07/11/26 第29回社会保障審議会医療保険部会平成19年11月26日議事録 第29回 社会保障審議会医療保険部会  開催日:平成19年11月26日(月) 場所:全国都市会館 3階「第1会議室」  糠谷部会長 それではまだお見えでない委員がお一方おられますが、定刻になりまし たので、第29回医療保険部会を開催いたします。委員の皆様には本日は御多忙の折、お 集まりいただきまして御礼申し上げます。  本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は逢見委員、大内委員、神田委員、 齋藤委員、西村委員、山本信夫委員より御欠席の連絡をいただいております。  続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りいたします。神田委員 の代理として五十里参考人、逢見委員の代理として小島参考人、齋藤委員の代理として 高橋参考人、山本信夫委員の代理として岩月参考人の御出席につき、御承認いただけれ ばと思います。いかがでしょうか。それではそのように取り計らわせていただきます。 ありがとうございます。  それでは議事に入らせていただきます。本日の議題の1つ目として、「被用者保険にお ける格差の解消について」が挙がっております。これに関しては、前々回より御議論い ただいているところですけれども、今回も引き続き議論をしていただきたいと思います。  議題の2つ目として、「平成20年度診療報酬改定の基本方針(案)」が挙がっておりま す。前々回より平成20年度の診療報酬改定に向けて、診療報酬改定の基本方針を定める ための御議論をいただいておりますが、今回も引き続き御議論をお願いしたいと思いま す。これまで活発な御議論をいただいており、本日のこれからの議論にもよりますけれ ども、可能であれば、本日、当部会としての議論の取りまとめに至ればありがたいと考 えておりますので、よろしくお願い申し上げます。  それではまず事務局より、「被用者保険における格差の解消について」について、説明 をお願いいたします。多くの委員にできる限り御発言いただくため、事務局からの説明 は簡潔にお願いいたします。  深田課長 総務課長でございます。それではお手元の資料でございますが、きょうは 3つ資料を用意してございまして、1つは資料1−1、資料1−2、参考資料と3つご ざいます。資料1−1から順に御説明したいと思いますが、資料1−1はこれまで2回 御議論いただきましたけれども、そのときに出されました意見を「これまでの主な意見」 としてまとめさせていただきました。  最初でございますけれども、財政調整による格差の解消についてということでござい まして、被用者保険間における各社の格差を財政調整で解消するということについては、 そもそも所得の高い大企業の労働者が、保険料率が低く抑えられているという状態を、 これからも認めるかどうかということを、よく議論していく必要があるということ。も う1つは、保険料率というのは、今の保険料率の差がいろいろな要因にも入っているわ けでございますけれども、医療費適正化努力が必ずしも正しく反映していないというよ うな仕組みと今なっておりますので、この内在しているような矛盾が調整・修正できる ような制度設計等をしていく必要があるのではないかという御意見をいただいています。  また自主・自立を基本とする医療保険制度の枠組みを崩すものということで、制度の 根幹に関わる大きな問題であるという指摘をいただいております。  また、市町村国保の観点からでございますが、国民全体の給付と負担の公平の観点か ら、市町村国保も含めた財政調整の将来の道筋というものを示すべきではないかという 御議論をいただいております。  次に公費の役割についてということでございます。1つは財政調整による格差解消を 前提として、政官健保への国庫補助を削減するということについて見ると、国民の目か ら見た場合ということでございますが、税を通して負担するのか、あるいは保険料で負 担していくのかという、負担の手段の選択の問題ではないかという御議論をいただきま した。それからもう1つは、来年度もそもそも予算編成の過程で、社会保障関係費2,200 億円圧縮ということ自体が問題であって、そもそも被用者保険間の格差の是正あるいは 政官健保の安定的な運営というためには、国庫補助による支援をするべきであるという 御意見をいただいております。  もう1つが保険者機能の関係でございます。保険者努力に帰すべき部分とそうじゃな い部分をちゃんと分けて、制度設計をしていくということにすれば、保険者の医療費適 正化努力を減退されることに必ずしもならないのではないかという御意見と、安易な財 政調整による格差是正というのは、医療費の適正化努力を減退させるという2つの御意 見をいただいております。  次に資料1−2でございます。前回の御議論で何点か宿題という形でいただいており ます。4点ほどございまして、社会保険制度における保険料と公費の分担と言いますか、 そもそもどういうあり方であるべきか、公費のあり方についてということだと思います が、それについて。それから20年度予算のそもそも伸びの抑制方策をどういうことを考 えていたのかということ。それから国民健康保険組合について。それから政官健保事業 のそれぞれの取り組みということで、4点ほど宿題をいただいております。  最初に1ページめくっていただきまして、保険料と公費についてということでござい ます。そもそも公費をどういうふうに入れていくべきなのかという点について、政府の 方で取りまとめたものがあるのではないかということで、それについて説明してほしい ということであったかというふうに思います。我々の方で探しました結果、18年の5月 26日に官房長官主宰の「社会保障の在り方に関する懇談会」で出されております、今後 の社会保障の在り方についてというものの中に、基本的考え方ということで示されてお ります。  枠で囲っている部分が該当する部分かと思っておりますが、現在の社会保険制度とい うのは、被保険者・事業主・公費といった3つのそれぞれ負担する方がいらっしゃるわ けですが、その割合が大体1:1:1というような割合になっています。今後の高齢化 に伴いまして、公費の負担割合の非常に高い高齢者関係の給付がふえていくということ で、公費負担の割合が高まっていくということでございます。  社会保険の分野で申し上げますと、今後ともコスト意識を喚起する観点、それから事 業主も利益を受けうるという観点からも、労使折半を原則とした社会保険料を基本とす るということで、原則として示されております。また、税財源につきましては、そもそ も主に社会保険料の拠出は困難なものを保険制度においてカバーするということに投入 するということを、基本とすべきとうたわれているわけでございまして、下の方に我々 の方で解説としてつけさせていただきますが、今後の高齢化に伴って公費負担の比重が 固まっていくということが見込まれているという中で、社会保険料を基本とし、公費は 拠出が困難なもののために投入すべきというのが、この懇談会での結論でないかという ふうに考えておりまして、今回の問題に関しまして、そもそも保険料の果たすべき役割 を拡大するということが、この報告書の主旨と矛盾することなのではないかと考えてお ります。  次に1ページおめくりいただきまして、平成20年度予算における抑制方策の検討でご ざいます。厚生労働省において2,200億円の伸びの抑制というので求められております 20年度概算要求基準について、どういう対応を考えていたのかということでの御質問だ ったかと思いますけれども、概算要求基準は年金・医療等に係る経費について、そもそ も自然増が7,500億円あるということを前提に2,200億円を削減し、当然、自然増の分 5,300億円を加算するという形で、概算要求基準は示されているところでございます。  もともとこの中の2,200億円を抑制するという方策として、我々の方で考えているも のとして主なものということでございますが、1つは20年度については薬価改定がある 年でございます。診療報酬に伴いまして薬価の改定もございます。したがいましてその 中におけます市場実勢価格との乖離率を踏まえて薬価の引き下げを行う。それからこれ は効率化プログラムでも示されておりますが、後発医薬品の使用の促進を図っていくと いうことでございます。もう1つ。これでは賄いきれないということでございますので、 今回御提案させていただいております財政調整による格差是正ということを前提とした、 政官健保の国庫負担の見直しという、この3点を主なものとして考えているものでござ います。そのほか、いろいろ細かな点で作業できるものがあれば、それは当然考えてい くことにしたいと考えておりますが、大きな2,200億に届くようなものというのは、ほ かにはなかなか見つかっていないというのが今の状況でございます。  神田課長 続きましてお手元の資料の3ページからでございます。前回、国保組合に ついてお尋ねがございましたので、資料を提出させていただいております。3ページ目 の概要でございますけれども、国保組合というのは一定の地域に住所を有している同種、 同業の人を組合員として、その組合員とその世帯に属する者ものを被保険者とします公 法上の公法人ということでございます。18年度末現在の組合員数、被保険者数はそこに ございますような数でございまして、今390万人程度が被保険者になっているというこ とでございます。  4ページ目が前回お尋ねのあった件でございますが、給付率の高い国保組合というの がたくさんあるのではないかということでございます。確かに1年半少し前の18年4月 現在ですと、まだ8割給付のところが34組合ございましたけれども、現時点ですと残り 2組合になっておりまして、この2組合についても来年2月の組合会で7割に引き下げ をするということで準備を進めているということですので、20年度からはすべて7割給 付になると承知をいたしております。  お手元の5ページでございますが、これも18年の前回の医療保険制度改革の一環とい たしまして、国保組合に対する補助の見直しを行ったということでございます。財政力 に応じまして、財政調整のための補助金を5段階から10段階に見直しをいたしました。 結果的として3分の2の組合の補助率の引き下げをいたしております。また約4割の組 合については、一番左の財政調整のための補助金の上乗せがないというような形で整理 をさせていただいているところでございます。前回、国庫補助額等についてお話がござ いましたけれども、3,000億でございますが、財政調整のためのものが1,000億と定率 補助の分が2,000億というのが現状でございます。以上でございます。  松岡課長 社会保険庁医療保険課長でございます。続きまして6ページの政官健保の 取り組み状況ということでございます。前回、政官健保での努力ということについてお 尋ねがございましたので、資料を用意させていただいております。まず1点目が全国健 康保険協会の設立ということでございます。これは平成18年の医療制度改革において、 この政管健保につきましては20年の10月から非公務員型の公法人に移管するというこ とにしております。これによって事業主・被保険者の意見を反映した自主自立の運営の 下で、都道府県単位の保険料率を導入して、医療費適正化を推進するなど、保険者機能 を十分発揮していくということをねらいとしております。またこの設立に当たりまして は職員数の削減を図るとともに、民間出身の理事長の下に効率的な運営を進めていくと いうことといたしております。  続きまして現行の社会保険庁における保険料収入の確保の対策でございます。1つは 納期内の納入の特例指導ということで、口座振替の推進などそういったことを進めてい くというのが1点でございます。2点目が、滞納した事業所に対しては、速やかな納付 特例、滞納処分の早期着手などを行うといったことで、対策を進めております。それか ら19年度における取り組みとしては、滞納整理事務に係るマニュアルを整備したり、あ るいは各社会保険事務所事務局ごとに目標を立てた行動計画を策定して、徴収対策を進 めるといったことなどを行っております。  7ページでございますが、徴収の状況でございますが、平成18年度の徴収決定済額は 約6.8兆円ということでございます。14年度から比較をいたしますと、保険料の収納率 96.8%ということでございましたが、徐々に上がっておりまして、現在98%といった形 になっております。  続きまして医療費の適正化の対策ということで、レセプト点検調査ということでござ います。支払いから返ってきましたレセプト点検ということで、特に内容点検について 力を入れておりまして、徐々にその件数、金額は上がっておりまして、18年度で約170 億円といったことになっております。それから被保険者の方に医療費の通知をお出しし て、そういったことをして努力をしているところでございます。以上でございます。  深田課長 もう1つ参考資料として、これは参考までに机の上に。後でごらんいただ ければと思いますけれども、11月19日に財政制度等審議会で建議をされておりまして、 20年度予算編成に関する基本的考え方を建議としては取りまとめたというものでござ います。その中で示されているものが4点ほど医療保険関係ではございまして、診療報 酬の改定、後発医薬品の使用促進、薬価等の改定、被用者保険間の財政調整というのが 取り上げられているということでございますので、御参考までにお示しをさせていただ いております。  それからこれは、きょう資料は用意をしておりませんけれども、これまで健保国間の 保険料率あるいは報酬あるいは共済組合についてもそうでございますが、平均的なデー タで部会には御説明させていただいてきたところでございます。先週、今回の審議会の 部会用にということで、各委員の先生方に説明をさせていただいたところでございます けれども、健保組合に関してもう少し個別具体的な例えば料率について、どこの組合が どれぐらいの料率なのかとか報酬はどうなっているのかといったような、わかる資料は ないのかというようなお話をいただいております。1,500余りございまして、きょうは 資料として用意はいたしておりませんけれども、これまでも健保組合連合会で事業年報 というのが公表されておりますので、もし必要であれば事務局の方に御依頼いただけれ ば、必要なデータを提供させていただくというふうにさせていただきたいと思います。 以上でございます。  糠谷部会長 ありがとうございました。それではただいまの説明や資料に関しまして、 質問も含めて御自由に意見交換をしていただければと思います。どなたからでも結構で ございます。どうぞ。  小島参考人 前々回も私は参考人で出て発言しておりますが、これについては基本的 には反対だという立場でもう一度改めて発言させていただきます。前回の部会では、逢 見委員の方からも発言をしており、それについてはきょう示された主な意見に出ており ますけれども、そもそも今回の制度間財政調整が出てきた最大の理由としては、今も御 説明ありましたけれども、政府予算の社会保障関係費2,200億円の圧縮と自然増の伸び です。それはもともと2011年に収支バランスを図る、プライマリーバランスを図るとい う観点から、社会保障関係費の伸びを1兆1,000億円ほど圧縮する、それを5年間で一 律に行くと、年間2,200億円の圧縮というところで、そこからスタートしているプラン です。それについては前回逢見委員が言っていると思いますけれども、そのこと自体が 問題であるという観点でありますので、そこから出てきた今回の財政調整については、 そのまま認めるわけにはいかないという立場が1つあります。  それと2つ目のところにつきましては、では、なぜ政管健保に国庫負担があるのかと いうことで、これは先ほど説明がありましたけれども、社会保障あり方懇談会の方での 文書の中でもありますように、社会保険方式を維持するために、保険料拠出が困難な者 のために公費を投入するのだという位置づけになっております。これはそもそも医療保 険制度の国民皆保険制度を維持することを前提に、保険料が高くなるのを抑えるために、 いわば低所得層に対し、加入する医療保険について公費国庫負担を入れて保険料上昇を 抑える、そういう位置づけとして整理されている。そういうところから、この文章にな っているのだと思います。  その結論について、これは保険局の今の説明ですと、このことと今回の財政調整は矛 盾しないということを言っておりますけれども、果たしてそうか、というところがあり ます。このあり方懇で整理されている今までの公費負担の基本的な考え方は、まさに皆 保険制度を維持するために低所得層の保険料を抑える目的で公費を入れてきたというこ となので、今回の財政調整によって、保険料の役割拡大することと矛盾しないのだと言 っていますけれども、保険料の役割を拡大することが、政管健保の国庫負担の比率を下 げるという理由にはならないだろうと思っています。  そこは論理の飛躍があるのではないか。引き続き政管健保に置かれている加入者の所 得状況等を見た場合に、やはり厳しい状況にあるということなので、やはりここは公費 負担を入れて、皆保険制度を維持するという役割は全く変わっていないだろうと思って います。その観点から今の13%をさらに引き下げるという話にならない。本来であれば 16.4%に戻した上で、改めて被用者全体の保険料のあり方、あるいは所得格差の問題を どうするかということについて、議論をすべきことが基本であろうと思っておりますの で、そういう意味では今回のこの考え方自体は拙速過ぎると言わざるを得ないと思って おります。  糠谷部会長 ほかにいかがでございますか。それでは対馬委員、どうぞ。  対馬委員 前回もいろいろ申し上げましたので、今回はちょっと前回との関連性にお いて、ちょっと違うことを申し上げますけれども、1つは、余りナーバスになる必要は ないのかもしれませんけれども、これまでの主な意見でおまとめいただいたところなの ですが、まず意見が分かれているところをいろいろ整理していますけれども、全員一致 したのは今回の提案のプロセスがいかにも唐突ではないかということは、おそらく一致 したのではないかとそういうように思うのですね。そこがちょっと抜けているのではな いかと思いますので、別にこれを直してくれということではなくて、議事録を整えてい ただきたいと思います。  それからこれもこの整理の中ですけれども、1点目の○の2つ目のポチのところです ね。このあたりは言われた方があるのかなと思うのですけれど、「保険料率の内在的な矛 盾が、調整・修正できるように制度設計すべき」と。これは確かに厚労省の資料にはそ ういう主旨のことはお書きになっていただきましたけれども、私の記憶では余りそうい ったことを発言された方はおられないのじゃないかなという感じがします。  それからもう1点です。国保組合について私ども資料を出していただきたいというこ とで、お出しいただいたことについては、お礼を申し上げたいというふうに思うのです けれども、国保組合の中のこれはページが打っていないのでしょうかね。4ページ目で すね。国保組合の給付割合の状況という資料がございますけれども、先ほど、今足元で は2組合だけが8割給付で、これもいずれ解消するのだというお話がございましたけれ ども、これは平成15年4月にすべての保険者が3割負担。逆に言いますと7割給付とい うことになったのですね。それが15年から3年、4年。もう既に4年半でしょうか、い まだに解消されていないということなのですけれども、その当時の議論としては、保険 者が極めて厳しい状況にあるということから、7割給付にもいたしましたし、我々であ れば総報酬制も取ったのですね。そういう中でこれだけ8割給付でやってこられたとい うのは、つまり財政的に言えば、そこまでやる必要はなかったと、こういうことではな いかと思うのですね。  5ページの一番下に注がございまして、これはすぐ上のところの組合特定被保険者は 一定ですけれども、平成9年9月以降はなくしましたということを説明されていますけ れども、これはなくしたのではなくて、平成9年9月以降に新しく加入した人について は、そういった財政の補てんは行わないようにしたということですから、これはいつ完 全になくなるかと言いますと、言ってみますと新入社員の話ですから、40年間かけてな くしていくということなのですね。  そういった時間軸の感覚と、今回の提案であります我々は1,900億円を今回やるのだ というのとは、随分また時間感覚のずれがあるのではないかとこういうふうに思います けれども、いずれにせよ国庫組合については、財政的に極めて優遇されてきて、今現在 も3,000億円の補助金が出されているということですから、被保険者間の財政調整とい う視点だけではなくて、やはり財政的にいいところからということであるのであれば、 ないしは格差の解消ということであるのであれば、当然手をつけるべきだとこういうふ うに思います。  糠谷部会長 どうぞ。高橋参考人。  高橋参考人 もう既に連合さんと健保連さんから基本的なお話があったので、余りく どくどと繰り返しはしませんが、私どもも反対であります。1つは対馬委員の指摘の通 り、非常に唐突にこの議論が起こっていること。しかも医療保険部会3回の非常にごく 短期間の間で、こんな重要な問題に結論を出していいのだろうかと。もっと時間をかけ てこの問題はじっくりと議論をぶつけた方がいいと思います。そういう意味でも時間的 にもこれは拙速すぎると思っています。それが1つ。  もう1つは、保険料はおそらく病気に罹った際のリスクをシェアするものと理解して いますので、この保険料の中に所得移転を入れる仕組みを、本来税制でやるべきものを だんだん混ぜこぜにするという考え方は、説明がつかない。保険料を払っている人から 見て、保険料を払っている個人、あるいは会社から「これは何なのか?」ということは 説明がつかないので、こういう説明のつかないものについては、基本的に反対です。以 上2点です。  糠谷部会長 ほかにいかがでございますか。  鈴木委員 いろいろと医療提供側としては申しにくいことではありますけれども、実 調に対する理解というのもかけ離れ、うまくまとまらないところがございますけれども、 実は実調は二部作でできているというようなこともあり、国民の自己負担というものは 限界に来ていますし、医療の現場というものは非常に混乱を極めて、この状況を廃絶す る方法として、この問題が提示されたわけでございまして、それにかわりうる案があれ ば、ぜひやっていただきたい。それがなければ何とか協力してもらいたいというのが現 場の意見であります。  糠谷部会長 ほかに。どうぞ。  対馬委員 前回の議論でなかなか御理解賜れなかったということで、1点だけ申し上 げますけれども、格差があればそれを解消すればいいじゃないかと、非常に単純な議論 をされているような感じを受けるのですけれども、健保組合にしろ複数の保険者を認め ているということは、既に一定の差異を認めるということで、これは健康保険法上も、 事業主が申請するということで設立することができるのだと。もちろん国の厚生労働省 大臣の認可を得る必要があるのですけれども、そういう前提でできているということな のですね。  それで私どもは保険者機能の発揮とかいろいろやっておりまして、例えば医療情報の 提供でありますとか、それは健保連なんかもホスピタルということで、すべての方がア クセスできるようにしているのですけれども、医療情報の提供ないしは保健事業。これ も人間ドックなんかも非常に財政的に苦しいときにも、大体9割ぐらいの組合が人間ド ックなんかをやっているのですね。そういうことをやっておりまして、言ってみますと 事業主なんかと一緒になって共同して、例えば歩け歩け運動なんかもやっているのです けれども、喜怒哀楽と言うのでしょうか、苦楽を共にすると言うのでしょうか。そうい うことで一緒にやってきているのですね。  ですからそこをすべて給料にしろ何にしろ、格差を解消するのだということになって きますと、全く企業と切り離されてしまうということになりますと、一緒になって保健 事業をやっていこうではないかとか、ないしは独自性を出していこうじゃないかという ことはできなくなってしまう。そうしますと一元化から最後は一本化ということになっ てきまして、そうしますとすべての健康保険、医療保険制度を管理していくのだと。こ ういうことになっていくんじゃないかと、こういうふうに思うのです。そのこと自体、 非常に形はきれいですけれども、経済等々のダイナミズムと相反するような方向だろう と思うのですね。  昔の国鉄とJRはどちらがどうなのかと。7本に切ったら効率はよくなるはずはない のですけれども、皆さん、1本にしろなんて言うのはどなたもおられないと思うのです ね。ですからやはり健康保険組合にしろほかの組合にしろ、自主自立でもってお互いに 競争し合いながら切磋琢磨しながらやっていくのだということが基本だろうと。それが 日本の医療制度については絶対に必要だろうというふうに思っておりますので、どうぞ 御理解を賜ればというふうに思います。  糠谷部会長 ほかに御意見、いかがでございますか。どうぞ、多田委員。  多田委員 今の対馬委員の御意見はもっともだと思うのですが、今回の調整の対象と いうのはそういうところまで入っているのでしょうか。もう1回当局からの見解を聞か せてもらいたいです。  糠谷部会長 事務局から。  神田課長 対馬委員の御指摘は被用者保険の財政調整ということからしますと、国保 組合が被用者に直接なるということで、直接的に入るということではないのではないか と思いますけれども、対馬委員の御指摘というのは、国保組合についても何らかの、先 ほどの言葉で言えば国保組合の補助金にも手をつけるべきではないかと、そういう御意 見だというふうに受けとめてはおりますけれども。  糠谷部会長 どうぞ。  多田委員 私が発言させていただいたのは、国保組合のことだけではなくて、今の調 整の対象が健保組合の努力分まで調整の対象になっているのかどうかという、そういう ところです。  深田課長 今回は前回の資料でも御説明をしておりますけれども、保険者さんの医療 費適正化の努力が反映できるような仕組みということで考えておりまして、保険者の努 力では、全く保険者さんが幾ら努力しても解消できないような、例えば所得の格差につ いての調整が必要ではないかということで御提案をさせていただいております。  対馬委員 ただ、前回の資料でもそうですけれども、究極的には被用者間の格差の解 消を図るものであるということですね。ですから格差については解消するのだと。それ からもう1つは医療費の適正化努力と言われていますけれども、医療費の適正化努力は 現在も各保険者各々一生懸命にやっていることでして、ただ、それが成果として投下し たインプットに対して、アウトプットがなかなか難しいということがあるのです。いず れにしてもそれはそうなのですけれども、ただ、それは先般資料が出されて説明もあり ましたけれども、厚労省の説明によりますと、健保組合も政管も国保は若干年齢がたつ と差が出ましたかね。医療費について余り差がないと、こういう説明もしているわけで すね。そうしますと結果的に給与の差はすべて調整すると。あと年齢構成も調整する。 あと医療費だけのところで頑張りなさいよということは、限りなく両立もほぼ等しくな ってくるということになってきますので、やはりそういう方向を向いているのだろうと いうふうに思います。  糠谷部会長 どうぞ。  深田課長 所得での調整というのを御提案申し上げているわけですけれども、当初 我々の方で御説明した案というのは医療費の半分ということで、2分の1ということで 調整をしようということでございます。1つ申し上げなければならないと思っておりま すのは、調整をすると言ってもいろんな格差が実はございます。前から言われています ように、地域では医療費の格差は当然ございます。また、例えば被扶養者の方がどれぐ らいいるのかとか、年齢構成とかいろんな格差がありますが、年齢の部分と所得の部分 の調整が必要ではないかと言いますけれども、それ以外にもいろんな要素がございます し、先ほど対馬委員が言われましたように、当然その企業によって立つ制度でございま すので、ある意味でのある程度の所得による格差というのは、全くなくしてしまうのだ というのが果たしていいかどうかというのは、実は十分に議論があるところだというふ うに思います。したがって、当面我々としては、2分の1という範囲でできないだろう かということで、御提案をさせていただいたというところでございます。  対馬委員 まさに今おっしゃられたように、当面2分の1ということですよね。最後 の前回の資料の中には、被用者保険の究極的には被用者保険の格差の解消を図るのだと いうことですから、2分の1をいずれは1分の1にするのだということが見えているわ けですから、それは納得できかねるということです。  深田課長 済みません。それでは究極の目的はと書いたのは、確かに私はしておりま すけれども、基本的には所得だけではなく、さっきも申し上げましたがいろいろな格差 がございます。それをどういうふうに解消していくかという有効な手だてがあれば、当 然それを織り込んだものを見直していくということにしていけばいいかと思いますけれ ども、当面はその2分の1ということで進めていくということで考えているということ でございます。  糠谷部会長 どうぞ。  小島参考人 私も今、対馬委員と同じような懸念を持っています。当面は2分の1と いうことで、いずれはその2分の1が1分の1になって、結局、政官健保の国庫負担を 無くすという結果の話になるのではないかと思います。当分の間というのは、どの辺ま でをにらんでいるかというのはありますが、その懸念はあるということは1つ言ってお きます。それから、今回は被用者健保ですけれども、被用者年金の一元化法案というの が今国会にかかっていますけれども、公的年金については被用者年金の一元化という方 向が、これまでの経過の中で議論されていて、その観点から言っても、被用者健保も一 元化というか財政調整というか、そういうもの入ったらどうかという意見もあります。 しかし、年金については、これは御存じのように、まずは国鉄共済の財政窮迫が出発点 で、まさに当時の国鉄共済が、もうもたないというところで、当時はオールジャパンと いう被用者全体で支えるという経過が来て、そういう長い間の歴史があって、次には農 林共済の統合に結びついた。そういう経過の中で今回被用者年金の一元化というような、 相当やっぱり長いスパン議論してきた結果ですね。20年ぐらい議論している。そういう 中での最終的な形になっているので、その観点からしても、今回の被用者健保の財政制 度ありきの一元化というのは、まさに拙速過ぎると何度も繰り返してきました。基本的 なこととして、今の政管健保でも特段に財政的に破綻しているという状況ではありませ んので、そういう中でなぜやるのかということは、まさにさっき言ったような、国の財 政状況、予算編成のところから来ているということなので、それは被用者健保内の制度 の破綻とか、その内部の独自の問題点から今回出てきているという話ではない。そうい う観点から言っても、これはまさに拙速過ぎるという話と言わざるをえない。  山本(文)委員 幼稚なことかもしれませんが、医療費を抑制するということは、口 では言えるけれども、そう簡単にはできないのではないですか。ですから今私が心配す るのは、こういうことをやりますと一番困るのは、もう来年の4月に来る高齢者医療保 険ですよ。高齢者に「おまえ、病気するな。病院には行くな。治療はするな」と言われ ても、これはどうにもならんと思いますよ。私自身が今82歳になりますが、朝起きても 「もう、きょうは大丈夫かな」というぐらい体力は落ちます。自然と落ちてしまうので すね。そういう老人の人たちが1,200万もいるわけですよ。  こういうことをやると、いろいろ抑制をしていくのだということで、ここに書いてあ るようなそういう数値を求めていくということになると、どうしても一番そこに過剰に なるのは高齢者の医療だと思いますね。そうなりますから、保険の方も確かに今2割と か3割になっていますから、我々だって3割の負担をしているわけですからね。ですか ら高齢者の人に多額の保険料を負担させ、かつ「医療には余り行くな、受けるな」と、 こういうやり方をすることは、私は先進国日本のやることではないような気がさっきか らするのですよね。  ですから「抑えればいい。そうすれば何とかなっていく」という考え方そのものが、 間違っているような気がしますので、もう少しソフトな考え方で、この保険料はかくか くしかじかでこういうふうにすべきだと。すなわちいいところ、財政の豊かなところは 保険料が少なくてすむが、財政の悪いところは高く出すというようなやり方に、現在は なっているのです。国民健康保険だってそうですから。保険者が全部市町村ですから、 保険料は全部バラバラなのですね。ところがせっかく今度は高齢者の医療保険ができて、 これは各県単位できるわけですから、保険料が各県で1つになっていくわけです。非常 にいいことだと思うのですよ。  ところがこれを今説明を受けてこういうふうに書かれているようなことをやりますと、 高齢者医療保険を崩すことになると私は思いますね。ちょっと見てみたのですけれども、 そこのあたりは少し書かれていないような気もします。私の目に入っていないのかもし れませんが、高齢者医療保険とこういうのはどういう関係があるのかということを教え てください。同時に高齢者医療保険がせっかくの8兆円、9兆円近い費用を使っている わけですから、ですからこれらについてうまくやれば、節約もうまく行くんじゃないか なとそういうふうに思うのですね。ですから高齢者保険との関係は、一体どうお考えに なっているかを、先にちょっとそれを教えていただけませんか。  糠谷部会長 では今の御質問と今までいろんな御発言があった中で、事務局で説明し ていった方がいいと思う点がございましたら、あわせて説明していただけますか。  神田課長 今、山本委員から御指摘のあった高齢者部分につきましては、平成20年度 から別途に新しい後期高齢者の医療制度と前期の高齢者の体系調整を行うということに なっております。基本的には後期高齢者の医療制度というのは、各医療保険者で0歳か ら74歳までの加入者数に応じて、一定額を御負担いただくということで、各保険者ごと に加入している平均的に後期高齢者がおられるという前提で、御負担をいただくという ことになっておりますし、前期高齢者についても全国平均の加入率を比較して、それよ り高いところは交付金をもらえて、低いところは納付金ということで助けていただくと いうことで、そこも助け合いをするということになってございます。そういう意味で、 後期高齢者の方としては、今別途に後期高齢者医療のあり方ということで、御議論をい ただいておりますけれども、今回のこの財政調整というのは、主として後期高齢者を除 く若年者の部分の財政調整が主眼だというふうに理解いたしております。  深田課長 補足させていただきますが、高齢者医療制度との関係ということで御質問 があったと思うのですけれども、今神田の方から御説明いたしましたように、今回は被 用者保険、いわゆる政管健保、健康保険組合、共済組合といった、被用者保険の中の65 歳以下の方を中心として医療費についての調整についての議論でございます。今御懸念 いただいているその高齢者医療とはちょっと違う分野になっております。  それから先ほど委員長の方からお話がございましたけれども、これまでいろいろ御意 見をいただいておりますけれども、国の財政自体は2011年にはプライマリーバランスが 回復できるように努力をしていこうということになっておりまして、非常に財政的には 厳しい状況に今はあるということでございます。年々ふえていきます医療費についても、 制度改正なりで削減をして、財源を何とか確保していけないかということで議論が始ま っているかと思いますけれども、きょう資料を御説明いたしましたが、国の財政が厳し い中で、これまでの懇談会の議論がありますように、社会保険については保険料を中心 として行っていくというようなことで方向を示されております。こういった考え方がい ろいろ御議論はあるわけでございますけれども、そもそも国の財政が非常に厳しい中で、 それを前提に被用者保険の国庫負担の入っている分についての調整をどうやっていくか という議論は、当然議論としては成り立つのではないかというふうに思っております。  それから拙速ではないかという御議論をいただいて、済みません、拙速ではないかと いうことについては、今回は主な意見に入っていないということでございますので、入 れたいと思いますけれども、前回の資料の中にも拙速ではないかということについて、 どうかということで御説明したかと思うのですけれども、唐突というように前回はいた だいて、そのとおりお答えしたかと思います。  もともと被用者保険の一元化というのは非常に長い議論があります。昭和30年から議 論があるというのは最初に御説明したかと思いますけれども、その中でそもそも今回の 国の財政が非常に厳しいという中で、それを契機として御提案をさせていただいたとい うものでございまして、そういうことでございますので、要するにある程度の考え方が まとまったものが既に示されていて、それを土台に載せて議論しているという意味では、 確かにそういうものが既にできているというわけではございませんけれども、議論とし ては昔からあって、その延長線上での議論ではないかというふうに思っているというこ とでございます。  糠谷部会長 ではいろいろ御議論ございましたけれども、本日はもう1つ大きな議題 も抱えておりますし、この議題につきましては、これまでというふうにさせていただけ ればと思います。きょうも含めまして3回やっているわけでございますが、この部会の 議論も踏まえまして、事務局においてこれから年末の予算編成を控えているわけでござ いますが、年末の予算セットに向けて、事務局の方も取り組まれるということになるわ けでございます。その過程で関係団体等とも引き続き調整も行われるということだと思 いますので、当部会におけるこの問題の今後の取り扱いにつきましては、部会長に一任 をしていただければと思いますので、そういうことで御了解をいただければと思います。 よろしゅうございますか。  山本(文)委員 部会長ちょっと。私は納得したわけではないです。ただ、続けて質 問ができる時間があったと思ったからきっかけをつくったのですけれども、きょうはも ういいです。しかしそういうふうに言われてしまうと、みんなで協議したかいがないの ですよ。もう少し突っ込んだ議論をすべきではないでしょうか。今説明がありましたが、 「これは保険者の問題であって、高齢者医療とは関係ない」と。関係があるから私は言 っている。将来関係が出てくるのですよね。もう1年もたたないうちに出てくるから言 っているわけですよ。ですからそこのあたりをもう少し真剣に受けとめていただいて検 討していくということを言ってもらいたかった。ところがあんなふうで、「関係がないか らきょうはいいじゃないか」というような言い方なのですね。そうじゃないのですよ。 他の保険、日本の国での話なのですから、だから健康保険はこうである、国民保険はこ うである。個々に船員とかいろいろ保険もありますよ。ありますけれども、かなりそれ ぞれ勉強をお互いにし合いながら、今日事業をやっているわけですね。高齢者医療が今 度新たにできる。非常に私は心配をしているのです。今までゼロだったのですよ。保険 料を皆さんは払っていないですよ。しかし今度は1人1人が払っていくようなことにな る。だからこっちを上げたからいいじゃないかというような議論にはならないと思うの です。  それからもう1つは、お金と病気を交換するようなことはもってのほかですよ。人間 の体はお金さえあれば病気も何もほっておいてもいいと。いわゆるお金さえあれば何で もできるから、こっちでやればいいと。だからお金がないから病気をしても知らん顔で いいと、何もしなくてもいいというのと同じじゃないですか。だからそこのあたりが、 もちろん今まで随分議論をされていたと思いますけれども、もう少し親身になって親身 な答弁をしていただきたいと思います。部会長がお話しすることに対して反対はしませ んよ。しかし説明がもう少しわかるような説明をしてほしいと思いますね。それだけ注 文をつけてお願いしておきます。  糠谷部会長 よくわかりました。部会長としてそこの点はよく山本委員の今の御発言 は、受けとめさせていただきますので。それではただいままでの議題はそういうことに させていただきまして、次に「平成20年度診療報酬改定の基本方針(案)」について、 御説明をお願いいたします。  原課長 医療課長でございます。お手元の資料2−1、2−2、参考資料をつけてご ざいます。資料2−1が基本方針の(案)の文章としてつくらせていただきました。前 回、この基本方針をつくる方向で議論していただきましたときに、項目的に並べたもの を少し手を加えて整理をしております。おおむね前回御提示させていただいたものと、 方向は変わっておりません。  まず資料2−1について御説明いたします。平成20年度診療報酬改定の基本方針(案) でございますが、まず前書きとして、基本的考え方を書いております。ここの部分では、 今回の2番目に書いてありますように前回、改定に際して、当部会が作成した18年度診 療報酬改定の基本方針に示した基本的な医療政策の方向性、また4つの視点等について、 基本的に継承すべきであると。これは基本的な方向性について、大きくころころと変わ るのはおかしいから、この方向性については継承すべきだと。それからその上で、ただ 今回は地域医療が非常に厳しい現状を迎えているということで、医師確保対策として、 産科や小児科を初めとする病院勤務医の負担軽減を重点的に図ることについて、今回の 改定における全体を通じて緊急課題と位置づけてはどうかというふうに書いております。  前回の18年度のときの基本方針では、その後に4つの視点からで項目をまとめており ますが、今回はその前に緊急課題として、病院勤務医の負担の軽減という項目をつくっ ております。項目といたしましては、まず産科・小児科への重点評価ということで、非 常に特に過酷と言われております産科や小児科の病院勤務医の負担軽減のための評価と いうものを、考えていってはどうかというのが1点目でございます。  2ページ目になりますが、診療所と病院の役割分担等ということで、病院勤務医の負 担軽減を図る観点から、まずは例えば夕方から夜8時、9時ころまでの診療時間におい て、病院などにおける救急医療というのは一時的に多くなるという現象はございます。 その部分において、もう少し診療所でも分担していただけないかということで、診療所 の開業時間の夜間への延長というものを評価してはどうか。また、大きな病院について は、やはり入院医療の比重を高めていて、外来を縮小するというような方向性について、 評価してはどうかと。これによって全体的に病院勤務医の負担を軽くすることができる のではないかということでございます。  それから直接的な事務負担の軽減ということで、勤務医もさまざまな負担感の中で、 一番大きなのがやはりさまざまな書類作成、文書作成というものが、負担感の元になっ ているということから、医師以外でできるようなそのような事務については、直接的に サポートする者について、それを充実させるようなことを考えられないかということが 3点目でございます。  それからここから先は4つの視点でございますが、1つ目が患者から見てわかりやす く、患者のQOLを高める医療を実現する視点。1点目は医療費の内容の情報提供とい うことで、前回の改定では検査料でありますとか、画像診断でありますとか、手術であ るとか、そういう大まかな分類がわかる領収書の発行をお願いしたわけでありますが、 今回、さらに一定の要件を満たす、例えば大きな病院では患者の要請に応じて、明細書 を発行できないかと。明細書様式は細かく項目を積み上げた領収書になりますが、そう いうようなものができないかと。それを出していただけないかというのが1点目でござ います。  またこのような体制が進みますと、診療報酬の点数表というのは非常に専門的な分野 もございまして、患者の方々が明細書をもらってもなかなかわかりにくいという状況も ございますので、そのような意味では明細書がわかりやすくという観点から、項目の名 前でありますとか、あるいは体系の簡素化ができるものについては見直してはどうかと。  それから生活を見直した医療ということで、できるだけ入院ではなくして、外来でで きる医療については外来で治療ができないかということで、特にがんの放射線治療につ いては、そのような形で取り組めないかということを考えております。がんの化学療法 については、最近かなり外来でできるようになりましたけれども、放射線治療につきま しても、同様のことができないかということを進めていきたい。  それから先ほど診療所での夜間開業時間の延長ということ言いました。この問題はこ の点でも勤務をする方々、あるいは仕事を持っている方々にとって、夕刻に治療ができ る、あるいは検査ができるというところは、生活時間から言って非常に受けやすいとい うことがありますので、そういう観点からも検討いただいてはどうかということでござ います。  3ページ目。それらの夜間の診療体制が進んできますと、最近は処方せんを発行する ところもたくさんございますので、それに対応して薬局の方でもそのような形での対応、 あるいは夜間の救急のときに対応する形で、保険薬局でも対応していただけないか。  それから質の高い医療を効率的に提供するための機能分化・連携の観点でございます が、まず1点目が、質の高い効率的な入院医療の推進ということで、ここではDPCと いう診断群分類別の包括評価の支払い方式をやっておりますが、その病院におきます平 均在院日数は明らかに短縮化されている。しかもそこの中で無理やり対応させているわ けではなくして、質が保たれているという分科会の報告もございますので、この対象病 院の拡大を検討してはどうか。  それから質そのものを評価する手法の検討ということで、現在までには施設基準とい うものをつくりまして、医師の経験年数、そのほかのスタッフの配置、あるいは設備に ついて、施設基準というものをつくって評価をしてまいります。それに対しまして実際 の医療を行った結果がよければ、点数が上がるというような形の評価ができないかとい うことが2点目でございます。  3点目。医療ニーズに着目した評価ということで、ここでは前回の改定で急性期の入 院医療の評価として、7対1入院基本料というものを策定いたしましたが、この点数を 取るところが必ずしも急性期医療のところばかりではないというようなこともございま して、そのあたり、真に医療ニーズに合わせた形で点数化すべきであるということで、 このようなところの条件化等々を検討すべきであるということでございます。  4ページでありますが、在宅医療の推進。特に後期高齢者医療につきましては、在宅 医療というのは大きな柱になっておりますが、74歳以下の医療におきましても、がんの 末期の方でありますとか、あるいはそのほかの方々でも在宅医療が重要になってまいり ますので、そういう意味で在宅医療支援診療所等を中心とした連携のことについて検討 してはどうかと。  それから歯科医療の充実ということで、歯科診療につきましてはさまざまな分野での 指針の見直しがあるということを踏まえまして、特に口腔機能全般の口腔機能を含めた 総合的な管理というものを評価してはどうか。あるいは歯や口腔機能の長期的な維持に ついての技術を評価してはどうかということがございます。  3番目の視点としては、今後、我が国の医療の中で重点的に対応していくべきと思わ れる領域ということで、1つ目ががん医療の推進でございます。がん対策推進基本計画 にございます、例えば我が国に相対的におくれていると言われます放射線療法や化学療 法の普及・発展。それから地域におきますがん医療の均てん化、それから緩和ケアの推 進と、このような観点から評価をしてはどうかということでございます。  それから脳卒中対策でございますが、これがんと違いまして、脳卒中の場合は高齢化 が進めば進むほど発症率が高くなってくるということもございまして、さらに発症した 後、長期にわたって療養が必要な場合も多々あるということから、この脳卒中対策は非 常に重要だと認識しております。そのためにまず発症後、直ちにその治療にかかれるよ うなこと。特に最近は早期に使えば非常に予後がよいと言われております、血栓溶解療 法等もございますので、そのようなものの評価でありますとか、あるいはリハビリテー ションでもって長期の療養が短くて済むように、リハビリテーションをしっかりやりま すとか、それらをつなぎます地域連携クリティカルパスでありますとか、このようなと ころを評価してはどうかということでございます。  5ページになりますが、自殺対策・子どもの心の対策ということで、1点目、自殺に よる死亡が非常に高い水準で続いているわけではありますが、やはりその背景としての 気分障害、うつ病等がございますので、これらについて早期の診断治療が必要ではない かということで、一般的な専門的な精神科以外のところでの診療の場面で、そういうよ うな方々がいた場合に、早期に精神科医療につなげられるような取り組み。あるいは自 殺を期として、命は助かった方々に対して、救急外来で直接的なけがやあるいはお薬に よる治療をするだけでなくして、心のケアについても評価してはどうかと。それからさ まざまなところで問題になっております子どもの心の問題について、これが全国でしっ かりできるような形で、児童精神について評価をしてはどうかということでございます。  それから医療安全の推進と新しい技術の評価。医療安全につきましては、法律に基づ きまして、また今年の4月からかなり医療安全における対策が広がったわけであります が、さらなる向上の観点から、特に高度な医療機器を使いますところでは、臨床工学技 士等について評価をしてはどうかと。また新しい技術がさまざま出てまいりますので、 これはやはり必要なものにつきましては、療養給付の対象としていくと。ただ、逆に相 対的に治療効果が低くなった技術については、これは当然置きかえを進めていくという ことが重要だと。  それからイノベーション等の評価でございますが、医薬品や医療機器につきまして、 やはりすばらしい革新的な新薬等につきましては、一定評価を高めていくと。ただ、一 方で相対的に価値が低くなります後発薬品が出ているような場合につきましては、そち らの方をしっかり使っていくという仕組みについて考えるべきではないかと。  それからオンライン化・IT化につきましては、来年度、診療報酬請求につきまして は、400床以上の病院、おおむねオンライン請求をすることになっておりますけれども、 さらにそれより小さな病院やあるいは診療所におきますそういうようなオンライン請求 等々につきまして、これを一層進めるようなことを考えてはどうかという点でございま す。  6ページでございますが、ここは効率化余地があると思われる領域ということで、先 ほどと繰り返しになりますが、例えば新しい技術への置きかえということは、逆に言う と、相対的に古い治療効果が低くなっている技術でありますので、これはしっかりと置 きかえを進めようと。それから新薬等のイノベーションの評価の反対として後発品の使 用促進。  それからいわゆる「もの代」につきましては、しっかりとした市場実勢価格を反映し た評価をしていく。  それから医療ニーズに着目した評価。先ほど7対1のところを申し上げましたけれど も、一方で相対的に必ずしも医療機関でなくてもできるような診療につきましては、相 対的にそれは基本的な診療行為の中で診ていくべきではないか。簡単な例えばやけどに つきましても、簡便なやけど、重くないやけどについて、それらについては一定の評価 をすることはやめてはどうかというふうに考えております。  そのほか、効率化や適正化をすべき項目として、平成18年度、例えばコンタクトレン ズに係る診療等につきまして適正化を行いましたけれども、さらに今後さまざまなとこ ろにおいて実態を十分に踏まえて、適正化すべきものについては、適正な評価をすべき であるということでございます。  7ページでございますが、高齢者医療の診療報酬体系につきましては、これは特別部 会で骨子がもう定められまして、既に中医協でもそれに沿って議論をしておられます。 それについて、それに沿った審議をお願いすると。  それから終わりにということで、今回のこの基本方針ができましたら、この趣旨を十 分踏まえた上で、具体的な改定案を審議してくださいということを述べております。  別紙につきましては、前回の基本方針の前書きの部分をここで抄録として述べさせて いただいております。  それから資料2−2でございますが、これは先週の木曜日、11月22日に社会保障審 議会医療部会で、今と同じ資料でもって審議をしていただきました。これにつきまして 意見をいただいております。ここでは地域医療の現状に関する意見が多々出ております。 地域医療の現状につきまして、前書きの部分でさらりと3行ほどでまとめておりますが、 現状はそういう生易しいものではないというような意見が多々出てまいりまして、これ らについてしっかりと書き込めという御意見が出ております。そのほか、例えばDPC の先ほどの包括評価につきましては、対象病院のあり方について議論がまず必要なので、 拡大はすべきでないという御意見や、逆に質の向上という意義があるので拡大すべきで あるという御意見が出ておりました。そのほかに患者の安心のみならず、やはり受診者 が納得することが重要だという意見も出ておりました。  2ページ目になりますが、そのほか例えば1つ目に書いてあります、正常妊娠・分娩 を保険診療の対象としてはどうかという意見もございましたが、これについては今度医 療保険部会での審議事項でございますので、参考意見としてここでは書かせていただい ております。その他、多々このような御意見がございました。22日の医療部会の方では、 結局、最終的に今度基本方針について意見がまとまりませんで、今週の木曜日に再度部 会を開くということになりました。その段階では、ここに紹介いたしましたこういう主 だった意見については、この基本方針案にある程度盛り込んだ形で御了解いただこうと 思っておりまして、きょう御審議いただいたここでの御意見や、医療部会での御意見な どを踏まえた形で、最終案をまとめていきたいと思っております。  なお参考資料につきましては、実はこれは勤務医の勤務時間の表記について、自己研 修や休憩等を除いた時間とか含めた時間というところで、ちょっと医療部会の方で議論 がありましたので、その点を明確化した資料として訂正部分がございましたので、参考 としてつけてございます。また御参照ください。説明は以上でございます。  糠谷部会長 ありがとうございました。それではただいまの説明や資料に関する質問 も含めまして、御自由に意見交換をお願いしたいと思います。なお、資料提出をいただ いている委員もおられますけれども、御指名は特にいたしませんので、御発言の際に補 足と説明の必要があれば、合わせてしていただければと思います。委員間の活発な意見 交換をお願いしたいと思いますので、お一人当たりの発言はできる限り簡潔にお願いを したいと思います。それではどうぞ。  河内山委員 地域医療は大変厳しいということを前提に診療報酬も考えていくという ことは、もちろん大変今の時節柄重要なことでございますし、産科・小児科について、 めり張りのある診療報酬のあり方について検討されるということは異論はございません し、しっかり取り組んでいただきたいと思っております。ただ、診療報酬だけの問題と は限りませんが、地域医療を取り巻く環境というのは本当に厳しい状況でありまして、 総がかりでこれはもうお医者さん方の研修制度も含めてですけれども、総がかりで変え ていかなければいけない部分と、一応これは省を挙げてというよりも、国を挙げてやっ ぱり取り組まなければならないというふうな状況だと思っています。  その中で1点だけ申し上げますと、今地域医療はやっぱり産科・小児科だけでなくて、 ほかの科目も含めて極めて公立病院とかあるいは国保の直診の施設、診療所も含めて、 そのもの自体の存続も大変厳しくなっていると。病院があって、そこにお医者さんがい たのが、いなくなるという状況をさらに超えて、ひょっとすると今まで地域医療を最後 の最後のとりでみたいなところで担っていた、そのもの自体がなくなる可能性が出てき たというぐらいの危機感を持たなければならないと思っております。  と申しますのも、20年度決算から、地方財政健全化法というものの施行がありまして、 いわゆる夕張ショックがございましたので、地方財政についてここまで来ればレッドカ ード、ここまで来ればイエローカードという、早期の健全化を進めなければならないと いうそういう基準が、20年度決算から適用になります。従来の一般会計が実質的に数値 が赤字か黒字かというだけではなくて、いわゆる連結決算ですね。公営企業を含めて連 結でどういう状況にあるかとか、あるいは将来負担がどういうふうに変わってくるかと か、あるいは実質公債費率がどうかという、4つの指標で判断するわけですが、実はど この首長もみんな頭を痛めておりますのは、やっぱり公立病院の問題なのですね。市民 にとっては必要だけれども、財政上はまことに厄介なもの。こういう非常に悩ましい問 題が起こっている。  そういうことでございまして、とにかくかつて金融の健全化をやるときに、各金融機 関がBIS基準を守らなければならないということで、貸し渋りとか貸しはがしという のをやりましたけれども、地方自治体はそこまではやりませんが、やっぱり健全化をす るためには公立病院が例えば縮小するとか、個々の直診施設はやめるとか、そういうよ うなことをやらざるをえないというような状況になったら、これはやっぱり地域住民に とってみたら、本当に不幸な状況になるわけですね。  そういう意味では、地域医療を守るためにはどうしたらいいかという観点は、単に産 科の先生や小児科の先生について、めり張りをどうつけるかというだけではなくて、本 当に必要な診療が続けられるような病院経営が、全く公立だとか私立は関係ないと思い ますけれども、全く続けられないというような状況にならないように、やっぱり地方の 公立病院も含めて、何らかの診療報酬、あるいはこれは報酬だけではできないかもしれ ませんけれども、ちゃんと評価をするそういう必要があるんじゃないかというのを非常 に強く思っております。これは地方財政が悪くなっても平気だという話ではないのです ね。守られるべきものは守っていくということは、やっぱり大事だということです。以 上です。  糠谷部会長 ありがとうございました。ほかに。それでは五十里委員、どうぞ。  五十里参考人 従来から全国知事会として、診療報酬に関してのいろいろな要望を出 させていただきました。また前回と重なるわけでございますけれども、緊急課題として 取り上げていただきましたことに、感謝申し上げたいと思います。実は今朝も舛添厚生 労働大臣と全国知事会とのいわゆる意見交換会がございました。やはりその場でも、医 師確保を1つのテーマにしたわけでございますが、最近の地域医療のさまざまな各都道 府県の厳しい状況が報告されまして、やはり前回18年度の診療報酬の改正の時期と比べ ましても、格段に医師不足は進んでいる。そういう状況がございましたことから、1つ ここで一層の診療報酬における配慮をお願いいたしたいということを、重ねて申し上げ たいと思います。以上です。  糠谷部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。どうぞ。  渡辺委員 初めに、本日提示されました基本方針の中の一番初めに、国民の健康長寿 という人間にとって一番大事な価値。こういう国家理念の大きな理念を明確に示された ということは、これはすばらしいことだと思います。ですからこういう方向で、ぜひこ れからの予算編成等における御努力もお願いしたいし、それについての国民の理解も得 ていく必要があろうかと思っております。  2番目において、18年度のこの基本方針を継承するということが書かれておりますが、 やはりこの中に今御指摘等もありましたが、やはり18年度の中での反省点をも踏まえて 継承するということが大事だろうと。そういうことを踏まえての提案だというふうに私 はこの中を見ていまして理解をしております。私は歯科の立場なので、若干歯科のこと で一言触れておきたいと思うのですが、今回、この視点の2の「質の高い医療」という ことで、歯科医療の充実ということが3ページに記載されております。ここに記載のよ うに、歯や口腔の機能を長期的に維持していくということ。これは非常に重要でありま して、まさにこの視点1の「患者の生活の質を高める」。まさにこれにも合致するという ことであろう。ですから視点1、2ともに合致する内容だろうというふうに考えており ます。  ちょっとだけ観点を御説明申し上げます。実は過日、全国歯科保健大会が開催されま したが、そのとき新潟大学の教授の御報告の中で「20本以上ある方とそういうのを失っ た方との間に、大変な差がある」ということが発表されました。寝たきりにならない度 合いも10倍の差がある。それからあと認知症も4倍の差がある。明確には優位差がある という御報告でありました。さらに亡くなる度合いもかなりの差があるという御指摘発 表がありましたので、まさにこれからここに書いてある健康長寿ということを踏まえま すと、そういった点を踏まえて、しっかりと私たちも努力して患者さんに適切な歯科医 療を提供いたしますが、歯科医療の充実をぜひ進めていただきたいということをお話し 申し上げます。以上です。  糠谷部会長 ありがとうございました。それでは対馬委員。  対馬委員 私ども、資料として意見を出しておりまして、意見の中身を詳しく説明す ることはもちろん割愛させていただきますけれど、1つ、3名の連名でお出ししている 資料で、逢見委員、齋藤委員、それから私と3名連名ですけれども、上の3行に書いて いますように、当部会の11月29日に提出された考え方報告書をおおむね理解するとい うことですから、それにのっとって今回の資料も出ていると思いますので、基本的には それを理解して支持したいというふうに思っています。  基本的視点のところでは、医療保険制度の持続性でありますとか、資源配分のひずみ やむだを徹底的に見直してはどうかということです。あと配分のところですけれども、 特に(1)の病院・診療所の役割分担と資源配分の見直しを、これをきっちりやってい くべきではないかということでございます。以下ちょっと割愛させていただきたいと思 います。後ほどお目通しをいただければというふうに思います。  それからあともう1点。私ども健保連が医療に関する国民意識調査をさせていただい たところです。ちょっと厚い資料ですけれども、これももちろん全部説明するというこ とではなくて、本当のどういうことかということだけをお話しさせていただきたいとい うふうに思います。2,000名の方を抽出しまして、結果的には1,200名強の方がお答え いただいたのです。非常に興味深い結果も出ております。1ページ目の1のところに書 いておりますけれども、医療機関の受診のあり方。特に高齢者医療を中心に総合的に見 る医師を中心に、議論のあるところですけれども、この四角の中に囲っていますけれど も、「最初に決まって医師を受診する。医師の判断で必要に応じて病院などを受診する」 に賛成する回答が過半数であります。ただ登録医制のような厳格な方法には不安を感じ ているというのが、全体的なところです。  例えばという、ここだけちょっと申しわけないのですけれども、8ページ目の「例え ば」のところをごらんになっていただけるとありがたいのですけれども、8ページ目の 上の方の図表で、AとBを提示しておりまして、Aは病気の症状の程度にかかわらず、 自分の選んだ医療機関を受診することに賛成かどうかと。Bはそうではなくて、最初に 決まった医師、総合的に診る医師なら総合的に診る医師を受診して、その医師の判断で という、こういうことなのですけれども、Bの意見にどちらかと言えば賛成と。点線で 囲っていますけれども、合わせて53%ということであります。ただし、真ん中の下の点 線で囲っているところの○のところで、「さらに、例えば、医師を事前に選んで登録をし ておき、体に何か不調を感じたときは、最初に必ず受診しなさい」と、こういうややリ ジットと言いますか、厳格な方法でもってやっていくことについてどうかということで すけれども、これについては、例えば非常に不安を感じる・やや不安を感じるが79%。 こういったちょっとおもしろい興味深い数字も出ていますので、参考にしていただけれ ば大変ありがたいというふうに思います。  糠谷部会長 ありがとうございました。ほかに。どうぞ。  鈴木委員 この診療報酬の審議会の前段のお話を伺っておりましても、非常に厳しい 現実に直面して解決をしなければいけないということが、我々に突きつけられているわ けではありますけれども、余り性急なかわりをということになりますと、非常に混乱を 招くところがあると思います。例えばこの大病院の外来というものを移行するという話 がありますけれども、実は大病院ではIT化が終わっているだろうから、明細書の義務 化というようなことも一方で検討されておりまして、そうすると大病院で明細書が出て いますけれども、診療所に紹介された場合、これは義務化にはならないわけなものです から、またそこで患者さんの不信感とか、信頼関係が傷つくということがないように、 その辺のところは時間をかけたやり方というのを、ぜひお願いしたいと思います。  またDPCでもひずみというようなものが出ておりますので、そういうひずみ・ゆが みを正したところで改めて出発するとか、後発品の使用促進ということに努力は惜しみ ませんですけれども、実は担当課では新しいプログラムが用意されておりまして、その プログラムの終了までに3年かかるということで始まっておりますものですから、最初 から問題点があるのがわかっていながら我々も協力をするわけで、その辺のところが余 り性急な格好にならないようにということを、ぜひお願いしたいと思います。それが1 点です。  2点目ですけれども、先ほどの大病院の外来の解消というようなことに合わせて、勤 務医の過重労働の解消、ひいては診療所の夜間の診療の時間帯の延長ということが求め られております。くれぐれも申し上げたいのですけれども、このことと大病院や診療所 の初再診の検討ということは、別問題として解決をしていく、取り上げていくというこ とをお願いしたいと思います。  最後の3点目でございますけれども、この参考資料でついております医政局でつくら れた資料の中で、非常に勤務医は大変ですけれども、診療所の医師は楽しているような ところがありますけれども、私どものアンケート結果では、そんなことは決してござい ません結果が出ておりますので、説明はいたしませんけれども、資料として添付をして ございますので、後ほどごらんいただきたいと思います。以上です。  古橋委員 20年の診療報酬改定につきましては、今回1ページに出されました緊急課 題というものが、国民にわかるようにめり張り感を持って改定されることが重要と思っ ております。その中では特に産科・小児科について御意見も出ましたけれども、産科の 問題は診療報酬面ばかりではなくて、産科医師が当面する医療面での事故と、そこから 発生して警察権や司直が直接入ってくるというようなことへの緊張感と耐え難い思いと いうのがありますので、診療報酬だけで問題は解決しないと思っております。小児医療、 特に小児の専門的医療を実践しているところに関しましては、診療報酬の評価によって、 大きく好転すると期待できることがたくさんございます。  医師不足が今言われておりますが、この領域での看護師の必要性は、非常に高いもの がございまして、看護の手が要ります。と同時に、今国民からの暴言暴力という言葉が 適切かどうかわかりませんが、大変高い要求に看護現場が本当に苦慮をしております。 親御さんもやや病んでおられますから、本当に小さな針の穴程度の消毒液のしみがあっ ても、「これはうんちではないのか。すぐかえて」とか、「うちの子は泣くのだから、泣 いている間じゅうおんぶしていてくれ」とか、諸々の御要求が非常にエスカレートして おります。そこへの対応とか看護師たちの気持ちの緊張感や疲弊感は非常に高うござい まして、やはり手が多くあるということが、解決の1つにつながるように思っておりま す。そういう点では、小児の報酬を格段に高めていただくということが、重要でありま す。先端的な小児病院は、そんなに何百もあるわけではございませんので、そこの評価 を十分にしておくということが、非常に重要ではないかと思っております。  それから前回の改定から継続されて、わかりやすい、あるいは生活の質を高める医療 の実現する視点。これは大変すばらしいことなのですが、国民である患者に現在の診療 報酬体系がわかりやすいとは、とても言えません。前回、改定に向かってそのことに努 力がなされただろうとは思いますが、結局はだめだった。今回もいろいろなことを整え ていく配慮も含めて、加算や評価基準がやはり込み入っていくように思われます。わか りやすいという点では、領収書だけが解決策ではないと思っております。  この点で改定に関して、わかりやすいアナウンスが本当に要るということと、DPC は、ある意味で大事と思っております。出来高は一番単刀直入で正しいはずなのですが、 4日分で足りる薬をひょっとして5日出そうとなさる方もあるかもしれない。10gで足 りる軟膏を15gで処方なさるということもあるかもしれないと。そういう点で私はDP Cが1つの方向と思いますが、このDPCを国民はほとんどわかっていないと思います。 そういう点では、情報の提供を診療報酬改定と同時に、本当にわかりやすくしていただ くということが、必要ではないかと思っております。  糠谷部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。どうぞ、山本 先生。  山本(文)委員 1つだけちょっと気になるのですが、この4ページに書いている在 宅医療の推進というのがありますね。これは大変いいことだと思いますし、それが実現 できれば一番いいのですけれども、現在の状況から見て、できる地域とできない地域と があると思うのですね。できない地域の方が多いのではないかなと思います。ですから 現状からできないような地域に対して、言うならばどういうふうに診療報酬のこれが浸 透していくようにすればいいのかということを考えていただかないと、こういう場だけ で在宅医療をやります。あるいはそういうかけ声だけでは、浸透しないと思うのですね。 実現できないと思いますよ。それはもうわかりきっている。ここはもう専門家ばかりで すから、なぜできないかはもう申し上げません。申し上げませんが、やるのならばでき るようにしていくことが一番大事ですね。  要らんことですけれども、私はこの前ある人に会って、「なぜ医師不足になったのか?」 とこう言ったのですよ。そうしたらその人が言うのには、「大学のインターン制度を廃止 したのは、そもそもの医師不足の原因である」とこう言ったのですね。これは非常に高 名な医者なので、なるほど、そうかなと思っているのですね。だからせっかくインター ン制度をやめて今研修医が2年間研修して、そしてようやく一人前になるというやり方 になっているのですが、そういうところが、これはもう特定の医師だけの話ですからい いけれども、この在宅医療については、そういうような医師の不足をするそういう時代 がどんどん進もうとしているときに、こんなのをやっていくのでしょうかねと思うので す。  ですからそこらあたりをもう少し、こんな4行ぐらいの文句で理解しろと言ったって、 とてもできるものではありませんから、何かもう少しよく国民の皆さんが納得し得るよ うな、マニュアルかそういったものができないのかなと思いましたので、もしそういう 機会がありましたら、ぜひひとつ部長さん、副会長さんの方で、うまく計らってくださ い。  糠谷部会長 ほかにいかがでございますか。どうぞ。  古橋委員 基本的方針の6ページに医療ニーズに着目した評価ということがございま す。先ほど御説明をうかがったわけですけれども、医療ニーズや果たすべき役割に応じ たものであるかどうかについて検討し、適切な評価のあり方、あるいは医療の結果、ア ウトカムということについても検討するべきだと。私も本当にそう思うのですが、これ については具体的には、どんな方法とどのアウトカムを見ようとしているかについて、 より踏み込んだお考えがあるのかどうか、伺いたいと思っております。そこがかなえば、 医療の質という点で患者にもわかっていくということもあると思うのですが、ただし、 そのあたりは大変難しい気もしております。何か具体策についてあれば、お伺いしたい と思います。  糠谷部会長 では今の点を事務局から。  原課長 3ページを見ていただくといいと思うのですけれども、3ページの質の高い 医療を効率的に提供するための視点の「イ」ですね。まず質の評価手法の検討。これに つきまして、現在考えておりますのは、回復期リハビリテーション病棟というのがござ いまして、その中でその病棟に入院してきたときの患者さんの状態と、リハビリテーシ ョンをしかりとして、退院するときの状態。その間にどれだけ患者さんがリハビリテー ションで自立ができていくかと。そのような改善度合いを評価の項目として考えて、そ この病棟がしっかりとリハビリをやっているというところについては高い評価をしてい く。このようなこと考えております。あとちょっと細かいことはまた、まだこれからど んどん詰めていくことになりますが、おおむねそういうことです。  それからここで「ウ」の医療ニーズに着目した評価。ここでは7対1のところなので が、これは平成18年度のときに急性期入院医療を担っている、そういう病院について、 その入院の基本部分について高く評価すべきということで、この7対1が導入されたと。 7対1のこの入院基本料については、結果として必ずしも急性期入院ではない、もとも と意としていたところでないところも、この7対1の基本料を算定しているという状況 になっておりますので、そのもともとのねらいでありました急性期入院医療の状態像を しっかりと反映できるところに限って、この基本料が算定できるようにという条件づけ を考えております。それに当たりましては、患者の状態像でありますとかさまざま今検 討を進めておりまして、今週にでも中医協で議論していただこうというふうに考えてお ります。  糠谷部会長 ほかに御意見等いかがでございますか。事務局の方、何か今までの御発 言で御説明はございませんか。それではまだ多少時間はございますが、特に御発言はよ ろしゅうございますか。それでは大体御発言もないようでございますので、そろそろ取 りまとめを行いたいと思います。  本日いただきました御意見につきましては、事務局におきまして必要な修正を行って いただくということにいたしまして、また必要に応じて委員の皆様方にも御確認をいた だくということも、場合によってはやらせていただくということでございますが、そう いうことで最終的には部会長に御一任いただくということで、よろしゅうございますで しょうか。  それから本日、資料として示されております医療部会における意見につきましても、 医療部会における意見を踏まえまして事務局において必要な修正が行われて、29日に予 定されている医療部会で議論される予定となっております。医療部会において取りまと められた基本方針案と、それから本日の議論を踏まえた医療保険部会としての基本方針 案との調整につきましても、合わせて部会長に御一任をいただきたいと思いますが、よ ろしゅうございますでしょうか。それでは、よろしければそういうことで進めさせてい ただきたいと思います。事務局、特にその点で御説明はいいですね。それではまだ若干 予定の時間が残っておりますけれども、本日はこれまでとさせていただきたいと思いま す。  今後の開催時期は未定でございますが、また開催が決まり次第、事務局から御連絡を することにさせていただきたいと思います。本日は御多忙のところ、お集まりをいただ きまして大変ありがとうございました。 (了) (照会先)                          保険局総務課企画調査係                          TEL.03(5253)1111                                (内線5219)