07/11/14 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年11月14日議事録 07/11/14 中央社会保険医療協議会          第109回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成19年11月14日(水)10:00〜11:20 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員        前田雅英委員 室谷千英委員  対馬忠明委員(代 椎名) 小島茂委員(代 勝村) 丸山誠委員  高橋健二委員(代 清水)松浦稔明委員  竹嶋康弘委員 鈴木満委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       古橋美智子専門委員        <参考人>       福井次矢手術に係る施設基準等調査分科会長       <事務局>       水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 他 (4)議題  ○手術について       ○糖尿病対策について −生活習慣病管理料の評価について−        −糖尿病ハイリスク患者のケアの充実について−        −人工腎臓について− (5)議事内容  ○土田小委員長  ただいまより、第109回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催い たします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、対馬委員の代理で健康保険 組合連合会理事の椎名正樹さんが見えております。それから、小島委員の代理で勝村委員、 高橋委員の代理で全日本海員組合の清水保さんがお見えになっております。  また、審議官は公務のため途中退席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、最初に「手術について」を議題としたいと思います。本件に関しましては、診 療報酬調査専門組織の「手術に係る施設基準等調査分科会」におきまして中間報告が取り まとめられました。  本日は、福井次矢分科会長がお見えになっておりますので、最初に説明をお願いいたし ます。 ○福井分科会長  分科会長を仰せつかっております聖路加国際病院の福井と申します。それでは、お手元 の資料を使って説明させていただきます。資料は、中医協診−1−1、それに診−1−3 のほうが大部なものでございますが、主としてそちらを用いてお話をさせていただきます。  結論を申し上げますと、内外のいろいろな研究報告書のデータ、現在進行中の研究のデ ータをもとに結論を出そうと努力しておりますが、現在までのところ、結論を出すまでに 至っていないということです。大変恐縮ですが、一定の相関関係、特に何例以上はこうい うアウトカムと関係しているというふうな明確な結論に至るのはなかなか難しい状況でご ざいますので、その状況について説明させていただきたいと存じます。  それでは、診−1−3、ホチキスでとめてある厚い資料です。昨年の7月に分科会が発 足いたしまして、現在まで4回の分科会を開かせていただきました。特に日本人を対象と し、患者さんの要因以外に、外科医のチーム、医療施設の能力、治療プロトコル、手術術 式など、いろいろな要因で手術の結果、アウトカムが左右されるわけですけれども、今ま でのデータでは、ある一つのデータと手術のアウトカムの関連性については、断片的には 日本人についてのデータも出ておりますが、アウトカムに関係すると予測されるいろいろ な要因を同時に分析できるようなタイプの詳細な研究は行われてきておりませんでした。  下にページ数を振ってありますが、2ページを見ていただければと思います。東京大学 の大江先生を主任研究者として、平成17年からスタートいたしました「外科手術のアウ トカム要因の解析と評価方法に関する研究」が行われています。大江先生が私たちの分科 会の委員ということもございまして、この研究グループのデータを主として使わせていた だいて、分科会としての結論を引き出したいと現在のところ考えております。この大江先 生のグループの研究の進め方につきまして、分科会といたしまして、研究デザインの時点 から、できるだけ科学的に厳密な形で行っていただけるようお願いしてまいりました。今 年の7月25日に開かれました分科会で、この研究の中間報告をいただいたところでござ います。  最初の「研究目的」に書いてありますが、最大の目的は、先ほど述べましたように、患 者さんの要因、術前の重症度などの要因、外科医チームの技術的な要因、病院自体の要因、 手術及び周術期の治療プロトコル、術式選択などについて、一人一人の患者さんについて データを得て、多変量解析をすることによって、年間の手術数及び外科医チームの手術経 験数と手術のアウトカムが関連しているかどうかを見ようとするものであります。  「研究方法」には、日本産科婦人科学会、日本泌尿器科学会、日本整形外科学会、日本 脳神経外科学会、日本外科学会、日本胸部外科学会の6学会、14の疾病の手術について 調査をすることを記述しています。  3ページですが、調査方法は、web上での公開と、emailの添付ファイルによる 送信とし、具体的な調査票につきましては22ページ以降に添付しております。22ペー ジをごらんいただきますと、最初が、医療機関から答えていただく調査票で、23ページ と24ページにはそれぞれの手術について個別の患者データを得るための調査票でござい ます。  主として昨年の秋から今年の3月ごろまでに行われた手術のデータを収集して解析する という計画でございます。その結果ですが、5ページを見ていただきますと、今後数には 増減があるとは思いますが、それぞれの学会から術式ごとに症例の登録施設数と症例数を 示しております。  4つの術式について中間的な解析結果しかこの時点では出ておりません。それらの説明 をさせていただきますと、6ページが、子宮頸癌に対する広汎子宮全摘除術についての結 果でございます。187施設から407症例のデータが得られまして、このグラフは調査 期間中の症例数を横軸に、年間件数を縦軸にとっています。7ページ、8ページがそれぞ れ術者と患者さんの要因、真ん中付近に「ステージ」とありますのは癌の進行度をあらわ すものであります。手術する前の腎臓の機能、これも手術の結果と非常に関連することが 多いものですから、少しでも手術の結果に関連すると考えられる要因について調べており ます。  8ページには手術の時間、術中出血量、合併症の頻度などを表にしてあります。これら をまとめたものが9ページにある表です。「アウトカム」というところに、排尿障害の有 無、排便障害、出血量、手術時間と、4つのアウトカムを書いてありますが、要因といた しまして、年間手術件数、主たる術者・責任者の術者経験数、患者の年齢、病気のステー ジ、糖尿病の有無、開腹手術の既往、リンパ節郭清の有無などが多変量解析によって有意 に関係しているかどうかを5%の水準で、有意差があったものを矢印で示してあります。  例えば、病院の年間手術件数が20例以上のところでは、出血量が少ない傾向にある。 主たる術者あるいはそのチームの責任者の経験数が200例以上の場合は、200例以下 の場合に比べて排尿障害が少ない傾向がある。それから、手術時間が少ない傾向があると いうふうな結果に現在のところはなっています。病気のステージがIII以上ですと、排尿 障害も排便障害も出血量も手術時間もそれぞれ悪い方向に有意に動いています。  10ページの腎癌の腎全摘術につきましては461施設から1,704例のデータが集 まりました。分析結果を13ページの表に示しております。この表を見ていただきますと、 アウトカムは手術関連合併症と出血量、手術時間について見ております。現在のところ、 年間手術件数や外科医チームの経験数とアウトカムは有意なものが見出せなかったという 結果であります。  14ページからは人工股関節置換術のデータで、289施設から3,031症例のデー タがこの時点で集まっております。結果を17ページの表に示しております。これも主な ところをごらんいただきますと、アウトカムとして、早期合併症、後期合併症、術中出血 量、手術時間を見ていて、病院の年間手術件数が100例以上の病院では100例以下の 病院と比べて後期合併症が少ない傾向にある。それから、外科医チームの経験数が500 例以上のところは、500例以下のチームに比べますと早期合併症が少なく、術中の出血 量も少なく、手術時間が少ない傾向がある。  最後に、人工膝関節置換術については18ページからのデータに示しますように、34 5施設の3,577名の患者さんのデータを解析しています。21ページの表を見ていた だきますと、アウトカムとしましては、早期合併症、後期合併症、術中出血量、手術時間 ですが、病院の年間手術件数が100例以上の場合は、100例以下の場合に比べまして、 早期合併症、術中出血量、手術時間などが少ない傾向にある。それから、外科医チームの 経験数が500例以上の場合は、500例以下の場合に比べますと術中出血量や手術時間 が少ない傾向にある。  それ以外にも、表の中で矢印で示しているところは、現在までのところ、5%のリスク で統計学的には有意差がある。いろいろな要因がかかわっているというのがおわかりいた だければと思います。  まだたくさんのデータの解析が残っています。恐らく欠損値などの問題もあり、データ の確定や解析にもう少々時間がかかるということでございますので、最終的な報告にはも う少し時間をいただきたいと考えております。  以上です。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  これに関連しまして、事務局からも中間報告を踏まえた資料が提出されております。先 に説明をいただいた上で、その後で質疑を行いたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。中医協診−1−2の資料をごらんいただきたいと思います。  「手術について」ということですが、これにつきましては、手術件数など手術成績に影 響すると考えられる因子の調査・検討を実施していただいたということで、今福井先生の ほうからお話がありましたように、分科会としてこの段階で一定の結論を得るには至らな かったということでございますので、今回は診療報酬上どのように評価していくかという ことについては、今後さらにもう少し研究が深まって、分科会としても一定の結論を得て いただいた上で検討することとしてはどうかという御提案を申し上げます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  それでは、ただいまの報告につきまして質問あるいは御意見等ございましたら、どうぞ。 ○竹嶋委員  診療側から意見を述べさせていただきますが、福井先生はじめ分科会の先生方の大変な 御労作をありがとうございました。  今結論がそういうことで、まだもう少し分析しなければいけないというお話ですが、資 料の御説明も受けまして、私どももそう考えます。言うまでもなく、手術者である外科系 の医者あるいはスタッフの皆さんにとりましては、これの評価が根拠もないのに出ている というのは非常に大きな問題でございます。やはりよほど慎重にやっていただかないとい けないと思います。  1つだけ、時間が限られているからやむを得ないと思うのですが、要するに、去年の秋 から2月、3月ごろまで、手術をなさって、7月ぐらいに回収ですね。これは先生はおわ かりと思いますが、やはり予後という観点が一つあります。これは言い出しますと5年と か10年先になりますので、その点は私はよくわきまえています。しかしながら、国民の 皆さんにお考えいただきたいのは、例えば骨の手術でも、人工関節でも入れますと、80 歳を過ぎた方は骨がもうもろくなっております。そういうときに人工関節を入れる方と、 あるいは60歳ぐらいの方に入れる場合というのは、これはその時点ではっきり違うわけ です。ですから、10年たって見たときに、80歳で手術をなさった方はもうゆるみが出 てきて、少しぐらぐらしてくるわけです。これはおわかりと思います。失礼ですが、そう いうこともあります。  ですから、私ども、今日の結論はぜひもう少し延ばして、できるだけ十分な検討をいた だきたいということを申し添えて、このお考えには賛成します。 ○対馬委員(代理椎名氏)  昨年7月に新たにこの分科会ができて、その成果に大変期待しておりました。しかし、 今分科会長のお話で、解析にまだ時間がかかるということでしたので、幾つか教えていた だきたいと思います。  まず1つは、基本的に大江教授の3カ年の調査研究とそのデータを解析していくという お話だったかと思いますけれども、その調査研究の今後の見通しについて、それが1点で す。  あと2つ目は、我が国におきまして、大江教授のこのような調査研究を進める場合、何 か阻害要因といいますか、あるいは難しさといいますか、そういったものがあるかどうか、 そのあたりを教えていただきたいと思います。 ○福井分科会長  大江教授の研究班は、データの収集期間、5カ月とか6カ月間は一応終えておりますの で、あとはデータの抜けがないかどうかの確認などに、すごく時間がかかりますので、3 カ年で結論を出せるようなタイムスケジュールで動いていただいているように私は理解し ております。  そして、このような臨床データを扱う場合の研究の難しさは、人手の問題でございます。 いろいろな学会に登録されている病院にお願いしてこのようなデータをインプットしてい ただくわけですけれども、それでなくても忙しいドクターに余分な仕事をお願いするとい う形になりますので、現場の先生方にこのようなデータをインプットしていただけるよう インセンティブをどうするのか、モチベーションを高くするにはどうしたらよいのかとい うのが非常に難しい問題でして、欧米諸国のように、人材が豊富で、各病院にデータ収集 をするスタッフ、リサーチを担当する専任の人を張りつけていただければ、このような研 究は速やかに進むと思うのですけれども、そこのところがなかなかできないものですから 時間もかかってしまうというのが実情だと思います。 ○土田小委員長   どうもありがとうございます。 ○対馬委員(代理椎名氏)   どうもありがとうございました。いろいろ事情をお伺いして、基本的に事務局の提案に 賛成します。 ○遠藤委員   大変豊富なデータを用いられた事象研究でありまして、政策の資料ということだけでは なくて、学問的にも非常に価値の高い御研究だと思います。短期的にこれだけの分析を行 われました調査分科会の方々に敬意を表したいと思います。  当然そのデータを充実させて分析を継続するということについても私は賛成です。ただ、 本報告を作成するに当たりまして、より厳密な議論ができるように、幾つかの質問とお願 いのようなものがありますので、ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  まず、これはアウトカムの影響を調べているわけですけれども、手術件数の一定件数以 上と以下で分けてアウトカムの件数を調べておるわけですね。腎癌だけはどうもそうでは ないようですけれども、ほかのものは、子宮頸癌の場合では20例とそれ未満、関節の置 換術の場合には100例とそれ未満というふうになっているわけですが、ここのクリティ カルポイントといいますか、100例とか20例というのはどういう考え方で出てきたも のなのかということ。  と申しますのは、そもそも何例以上にするかということも、実は中医協で議論するよう な話であるかと思いますので、ここが事前に区切られてしまっているということになりま すと、どういう考え方に基づいたのかということをちょっとお聞きしたいなということで ありまして、逆に言えば、本報告書では、ある程度基準を分けたときに有意になるかなら ないかのような、そういうデータもあったほうが議論がしやすいかなという点が1点でご ざいます。  それから2つ目は、有意差が認められた係数の符合について矢印で書かれております。 これは大変わかりやすくてよろしいのですけれども、しかし、仮に有意であっても、係数 の大きさそのものが大きい場合と小さい場合では意味合いが違いますので、別添の資料で も構わないわけですけれども、本報告書では、係数の値のようなものがわかり、また、そ の係数の意味するところがよくわかるような、そういうような表記をしていただくと議論 がよりスムーズにできるかなと思いますので、お願いしたいと思います。  それから、ややテクニカルな話になるのですけれども、この分析方法は回帰分析を使わ れたのかと思われますけれども、その場合、説明変数間で相関が高いと、推計した係数の 信頼性が落ちる傾向があるわけです。この場合、年間の手術件数とそれから主たる術者の 手術経験数というのは、何か非常に相関が高いような気がするのですけれども、そういう ことでは何か問題は起きなかったのかどうか。あるいは今後分析される上でそこら辺のと ころを御留意していただければということで、余計なことかもしれませんが、一言申し上 げたわけであります。  それともう1つ、統計上の問題とか表記上の問題とはちょっと違うのですけれども、そ もそもこの議論というのは、集約化することによってパフォーマンスを向上させましょう ということなわけです。しかし、当然一方で、そうなりますと、ある種アクセスが遠くな ってしまうような人たちがいて、ある意味でアクセスの公平性とパフォーマンスの向上と のトレードオフみたいなところの議論もあるわけです。その際、たとえ手術ができる医療 機関が遠くにあっても、緊急性が非常に少ないような疾病であり手術であれば問題ないわ けですけれども、緊急性を比較的要するようなものである場合と同じようには扱えないだ ろうと思うのです。  拝見しますと、素人目で見ましても、癌などはそれほど緊急性が高くはないのかと思い ますけれども、ほかにも幾つかありますので、これが緊急性という点から見てどのように 評価できるのか。例えば学会に依頼してあるのであれば、学会の御意見など、あるいはそ うでなくても結構なのですけれども、病気が発症してから緊急性があるのかないのか、ど の程度あるのかというところを少し御見解を各手術ごとにいただければ、議論する上でも 非常にしやすいかなと思っております。  あと1つ、今の話と絡むのですが、事務局にお願いなのですけれども、可能であればと いうことですが、仮にこういうふうにして、ある程度手術件数の集約化を図った場合に、 現在入手できるデータで構わないわけですけれども、その場合、二次医療圏の医療機関が どういうふうに変化するのかというようなこと、これはもしデータ上できることであるな らばやっていただきたい。つまり、変化といっても、別にほかはなくなるわけではないの ですけれども、100件以上ということになると、二次医療圏の中の医療機関はどのぐら いなのか、全数はどのぐらいなのか、こういうようなことがもしわかればやっていただく ということもお願いできればと思います。  つまり、非常に強力に集約化してしまって、二次医療圏の中の数が急速に少なくなって しまうケースなのかそうでないのかということも判断材料としては必要かなと思いますの で、これは本調査の結果を踏まえて、もしそういうものが出てくれば議論がしやすいのか なと思って、これはお願い事であります。  長々と申し上げまして失礼しました。ありがとうございます。 ○土田小委員長  今答えていただくのは、最初のところと3番目ですね。福井先生、いかがでしょうか。 ○福井分科会長  最初の手術症例数の区分けをどうしたかということでありますが、23ページを見てい ただきますと、例えば子宮頸癌の手術についてですが、これは「20例未満」と「20〜 50例未満」、「50〜100例未満」などのように分けておりまして、一番多いのが 「200例以上」になっています。手術によりこの区分けは微妙に異なっております。そ れは、もともと頻度の高い手術とそうでないものがございますので、この区分けにつきま しては、それぞれ学会の先生方と大江先生が相談されて、これぐらいでいいのではないか ということで決められたように伺っております。絶対にこうでなくてはならないという分 類はないと思います。  それから、P値などの具体的な係数をということですが、次回の報告ではできるだけそ のようにさせていただきたいと考えております。  それから、集約化とアクセス数につきましては、これはかなりポリティカルな判断です ので、私たちが仰せつかっておりますのは、科学的な意味で関連性があるかどうかの検討 ということですので、そこから先は、この委員会などで御検討いただければと思います。 ただ、学会の御意見を伺うということはできるかと思います。 ○遠藤委員  ありがとうございました。 ○土田小委員長   どうもありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。 ○丸山委員  これは、質問に近い意見なのですが、大変膨大なデータを整理なさって分析されている のですが、医療機関の手術件数と医療成果の関係というものを見ていくときに、どうして も「組織」か「人」かという問題が出てきます。「人」というのはドクター個人です。こ れは幾つかのアウトカムに関する要因のまとめを見せていただいたのですが、主たる術者 あるいはチーム責任者の手術経験の数、これが例えば17ページだと500例以上という のは、皆ある意味では非常にいい方向で相関があるような表示、下向きの矢印ですよね。 ということは、その病院の組織の症例数より、まず最初に来るのがそれに従事するドクタ ーの個人の経験数、ノウハウによって成果が上がってくるのではないか。  ところが、この調査は、病院という組織の総合の手術数と成果との関連を見ようとなさ っているのだろうと思うのですが、単にドクターのノウハウの蓄積なりそういうものの足 し算では組織としての意味はないのであって、個々のドクターのノウハウの集積されたも のを相乗効果的に組織としてどう生かすかというポイントが非常に重要なのではないかと 思うのですが、そういった意味での調査項目というか、何か分析する項目が見えてこない のです。質問ですが、そういうものを入れるべきではないのでしょうかという意見になる のですが、いかがでしょうか。 ○福井分科会長  年間の手術数というのが、どちらかというと、その病院の組織、チームとしての経験を 示しているわけでして、手術チームの責任者あるいは主たる術者は、病院を移っている可 能性がございますので、どちらかというと、個人のスキル、手のたくみさ、そちらのほう を見るためにこのような項目を入れております。そのために、両方の手術の数が出てきて いるわけです。  先生がおっしゃるように、組織として対応できる部分と、個人のマニュアルスキルとが、 それぞれどれぐらい重要かということは、大変重要です。ただ難しい問題もはらんでおり まして、恐らくここでも議論が出たのかもわかりませんが、アメリカのインスティチュー ト・オブ・メディスンで、手術件数とアウトカムについて、大がかりなワークショップが 2000年に行われていまして、そこでもかなりの部分は組織の問題であろうと言われて います。個人のスキルの問題だとすると改善するのにかなり時間がかかるというふうなコ メントがされています。また、新しい手術であればあるだけ、それからまれな手術であれ ばあるだけ、個人のスキルに依存する部分が大きいというのが今までのコンセンサスのよ うです。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。 ○丸山委員  もう一言、例えば17ページの人工股関節置換術の場合、ほかの例にもありましたけれ ども、主たる術者の経験数の多いことの要因のほうが、その病院の年間100例以上とい う、多いのでしょうけれども、個人の経験数の効果のほうが矢印が多いのですが、それは、 そちらの要因のほうが大きいと見ていいものなのでしょうか。 ○福井分科会長  この手術についてはそうですが、例えば21ページを見ていただきますと、人工膝関節 のほうは、年間手術件数のほうが多いものがございまして、まだなかなかそこまで結論を 出すところまで私たちは至っていないというのが実情です。 ○丸山委員  これはまだ検討途中だということで、わかりました。 ○小島委員(代理勝村氏)  2年前にこの議論をしたときに、ここの場でいろいろな先生に教えていただいたときに、 海外だと、2けた違うような症例を比べられているようなデータがたくさんありました。 日本の場合は、これまでそういう集約化みたいなことを、専門性を高めるようなことをし てきていなかったわけですから、日本の過去のデータからそういうものを浮かび上がらせ ようとしたときに、このデータでも御苦労いただいているのですけれども、例えば50以 下と500以上とか、20以下と200以上とか、10倍ぐらいで、例えば海外のように 100倍以上違うとか、そういう差ができなくて、有意差を出されるのに非常に御苦労さ れているのだろうと思うのです。  先ほど遠藤委員の話にもありましたけれども、そんな中で、ある症例数以上・以下とい うデータ以外に、例えば20未満と200以上というかなり差をあけたときにどうなのか なと。僕が、いつだったか、腎臓移植か何かのデータを見たときに、かなり集約化してそ れを専門的にやられているのだなという医療機関とは違って、本当に専門家の方から見た らこういうのは危険になると思うのですけれども、年間1例とか2例とかしかしていない ような手術をしている医療機関がけっこうあります。都道府県の数とか以上に、もう少し 底を上げてほしいというか、普通の市民感覚で言うと、そんなある種実験的な感じにまで 見えてくるわけなので、もう少し一番上のほうを集めたほうがいいのか、あまりにばらば らになっているものを、せめて数例しかやっていないものを20例以上にまでは最低上げ ていくような、狭い領域での集約化、手術によっては、本当に大きな領域でも緊急性がな いからより専門性を高めるための集約化をすべきとかいうことで、症例数でも、どのあた りにポイントを置くかというのは変わってくると思いますし、僕としては、専門性を高め ていただくこと、遠藤委員がおっしゃったようにアクセスとの問題もありますけれども、 あまりに年間数例みたいなところが数多くあるのだったら、もう少し集約できないのか。 そういうふうにすべきだというようなデータも出してもらうことができたら、出るのだっ たらということですけれども、そのように思うのです。 ○福井分科会長  大江教授と相談してみたいと思いますが、例えば年間1例2例というデータが上がって きたとしましても、その外科医のチームは、今までほかのところで1,000例やってき たという人たちがたまたま現在,症例数の少ない病院にいるということもありえる訳でし て、そこのところの兼ね合いをどうするかという問題も実際上はあります。得られたデー タにつきまして、先生おっしゃったような形での分析が可能かどうか、相談したいと思い ます。 ○小島委員(代理勝村氏)   丸山委員の話もありますけれども、おっしゃるとおり、同じ人が違う病院でやっている のだったら、それはその人が専門性を高めてやっているということになりますし、そのあ たりの病院としての問題、それから、医師としての経験の問題というのを整理していただ いて、質の底上げみたいな観点もぜひ考慮していただけたらと思います。よろしくお願い します。 ○土田小委員長  御検討をお願いしたいと思います。 ○松浦委員  私は調査のことは結構だと思いますが、前回もこういう意見を私は申し上げたと思うの ですけれども、症例の数によって診療報酬の差をつけるというような話が出たと思います。 それは、日本の場合は国民皆保険で、平等に地域医療を受ける体制をつくるということが まず大前提ですから、よほど難しい手術ならそういうことをおやりになってもいいのです けれども、まあまあの手術でこれならやれるだろうというようなものはそんなに差をつけ たらいかぬと私は思います。完全な自由診療であれば、それは結構なのですけれども、皆 さん保険料を払われていますから。 ○土田小委員長  ただいまの調査はそういうことができるかどうかを確認したいというための調査ですの で、それによって点数に差をつけるかどうかというのはその調査結果を見てからの御議論 になりますので、その点は御理解いただきたいと思います。  ほかにございますでしょうか。まだおありかと思いますが、次の議題もありますので、 今回の手術に関する調査につきましてはこのぐらいで終わりにしたいと思います。  福井先生、長い時間どうもありがとうございました。                〔福井分科会長退席〕 ○土田小委員長   それでは、次の議題に移りたいと思います。「糖尿病対策について」を議題としたいと 思います。  これにつきまして、事務局より資料が提出されておりますので、最初に説明をお願いい たします。 ○事務局(原医療課長)  中医協診−2−1の資料と、今回の中医協診−2−2の資料をごらんいただきたいと思 います。  今回、糖尿病対策として3つの項目をまとめて御議論いただきたいと思います。  1点目が、生活習慣病管理料についてでございます。これにつきましては、平成18年 度の改定において、服薬よりもむしろ運動習慣の徹底と食生活の改善を基本とすると、そ ういう観点から、点数の条件づけ等を行ったわけでございますが、それについてどうであ ったかというのを検証部会で検証していただいております。  その結果につきましては、先日の総会でも御紹介いたしましたが、ここで再度ごらんい ただきたいと思います。中医協診−2−2の資料、結果検証部会の速報の3ページをごら んいただきたいと思います。ここでは、生活習慣病管理料を算定しているかどうかについ て、病院と診療所、それぞれに聞いておりますが、両方合わせて約11%ということで、 必ずしも多くの医療機関が算定しているわけではなかったということでございます。  それから5ページをごらんいただきたいと思います。図表7のところで、算定を行って いる医療機関に聞いたところ、療養計画書の記載内容についてどうかということで、「詳 細すぎて自由度がない」というのが36%ありますが、一方、「詳細すぎるが概ね良い」 というのが40%、「詳細さは概ね良い」24%、合わせて64%程度あったということ で、おおむねいいのかなと。同じく計画書の記載項目の充足度につきましても、これは 「十分」「概ね十分」というのが大半であったということ。ただ一方で、次のページにな りますが、一番下の図表12で記入の手間を聞いたところ、「変わらない」というのが半 数ありますけれども、「記入しづらくなった」というのが38%ほどあったということで ございます。  それから、7ページのところでは、算定をしたか、算定をする・しないについて聞いて いるのですが、以前は算定を行っていたが現在は算定していないという医療機関が14あ りました。その理由を聞きますと、「記載内容が増えた」からというところ、その次に 「治療・指導の体制が整わない」ということ、それで算定をやめたというのが理由でござ いました。また、多くの医療機関が算定していないのですが、今まで一度も算定を行って いないのはなぜかというのを聞いたところ、病院で53、診療所で449が該当しまして、 それぞれ両方とも「点数の設定が高く、患者の負担増につながるから」と、特に診療所で はそういうような回答が多かったということでございました。  また、この生活習慣病管理料で指導を受けた患者さんの御意見も聞いております。13 ページになりますが、わかりやすさはどうか、図表25ですけれども、高血圧症から糖尿 病まで、いずれにしましても「とても分かりやすい」あるいは「どちらかという分かりや すい」という肯定的なお返事が7割を超えているという状況でございました。それから、 患者さんの満足度という点につきましても、14ページになりますが、図表27、最後に なりますけれども、「大変満足している」「ある程度満足している」というのがいずれも 80%を超えて、かなりこの指導については好評であるということがうかがえました。  そこで、この点についての課題あるいは論点でございますが、本体の中医協診−2−1 の2ページをごらんいただきたいと思います。「課題と論点」の1つ目は、先ほど言いま したように、患者の高負担になるということから、一度も算定を行っていないということ があった。それから、療養計画書の記載内容が増えたのでやめたというところも幾つかあ ったということ。2つ目に、これらのことから、この生活習慣病管理料の満足度なりを考 えますと、さらに一層広めていく必要があるだろうということから、この患者の負担も考 慮した上で適正な評価をする、あるいは療養計画書のほうももう少し記載内容を工夫する、 そういうようなことを考えてはどうかということが御提案でございます。  それから、糖尿病対策の2点目でございます。中医協診−2−3の資料をごらんいただ きたいと思います。ここでは、糖尿病の合併症として出てきます末梢神経障害やあるいは 末梢動脈の循環不全が原因となりまして、どんどん悪化していきますと足壊疽となって、 足の指や足首から足を切断するというような手術が必要になる患者さんがおられます。  これにつきまして、診−2−4、参考資料の1ページをごらんいただきたいと思います。 糖尿病の有病者の推計でありますが、これは厚生労働省が行っております実態調査からで ございますが、「糖尿病が強く疑われる人」あるいは「糖尿病の可能性を否定できない 人」、いずれも平成9年と14年の調査で比較しますと、5年間で増加傾向にある。さら に問題なのは、糖尿病で治療を受けている人のうち、足壊疽を合併している率ということ で、9年、14年の比較で、0.4%が1.6%まで伸びているということでございます。  それから、糖尿病の足病変につきましては、先ほど言いましたように、神経障害であり ますとか血流障害というものが背景要因として見られるということがありました。そうい うものが足の病変を広げていくということが言われている。  参考資料の2ページですが、ここの上の折れ線グラフですけれども、これは年齢階級別 に見た合併症の状況ということで、「△」が腎症、これは後で言います腎障害が出てくる。 それから、「◆」の一点破線のものが神経障害であります。高齢化していきますと20% 近くになる。これは多分感覚障害中心になります。それから、「□」の実線の部分が網膜 症で、そういうものがあるという方が高齢化すると15%を超えてくる。それから、足壊 疽という形になっている者が年齢とともに増えて、3%ぐらいの方が70歳以上でおられ る。  足病変で主なものとして潰瘍などがありますけれども、下に写真が出ております。足の そういう潰瘍等が感染を起こして、さらに壊疽まで広がっていく、そういうような状況が ある。  それに対して、糖尿病の足病変があった場合に適切な足の手入れをするということがこ の悪化の防止につながるということが言われております。現在も医師の指示の下に看護師 等が足の潰瘍や壊疽等のハイリスク患者に対して重点的な指導を実施してこれを防ぐ、重 症化を防止するという取り組みが行われておるところでございます。  そこで、本体の資料、診−2−3に戻っていただきまして、「現状と課題」につきまし ては今述べたようなところでございますが、2ページ目の「論点」でございます。これら 糖尿病患者のうち、特に足病変のハイリスク患者に対して、医師が必要と認めた場合に、 悪化を防止するための専門的な指導を実施した場合の評価を新しく検討してはどうかとい う御提案でございます。  3つ目の糖尿病対策ですが、人工腎臓についてということで、中医協診−2−5の資料、 診−2−6の資料を使わせていただきます。  診−2−7の資料は、総会でも報告いたしました「透析医療に係る改定の影響調査 結 果概要」でございます。この結果につきましては、平成18年度に、夜間・休日における 加算を引き下げたということ、その結果どうなったかという観点、それから、透析、人工 腎臓の点数の中に、エリスロポエチンという、簡単に言いますと貧血を防ぐ薬を包括化し て評価をした、この2点について影響がどうだったかということを結果検証部会で特別調 査をしていただきましたが、結論といたしましては、その両2点、時間外とか夜間とか休 日という部分の加算の引き下げに対して、それは適切な対応がされていて、決してそのた めに夜間や休日が減ったという状況ではなかった。あるいはエリスロポエチンの包括化に ついても、必ずしも貧血等の状況に悪化を及ぼしたという証拠はなかった。そういうよう な結論だったと思います。  透析に関しましては、これは昔からある点数なのですが、平成14年度に透析治療の標 準化が進んだという観点で、いわゆる透析時間の差による点数の格差は廃止されまして、 一本の点数にされております  現状がどうかということで、中医協診−2−6の参考資料をごらんいただきたいと思い ます。図表1は、慢性透析患者数の推移ということで、平成13年以降1年ごとに書いて ありますが、この6年間、その間に毎年1万人近くが増加してきているということで、1 8年現在では26万人を超える方が慢性の人工透析を受けておられる。  それから図表2は、新しく、あるいは再導入もあるかもわかりませんが、新しく導入さ れる患者の数というのが、このように毎年増加傾向にあって、最近は3万6,000人余 りが毎年ほぼ新しく透析の導入に至っているということであります。  それから、次の2ページでございますが、その透析導入患者のもともとの原因疾患は何 かということですが、これは平成4年からのトレンドを見ておりますけれども、近年糖尿 病性の腎症というものがもともとの腎臓の病気よりも多くなってきている。これが顕著な 例で、平成18年では約40%を超えるものが糖尿病性のものであるということで、糖尿 病によるこの腎疾患というのは大きな問題になってきているということでございます。  それから、先ほど少し触れましたが、透析時間についてなのですが、週3回透析を行っ ている患者について調べたところ、「4時間未満」の方が24%、「4時間以上4.5時 間未満」の方が65%、このような分布になっております。その中でも、特に「4時間未 満」の短時間透析についての割合でありますけれども、これは先ほど言いましたように、 平成17年で24%ですが、平成13年から年々増加してきているという傾向が見られま す。  そこで、この人工腎臓についての問題でありますけれども、本体の中医協診−2−5の 2ページ目をごらんいただきたいと思います。この短時間の透析につきましては、週3回 普通は透析を受けられるので、できるだけ短時間でやっていただきたいという患者さんの 希望が非常に大きいということもありますが、その点、短時間でやるために急激に循環状 態が変化しますので、個人差にもよりますけれども、血圧が低下したり、下肢の筋肉の痙 攣が起こったり等々の副作用が出現しやすくなるということがあります。高齢者やあるい は個人差もありますけれども、逆にこういう副作用のために、標準的な4時間というより は、さらに長時間かけて透析せざるを得ない患者もおられるということでございます。  そこで、副作用等により透析時間を長く設定せざるを得ない患者さんについて、その部 分についてそれに応じた診療報酬上の評価を、再度長時間透析についての評価をつくって はどうかということが今回の提案でございます。  説明は、以上でございます。 ○土田小委員長   どうもありがとうございました。  ただいま説明がありましたように、この糖尿病の対策については3点に分けて説明がご ざいました。そこで、議論のほうもその3点に分けて議論を進めていきたいと思いますが、 最初は、「生活習慣病管理料の評価について」ということで、これは検証部会の結果を踏 まえて評価をもう一回考え直すということですが、御意見ございましたら、どうぞお願い します。 ○鈴木委員  事務の簡素化という観点からも、計画書をなるべくわかりやすい形にしていただけると いうことは賛成です。  あと1点は、院内、院外でやっていますけれども、計画書はほぼ数値目標というか、努 力目標みたいなことでの指導だと思いますので、もう少し指導料みたいな形で、これを存 続していかなければいけない何か意味というのはどこにあるのかというのがちょっとわか らないのだけれども、ふだんからこういうことを指導しているから実は算定しないという 先生方も相当おられますので、その点をお話ししたいと思います。 ○土田小委員長  これは御質問ですよね。事務局のほうはいかがでしょうか。つまり、これを継続して行 う理由はどこにあるかと。 ○鈴木委員  いや、もう一度、ふだんからこういう事柄に関しては患者さんに対して指導しておりま すので、こういうような算定項目が出ても、患者さんに同じことをやっているのに、また 点数が高いからというようなところで算定できないというのが現場の実情でありますので、 これを通常の指導料に吸収合併するようなことというのはできないのでしょうか。 ○土田小委員長  質問の趣旨はよろしいですよね。 ○事務局(原医療課長)  この点数については、計画書を明示して目標値を設定して、それを達成させる。そこの 客観的といいますか、そういうような形での指導について評価をするということで点数設 定したものですので、通常の指導料と若干趣が違うということで、だから、そこの目標値 を定めてそれに向けてしっかりと目標達成をしてもらうというところを評価したものなの で、その部分は通常のものとは違うというふうな理解をしています。 ○松浦委員  この部分は、診療報酬の中でこれがプラスに作用していくだろうとか、あるいはマイナ スに作用していくだろうとか、そういうところは誤差の範囲程度のものですか。これは、 「患者の負担も考慮した上、適正な評価とする」となっているでしょう。そのことは診療 報酬全体を考えた場合に、この項目の診療報酬は全体として上がるのですか、下がるので すか。 ○事務局(原医療課長)  ここは先ほどの調査結果でも、逆に1,500点という点数がついていて、患者負担で いきますと、月に1回4,500円の徴収になる。その金額自体が、先ほどの病院のほう は30数%だけれども、診療所のほうでは半分以上が高くて取れないというような、だか らやっていないのだという理由がありましたので、そういう意味では点数を下げて、逆に 言うと患者さんの負担をもう少し軽くした上で広く普及していきたいと考えているという ことです。下げてはどうかということを提案しています。 ○松浦委員  この項目は、トータルとしては増えていくということは想定されるわけですね。 ○事務局(原医療課長)  そこは、どの程度でどのくらい上がるかは……。 ○松浦委員  そこは誤差の範囲ですかと聞いたわけです。 ○事務局(原医療課長)  全体としては増えるかどうか、そこはまだ予測をつくっておりません。 ○竹嶋委員  ここは糖尿病に関しての論議ですからちょっと外れますが、例えばバージャー病みたい なものも足趾に壊死を起こします。切断することがありますよね。そういうところがもし 現場から質問があったら、これは糖尿だけだということでいくわけですか。当然そうなる のかな。 ○事務局(原医療課長)  バージャー病は、多く喫煙で起こるとか、いろいろ要因も違いますので、フットケアそ のものが同じことでいいのかどうかも、私もちょっと承知はしておりませんので、今言わ れているのは、糖尿病におけるフットケアというのは効果があるというところだけなので、 今のところはその糖尿病について評価をしていきたい、そういうことでございます。 ○土田小委員長  (1)の「生活習慣病管理料の評価について」という点はよろしいでしょうか。 ○小島委員(代理勝村氏)  直接この糖尿病ではないのですけれども、今回の検証部会の結果で、こういう医療に価 値があるからこういうものに価値をつけようということで点数をつけたところ、そのつけ 過ぎたことがかえって浸透しなかったというようなアンケート結果が出ているということ を考えると、これはたまたまこの検証部会の対象に挙がったのですけれども、ほかにも前 回の改定で、僕からしたらこんなに高い点数なのかと思う点もありましたし、そういう意 味では患者負担3割と考慮して、本当に進めたい医療が本当に進んでいくために、松浦委 員の話ではないですけれども、総額が同じになるかもしれないですけれども、どれぐらい の数でどれぐらいの量なのかというのが、ほかにもそういうことがあり得るのかなという ことを思いましたので、調査はいろいろ大変でしょうけれども、そういう方向というのは 大事にしておくべきなのかなと思いました。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。  それでは、次の「糖尿病ハイリスク患者のケアの充実について」、御意見、御質問ござ いましたら、お願いします。 ○鈴木委員   参考資料の3ページなのですけれども、アセスメントシートの例がございますけれども、 これは「皮膚症状と自覚症状」というようなところは見てわかるところもありますけれど も、「簡易検査」になりますと、相当診断に近い部分になると思います。医者の指示をど こまで出して、3ページの上のところに「処置」と「指導」とありますけれども、この 「観察」「処置」「指導」に関して医師が指示を出すということなのかどうかが1点。  それからあともう1点は、先ほどの話もありますけれども、これは糖尿病に限定された フットケアなのかどうなのかというところの2点を教えていただきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  まず、医師の診断とそれから指示との関係ですけれども、例えば検査などは、当然なが ら医師なりあるいは臨床検査技師なりがやる部分があるのだろうと思いますけれども、あ と観察などは医師がやっても看護師がやっても恐らく同じでしょうし、そういうのを総合 的にこの状況を医師が判断して、具体的にフットケアについて指示を出すという形になる のだろうと思います。  それから、この様式は、出典は京都大学附属病院看護実践開発センターが出された「糖 尿病患者のフットケア」というものからコピーをいただいたものでございます。糖尿病に ついてのフットケアという中でこれが出てきているということでございます。 ○土田小委員長  つまり、今鈴木委員が聞いたのは、このフットケアは糖尿病に関連したことだけに限定 しているのかということですよね。そういうことでございます。 ○竹嶋委員  それは、私どもは糖尿病だけに限定するということに一応疑問があるということを申し 上げておきます。いろいろな疾患があります。それを全体を見ながらいかないといけない と思うので。 ○土田小委員長  このフットケアに関連してですか。 ○竹嶋委員  はい。 ○土田小委員長  それをちょっと明確に質問にまとめていただきたいのですが。 ○竹嶋委員  糖尿病のこの壊疽に関する対応というのはこれでいいと思いますが、先ほどお聞きしま したバージャー病とかもありますし、それから、ほかの後期高齢者の場合に、爪からいろ いろ始まって、感染したり、いろいろな病気があるわけです。だから、それに対するフッ トケアというのは全般的に見ていくというところにやってほしい。そういう意見です。要 するに、そういうのを一言申し上げさせていただきたい。今後またいろいろ関連で出てく ると思いますので、それだけです。 ○土田小委員長  わかりました。 ○事務局(原医療課長)  先ほど申し上げましたけれども、フットケアについて、一応今のところ効果があると言 われているデータを私どもは承知しているのは、その糖尿病の足病変についてのみですの で、足病変ができる疾患はいろいろありますけれども、その疾患ごとに成因が多分違いま すので、その部分については本当に同じ効果があるのか、もし文献がありましたらお示し いただければ考えたいと思うのですけれども、今のところ、ちょっと私どもでは情報を持 っていないということです。 ○山本委員  糖尿病で出てきます足の病変の中で、潰瘍のことが少し記載されておりますが、特に潰 瘍が起こりますと、恐らく薬剤を使うような事態が出てくるのだろう。そういった意味で いえば、潰瘍の状況に応じて、どうした剤形を使うか、どの程度の水分を持たせるのか、 水分量によって大分使う薬剤も変わってまいりますので、そういった点に薬剤師の意見や 知恵を積極的に使っていただきたいなというのが1点ございます。  もう1点、その前の1番のほうでございますが、生活習慣病の指導に関しては、確かに 指導することで数値目標を決めてレベルを上げていくということについては十分理解して おりますが、場合によっては、薬を使わなくてはならないというケースも出てまいります。 そうした場合に、特に慢性疾患、いわゆる生活習慣病の方々はあまり自覚症状がない方が 多いため、薬をちゃんと飲まない方が割と多いので、現場で薬剤師としてもそれなりに指 導しているということがあるのだということをぜひ御理解をいただきたいと思います。 ○土田小委員長  ありがとうございました。 ○古橋専門委員  このフットケアに関しましては、看護職の中でも今大変高い関心を持っております。そ れで、現在フットケアを行っている職種、医師の指示か、看護師その他の職種がある程度 引き受けてやっていくのかということの考え方の中でのデータは、フットケアを行ってい る職種は44%ぐらいが看護師という回答でございます。これは、母数は人数的には48 5名でございます。医師は、内科医が113名、皮膚科医96名、外科医20名で、この 3系統の医師を合わせれば47%ぐらいでございますので、看護職と医師という形が半々 ぐらいで担っている。そのほかでは、薬剤師とか理学療法士がやっているという例もあり ますが、これは1%にも満たないということがございます。  それで、もう1つは、指示でやることなのかということでございますけれども、フット ケアを実施していく場合の検査などには、ドップラー法とか、モノフィラメントによる圧 力を見るものとか、サーモグラフィとか、そういうものもございますので、そういうもの については、もちろん医師の検討でございますけれども、看護職が独自でやれる爪のケア あたりはかなり分担的に、そして、医師も今多忙でございますから、そういう点では看護 職の判断とチームの中の合意でやっていけるというような方向があってもいいのではない かと思っております。 ○土田小委員長  ただ、これは「論点」のほうに「医師が必要と認めた場合」という限定書きがございま すので、その範囲内で看護師さんのほうにやっていただくということになろうかと思いま すが、そういうことですよね。 ○事務局(原医療課長)  はい。 ○土田小委員長  そういうことだそうです。  ほかにございますでしょうか。  それでは、最後の「人工腎臓について」、御意見をいただきたいと思います。これは、 つまり時間ファクターを入れようという考え方ですが、これは一度廃止されたものをもう 一回復活するということでございますが、いかがでしょうか。 ○小島委員(代理勝村氏)  これに関連してということなのですけれども、この原案どおりですと、新たな点数表に、 時間に合った2種類のものができ上がるということになります。これは、以前レセプトと いうのが患者が見られなくて、10年前に患者も自分のレセプトを見ることができるよう になったときに、僕の記憶では、人工透析されている患者たちがレセプトを見て、名称が 非常にわかりにくかったという混乱があったことを覚えておるのです。  ぜひどこかで強くお願いしたいと思っていたことをこれを機にお願いしたいのですけれ ども、名称をつけられるときに、患者が見て非常にわかりやすい名称をつけていただきた いと思うのです。「何とか管理料1」とか「何とかの管理料2」ではなくて、例えばこれ だったら「4時間以内」とか「4時間以上」ぐらいは簡単に書けることですし、2年ほど 前から、皆さん、患者の視点重視なのだというふうに言っていただいていますし、それか ら、病院の窓口でもレセプトなり明細書を努力義務というふうにしていただいて2年たっ て、さらに進めてほしいと思っているわけなのですけれども、患者が見て非常にわかりや すい名称に、本当だったら全部変えていただきたいのですけれども、今からつけていくも のに関しては、そういう名称をぜひ事務局のほうには工夫していただいてつけていただき たいなと。かえってわざと難しくしているような感じのところもありますので。  できればですけれども、既成の名称も本当は変えていただきたいなと思っております。 それは混乱を招くと思われるかもしれませんが、わかりやすい名称ならばかえって混乱は ないのではないかと思いますし、ぜひお願いしておきたいと思います。 ○土田小委員長   これはぜひお願いしたいと思います。  ほかにございますか。 ○松浦委員  またとりようによっては意地の悪い質問に聞かれるかもわかりませんが、3番目の「4 時間未満の短時間で透析を行っている患者の割合は、年々増加してきている」と、これは いいことではないのでしょうか。悪いことなのですか。 ○事務局(原医療課長)  実は、要するに4時間以上と未満で、透析の成績といいますか、生命予後は、短時間で あると少し悪いという調査も出ておりまして、それはどの程度のものかというのは私も詳 細に承知はしていないのですけれども、できれば4時間をしたほうがいい。生命予後から いっても4時間を標準としてやったほうがいいと聞いておりますので、この部分を、患者 さんは短いほうがありがたいということですけれども、原理からいっても、一定時間かけ ないと体の中の不要な物質が除去できないということもありますので、4時間をやはり標 準にしていくというほうが体のためにもいいだろうと思います。 ○松浦委員  だけれども、お医者さんというのは患者さんを透析しなければならぬ。ある程度の時間 は短かったらだめだという場合には、どうしても長時間するのではないのですか。 ○竹嶋委員  実は、おっしゃる通りなのです。現場では、これからそういう説明が大変難しくなって くると思います。というのは、今20何%の方が4時間以内でやっています。そこの4時 間以上のところに、単純ですが、点数をつけるとか何かになりますと、極端な場合です、 極端な例ですみません、3時間50分していた方を4時間5分にはかってやると、そのと き患者さんに説明するときに、これはこれでいいのです、私どもは最初からこれは反対し ないのですが、はっきり言いまして、説明できるようなものがないと現場は非常に困るの です。  だから、それはちょうど松浦さんが言われたから私は言っただけですが、課長のほうか らは、4時間以内のほうが成績が悪い、そういうデータもあるということですから、そう いうものも一応あったら出していただいて、そうしないと説明のしようがありません。腎 透析は非常に重大な治療だと思いますし、そういうふうに現場では思っています。だから、 説明できるような形にしてください。 ○鈴木委員  治療時間というのは、体の大きさですとか、筋肉量でまず決めます。ですから、小さい 方で体重の軽い方は4時間やる必要がなくて、3時間で終わる方もおられます。年をとる と運動をしていきませんので、筋肉の老廃物がたまりませんから、余計若い活動的な方よ りも時間は少なくて済みます。しかしながら、透析量と生命予後というものは比例するの ではないかと私たち医者は信じています。 ○松浦委員  ちょっとよくわからないのですけれども、患者さんを透析をして血液をクリーンなまま にしてもっていくということは、これは医療行為で絶対やらなければいかぬことです。そ れが時間が減っていっているのですから、私はいい方向に向かっているのではないかと、 そういう気がするのです。長く行った場合についてこうした「診療報酬上の評価を検討す ることとしてはどうか」ということが、ちょっとそれはどういうことなのだろうかと。 ○土田小委員長  それは、先ほど課長が説明しましたように、4時間未満であれば予後に対する効果がよ くないというデータをベースにして、したがって、4時間以上については評価をし直そう ということなのですが、ただ、ただいま竹嶋委員と鈴木委員から話がありましたように、 それがどれだけの証拠といいますか、根拠があって言っているのかということについての 御意見がありました。したがって、この点についてはもう一度資料を出していただいて、 それでもう一度ここで検討いただくということにしたいと思います。つまり、根拠が不明 確なままにここでやっても時間がムダになりますから、そういうことにして、この問題は 一応お預けということにしたいと思います。 ○対馬委員(代理椎名氏)  これは事務局にお尋ねすることになろうかと思いますけれども、平成14年度の改定で 時間のファクターを廃止した。それで、今回の提案では、診−2−5の2ページにありま すように、個人差はあるが、短時間で透析を行えば、血圧低下や筋肉の痙攣といういろい ろな副作用が出てくるということで、今回時間のファクターを評価したらどうかという提 案なのですね。つまり、その間、廃止してから現在まで、どんな状況の変化があったのか、 あるいは関係学会等の見解はどうか、その辺を事務局にお尋ねしたいと思います。 ○土田小委員長  それは、恐らく今は用意していないと思いますので、次回、先ほどの松浦委員の質問も あわせて、もう一度資料を提出していただいて、検討をお願いしたい。今椎名さんから話 がありましたけれども、あわせてお願いいたします。よろしいでしょうか。 ○遠藤委員  1点だけ確認ですけれども、この長時間透析の再評価というものの対象は、必ずしも糖 尿病性腎症の患者さんだけではなくて、すべての透析患者と考えてよろしいわけですね。 ○事務局(原医療課長)  はい、おっしゃるとおりです。 ○土田小委員長  よろしいですか。  それでは、ただいま3点について御議論いただきましたが、そういう方向で、次回資料 等々をお願いしたいと思います。  今日用意しました議題は以上でございますので、これで終わりにしたいと思いますが、 次回の日程が決まっておりましたら、お願いします。 ○事務局(原医療課長)  次回は金曜日、場所は、はあといん乃木坂でございます。 議題は、検査と、それから精神科医療について検討していただきたいと思います。 ○土田小委員長  それでは、基本小委をこれで終わりにします。  続いて総会がございますので、ちょっとお待ちください。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)