07/11/16 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年11月16日議事録 07/11/16 中央社会保険医療協議会          第110回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成19年11月16日(金)10:02〜11:43 (2)場所  はあといん乃木坂フルール (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 前田雅英委員       室谷千英委員  対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 高橋健二委員 松浦稔明委員  竹嶋康弘委員 鈴木満委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       古橋美智子専門委員        <事務局>       木倉審議官 原医療課長 他 (4)議題  ○検査の評価について       ○精神医療について       ○平成20年度診療報酬改定の基本方針の検討状況について(報告) (5)議事内容  ○土田小委員長  ただいまより、第110回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催い たします。  最初に、出欠状況について御報告いたします。本日は、白石委員が御欠席されておりま す。  それから、保険局長は公務のため欠席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、最初に「検査の評価」を議題としたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。中医協診−1−1の資料をごらんいただきたいと思います。  検査料につきましては、今現在実際に検査をする実施料と、それから検査結果について 評価をする判断料に分けて評価されておりますが、このうち実施料につきましては改定時 の衛生検査所調査によります実勢価に合わせて大体年々点数が切り下げられてきておりま した。一方、判断料につきましては技術料という観点から年々高くなってきたということ でございます。  参考資料の診−1−2の1ページの図表1でございますが、昭和63年を100といた しますと、判断料のほうは全体といたしまして2倍強まで全体の点数が上がっている。そ れに対しまして実施料のほうは7割を切る水準まで下がってきているという状況でござい ます。  検査の実際の現状なのですが、この実施料が年々下がるという中で、特に病院内での院 内検査で行うものがだんだん費用に見合わないということになりまして、院内検査室の閉 鎖等も行われていると聞いておりまして、患者の、特に入院患者さんなどの病態の変動に 合わせた速やかな検査が実施できないなどの問題が生じているという指摘もございます。  それから、院内検査の場合、救急患者あるいはその検査した直後に検査値が非常に異常 値を示したときに速やかに医師へ報告をして患者さんの状態を判断するということができ るわけですが、なかなかその体制が十分評価されていないという一方の問題がございます。  また、実際の検体検査の中で、特に微生物学的検査につきましては、機械的にできる部 分が非常に少なくて人的な労力がかかる等々から、実施料に対してその費用が見合ってい ないという項目がございます。それから、このことについては衛生検査所は外部精度管理 という形で、外で検査精度が保たれているかどうかと、そのような取り組みに参加する必 要があるのですが、その傾向が減少しているところがあります。実際にその微生物学的検 査の受託を取りやめたというところも出てきていると考えられます。  参考資料の1ページの下の図表2に「精度管理参加施設数の推移」というのがございま すが、一般の血液などを対象にした臨床化学、免疫血清検査、あるいは血液検査というの は参加施設数が徐々に増えてきているのに対しまして、微生物学的検査は減少してきてい るという現状にございます。  引き続いて参考資料の2ページの図表3でございますが、「衛生検査所と院内検査所と の比較」で、実際の院内検査所での検査を実施するというものに加えて、ここに出ており ます迅速にできるとか、あるいは24時間対応ができるとか、パニック値といいまして、 患者さんに何か起こったときに極めて高い数値を示すようなものがありまして、それにつ いて迅速に対応ができるということ等々のメリットがあるわけですけれども、なかなかそ の部分が十分な評価がされていないということであります。  下の図表4は微生物学的検査の中からよく行われます5項目をちょっと見てみましたが、 ここではまず蛍光顕微鏡等を使いまして細菌を実際顕微鏡で見てその種類を判断するとい う検査ですが、これなどは実施料、点数に比べまして実際の費用が2倍を超えていると。 それから血液などを培養して細菌を同定する、どういう種類かを決定する検査についても 同じようでございます。それから、細菌の場合は抗生物質が有効なわけですが、そういう 抗生物質に、どの抗生物質が有効かと、その感受性の検査があるのですが、これなどもた くさんの種類をやりますと、この試薬の原価が非常に大きくかかりまして、そういう結果 で全体として赤字になる。それから同様に、抗酸菌、これは結核菌などですが、この分離 培養であるとか、同じく薬剤感受性の検査でも赤字になっていると。このほかの項目でも 赤字になるところがあるわけですけれども、このようなよく使われる検査で非常に赤字に なるということで検査をやめたところが出てきていると聞いております。  本体のほうの2ページ、「論点」でございますが、このような臨床検査あるいは検体検 査そのものは、診断や治療を実施するために必須のものでありますし、医療のベースを、 根幹を成すものであると。したがって、必要な検査が必要なときに速やかに実施できるこ とが求められるわけでありますが、それができない状況になりつつあると。ひいては患者 の不利益につながるということになりますので、このような迅速な検査体制、あるいは2 4時間の体制などについて重点的な評価をしてはどうか。  また、微生物学的検査等、受託をするところが減少しているような項目については、当 然ながら実勢価を踏まえつつも再評価することを検討してはどうかということを御提案申 し上げます。  3ページ、「第2 病理学的検査診断・判断料について」です。病理学的検査につきま しては、診療報酬上、第3部の検査の部の中に病理学的検査があわせて書かれております けれども、臨床検査そのものと病理そのものは学問的にも違う分野でございまして、病理、 病理学そのものは、例えばがんの最終的な診断をするとか、あるいは病期のステージの判 断をすると、そういう場合のなくてはならない検査でもあるわけですけれども、そのため に非常に重要な役割はあるのですが、その他の臨床検査等と同じ検査の一部になっている というのが現状でございます。  これに対して、病理学会等から、病理学の重要性に鑑みて、その位置づけについて配慮 していただけないかということが求められておりまして、この場でも検討していただきた いと思っております。  また、具体的に病理学的検査診断料とか判断料そのもののもの、あるいはいろいろな技 術がありますが、技術そのものの評価につきましては医療技術評価分科会や先進医療専門 家会議における検討を踏まえて検討していくということで、今回は「第3部 検査」の一 部となっている病理学的検査等について新しい部を創設してはどうかということを御提案 したいと思います。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  この検査についてはただいま説明のありましたように、第1の検査料の評価体系のほう と、それから第2の病理学的な検査に係ることと、2つに分かれておりますので、一応2 つに区分して議論いただきたいと思います。  第1の検査料の評価につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞお願いいた します。 ○鈴木委員   この「論点」の(1)は非常に必要なことだと思います。賛成したいと思います。  (2)でございますけれども、実勢価による評価、これは一方で当然な話だと思います けれども、医療課長の説明の頭の部分で判断料と実施料の話をされましたけれども、もし 判断料が下がるようなことであれば判断料は下げるべきでないというふうに申し上げてお きます。 ○土田小委員長   御意見として承っておきたいと思います。 ○対馬委員  (2)ですけれども、実勢価ということで、これまでもどちらかというと実勢価を見ます と下がっており、そう言うと語弊があるかもしれませんけれども、ある種の財源としてき たと思います。  それで、今回の実勢価というのはもう既にある程度わかっているのでしょうか、それと もこれから調査するということなのでしょうか。その結果、全体的に下がっているという ことであれば、実勢価でということですから、また下げざるを得ないのだろうというふう に思うのですけれども、そのあたりはどうなのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)   衛生検査所調査そのものは現在実施中でございます。  それから、結果についてなのですが、要するに、例えば先ほどの微生物学的検査という 場合に、赤字を覚悟して引き受けるか、あるいは赤字だからやめるかということになりま すと、やめたところの結果は出てこないということが一方であると。それから、医療機関 と個々の契約はするのでしょうけれども、全体として引き受けている場合に、赤字を覚悟 してその部分を引き受けて、その他の部分では若干黒字で、合わせて全体として黒字にな るというようなこともありますので、そのあたり、確かに実際には下がっているけれども、 本当にコストと見合わないのかどうか。実際に微生物学的検査につきましては、その院内 検査における結果と院外に出したときの結果が必ずしも一致しないといいますか、外の場 合は陽性率が低いということで、検査精度の問題を若干心配されますので、そういうこと も加味して、今回は微生物学的検査について実施、実際の値段も見ながら考えていっては どうかということです。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。 ○竹嶋委員  全体的には賛成でございますが、今対馬委員からも御発言がございました、実勢価格が 今下がっているならそれで、というお話でしたけれども、今課長のほうから御説明ござい ましたけれども、実際に精度ですね、こういう検査というのは、その精度が落ちると、そ の価格が下がってそれを受けるところが少なくなって、あるいはいろいろな人的資源等々 で精度が落ちることがあってはこれは大変だと思うのです。そこら辺はやはりきちっと私 ども全体でされていくと、そういう議論は必要であろうと思います。 ○松浦委員  「論点」の(1)は病院・診療所が直接やる検査のことでしょうか。それで(2)が外 注のほうのことを言っているのでしょうか。違うのですか、そういう解釈は。 ○事務局(原医療課長)  (1)のほうは、ちょっと説明を飛ばしましたけれども、2ページをごらんいただきた いと思いますが、「現在の診療報酬上の評価」ということで、検体検査実施料の中に時間 外緊急院内検査とか、あるいは外来でその日採血をしたり、検体をとった後その日のうち に結果がわかると、その日のうちに聞いて帰れると、そういうような場合の加算とか、そ れから一番下のほうに検体検査管理加算というのがございますが、これは院内で(II)の ほうは常勤の専任の検査の医師がいると、それからそのほかの体制があるわけです。 (I)のほうは常勤の医師はいないけれども院内でほぼ必須の検査ができるということに ついて評価しております。こういう部分について(I)はそれを再評価してはどうか。 (II)のほうは、これは実は検体検査料そのものは外に出しても中でやっても同じなので、 検査料そのもの、実施料そのものを変えると。要するに、外注だけには限りませんので、 院内でやっても同じ点数です。その実施料そのものを変えるということを考えております。 ○松浦委員  それでは、(I)のほうには外注は含まれない。 ○事務局(原医療課長)  厳密に言いますと、院内にブランチラボといいまして、外の業者が病院の中の施設を使 って検査を受託するというような形態も実はございます。実際の体制が通常の病院で直接 やる場合と変わらないような体制の場合です。その部分について必ずしも否定できないと は思っておりまして、そういう意味で、要するに、患者さんのところへのデータのフィー ドバックがどれぐらい迅速かという観点で整理をしていきたいと思います。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○松浦委員  はい。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。  それでは、ただいま承った御意見を参考にしてもう一回整理をしていただきたいと思い ます。  それでは、第2の病理のほうにつきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。 ○前田委員  これはちょっと横道かもしれないのですが、今問題になっている医師の萎縮診療を回避 するというようなことも含めて、その死因究明を医政局で今いろいろ議論して、医療安全 の委員会をつくって何とか立ち上げが軌道に乗りつつあるというところだと思うのです、 私も若干お手伝いさせていただいているのですが。その中でやはり、組織の中で病理の先 生のウエートが非常に大きいと。やはり、この診療の問題とちょっとずれる面があるわけ ですけれども、やはり病理の仕事がきちんと評価されて、その基盤がきっちりできるとい うことが、その事故調なりにとって非常に重要なポイントになってくると考えております。  その意味では、本質的な部分とちょっとずれるのかもしれませんけれども、診療報酬上、 その評価をするという方向で前向きに進んでいくということは、医療全体、ほかの部分を 含めてプラスになるのではないかということで、この3ページの「論点」に関しては賛成 をさせていただきたいと考えております。 ○土田小委員長   どうもありがとうございました。 ○鈴木委員   異論ありません。 ○土田小委員長   どうもありがとうございます。 ○対馬委員   私どもとしても異論はありません。 ○土田小委員長   ということで、早々と結論が出たようでございますが、それでは、この病理の部会の意 向ということも含めて、この問題はそういう形で対応していただきたいと思います。  それでは、次の議題に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。  次は、「精神医療」について議題としたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、最初に説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)   医療課長でございます。中医協診−2−1の資料と診−2−2の資料を使わせていただ きます。  精神医療につきましては、入院と入院医療、外来医療、救急医療、そしてあとは薬の長 期投薬の問題、4点について御説明をしたいと思います。  まず、精神保健福祉施策につきましては、平成16年に精神保健福祉対策本部が、「精 神保健医療福祉の改革ビジョン」というものを出しまして、「入院医療中心から地域生活 中心へ」という、そのような基本的な方針を推進するということになっております。この 中で、参考資料の1ページの図表1を見ていただきますと、入院から退院、そして地域で の生活の流れに対しまして、入院中におきましては病床等の機能分化が必要、病状期に応 じたそれぞれのふさわしい病棟、それからあるいは疾患や状態に応じた専門的な治療、そ れから回復期におけるケア。これに対しまして診療報酬でも入院基本料の逓減制を強化す る。逆に初めのほうは手厚くしたということですね、相対的に手厚くなったというような ところ。それから、診療報酬でも退院に向けた調整のところを、退院前の訪問指導の回数 等の充実を図ったところでございます。  この入院に応じて適切な治療が行われますと、退院に向けた動きが出るわけですけれど も、精神障害者の場合、やはり退院調整というのは非常に重要な役割でございまして、個 別の支援でありますとか、御本人あるいは家族に対する相談や助言、あるいは地域環境で の相互調整、こういうようなところが必要になってくるわけでありますが、診療報酬でも、 先ほど言いましたように対応しましたし、予算措置等々でもこのような退院促進支援をし ているところでございます。  それから、地域での受け皿整備ということで、在宅医療の充実でありますとか、あるい は住まいの場の整備、このようなものが必要になるわけでありますが、都道府県でつくり ます障害福祉計画における目標値を設定して退院支援施設を創設していくと、このような ことになっております。  また、地域での地域住民や関係者の意識の啓発というもの、これも非常に重要なところ でありまして、「心のバリアフリー宣言」等々の広報・啓発事業でありますとか、自治体 等でのいろいろな取り組みのための研修を行っているというようなところでございます。  これによりまして、最近は入院されてから退院するまでの期間も比較的短くはなってき ております。参考資料の2ページをごらんいただきたいと思います。これは、「精神病床 における患者の動態の年次推移」ということで、トータル32万人程度、常に入院してい るわけですけれども、1カ月未満の患者、それから1カ月以上3カ月未満の患者、3カ月 以上1年未満の患者、1年以上の患者さん、こういうように分けてそれぞれのところにど ういうような動きがあるかというのを見ていきますと、一番左端、年間の入院患者総数は 33万人から平成16年37.8万人まで年々増加してきております。  これに対しまして、入院して1カ月未満にすぐに退院できる患者さん、1カ月未満の四 角から下のほうに退院患者の線が出ておりますが、平成14年から16年にかけて6万人 から7.6万人と、この部分では年々増えているということであります。ただし、1カ月 未満ですべてさっきの増加が終わるわけではなくて、次の1カ月以上3カ月未満のところ の箱の移動もやはり増加しているということで、この箱も年々増えるのですが、その部分 での退院患者も増えている。  それから、3カ月を超えるところにつきましては、14年から16年にかけて14.6 万人から15.9万人と少し増加している。これに対しまして退院患者もやはり1万人ほ ど増えておりますので、結局1年を超えて入院が続くという方の流れは4.6万人、5万 人、4.9万人と、まあ増加とまではいかないということで、1年を超えてくる方はもち ろんおられるわけですけれども、そこの部分はかなり増えているわけではなくて、新規の 入院患者さんの増加分は数的には1年未満で大体退院できるようにはなってきているとい う現状があります。  ただし、この1年以上のところ、23万床のベッドがあるのですが、ここにおられる患 者さんたちが少しは減ってはきているのですけれども、必ずしも退院患者が増えているわ けではないということで、結局、ここの部分が非常に状態として一番ボリュームもありま すし、この部分でなかなか退院が進んでいないという現況であると考えられます。ですか ら、この部分の退院を促すような取り組みをやはり重点的に考える必要がありますし、さ らに、やはりできるだけ早期にという部分も、両方考えていく必要があるだろうと考えて おります。  3ページ目をごらんいただきたいと思いますが、実際の入院患者の疾病の内訳でござい ます。真ん中の一番分厚い部分が統合失調症関係の疾患でございまして、この部分、非常 にボリュームは大きいわけですが、年々減少はしてきていると。それに対しまして一番下 とその次の枠が、色が濃いところですが、血管性等の認知症であるとかアルツハイマー病 ということで、この部分が近年非常に増えてきていると。それから、統合失調症の上の枠 で、19.5、21.3、22.2、24.4となっている、これが気分障害の部分で、 うつ病等がこの部分に該当する。この部分も若干伸びてきているということでございます。  それで、この認知症の患者さんについてですが、4ページをごらんいただきたいと思い ます。老人性認知症疾患治療病棟の入院患者さんですけれども、どのような理由で入って きたかというと、やはり問題行動を起こすというのが386人中312人であります。さ まざまな問題行動がございます。それから家族で必ずしも抱え切れないという負担の大き さ等々がございますし、あるいは身体合併症を持っておられる患者さんもここでは約3 0%近くおられるということであります。  そして、どこから入院してきたかといいますと、これはちょっと色がついているのがわ かりにくいのですが、34%が在宅患者さんである。在宅から入院してきた。それから2 5%が介護施設から入院してきた。それから11%が精神科の療養病棟というのがありま すが、そこから認知症病棟にかわってきた。このような方々で3分の2ぐらいを占めてい るということでございます。  また、入院医療につきましてもう1つございまして、5ページをごらんいただきたいと 思います。「精神科医療施設における身体合併症患者の割合」ということで、ここでは精 神科の救急病棟と、比較的短期間で帰らせるための精神科急性期治療病棟と、それからい わゆる総合病院の総合的な、急性期病院と考えていただいてもいいのですけれども、その ような病院での精神病床の患者さんを見てみますと、総合病院での精神病床というのが軽 症を含めますと5割ほどおられますし、特に中等症以上というのが2割を超えているとい うことになっております。この総合病院での精神科治療というのは身体合併症を持った患 者さんにとっては非常に重要な役割を果たしているのですけれども、必ずしも今現在特別 な評価が行われているわけではございません。  それから、資料のほうをずっと説明していきますが、外来につきましてですが、6ペー ジをごらんいただきたいと思います。通院患者さん、ごらんのように、平成8年から患者 調査をやるたびに年々増加してきているということになっております。特に一番下の部分 の血管性等の認知症、あるいはアルツハイマー病も伸びておりますし、それから統合失調 症を超えて一番多いのが気分障害、躁うつ等を含みます気分障害と言われるものが最近は 非常に増えてきているということでございます。  それから、外来、これは精神科診療所の状況ですが、7ページをごらんいただきたいと 思います。ここでは57施設の精神科の診療所における患者1人当たりの診療時間を推計 いたしました。初診も再診も合わせた時間数でありますが、大体1人にかかる時間が5分 未満という診療所が、これでいきますと3カ所程度です。多くが1人に大体10分前後か けていると。全体の平均は約15分という結果になっております。ですから、1時間に4 人ぐらいを診察しているという状況であります。  それから8ページをごらんいただきたいと思います。これは精神科救急入院料の算定施 設でありますが、申請中も含めまして現在35施設、そのうち民間病院が15施設になっ ております。おおむね精神科の専門病院というところが目立っておりますが、空白の都道 府県がけっこうたくさんあるというのがこれを見てごらんいただけるかと思います。この あたり、やはりもう少しこの救急入院料、しっかりやっているところもございますので、 この評価をしっかりしていく必要があるだろうと考えております。  では、本体の診−2−1に戻っていただきまして、2ページをごらんいただきたいと思 います。入院の現況につきましては、先ほど資料のほうで説明をさせていただきましたが、 (5)のところ、「特別入院基本料について」でございます。これについてはちょっと資 料はございませんでしたが、現在、精神病床につきましては、医療法で、これは換算値で すが、25対1の看護配置を当分の間の経過措置として認められておりますけれども、診 療報酬のほうでは今年の3月31日までの経過措置として、この特別入院基本料の算定を 認めているわけでありますが、今の現況でいきますと、20年4月以降、この25対1の 看護配置では診療報酬が算定できない結果になるというふうになっております。  それから3ページは、現在の診療報酬上の評価ということでございます。精神病棟の場 合は10対1から20対1の区分で入院基本料が定められております。そしてその別の枠 として特別入院基本料があるということであります。  それから4ページをごらんいただきたいと思います。ここでは上の四角で囲ってありま すところの点数のところで、訪問看護の分野ですけれども、退院前の訪問指導につきまし て、先ほど、ほかの科にはない特徴がございまして、入院期間に応じて退院前の訪問指導 ができることになっておりまして、ただ3月を超えると見込まれる患者さんについては3 回まで、6月を超えると見込まれる患者さんについては6回までと、こういうような形で 訪問指導料を算定できることになっております。  それから、精神科の訪問看護・指導料、これは実際入院外の患者さんに行くわけですけ れども、その場合には週3回までと、ただし退院3カ月以内においては週5回まで、これ もほかにはない状況になっております。精神科の訪問看護・指導料(II)のほうは、非常 に点数は低いのですが、いわゆるグループホーム等々、そういうようなところに行く場合 に算定する点数でございます。  そこで、「論点」でございますが、(1)は、先ほど言いましたように、入院期間が1 年以上の長期入院患者さんに対して、この方々に安心して地域での生活を営めるように退 院支援計画に基づく退院調整をここでは充実させてはどうかと、そういう取り組みによっ て地域移行を進めるような医療施設について評価をしてはどうかということでございます。  また(2)は、1年未満の患者さんについても、先ほど言いましたように、比較的短期 で退院される方も増えておりますが、さらに一層、入院直後から退院支援をして長期化し ないように、そのようなことをこの退院前の訪問指導などで環境づくりをしてはどうかと いうことでございます。  (3)は、退院後すぐに再入院とならないためにも、退院後に精神症状が急性に悪くな った、増悪した場合に、医師が診察した後一定期間精神科の訪問看護によりまして手厚い 医療を提供していくことによって再入院を回避できると言われておりますので、一定の要 件の下でこの算定回数を緩和してはどうかと。先ほども言いましたように、現在週3回と いうのが原則になっている。  それから(4)でございますが、認知症患者さんにつきまして、特に入院早期において は、せん妄等で非常に大声を出すとか暴れたりということがありますので、そういうとき の手厚い医療の提供、あるいはもともとの身体合併症を持っておられる方もたくさんおら れますので、そういうような合併症の診療体制、こういうことについて着目した評価をし てはどうかと。  (5)でございますが、身体的疾患をあわせ持つ患者さんにつきまして、例えば総合病 院等での身体的な医療が充実した、総合病院で他科もしっかりと見てくれるというような 精神病床における精神医療、これについて評価をしてはどうか。  それから(6)は、先ほどの特別入院基本料について、医療法上の取り扱いとの整合性 を図る観点から、現在経過措置として認められている部分につきまして、20年4月1日 以降も延長してはどうかという御提案でございます。  次のページ、6ページでございます。「外来医療について」でございます。外来につき ましては、先ほどごらんいただきましたように、特に気分障害の方々の増加が顕著に増え ていると、それで全体としても増えていると。そういう中にあって診療時間を見ていきま すと、短い施設から長い施設までございましたけれども、このあたりをどう考えていくの かということで、今回は「論点」のところでありますが、精神科外来における精神療法に ついて、通院精神療法ですが、これの一律の評価がなされているわけでありますけれども、 患者の状態に応じてはやはり診療が長時間となる場合もありますので、患者の特性などに 合わせて診療時間に応じた評価を導入してはどうかというのが御提案でございます。  7ページをごらんいただきたいと思います。「精神科救急医療について」でございます が、先ほど言いましたように、地域によってこの整備状況が、整備状況といいますか、施 設基準を満たしているという病院の差がたくさんあったわけでございますが、これは施設 基準が確かにかなり厳しく設けられているところがありますので、そのような部分をどう 考えていくかということがあります。  一方で、精神科の救急医療施設に来た患者さんにおいても、やはり3カ月を超えるとい う患者さんが30%ほどございますので、こういう精神科の急性期医療の部分でもやはり 退院支援に係る取り組みを考えてはどうかということが課題として言われておるわけであ ります。  8ページをごらんいただきたいと思います。この精神科救急入院料の施設基準の一部を 抜粋してございますが、例えば精神科救急入院のための看護配置は10対1でありますと か、常勤の精神保健指定医が5名以上、これはかなり必要です。それから病棟としても隔 離室を含む個室が半数以上。それから、この次の2つが数としての要件ですが、時間外や 休日深夜における救急外来が年間200件以上。あるいは都道府県単位あるいは精神科救 急圏域などにおきますそこでの新しい緊急措置入院、あるいは応急入院に係る全患者のう ちの4分の1以上をその病院で引き受けること。このような条件がつけられておるわけで あります。このアンダーラインを引いた部分がなかなか難しいということでございます。  「論点」でございますが、先ほど、この年間200件以上の時間外、休日深夜の救急外 来の患者さん、これが人口の少ないところでは、こういう200件以上というのはなかな かクリアできない。ところが、人口の多いところでは患者数が多いために、エリアの中で の4分の1というものを1つの病院が引き受けるというのも、これもまた逆に言うと難し いということで、実は、人口の多いところ、少ないところ、あるいは措置率の高いところ、 低いところあるわけですけれども、そういう状況に応じて、この両方の条件がかかってい ますと、人口の少ないところでは全体の件数がそれほどこないということ、人口の多いと ころでは率としての4分の1というのはボリュームとしては相当数あるのですけれども、 4分の1というのはなかなかクリアできない、こういうふうな条件がありますので、両方 加味して年間として地域での実績、あるいは総数としての実数の問題、そういうところが クリアできるところについてはこの要件を緩和してはどうかということが御提案の1点目 でございます。  それから、先ほど言いましたように、この救急で入ってこられた患者さんについてもで きるだけ早期から退院調整をしていくという取り組みを評価していただきたいと考えてお ります。  それから10ページでございますが、「薬剤の処方日数について」であります。特に精 神障害の患者さんに投与されます薬としましては向精神薬というのがありますが、これは 麻薬及び向精神薬取締法という法律に規定される薬剤を使う場合が多いわけですけれども、 その一部については一応30日処方あるいは90日処方というのが認められておりますけ れども、原則はやはり14日分が限度とされております。このために、現状として、ある 程度安定してきた精神疾患の患者さんであっても、月2回処方を受けるために受診をしな くてはいけないということで、社会復帰の面からいきますとその点が若干阻害要因となっ ているという指摘がございます。  このため、今回この「論点」でありますが、一部の必要な薬剤につきまして、患者さん の状態に合わせて30日処方ができるような形で見直してはどうかと。この薬剤につきま しては、よく使われる薬等々について関係の学会等と御相談をしたいと思っておりますし、 あわせまして、ただ30日といいましても長期になりますので、その処方に当たって残薬 の確認でありますとか、重複処方の有無について必ず確認するようなという義務づけをし てはどうかと考えております。  資料につきましては、以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいま説明がありましたように、この精神医療につきましては、入院医療、外来医療、 精神科救急医療及び薬剤投与日数と、4つに分かれておりますので、この4つに分けて順 番に御審議いただきたいと思います。  最初に、入院医療につきまして御意見あるいは御質問ございましたら、どうぞお願いし ます。 ○鈴木委員  退院ということで、趣旨はよくわかるのですけれども、特殊疾患療養病棟でございます とか障害者等の施設の議論を前に行われたと思いますけれども、そちらでも本来の趣旨に 合うように、こういう血管病変の認知症の患者さんですとか、脳卒中の後遺症に代表され るような方を外へ出すというようなことでございましたので、それは認知症の患者さんの 行き場というところが本当に確立されているのだろうかというところが不安でありますけ れども、障害福祉計画等で在宅に匹敵するような場所の確保等々が参考資料にもございま すけれども、そこは大丈夫なのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  ちょっと質問の趣旨が全然よくわからなかったのですけれども、前回議論いただいた特 殊疾患療養病棟の精神病床の部分につきましては認知症の患者さんが半数以上入っておら れる、そういう病棟につきましては、個々に調べていませんので、すべてかどうかわかり ませんが、この認知症疾患治療病棟から多分移ってきた病棟だろうと思いますので、今回 この病棟につきまして、先ほどのさまざまな評価がもしできるなら、ということでもあり ますが、そちらのほうに、認知症病棟のほうに病棟ごと戻っていただくのがいいのではな いかと考えております。それが1点です。  それから、退院の受け皿…… ○鈴木委員  行き場が万全かどうかと。 ○事務局(原医療課長)  認知症の患者さんについてですか。 ○鈴木委員  退院後の当該の患者さんたちの行き場がきちんと保障されているのかということです。 ○事務局(原医療課長)  それは認知症の患者さんについてですか。認知症の患者さんについて今退院促進は特に やるということはないのですけれども、ただ、もちろん介護保険のほうでグループホーム とかそういう形での対応がされていると聞いていますし、それから多分かかりつけ医に対 する、かかりつけ医を支援する、かかりつけ医さんにも勉強してもらうし、その勉強して いただいたかかりつけ医をサポートする精神科の専門医のような体制をつくっていくとか、 それから地域での認知症疾患の医療センターを創設するとか、そういうようなさまざまな 取り組みを担当官のほうでやっていると聞いていますので、その環境は整いつつあるので はないかと考えます。 ○竹嶋委員  今御説明いただきましたけれども、私たちとしては要望として挙げさせてください。退 院後の行き先がないというようなことがあってそういう人たちが困らないように、受け皿 の整備をお願いしますということを要望させていただきたい。  もう1つこれは質問ですが、総合病院という、ちょっとさっき説明は聞いたのですが、 総合的に見ると。具体的にはどういう病院を想定しているのでしょうか。例えば他の医療 機関とかいうところで連携してやるというようなこともいいのですか。総合病院というイ メージを具体的に。 ○事務局(原医療課長)  もちろん医療法上、総合病院と昔ありましたが、今は書いてないのですけれども、当時 は総合病院の場合には、これこれの診療科を並べてやってこれを持つことというような形 で書いてありますし、ここでは言葉的にはいわゆると私は言いましたけれども、内科や外 科の多くの診療科を持った、いわゆる急性期を中心とした病院というイメージ、その中で 精神病床も当然持っていただいているところ、そういうようなところについて、要するに、 身体合併症をしっかり診られるというようなところのぼんやりとしたイメージを今ここで はちょっと総合病院のというふうに書かせていただいたということでございます。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。 ○対馬委員  全体的に評価したいということですので、財源の関係が気にならないことはないのです けれども、財源の手当てができればこういった施策をぜひやっていけばいいのではないと いうふうには思います。  2点ほど質問したいのですけれども、1点は冒頭のところにも書かれていますが、医療 福祉の改革ビジョンは、平成16年でしたが、私もこのときにたまたま委員をさせていた だいたということもあるのですけれども、当時の議論として確かに7万人退院可能だとい うことが1つと、できるだけ早期に退院をしていただいてはどうかということがあったと 思うのです。必ずしもこの中医協の場の問題ではなくて、医政局というよりはむしろ精神 障害福祉部での問題になるのかもしれませんけれども、それがどういった現状になってい るのか、進んでいるのか進んでいないのか、そういったことがわかればと思います。  どういったことを申し上げているかといいますと、参考資料の年次推移表の2ページ目 では全体が進んでいるのか進んでいないのか、必ずしもよく見えないのです。御説明でも 確かにございましたとおり、早期に退院いただくというのが全体的には進んでいるという ことです。ただ、患者さんの数自体は必ずしも減っていないということもあるのですが、 一方で、1年以上はそれほど大きくはありませんけれども、毎年1%ずつ前年からの入院 継続患者は減っているのですよね。当時の議論としても、1年以上の退院率については1 0年かけて大体8%ぐらい増やしていこうということなので、1年1%というと少ないよ うにも見えますけれども、当時の計画からしますときちっと計画どおり進んでいるといっ た見方もできるのです。  そういう意味からして、また別途の機会で精神病床を議論するときに、当時からもう3 年たっていますので、今現在どういった位置づけになるかを教えていただければというの が1点です。  もう1点は、医療法との関係なのですけれども、これは本文では、「医療法では、25 対1の看護配置を当分の間の経過措置として認めている」とありますが、一方で、中医協 の点数では20年3月までとなっており、それなりの対応を図らなければいけないのです けれども、どうも私の感覚からしますと、医療法が基本法であり、基本法で認めている事 に対し我々はそれに点数をきっちりつけていくということなので、医療法が「当分の間」 で、我々は「20年3月まで」であれば、いつまた延長することになるのかと危惧します。 どうも話が逆のような感じもするので、医政局と保険局の間の議論というのはどうなって いるのか、疑問なしとしないというふうに思います。 ○事務局(原医療課長)  まず、早期退院の取り組みということなのですけれども、網羅的にちょっと、シェーマ 的に出せる資料は今現在手元にはございませんけれども、障害者自立支援法の成立ととも に、退院促進支援事業の制度化とか、あるいは退院可能精神障害者の目標値を設定した障 害福祉計画、こういうようなものの計画的なサービス整備ということがされていると聞い ております。  それから、医療法のほうですが、本則のほうは、精神病床、いわゆる4対1ということ で、こちらでいうと20対1に相当するわけですけれども、それが本則で書かれておりま して、附則のほうで、当分の間、ここでいうと25対1に相当ということに書かれている。 ちょっと前回の議論で詳しくはまだわかりませんけれども、その部分で特別入院基本料の 中で実はこの25対1部分についての評価が20年3月までというふうに書かれているの は、ちょっとどういう経緯で書かれたのか私のほうで承知しておりません。 ○対馬委員  ぜひ医政局のほうとよく、当時のいきさつを含めて対応をお願いしたいと思います。 ○小島委員  この特別入院基本料の問題について御質問と、それから意見を言っておきたいと思いま す。  精神病棟の入院についてのところで議論しているので、精神病棟の特別入院基本料につ いて、最後のところでは経過措置の延長という、そういう論点ですけれども、ここは精神 病棟のみの延長ということなのですか。それともほかにも一般病棟の特別入院基本料もあ りますし、それから結核病棟の特別入院基本料というのも設定されているのですけれども、 そちらはどうするのかということの関係と、それから、事前にいただいた資料の中では、 精神病棟の入院基本料、この特別入院基本料をとっているところは、今年の5月現在、7 0の医療機関で1万ぐらいの病床があるということなので、実際に来年の4月までにこれ が解消できるかどうかというのはなかなか難しいということで経過措置の延長ということ だと思うのですけれども、その際に、仮に延長ということになったとしても、期限をつけ ずにこのままずっと延長ということでいいのかどうかというところがあると思いますので、 そこについてはやむなく延長ということであれば、一定幅の期限を切るというのが必要で はないか。あるいはその解消に向けて、25対1なので次の20対1に向けての何らかの 努力というか、そういうものを評価した上で延長というような、そういうような議論とい うのは、あるいは検討というのは必要ではないかというふうに、そこは意見です。 ○事務局(原医療課長)  特別入院基本料は一般病棟にもあるのですけれども、このような経過措置をつけている のはどこもありませんので、精神病棟だけです。ここでは実は特別入院基本料を、前回1 と2があって、看護師比率が例えば2割ないと、ほとんどが准看の人ばかりというような 病院はやはり特別に落ちていくようなものもありましたし、今回は実は夜勤の平均72時 間とかそういうようなところの条件とか、今回その看護師比率も上げたりとか、そういう ことから特別入院に落ちている部分はあります。その部分は別にそれはそれで残るのです が、この25対1の部分について経過措置が設けられていてなくなるということになって おります。この部分については、もちろん医療法のほうでその附則の当分の間がいつまで かという期限は切られていませんので、それはそちらのほうと整合性を合わせて考えてい きたいと思っております。  それから、従来、医療法との関係でいきますと、医療法の標準を満たさない病院が昔 多々あったときに、特に老人の入院料につきましてはその他の十幾つとかいろいろな区分 を設けながら徐々に底上げを図っていったと、そういう経過もありますので、そのあたり、 患者さんは入院されておられますので、いきなり診療報酬ゼロというわけにいきませんの で、その辺も含めながら経過を検討していきたい。  それから、実際に25対1以下のところの数については関係団体のほうからそれほど多 くなくて、2年間では解消できないかもわかりませんけれども、いずれもう少し上に上が るとか、その他の特定入院料の病棟に移るとか、そういう形で解消できる見込みというふ うには聞いておりますので、そういう状況を見ながら経過措置については考えていきたい と思います。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○西澤委員  この「論点」の(1)、(2)、(3)ですけれども、確かにむやみに追い出しみたい なことをやれば非常に問題だと思うのですが、ここに書かれていることは、きちっと「退 院支援計画に基づく退院調整」とか、「入院直後から退院支援」するとか、それから退院 後もきちっとした継続的な指導をするということで、追い出しということよりは、きちっ と退院後どうだということを見ながら進めていくというので、これはそこをしっかりやる のであれば非常にいいことだと思いますので、ぜひ賛成したいと思います。  また、最後の25対1ですけれども、やはり医療法のほうとの整合性というのはござい ますので、これはそちらが整理つくまでは当然のことと言って当然かなと思っております。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○古橋専門委員  「論点」の(2)でございます。こうした検討というのが大変前向きでありがたいこと だと思います。それで、精神看護の訪問というのは大分機運が上がってきておりまして、 熱心に取り組むところも増えておりますが、まだ面としての広がりという点ではこれから だと思います。退院前の訪問指導はここの規定のように現行の3カ月を超えると見込まれ るという事態だけではなくて、早期の退院に向けての支援や事前訪問というのが有効であ るということと、再入院防止に役立つというようなことの意見は現場から上がっておりま すので、ぜひともそうした現行の枠をさらに前倒しをしていくというようなことの検討が なされることが必要と思っております。  それから、ただいま議論になりました(6)の25対1でございますけれども、本当に これが現実どういう病院なのかを行政としてもしっかり把握する必要があると思います。 25対1の配置の現実といいますのは、50床の病棟に9〜10人の看護要員しか配置し ていないということでございます。50人の患者に夜間1人の体制である可能性もあるわ けでございます。複数夜勤を本当にしているかどうかの把握も要りますが、そうなります と、患者さんと職員の医療安全と人権とQOLの問題が大変大きいといえます。こうした 体制が国として容認され続けるということは、やはり日本の精神科医療の水準が問われる ということでございますので、医政局がこの問題を早く取り組まれる責任がおありなので はないかと考えております。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。そういう意見が出たということを医政局のほうにお伝え 願いたいと思います。 ○松浦委員  25対1というのは、これは入院基本料は何点なのでしょうか、それが1つ。  それからもう1つは、「1年以上の長期入院患者に対して、安心して地域での生活を営 めるよう」という(1)のところですけれども、これは退院を進める、地域に帰った後は、 これは医療の範囲になるのですか、福祉の範囲になるのですか、その辺はどういうような ことをお考えでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  まず1点目の25対1の点数は特別入院基本料になりますので、3ページでございます が、1日につき550点という点数、特別入院基本料。  それから、地域に、要するに、退院後どのような形になるか、退院のときに自宅等へ戻 られる方もおられますし、そのほかグループホームというような形、あるいはアパート形 式のところへ帰られる方がおられますし、それぞれについて病院のほうが深くかかわって いる場合とか、あるいは地域でのさまざまなサービスがかかわっている場合があると思い ます。そのほかに、その場合に、医療がすぐに途切れるということは多分ございませんの で、外来通院もされるでしょうし、そういう意味では医療のかかわりというのは当然ある。 その一方で、当然ながら福祉サイドといいますか、地域でのそういう相談支援体制という ものもやっていくというふうに聞いております。そのほか就労支援とか、そういう市町村 におけるサービスというものもございます。だから、そういうのを組み合わされてサポー トをしていくということになると思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。  ただ、ついでに一言申し上げておきたいと思いますが、こういう介護保険とのかかわり がいろいろと議論が出てくる機会が最近多いわけですので、ぜひこの中医協にも担当課長 なりを出席していただくよう、ここから要請しておきたいと思います。  ほかにございませんか。 ○山本委員  「論点」の中で、精神科退院前訪問指導というのがあります。退院後の療養状況まで考 えて事前から十分な訪問指導をしていくということでありましょうが、入院中もそうであ りますけれども、精神科では薬を使うケースが多かろうと想像しておりますので、そうし た退院時の、退院前の訪問指導の際にも病院の薬剤師の活用についてぜひお考えいただき たいと思います。よろしくお願いいたします。 ○土田小委員長  御意見として承っておきたいと思います。  ほかにございますでしょうか。  それでは、次の外来医療につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞお願い します。 ○対馬委員  外来の全体の体系がわからないのですが、資料6ページ目の四角の中に「診療に要した 時間が30分を超えたときに限り」というのがございます。また、参考資料の7ページ、 時間別のグラフを見ますと30分以上のところは多く25分から30分は全くないので、 30分以上を対象にするというのはよくわかる。この場合30分のところを起点にしてい るのか、それともちょうど15分あたりのところで分けますと、両方に正規分布で2つに 完全に分かれるわけです。精神疾患の場合、特にこういった治療は時間が少しかかるとい うのはもちろんわかるのですけれども、そこが例えば15分あたりで切りますと、いろい ろな問題が生じないかと思います。そのあたり、どうお考えになっているのかをお伺いし たい。 ○事務局(原医療課長)  参考資料のほうの図は、これは診療所の数ですので、実は患者さんがどういう分布をし ているかを見ますと、時間が短いほうがたくさん患者さんを診ておられますので、実は患 者さんの分布としてはもっと短いところに行っていると考えております。  それで、ここの通院精神療法の四角書きのところの読み方ですが、1番目は何かという と、初診の際に精神保健指定医が30分を超えたときに500点がとれると、そのときだ け500点です。例えば初診でも時間が短かったり、あるいは精神保健指定医以外の方が やった場合には「1以外の場合」ですので、病院でしたら330点、診療所なら360点。 再診の場合は時間にかかわらずこの点数がつく、そういうような構成になっております。  患者さんの分布は、先ほど言いましたように、この図よりも見た目よりもずっと短時間 の方が患者の数としては多くなっていますので、その時間をどのあたりに決めるかという ことは十分慎重に考えたいと思いますが、それ以下ならゼロにするわけには到底いきませ んので、その一定程度のところで少し差を設けるということを今考えているということで ございます。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。  ほかにございましたら、どうぞ。 ○鈴木委員   時間も大切だと思いますけれども、やはり診療内容、精神科でしたらいろいろな面が考 えられますので、他科からすると多少無理なところはあるかもしれませんけれども、診療 内容ということも加味された点数算定ということをお願いしたいと思いますし、先ほどお 話に出た介護保険との関係ということのあたり、どちらかというと認知症というのは介護 保険にシフトしていますので、それはやはり医療保険でももう少し診療等がきちんとでき るような形が望ましいと思います。認知症の専門医の先生に早期の判断等をお願いすると した場合、昔は込んでいても1〜2カ月の待機で済んだのですけれども、今は8カ月も待 たなければいけないという状況があるらしいものですから、相当この辺の問題には対策が 必要だと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。 ○松浦委員  さっき会長から介護保険の担当者をという声がありましたが、その人がおいでになって からまたこういう議論ができるかどうかわかりませんから。もしできるのであれば、退院 した後の医療の領域と福祉の領域がどういうぐあいにかかわっていくかというのは、わか りやすいようなそういうものはできませんかね。図表か何か、そういうようなもので、絵 でも結構ですから。 ○土田小委員長  お願いできますでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  いつ資料を出せばいいのかわかりませんが、一般の精神の状況と認知症とまたちょっと 違いますので、その両方の場合について、医療と介護や福祉とのかかわりですか、そのあ たりについて図を準備したいと思います。 ○松浦委員  私の場合は一般の精神のほうをもちろんお願いしたいと思います。 ○土田小委員長  わかりました。  ほかにございますか。  それでは、3番目の精神科の救急医療について御審議をお願いしたいと思います。  御意見、御質問ございましたら、どうぞお願いします。 ○西澤委員  この精神科の救急医療というのも非常に大切だと思うのですが、参考資料の図表8を見 るとおり、これだけ非常に少ないというのは非常に問題で、やはり国民、患者さんにとっ てはちょっと悲しいことだなと思っております。そういうことでは、やはりもっとたくさ ん広げていくべきだと思いますので、今回の施設基準を見直すということには賛成いたし ます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。 ○竹嶋委員  西澤委員と同じようなことですけれども、全国で35施設という、こういう資料がござ いますね。やはり、中医協は診療報酬を評価するところですが、これこそまさに政策面で 十分別なところで協議してもらうということを、中医協のこの場からでも厚生労働省を通 じて要望させていただきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)   精神科の救急体制というのは47都道府県でいろいろと取り組んでおられて、精神科救 急の取り組みというのはかなり充実しているのだろうと思うのですが、ただ、診療報酬上 なかなかこの要件が厳しくてこの入院料が算定できないという声も聞いておりまして、そ ういう意味では、要するに、全都道府県で精神科救急のシステムというのは動いていると いうふうには、そこはいっている。ただ、特に入院が必要な場合の精神科の救急入院のた めの施設もあるのですけれども、点数がとりにくいということが今回の論点で、その部分 について十分一定程度やっていただいているところに今度算定できるような条件の緩和を していきたいと、そういうことの趣旨でございます。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○西澤委員  はい。 ○土田小委員長  つまり、8ページのこの図の組み合わせ、先ほど説明ございましたけれども、そういう ことをもう少し緩和していきたいという趣旨だと思います。  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、そういう方向で整理していただきたいと思います。  最後に、薬剤投与日数につきまして御意見、御質問を。 ○鈴木委員  これは確認というか質問ですが、社会復帰の観点からで、「精神疾患患者等」、「等」 がついていますけれども、これはいわゆるこの精神科の患者さんだけではなくて、例えば 一般の患者さんもこの一覧表にあるような薬を、例えば高血圧の患者さんなんかには投与 するものですから、それもやはり14日になっておりますので、それを含めた「等」と理 解してよろしいのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)   御指摘をありがとうございます。今回はこの精神疾患について議論していただいたので すけれども、実はここで「等」と入れておりますのは、同じ候補の中で麻薬ですね、特に 前回議論いただきました緩和ケアについてもそのような要請が来ておりまして、別にここ で麻薬も一遍にやりますよという意味ではないのですけれども、緩和ケアの部分なんかに もこういうものがあるということで、長期投与ができるような薬剤についてはいろいろな 場面がありますので、特定をした上でまた御審議をいただきたいと思います。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。 ○山本委員  「論点」の指摘でございますけれども、薬剤師としましても大変ありがたい処置だと思 っております。現場で調剤しておりますと、指導の面で多少混乱をすることがございます ので、ぜひこの方向で進めていただきたいと存じます。  なお、「論点」の中にあります、重複投薬であったり残薬の問題につきましては、日ご ろ私ども薬剤師はそれが仕事でございますので、常々患者さんとの対応の中で、残薬ある いは飲み残しあるいは薬剤の重複といったものを確認をしておりますので、これまで懸念 されておりましたような、長期にすることによって発生するであろうと恐れられていた乱 用等の防止も含めて薬剤師としてきちんとした対応を進めてまいりたいと考えています。 よろしくお願いいたします。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。ただいま発言ありましたその残薬等については薬剤師会 を通じてもしっかりやっていきたいという発言だったと思います。 ○対馬委員  私どもがあまり心配することではないかもしれないのですけれども、向精神薬のリタリ ンの問題で、処方せんの発行や、いろいろ問題があって、依存症の方が増えているのでは ないかというのがつい先般マスコミ等で取り上げられたわけですので、対象の日数を14 日を30日、90日と拡大する際は、中身をよく吟味しながら実施することだとは思いま すけれども、そこはよくお願いしたいと思います。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。よろしくお願いしたいと思います。  ほかにございますか。 ○室谷委員  すみません、ちょっと確認ですけれども、「論点」のところで、「患者に確認すること を義務付けてはどうか」と書いてありますけれども、だれが確認をするというふうに考え ていらっしゃるのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)   これは処方する医師が患者さんに確認すると、そういうことを書いております。 ○室谷委員   これは30日処方を見直してということで、患者が病院へ行く回数を少なくするために という目的でしたよね。医師が確認するということはどういう方法で確認をされるという ことですか。 ○事務局(原医療課長)   これは次の通院に来られたときに、飲み残しがどれぐらいありますかとか、ほかでもら っていませんかということを確認してください、そういう義務づけということです。 ○土田小委員長   よろしいですか。  それと先ほどの山本委員の発言に関連しますと、一応医師がそういうことを言った後で 薬剤師会としてもそういうことに対して何らかの対応をしていきたいということだと思い ます。ちょっともう一度。 ○山本委員  薬剤師は既に義務ということではなく、ふだんの仕事、当然の仕事として服薬状況の確 認をしております。そのことが実は院外処方せんを発行されて薬剤師がそれにかかわると いうことの根幹でありますので、義務・非義務にかかわらず、既にそうしたことをやって おりますので、わざわざ義務と申されなくても、きちんとそれは仕事としてやっていると いう認識でおりますので、よろしくお願いいたします。 ○土田小委員長  よろしいですか。どうもありがとうございます。  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、この4点について御議論いただいてきましたけれども、事 務局におきましては、今日の議論を踏まえまして、もう一度具体的な制度設計に取りかか っていただきたいと思います。  それでは、次の議題に移らせていただきます。「平成20年度診療報酬改定の基本方針 の検討状況」について議題としたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。 ○事務局(原医療課長)   中医協診−3の資料でございます。これは先日、社会保障審議会の医療保険部会・医療 部会に提出した資料をお出しをしております。診療報酬改定の基本方針につきましては、 御承知のように、社会保障審議会の医療部会・医療保険部会でその基本方針を取りまとめ ていただいて、それにのっとってこの中医協の場で改定の具体的な項目を決めていこうと、 こういうような流れになっております。ここでは、医療部会・医療保険部会それぞれ今ま で2回ずつこの基本方針の策定に向けて検討をいただきました。来週、再来週と第3回も 予定しておりますけれども、2回目に使いました資料をここで御提示をしております。簡 単に説明をさせていただきます。  ここでお示ししますのは、全体、どういうようなところを議論していくのかと、ここに 出てきます課題、かなり既に個別にも議論していただいた項目もありますし、これからし ていただく項目があろうかと思いますが、説明をさせていただきます。  1ページ目でございますが、全体の構成として、基本方針の全体は平成18年度の改定 のときに「基本的な医療政策の方向性」という部分がございまして、そう書かれている部 分も踏まえて継続性を重視する観点から、視点については前回の視点を基礎として整理し てはどうかと。  それからもう一方で、4つの視点を前回つくっていたわけでありますが、その視点と、 横断的にといいますか、もう一方で、地域医療の確保・充実のためにかなり大きな問題が ございます。産科・小児科をはじめとする病院勤務医の現状等を踏まえて、この負担軽減 の問題等々、これについては重点に考えるべきではないかという点がございます。  したがいまして、この1ページ目の下に「考えられる視点」として、18年度と同じ4 つの項目を今回も並べたいということが一つありますが、2ページ目をごらんいただきた いのですが、その4つの視点で項目を考えていく前に、各論としての重点事項ということ で、「地域医療の確保・充実を図り、勤務医の負担を軽減するための項目」というものを 出していってはどうかというふうな形で現在議論をしていただいております。  この重点事項では、ここでは4つほど論点が書かれておりまして,1つ目は産科・小児 科への重点評価ということで、ハイリスク分娩管理の評価についての拡大や、あるいは母 胎搬送の問題、それから小児医療についての問題、このあたりについて検討してはどうか。 それから、診療所からの支援ということで、病院の勤務医の負担軽減のために診療所のほ うで時間外等対応をしてもらえないかという問題。それから3つ目は、病院、特に急性期 病院そのもので外来を縮小するような取り組みができないかということで、入院医療の比 重を高めていくための取り組みの評価をしてはどうかと、このあたりも議論をしていただ いたところでございます。それから、院内における事務負担の軽減ということで、医師が 必ずしも自ら行う必要のない書類作成等について、医師以外の者に担わせるという体制に ついて検討してはどうか。この4点を勤務医の負担軽減のための項目として特出しをして いるということでございます。  3ページをごらんいただきたいと思います。1番目の視点は、「患者から見て分かりや すく、患者の生活の質を高める医療を実現する視点」ということで、1番目が明細書の発 行と。18年度で内容の分かる領収書の発行は義務づけられましたけれども、患者の要請 に応じてさらに明細書を発行するということについてどうしていくかと。それから2点目 は、通院治療の質の確保ということで、患者さんの生活を重視するということからいきま すと、がんなどでも通院治療ができたほうがいいわけでありますが、そのために質を確保 しつつ、ここで議論していただいた例えば放射線科の放射線治療などの外来化とか、そう いうようなものの移行を図ることを検討してはどうか。それから、保険薬局の機能強化と いうことで、休日夜間や救急外来診療等もございますし、それから先ほど出ておりました 診療所で夜間延長をしていただけるならば、そういうときのためにも休日夜間での調剤が 必要になりますので、そういう部分について評価をしてはどうかという点でございます。  4ページ目でございますが、2番目の視点としては、「質の高い医療を効率的に提供す る」ということ、そのための「医療機能の分化・連携」でございます。ここの1番目は、 先ほども重点事項に挙げました、外来縮小に向けた取り組みということで、大きな病院、 急性期の病院が入院医療の比重を高めていくという取り組みについて。それから診療所か らの支援ということで、これも先ほど述べたところでございます。それから、質の評価手 法の検討ということで、医療の質についてはなかなかどうやって評価するか難しいところ がございますが、現在さまざまな施設基準というのを設けまして、医師の経験年数やどう いった施設設備が必要かと、このような要件を出しておりますが、逆にもう一方では、や はり結果としてどういう質が高かったかどうかと、そのような評価をする手法について検 討して診療報酬上考えられないかということが3点目でございます。それから4点目でご ざいますが、医療ニーズに着目した評価ということで、これは現在診療報酬上、医療従事 者の配置や医療行為について評価をしているのですけれども、真の医療ニーズに応じたも のであるかどうかについて検討してはどうか。ここはこの場でも真の医療ニーズについて 7対1のところの議論をたしかさせていただきました。  5ページでございますが、在宅医療の推進。後期高齢者医療制度の中でも、特にこの在 宅医療を中心に考えておりますが、74歳以下の部分でありましても在宅医療というのは 非常に重要なファクターでありますので、緩和ケア等々ですね、こういうようなものも含 めまして在宅療養支援診療所を中心に医療関係者の連携を図って在宅医療が推進するよう 検討する必要があるということでございます。それから、産科・小児科への重点評価とい うことで、これは先ほどの重点事項の1番目に掲げた事項ではありますが、このような質 の高い医療を効率的に進めるための評価と。そのほか7番目は歯科医療の充実ということ で、これは歯科医療について次回、来週になると思いますが、議論していただきます。そ のような口腔機能の総合的な管理というようなところ等々について充実を考えたいと。そ れから、効率的という意味では、院内における事務負担の軽減、これは先ほど述べさせて いただきました。  次の6ページをごらんいただきたいと思います。視点の3番目ですが、「我が国の医療 の中で今後重点的に対応していくべきと思われる領域の評価」ということで、がん対策が 1番目でございます。これについては一度議論をしていただきました。2番目が脳卒中対 策、これは予防から発症時、あるいはそれから在宅へ行くまでのリハビリとかあるいはそ の地域連携、そのあたりについて評価をしてはどうか。それから自殺対策、それから子供 の心の対策、これにつきましても中医協で一度議論していただきました。それから、医療 安全の推進ということで、医療安全についての法改正等、改正法の施行もございましたの で、それらも含めまして、さらなる向上の観点から評価してはどうかと。それから、イノ ベーション等の評価ということで、革新的な新薬等々につきまして、その評価方法につい て考えてはどうかということ。あわせて後発医薬品の使用促進のための環境整備について 検討すると。  それから8ページ、視点4でございますが、「医療費の配分の中で効率化余地があると 思われる領域」、これは1つ目は新しい技術等の評価で、新しい技術について一方で評価 する、一方で置き換えができるものについては着実に置き換えが進むような施策というも のを考えていく必要がある。それから2番目が後発医薬品の使用促進、それは先ほどの革 新的な新薬の評価の裏返しとして、この後発医薬品への置き換えについて検討すると。そ れから、市場実勢価格の反映というところでは、医薬品や材料等という「もの代」、ある いは先ほど議論いただきました検査について、これについて市場実勢価格等を踏まえた適 正な評価を進めてはどうかと。それから4番目、医療ニーズに着目した評価ということで、 真の医療ニーズに応じて評価されているかについて、評価についてどう考えていくのかと いうこと、これは視点2の(4)からの再掲でございます。  このようなものを前回出しました。  9ページでございますが、「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子の具体的検討」とい うことで、「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」につきましては、特別部会で結論を 出していただきまして、既に中医協で議論を始めているということを逆に報告をいたした ものでございます。これらにつきまして今議論をしていただいておりまして、両部会にお きましては、できれば今月中にこの基本方針について取りまとめをしていただきたいと考 えております。  以上でございます。 ○土田小委員長   どうもありがとうございました。  10月の初めからいろいろ個別の議論をしてまいりましたけれども、こういう資料が出 ますと、全体の中でどういう位置づけだったのかということ、あるいは全体の改革として どういう方向に向かっているのかということが大分はっきりしてきたというふうに思われ ます。  まだ時間が多少ございますので、どうぞ御自由に御議論いただきたいと思います。 ○松浦委員  18年改定に比べて、2の各論で「地域医療の確保・充実」を図るという項目がぽんと 掲げられました。18年の改定をやってみて、それでは18年度よりこの「地域医療の確 保・充実」は充実したのかどうか。その辺は私の実感から言えば、こういう項目が出ると いうことは、ますます深刻になっているというふうに私はとらえているのですが、そのこ とを考えれば、「考えられる視点」で(1)〜(4)、あるのですが、これは18年と同 じようなことをやっているわけですね。これ以外に医療保険部会で何かこういうことも別 でこれは考えているよというものがないのでしょうか。  それからもう1つは、診療報酬改定だけ我々やるわけですから、ほかのことは医療保険 部会でまず方向を決めなければいかぬ。それで薬のほうにはイノベーション等の評価とい うのがあるのですが、お医者さんのほうのいわゆる基礎的な、基礎医学というのですか、 どう言うのかしらぬけれども、基礎の部分ですね、そういうものについてこの診療報酬改 定やって、臨床のほうをやっているお医者さんの収入と、それからもう1つ、この基礎的 な研究だけやっていくお医者さんと、収入面でのバランスはとれているか、そういう面で のチェックはできているのでしょうかね。全然系統が違いますから、イノベーションとい うのは薬だけ評価しているのですけれども、お医者さんのほうのいわゆる医学のほうでも、 その辺はどうなっているのでしょうか。 ○土田小委員長   2点質問が出ましたけれども。 ○事務局(原医療課長)   1点目の、視点につきましてはこの4つ挙げさせていただいているのですけれども、2 ページ目に書かせていただいた地域医療のところで掲げました4つの具体的項目につきま して、産科・小児科については18年でもハイリスク分娩管理加算等々評価した部分はあ りますけれども、そのほかの(2)や(3)や(4)の取り組みについては18年に別に 取り組んだ事項ではないと、今回新しく取り組みたいという事項だと考えております。  それから、基礎医学、医師の給与を全部把握していないのですけれども、基礎医学では、 例えば今回病理というのが基礎医学の一つになるわけですけれども、病理などについても 今回は評価をさせていただいた。基礎医学というのは非常に幅広くて、非常に研究的な分 野がありますので、その分野について収入がどうかというのは私どもではちょっと把握し ておりません。 ○松浦委員   そういうことは中医協では取り上げる機会はないわけですから、ですから、薬のほうだ けイノベーションについての評価ということがあって、肝心の本体の医療のほうは、基礎 的な部分、恐らく分野は広い。私も今日は病理という項目が出てきたからちょっと基礎医 学のことが気になったのですが、この診療が臨床ばかり行って収入がいいからそっちに医 者が行くと、基礎のほうにはあまり行かないと、そういうような傾向はないのでしょうか。 ○土田小委員長  ちょっと誤解されているかもしれません。つまり、薬剤に関してイノベーションのあれ が出てくるのは、その結果、新しい薬剤が出てきた場合の評価をどうするかということで、 ここでイノベーションにかかわっていくということだと思います。それから医療に関して も、新しい医療技術が出てきた場合には、ここでまた新しく評価を行いますので、やはり その医療の本体に関してもイノベーションは全く関係ないというわけではありませんので、 したがって、そういう基礎医学をベースにして新しい医療技術なり、あるいは新しいそう いうのが開発された場合には、ここでその点数で評価していくということですから、同じ ようにイノベーションの成果に関しては、薬剤だけではなくて医療技術にしても評価して いるというふうに僕は理解しております。  そういうことでよろしいのですよね、医療課長。 ○事務局(原医療課長)   個々のいろいろな基礎医学の成果として、ここはあくまでも診療報酬ですので、診療の 場面に出てくるものについては医療技術評価分科会等で当然評価をしていただいて、いず れここで新しい項目として議論していただくということになりますので、純粋な研究だけ ではちょっとあれですけれども、それが応用的に診療の場で使われるようになると、その 部分もひいては評価されるというふうには考えております。 ○松浦委員   だから、評価されないまでの部分で、それは大事なことだと私は思いますけれども、私 は。だから、そういうことが技術になれば当然これはもう臨床も絡んでやるわけですけれ ども、それ以前の分について、ここで議論しようと言うわけではないのですよ、もっと別 のところで何か議論をされていますかということを聞いているわけです。 ○土田小委員長   医療保険の財源としてはそういう基礎医学に対しては向けられておりませんので、した がって、それは別の財源でもってやると。 ○松浦委員   いやいや、ほかのところで議論されているかどうか、それを聞いているのです。それは わかりますか。 ○土田小委員長   それは文部科学省とかいろいろなところでやっているわけですので、まあ一応答えてい ただきましょう。 ○事務局(原医療課長)   厚生科学審議会というのがありますので、その中でいわゆるライフサイエンス分野とい いますか、生命科学の分野、これは当然ながら文科省のところでもいろいろ研究は進んで いる。それから当然厚生労働省の部門もあります。そういう意味では、そういうところで 研究の充実とか、そういうところは十分に審議されていると考えます。 ○松浦委員   この場ではあまりやってもしようがない。  それでは、もう1つのいわゆる産科とか小児科とかそういったところに点数を回すのが 足りないからこの地域医療の確保・充実をもっと図る、こういう事態ができたのではない かと言うけれども、僕はそういうふうには思わないのです。前にもここで申し上げたよう に、単にここの点数を増すだけでは、かえって、早く病院の修行を終わって自分も開業し たいと、こういうインセンティブが働くだけだと私は考えるのですけれども、それは人間 として違うのでしょうかな。やはり医師の倫理憲章に反することなのですけれどもね、こ ういう考え方は。 ○土田小委員長   御意見として承りたいと思います。 ○竹嶋委員   今の議論に関連して。医療も、御存じのとおり、ずっと歴史の中で動いてきているので す。御論議なんかをしていく中でも資料も出てきました。そういう中で、初めに医師偏在 と言っていましたけれども、これは不足だということで、大体皆さんの御意見が一致した と思うのです。その中で、さらにこれはこのままいきますと、産科とか小児科、こういう ところが、このままだといよいよもう少なくなっていく。どこかでそれを戻さなければい かぬ。産科・小児科、これは私ども賛成でございます。診療側も何とかここはちゃんとや っていかないといかぬと。よく開業医師と勤務医師と差をつけられますが、それは関係な くて、これはやっていかなければいかぬと思います。  もう1つ、ここにはありませんけれども、私どもはやはり医療の本質といいますか、一 番最初に生命、救急医療ですね、産科それから小児科、救急医療、ここはやはりきちっと やっていかなければいかぬと考えています。それに最もかかわってこられるのが勤務医の 皆さんということですから、私どもとしては、勤務医の皆さん方に何とかここで活力を持 っていただけたらと考えております。  それだけです。 ○松浦委員   それでは私は、革命的な取り組みをやる、厚労大臣の国会でのこういう御発言がありま すから、それに期待して、もうこれ以上はやめます。 ○小島委員   この基本方針について、私も社会保障審議会の医療部会のほうのメンバーで、対馬委員 は医療保険部会のメンバーですけれども、そちらでも議論しているわけです。この前の医 療部会のほうで、私は今回のこの基本方針について発言したのですけれども、ここに書い てありますように全体の構成から、基本的にはやはり昨年この基本方針のところで4つの 視点が示されたということで、4つの視点に示されておりますけれども、それは一回の診 療報酬改定でそれが実現するとはならないわけで、やはりそれはそういう視点を基本にし ながら、そういう方向で何とか診療報酬で結局は改定するということであれば、やはり引 き続き、前回示された基本方針に示されている4つの視点というか、それを基本にして2 0年度の改正も進めるべきだろうという発言をしております。  その中でも、重点課題ということで今回示されている地域医療あるいは勤務医の負担軽 減ということについて、既にこれは中医協でも議論されておりますので、そういうことも 重点として盛り込んでいくべきだろうということで、今回示されている項目については、 基本的にそういう方向で基本方針をまとめるべきではないかという発言をしてきたところ です。 ○土田小委員長   どうもありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。  この項目を見ますと大分議論が進んでいるところがあるのに初めて気がつくという、そ ういうところが幾つかあります。ただ1つ、これは議論が終わっているかどうか確認した いのですが、4ページの視点2の「質の評価手法の検討」というところで、「提供された 医療の結果により質を評価する」という項目がありますが、これは従来なかったことでは ないかと思いますが、今回初めて医療の結果を見て評価するというのは具体的にどういう ことなのか、つまり、かなりニュアンスとしては成果主義的なものが感じられるのですが、 それについてちょっと御説明をお願いします。 ○事務局(原医療課長)   どこかで何か報道はあったのですけれども、今事務局で考えておりますのは、回復期リ ハビリテーション病棟について、その回復の度合いがどうかと、個人個人が例えば回復し たから点数が高くなるとか、そういう形ではなくして、回復期リハビリテーション、1つ の病棟での回復ぐあいが非常にいい病棟、それからそこまで行かない病棟、そういうとこ ろをうまく評価して、下手に評価すると患者選別になると言われていますので、そのあた り、状態がいい人でも悪い人でもそれなりに評価がちゃんと合うように、そういう評価手 法を今考えておりまして、それについて非常に成績がいい病棟については評価を高くして いこうと、そのようなことを考えておりまして、多分再来週になると思いますが、議論を いただきたいと思います。 ○土田小委員長  わかりました。最近年をとってきて、既に議論が終わったのかなと心配したのですが、 そうではなくてこれからだということですから、了解しました。  ほかにございますでしょうか。 ○古橋専門委員   4ページの(1)には、「外来縮小に向けた取組の評価」が挙がっております。医師不 足対策の中で大病院の医師の疲労こんぱいが非常に大きく社会問題化しておりますけれど も、これを診療報酬でどう導いていくかというあたりは大変難しい問題だと思います。例 えば今年の7月現在での東大の平均外来患者数は3,200人、あるいは私学で規模の大 きい北里あたりでも2,700人、自治体の都立府中で1,500人でございます。医療 イノベーション下で医療の技術革新とか治療方法の進歩は本当にピッチが速いと、特に最 近の速度は多様で速いということを現場におりましても実感するのですね。最良の医療を 受けたいと願う国民がこのあたりをどう理解し、合意して、納得していくかということが 相まってございませんと、これは文字だけに終わるというふうに思います。そういう点で は、地域連携という点で、地域医療支援病院という構想も出たのですが、これは必ずしも 成功していないということもございますので、これに関しては大きい視点での取り組みが 必要と思います。第一は国民の了解、納得、合意でございますので、そんなあたりをどう 取り組むかが大事と思います。  あとは非常に各論的で恐縮ですけれども、大きい病院が今、診療材料の予算確保で苦慮 しているのが外国の医療材料でございまして、特に心血管、循環器あたりは大変単価の高 い材料購入がございます。これは医療経済実調でも、自治体立の病院の材料費の努力とい うようなことが出ましたけれども、一部ではこういう高度医療をやっているところはこの 経費が大きいのでございます。日本の場合、一体流通の中に何が潜んでいるのか、私は門 外漢的ですけれども、非常に疑念がありまして、どうしてこう高いのかと。県立の循環器 病センターなんかにかかわっておりましたときも大変でございました。この問題を、ぜひ とも流通業者も含め企業体系の中で抜本的に取り組む必要があるのではないかと思います。 これは医療費増に影響しておりますので、解決をぜひして欲しいと願います。 ○土田小委員長  大変重要な御指摘だったと思います。医療材料につきましては材料部会のほうでまた改 めて検討することになっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、御質問ないようですので、本件に係る質疑はこれで終わりにしたいと思いま すが、事務局のほうでは、社会保障審議会の両部会において基本方針が決まりましたら中 医協のほうに御報告をいただきたい。それをもとにしてまた議論を進めていきたいと存じ ます。  それでは、今日の小委員会はこのあたりで終了しますが、ただ僕からちょっと一言申し 上げたいことがあります。それは、昨日のある新聞で、前回の総会におきまして私のほう で医療費の増大についてどうのこうのという発言、プラス改定が正常だというように言っ たという報道がございました。ここにいる委員の方々も皆さん御存じだと思いますが、私 はそういうことは一言も言っておりませんので、報道のほうはぜひ正確にお願いしたいと いうふうに存じます。もしそういうことを言ったとしたら、この辺からワアーッと来るは ずですから、そういうことは一言も言っておりませんので、報道の方には正確な報道をお 願いしたいということを要望したいと思います。  それでは、今日の基本小委は終わりにします。その前に日程をお願いします。 ○事務局(原医療課長)   次回、21日の水曜日、厚生労働省内で行います。テーマは今のところ歯科医療とDP Cについてを予定しております。 ○土田小委員長   どうもありがとうございました。  それでは、終わりにします。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)