07/11/21 第1回特別用途食品制度のあり方に関する検討会議事録 ○玉川室長 定刻となりましたので、ただいまより「第1回特別用途食品制度のあり方 に関する検討会」を開会いたします。  当検討会の座長が選出されるまでの間、事務局の方で司会進行を担当させていただき ます。新開発食品開発室長の玉川でございます。  初めに、厚生労働省医薬食品局食品安全部長、藤崎よりごあいさつを申し上げます。 ○藤崎部長 おはようございます。食品安全部長の藤崎でございます。開会に当たり、 一言ごあいさつ申し上げます。  委員の先生方には、大変御多忙なところを「特別用途食品制度のあり方に関する検討 会」の委員に御就任いただき、また、本日の検討会に御出席を賜り、まことにありがと うございます。  加えまして、平素より厚生労働行政に多大な御支援、御協力をいただいておりまして、 この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げます。  さて、御案内のように、特別用途食品制度は、乳幼児、妊産婦、病者等の発育や健康 の保持、増進に資するよう、通常の食品に含まれる栄養成分等を調製した食品に対して、 そのような特別の用途に適する旨の表示を行う許可を厚生労働大臣が与える制度であり ます。  しかしながら、昨今の現状を見てみますと、制度創設の当時と異なりまして、国民の 栄養状態が改善されました一方で、介護を必要とする人や在宅療養を行う人の増加が見 られ、従来の制度では想定されていない新たなニーズも顕在化されつつございます。  また、近年、高齢化の進行や生活習慣病患者の増加に伴い、栄養管理の適切な実施に よって病状の悪化を防いだり、生活の質を高めることの重要性が指摘されております。  このような状況を踏まえまして、特別用途食品制度が、真にこれを必要とする方々に とって、より幅広く活用される信頼性の高い制度となるよう、今後の制度の在り方につ いて御検討いただきたいと願っているところでございます。  先生方におかれましては、大変御多忙な中でまことに恐縮でございますが、私どもと いたしましては、来年の3月を目途に中間取りまとめをできればしていただきたい。そ して、制度の在り方の大まかな内容について御提言をいただいた上で、その他の論点に 関する検討も踏まえまして、来年度の早い段階で最終報告として特別用途食品制度の在 り方についてお示しいただければありがたいというふうに考えております。  今回の本検討会は、特別用途食品制度の創設以来の制度全般にわたる見直しをするも のであります。本制度が今後、更なる国民の健康増進に資するよう、活発な御議論を先 生方にお願い申し上げたいと存じます。  簡単ではございますが、開会のごあいさつとさせていただきます。どうかよろしくお 願い申し上げます。 ○玉川室長 それでは、委員の皆様方を五十音順に御紹介させていただきます。名簿が 本日配付してございます資料1−2にございますので、ごらんいただければと思います。  名簿の冒頭の飯島委員は、本日、御欠席でございます。  続きまして、犬伏委員でございます。  続きまして、井上委員でございます。  続きまして、内田委員でございます。  次に、橘川委員でございます。  小池委員でございます。  続きまして、田中慶司委員でございます。  続きまして、田中平三委員でございます。  中尾委員は、本日、御欠席でございます。  次に、中村委員でございます。  浜野委員でございます。  次の藤谷委員は、本日、御欠席でございます。  それから、山田委員でございます。  それでは、本日の資料確認をさせていただきます。本日、配付させていただきました 資料でございますけれども、「第1回特別用途食品制度のあり方に関する検討会」の「議 事次第」という紙がまずございます。それから、「座席表」に続きまして、資料1−1 で「開催要領」、資料1−2でただいまごらんいただいた「検討会メンバー」です。  それから、特別用途食品制度の現状に関する資料といたしまして、資料2−1「用途 別に見た食品の分類」から資料2−20「『規制改革推進のための3か年計画』(平成19 年6月22日閣議決定)抜粋」まで20ほどの資料がございます。  それから、資料3といたしまして「検討に当たっての具体的な論点(案)」というも のがございます。  それから、資料4といたしまして「特別用途食品制度のあり方に関する検討会スケジ ュール(案)」というものがございます。御不足等ありましたらば、お申し付けくださ い。  続きまして、当検討会の座長を選出していただく必要がございます。どなたか御推薦 をお願いしたいと思います。 ○山田委員 田中平三委員に座長をお願いしてはいかがでございましょうか。 ○玉川室長 ただいま山田委員から、田中平三委員に座長をお願いしてはどうかという 意見がございましたが、いかがでしょうか。 (拍手起こる) (「異議なし」と声あり) ○玉川室長 御異論がないようでございますので、田中平三委員に座長をお願いいたし ます。  田中平三委員、座長席の方にお移り願います。 (田中(平)委員、座長席へ移動) ○玉川室長 それでは、田中平三座長よりごあいさつを一言いただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○田中(平)座長 皆さん、おはようございます。ただいま座長に指名していただきま した田中平三でございます。  先ほど藤崎先生の方から、年内か、年当初ぐらいにまとめよということでございます ので、先生方の御協力と活発な御意見をちょうだいしたいと思います。よろしくお願い したいと思います。 ○玉川室長 ありがとうございました。  以降の議事進行につきましては、座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いい たします。 ○田中(平)座長 それでは、検討会の開催に当たって、開催要領が用意されておりま すので、事務局より御説明をお願いいたします。 ○玉川室長 資料1−1「特別用途食品制度のあり方に関する検討会開催要領」につい て御説明をさせていただきます。  本検討会の開催の趣旨ですけれども、ただいま部長の方からあいさつの中で指摘があ りましたように、特別用途食品制度という制度につきましては、栄養改善法時代に定め られた枠組みが基本的に維持されたままとなっているわけでございますけれども、近年、 高齢化の進展や生活習慣病の患者の増大といったファクターや、医学や栄養学の著しい 進歩、栄養機能表示の制度の定着など、これらの制度を取り巻く状況も大きく変化して いるところでございまして、改めて制度に期待される役割、許可の区分や審査方法、情 報提供の在り方など、今後の制度の在り方に関して検討を行うというものが趣旨でござ います。  検討課題といたしましては、5点ほど挙げておりますけれども、「新しいニーズに対 応した特別用途食品の役割」「現状に対応した対象食品の見直し」「対象者への適切な 情報提供」「審査体制のあり方」と、こういった事項でございまして、具体的な論点等 につきましては、後ほど資料3によって補足の説明をさせていただきたいと考えており ます。  当検討会の構成でございますけれども、先ほど御紹介いたしました資料1−2に掲載 されております先生方によって構成をされておりまして、必要に応じて構成委員以外の 意見を聞くことができることとされております。  座長は、ただいまのように構成員の互選によって選任されることとされておりまして、 事故がある場合には、その指名する者がその職務を代理することとされております。  検討会の運営についてでございますけれども、食品安全部長の参集によって開催とい うことでございますが、運営といたしまして、原則として、このような形で公開で行い ます。  また、会議の資料でございますけれども、会議の終了後、厚生労働省のホームページ 等において公開をいたします。  また、議事録につきましても、構成員の了解を得た上で、厚生労働省のホームページ 等において公開すると、こういう取扱いとしております。  開催要領についての説明は以上でございます。 ○田中(平)座長 ありがとうございました。  今の開催要領につきまして、どなたか、御質問等、御意見ございましたら、お伺いし たいと思います。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。  それでは、この開催要領の第4の第3項に「座長に事故があるときには、あらかじめ その指名する者がその職務を代理する」ということになっております。その座長代理を 座長があらかじめ指名することになっておりますので、私の方から指名させていただき たいと思います。私としては、日本栄養士会長の中村丁次先生にお願いしたいと思いま す。いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○田中(平)座長 ありがとうございます。御異論ないようでございますので、中村先 生に座長代理をお願いしたいと思います。  ちなみに、このための厚生労働科学研究費による研究班を去年から持っておりますが、 中村先生は日本栄養士会長でありますので、病院勤務の管理栄養士を対象にして、特別 用途食品の実態調査をしていただきました。そして非常にすばらしい結果を出していた だきましたので、そういう意味でも私は適任であるんではないかと思った次第でありま す。それでは、中村先生、よろしくお願いいたします。  次に、議事次第の1にあります「特別用途食品制度に関する現状について」御議論い ただきたいと思います。資料2−1から20まで、かなりたくさんございますが、特別用 途食品制度の現状について、事務局から御説明をお願いいたします。 ○玉川室長 それでは、資料2−1から資料2−20にかけて、A4の横のものと縦のも のがあって恐縮なんですけれども、特別用途食品制度の現状に関する資料を取りまとめ ておりますので、簡単に内容を御説明させていただきたいと思います。  まず、資料2−1「用途別に見た食品の分類」でございますけれども、この表では、 すべての飲食物のうち、医薬品と食品という大くくりに両者が分かれるわけですが、そ の中で、用途について表示ができるものといたしまして、特別用途食品制度というもの がございます。  広い意味では、特定保健用食品についても特別用途食品というものに入るわけでござ いますけれども、この検討会で主として御議論いただきたいと思っておりますのは、こ の特別用途食品、上の病者用、妊産婦用、乳児用、アレルギー用、高齢者用食品として 特別の用途の表示ができるものということでございます。  用途ということでございますと、今、申し上げましたように、特定保健用食品が保健 の機能の表示ができるといったことになっておりますし、同じく保健機能食品のカテゴ リーといたしまして、栄養機能食品が栄養成分の機能表示ができるということになって おります。  特別用途食品、それから特定保健食品につきましては、右端につけているようなマー クをつけて表示をするといったルールになっております。  1枚おめくりいただきまして、資料2−2でございますが、「健康に関する食品表示 制度」といったことで、今のことを、どのようなものを守備範囲としているか、あるい は代表的な表示内容がどのようなものであるかといったものを簡単にまとめてあります。  特別用途食品制度につきましては、健康増進法の26条に基づくものでございますけれ ども、こちらの黄色いところで示しておりますように、例えば、糖尿病の方に適する食 品ですとか、腎臓病者用食品といった表示があるわけですが、これらは病気等の人の食 事の代替に適する、通常の食品の栄養成分を調製したものであるといった位置づけのも のでございます。  これに対しまして、ほかの用途等を書いております保健機能食品、特定保健用食品で ございますとか、栄養機能食品の制度というのは、健康な人の体の調子を整える機能を 持つといったものでございまして、通常の食品に機能性成分を添加する等したものとい った位置づけということになっているところでございます。表示の内容といたしまして は、こちらに掲げているようなものが代表例ということであるわけでございます。  では、これらの特別用途食品制度が今の形に至るまで、どのような経緯をたどったか というのを、資料2−3でお示ししております。  昭和27年の栄養改善法の成立に伴いまして、特殊栄養食品制度というものが創設をさ れました。これは特に栄養的に優秀な食品につきまして、それが表示事項と間違いのな いということを保証して、消費者が安心して入手できるよう考慮したものでございます。 その中には、健常人向けの補給できる旨の表示と、それから、特別の用途に適する旨の 表示という、病者等向けのものと両者ございました。  「特別の用途に適する旨の表示」につきましては、昭和38年に妊産婦用の食品、昭和 48年に病者用の食品、昭和57年に乳児用調製粉乳の表示許可が定められておりますが、 その後、現在までほとんど変更されていないところでございます。  平成3年に至りまして、特定保健用食品制度が創設をされまして、特別用途食品の中 に、特別用途食品病者等向けと、それから健常人向けの特定保健用食品という区分が行 われたということでございます。  平成8年に至りまして、栄養表示基準制度が創設をされまして、それまで大臣許可で 栄養許可食品という健常人向けのカテゴリーがあったわけでございますけれども、これ に代わりまして、自己認証の制度といたしまして、栄養表示基準制度が創設されまして、 特殊栄養食品制度から特別用途食品制度へと、許可の部分だけが残ったという形になっ ております。  なお、平成10年には、病者用の食品として個別評価型の表示許可の取扱基準が定めれ たところでございますけれども、こういう形で特別用途の食品の制度というものは、大 きな姿という意味で申しますと、栄養改善法時代から変わらないまま、そのほかの健常 人向け等の制度が大きく変わっている中で、当初の姿をかなり残したまま制度が運用さ れてきているという実態にあるところでございます。  では、現在の姿について、どのようなものかというのを資料2−4でお示しをしてお ります。特別用途食品制度の意義は、再三申し上げておりますが、乳児、幼児、妊産婦、 病者などの発育、健康の保持・回復などに適するという特別の用途を表示して販売され る食品でございまして、これを販売するに当たっては、表示について国の許可を受ける 必要があるというものでございます。  広義では特定保健用食品もこの1カテゴリーというわけでございますけれども、以下 では特別用途食品について御説明をさせていただきます。  大きく分けまして、病者用の食品と妊産婦、授乳用粉乳、乳幼児用調製粉乳、高齢者 用食品というカテゴリーに分かれております。  病者用の食品には、許可の基準を有しているものと、それらのものに合致しない、個 別に評価を行って許可を行うものと2種類ございます。  また、許可の基準に当たっては、単一の食品、しょうゆ、ジャム等や、組合せの食品、 複数の食品をセットにしたものがございます。  単一の食品につきましては、更に基準が、低ナトリウム、低カロリー、低たんぱく等 々、細分化されておりますし、病者用の組合せの食品につきましても、どのようなもの であるかというのが、更にサブカテゴリーが設けられているところでございます。  では、これらの特別用途食品がどのようなプロセスを経て許可をされるかということ でございますけれども、資料2−5をごらんいただきたいと思います。事業者の方から 許可申請書が各保健所の方にまず受付が行われまして、そこから都道府県を通じて厚生 労働省の新開発食品保健対策室の方まで届けられます。  許可基準を持っているものに対しましては、厚生労働省の新開発食品保健対策室の方 で許可基準に合致するかどうかを審査した上で、許可を受けようとする食品の分析用サ ンプルを独立行政法人国立健康・栄養研究所、または登録試験機関で見ていただいた上 で、その分析結果を得て、それに基づいて許可を行うといった形になっております。  許可基準があるものについては、このように、基本的に事務局で審査を行って適否を 判断するといったことになっているわけですけれども、個別評価型の特別用途食品に限 っては、左端にございますように、申請書が上がってきた段階で特別用途食品評価検討 会というところで、その内容が適当であるか否かということについて、検討いただいて、 その評価結果に基づき、許可の適否ということが最終的に決定されるといったプロセス となっております。  では、このようにして許可がなされたものが実際どれぐらいに上っているかというも のが資料2−6でございます。特別用途食品全体で申しますと、一番下の1,237という のが10月末現在の数字でございますが、実はこれは特定保健用食品732というものを含 んでいる数字でございますので、これを除きました狭義の特別用途食品というもので見 ますと、505件というのが現在、許可・承認を受けている数ということになります。  このうち、病者用食品で申しますと、許可基準型のうち、単一食品では、数が多いも ので見ますと、低ナトリウム食品が125、低カロリーが40、低たんぱくが15、アレルゲ ン除去が30。また、組合せ食品では、糖尿病食調製用組合せ食品が223、乳児用の食品 が17、それから、高齢者の食品といたしまして、そしゃく困難者用の食品が14、そしゃ く・えん下困難者用の食品が11といったような状況になっているところでございます。  これは許可の数ベースでございますので、それがどのぐらいの市場におけるインパク トを持っているかといったことをまとめたものが、資料2−7でございます。「特別用 途食品の市場規模推計」でございますが、なかなか正確な規模を把握することは困難な わけですけれども、財団法人日本健康・栄養食品協会の協力を得まして、同協会に所属 する企業にサンプル調査を行い、その結果から、市場規模を推計する方法によって算出 したものがこの資料でございます。  具体的には、所属企業に対するアンケートを実施いたしまして、許可取得製品の年間 売上高を許可対象食品群ごとに算出して、その許可品目の許可品目数全体に占める割合 から品目全体の市場規模を推計したというものでございます。  まず、全体の市場規模でございますけれども、資料1にございますように、総計で87 0億円程度となっているところでございます。内訳といたしましては、病者用食品全体 で300億弱、それから、乳児用の食品で564億、妊産婦用で10億程度といったことにな っております。  病者用の内訳について、資料2と3で示しているところでございます。このうち、単 一の食品につきましては、小計で272億程度、その中で最も大きいのが低ナトリウム食 品で170億、低カロリーが64億等々の数字となっております。  また、組合せの食品につきましては、1枚おめくりいただきましたところにございま すように、糖尿病者用組合せ食品というのが20億を超えたような数字が出ております。  病者用の食品につきまして、許可基準型と個別評価型の割合を推計したものが資料4 でございまして、およそ293億、98%程度が許可基準型ではないかと推計をされており ます。  また、高齢者用の食品についての売上高の割合の推計でございますが、資料5にござ いますように、70%ほどがそしゃく困難者用、30%ほどがそしゃく・えん下困難者用と なっているところでございます。  今のは市場規模の推計でございますが、使われ方の実態について、厚生労働科学研究 で調べた結果がございますので、資料2−8で御説明をしたいと思います。  この研究は、平成18年度の特別研究事業として、主任研究者、田中平三先生の研究の 中で、分担研究者として中村丁次先生におまとめいただきました「医療施設における病 者用食品の使用状況調査からみる特別用途食品制度のあり方に関する研究」から抜粋さ せていただいたものでございます。  調査の概要でございますけれども、昨年末から今年初めにかけまして、全国約2,000 の医療機関の管理栄養士を対象といたしまして、全国病院栄養士協議会の協力の下に、 使用状況の調査を実施いたしました。  この調査の中では、実際に特別用途食品という許可を得たもの以外に、病者用食品と して使われているもの自体についても併せて調査をしておりまして、その中で、調査を するに当たって、用語の定義といたしまして、企業が、主に病者の疾病の治療等を目的 として、ある特定の機能性を有するものとして製品化したもの自体を、特別用途食品も あれば、そうでないものもあるんですが、これを病者用食品としてお尋ねをしています。  それから、特別用途食品というのは、大臣の表示の許可がある食品について、特別用 途食品としてお聞きをしております。  結果でございますけれども、「病者用食品の使用頻度」ということでございますと、 「頻繁に使用する」が52.5%、「時々使用する」が42%ということで、程度の差はある ものの、ほとんどの医療施設で病者用の食品というものは使われているわけでございま す。  1枚おめくりいたしまして、「病者用の食品を使用する理由」でございますが、「便 利である」が79.1%、「治療効果が期待できる」が72.2%ということで、便利であって、 治療の効果が期待できることから使用されているといったことがわかります。  それから、「病者用食品を選択する際、特別用途食品であるかどうかを考慮するか」 という項目でございますが、「考慮しない」が60%となっておりまして、選択する際に 特別用途食品であるかどうかは余り考慮されているとは言えないのではないかといった 結果が出ているところでございます。  ただいまの設問でも4割弱の方は考慮するとお答えいただいたわけですが、特別用途 食品であることを考慮する方にその理由をお聞きしましたところ、86.7%が「品質が保 証されているから」、「安全性が高いから」が62.5%ということで、高い品質と安全性 が保証されているということが評価されているというふうに、考慮する場合には考えら れております。  逆に、考慮しないときに、その理由は何かということをお尋ねしましたところ、61.6 %の方が「企業の表示を信頼しているから」というふうにお答えになっておりまして、 企業表示が信頼できるのであれば、品質自体にも差もないため、特段の問題はないとい うふうに受け取られているようでございます。  それから、「患者が在宅療養に移行して病者用食品を使用する場合の病院側の対応」 ということでございますけれども、「問屋やメーカー等の業者を紹介する」が57.6%に 達しておりまして、在宅療養に移行する患者であって、病者用の栄養管理を必要とする 者に対しては、食品の製造・販売を行うメーカーの紹介でございますとか、病院におけ る直接販売等といったことによって対応が行われているようでございます。  「特別用途食品制度に今後希望すること」という設問でお尋ねをしましたところ、「購 入しやすくなる」が66.5%、「安全性と有効性が検証、保障できる制度にする」が60. 4%で、より購入しやすいものになること、安全性と有効性がより検証、保障できる制度 となることが期待されているということがわかります。  では、特別用途食品が実際に許可されるに当たって、どのような審査の基準によって それを判断されているかといったことを資料2−9で簡単にまとめております。  詳細については、資料2−11に付けているんですけれども、ここでは簡単に概要だけ 御説明をさせていただきたいと思います。  まず、病者用の食品についてでございますが、規格の基準を持っているものと、それ から、個別評価で行うものの2つにタイプが分かれております。  規格基準型につきましては、まず、基本的な許可基準といたしまして、食品の栄養組 成を加減し、もしくは特殊な加工を施したり、複数の食品を組み合わせたものであって、 医学的、栄養学的見地から見て特別の栄養的配慮を必要とするような病者に適当な食品 であることが認められるものであることといった基本的な許可基準を満たしている上で、 指示された使用方法を遵守したときに効果があって、その使用方法が簡明であることと いった概括的な許可基準に合っているかどうかといったことを見た上で、個別の食品群 ごとに設定されております規格に合致しているかどうかを見ることになっております。  例えば、低ナトリウム食品の場合でございますと、ナトリウムの含量が通常の同種の 食品の含有量の50%以下であることとか、ナトリウム以外の一般栄養成分量が通常の同 種食品とほぼ同程度のものであること、こうしたことが合致しているかどうかというこ とが審査に当たっては判断をされることになります。  こうしたものを満たしているということになりますと、必要的表示事項ということで、 幾つかの事項を必ず表示していただかなければならないこととなっております。概要は ここに掲げているとおりでございまして、医師に指示された場合に限り用いる旨、特定 の栄養成分の含有量等、要するに、低ナトリウムでございますとか、低カロリーといっ た許可の文言、医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨、 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒する ものではない旨、こうしたことが必要的な表示事項となっております。  個別評価型につきましては、こちらの1〜9に書いておりますような、それぞれの事 項に該当するかどうかといったことを判断いたしまして、その結果、認められるという ことになりますと、病者用食品である旨、医師に指示された場合に限り用いる旨、何々 疾患に適する旨、こうした事項を必要的な表示事項として表示をすることとなっており ます。  妊産婦、授乳婦用粉乳につきましては、たんぱく質、糖質、脂質等の含有量の規格と いうものが審査の際の基準となります。  乳幼児用調製粉乳につきましては、エネルギー、たんぱく質、ビタミン等の含有量等 の規格といったことが審査基準となります。  それから、高齢者用食品につきましても、基本的な許可の基準として、高齢者が摂取 するに適した食品であること等、それから、食品群別に分かれております許可の基準と いたしまして、例えば、そしゃく困難者用でございますと、ゾル状のものについて、硬 さ、食べやすさ等々の基準がございます。  それから、附帯的な表示の許可基準といたしましては、こちらにございますように、 エネルギーとか、特定の栄養成分を豊富に含む旨を意味する表示をする場合には、その 栄養所要量に対する一定の範囲内であること、こうしたものによって審査をすることと なっております。  必要的表示事項といたしましては、乳幼児用調製粉乳、高齢者食品につきましては、 こちらにあるような事項を必ず記載していただくこととなっております。  表示に当たって、どこまで表示がなされるかといった許可表示の範囲について、資料 2−10で説明をしております。特別用途食品というのは、日常的に食べられている食品 の栄養組成を加減し、ないしは特殊な加工を施すことで、特別な用途に適するといった 表示を許可するものでございますので、身体への生理学的機能とか生物学的活動に影響 を与える機能成分を添加したり、そうした機能成分の作用の表示を行うことは認められ ておりません。  表示の範囲についてでございますけれども、例えば、病者用食品の場合でございます と、「病者用」「病人食」等の、単に病者に適する旨を表示する場合でございますとか、 「糖尿病者用」「腎臓病食」「高血圧患者に適する」といった、特定の疾病に適する旨 の表示を行うといった場合もございます。  実際にその許容されている表示の例として、どういうものがあるかといったことでご ざいますけれども、「糖尿の人の食事として適する」でございますとか、「カロリー制 限が必要な人に適する」でございますとか、「エネルギー制限が必要な人に適する」と いったものや、「ナトリウム摂取制限を必要とする人に適する」「塩分を制限している 人に」「浮腫のある人に適する」と、こういったものが許容されてきた表示例でござい ます。  これに対しまして、全群に共通する禁止の表示といたしましては、こちらに例がござ いますけれども、積極的な機能の表示等、あるいは医薬品類似の効能効果に関する表示、 ないしは科学的根拠に基づかない虚偽、または誇大な表示といったことについては、表 示をしてはならないということになっておりまして、こうした範囲でその適正化を図っ ているところでございます。  今、申し上げました許可の審査の基準、それから、表示の範囲につきましての詳細に つきましては、2−11にそれぞれ群ごとにまとめておりますが、説明は省略をさせてい ただきます。  資料2−12にお移りいただきたいと思います。沿革の中で、栄養強化食品から変わっ た制度といたしまして、栄養表示基準制度があるといったことを申し上げましたけれど も、特別用途食品制度と関係がある制度でもございますので、この際、御紹介をしたい と思います。  制度の目的自体といたしましては、特別用途食品は病者等の栄養管理、栄養表示基準 は健康な人の健康保持、増進ということでございますけれども、調製を行う栄養成分及 び表示可能な内容といたしましては、低い旨ないしは高い旨の表示が含まれているとい ったところでは共通する部分もございます。  実は、このうち、黄色で網かけしている部分、ナトリウム、カロリー、たんぱく質に つきましては、特別用途食品の中でも基準がございますし、それから、栄養表示基準の 中でも基準が設けられているところでございます。  具体的には、特別用途食品の場合は、ナトリウムでありますと「高血圧に適する病者 用特別用途食品である旨」といったことが表示できるわけでございまして、栄養表示基 準では「低ナトリウム」ということが表示できます。カロリーについても「糖尿病に適 する病者用特別用途食品である旨」、栄養表示基準では「低カロリー」、たんぱく質に ついては「肝臓疾患に適する旨」、栄養表示基準については「高たんぱく」といった表 示ができることとなっております。  審査の手続といたしましては、特別用途食品では、審査した上で個別に大臣が許可を すると言っていることに対して、栄養表示基準の方は自己認証の制度でございます。  それから、販売・流通の方法といたしましては、特別用途食品につきましては、病院 の提携薬局や医師等の紹介による通販等ということでございますが、栄養表示基準につ いては、一般の販売店等で流通をしているといったところでございます。  それから、関連する制度として幾つか御紹介したいと思いますけれども、資料2−13 は宅配食品の広告の例で、実際にこのようなものが宅配食品として売られているといっ たことから、類似の機能を有するようなものが、組合せ形態のものが現在の特別用途食 品にもあるわけですけれども、それとは別に、宅配食品というものが行われているとい ったことをお示ししております。  実は、これらの食品につきましては、資料2−14にございますけれども、食事療法用 宅配食品栄養指針というものがございまして、その中で幾つか、厚生労働省の方からも 取扱い等についてガイドラインを示しているといった経緯がございます。  実際に食品の宅配サービスを行う事業者等が増加する中で、その適正な提供を確保す るという観点から、製造や取扱い等の指針として、平成7年にガイドラインを作成いた しました。  概要といたしましては、利用者に献立、食材料を提供する営業者、利用者に献立、調 理済食品を提供する営業者、こうした営業者に献立を提供する営業者をその対象といた しまして、高脂血症者用、高血圧者用、腎臓病者用の各用途の宅配食品について、栄養 基準、献立の作成基準、食品材料等の計算、栄養管理体制、主治医との連携等、情報提 供等といった項目について遵守を求めるという内容のガイドラインを出しているところ でございます。  それから、特別用途食品に戻りまして、資料2−15でございますけれども、流通、販 売の現状について、簡単に御説明させていただきたいと思います。  現在の特別用途食品は、医師等からの個別の指示に従って購入することが重視されて いるということでございますので、病院の提携薬局や医師等からの紹介による医療通販 を利用することを前提として、一般の販売店における販売を行わないように指導してい るところでございまして、一般の媒体による広告宣伝も行わないような指導が併せてな されているところでございます。  それから、国際的な取扱い等について、資料2−16で御説明したいと思います。  コーデックス委員会というものが、国際食糧農業機関と世界保健機関が合同で設立し た組織としてあるわけでございますけれども、こちらでは、国際食品規格の策定を通じ て、消費者の健康を保護するとともに、公正な食品の貿易を確保するといったことを目 的としておりまして、栄養特殊用途食品部会というものがその中に設置されております。  こちらで食品の栄養に関する全般的な規格の検討とか、特定の栄養上の諸問題を検討 することになっておるわけですけれども、特別用途食品についての規格というものは、 乳児用の調製粉乳、乳児用の特殊医療用調製粉乳についてのみ定められているところで ございまして、現在のところ、その他の病者用等の特殊用途食品に関する個別の国際規 格というものは存在していないところでございます。  それから、各国における状況についてということで、資料2−17でございます。  まず、EUでございますけれども、特殊な組成、あるいは製造工程によって、通常摂 取する食品と明らかに異なる食品について、表示された栄養目的に適した食品で、それ を示す販路で販売されるものを特別栄養用途の食品として対象としているわけでござい ます。  対象者としては、消化過程や代謝過程に問題のある人等ということでございまして、 分類といたしましては、さまざまなものが含まれておりますが、乳幼児用の食品、ダイ エット食品、医療食、スポーツ食、糖尿病の患者のための食品、こうしたものも含まれ ているところでございます。  義務的な表示事項としては、「特殊医療目的のための食品」という販売名、それから、 「疾病あるいは障害に関する食事管理のため」という記載、摂取可能なエネルギー、た んぱく質、脂質含有量等々ということがございまして、これらはあらかじめ定められま した成分リストに収載されている成分のみが使用できることになっております。  初めて当該食品を販売する加盟国において、製品表示の見本を送付し、届出を行うと いった手続が必要となっております。  一方、米国でございますが、医師による監督の下で、経口的ないしは経管的方法によ って摂取、投与することを目的とされた食品であって、認められた科学的原則に基づき、 医学的評価によって確立された特殊な栄養を必要とする疾病ないしは症状のための特別 な管理を必要としているものが定義となっているものでございまして、対象者は医療を 受けている者でございます。  義務的な表示については、法令的な規定はないのですが、病者への食品である旨等を 表示することが望ましいというFDAによる指導が行われております。  手続といたしましては、認定とか届出等の規制はなく、定義は定められているものの、 栄養成分等、表示、流通に関する規制はないと承知をしております。  資料2−18でございますけれども、我が国の関係する法令の条文を参考として、健康 増進法、それから、健康増進法の省令について付加させていただいております。  資料2−19でございますけれども、「特別用途食品の表示許可について」ということ で、範囲について今まで説明したところでございますけれども、3のところで「病者用 のものについて、特別の用途に適する旨の表示とは、以下の各項のいずれかに該当する ものである」といったことを述べておりまして、この中で、許可対象食品群に類似の表 示をすることによって、病者用の食品との印象を与えるものについては、無許可で販売 されることがあってはならないという指導が行われているところでございます。  なぜこれをお付けしたかということでございますが、資料2−20で、本年の6月22 日に閣議決定されました「規制改革推進のための3か年計画」の中で、重点計画事項の 12の農林水産業の(10)生鮮食品の栄養成分の表示についてというところで、機能性米 等についての議論がございます。  この中で、中段以降でございますけれども、病者の食事療法といった特別の用途以外 にも、一般的な食品として食される、ないしは加工用とに用いられるといったことが、 低たんぱく米等については考えられるといったことから、そうした表示についてどう考 えるかというのがございまして、結論的なところでございますけれども、病者等が特別 用途食品であると誤認することによって健康被害が発生することは防がなければならな いということで、特別用途食品(病者用食品)ではない旨を明記して販売する食品につ いては、栄養成分量の明示をすれば、許可を得ずとも「低たんぱく質(通常の米の何%)」 などといった表示が可能となるよう、既存の表示制度の運用の見直しを検討するといっ たことが指摘をされております。  これは先ほどの2−19の指導の内容の変更を迫るものでありまして、政府全体として 今後どのように取り扱うかにつきましては、平成19年度に検討、結論となって、引き続 き措置となっておりますので、この検討会の場で併せて御検討いただければというふう に考えております。  長くなりましたけれども、制度の説明については以上でございます。 ○田中(平)座長 ありがとうございました。  ただいまの御説明の中に、中村委員がまとめられました使用実態調査の資料、つまり 資料2−8が含まれておりましたが、中村委員から何か補足することはございますでし ょうか。 ○中村委員 実は、これらを使用している管理栄養士の意識や実態を調べています。使 用頻度が高い30品目を上から挙げまして、その中に特別用途食品の人形マークがついて いるものを調べますと3つか4つぐらいにすぎないのです。したがって、管理栄養士の 意識も使用されている実態も本来の制度が目指すものとかけ離れていました。いわば制 度が形骸化しているのではないかなというふうに感じております。 ○田中(平)座長 それでよろしいですか。 ○中村委員 以上です。 ○田中(平)座長 それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見など がございましたら、御発言をお願いしたいと思います。どなたかございませんか。どう ぞ。 ○浜野委員 資料2−13、14についてですが、ここに示されている例は、特別用途食品 とは別と理解してよろしいのでしょうか。 ○玉川室長 そのとおりでございます。 ○田中(平)座長 つまり、人形マークがついていないという意味ですね。例えば、2 −13などは。 ○玉川室長 あらかじめ個別の食品についての表示の許可を申請して、その食品につい て、規格基準に合致しているかということを事前に審査して出すという特別用途食品で はなくて、食事療法用の宅配食品指針に基づいて事業者が宅配サービス事業として行っ て、提供されている食品として、こういうものがあるということでございます。 ○田中(平)座長 糖尿病、高血圧、肥満などの方というふうに、このように病名まで 書いてあるわけですね。 ○玉川室長 宅配食品栄養指針の中で、それぞれのカテゴリーごとの指針が示されてお りますので、それにのっとって、こうした表示がなされているというものでございます。 ○田中(平)座長 中村先生の調査されたときも、人形マークあるなしであって、こう いう表示については何ら差がないと、こういう意味ですね。 ○中村委員 そうですね。余り意識されていないということですね。 ○田中(平)座長 ほかにどなたか御質問ございませんか。医療現場におられる方から 何か御質問は。田中先生、どうぞ。 ○田中(慶)委員 いろいろと詳しく説明していただいたんですけれども、資料2−6 に関して、断面として、こういうデータというのはよくわかったんですけれども、最近 新たに許可されているというようなことに関して、個別に何件という必要はないんです けれども、傾向として、どんなふうな使われ方をしているのかというのを教えていただ けますか。 ○田中(平)座長 最近増えてきているものとか、減ってきているものとか、そんなよ うな感じでしょうか。 ○調所専門官 最近の傾向としましても、低ナトリウム食品とか低カロリー食品、こう いったものの申請が多くなっているということです。特に個別評価型なども、数は少な いんですけれども、最近でありますと、また1件あったということもございます。あと、 糖尿病用の組合せ、こういった表示許可件数の多いものについて、やはり最近といいま すか、申請が多くされているという状況でございます。 ○田中(平)座長 どうぞ。 ○田中(慶)委員 2−7に関してもちょっとお伺いしたいんですけれども、こういう ふうに使われているというのはよくわかったんですけれども、例えば、逆に乳児用粉乳 に関しては、全体のマーケットに出ている粉乳のうち、この特別用途食品の表示を受け ているものが何%ぐらいあるか、そういうデータというか、全体像みたいなものを教え ていただけますか。 ○調所専門官 乳児用食品で母乳の代替の食品ということで販売するには、すべて厚生 労働省の特別用途食品の許可を受けなければいけないことになっています。ただし、中 には、母乳用ということを書かないで、ただの粉乳というような形の製品も若干ござい ますけれども、ほとんど母乳代替食品ということであれば、100%、特別用途食品の許可 を取っているということでございます。 ○田中(慶)委員 ありがとうございました。 ○田中(平)座長 内田先生、どうぞ。 ○内田委員 1つは感想なんですけれども、今日の説明を聞いていて、よく理解できた んですけれども、今、現場では、例えば、経口・経管栄養で使うエンシュアリキッドと か、こういうようなものに関しては保険の適用になっているわけです。それに対して、 特別用途食品に関しては、病気の患者さんに治療の目的も兼ねて提供されるものである にもかかわらず保険適用になっていない。恐らく医師の処方せんもそういうことで必要 ないということになると思うんですけれども、そこの整理がちょっと問題があるのかな ということが1点です。その点だけ、まず。 ○田中(平)座長 事務局、お願いいたします。 ○玉川室長 御指摘のように、病者用として販売されているもののうち、経管や何かの ものについては保険の適用があるというものはそのとおりでございますけれども、特別 用途食品全体の基本的なコンセプトといたしましては、特別なニーズを持った人に対す る特殊な栄養補給について、医師の指示を受けながらも、その人自体が購入をして摂取 をしていくものです。例えば、病院の院内で提供されるものに対して、人形マークとい うものを付けても、それは事業者間の取引みたいなところがありまして、表示の許可と しての意味が乏しいわけであります。  したがいまして、在宅なり何なりで患者さんが日常生活の中で栄養摂取をするときの 食品摂取のときの目安となるといったことで表示の許可を行っているものであります。 ただ、その際には、医師の指示に基づいて、どういうものを選択していくかということ を表示のところでも今、求めているところでございまして、その実態との間で、どの程 度それがリジッドに行われているかといったところでは、いろいろあるんだろうと思い ますけれども、本来そうしたものを念頭に置いております。したがって、医療度が高い ものとか何とかというところで保険とのすみ分け等々もあるんだと思いますけれども、 メインのターゲットとして念頭に置いているのは、そのようなものでございます。 ○田中(平)座長 どうぞ。 ○内田委員 もう一つお聞きしたいんです。先ほど中村先生の方からも、許可を受けて いる、表示を受けているということに関して、余り現場でも認識されていないというお 話がちょっとありましたけれども、特別用途食品の許可を受けるということのメリット、 業者に関するメリットというのは何かあるんですか。 ○玉川室長 まさに正面から、何々病に適する、病者を挙げまして、何々に適する病者 用の食品であるということを正面からうたって、食品自体の表示もできますし、そうい うことで情報提供をすることができるわけでございます。そうしたものに事実上適する ような食品であるということであっても、そうでないものについては、正面からそうい うことを表示することができないということでありますので、患者への情報提供という ところでは一定の差があるんだろうと思っておりますが、実態のところを見ると、それ 以外の方法でチョイスをされている方もいるのかなと思います。 ○田中(平)座長 中村先生、今の内田先生の質問で、医療保険とのかかわりというの は、前に先生はいろいろおっしゃっていたようにも記憶しておるのですが。 ○中村委員 素直な感想を述べさせてもらうと、特別用途食品にある保険点数が付けば、 恐らく企業側も開発のモチベーションは上がるだろうし、使用する管理栄養士も積極的 にその人形マークが付いたものを病院の中に入れると思うんですね。このことにより、 今以上に治療食の精度は上がるだろうし、安全性も上がるだろうというふうに思うんで す。現場の管理栄養士たちの素直な気持ちは、保険点数を付けてもらいたいと思ってい ます。 ○田中(平)座長 ほかにどなたかございませんか。どうぞ、小池先生。 ○小池委員 素朴に、保険の適用云々という議論もここですることなんでしょうか。 ○内田委員 違います。 ○小池委員 違うんですね。わかりました。 ○田中(平)座長 今は、現状の説明ですので、どんな質問でも結構です。現状理解を 深めるという意味で。 ○中村委員 今、保険制度の話が出たのは、使用頻度が低いという一要因になっている という話でございます。 ○田中(平)座長 ほかにどなたかございませんか。犬伏委員、消費者側からいかがで すか。 ○犬伏委員 すごく単純な話ですが、病院に長く入院させてもらえません。いろんな病 気を持っていらっしゃる方がお家へ帰られて、例えば、糖尿というのは一番大変なカロ リー計算が要るのかなと思いますけれども、そういうものが市販されていれば、多分、 周りの家族は楽になる。今でも、先ほど13のところにもありましたけれども、糖尿病に いいですよとか、高齢者のえん下にいいですよというようなものはいっぱい開発されて いますね。それが本当にいいのか悪いのか、私たちには全くわかりませんので、そこに 人形マークが付くということが、ある意味で品質の保証がされるとするならば、期待し たいと思います。 ○田中(平)座長 ほかにどなたかございませんか。  それでは、ありがとうございました。当検討会が今後検討すべき具体的な論点等につ いて、事務局案の御説明をお願いいたします。 ○玉川室長 それでは、資料3「検討に当たっての具体的な論点(案)」、併せまして 資料4「特別用途食品制度のあり方に関する検討会スケジュール(案)」、こちらにつ いて御説明をさせていただきたいと思います。  本日、制度の現状、概要について御説明したばかりではありますけれども、今後、議 論を進めるに当たって、具体的にどういう点について御議論いただくのが適当かといっ たことで、先ほどの検討会開催要領にありました項目につきまして、若干肉付けをする 形で、具体的な論点の案というものを事務局の方で作成をさせていただきましたので、 御紹介をしたいと思います。  まず、第1の「新しいニーズに対応した特別用途食品の役割」というところでござい ますけれども、高齢化や医療制度の改正等の社会状況の変化に合わせ、介護予防の観点 や在宅療養への移行を視野に入れた上で、特別用途食品についても病者等にとってより 使いやすいものとすることが求められているのではないか。  特別用途食品は、通常の食品では対応が困難な特別の用途向けに、表示等による情報 提供と適正な審査による品質確保を通じ、対象者による選択肢を確保した上で、安全・ 有効で幅広く活用されるような制度とすることが求められているのではないか。  それから、2番目の「現状に対応した対象食品の見直し」という項目の中では、社会 状況の変化、介護予防や在宅療養への移行等の新しいニーズに対応するため、特別用途 食品制度に新たに追加するべき食品群はないか。例えば、在宅療養における適切な栄養 管理を可能とするという観点から、濃厚流動食についても制度の対象とするなど。  それから、特別用途食品制度の対象食品の中で、通常の食品や許可を取得していない 食品においても対応が可能な部分等については、制度の枠から外すことを検討するべき ではないか。  それから、栄養管理がなされた食事を宅配で利用できる「宅配病者用食品」の適正利 用を推進するため、宅配食品に関する適正な栄養管理の普及を図るべきではないか。  対象食品の名称を、実情に即したものとすべきではないか。例えば、高齢者用食品と いう名称は実際の用途を反映したものとなっていないのではないか。  3番目の「対象者への適切な情報提供」という項目では、在宅療養を行う病者等の栄 養管理の適正化を図る観点から、適正な栄養管理に関する知識や目的に合った食品選択 を支援するための情報の普及を進めるべきではないか。  摂取対象者における栄養管理に関する基本的な知識の普及と、専門職員双方による適 切な栄養管理を推進するため、特別用途食品の製品情報及び最新の知見や文献に基づく 栄養療法、疾患等ごとの栄養管理や食事管理等に関する情報のデータベース化などを進 めてはどうか。  特別用途食品の利用方法等に関する摂取対象者の適切な理解を深め、特別用途食品を 利用した適切な栄養管理を行いやすくするという観点から、特別用途食品の表示、宣伝 広告や流通の在り方等を見直すべきではないか。  4番目の「審査体制のあり方」といたしましては、最新の医学、栄養学的知見に沿っ た食品供給を確保すべきという観点から、許可基準の見直しと審査体制の強化を図るべ きではないか。  こうしたものを今後、御議論いただく論点の案としてはどうかと考えております。  また、その御検討に当たっては、資料4にありますように、本日、現状について御説 明をいたしまして、実際に御議論いただく枠組みについても御議論いただくわけでござ いますけれども、早速、総論的なところから御議論を始めていただいて、年内にもう一 回検討会を開催して、続く論点についても御議論をいただく。その際、必要に応じて関 係団体等からのヒアリング等も実施して、これらの論点に沿って、検討をしまして、先 ほど部長の冒頭あいさつにもありましたように、3月に中間報告の取りまとめ、遅くと も6月を目途といたしまして最終報告の取りまとめといったような形で進めていただい てはいかがかと考えております。  事務局の説明は以上でございます。 ○田中(平)座長 ただいま御説明のありました具体的な論点等について、御意見、御 質問等ありましたら、お願いしたいと思います。どなたかございませんでしょうか。は い、どうぞ。 ○犬伏委員 先ほど、家庭で介護をする場合、こういうものはかなり期待されるもので はないかというふうに発言したんですけれども、今、特保がございます。それと、先ほ ど来「表示」という言葉がたくさん出てきているんですけれども、こういうものができ たときに、悪徳業者と言ってはいけないかもしれませんが、いろんな方がそれに見合っ たものをたくさん出してくるんですね。マークが付いている、付いていないだけではな くて、類似品、これを食べていると、ああいうものを食べなくて済みますよ的な、特保 的なものがたくさん出てくる可能性があるのかなという気がしましたので、その辺のと ころをあらかじめというのは大変不得意なところだと思うんですが、あらかじめ何かす るもの、そんなことをこの中に、どこかに入れていただきたいと思ったんですが。 ○田中(平)座長 ちょっと済みません。 ○中村委員 では、私の方で続けさせていただきます。  では、今の御意見に対して、何か御意見がありますか。井上先生、現場でこういうも のを使っていらっしゃるので、何か御意見ありましたら。 ○井上委員 恥ずかしながらという表現をまずしないといけないと思うんですけれども、 特別用途食品ということを実際の臨床の現場で考慮している医者が一体どのぐらいおる のかなということを思うんですね。私も栄養についてはよく知っていると思いながら、 この委員に選ばれて、そうかと思って来たんですけれども、例えば、濃厚流動食につい ても制度の対象にすると言われたんですけれども、濃厚流動食というのはどの分野に入 っておるのですか。 ○中村委員 経腸栄養剤の中で食品として取り扱われているものです。 ○井上委員 それはまたこれとは違うんですね。本当に素朴な質問です。 ○玉川室長 現在は特別用途食品制度の対象となっていないものですね。現在はなって いないので、果たして今の取扱いでいいのかというのが、濃厚流動食についてはそうい うことでございます。 ○井上委員 だから、私たちが現場で見ているときに、全く特別用途食品ということは 考えていないです。これは医療関係者の大部分だと思います。これを理解しているとい うのは栄養士の半分ぐらいでしたね。理解というか、使っているのは、考慮しているの は、中村先生のデータではそうなっていました。 ○中村委員 そうですね。 ○井上委員 そうすると、病院関係者のほとんどがこれを理解せずに使っているんだと 思うんです。私は多分、それが現状だと思います。 ○中村委員 それは正直な現状だと思います。 ○玉川室長 ただいまのお話しのように、いろいろとある中で、犬伏委員などがおっし ゃるように、例えば、在宅に帰った場合、こういうものを使うということ自体が在宅の 支えになると消費者側が期待している面もあって、そうした中で、どうやって関係者へ の認知度を上げて、使いやすいものをしていくかといったことについて、御示唆をいた だければと思っております。  犬伏委員の方からありました、品質といいますか、中身が正しいかどうかということ を言いますと、許可されたものについては、勿論、許可の際の申請のときに審査をして おります。また、実際にそのもの自体についても、他の栄養成分表示をしているものも 含めてではあるんですけれども、収去というところで、私ども健康増進法に基づく監視 というものもしております。病者用に限られないわけではありますけれども、そうした ところで表示の適正化ということは推進していかなければならないので、そうしたこと についても取り組んでいかなければならないと思っております。 ○田中(平)座長 ほかにどなたかございませんか。  それでは、検討に当たっての具体的な論点や、今後のスケジュール等については、お おむね資料3、4にあるとおりとしてよろしいでしょうか。このそれぞれについて、こ れからディスカッションしていきたいと思います。勿論、これ以外のことについても、 御指摘、御意見をちょうだいしたいとは思っておりますが、よろしゅうございますでし ょうか。ありがとうございます。  それでは、まだ時間が若干ございますので、早速、検討に当たっての具体的な論点に 沿って、この資料3に沿ってですが、御議論いただきたいと思います。  初めに、「1.新しいニーズに対応した特別用途食品の役割」についてであります。 これは、制度そのものの位置づけ、定義にかかわる論点ですが、御意見等、よろしくお 願いしたいと思います。介護予防、あるいは在宅療養での特別用途食品についての使用 のことです。これは一つの大きい時代の流れで、犬伏委員もそういったことを指摘され たように思います。○が2つありますが、いずれでも結構ですので、御意見をちょうだ いしたいと思いますが、いかがでしょうか。内田先生、どうぞ、お願いします。 ○内田委員 確かに在宅療養というのが今後、先ほど犬伏委員の方からもお話がありま したように、早期の退院といったものも増えてきていますし、高齢化ということでます ます重要になってくるとは思うんですけれども、現状では、今の現場では、在宅で栄養 管理ということに関する啓発というのは非常に遅れている。それから、医療職、あるい は在宅に入っている看護師さんやヘルパーさんと管理栄養士とのかかわり、接点という のはほとんどないというのが現状ではないかと思うんです。  ですから、そこの連携と、それから、在宅医療にかかわっている、いろんな職種の方 に関する啓発といったようなものを、これから取り組んでいく、在宅を進める中では絶 対必要な部分だというふうに思うんですけれども、そこのところを具体的にどういうふ うに進めるかという方策を、例えば、非常にわかりやすいマニュアルをつくるとか、商 品についても、こういうものがあるよという情報提供を具体的な中身も含めて、わかり やすく提供するといったようなものが必要になってくるのかなと感じています。 ○田中(平)座長 中村先生、その点について、いかがですか。 ○中村委員 恐らく、糖尿病患者さんとか、腎臓病患者さんとか、肝臓病の患者さんと か、そういう慢性疾患の患者さんは、在宅医療に移行したときに最もコントロールが難 しいのは栄養や食事管理だろうと思うんです。薬物の管理は、与えられたものを言われ たように飲めばいいわけですから、食事の管理ほど個人的な知識や技術は必要ないんで す。栄養の管理は、食品の選択から始まって、調理とか、食べ方とか、広範囲な知識や 技術が必要とされるために、家ではコントロールが崩れるのです。それで悪くなって、 また病院に戻ってきます。栄養管理が徹底されないということは、病院を出たり入った りする大きな要因になっているんだろうと思うんです。これは井上先生がよく御存じだ ろうと思うんです。  それを、もっと簡便に在宅で栄養管理ができるシステムを作り、こういう商品を開発 し活用していかなければいけないんだろうと思うのです。そういう意味からいくと、病 者用特別用途食品というのはとても優れたコンセプトを持った製品です。ただ、今、内 田先生がおっしゃるような在宅医療を進めるシステムづくりとか、マンパワーとかいう のがまだ整備されていないのです。それも並行してやっていかないと、この在宅への移 行というのはなかなか難しいというふうに思っています。 ○田中(平)座長 どうぞ。 ○井上委員 病院と在宅との関連でいきますと、病院である程度、栄養指導、食事指導 をして家へ帰られても、根本的に病院の中に管理栄養士で栄養指導できるマンパワーが ものすごく不足しているんですね。だから、例えば、各病院に、今回も栄養管理実施加 算ができて、管理栄養士さんが必要だということになっていますけれども、管理栄養士 さんが最低1人いれば成り立つわけです。在宅でこういうふうに、肝臓とか腎臓、糖尿 病、それらの食事指導をしようと思うと、病院の中に管理栄養士さんの数がもっといな いと、幾らいい食品ができても、それとの連携がとれないという根本的な問題があると 思うんです。  私はずっと病院で栄養のことを見ていますと、形はあるんだけれども、栄養士さんの 指導するマンパワーが足りないから、これが世の中で進んでいかないんだということが あります。勿論、病者用特別用途食品をどんどん進めていくのはいいんですけれども、 それに対応する病院のシステムも非常に大事だと思います。とにかく管理栄養士さんが 病院の中に少ないというのが非常に大きな問題だとずっと思っているんです。 ○田中(平)座長 内田委員。 ○内田委員 今度の4月から特定健診、特定保健指導という制度が始まって、この中で 管理栄養士さんが指導に当たるということで、非常に管理栄養士さんのマンパワーが必 要とされてきているんです。それは必ずしも病院という場を設定していないで、地域に おいて保健指導、食事栄養指導に当たるということになっていくんだというふうに思い ますので、そういう場をつくっていただく、連携の場をつくっていくということと、今、 眠っている、潜在的な管理栄養士、お仕事についていらっしゃらない、病院に勤めてい らっしゃらない管理栄養士さんというのも結構いらっしゃるんではないかというふうに 思いますので、その辺の活用を是非、中村先生の方にお願いしなくてはいけないかなと いうふうに非常に強く感じるんです。 ○中村委員 私が発言しなければいけないことを先生方に言っていただいて、ありがと うございます。 ○田中(平)座長 例えば、栄養ケアステーションでしたか、ああいうこともちょっと 紹介されてはいかがですか。 ○中村委員 管理栄養士ライセンス取得者が今、約13万人います。実際に医療で働いて いる人は2万人ぐらいだろうと思うのです。あとはいろんな領域で働いていますが、半 分ぐらいがスリーピング状態なわけです。だから、栄養士会としては、寝ている人を起 こそうと全国的に研修会をやっています。研修会をやって、修了した人たちを、地域に 栄養ケアステーションを作り、ここに登録し、ここを栄養指導、管理のベースにします。 つまり、地域に管理栄養士の顔が見え、地域の人たちが気軽に相談するような場をつく っていこうと考えて、今年度中に47都道府県にでき上がります。そこのステーションを ベースにして、地域の医師会とか、看護協会とか保険組合等と連携しながら、栄養の管 理や指導を進めていこうと思っております。 ○内田委員 もう一点、気になったことを思いついたのでよろしいですか。今回、特定 保健指導が始まりますけれども、患者さん、病気を持った方に対する、しっかりした栄 養管理、栄養指導をやる方が、疾病の重症化の予防であるとか、先ほど中村先生がおっ しゃったように、入退院を繰り返すとか、そういうところでの対応としては非常に重要 だというふうに、むしろ病気を持っている方に対する、しっかりしたケアを提供すると いうことの方が大事ではないかというふうに思っております。そういう意味からも、地 域において医師、看護師、管理栄養士、ヘルパーさんとか、そういう職種まで連携でき るような体制をつくっていくということがすごく重要。勿論、患者さん自身も御家族の 方も含めて、そういう体制をつくっていくことが非常に重要な課題ではないかというふ うに思っていますので、是非、今後ともよろしく連携のほど、お願いします。 ○中村委員 ありがとうございます、本当に。 ○田中(平)座長 ほかにどなたかございませんか。山田先生、どうぞ。 ○山田委員 マンパワーも非常に大切で、管理栄養士さん、保健師さん、あるいはそれ 以外の医療関係者の方が育つということは、それがあって初めてなんですけれども、私 たちも、特保、あるいは特別用途食品制度を普及・啓発するお話はよくやるんですが、 今まで先生たちが言われたように、特別用途食品というものの存在、あるいは言葉も知 らないという医療関係者の方々が非常に多いです。ですから、マンパワーがあっても、 特別用途食品がなければ、次は何も進まないだろう。今、この検討会の中も、名前は別 の似たようなものでもいいのかもしれませんが、こういう栄養素の成分をそれなりの状 況、健康状態の方々に合わせるようなもので、かつ、いいものを多くつくって、そして、 それらが使いやすいように、管理栄養士の方がそばにいなくても、そばにいる、在宅の、 一番横にいるケアをする人がある程度理解をできて、サポートできると、そこまで持っ ていく必要が今後あるんだろう。  ですから、在宅医療の問題、あるいは高齢者の、将来、大変なことになるということ が目に見えているので、私どものような、こういう会議があるんだろうと思いますがけ れども、1つ言いたいことは、会社の方には、特別用途食品をもっと多く、きちっとし た食品として、種類を多くつくっていただきたい。それから、どのようにそれが使えれ ば、目の前にいる、入院はしていなくても通院している方のケアができて、予後がもっ とよくなるかというのを目的とするような方向に、マンパワーもつくりながら、かつ製 品も広げるということの方が重要ではないかなと考えています。  以上です。 ○田中(平)座長 ほかにどなたか御意見ございませんか。浜野先生、内外の情報とも 比較して、国際人ですから、お願いしたいと思います。 ○浜野委員 これから検討するに当たっての考え方についてですが、現状、御説明いた だいた資料を見ますと、ある意味では本来の病者用食品、まさに特別の用途の食品とい う制度でありながら、実態としては多分、低カロリー食品、あるいは糖尿病食のように、 普通の人をある意味では意識したような、あるいはその人を対象にしたような商品も出 ています。本来の特別用途食品、狭義の特別用途食品、あるいは病者用食品という形で 考えていくのか、あるいはもう少し広く、健康を気にしている人たちも含めて、こうい う制度を考えていくのかを少し絞り込まないと、話がかなり広がってしまうのではない かなという気がいたします。  これは2番の「現状に対応した対象食品の見直し」ということとも大いにかかわると 思いますが、先ほどの宅配食も、マーク付きのものとマーク付きでないものが同じよう に、ときどき新聞広告などでも見ますが、混在していますし、低カロリー食品、ほとん ど甘味料なんですが、これもマーク付きのものとマーク付きでないものが普通の食品の 売り場にあります。特別のコーナーではありますが、そういう状況があるので、その辺 でそれを整理するとすれば、この制度そのものを、どういう位置づけでいくのか、かな り絞り込んだ形でいくのか、先ほど議論がありましたように、在宅であるとか、本来の 目的で使えるような制度にきちんとするのか、もう少し広い制度にするのかという辺り を最初に決めておく、考えておく必要があるのではないかなという気がいたします。 ○田中(平)座長 それはここでの大きい論点だと思います。中村先生の調査にもあり ましたように、人形マークを使っている病院が少ない実情であります。先ほどの資料13 にもありましたように、宅配では病名も堂々と使える。私は特保で非常に苦労しており ますから、すなわち特保では絶対、病名、診断、治療、予防というのを使えませんが、 かなり自由にこのように使えるわけです。そういったところからも、中村先生は形骸化 しているという言い方をされておられましたが、もっと広げていくのか、アメリカのよ うに自由にやっていくのか、あるいはもう少し品質や安全の保証をして人形マークを普 及させていくのか、その辺りのことが大きい論点であるかとは思います。  どうぞ。 ○田中(慶)委員 浜野委員のつながりでちょっと発言させていただきますけれども、 2−2の絵をさっきからずっと見て、これで本当に合っているのかなと思っているんで す。特別用途食品の、特に単一食品に関しては、特保とそんなに違わないような気がす るんです。そういうふうな説明もちょっとあったみたいですけれども。例えば、スポー ツ食というようなものをもし考えるとしたら、これはどこに入るのかなという気もしま すし、特別用途食品の議論を、一体何をターゲットにするのかという辺りをもう少しき ちっとしていかないと、特保といつも微妙なところで線引きが困難になってくるんでは ないか。特に消費者というか、使う側の人にとっては、どっちでもいいと言えばどっち でもいいのかもしれませんけれども、やはりある程度、もう少しきれいに、本当に病気 の人だけですよ、あるいは特殊な人だけですよというんであれば、それはそれでいいの かもしれませんけれども、では、スポーツ食みたいなものはもうやらないんですねとい う整理を一回する必要があるのかなという気がするんです。 ○田中(平)座長 スポーツ栄養の話が出てきたわけですけれども、スポーツ栄養はま たかなり特殊な分野ではないかなとも思ったりしているんです。例えば、新体操の選手 などはヘモグロビンが一桁台ですね。非常に特殊な栄養分野であるわけですので、そう いったことを言うのか、あるいは通常の者がジョギングするという程度のことを対象と するのかということで、なかなか難しい問題ではあるようです。この資料、先生御指摘 のように、2−2にありますように、どちらかというと特別用途食品は有病者というの か、病気の方の方ですし、特保の方は、ボーダーラインから健康者的な要素があるんで はないかなということであります。  どうぞ。 ○山田委員 よく講義をするときに皆さんにお話しするんですけれども、特別用途食品 というのは、いわゆるクラシカルな意味で栄養素を上手に配合というか、バランスを変 えて、治療なりに食べるものであり、特保というものは、栄養素以外の何かのもの、勿 論、食品成分ですが、栄養素というものに限らず、その機能を使って体の調節に関与し ましょうというものです。ですから、よく言われるのが、英語でフードコンスティチュ ーエントとか、フードサブスティチュートとか、決してニュートリエントという言葉は 使わないで、体の、ヘルスプロモーションに役立てましょうというふうな概念だと思い ますので、ここで考える場合には、特別用途食品というのは、クラシカルな意味での栄 養素をバランスを変えて、体の維持、あるいは回復に持っていくためには、どういう制 度にあった方がいいんだろうというふうにするものだろうと考えています。 ○田中(平)座長 ありがとうございました。  ほかにどなたかございませんか。どうぞ。 ○犬伏委員 今の山田先生のおっしゃることはよくわかるんですが、今、メタボリック シンドロームという言葉がやたら聞こえてきますが、ダイエット的なものという部分も、 この特別用途食品の中に入ってくる可能性もあるのかなと、考えたとき、今、既にいっ ぱい、いろんな種類のものが巷にあふれていますので、人形マークだけに頼って、それ だけを使いなさいよと言われれば別ですけれども、まだそこまでいっていない状況の人 が、これを食べることによって、糖尿病にかかりませんよ、メタボリックシンドローム になりませんよというような勧誘というか、紹介というものもある可能性があるのかな という心配をしてしまいます。  それで、3のところの「対象者への適切な情報提供」というところが、これは摂取対 象者、もしくは介護者を指しているのかと思いますが、そこが広がる可能性、明日はあ なたも摂取する可能性があるから、今、食べておけば摂取しなくて済む可能性もあるの かもしれないといったこちらの勝手な思い込みで行間を読んでしまう可能性を考えます と、○3つ目のところが、私としては、気になるところです。先に開発ありきになって しまうと、いろんなものができてしまうような気がして、山田先生のおっしゃるように、 未然防止というのは開発や進展を邪魔してしまう場合が多いことは理解しながらも、折 角良いものを開発してもつまらないことで躓くと良い結果にならないように思ってしま います。そういう意味で在り方を考えてはいけませんか。 ○田中(平)座長 意見ですので、出していただいて、それを参考にして、よりよい制 度にしていきたいと思いますので、御遠慮なく御発言ください。  ただ、肥満症は確かにこの病者用食品になってくると思いますが、ダイエット、つま り、やせている人がもっとやせたいというのが、悪いですが、日本の女性の特色として あるのは事実ですので、それはちょっとということもあるかと思います。本当に肥満し ている人のための食事ということであるわけですね。  それでは、一応、「新しいニーズに対応した特別用途食品の役割」は、犬伏先生はも う2番の方へ行っていただきましたので、時間の都合もありますので、それぐらいにし ておきまして、2番目の「現状に対応した対象食品の見直し」ということについて、御 議論いただきたいと思います。勿論、1へ戻っていただいても結構ですので、自由に御 発言ください。どうぞ。 ○山田委員 1点提案したいんでございますけれども、対象食品の見直しに当たっては、 先ほど、いろんな食品があるということですけれども、特別用途食品の実態、一体どの ような形で普及しているか、あるいは流通しているのかというふうなことを、より詳し く把握するためには、多くの関係する諸団体から、実態はこうですよというふうなヒア リングを行うようなことをしたら、まずはいかがでしょうか。そういったことを提案し たいと思います。 ○田中(平)座長 ただいま山田委員から、関係する諸団体からヒアリングを行うこと について御提案があったんですが、いかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。 (「はい」と声あり) ○田中(平)座長 ありがとうございます。それでは、次回以降に、具体的にどのよう な団体等をお呼びするか、場合によっては、公募といったらおかしいですが、そういう こともあり得るんではないかと思いますけれども、座長、私に一任していただけたらあ りがたいと思いますので、よろしゅうございますか。次回以降にはそのようにしたいと 思います。ありがとうございました。  ほかに、どなたか御意見ございませんか。  資料2−13に値段は書いてあるわけですが、700〜800円というので、通常のコンビニ エンスストアやスーパーで売っている弁当よりもやや高い目ですかね。仮に700円とす ると、1日2,100円ということですが、どうなんでしょうかね。お金としては結構かか る感じですね。1日一遍か1週間に一遍ぐらい食べているようではまた意味もないわけ ですし、継続的に摂取しなければ意味がありませんので、ものによっては1食1,000円 ぐらいのものもあるように聞いているんです。ですから、いろいろ注文はつけてもコス トが上がってきてはというような感じもいたします。そういう意味でも、なかなか大き い問題であるかと思います。  ほかにどなたか御意見ございませんか。どうぞ、井上先生。 ○井上委員 濃厚流動食を制度の対象にすることによって、どういうメリットがあるん ですか。 ○玉川室長 本日は具体的に濃厚流動食がどういうものかといった資料を全くお出しし ておりませんので、説明に具体性が欠けるところがあるんですけれども、今はともかく 病者用とかという形で表示の仕方ができないということであります。したがってこれは 先ほどのダイエットなどと比べますと、そうした濃厚流動食を使おうと考えられる方と いうのは、実際に病者、病気の状態にある人しか恐らくないのであろう、もっぱらそう いう人を対象とした食品であろうというのにもかかわらず、病者用という表示ができな いといったことから、事業者が販売を展開するに当たって、さまざまな形の情報提供の ところで、病者を前提とした情報提供の仕方ができない。そこは文書等によらないよう な形で、実際上、こういうことで使ってほしいということなどを伝えようとしているよ うではあるのですが、広告表示等の形でできないので、非常に患者への情報提供が制限 されて、流通のところで不都合を来しているといった話があるやに聞いております。  詳細については、先ほど、例えばヒアリングという話もあったと思いますので、そう いうところで生の声があれば、より詳細にわかるかなと思います。 ○井上委員 実際に在宅で胃ろうをつくって、そこからいわゆる食品と呼ばれる経腸剤 を入れている患者さんは非常に多いんです。これからどんどん増えるだろうというふう にして、在宅療養を進める上では非常に大きな問題になるんです。そこのところが、こ れでどっちにメリットというんですかね、家族、本人にあるのか、それとも国にメリッ トがあるのかというので、ちょっとよくわかっていないところがありましてお聞きした んです。 ○田中(平)座長 国にメリットというよりも、やはり消費者といいますか、国民の皆 さん、あるいは患者さんのメリットということが大きいんではないかと思います。その バランスも確かに重要かもしれません。 ○井上委員 先ほどの診療報酬の関係に戻るんですけれども、保険診療で医薬品となっ ている栄養剤と、食品の状況である栄養剤とがあって、在宅に行ったら、医薬品を使え ば患者さんの負担は少ないとか、そういう問題が結構、医療の間では大きな問題になっ ています。 ○田中(平)座長 ですから、今、保険適用をやっておるものも考えざるを得ないのか もしれません。この検討会でどうするかということですね。それも一般的に販売できる ようにという意見もあるかもしれませんし、やはりそれは保険適用を続けよという意見 もあるかと思いますので、その辺りも討論はしていきたいと思ってはおります。その点 について、どうぞ。 ○玉川室長 検討会としては、あくまでも表示をする場合に、許可を与える場合にはど ういうことかといったことが、最終的にはここの所掌だと思いますけれども、そういう ことを導くに当たっては、さまざまな背景について意見交換をしていただかないとなら ないと思いますので、そういう形で議論が深まるということは、認識が深まるというこ とでは大変いいことだろうと思います。  適用を決めるところかどうかということで言いますと、それはこの場ではないという ことでありますので、そういう役割分担ができればと思っております。 ○田中(平)座長 どうぞ。 ○犬伏委員 単純なことを言いますと、先ほどの2−13のところに、先生、2,000円と かおっしゃいましたけれども、病院に入院中の負担はこれだけかかりませんね。食事代 というのは、その病院の全体の中でのやりくりだと思いますけれども、これだけかかっ ていないわけです。ベッドがないから、自宅療養ですよと退院してきたときに、1日2, 000円、3,000円という負担ができるかというと、貧乏人は大変だなという気がします。 ○田中(平)座長 強制退院というのはちょっと、いろんな事情がありますから。患者 さん側から言うと、そういう表現になるんだとは思います。どうぞ。 ○井上委員 最近ものすごく思っていることなんですけれども、病院の中の食事がまず いというのがずっと、何か常識的になっていますね。院内の栄養士さんと話しても、材 料にお金をかけられないというところがあるんですね。それは患者さんが払うお金の量 を少なく抑えようという方針になっているんですけれども、要するに、入院するとお金 を安く払うだけで食事ができるという考え方自体、実は、そういう時代ではなくなって いるんではないかなというふうに私は考えているんです。  アメリカなどでいくと、これは格差の問題になりますけれども、お金持ちの人はいい 食事が食えるんです。自分で払えば。日本はそこのところがまだ不十分ですし、食事を するということ自体、医療のレベルを上げるということに実はつながるわけなんです。 病院に入院したら、お金を余り払わなくてもそこそこのものが食えるという考えが日本 じゅう広がっていまして、そこのところは考えておくべきだと私は思うんです。 ○犬伏委員 そんなことは思っていないです。その病気を治すための、管理栄養士さん がきちんと計算したものを食べさせてもらう、普通に払う医療費の中にそれが含まれて いるという意味ですから、決して安く入院しようとか言っているわけではありません。 ○田中(平)座長 どうぞ。 ○玉川室長 事務局から発言するのも変なんですけれども、多分、通常の栄養摂取の場 合は、普通の人がとるときには、その栄養摂取はその人自身が賄ってということになる んだと思います。  ただ、特別なニーズを抱えている方の場合は、通常の食品ではなくて、ちょっと特殊 なものをとらなければならない。それは指導を受けながらとらなければならない。その 際に、特殊なものだから、普通のものよりは多分、コストとかということでも、手間暇 かかるというところがあるんだろう。  ただ、例えば、こういう大臣許可の表示の制度があることによって、ニーズをまとめ ることによって、機会費用が減るということになれば、例え特殊なニーズのものであっ ても、もう少し楽に入手ができるようになるんではないか。そういうときにこうした制 度が媒介となってうまく回っていけばということを考えているわけであります。そうは 言っても、最後は現場での指導とか何とかという体制ができなければということはその とおりなんでございますけれども、許可の在り方、区分とかというところから見て、こ ういうふうにしたならば本当にうまくいくということであれば、御意見いただきたいと 思っております。 ○田中(平)座長 ありがとうございました。予定の時間がまいりましたので、本日の 検討会はここで終了したいと思います。消費者側としては、できるだけ負担をなくして という意見が出てきますし、井上先生は、個人のことだから個人負担という、どちらか というとアメリカ型の方ですし、犬伏先生はどちらかというと、これは議事録を残して いただきたくないのですが、北欧型ですかな、その代わり、税金をものすごく取るわけ ですね、北欧は。ですから、税金を上げるのかという話にもなってきて、ここの検討会 ではとても手に負えないような話かもしれません。  日本は今、大体、中間的なところですね。ですから、今後、アメリカ寄りになるのか、 北欧寄りになるのかということですね。アメリカは金持ちなようですから、自分のこと は自分の金でやれというように徹し切れるんでしょうけれども、日本はまだそこまでい きませんしということで、なかなか大きい問題であります。これはこの検討会と余り関 係ないですけれども。  次回以降の日程でございますが、事前に委員の皆様の御都合をお伺いしたところ、で きるだけ多くの委員の方に御出席いただける日程としまして、第2回検討会は、主とし てこれはヒアリングになるんですかね。 ○事務局 いいえ、御議論もいただきます。 ○田中(平)座長 そうですか。ここからヒアリングも始まりますか。2回目から。 ○事務局 座長と調整の上ですけれども、幾つか呼べるところがあれば始めようと思っ ています。 ○田中(平)座長 12月21日、金曜日の午後に開催するということでお願いしたいと 思います。会場等について、正確な時間もそうですが、調整の上、改めて事務局から連 絡をさせていただくこととしたいと考えております。  本日は、これをもちまして閉会といたします。どうもありがとうございました。 - 1 -