07/12/12 平成19年12月12日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日  時:平成19年12月12日(水) 13:30〜15:25 ○場  所:厚生労働省 共用第8会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、井上委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、      佐々木委員、志賀委員、米谷委員、山内委員、山添委員、吉池委員、鰐渕委 員 事務局  國枝基準審査課長、光岡課長補佐、河村課長補佐、束野課長補佐、江島専門 官 関係省庁 農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 水野係長 1.開  会 2.議  題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について    ・アゾキシストロビン(農薬)    ・ビフェナゼート(農薬)    ・ピリダリル(農薬)    ・ブロモブチド(農薬)    ・メトキシフェノジド(農薬)    ・メトコナゾール(農薬)    ・豚サーコウイルス(2型・組換え型)感染症(カルボキシビニルポリマーアジ ュ バント加)不活化ワクチン(動物用医薬品)  (2)その他 3.閉  会 ○事務局 定刻より少し早いですけれども、先生方全員おそろいですので、ただいまか ら薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催させていただき ます。  本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願 いいたします。  本日は斉藤委員、豊田委員より欠席する旨、既に農薬・動物用医薬品部会の委員14 名中12名の御出席をいただいており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、 本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。  それでは、大野部会長に議事の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議よろし くお願いいたします。 ○大野部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。  初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 配付資料の確認なんですけれども、その前に1つ訂正がございます。議事の 順番についてですが、農薬の後に動物用医薬品となっていますが、動物用医薬品の方か ら先にさせていただきたいと思います。 (配付資料確認) ○大野部会長 いかがでしょうか、皆さんそろっておりますか。資料7−1と資料7− 2は1つのクリップでとめてあります。  それでは、今御説明がありましたけれども、今日は農薬の6品目と動物用医薬品1品 目ですけれども、動物用医薬品の豚サーコウイルスを先に行いたいということですので、 そうしたいと思います。  それでは、豚サーコウイルスについての説明を事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明させていただきます。資料7−1と7−2です。  豚サーコウイルス(2型・組換え型)感染症(カルボキシビニルポリマーアジュバン ド加)不活化ワクチンです。まず、資料7−1として動物用医薬品評価書案ということ で食品安全委員会動物用医薬品専門調査会における案です。  食品安全委員会の審議の経過が3ページに記載されております。  4ページに要約があります。豚サーコウイルス2型オープンリーディングフレーム2 遺伝子組換えバキュロウイルスを利用して製造された不活化ワクチンについて、食品健 康影響評価を実施したとあります。  5ページ「I.評価対象動物用医薬品の概要」として、主剤はSF+細胞培養豚サー コウイルス2型オープンリーディングフレーム2遺伝子組換えバキュロウイルス不活化 培養ろ液とあります。  効能・効果は、豚サーコウイルス2型感染に起因する死亡率の改善、発育不良豚の発 生率の低減、増体量の低下の改善、臨床症状の改善及びウイルス血症発生率の低下とあ ります。  用法・用量ですけれども、3〜5週齢の子ブタに1頭当たり1mlを1回、頚部筋肉内 に注射いたします。ワクチン接種後、少なくとも20日間はと畜されないこととしてお ります。  開発の経緯ですが、サーコウイルスについては1型と2型とありますけれども、離乳 後多臓器性発育不良症候群は2型ウイルスによって起こると。この2型ウイルスについ てはほとんどのブタ集団に浸潤しているそうで、我が国では1996年に千葉県で感染が 確認されて以降、全国で感染が認められ、農場の96.4%、個体では85.3%が遺伝子検査 陽性という報告もあります。  6ページ「II.安全性に係る知見の概要」ですけれども、ヒトに対する安全性につい て、豚サーコウイルスの主要な宿主は豚であり、人畜共通感染症の病原体とは認識され ておりません。また、主剤に含まれる組換えバキュロウイルスはヒトに対する病原性は なく、不活化されております。  ブタに対する安全性についてですけれども、ブタに対する安全性試験及び臨床試験等 として下にあります。10倍量を投与した結果、軽度ながら全頭に元気消失が認められた が、常用量群では一般状態には変化は認められず、常用量群及び10倍量群とも体温、 体重増加、血液学所見、血液生化学所見、剖検所見などで変化は見られなかったとあり ます。  イギリス、ドイツ、日本において実施された3週齢のブタを用いた本ワクチンの筋肉 内投与による臨床試験では、投与に起因すると考えられる異常は認められませんでした。  アジュバント消長試験が行われていまして、投与14日後の時点で肉眼的な注射部位 の異常は認められず、アジュバント残留物質も確認されなかったと。組織学的検査にお いて軽度の筋線維再生が14日後の3例、21日後の1例、35日後の2例で、また、軽度 の炎症性細胞浸潤が35日後の1例のみ認められたが、アジュバント等の異物は認めら れなかったとされております。  健康影響評価についてですけれども、当生物学的製剤が適切に使用される限りにおい ては食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられるとい う食品安全委員会の評価結果案がまとまっております。  9ページに資料7−2があります。食品安全委員会の内容については割愛させていた だきたいと思います。  10ページ「3.許容一日摂取量(ADI)評価」ということで、食品安全委員会にお いては先ほど申し上げましたとおり、当生物学的製剤が適切に使用される限りにおいて は、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると考えられるというこ とを踏まえて、残留基準を設定しないことといたしたいと思います。  12ページに答申案があります。豚サーコウイルス(2型・組換え型)感染症(カルボ キシビニルポリマーアジュバント加)不活化ワクチンについては、食品規格(食品中の 動物用医薬品の残留基準)を設定しないことが適当であるという形で答申案をまとめて おります。審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。  今の御説明についての質問やコメントはございますか。  ちょっとここで気になったのは、バイナリーエチレンイミンも不活化剤として使用し ているんですけれども、それをチオ硫酸ナトリウムで中和しているということですが、 これは化学的にこういう反応がすぐに起こるということだと思うんですけれども、この 件については特に問題ありませんか。この辺は妥当と考えてよろしいですね。  ほかにございますか。 ○井上委員 7ページの上から2行目、常用量群で云々とあって「再生が認められ」と 書いてありますね。この文章は私はなくてもいいのかなと思ったんですけれども。変性 もないのに再生というのもおかしいですね。 ○大野部会長 変な感じですね。これは食品安全委員会の報告ですね。「筋線維の変性が 認められなかった」だったらいいですけれども、「変性が認められた」とすると意味が違 ってしまいますね。ここは食品安全委員会に確認していただくということでよろしいで しょうか。文章が大きく違ってしまう可能性もありますので。 ○事務局 では、確認させていただきたいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。  この部会としての報告書案が出ていますけれども、この部会としては残留基準とか食 品規格を設定しないことが適当であるという結論ですが、それでよろしいでしょうか。 ○鰐渕委員 一つ気になったのが評価結果なんですけれども、これだけ評価結果案にな っているのは何でかなと。 ○事務局 これは、まだ食品安全委員会でのパブリックコメント中ですので、案になっ ております。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。 ○山添委員 用法・用量のところなんですが、これは繰り返しの使用が認められるんで すか。それとも1回だけですか。 ○事務局 9ページにあるんですけれども、適用方法及び用量の中に1回頚部、筋肉内 に注射するとありますので、1回を想定しています。 ○山添委員 そうですよね。繰り返しやると免疫反応でだめになりますよね。1回だけ ですね。確認です。 ○鰐渕委員 先ほど井上先生のおっしゃっていた病理組織学的なところで、推測でしか ないんですけれども、10倍量では筋線維の変性及び再生が認められたということと、そ の後常用量では投与14〜21日後に筋線維の再生が認められたということで、14〜21日 後に常用量では再生の変化が認められたけれども、それ以前で変性があったとしても非 常に微弱だったのでとらえられなかったからではないかという気はするんですが。 ○大野部会長 その前の段階では微弱で変性は認められなかったのに、再生だけ認めら れるということはあるんですか。 ○鰐渕委員 それは何ぼでも。病理というのは、あくまでも結果を見ているので、再生 像はある時点であるんでしょうけれども、その前段階の変性があったかどうかというの はとらえられないこともありますので、結果論として再生像があったということなのか なと。 ○井上委員 では、この文章でいいだろうと。 ○鰐渕委員 この文章どおりでも、病理学者としてはそれほど違和感はなかったんです が。 ○井上委員 わかりました。 ○大野部会長 間違いではないということですね。では、ここは特に食品安全委員会に 意見という形で言わなくてもよろしいですか。 ○事務局 畜産生物科学安全研究所の最終報告書の中にそれに関する記述があって、病 理組織学的には10倍量の注射で筋線維の変性及び再生、常用量の注射後14〜21日目の 注射部位では筋線維の再生、注射後35日目の注射部位で炎症性細胞浸潤が認められた。 注射後56日以降では変化は認められなかったとあります。 ○大野部会長 そういうことがあり得るということで、問題ないとさせていただきたい と思います。  それでは、もう一度繰り返しになりますけれども、この豚サーコウイルス感染症不活 化ワクチンについて、食品規格を設定しないという答申案でよろしいでしょうか。 ○大野部会長 では、承認していただいたとします。ありがとうございました。  それでは、次は農薬に入りたいと思います。農薬のアゾキシストロビンについての御 説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬6剤で、最初にアゾキシストロビンでございます。資料1− 1と1−2の2分冊になってございます。資料1−1は食品安全委員会の評価書、資料 1−2が部会報告書の案でございます。  アゾキシストロビンにつきましては、以前にも部会で御審議いただきまして一度基準 を設定しているものでございます。資料1−2の46ページをごらんいただければと思 います。これまでの審議経過についてまとめてございます。平成19年3月12日に、本 部会でもこの剤につきまして御審議いただきまして、9月21日に基準の告示をしてご ざいます。同日、農林水産省から当省に魚介類に係る基準設定の依頼がございまして、 それに係る食品安全委員会への評価依頼等々の作業を進めてきたところでございます。 今回は、魚介類への基準設定についての御審議ということでございます。  食品安全委員会の評価書でございますが、資料1−1の6ページに、この剤の健康影 響評価の要約がございます。基本的に前回の評価と変わってございません。ラットを用 いた2年間慢性毒性/発がん併合試験の結果を用いまして、ADIといたしましては 0.18mg/kg体重/日という評価をいただいているところでございます。  それに基づきまして基準の設定でございますけれども、資料1−2でございます。本 剤につきましては殺菌剤ということで、ストロビルリン系のものということで、ミトコ ンドリア内の電子伝達系に作用するというものでございます。  2ページ以降に適用の作物、使用方法についてまとめたものがございます。適用病害 虫につきましては、べと病、赤さび病、紫斑病等々に効能があるということでございま す。  今回、適用拡大の部分では新しいデータが出てございまして、10ページ以降に作物残 留試験の結果が出てございますけれども、13ページの下線部分のテンサイや、14ペー ジのキャベツ、また17ページのピーマン、キュウリ、19ページのネクタリン等々新し いデータが提出されているものがございます。国内でも登録等の拡大がございますが、 これらにつきましては既に海外等の基準を参考に前回の審議の中で基準を設定している ものでございますので、その範囲内でのデータということで、新たな基準の設定は今回 行ってございません。  24ページでございます。「7.魚介類への推定残留量」でございますが、加藤委員の 研究班でまとめていただきました魚介類への残留基準の設定方法に基づきまして、今回 もまずは推定残留量を設定して、それから基準の検討を行ったところでございます。  この剤につきましては、水田または水田以外にも使用されるということでございます。 水田PEC、また非水田PECについて算出いたしました。水田PECにつきましては 0.47ppb、非水田PECにつきましては0.0049ppbということで、こういった場合は大 きいものを採用するということでございますので、今回は水産動植物の被害予測濃度と いたしまして、水田PECの0.47ppbを採用したということでございます。  また、濃縮係数のBCFにつきましては、実測値がないということがございますので、 オクタノール/水分配係数(log10Pow:2.5)を使いまして、関係式から算出してござい ます。その値がBCFとしましては30ということで、推定残留量といたしましては 0.47ppb×(30×5)=0.0705ppmという値が算出されたということでございます。こ れが基準値設定の基になるということでございます。  8番以降につきましては、前回の御審議と変わっておりません。  ADIの評価につきましては、食品安全委員会の評価は従前と変わらないということ でございます。  基準値案でございますが、39〜42ページということで、これは適用作物が海外・国内 とも非常に多うございますので膨大な表になってございますが、従来のままでございま して、42ページの一番最後の魚介類を先ほどの推定残留量から検討いたしまして、魚介 類といたしまして0.08ppmを基準値案として提案させていただいているところでござ います。  これを加えた形で暴露評価でございますが、43〜45ページでございます。魚介類も加 えた形で、TMDI試算で暴露評価を行ったところ、国民平均で27.2%、幼小児の方で 51.8%、妊婦の方で20.8%、高齢者の方で29.2%ということで、いずれも80%を下回 っているということを確認してございます。  今回の答申といたしましては48ページでございますが、魚介類の部分だけというこ とで、0.08ppmということで答申案として取りまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。  では、ただいまの説明についての御質問・コメントをお願いいたします。今回は魚介 類への残留についての議論ですけれども、推定残留量を計算して0.0705ppm、まるめて 0.08ppmということでございますが、よろしいでしょうか。  それでは、48ページに答申案として魚介類、残留基準値0.08ppmとなっていますが、 この答申案で認めていただけますか。 (「異議なし」と声あり) ○大野部会長 どうもありがとうございます。認められたということにいたします。  それでは、次にビフェナゼートについて事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 農薬ビフェナゼートについて御説明申し上げます。本剤も今回で第3回目の 御審議になる剤でございます。経緯につきましては資料2−2の18ページにまとめて ございます。これまでの経緯ということで、まず平成16年12月の部会で御審議いただ きまして、その後平成17年9月に一度基準の告示をしてございます。その後また適用 拡大に係る基準の設定ということで、昨年11月に部会で御審議いただきまして、今年 4月に基準の告示をさせていただきました。更に、今年7月にかんしょに係る適用拡大 ということで、それに係る食品安全委員会への評価依頼、本部会での審議ということで ございます。  食品健康影響評価でございますが、資料2−1に第3版ということでまとめていただ いてございます。これも内容については変わってございません。6ページの概要をごら んください。  種々の試験結果から、ADIといたしましてはラットの2年間慢性毒性/発がん併合 試験の無毒性量を、また、イヌの慢性毒性試験の無毒性量を用いまして0.01mg/kg体重 /日という評価でございます。  部会の報告書案でございますが、資料2−2、本剤は殺虫剤でございます。作用機構 についてはまだよくわかっていないということでございますけれども、ハダニとかサビ ダニに対して即効的な作用があるということでございます。  化学名、構造式は記載のとおりでございます。  適用作物につきましては2ページ以降に書いてございますが、今回新たな適用拡大に ついては3ページの一番上、かんしょに適用拡大するということでございます。これら の作残試験につきましては、7ページの16番にかんしょということで記載させていた だいてございます。  具体的な基準につきましては、14ページでございます。上から3番目にかんしょ、登 録については今回申請していただいている部分でございまして、現行では基準がござい ませんが、基準値案といたしましては作物残留試験の結果から0.05ppmという値を置い てございます。  もう一つ、今回適用拡大に掛からない部分でございますが、15ページでみかんの果皮、 その他スパイスを整理させていただいてございます。みかんの果皮はその他スパイスの 中の一つでございまして、以前に基準を見直した際にはこの部分だけ特出しして、みか んの果皮とその他スパイスを分けた形で基準を設定してございました。その後の審議で みかんの果皮を代表値にして、その他スパイスの基準を置くという整理をしたところで ございますので、今回その部分を整理して、今その他スパイスについては25ppmとい う基準でございますけれども、みかんの果皮に合わせまして10ppmという値に下方修 正し、告示上はこの2つを併せて「その他スパイス」で基準を設定したいと思ってござ います。  暴露評価でございますけれども、今回のかんしょの部分を入れた形で試算したものが 16〜17ページでございます。いずれにしましても、この剤につきましてはEDI評価を して暴露評価しているものでございます。今回増えた分も併せましてEDI評価をして ございます。ADI比につきましては国民平均で18.9%、幼小児の方で47.4%、妊婦の 方で15.9%、高齢者の方で19.9%ということで、いずれも80%以下であることを確認 してございます。  今回の答申案といたしましては20ページ、適用拡大のございましたかんしょ0.05ppm。 また、その他スパイスの整理の部分がございますので、その他スパイス(みかんの果皮 を除く)を10ppmに下方修正するということでまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  そうすると、みかんの果皮という項目はこれからなくなるということですか。 ○事務局 特段何もなければ、その他スパイスとして置くという整理でございます。 ○大野部会長 そうすると、「みかんの果皮を除く」と書いてありますが、これは。 ○事務局 告示上は今みかんの果皮もそのまま残っていますし、今の状態ではその他ス パイス(みかんの果皮を除く)のが25ppmという値で基準を置いてございますので、 後者の部分を10ppmに落とすということで答申案として上げてございます。告示を打 つときには、この2つをまとめてその他スパイス10ppmという形で記載されるという ことでございます。 ○大野部会長 わかりました。  あと、答申案の16ページで「●」がいろいろありますよね。その説明として、個別 の作物残留試験がないことから、暴露評価を行うに当たり基準値案の数値を用いたとい うことですけれども、これは何ですか。 ○事務局 これは、通常TMDI試算はそのまま基準値と摂取量を掛け合わせて推定摂取 量を計算しますが、EDI試算のときには作物残留試験のデータから引っ張った数字を 更に精密な暴露評価ということで用います。ただ、この「●」については個々の作残試 験のデータがないので、基準値を掛け合わせて摂取量をカウントしたということでござ います。 ○大野部会長 これは外国で使われている基準値を採用したということなんですね。そ れで残留値がなくて設定したと。 ○事務局 多くはそういうことになります。代表した作物を使って基準を置いているも のについては、グループで基準を置くものについては個々の作残データがないという場 合がありますので、そういったものは基準値から持ってきて、計算して暴露評価をとっ ているということでございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。  いかがでしょうか。ただいまの御説明についての質問・コメントございますか。 ○佐々木委員 今回のかんしょとは関係ないんですけれども、10ページに基準値の規制 対象として畜産物に関しては代謝物が3つ入っているんですが、前ページの乳牛の残留 試験から見ると、代謝物のEとUは検出限界以下になっているんですけれども、これが 規制対象として入っているというのはどういうことなんでしょうか。 ○事務局 乳等につきましてはコーデックスの基準を引いてございますので、それに併 せた形で規制対象をしたと考えてございます。 ○佐々木委員 コーデックスの規制対象がこれらの代謝物を含んでいると。 ○事務局 基準値もコーデックスを引いているということでございます。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。 ○山添委員 今のことで思い出したんですけれども、9ページで代謝物のUなんですが、 4−スルファトビフェニルと書いてあるんですが、どこからこの名前が来たのかなと。 通常だと4−ヒドロキシビフェニルサルフェートでいいと思うんですが、このスルファ トというのはどこから来たんですか。こういう固有名詞がついているのか、通常は使わ ない名前だと思うので。一般的には4−ヒドロキシビフェニルサルフェートでいいと思 うんです。 ○事務局 資料2−1の36ページに代謝物一覧表がございまして、そこから持ってき たものです。 ○山添委員 メーカーの資料にそういう書き方があるんじゃないかと思うんですが、余 りいい書き方ではないと思うので。 ○事務局 いかがいたしましょうか。 ○大野部会長 これは間違いということになるんですか。 ○山添委員 はい、間違いになります。 ○大野部会長 そうしたら、直しておいた方がいいですね。 ○事務局 わかりました。では、もう一度正しい名前を教えていただけますか。 ○山添委員 4−ヒドロキシビフェニルサルフェートと書いてくだされば結構です。 ○大野部会長 名前のつけ方は人によって随分、同じIUPACでも違ったりとかいろい ろあって、何となく合っているとそれで納得してしまうんですけれども。ありがとうご ざいます。  ほかにございますか。ございませんようでしたら、今回の答申案ですけれども、かん しょについては0.05ppm、その他スパイス(みかんの果皮を除く)については10ppm ということで出ていますが、これで了承してよろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、これをこの部会の報告といたします。  それでは、次はピリダリルについての御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3−1、3−2に基づきまして、農薬ピリダリルの説明をさせていただ きます。この剤も今回3回目の御審議をいただくものでございまして、資料3−2の16 ページにこれまでの経緯がございます。  平成16年2月に一度本部会で御審議いただきまして、その年の7月に基準の告示を しています。その後、適用拡大に係る基準の設定の審議をしてございます。この間ポジ ティブリスト制度の施行に向けての準備も並行してやっていたわけでございまして、平 成17年7月に本部会で御審議いただきましたが、その御審議については適用拡大の部 分のみの審議でございまして、その間ポジティブリスト制度の導入に向けての暫定基準 の設定が並行して行われてございまして、平成17年11月に暫定基準の告示が行われま した。その後、7月13日に御審議いただいた部分、その部分について平成18年4月に 告示をしたというものでございまして、今回は新たな適用拡大の部分と、平成17年11 月29日にポジティブリスト制度導入に伴いまして設定しいわゆる暫定基準が残ってご ざいますので、その部分についての見直し等の御審議でございます。  資料3−1でございますが、この剤につきましても食品健康影響評価については変更 はございません。概要でいきますと6ページでございます。種々の毒性試験等の結果か ら、ラットを用いました2世代繁殖試験の無毒性量を用いて、ADIとしては 0.028mg/kg体重/日という評価でございます。  これに基づきまして基準の設定でございますが、資料3−2でございます。用途とい たしましては殺虫剤ということで、詳細な作用機構は明らかになっていないということ でございますけれども、害虫に対しまして食毒、また接触毒としても作用するというこ とが明らかになっているということでございます。  化学名、構造式は記載のとおりでございます。  2〜3ページで適用作物、また使用方法について記載されてございます。  今回、適用拡大の部分は3ページの後半でございます。リーフレタスから下に四角囲 みでお示ししているところでございます。ばれいしょ、かんしょ、チンゲンサイ、食用 菊、アスパラガス、きゅうり等々でございます。  これらの作物残留試験のデータにつきましては4ページ以降に記載してございます。 10ページ以降に表でまとめてございます。10〜11ページに作残試験のデータがござい ますが、この中で追加の記載が漏れてございました。11ページのアスパラガスの部分で ございます。最大残留量で圃場B1.30とございますが、これは申請の範囲内で試験がさ れていないという結果のものでございます。後で注釈も加えた形で修正したいと思いま す。  これらに基づきまして基準値の設定ということでございます。8ページでございます が、ADIにつきましては先ほどの安全委員会のとおり0.028mg/kg体重/日ということ でございます。  諸外国の状況についても記載のとおりで、まだコーデックスの基準もないということ でございます。米国、カナダ等の主要5か国についても基準の設定はないというもので ございます。  基準値案でございますが、対象はピリダリル本体ということでございまして、表とい たしましては12〜13ページにまとめてございます。ここで網掛けになっている部分は、 ポジティブリスト制度導入時に暫定基準を置いたものでございますが、いわゆる分析法 の観点で本来一律基準の0.01ppmで管理するところ、0.02ppmという基準を置いて整 理したというものでございます。分析法の観点から言えば0.01ppmまで分析可能という ことが確認されましたので、今回基準を置く必要がないところにつきましてはすべて削 除して、一律基準で管理するということにしてございます。  上から登録の有無で「申」と書いてございますところが、今回適用拡大があって基準 の見直し等を行った部分でございます。  真ん中のチンゲンサイに15ppmという基準を置いてございますけれども、作物残留 試験の成績が2.83ppmと8.02ppmでございます。この基準については8.02ppmの最大 値を参考にしたということでございます。  次に、レタスは20ppmという基準に上方修正してございます。これにつきましても 作残データがございますが、下の段に15.2ppmというものがございます。今回最大値 15.2ppmから20ppmを設定したところでございます。  アスパラガスにつきましては、1.30ppmから3ppmという基準を設定してございます。  メロン類、未成熟えんどう、未成熟いんげん、えだまめ、その他のハーブといたしま してシソについてのデータがございます。このその他ハーブの基準値30ppmにつきま しても、21.0という作物残留試験の結果から基準を設定してございます。これらについ て申請の範囲内で試験を行っていないことを示す「♯」と作残データの最大値を参考と したことを示す「$」の記載が抜けておりますので、記載させていただくとともに、「♯」 と「$」につきましては、後ほど注釈として従来どおりの記載で追加修正させていただ きたいと思います。申し訳ございません。  それぞれ最大値を用いたというところにつきましては、ばらつきがある等の理由書の 提出がございました。また、アスパラガスの1.30ppmにつきましては、申請の範囲内で はないという使用方法に基づいたものでございますけれども、それにつきましても加藤 委員に御確認いただきまして、この範囲内であれば基準の設定に用いても差し支えない ということで、今回このような基準の設定案ということになってございます。  それぞれ暴露評価でございますが、15ページにまとめてございます。今回適用拡大に なったもの、また一律基準になったものについては暴露評価に含めないということで、 TMDI試算をしてございます。国民平均につきましては28.7%、幼小児の方では47.5%、 妊婦の方では24.8%、高齢者の方で25.8%ということで、いずれも80%以下のADI 比を確認してございます。  今回、答申案といたしましては18ページにまとめてございますけれども、ばれいし ょ、さといも、かんしょ等々このような基準の設定案ということでまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  従来0.02の一律基準だったのが、それは感度が低かったからということですけれども、 今回新しい方法ができて0.01でも十分測れるようになったということですね。 ○事務局 そうです。 ○大野部会長 もし、感度が0.01まで正確に測れる方法が開発されていなかったら、こ の場合はどうなるんですか。0.02というのは残るんですか。 ○事務局 そこは一つずつ検討になるかと思います。 ○大野部会長 ほかに御意見ございますか。特にございませんか。  加藤先生、確認してくださったということですけれども、よろしいですか。 ○加藤委員 アスパラガスですが、これは適用範囲を見ていただくとわかりますように、 フロアブル剤1,000倍希釈したものを上限が300L/10a、PHIが7日、2回散布以内 ということなんですが、2か所の試験のうちの1か所が300L/10aではなくて、400L/10a ということで散布液量がオーバーしていたということです。これは勿論ここに書いてあ る範囲から超えているんですが、まず考えないとまずいのは日本の農業慣行としてどう まいているか。ほんの少しだけまくのか、それともたっぷりしたたり落ちるほどまくか。 日本で通常まくのは、したたり落ち始めるところまでまくという状態です。ですから、 極端なことを言えば、10倍量の300Lでなくて3,000L/10aまいたとしても、作物のサ イズが同じであれば結局は似たような付着量になるということで、300L/10aまいたの と400L/10aまいたのは基本的にそんなに大きな差はないので、基準値に使えるだろう と判断したということです。 ○大野部会長 ありがとうございます。  基準の方法を300を400にしたということですけれども、それほど大きな違反という わけでもないですね。0.2が1.3になったので、相当な大きな違反かと思ったんですけ れども。 ○加藤委員 ええ、そういうことではなくて、それはむしろ作物の生育状況の差による 影響の方が大きいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。  それでは、特にコメント・質問がなければ、この答申案でよろしいかどうか伺いたい と思います。18ページに示された答申案ですけれども、これでよろしいでしょうか。 ○大野部会長 ありがとうございます。では、この答申案をこの部会の報告とさせてい ただきます。  それでは、ブロモブチドについて説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬ブロモブチドにつきまして、資料4−1、4−2に従いまし て御説明いたします。この剤につきましての経緯でございますが、資料4−2の16ペ ージでございます。これは古い剤でございまして、昭和61年に初回の農薬登録が既に されていたものでございまして、基準の設定につきましては、ポジティブリスト制度導 入時に農薬の登録保留基準を参考に基準の設定を行ったというものでございます。この 剤自体は米にしか適用がないということで、その際にも登録保留基準を参考に米に暫定 基準を設定しているというものでございます。今回暫定基準の見直しと、魚介類への基 準設定ということで御審議いただくものでございます。  資料4−1でございます。この剤の評価につきましては24ページに総合評価として まとめてございます。ラット、マウスを用いました動物体内運命試験等々で主に排出経 路は糞尿だったというようなこと、また、水稲を用いた植物体内運命試験でも植物残留 物等々を見てございます。  また、各種毒性試験の結果でございますけれども、影響は主に肝臓、また盲腸に認め られたということでございます。ただ、盲腸の変化は長期投与による重篤化は見られず、 病理組織学的検査におきましても異常は認められなかったことから、ヒトへの外挿性も 考慮して毒性影響は考えられなかったという評価でございます。  それぞれの発がん試験、繁殖試験、発生毒性試験、遺伝毒性試験の結果からは発がん 性、繁殖への影響、催奇形性、また遺伝毒性については認められなかったということで ございます。  無毒性量でございますけれども、26ページからまとめてあります表をごらんください。 この中で一番上のラットの90日亜急性毒性試験の雌で、最小用量の6.83mg投与群でご ざいますが、ここで無毒性量が定まらなかったということがございます。ただし、2年 間の慢性毒性/発がん併合試験の中で、ラットの雌につきましては無毒性量10.6という 評価がされてございますので、この2つの中ではラットの雌につきましては無毒性量 10.6が採用されているということでございます。  更に、2世代の繁殖試験の中で雌の親動物で4.0という無毒性量が出てございますの で、総合的に判断された中ではADIの設定根拠といたしましては、この2世代繁殖試 験のラットの親の雌の値をとりまして、ADIといたしましては0.04mg/kg体重/日と いう評価がなされたということでございます。  これに基づきまして、部会の報告でございますけれども、資料4−2でございます。 用途は除草剤ということでアミド系のもの。作用機構といたしましては、植物の細胞分 裂を阻害する、雑草の生育を抑制するということでございます。  構造式、化学名については記載のとおりでございます。  今回は冒頭に申し上げましたとおり、米においてございます暫定基準と魚介類への基 準設定の審議ということでございます。  2ページ以降、米に関する使用方法について記載してございます。これらに基づきま した作物残留試験の結果が8ページ以降に記載されてございます。  10ページでございますが、魚介類への推定残留量でございます。この剤につきまして は、水田以外の使用はないということで、水田PECから水産動植物被害予測濃度を算 定してございます。結果4.4ppbということでございまして、また、生物濃縮係数、B CFにつきましては、実測値がないということでございますので、オクタノール/水分 配係数から相関式を用いて算出してございまして、この場合ちょっと高うございますけ れども117という値でございます。これを評価手法にのっとりまして、推定残留量を求 める式から今回は3.894ppmという値が推定されるということでございます。これが基 準値設定の基になるものでございます。  次に、この剤につきましては、乳牛における残留試験が実施されてございます。乳中 にどれくらい出るかという試験でございます。乳牛にブロモブチドと混在物を入れたも の、deBr−ブロモブチドを28日間カプセル投与して、牛乳に含まれるこれらについて の含量を測定したということでございます。投与開始後1、7、14、28日後、また最終 投与後1、3日後の残留量は、いずれも定量限界未満。定量限界というのは0.01ppmで あったということでございます。  ADIの評価でございますが、ADIといたしましては0.04mg/kg体重/日というこ とで、先ほどの食品安全委員会の評価書のとおりでございます。  諸外国の状況でございますが、この剤につきましてはJMPRで毒性評価はなされてい ないということで、また、国際基準の設定もないということでございます。  基準値案でございますけれども、規制対象といたしましては農作物につきましてはブ ロモブチドとdeBr−ブロモブチドの和ということで考えてございます。これらにつきま して8ページからの作残試験を見ていただきますと、それぞれ2つのものについて測っ てございますが、本体以外の部分につきましても分析結果から見ると残留するというこ とがございますので、米につきましては両者の和で基準を設定するということにしてご ざいます。  ただ、魚介類につきましては、ブロモブチドの性状から推定残留量を設定してござい ますので、魚介類については本体で規制するという案で記載してございます。  基準値案については14ページでございます。米につきましては現行登録保留基準か ら1という基準値を置いてございますけれども、今回作残試験を分析した結果、基準値 としては0.7ppmという値に下方修正してございます。魚介類につきましては、先ほど の推定残留量が3.894ppmということでございますので、一応4ppmという値で基準値 案として設定してございます。  暴露評価につきましては15ページでございます。国民平均で23.7%、幼小児の方で 37.9%、妊婦の方で21.3%、高齢者の方で23.5%ということで、いずれも80%以下を 確認してございます。  答申案といたしましては17ページにまとめてございますけれども、米で0.7ppm、魚 介類で4ppmということでまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの説明についてのコメント・質問を お願いいたします。いかがでしょうか。  これは、ブロモがとれた脱ブロモ体が主要な代謝物で残留しているということで、こ れを残留基準の中に組み込んだということです。実際、ほかの代謝物もないわけではな いですけれども、ここはグリコシドとか強い毒性があるわけでもないし、それほど多く ないということで、ブロモ体だけをここに組み込んだということだと思います。  何か御意見ございますか。 ○米谷委員 こういうような基準値の設定方法ですと、魚介類での代謝というのはどこ が責任を持って調べるといいますか、この部会で検討しないといけないということなん でしょうか。基準値を設定するときに代謝物をどこまで入れるとか、食品安全委員会の 方では担保していただけないんですよね。そういう資料が行っていないでしょうから。 こちらの部会でのやり方ですと親化合物で規制するということになりますが、もし代謝 まで考慮するとなると、この部会でどこかに委託してといいますか、農薬の申請者はそ こまで調べないかもしれないんですが、そういうデータをどこかから探してくるという ことになるんでしょうか。 ○事務局 後ほどお話ししようと思っていたんですけれども、今BCFにつきましては 基本的には、魚については親化合物で検討してございますが、勿論、代謝物が非常に多 いものもありましょうし、代謝物に毒性が強いものがあるとすれば、何も魚介類につい てすべて親化合物のみでやるということではないので、そこについては個別に代謝物を 考慮して魚介類にも置くべきだということであれば、勿論そういう検討はしていくこと になろうかと思います。  代謝物については、確かに今、食品安全委員会でも一部毒性を見ていただいている部 分があります。 ○基準審査課長 御承知のように、動物の場合と植物の場合で例えば農薬を適用したと きに、人間は動物に該当しますけれども、植物の場合は違う代謝があった場合に、それ が場合によっては毒性上問題があるような場合もありますので、ある程度の量であれば 勿論それに対する安全性の担保もしますし、動物の場合であれば、分解物を見てどの程 度かということになると思います。今回の場合は、米谷先生のおっしゃる、要するに魚 介類についてということですよね。ですから、動物の代謝経路といわゆる魚介類の代謝 経路がどの程度違っているかということで、あと実際、量的にはかなり微量になると思 うんですけれども、その部分だと思うんですが、実は今まで魚介類については設定して 食品安全委員会に御報告してはいるんですけれども、特にコメントいただいていないん ですけれども、もし、どなたか魚介類と動物で詳しい方がいらっしゃれば。そんなに変 わらないのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。 ○大野部会長 魚介類での代謝ということですか。そういうのは見たことがないですね。 山添先生、何か記憶はありますか。 ○山添委員 魚介類については、サケについては比較的データはあるんですよ。比較的 動物と似た代謝をすることはわかっていますが、そのサケのデータが全部に当てはまる かどうかというほどのデータは余り見たことがない。 ○加藤委員 今、問題にしている要請されている一番はシジミなんですね。サケだとか 外洋産の魚は希釈されてしまいますから、ほとんど問題はない。内陸産の魚介類の間で どうなるかという点についての代謝のデータはほとんどないと。シジミの代謝データは 全然ないですし、それから、アユだとかウナギの稚魚、特にその辺りの代謝がどうなっ ているかというのも余りデータがない。勿論きちんと基準値を決めていく上では代謝の データをとっておくことは必要だと思っているんですけれども、どの魚でやるか、作物 のように主要なものであっても3種類しか要求できないような状態です。それを内水面 魚介類だけに限ればある程度絞れるんですけれども、どれくらいの魚に要求していくの か、それも含めて本当に代謝物も含めて規制しないと安全が確保できないのかどうか、 その辺も総合的に考えなければいけないとまずいだろうというのが一つ。  それから、今の段階としては、まだ親化合物についての基準値をつくり始めたばかり で、そのつくり方も実態調査に基づいて検証されてはいない段階。そちらに問題がある のであれば、まずそちらを解決することが先だと思いますので、代謝物まではまだちょ っと先ではないか、特殊なものを除いて入れないんじゃないかというのが私の印象です。 ○大野部会長 今回みたいに特に多い場合、魚介類が。そういう場合に問題になってく ると思うんですけれども。 ○加藤委員 これについての問題の一つというか、まず説明のときにお話があったのは、 基準値を決めるときに計算で求めることができるというのは、私どもの班としての報告 では実測値に基づくのが原則と。ただし、計算でも求めることができるというのは附帯 事項として出した格好です。その区切りは農水省が今やられているんですが、log10Pow が3.5を超える場合は実測値を要求する。それ以外のときは計算でもよろしいというこ とになっていますので、それがあるということで、まず計算が先にあるのではなくて実 測が先にあるんだということが原則です。  それから、ここのlog10Powは3.46ですね、3.5ギリギリのところ。だから、これは 確かに計算でもいいことには勿論なるんですけれども、こういう高い数字になったり、 例えばADIに占める割合がべらぼうに大きいようなケースが出てきた場合、それも同 じ計算でいいのかどうかというところは、もうちょっと実態調査も含めてシステム全体 を見直して考えていかないといけないんじゃないかと思います。 ○大野部会長 そうですね。この場合にはADI比で37%ということで、代謝物がかな り魚介類に入っているとすると、これが負担になる可能性もあるわけですね。ただ、加 藤先生が言われたように、この制度はまだ始めたばかりであるということも踏まえると、 すぐに代謝物についてもやれと言うわけにもいかないということですかね。そうすると、 将来的にこれを検討していくということですね。 ○加藤委員 今のADIの37%という数値の基になっている魚の摂取量ですけれども、 今使っている摂取量は外洋沖合、マグロまで含めての魚介類の総量なんですね。直接問 題になってくる内陸産に関しては、環境省のデータ等を見ると成人で2.1gということ です。ですから、それの数十分の1ぐらいには下がってしまうような数字になりますの で、そこももうちょっと検討しないといけない、そこも含めて多いか少ないか考えない といけないと思います。 ○大野部会長 そうですね。そうすると、実際に影響があると思われるようなものだけ をもしこれで絞ると、もっと少なくなっているということになるわけですね。そうする と、それだけ実際上やらなければいけないほどのインパクトがあるかどうかというとこ ろまでは、必ずしもないということですね。 ○加藤委員 まだ検討が必要ではないかと。ないと言い切れるところまではないと思い ます。 ○大野部会長 米谷先生、いかがですか。この方法自体にそういった欠陥があるという ことですけれども。 ○米谷委員 欠陥といいますか、この方針でやらざるを得ないというのは認識していま すし、今後どこがこれを考えていかないといけないのかをお聞きしたかったんです。こ の部会で考えていかないといけないということなんですか。それだと、かなり負担があ ると思いますが。  それと、推定摂取量にしましても、先ほど加藤先生がおっしゃったように、魚介類の ADIが将来的に80%に近づいてきた場合には、内陸といろいろ分けて細かくやってい けば計算上は下げることは可能だと思いますし、基準値もここでは4一つですけれども、 それぞれに分けてやっていけば、摂取量の精密化と言えるかどうか知りませんが、計算 上は低くすることは可能だと思います。とりあえずは、今のやり方でやらざるを得ない と思います。 ○基準審査課長 今御指摘の件は、食品安全委員会と御相談してどういう感じにするか。 それから、4ppmの件については、ADIの中の2割か3割ぐらいということなので、 とりあえずはこれで設定させていただいて、実は私ども中でも検討したときに加藤先生 がおっしゃられたように、これはギリギリなんですね。ですから、それだけで1,000ぐ らいになってしまうわけです。ですから、ひょっとすると過剰に見積もっているんじゃ ないかという気もしないではなかったんですが、とりあえず4で設定させていただいて、 ここは今後見直すときも含めて、少しそういった部分の情報収集ができないかどうか、 企業側とも話をしてみたらどうかと思います。  ですから、米谷先生の宿題の部分は食安委とどういう感じにするか。それから、加藤 先生の御指摘の、仮置きしたところで過剰に見積もっている可能性もあるので、しかも、 4ppmとかなり高い設定ですので、ADIの中ではそれほどでないので、とりあえずは これで設定させていただいて、若干宿題として企業側に伝えるという形でどうかなと思 いますが。 ○大野部会長 もし、これでADI比が80%に非常に近くなってしまったとか、それに 占める割合が魚介類が非常に多いという状況のときに、対象となる魚介類でどのくらい 代謝されるのか、そういうものは指示できるんですか。調べるようにとか、代謝物につ いてとか。 ○事務局 依頼の仕方とか内容にもよるかもしれませんけれども、当然、基準値設定に 必要な資料で、先生方の方でこれがないと評価できないということがあれば、勿論それ は求めていくことになろうかと思います。 ○大野部会長 それでは、取扱いについては食品安全委員会で検討していただくという ことですね。 ○基準審査課長 今後の魚介類の代謝部分については、そうさせていただければと思い ます。 ○大野部会長 このままで80%に近くなって、それが魚介類が占める割合が非常に多く て、それも実際に暴露されるような魚介類の摂取量から見ても多いというようなことに なった場合には、残留量基準を設定できないというような議論になった場合には、更に 資料を要求することは可能だということですので、今後そういった形でやっていきたい と思います。  ほかにございますか。どうもありがとうございました。それでは、幾つかの問題点は ございますけれども、17ページに示された答申案、米が0.7ppm、魚介類が4ppmとい う残留基準値の案ですが、これについて了承していただけますでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、これをこの部会の報告とさせていた だきます。  次に、メトキシフェノジドについて御説明をお願いいたします。 ○事務局 メトキシフェノジドにつきまして、資料5−1、5−2に基づきまして御説 明申し上げます。この剤の経緯につきましては、資料5−2の26ページをごらんいた だければと思います。平成13年に農薬登録をされてございまして、平成17年のポジテ ィブリスト制度導入時に暫定基準を設定しているものでございます。今回その暫定基準 の部分と更に魚介類に関する基準の設定という要請がございましたので、それらについ て御審議いただくというものでございます。  安全委員会の評価でございますが、資料5−1の総合評価といたしまして25ページ をごらんいただければと思います。この剤につきましては、国際的なJMPRでも評価さ れて、コーデックス基準もあるものでございます。また、カナダ、米国、オーストラリ アについても基準の評価がされているというものでございます。今回は、それらに加え て日本の農薬抄録等を参考に、安全委員会で健康影響評価を実施したということでござ います。  各種毒性試験の結果から、メトキシフェノジドによる影響は、主に血液、肝臓及び腎 臓に認められたということでございます。ただ、各種毒性試験の結果から言えば、発が ん性、また繁殖能に関する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかったというもの でございます。  ADIの設定根拠といたしましては、イヌの1年間の慢性毒性試験の結果から 0.098mg/kg体重/日というもので評価されているということでございます。  これらの評価の一覧表は26〜28ページにまとめております。28ページの最後の部分 でございますが、今回のADI設定の根拠ということで、それぞれ各国また国際機関等 の評価について書かれてございます。今回、日本では9.8を100で割って0.098という ことでございますけれども、JMPRでも0.1、米国0.1、カナダ0.1、豪州0.1というこ とで、同じような評価がされていると。試験の根拠といたしましては、米国ではラット の2年間発がん性併合試験等、若干相違もありますが、ADIの数字としては同様のも のが出ているということでございます。  これらに基づきまして、部会報告書案は資料5−2でございます。本剤につきまして は殺虫剤ということでございます。昆虫の脱皮ホルモンと似たような作用をして、幼虫 における異常脱皮を引き起こすというものでございます。  化学物質、構造式については記載のとおりでございます。  使用の範囲、また適用害虫につきましては2〜3ページにまとめてございます。  作物残留試験につきましては4ページから記載してございますけれども、表について は14ページから別紙1−1といたしまして、国内での作物残留試験の結果。17ページ からは別紙1−2ということで、海外での作物残留試験の結果ということでまとめてご ざいます。海外でも使用される剤ということで、こういった海外での作物残留試験も取 り寄せて、その他の部分についての基準設定の検討を行ったというものでございます。  9ページでございます。これも魚介類への基準の設定ということで要請がございまし たので、必要なデータをそろえて検討したところでございます。まず、水産動植物被害 予測濃度ということで、本農薬は水田及び水田以外の場面でも使用されるということで すので、水田PECと非水田PECについて算出しております。水田PECについては 0.33ppb、非水田PECについては0.011ppbということでございますので、水田PEC の0.33ppbを採用させていただいているということでございます。  魚類の濃縮性試験でございますが、先ほども代謝物のお話が出ました。この剤につき ましては、炭素に標識をしたもので濃縮試験を実施しているということでございます。 ですので、総残留放射能としてのBCFが算出されてございます。ということは、本体 と代謝物を含めた形でBCFが算出されていると。それでいくとBCF=10となるとい うことでございます。ただ、そうした場合PEC自体は親化合物のみで算出してござい ますので、整合性がとれないということがございます。  本剤につきましては、併せてそれぞれ代謝物の定性定量試験も行われてございまして、 それぞれ魚の可食部、非可食部についての定量試験等が行われてございます。なので、 親化合物メトキシフェノジドの濃度がそれぞれこの範囲ということがある程度試算され たと。報告された結果から、メトキシフェノジドの濃度というものが足し算して合わせ たわけでございますけれども、0.0178から0.0180ppmということで算出されたと。こ のときの水中の濃度というのが0.2ppmということでございましたので、先ほどの10 の試算とは別に、これらの値を用いまして親化合物のみでのBCFを試算したところ、 この式でおよそ1と算出されたものでございます。  これを今回BCFとして推定残留量を試算したというものでございまして、先ほどの PECの値0.33ppb、またBCF≒1というものを用いますと、推定残留量としては 0.00165ppmという値になるということでございます。そうすると、明らかにいわゆる 一律基準0.01ppmよりも下回っているということがございますので、この剤につきまし ては基準の設定を要しないという案で記載させていただいてございます。  このように、BCFにつきましては先ほども米谷先生から代謝物のお話が出ましたが、 いろいろデータをもらっているものがありますが、個々の剤について見ますと、BCF の中身につきましてはこれと同じように総量で試算されているものがある。それは親化 合物と代謝物を合わせた形で出ているものも何種類かあると。今回のように親化合物ま た代謝物のみ別途のデータから分けて試算できるものがあればいいんですけれども、そ ういったデータがない農薬が何種類かあるということでございまして、これらの整理の 仕方については今、加藤委員の研究班でも整理をお願いしてございまして、また、まと まった段階で部会の委員の先生方にも見ていただこうと思ってございます。今回は、こ ういったそれぞれ親化合物について、また、魚の部位についてのデータがあったもので すから、こういった試算の形でデータが出せたというものでございます。  続きまして、8番以降でございますけれども、乳牛における残留試験ということで、 国内では牛乳中の残留試験が行われているということでございます。いずれも定量限界 未満だったということでございます。  海外では同じように投与試験でございますが、飼料に混ぜて与えまして、牛乳、筋肉、 脂肪、また肝臓、腎臓についてのデータをとっているということがございまして、それ ぞれまとめたものが11ページの表1でございます。最大の理論的な飼料由来の負荷量 ということで、JMPRでは31ppm、米国では肉牛、乳牛、豚についてそれぞれ記載のと おり100.1ppm、84.7ppm、4.23ppmという試算、また、オーストラリアでは乳牛に4 ppm、カナダでは乳牛、肉牛についてそれぞれ15.6ppm、12.54ppmと評価されている ということでございます。  9番目は鶏についての残留試験ということで、同じように経口投与でこの剤を与えま して、筋肉、脂肪、肝臓、また卵についての残留を見たということでございます。結果 については12ページの表に出てございますが、JMPRでは飼料由来の負荷量を0.07ppm、 米国では1.47ppmというような試算をしてございます。  ADIの評価でございますが、これにつきましては先ほどの安全委員会の評価のとお りということで、0.098mg/kg体重/日でございます。  諸外国の状況でございますが、2003年にJMPRでも評価が行われてコーデックスで の基準がブロッコリー、キャベツ、また畜産物についても設定されていると。米国、カ ナダ等5か国について調査したところ、米国、カナダ、オーストラリアについて記載の 果物、野菜等について基準値が設定されているというものでございます。  基準値案といたしましては、メトキシフェノジド本体を規制対象としているというこ とでございます。作残試験において代謝物等々についても分析してございますけれども、 非常に低い残留量ということから、規制自体は本体で行うという整理にしてございます。  基準値案は21ページからでございます。網掛けになっている部分が今回暫定基準を 置いたところでございまして、見直しの対象になっているということでございます。登 録の有無で「○」がついているところは日本でも登録があるものでございます。  基本的に作物残留試験のデータに基づきまして一個一個基準値の適合性を見極めてい くと。また、国際基準があるものについては、それを最優先にして基準値として維持す る、また、適用させるという作業で進めてきたものでございます。  作物残留試験がないもの、例えば、えんどうまめからその他のいも類まで0.1ppmと いう基準が今ございますけれども、データがないのでこれらについては削除、いわゆる 一律基準で管理するといった方針で基準値案を設定してございます。  これらの暴露評価につきましては24ページからでございます。基本的にTMDIの試 算でそれぞれ国民平均で42.0%、幼小児の方で74.7%、妊婦の方で33.3%、高齢者の 方で45.2%ということで、いずれも80%を下回っていることを確認してございます。  答申案といたしましては27〜28ページにまとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの説明について御質問・御意見ございますか。 ○志賀委員 最初にいたって簡単な文字の訂正を。9ページの18番、19番、ブロッコ リー、ハナッコリーの括弧書きの「花蕾」の「蕾」が「雷」になっていますね。同じ訂 正が15ページの表の一番下のブロッコリー、それから、16ページのハナッコリーにも くさかんむりをつけてください。 ○大野部会長 ありがとうございます。  10ページの表現なんですけれども、(2)海外で実施された試験で、「メトキシフェノジ ド0、15、45、150ppmを含有するゼラチンカプセルを28日間にわたり摂食させ」と ありますが、ゼラチンカプセルに15ppm含むってどういうことかなと思ったんですけ れども。えさの中にそれだけ含むというならわかるんですが、下の方はただ、えさの中 で含量に相当すると書いてあるから、食品安全委員会の報告を見ると、このデータは載 っていなかったのかな。 ○事務局 投与はカプセルに入れて与えるということなんですが、ppmというのは濃度 になってしまいますので、牛の通常食べる飼料全体が21〜22kgということで、それに 換算するとそれぞれこれだけの量に値しますということです。 ○大野部会長 ppmというのはえさ全体としての濃度という意味ですか、それともカプ セルの中での濃度ということですか。 ○事務局 濃度なので飼料だと思います。 ○加藤委員 カプセルに入っているのは単担体に入れた粉末が入っているだけです。家 畜からの摂取量の基準値を決めるときは、投与量の表し方としては今おっしゃったよう にえさ中の濃度に換算しての量で表しますので、細かく言うとメトキシフェノジド何と かppmえさ中ppmに相当する量を包埋したゼラチンカプセルという言い方が正しいの だろうと思います。 ○大野部会長 そうすると、これはゼラチンカプセルと言わなくても、単に含有するえ さを28日間にわたって摂食させたでよろしいんじゃないですか。ゼラチンカプセルと わざわざ言わなくてはいけない理由というのはないのではないですか。 ○事務局 えさにまぶしているわけではなくて、投与を確実にするためにカプセル投与 しているんです。 ○大野部会長 口の中に直接入れているんですか。 ○事務局 ただ、それは濃度的にどうなるんだとなると、えさがこうなのでこういう濃 度になるものを直接投与していると。カプセルが問題ではなくて、カプセルに入れたも のを与えたということですので。 ○加藤委員 いずれにしても、この表現はおっしゃったように間違っていると思います ので訂正した方がいいんじゃないですか。 ○事務局 また御相談させていただいて。 ○大野部会長 お願いします。要は、すぐにつくってしまうと余計混乱してしまいそう なので。事務局でわかりやすいような形で修正してくださるようお願いいたします。と いうことで御容赦ください。  ほかにございますか。 ○佐々木委員 22ページのピーマンの基準値ですけれども、これは3ppmになってい ますが、国際基準の2ppmでもよろしいのではないでしょうか。多分1.07ppmを考慮 されているのだとは思うんですけれども。 ○事務局 この部分は先生御指摘のように、1.07という日本の作物残留試験のデータで 最大値からとるという整理でやってございます。 ○佐々木委員 最大値の3倍ないとだめということでしょうか。最大値をとっている以 上は2倍ぐらいでもいいのかなと思うんですが。平均値であれば大体3倍とか4倍とっ てありますよね。 ○加藤委員 御存じのように、ピーマンは大体前日までの処理ですよね。ピーマンは1 日か2日肥大成長がかなり激しいですので、そして、肥大成長の速度によって残留レベ ルが全然変わってくることになりますので、例えば、栽培中たまたまその年は温度が低 かったとかで成長速度が遅くなってしまえば、すぐ3倍、4倍という濃度になってしま うと思いますので、そういうことも考えますと、2はちょっと厳しいのではないか、3 辺りでよろしいのではないかと私は思います。 ○大野部会長 いかかでしょうか。よろしいですか。  ほかにございますか。 ○佐々木委員 21ページのカブの基準なんですが、これはカブの葉の方だけアメリカの カラシナを参照して基準が決められているんですが、実際には葉に残っていれば根にも 残るということになると思うんですけれども、それは基準を設定しなくても特に問題に はならないんでしょうか。 ○事務局 先生おっしゃることはよくわかるんですが、これに見合うデータがないので 置けなかったというのが現状です。 ○大野部会長 ちょっと変な感じがしますけれども、データがないということでよろし いですか。 ○佐々木委員 アメリカの場合は、結局カラシナのデータで葉っぱ類すべて基準値を獲 得できるということになってしまうわけですね。 ○事務局 すべてではないんですけれども、細かく作物分類がグルーピングされていま すので、それに当たるものについて置くということになります。カラシナというだけで はなくて、どれを代表値にしてというのが決まっていまして、それに準じた形で置いて ございます。 ○佐々木委員 今のカラシナですけれども、18ページではマスタードと書いてあります が、これをカラシナと解釈してよろしいわけですよね。 ○事務局 御指摘のとおりでございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。  では、基準としては28ページに記載されていますが、これを当部会の報告としてよ ろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○大野部会長 特に御意見がなければ、若干修正が入りましたので修正した上で部会の 報告とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  では、次のメトコナゾールについて説明をお願いいたします。 ○事務局 最後になりますが、メトコナゾールにつきまして資料6−1、6−2に基づ きまして御説明申し上げます。  この剤も2回目の審議でございまして、経緯につきましては資料6−2の12ページ をごらんいただければと思います。昨年5月に部会で御審議いただきまして、昨年11 月に一度告示をしてございます。今回は適用拡大ということで、大麦、また小麦を除く 麦類についての申請があったということでございます。また、インポートトレランスで バナナの基準を置くという要請もあったということでございます。それらについて今回、 御審議いただくということでございます。  食品安全委員会の健康影響評価でございますけれども、6ページに概要がまとめられ てございます。中身については変わってございませんので、この概要で説明いたします と、各試験の無毒性量の最小値はウサギを用いた発生毒性試験の4mg/kg体重/日、これ を根拠といたしましてADIとしては0.04mg/kg体重/日という評価でございます。前 回と変わってございません。  これに基づきまして基準の検討でございます。資料6−2でございます。本剤はメト コナゾールということで殺菌剤でございまして、作用機構は菌類のエルゴステロール生 合成経路中の脱メチル化を阻害するということでございます。cis体とtrans体の幾何異 性体があるということで、cis体の方が活性が高いということでございます。  構造式といたしましては記載の4つでございます。  2ページ以降に使用方法、また適用の病害虫ということでございます。今回は四角囲 みでございます小麦を除く麦類でございます。  また、国外での使用方法ということで、バナナについて海外での基準を採用していた だきたいという要請があったということでございまして、その使用方法でございます。  作物残留試験データにつきましては4ページ以降にまとめてございますが、新たに加 わったところにつきましては下線を引いてございます。また、今回適用拡大の部分につ いては、大麦を四角囲みで整理してございます。  これらについては8〜9ページに表でまとめてございます。8ページが国内での麦 等々についての作物残留試験の結果、9ページにはバナナの作物残留試験の結果という ことでございます。  6ページでございますけれども、ADIの評価は先ほどの安全委員会の評価のとおり で0.04mg/kg体重/日。  7ページ、諸外国の使用状況ということで、国際機関での評価はまだされていないと いうこと。海外では米国においてバナナに基準が設定されているということで、今回こ の基準値の採用要請があったということでございます。  基準値案につきましては、メトコナゾールのcis体とtrans体の総和ということで設 定してございます。  代謝物等々についても分析が行われてございますが、いずれについても定量限界未満 ということで規制対象としないということでございます。  基準値案は10ページから表にまとめてございます。今回大麦等のデータから、大麦、 ライ麦、その他の穀類についての基準を設定してございます。これは最大値1.34ppmを 用いて、それぞれ3ppmという値を設定してございます。また、バナナにつきましては 0.1ppm未満ということで、アメリカの基準の0.1ppmをそのまま採用させていただい てございます。これも冒頭と同じ、みかんの皮とその他スパイスについて整理してござ います。今、その他スパイスには基準はないんですけれども、以前にみかんの果皮につ いて3ppmという基準値をミカンの作物残留試験の結果から決定してございます。これ をその他スパイス全般に広げるということで、その他スパイス(みかんの果皮を除く) というものに改めて3ppmという基準を設定して、告示上は併せてその他スパイスで基 準を設定するという整理にしたいと思っております。  暴露評価は11ページでございます。それぞれTMDI試算で国民平均が2.3%、幼小児 の方で3.7%、妊婦の方で1.5%、高齢者の方で1.7%ということでございます。いずれ も80%以下を確認させていただいてございます。  14ページにそれらをまとめました答申案ということで、大麦、ライ麦、その他の穀類、 バナナ、その他スパイスで今回追加部分でございますが、まとめてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。  今の御説明についての質問・コメントはございますか。特に質問はございませんか。  それでは、この答申案を部会の報告としてよろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、この答申案を当部会の報告とさせて いただきます。  今日の審議品目については終わりましたけれども、そのほか事務局からございますか。 ○事務局 特にありませんが、今後の手続について御説明したいと思います。  本日御審議いただきました農薬ブロモブチド及び動物用医薬品の豚サーコウイルス (2型・組換え型)感染症(カルボキシビニルポリマーアジュバンド加)不活化ワクチ ンについては、食品安全委員会からの通知を待って部会報告書とさせていただくことと します。  農薬アゾキシストロビン、ビフェナゼート、ピリダリル、メトキシフェノジド及びメ トコナゾールにつきましては、食品安全委員会からの通知を受けていることから、今回 ご指摘いただいた部分を修正の上、各委員に御確認いただいたものをもって部会報告書 とさせていただきます。  なお、今後の手続につきましては食品衛生分科会にお諮りするとともに、農薬6剤に つきましてはパブリックコメント、WTO通報の手続を進める予定としております。 ○大野部会長 ありがとうございます。  その他はございませんか。 ○基準審査課長 本日が本年最後の開催ということでございますので、少しごあいさつ をさせていただきたいと思います。  本年度は昨年度に引き続きまして、ポジティブリスト制度の導入に際しまして設定し ました暫定基準の見直し検討が中心ということで、ほぼ毎月部会を開催させていただき ました。委員の皆様におかれましては、お忙しいところ御協力いただきまして誠にあり がとうございました。  若干御説明いたしますと、具体的には4月以降、本日を含めまして10回の部会が開 催されまして、御審議をいただきましたのは農薬あるいは動物用医薬品など延べ64品 目ということになります。その間、今日も話題になりましたけれども、魚介類への残留 基準設定の使用についても御審議をいただくなど、本年度は非常に盛りだくさんな内容 になりました。ポジティブリスト制度関連の農薬など、それから、新規登録、承認の農 薬等につきましては、本部会で御審議いただく品目がまだまだたくさん控えております ので、また来年も本年と同様、多分毎月開催をすることになると思います。引き続き、 御協力のほどお願いしたいと思います。  委員の皆様におかれましては、よい新年をお迎えになられることを祈念いたしまして、 私のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。  私からも。4月から御協力いただいてどうもありがとうございました。なかなかスム ーズに議事を進められなかったり、議論が尽くせなかったりということがあって、皆さ ん歯がゆいところもあったかと思いますけれどもお許しください。これからまた御意見 がありましたらどんどん言ってくださって、実質的により深い議論をしていきたいと思 いますので、御協力よろしくお願いいたします。本当に今年1年ありがとうございまし た。 ○事務局 次回の本部会の開催日程につきましては、1月31日木曜日、午後を予定し ております。詳細につきましては追って御連絡申し上げます。あと、3月についても近 日中に予定をお伝えしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487、2489)