07/12/06 平成19年12月6日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年12月6日(木) 14:00〜    はあといん乃木坂「フルール」 2.出席委員(11名)  五十音順    飯 沼 雅 朗、 石 山 陽 事、 小 田   豊、 ◎笠 貫   宏、    澤     充、 勝 呂   徹、 土 屋 利 江、 富 田 基 朗、   ○中 原 一 彦、 松 谷 雅 生、 山 口 照 英  (注) ◎部会長 ○部会長代理 参考人1名   欠席委員(6名)五十音順    荒 井 保 明、 小 俣 政 男、 北 村 惣一郎、 倉 根 一 郎、    武 谷 雄 二、 長谷川 紘 司 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)、他 4.備考    この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個   別案件以外は公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻になりましたので、ただ今より医療機器・体外診断薬部会 を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては大変御多忙の中御出席いただ きましてありがとうございます。  本日は、部会委員数17名のうち11名の委員の御出席をいただいておりまして、薬事・ 食品衛生審議会令に基づく定足数に達しておりますことを御報告いたします。  本日の議題のうち、議題1「治験計画の届出に係る薬事法施行規則等の一部改正につい て」は、平成13年の審議会決議に基づきまして、会議を公開とさせていただきます。公 開案件終了後、引き続き、個別品目の審議等へ移らせていただきますが、こちらは非公開 とさせていただきます。  それでは、笠貫部会長、進行をよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 初めに、事務局から資料の御確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。公開案件の資料といたしましては、資料 1-1「治験計画の届出に係る薬事法施行規則等の一部改正について」、参考資料1-1「治 験の在り方に関する検討会報告書」、参考資料1-2「治験に係る文書又は記録について」。 以上です。お手元に資料のない委員がいらっしゃいましたら、事務局までお知らせいただ ければと思います。 ○笠貫部会長 皆さん、資料はおそろいでしょうか。  それでは議題に入ります。議題1は「治験計画の届出に係る薬事法施行規則等の一部改 正について」です。事務局から報告をお願いいたします。 ○事務局 資料1-1「治験計画の届出に係る薬事法施行規則等の一部改正について」を御 覧ください。「1.背景」にありますように、「治験の在り方に関する検討会」において、 我が国の医薬品GCP省令とICH-GCPとの相違点やその他の円滑に治験を実施するため に必要な事項について検討がなされ「治験の在り方に関する検討会報告書」が取りまとめ られたことを受けて、今回改正を行うというものです。  今回検討されたものの中には、機器に係る治験にも準用されている部分がありますの で、今回の改正についても、機器に係る治験と薬に係る治験とで準用されている部分につ いては同じ取扱いとさせていただく予定です。  今回の改正の内容は、具体的には施行規則第269条の部分が関連しています。従来、治 験審査委員会というものは、原則として個別の治験を実施する実施機関ごとに置くことに なっておりましたが、今回、その治験審査委員会は、幾つかあるものの中からの選択制に するということが盛り込まれました。そのことの関連としまして、治験審査委員会の設置 者の名称や所在地を届出事項に追加させていただくことになりました。届出の時点でその 調査を行う治験審査委員会がまだ決まっていない場合には、事後に変更届という形で届出 をすることでも差し支えないという扱いをする予定です。また、届出に当たりましては、 もともとありました実施医療機関に設置された治験審査委員会に審議を依頼する場合に は、記載をなるべく簡略にするというような届出者の負担に配慮した規定とする予定で す。  それから、治験分担医師の職名がこれまで届出事項の中に入っていたわけですが、これ を削除するとしました。  その他として、施行規則の改正に伴って関連する通知も併せて改正させていただきたい と思っております。薬物を対象とする治験に係る文書や記録については、「治験の在り方 検討会報告書」を受けて整理合理化が行われていますので、機器を対象とする治験に係る 文書等についても同様に整理合理化できないかを今後検討する予定です。その他「治験の 在り方検討会報告書」の中で指摘のあった事項のうち、機器に係る治験に取り入れること ができるものについても、今後具体的に検討する予定にしております。簡単ですが、以上 です。 ○医療機器審査管理室長 委員の方々に事前にお送りしておりました「治験の在り方に関 する検討会報告書」ですが、幾つかの議論が行われておりますので、ざっとお目通しいた だきたいと思います。  まず一点目は、2ページの真ん中辺りにある「治験審査委員会の設置に関する規定につ いて」。治験審査委員会は治験を実施する医療機関にそれぞれ一つ設置して審査を行って いただくのですが、医療機関外に設置の審査委員会も活用できるようにした方がよいので はないかということで、設置できる法人等を追加する、また、審査委員会での審議の透明 性を図るために公開する情報を決めていこうというようなことが議論されております。  4ページを御覧ください。二つ目の論点として、「治験の契約に関する規定及び治験審 査委員会への審議依頼に関する規定について」。治験の契約を治験依頼者と医療機関の間 で結んでいただくことになっておりますが、治験実施の責任医師と直接契約を結んだらど うかという御議論がありました。結論としては5ページの上にあるように、日本の医療機 関の実態等も勘案いたしますと、現行どおり、治験依頼者と実施医療機関の長との間での 契約というのが日本のやり方でありますが、今後も引き続きそういう在り方の方がよろし いのではないかということでした。ただ、治験実施医療機関の長と治験責任医師とが同一 人物である場合が、特にクリニックのような場合には多くございます。そういった場合に は必須文書、実施医療機関の長と治験責任医師との間でいろいろな文書を取り交わさなけ ればいけないという規定がありますが、そういったものについては合理化を図ることがで きるのではないかという御議論をいただきました。  5ページ、3.治験計画の届出に関する取扱いについてです。今日お諮りする施行規則 の関係ですが、届出事項の合理化ができないかということで、治験計画届の項目について の見直しが行われました。その結果を受けて、医療機器についても医薬品と同様に、治験 計画届の事項についての見直しをしておきたいということです。  8ページ、治験中の安全性情報の規制当局への報告及び実施医療機関への依頼者からの 安全性情報の伝達の問題です。これについても、一定の枠内で、例えば6か月ごとの定期 報告にして、その都度報告をしなくてもいいように、伝達をしなくてもいいようにできる のではないかということで、手続の簡素化が一部図られようとしています。  10ページ、5.治験薬の交付に関する規定についてです。現在は治験依頼者のモニタリ ング担当者等が直接治験薬を持って行かなければならないという規定になっております が、一定の品質管理、運搬、受領を確実に行うことができるのであれば、第三者を介した 交付もできるようにした方がよいのではないかということで、医薬品について御議論をい ただきました。  幾つかの点で合理化を図っていこうということですが、医療機器についても同じような 合理化ができるのではないかということで、できるところから順に取り込んでいく予定に しています。  本日は、そのうちの届出事項について、合理化する部分を報告し、施行規則の改正手続 に入りたいと思います。その他の点については、医療機器の特性を踏まえて、医薬品と医 療機器とでGCPが若干違っている部分があるので、そこを踏まえて適切に改善を図って いきたいと思います。さらに、医療機器の特性を踏まえますと、医薬品では議論にならな かったような改善点があるのではないかと考えておりますので、その点についても今後検 討を進めて、また御報告をさせていただきたいと思います。したがって、今日は「治験の 在り方に関する検討会報告書」の一部、施行規則の改正に係る部分について報告し、残り の部分についてはまた検討を進めて報告をさせていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の御説明に対して御質問、御意見等はござ いますか。今日は治験の合理化についての全体像の御説明と、特に届出に関するところを 医薬品と医療機器とほぼ同等に改善を図ったらということでした。ここまでのところは医 薬品と医療機器との特別な違いはないと思いますが、御質問はございますか。また、医療 機関の長との契約については、引き続き日本ではこの形をとるということかと思います が、これについてもよろしいですか。 ○土屋委員 ちょっと教えていただきたいのですが、医療機器関係の治験で困るという話 の中で、医療機器を先生方自らが作る場合もあるのですが、医師主導の治験の中に企業か らの製品を使ってその治験をすることが難しい仕組みになっているとお聞きしたのです。 薬の場合には、製造方法とか、医薬品メーカーが作ったものに基づいた企業主導の治験に かかわる届出だと思うのですが、医療機器の場合には、医師主導が進まない治験の場合、 一つには、企業で作られたテーラーメイドのようなものを使うことができないというよう なことがよく指摘されますので、今後そういったことを検討会の場合にどのようにすれば よいのか、今回のことに直接かかわらないかもしれませんが、お話しておいていただける とよいと思います。 ○医療機器審査管理室長 薬事法上承認を受けずに医療機器を製造して渡すことは、治験 という枠組みの中でだけ解除されておりまして、治験という行為の中では、未承認のもの を作ることができる形に薬事法上体系化されております。これまで、医師が主導して実施 する治験については、治験の中に明確に位置付けられておりませんでしたが、平成14年 に法律の改正があり、医師が主導する場合も、それは治験に当たるということで、治験と いう形で実施されるものについては、企業からの未承認の医療機器の提供ができるように なりました。  ただ、医師主導治験が非常に難しいと言われておりますのは、必須文書と言われるもの が100を超えてあるとか、いろいろな手続上の煩雑さから、臨床自体がお忙しい先生方が 医師主導で治験を行うことが難しい。そういうこともあって、GCPそのものの見直し、 合理化をしていこうという方向です。したがって、必須文書についても、今回百数十あっ たものを60の文書にするということで、医薬品についても既に合理化が図られています が、医療機器についても、必須文書の合理化、その他医師主導の治験も含めてやりやすく できるようなGCPの見直しを進めていこうということです。 ○土屋委員 未承認のものももちろん、未承認だから治験をするわけですが、医師主導の ところに企業から頂いたものでもできるということですね。分かりました。 ○笠貫部会長 ただ今の土屋委員の御指摘は、医療機器の一つの特性を踏まえた上で医師 主導治験の運用改善をということで、御検討いただいているということでよろしいです ね。  そのほかにはございますか。今回の届出のところまで御報告いただきましたが、今後、 医療機器の特性というものを考慮して、さらに適切な改善をしていただくということをお 願いしたいと思います。ほかに御意見がございませんでしたら、これで公開案件を終わら せていただきます。 ○事務局 ありがとうございました。それでは、以降の議題は非公開とさせていただいて おりますので、大変恐縮ですが、傍聴者の皆様は御退席をお願いいたします。  非公開の方の審議ですが、会場の準備が整い次第引き続き開始させていただきたいと思 います。委員の先生方におかれましては、よろしくお願いいたします。 ── これより非公開 ── ○事務局 非公開の審議に入らせていただきます。最初に資料の確認をさせていただきま す。非公開案件の資料としては、資料2-1「医療用具「O2オプティクス」(他8販売名) の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認事項一部変更承認の可否及 び再審査期間の指定について」、資料2-2は当日配付になりますが、「O2オプティクス の審査報告」、資料2-3は資料2-1の追加部分、資料3-1「1片中ガレノキサシンとして 51.2μg以下を含有する体外診断用医薬品の劇薬の指定の除外の可否について」、資料4-1 は医療機器と体外診断薬についてのこの部会での報告品目、参考資料5-1「薬事・食品衛 生審議会薬事分科会における利益相反問題への対応について」、それから、その他事項で 後ほど御説明させていただきますが、「H5亜型インフルエンザウイルス検出用診断薬の 優先審査の取扱いについて」という資料を本日追加して配付しております。お手元に資料 のない委員の方がいらっしゃいましたら、事務局までお知らせいただければと思います。 ○笠貫部会長 委員の方々、資料はおそろいでしょうか。  続きまして、本日の審議事項に関与された委員と、利益相反に関する申出状況について、 事務局から御報告をお願いいたします。 ○事務局 本日の審議対象となっている品目につきましては、議題2の「O2オプティク ス」(他8販売名)について、澤委員が治験に関与されているということで関与委員となっ ております。審議に御参加いただくことはできませんので、審議の間は別室で御待機いた だければと考えております。  また、本年4月23日の薬事分科会申合せに基づきまして、利益相反に関する申出をお 願いしておりますが、こちらにつきましては御退室いただく委員、議決に御参加いただけ ない委員はいらっしゃいませんでした。  報告は以上です。 ○笠貫部会長 それでは議題に入ります。議題2「医療用具「O2オプティクス」(他8販 売名)の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認事項一部変更承認の 可否及び再審査期間の指定について」、審議を行いたいと思います。  本品目の審議に当たりましては、参考委員として、山口大学大学院医学系研究科眼科学 教授の西田輝夫先生に御出席いただいております。よろしくお願い申し上げます。  また、本品目については澤委員が関与されているということですので、本議題が終了す るまでの間、御退室をお願いいたします。 ── 澤委員退室 ── ○笠貫部会長 それでは、審議品目の概要につきまして、事務局から御説明をお願いいた します。 ○事務局 品目の説明をさせていただきます。医療用具「O2オプティクス」(他8販売名) というものです。申請者はチバビジョン株式会社となっております。この品目につきまし ては、終日装用、1日経ちましたら夜は外して寝ていただくという形の使い方で、 30日(1か月)間使ったら新しいレンズに交換していただくというもので、平成16年8月 24日に承認を受けているものです。今回は、30日間連続して装用する使用方法を追加す るということで、一部変更承認申請があったものです。  この品目の概要等については、品目の審査を行いました独立行政法人医薬品医療機器総 合機構から説明していただきます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より説明いたします。資料2を御覧ください。  本品の審査におきましては、医薬品医療機器総合機構での審査に当たり、御覧の専門委 員の御意見をいただきました。  品目の概要です。本品は、当初の承認が平成16年になされた近視眼及び遠視眼の視力 補正を目的とした終日装用、1か月交換の酸素透過性ソフトコンタクトレンズでありま す。本一部変更承認申請は、1か月間までの連続装用を可能とする用法の追加申請です。 本品のレンズ基材はシリコーンハイドロゲル系の原材料を用いております。このレンズ基 材は高い酸素透過性を有することが特徴とされ、こちらに示す酸素透過係数(Dk値)を有 しております。また、本品には、透明レンズと青色着色されたビジティントレンズがござ います。下の方に写真を示します。  総合機構は、使用方法の変更以外に原材料や規格等の変更はないことから、新たに追加 提出された資料の充足性、妥当性について検討を行いました。  次に、海外における承認・使用状況をお示しします。海外においては、EU、米国等で、 1か月間連続装用が可能であるものとして、1999年にCEマーク、2001年にFDAで承 認を受けました。2007年5月までに□□□□を超える販売実績がございます。日本にお きましては終日装用のレンズとして□□□□以上販売されています。FDAに報告されま した不具合はこちらに示すとおりです。  生物学的安全性試験につきましては、本申請が1か月連続装用の追加であることから、 家兎眼を用いた30日間連続装用試験結果が提出されました。こちらに示す測定検査が行 われ、本品は30日間連続装用した家兎眼に対して無刺激であり、解剖学的構造、乳酸及 びグルコースの房水中濃度からも、連続装用条件下で安全であったと報告されました。ま た、装用眼と無処置眼で形態学的に差異はなく、正常な微細構造が認められたと説明され ました。さらに、摘出眼球の房水中のグルコース濃度は、装用眼と無処置眼の間に統計的 な有意差はなかったと説明されました。  総合機構は実施された試験は妥当であり、本品を30日間連続装用した家兎眼での特段 の異常を認めず、提出された資料から角膜への影響はないとする説明を受け入れられると 判断しました。  本品の臨床試験は、本邦におきまして比較臨床試験が実施されました。被験群は、本品 で、試用期間の後、1か月間連続装用を行いました。その際、ごみの飛入や洗浄のために 一時的に外すことを連続装用に含むこととしました。対照群は、申請者が承認を取得する 1週間連続装用ソフトコンタクトレンズであります「フォーカス1ウィーク」を用いまし た。実施された施設数と症例数はこちらに示すとおりです。  安全性につきましては、合併症や不具合症状の重篤度から「極めて安全」、「安全」、 「安全性に疑問」、「安全性に問題」の4段階に分け、集計を行いました。2群間に有意 差が認められるか、こちらの4つの区分と、「安全」以上と「安全性に疑問」以下の2区 分において検討を行いました。その結果はこちらに示すとおりで、2群間に有意差は認め られませんでした。  総合機構は、専門協議の議論も踏まえ、被験機器の1か月間連続装用は対照機器の1週 間連続装用と同等の安全性を有すると判断しました。  有効性の判定は、こちらに示す各結果から判定しました。申請者は、資料の中で有意差 の有無を議論しており、有意差が認められた評価項目があったとしております。今回の試 験結果から本品は特に有効性に関して満足度、視力矯正効果の項目で対照機器と比べて問 題のある品目ではなく、連続装用可能なソフトコンタクトレンズであると総合機構は判断 しました。しかし、装用日数の異なる2群の連続装用日数達成率や装用感につきまして、 統計学的な有意差から本品の有効性を評価することは困難と総合機構は考え、連続装用日 数については別途検討することとしました。  総合機構は、本品が1か月間連続装用が可能であることの妥当性について、申請者に、 再解析を行い、連続装用期間の妥当性に対する考察を求めました。ごみの洗浄等のために 日中一時的にレンズを外した場合などを問わず就寝時にレンズを装用したままの状態で 就寝した日数を求めましたところ、28日間以上の連続装用率が71.3%となりました。申 請者は、本治験のプロトコル上連続装用自体が強制でなく患者の自由意思にゆだねられた ものであることから、最長1か月間の連続装用が可能なレンズとして使用可能と考えてい ると説明しました。  総合機構は、連続装用の中断と不具合等の発生との関係があるのかについて申請者に説 明を求めました。不具合等発生時に連続装用していた期間と、発生時、連続装用は中断し ていたが、それ以前に連続装用していた期間をまとめたものをこちらの図に示します。不 具合等発生の時期は分散しており、発症直前の連続装用日数と不具合等の発生時期に特段 の関連は認められませんでした。また、長期間装用することによって不具合等が増加する という傾向も見られませんでした。さらに、患者が違和感を訴えて中断したものはいずれ も軽度なものであり、残りの理由はすべて被験者による任意の理由であることが説明され ました。連続装用を中断した理由が不具合等の発生との関連が認められなかったことか ら、最長1か月間の連続装用が可能なレンズとして使用可能であるとの説明は妥当である と総合機構は判断しました。  その他の検査項目につきまして、「前眼部所見」における不具合症状の観察頻度と出現 症例数をこちらに示します。被験群、対照群とも発生した所見において特に重篤なあるい は特筆すべき症例は見られませんでした。不具合症状の出現症例数に関して2群間で比較 を行ったところ、被験群の角膜血管新生の出現症例数は対照群に比べ有意に少なかった以 外は、不具合症状について有意差はありませんでした。  「自覚症状」についてはこちらに示す訴えがございましたが、被験群、対照群とも認め られた症状はいずれも軽度でした。  検査・観察項目における本品と対照機器との比較において有意差が認められた評価項目 があったとしておりますが、安全性の評価においては有意差が認められていないことか ら、対照機器と比べて臨床的に問題となる差はないとの申請者の説明は妥当であると総合 機構は判断しました。  総合評価です。本品による最長1か月間の連続装用は、安全性及び有効性の面から、現 在市販されている最長1週間までの連続装用が可能なソフトコンタクトレンズと比較し て差はないと判断されました。連続装用日数の妥当性につきまして再解析を行ったとこ ろ、28日以上となった連続装用率は71.3%でした。また、連続装用中断の理由と不具合 等の発生について特段の関連が見られなかったことから、最長1か月間の連続装用が可能 なレンズとして使用可能と判断しました。  ソフトコンタクトレンズはハードコンタクトレンズより装用感が良く、連続装用におい て誤った使用方法や不具合が発生しても装用し続ける可能性があることから、専門協議の 結果も踏まえこちらに示す点を使用者に徹底することが重要と考え、添付文書に記載させ ました。さらに、連続装用コンタクトレンズ管理手帳にも同様の記載を行い、患者への周 知を図ることとしました。  本品の使用目的はこちらに示す申請時の使用目的で承認して差し支えないと判断しま した。本品は新使用方法医療機器であることから、再審査期間は3年が適当であると考え ます。なお、生物由来製品又は特定生物由来製品の該当性につきましては非該当と考えて おります。  ここで貴委員の皆様から事前にいただいたコメントについて御紹介させていただきま す。  石山先生より、本品の近視及び軽度の近視性乱視に対する有効性、安全性、視力矯正の 効果は妥当なものと判断しますが、本品の遠視に対する視力補正の効果はどうであったか というコメントをいただいております。  これについてお答えいたしますと、本一部変更申請では、原材料やレンズの規格に変更 はないものです。当初の承認申請の際に、遠視の視力に対する視力補正の効果について確 認は行っております。今回は1か月間までの連続装用を追加する一部変更申請ですので、 遠視の視力矯正効果には影響はないものと考えられます。また、遠視のレンズは中央部が 周辺部より厚いとされておりますが、遠視の度数が余り大きなものはありませんで、中央 部が特段厚いレンズになることはないと考えております。そういった点から見ましても、 安全性に特に影響を及ぼすものではないと考えております。以上です。御審議のほど、よ ろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 それでは、参考委員の西田先生から何か加えることはございますか。 ○西田参考人 レンズの材質としましては、現在可能な材質として酸素透過性が一番良い とされているソフトコンタクトレンズの材質で、レンズそのものは既に承認が下りており ます。問題は、終日装用か、1か月連続装用を許すかという点でございまして、今回の治 験で7割以上の人が任意にさせても連続装用したということ、それから重篤な問題はなか ったということから、1か月間の連続装用を許してもよいのではないかと考えておりま す。  連続装用のときの一番大きな問題は、万が一外したときにどう扱うかということです。 いったん体から離れたら必ず洗浄するということが条件として非常に重要であると判断 しますので、添付文書にそのことを明記していただくことにしております。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは、御質問を受けたいと思いますが、その 前に、石山委員、今の事務局のお答えでよろしいですか。 ○石山委員 結構です。 ○笠貫部会長 全体として御質問はございますか。 ○土屋委員 総合評価のところですが、「汚れ等があった場合は外し、必ず洗浄を行って から」と、先ほど先生も御指摘なさいましたが、この洗浄というものが、ただこすり洗い した洗浄なのか、あるいは98ページ、添付文書の「レンズケア」の消毒まで含めたもの、 そこのところを統一していただければと個人的には思います。例えば、汚れがありますの で過酸化水素消毒まですることを求めた方がよいのか、単にこすり洗いで済ませてしまう のか。この「洗浄」には既に消毒ということが入っているのでしたら、「消毒」という言 葉を入れていただいた方が素人の方には分かりやすいように思います。 ○西田参考人 添付文書の方は消毒まで入っていると思います。ですから、総合評価のと ころの文章がそういう意味では不適切で、「必ず洗浄を行ってから再装用すること」を「必 ず洗浄及び消毒を行ってから」と、先生がおっしゃるとおりだと思います。申請者に対し ては、協議の結果、添付文書にはそれを書いていただくようにお願いしましたので。 ○土屋委員 1か月も付けていますと、分泌物とか、外からの汚れが当然付くと思います ので、消毒、洗浄と両方していただけたらと私は思います。そして、消毒薬も、ポリヘキ サニドは含まない。これも素人の方には分かりづらいのではないかと思うので、過酸化水 素なら過酸化水素消毒と、はっきり書いていただいた方が分かりやすいと思います。ワン ケアタイプもいろいろなものがございますので。消毒の点では過酸化水素が一番徹底して いますが、それが残っていますと危ないので、後でよく洗浄していただく。 ○事務局 連続装用中にごみが入った場合などの消毒の仕方等につきましても、資料の 19ページ、添付文書の「4.レンズケア」の上段に、目から外した場合に行うレンズケア についての指導のことが書いてあります。それから、その下の方に「また」ということで、 連続装用中に目にごみが入ったり、レンズの汚れなどのために、一時的にレンズを外して すぐに装用する場合は、コンタクトレンズ用洗浄保存液による洗浄、汚れの多い場合には 洗浄液による洗浄とこすり洗いを行うということで今整理していただいているようです。 ○機構 今、土屋委員から御指摘いただいたとおり、過酸化水素による消毒というのが適 切かとは思うのですが、今のものですと2時間以上の中和がないと再装着できないという こともありますので、御指摘の点を踏まえて、この表現について、もう一度見直してみた いと思います。 ○土屋委員 それから、コンタクトレンズを1か月付けていることに耐えられる人と耐え られない人と、個人差がかなりあると思います。自分が耐えられるか耐えられないか、素 人の方は分からなくて、ちょっと痛くても、これは1か月できるのだという感じで無理に される方が出てくると困ります。個人差があるというようなことがどこかに書いてあれ ば、私は1か月は無理なタイプであると判断して、無理な使用を止められるのではないか と思います。もしそういう文章がなければ、記載していただければと思います。 ○機構 97ページの「患者向け添付文書(案)」の左上の赤枠で囲ってあるところに、「連 続装用の可否と期間は、眼科医の指示に従ってください」と明記しておりますので、この 点についてはこのような記載で大丈夫であろうと考えています。 ○土屋委員 実際は眼科医に必ず行っておられる方ばかりとは限らないので、念のために 個人差のこと、そして、必ず医師の指導を受けること、両方のことを書いていただければ と思います。そういう方に限って不具合がたくさん出てくると思うのですが、それを認め るようなことにならないような形にする。当然行くこともだけれども、さらに個人差もあ ると書いていただいたらよいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○西田参考人 現実は土屋委員がおっしゃるとおりなのですが、それはここでは議論でき ない話題だと思います。健康保険制度そのものとの絡みもありますので、眼科学会がいろ いろと折衝しているところです。  おっしゃるとおり、眼科医が処方し、管理と申しますか、経過を眼科医の責任で見ると いうのが理想だと、私個人としては思います。しかし、現実はそうではない面があるし、 健康保険制度上も、そうではない方向へ行こうという動きがあることも事実です。ただ、 これの承認ということに関しましては、資料の18ページの「装用スケジュール」で、こ れは高度管理医療機器になりますので、例外は別としても、眼科医が処方すべきものとさ れているわけです。連続装用の場合は、1日目から2週間と順番に延ばして装用させて、 チェックしながら1か月装用に持ち込むという形で、品物を渡して「はい、1か月しなさ い」という形で販売することは想定していないと思うのです。これは医家向けの文書です が、一応、それで担保できているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ○富田委員 私は医者ではなくて、そういうところが心配なのでお聞きするのですが、こ れは1か月処方だから、こういう場合、眼科医は1か月として処方されるのですか。これ を見ると3枚1組になっているのです。そうすると、患者さんは、最初に医者に行ったと きに処方せんをもらって、3枚もらうわけです。ところが、それは1か月で捨てろと書い てあるのです。その場合、患者さんは、最初にやった後2枚残っていたら3か月後まで来 なくてよいということになるのですか。これを読んでいて、その辺が私は分からなかった のです。 ○西田参考人 実際の装用を処方するスケジュールは、まず眼科医が診て、1日目は何時 間しなさい、2日目は何時間しなさいとだんだん延ばしていって、装用期間を延ばして、 それを確認して、最終的にあなたは1か月装用できるでしょうということで初めて渡すこ とになると思います。 ○富田委員 市販品は1箱に3枚入っていますね。そうすると、1枚目を処方したときは 1か月間その眼科の処方せんが有効ということになって、2か月目に入るときにもう一回 来いと言っているのでしょうか。これには1か月ごとに眼科医が診なさいと書いてありま すから、1枚ずつでもよいのではないですか。不便だから3枚入れているということなの ですか。その辺がよく分からないのです。 ○機構 これは今の段階で終日装用として販売しているものですので、この形態で連続装 用のものを患者さんにお渡しするのではないです。 ○医療機器審査管理室長 まずは1枚お渡しして、徐々に延ばしていって1か月まで装用 していただくということです。  それから、先ほど土屋委員が御指摘になった個人差の件で、97ページの患者向け添付 文書の左側が赤字でずっと書いてありますが、その真ん中辺りに、「装用時間を正しく守 ること」として、「装用時間(連続装用期間)には個人差があります。眼科医から指示され た装用時間(連続装用期間)を必ず守ってください」ということで、個人差があるというこ とも書いてあります。そして、98ページの右半分のカラムの上から10行目くらいにある 「装用スケジュール」にも、「装用スケジュールは個人によって異なる場合がありますの で、必ず眼科医の指示に従ってください」と、個人によって違うのだということは一応記 載されています。 ○富田委員 もう一つ、今の資料の4ページに外国の使用状況が書いてありますが、そこ で一番気になるのは、例えばスペインでは2004年には□□□□売れていたのが2006年に は□□□□と減っています。この理由は分からないのですか。結局は使いにくいのか、そ れとも向こうで何か不都合があったからこのように売れなくなっているのか、この売上高 を見て気になったのですが、その理由は分からないのですか。 ○機構 その点に関して確認を行ってはおりませんが、□□□□をメインに販売しており まして、□□□□□よりも□□□□を重点的にしているということだと思います。 ○富田委員 事故が起こったとか、そういうことではないのですね。 ○機構 そういう報告は受けておりません。 ○勝呂委員 日本で集積されたデータと海外でのもので、例数が違うから違うと思うので すが、起きている不具合の中身にちょっと差がありますよね。例えば海外での発現状況で いきますと、角膜潰瘍などというのは非常に理解しやすいのですが、普通、虹彩炎とかぶ どう膜炎が起きてくるまでは使わないのです。これは海外の事情なのか、それとも。ソフ トコンタクトレンズそのものは、こういう症状を出しづらいということもあるのでしょう が、日本で集めたデータとのギャップは何か。もし日本でも長期装用、1か月使用をやっ た場合には海外とほぼ同じような副作用になるのかどうか、その辺の予測をされているの かどうかを知りたいのですが。 ○機構 まず、報告されている不具合症状ですが、これについては、特に重篤なものにつ いて、FDAに報告されているものということで、こちらに挙げております。日本の臨床 試験におきましては、どういったものを報告しなければならないのかということをプロト コルできちんと決めて報告しておりますので、実際に上がってくる不具合との割合は必ず しも合うものではございません。 ○勝呂委員 現実問題として、眼科医の管理を外れて、個人の裁量で相当使われるわけで す。そうすると、日本とアメリカのコストの問題などもあるのでしょうが、いわゆる前眼 部からの、角膜を越えていろいろな変化を起こす可能性があるという形ですから、使用上 の注意点を明確にする。角膜潰瘍や虹彩炎がある程度は起きてきてもよいと思うのだけれ ども、そういうところが、今回のデータの中ではないけれども、今後日本でやったら起き てくるだろうということを予測の一つの指標にしておかなくてはいけないのではないか と思って、この違いは何だろうと考えたわけです。 ○機構 先生の御指摘のとおり、重篤な症状というのは、連続装用だけではなくて、通常 の終日装用のコンタクトレンズでも起きている、眼科学会の発表ではそういう形のものを 目にすることがあります。実際に起きていることでありますし、このレンズに対しても、 不適切な使用をされますと、そういったことが起きる可能性はあるかと思います。十分な 注意喚起が必要であるということなので、ほかの医療機器に比べて赤で注意喚起する項目 が非常に多いので逆に見にくくなっているかもしれないのですが、コンタクトレンズに関 しては適切な使用というか、それに対する注意喚起が非常に重要であると我々は認識して おります。 ○笠貫部会長 ほかにはございますか。 ○石山委員 ちょっとお聞きしたいのですが、レンズの厚さが0.04mmの場合と0.3mmの 場合とで、酸素の透過性はどのくらい違うのですか。 ○機構 御指摘のとおり、酸素透過係数は厚みに依存するのですが、実際に最終的な製品 で測れるものではないので、材質としてどれくらいかということの検査をしています。 ○石山委員 厚いと酸素の透過の量が少なくなるわけですね。今まで1週間であればよか ったけれども、1か月ということになると。その辺が気になったのです。 ○機構 今回の臨床試験の中で角膜の障害の程度等を調査したところ、1週間のものと比 べてもそれほど差がなかったという結論になっています。 ○石山委員 そういう意味で先ほど気になったのが、遠視の場合はどうかということで す。臨床試験は遠視はやっておりません。近視しかやっていません。そういうことで酸素 の透過性が少し変わっていれば、1か月に延びた場合にどうなったのかと少し気になった のです。 ○機構 こちらに示したものは、レンズを装用する前と装用した後で酸素透過係数がどの くらい変わるかを測ったものですが、30日間連続装用したものと比較しても大きく低下 することはないということが申請者から報告されておりますので、長期間装用することに よって酸素透過性が落ちるということは特に考えておりません。 ○笠貫部会長 日本での臨床試験で、治験群では、連続投与ができるという患者の選択の バイアスと、十分教育をしたというバイアスがかかっています。そうすると、各委員の先 生方から御指摘があったように、そうではない方々に使われたときのリスクをどう担保で きるかということが、この添付文書では必ずしも十分ではない感じがします。連続装用し た場合にそのリスクが高まることは、自明の理だと思います。患者向け添付文書を見たと きに、これだけいっぱい書いてあったら、医者でも読まないような添付文書ですから、患 者向けのものでは、きちんと眼科医の指示に従ってくださいと言うのではなくて、眼科医 の指示を受けてやらないとこんな怖いことがあるというのを最初のところに書いておか ないと、患者さんはこの後は見ないと思います。その辺の工夫は少ししていただいた方が よろしいかなという感じがしたのですが、いかがでしょうか。委員の方々からたくさん御 指摘があったのは、そういう心配が高いのではないかということだと思うのですが。 ○医療機器審査管理室長 コンタクトレンズの場合、取扱説明書ですか、添付文書のよう な形態ではなくて、患者向けの冊子のようなもので、使い方とか詳細な説明をするものが ありますので、それをもう少し。これだとみんな真っ赤になってしまっていて、どこが重 要なのか分かりにくいので、分かりやすいものを用意するように指導したいと思います。 ○機構 資料の15ページに、管理手帳にこういった記載をしてお渡しするというものが 示してあります。本日はそのもの自体を持ってきていないので分かりにくいのですが、携 帯できるような大きさのもので、こういったものをお渡しすると。いつもこれを見ていた だけるような形ということです。前回、昨年でしたか、ハードコンタクトレンズの 30日装用のときにここで御議論いただいたとおり、常に連続装用していることを意識し ていただくということで、管理手帳というものを持っていただくということです。また、 19ページの「患者指導」にありますとおり、承諾書と管理手帳を必ず渡していただくと いう形で、当初、連続装用される方には教育を徹底していただくということで、先生方に はお願いしているところです。 ○笠貫部会長 医家向けと患者向け添付文書と、患者向け添付文書というのは余りないと 思うのですが、これはもう少し患者さんに分かりやすい言葉で書く。これは一般論として、 これから工夫していただいた方がよろしいかなという感じがします。 ○機構 御指摘のとおり、各社、この添付文書という形態とは別に、患者向けのパンフレ ットのような形で注意喚起を行っているところではあるのですが、その内容が適切かどう かということも含めて、もう一度こちらから指導をしていきたいと思っています。 ○笠貫部会長 患者向け添付文書に基づいて、各社が患者に分かりやすくトランスレイト しているという意味になりますか。 ○機構 もっとイラストを使って分かりやすい形の、取扱説明書と言ったら言葉があれか もしれませんが、そういった説明文書を用意しておりますので、その内容についても指導 していきたいと思います。 ○笠貫部会長 直接患者さんにではなくて、もう一つのトランスレイトがあり、それがメ ーカーの方にという御説明だったと思いますが、そのほかにはありますでしょうか。あり ませんでしたら、今御指摘の連続装用に伴うリスクについて、個人差あるいは教育を含め て、事務局の方でもさらに御検討いただくのをお願いしたいと思います。  それでは、この医療用具「O2オプティクス」(他8販売名)については、本部会として、 承認を与えて差し支えないものとして、再審査期間は3年間といたします。また、生物由 来製品及び特定生物由来製品の指定は不要といたします。この審議結果につきましては、 次回の薬事分科会において御報告をいたします。  これで本議題は終了しました。参考委員の西田先生、どうもありがとうございました。 御退室をお願いいたします。大変貴重な御意見をありがとうございました。  また、澤委員にはお戻りいただけたらと思います。 ○事務局 澤先生にお戻りいただくまで少しお待ちいただけますでしょうか。 ── 西田参考人退席 ── ── 澤委員入室 ── ○笠貫部会長 続きまして、議題3「1片中ガレノキサシンとして51.2μg以下を含有す る体外診断用医薬品の劇薬の指定の除外の可否について」、御審議をお願いしたいと思い ます。事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 お手元の資料3-1を御覧ください。1枚おめくりいただきまして、劇薬の指定 の除外の可否についてということで、概要が書いてあります。今回のものはガレノキサシ ンという名称のもので、富山化学工業のキノロン系の経口合成抗菌剤の承認に伴って、原 薬の方が劇薬に指定されたというものです。こちらは今回、体外診断薬ということで、そ れぞれ細菌のこのような薬剤への感受性を調べるためのものですので、人体に直接投与し たり塗布されるものではなく、また、製剤も1片当たりの含有量がわずかなものであるこ とから、劇性が強いとは認められないということで、劇薬の指定から除外することの可否 について御審議いただければと思っております。  案としましては、プレートの中にそれぞれの濃度の体外診断薬が染み込まされたものが 構成品となっているわけですが、その一つ一つの中にあるものの最大量として、1片中に 51.2μg以下を含有する体外診断用医薬品については、劇薬の指定から除外させていただ きたいというものです。以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問はありませんか。 ○勝呂委員 薬とはちょっと外れてしまうのですが、用語の問題で、ここには「抗菌剤」 と書いてあります。国の方向として抗菌薬で統一していくのか。抗生物質と言ったり、抗 菌薬、抗菌剤と言ったりします。私もよく分かりませんが、国家試験は全部「抗菌薬」に 統一しているので、こういうところに出てくる文章も抗菌剤ではなくて、例えばここでは 「キノロン系経口合成抗菌剤」になっていますが、文章の統一を図っておかなくてはいけ ないのではないかということが、ちょっと気になったのです。どちらかにするか決めてく れればいいのですが、国家試験は抗菌薬になっています。 ○笠貫部会長 事務局、いかがですか。 ○医療機器審査管理室長 確認してみます。 ○勝呂委員 それは理由があって、化学の先生方に言わせると、昔は抽出していたので剤 だったと。カビから取ってきたから剤だったと言うのですが、今は化学的に合成するから 薬というように統一しようというのが、どうもコンセンサスらしいのです。私は詳しいこ とは知らないのですが、国家試験が統一して抗菌薬になっているので、それで教えている からそれになるのかなと思うのですが。 ○医療機器審査管理室長 多分、その化学物質そのものと言いますか、有効成分そのもの は抗菌薬でいいと思うのですが、ここで使っているのはジェニナック錠という錠剤になっ ているので、剤になっているのではないのかとも思うのです。製剤の形になっているので 抗菌剤、抗菌薬の製剤という意味なのかなと思いますが、医薬品の方にも用語の使い方は 確認をしてみたいと思います。 ○笠貫部会長 ほかにはありますでしょうか。体外診断用医薬品ということで、劇薬の指 定の除外ということでよろしいでしょうか。 ○事務局 少し説明が不足していたので補足させていただきたいと思います。本日、部会 の方で、この案で問題ないということで御了解いただけましたら、その後の手続として、 パブリックコメントにかけさせていただきたいと思います。パブリックコメントの際に特 段の御意見の提出がなかった場合には、この案のまま決定をするということで、本日の部 会の中で御了解いただければと思います。意見が出てきた場合には、また部会の方にお諮 りをして、意見等の検討をさせていただいた上で、その後の取扱いも含めて審議をさせて いただきたいと思っております。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。この件につきましては、パブリックコメントの御意 見を求めた上でという取扱い、それを含めて審議させていただくということにいたしま す。何かありましたらそういう形にするということです。審議事項は以上です。  報告事項に入ります。議題4「部会報告品目について」、事務局から説明をお願いしま す。 ○事務局 資料4-1です。本年の8月1日〜10月31日までの3か月間に承認された品目 のうち、この部会への報告対象となっている品目について御報告させていただきます。医 療機器について20品目、体外診断用医薬品について3品目あります。  なお、資料4-1につきましては、事前に先生方に報告品目という形でお送りしておりま すので、この場での詳細な説明は割愛させていただきたいと思います。以上です。 ○笠貫部会長 ただ今の報告品目について、御質問はありますでしょうか。 ○勝呂委員 私は専門ではないのでちょっと分かりませんが、5ページ目の機器の51番、 ニッケルチタニウム合金のフィルター、これはパーマネントに入れるわけですね。アンブ レラを入れるわけですが。ちょっと気になったのは、ニッケルというのは結構溶出するの ではないかと思うのです。アレルギーの人が多いので、この辺のところは多分、機構の方 で調べているのではないかと思うのですが、問題にはならなかったのでしょうか。 ○機構 コーディス オプトイーズの件ですね。 ○勝呂委員 そうです。 ○機構 このニッケルチタニウム合金というのは既承認のもので、使われているものです ので、そういう意味でリスク評価はできているとこちらでは確認しました。 ○勝呂委員 私はそう思っていないのです。かつてはよかったのです。要するに、通常こ れだけ集まってパッチテストすると、大体15〜20%くらいニッケルに対してプラスに出 るのです。DLSTで調べると、その確率が下がって1%以下になる、あるいは0.幾つ になるとすると、大ざっぱに言っても100人に1人くらいニッケルアレルギーを持ってい るのです。そういったことが社会的に可能性があるのであれば、そういうことも今後視野 に入れて、既承認で素材が通っているからというわけではなくて、やはり、時代によって アレルギーは変わってくるわけですから。昔はこれほど感作の陽性率は高くなかったので すが、最近は非常に高いのです。ですから、そういうところも含めて使用上の注意に、ブ レスレットとか、そういったものにアレルギーがあるときには要注意などということも記 載をしなくてはいけないのではないかと思うのです。 ○機構 先生のおっしゃるとおりで、ニッケルのアレルギーというのは公知のものです し、ニッケルチタニウム合金とかニッケルを使っているもの、ステンレスにもニッケルが 入っている場合がありますので、そういうものについてはすべて、ニッケルのアレルギー があるということをかんがみて、使用上の注意には注意喚起はしております。本品につい ても使用上の注意に、ニッケルアレルギーがある患者には使わないようにということで指 導、注意喚起はしております。 ○笠貫部会長 ほかにはありませんでしょうか。それでは、この報告品目についての議題 はこれで終了とさせていただきます。  事務局からほかに追加はありますでしょうか。 ○事務局 本日、追加配付資料ということで1枚紙をお配りしております。資料番号があ りませんので、右肩に「追加配付資料」と四角で囲ってありますが、「H5亜型インフル エンザウイルス検出用診断薬の優先審査の取扱いについて」を御覧いただければと思いま す。  こちらの品目は、本年11月22日に、栄研化学株式会社から承認申請が行われておりま す。こちらは、「新型インフルエンザ対策行動計画」という2005年12月に策定されたも のがありますが、こういった中で診断法、いわゆる迅速診断や確定診断、そういった診断 法の開発支援事業の一つとして、国立感染症研究所と栄研化学との共同研究によって開発 されてきた品目です。  5.のところにデータがあります。RT-PCR法、これは結構大掛かりな操作をする方法で はあるのですが、こういったものについては通常、地方衛生研究所などに機械があって測 っていただくような形になっております。かなり正確にデータが取れるようですが、この RT-PCR法のデータと比較しますと、本品の方はRT-LAMP法と呼んでいるものですが、 RT-PCR法で+となったもののうち、RT-LAMP法、本製品の方で+となったものが39、− になったものが7ということで、15%程度偽陰性の判定が生じます。しかし、陽性の対象 のものを迅速に判定できる。こちらのRT-LAMP法の方は、2時間程度で診断ができるとい うこととキットになっているということがあって、比較的簡素な装置で測定ができるとい う利点があります。  こういった形で陽性例を迅速に判定できるということもあって、H5亜型インフルエン ザウイルスの感染者を早期に見付け出して、指定医療機関への入院勧告を迅速に行うこと ができるという点で新型インフルエンザ対策上有用と考えられるのではないかというこ とで、優先審査を行っていきたいと考えているものです。以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の報告に御質問はありますでしょうか。 ○中原部会長代理 これは新型インフルエンザということで、迅速に対応する必要がある かと思いますので、それは是非お願いしたいと思うのですが、ここの部会に、この迅速審 査にするかどうか、かけるということが今まではなかったと思ったのですが。 ○医療機器審査管理室長 報告という形です。 ○中原部会長代理 報告という形になるのですね。分かりました。これは是非早くした方 がいいと思います。 ○土屋委員 インフルエンザで今大変だと、少し出回っていますので、早くしていただき たいと思います。  ちょっと教えていただきたいのは、WHO推奨PCRプライマーによるPCR結果のみ を判定根拠とする陽性検体と陰性検体で実施したと。15%くらいの偽陰性が本製品ではあ るということですが、それは、ウイルスに感染した患者の症状として、弱い方がそういう ところに入ると考えてよろしいのでしょうか。 ○事務局 むしろその製品の特徴として、この判定に用いているプライマーというものが 幾つかの種類があるのですが、このWHO推奨のプライマーによる場合と、本製品で用い ているプライマーは幾つかのものを組み合わせて作っております。幾つかのものを組み合 わせて判定をしているという点で、そのプライマーの厳密性などによってやはり陽性、陰 性の判定が異なってくる可能性があるということですので、臨床症状との直接の関連とい うよりは、患者さんが感染したインフルエンザウイルスのRNAの型によって検出されや すいもの、しにくいものが出てしまうと考えております。 ○土屋委員 そうすると、WHOの方は幅広くPCRで引っ掛かるようなプライマー設計 をしている。WHOのプライマーは1種類でやっているわけですよね。 ○医療機器審査管理室長 プライマーは二つだと思いますが、多分、PCRの方が広めに 取ってくると思います。LAMP法の方は6個のプライマーを組み合わせております。そ ういうことで少し陽性、陰性の差が出てくるのだろうと思います。本来はウイルス分離を きちんとした検体をあてた方がいいと思いますが、このH5亜型、新型インフルエンザに ついては非常に人の検体がなくて、ベトナムまで行って、ベトナムの国立の研究所で保管 されているデータでLAMP法をあてさせていただいておりまして、恐らくウイルス分離 まで至っていない時点のデータだと思います。審査の中でもう少し細かく見ていきたいと 思います。 ○土屋委員 6種類なら、むしろそちらの方が幅広くいろいろ引っ掛かるのかなと思うの ですが、そうではないのですね。分かりました。 ○山口委員 LAMP法というのは6種類のプライマーを複雑に組み合わせて、それぞれ がきちんとマッチするときはきれいにいくのですが、インフルエンザウイルスのようにも のすごくバリエーションが多いものについては、ある配列部分がマッチしないウイルスに 関しては非常に感度が悪くなってしまう。インフルエンザのように変異の多いウイルスに 関してはこういうずれが出るのはやむを得ない。迅速法としてのLAMP法はある程度や むを得ないと思います。  ちょっと心配なのは、インフルエンザウイルスがさらにミューテーションを起こしてい くと、もっと感度が悪くなってくるということで、その辺のフォローをしておかないとい けないのかなと思います。 ○澤委員 これに直接関係しませんが、例えば現在、発売された直後のノロウイルスのキ ットの感度が、大体陽性一致率8割というようにデータがなっておりました。今、山口先 生からもお話がありましたが、こういう検査キット、特にウイルスを対象にしたものは、 何年間かその陽性率をチェックして提出させるとか、そういうようなシステムはあるので しょうか。 ○事務局 市販後という形で、定期的にフォローアップをするという仕組みにはなってい ないのですが、非常に重要な感染症として肝炎のウイルスとか、HIVなどについては、 ある時期に市販のものを一度まとめて確認させていただいて、ある一定のレベルが保たれ ているかどうかというチェックをさせていただいた事例は、過去にはあります。 ○澤委員 医薬品の抗菌薬の場合には、耐性株が出てきているかどうかをチェックするよ うに義務付けられていると思いますが、こういう診断キットもできればそういうように、 陽性率のチェックを何らかの方法で検討していく方がよろしいのではないかなと思いま す。これとは直接関係ありません。 ○山口委員 血液製剤の方では、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、HIVの三つが、 輸血前後で検査をするようになっております。その感度の保証ということで、まずB型肝 炎ウイルスからコントロールサーベイということで、その検査についてどれだけの感度が あるかという調査が、今継続中ですので、最終的にはもう少し時間が掛かるかと思います が、これらの三つのウイルスについては検討中というところです。 ○笠貫部会長 この15%の偽陰性をどう見るかという見方は分かれるとは思うのです。 H5亜型の新型インフルエンザは社会的な影響が非常に大きいですよね。過大な期待を持 つことの問題はあり得ると思うのです。しかし、そういった期待感があって、開発支援事 業としてやって、そして、優先審査というのは分かるのですが、例えば、2005年12月に 計画があって、それで、もう今のプライマーで、この方法がベストだ、これ以上のものを 作ることが時間的には大変難しいというようなことで、15%であきらめるというところで 優先審査をすることにしているのかどうかというのが、気にはなります。ここの開発のプ ロセスと、これからの見通しとしては、この15%以上が一つの限界ですということで優 先審査に入るというのなら分かるのですが。 ○医療機器審査管理室長 この品目は偽陰性が15%くらいあるのですが、先ほど山口先 生がおっしゃっていただいたように、どんどん変異していくと、さらにここは蔓延化して くるので、今、より良いものの開発をこの会社も進めているのですが、今後もプライマー を迅速に変えていかないと、このものは役に立たないので、プライマーの変更をどういう ふうに承認していくかということも非常に重要です。今回は特に、この最初のところに書 きましたように、陽性例を早く見付けるということで、例えば水際で、発熱があって、感 染地域から帰ってきたような人がいたときに、迅速に陽性だという人を捕まえて、早く入 院勧告を出すことが重要なのかと考えておりまして、陽性例をできるだけ拾い上げるため に、迅速さを評価して優先したいと考えているものです。  新型インフルエンザのパンデミックが起こった場合に、どうやって水際で食い止める か、またはその拡大を防ぐかということですが、初めての検査で陽性が確認できるまでは、 自宅にも帰れることになっていますので、自宅でさらに感染を起こす可能性もあります。 できるだけ早く陽性例を確認して、入院勧告へ持っていくというところで、さらなる拡大 を防ぐためには、重要なツールになるのではないかと考えています。  今はPCRしかありませんので、PCRの結果が出るまで若干の時間があるということ で、PCRよりも簡便で、地衛研でなくても、PCRのサーマルサイクラーがないような 場所でも検査ができるという、簡便性と迅速性から、もちろんこれで完璧に判定はできな い、偽陰性はあるのですが、陽性例を引っ掛けるという意味では重要な役割を果たすので はないかと考えております。これでマイナスになっても、新型インフルエンザではないと は逆に判定できませんので、さらにPCR、最終的には感染研でのウイルス分離を行って、 陽性例ではないということを確認するという、そういうフローになっています。陰性でも 最後のところまで検査をするというように、当面は計画されていると聞いております。 ○笠貫部会長 偽陰性よりも陽性例を迅速にということで、これを優先審査とすること で、皆様よろしいでしょうか。それでは、これで今日の議題は終わりにさせていただきま す。  事務局からほかにはありませんでしょうか。 ○事務局 次回の部会は、2月下旬〜3月上旬の開催を予定しております。近いうちに委 員の先生方の御都合を確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。連絡事項は以上です。 ○医療機器審査管理室長 以上で本日の医療機器・体外診断薬部会を終了させていただき ます。本日は長い時間御審議をいただき、ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 広瀬(内線 2912)