07/12/10 社会保障審議会介護給付費分科会第45回議事録 社会保障審議会 第45回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成19年12月10日(月) 午前9時30分から午後0時30分ま で 霞が関東京會舘(ゴールドスタールーム) 2 出席委員:天本、池田、石川(代理:石田参考人)、井部、大島、大森、、沖藤、勝田、 川合、神田(代理:牧野参考人)、木下、木村、小島(代理:吉田参考人)、齋藤、高橋(代 理:遠藤参考人)、田中(滋)、田中(雅)、池主、対馬、中田、村川の各委員、堀田専門委 員 3 議題 <審議事項>  1.「介護サービスの実態把握のためのワーキングチーム」の論点整理について  2.その他 (鈴木老人保健課長)   それでは、定刻となったので、第45回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていた だく。  初めに、第43回社会保障審議会介護給付費分科会において設置を御了承いただいた、介護サー ビス事業の実態把握のためのワーキングチームにおいて、介護労働力問題について御検討をいただ くに当たり、堀田専門委員が社会保障審議会の専門委員に任命されたので、御報告する。  沖藤委員がちょっと遅れているようだが、欠席という御連絡をいただいていないので来られると 思うが、本日の委員の出欠状況だが、矢田委員、山本委員から欠席という御連絡をいただいている。  また、本日は石川委員に代わり石田参考人、小島委員に代わり吉田参考人、神田委員に代わり牧 野参考人、高橋委員に代わり遠藤参考人がそれぞれ出席されている。  21名の委員の方に御出席いただいており、定足数である過半数に達しているということなので、 会として成立することを御報告させていただく。  それでは、以降の進行は大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)  今、御紹介があったが、社会保障審議会の専門委員になった堀田聰子さんから一言ごあいさつを いただく。 (堀田専門委員)   東京大学社会科学研究所の堀田と申します。介護労働者の実態、特に能力開発と雇用管理につい ての研究をしている。よろしくお願いする。 (大森分科会長)   それでは議事に入りたいと思うが、その前に本日の資料の確認及び説明を事務局からお願いする。 ○鈴木老人保健課長より各資料について確認。 (大森分科会長)  それでは、議事に入る。  今、御紹介があったように、私どもの分科会としては、10月12日に、この介護サービス事業の 実態把握に関するワーキングチームの立ち上げを決めていただき、そのチームの方で論点について 検討した上で本分科会に御報告いただけるように、そして、その御報告いただいた内容に必要な、 私どもとしての対応策を検討するということでお願い申し上げたものである。  このワーキングチームの座長は田中滋委員にお願いしているので、まず田中(滋)委員から整理 された内容について概括的な御報告をお願いしたいと思う。   (田中(滋)委員)   それでは、5分ぐらいで簡単に御説明申し上げる。  問題意識は次のとおりである。マクロ経済が景気回復して、労働市場の需給が逼迫している。そ の一方、介護報酬が引き下げられ、介護労働者からは賃金水準が低いために生活が苦しいとの声が ある。また、事業者からは人材確保が難しいという指摘がなされている。  こうした中で、私どもワーキングチームに対し、介護サービス事業経営の効率化と、介護労働者 の育成並びに定着率の向上を図るため、必要な対応を検討する際に役立つ参考材料をつくるよう、 この分科会において指示があった。  そこでワーキングチームは3回にわたり、3時間を超えることもあったが、会合を開き、事業者 団体、労働者団体、計9団体からヒアリングを行った。そして、今後の検討課題について整理を行 った。  ヒアリングからかいま見られた各団体や介護職員の方々の努力や御苦労に頭が下がる思いがし た。また、何より利用者への支援を確保するためにもさまざまな制度的あるいは経営上の改善の取 組みが欠かせないこともわかった。中でも介護報酬については、最初に述べたようなマクロの労働 市場との乖離を考えると、一定の配慮が必要と思われる。  とはいえ、ワーキングチームにおけるヒアリングと私どもの議論の結果、現在の介護労働を取り 巻く課題は介護報酬のみで解決する課題ではないこともまた明らかになった。詳細は後ほど事務局 から資料に基づいて説明があるが、以下、私なりの簡単なまとめを述べさせていただく。  もし、介護報酬の引上げがなされたとして、介護労働者の賃金水準に引上げに確実につながるよ うに期待するが、介護事業経営や介護労働者の処遇に影響を与えると考えられる要因は介護報酬の 水準だけではない。ほかにもさまざまに存在する。何事もすべて報酬の問題であると片付ける議論 は正確ではないと思う。  介護労働者を取り巻く課題を解決していくためには、介護事業経営や介護労働者の処遇に影響を 与えるさまざまな要因について十分な研究や分析を行う必要がある。その上で幅広い観点から施策 を講じ、問題の根本的な解決を図る冷静な判断が不可欠だと現時点では考える。  主な視点のうち、4つをお示しする。  第1点は、介護サービス市場の競争状況である。1事業所当たりの顧客数への動向の対応は、質 の向上や事業所規模の話を含め、第一義的には介護事業者の経営判断に属すると言えるだろう。勿 論、制度的対応の研究も欠かせない。  第2点は、介護事業者のマネジメントの在り方である。収益を介護労働者の賃金に適切に反映さ せることができるようなマネジメントシステムとなっているかどうかを検討する必要がある。  第3点は、賃金以外の事項に関する人事労務管理の在り方である。介護事業者の人事労務の在り 方によって、介護労働者の環境は大きく違ってくる。特に教育研修とキャリアアップの機会の提示 が重要なことは言うまでもない。  第4点は、冒頭に述べたマクロ労働市場の影響である。単に介護分野だけで介護労働の在り方が 決まるわけではなく、介護労働市場が受けているマクロの労働市場の影響を検討する必要がある。  これら4点、更に後ほど事務局から提示されるその他の諸要因について十分な分析や研究を行い、 幅広い施策を講じないと、介護労働者を取り巻く諸問題を解決することはできないと考える。  以上のような基本的なまとめが、ワーキングチームにおける議論で整理できたと考え、ここに御 報告する。  池田委員、村川委員、それから、今日御出席の堀田専門委員による、鋭く、また本質を突いたた くさんの質問に深く感謝する。単に実態を問うだけではなくて、教育的というか、実は回答へのヒ ントを込めた巧みな質問が多く、座長としては大変助かった。  以上である。   (大森分科会長)   ありがとうございました。  今、御報告にあったように、詳細については事務局から報告せよということなので、それでは事 務局からお願いする。   ○鈴木老人保健課長より資料2の「介護労働者や介護事業者を取り巻く状況」の項目1及び参 考資料1を説明。   (大森分科会長)   ワーキングチームの報告は、今、事務局から報告があったように、現在がどうなっていて、どう いう問題点が出ているのかということをできるだけ客観的に把握する、現状をどうとらえるかとい うのが、まず第1番目にあり、その上で、そこから浮かび上がってくる現在の問題点をどういうふ うに見ていけばいいかというのが、基本的な考え方になっていて、今後、どうしたらいいかという 区分けになっている。  今の第1番目の御報告は、ファクトファインディングを含め、現状についての報告なので、しば らく、全体を3つに区切り、現状について、今の御報告を基礎にして、少し皆さん方から御意見を お出しいただければと思っているが、ワーキングチームに御参加された田中(滋)委員以外のお三 方、池田委員、村川委員、堀田専門委員から何か追加的な御発言があれば承りたいと思うが、どう か。  池田委員、現状について何かよいか。 (池田委員)   訪問介護に限って追加させていただくと、訪問介護の売上げを示す給付単位数の推移をずっと追 いかけていくと、身体介護については介護報酬改定以降も減っていない。微増である。身体介護プ ラス生活援助という、いわゆる混合型の訪問介護もほとんど減っていない。  何が減っているかというと、生活援助が介護報酬改定以降、4割ぐらい減っている。ただし、そ の代わり、介護予防訪問介護という新しい給付がつくられたので、それを足し上げるとピークから 7%ぐらい落ちている。つまり、介護報酬の単位数で見ていくと、訪問介護の売上げはそんなに減 っていない。総売上げにあまり変化がないのに、言わばこういった経営上の悪化であるとか、労働 者の低賃金状況が起きているというのは、単純に介護報酬のことだけなのか。勿論、介護報酬が大 きな要因であることは間違いないが、それ以外の要因にかなり目を配る必要があるということを感 じた。   (大森分科会長)   村川委員、何かあるか。 (村川委員)  今、池田委員からもお話があったが、介護報酬というのは非常に重要な要素ではあるが、今の報 告のとおり、多様な要因がある。構造的なものを見るべきだということと、その中では、やはり人 事労務管理の関係であるとか、企業間の競争条件であるとか、特に規模の小さな事業所が多いとい う、これは訪問介護だが、そういったところに着目しながら、今後の課題を見ていくべきだと考え ている。 (大森分科会長)  堀田専門委員、何かあるか。 (堀田専門委員)  とはいえ、お手元にある各団体からの御意見としては、報酬の水準を上げてほしいというのが勿 論、圧倒的に強くなっているわけである。今後需要が高まるにもかかわらず、人手不足感があるな かで、確かに、経営の面でも、雇用管理の面でも、それぞれの事業者レベルで改善すべき点を抱え ている。ただし、良いサービスを提供する努力をしている事業者、介護職を応援できるような介護 報酬の水準であるかどうかという観点は、忘れてはならないのではないかと思う。 (大森分科会長)   本日は、勝田委員と沖藤委員からペーパーが出ており、拝見すると非常に幅広い、御要望点がい ろいろ並んでいるが、せっかくなので、これから現状について皆さん方の御意見を伺う前に、お二 人から簡単に御報告いただく。   ○勝田委員より資料の「提言・私たちが期待する介護保険」を説明。 (大森分科会長)   それでは、沖藤委員から5分程度でお願いしたい。   ○沖藤委員より資料の「社会保障審議会介護給付費分科会の議論の進め方についての意見」を説 明。   (大森分科会長)   それでは、先ほどの参考資料1に基づき、ワーキングチームの報告の最初の、介護労働者及び介 護事業者を取り巻く状況についての御報告があったので、しばらく、これをめぐって皆さん方から 見方についての御意見等を伺いたいと思う。1について、どうぞお願いする。  それでは、井部委員からどうぞ。   (井部委員)   確認だが、以前のこの分科会で訪問看護サービスの伸びが非常に少ないという池田委員からの指 摘があって、特に訪問看護についての現状とその問題を探ろうということであったかと思うが、一 括して介護サービス事業ということになっており、訪問看護については、この介護サービスの中に 含まれていて、特徴的なことはないというふうに考えてよいのかどうかを教えていただきたい。   (大森分科会長)   事務局からお願いする。 (鈴木老人保健課長)   9団体の中で訪問看護事業協会からもヒアリングをさせていただいた。勿論、訪問看護について は介護事業の全体の中に入っている。  その中でも、今回は数が大きいということで、訪問介護とかデイサービスを中心に分析させてい ただいた資料をこの中には提供させていただいているが、勿論、訪問看護に特有の事象というもの も幾つかあり、例えば規模が小さいとか、なかなかほかのサービスに比べて、介護保険が始まった ときから比べて伸びが少ない。まさに御指摘の事項だが、それについては、是非対応を考えるべき だという御意見もあったので、もう少し預からせていただき、また検討させていただきたいと思う が、訪問看護は、この介護事業全体の中に入っているということは間違いないと見ている。   (大森分科会長)   井部委員、今のようなお答えだが、よろしいか。   (井部委員)   確かにそうだが、訪問看護の特有な状況も、例えば人員配置の関係などについては医療との関係 が非常に大きいので、介護サービスに含めてしまうと、その特徴的なところが見えなくなるのでは ないかと懸念している。   (川合委員)   やはり介護事業で居宅サービスのことを論ずるならば、これ全体で介護の居宅サービスについて 預かるというだけでは私は大いに不満である。やはり、訪問看護というものに対する認識が、この 表現では薄いのではなかろうかと私は思う。在宅のクリニック、訪問看護、施設系のバックアップ があって初めて在宅が可能だと私は思うし、その間の潤滑剤としての訪問看護は非常に重要だと思 う。  ただ、不幸な事件がこの年明けからあったものだから、それに目をとらわれすぎて、いろいろこ れが重点化され過ぎているように思う。私は井部委員のおっしゃったことはもっと積極的に議論を して、預かりおくというだけのお上的な発想はやめていただきたい。   (大森分科会長)   田中(滋)委員、今の論点については、どういうふうにお考えか。   (田中(滋)委員)  もっと項目数を増やしてよければ、別に入れることは可能だったと思うが、まとめのところで、 例えば事業所規模が小さい問題とか、利用者数が伸び悩んでいるなどの点では同じところに訪問看 護についての議論も入っていると考えてほしい。勿論、訪問看護についての特別な言及をあと1行 入れることは別に問題ないと思う。 (鈴木老人保健課長)  私の説明が舌足らずだったかもしれないが、これで当分科会の介護労働に関する問題のまとめだ ということではなくて、これをあくまで端緒として、これから御議論いただきたいということなの で、具体的に訪問看護のさまざまな状況、看護のサービスの市場もあるし、もしかしたら看護師の 人材の問題もあるのかもしれないが、その見地でどうするかについての取扱いは座長と御相談させ ていただきたいと思うが、何人かの委員の方々から、これは非常に重要で、これから在宅療養を支 えていく上ではキーになるという御意見があったことはテークノートしたいと思う。 (大森分科会長)  吉田委員、お手が挙がったので、どうぞ。 (吉田参考人)  まずは、ワーキングチームにおいて連合に対してヒアリングの場を設けてくださったことに対し、 この場でも感謝の意を表したい。  参考資料でもわかるとおり、やはり介護労働者の賃金は低い。ただ、全産業に比べて勤続年数が 短いことや、平均年齢が低いこともそれに起因しているのではないかという御指摘が事務局からあ ったと思うが、例えば福祉施設介護員の22万7,000円が、同じく報告があったように、仮に年2% で上昇していったと考えても、10年後の43歳の場合でもまだ28万円弱である。これから見ても、 介護現場の労働者の賃金は低いと言うべきだと考えている。例えば定着率が非常に悪いこと、また、 有効求人倍率がほかの産業に比べて非常に高いにもかかわらず、人が足りていないというのは、や はりこういう労働条件、とりわけ賃金に起因するところが多いのではないかと考えている。  ヒアリングの場でも意見したが、介護報酬が賃金にどう反映・分配されているのか実態を分析し、 適切な賃金配分を保証するような制度にする、またはマネジメントを支援していく取組みを強化し ていかなければいけないということが、この実態から明らかになったと考える。 (大森分科会長)   ほかにどなたか御指摘いただくことはあるか。   (木下委員)  この資料は大変貴重な資料で、これからの議論にとても役に立つものだと思い、感謝したい。  まず第1に、今日出た資料が既に報道されているということで、その経過がどうなっているかと いうことがまず1点あると思う。  参考資料1の2ページ目で、勤続年数、年齢が違うので比較にならないというお話だったが、こ の辺はマッチングしたデータを今後お出しになるのかどうかということが1つある。  3ページ目で、特別養護老人ホームの介護職の年収について書かれている。これは多分、初任給 だと思うが、介護保険が始まる前と始まってからでは大変違う結果が出ている。以前からおられた 職員は多分高いままではないかという気もするが、特別養護老人ホームの介護職だけでは物足りな い。ほかの施設、在宅系の年収も比較してみる必要があるかなと思っている。  4ページ目で、都道府県別の介護職の給与差が出ているが、全体の他産業を比べた場合よりは、 この差は少ないのではないかという気がする。全産業で見るともっと大きな開きが出ているような 気がするので、その辺りの資料があれば教えていただきたい。  10ページ目の下のケースで、平成23年、26年辺りになると今の5割増の人員が必要だというデ ータが出ているが、これにどう対応するか、実際にこれだけの労働力を確保するのは不可能だと思 う。前回、私の示した日大の人口問題研究所が出したデータでも、家庭介護力は今の3分の1ぐら いになるというようなことも出ているので、その辺りともかみ合わせて、どう解決するかというの は大変大きな問題だと思う。そこの辺りを間違えると、介護保険あってサービスなしというか、介 護保険が始まるときに一番心配されたことが現実的になるおそれがあるのではないかという気が している。  11ページ目の設置主体別の経営状況が出ているが、地方公共団体立が一番赤字が大きいというふ うに出ているが、これは訪問介護に関して地方公共団体の経営責任があるというのではなくて、多 分、公務員ベースの給与を払っているからだと思うので、この問題を解決するためには、介護部門 だけではなく全体の公務員制度の中の結果としてこういうものが出てきていると思うので、介護に 関してここだけを解決しろというのは無理なような感じがするので、その辺をどうお考えなのかと いうことがある。  それで、こういう問題が介護報酬を上げただけで解決するものではないという報告があるが、介 護報酬を上げなければいけないということもあるのかどうかを1つ確認したい。  それと、先ほどから出ているように、大幅な制度の簡素化をしないと今後はやっていけないので はないかという気がするので、その辺りの検討が一番大きなことだという気がしている。   (大森分科会長)  今のご発言の中に、今後のことも含まれているが、それは後で議論するので、とりあえず、資料 から何を読み取るかについて何かお答えがあればお願いする。 (鈴木老人保健課長)  何点かあったと思うが、まず冒頭の報道の点について、我々としても極めて遺憾だと思っている。 何人かの関係者の方も含めて、事前にこの原案なりを御相談しているというところもあるので、た だ、我々としても情報管理は徹底したいと思っているし、その旨を関係者にも是非徹底したいと思 う。  2点目以降で、例えばマッチングを年齢・性別についてやるつもりがあるのかとか、具体的にい ろんな他産業との比較においてどうかということがあるが、現段階で基本的に可能なブレークダウ ン、クロスのところを今回お示しした。これから分析を更に深めていく段階において、先ほど、例 えば離職率でも二極化したというのがあったが、それはなぜなのかということもあるし、それから、 まさに木下委員が御指摘のように、単に違うと言っているだけではなくて、ある程度条件をそろえ た場合にどうなのかというところもあるかもしれないし、そういう分析がどこまで可能かというの は、調査の客体数とか時期によっても違うかもしれないが、少し検討させていただいて、今後のこ の分科会の議論に生かせるような形で、なるべく分析的なデータを提供していきたいと思う。   (大森分科会長)  今後のことについては後で議論するが、もう一言、何かあるか。 (木下委員)  今の介護労働の賃金が安いという認識は、この結果から持っていいのかどうか。 (大森分科会長)  全体としてそう言えるかどうか。 (鈴木老人保健課長)  ワーキングチームの報告については田中(滋)座長にお答えいただいた方がいいのかもしれない が、基本的に年齢をそろえてどうかというところは、今、データがないので明確には申し上げられ ないが、少なくとも平均からすると低いということは間違いないと思う。  ただし、いろいろな属性、男女、勤続年数、平均年数、正規・非正規、地域別、それから、訪問 介護か施設かなどのサービス種別等々によって、かなり異なった状況にあるということは事実だと 思うので、その中で、どのセクターについてはどういう手当てをして、これからきちっと定着をし ていただいて、将来についてもビジョンを持っていただいたらいいのかについて考えるべきだとい うことだと思う。   (大森分科会長)  田中(滋)委員、今のようなお答えだが、いかがか。 (田中(滋)委員)   人は賃金だけで動くわけではなくて、賃金プラス教育機会など労働条件で就業意欲は決まると思 う。先ほどの有効求人倍率の推移を見て、介護労働のところがほかの業種よりも高くなっている理 由は、賃金だけとは言わないが、賃金プラスさまざまな労働条件で見て、やはり応募が減っている という点では、他産業よりもやや悪い状況にあると言えると感じる。   (大森分科会長)  実は、今のことは次の基本的にどういうふうに考えていくか、今後どうするかということとも結 び付くので、議論を移したいと思うが、よろしいか。  それでは、天本委員からどうぞ。 (天本委員)  労働環境の現状の課題についてはかなり分析していただいたと思うが、介護労働者の構造という か、例えば学校を卒業した方々、あるいは介護の経験をしてヘルパーの資格をとられた方々などの 構造がどうなっているか。そして、育成というところで、一時、学校がかなりできたが、そこの入 学・卒業生、あるいは卒業生の介護の現場への就職率の分析、そして、参考資料1の10ページ目 の、木下委員も言われた「増加すると想定して」ということだが、これは多分、「必要な」という ことなのだろうが、介護保険事業のみならず、医療の療養病床、あるいはこれから90歳以上の人 がかなり多くなるので、入院されてもすぐ介護の、要するに医療現場でもそういう介護労働者の必 要数は増してくるだろうし、そして、在宅生活においても90歳以上の人たちにおいては、介護保 険の給付から外れた家事援助というか、いろんな意味での介護労働市場が必要とされる人数という のは、この介護保険事業周辺にもかなり多いと私は推測する。  よって、この100万人という将来推計についても、実態では老人保健施設も介護医療型施設も 1.5倍から2倍近く入っているので、今後、多様なニーズに応えるため、いろんな意味で、むしろ 人員配置基準以上に必要だろうということも予測されるので、是非、この介護労働者の構造分析・ 把握と、それから、最後は国として、この介護労働者の今までの対策はどういうことをしてきたの か。そこのモニタリングは、やはりきちっとして、今後の対策についても、どういうアクションプ ランがあるのかという方向に進むべきかなと思うので、意見を述べさせていただいた。   (大森分科会長)   川合委員、どうぞ。 (川合委員)  実は私、5月18日にあり方委員会に初めて出席させていただく前に、過去2年間の介護給付費 分科会の議事録を読ませていただいた。その中に、介護職員の賃金給与について議論されたところ は1回もない。そこから非常に進歩している運営には感謝している。実は、こういうふうなデータ を出していただいたことに関して、訪問看護については意見を述べたが、これでやっと我々の職員 の給与のことが議論できる環境ができたと、本当に感謝している。  最後に1点、私、自法人で在宅事業部長という職責を長年やってきたが、胸を張った赤字経営で ある。なぜ赤字経営か。参考資料1の16ページ目の表だが、くれぐれも原案作成の方々にお願い したいが、最後の「その他(待機時間等)」と書いているが、これを削らないようにしてほしい。  なぜかと言うと、この時間が実は非常に大事なのである。この時間がOJTである。この時間が 我々のプロの技を、知識を、知恵をヘルパーに伝授する時間なのである。玄関から玄関へ、自宅の 玄関からサービス受給者の玄関へ行く。それでファックス通信で管理が可能だというふうな、非常 に経営にのっとったようなことを、まさに削っているのではなかろうか。だから、この時間をいか に付加を付けて評価するか。  私は非難され続けたが、常勤で全部回している。なぜかというと、この時間が必要なのである。 この時間で教育できるのである。この意見を持っているのは、ここに座っておられる二十数名の委 員の中で、私を含め数名しかいらっしゃらない。赤字経営の筆頭だから、自信を持って言えると思 う。 (大森分科会長)  今の御意見だと、どういう言い方をするかというのは重要である。待機時間というと、何となく ただ待っているというイメージだろう。しかし、そんなことはない。だから、こういう表記そのも のの中に現場の実態を反映していないような言い方が表れる。待機時間はあるかもしれないが、そ こへ行くことが前提だが、そのとき、何をしているかということは重要である。  だから、この表記を変えなくていいとすると、その時間は何に使われているかということなしに は全体の時間配分の質が決まらないではというのはもっともな御意見なので、こういう細かいとこ ろの配慮が物を言うときに要る。私はそう思っているので、今の御意見はいい御意見ではないかと 思う。  それでは、次の項目へ行く。 ○鈴木老人保健課長より資料2の「介護労働者や介護事業者を取り巻く状況」の項目2を説明。   (大森分科会長)   それでは、堀田専門員、先ほどお手が挙がって、今の基本的な考え方もワーキングチームの方で とりまとめていただいているので、それに関係して何か御発言があればお願いする。 (堀田専門委員)  まず、先ほどの項目1の実態把握のところで申し上げようとしたことだが、今回、これだけのこ とが明らかにされたという側面に加えて、あくまで9団体からのヒアリングだという限界も忘れて はならないと思う。御指摘の訪問看護だけでなくグループホームなどもそうだが、ヒアリングした 団体の状況について個別に書いているわけではないことに加えて、更にヒアリング先になっていな い様々な関係団体がある。それらを含めて、今後の宿題が示されたという意味もあるととらえた方 がいいのではないか。  それから、賃金について、勤続年数をそろえたとしても、同じサービスの種類でも職種や役職の 面で違いがあるなど、賃金水準を比較するというのは非常に難しいことである。賃金の水準や経営 の在り方についても、9団体からの知見でここまでわかった、そしてこの先、把握すべき点が明ら かになったということが項目1の宿題ではないかと理解している。  それと関連して、項目2のところだが、9団体の中でもグループホーム、訪問看護、施設系、在 宅系があったわけだが、基本的な考え方について8点示されているうち、特に(4)、(5)、(6)の辺りに ついては、資料の中でも書かれているが、サービスの種類別、さらにサービスの組み合わせ別、経 営主体や規模別、地域別等の切り口で、実態のさらなる把握に基づいたモデルや対策について今後 の検討が必要なのではないかと思う。   (大森分科会長)   長引いているので、あと数人御意見を伺ってから休憩にする。  ワーキングチームの先生方は、御質問とかはよろしいか。この「2 基本的な考え方」について、 (1)、(2)から、何か御意見があれば、事務局に聞く。  私から、この介護市場の競争の激化だが、施設についてはある程度、参入について総量規制とは 言わないまでも全体が把握できているが、在宅がなかなか難しくて、ワーキングチームの考え方も、 先ほどの課長の発言も、直ちに参入規制は難しいとおっしゃっているが、そうすると、この問題に 対する対処の方向としてはどういうことが考えられるかというのは重要なことなのではないかと 私は思うが、その点は田中(滋)委員、どうするか。 (田中(滋)委員)  医療の世界でも、介護の世界でも、施設については総費用抑制の観点から、ある程度、病床規制 とか参酌標準が存在するが、在宅系について総量規制をすることは、やはり市場の在り方への政府 の過剰な介入だと思う。診療所も開設自由であるし、訪問介護事業所も基本的に公的な機関が総量 規制という意味での参入抑制をすることは公正な取引に反する政府の介入だと考える。  ただし、質が高いとか、適切な規模に達しているとかの理由で安定した経営ができる、そういう ところを評価する形で、つまり質や経営の安定性を評価する形で一種の参入障壁をやや高めるなら ば、総量制限とは意味が違うので、可能ではないか。これはワーキングチームの意見ではなく、経 済学の側からの一般的な意見として申し上げている。質に関する観点からの参入抑制はありえるが、 総量規制を安易に入れてはいけない。参入をしかるべきところに絞るような工夫はほかにあり得る のではないかが私の考えである。 (大森分科会長)  大島委員、どうぞ。 (大島分科会長代理)  今まで受けていた印象としては、際立って介護系の労働条件は悪い、このまま行けば崩壊だとい うような、非常に極論かと思うが、そんなイメージで語られることが非常に強かった。しかし今日 のデータを拝見させていただくと、あるいはお話を聞いていると、施設によって、あるいはやり方 によって随分差があるようである。もちろん、決して裕福であるというような状況ではないにして も、その差が一体何なのかについてはいろんな要因があるというお話だったが、やり方によっては、 きちんとした経営というのは、ある程度達成できる可能性が高いと見ていいのか。  要するに、効率と質の問題が出てくるので、これは非常に難しいとは思うが、質の話をし始める とどれだけお金があっても足らないという話にすぐ行ってしまうので、効率、そして、質を加えた 経営全体の在り方を考えたときに、ある程度、将来性というのか、非常に財源の限られている状況 の中で幾つかの経営モデルを示せば、採算性というのは、それによって保証されるとまでは行かな くても、見通しがつくような方向に行けると考えてよいのか。   (大森分科会長)  それでは、再び田中(滋)委員からお願いする。 (田中(滋)委員)   座長というより個人的な見解だが、資料2の3ページ目で書かれていることで言うと、(1)、(2)、 (8)は厚労省側が工夫をすべき話である。報酬をいじらなくていいとはやはり思えないし、規制もい じらなくていいとは思えない。どちらもある程度、事業をしやすいように改善しなくてはいけない と思う。  (4)、(5)、(6)、(7)は経営者の努力を求めている。報酬を上げて規制を緩めただけではだめで、例え ば最適な事業規模を求めるべきだと思う。日本の介護事業者、訪問看護事業者はやはり小さ過ぎる のではないかと私は感じているが、そういうものも含めて、経営の問題と言える。  (3)は、すべてを介護保険に頼っていてはいけないという利用者への問いかけである。介護事業を 成り立たせるためには、介護保険給付以外の収入も考えるべきである。これは池田委員や村川委員 も言ってくださったが、厚労省側、利用者側、経営者側、それぞれの努力があいまたないとだめだ との指摘が、この報告書のトーンだとお考えいただきたい。 (遠藤参考人)  「2 基本的な考え方」のところは、委員の方々が指摘された点は私どもとしてもうなずけると ころがある。例えば今の(2)とか(4)については、競争を基本的には維持していくというのは正しい方 向だと思う。その結果として、どのような経営状況にあるかということをある程度開示・公開して いくことで、効率のよいところが新陳代謝されて残っていく仕組みをビルトインしていくことが大 変重要だと思っている。  もう一つは、事業によって離職率に差があるという指摘があった。定着率の高いところもあると いうところを見れば、やはりベストプラクティス、よりよい経営をしているという事例はたくさん あろうかと思うので、その辺を分析した上で、ここではこういうものではどうでしょうかというも のを例示することが重要だと思っている。  最後に、介護保険サービスの在り方については、公的な保険、いろんな負担者がいるということ も踏まえて、真に必要なものにしていくということは基本的にお考えいただきたいと思っている。 今後の分析を大変期待している。   (大森分科会長)   それでは、休憩させていただく。11時10分再開にさせていただく。 (休 憩) (大森分科会長)   そろそろ再開させていただく。  今後の検討課題について、ざっと御報告をいただいた後、全体として御意見を伺うことにさせて いただく。お願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料2の「介護労働者や介護事業者を取り巻く状況」の項目3を説明。 (大森分科会長)   それでは、時間まで御議論いただきたい。   (田中(滋)委員)  今の点について追加をさせてほしい。介護報酬の在り方とか、基準や規制、上乗せ、横出しをど うするか、相対契約をどうするかは分科会の議論で行うべきだと思う。  それに対して、労働の実態とか、経営の在り方論は、もう一段研究が必要である。両者は違う話 で、前者はここでの議論だが、実態の把握については、もう少し研究が必要ではないかと考えた。 特に経営については、先ほど遠藤参考人が言われたように、統計よりも場合によってはベストプラ クティスの調査なども意味を持つ。  もう一点、5ページ目にある借入金返済モデルだが、これを解釈すると、借入金を返済していく 点はキャッシュフロー経営なので、たしかに経営者としては事業継続のために最も重要な観点であ る。また、報酬を考えるために減価償却をどう見るかなど、適切に配慮する必要もある。しかし、 介護報酬論としてこれをモデルにすることは、過剰投資を招かないようにするためにも、そこまで 踏み込んでいいかどうかの話であって、経営者の観点としては正しいが、いきなり報酬論でこれが モデルと言われると、リスクがあると考える。   (大森分科会長)   沖藤委員、どうぞ。 (沖藤委員)  今後の検討課題の5ページのところにサービス提供責任者等というのがあるが、私が聞いている 範囲では、サービス提供責任者というのは、それなりの賃金が払われていないということを多く聞 く。  ある人は、ほかのホームヘルパーたちの賃金をピンはねして自分の上乗せになっているというぐ らい、特別の手当が用意されていないと聞いている。そういう方々に対して、サービスの質の確保 を前提に人員配置基準の在り方等を検討する必要があるといった場合、どういうことが必要性とし て考えられているのかというのが1点である。  あともう一点、先ほどの参考資料1の16ページ目、待機の問題も含めて川合委員がおっしゃっ たホームヘルパーの1日の労働時間内訳の問題だが、今の介護報酬は、移動時間、報告書作成時間、 その他、サービス提供時間56.25%以外の部分も含めて介護報酬として支払われていると考えてい いわけである。そうすると、事業者は、当然交通費とか待機時間とか書類作成に対して、報酬を払 わなければいけないはずである。それが、私が聞き及んでいる範囲では、ほとんど払われていない。 サービス提供の実労働時間のみにしか支払われていないとしたら、それは事業者の方の違約という か、介護保険を適正に使っていないと考えられるのではないかと思うのだが、その辺はどう考えた らよいか。   (古都振興課長)   最初のサービス提供責任者の配置基準の在り方等を検討する必要があるということについては、 今回ワーキングチームでおまとめいただいた中で、団体ヒアリングの中でも、例えばサービス提供 責任者をきちっと評価すべきではないかとか、仕事の内容も整えるべきではないかとか、あるいは 人員配置基準、働ける環境、スキルアップできる環境、こういうものも考慮すべきではないかとか。 あるいはこういった基準については、弾力的な扱いも必要ではないかとか、種々さまざまな議論が 出て、複数の団体からこのような点についてきちっと検討してほしいということであったので、そ れは検討すべきではないかということでまとめられていると理解している。  ただ、今、委員から御指摘があったように、サービス提供責任者は基本的には、ヘルパーと利用 者の間、あるいは事業所とケアマネ事業所の間をつなぎながら、かつヘルパーのスキルアップとか、 指導とか、相当多忙な業務をやっている。本当にきちっとしたところはそういう業務をきちっとや っている。だから、その費用は、事業所全体の中で収益としてあった部分から、本来は事業者が適 切に配分すべきものではないかと私どもは考えており、そういう意味では少しサービス提供責任者 に対する考え方にも理解が必要ではないかと思っている。その上で、今回の御議論の中では、配置 の基準とか、評価の方法とか、そういうことが出ているので、是非引き続き御議論をいただきたい と思っている。 (沖藤委員)   それは前向きに考えてよいか。   (古都振興課長)  基本的にこの給付費分科会で、是非御議論をいただきたいと思っている。  2つ目の方、資料1の最後の絵である。基本的に、労働関係法規においては、例えば職員を拘束 している時間は当然労働時間に含めるべしということになっているし、取り分け問題になるのは直 行直帰のヘルパーではないかと思う。パートの方であれば、その間にすべてを盛り込んでいるので、 4時間なら4時間の間に、移動とかを全部ひっくるめて賃金が払われていると理解するが、直行直 帰の方について、本来は義務的に移動しなさいと、それには15分かかるといえば、当然15分の賃 金は払うべしということである。ただ、1か所しか行かない場合は交通費という扱いになるので、 交通費と移動の賃金はまた別の観念である。  いずれにしても、この問題については、適切に拘束をして、それが労働時間とみなされるものに ついては賃金を支払うべしというのが、基本的な労働関係法規の考え方なので、それについて十分 理解されていない訪問介護事業者もあるやに聞いているので、まずはしっかりと労働関係法規を理 解していただく、そして拘束したら当然賃金を払う時間帯に当たるということを理解した上で支払 い方法について考えていただく必要があると思っている。昨年も事業者側の方、あるいは労働者側 の方、いろいろ御意見を交換しながら、労働部局とも連携して、啓発パンフレットなどにも更に工 夫を加えたりしているので、引き続き指導なり理解を深めてもらう方策を徹底していきたいと考え ている。 (沖藤委員)   ということは、この3業務、移動、報告書作成、待機に関しては、もう介護報酬の中に含まれて いるわけだから、それを支払わない事業所は違約である、違法であると考えていいか。そういう払 われないという悩みがホームヘルパーたちから非常に多く来る。そうすると、事業者が何らかの処 罰を受けていいのではないかと思うが、その辺はどうなっているのか。   (古都振興課長)  労働基準法上きちっと労働であると認められる分については、きちっと払うべしということなの で、地域の労働基準監督署もかなり指導していると聞いているので、引き続き連携を図っていきた いと思っている。 (沖藤委員)  そうですか。 (大森分科会長)  それでは、川合委員、どうぞ。 (川合委員)  2点である。16ページ目の時間内訳の対象者には、正規と非正規、パート、それと直行直帰とお っしゃったような契約と3種類ぐらいあると思うが、それらはすべて含まれているのか。 (鈴木老人保健課長)   これは常勤労働者だけである。   (川合委員)   非正規とか直行直帰と今おっしゃたようなことは含まれていないのか。   (古都振興課長)  この図では、要するに常勤労働者だけの時間内訳になっているが、仮に直行直帰の方であっても、 実際、例えば1件目、2件目、3件目に行っていただくようなときに、この間の時間帯で動けない と。 (川合委員)  私、赤字の経営者で恥ずかしいのだが、そういうややこしいことは計算しにくいものだから、全 部常勤でカバーする、その間で教育する、情報共有するという時間帯を設けていたものだから、い ろいろ社会問題になったような事業所の運営形態はわからないが、もしも沖藤委員がおっしゃった ように含まれているのであるならば、やはり一罰百戒であってしかるべきなのかなと。しかし、含 まれていないのであるならば、若干、問題が起こると思う。それがまずエクストラの1点である。  本来の1点は、5ページ目、施設系の事業について、田中委員がいろいろ御説明になった中で、 規模が小さ過ぎるという表現がどこかに1か所あった。  もう一つ、質の高いものに対する評価というお言葉も1点あった。  そこで質問である。この施設系の事業について、「施設入所者の重度化の進展などを踏まえた」 という、わざわざひらがなで「など」と書いている意味はあるのか。ほかは漢字で書いてある。 (鈴木老人保健課長)  もし間違えていたら田中委員に訂正をしていただきたいが、重度化の進展以外にも、重度化とい うのは基本的に要介護度等で考えているので、例えば医療ニーズが変化するとか、幾つかの要因が あると思う。その要因に応じて人員配置の基準の在り方をどう考えるのかということではないかと 思う。 (川合委員)  それでは、引き続いて質問する。質問というより要望だが、「重度化の進展など」という表現を してしまうと、人々は非常に文章の悪魔にとらわれてしまう。重度化すれば療養費は高くなる方向 に行くのか、それでは何もしなくていいやということになってしまうのである。でも、我々は5月 18日以来ずっと申し上げてきたが、これは過去の担当課長に否定されたことである。しかし、田中 委員が質を高める評価をしなければいけないと、うなずいていただいたと確認しているが、そうい う点からいくと、老健がリハビリ等で非常に頑張ってきているということに関し、よくしたという 評価と、悪くなったという評価とどちらが大事なのか。 (鈴木老人保健課長)   これはなかなか難しい点があり、どちらかというのは、一刀両断では申し上げられないと思う。  1つは、やはり要介護度が上がることになると、一般的には手がかかる。手がかかるということ は、やはり人手を持たなければいけないということだから、それに応じて額が上がるべきだという 見方がある一方、今、川合委員が言われたように、いいサービスを提供してよくするというインセ ンティブをどう組み込んでいくかということもあろうと思う。  後者の点については、もともと介護保険が始まるときから、それをどう評価していくかというこ とが大議論であり、実は18年4月のときに、一部だけモデル的に通所の予防については、その観 点を入れた。それについても、次回の改定以降に向けて評価していかなければいけないと思うが、 そういうインセンティブがいいという方がおられる反面、実際に利用者も協力してよくやっている のに、それで加算が付いてしまうと負担が増えてしまって、そこをどうするんだという議論も逆に はあるので、なかなか一筋縄ではいかないとは思う。ただ、視点としては確かにいいサービスを提 供していくことのインセンティブを、どう正しく組み込むかということはあろうかと思う。 (川合委員)  私が、なぜこういう質問をしたかというと、労働環境のキャリアアップという言葉が個々の人の 言葉や文章等に踊っているのだが、キャリアアップに対してどういうインセンティブを付けるのか。 個人の問題、あるいは施設の問題として、重度化したら報酬が上がるんだという短絡的なことを考 える事業者が皆無であると言うには、私は会長職として自信がない。そういう事業者もいるだろう。 でも、全老健の大半は、よくして在宅に戻っていただこうという努力をしてきているから、そうい うことに対して成功報酬を付けるのはだめということは、そろそろ止めていただきたいと思う。 (大森分科会長)  中田委員と対馬委員、どうぞ。 (中田委員)  5ページ目の施設系の事業についてだが、今、川合委員から重度化についてのいろいろな御質問 等があったが、確かに私どもの特養の例で言うと、重度化だとか個別ケアへの取組みが、今、盛ん に行われており、そういう意味で施設の職員配置の平均人員は、もう限りなく2対1に近づいてい るという状況がある。  もう一点は、個室ユニットケア、いわゆる新型特養だが、これは15年度改正のときに、2対1 の報酬が設定されたというふうに聞いているが、これも先般の調査によると1.8対1ぐらいになっ ているという状況もある。限られた介護報酬の中で、経営努力によって人員が確保されてきたわけ だが、御存じのように15年度、18年度の報酬改正で引き下げられたという状況があり、基準を上 回る職員配置については、ややもすると正規職員ではなくて臨時職員だとか、パート職員だとか、 そういった非正規職員での採用にならざるを得ないという実態が現場にあるので、この人員配置基 準の在り方の検討のときに、その辺も十分考慮していただきたいというのが1点である。  2点目は、○の2つ目だが、先ほど田中委員から収入により建替えに要する借入金を返済してい くモデルに切り替えることが必要ではないかという御提案があったが、例えば社会福祉法人の場合 は、建替資金を借り入れで確保するにしても、理事長が担保を出さなければいけないとか、連帯責 任をどうするんだとか、社会福祉がゆえのいろんな規制があるものだから、非常にビジネス的な状 況になっていないということなので、この辺の社会福祉法人の在り方等についても十分議論を並行 して進めていただきたい。  最後だが、実地指導、監査等についてだが、事業者の事務負担の軽減は進めていただく必要は当 然あると思う。特に介護サービス情報公表制度だが、これはもうどこへ行っても、非常に苦情が多 い。  1つは調査費が高いとか、そういったこともあるが、本当に利用者の選択に資する内容になって いるのかという点もあるし、それから今、老施協では入所者に対する調査をしており、それはこの 公表制度をどう活用しているかという調査だが、少なくとも現状ではほとんど活用されていないと いう実態があるので、やはり指導、監査と介護サービス情報公表と重複するところがあるから、そ の辺の整理もこれから是非していただきたいということをお願いしておく。   (大森分科会長)  最後の公表制度と指導は違うということが前提になって制度が組み立てられているので、それは 御理解いただきたいと思っている。ただ、今のような話は前から聞いているが、これは一番基盤に なる情報だから、その後どうお使いになるかは、それぞれの方々がおやりになるということで公表 制度は出発したのではないかと。私、当事者だったものだから、一言言いたい、ちゃんと理解して いただきたいと思う。  今の御意見は御意見として伺えばよいか。 (中田委員)  はい。 (大森分科会長)  それでは、次、お願いする。 (対馬委員)  検討課題の方向性については、おおむね理解できるが、2点ほど気になるところがある。  1点目は、4ページ目の2つ目の○のところで、キャリアアップは本当に重要であろうとは思う が、評価などを検討する必要があるのではないかということが書かれている。例えば能力開発体系 とか、そういったものを紙でつくっていってということも確かにあるかもしれないが、実際に、先 輩なりが背中で示していく、いわゆるオン・ザ・ジョブ、これも非常に重要だろう。したがって評 価が介護報酬上の評価ということを意味するのであれば、もう少し慎重な検討が必要だと思う。  もう一点は、今もお話が出た、実地指導、監査等の問題である。事務負担の軽減という見方は、 確かに必要だが、やはりここ2、3年、支払基金なり、国保連なりについても大分整備が進んでき たので、そのチェックの体制というか、まさに質の問題だが、そこが落ちないような工夫をよろし くお願いしたいと思う。 (大森分科会長)   田中委員、お願いする。 (田中(雅)委員)   先ほどから介護従事者の方々の処遇の改善をということで、多くの委員の方々から、国民、利用 者、家族の言葉を代表して、何とかしてあげたいという声をいただいたこと、大変心強く思ってい る。  先ほど、これまで直接そういう声は出なかったじゃないかと言われたが、私ども現場職が、自ら の処遇改善をということを言うには、これまで大変厳しい状況にあり、処遇改善の話をしたら、あ なたに辞めてもらったら2人雇えるということを、経営者の方から実際に言われたという話も聞く。 その環境の中で、ものが言えない状況になっていた。そういう状況の中でも、私達は少なくとも自 分たちがスキルアップをして、質を向上することで認められたいと努力してきたこともわかってほ しい。少しでも待遇を変えていこうという動きをすると、それは労働組合的発想だという意見もあ ったわけで、そういった厳しい環境の中で今日まで来たのだが、御承知のように、バブル崩壊後よ うやく経済が上向いてきたらと思ったら、介護現場には実際人が来なくなったという介護従事者の 確保が困難な状況が生まれている。  しかし、一方で、ヘルパーを百数十万養成しながら、実際には2割しか就労していないとか、あ るいは70万人ぐらいの方々が介護福祉士の資格を取っているわけだが、その6割ぐらいしか実際 には就労してないという実態で、そういった潜在的な介護従事者の層がたくさんいると、そういう 人たちに対してどうするかという問題があるのではないかと思っている。  介護保険制度というのは、制度の信頼を確保するという観点では、やはり質の高い介護サービス を安定的に提供することが求められていると思っている。また、介護職に就いて現に働いている人 たちや、あるいはこれから介護職に就こうという人たちに対して、教育や研修の仕組みをつくって いくということは大変重要なことだと思っている。すでに、介護福祉士については、今度の11月 28日に法律の改正が国会を通っている。介護福祉士については、質の確保という観点から、国家試 験をすべてのルートについて導入するとか、あるいは教育年限は変わらないが教育内容等を充実す るといったことが図られてきている。国家資格の介護福祉士を取得している者の養成確保というの は、大変重要であるが、しかし、それにとどまらず大事なことは、先ほど少し申し上げたが、ホー ムヘルパー養成研修を終了された方が百数十万いらっしゃいながら、その方々のうち2割しか就労 していないという実態について、潜在的に介護に従事しようかと思った人たちをどうやって掘り起 こすかということも大事だと思っている。  そういう意味において、介護サービスを支えるすべての人材のスキルアップを図り、人材確保を 積極的に進めていくことが重要ではないかと思っている。  そのためには、介護職員基礎研修やホームヘルパー養成研修等の既存の研修制度を、段階的にス キルアップを図る仕組みとすることや、また、資格取得に向けて、多様な研修の機会を設けていた だきたい。ただ、先ほどから何度も申し上げるが、現在は働いていない方々、ホームヘルパー養成 研修終了者に対しても再教育の機会を是非確保するということも考えていただきたい。実際に人が いないという議論の中で、多様な観点から柔軟に利用できるような研修の仕組みづくりについても、 是非考えなければ人はいなくなる。特に、介護に従事する前段階において、一定の教育や研修を実 施することは非常に重要である。  資料1のワーキングチームの報告書の3ページ目に、こういうふうに書いてある。「(2)キャリア アップについて」ということで、介護労働者のキャリアアップに資する人員配置基準、キャリアア ップにつながる取組みを行う事業所に対する評価や、研修システムの構築または介護労働者個人に 対するキャリアアップのインセンティブの在り方について検討する必要があるのではないかと指 摘している。私どもとしては、そういった現に働いている人たちのみならず、かつて働こうと思っ た人たち、あるいは興味を持っている人たちを、もう一度丁寧に育てていく、ある意味ではこのこ とは早急に取り組まなければいけないが、そういう仕組みがない限りは、現実には再教育や再就労 という問題につながっていかないと思うので、その辺りについて是非検討課題ということで積極的 に取り組んでいただきたいと思っている。   (大森分科会長)   木村委員、どうぞ。 (木村委員)  今後の検討課題の4ページ目のところで何点か触れてみたいが、4つ目の○のところで、介護労 働者に対する適正な処遇の確保を可能とする介護報酬の水準について分析が必要ではないかとい うことで、ここについて今回のヒアリングの9団体には、日本介護支援専門員協会が入っていない が、私どもの協会会員からいろいろ声を聞いていくと、居宅介護支援事業所においては、この処遇 の確保を可能とする介護報酬の水準に、今の時点ではなっていないということであり、閉鎖する事 業所がものすごく増えてきているという状況である。理由を聞くと、幾ら頑張っても赤字体質で、 もうこれ以上経営が続かないということである。勿論、母体施設が大きいところは継続することに なるのかもしれないが、その理由には、ここの給付費分科会でも承知した話ではあるが、その当時、 介護支援専門員の担当件数を50件のところを35件にした、しかし、要支援者のウェートが多いの で、地域包括支援センターにほとんど持って行かれてしまって、事業所の方で算定できる件数が非 常に少なくなってしまい、収入が事業所トータルで減ってしまっている。それで資料に記載されて いる処遇の確保をしたいが、給与も払えない。勿論、賞与も払えない状況にあるということなので、 ここのところは、今、概況調査をやっているが、分析していただいてしっかり対応しないと。今回 は訪問介護事業所の方にスポットが当たっているが、介護保険のまさに要である介護支援専門員の 処遇のところをきちっとやっていただかないと困る。  2つ目の○のキャリアアップのところである。先ほど田中雅子委員が少し話されたが、ヘルパー の給与を自らもっと上げるためにということで、介護福祉士を目指して、それになり、更にもっと 給与を上げるためにどうするかということで、介護支援専門員になりということである。今、申し 上げたとおり、介護支援専門員になったはいいが、収入の上限が大体決められてしまってという形 である。キャリアアップというよりも、資格とか免許をちゃんと自分で取っていって、自分が働い た分のお金を取っていく、そこのところがうまく組み立てられないようになっているという状況も、 一応情報として聞いていただきたいと思う。  また、3つ目の書類の多いところは、その他の最後の指導・監査のところと並行しており、指導・ 監査に入るということで、都道府県の指導官によっては、あの書類もこの書類も出してほしいとい うことがあって、その対応に忙殺されていて、また指導・監査の後にちゃんと書類整備をやりなさ いということで、悪循環になっているので、指導のところと書類のところは一対にして考えていか なければいけないのではと思う。  最後に、5ページ目の訪問通所系の相対契約による付加的なサービスの組み合わせの在り方とい うところだが、もともとケアマネジメントの中で、お金のかかるところとかからないところを組み 合わせて、しっかりマネジメントをやっていくという形になっているが、どうしても介護保険とい う冠が付くと、保険の中でみんな賄わなければいけないのではと利用者も思うし、サービスしてい く側もどうしてもそういう頭があり、引っ張られることになると思う。ここのところは、ケアマネ ジメントで保険給付サービスとその他のサービスを組み合わせて、しっかり前に進めるんだという ことを、国民に対して、またサービス提供する人たちに対して、しっかり植え付けていくことが必 要だと思う。   (大森分科会長)   池田委員、どうぞ。 (池田委員)   介護報酬を議論するときに、どのような要因で介護報酬が決定されるのかという構造を、もう一 回考える必要があるのではないか。介護報酬が決まる要因というのは3つある。  1つは、今、話されている事業経営が維持し得て、そこで働く労働者に適正な賃金が支払われる ことが可能なことというのが、1つの基準だと思う。  2つには、その介護サービスの価格が社会的に合意を得ることができること。  3つには、保険財政の安定的運営、つまり保険料水準への社会的合意が必要。  この3つをクリアしなければならない。  そこで1つずつ考えていくと、事業経営が維持し得ることで、労働者に適正な賃金が支払われる。 これが今ちょっと悪循環になっているのではないかと思う。つまり正しく労働者に賃金が支払われ ていない、例えば10%の利益が出ているとすれば、そのうち5%を人件費に回して、5%をまた7% に上げるとか、そういうよい循環になっていけばいいのが、逆に収益が上がらない、したがって労 働者の賃金を下げる、したがって収益が上がらないという悪循環に入っている問題がある。これを どう考えるのかということは、事業者の方々から具体的な回答のようなものが欲しいということで ある。  2つ目は、サービスの価格が社会的に合意が得られるかということだが、サービスを実際に提供 されている方々は、自分たちのサービスはこれだけすばらしいということをおっしゃるが、それは あくまでも自己評価にすぎないのであって、利用者の評価とは必ずしもつながらない。実際、私も 調査をしており、例えば訪問介護の生活援助だが、実際に非常に活用されてらっしゃる方たちに、 全額払うとするならば、あなたは幾ら払うことができるかと聞くと、到底2,000円なんて金額は出 てこない。サービスの価格が社会的に合意を得られるのに絶対必須なのは、そのサービスのクオリ ティーが社会的に評価できるものなのかどうかということである。要するに、サービスの質をどう やって高めるかというインセンティブを付けていない限り、介護報酬を上げると言うと逆の方向か ら反撃が来てしまうと思う。  そうすると、具体的にクオリティーを上げるためにどうすればいいかということが大問題になる が、これも言い過ぎだったら申し訳ないが、実は、介護サービス全体を見ると玉石混交である。す ばらしいモデルもあるが、いかがなものかというのも結構たくさんある。そこで、介護報酬を上げ た場合、グレシャムの法則が働いてしまうというおそろしさがある。つまり悪貨は良貨を駆逐する ということである。これは現実に今までも起きてきていることである。  そうすると、そこのところをどうやって区別してクオリティーを上げていくかというと、1つは 加算方式がある。こういうことをやったら幾ら出すとか、先ほど川合委員が成功報酬という言葉を 使われたが、それも一つの考え方であろう。あるいは小規模多機能のような、全く新しいサービス をつくって、それをクリアできる事業者が現れるようにするとか、いろんなやり方がある。いずれ にしても、サービス価格が社会的合意を得るためには、絶対にクオリティー向上とセットでなけれ ばいけないので、それは考えていく必要があると思う。  3つ目が、保険料水準へ当然跳ね返るわけだから、その保険料水準への社会的合意をどのように 担保するのかということである。幾らでも保険料を上げればいいという議論もあるかもしれないが、 後期高齢者医療が始まって、そんなことは多分言っていられないということになると思う。そうす ると、どうしても一定の枠の範囲内でやらざるを得ないというゼロサムになるわけである。ゼロサ ムになるということは、どのサービスを優先的にするかというプライオリティーが働かざるを得な いだろう。そのプライオリティーを働かすときに、ある部分は引き上げるが、別の部分はある意味 で保険給付から出ていただきましょうという議論もしなければいけない。そういう時期が来るとい うことだと思う。  そういった意味では、介護報酬を議論するときに、今は事業経営が維持し得て、労働者に適切な 賃金が払われるという観点から議論がされているが、同時にサービス価格は適正なのか、そして保 険料水準への跳ね返りを考えて、今の給付の内容を見直す必要はないのか、それらを総合的に議論 しないと、実際の回答は出てこないのではないかと思う。   (大森分科会長)   村川委員、お願いする。 (村川委員)  ワーキングチームとしては、先ほどの田中委員から報告していただいたような基本的な枠組みだ が、今後の検討課題についての強弱、これは私なりの見方だが、2、3触れておきたいと思う。  今後の課題に関する4ページ目の下の方にあるが、やはり介護報酬改定周辺をめぐる事柄として は、給与水準等の地域差の関係、特に東京を始め大都市部では、先ほどの別の資料の有効求人倍率 等にも表れているような人手不足的な現象、これはたまたま今年の初めに、NHKの総合テレビジ ョンなども取り上げていたが、国立病院の跡地にある法人が総合的な施設をつくろうとしたが、な かなか人が集まらなかったということなども言われていたが、これは冷静に考えても、東京を始め 大都市にはかなり深刻な事態があるということは受け止めるべき面もあるのかなと、私は感じてお り、やはり緊急性という点からは、そこが1つかなと思う。  2点目としては、報酬改定の基本的な位置づけは今、池田委員から詳しくお話があったわけだが、 この介護報酬改定が、果たして現在問題になっている現場の労働者の方々の給与改善にうまく直接 結び付くかどうかということについては、総合的によく検討すべき必要もあり、これは田中委員も まとめてくださったように、経営の安定性なり、今後の質向上という点から見て、やはり意味のあ る報酬改定を意思決定していかないと、いいものにならないのではないかという気がしている。  特に今、話題になっている訪問介護については、堀田専門委員が詳しいわけだが、サービス提供 責任者の位置づけを含めたところで、より実効性のある仕組みとして立ち上げていく必要があろう かと思われるので、体制加算なり何なり、工夫できる在り方を探るということは、一つの行き方か なと思うわけである。  それにつけても、先ほど田中座長がおっしゃったように、この分野の経営規模、はっきりいえば 1週間当たり80時間のマンパワーが確保できれば、事業者として指定を受け得るということで、 これは7、8年前の制度初期においては各方面からの参入を図らなければならないということで、 はっきりいえばハードルの低い基準であったが、やはり一部地域では、過当競争的に思われる現状 も出ているので、この分野の事業の健全運営ということからすると、すぐに結論が出ることかどう かということはあるが、事業規模の大きいところに、しっかりとした運営、サービス提供責任者や 常勤スタッフの割合を高める御努力も含めた成り立ちということで、差し当たりサービス提供責任 者の役割の重要性に着目した改定ということは、あってよいのかなと思っている。  なお、この報告の資料2の5ページ目のところであるが、この訪問通所系の2つ目の○で要約さ れていることについては、私として意見があるので、触れておきたい。確かに訪問介護における生 活援助について、御自分でできるような場合には、当然御自分でやっていくというのは、基本的に あってよいと思うが、その意味では適正化論は正しいとは思うが、先ほど沖藤委員から指摘があっ たように、90歳代とかかなり年齢の高い方々については、家族から協力を求めるとしても困難な状 況、場面、ケースということはあり得るわけだから、やはり生活実態を踏まえた運営の基準、ある いは解釈、これは都道府県によって随分対応が違うということがヒアリングの中でも明らかとなっ てきたわけだが、生活援助について単純に切り縮めることがよいのかどうか。一方における身体介 護については、これは私の感想だが、やはり7、8年前の、どちらかというと寝たきりモデルに即 した食事、排泄、入浴等にまつわる事柄をかなりカウンセリングとしているわけであり、先ほど家 族の会のいろいろな御要望も出ていたが、今後認知症の方々の割合が増えていくことを考えた場合 に、この身体介護の進め方にせよ、訪問介護における援助のポイントにせよ、そこへの評価につい ては簡単には結論が出ないことだと思うが、やはり何らかの報酬改定に結び付けていくことはあっ てよいと思った。  もう一点は、5ページ目の2つ目の○のところに、いわゆる相対契約による付加的なサービスの 組み合わせということで、確かに一つのやり方として、サービス利用を柔軟にしていくという点で は面白い発想とも言えるわけだが、これはやり方を間違えると、所得能力のある、負担能力のある 方だけがメリットの得られる、いわゆる混合介護論になりかねないので、どこを目指していくのか という点については、慎重に総合的に考えていくべき問題だと感じた。   (大森分科会長)  堀田専門委員、恐縮だが、手短にお願いする。 (堀田専門委員)  2点である。  1点目は、沖藤委員、村川委員からも御指摘があったサービス提供責任者についてだが、これか ら分科会の中で議論が行われるということで、多分観点として4つ必要だと思う。  こちらにピックアップされている配置基準の在り方が1つである。  それから、ヒアリングの中でも出ていたが、報酬上の評価をするのか、その方法をどうするのか ということが2つ目である。  3つ目として、サービス提供責任者の要件をどうするのか。  4つ目として、現任研修をどうするのか。  2点目、これからの検討の方向性について。先ほど池田委員が見事に整理なさったが、まずご指 摘の1点目との関連で、遠藤委員からも御指摘があったが、働く人も事業者としても先が見える賃 金、労働条件、キャリアアップを可能にする経営モデル・事業モデルに加えて、雇用管理のモデル についても、サービス種類別に考えられてもいいのではないかということである。  それに加えて、ご指摘の3点目との関連で利用者の視点も大事である。今、利用者にとって質の 高いサービスがどういうものなのかということが、十分に議論されていないのではないかと思う。 論点整理の中にも入っていたサービスの範囲についても、確か、訪問看護の団体だったと思うが、 介護保険のサービスについても、ケアマネジャーも利用者も十分に知らないというご意見があった と記憶している。本当は、利用者にとって望ましいサービスの組み合わせが経営の安定にも直結し ていくと望ましいのだが、そもそも、介護保険サービスと保険外サービスを含めて、どういうサー ビスの組み合わせが考えられるのか。望ましいサービスの組み合わせのモデルについて、利用者の 視点で問うていく必要があるのではないか。  さらに、経営、雇用管理、利用者の目からみた望ましいサービスの面からの議論を踏まえて、今 の報酬で妥当なのかということについて、現実的に数字を入れたシミュレーションが必要だと思う。 どれだけの報酬の水準があれば、利用者が満足し、かつ介護職の処遇の確保もでき、経営も安定す るか、合理的な根拠を見出すのにどこの団体も非常に苦労されていたが、その水準について具体的 なシミュレーションをしなければいけないのではないか。今後の検討のなかで、以上3つの視点が 大事ではないか。  これらについて、どの場で、いつまでに、どういう実態把握、分析をして、だれがそれを検討し ていくのか、せっかく9団体からたくさんの御意見をいただいて、その後ろにもたくさんの御意見 があると思うので、この先の進め方についてきっちりと整理して示していただく必要があるのでは ないかと思う。   (大森分科会長)  最後の進め方の整理は大事なので、最終的に確認する。 (木下委員)  5ページ目の施設についてだが、重度化の進展を踏まえて人員配置の在り方を考えるというのは、 多分減らすということではないと解釈しているが、先ほどからのデータにあるように、介護労働者 が減っている、あるいは今後必要数が増える中で、バランスをうまく取れるかどうかということは、 大きな問題だと思う。  重度化で経管栄養や嚥下障害、食事介助の必要な方々が増えている中で、今、介護保険では基本 的におおむね夕方6時給食というのがやられているが、本当に夜勤時間帯にそういう手のかかる人 の介護ができているかどうかということも、もう一度評価してみる必要があると思っている。  一時、夜間入浴が介護の鏡のように言われていたが、今はまったく言われなくなったということ。 それから認知症のケアには回廊式しかないということが、まだ老健の基準には残っているのだが、 今は言われなくなったということで、やはり現場から見て疑問点のあるところは見直していく必要 があるのかなと思う。  介護保険がケアプランの中で計画を立てて実施し、評価してもう一回考え直せということがある ので、介護保険制度自体もそういう考えがいいのかなと思っている。  先ほどからスキルアップ、質の担保ということが出ているが、これが非常に難しいというか、職 員にとってはかなり負担感がある。先ほどの課長の説明にも、常勤職員の離職率が高いのは、パー トより負担が重いのではないかということもあったので、スキルアップは、それなりの職場の保証 とか給与の保証がないと、労働者にとっては大変負担になるということもあるので、そのバランス が大事だと思っている。  施設の(2)のところに、建替えの借入金返済を考えていけばどうだということがあるが、これはこ れでもいいと思うが、介護療養型施設は、実際に借入金返済でやっていたが、突然なくなるという ことで、この返済計画が狂ってしまったということがあるので、これをやるには制度の持続性とい う保証がない限り無理だということもあるので、その辺をよく考慮していただきたい。  その次に、中田委員からも指摘があった情報開示、分科会長は大変思い入れが強いと思うが、こ の量が非常に多いということで、指導・監査とダブっている分が確かにたくさんある。本当に利用 者に必要なものは何かという見直し、あるいは情報開示自体がどうだということは、やはり検討し 直す必要があると思っている。  ここで、事業者の事務負担の増加の軽減と書いてあるが、指導される自治体も、実際に4、5人 が1日かかりで来たりと結構大変だと思うので、そちらの軽減にはなると思うので、是非大幅に改 善されることを希望する。   (大森分科会長)  沖藤委員、どうぞ。 (沖藤委員)  先ほど池田委員から、介護保険を持続的に守ってくための3本の柱のお話があった。私は4本柱 にしていく必要があると思う。それは、利用者の受けるサービスの納得性である。そのことについ ては、堀田専門委員からも介護サービスの満足という言葉で出たが、はっきりとここは4本柱でと いうように考えていただければありがたい。  というのも、利用者の方々が最近介護保険離れしてきていて、結局介護保険は役に立たない、保 険料は払いたくないというような意見をかなり耳にするようになったものだから、利用者の納得の ないシステムというのは、システムとしてどうなのかという議論もこれから必要だと思う。  また、介護職員は最前線で働いているので、そういう利用者の苦情とかを一番受ける立場の人た ちなのである。そういう辛さで離職していく介護職員もいるわけである。単に給与水準が低いとい うことだけではなくて、精神的苦痛で辞めていく。自分は一体何をやっているんだということで離 職する人たちのことも思えば、利用者の納得という第4の柱というのは、非常に大事だということ を申し上げたい。  先ほどの振興課長の説明に追加して、資料の提供をお願いしたいのだが、16ページ目の訪問介護 の割合のところだが、これは常勤労働者ということだった。ホームヘルパーは非常勤が非常に多く、 事業所によっては8割ぐらいが非常勤なわけだから、非常勤についてもグラフを出していただけれ ばありがたい。これは次回へのお願いである。 (大森分科会長)  池田委員、お願いする。 (池田委員)  さきほど3点、介護報酬の決定要因を言ったが、今、沖藤委員のおっしゃった利用者の納得とい うのは、サービス価格の社会的合意が得られているかどうかということに入る。サービス価格の社 会的合意が得られるというのは、サービスの質、すなわち利用者の納得というものも含めているわ けだから、そういった意味では3つを4つにする必要はないと思っている。 (大森分科会長)  大島委員、どうぞ。 (大島分科会長代理)   池田委員、あるいは堀田専門委員のお話で、私の頭の中も随分整理がついた感じがするが、全体 の議論を考えてみると、とにかく介護の需要は急速に増えている、更に増え続ける、絶対量がもの すごく増えているにもかかわらず、それを保証していく財源等を介護の需要に合わせてパラレルに 増やしていくのは、非常に難しいという前提の話だと思う。そして、その財源枠が限られている中 で池田委員が強調されたが、介護の支え手の条件は、もう必須な最低条件であって、それを外して しまったらこの制度は成立しない。  ということになると、これも池田委員が触れられたが、提供する介護サービスの中身を再考する しかないのではないか。中身を再考するという話になると、より必要度の高いものから選択せざる を得ないだろうと私は理解したが、そういう状況がもし起こってくるとすると、はみ出る部分が出 てくる。  ワーキングチームの委員の方々に質問する内容なのかよくわからないが、そのはみ出てくる部分 について、勿論社会的には納得してもらうというプロセスが当然必要だとは思うが、社会的に納得 してもらっても、それまでは必要としてやってきたものをはみ出さざるを得ない。そうなると、は み出てしまった部分は、しかたがないということで放っておいていいのか、あるいは何かほかの違 ったシステムとか在り方でもってそれをカバーするような方策があるのかないのか、あるいはそん なことはこんなところで考える話ではないのか、そういったことについて、何かお考えがあれば伺 いたい。   (大森分科会長)  何かお考えはあるか。 (田中(滋)委員)  今、言われたことに正しい答えが言えたら、もう制度はすべてうまくいくので、絶対の正解はな いと思うが、一言だけ。池田委員がよく言われているように、介護保険で支えている部分のほかは、 自分で責任を持つ自助だけではない。介護保険とも自助とも違う仕組みがあり得る。  例えばアメリカのニューヨークやシカゴで行われている地域の助け合いは、明らかに近代的な互 助が発達しているわけである。昔ながらの助け合いとはまた違った意味で、プロが支える介護の部 分があるから、そこは任せておくとすると、生活援助的な部分、家事援助的な部分、外出支援的な 部分は、コミュニティが改めて仕組みを組む。ボランティアワークにしてもちゃんとマネジメント が入った上で、思い付きではない互助の仕組みがつくられて、地域を支えていく。そして、自分で 払う分との組み合わせを図る。もう一つ、所得の低い方々のためには、当然公助は効く。この4つ、 つまり共助、自助、互助、公助を組み合わせていく工夫がないと、社会はもたないと考える。   (大森分科会長)  石川委員の代理の石田参考人、名指しで悪いが、今の問題については、コミュニティ、地域の問 題もあるし、市町村はこの問題についてどういうふうに考えているか。非常に重要なポイントにな ると思うが、大島委員から非常に重要な問題提起があったが、石田参考人から一言あれば、お願い する。 (石田参考人)  非常に大きなテーマなので、なかなか的確な答えにならないかもしれないが、そもそも市町村の 仕事として、地域を支える、地域で暮らし遂げるということが基本だろうと思っている。  したがって、税で賄うべきこと、あるいは地域で地域をつくるという考え方、これらは、地域の 人が活躍できる場も用意するという発想は当然必要だと思っていて、そういった公助、共助、自助、 そういった組み合わせをもって地域をつくるという観点、これは自治体の大きな仕事だと思ってい るし、それで実際に成果を上げているところもあると思う。  これからは、介護保険だけで支えるという考え方でない。当然のことだが、そういった仕組み、 みんなで支えるという考え方で、できることを社会参加を通じて実現する。それがある意味では自 己実現につながるという啓発も必要ではないかと思う。  加えて、今日の検討の中に触れさせていただきたいが、全般に介護報酬の引き上げとか、そうい ったこと一辺倒にならない冷静な議論があって今日は非常によかったのではないかと思っている。  特に要因が冷静に分析されて、それにオペレーション可能な対策が整備されつつあるように思わ れる。やはり今後時間をかけて、分析検討した上で、システム全般がうまく働くように、是非御議 論を続けていただきたいと思う。  必要なところについての重点的な配分は当然だろうと思うが、介護報酬の引き上げは、保険者の 立場からすると、保険料、利用料の引き上げに直接的につながるので、負担者側の考えということ も是非頭に入れていただきたいと思う。 (大森分科会長)  それでは、遠藤参考人、どうぞ。 (遠藤参考人)  ただいまの石田参考人の御意見に関連して、基本的には私どもとしても、介護保険料を負担する 者として、こちらの考え方を十分配慮していただきたいということが1点である。  それから、今後の検討課題の4ページ目の一番下のところに、労働環境に関する事項、事業所が 情報開示することを検討する必要があるのではないかと書いてあるが、勿論、介護職員の方々の採 用などに当たって、労働条件等を開示することは大変重要だと思うが、ここで書いてあることが一 般的に情報公開する内容を指しているのであれば、労働関係の法規等にも大幅な影響を与えること になりかねないので、慎重な御検討をお願いしたいと思っている。 (大森分科会長)  この4ページ目の下のところは、新しい問題提起である。従来の情報開示とは違う内容のことを 意図しているから、今のような御意見は当然なので、これは相当慎重にやらないといけない。いろ んなことと関係が出てくるのではないかと思っている。  ほかに、どうぞ。 (天本委員)  議論は非常に慎重にしなければいけないわけだが、かなり深刻で喫緊の課題であるのは、来年の 4月の新人採用が非常に厳しい状況で、しかも学校などに聞くと、入学者そのものも減ってきてい るといったことで、サービスの需要は増えているが、介護労働者はむしろ減ってきている。増える 要素が見つけにくいということから、いろんな意味でやはり今後労働環境整備に向けて、国として 対応するということを早く情報発信することが必要だろうと思うし、我々現場とすれば、本当に平 成21年度の介護報酬改定で間に合うのかという危機感を非常に強く持っていることを是非認識し ていただきたい。  これは、決して在宅だけではなく、施設サービスにおいてもそのような問題が起きている。特に 我々のデータでも示されたが、女性の職場である。平均年齢も若いということで、当然女性の職場 として出産とか、そういう問題もあるし、結婚して出産に絡んでの人員補充とか、いろんな問題が あるわけである。そういうことからも、とにかく、現場介護労働者を募集してもいないということ は深刻な問題なので、早急にはなかなか難しいとは思うが、事業計画を短期、中期、長期と整理し ながら、具体的な対応策、先ほども堀田専門委員がおっしゃった、いつまでに、だれが、どの委員 会でということをきちんと整理していただければと思う。 (大森分科会長)   私もそう思うので、今日の検討会では、一応整理したものが出てきているが、役所言葉で言えば これが決め打ちになっているわけではなくて、こういう問題について、今、いろんな意味で気がつ き始めているので、このうち、今御指摘のように、早急に取り組まなければいけない課題も含まれ ているし、もうちょっときちっと分析しないとなかなか踏み入れない問題もあるので、その辺りを 区分けしていただかなければいけないが、堀田専門委員が先ほど宿題として出したような問題もあ るし、また検討、分析しなければいけないような問題もあるし、一体どこで、いつ、だれがやるの かという御指摘で、むしろこういう問題は専門委員がおやりになるのではないか。  よって、堀田専門委員の問題ではないかとちらっと思ったが、余計なことだが、実は今日はそろ そろ終わりにするが、全体として、今後、この介護労働問題は、今、天本委員がおっしゃったよう に、相当現場で困っている状態が片方で起こっている。同時に、今日の御議論のように、少しクー ルに考えなければいけないこともあるので、私どもの分科会として、本来の任務としてやらなけれ ばいけないことは淡々とやらなければいけないが、全体としては相当多岐にわたっているので、事 務局側としては、今後この介護労働問題についてどういうふうに議論していくつもりなのかという ことが、もしあればちょっとでもお知らせいただけるか。   (鈴木老人保健課長)  冒頭、御指摘があったように、介護労働者の問題、経営の問題、さまざまな課題がありながら、 かつ幅広い視点が必要だと思うが、それについて現在、我々は3つのことをやっている。  1つは、今日御報告したとおり、ワーキングチームで御検討いただいて、9団体からのヒアリン グもおまとめいただいた。ただ、これは堀田専門委員からも御指摘があったが、今後の検討課題も 含めて、検討のスターティングポイント、端緒だというふうに理解している。  そのほか、実は2つ調査をやっており、1つは定例的な介護報酬に向けた経営の実態調査である。 これは概況調査というのを19年10月に実施し、4,800事業所だが、来年の3月ごろまとめる予 定である。  更に詳細な調査を来年の4月にして、23,800事業所ということで、これは20年9月にまとめる。 これは主にはお金のことである。収支状況、利益、平均給与等ということになる。  それとは別に、介護労働安全センターが今年の11月に実施して、おそらく7月ごろにまとめる ことになると思うが、これは1万7,000の事業所、5万1,000人の労働者の方を対象にしているが、 就業形態とか、採用、離職等の環境等について、幅広く調査していただいている。  ということで、特に今日の検討の端緒としておまとめいただいたワーキングチームのレポート、 実際の経営状況、そして労働者等のさまざまな詳細な調査、これらを合わせ、実際に今日御検討い ただいたように、どういうセクターの人たちに、どういう処遇をして、それが結果として現場の処 遇なり、キャリアアップなり、将来のビジョンにきちっと結び付くのかということを、きちっと分 析させていただいた上で、21年4月の改定に結び付けたいと思っている。21年の改定は、恐らく 来年の秋ぐらいから基本的な議論を始めることになるが、座長も含めて相談しなければいけないの は、それまでの間、特にこの給付費分科会での御議論も含めて、どういう形で分析の手法をより正 確なものにしていくかということを考えさせていただきたい。  特に介護報酬にかかる部分、それから介護事業の基準に係る業務、これは介護給付費分科会の所 掌なので、こちらで是非御議論をいただきたいと思っている。  そのほかにも、介護保険全体にかかる議論がもし出てきた場合には、介護保険部会という新しい フォーラムで検討していただくこともあると思うし、先ほど言いそびれたが、21年4月に介護報酬 のとりまとめに向けて何か手立てをしていただくにしても、もう少し前の段階で介護保険以外のこ と、例えばさまざまな基準に関わること、もしくは事務手続に関することで、少しでも省力化なり 合理化という面があるのであれば、それは21年4月を待たずに、また現場の御議論もいただいた 上でまとめさせていただいて、こちらにお諮りしたいと思っている。 (大森分科会長)  ということだそうだが、何かあれば。川合委員、どうぞ。 (川合委員)  堀田専門委員から、先が見える、鳥瞰性というか、俯瞰性というか、そういう制度の方向をきち っとお話いただき感謝したいと思う。  大島委員、田中委員から、地域コミュニティ、自助、公助、互助のことをおっしゃっていただい てありがたいと思っている。  そのことについて、本当に総論的な議論ができたなと感謝している。ただ、議事録に残るので、 1つ訂正をお願いしたいが、老人保健施設で現在のところ回廊式廊下は廃止されているので、訂正 をお願いしたい。 (木下委員)  その他のことで、前回の分科会で、医療法人に特別養護老人ホームの経営を開放することを当面 見合わせることになったが、その経緯と今後の対応をお聞きしたいのが1つである。  特別養護老人ホームと介護老人福祉施設は同じものなのか、違うものなのかということも、もし おわかりになれば教えていただきたい。   (小関計画課長)  前回も御説明申し上げたが、療養病床の円滑な転換支援策の1つということで、医療法人を含め た営利を目的としない法人にも特別養護老人ホームの経営を認める方向で検討してきたが、社会福 祉関係者の方から御意見があり、例えば特養における入所者の重度化の状況とか、医療的ケアの必 要性など、特養における医療サービスの在り方の検討をまず行うべきであるといったような御意見、 あるいは設置主体の拡大については、社会福祉事業、社会福祉法人の根幹にかかわる問題であると いったような御意見等々、いずれにしても、慎重な議論、検討が必要であるという、大変強い意見 が出されている。  そのような状況を考慮して、この問題について現状では社会福祉関係者の合意が得られる状況に ないと考えていることから、老人福祉法の改正を見送ることとした。しかし、特養を含む介護保険 施設の在り方については、これまで介護施設等の在り方に関する委員会において議論されてきたが、 今後介護保険制度部会のような介護保険制度全体を検討する場において、更に議論を深めていただ くことを考えている。  また、特養の設置主体の在り方についても、引き続き検討を進めるとともに、この問題に関する 関係者の合意形成に努めてまいりたいと考えている。 (大森分科会長)  方向としては、認める方向で行きたいということになっているのか。それもまだ不確定であると いうことか。どうして認めないのかという事情は、私、個人的にはまだよく理解できないでいて、 しかし、慎重を期さなければいけないと言っているから、そうかなと。慎重というのは、いつまで も慎重に議論するということになれば、この問題は解決できないので、どこかで決着を付けなけれ ばいけないのではないかと思っている。それでそういう御意見が出るのはもっともだと、私も思っ ている。今日は今のような回答である。 (木村委員)  その他だが、次回に要望したいが、先ほど沖藤委員から介護と医療の連携ということで、後期高 齢者医療制度が来年4月から始まるが、今、中医協で審議しているわけだが、もともとの社会保障 審議会の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会がまとめた後期高齢者医療の診療報酬体系の 骨子の中で、主治医などとケアマネジャーが情報共有するということが、たしか2つのところで出 てくるが、具体的に後期高齢者医療制度とケアマネジャーが連携を取っていくのは当たり前だが、 そのケアマネジャーが連携を取ったときの評価をどこで、どういうふうに見ていこうとしているの かを、次回御説明いただきたいと思うので、よろしくお願いする。 (井部委員)  私は、やはり冒頭に申し上げたように、訪問看護の問題については、別途、一度十分な検討の場 をお願いしたいと思う。 (大森分科会長)  検討の場というのは、もう一回ワーキングチームを立ち上げるということか。 (井部委員)  ワーキングチームですでに検討されているものがあれば、訪問看護に関して資料を提供していた だくとよろしいと思う。 (大森分科会長)  事務局、どうか。 (鈴木老人保健課長)  資料はまた別途提供させていただく。 ○大森分科会長より閉会の宣言 1