07/12/12 中央社会保険医療協議会総会平成19年12月12日議事録 07/12/12 中央社会保険医療協議会          第117回総会議事録 (1)日時  平成19年12月12日(水)11:18〜12:15 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 土田武史会長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 庄司洋子委員  白石小百合委員        対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員 丸山誠委員          高橋健二委員(代 清水) 松浦稔明委員       竹嶋康弘委員 鈴木満委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員       渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本昭文専門委員 大島伸一専門委員 古橋美智子専門委員        黒崎紀正専門委員       <参考人>       加藤治文薬価算定組織委員長       <事務局>       原医療課長 宇都宮医療課企画官 磯部薬剤管理官 他 (4)議題  ○医薬品の薬価収載について       ○保険医が投与することが出来る注射薬及び在宅自己注射指導管理料の対象        薬価の追加について       ○医療機器の保険適用について       ○臨床検査の保険適用について       ○先進医療専門家会議の報告について       ○平成20年度診療報酬改定の基本方針(社会保障審議会)について (5)議事内容  ○土田会長  ただいまより、第117回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。  まず、委員の選任について御報告いたします。  古橋専門委員が11月30日付で任期満了を迎えられ、翌12月1日付で改めて発令さ れております。  また、11月30日付で室谷委員が任期満了により御退任され、その後任として、12 月1日付で庄司洋子委員が発令されております。  なお、事務局より、今回発令されたお二人から、「自らが国家公務員であり、高い倫理 を保って行動する旨の宣誓をいただいている」との報告を受けております。  それでは、新任の庄司委員より一言御挨拶をお願いいたします。 ○庄司委員  庄司でございます。この時期で、一気に参加することは難しいのですが、少しでも早く 慣れまして役割を務められるよう努力いたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいた します。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  また、委員の異動に伴いまして、各小委員会及び各部会に属すべき委員及び専門委員に ついても異動が発生しております。  各小委員会及び各部会に属すべき委員及び専門委員については、中央社会保険医療協議 会の承認を経て会長が指名することとされております。  なお、診療報酬基本問題小委員会、薬価専門部会及び保険医療材料専門部会につきまし ては、異動後この総会開催前に開催する必要がございましたので、委員各位の御意向を確 認の上、既に指名させていただいておりますことを申し添えたいと思います。  お手元に、これら以外についての案をお示ししておりますが、ここで御承認いただけれ ば、そのとおり指名したいと思いますが、御同意いただけますでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。では、そのとおりとさせていただきます。 ○事務局(原医療課長)   委員名簿について、今多分お手元に、私のところもないのですけれども、ちょっと欠落 していると思いますので、全体の確認について、次回に正式にお示ししたいと思います。 ○土田会長   どうも大変失礼しました。確認すればよかったのですが、どうも失礼しました。では、 そのようにさせていただきたいと思います。  次に、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、前田委員と石井委員が御欠 席になっております。高橋委員の代理で全日本海員組合の清水保さんがお見えになってお ります。  なお、保険局長及び審議官は公務のため欠席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  まず、「医薬品の薬価収載」について議題としたいと思います。  薬価算定組織の加藤委員長がお見えになっておりますので、最初に説明をお願いいたし ます。 ○加藤委員長   薬価算定組織の委員長を務めております加藤でございます。私のほうから、今回検討い たしました新医薬品の算定結果について報告させていただきます。  まず、資料の中医協総−1をごらんください。今回報告いたします品目は、1ページの 一覧表にありますとおり、9成分16品目であります。  それでは、算定内容について説明をいたします。1番のコンサータ錠18mg、同錠27 mgでございますが、2ページをごらんください。コンサータ錠は、塩酸メチルフェニデー トを有効成分とした徐放性製剤であり、小児期における注意欠陥/多動性障害、これはA D/HDともいいますが、これを効能・効果とする内用薬であります。  3ページを見てください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については既収載品の中 に同様の効能・効果などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式による算定が妥当と 判断いたしました。  したがいまして、2ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、18mg1錠が33 6.60円、27mg1錠が373.00円となりました。  次に2番目のケアロードLA錠60μg、ベラサスLA錠60μgについてお話をいた します。4ページをごらんください。ケアロードLA錠、ベラサスLA錠は、ベラプロス トナトリウムを有効成分とした徐放性製剤であり、肺動脈性肺高血圧症を効能・効果とす る内用薬であります。  5ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、同一有効成分であ るドルナー錠20μg、プロサイリン錠20が薬価収載されていることから、これを最類 似薬とした規格間調整による算定が妥当と判断しました。また、本剤は徐放錠とすること により服用回数が低減できることから、有用性に基づく市場性加算(II)、A=3%を適 用することが妥当と判断いたしました。  したがいまして、4ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬であるドル ナー錠、プロサイリン錠と規格間調整に有用性に基づく市場性加算(II)、A=3%を適 用し、60μg1錠243.30円となりました。  次に3番目のディナゲスト錠1mgについて報告いたします。資料6ページをごらんくだ さい。ディナゲスト錠は、ジエノゲストを有効成分とし、子宮内膜症を効能・効果とする 内用薬であります。  7ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果などが 類似するダナゾールを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断い たしました。  したがいまして、6ページに戻り、本剤の算定薬価は、最類似薬であるボンゾール錠2 00mgとの1日薬価合わせにより、1mg1錠468.40円となりました。  次に4番目のレグパラ錠25mg、同錠75mgについて御報告いたします。8ページをご らんください。レグパラ錠は、シナカルセト塩酸塩を有効成分とし、維持透析下の二次性 の副甲状腺機能亢進症を効能・効果とする内用薬であります。  9ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果などが 類似するマキサカルシトールを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当 と判断いたしました。また、本剤は、カルシウム受容体に作用する薬剤であり、臨床上有 用な新規の作用機序を有すること、既存の活性型ビタミンD製剤を投与できない血清カル シウム濃度が高値の患者に対しても投与が可能であるということを踏まえて、有用性加算 (I)、A=25%を適用することが妥当と判断いたしました。  したがいまして、8ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬であるオキ サロール注5μgとの1日薬価合わせに有用性加算(I)、A=25%を適用し、25mg 1錠554.90円、規格間調整によって、75mg1錠1,019.00円となりました。  次に5番目のタルセバ錠25mg、同錠100mg、同錠150mgについて報告いたします。 10ページをごらんください。タルセバ錠は、エルロチニブ塩酸塩を有効成分とし、切除 不能な再発・進行性で、癌化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌を効能・効果とする内 用薬であります。  11ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果など が類似するゲフィチニブを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判 断いたしました。また、本剤は、海外第三相試験においてプラセボ群に対する全生存期間 の有意な延長が認められていることなどを踏まえて、有用性加算(II)、A=5%を適用 することが妥当と判断いたしました。  したがいまして、10ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬であるイ レッサ錠250との1日薬価合わせによって、有用性加算(II)、A=5%を適用し、1 50mg1錠6,943.80円となりますが、これは外国平均価格の約0.52倍になり ますので、外国平均価格調整による引き上げの対象となります。調整後の最終的な算定薬 価は、150mg1錠1万513.00円、規格間調整によって100mg1錠7,183. 90円、25mg1錠1,954.20円となりました。  次に6番目のクラリチンドライシロップ1%について報告します。12ページをごらん ください。クラリチンドライシロップ1%は、ロラタジンを有効成分とし、アレルギー性 鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒を効能・効果とする内用薬であります。  13ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、同一有効成分で あるクラリチン錠10mg、クラリチンレディタブ錠10mgが薬価収載されていることから、 これを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断いたしました。  したがいまして、12ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬であるク ラリチン錠、クラリチンレディタブ錠との1日薬価合わせにより、1%1g265.80 円となりました。  次に7番目のレベミル注300、同フレックスペンについて報告いたします。14ペー ジをごらんください。レベミル注は、インスリンデテミルを有効成分とする持続型のイン スリンアナログ製剤でありまして、インスリン療法が適応となる糖尿病を効能・効果とす る注射薬であります。  15ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果など が類似するインスリングラルギンを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が 妥当と判断いたしました。また、レベミル注300フレックスペンはキット製品であるこ とから、キット加算、A=3%を適用することが妥当と判断いたしました。  したがいまして、14ページに戻ってください。本剤の算定薬価は、最類似薬であるラ ンタス注オプチクリックとの1日薬価合わせにより、300単位1筒1,841円、30 0単位1キット2,577円となりました。  次に8番目のアラノンジー静注用250mgをごらんください。16ページをごらんくだ さい。アラノンジー静注用は、ネララビンを有効成分とし、再発または難治性のT細胞急 性リンパ性白血病、T細胞リンパ芽球性リンパ腫を効能・効果とする注射薬であります。  17ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載 品の中に同様の効能・効果などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式による算定が 妥当と判断いたしました。  したがいまして、16ページに戻っていただき、本剤の算定価格は、250mg50mL1 瓶5万2,540円となりました。  最後に9番のEOB・プリモビスト注シリンジについて報告いたします。18ページを ごらんください。EOB・プリモビスト注は、ガドキセト酸ナトリウムを有効成分とし、 磁気共鳴コンピューター断層撮影における肝腫瘍の造影を効能・効果とする注射薬であり ます。  19ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果など が類似するフェルカルボトランを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥 当と判断いたしました。また、本剤は、肝腫瘍の造影に加え、血流情報の造影効果も有す ることなどを踏まえて、有用性加算(II)、A=10%を適用することが妥当と判断し、 本剤はキット製品であることから、キット加算、A=3%を適用することが妥当と判断い たしました。  したがいまして、18ページに戻り、本剤の算定薬価は、最類似薬であるリゾビスト注 との1日薬価合わせにより、18.143%5mL1筒1万3,765円、18.143% 10mL1筒2万504円となりました。  以上で報告を終わります。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御意見、御質問ございましたら、どうぞ。 ○高橋委員(代理清水氏)   単なる質問なのですが、3ページに「同様の効能・効果等をもつ類似薬はない。」と記 載されておりますけれども、リタリンは類似薬ということにはならないのでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)   薬剤管理官でございます。確かにリタリンと有効成分は同じ塩酸メチルフェニデートで ございます。それは事実でございます。それで、比較薬をとる場合のルールとして、これ は薬価専門部会でもいろいろ説明をしているのですが、昭和54年以降のものをとるとい うことで、現行の薬事法の基本的な体系ができてからということでございまして、リタリ ンは昭和33年から販売されているということで、薬価算定上の比較薬としてはちょっと 古すぎてとらないというルールにさせていただいておりますので、そういう意味から、こ こに書いていないという状況でございます。 ○土田会長  清水さん、よろしいですか。 ○高橋委員(代理清水氏)  はい。 ○対馬委員   これも単純な質問なのですけれども、6ページのところですが、今回は1錠1mgですね、 それに対して比較薬のほうは200mgということで、重量というのでしょうか、大きさと いうのでしょうか、200分の1ということなのですが、こういったケースというのはけ っこうあるのでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)   単位当たりの効力が、ジエノゲストのほうが、非常に強力だということだと思うのです が、類似薬でここまで違うのはあまりないと思いますが、用量的なもので、その効力とい いますか、ある一定の量当たりの効力がけっこう違って、最終的に臨床的に合わせるため に用量が違ってくるわけでございますけれども、そういうことはございますが、確かに対 馬委員おっしゃるように、ここまでちょっと大きく違うのはそれほどないかもしれません。 ○土田会長  ほかにございますでしょうか。  ほかに御質問がないようでしたら、ただいま御説明いただいた薬剤について中医協とし ては承認するということにしたいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  加藤先生、長い時間、どうもありがとうございました。                 〔加藤委員長退席〕 ○土田会長  それでは、次の議題に移らせていただきます。「保険医が投与することができる注射薬 及び在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加」について議題としたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)   医療課長でございます。中医協総−2の資料をごらんいただきたいと思います。  在宅自己注射指導管理料につきましては、そこに出ておりますように、頻回の注射が長 期にわたって必要な薬剤、それについて患者の利便性の向上という利点を考えまして、在 宅でできるようにしているということでございます。  現在、実際にその対象となっている薬剤としましては、いわゆる生体物質の補充療法と いうもの、それから抗ホルモン作用や免疫機能の賦活化などの目的のもの、それから、頻 回の投与、あるいは発作のときに緊急に必要なもの、このようなものについて対象として いるわけでございます。  これについて保険医が処方せんを交付して、調剤薬局のほうでこの注射薬を受け取ると いう形ができるようになっております。  そこで、現在の対象薬剤、その参考のところに1ページから2ページにかけて書いてご ざいます。  今回、対象薬剤を追加したいというものでございますが、ここでは、イミグラン注3、 イミグランキット皮下注3mgというのがありますが、スマトリプタン製剤ということで、 片頭痛あるいは群発頭痛に対する効能・効果があるということで、特にこの頭痛の発作時 に皮下注射をするということになっております。これにつきまして、このキット製品がで きまして、今年の10月に薬事承認を受けておりまして、保険としては12月下旬に収載 予定でございます。今回は、この薬剤について、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤にし て、それからこの同注射薬について保険医が投与できるような形にしたいと、こういうよ うなことをお願いしたいということでございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御意見、御質問ございますでしょうか。  よろしいですか。  それでは、本件につきましては中医協として承認するということで御了解を得たいと思 います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございます。  それでは、次の議題に移ります。「医療機器の保険適用」について議題としたいと思い ます。  区分A2及びBについて事務局から報告をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)   医療課企画官でございます。それでは、資料、総−3をごらんいただきたいと思います。 こちらに、この12月1日保険適用開始となった医療機器、材料が示されております。  まず、1ページでございますが、医科の区分A2(特定包括)(特定の診療報酬項目に おいて包括的に評価されている区分)ということで35件示されております。  続きまして、おめくりいただきまして2ページ、区分B(個別評価)(材料価格として 個別に評価されている部分)ということで、2ページから3ページにわたりまして示され ております22件でございます。  以上、医科につきましては合計57件でございます。  続きまして3ページに歯科の区分Bが示されております。歯科につきましては、区分A 2はございませんで、Bのみ10件、こちらに示されておるとおりでございます。  以上、医科、歯科合わせまして67件でございます。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  御質問等ございますでしょうか。  それでは、本件につきまして中医協として承認するということにしたいと思います。               〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございます。  次の議題に移ります。「臨床検査の保険適用」を議題としたいと思います。  最初に、事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)  それでは、資料総−4をごらんいただきたいと思います。今回2つございます。  1つ目は、B型肝炎ウイルスコア関連抗原の定量ということで、測定方法は、酵素免疫 測定法、主な測定目的としましては、血清または血漿中のB型肝炎ウイルスコア関連抗原 (HBcrAg)の測定ということでございます。点数は290点ということでございま す。  1枚おめくりいただきまして、2ページ目に概要がございます。この主な対象としまし ては、B型肝炎ウイルスの感染患者ということでございますが、この有用性ですけれども、 本品は、B型肝炎ウイルスコア関連抗原を特異的に認識するモノクローナル抗体を使用し た試薬であるということでございます。このウイルスコア関連抗原の測定によりまして、 HBウイルスの核酸同定精密測定と同様にB型肝炎ウイルス量のモニタリングマーカーと して有用である。そのほか核酸アナログ、逆転写酵素の薬のようでございますが、これを 用いた治療時の肝組織のウイルスマーカー、肝組織の中にどのくらいウイルスが残ってい るかと、そういうマーカーになる。それから、核酸アナログの休薬の指標、それから検査 の迅速化などが期待されて、臨床的に有用であるということでございます。  続きまして、1枚目にお戻りいただきまして、2つ目のミオイノシトール定量でござい ます。これは測定方法としては酵素サイクリング法ということで、尿中のミオイノシトー ルの測定、点数としては120点ということでございます。  これも2ページ目に概要がございますが、主な対象としましては、空腹時血糖が110 mg/dl以上、126mg/dl未満の患者さんということでございまして、有用性としまして は、この糖尿病患者の方においては、正常型から境界型、糖尿病型へ移行するに従って、 糖負荷後の尿中ミオイノシトールが増加する傾向にあると、そういう報告がなされている ということでございまして、今回の尿中ミオイノシトール定量検査は、糖負荷後、採尿の みの簡便な手法で負荷後の血糖値の上昇を推定できるということで、空腹時血糖だけでは わからない耐糖能異常を検出できるということでございます。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  何か御質問などございますでしょうか。よろしいですか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長   それでは、本件につきましても中医協として承認するということで対応したいと思いま す。  次は、「先進医療専門家会議の検討結果」を議題としたいと思います。  事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)   資料、総−5をごらんいただきたいと思います。  今回1件出てきておりますが、肝切除手術における画像支援ナビゲーションということ でございまして、適応症は、原発性肝癌、肝内胆管癌、転移性肝癌及び生体肝移植ドナー ということでございます。総評といたしまして適ということでございます。  その説明につきましては、次の2ページをごらんいただきたいと思います。この技術に おきましては、「先進性」というところに書いてございますが、画像支援ナビゲーション によりまして、仮想肝の3次元画像というものをもとにした術前の正確な切除肝の容量と、 それから予定残存肝容量の計算が可能となるということで、最も理想的で安全な肝切除術 式の選択が可能であるということでございます。また、術前術中にこの仮想肝を用いたシ ミュレーションを行うことによりまして、決定された肝切除術の安全性が向上するという ことです。  「概要、効果」でございますが、そちらに書いてございますように、動脈、門脈、静脈 と3種類の血管が複雑に絡み合った臓器ということで、従来のやり方ですと、淡く出現す る肝表面の色調変化からおおよその残存肝重量を推定し施行していたということで、大き く経験に依存せざるを得なかったということで、たとえ熟練者であってもなかなか難しい 手術であったということでございます。  それに対しまして、この画像支援ナビゲーションを用いますと、このコンピューター断 層撮影の画像情報から、こちらに書いてございます“Region Growing software”とい うコンピューターソフトウエアを用いまして3次元画像化する、そういった画像をもとに シミュレーション等を行って、先ほど申しましたように、手術に応用していくというよう な技術でございます。  続きまして3ページでございますが、先進技術としての適格性として妥当であると、そ のような評価をいただいておりまして、総合判定として、一番下にございますように、適 となってございます。  そして4ページには、医療機関の要件としてございますが、資格として消化器外科専門 医というようなこと、あるいは診療科として外科及び麻酔科等々の要件がございます。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見ございますでしょうか。  それでは、ただいま説明をいただきました技術につきまして保険給付との併用を認める ということで、中医協としては特段の意見がないということで対応したいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長   どうもありがとうございます。  それでは、次の議題に移ります。「平成20年度診療報酬改定の基本方針」について議 題としたいと思います。  事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)   「平成20年度診療報酬改定の基本方針」につきましては、今月12月3日付で、社会 保障審議会の医療保険部会、同じく医療部会、両部会でもってこの基本方針が定められま した。今後、今回の診療報酬改定につきましては、この基本方針に沿って検討していただ くということになるわけですけれども、この基本方針そのものにつきましては、検討段階 の案につきまして中医協でもお示しをしたところでございまして、全体としては、そのと きから大きく変わったものはございません。時間の関係もございますので、簡単に御説明 をさせていただきます。  1ページ目でございますが、これは基本方針の中の「基本的な考え方」ということで、 ここでは、今回の改定に当たっての基本的なものを示しております。  (2)のところをごらんいただきたいと思いますが、前回改定に際して、この両部会で 決められた基本方針に示した「基本的な医療政策の方向性」あるいは「4つの視点」、こ れについては基本的に継承する。ただ、今回「以下の現状を十分に認識して対応するべき である」となっております。  その「以下の現状」という中で、産科や小児科をはじめとする医師不足により、地域で 必要な医療が受けられないとの不安が国民にあるということ等々、この医療の非常に厳し い現状について(3)で書かれております。  そこで(4)に、「平成20年度診療報酬改定は、保険財政の状況、物価・賃金等のマ クロの経済指標の動向、全国の医療機関の収支状況等を踏まえつつ、基本的な医療政策の 方向性や地域医療を巡る厳しい現状を十分に認識した上で行う必要がある。具体的には、 医師確保対策として、産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担軽減を重点的に図る ことについて、今回診療報酬改定における全体を通じた緊急課題として位置付けるべきで ある。」というふうになっております。  そこで2ページでございますが、これ以降、具体的な項目が並んでいくわけであります が、その4つの視点に入る前のところで、緊急課題として、今回「産科や小児科をはじめ とする病院勤務医の負担の軽減」について述べられております。ここに出てきます項目に つきましては、これまでも中医協でも議論をしていただいた分野でございます。  ア、「産科・小児科への重点評価」。産科や小児科医療についての評価を書いてありま す。  イ、「診療所・病院の役割分担等」。病院勤務医の負担軽減策等、それから大きな病院 については、基本的には入院医療の比重を高める、そのようなことが書いてございます。  ウ、「病院勤務医の事務負担の軽減」。このような観点から、書類作成等についてのサ ポートを考えてはどうか。  それから1つ目の視点は、「患者から見て分かりやすく、患者の生活の質を高める医療 を実現する視点」ということになっております。  ア、「医療費の内容の情報提供」。前回は、領収書の発行をお願いしたわけであります が、今後は、一定程度の病院の大きさがありますと、すぐに明細書形式が出せるというこ となので、そのあたりを検討すればと。  イ、「分かりやすい診療報酬体系等」。患者さんも、領収書や明細書を手にとることが ありますので、その点で、例えば名称についてもそうですが、そのようなものを含めてわ かりやすい体系にすべきである。  ウ、「生活を重視した医療」。ここは例えば癌の放射線医療の外来化とか、そういうよ うなものでありますとか、あるいは夕刻以降の診療所での開業の評価について書かれてお ります。  エ、「保険薬局の機能強化」。それらに伴いまして、診療所等が夜間開業等が増えてま いりますと、それに対して保険薬局も対応すべきと書いてございます。  2点目の視点は、「質の高い医療を効率的に提供するために医療機能の分化・連携を推 進する視点」ということで、4ページをごらんいただきたいと思います。  ア、「質が高い効率的な入院医療の推進」。ここではDPCについて、その支払い対象 病院の在り方や拡大等について検討すべきと。  イ、「質の評価手法の検討」。ここは医師の経験年数や有すべき施設といった施設要件 だけでなくして、医療の結果についてどうかと評価する手法を検討すべきと。  ウ、「医療ニーズに着目した評価」。7対1入院基本料等についての、真に必要なニー ズかどうか、それを考える。  エ、「在宅医療の推進」。これは、後期高齢者を中心に随分やりましたが、在宅医療に ついて、例えば緩和ケア等々についてもやってみないか。それから在宅療養支援診療所等 を中心とした連携方策、このあたりの評価を考える。  オ、「歯科医療の充実」。口腔機能を含めた総合的な管理の在り方、今日も補足いたし ましたが、それらについての評価を考える。  それから5ページになりますが、3番目の視点が、「我が国の医療の中で今後重点的に 対応していくべきと思われる領域の評価の在り方について検討する視点」ということで、  ア、「がん医療の推進」  イ、「脳卒中対策」  ウ、「自殺対策・子どもの心の対策」  エ、「医療安全の推進と新しい技術等の評価」 ということがされております。  それから次のページでは、  オ、「イノベーション等の評価」。薬や医療機器、いわゆる「もの」についてのイノベ ーション、革新的な技術の評価。一方で、後発医薬品の使用促進というもの。  カ、「オンライン化・IT化の促進」。今後もできるだけ早期に達成できるように、I T化の促進を検討する。  それから4番目の視点が、「医療費の配分の中で効率化余地があると思われる領域の評 価の在り方について検討する視点」ということで、  ア、「新しい技術への置換え」。新しい技術が出てくるとともに、逆に相対的に古い技 術については適正化をしてはどうか。  イ、「後発品の使用促進等」。先ほどのイノベーションの裏返しで、当然ながら、後発 医薬品があるものは後発医薬品を使用促進するということ。  ウ、「市場実勢価格の反映」。医薬品や検査等、いわゆる「もの代」についての市場実 勢価格を踏まえた適正な評価。  エ、「医療ニーズに着目した評価」。先ほどこれは7対1のほうを言いましたが、その ほかに、必ずしも医師や看護師等でなくてもいいいろいろな処置については、これを基本 的に基本診療料の中で見てはどうかということを踏まえて、この在り方を検討してはどう かと言っております。  オ、「その他効率化や適正化すべき項目」。コンタクトレンズに係る診療等々、これら も考える。  それから、「後期高齢者医療の診療報酬体系」については、別途この特別部会の方から 骨子が示されているので、これをちゃんとやってくださいということです。  それから、「終わりに」。中医協において、本基本方針の趣旨を十分に踏まえた上で、 具体的な診療報酬改定の審議を進められることを希望するというふうにまとめられており ます。  以上が基本方針ですが、今後、年末にかけて改定率が決まってきますので、その改定率 の下で、さらにこの基本方針にのっとって、今までいろいろ検討していただきましたが、 かなりランダムといいますか、事務局の準備ができたものからやってまいりましたので、 系統立っての検討がちょっと全体がわかりにくいという御意見もございましたので、これ からは、この基本方針の項目に沿った形で再度資料等を提示していきたいと考えておりま す。  説明は以上です。 ○土田会長   どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。 ○邉見委員  今回の緊急課題ですね、「産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担の軽減」とい うので、ア、イ、ウと書かれておりますけれども、これからの検討ですけれども、私はこ れだけでは勤務医の負担の軽減、もっともっとたくさんのことをやらないと軽減にならな いのではないかと。  まず、アについて申し上げますと、「ハイリスク妊産婦や母胎搬送」というのがありま したが、先日姫路地区で、19の医療機関が受け入れなくて、人口50万都市の姫路から 人口5万の我々の病院へ逆流現象が起こりました。これは私は申し上げるつもりはなかっ たのですが、昨日の夜、私の宿のほうへちょうど厚生労働省のDPC分科会の11月2日 の校正の依頼が回ってきましたので、それを読みますと、やはり言わなければいかぬので はないかと思いました。どういうふうなことを11月2日に申し上げているかといいます と、  救急に関しましては、我々の町は小さい5万人ぐらいの町ですが、近隣の姫路市などは 50万人ぐらいありますけれど、夜間救急はほとんどやれなくなっているんです。基幹病 院がみんな麻酔科の引き揚げなどで、逆転でうちのような小さい病院に来ることもありま す。ところが、2〜3日たちますと、やはり近くの病院へ帰りたいということで、手術な どでしたらそっちへ帰ってしまうわけです。コネをつけて、昼間に。そうしますと、しん どいところばっかりやるわけです。ですから、うちの病院の若手医師はもう、「救急を断 れ」ということを言っているわけです。というのは、DPCでしたら、1週間ぐらいいて いただかないと、検査などは全部持ち出しになるわけです。そうすると、1週間で3〜4 台来て、それがみんな姫路に帰ったというときもあるわけです。ほかにも市内からもいっ ぱい来ていますけれど。  そういうことになりますと、市民病院は市民の税でやっているので、「市外の人は断れ」 とうちの若手の医師が私のところへ談判で来るわけです。各論で申しわけないですけれど。 そういうことを考えた設定にしないと、私も納税者に対する責任がありますから、「救急 でも市外の人は断ります」と議会で言わなければいけないということになりますので、た らい回しが常習化するということで、今の設定よりももっと救急を評価しないとだめだろ うと私は思います。というふうなことを書いております。  だから、DPCは、入院1日目に亡くなった方だけは評価されますが、例えば来るとき に、そこで治るまではおりなさいとか、一札とれと言うわけにいきませんし、死ぬまでお りなさいと言うわけにもいきませんけれども、こういうふうなことがあります。  そのときに医事課のほうからは、「現在、救急患者であってもDPCに該当する患者の 場合はDPC制度に基づき算定する。ただし、入院後24時間以内に死亡した患者につい ては例外となり出来高算定とする。遠方より救急搬送され入院となった症例では、患者及 び家族の希望により入院後数時間で地元の医療機関への転院を希望される場合が多い。」。 当然ですね。私が患者さんであってもそうだと思います。日ごろかかっているところとか、 近くへ、ここの病院が悪いとかいうのでなく帰られるのです。「本当はお世話になったか らおりたいのですけれども、家族の都合で近くへ帰ります」と、それをとめることはでき ませんね。  そうしますと、こういう出来高請求のすべての症例に過大な差が発生するという可能性 になってしまいます。「患者Aさんは3日間で転院しまして6,918点のマイナス、患 者Bさんは4日間で転院しまして5,397点のマイナス、患者Cさんは2日間入院しま して3,278点、患者Dさんは1日入院しまして2,116点のマイナス。」。だから、 しんどい目をして物すごい疲れ果てて、次の日の手術とか診療にも差し支えて、「こんな のをやれと、院長はばかじゃないか」と言われているわけですが、私は「救急は医療の原 点だから」と言って引き受けているわけですが、もうここも限界に来たかなと思います。  そうすると、やはり入院基本料、次のイのところにあります「診療所における夜間開業 の評価」とかだけでは私は無理で、「大病院が入院医療の比重を高めていく」と。ここに 入院基本料は高くつけて、例えば医師の3交代、救急の部門なんかはこうしないと、今の 日本の救急医療の危機は救えないのではないかと。私自身もこの間病院の医局の忘年会を 兼ねた会議がありましたが、あの新聞が出たためか、昼間は3〜4台しか午前9〜午後5 時の時間に来ない救急車が9台来まして、出席者は非常に少なくなってしまいました。例 えば鳶職の方が4階から落ちて、これも遠い町からも形成外科、口腔外科、脳外科、整形 外科、麻酔科と、みんな揃っているという、そういうふうな、ある一つのところに厳しい のがみんなしわ寄せが来ておるような気がするのです。そういうのをセーフティーネット として救えるような体制に今の診療報酬だけはなっていないのではないかなというふうに 思います。  それから、ウの「書類作成等の業務」ですが、これは私は生命保険会社にも少し考えて ほしいと思います。今日本医師会がソフトをつくっているようですが、そんなのでなく、 損保ジャパンとか生保協会など、名前を言ったら悪いですが、そういう会社が一つにして くれると、物すごい我々の業務も減ると思うのです。みんな違う様式で違うことをやるわ けです。そういうこともやはり、別のところかもわかりませんけれども、発信していかな いと、ある人によりますと、わざとに難しくして、医師が書かなかったら払うのが減るの ではないかと難しくしているというふうな、こんなことが本当にあるのかなと私は疑問に 思いますけれども、実際そういうこともあります。  やはり手間・暇・リスクのかかるところにちゃんと点数をつけないと、うちの病院でも、 開業されるのか何かわかりませんけれども、複数の方が病院から去ろうとしている動きが あるというふうなことですから、難破船に乗っているネズミみたいに、賢い勘の鋭い人は 徐々にそういうふうになっていくのが日本の病院崩壊ではないかと思います。  このア、イ、ウを何ぼ読んでも、私にはちょっと……。このまた2年後の改定に向けて、 検証でも何でもいいですから、私の言っていることがどういうふうになるかというのをぜ ひ検証していただきたいと思います。 ○土田会長  どうもありがとうございます。大変重要な指摘で、検証前にここで対応できることは対 応していかないといけないわけで、まだ十分議論の余地はあろうと思います。  ほかにございますでしょうか。 ○松浦委員   次元が高い話の後ですけれども。このペーパーをつくられる議論の過程で、これを読ん でみると、最近格差社会、格差社会と、こう言っているのですが、医療のこの地域間格差 ということについてはあまり触れられていないですね。これは診療報酬では、もうこの地 域間格差というものは対応のしようがないという自覚に立ってのことなのか、ただ漠然と すうっと流れてしまったのか、その辺はどういうことだったのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)   この中に、この部会の委員を兼ねておられる委員もたくさんおられるのですけれども、 具体的に地域間格差について議論に上がったことはなかったと思います。ただ、事例的に、 例えばある委員のところでは非常に厳しいとか、そういう話はありましたけれども、診療 報酬の中での、御要望もありましたけれども、全体としてはその形にはまとまらなかった ということです。 ○竹嶋委員  正確にお答えをしておかなければいかぬと思います。私自身は発言をしましたが、地域 間格差ですね、ここでも私は、データを提示して有床診療所の問題を私は出しました。こ れは、九州、四国、山口県、それから東北、そういうところは、有床診療所が本当に地域 の中で病院にかわって地域医療に非常に貢献しているというようなことを私は申し上げま したが、全体の流れの中ではここに載らなかったかもしれない。  それからもう1つ、今、邉見委員が御発言になった、そのとおりだと思います。ただ、 いつもこの中医協で思うのは、この医師が不足してきた、看護職も不足なのです。現時点 で4万ほど不足なのですよ、需給調査で。これは、一つの政策として、今まで何年かの課 題としてやはり大きく取り上げなければいけない問題だと思うのです。中医協の中で具体 的に議論していくことはもちろん必要ですが、中医協の中からも、医療部会・医療保険部 会に出ている委員はたくさんおられますので、そういうところで本質論としてしっかり発 言はやっていくべきだと思います。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ほかにございますか。 ○勝村委員  救急医療についての指摘があったのでちょっと僕からもと思いますが、前回の18年度 改定を思い出して比較してなのですけれども、当時、18年改定に向けた議論をしていた ときから、救急医療の問題と、勤務医と開業医の問題は、もう既に出されていたわけです よね。その当時から、僕もちょっとくどいかなと思うぐらいに、勤務医をやめて開業医に なるような流れができているということもその当時からこの中医協の場で発言していて、 逆に開業医をやめて勤務医になる流れも出てくるくらいのダイナミックな改革をして、そ のあたりが平衡状態にならないと、または逆に流れるぐらいにならないとだめだと当時か ら発言していました。  国民からすれば、本当の意味では救急のほうが価値が高い。だから、ダイナミックに流 れを変えるような動きをしていくことが、本当に救急医療を確保することだと。救急医療 の問題は、ここに来て、研修医制度が変わったことで、ようやく勤務医の人たちは本気で 言い始めましたけれども、救急医療の被害者たちや被害者団体は、もう何十年も前からこ の問題を提起し続けてきたわけですよね。小さな子供が奈良で救急車のたらい回しに遭っ て、裁判になり、奈良市に対して救急医療の体制をきちんとするようにという判決を確定 して勝ったのは、判決が出た日がもう20年以上前なのです。ところが奈良市も行政も医 師会もこの間何もしてこなかった。当時からその裁判をした人たちから広がった救急医療 の被害者たちは救急医療の問題をずっとやってきているわけです。ところが救急医療とい うのは不採算部門なのだということで、そのままでいいのだとでも言うかのように、医療 者側からはそれに対して何とかしようという声がほとんど出てこなかったわけですよね。  だから、本当に、救急医療の問題をやはりここはもう絶対何とかしなければいけなくて、 邉見委員おっしゃるように、医療の原点だと言っていただくことは僕もすごくそのとおり だと思いますから、そこが赤字の部門なのだということを常識にしていてはだめだという こと、救急医療を担保していくためにはそこに人が集まっていかなければいけないので、 医師不足という問題も別途もちろん議論されたらいいと思いますが、勤務医をやめて開業 医になっていく流れを止めるだけではなくて、逆に開業医をやめて勤務医になっていく流 れをつくっていくような、そこの相対的な議論を本気でやってもらわないと、僕はいつま でたっても救急医療はきちんとしたものにならないと思うのです。そういう意味の意見を、 僕は勤務医の代表の方からこそはっきり言ってほしいと思うのです。本当に救急医療のた めには、勤務が増えていくような逆の流れができるぐらいの政策というか、診療報酬体系 というのをつくっていくということをしていかないと、全体的に一律に上げる下げるとい うような話では、勤務医をやめて開業医になる流れがとまるとは普通に考えて僕は思えな いので、その点をぜひ真剣に考えて、医療関係者の方々にも意見を言っていただきたいと 思います。 ○土田会長  どうもありがとうございます。救急医療は毎回取り上げているわけですが、なかなか充 実化といいますか、十分な対応ができていないということは事実だろうと思います。診療 報酬で対応できるのは一応限界はありますが、対応できるところはできるだけ対応してい かなければいけないということですけれども、大島先生、何かコメントございますか。 ○大島専門委員  診療報酬でどこまで誘導できるのかというのは、限界どころか、あまりにも小さすぎる と思っています。本来であれば、救急も含めて、医療需要の中身の量と質がきちんとカウ ントされて、それに対してどういう医療要員が必要なのかということが次に出てくるわけ で、それに対して、大学も含めて、どういう人材を養成していくのかという、そういう過 程が必要なのですが、それが全く日本の場合は行われていないという現状がありますので、 これはもう構造的な問題だと私は思っています。 ○土田会長  どうもありがとうございます。  中医協としては、そういう対応ができる部局に対して要求をしていく、要請をしていく ということしかないかもしれませんが、ほかに御意見ございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、先ほど医療課長から話がありましたように、基本方針に沿 いまして、これ以降、もう少し議論を深めていきたいと思います。  総会の議題は以上で終わりになりますが、次に、日程が決まっておりましたら、お願い します。 ○事務局(原医療課長)  次回、12月14日の金曜日に省内で行いたいと思います。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  それでは、総会を終了いたします。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)