいても結構ですし、また、事務 局にお預けいただけましたら郵送もいたしますので、そのようにお申しつけください。  以上でございます。  資料に乱丁落丁等ございましたら、いつでも結構ですのでお申しつけください。  なお、本日は大日方委員と中川委員がご欠席と伺っております。  それでは、丹羽委員長、議長進行をよろしくお願いいたします。 ○丹羽座長  それでは、よろしくお願いいたします。  お手元の議事、三つございますけれども、そのうちのWHO−FICトリエステ会議の報告 についてから始めたいと思います。  最初に、事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  では、お手元の資料1−1「WHO−FICトリエステ会議について」をご覧ください。  これは、今年の10月28日から11月3日にかけましてイタリアの北の都市ですがトリエステ市 におきまして、毎年WHOが行っております年次会議に出席したときの報告でございます。こ れは、会議の全体の報告でございますので、ICD、ICFその他の分類すべてを含んだ報告 になっております。  まず、主な議題についての(1)ICD−11の改訂についてでございますが、改訂運営会議 (RSG)という改訂に特化した会議を作りまして、その下で改訂の方向について検討がされ ております。その議長のシュートさんより、方向性及び最終イメージについて提示がございま して、例えばプライマリーケアや臨床や研究といった三つの用途に合うような汎用性の高いも のを作り、また検討に際し、ICD−10プラスやHi-Ki、Protegeと命名されたウェブ上のプラ ットフォームで改訂されるα版、β版、あとそのトライアル版を経て2015年に改訂完成を予定 しているという趣旨の報告がございました。そのRSGの下にTAGという分野別専門部会と いうものを作りまして、それぞれの分野ごとに分かれて審議を行っているという組織体制にな っております。現在、精神、希な疾患、外因、内科、腫瘍ということで5つのTAGが作られ ており、内科分野につきましては、自治医科大学付属病院の菅野先生が部会長を務めていらっ しゃいます。  (2)のICFの活用について、新しい展開についての報告ということで、一つは、ICF −CYがベニスにおいて確定版が発表されたということと、またICFにつきましても、IC Dの改訂改正プロセスを踏襲して、分類改正改訂委員会(URC)において議論を行うとか、 あるいはターミノロジー、オントロジーといったものも、将来的に考えて用語を整理したいと か、その意味づけによる関連性も検討するということも話し合われました。これにつきまして は、資料1−2や資料2でより詳しく説明する予定でございます。  (3)の各種委員会報告ということで、年次総会におきましては、さまざまな委員会やグル ープに分かれまして検討するという進行形式をとっております。初めの企画実行委員会とは、 年次会議の間の作業の進捗やその他の運営に関しまして所掌している委員会でございまして、 一つは、この企画実行委員会自体につきましても、council(仮称)という組織替えをしまして、 メンバーも出席者も下記のように定義いたしまして、例えばWHO担当官と各委員会及びレフ ァレンスグループのチェア、協力センター長ということで決めまして、引き続き企画実行委員 会の所掌事項を検討していくということになりました。初代のcouncil(仮称)のチェアとしま しては、以下の2名の方が選ばれました。  2)本トリエステの年次会議で、annual meeting(年次会議)からassembly(仮称)へ組織 の名称を変更しまして、その参加資格につきましても以下のように、協力センターからの代表、 WHOと公式な関係を有するNGOからの代表、WHO本部が参加を認めたWHO加盟国から の代表と参加資格が定義され示されたところでございます。  普及委員会ですが、これは、各種分類の利活用や普及を促進する目的で組織されている委員 会でございます。例えば、第2回アジア・パシフィックネットワークでは、アジア・パシフィ ック地域で、具体的にはWHOのWPROやSEAROの地域に属する国々が集まり、今年9 月に京都で会議を行ったという報告をしまして、こういった地域的取り組みは今のところアジ ア・パシフィックだけですが、今後、その他の地域の情報の共有化、連携の可能性についての 検討ということも行われました。  分類改正改訂委員会。これは、ICDの改正または改訂につきまして、さまざまな委員会ま たは個人等から、そのような提案があったものにつきまして、その受け入れあるいは差し戻し 等につきまして審議をするところでございます。今回、125議題が提案され89提案が受け入れら れたということで、今後、ICFにつきましても、この会議にその改正改訂の提案をのせて審 議していく方向性が打ち出されました。  教育委員会(EC)。これは、コーダーを初めとした分類にかかわる方々の教育やトレーニ ング、あと認定などを担当している委員会でございまして、今回の会議では、死因コーディン グ認定プログラムの完成や疾病コーディング認定プログラムの開発につきまして審議されまし た。  電子媒体委員会。改正改訂にかかわる先ほどのICD−10プラスHi-Kiといったものも含めて、 そういったメンテナンスや改訂作業ツールの開発を行っているところでございまして、引き続 きそのようなソフトウエアの開発も含めたものを続けていくという審議がございました。  国際分類ファミリー拡張委員会。現在その中心分類としてICD、ICFがございますが、 その他にも関連分類などの分類がございますので、それにつきまして、今回は看護の国際分類 (ICNP)(仮称)の国際分類ファミリーへの加入を勧告したということと、伝統医学につ きましては、加入を検討したという進捗状況になっております。  死因分類改正グループ(MRG)と、疾病分類グループ(MbRG)。どちらもICD本体 への改正改訂を提案するグループでございますが、死因分類の観点からと疾病分類の観点から ということで、それぞれで議題を審議しておりまして、MRGでは50議題を議論して15議題に つきまして合意、5議題につきまして要点合意ということで、今後、共同議長のRSGへのオ ブザーバー参加を提案されたという審議結果になっております。MbRGも同様に12提案につ いてや、共同議長の交代等が審議されたということになっております。  ターミノロジーグループ。現在、ICDでは、病名につきましては、典型的に含まれるもの や除外されるもの等について一部記載されておりますが、今後、ターミノロジーとして網羅的 に分類とのマッピングを検討しておりまして、IHTSDOというSNOMEDCTなども扱 っておりますターミノロジー関係の団体と連携について議論をされたという進捗になっており ます。  生活機能分類グループ(FDRG)と言いますのが、ICFのコーディングや利活用につい て話し合うようなグループですが、今回は、先ほど申し上げましたとおり、URCにのせた改 正改訂のプロセスや、あとオントロジー、ターミノロジーの関係も将来的には検討していこう ということで、その下に設けられた8つのプログラム、基準、改正、ICDとの調和、測定と 活用、教育、倫理、環境因子、ターミノロジーに関するプログラムに分かれて審議をしました。 これにつきましては、資料1−2でより詳しく説明させていただきたいと思っております。  URC、MRG、MbRG合同会議。今回、このような委員会やグループの連携が進んだと いうことの一例でもございますが、このような合同会議が開催されまして、ICDの次の大改 正は、当初予定の2009年から2010年に1年延期になったということと、小改正は2012年まで実 施するということが決まっております。  あと、MRGの共同議長がRSGにオブザーバー参加することをWHO事務局に提案したと いうことでございます。なお、次回の年次会議の開催予定につきましては、平成20年10月26日 から11月1日にインドでという予定になっております。  以上が資料1−1の説明でございます。 ○丹羽座長  ありがとうございます。  取りあえず、1−2もありますけれども、まず、1−1というところで今説明がありました が、何かこのことに関しましてご質問等ございましたらお願いしますが、いかがですか。  もしないようでしたら1−2に進んでいただいて、もし思いつかれたものがあれば、また戻 っていただいても結構だと思いますので、それでは、続いて1−2をお願いできますか。 ○事務局  資料1−2としまして、先ほどのFDRGの議論を少し詳細にしたものをまとめてあります。  (1)分類そのものとしての進展ということで、分類としましては、平成13年のWHO総会 で採択されて完成しておりまして、翻訳版の「国際生活機能分類」を平成14年に発行したとい うのが開催前の状況でございまして、ICDと同様に、URCによる改正改訂の段階に入る方 針が示されたというのが今回の進展でございます。  差し当たり改訂は行わず改正のみ行われる予定で、ICDと同様に、インターネット上のユ ーザー階層ごとのアクセス許可による「プラットフォーム形式」というので意見集約、議決、 改正のサイクルを行うことが提案されました。ICDの改訂の場合ですと、先ほどのICD− 10プラスHi-Kiなどのウェブ上のプラットフォームの形式で行うことが提案されました。  (2)各分類項目における評価基準の設定でございますが、開催前の状況としましては、前 回の本委員会におきまして分類項目の要素が「活動」または「参加」であるものについてWH Oでの議論に先駆けて評価点基準(案)の作成を行ったという状況になっておりましたが、年 次会議での進展としましては、今後、WHOにおいても「コーディング基準」を作成していく ことについて言及されたところでございますが、詳細については今後FDRGの議論を待って いる状態でございます。  (3)実用的なユーザインターフェイスの工夫ということで、分類と評価基準につきまして は(1)と(2)で説明いたしましたとおりでございますが、実際に活用するに当たって、そ の約1,500項目をすべて評価することは困難であるので、今後実用に供する段階では、その用途 に応じて、標準的なセット分類項目を抽出する等の工夫をする必要があるということが指摘さ れておりましたが、年次会議でも、このような分類別の分類項目のセットにつきまして、汎用 的ICFコアセットと状況・状態別ICFコアセットの開発について提案されました。ただ、 具体的にどの項目を選ぶかということにつきましては今後の議論を待っているところですが、 一例としてコンピュータ・ソフトウエアを使用した測定評価結果入力ツールというものがあり まして、これはオーストラリアで独自に開発したものが紹介されまして、その実際の測定評価 をソフトウエア上で記載していき、そういった記述や情報共有のユーザインターフェイスの紹 介、工夫について言及されました。  次に、(4)簡単で容易に利用可能な普及資料の開発ですが、開催前の状況としましては、 国内におけるICFの正しい普及・啓発を図る手引きとして、今年3月に「生活機能分類の活 用に向けて−ICF(国際生活機能分類):活動と参加の基準(暫定案)−」が出版されまし て、本委員会で審議のありました暫定の活動基準提案につきまして出版したものがございます。 ICFの本体と併せてそのような出版がなされておりましたが、年次会議の進展としましては、 このような普及資料として、「ビギナーズ・ガイド」に加えまして、カリキュラムやトレーニ ング入門教材、あとガイドライン等につきまして言及されました。  (5)実地活用についてですが、開催前の状況としましては、ICFは大変汎用性の高い利 活用を目指したもので、WHOでも、スイスアーミーナイフに例えてその汎用性の高さをうた っておりますけれども、具体的な活用方策の検討が求められていたところでございますが、年 次会議におきましては、保健サービスでの測定尺度としての利用や統計分野、社会政策等での 活用について、有効利活用を促す議論がなされたところです。  (6)ICF−CYの進捗ですが、開催前は確定版が出ておらず、草案や概要、対象や基本 方針等が示されていたところでございます。年次会議におきまして確定版が発表されまして、 ICF本体との相違点としては、例えば「d816のPreschool life and related activities (就学前の生活と関連活動)」等の小児・青少年期の特徴的な項目等が追加されておりまして、 より小児・青少年のニーズに合ったものが発表されました。  (7)ICFとICF−CYに係るWHO−FIC組織体制ですが、開催前の状況としまし ては、昨年のチュニスの会議でFDRGとその下に八つのプログラムが組織されていたところ ですが、年次会議では、特にその組織体系に変更はありませんでしたが、ECとFDRG等の 関連組織間の連携が進みました。  以上が、資料1−2の説明でございます。 ○丹羽座長  ありがとうございます。  そういうわけで、WHO−FICトリエステ会議でFDRGが開催されて、このICFにつ いて、その普及等に関しまして議論がなされました。その結果を今、七点ほどにまとめてお話 しいただいたということなのですけれども、それでは、今の1−2のICFに関する議論の現 状ということについて、ご質問等ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○河原委員  5ページの真ん中ぐらいですが、(5)年次会議での進展ですが、(6)もそうですが、開 催前と会議での進展、両方併記して書いているのですが、特に(5)を例に取りますと、色々 議論がなされたとこの報告書に書いておりますが、具体的に何か決まっているのですか。例え ば、社会政策あるいは統計分野で活用についての議論がなされたとなっていますが、具体的に 何か日本に影響を及ぼすとかということはあるのですか。 ○事務局  例えば、(5)の活用のところでございますが、実際にはアメリカのワシントングループで 色々このような議論をされまして、そのような利活用を促す議論がなされたというところで、 具体的な活用の方策の提案や実地活用につきましては、今後の議論も含めて検討していくとい うような状況でございます。 ○丹羽座長  よろしいですか。 ○河原委員  はい。 ○大橋委員  同じ5ページの(4)ですが、一つは、国内で生活機能分類の活用に向けてというものが出 版されたのですが、これの普及とか活用がどの程度国内で進んでいるのかということをお聞き したいのです。  それから、その後の「普及資料として、『ビギナーズ・ガイド』」とありますが、これはW HOが定めた「ビギナーズ・ガイド」、こういうことなのでしょうか。 ○事務局  WHOでさまざまな用途などを示しまして、入門資料として活用の方向性を示したものとし て、「ビギナーズ・ガイド」がWHOのICFのホームページに掲載されていまして、現在普 及を検討しているところでございます。日本におきましても、今後ICFやICF−CYの利 活用に向けまして普及が大切だと思っております。翻訳等につきましても、その一つの方策で はないかと思っております。 ○丹羽座長  今、大橋委員の言われたさきの例の活用に向けての赤い冊子ですけれども、普及状況はいか がかと。それはどうでしょうか。 ○事務局  現状をご報告させていただきます。  先生方にご審議いただいたこの暫定案、「生活機能分類の活用に向けて」ということでござ いますけれども、今時点ではまだ、この分類をこういうふうにしたほうがいいといったような 意見までは出てきておりません。どういったところに問い合わせればどういった情報が入手で きるのか、例えば、これを出したことによりまして、そもそもICFの本体が、どこで入手で きるのかといったお問い合わせを今いただいているところでございます。実際の反響というこ とでございますと、そういったお問い合わせをいただいて、ご紹介をさせていただくなり、あ るいは先生方の中でいろいろな会合などがあるようなときにご紹介をしてくださいというよう な形でお願いをしているという段階でございます。今はいろいろな機会を利用してご紹介をさ せていただいているという状況でございます。 ○大橋委員  社会福祉士及び介護福祉士の改正が20年ぶりに行われまして、それに基づいて、今、カリキ ュラムの改正の作業がほぼまとまって、来週から多分パブリックコメントを厚生労働省がかけ るのだろうと思っているのですが、その社会福祉士及び介護福祉士の養成課程のカリキュラム の中にかなりICFの考え方が出てきているのですね。特に、介護保険分野の介護福祉士の養 成課程では、相当ICFの視点に基づいたアセスメントとかというものがたくさん出てまいり ます。社会福祉士もそこまでもう少し出してもいいかなと個人的には思っているのですが、介 護に比べれば少し少ないという状況なのですね。  そうしますと、ICFの考え方をどれだけ普及させるかというのは社会福祉の分野で非常に 重要になってきておりまして、そういう意味で、この3月に出したもので十分でないとすれば、 WHOが普及資料としての「ビギナーズ・ガイド」、これがどういうものかはよくわかりませ んが、これは国際的に汎用性を持たせた「ビギナーズ・ガイド」というわけでしょうから、当 然、日本国内的にも普及させることはすごく大事なことかと思うのです。前に出したものと 「ビギナーズ・ガイド」との違いみたいなものはかなりあるのですか。 ○事務局  「ビギナーズ・ガイド」につきましては、参考資料2として添付しておりまして、今回、翻 訳するかどうか検討するという意味で英語のまま出しておりますけれども、「Towards a Common Language……」というのがその資料になっております。  1ページおめくりいただきますと目次がございまして、初めにINTRODUCTIONがあり、WHO −FICファミリーの一員だということや、WHOやその他での用途ということで、例えば、 6ページをお開けいただきますとindividual levelということで、個人や組織のレベルや、あ るいは社会全体のレベルでどういった用途で使えるか、7ページをお開けいただきますと policy developmentということで、政策に活用したりとか、経済分析に活用したりとか、研究 に利用したりとか、また政策会議に利用したりとか、そういうふうなさまざまな汎用性の高い ということを前提としまして、その利用の可能性につきまして論じております。  さらに、最後のCONCLUSIONというところで19ページをお開けいただきますと、ICFは国際 的で科学的なツールとして、医学モデルから全体を統合した生体心理社会モデルへと移行した ということや、ICFが社会や環境を評価するためのツールとして、その概念モデルや分類を 提供するものであること、また、健康や障害のための定義や測定や政策形成の概念的な基礎と なる障害や健康について関係した部門での普遍的な分類ですというような記述がございます。 ○丹羽座長  私は精神科の分野なのですけれども、精神科の分野でも、このICFについてはかなり関心 が広がってきていると思います。現に単行本で古いバージョンをアップされた先生が、本のタ イトルに「ICFの視点から」というタイトルをつけていらっしゃる。それから、厚生労働省 の委託研究の中で、精神疾患の患者さんの地域生活について取り扱っているような班研究の中 では、このICFを用いた取り組みといったようなことも話し合われている、そんな状況も出 ております。今ほど大橋委員も言われました福祉の分野での関心といいますか広がりが出てき ているということですので、このICFの活用、この赤いパンフレット、これはこれとして、 是非、機会あるごとに普及されていくように引き続き努力をお願いしたいと思います。  この際、今、大橋委員もおっしゃっていただいた「ビギナーズ・ガイド」と言われているも の、これをどうしていくかということに関して、委員の先生方のご意見をいただいておいたほ うがいいかと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○大橋委員  この「Towards a Common Language for……」というもの、これを「ビギナーズ・ガイド」と 言うのでしょうが、是非翻訳をしていただいて、赤い冊子とセットになるようなことを考えて いただけるとありがたいと思うのです。予算的にできるかどうかなんでしょうけれども。 ○丹羽座長  ありがとうございます。この点、ほかの委員の先生方からのご意見がもしありましたらお願 いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○木村委員  今の大橋委員のお話に賛同いたします。やはり介護分野というよりも、昨年4月から介護保 険法が変わって、介護予防関係のいわゆるアセスメントから始まるケアマネジメントの中で、 国が作った介護予防サービス・支援計画表、A3シートというんですが、その中にはもともと このICFの分類が埋め込まれていますので、是非ここのところを入れてわかりやすく進めて いただければと思います。  また、先ほど大橋委員からありました介護福祉士、社会福祉士の改正の中で、教育の中でし っかりこのICFのことを植え込んでいただかないと社会に出てきてから大変なことになりま すので、そういうことで要望いたしたいと思います。よろしくお願いします。 ○大川委員  この委員会自体、ICFの正しい啓発を図るというのが、最初の大きな目的だったと思いま すが、そういう観点で言えば、いろいろな分野でICFが非常に重要視はされてきているので、 ますますこの委員会の存在意義があるのかと思います。  それで、この「ビギナーズ・ガイド」に関して、まずこのICF自体が、この本だけではき ちんとした使い方はできない、基本的には研修をして使うものだという大前提があるわけです から、研修なしに書いたものだけが動き回るということに関しては注意が必要だと考えます。 実際に、ICFは例えば介護保険関係でも使われてきましたけれども、私もいろいろな研修に 携わらせていただきましたが、あるところから伝達研修になってきたり、本だけ読んでの、こ れも十分読み込んでいただければそのようなことは生じないはずですが、講習でこれは恐らく 木村委員もかなり痛感なさっているところだと思うのですが、明確に伝わっていないとか、む しろ誤って伝えられていることすらあるわけですから、その辺はよく考えて、翻訳していただ く場合は正しく活用されるような工夫は十二分にして、また、日本の現状に合わせたところは 追加した上でつくるというのが、ICFよりきちんと活用していただく点では必要かなと思っ ております。  以上です。 ○丹羽座長  そのほか、もしありましたらお願いしたいと思いますが、いかがですか。  積極的に正しい普及が図られるということは、今の時点で非常に重要なことだというふうに 各委員指摘されているとおりだと思われますので、せっかくこういういわゆる「ビギナーズ・ ガイド」というものがあるのですから、これをこの際、事務局で翻訳普及という形で考えてい ただいて、予算的な問題もあるかもしれませんが、その辺は何とかクリアしていただいて、こ れも普及されるように、同時にICFの活用と併せてこれが普及されるようになればと思うの ですが、このあたり、事務局からいかがですか。 ○事務局  皆様方のご意見を承りましたので、ちょうど議題2で、もう一つ、ICF−CYが出まして、 こちらの翻訳も事務方で考えていきたいと思っておりましたので、それと併せて検討させてい ただきたいと思っております。 ○丹羽座長  それでは、是非そういう方向でよろしくお願いしたいと思います。  そのほか、今の1−2のご報告に関するご質問等ございましたらお願いします。いかがでし ょうか。 ○事務局  事務局より一点だけ補足をさせていただきたいと思います。  先ほど大橋先生から、こちらの「ビギナーズ・ガイド」と先般のこの活用に向けてというこ とで出させていただきました「活動と参加の基準」との相違点がどこかということでのお話が ございましたが、こちらの参考資料として載せております「ビギナーズ・ガイド」が、もちろ んICFを紹介するというところから始まりますが、どういう局面で使うのかということの導 入本的な位置づけになるものと現時点では認識しております。一方、先般取りまとめていただ きました「活動と参加の基準」でございますが、これは、実際その局面で使うときに、それぞ れの項目で評価をしていこうというときに一つの評価基準として、たたき台となるものという ことになるかと思います。  実際の導入のところの部分が「ビギナーズ・ガイド」でございまして、実際にその局面で評 価をしようというときに参考になるものが、先般取りまとめていただきましたこちらの「生活 機能分類の活用に向けて」という位置づけになろうかと思っております。重複する部分は当然 あるわけでございますけれども、これらは質が違うということになろうかと思っております。  あと、大川先生からの研修もすべきだというお話や日本国内の情勢も取り入れるべきだとい うお話、非常に重く受け止めております。しかしながら、どのレベルまでできるか、一気に進 むわけではございませんので、順次、検討会などでもご助言をいただきながら進めさせていた だければと思っております。 ○丹羽座長  両方併せて活用していくのが妥当だということだと思いますので、是非、翻訳普及の方向で お願いしたいと思います。  二つ目の議事ですが、国際生活機能分類−小児青少年版(仮称)について、これにつきまし て、事務局からご説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  では、資料2の「国際生活機能分類−小児青少年版(仮称)」ということで、今年10月にベ ニスで確定版が発表されました。小児青少年期における生活機能の特性に鑑み、国際分類ファ ミリーの中心分類である国際生活機能分類を補完する目的で、派生分類として開発されたとい う位置づけになっております。  (2)としまして、2006年WHO−FICチュニス会議において正式に承認され、今回、ベ ニスにおいて正式に発表されて、お手元には、その製本されたもののコピーをお配りしており ます。審議の目的ということでWHOから複製の許可を得たものを使っております。  (3)ですが、ICF−CYの普及及び改善等については、チュニス会議において発足した 生活機能分類グループ等で検討が進められることとされ、ICF本体と連動して改正を行う予 定であるということで、先ほど説明いたしましたように、ICDと同様にURCで改正改訂の 審議を経て、今後、取りあえずは改正を行っていくという方針が示されました。  2.国際生活機能分類−小児青少年版の主な内容というところでございますが、(1)とし まして、ICF−CYは、ICFの派生分類であり、国連の「児童権利条約」に述べられてお ります18歳未満のすべての者を対象としております。  (2)としまして、ICF本体との関係ですが、派生分類としてICF本体から由来し、そ れと完全な整合性を持ち、分類構造、カテゴリーを同じにしております。ICF本体は、本来 総合的なものでありましたが、成長・発達期の特徴を記録する用途としては、改善も指摘され ておりましたために、今回そういったものを補ってCYという形で出版されたものでございま す。  (3)のICF−CYはWHO−FICの一つであり、児童・青少年期の保健領域及び保健 関連領域の情報について、ICD−10と他の派生分類、関連分類と共に用いるべきものである としております。  (4)のICF−CYとICF本体との違いは次の四点であるとしまして、(a)記述内容 の修正と拡張、(b)新しい項目を未使用コード番号に割り振る、(c)「含まれるもの」 「除かれるもの」の規定の修正、(d)評価点を拡張して発達的側面を含めるとしまして、追 加、修正の例を(5)に上げておりますが、ほとんどがその追加という形で(b)のタイプの 追加、修正になっておりますけれども、(a)(c)(d)も見受けられます。  (5)の一つ目ですが、第1レベル(章立てレベル)での両者の違いはないが、それ以下の レベルでの追加が見られるということで、心身機能、身体構造、活動と参加、環境因子という ことでそれぞれにありますが、例としましては、「d331 Pre-talking」や「d816 Preschool life and related activities」、「s32000 Primary dentition」等、児童・青少年期に特有 な項目が追加されております。  3番目としまして、既存の項目が一部修正され、例示の部分が変更されているものがあると いうことで、これは(4)の(a)のタイプに当たる修正ですが、「d5106」の嘔吐の関係の ところでそのような記述の修正が行われておりまして、その英文の例を示してあります。  3.国際生活機能分類−小児青少年版(仮称)のICF−CYの国内の適用についてという ことでございますが、今回、10月にベニスで発表されたのを受けました国内対応の案につきま して示してあります。  まず、1番目が、ICF−CYのプレス発表について社会保障審議会統計分科会へ報告する ということで、そのプレス発表の原文と訳を参考資料1として添付しております。  次ですが、専門性の高い個別具体的な審議内容であることから、小児青少年期領域の専門家 の意見を反映するための体制の構築を行う。検討内容を関係省庁、関係部局、関係団体等に送 付し意見聴取を行う。集約した意見をとりまとめ委員会において検討するということを考えて おります。  ICF専門委員会における検討結果を統計分科会に報告し、国際生活機能分類−小児青少年 版(仮称)の日本語版の刊行も検討しております。  先ほどのWHOによるICF−CYのプレス発表でございますが、参考資料1として英文の ものがつけてありますが、これにつきましては、日本語訳を次のページに仮訳ということでつ けておりますので、そちらで説明いたしたいと思います。  「WHOが小児・青少年の健康の記録を目的とした新しい標準を発表」というタイトルにな っておりまして、2007年10月24日ジュネーブ/ベネチア−WHOは、小児・青少年の発達段階 および彼らが置かれている環境に照らして彼らの健康を評価するため、初の国際的な合意に基 づく分類コードを発表。ICF−CYは、長らく成人のための標準であった方法論により、小 児の健康状態を正確に記述することの重要性を再確認するものである。小児・青少年を彼らの 置かれた連続的な環境と発達という文脈の中でとらえつつ、ICF−CYは、何百もの心身機 能・身体構造、活動、参加、そして日々の一連の活動において若者の機能を妨げるあるいは許 容するさまざまな環境因子に分類コードを適用している。WHO−FICネットワーク生活機 能分類グループ議長であるRos Maddenさんは、「ICF−CYは我々が単純な診断名から卒業 する手助けになろう。それは日々の生活および活動という文脈の中で継続的に小児・青少年の 生活機能の実態を示すだろう。ICF−CYにより小児の健康を正確かつ建設的に記述できる ようになり、ケア、支援、政策変更が必要とされる分野を特定することができる」という発言 が紹介されておりまして、その後、さまざまな関係者の発言の引用が紹介されております。4 ページの最後のパラグラフでございますが、日本から国立特別支援教育総合研究所の小田豊理 事長からの発言もございまして、「小児・青少年の身体的・社会的・精神的な機能について、 彼らの発達・環境という文脈の中で重点的に取り組むというアプローチは特殊教育に重要な示 唆を与える」とのご発言につきましても、このプレスリリースの中に盛り込まれております。  以上が、資料2と参考資料1の説明でございます。  これに関しまして、今日ご欠席の大日方委員から、発言のメモという形でご意見をお預かり しておりますので、それを紹介させていただきたいと思います。  まず、ICF全体についてということですが、これまではICFについて、理念ベースも含 めて検討を重ねてきたが、今後は、その理念が現場で生かされるように、まずは何らかの形で 使ってみることから始めて、実際の活用方策の検討も含めて工夫を続けていくことが重要では ないか。  そのためには、例えば活用場面でのデータ収集等で用いる「様式」「フォーマット」等、利 用者の立場に立った工夫や使い勝手につき検討することが必要ではないか。 というのが、一点目の論点としていただいております。  また、ICF−CYにつきまして小児・青少年の専門家も必要だということでございますが、 その点につきまして、「保健上の特徴も踏まえ、下記のような専門分野の知見も織り交ぜなが ら行うと、よりよい議論につながるのではないか」ということで、一つは福祉用具の関係でご ざいますが、 生活機能の改善の観点からは、子どもは成長が早く、障害の状態、成長の状態 に合わせた用具を使用したり、用具の工夫をしたりすることなどによってできる能力をどれだ け引き出せるかが容易に左右される。このことから、福祉用具やリハビリ工学の専門家の視点 を取り入れるのがよいのではないか。  ちなみに、現状では、福祉用具の決定プロセスは、判定医が、個々人のニーズを吸い上げる 習慣やツールなしに、機能のみで硬直的な決定がなされている印象があるので、子どもであれ ば親が状況を正しく伝えるなど、判定する側、される側双方の意識を変える必要があるように 思うということで、もう一点は、排泄ケアの関係の専門家ですが、大人だけでなく小児青少年 にとって、生活する上で排泄は、重要な課題であるので、排泄ケア、コンチネンスの関係の視 点も、実際問題としては必要ではないか。ICF−CYの検討に当たっての分野としまして、 福祉用具とコンチネンスの関係の二点のご提案をいただきました。  以上が、大日方委員からの発言メモの紹介でございます。 ○丹羽座長  それでは、まず、ICF−CYのことにつきましてのご質問等ありましたらお願いしたいと 思いますけれども、いかがですか。  これは、今も話がございましたように、トリエステの会議の直前にベニスでICF−CYの 会議がありまして、日本からも何人かの先生がそちらに出ておられましたけれども、そこで今 配布されておりますような形で決定されたということで、前からこれを整備する作業が進行し ていたということはここでも出されておったわけですが、一応それの確定版が出たという現段 階におきまして、この普及を図っていく上でどのようにしていったらいいかということになる と思います。  事務局からは、今ほどの資料2の説明の中で、後ろの3番で述べられましたけれども、今後 の国内への適用に向けた対応ということで幾つかございましたが、その普及に当たっては、小 児・青少年領域の専門家の意見を反映するような体制を構築しながら、これを普及していくこ とが必要なのではないか。今の大日方委員からの発言の紹介をいただきましたけれども、そこ の中でも、大日方委員から、リハビリ工学であるとか排泄ケアの観点からいろいろ検討いただ ける人、そういったような方も検討されてはいかがかという提案があったのですが、やはりこ れを普及していく上では、このICF−CYを翻訳していくことがまず必要になると思います し、その翻訳の上では、日本の実情とかということも考慮しながら考えていく必要もあると思 われます。その翻訳に当たっては、今、事務局からもお話がありましたような、小児・青少年 領域の専門家がいろいろな角度から検討いただけるような体制をつくって進めることが是非必 要なのではないかと思われます。  もし、そういう方向で進めることに関しまして、何か他にご意見ございましたらお願いした いと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○大橋委員  是非そういう検討をいただきたいのですが、ちょっとお聞きしたいのですが、胎児期という のはどういうふうに考えるのですか。あるいは親子関係なんていうのはどういうふうに考えた らいいのですか。 ○事務局  まず、胎児期でございますが、その対象が国連の児童権利条約に述べられております「18歳 未満のすべての者をいう」ということで内訳として新生児、乳幼児、児童、青少年ということ で例示されております。胎児期については明記されておりませんので、WHOに確認が必要だ と思います。 ○丹羽座長  その点、一応、現状では言葉としては含まれていないということかとは思うんですが、一体 どの辺までをさかのぼるということがあるのか、その辺は確かめてみていただけますでしょう か。  それから、今、大橋委員の言われた親子関係というのはどこに入ってくるだろうかという点 に関しましてはいかがでしょうか。 ○大橋委員  そういうことも含めないと、どうしても従来の医学モデル的に言うと、その個体なりのとこ ろを考えるけれども、活動参加というのは、個体の活動参加というのはわかるのですが、逆に、 子どもの場合には外からの働きかけによって個体がいろいろな影響を受けるということを考え るとなると、環境なりの持つ意味というのが大人の場合とちょっと違うかなと。そういう意味 で親子関係を少し重視しておいたほうがあるいはいいのかなと。検討いただければいいのです。 まさにそういうことを検討いただければいいです。 ○事務局  わかりました。 ○大川委員  環境としてとらえると環境因子の中の従来のICF本体自体にありました第3章の「支援と 関係」と、第4章の「態度」の中に含まれることだと思われます。例えばe310の家族、e410の 家族の態度は今回の新しいICF−CYの改訂過程におきましても、それから最終版におきま しても、これらの項目に関しまして追加はございません。なお、影響される生活機能としての 760の家族関係、更に細かく7600の子供との関係、7601の親との関係があります。 ○大橋委員  それで子どもをカバーできますか。 ○大川委員  中項目の中には細かい小項目があげられていなくても、包括的には全て含まれるという考え 方ですから、一応含まれると考えてよろしいのではないかと思います。  そこで考えるべきことは、結局ICF自体、それからICF−CYもですが、やはりこれも どんどん発展していくものであって、そこの中での課題として、先生がおっしゃるように、環 境因子のところをもっと細かく見るべきであるという項目の細分化の検討、また本人と家族と いうような第三者に対してどういうふうに変化が及ぼされるのかというような、第三者への関 係ということも今後のICFの検討課題だと位置づけ、そういう問題意識を持って考えていけ ばいいのではないかと私個人としては思っています。 ○大橋委員  例えば、これで行けば対人関係とありますね。ある程度大人を想定した対人関係と、それか ら今回のものに「pre」とかなり出てきますね。「pre」の持つ意味、つまり言語がまだ習得さ れていない、喃語のレベルなども含めて対人関係だけでくくれるのか、それは環境で考えるの か。逆に言えば、親が積極的に働きかけることによって子どもの言語ができるということに考 えるのか。どうも環境だけでもないし、対人関係でもない、何か子どもだからややもすると受 動的になるわけなので、その受動的なところだけで章を立てたのでは弱いので、受動的な立場 の子どもに働きかける側のところの問題を、環境も含めた何かちょっと意識して言わないとい けないのかなと思ったものですから。 ○大川委員  かなり生活機能構造論的な学問的なところに入ってくるものですから、また別の機会に先生 とじっくりお話しさせていただきたいのですが、一応、環境の中には人的、それから物的、制 度的な環境があるわけですが、更に同じ環境の中でも相互関係がかなりあると思うのですね。 ですから、先生がおっしゃっているように、環境の中での人的な環境でもまた相互関係がある わけですから、お子さんの場合には大人以上に、でも、大人も実はあるのかもしれませんけれ ども、そういうところの環境の中のもっと分析というものも今後大事になってくるのではない か。それから、もう一つ、個人因子というものもかなり大きく影響する因子として考えるべき ですが、今回は全然さわられていないというところがこれも今後のICFの大きな課題かなと 思っております。ここは、深めていけば、かなり深められるところではないかと思います。 ○事務局  いろいろな場面での活用を想定された上でのご発言をいただいたものと受け止めております。 今回のICF−CY、日本語訳もまだできていないという状況です。この日本語訳を検討する という段階でございます。当然、WHOで出しているもので網羅できている部分もあれば、活 用していくという場面において考えていかないといけない部分もあるかと思っております。  このWHOから出されたもの、ICF−CYとして発行されたものの日本語版をつくるとき に、さすがに内容を全部修正するというところは余りできるところではございませんので、そ こはきちんとWHOから出されたICF−CYして出させていただくような方向になるものと 思っておりますし、それが出てきた段階で、どういった活用があるのか、どういうふうに先生 が問題意識を持っている点に利用していけるのかというところは、またいろいろとご議論いた だく、あるいはいろいろな学会の中でも活用を検討していただくことになるかと思います。  やはり活用のレベルのところとWHOが出したICF−CYをICF−CYとして受け止め るという部分とはきちんと分けて、整理しながら対応していかなければならないと事務局とし ては思っているところでございます。  大橋委員からのご質問ですが、一つは、胎児関係につきましてはWHOの担当官に問い合わ せをしておきたいと思います。  あと、親子関係も含めたところでございますが、ICF、日本語版ですと、ページ185ですが、 e410としまして家族の態度、あとe415親族の態度、e420友人の態度、あとe425としまして 知人、仲間、同僚、隣人、コミュニティの全員の態度。以下、対人関係も含めまして項目がご ざいます。今後の利活用等につきまして、検討していくものではないかと思っております。 ○大橋委員  分類と活用で意識して分けて整理したほうがいいことは事実ですし、ICF−CYが正式に 出たので、これはこれでいいのですが、言われるように、例えば虐待だとかそういうことを考 えたときに、どういうふうにそこのところを専門職が意識化できるか、そういうことを考えて しまうと、今みたいなことをもう少し丁寧にやらないと、教育だとか児童福祉分野でうまく展 開できないのかなと思ったものですから。訳すときはどうでもいい――どうでもいいというの は語弊がありますが、これはこれで正式なものですからそれでいいですが、解説なり活用なり というところは少し意識しておく必要はあるかな、そんな感じを持ったものですから、どうぞ よろしくお願いいたします。 ○丹羽座長  大橋委員の言われた点、大変重要な点だと思います。実際に活用ということを考えていった 場合に、その翻訳の段階から、一応そういう視点を持ちながら、問題意識を持ちながらつくっ ていくということを是非お願いできればと。そういう意味では、その翻訳作業に携わっていた だく方の中に、先ほど来話が出ていますけれども、幾つかの専門領域の分野の方に参加いただ けるような、今、例えばどれどれと全部挙げつらうわけにはいかないですが、お考えいただい て進めていただくのが妥当かと思います。是非そのように考えていただいて、お願いしたいと 思います。  大橋委員、取りあえずそういうことでよろしいでしょうか。 ○大橋委員  はい。 ○丹羽座長  そのほかはいかがでしょうか。 ○河原委員  事務局として是非翻訳と普及啓発を進めていただきたいと思いますが、このICFに関しま してはかなり医学用語も出てくると思うのですが、ちょっとこれを拝見いたしますと、例えば 痴呆ということがいまだに載っている。痴呆が認知症に変わる前の版だと思いますが、そのほ かも、例えば色盲、今、眼科学会では色覚異常になっています。それから副甲状腺は、学会が、 外科系は副甲状腺とか、ある学会は上皮小体とか、いろいろまだ統一されていないところもあ りますが、日本医学会で、学会の意見を聞きながら医学用語をなるべく統一する作業をしてい るところです。今年の4月に南山堂から「日本医学会医学用語辞典」というものを発行されて おりまして、順次改訂して、学会の要望を聞きながら用語を統一すると。アメリカのMeSHの用 語に対比したような形で用語を統一するという作業で、今、医学会全体が進んでいますので、 是非こちらも、翻訳に当たっては医学用語を統一するような、医学会の用語にできれば従って いただくような形になりますといいのではないかと思います。 ○丹羽座長  ひょっとしたら医学用語だけではないかもしれませんが、特に医学用語に関しまして、今い ろいろな用語の改訂作業も進んでいるという事情もありますので、参考にしていただきながら 慎重に進めていただくようにお願いします。  そのほかはいかがでしょうか。 ○大川委員  ICF−CYの位置づけ自体についてもう一度、ある意味確認させていただきたいのですが、 一部で誤解がこれまた広まり出したところがあるものですから、是非プレス発表などのときに 事務局で十分徹底していただければと思うところがございます。  一番大事なところは、ICF−CYというのは、あくまでもICFの派生分類であるという ところでありまして、ICF本体自体をきちんと理解しておかなければICF−CYは使えな い。本の構成自体も、ICFの序文のところも、それから付録もきちんとついており、構成自 体も基本的に全部ICFにのっとっております。理念もそうです。そこが抜けて、何か特別な ICF−CYというものがあると一部では誤解がもう広まりつつありますので、是非そこのと ころは気をつけていただきたい。  それから、ICF及びICF−CYも健康に関する分類です。あくまでもそこのところは失 わないように。  対象者の年齢に関してですが、まず小児・青年期にはICF−CYを使い、あるときからI CFを使うということではありません。ICF本体があり、必要に応じICF−CYで細かく みるということです。1人のお子様がだんだん大きくなって高齢者になっていく、もしくは途 中で障害を持ったりするという時に一貫性を持っていることが大事です。理念も分類法として の活用もそこのところは、ICF−CY自体が、ある意味ひとり歩きしないように是非コント ロールしていただければと思います。  そういう観点でいきましたならば、ICFの項目自体ですが、これも誤解があることですが、 ICF−CYは、ICFに追加になったものは大きく分ければ3種類あると思うのです。1つ は、本当に児童や青年期に特有のものであって、2つ目は、児童・青年期にある程度関係が深 いけれども高齢者だとか成人に無関係とは言えないもの、それから3番目は、全く児童・青年 期にかかわらず、むしろICF本体のときに十分には追加ができていなかったものというよう なことだと思うのです。  そうすると、最初の本当の児童・青年期に特有の項目というのはごくごく少ないわけですね。 喃語だとか、乳歯だとか、就学前の教育だとか、ごくごく一部分のものであって、例えば寝返 りというのは、高齢の要介護者の寝返りなどは、木村委員から言えば、何でICF自体に入っ ていないのだとおっしゃりたいと思うし、例えば歌うことだとかというのが今回入っています が、歌うのは子どもだけではなくて、大人が歌うこともあるわけですね。そういうふうに、む しろ本当に児童・青年期に特殊な用語はごくごく一部分です。ですから、むしろ翻訳に当たっ ても、それからICF−CYの使い方の検討に当たっても、あくまでもICFが本体にあると いう観点を持っていただくことが必要だと思います。それから河原先生からのご意見も出まし たように、この機会にICF本体自体の翻訳とか本体の見直しという観点も、ICFが用いら れるようになってもうある程度時間もたちましたし、含めてもいいのではないかと思います。  ですから、例えば資料の7ページの(4)がありますが、ICF−CYとICF本体との、 これは「違い」ではなくて、ちょっと細かいことを言うようで恐縮でございますけれども、こ れはICF本体に一部分こういう要素が入ったぐらいのものかと思っております。ですから、 あくまでもICF−CYがひとり歩きしないように、ICF本体を理解することなしにICF −CYは使えるものではないということ。そしてこのICF−CYができたことで、むしろI CF本体をもう一回見直していただいて、もう一度普及啓発のいい機会ととらえればいいので はないかと思っています。 ○丹羽座長  今のご指摘の点も大変重要な点だと思いますので、普及に当たっての一つの視点として押さ えていただきたいと思います。  もう一つ、ICFの翻訳に関しましても、この際、不適切な訳語がなお、もしあるようでし たら、事務局で検討していただいて、次回のこの会あたりにでもご報告いただいて検討できる ようにしていただくといいのではないかと思いますが、ちょっとお考えいただけますでしょう か。 ○事務局  ご意見承りました。ICF本体が結構膨大なので、どこまでできるか分かりませんが、念頭 に置きたいとは思っております。 ○丹羽座長  よろしくお願いします。  そのほかはいかがでしょうか。 ○大川委員  大日方委員から出たご意見の一つの中で排泄の関係がありましたが、これは、先ほど申し上 げたICF−CYで新しい項目として追加になったものが、児童・青年に関するものだけでは ないという一つの例でもありますが、d5300の排尿の管理と5301の排便の管理についてICF は小分類まででしたがもっと細かい細分類が新規に今回出されておりますから、ご意見の観点 から活用しやすく分かりやすくなったと思います。 ○丹羽座長  翻訳普及に当たりまして、今のいろいろな専門的な立場からの意見が反映されるような工夫 をしていただきながら、その翻訳チームをお考えいただくことで、各委員から出された意見を 生かせるようにお考えいただければ。具体的にどう進めていただくかに関しては、事務局でお 考えいただいて進めていただくというのが実際的だろうと思います。そのようにお願いしたい と思いますけれども、これは各委員の先生方いかがでしょうか。よろしいですか。  それでは、そういうことで進めていただくということでお願いしたいと思います。よろしく お願いします。  資料2の3番目のところで出ておりました事柄に関して、まず、それを進めなければそのほ かのことも進まないということでもあると思いますので、ただ、その翻訳普及作業を進めなが ら、統計分科会に報告していく、そういうことに関しましてもそのようにして進めていただく のがいいかと思いますので、この点も、各委員の先生方の賛同を得ておきたいと思いますが、 よろしいですか。  そうしましたら、ICF−CYに関しましての説明及びそれをめぐりましての質疑に関して は、ここで終わりにしたいと思いますけれども、よろしいですか。  それでは、議題2につきましては以上で終わりにしたいと思います。  議題というわけではありませんが、その他が3番にございますが、各委員の先生方から、全 体的なことを通してご発言等ありましたらお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょう か。 ○木村委員  今、ICF−CYの質疑から解かれたので、ICF本体のことに関連してですが、来年4月 から後期高齢者医療制度が始まります。そのときに退院時調整等が行われるように、システム 的には動くようなのですが、退院時カンファレンスのときに、まさに共通言語がなくて導入す るのに大変混乱するのではないかと考えています。それはなぜかといいますと、医療機関側に チームがあって、多分、保健医療職のチームだと思います。在宅側に保健・医療・福祉と介護 職のチームがあって、その人たちが一緒にカンファレンスで調整して、その患者さんが安心し て暮らせる体制というものをつくっていく形になります。これは当然必要不可欠なものですね。 カンファレンスのときに、その病院が使っている特有のシートというか様式で、情報を在宅チ ームに提供する、逆に在宅側から入院するときに情報提供するシート、そこに入っている項目 等がはっきり言ってばらばらでイメージがつかないとなると、とても時間がかかるし理解度も 低くなるということを考えますと、このICFというものが膨大な項目ではございますが、ま さに共通言語ということでこれを普及しようということでやってきたわけですね。ですから、 現場に早くこのICFを中核とした共通言語を浸透させていかなければいけないということが 1点。  それから、もう一回繰り返しますけれども、先ほど大橋委員からご提案ありました内容で、 今、私は薬学の6年制度の教育のところを担当しておりまして、さっきちょっと関係したとこ ろをばっと見たのですけれども、ICFが薬学会とか、いわゆる薬学教育の中とかに、はっき り言って全くないのです。薬学を入れてほしいと言っているのではなくて、保健・医療・福 祉・介護の養成校とかに必ずICFを必須に入れていくことを国として進めていってもらえな いと、幾らやってもここの委員会だけの話になってしまうような危惧をしておりますので、こ の分科会、専門委員会として、そういう各教育方面等、それから現場に働きかけていくことを 進めていただくことをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○丹羽座長  今の木村委員のご意見をめぐりましていかがでしょうか。大方それはそのとおりだとご同意 いただけることではないかとは思いますが。要は、国でその辺を統一して、いろいろなところ でこれをやりなさいと共通の方針を出していただけるかどうかということかと思いますけれど も、何か事務局で、この点をめぐりましてご意見がもしありましたらお願いしますが、いかが ですか。 ○事務局  普及推進の趣旨に関しましては大筋でその通りだと思いますので、また精査しまして、検討 したいと思っております。 ○丹羽座長  では、よろしくお願いいたします。  そのほかはいかがでしょうか。今の木村委員のお話といろいろかかわることだと思いますけ れども、資料1−2の3番のところでご報告いただいた、WHOでも実用的なユーザインター フェイスを工夫するという話が進んではいると。この点が、実際の普及という点ではかなり重 要なことなのではないかと思われるのですね。今、木村委員が言われたこともまさにその一つ だと思いますし、いろいろな分野で実際このインターフェイスをどうつくっていったらいいか、 あるいはつくったものがいつごろ出てくるのかとか、そういう質問もちょくちょくいただいた り耳にしたりいたしますので、実際に使われる人にしてみると、こういう点の進捗状況がどう なっているかということを特に重点的に教えてもらえることがあると、実際に活用していく上 で一つの考えが持てると思いますので、是非このあたりについての情報というものをきめ細か に教えていただけるといいなと思います。 ○大橋委員  事務局、可能性なのですが、厚生労働科学研究で今みたいな例えば薬学の分野におけるIC Fの活用とか、社会福祉分野におけるものとか管理栄養士たちの活動の中におけるICFの活 用だとか、そういうものを厚生労働科学研究の中で枠が取れて各分野に任せてくれればやりま す、こういう話なのですけれども、そういう可能性はないですか。 ○丹羽座長  大変いい話だと思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局  厚生科学課も含めて省全体での検討の話でもございますので、そういったご意見をいただい たということを留意したいと思っております。 ○丹羽座長  是非前向きにご検討いただければと思います。  ほかはいかがでしょうか。  では、もしないようでしたらば、取りあえず議題については以上とさせていただきます。  最後に、今後の予定ですけれども、事務局からご説明お願いできますか。 ○事務局  次回の第5回の委員会開催につきましては、日程調整の上、改めてご連絡させていただきま す。  以上でございます。 ○丹羽座長  ありがとうございます。では、よろしく調整をお願いします。  何か、今の今後の進捗ということに関しましてご質問等ありましたらお願いしますが、いか がですか。よろしいですか。  そうしましたら、以上で本日の第4回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会を 閉会させていただきます。  どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課     疾病傷害死因分類調査室     電話 (代表)03-5253-1111(内線)7493